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技術 熱間加工用工具および継目無鋼管の製造方法

出願人 住友金属工業株式会社
発明者 飯田純生阿佐部和孝中西哲也天野茂
出願日 2005年12月13日 (15年2ヶ月経過) 出願番号 2005-358436
公開日 2007年6月28日 (13年7ヶ月経過) 公開番号 2007-160338
状態 特許登録済
技術分野 管の製造;マンドレル
主要キーワード ニオブ炭化物 アプセット加工 グリッピング プラグ材質 内面性状 圧延段 マイカー プラグ形状
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この項目の情報は公開日時点(2007年6月28日)のものです。
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課題

工具寿命に優れた熱間加工用工具および内面性状に優れた継目無鋼管の製造方法の提供

解決手段

母材の表面に、Co基合金またはNi基合金からなるマトリックス金属ニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜を形成させ、最外表面に鉄系酸化物被膜を形成させた熱間加工用工具。上記の鉄系酸化物被膜は、普通鋼圧延することにより形成させたものが望ましい。この熱間加工用工具は、8質量%以上のCrを含有する合金鋼またはステンレス鋼からなる素管を2mm以上5mm以下の肉厚圧下量プラグミル圧延するときに用いるプラグに適している。

概要

背景

継目製管板圧延形鋼条鋼線材圧延等の熱間塑性加工で使用される工具は、高温被加工材と直接に接触しながら厳しい摩擦を受けるため、その表面の摩耗が著しい。また、これらの工具は、被加工材と非接触状態にある時に水冷または空冷により表面の冷却が行われる。このような熱履歴を受ける熱間加工用工具には、熱衝撃熱疲労等によるクラックが生じ易く、これが被加工材の表面疵の原因となったり、割損して使用できなくなったりする。このため、熱間加工用の工具には耐摩耗性および耐熱亀裂性両性能が要求される。

例えば、熱間で継目無管を製造する工程の一つであるプラグミル圧延においては、素管外面を拘束しながら軸方向に与える一対の孔型ロールと、素管内面を拘束するプラグとによって圧延が行われる。このとき、プラグは1000〜1200℃の高温の素管内面と接触しながら高面圧のもとで完全なすべり摩擦を受けるため、摩耗、焼付き、亀裂等の工具損傷が生じやすい。

ここで、プラグミル用プラグとしては、従来、1.0〜1.5%C−25%Cr−3%Ni鋼、1.0〜1.5%C−17%Cr−2%W鋼等の高C−高Cr鋼が使用されている。一方、管端部のアプセット加工に用いられるダイ、グリッピングジョーマンドレル等のアプセット加工用工具としては、JIS規格SKD61相当鋼等を熱処理してHRC45程度の硬さとしたもの、またはこれに窒化処理したものが使用されている。

出願人は、耐摩耗性および耐熱亀裂性の両方に優れる熱間加工用工具として、例えば、特許文献1において「母材表面に、体積比で20〜70%のニオブ炭化物粒子を含む金属ー炭化物複合被膜と、該被膜の最表面に形成させた酸化物被膜とからなる二層被膜を有することを特徴とする熱間加工用二層被膜形成工具」を提案している。

特開平6−315704

概要

工具寿命に優れた熱間加工用工具および内面性状に優れた継目無鋼管の製造方法の提供母材の表面に、Co基合金またはNi基合金からなるマトリックス金属にニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜を形成させ、最外表面に鉄系酸化物被膜を形成させた熱間加工用工具。上記の鉄系酸化物被膜は、普通鋼を圧延することにより形成させたものが望ましい。この熱間加工用工具は、8質量%以上のCrを含有する合金鋼またはステンレス鋼からなる素管を2mm以上5mm以下の肉厚圧下量でプラグミル圧延するときに用いるプラグに適している。なし

目的

本発明の目的の一つは、このような観点からなされたものであり、金属−炭化物複合被膜の表面に形成させる酸化被膜の厚さを厚くして、焼き付きを防止することができる熱間加工用工具を提供することにある。本発明の目的のもう一つは、焼き付きを防止することができるプラグミルを用いることで、プラグ寿命を向上させ、鋼管内面疵を低減することができる継目無鋼管の製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

母材の表面に、Co基合金またはNi基合金からなるマトリックス金属ニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜を有し、最外表面に鉄系酸化物被膜を有することを特徴とする熱間加工用工具

請求項2

母材の表面に、Co基合金またはNi基合金からなるマトリックス金属にニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜を有し、金属−炭化物複合被膜表面に、さらに普通鋼圧延することにより形成させた被膜を有することを特徴とする熱間加工用工具。

請求項3

8質量%以上のCrを含有する合金鋼またはステンレス鋼からなる素管を2mm以上5mm以下の肉厚圧下量プラグミル圧延する継目無鋼管の製造方法であって、プラグとして、その母材の表面に、ニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜と、その金属−炭化物複合被膜の表面に、普通鋼を圧延することにより形成させた被膜とを有するプラグを用いることを特徴とする継目無鋼管の製造方法。

技術分野

0001

この発明は、8質量%以上のCrを含有する合金鋼またはステンレス鋼等の難加工性材料熱間加工用工具および継目無鋼管の製造方法に係り、特にプラグミル圧延に使用されるプラグ等の製管工具や、管端部のアプセット加工用工具等に好適な熱間加工用工具および継目無鋼管の製造方法に関する。

背景技術

0002

継目無製管、板圧延形鋼条鋼線材圧延等の熱間塑性加工で使用される工具は、高温被加工材と直接に接触しながら厳しい摩擦を受けるため、その表面の摩耗が著しい。また、これらの工具は、被加工材と非接触状態にある時に水冷または空冷により表面の冷却が行われる。このような熱履歴を受ける熱間加工用工具には、熱衝撃熱疲労等によるクラックが生じ易く、これが被加工材の表面疵の原因となったり、割損して使用できなくなったりする。このため、熱間加工用の工具には耐摩耗性および耐熱亀裂性両性能が要求される。

0003

例えば、熱間で継目無管を製造する工程の一つであるプラグミル圧延においては、素管外面を拘束しながら軸方向に与える一対の孔型ロールと、素管内面を拘束するプラグとによって圧延が行われる。このとき、プラグは1000〜1200℃の高温の素管内面と接触しながら高面圧のもとで完全なすべり摩擦を受けるため、摩耗、焼付き、亀裂等の工具損傷が生じやすい。

0004

ここで、プラグミル用プラグとしては、従来、1.0〜1.5%C−25%Cr−3%Ni鋼、1.0〜1.5%C−17%Cr−2%W鋼等の高C−高Cr鋼が使用されている。一方、管端部のアプセット加工に用いられるダイ、グリッピングジョーマンドレル等のアプセット加工用工具としては、JIS規格SKD61相当鋼等を熱処理してHRC45程度の硬さとしたもの、またはこれに窒化処理したものが使用されている。

0005

出願人は、耐摩耗性および耐熱亀裂性の両方に優れる熱間加工用工具として、例えば、特許文献1において「母材表面に、体積比で20〜70%のニオブ炭化物粒子を含む金属ー炭化物複合被膜と、該被膜の最表面に形成させた酸化物被膜とからなる二層被膜を有することを特徴とする熱間加工用二層被膜形成工具」を提案している。

0006

特開平6−315704

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1の発明では、金属中に分散されたニオブ炭化物粒子が有する下記の効果を利用している。
(a)被膜の常温から高温におよぶ強度を高め摩耗を抑制する効果
(b)酸化被膜処理を行った際に表面に露出したニオブ炭化物優先的に酸化されてニオブ主体酸化物を形成して焼付きを防止する効果
(c)酸化被膜が存在しなくなった場合にも金属同士の接触を妨げ、焼付きを防止する効果

0008

特許文献1には酸化被膜の形成方法として、大気中で900℃に1時間保持する処理および大気中で1000℃に30分間保持する処理が記載されている。

0009

しかし、このような熱処理では、金属−炭化物複合被膜中のマトリックス金属がステンレス鋼の場合には、複合被膜の表面にある程度の厚さの酸化被膜が形成されるが、マトリックス金属がCo基合金またはNi基合金の場合には十分な厚さの酸化被膜が形成されず、焼き付きの防止が不十分となる。

0010

本発明の目的の一つは、このような観点からなされたものであり、金属−炭化物複合被膜の表面に形成させる酸化被膜の厚さを厚くして、焼き付きを防止することができる熱間加工用工具を提供することにある。本発明の目的のもう一つは、焼き付きを防止することができるプラグミルを用いることで、プラグ寿命を向上させ、鋼管内面疵を低減することができる継目無鋼管の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、下記の(1)および(2)に示す熱間加工用工具および下記の(3)に示す継目無鋼管の製造方法を特徴とする。

0012

(1)母材の表面に、Co基合金またはNi基合金からなるマトリックス金属にニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜を有し、最外表面に鉄系酸化物被膜を有することを特徴とする熱間加工用工具。

0013

(2)母材の表面に、Co基合金またはNi基合金からなるマトリックス金属にニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜を有し、金属−炭化物複合被膜表面に、さらに普通鋼を圧延することにより形成させた被膜を有することを特徴とする熱間加工用工具。

0014

(3) 8質量%以上のCrを含有する合金鋼またはステンレス鋼からなる素管を2mm以上5mm以下の肉厚圧下量でプラグミル圧延する継目無鋼管の製造方法であって、プラグとして、その母材の表面に、ニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜と、その金属−炭化物複合被膜の表面に、普通鋼を圧延することにより形成させた被膜とを有するプラグを用いることを特徴とする継目無鋼管の製造方法。

発明の効果

0015

本発明によれば、熱間加工用工具の焼き付きを防止することができるので、優れた高温耐摩耗性および耐熱衝撃性とともに、優れた工具寿命を有する。例えば、この熱間加工用工具を難加工材からなる熱間継目鋼管の製造に用いられるプラグミルに適用した場合には、プラグ寿命が大幅に延長できるとともに、製品内面品質に優れた製品が得られる。

0016

なお、本発明の熱間加工工具とは、上述のプラグミル圧延用プラグのほか、ピアサー用プラグ、マンドレルミルマンドレルバーガイドシューロール、管端アプセット加工用ダイ、管端アプセット加工用マンドレル、熱延鋼板熱延形鋼、条鋼または線材を圧延する際のロール、熱間加工材搬送用ロールガイド類の熱間摺動部材等の各種熱間加工工具にも適用することができる。

発明を実施するための最良の形態

0017

1.熱間加工用工具
本発明の熱間加工用工具は、母材の表面に、Co基合金またはNi基合金からなるマトリックス金属にニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜を有し、最外表面に鉄系酸化物被膜を有する熱間加工用工具である。

0018

ニオブ炭化物粒子は、金属−炭化物複合被膜を構成するマトリックス金属中に分散して当該被膜の常温から高温(1200℃程度)におよぶ強度を高め、その耐摩耗性を向上させる作用を有している。また、金属同士(被圧延材プラグ母材)が直接接触するのを妨げて焼付きが発生するのを防止する作用を有している。

0019

本発明においては厚い酸化被膜を形成させるので、ニオブ炭化物粒子の含有量についてはそれ程厳密に管理する必要はないが、上記の効果を得るためには、体積比で20〜70%とするのがよい。

0020

上記ニオブ炭化物粒子の大きさについても、特に制限はないが、粒子の大きさが小さ過ぎると金属−炭化物複合被膜の耐摩耗性が低下し、逆に大き過ぎると熱亀裂が発生、進展し易くなる。従って、平均粒径が65〜135μmの範囲にあるニオブ炭化物粒子を用いるのが好ましい。

0021

金属−炭化物複合被膜を構成するマトリックス金属は、Co基合金またはNi基合金からなるものである。Co基合金およびNi基合金は、耐熱性に優れる材料だからである。例えば、ステライト#1、#6、#12、#21、#32等に代表されるCo基合金、インコネル625、50%Cr-50%Ni等のNi基合金である。

0022

上記金属−炭化物複合被膜の形成方法としては、次のような方法を一例として挙げることができるが、製法に特に制限はない。
(a)所定の形状に成形したプラグ母材を、Co基合金またはNi基合金からなる金属粉とニオブ炭化物粉との混合粉末とともにカプセル内に封入して熱間静水圧プレス加工する方法(HIP法)。
(b)所定の形状に成形したプラグ母材表面に上記混合粉末を塗布した後あるいは混合粉末を送給しながらレーザビーム照射して溶融固化する方法(レーザクラッディング)。
(c)所定の形状に成形したプラグ母材表面と電極との間にプラズマを発生させ、このプラズマ中に上記混合粉末を送給してプラグ母材表面に肉盛する方法(プラズマ粉体肉盛法)。

0023

これら方法のうち、(c)の方法が最も簡便かつ低廉であり、プラグ母材に対する密着性および緻密性に優れた金属−炭化物複合被膜が得られるので、この方法を用いるのが好ましい。

0024

金属−炭化物複合被膜の厚さについても、特に制限はないが、常温から高温(1200℃程度)におよぶ範囲で十分な表面強度を確保するためには、少なくとも1mm以上の厚さとするのがよく、厚ければ厚いほど好ましい。ただし、あまり厚くしてもその効果のより一層の向上は認められず、剥離のおそれがあるので、10mm以下の厚さに留めるのが望ましい。

0025

本発明の熱間加工用工具の最外表面には鉄系酸化物被膜を形成させる。前述のように、Co基合金またはNi基合金をマトリックス金属とする金属—炭化物複合被膜の表面に酸化物被膜を形成させる場合、従来の熱処理による酸化被膜形成方法では厚い酸化物被膜の形成が困難である。しかし、鉄系酸化物被膜であれば、後述の普通鋼を圧延したり、溶着したりすることで、熱間加工用工具の最外表面に、容易にある程度の厚さの被膜を形成させることができる。このように、最外表面に酸化物被膜を形成させた熱間加工用工具は、断熱性に優れるとともに、耐焼き付き性、特に使用初期における十分な耐焼き付き性に優れるのである。

0026

最外表面に鉄系酸化物被膜を形成させる方法としては、特に限定はないが、母材の表面に金属−炭化物複合被膜を形成させた熱間加工用工具で普通鋼を圧延(いわゆる、ならし圧延)する方法が望ましい。これにより、普通鋼の酸化鉄主体の酸化物被膜が工具表面に付着するので、例えば、難加工材を高圧下圧延する場合に生じやすい焼き付きを抑制することができる。なお、普通鋼の圧延であれば、熱間加工工具表面に酸化物被膜が生成されていない状態であっても焼き付きが発生しにくい。これにより形成される被膜は100〜400μmと厚い。

0027

なお、普通鋼を圧延することにより熱間加工工具の最外表面に形成される被膜は、鉄系酸化物被膜であるが、圧延温度その他の条件により、金属−炭化物複合被膜の表面に一様に酸化物被膜が形成される場合、金属−炭化物複合被膜と酸化物被膜との間にメタルの層が残存する場合、最外表面にメタルが露出する場合などがある。本件明細書において、単に「被膜」と呼ぶ場合は、これらいずれの場合も含まれる。但し、最外表面におけるメタルの露出面積が大きい場合(例えば、最外表面における面積比〔酸化物/(酸化物+メタル)×100%〕で、50%以上)には、焼き付きの原因となる場合もあるので、例えば、普通鋼を圧延した後のプラグを900〜1200℃で30分〜1時間の熱処理を施して、露出したメタルを酸化させておくのがよい。

0028

なお、普通鋼としては、S20C、S22C等のJIS G 4051に規定される炭素鋼および5質量%以下のCrを含有する低合金鋼が挙げられるが、炭素鋼を用いる方が望ましい。

0029

熱間加工用工具の母材の材料には、通常、熱間加工用工具として用いられる炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼またはNi基合金などを用いることができる。しかし、プラグ等の熱間加工用工具の製作コストなどを考慮すると、炭素鋼(例えば、JIS−S45C)あるいは合金鋼(例えば、JIS−SNCM630)を用いるのが好ましい。

0030

2.継目無鋼管の製造方法
本発明の継目無鋼管の製造方法においては、8質量%以上のCrを含有する合金鋼またはステンレス鋼からなる素管を2mm以上5mm以下の肉厚圧下量でプラグミル圧延して継目無鋼管を製造するに際し、プラグとして、その母材の表面に、ニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜と、その金属−炭化物複合被膜の表面に、普通鋼を圧延することにより形成させた被膜とを有するプラグを用いることを特徴とする。

0031

8質量%以上のCrを含有する合金鋼またはステンレス鋼からなる素管を2mm以上という高い肉厚圧下量でプラグミル圧延すると、プラグの損傷、鋼管内面疵が発生しやすい。本発明の継目無鋼管の製造方法は、後段の実施例に示すように、このような難加工材の高圧下率加工を実施する場合にも、プラグ損傷、鋼管内面疵が発生しにくい方法であると言える。

0032

プラグミル圧延時の肉厚圧下量が2mm未満の場合、薄肉管を得るためには、プラグミル圧延の前工程であるピアサーおよびエロンゲータでの加工度を大きくする必要があり、内面被れ疵、内面ピット疵、偏肉等の品質不良が発生する。一方、肉厚圧下量が5mmを超えると、ピアサーおよびエロンゲータへの負担は減るが、プラグミルでのプラグ負担が大きくなり、本発明のプラグを用いても内面筋疵が発生しやすくなる。このような理由から、プラグミル圧延時の肉厚圧下量は、2mm以上5mm以下とした。

0033

プラグ母材の表面に、ニオブ炭化物粒子を分散させた金属−炭化物複合被膜を形成させる理由、さらに、その金属−炭化物複合被膜の表面に普通鋼を圧延して被膜を形成させる理由は、普通鋼を圧延することによりメタルがプラグ表面に付着し、これが酸化して酸化鉄主体の酸化物被膜が生成するので、これが難加工材の高圧下圧延においても、焼き付き等の不具合を抑制するからである。なお、普通鋼の圧延であれば、熱間加工工具表面に酸化物被膜が生成されていない状態であっても焼き付きが発生しにくい。

0034

その金属−炭化物複合被膜の表面に普通鋼を圧延して被膜を形成させる時には、プラグミル圧延ラインで普通鋼を1パス以上のならし圧延した後、8質量%以上のCrを含有する合金鋼またはステンレス鋼を圧延すればよい。なお、普通鋼のならし圧延の直後に合金鋼またはステンレス鋼を圧延しても、別チャンスに普通鋼のならし圧延した後に合金鋼またはステンレス鋼を圧延しても、何れでもよく、ならし圧延のタイミングは問わない。

0035

なお、圧延は、その圧延中にプラグがパスライン方向に位置変動しないように固定した状態で行なう、いわゆるプラグ固定圧延法を採用してもよいが、管内面性状を改善するために、圧延中にプラグをその軸長方向へ移動させる、いわゆるプラグ移動圧延法を採用してもよい。

0036

本発明の継目無鋼管の製造方法においては、素管をプラグミル圧延する際に使用する潤滑剤は、1パス目および2パス目の供給量が3パス目以降の供給量より多いことが望ましい。

0037

これは、8質量%以上のCrを含有する合金鋼またはステンレス鋼といった難加工材を2mm以上という高圧下率でプラグミル圧延する場合には、圧延作業初期段階に焼き付き損傷が生じやすいため、この段階における潤滑剤の供給量を増加させるものである。潤滑剤は、粒状、粉状、液状などの潤滑剤を圧延作業毎に供給してもよいし、プラグ芯金から圧延中に連続的に供給してもよい。

0038

本発明の効果を確認すべく、オーステナイト系ステンレスの代表であるSUS304材を、各種のプラグにより、肉厚圧下量2〜6mmのプラグミル圧延を行った。詳細な圧延段取りは、以下の2通りである。なお、プラグミル潤滑剤にはマイカー硼酸系潤滑剤を使用した。
(1)プラグミル前のエロンゲータ後寸法:278mmΦ×12〜13mmt、プラグミル後の寸法:272mmΦ×10mmtおよび製品の寸法:269mmΦ×10.3mmt
(2)プラグミル前のエロンゲータ後寸法:336mmΦ×42〜44mmt、プラグミル後の寸法:321mmΦ×38mmtおよび製品の寸法:324mmΦ×38mmt

0039

実験には、炭素鋼をプラグ形状に加工したプラグ母材の表面に、平均粒径が約100μmのニオブ炭化物粒子を、Co基合金、Ni基合金またはγステンレス鋼からなるマトリックス金属に分散させた金属−炭化物複合被膜をプラズマ粉体肉盛法により形成させ、さらに、最外表面に鉄系酸化物被膜を形成したものを用いた。このときの金属−炭化物複合被膜の厚さは3mmであり、金属−炭化物複合被膜中のニオブ炭化物粒子の含有量は、体積比で50%であった。

0040

本発明例No.1,2ならびに比較例No.15,17では、金属−炭化物複合被膜を形成したそれぞれのプラグを1000℃に30分加熱保持することにより、プラグ最表面に酸化スケールを形成させた。本発明例では、金属−炭化物複合被膜を形成させた後(本発明例No.1,2については、上記の加熱処理の後)、普通鋼を1〜3パス圧延(ならし圧延)することにより、また、本発明例No.3,4については、ならし圧延の後に、さらに1000℃に30分加熱保持することにより、最外表面に鉄系酸化物被膜を形成させた。

0041

このようにして得たプラグを用いて、各種条件で継目無鋼管を製造し、そのときのプラグ寿命および内面疵の発生を調査した。プラグ材質製造条件および性能評価を表1に示す。

0042

0043

なお、表中の「Co基合金」はステライトNo.6を、「Ni基合金」はインコネル625をそれぞれ意味する。また、ならし圧延は、上述したSUS304と同じ圧延段取りで、S20Cを1〜3パス圧延することにより実施した。「肉厚圧下量」は、プラグミル圧延における肉厚圧下量を意味する。

0044

プラグ寿命は、プラグに被加工材が凝着するか、もしくは、摩耗によりプラグ径が所定値以下になるまで圧延することができたパス数を意味する。

0045

表中の「判定」の「◎」は、プラグ寿命が70パス以上、「○」はプラグ寿命が20パス以上、「×」はプラグ寿命が5パス未満であったものをそれぞれ意味する。

0046

表に示すように、ならし圧延をしなかった比較例No.15および17の例では、1パス目に被加工材が凝着した。また、肉厚圧下量を6.0mmとしたNo.16および18の例では、2パス目に被加工材が凝着した。これに対し、ならし圧延を施し、さらに肉厚圧下量を2〜5mmとした本発明例No.1〜14は、いずれもプラグ寿命が20パス以上と良好な結果を示した。

0047

本発明によれば、熱間加工用工具の焼き付きを防止することができるので、優れた高温耐摩耗性および耐熱衝撃性有をするとともに、優れた工具寿命を有する。例えば、この熱間加工用工具を難加工材からなる熱間継目無鋼管の製造に用いられるプラグミルに適用した場合には、プラグ寿命が大幅に延長できるとともに、製品内面品質に優れた製品が得られる。

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