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技術 反応体及び生成物の輸送を制御するための、平面内不均一構造を有する電極基板を備えた電気化学的燃料電池

出願人 ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフトフォードモーターカンパニー
発明者 ジョンソン,マーク,シー.ウィルキンソン,デビッド,ピー.アズマン,チャールズ,ピー.ボス,マイレス,エル.ポッター,ロバート,ジェイ.
出願日 2006年12月25日 (12年6ヶ月経過) 出願番号 2006-348308
公開日 2007年6月14日 (12年1ヶ月経過) 公開番号 2007-149694
状態 拒絶査定
技術分野 燃料電池(本体) 無消耗性電極
主要キーワード 溝付表面 傾斜開口 不均等分布 モジュール板 初期湿度 横断面形 加圧酸化 空気圧ピストン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (19)

課題

電気触媒層方向への反応体輸送を制御する電気化学的燃料電池を提供する。

解決手段

一対の対面する主平面を有するアノードセパレーター板34、一対の対面するカソードセパレーター板36、前記アノードセパレーター板34とカソードセパレーター板36の間に配置された膜状電解質、前記アノードセパレーター板34と膜状電解質の間に配置され、燃料流入口に隣接するアノード入口部分及び燃料流出口に隣接するアノード出口部分を有するアノード基板、前記カソードセパレーター板36と膜状電解質の間に配置され、酸化剤流入口に隣接するカソード入口部分及び酸化剤流出口に隣接するカソード出口部分を有するカソード基板、を含み、前記アノード基板及びカソード基板の少なくとも一方が、その入口部分と出口部分の間で流体の移動を不均一にするように、その電気化学的活性部位に平面内不均等構造を有する電気化学的燃料電池。

概要

背景

電気化学的燃料電池は、燃料及び酸化剤を電気反応生成物転化する。固体ポリマー電気化学的燃料電池は一般に、多孔性導電性シート材料、例えば炭素繊維紙又は炭素布から成る2つの平面電極拡散層又は基板の間に配置される固体ポリマー電解質又はイオン交換膜から成る膜電極アッセンブリー(「MEA」)を用いる。適切な炭素繊維紙シート材料は、例えばToray Industries,Inc.からそれぞれ厚さ0.27 mm、0.19 mm及び0.10 mm、多孔度約70%のTGP090、TGP060及びTGP030といった商品名で販売されている。炭素繊維紙シート材料はさらに、他の厚み及び多孔度でも販売されている。典型的には、電極基板の構造は、あらゆる深度で平面内で横断した(即ち、x及びy方向では、電極基板の主平面に平行)場合、肉眼的には実質的に均質である。

前記MEAは、典型的には細砕プラチナの形態で、各膜/電極基板界面に電気触媒の層を有して、所望の電気化学的反応を引き起こす。これら電極は電気的に接続されて、外部負荷を通って電極間電子伝導するための経路を提供する。

アノードでは、燃料流多孔質アノード基板中を移動し、アノード電気触媒層で酸化される。カソードでは、酸化剤流多孔質カソード基板中を移動してカソード電気触媒層還元されて、反応生成物を生成する。

燃料として水素を、酸化剤として酸素含有空気(又は実質的に純粋な酸素)を用いる電気化学的燃料電池においては、アノードでの触媒反応燃料供給材料から水素陽イオンプロトン)を生成する。イオン交換膜は、アノードからカソードへの水素イオンの移動を促す。水素イオンの伝導の他に、その膜は、水素含有燃料流を酸素含有酸化剤流から隔離する。カソード電気触媒層では、酸素は膜を通過した水素イオンと反応して、反応生成物として水を生成する。水素/酸素燃料電池におけるアノード及びカソード反応は、次式で示される:
アノード反応: H2→ 2H++ 2e-
カソード反応: 1/2O2+ 2H++ 2e-→ H2O

アノードに供給される燃料としてメタノール(いわゆる「直接式(direct)メタノール」燃料電池)及びカソードへの酸素含有空気(又は実質的に純粋な酸素)を用いる電気化学的燃料電池では、メタノールはアノードで酸化されて水素イオン(プロトン)及び二酸化炭素を生成する。典型的には、メタノールは水溶液としてアノードに供給される。水素イオンはイオン交換膜を通ってアノードからカソードに移動し、カソード電気触媒層で、酸素が水素イオンと反応して水を生成する。この型の直接式メタノール燃料電池におけるアノード及びカソード反応は、次式で示される:
アノード反応: CH3OH+H2O→6H++CO2+6e-
カソード反応: 3/2O2+6H++6e-→3H2O

プロトン交換膜を用い且つ低酸素化学量論で動かす燃料電池では、酸化剤流は初期湿度ベルで、典型的には70%〜100 %の相対湿度で燃料電池に入る。「化学量論」は、燃料電池スタック(stack)に供給される反応体の量対燃料電池スタックで実際に消費される反応体の量(未消費反応体は燃料電池スタックを出る)の比である。1.35の水素化学量論とは、燃料電池スタックで実際に消費される各100 部の水素に対して燃料電池スタックに135 部の水素が供給されることを意味する。

電気化学的燃料電池では、MEAは、典型的には2つの流体流通場板(アノード及びカソード板)間に挿入される。これら極板集電装置として作用し、MEAに対する支持を提供し、それぞれアノード及びカソードの表面への燃料及び酸化剤のアクセスのための手段を提供し、そして電池の操作中に生成される生成物水の除去を提供する。

酸化剤流は電池の流体流通場板に典型的に形成された流体流通溝を通って進むので、その流れは電気化学的反応の生成物として生成される水を吸収する。生成物水は、水蒸気として又は飛沫同伴水滴として吸収される。その結果、酸化剤流が導入され、酸化剤流が先ず流れる流通場の部分は、酸化剤流が燃料電池から排出される直前に流れる流通場の部分より乾いている。酸化剤流通場の後者の部分では、酸化剤流は水を十分含むようになるが、この場合、2相流が生じ、即ち酸化剤流は水蒸気を含有し、さらに流れ中に飛沫同伴する液体水を有する。

流通場の湿潤領域及び乾燥領域は燃料電池の性能に有害に作用し、性能の低下を促進し続ける。燃料電池の性能は、与えられた電流密度に対する電池からの電圧出力として定義され、与えられた電流密度に対して電圧が高いほどよい。「z」方向(前記平面に垂直)の水輸送の制御、即ちカソード電気触媒層から酸化剤流通溝(「自由流」)への方向の水の動きは、燃料電池の性能を最適化するのに重要である。前記「自由流」は反応体分配溝内での流体の流れである。

水の輸送の制御に加えて、z軸方向での酸化剤の輸送、即ち、酸化剤流通溝又は自由流からのカソード電気触媒層への酸素の動きの制御は、燃料電池の性能を最適化するのに重要である。酸素濃度が電気化学的反応の速度に影響を及ぼすため、電気触媒層での酸素の濃度は燃料電池の性能に直接影響を及ぼす。

さらに、直接式メタノール燃料電池のアノードで、電気触媒層方向へのメタノール輸送及びアノード電気触媒層から離れるメタノールの酸化の生成物である二酸化炭素輸送の制御は、燃料電池の性能を最適化するのに重要である。

概要

電気触媒層方向への反応体輸送を制御する電気化学的燃料電池を提供する。一対の対面する主平面を有するアノードセパレーター板34、一対の対面するカソードセパレーター板36、前記アノードセパレーター板34とカソードセパレーター板36の間に配置された膜状電解質、前記アノードセパレーター板34と膜状電解質の間に配置され、燃料流入口に隣接するアノード入口部分及び燃料流出口に隣接するアノード出口部分を有するアノード基板、前記カソードセパレーター板36と膜状電解質の間に配置され、酸化剤流入口に隣接するカソード入口部分及び酸化剤流出口に隣接するカソード出口部分を有するカソード基板、を含み、前記アノード基板及びカソード基板の少なくとも一方が、その入口部分と出口部分の間で流体の移動を不均一にするように、その電気化学的活性部位に平面内不均等構造を有する電気化学的燃料電池。B

目的

したがって、本発明の目的は、電気触媒層から離れるz軸に沿った電極基板を通る反応生成物の輸送を制御することにより、燃料電池の性能を改良することである。
本発明のもう一つの目的は、電気触媒層に向かうz軸に沿った電極基板を通る反応体の輸送を制御することにより、燃料電池の性能を改良することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
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請求項1

(a)一対の対面する主平面を有し、燃料流入口及び燃料流出口を有するアノードセパレーター板、(b)一対の対面する主平面を有し、酸化剤流入口及び酸化剤流出口を有するカソードセパレーター板、(c)前記アノードセパレーター板とカソードセパレーター板の間に配置された膜状電解質、(d)前記アノードセパレーター板と膜状電解質の間に配置され、一対の対面する主平面及びその主平面の一方に配置された所定量のアノード触媒を有し、前記燃料流入口に隣接するアノード入口部分及び燃料流出口に隣接するアノード出口部分を有するアノード基板であって、前記アノード触媒は燃料流酸化を促進しかつアノード電気化学的活性部位画定する、(e)前記カソードセパレーター板と膜状電解質の間に配置され、一対の対面する主平面及びその主平面の一方に配置された所定量のカソード触媒を有し、前記酸化剤流入口に隣接するカソード入口部分及び酸化剤流出口に隣接するカソード出口部分を有するカソード基板であって、前記カソード触媒は酸化剤流還元による反応生成物の形成を促進しかつカソード電気化学的活性部位を画定する、を含み、前記アノード基板及びカソード基板の少なくとも一方が、その入口部分と出口部分の間で流体の移動を不均一にするように、その電気化学的活性部位に平面内不均等構造を有する電気化学的燃料電池

請求項2

前記平面内不均等構造が、前記基板の少なくとも1つの電気化学的活性部位全体に存在する、請求項1記載の電気化学的燃料電池。

請求項3

前記燃料流が水素を含み、前記酸化剤流が酸素を含み、前記反応生成物が水を含む、請求項1記載の電気化学的燃料電池。

請求項4

前記燃料流がメタノールを含み、前記酸化剤流が酸素を含む、請求項1記載の電気化学的燃料電池。

請求項5

前記平面内不均等構造が前記カソードセパレーター板に面する前記カソード基板の主表面上に形成される少なくとも1つの溝を含む、請求項1記載の電気化学的燃料電池。

請求項6

前記カソード出口部分におけるカソード基板表面積に対する前記少なくとも1つの溝によって画定される面積の第一の比が、前記カソード入口部分におけるカソード基板表面積に対する前記少なくとも1つの溝によって画定される面積の第二の比より大きい、請求項5記載の電気化学的燃料電池。

請求項7

前記少なくとも1つの溝が複数の溝を含む、請求項5記載の電気化学的燃料電池。

請求項8

前記平面内不均等構造が前記カソード基板の電気化学的活性部位に形成された少なくとも1つの開口を含み、前記少なくとも1つの開口が前記カソード基板の両主表面間に延び、前記少なくとも1つの開口が前記膜状電解質を通過して延びない、請求項1記載の電気化学的燃料電池。

請求項9

前記少なくとも1つの開口が複数の開口を含む、請求項8記載の電気化学的燃料電池。

請求項10

前記カソード出口部分におけるカソード基板表面積に対する前記開口によって画定される面積の第一の比が、前記カソード入口部分におけるカソード基板表面積に対する前記開口によって画定される面積の第二の比より大きい、請求項9記載の電気化学的燃料電池。

請求項11

前記少なくとも1つの開口がそこに配置される親水性物質を有する、請求項8記載の電気化学的燃料電池。

請求項12

前記少なくとも1つの開口がそこに配置される疎水性物質を有する、請求項8記載の電気化学的燃料電池。

請求項13

前記カソード基板が一対の対面する主平面を有する多孔性導電性層を含み、この多孔性導電性層の主平面の少なくとも1つの一部がそこに配置されるコーティング層を有し、このコーティング層が水に対して半透性である物質を含み、このコーティング層が配置された部分が前記多孔性導電性層の主表面の1つの面積よりも小さい、請求項1記載の電気化学的燃料電池。

請求項14

前記コーティング層が前記カソード入口部分に配置される、請求項13記載の電気化学的燃料電池。

請求項15

前記カソード基板主表面の1つが前記カソードセパレーター板に面している、請求項14記載の電気化学的燃料電池。

請求項16

前記カソード基板主表面の1つが前記膜状電解質に面している、請求項14記載の電気化学的燃料電池。

請求項17

前記カソード基板が同一平面に配列される少なくとも2つの多孔性導電性シート材料を含む、請求項1記載の電気化学的燃料電池。

請求項18

前記カソード基板が第1の多孔性導電性シート材料を含み、前記平面内不均等構造が前記カソード基板に形成される少なくとも1つの開口を含み、前記少なくとも1つの開口が前記第1のシート材料の両主表面間に延び、前記少なくとも1つの開口がそこに配置される大量の第2の多孔性導電性シート材料を有する、請求項1記載の電気化学的燃料電池。

請求項19

前記少なくとも1つの開口が前記カソード出口部分に形成されている、請求項18記載の電気化学的燃料電池。

請求項20

前記第1の多孔性導電性シート材料が炭素繊維紙であり、前記第2の多孔性導電性シート材料が炭素布である、請求項18記載の電気化学的燃料電池。

請求項21

前記第1の多孔性導電性シート材料が第1の多孔度を有する炭素繊維紙であり、前記第2の多孔性導電性シート材料が第2の多孔度を有する炭素繊維紙である、請求項18記載の電気化学的燃料電池。

請求項22

前記アノード基板に面する前記アノードセパレーター板の主平面が前記燃料流入口と燃料流出口の間に前記燃料流を導くように少なくとも1つの溝を含み、前記カソード基板に面する前記カソードセパレーター板の主平面が前記酸化剤流入口と酸化剤流出口の間に前記酸化剤流を導くように少なくとも1つの溝を含む、請求項1記載の電気化学的燃料電池。

請求項23

前記平面内不均等構造が前記カソード基盤の電気化学的活性部位に形成された少なくとも1つの開口を含み、前記少なくとも1つの開口が前記膜状電解質を通過して延びず、前記少なくとも1つの開口の各々が前記カソード基盤に面するカソードセパレーター板の主表面に形成される少なくとも1つの溝に隣接する点から前記カソ−ド基板主表面の両方の間に斜めに延びる、請求項22記載の電気化学的燃料電池。

請求項24

多孔性導電性シート材料を含み、一対の対面する主平面を有し、さらに平面内不均等構造を有する電気化学的燃料電池用電極基板であって、前記平面内不均等構造が前記電極基板に形成された少なくとも1つの開口を含み、前記少なくとも1つの開口が前記電極基板の両主表面間に延び、前記少なくとも1つの開口が前記電極基板の異なる領域に異なる物質移動特性を与える、電極基板。

請求項25

前記少なくとも1つの開口が複数の開口を含む、請求項24記載の電極基板。

請求項26

前記少なくとも1つの開口がそこに配置される親水性物質を有する、請求項24記載の電極基板。

請求項27

前記少なくとも1つの開口がそこに配置される疎水性物質を有する、請求項24記載の電極基板。

請求項28

電気化学的燃料電池用の電極基板であって、多孔性導電性層を含み、一対の対面する主平面を有し、この多孔性導電性層の主平面の少なくとも1つの一部がそこに配置されるコーティング層を有し、このコーティング層が水に対して半透性である物質を含み、このコーティング層が配置された部分が前記多孔性導電性層の主表面の1つの面積よりも小さい、電極基板。

請求項29

同一平面に配列される少なくとも2つの多孔性導電性シート材料を含む、電気化学的燃料電池用電極基板。

請求項30

一対の対面する主平面を有する第1の多孔性導電性シート材料を含み、前記第1のシート材料に形成された少なくとも1つの開口を含む平面内不均等構造を有する電気化学的燃料電池用電極基板であって、前記少なくとも1つの開口が前記第1のシート材料の両主表面間に延び、前記少なくとも1つの開口がそこに配置される第2の多孔性導電性シート材料を有する電極基板。

請求項31

前記第1の多孔性導電性シート材料が炭素繊維紙であり、前記第2の多孔性導電性シート材料が炭素布である、請求項30記載の電極基板。

請求項32

前記第1の多孔性導電性シート材料が第1の多孔度を有する炭素繊維紙であり、前記第2の多孔性導電性シート材料が第2の多孔度を有する炭素布である、請求項30記載の電極基板。

請求項33

電気化学的燃料電池用の膜電極アッセンブリーであって、1対の電極の間に挿入された膜状電解質を含み、前記電極の少なくとも1つは一対の対面する主平面及びそこに形成された複数の開口を有する電極基板を含み、前記開口は前記電極基板の両主表面間に延びている膜電極アッセンブリー。

請求項34

電気化学的燃料電池用の膜電極アッセンブリーであって、1対の電極の間に挿入された膜状電解質を含み、前記電極の少なくとも1つは一対の対面する主平面を有する多孔性導電性層を含み、この多孔性導電性層の主平面の少なくとも1つの一部がそこに配置されるコーティング層を有し、このコーティング層が水に対して半透性である物質を含み、このコーティング層が配置された部分が前記多孔性導電性層の主表面の1つの面積よりも小さい、膜電極アッセンブリー。

請求項35

電気化学的燃料電池用の膜電極アッセンブリーであって、1対の電極の間に挿入された膜状電解質を含み、前記電極の少なくとも1つは同一平面に配列される少なくとも2つの多孔性導電性シート材料を含む、膜電極アッセンブリー。

技術分野

0001

本発明は一般に、電気化学的燃料電池に関し、特に詳細には、電気触媒層方向への反応体輸送を制御するための、並びに電気触媒層から離れる反応生成物輸送を制御するための平面内不均等構造を有する電気化学的燃料電池に関する。

背景技術

0002

電気化学的燃料電池は、燃料及び酸化剤を電気と反応生成物に転化する。固体ポリマー電気化学的燃料電池は一般に、多孔性導電性シート材料、例えば炭素繊維紙又は炭素布から成る2つの平面電極拡散層又は基板の間に配置される固体ポリマー電解質又はイオン交換膜から成る膜電極アッセンブリー(「MEA」)を用いる。適切な炭素繊維紙シート材料は、例えばToray Industries,Inc.からそれぞれ厚さ0.27 mm、0.19 mm及び0.10 mm、多孔度約70%のTGP090、TGP060及びTGP030といった商品名で販売されている。炭素繊維紙シート材料はさらに、他の厚み及び多孔度でも販売されている。典型的には、電極基板の構造は、あらゆる深度で平面内で横断した(即ち、x及びy方向では、電極基板の主平面に平行)場合、肉眼的には実質的に均質である。

0003

前記MEAは、典型的には細砕プラチナの形態で、各膜/電極基板界面に電気触媒の層を有して、所望の電気化学的反応を引き起こす。これら電極は電気的に接続されて、外部負荷を通って電極間電子伝導するための経路を提供する。

0004

アノードでは、燃料流多孔質アノード基板中を移動し、アノード電気触媒層で酸化される。カソードでは、酸化剤流多孔質カソード基板中を移動してカソード電気触媒層で還元されて、反応生成物を生成する。

0005

燃料として水素を、酸化剤として酸素含有空気(又は実質的に純粋な酸素)を用いる電気化学的燃料電池においては、アノードでの触媒反応燃料供給材料から水素陽イオンプロトン)を生成する。イオン交換膜は、アノードからカソードへの水素イオンの移動を促す。水素イオンの伝導の他に、その膜は、水素含有燃料流を酸素含有酸化剤流から隔離する。カソード電気触媒層では、酸素は膜を通過した水素イオンと反応して、反応生成物として水を生成する。水素/酸素燃料電池におけるアノード及びカソード反応は、次式で示される:
アノード反応: H2→ 2H++ 2e-
カソード反応: 1/2O2+ 2H++ 2e-→ H2O

0006

アノードに供給される燃料としてメタノール(いわゆる「直接式(direct)メタノール」燃料電池)及びカソードへの酸素含有空気(又は実質的に純粋な酸素)を用いる電気化学的燃料電池では、メタノールはアノードで酸化されて水素イオン(プロトン)及び二酸化炭素を生成する。典型的には、メタノールは水溶液としてアノードに供給される。水素イオンはイオン交換膜を通ってアノードからカソードに移動し、カソード電気触媒層で、酸素が水素イオンと反応して水を生成する。この型の直接式メタノール燃料電池におけるアノード及びカソード反応は、次式で示される:
アノード反応: CH3OH+H2O→6H++CO2+6e-
カソード反応: 3/2O2+6H++6e-→3H2O

0007

プロトン交換膜を用い且つ低酸素化学量論で動かす燃料電池では、酸化剤流は初期湿度ベルで、典型的には70%〜100 %の相対湿度で燃料電池に入る。「化学量論」は、燃料電池スタック(stack)に供給される反応体の量対燃料電池スタックで実際に消費される反応体の量(未消費反応体は燃料電池スタックを出る)の比である。1.35の水素化学量論とは、燃料電池スタックで実際に消費される各100 部の水素に対して燃料電池スタックに135 部の水素が供給されることを意味する。

0008

電気化学的燃料電池では、MEAは、典型的には2つの流体流通場板(アノード及びカソード板)間に挿入される。これら極板集電装置として作用し、MEAに対する支持を提供し、それぞれアノード及びカソードの表面への燃料及び酸化剤のアクセスのための手段を提供し、そして電池の操作中に生成される生成物水の除去を提供する。

0009

酸化剤流は電池の流体流通場板に典型的に形成された流体流通溝を通って進むので、その流れは電気化学的反応の生成物として生成される水を吸収する。生成物水は、水蒸気として又は飛沫同伴水滴として吸収される。その結果、酸化剤流が導入され、酸化剤流が先ず流れる流通場の部分は、酸化剤流が燃料電池から排出される直前に流れる流通場の部分より乾いている。酸化剤流通場の後者の部分では、酸化剤流は水を十分含むようになるが、この場合、2相流が生じ、即ち酸化剤流は水蒸気を含有し、さらに流れ中に飛沫同伴する液体水を有する。

0010

流通場の湿潤領域及び乾燥領域は燃料電池の性能に有害に作用し、性能の低下を促進し続ける。燃料電池の性能は、与えられた電流密度に対する電池からの電圧出力として定義され、与えられた電流密度に対して電圧が高いほどよい。「z」方向(前記平面に垂直)の水輸送の制御、即ちカソード電気触媒層から酸化剤流通溝(「自由流」)への方向の水の動きは、燃料電池の性能を最適化するのに重要である。前記「自由流」は反応体分配溝内での流体の流れである。

0011

水の輸送の制御に加えて、z軸方向での酸化剤の輸送、即ち、酸化剤流通溝又は自由流からのカソード電気触媒層への酸素の動きの制御は、燃料電池の性能を最適化するのに重要である。酸素濃度が電気化学的反応の速度に影響を及ぼすため、電気触媒層での酸素の濃度は燃料電池の性能に直接影響を及ぼす。

0012

さらに、直接式メタノール燃料電池のアノードで、電気触媒層方向へのメタノール輸送及びアノード電気触媒層から離れるメタノールの酸化の生成物である二酸化炭素輸送の制御は、燃料電池の性能を最適化するのに重要である。

発明が解決しようとする課題

0013

したがって、本発明の目的は、電気触媒層から離れるz軸に沿った電極基板を通る反応生成物の輸送を制御することにより、燃料電池の性能を改良することである。
本発明のもう一つの目的は、電気触媒層に向かうz軸に沿った電極基板を通る反応体の輸送を制御することにより、燃料電池の性能を改良することである。

課題を解決するための手段

0014

上記のそしてその他の目的は、電極基板が平面内不均等構造を有する電気化学的燃料電池により達成される。この燃料電池は、
(a)一対の対面する主平面を有し、燃料流入口及び燃料流出口を有するアノードセパレーター板、
(b)一対の対面する主平面を有し、酸化剤流入口及び酸化剤流出口を有するカソードセパレーター板
(c)前記アノードセパレーター板とカソードセパレーター板の間に配置された膜状電解質、
(d)前記アノードセパレーター板と膜状電解質の間に配置され、一対の対面する主平面及びその主平面の一方に配置された所定量のアノード触媒を有し、前記燃料流入口に隣接するアノード入口部分及び燃料流出口に隣接するアノード出口部分を有するアノード基板であって、前記アノード触媒は燃料流の酸化を促進しかつアノード電気化学的活性部位画定する、
(e)前記カソードセパレーター板と膜状電解質の間に配置され、一対の対面する主平面及びその主平面の一方に配置された所定量のカソード触媒を有し、前記酸化剤流入口に隣接するカソード入口部分及び酸化剤流出口に隣接するカソード出口部分を有するカソード基板であって、前記カソード触媒は酸化剤流の還元による反応生成物の形成を促進しかつカソード電気化学的活性部位を画定する、
を含み、前記アノード基板及びカソード基板の少なくとも一方が、その入口部分と出口部分の間で流体の移動を不均一にするように、その電気化学的活性部位に平面内不均等構造を有する。

0015

水素/酸素燃料電池では、燃料流は水素を含み、酸化剤流は酸素を含み、そして反応生成物は水を含む。

0016

直接式メタノール燃料電池では、燃料流はメタノールを含み、酸化剤流は酸素を含み、燃料流の酸化の反応生成物は二酸化炭素を含み、そして酸化剤流の還元の反応生成物は水を含む。

0017

本発明の電気化学的燃料電池の第一の実施態様では、平面内不均等構造は、カソードセパレーター板に面するカソード基板の主表面上に形成された少なくとも1つの溝を包含する。この少なくとも1つの溝は、好ましくは複数の溝を包含する。カソード基板主表面が酸化剤流入口に隣接する入口部分及び酸化剤流出口に隣接する酸化剤出口部分から成る場合、前記少なくとも1つの溝は、好ましくは、出口部分における少なくとも1つの溝で画定される面積対基板の表面積の比が、入口部分における少なくとも1つの溝で取り囲まれる面積対基板の表面積の比より大きいように配置される。

0018

本発明の電気化学的燃料電池の第二の実施態様では、平面内不均等構造は、カソード基板に形成される少なくとも1つの開口を包含する。この少なくとも1つの開口は、カソード基板の両主表面間に延びる。この少なくとも1つの開口は、好ましくは複数の開口を包含する。カソード基板主表面が酸化剤流入口に隣接する入口部分及び酸化剤流出口に隣接する出口部分から成る場合、前記出口部分における開口部で画定される面積対基板の表面積の比は、入口部分における開口部で画定される面積対基板の表面積の比より大きい。
本発明の電気化学的燃料電池の第二の実施態様の変形では、前記少なくとも1つの開口の各々は、カソードセパレーター板主表面に形成される少なくとも1つの溝に隣接する点から両方のカソード基板主表面間を角度を有して(angularly)延びる。いくつかの適用において、前記少なくとも1つの開口は、そこに配置される大量の親水性物質を有する。別の適用において、少なくとも1つの開口は、そこに配置される大量の疎水性物質を有する。

0019

本発明の電気化学的燃料電池の第三の実施態様では、カソード基板の両主表面の内の1つの一部は、そこに配置されるコーティング層を有する。このコーティング層は、水輸送を抑制するために半透性である物質を包含する。カソード基板主表面が酸化剤流入口に隣接する入口部分及び酸化剤流出口に隣接する出口部分から成る場合、コーティング層は、好ましくは入口部分に配置される。いくつかの適用において、そこに配置されるコーティング層を有するカソード基板主表面は、好ましくはカソードセパレーター板に面する。その他の適用においては、そこに配置されるコーティング層を有するカソード基板主表面は、好ましくは膜状電解質に面する。

0020

本発明の電気化学的燃料電池の第四の実施態様では、カソード基板は、実質的に同一平面に配列される少なくとも2つの多孔性導電性シート材料を包含する。一つの態様では、カソード基板は第1の多孔性導電性シート材料及びカソード基板に形成された少なくとも1つの開口を包含し、この少なくとも1つの開口はカソード基板の両主表面間に延びる。この少なくとも1つの開口は、その中に配置される大量の第2の多孔性導電性シート材料を有する。このカソード基板が酸化剤流入口に隣接する入口部分及び酸化剤流出口に隣接する出口部分から成る場合、前記少なくとも1つの開口は、好ましくは出口部分に形成される。前記第1の多孔性導電性シート材料は好ましくは炭素繊維紙であり、前記第2の多孔性導電性シート材料は好ましくは炭素布である。あるいは、前記第1の多孔性導電性シート材料は好ましくは第1の多孔度を有する炭素繊維紙であり、前記第2の多孔性導電性シート材料は好ましくは第2の多孔度を有する炭素繊維紙である。

0021

上記の諸実施態様は、肉眼的スケールで平面内不均質構造を有する電極基板を包含する。言い換えれば、基板の構造はある深度でその主平面に平行に横断されたとき、構造的不連続性基板材料顕微鏡的構造に固有のものを越え且つ上回る)が現れる。さらに、基板の平面内構造不均質性は、基板を通して均一に分布する(例えば、規則的なパターンを形成して)か、又は不均一に分布して電極基板の異なる領域に異なる物質輸送特性を付与し得る。

発明を実施するための最良の形態

0022

図1Aを参照すると、燃料電池スタックアッセンブリー10は、電気化学的活性部分26及び加湿部分28を有する。スタックアッセンブリー10はモジュール板及び枠設計(frame design)であり、圧縮端板16及び流体端板18を有する。圧縮端板16内に位置する任意の空気圧ピストン17はアッセンブリーに均等な圧力を加えて、密封を促進する。活性部分26の相対する両端に位置するバスプレート22及び24は、それぞれ正及び負の接点を提供して、アッセンブリーにより生じた電流負荷(図示せず)に導く。タイロッド(tie rod)20は端板16及び18の間に延び、ナット21で締めて、その組立状態にスタックアッセンブリー10を保持する。

0023

活性部分26は、バスプレート22及び24の他に、複数の燃料電池反復ユニット12を有する。各反復ユニット12は、少なくとも1つの膜電極アッセンブリー、セパレーター板及び任意の冷却ジャケットから成る。反復ユニット12は、導電シート、セパレーター板及び任意の冷却ジャケット間の接触によって直列に電気的に接続される。

0024

加湿部分28は複数の加湿アッセンブリー14を包含し、各アッセンブリー14は燃料又は酸化剤の反応体流通場板、水流通場板及び前記の反応体流通場板と水流通場板との間に挿入される水蒸気輸送膜から成る。加湿部分28は燃料及び酸化剤流に水蒸気を付与し、これらは次に活性部分26に供給され、それにより活性部分内の膜が干からびるのを防止する。

0025

ここで図1Bを参照すると、燃料電池スタック11は活性部分を有するが、スタックの一部として加湿部分をもたない。図1Aの燃料電池スタック10と同様に、図1Bのスタック11は圧縮端板16、流体端板18、及び複数の反復ユニットを有する。タイロッド20は端板16及び18間を延びて、ナット21を締めることによりスタックアッセンブリーをその組立状態に保持する。

0026

図1B分解組立状態にも示されるように、スタック11はアノードセパレーター板34、カソードセパレーター板36、及び板34及び36間に挿入される膜電極アッセンブリー32を包含する。図1Bに示すように、板34は、MEA32に面するその主表面に形成される複数の流体流通溝34aを有する。

0027

図2は、典型的燃料電池30を示す。燃料電池30は、アノード流通場又はセパレーター板34とカソード流通場又はセパレーター板36との間に挿入される膜電極アッセンブリー32を包含する。膜電極アッセンブリー32は、2つの電極、即ちアノード41とカソード42との間に挿入されたイオン交換膜40から成る。従来の燃料電池においては、アノード41及びカソード42はそれぞれ、平面的主表面を有する、好ましくは炭素繊維紙又は炭素布である多孔性導電性シート材料の基板43及び44を包含する。各基板は、膜40との界面で主表面の一方に配置されて各電極を電気的に活性にさせる、好ましくは細砕プラチナである電気触媒の薄層45及び46をそれぞれ有する。

0028

図2にさらに示すように、アノードセパレーター板34は、アノード41に面するその表面に彫刻され、ぎざぎざを付けられた又は成形された少なくとも1つの燃料流通溝34aを有する。同様に、カソードセパレーター板36は、カソード42に面するその表面に彫刻され、ぎざぎざを付けられた又は成形された少なくとも1つの酸化剤流通溝36aを有する。電極41及び42の共働面に対して組み立てられた場合、溝34a及び36aはそれぞれ燃料及び酸化剤のための反応体流通場通路を構成する。

0029

図3は、カソードセパレーター板36の溝36aが好ましくは、ヘビ模様にカソードセパレーター板の主表面全面に延びる複数の別々に形成された酸化剤流通溝として彫刻され、ギザギザを付けられ又は成形される。溝36aは、入口溝部分56及び出口溝部分58を包含し、これらはそれぞれ酸化剤入口マニホールド開口55及び酸化剤出口マニホールド開口57と直接接続されている。操作に際して、加圧酸化剤流は入口マニホールド開口55に送り込まれ、ここからその流れが複数の入口溝56に別れる。次に酸化剤流は複数の溝36aを通って出口溝部分58に送通され、そこから流れは酸化剤出口マニホールド開口57に排出される。

0030

図3に示した多数のヘビ状溝流通場板の形状は、米国特許第5,108,849 号にさらに詳細に記載されている。

0031

図4は、図2の燃料電池30の従来の(先行技術)カソード基板42を示す。カソード基板42は、導電材料、典型的には炭素繊維紙の実質的に連続したシートから成り、互いに反対側にある主平面42a、42bを有する。酸化剤流は、カソード42の表面42aに隣接したカソード流通場/セパレーター板(図示せず)に形成される少なくとも1つの溝内を矢印Aの方向に流れる。表面42bは、隣接膜との界面でそこに配置された電気触媒、好ましくは細砕プラチナの薄層を有する(図2参照)。図4に示した従来のカソード基板においては、基板の構造は、平面内のあらゆる深度で横断した場合、肉眼的には、実質的に均一である。

0032

図5は、図2の燃料電池30に関する酸化剤流通場に面した溝付表面66aを有するカソード基板66を示す。溝付表面は、そこに形成された少なくとも1つの溝68を有する。溝68は、隣接セパレーター板の流通場溝に関して、あらゆる方向に配向され得る。しかしながら、好ましくは溝68は、隣接セパレーター板のランド(溝間の突起領域)の下の領域への酸化剤輸送を改善するために角度を有して配向される。

0033

図5では、酸化剤流は矢印Aの方向に流れる。表面66bは、隣接膜との界面でそこに配置される電気触媒、好ましくは細砕プラチナの薄層を有する(図2参照)。

0034

図6は、カソード基板76の両表面76a、76bの間に延びて且つ貫通する開口78を有するカソード基板76を示す。酸化剤流は、矢印Aの方向に流れる。表面76bは、隣接膜との界面でそこに配置される電気触媒、好ましくは細砕プラチナの薄層を有する(図2参照)。

0035

図5及び6の溝の付いた及び貫通した実施態様は、電気触媒層から離れる生成物水輸送及び/又はそこに向かう酸素輸送を制御するよう設計されている。溝付の又は貫通した実施態様は、余分の生成物水が蓄積する電極基板の領域に用いられるよう意図されている。図5の溝付実施態様では、溝切りは、例えば、わん曲した、矩形の、台形の、三角形の又は半円形の断面形といったように横断面形状を変えることにより達成し得る。溝の深さ及び幅を調整して、電気触媒層方向への酸化剤輸送の制御及び/又は電気触媒層からの生成物水輸送の制御を提供し得る。

0036

図7は、親水性繊維89がカソード86の両表面86a、86b間を延びて、貫通する開口88中に埋め込まれたカソード基板86を示す。酸化剤流は、矢印Aの方向に流れる。表面86bは、隣接膜との界面でそこに配置される電気触媒、好ましくは細砕プラチナの薄層を有する(図2参照)。

0037

図7における親水性物質の使用は、カソード基板86に隣接する電気触媒層からの生成物水除去を増大する。これに関しては、所望の量で且つ所望の位置に親水性繊維をシート材料中に織り込んで、水除去の速度を制御し得る。

0038

図8は、カソード基板96の両表面96a、96bの間を延びて貫通する斜走開口98を有するカソード基板96を示す。酸化剤流は、カソード基板96の表面96aに隣接するカソード流通場/セパレーター板102に形成される少なくとも1つの溝106内を流れる。表面96bは、隣接膜との界面でそこに配置される電気触媒、好ましくは細砕プラチナの薄層110を有する(図示せず)。図8に示すように、カソード基板96の斜走貫通開口98は、好ましくは、開口が酸化剤流通溝106に隣接する点で表面96aから、カソード流通場/セパレーター板102のランド領域104の下の点で表面96bに延びるように配向される。

0039

図8の実施態様における斜走貫通開口は、板102のランド領域104の真下の電気触媒層の方向への酸素輸送を増大する。従来の非貫通実施態様では、電気化学的活性は一般に、ランド領域直下で低減される。斜走貫通開口又は斜走溝は、ランド領域真下の電極部分が酸素を利用し易くするよう改善すると考えられる。

0040

特に生成物水除去を増大することに関する図5〜8の実施態様の他に、電極基板構造は生成物水の保持を制御するよう修正し得る。生成物水保持を増大するためのこのような修正電極基板構造は、過剰乾燥で運転する電極部分に、又はより乾燥した反応体入口条件(低加湿)での燃料電池の操作を可能にするために用い得る。水保持は一般に、水不透性又は半透性物質の被膜、例えばNAFIONペルフルオロスルホン酸イオン交換膜又は孔を塞ぐための電極基板の表面の炭素粒子の層を用いることにより達成される。水不透性又は半透性物質は、酸化剤流に面した電極基板の表面に、又は電気触媒がその後適用される電極基板の表面に用い得る。

0041

図9は、酸化剤流通場に面するカソード基板116の表面116a上に配置された流体不透過性又は半透性コーティング層118を有するカソード基板116を示す。

0042

酸化剤流は矢印Aの方向に流通する。表面116bは、隣接膜との界面でそこに配置される電気触媒、好ましくは細砕プラチナの薄層を有する(図2参照)。

0043

図10は、電気触媒に面するカソード基板126の表面126b上に配置された流体不透過性又は半透性コーティング層128を有するカソード基板126を示す。酸化剤流は表面126aに隣接して矢印Aの方向に流通する。表面126bは、隣接膜との界面で、その後そこに適用される電気触媒、好ましくは細砕プラチナの薄層(図示せず)を有する(図2参照)。

0044

図11は、図2の燃料電池に関するカソード流通場/セパレーター板150を示す。板150は酸化剤入口マニホールド開口154と酸化剤出口間に開口156との間で酸化剤流を導くためにその主表面に形成されるヘビ状酸化剤流通溝152を有する。図11は、酸化剤出口156に隣接するカソード基板表面の部分に形成された複数の溝158を示す。

0045

生成物水輸送は、ハイブリッド基板構造を形成するために燃料電池の電気化学的活性の異なる領域に異なる種類の電極基板物質を用いることにより、制御し得る。例えば、炭素布は一般に炭素繊維紙より優れた酸素運搬特性を示すが、しかし炭素布は炭素繊維紙に対する欠点、例えばいくつかの条件下での不十分な加工処理可能性、及びいくつかの操作条件下での膜を乾燥させる傾向も有する。生成物水除去の増大が所望される炭素繊維紙電極基板の領域においては炭素布のパッチ(patches)に置き換え得るが、一方、残りの領域では炭素繊維紙の利点を残しておく。炭素布以外のパッチ物質、例えば電気触媒層からの生成物水輸送の速度を低減するための低多孔性炭素繊維紙、又は電気触媒層からの生成物水輸送の速度を増大するための高多孔性炭素繊維紙も用い得る。

0046

図12は、第1のシート材料162、好ましくは炭素繊維紙を包含する電極基板160を示す。電極基板160は、その主表面間に延びる開口を有し、ここには第1の物質とは異なる水輸送特性を有する第2の材料164、好ましくは炭素布のパッチが埋め込まれている。

0047

図13は、酸化剤流入口176に隣接する部分が第1の材料172(最初の一組の破線で示す)、好ましくは炭素繊維紙から成り、酸化剤流出口178に隣接するカソード部分が第1の材料とは異なる水輸送特性を有する第2の材料174(最初の組の破線と直角の第二の組の破線で示す)、好ましくは炭素布から成るカソード基板170を示す。

0048

基板における平面内構造不均等性は不均一に(即ち不規則な間隔で)分布して、電極基板の異なる領域に異なる物質輸送特性を付与し得る。例えば、上記の実施態様の凹み及び溝は電極基板の特定領域にのみ用いうるか、又は基板全体漸次移行的に導入し得る。

0049

図14A及び14Bは、平面内構造不均等性(それぞれ溝及び開口)が基板全体に不規則な間隔で存在するカソード基板を示す。図14Aは、図3のカソードセパレーター板36を伴う図2の燃料電池30のためのカソード基板180を示す。カソード基板180は、酸化剤入口マニホールド開口182に最も近い入口部分181及び酸化剤出口マニホールド開口184に最も近い出口部分183を有する。カソード基板180はさらに、隣接セパレーター板36の酸化剤流通場に面して、そこに形成される溝188を伴う溝付表面を有する。カソード基板180の表面に形成される溝188の分布は、出口部分183における溝188で画定される面積対出口部分183におけるカソード基板180の表面積の比が、入口部分181における溝188により画定される面積対カソード基板180の表面積の比より大きいように漸次移行的に変わる。

0050

図14Bは、図3のカソードセパレーター板36を伴う図1の燃料電池30に関するカソード基板190を示す。カソード基板190は、酸化剤入口マニホールド開口192に最も近い入口部分191及び酸化剤出口マニホールド開口194に最も近い出口部分193を有する。

0051

カソード基板190はさらに、両表面を貫通してそこに形成される開口を有する。カソード基板190に形成された開口198の分布は、出口部分193における開口198で画定された面積対基板の表面積の比が、入口部分191における開口198により画定された面積対基板190の表面積の比より大きいように漸次移行的に変わる。基板の出口部分は一般に、余分の生成物水が蓄積する傾向がある領域である。

0052

溝付の、貫通した及びハイブリッドの電極基板実施態様を評価して、各実施態様の性能を測定した。2つの試験におけるカソード基板は、電気化学的活性領域全体に一定間隔で導入された構造不均等性を有した(即ち、燃料電池の性能を最適化するために不均等分布又は不規則間隔の構造的平面内不均等性ではない)。溝付基板の場合、凹みは深さ約0.005インチ、幅約0.020 インチ、凹み間の間隔約0.100 インチで形成された。貫通基板の場合は、貫通開口は、直径約0.020 インチ、開口間の間隔約0.100 インチで形成された。ハイブリッド基板の場合は、図13に示したように、入口部分には炭素繊維紙を、そして出口部分としては炭素布を用いた。

0053

図15は、図4に示した従来のカソード基板(プロットJ)、図13に示した1/2炭素繊維紙/1/2炭素布カソード基板(プロットK)、図5に示した溝付カソード基板(プロットL)及び図6に示した貫通カソード基板(プロットM)に関する電流密度(1平方フィート当たりのアンペア)に対する電圧のプロットである。

0054

図15は、高電流密度(即ち、1000amp/平方フィート以上)で、溝付基板、貫通基板及びハイブリッド基板が、均一平面内構造を有する従来のカソード基板構造で達成されたものより優れた燃料電池の性能を示すことを示す。これに関しては、溝付基板、貫通基板及びハイブリッド基板は、与えられた電流密度では従来のカソード基板を用いた電池電圧より大きい出力電池電圧を示す。電気化学的反応は電気触媒層での反応体の濃度により高い感受性を有するため、物質輸送の制限は高電流密度となって現れる傾向がある。高電流密度でより大量の反応生成物が生成される。電気触媒層に蓄積された反応生成物(水素/酸素燃料電池の場合には水)を電気触媒層から除くように輸送することは有益である。高電流密度での性能の増大は、平面内不均等構造を有するカソード基板を用いて達成された反応体及び反応生成物の改良された物質輸送を示す。

0055

図16は、図4に示した従来のカソード基板(Q群)、図5に示した溝付カソード基板(R群)、図6に示した貫通カソード基板(S群)及び図13に示した1/2炭素繊維紙/1/2炭素布カソード基板(T群)の各々を用いて達成された燃料電池電圧を示す棒グラフである。図16は、本質的に均等な平面内構造を有する従来のカソード基板Q、並びに各々平面内不均等構造を有する3つのカソードR、S及びTを有する単電池に関する、電流密度1000amp /平方フィートでの、出力電池電圧を報告する。

0056

カソード基板Q、R、S及びTは各々、2つの異なる酸化物組成物:空気(酸素21%、残り窒素を含有)及び「ヘロックス」(ヘリウム79%/酸素21%)で操作した。したがって、ヘロックス及び空気流中では、反応成分である酸素の濃度は同一である。しかしながら、酸素は、主に窒素から成る空気中よりもヘリウム中でより容易に(より速く)拡散する。したがって、酸素の拡散係数は、窒素中よりもヘリウム中でより大きい。その結果、与えられた電極に関しては、空気を用いて得られる出力電池電圧とヘロックスを用いて得られる出力電池電圧との間の差は、酸素拡散問題が存在する程度を示す。この差異を、4つのカソード基板の各々に関して表1で報告する。

0057

表1
慣用的基板貫通基板溝付基板ハイブリッド基板
Δ電圧170mV100 mV 59 mV 65 mV
(表中、ミリボルトで表した△電圧は、電流密度1000amp /平方フィートでの、ヘロックスを用いて得られた出力電池電圧−空気を用いて得られた出力電池電圧である)。

0058

図16及び表1のデータは、溝付基板、貫通基板及びハイブリッド基板が、空気からヘロックスに切り換えた場合の性能の増大が、従来のカソード基板により示された性能の増大より低いことを示す。したがってこれは、溝付基板、貫通基板及びハイブリッド基板(即ち、平面内不均等構造を有するもの)が、従来のカソード基板(即ち、肉眼的には本質的に均等である平面内構造を有するもの)に対して優れた酸素運搬特性を有することを示す。

0059

本発明の特定の素子、実施態様及び適用を示して、説明してきたが、特に前記の教示に照らして、当業者による修正が成されうるため、もちろん、本発明はそれらに限定されないと理解される。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の精神及び範囲内の特徴を組み入れるような修正を網羅するものとする。

図面の簡単な説明

0060

電気化学的活性部分及び加湿部分を示す典型的燃料電池スタック(stack)の側面図である。
電気化学的活性部分を有する燃料電池スタックの分解組立透視図である。
電極に面する表面に形成された反応体流通溝を有する2つのセパレーター板間に挿入される典型的膜電極アッセンブリーの分解組立側面図である。
図2の燃料電池に関するカソードセパレーター板の平面図で、入口及び出口間に酸化剤流を導くための複数の流通溝を示す。
図2の燃料電池に関する従来の(先行技術)カソード基板の断面図で、酸化剤流の流れを概略的に矢印A方向で示す。
図2の燃料電池に関する酸化剤流通場に面する溝付表面を有するカソード基板の断面図で、酸化剤流の流れを概略的に矢印A方向で示す。
図2の燃料電池に関する両表面を貫通する開口を有するカソード基板の断面図で、酸化剤流の流れを概略的に矢印A方向で示す。
親水性物質が前記貫通開口中に埋め込まれた図6のカソード基板の断面図で、酸化剤流の流れを概略的に矢印A方向で示す。
図2の燃料電池に関する両表面を貫通する傾斜開口を有するカソード基板の断面図である。
酸化剤流通場に面する表面に配置された流体不透性又は半透性コーティングを有するカソード基板の断面図で、酸化剤流の流れを概略的に矢印A方向で示す。
電気触媒に面する表面に配置された流体不透性又は半透性コーティングを有するカソード基板の断面図で、酸化剤流の流れを概略的に矢印A方向で示す。
図2の燃料電池に関するカソードセパレーター板の平面図で、その上に形成され、酸化剤流出口に隣接するカソード基板の部分に形成された溝のパターンを示す。
その主表面間に延びる開口を有する第1の材料から成るカソード基板であって、第1の材料とは異なる反応生成物及び/又は反応体輸送特性を有する第2の材料のパッチが開口部に埋め込まれたものの平面図である。
酸化剤流入口に隣接する基板部分が第1の材料(最初の一組の破線で示される)から成り、酸化剤流出口に隣接する基板部分が第1の材料とは異なる反応生成物及び/又は反応体輸送特性を有する第2の材料(最初の組と直角な第二組の破線で示される)から成るカソード基板の平面図である。
図3のセパレーター板を備えた図2の燃料電池に関する酸化剤流通場に面する溝付表面を有するカソード基板の平面図であって、この場合、酸化剤流出口に隣接する基板の部分に溝がより多く生じるように、溝は不規則な間隔で置かれている。
図3のセパレーター板を備えた図2の燃料電池に関する両面を貫通する開口を有するカソード基板の平面図であって、この場合、酸化剤流出口に隣接する基板の部分に溝がより多く生じるように、開口は不規則な間隔で置かれる。
図4に示した従来のカソード基板(プロットJ)、図13に示した1/2炭素繊維紙/1/2炭素布カソード基板(プロットK)、図5に示した溝付カソード基板(プロットL)及び図6に示した貫通カソード基板(プロットM)に関する電流密度(1平方フィート当たりのアンペア)に対する電圧のプロットである。
図4に示した従来のカソード基板(Q群)、図5に示した溝付カソード基板(R群)、図6に示した貫通カソード基板(S群)及び図13に示した1/2 炭素繊維紙/1/2 炭素布カソード基板(T群)の各々に関して、酸素含有空気及び21%酸素/79%ヘリウムの混合物を用いて得られた燃料電池電圧を示す棒グラフである。

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