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課題
解決手段
概要
背景
自動車用マフラーは、排気音を吸収するための部品であり、その吸音材として、現在ガラス繊維が使用されている。しかしながら、最近の自動車エンジンの省エネルギー化および排ガス規制に伴い、エンジン温度が上昇し、その結果排気ガス温度もマフラー部において、800℃以上になる。そのため、マフラーに使用される吸音材の高耐熱性化(750〜900℃に対応)が急務になってきている。
例えば、(1)SiO2−Al2O3−CaO等の合成原料を主成分とする市販のガラス繊維を搭載したサブマフラーは各種エンジン排気系の高温(〜800℃)ガスに暴露されると耐久性や吸音特性が低下する。これは、SiO2、Al2O3等の合成原料を主成分とする市販のガラス繊維は〜800℃の排気ガスに暴露されると繊維どうしが固着し見かけの繊維径が増大し、吸音材料としての可とう性が低下しその結果吸音特性が低下する。
また、(2)SiO2−Al2O3−MgO等の合成原料を主成分とする市販のガラス繊維を搭載したサブマフラーは各種エンジン排気系の高温(〜830℃)ガスに暴露されると耐久性や吸音特性が低下する。これは、SiO2、Al2O3、MgO等の合成原料を主成分とする市販のガラス繊維は〜830℃の排気ガスによって結晶化がおこり、その結果、繊維の可とう性が失われることに因る。
更に、(3)上記(1)や(2)以外の合成原料、SiO2−Al2O3−CaO−Na2O系、SiO2−CaO−Na2O系、SiO2−Na2O系、SiO2−K2O系を用いたガラス繊維を搭載したサブマフラーは、各種エンジン排気系の温度が650℃以上になると、耐久性や吸音特性が低下する。これらのガラス繊維はCaO、Na2O、K2O等のアルカリ金属酸化物を多く含むため650℃以上の排気ガスに暴露されると結晶化、固着、排気ガス中の各種酸成分による腐食が促進されることに因る。
加えて、上記(2)のサブマフラーは高コストである。SiO2、Al2O3、MgO等のガラス繊維は、先ず各酸化物を各種原料から精製・分離した合成原料を使用し、これらの成分を更に粉砕・混粉した後に高温で溶融させて繊維化するため数千円/Kgレベルの高コストである。
(1)や(3)のサブマフラーでは、ガラス繊維の温度を下げるためにインナーパイプ外周にSUSウールを巻きつけ次にその外周にガラス繊維の吸音材料を巻きつけるといった2工程が必要であるため、製造工程が複雑で重量も増加する。
上記(1)や(3)のサブマフラーはリサイクル処理が高コストとなる。(1)や(3)に使用されるガラス繊維では焼却炉で燃焼させた場合低融点の酸化物が生成し、これが焼却炉の炉材の腐食となり焼却炉の耐久性を下げるため焼却炉の設備投資が増加する。
上記(1)、(2)や(3)のサブマフラーはLCA(Life Cycle Assessment)の観点から環境負荷の低減が困難である。(1)、(2)や(3)のガラス繊維は構成酸化物をまず合成し、それらを所定割合で混粉後、溶解するため製造時のCO2発生が多い。
一方、天然の玄武岩(バサルト)原石を原料としたバサルト長繊維は、従来のガラス長繊維と比較し、きわめて安価である。しかし、約750℃から約900℃の高温で使用するとガラス成分から結晶相が生成し、可撓性の消失、結晶層とガラス層界面での剥離等の問題が発生するという問題があった。
以上より、高耐熱性・低コスト・高耐久性を満足する吸音用ガラス繊維や自動車用断熱部品材料が入手できない。
なお、下記特許文献1には、吸音材としての繊維を排気管に巻設する消音器において、そのガラス繊維層を安価に形成するとともに、排気中の油性分による目詰まりを防止することを目的として、通気孔が巻設された排気管の外周に、通気孔部に位置して、長繊維を、織成することなく積層状態で巻設する発明が開示されている。ここで、長繊維として、ガラス繊維、玄武岩からなる繊維、高純度のシリカをセラミック化した繊維が例示されているが、具体的にどのようなバサルト繊維を用いるかについては全く示唆されていない。
特開平10−77823号公報
概要
SUS等の耐熱材が不要であり、各種腐食性ガス成分に曝されても、耐久性や吸音性能を維持することが可能なサブマフラーを提供し、同時に吸音材料およびサブマフラーの普遍の課題である低コスト化も実現する。内側に穴明き排気管が配置され、該穴明きパイプの外側にキャップ及びアウトパイプが配置され、該穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間に吸音材が充填されたサブマフラーであって、該吸音材の内、少なくとも該穴明きパイプ側の該吸音材が高温度用のバサルト繊維であることを特徴とするサブマフラー。
目的
本発明は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、FFV(Flex Fuel Vehicle;一例ガソリン/エタノール車)、HV用エンジンのサブマフラー用のガラス繊維吸音材料に関し650〜900℃の高温排気ガスやHC、NOx、SOx、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、亜硝酸、亜硫等の腐食性ガス成分に曝されても、耐久性や吸音性能を維持すること、同時に吸音材料およびサブマフラーの普遍の課題である低コスト化も実現することを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
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請求項1
内側に穴明き排気管が配置され、該穴明きパイプの外側にキャップ及びアウトパイプが配置され、該穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間に吸音材が充填されたサブマフラーであって、該吸音材の内、少なくとも該穴明きパイプ側の該吸音材が高温度用のバサルト繊維であることを特徴とするサブマフラー。
請求項2
前記高温度用のバサルト繊維が、前記穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間の全空間に充填されたことを特徴とする請求項1に記載のサブマフラー。
請求項3
前記穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間に充填された吸音材が2層構造であり、該穴明き排気管側の該吸音材が高温度用のバサルト繊維層であり、該キャップ及びアウトパイプ側の該吸音材が低温度用のバサルト繊維層であることを特徴とする請求項1に記載のサブマフラー。
請求項4
前記穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間に充填された吸音材が2層構造であり、該穴明き排気管側の該吸音材が高温度用のバサルト繊維層であり、該キャップ及びアウトパイプ側の該吸音材が低温度用のガラス繊維層であることを特徴とする請求項1に記載のサブマフラー。
請求項5
前記穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間に充填された吸音材が3層構造であり、該穴明き排気管側の該吸音材が高温度用のバサルト繊維層であり、該キャップ及びアウトパイプ側の該吸音材が低温度用のガラス繊維層であり、該高温度用のバサルト繊維層と該低温度用のガラス繊維層の間に低温度用のバサルト繊維層を有することを特徴とする請求項1に記載のサブマフラー。
請求項6
前記高温度用のバサルト繊維がバサルト長繊維であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のサブマフラー。
請求項7
請求項8
前記高温度用のバサルト繊維が、織成されて巻設されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のサブマフラー。
請求項9
前記高温度用のバサルト繊維が、織成されずに巻設されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のサブマフラー。
請求項10
請求項11
前記高温度用のバサルト繊維が、(1)SiO2量の多い玄武岩原石(高温度用(A))原料を用いたもので、該玄武岩原料の高粘度をηとするとlogηが1440℃において、2.75〜2.85、かつ1540℃において、2.30〜2.40までほぼ直線的に変化する原料を用いて繊維化されたもの、及び(2)該高温度用玄武岩原石(A)とSiO2量の少ない低温度用玄武岩原石(B)の混合物から選択される玄武岩原料を用いたもので、該玄武岩原料の高粘度をηとするとlogηが1440℃において、2.55〜2.75、かつ1540℃において、2.10〜2.35までほぼ直線的に変化する原料を用いて繊維化されたものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のサブマフラー。
請求項12
前記低温度用玄武岩原石(B)にAl2O3、SiO2、CaO、MgOから選択される酸化物の1種以上を添加したことを特徴とする請求項11に記載のサブマフラー。
請求項13
前記溶融物の高粘度をηとするとlogηが1440℃において、2.4〜2.75、かつ1540℃において、2.0〜2.5までほぼ直線的に変化することを特徴とする請求項11または12に記載のサブマフラー。
請求項14
請求項15
前記酸化物が2成分であり、その添加量の合計が、前記玄武岩原石(B)100wt%に対して外添加で1〜70wt%であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のサブマフラー。
請求項16
前記酸化物が3成分以上であり、その添加量の合計が、前記玄武岩原石(B)100wt%に対して外添加で1〜60wt%であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のサブマフラー。
請求項17
請求項18
インレットパイプとアウトレットパイプを相互に圧入して構成される前記穴明き排気管と、前記キャップとアウトパイプとからなる空間が、セパレータでインレットパイプ部とアウトレットパイプ部に分離されることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のサブマフラー。
請求項19
請求項1乃至18のいずれかに記載のサブマフラーを備えた自動車。
技術分野
背景技術
0002
自動車用マフラーは、排気音を吸収するための部品であり、その吸音材として、現在ガラス繊維が使用されている。しかしながら、最近の自動車エンジンの省エネルギー化および排ガス規制に伴い、エンジン温度が上昇し、その結果排気ガス温度もマフラー部において、800℃以上になる。そのため、マフラーに使用される吸音材の高耐熱性化(750〜900℃に対応)が急務になってきている。
0003
例えば、(1)SiO2−Al2O3−CaO等の合成原料を主成分とする市販のガラス繊維を搭載したサブマフラーは各種エンジン排気系の高温(〜800℃)ガスに暴露されると耐久性や吸音特性が低下する。これは、SiO2、Al2O3等の合成原料を主成分とする市販のガラス繊維は〜800℃の排気ガスに暴露されると繊維どうしが固着し見かけの繊維径が増大し、吸音材料としての可とう性が低下しその結果吸音特性が低下する。
0004
また、(2)SiO2−Al2O3−MgO等の合成原料を主成分とする市販のガラス繊維を搭載したサブマフラーは各種エンジン排気系の高温(〜830℃)ガスに暴露されると耐久性や吸音特性が低下する。これは、SiO2、Al2O3、MgO等の合成原料を主成分とする市販のガラス繊維は〜830℃の排気ガスによって結晶化がおこり、その結果、繊維の可とう性が失われることに因る。
0005
更に、(3)上記(1)や(2)以外の合成原料、SiO2−Al2O3−CaO−Na2O系、SiO2−CaO−Na2O系、SiO2−Na2O系、SiO2−K2O系を用いたガラス繊維を搭載したサブマフラーは、各種エンジン排気系の温度が650℃以上になると、耐久性や吸音特性が低下する。これらのガラス繊維はCaO、Na2O、K2O等のアルカリ金属酸化物を多く含むため650℃以上の排気ガスに暴露されると結晶化、固着、排気ガス中の各種酸成分による腐食が促進されることに因る。
0006
加えて、上記(2)のサブマフラーは高コストである。SiO2、Al2O3、MgO等のガラス繊維は、先ず各酸化物を各種原料から精製・分離した合成原料を使用し、これらの成分を更に粉砕・混粉した後に高温で溶融させて繊維化するため数千円/Kgレベルの高コストである。
0007
(1)や(3)のサブマフラーでは、ガラス繊維の温度を下げるためにインナーパイプ外周にSUSウールを巻きつけ次にその外周にガラス繊維の吸音材料を巻きつけるといった2工程が必要であるため、製造工程が複雑で重量も増加する。
0008
上記(1)や(3)のサブマフラーはリサイクル処理が高コストとなる。(1)や(3)に使用されるガラス繊維では焼却炉で燃焼させた場合低融点の酸化物が生成し、これが焼却炉の炉材の腐食となり焼却炉の耐久性を下げるため焼却炉の設備投資が増加する。
0009
上記(1)、(2)や(3)のサブマフラーはLCA(Life Cycle Assessment)の観点から環境負荷の低減が困難である。(1)、(2)や(3)のガラス繊維は構成酸化物をまず合成し、それらを所定割合で混粉後、溶解するため製造時のCO2発生が多い。
0010
一方、天然の玄武岩(バサルト)原石を原料としたバサルト長繊維は、従来のガラス長繊維と比較し、きわめて安価である。しかし、約750℃から約900℃の高温で使用するとガラス成分から結晶相が生成し、可撓性の消失、結晶層とガラス層界面での剥離等の問題が発生するという問題があった。
0012
なお、下記特許文献1には、吸音材としての繊維を排気管に巻設する消音器において、そのガラス繊維層を安価に形成するとともに、排気中の油性分による目詰まりを防止することを目的として、通気孔が巻設された排気管の外周に、通気孔部に位置して、長繊維を、織成することなく積層状態で巻設する発明が開示されている。ここで、長繊維として、ガラス繊維、玄武岩からなる繊維、高純度のシリカをセラミック化した繊維が例示されているが、具体的にどのようなバサルト繊維を用いるかについては全く示唆されていない。
0013
特開平10−77823号公報
発明が解決しようとする課題
0014
本発明者らによると、上記の問題点・課題が発生する理由は、下記(1)〜(4)にあることが判明した。
(1)従来のガラス繊維は、高温の排気ガスに晒されると、完全なガラス相から一部結晶化が進行し、またCa−Si−O系の低融点結晶相の生成によって繊維同士が固着するため見かけの繊維径が単繊維径の数倍になって固化するため可撓性が失われる。
(2)従来のガラス繊維は、高温の排気ガスに晒されると、固着は生じないが完全なガラス相からすべて結晶相のみとなり、可撓性が失われる。
(3)市販ガラス繊維はガラスの網目形成体(Network Former)と網目修飾体(Network Modfier)となる酸化物原料を所定の組成になるように混合してから高温で溶融させるため、原料費大、混粉工程を要する、原料の溶融温度が高い等の理由から製造コストが高い。
(4)従来のバサルト繊維は、天然原料を使用するため製造コストは市販ガラス繊維と比べて低い。又、原石(低温度用(B))はSiO2が少ないため、高温溶融物の粘性が低く、20mμ以下の繊維径を有する長繊維の製造が可能であるが、750℃以上でガラス相が結晶化するため耐熱性に劣る。
0015
そこで、玄武岩(バサルト)原石(B)に対し、網目状形成体、ガラス修飾体を形成・維持し、バサルト繊維の結晶化及び固着を抑制すること、及びバサルト繊維の耐熱性を従来の750℃から750〜900℃まで大幅に向上させ、かつ従来品と比べて大幅な低コスト化を達成することが必要である。
0016
本発明は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、FFV(Flex Fuel Vehicle;一例ガソリン/エタノール車)、HV用エンジンのサブマフラー用のガラス繊維吸音材料に関し650〜900℃の高温排気ガスやHC、NOx、SOx、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、亜硝酸、亜硫等の腐食性ガス成分に曝されても、耐久性や吸音性能を維持すること、同時に吸音材料およびサブマフラーの普遍の課題である低コスト化も実現することを目的とする。
課題を解決するための手段
0017
本発明者らは、玄武岩(バサルト)原石に対し、その溶融条件を選定することで耐熱性に優れたバサルト長繊維を製造できることを見出した。同時に、玄武岩(バサルト)原石に対し、網目状形成体、ガラス修飾体となる酸化物の選定とその添加量の最適化により、結晶化及び固着を抑制できるとともに、耐熱性を大幅に向上させることができることを見出し、本発明に到達した。
0019
本発明は、サブマフラーの発明であり、内側に穴明き排気管が配置され、該穴明きパイプの外側にキャップ及びアウトパイプが配置され、該穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間に吸音材が充填されたサブマフラーであって、該吸音材の内、少なくとも該穴明きパイプ側の該吸音材が高温度用のバサルト繊維であることを特徴とする。
0020
本発明のサブマフラーには下記(1)〜(4)の典型的な構造が含まれる。
(1)前記高温度用のバサルト繊維が、前記穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間の全空間に充填されているサブマフラー。
(2)前記穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間に充填された吸音材が2層構造であり、該穴明き排気管側の該吸音材が高温度用のバサルト繊維層であり、該キャップ及びアウトパイプ側の該吸音材が低温度用のバサルト繊維層であるサブマフラー。
(3)前記穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間に充填された吸音材が2層構造であり、該穴明き排気管側の該吸音材が高温度用のバサルト繊維層であり、該キャップ及びアウトパイプ側の該吸音材が低温度用のガラス繊維層であるサブマフラー。
(4)前記穴明き排気管とキャップ及びアウトパイプとの間に充填された吸音材が3層構造であり、該穴明き排気管側の該吸音材が高温度用のバサルト繊維層であり、該キャップ及びアウトパイプ側の該吸音材が低温度用のガラス繊維層であり、該高温度用のバサルト繊維層と該低温度用のガラス繊維層の間に低温度用のバサルト繊維層を有する記載のサブマフラー。
0021
本発明で用いられる高温度用のバサルト繊維としては、バサルト長繊維が好ましいが、バサルト短繊維であっても良い。この場合、高温度用のバサルト繊維径は一定であるがことが望ましいが、繊維径の異なるバサルト短繊維であっても良い。
0022
また、高温度用のバサルト繊維は、織成されて巻設されていても良く、高温度用のバサルト繊維が、織成されずに巻設されていても良い。
0023
以下、本発明のサブマフラーに用いられる高温度用バサルト繊維について説明する。
第1に、本発明のサブマフラーに用いられる高温度用バサルト繊維とは、SiO2含有量が55.9〜61.1wt%前後の高温用玄武岩石(A)100wt%から得られるバサルト繊維を意味する。
0024
第2に、本発明のサブマフラーに用いられる高温度用バサルト繊維とは、含有する酸化物の組成が異なる2種の玄武岩原石からなる。ここで、2種の玄武岩原石とはSiO2含有量が55.9〜61.1wt%前後の高温用玄武岩原石(A)およびSiO2含有量が54.1〜58.1wt%前後の低温用玄武岩石(B)の混合原右から得られるバサルト繊維を意味する。ここで、高温用原石(A)と(B)の混合割合は重量%で、(A)50wt%+(B)50wt%〜(A)95wt%+(B)5wt%の範囲であり、(A)80wt%+(B)20wt%〜(A)90wt%+(B)10wt%の混合割合であることが望ましい。
0025
第3に、本発明のサブマフラーに用いられる高温度用バサルト繊維とは、低温度用玄武岩原石(B)にAl2O3、SiO2、CaO、MgOから選択される酸化物の1種以上を添加したものである。ここで、前記酸化物の最適添加量は下記(1)〜(3)が望ましい。
(1)前記酸化物の添加が1成分であり、その添加量が、該玄武岩100wt%に対して外添加で1.0から40wt%、望ましくは10〜30wt%である。
(2)前記酸化物の添加が2成分であり、その添加量の合計が、該玄武岩100wt%に対して外添加で1.0から70wt%、望ましくは10〜60wt%である。
(3)前記酸化物の添加が3成分であり、その添加量の合計が、該玄武岩100wt%に対して外添加で1.0から60wt%、望ましくは10〜50wt%である。
0026
第4に、本発明のサブマフラーに用いられる高温度用バサルト繊維とは、含有する酸化物の組成が異なる2種の玄武岩を原料とし、該玄武岩にAl2O3、SiO2、CaO、MgOから選択される酸化物の1種以上を添加したことを特徴とする。ここで、第3のバサルト繊維と同様に、前記酸化物の最適添加量は下記(1)〜(3)の通りである。
(1)前記酸化物の添加が1成分であり、その添加量が、該玄武岩100wt%に対して外添加で1.0から40wt%、望ましくは10〜30wt%である。
(2)前記酸化物の添加が2成分であり、その添加量の合計が、該玄武岩100wt%に対して外添加で1.0から70wt%、望ましくは10〜60wt%である。
(3)前記酸化物の添加が3成分であり、その添加量の合計が、該玄武岩100wt%に対して外添加で1.0から60wt%、望ましくは10〜50wt%である。
0027
第5に、本発明のサブマフラーに用いられる高温度用バサルト繊維は、玄武岩を原料とし、該玄武岩を解砕する工程と、該解砕物を洗浄する工程と、第2の高温度用バサルト繊維においては2種の玄武岩を混合する工程、第3、第4の高温度用バサルト繊維においては原石と添加酸化物とを混合する工程と、該玄武岩あるいは該混合原石あるいは該玄武岩と酸化物の混合原料を溶融する工程と、該溶融物を繊維化する工程と、該繊維を引き揃え、巻き取る工程とからなる。また、溶融物の粘度をηとするとlogηが1440℃において、2.55〜2.85(dPa・s)、1540℃において2.10〜2.45(dPa・s)、1640℃において1.80〜2.10(dPa・s)まで温度の上昇とともにほぼ直線的に減少する傾向を示し、かつlogηが2.15〜2.35(dPa・s)、望ましくは2.20〜2.30(dPa・s)で製造されたものである。この溶融条件にて繊維径の制御と引き揃え工程と巻き取り工程で切断しない高温度用バサルト長繊維の製造が可能となった。上記のように、溶融物の温度は溶融物の高温粘度logηが2.15〜2.35(dPa・s)、望ましくは2.20〜2.30(dPa・s)となるよう高温粘度によって最適温度を選定すれば良い。
0029
また、前記玄武岩原料にAl2O3、SiO2、CaO、MgOから選択される酸化物の1種以上を添加しても良い。この場合、前記酸化物の最適添加量は下記(1)〜(3)の通りが好ましい。
(1)前記酸化物の添加が1成分であり、その添加量が、該玄武岩100wt%に対して外添加で1.0〜40wt%、望ましくは10〜30wt%である。
(2)前記酸化物が2成分であり、その添加量の合計が、該玄武岩100wt%に対して外添加で1.0〜70wt%、望ましくは10〜60wt%である。
(3)前記酸化物が3成分以上であり、その添加量の合計が、該玄武岩100wt%に対して外添加で1.0〜60wt%、望ましくは10〜50wt%である。
0031
本発明のサブマフラーに用いられる高耐熱性・高耐酸性バサルト繊維は、例えば、玄武岩を原料とし、玄武岩を粉砕し該粉砕物を洗浄した原料を投入するホッパーと、加熱手段により該洗浄物を溶融する炉と、該溶融物を繊維化する低部に多数の孔を設けた白金ブッシュと、該繊維を引き揃え、巻き取る巻き取り機とからなるバサルト長繊維の製造装置によって好ましく製造される。
0032
又、本発明は、上記のいずれかに記載のサブマフラーを備えた自動車である。
発明の効果
0033
本発明のサブマフラーは、吸音材として、750〜900℃以上の耐熱性を有する高耐熱性のバサルト繊維を用いることにより、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、FFV(Flex Fuel Vehicle)、及びHV用エンジンのサブマフラーとして用いても、650〜900℃の高温排気ガスやHC、NOx、SOx、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、亜硝酸、亜硫等の腐食性ガス成分に曝されても、耐久性や吸音性能を維持することが可能である。同時に吸音材料およびサブマフラーの普遍の課題である低コスト化も実現した。
0034
加えて本発明のサブマフラーに用いられる高耐熱性バサルト繊維は(1)SiO2量の多い高温度用玄武岩石(A)100wt%、(2)該高温度用玄武岩原石(A)とSiO2量の少ない低温度用玄武岩原石(B)の混合物、(3)低温度用玄武岩原石(B)に対して、網目形成体、ガラス修飾体となる酸化物の選定とその添加量を最適化したもの、(4)上記(2)の混合物に対して網目形成体、ガラス修飾体となる酸化物の選定とその添加量を最適化したものを原料とすることにより、バサルト繊維の結晶化および固着を抑制できるとともに、耐熱性を大幅に向上させることができた。また本発明のサブマフラーに用いられる高耐熱性バサルト繊維の製造工程の溶融条件により、繊維径の制御が可能で、巻き取り工程で切断しないバサルト長繊維を製造することが可能となった。
発明を実施するための最良の形態
0035
本発明のバサルト繊維の原料である玄武岩(バサルト原石)は、火成岩の1種であり、主な構成鉱物としては、(1)斜長石:Na(AlSi3O8)−Ca(Al2SiO8)、(2)輝石:(Ca,Mg,Fe2+,Fe3+,Al,Ti)2[(Si,Al)2O6]、(3)カンラン石:(Fe,Mg)2SiO4である。ウクライナ産のものが安価で良質である。
0036
(1)高温度用玄武岩原石(A)、(2)低温度用玄武岩原石(B)及び(3)原石(A)85%/原石(B)15%からなる原石の、ICP(高周波プラズマ発光分析装置;島津製作所ICPV−8100)分析による元素組成比(wt%)、及び酸化物換算の組成比(wt%)の例は下記表1及び表2のようである。なお、以下で述べる各種バサルト原石とそれらを用いて得られたバサルト繊維の組成は測定誤差内でほぼ同一であると考えても良い。
0038
0039
0040
図1に、本発明のバサルト長繊維製造の各工程の概略を示す。図1に示すように、先ず、原料となる玄武岩は所定の粒度に粉砕される。次に、該粉砕物は洗浄され、溶融炉の原料投入ホッパーに投入される。該溶融炉は、ガス及び/又は電気炉であり、周囲を断熱炉材で囲まれるとともに、原料を表面からバーナー加熱して、溶融させる。該溶融物は、底部に多数の孔を有する白金ブッシュを通過して繊維化される。該繊維化バサルトは、繊維巻き取り機により、引き揃えられ、巻き取られられる。
0041
図1中に、本発明で用いられるバサルト長繊維製造装置の概略図を示した。本装置の溶融炉の特徴は、(1)単独の炉であること、(2)1炉に対し1ブッシングであること、(3)バッチ炉的な考え方で有り、玄武岩投入口→炉→ブッシング→巻き取りを単独で行うこと、にある。本装置により、
(1)炉の改修をする場合にある1部の生産を止めるという対応が可能である。例えば、複数炉存在すれば、定期的に炉を改修し、尚且つ生産を続けることが可能である。
(2)少ロットの生産にも対応が可能であり、尚且つ原料材質の違うものを生産することが可能である。
という長所がある。
0042
玄武岩原料を電気炉あるいはガス炉で所定温度にて完全な溶融物とし、この溶融物を白金ブッシュ底部から所定の速度で引っ張り、数μm〜数十μmレベルの繊維径の長繊維とする。特に、吸音材料として用いる際には、10〜20μmが望ましい。バサルト長繊維の繊維径を制御するには、溶融物の組成、溶融物の温度、所定温度での溶融物の高温粘性、白金ブッシュの底部に設けた孔のサイズ、孔の形状、孔の配置などの様々な因子があり、さらに、重要な因子は繊維化時の引っ張り力の制御である。通常は、図1の概念図に示した繊維の巻き取り装置の巻き取り速度で、即ち回転速度で制御する。又、長繊維とするには、巻き取り時に繊維が切断しないことが不可欠であり、繊維の切断を防ぐ因子も上記の繊維径を決定する因子の最適化が重要である。このように、本発明では、数μm〜数十μm径の繊維を切断することなく長繊維とすることがポイントである。
0044
以下、本発明の実施例を示す。
溶融物の高温粘性の評価法としては、ガラスの粘性測定(試料引き下げ法)を用いる。試料引き下げ法の原理はガラス溶融体中でPt球体が等速運動すると粘性はStokesの法則から
η=GW/v
となる。ここで、G=装置定数、W=負荷荷重、v=Pt坩堝の引き下げ速度である。
0045
[実施例1]
図2に、本発明の方法にて得られた各種原石の1430℃〜1640℃における高温粘度を示した。尚、1550℃以上の粘度は評価装置の限界で測定できないため、外挿線とした。いずれの原石においても、logηは温度の上昇とともにほぼ直線的に減少する傾向にある。いずれの原石においても高温粘性データから高耐熱性バサルト長繊維の製造に最適な溶融温度を選定することによって、切断することなく所望の繊維径を有するバサルト繊維が得られた。
0046
次に(1)高温度用玄武岩石(A)、(2)高温度用玄武岩石(A)および低温度用玄武岩石(B)の混合原石から得られたバサルト繊維を800℃、850℃、900℃大気中にて50〜200時間加熱処理した後、X線粉末回折法により結晶相とガラス相の有無を検証した。結果を表3に示す。表中、
A:ガラス相のみ
B:ガラス相多く、結晶相少ない
C:ガラス相少なく、結晶相多い
D:結晶相のみ
を表す。A>B>C>Dの順で耐熱性に優れ、Bレベルであれば耐熱性に問題はない。
0047
0048
表3の結果より以下のことが分かった。
(1)高温度用玄武岩(A)のみからなる原石を用いたバサルト繊維は800〜900℃×200時間の熱処理後もガラス相が多く存在し、高耐熱性のバサルト繊維であることが分かった。
(2)高温度用玄武岩(A)と低温度用玄武岩(B)の混合原石から得られたバサルト繊維は玄武岩(A)80wt%+玄武岩(B)20wt%、および玄武岩(A)85wt%+玄武岩(B)15wt%では800〜900℃×200時間の熱処理後もガラス相が多く存在し、高耐熱性のバサルト繊維であることが分かった。
0049
[実施例2]
乳鉢中で粉砕した低温度用玄武岩石(B)と各種酸化物をボールミルにより12時間混合後、白金箔を内張りしたアルミナ坩堝中で1430℃で4時間加熱し、徐冷することによりガラス化した試料を作製した。それらを800、850、900℃で50〜200時間加熱処理した後、X線粉末回折法により結晶相とガラス相の有無を検証した。
0050
結果を表4〜表9に示す。表3と同様に、表中、
A:ガラス相のみ、
B:ガラス相多く、結晶相少ない、
C:ガラス相少なく、結晶相多い、
D:結晶相のみ、
を表す。A>B>C>Dの順で耐熱性に優れ、Bレベルであれば耐熱性に問題はない。
0051
0052
0053
0054
0055
0056
0057
表4〜表9の結果より、以下のことが分かった。
(1)TiO2の添加ではガラス化せず、また熱処理後の結晶化の抑制はできない。
(2)Na2O(実験ではNa2CO3を添加)を添加しても熱処理後の結晶化の抑制はできない。
(3)SiO2の添加では結晶相は確認されるが、添加量が増加すると結晶相の生成を抑制できる。
(4)Al2O3の添加では添加量の増加に伴い結晶化の抑制効果は大きくなるが、過剰になるとガラス化が困難である。
(5)CaOの添加では800℃の熱処理では結晶化の抑制はできるが、850℃以上では、結晶化の進行が早い。
(6)MgOを添加しても結晶化の抑制はできず、更に添加量が過剰であるとガラス化も困難となる。
0058
[実施例3]
クラッシャーにより解砕した低温度用玄武岩原石(B)と各種酸化物をメノウ乳鉢により混合後、白金箔を内張りしたアルミナ坩堝中で1430℃で4時間加熱し、徐冷することによりガラス化した試料を作製した。
0059
次に、それら試料を800℃、850℃、900℃で50〜200時間熱処理した後、X線粉末回析法により結晶相とガラス相の有無を検証した。
0060
結果を、表10〜表12に示す。表中、A〜Dの結果は上記と同じであり、A及びBが耐熱性に優れ実用性を有することを示す。
0061
0062
0063
0064
表10〜表12の結果より、以下のことが分かった。
(1)SiO2/Al2O3系を添加すると800℃×200時間の熱処理では完全に結晶化を抑制でき、さらに850℃×200時間、900℃×200時間の熱処理でもガラス相が多量に残存し、結晶相の生成を抑制できる。
(2)SiO2/CaO系を添加すると800℃×200時間の熱処理では完全に結晶化を抑制できたが、850℃×200時間、900℃×200時間の熱処理では結晶化の抑制はできない。
(3)SiO2/MgO系を添加すると800℃×200時間の熱処理では結晶化を抑制できる傾向にあるが、850℃×200時間、900℃×200時間の熱処理では結晶化の抑制はできない。
(4)Al2O3/MgO系を添加してもガラス化せず、結晶化の抑制はできない。
(5)Al2O3/CaO系を添加してもガラス化せず、結晶化の抑制はできない。
0065
これより、バサルト原石の熱処理後の結晶化抑制、すなわち耐熱性向上の効果を示す2成分酸化物系は、
SiO2:20wt%/A12O3:20wt%>SiO2/CaO系>SiO2/MgO系>Al2O3:20wt%/MgO系>Al2O3:20wt%/CaO系の順であり、特にSiO2:20wt%/A12O3:20wt%を添加するとバサルト繊維の耐熱性は現状の約750℃から850〜900℃レベルまで大く向上することが明らかとなった。
0066
[実施例4]
クラッシャーにより解砕した低温度用玄武岩(B)とSiO2、Al2O3、MgOの3種の酸化物をメノウ乳鉢により混合後、白金箔を内張りしたアルミナ坩堝中で1430℃で4時間加熱し、徐冷することによりガラス化した試料を作製した。
0067
次に、それら試料を800℃、850℃、900℃で50〜200時間熱処理した後、X線粉末回析法により結晶相とガラス相の有無を検証した。
0068
結果を、表13に示す。表中、A〜Dの結果は上記と同じであり、A及びBが耐熱性に優れ実用性を有することを示す。
0069
0070
表13の結果より、SiO2/Al2O3/MgOの3種の酸化物を添加した全ての組成において、800℃の熱処理では結晶化の抑制効果が認められたが、850℃以上の熱処理では結晶化の抑制効果が認められなかった。
0071
[実施例5]
乳鉢中で粉砕した低温度用玄武岩(B)と高温度用玄武岩(A)をボールミルにより12時間混合後、白金箔を内張りしたアルミナ坩堝中で1430℃で4時間加熱し、徐冷することによりガラス化した試料を作製した。
0072
次に、それら試料を800℃、850℃、900℃で50〜200時間熱処理した後、X線粉末回析法により結晶相とガラス相の有無を検証した。
0073
結果を、表14に示す。表中、A〜Dの結果は上記と同じであり、A及びBが耐熱性に優れ実用性を有することを示す。
0074
0075
表14の結果より、含有する元素量の異なる2種の玄武岩であるSiO2含量が57〜61wt%前後の高温度用玄武岩原石(A)、とSiO2含量が54〜58wt%前後の低温度用玄武岩原石(B)を原料とすることにより、800℃×200時間、850℃×200時間、900℃×200時間の熱処理でもガラス相が多量に残存し、結晶相の生成を抑制できることが分かった。
0076
[実施例6]
クラッシャーにより解砕した高温度用玄武岩原石(A)と酸化物としてAl2O3をメノウ乳鉢により混合後、白金箔を内張りしたアルミナ坩堝中で1430℃で4時間加熱し、徐冷することによりガラス化した試料を作製した。
0077
次に、それら試料を800℃、850℃、900℃で50〜200時間熱処理した後、X線粉末回析法により結晶相とガラス相の有無を検証した。
0078
結果を、表15に示す。表中、A〜Dの結果は上記と同じであり、A及びBが耐熱性に優れ実用性を有することを示す。
0079
0080
表15の結果より、高温度用玄武岩原石(A)においても酸化物の添加により、800℃×200時間、850℃×200時間、900℃×200時間の熱処理でもガラス相が多量に残存し、結晶相の生成を抑制できる添加量が存在することが分かった。
0081
[実施例7]
図1に示す長繊維の製造装置を用い、玄武岩系の種々の原料を用いて長繊維を製造した。用いた玄武岩は、(1)高温度用玄武岩原石(A)、(2)低温度用玄武岩原石(B)、(3)低温度用玄武岩原石(B)に1成分、2成分、3成分系酸化物を添加した玄武岩原料、(4)玄武岩(高温度用(A))および玄武岩(中温度用(B))の混合玄武岩を原料、(5)高温度用玄武岩原石(A)および低温度用玄武岩原石(B)の混合玄武岩に他の酸化物を添加した原料である。
0082
これら原料をホッパーから投入し、ガス炉で所定温度に保持した炉内で溶融させる。玄武岩のサイズは数mm〜数十mmあるいはμm〜数mmのもので良い。原料の投入速度と白金ブッシュから繊維として取り出す量を一定にし、溶融物の液面を常に一定にする必要がある。断熱炉材は種々の組成のもので良い。ただし溶融物との反応や溶融物による腐食の少ない材料を用いることが必要である。混合原料を用いる場合はあらかじめ混合したもの、あるいは複数のホッパーを用いて所定組成になるよう分割投入しても構わない。
0084
[実施例:高耐熱性・高耐酸性バサルト繊維を消音材に用いたサブマフラー]
以下のサブマフラーの実施例において、高耐熱性および中耐熱性とはそれぞれ800〜900℃およびで750〜800℃の温度で200hr以上の高温に曝されても結晶化が少なく、固着現象も問題無いレベルのバサルト繊維を示す。高耐酸性とは700〜900℃の高温ガス中で前記した各種排気ガス中の有機酸、無機酸にさらされても腐食が問無いレベルのバサルト繊維を示す。
0085
下記実施例8〜12の構造を有するサブマフラーの製造方法を以下に示す。インレットパイプにアウトレットパイプを圧入し、その外周に各種構成からなる吸音材料を均一に巻きつける。一般に長繊維を幾重にも巻き付けるためインレット・アウトレットパイプの系方向に厚みばらつきの無いようにかつ巻き付時には所定のテンションを負荷することが望ましい。繊維状吸音材料が所定の厚さなった後、有機系のバインダを外周に塗布して吸音材料を固定する。次にセパレータとイン、アウト側のキャップをインレットパイプとアウトレットパイプに締結しその外周にアウトパイプをカシメ、溶接その他の方法にて締結しサブマフラーとする。
0086
[実施例8:高耐熱性・高耐酸性の玄武岩長繊維を吸音材料としたサブマフラー]
図3に示すように、サブマフラーはインレットパイプ、アウトレットパイプ、セパレータ、キャップおよびアウトパイプから構成され、インレット/アウトレットパイプとアウトパイプの空間に各種組成の玄武岩繊維より高耐熱性かつ高耐酸性の玄武岩長繊維を吸音材料として巻きつけた構造を有する。本発明のサブマフラはガソリンエンジン、デーゼルエンジン、FFV(Flex Fuel VehicIc:一例;ガソリン/エタノール車)用エンジン、HV用エンジン等に適用できる。さらに、本構造のサブマフラーは、図8に示されるような、SUSウールを備えた従来構造のサブマフラーからSUSウールを廃止でき、その結果、製造工程の簡略化及び20〜40%の軽量化を達成できる。
0087
[実施例9:2層構造の吸音材料を用いたサブマフラー]
サブマフラーの構造及び適用エンジンは、実施例8と同様であるが、図4に示すように、吸音材料として、内側に高耐熱性の玄武岩長繊維、その外側に低耐熱性の玄武岩長繊維の2層からなる玄武岩長繊維を用いたサブマフラーである。本構造では、内側は高コスト、外側には低コストの玄武岩長繊維を用いるため、実施例8と同様の軽量化、及びサブマフラーの低コスト化が可能となる。
0088
[実施例10:玄武岩長繊維と合成原料から得たガラス長繊維の2層構造の吸音材料を用いたサブマフラー]
サブマフラーの構造および適用エンジンは実施例8と同様であるが、図5に示すように、吸音材料として内側に高耐熱性・高耐酸性、その外側にSiO2−Al2O3−CaO系、SiO2−Al2O3−CaO−Na2O系、SiO2−CaO−Na2O系、SiO2−Na2O系、SiO2−K2O系を用いた合成原料から得たガラス長繊維を用いたサブマフラーである。本構造では内側は外側に低コストのガラス繊維を用いるため、実施例8の構造のサブマフラーと比較し、さらなる低コスト化が可能となる。
0089
[実施例11:異なる繊維径を有し、かつ玄武岩短繊維からなる吸音材料を用いたサブマフラー]
サブマフラーの構造および適用エンジンは実施例8と同様であるが、図6に示すように、吸音材料として繊維径が1〜5μm、5〜10μm、10〜20μm、20〜50μmの各範囲、あるいはこれらの複数の各範囲の繊維系を有する玄武岩長繊維あるいは前記繊維径を有し、かつ5〜1000mm長のチョップド玄武岩長繊維を撒きつけた構造を有するサブマフラーである。玄武岩長繊維の製造工程では通常は長繊維であるが、製造時に、切断や又は繊維径の異なる玄武岩繊維が得られる。これらの繊維を吸音材として用いることによって製造時の歩留まりを100%とすることができ、低コストが可能となる。
0090
[実施例12:3層構造の吸音材料を用いたサブマフラー]
サブマフラーの構造および適用エンジンは実施例8と同様であるが、図7に示すように、吸音材料として内側に高耐熱性、中間層に低耐熱性の玄武岩長繊維、そして外側にSiO2−Al2O3−CaO系、SiO2−Al2O3−CaO−Na2O系、SiO2−CaO−Na2O系、SiO2−Na2O系、SiO2−K2O系を用いた合成原料から得たガラス長繊維の3層構造からなるサブマフラーである。本構造では3層構造となるため実施例9の構造のサブマフラーと比較し、さらなる低コスト化が可能となる。
0091
本発明のサブマフラーは、吸音材として、高温度用のバサルト繊維を用いることにより、SUS等の耐熱材が不要であり、各種腐食性ガス成分に曝されても、耐久性や吸音性能を維持することが可能である。同時に吸音材料およびサブマフラーの普遍の課題である低コスト化も実現した。
図面の簡単な説明
0092
本発明のバサルト長繊維製造の各工程の概略を示す。
本発明の方法にて得られた各種玄武岩原石の1430℃〜1640℃における高温粘度を示す。
本発明の高温度用の玄武岩長繊維を吸音材料としたサブマフラーの断面図を示す。
本発明の2層構造の吸音材料を用いたサブマフラーの断面図を示す。
本発明の玄武岩長繊維と合成原料から得たガラス長繊維の2層構造の吸音材料を用いたサブマフラーの断面図を示す。
本発明の異なる繊維径を有し、かつ玄武岩短繊維からなる吸音材料を用いたサブマフラーの断面図を示す。
本発明の3層構造の吸音材料を用いたサブマフラーの断面図を示す。
従来のSUSを用いたサブマフラーの断面図を示す。