図面 (/)

技術 脈管の傷害後の再狭窄を防ぐための、PI3キナーゼ抑制因子の、単独の、あるいは、シロリムスとの組み合わせにおける、局所脈管送達

出願人 コーディス・コーポレイション
発明者 デニス・シー・アルジェンティエリロバート・ファロティコトム・ジェイ・パリージョナソン・ゼット・チャオ
出願日 2006年11月22日 (15年0ヶ月経過) 出願番号 2006-315819
公開日 2007年6月14日 (14年5ヶ月経過) 公開番号 2007-144170
状態 特許登録済
技術分野 手術用機器 手術用機器 医療用材料 媒体導出入付与装置
主要キーワード ワイヤーリング 連絡部分 弾性センサ 中断部分 幾何学的形 加熱ダイス 起立部分 介入処理
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年6月14日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

生体への医療装置の導入に対する生物学的な生体反応を最少にするか実質的に無くすために被覆可能である医療装置、特に植え込み可能な医療装置を提供する。

解決手段

医療装置は多数の生体適合性の材料により被覆可能である。治療用の薬物、薬剤または化合物を生体適合性の材料と共に混合して医療装置の少なくとも一部分に固定することができる。これらの治療用の薬剤または化合物はまた、生体への医療装置の導入に対する生物学的な生体反応をさらに減少させることもできる。また、これらの治療剤疾患部位の領域に送達することも可能である。このような所与の領域にわたる送達において、液体調合物が、特定の薬物の効果と送達性を高めるために、望ましくなる可能性がある。加えて、種々のポリマー組み合わせ物が植え込み可能な医療装置からの治療用の薬物、薬剤および/または配合物溶出速度を調整するために利用できる。

概要

背景

概要

生体への医療装置の導入に対する生物学的な生体反応を最少にするか実質的に無くすために被覆可能である医療装置、特に植え込み可能な医療装置を提供する。医療装置は多数の生体適合性の材料により被覆可能である。治療用の薬物、薬剤または化合物を生体適合性の材料と共に混合して医療装置の少なくとも一部分に固定することができる。これらの治療用の薬剤または化合物はまた、生体への医療装置の導入に対する生物学的な生体反応をさらに減少させることもできる。また、これらの治療剤疾患部位の領域に送達することも可能である。このような所与の領域にわたる送達において、液体調合物が、特定の薬物の効果と送達性を高めるために、望ましくなる可能性がある。加えて、種々のポリマー組み合わせ物が植え込み可能な医療装置からの治療用の薬物、薬剤および/または配合物溶出速度を調整するために利用できる。

目的

したがって、ステントによる狭窄した冠動脈持続された機械的な拡張再狭窄の防止の方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

医療装置において、植え込み可能な構造体と、第1の高分子材料の中に混合されている、治療投薬量における、ラパマイシン(rapamycin)およびPI3キナーゼ抑制因子組み合わせ物、を含有している第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、前記ラパマイシン(rapamycin)および前記PI3キナーゼ抑制因子の溶出速度を調整するために、前記第1の被膜に固定され、第2の高分子材料を含有している、第2の被膜と、を備えている、医療装置。

請求項2

請求項1に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、ステントを含む、医療装置。

請求項3

請求項1に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、ステントグラフトを含む、医療装置。

請求項4

請求項1に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、吻合装置を含む、医療装置。

請求項5

請求項1に記載の医療装置において、前記ラパマイシン(rapamycin)は、シロリムス(sirolimus)を含む、医療装置。

請求項6

請求項1に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、ワートマニン(wortmannin)を含む、医療装置。

請求項7

請求項1に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、ワートマニン(wortmannin)の、類似体誘導体同族体、および共役体、を含む、医療装置。

請求項8

請求項1に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、PX−867を含む、医療装置。

請求項9

請求項1に記載の医療装置において、前記第1の高分子材料は、少なくとも1種類の非吸収性ポリマーを含む、医療装置。

請求項10

請求項1に記載の医療装置において、前記第1の高分子材料は、少なくとも1種類の吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項11

請求項1に記載の医療装置において、前記第2の高分子材料は、少なくとも1種類の非吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項12

請求項1に記載の医療装置において、前記第2の高分子材料は、少なくとも1種類の吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項13

医療装置において、植え込み可能な構造体と、治療の投薬量のラパマイシン(rapamycin)、および第1の高分子材料、を含有している第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子、および第2の高分子材料、を含有している第2の被膜であって、前記第1の被膜に固定されている、第2の被膜と、前記ラパマイシン(rapamycin)および前記PI3キナーゼ抑制因子の溶出速度を調整するために、前記第2の被膜に固定され、第3の高分子材料を含有している、第3の被膜と、を備えている、医療装置。

請求項14

請求項13に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、ステントを含む、医療装置。

請求項15

請求項13に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、ステントグラフトを含む、医療装置。

請求項16

請求項13に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、吻合装置を含む、医療装置。

請求項17

請求項13に記載の医療装置において、前記ラパマイシン(rapamycin)は、シロリムス(sirolimus)を含む、医療装置。

請求項18

請求項13に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、ワートマニン(wortmannin)を含む、医療装置。

請求項19

請求項13に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、ワートマニン(wortmannin)の、類似体、誘導体、同族体、および共役体、を含む、医療装置。

請求項20

請求項13に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、PX−867を含む、医療装置。

請求項21

請求項13に記載の医療装置において、前記第1の高分子材料は、少なくとも1種類の非吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項22

請求項13に記載の医療装置において、前記第1の高分子材料は、少なくとも1種類の吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項23

請求項13に記載の医療装置において、前記第2の高分子材料は、少なくとも1種類の非吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項24

請求項13に記載の医療装置において、前記第2の高分子材料は、少なくとも1種類の吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項25

請求項13に記載の医療装置において、前記第3の高分子材料は、少なくとも1種類の非吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項26

請求項13に記載の医療装置において、前記第3の高分子材料は、少なくとも1種類の吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項27

医療装置において、植え込み可能な構造体と、第1の高分子材料の中に混合されている、治療の投薬量の抗再狭窄剤および治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子の組み合わせ物、を含有している第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、前記抗再狭窄剤および前記PI3キナーゼ抑制因子の溶出速度を調整するために、前記第1の被膜に固定され、第2の高分子材料を含有している、第2の被膜と、を備えている、医療装置。

請求項28

請求項27に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、ステントを含む、医療装置。

請求項29

請求項27に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、ステントグラフトを含む、医療装置。

請求項30

請求項27に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、吻合装置を含む、医療装置。

請求項31

請求項27に記載の医療装置において、前記抗再狭窄剤は、ラパマイシン(rapamycin)を含む、医療装置。

請求項32

請求項31に記載の医療装置において、前記ラパマイシン(rapamycin)は、シロリムス(sirolimus)を含む、医療装置。

請求項33

請求項27に記載の医療装置において、前記抗再狭窄剤は、ラパマイシン(rapamycin)の、類似体、誘導体、同族体、および共役体、を含む、医療装置。

請求項34

請求項27に記載の医療装置において、前記抗再狭窄剤は、高い親和力サイトゾル蛋白質のFKBP12に結合する、類似体、誘導体、同族体、および共役体、を含む、医療装置。

請求項35

請求項27に記載の医療装置において、前記抗再狭窄剤は、パクリタキセル(paclitaxel)を含む、医療装置。

請求項36

請求項35に記載の医療装置において、前記抗再狭窄剤は、パクリタキセル(paclitaxel)の、類似体、誘導体、同族体、および共役体、を含む、医療装置。

請求項37

請求項27に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、ワートマニン(wortmannin)を含む、医療装置。

請求項38

請求項27に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、ワートマニン(wortmannin)の、類似体、誘導体、同族体、および共役体、を含む、医療装置。

請求項39

請求項27に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、PX−867を含む、医療装置。

請求項40

請求項27に記載の医療装置において、前記第1の高分子材料は、少なくとも1種類の非吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項41

請求項27に記載の医療装置において、前記第1の高分子材料は、少なくとも1種類の吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項42

請求項27に記載の医療装置において、前記第2の高分子材料は、少なくとも1種類の非吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項43

請求項27に記載の医療装置において、前記第2の高分子材料は、少なくとも1種類の吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項44

医療装置において、植え込み可能な構造体と、治療の投薬量の抗再狭窄剤、および第1の高分子材料、を含有している第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子、および第2の高分子材料、を含有している第2の被膜であって、前記第1の被膜に固定されている、第2の被膜と、第3の高分子材料を含有していて、前記抗再狭窄剤および前記PI3キナーゼ抑制因子の溶出速度を調整するために、前記第2の被膜に固定されている、第3の被膜と、を備えている、医療装置。

請求項45

請求項44に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、ステントを含む、医療装置。

請求項46

請求項44に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、ステントグラフトを含む、医療装置。

請求項47

請求項44に記載の医療装置において、前記植え込み可能な構造体は、吻合装置を含む、医療装置。

請求項48

請求項44に記載の医療装置において、前記抗再狭窄剤は、ラパマイシン(rapamycin)を含む、医療装置。

請求項49

請求項48に記載の医療装置において、前記ラパマイシン(rapamycin)は、シロリムス(sirolimus)を含む、医療装置。

請求項50

請求項44に記載の医療装置において、前記抗再狭窄剤は、ラパマイシン(rapamycin)の、類似体、誘導体、同族体、および共役体、を含む、医療装置。

請求項51

請求項44に記載の医療装置において、前記抗再狭窄剤は、高い親和力のサイトゾル蛋白質のFKBP12に結合する、類似体、誘導体、同族体、および共役体、を含む、医療装置。

請求項52

請求項44に記載の医療装置において、前記抗再狭窄剤は、パクリタキセル(paclitaxel)を含む、医療装置。

請求項53

請求項52に記載の医療装置において、前記抗再狭窄剤は、パクリタキセル(paclitaxel)の、類似体、誘導体、同族体、および共役体、を含む、医療装置。

請求項54

請求項44に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、ワートマニン(wortmannin)を含む、医療装置。

請求項55

請求項44に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、ワートマニン(wortmannin)の、類似体、誘導体、同族体、および共役体、を含む、医療装置。

請求項56

請求項44に記載の医療装置において、前記PI3キナーゼ抑制因子は、PX−867を含む、医療装置。

請求項57

請求項44に記載の医療装置において、前記第1の高分子材料は、少なくとも1種類の非吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項58

請求項44に記載の医療装置において、前記第1の高分子材料は、少なくとも1種類の吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項59

請求項44に記載の医療装置において、前記第2の高分子材料は、少なくとも1種類の非吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項60

請求項44に記載の医療装置において、前記第2の高分子材料は、少なくとも1種類の吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項61

請求項44に記載の医療装置において、前記第3の高分子材料は、少なくとも1種類の非吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項62

請求項44に記載の医療装置において、前記第3の高分子材料は、少なくとも1種類の吸収性のポリマーを含む、医療装置。

請求項63

医療装置において、植え込み可能な構造体と、第1の高分子材料の中に混合されている、治療の投薬量の抗再狭窄剤および治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子の組み合わせ物、を含有している第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、前記第1の被膜に固定され、第2の高分子材料を含有している、第2の被膜であって、少なくとも7日の期間にわたり、前記抗再狭窄剤および前記PI3キナーゼ抑制因子を放出するように構成されている、第2の被膜と、を備えている、医療装置。

請求項64

医療装置において、植え込み可能な構造体と、治療の投薬量の抗再狭窄剤、および第1の高分子材料、を含有している第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子、および第2の高分子材料、を含有している第2の被膜であって、前記第1の被膜に固定されている、第2の被膜と、第3の高分子材料を含有していて、前記第2の被膜に固定されている、第3の被膜であって、少なくとも7日の期間にわたり、前記抗再狭窄剤および前記PI3キナーゼ抑制因子を放出するように構成されている、第3の被膜と、を備えている、医療装置。

請求項65

脈管の疾患を治療するための方法において、治療の投与量の抗再狭窄剤およびPI3キナーゼ抑制因子の組み合わせ物の局所投与、を含む、方法。

請求項66

医療装置において、植え込み可能な構造体と、前記植え込み可能な構造体に固定されている、ラパマイシン(rapamycin)およびPI3キナーゼ抑制因子の組み合わせ物と、を備えている、医療装置。

請求項67

医療装置において、植え込み可能な構造体と、前記植え込み可能な構造体に固定されている、治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子と、を備えている、医療装置。

請求項68

再狭窄を治療するための方法において、治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子の局所投与、を含む、方法。

開示の内容

0001

〔発明の背景
〔発明の分野〕
本発明は、脈管の疾患の予防および治療のための、薬物/薬物の組み合わせ物局所的投与に関連しており、特に、傷害により引き起こされる脈管の疾患の予防および治療のための、薬物/薬物の組み合わせ物の局所送達のための内腔医療装置と、当該内腔内医療装置において薬物/薬物の組み合わせ物を保持すると共に、その医療装置に対する損傷を予防するための方法および装置、に関連している。また、本発明は、疾患を治療して予防し、生体への医療装置の導入に対する生物学的な生体反応を最小限にするか実質的に無くすために、薬物、薬剤および/または化合物が固定されている、ステントグラフト吻合装置脈管周囲ラップ縫合糸およびステープル、を含む医療装置、にも関連している。加えて、前記の薬物、薬剤および/または化合物は、治癒および内皮化を助長するために、利用できる。また、本発明は、植え込み可能な医療装置からの、薬物、薬剤および/または化合物の溶出速度を調整するための被膜、にも関連している。また、本発明は、脈管の疾患を治療するための薬物ならびにそれらの薬物の液体調合物の、所与の領域にわたる送達のための、薬物および薬物送達システム、にも関連している。また、本発明は、ぜい弱性プラークおよびその他の脈管の疾患を治療するために、薬物、薬剤および/または化合物が固定されている医療装置、にも関連している。

0002

〔関連技術の論述〕
多くの個人心臓およびその他の主要な器官において多くある種々の血管の進行性閉塞により生じる循環系の疾患に罹患している。これらの個人における血管のさらに深刻な閉塞は多くの場合に高血圧虚血性の傷害、発作、または心筋梗塞を引き起こす。冠動脈血流を制限または閉塞するアテローム硬化症病巣虚血性心疾患の主因である。経皮的冠動脈形成術動脈の中を通る血流を増加することを目的としている医療処置である。この経皮的冠動脈形成術は冠動脈血管狭窄のための主要な治療である。この処置の使用の増加は冠動脈バイパス術に比べた場合のその比較的に高い成功率およびその最小限の侵襲性を起因としていると考えられる。この経皮的冠動脈形成術に付随する制限は、その処置の直後に生じる可能性のある血管の急な閉鎖、およびその処置に続いて徐々に生じる再狭窄である。加えて、この再狭窄は伏在静脈のバイパス移植術(bypass grafting)を受けている患者における慢性的な問題である。前記のような急性の閉塞のメカニズムは幾つかの要因を含むと考えられ、結果的に動脈の閉塞を伴う脈管の反跳および/または新しく開口した血管の損傷部分の長さに沿う血小板およびフィブリン堆積により生じる可能性がある。

0003

経皮的冠動脈形成術の後における再狭窄は脈管の傷害により始まる比較的に漸進的な過程である。血栓症、炎症、増殖因子およびサイトカインの放出、細胞増殖細胞移動および細胞外基質の合成を含む多数の過程が、それぞれ前記のような再狭窄の過程の原因になっている。

0004

再狭窄の正確なメカニズムは完全には理解されていないが、このような再狭窄の過程における全般的な態様が認識されつつある。正常な動脈壁部内において、平滑筋細胞は1日あたりにほぼ0.1%未満の速度で増殖する。また、脈管壁部内における平滑筋細胞は80〜90%の細胞質容積収縮性組織(contractile apparatus)により占められていることにより特徴付けられる収縮性の表現型で存在している。小胞体ゴルジ体、および遊離リボソームは少量であり、核周囲領域内に存在している。また、細胞外基質は平滑筋細胞を囲みヘパリン様グリコシルアミノグリカン(heparin-like glycosylaminoglycan)に富んでおり、これらは平滑筋細胞をその収縮性の表現型の状態に維持するために作用すると考えられている(キャンベル(Campbell)およびキャンベル(Campbell),1985年)。

0005

血管形成術中における冠動脈内バルーンカテーテルの圧力による拡張時に、その血管壁部内の平滑筋細胞と内皮細胞が損傷して、血栓および炎症反応が開始する。血小板、侵襲性のマクロファージおよび/または白血球から放出されるか、平滑筋細胞自体から直接的に放出される血小板由来増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子表皮増殖因子、トロンビン等のような細胞由来型の増殖因子は内側平滑筋細胞における増殖性および移動性応答を誘発する。これらの細胞はその収縮性の表現型からわずかな量の収縮性のフィラメントの束および多量の粗面の小胞体、ゴルジ体および遊離のリボソームにより特徴付けられる合成的な表現型への変化を生じる。このような増殖/移動は通常的に傷害後の1日〜2日以内に始まり、その数日後に最高になる(キャンベル(Campbell)およびキャンベル(Campbell),1987年、クロウズ(Clowes)およびシュワルツ(Schwartz),1985年)。

0006

娘細胞が動脈平滑筋内膜層に移動して、増殖しながら相当量細胞外基質タンパク質分泌し続ける。このような増殖、移動および細胞外基質の合成は損傷を受けた内皮層修復されるまで続き、この修復時点において、通常的に傷害後の7日〜14日以内に、その増殖はその脈管内膜(intima)内において減速する。このようにして新たに形成された組織は新内膜(neointima)と呼ばれる。その後の3ヶ月〜6ヶ月にわたり生じる付加的な血管の狭窄化は主として陰性または狭窄性の再造形による。

0007

局所的な増殖および移動と同時に、炎症性の細胞が血管の傷害部位に付着する。傷害後の3日〜7日以内に、これらの炎症性の細胞は血管壁のさらに深い層まで移動する。バルーンによる傷害またはステントの植え込みのいずれかを採用している動物体モデルにおいて、炎症性の細胞は少なくとも30日間にわたり血管の傷害部位に付着し続ける可能性がある(タナカ(Tanaka)他,1993年、エデルマン(Edelman)他,1998年)。したがって、炎症性の細胞が存在していると、再狭窄における急性の状態と慢性の状態の両方を起因する可能性がある。

0008

多くの物質が再狭窄において推測される抗増殖作用について調査されており、実験動物モデルにおいてある程度の活性を示している。動物モデルにおける内膜の過形成の程度を有効に軽減することを示している一部の物質はヘパリンおよびヘパリン・フラグメント(クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびカルノフスキー,M.(Karnovsky, M.),ネイチャー(Nature),265巻,p.25−26,1977年、ガイトン,J.R.(Guyton, J.R.)他,サーキュレーションリサーチCirc. Res.),46巻,p.625−634,1980年、クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびクロウズ,M.M.(Clowes, M.M.),ラボラトリーインスティゲーション(Lab. Invest.),52巻,p.611−616,1985年、クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびクロウズ,M.M.(Clowes, M.M.),サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),58巻,p.839−845,1986年、マジェスキー(Majesky)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),61巻,p.296−300,1987年、スノー(Snow)他,アメリカン・ジャーナルオブ・パソロジー(Am. J. Pathol.),137巻,p.313−330,1990年、オカダ,T.(Okada, T.)他,ニューロサージェリー(Neurosurgery),25巻,p.92−98,1989年)、コルヒチンクーリエ,J.W.(Currier, J.W.)他,サーキュレーション(Circ.),80巻,p.11−66,1989年)、タクソール(ソロット,S.J.(Sollot, S.J.)他,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(J. Clin. Invest.),95巻,p.1869−1876,1995年)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬パウエル,J.S.(Powell, J.S.)他,サイエンス(Science),245巻,p.186−188,1989年)、アンギオペプチン(ランデルガン,C.F.(Lundergan, C.F.)他,アメリカン・ジャーナル・オブ・カージオロジー(Am. J. Cardiol.),17巻(増刊B)(Suppl. B),p.132B−136B,1991年)、シクロスポリンA(ジョナッソン,L.(Jonasson, L.)他,米国科学アカデミー紀要(Proc. Natl. Acad. Sci.),85巻,p.2303,1988年)、ヤギアンチウサギPDGF抗体(フェルンス,G.A.A.(Ferns, G.A.A.)他,サイエンス,253巻,p.1129−1132,1991年)、テルビナフィン(ネメセック,G.M.(Nemecek, G.M.)他,ジャーナル・オブ・ファーコロジー・エクスペリメンタル・セラピー(J. Pharmacol. Exp. Thera.),248巻,p.1167−1174,1989年)、トラピジル(リウ,M.W.(Liu, M.W.)他,サーキュレーション(Circ.),81巻,p.1089−1093,1990年)、トラニラスト(フクヤマ,J.(Fukuyama, J.)他,ユーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur. J. Pharmacol.),318巻,p.327−332,1996年)、インターフェロンガンマ(ハンソン,G.K.(Hansson, G.K.)およびホルム,J.(Holm, J.),サーキュレーション(Circ.),84巻,p.1266−1272,1991年)、ラパマイシンマークス,S.O.(Marx, S.O.)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),76巻,p.412−417,1995年)、ステロイドコルバーン,M.D.(Colburn, M.D.)他,ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリー(J. Vas. Surg.),15巻,p.510−518,1992年)、(さらに、これについてはバーク,B.C.(Berk, B. C.)他,ジャーナル・オブ・アメリカン・カレッジ・オブ・カージオロジー(J. Am. Coll. Cardiol.),17巻,p.111B−117B,1991年も参照されたい)、電離放射線ウエイバーガー,J.(Weinberger, J.)他,インターナシナル・ジャーナル・オブ・ラジエーションオンコロジー・バイオロジー・フィジックス(Int. J. Rad. Onc. Biol. Phys.),36巻,p.767−775,1996年)、融合トキシン(fusion toxin)(ファーブ,A.(Farb, A.)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),80巻,p.542−550,1997年)、アンチセンスオリジオヌクレオチド(antisense oligionucleotide)(シモンズ,M.(Simons, M.)他,ネイチャー(Nature),359巻,p.67−70,1992年)および遺伝子ベクターチャン,M.W.(Chang, M.W.)他,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(J. Clin. Invest.),96巻,p.2260−2268,1995年)を含む。生体外(イン・ビトロ)における平滑筋細胞に対する抗増殖作用はこれらの物質の多くにおいて示されており、これらは、ヘパリン、ヘパリン共役物質、タクソール、トラニラスト、コルヒチン、ACE阻害薬、融合トキシン、アンチセンス・オリジオヌクレオチド、ラパマイシンおよび電離放射線を含む。したがって、平滑筋細胞阻害のさまざまなメカニズムを伴う薬物は内膜の過形成を減少する点において治療的有用性を有すると考えられる。

0009

しかしながら、動物体モデルとは対照的に、ヒトの血管形成術の患者における全身系的な薬理学的手段による再狭窄の防止の試みはこれまでに成功には程遠いものであった。アスピリンジピリダモールチクロピジン抗凝血剤療法(急性のヘパリン、慢性のワルファリンヒルジンヒルログ)、トロンボキサン受容体拮抗物質、またはステロイドは再狭窄の予防にいずれも有効ではなかったが、血小板抑制物質は血管形成術後における急性の再閉塞の防止に効果的であった(マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年、ラング(Lang)他,1991年、ポプマ(Popma)他,1991年)。また、血小板GPIIb/IIIa受容体である、拮抗物質レオプロ(Reopro)(登録商標)は依然として研究中であるが、このレオプロ(Reopro)(登録商標)は血管形成術およびステント処理の後における再狭窄の軽減において明らかな結果を示していない。さらに、再狭窄の防止において有効性を示していない他の物質として、カルシウムチャネル拮抗薬プロスタサイクリン模倣薬(prostacyclin mimetics)、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、セロトニン受容体拮抗薬、および抗増殖剤が含まれる。しかしながら、これらの薬物は全身系的に投与する必要があり、治療において有効な投薬量を達成することが可能でない場合があり、抗増殖(または、抗再狭窄)に対応する濃度がこれら薬物の既知の毒性濃度を超える可能性があるので、平滑筋阻害を生じさせるために十分な量に到達しえない場合が有りうる(マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年、ラング(Lang)他,1991年、ポプマ(Popma)他,1991年)。

0010

食用魚サプリメントまたはコレステロール低下剤を利用して再狭窄を防止する有効性を調べている別の臨床的試行競合的なまたは否定的な結果を示すことが確かめられており、薬理学的な物質はいずれも依然として血管形成術後の再狭窄を防止することにおいて臨床的に利用可能な段階ではない(マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年、フランクリン(Franklin)およびファクソン(Faxon),1993年、セリュイズ,P.W.(Serruys, P.W.)他,1993年)。最近の観察結果示唆するところによれば、抗脂質剤/酸化防止剤プロブコールが再狭窄の防止において有効であると思われるが、この作用は確認の必要がある(タージフ(Tardif)他,1997年、ヨコイ(Yokoi)他,1997年)。このプロブコールは米国では現在において使用が認可されておらず、緊急の血管形成術において30日間の予備治療期間においてその使用を避ける必要があると考えられている。さらに、電離放射線の適用はステントを伴う患者における血管形成術後の再狭窄の軽減または防止において相当な有望性を示している(テイルスタイン(Teirstein)他,1997年)。しかしながら、現在においては、再狭窄の最も有効な治療は血管形成術、アテレクトミーまたは冠動脈バイパス移植術を繰り返すことであり、この理由は、血管形成術後の再狭窄の防止のために使用するための米国食品医薬品局の認可を有する治療物質が現在において全く存在していないからである。

0011

全身系的な薬理学的療法とは異なり、ステントは再狭窄を著しく軽減することにおいて有用であることが立証されている。一般的に、ステントはバルーン拡張型のスロット付き金属チューブ(通常的に、ステンレススチールであるがこれに限定されない)であり、これらは血管形成術が施された冠動脈の内腔内において拡張されると、その動脈壁部に対する剛性支持骨格構造の形成により構造的な支持を行なう。この支持構造は血管の内腔を開存状態に維持することに役に立つ。例えば、2回の無作為的に行なわれた臨床試行において、ステントは最小の内腔の直径を増大すると共に6ヶ月目における再狭窄の発生率をゼロにしたわけではないが減少したことにより、経皮的冠動脈形成術後における血管造影による有効性を高めている(セリュイズ(Serruys)他,1994年、フィッシュマン(Fishman)他,1994年)。

0012

加えて、ステントのヘパリン被膜はステント植え込み後における亜急性の血栓症を減少するという付加的な利点を有すると思われる(セリュイズ(Serruys)他,1996年)。したがって、ステントによる狭窄した冠動脈の持続された機械的な拡張は再狭窄の防止の方法を提供することが示されており、ヘパリンによるステントの被覆は薬物を損傷した組織部位に局所的に送達することの実行可能性および臨床的な有用性の両方を立証している。

0013

前述のように、ヘパリンを被覆したステントを用いることは局所的な薬剤送達の実行可能性および臨床上の有用性を立証しているが、このような特定の薬物または薬物の組み合わせ物を局所送達装置に固定する様式はこの種の治療の効能において一定の役割を果たす必要がある。例えば、薬物/薬物の組み合わせ物を局所送達装置に固定するために用いる方法および材料はその薬物/薬物の組み合わせ物の作用に対して干渉してはならない。さらに、これらの利用する方法および材料は生体適合性である必要があり、送達中および所与の時間の期間にわたり所与の薬物/薬物の組み合わせ物をその局所送達装置に保持する必要がある。例えば、局所送達装置の送達中におけるその薬物/薬物の組み合わせ物の脱落は潜在的にその装置の能力不全を生じる可能性がある。

0014

したがって、例えば、アテローム硬化症のように生物学的に誘発されるか、または、たとえば、経皮的冠動脈形成術を介して機械的に誘発される、内膜の肥厚化を生じる脈管の損傷の防止および治療のための薬物/薬物の組み合わせ物および関連の局所送達装置に対する要望が存在している。加えて、送達および位置決め中に薬物/薬物の組み合わせ物を局所送達装置において保持すること、および所与の時間の期間にわたり治療的投薬量で薬物/薬物の組み合わせ物を放出することを確実に行なうことに対する要望が存在している。

0015

内膜の肥厚化を引き起こす傷害の防止および治療のための多様なステント被膜および配合物が提案されている。これらの被膜はそれ自体でステントが損傷した内腔壁に与える刺激を減少することができ、それゆえ、血栓症または再狭窄への傾向を低下することができる。あるいは、前記の被膜は平滑筋組織の増殖または再狭窄を減少する医薬品/治療薬または薬物を内腔に送達することも可能である。この薬剤送達のメカニズムはバルクポリマーまたはそのポリマーの構造中に形成されている細孔による薬剤の拡散、または、生体分解性の被膜の浸食により行われる。

0016

ステント用の被膜として生体吸収性で生体安定性の配合物が報告されている。これらの配合物は一般に、医薬品/治療薬または薬物、例えば、ラパマイシン、タクソール等を包み込むか、このような物質をその表面、例えば、ヘパリン被覆型のステントに結合する種々のポリマー被膜であった。これらの被膜は浸漬法噴霧法またはスピンコート法を含むがこれらに限定されない多くの方法でステントに塗布される。

0017

ステント用の被膜として報告されている生体安定性の材料の一例はポリフルオロホモポリマーである。ポリテトラフルオロエチレンPTFE)ホモポリマーは長年にわたりインプラント材料として用いられている。これらのホモポリマーは適当な温度においてはいずれの溶剤にも溶解せず、それゆえ、前記装置の重要な特徴部分(例えば、ステントにおけるスロット部分)を維持しながら小形の各種医療装置に塗布することが困難である。

0018

ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーにより作成されていて、放出するための医薬品/治療薬または薬物を含有している被膜を伴うステントがこれまでに提案されている。しかしながら、大抵の結晶質ポリフルオロホモポリマーと同様に、これらの被膜は、これらをそのポリマーの融点に相当する比較的に高い温度にしない場合には、(ステントの)表面上に高品質フィルムまたは皮膜として塗布することが困難である。

0019

血栓症、再狭窄またはその他の有害な反応を軽減し、このような作用を達成するために種々の医薬品または治療薬または薬物の使用を含むことができるが必ずしもこれを必要とせず、種々の被覆型装置が比較的に低い最高温度かけられる時でも、これらの装置において使用することに有効である物理的および機械的な諸特性を有することのできる植え込み可能な種々の医療装置のための被膜を開発することが有利になると考えられる。また、疾患を治療し、医療装置の植え込みに対する生体反応を最小限にするか実質的に起こさせない種々の薬物、薬剤および/または化合物との組み合わせにおける植え込み可能な医療装置を開発することも有利と考えられる。特定の状況において、創傷の治癒および医療装置における内皮化を助長する種々の薬物、薬剤および/または化合物との組み合わせにおける植え込み可能な医療装置を開発することも有利になると考えられる。

0020

また、前記の被膜または医療装置自体に悪影響を及ぼすことなく種々の被覆型の植え込み可能な医療装置の送達を行なう送達装置を開発することも有利になると考えられる。加えて、このような送達装置は前記医療装置を標的領域内に容易にかつ正確に位置決めするための手段を医者に必然的に提供する。

0021

また、植え込み可能な医療装置からの種々の薬物、薬剤および/または化合物の溶出速度の正確な制御を可能にする植え込み可能な医療装置のための被膜を開発することも有利になると考えられる。

0022

また、細胞増殖に影響を及ぼす異なる分子レベルのメカニズムを通して作用する1種類以上の薬剤の放出を行なう送達装置を開発することも有利になると考えられる。

0023

また、アテローム硬化性プラークの治療のための1種類以上の薬剤の所与の領域に投与を行なう送達装置を開発することも有利になると考えられる。

0024

薬物の効果および送達性を増す薬物の液体調合物を開発することも有利になると考えられる。特に、水に不溶性親油性の薬物の液体溶液投薬形態は、相当量の界面活性剤補助溶媒等に頼ることなく、作ることが困難である。

0025

相当な問題の別の種類の脈管の疾患はアテローム硬化症である。このアテローム硬化症は動脈の肥厚化および硬化であり、一般に、例えば、コレステロール等の脂肪性の物質、炎症性の細胞、細胞性老廃物、動脈の内膜または内壁内のカルシウムおよびその他の物質の、進行性の蓄積により生じると考えられている。これらの刺激性の物質の蓄積はさらに、罹患した動脈の壁部の中の細胞を刺激して、障害部位成長につながる細胞のさらなる蓄積を結果として生じる付加的な物質を生成させる。この蓄積または障害部位は一般にプラークと呼ばれている。

0026

最近の研究は、アテローム硬化症の理解に変化を導いて、まだ十分に治療されていない別の重要な脈管の問題を明らかにしている。科学者は、少なくとも一部の冠状動脈疾患が炎症性の過程であると理論付けており、この場合に、炎症はプラークを不安定にして破裂させる。このような炎症を起こしたプラークはアテローム不安定プラーク(atherosclerotic vulnerable plaque)として知られている。

0027

不安定プラークは平滑筋細胞の薄い層により被覆されている高脂肪コアからなっている。これらの不安定プラークは破裂しやすくて浸食を受けやすく、前記の薄い細胞層が破裂するか、潰瘍になると、かなりの梗塞を引き起こす可能性がある。炎症性の細胞が浸食を受けるか、破裂すると、その脂肪のコアは血流に曝されて、その動脈内に血栓を形成する。これらの血栓は速やかに成長して、その動脈を遮断するか、分離して下流側に移動して、塞栓性現象、不安定なアンギナ、心筋梗塞、および/または急死を引き起こす。実際に、一部の最近の研究では、プラークの破裂が、全ての致命的な心筋梗塞の内の60〜70%を引き起こす可能性がある、と示唆している。なお、不安定プラークのさらに詳細な説明については、キャンベル(Campbell)に発行されている米国特許第5,924,997号およびキャンベル(Campbell)他に発行されている米国特許第6,245,026号を参照されたい。

0028

アテローム硬化症を検出するために用いられている初期の方法は、心臓の患者における不安定プラークを可視化して確認するための診断器具を欠いていた。しかしながら、新しい診断技法は、冠動脈内の不安定プラークの位置を確認するために開発中である。これらの新しい装置は、精密な磁気共鳴画像法MRI)、炎症の過程が熱を発生するという仮定において動脈壁部の温度を測定する熱センサー弾性センサー、脈管内音波光干渉トモグラフィOCT)、造影剤、および近赤外および赤外光、を含む。しかしながら、現在において明らかでないことは、不安定プラークの障害部位が見つかった後にこれらを治療する方法である。

0029

従来のステント処理に続いてバルーン血管形成を用いることにより不安定プラークを治療することは十分とは言えない結果を生じることになるであろう。すなわち、バルーン血管形成は、それ自体により、不安定プラークを破裂させて、下層の新しい組織細胞コラーゲンまたは損傷した内皮、を血流に対して露出させる可能性がある。この状況は、血管を部分的にまたは完全に閉塞させる血栓または血液凝固物の形成に、最終的につながる。加えて、の被覆されていないステントは不安定プラークの上に保護カバーを与える新内膜過形成を誘発するが、再狭窄が、元の不安定プラークよりも、患者をさらに危険にする可能性がある重要な問題として残る。

0030

したがって、不安定プラークおよび関連の脈管の疾患を有効に治療する薬物溶出式ステントまたはその他の医療装置を開発することが有利になると考えられる。

0031

〔発明の概要
本発明の、治療の投薬量の1種類以上の薬物、薬剤、および/または化合物との組み合わせにおける医療装置は、前記において簡単に説明されているような、再狭窄、血小板の凝集、ぜい弱性プラークおよびその他の関連の脈管の疾患の治療のために、現在において用いられている方法および装置に付随する困難を解消するための手段を提供している。

0032

一例の態様によれば、本発明は医療装置に関連している。この医療装置は、植え込み可能な構造体と、第1の高分子材料の中に混合されている、治療の投薬量における、ラパマイシン(rapamycin)およびPI3キナーゼ抑制因子の組み合わせ物を含有している、第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、ラパマイシン(rapamycin)およびPI3キナーゼ抑制因子の溶出速度を調整するために、前記第1の被膜に固定されている、第2の高分子材料を含有している、第2の被膜と、を備えている。

0033

別の態様によれば、本発明は医療装置に関連している。この医療装置は、植え込み可能な構造体と、治療の投薬量のラパマイシン(rapamycin)および第1の高分子材料を含有している、第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子および第2の高分子材料を含有している、第2の被膜であって、前記第1の被膜に固定されている、第2の被膜と、ラパマイシン(rapamycin)およびPI3キナーゼ抑制因子の溶出速度を調整するために、前記第2の被膜に固定されている、第3の高分子材料を含有している、第3の被膜と、を備えている。

0034

別の態様によれば、本発明は医療装置に関連している。この医療装置は、植え込み可能な構造体と、第1の高分子材料の中に混合されている、治療の投薬量の抗再狭窄剤および治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子の組み合わせ物を含有している、第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、抗再狭窄剤およびPI3キナーゼ抑制因子の溶出速度を調整するために、前記第1の被膜に固定されている、第2の高分子材料を含有している、第2の被膜と、を備えている。

0035

別の態様によれば、本発明は医療装置に関連している。この医療装置は、植え込み可能な構造体と、治療の投薬量の抗再狭窄剤および第1の高分子材料を含有している、第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子および第2の高分子材料を含有している、第2の被膜であって、前記第1の被膜に固定されている、第2の被膜と、第3の高分子材料を含有していて、抗再狭窄剤およびPI3キナーゼ抑制因子の溶出速度を調整するために、前記第2の被膜に固定されている、第3の被膜と、を備えている。

0036

別の態様によれば、本発明は医療装置に関連している。この医療装置は、植え込み可能な構造体と、第1の高分子材料の中に混合されている、治療の投薬量の抗再狭窄剤および治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子の組み合わせ物を含有している、第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、前記第1の被膜に固定されている第2の高分子材料を含有している、第2の被膜であって、少なくとも7日の期間にわたり、抗再狭窄剤およびPI3キナーゼ抑制因子を放出するように構成されている、第2の被膜と、を備えている。

0037

別の態様によれば、本発明は医療装置に関連している。この医療装置は、植え込み可能な構造体と、治療の投薬量の抗再狭窄剤および第1の高分子材料を含有している、第1の被膜であって、前記植え込み可能な構造体の表面に固定されている、第1の被膜と、治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子および第2の高分子材料を含有している、第2の被膜であって、前記第1の被膜に固定されている、第2の被膜と、第3の高分子材料を含有していて、前記第2の被膜に固定されている、第3の被膜であって、少なくとも7日の期間にわたり、抗再狭窄剤およびPI3キナーゼ抑制因子を放出するように構成されている、第3の被膜と、を備えている。

0038

別の態様によれば、本発明は脈管の疾患を治療するための方法に関連している。この脈管の疾患を治療するための方法は、抗再狭窄剤およびPI3キナーゼ抑制因子の、治療の投与量の組み合わせ物の局所投与、を含む。

0039

別の態様によれば、本発明は医療装置に関連している。この医療装置は、植え込み可能な構造体と、この植え込み可能な構造体に固定されている、ラパマイシン(rapamycin)およびPI3キナーゼ抑制因子の組み合わせ物と、を備えている。

0040

別の態様によれば、本発明は医療装置に関連している。この医療装置は、植え込み可能な構造体と、この植え込み可能な構造体に固定されている、治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子と、を備えている。

0041

別の態様によれば、本発明は再狭窄を治療するための方法に関連している。この再狭窄を治療するための方法は、治療の投薬量のPI3キナーゼ抑制因子の局所投与、を含む。

0042

薬物、薬剤および/または化合物の種々の組み合わせ物が種々の状況を治療するために利用できる。例えば、ラパマイシン(rapamycin)およびトリコスタチンA(trichostatin A)は脈管の傷害後の再狭窄を治療または予防するために利用できる。ラパマイシン(rapamycin)およびトリコスタチンA(trichostatin A)は、細胞増殖に影響を及ぼす異なる分子レベルのメカニズムを通して作用するので、これらの物質は、薬物溶出式のステントにおいて組み合わされる場合に、異なる複数のメカニズムにより、平滑筋および免疫細胞の増殖(炎症性細胞の増殖)の両方をダウンレギュレーションすることにより、互いの抗再狭窄性の活性(anti-restenotic activity)を高めることが可能である。このようなトリコスタチンA(trichostatin A)によるシロリムス(sirolimus)の抗増殖性の活性の増強は、脈管再生およびその他の脈管の外科処置中の脈管の傷害後の抗再狭窄性の作用における向上、およびこの抗再狭窄性の効果を得るために必要とされるそれぞれの物質の量の減少と、言い換えることができる。

0043

トリコスタチンA(trichostatin A)は人間の冠状動脈平滑筋の細胞増殖の完全で有効な遮断により、局所的な脈管への適用(例えば、ステントまたはカテーテルに基づく送達)により新内膜の形成を遮断できる。前記のシロリムス(sirolimus)とトリコスタチンA(trichostatin A)(および、その薬理学的な種類の範囲内の別の薬剤)との組み合わせ物は、ラパマイシン(rapamycin)単独よりも、さらに再狭窄/新内膜の肥圧化に対して有効であると考えられる新しい治療用の組み合わせ物を代表している。加えて、この組み合わせ物の異なる用量は、ラパマイシン(rapamycin)およびトリコスタチンA(trichostatin A)の単純な添加の作用よりも、新内膜の増殖の抑制の付加的な利益を生じることができる。さらにこのラパマイシン(rapamycin)とトリコスタチンA(trichostatin A)との組み合わせ物は、ぜい弱性アテローム硬化症のプラーク等のような別の心臓脈管の病気に対して有効である可能性がある。

0044

別の代替的で例示的な実施形態において、ラパマイシン(rapamycin)はミコフェノール酸(mycophenolic acid)との組み合わせにおいて利用可能である。ラパマイシン(rapamycin)およびミコフェノール酸(mycophenolic acid)は、細胞周期の異なる段階において、細胞増殖に影響を及ぼす異なる分子レベルのメカニズムを通して作用するので、これらの物質は、薬物溶出式のステントまたは本明細書において定められているような任意の他の医療装置において組み合わされる場合に、異なるメカニズムにより、平滑筋および免疫細胞の増殖の両方をダウンレギュレーションすることにより、互いの抗再狭窄性の活性を高めることが可能である。

0045

さらに別の代替的で例示的な実施形態において、ラパマイシン(rapamycin)はクラドリビン(cladribine)との組み合わせにおいて利用可能である。ラパマイシン(rapamycin)およびクラドリビン(cladribine)は、細胞周期の異なる段階において、細胞増殖に影響を及ぼす異なる分子レベルのメカニズムを通して作用するので、これらの物質は、薬物溶出式のステントまたは本明細書において定められているような任意の他の医療装置において組み合わされる場合に、異なるメカニズムにより、平滑筋および免疫細胞の増殖の両方をダウンレギュレーションすることにより、互いの抗再狭窄性の活性を高めることが可能である。本質的に、前記のラパマイシン(rapamycin)とクラドリビン(cladribine)との組み合わせ物は、いずれかの物質の単独またはこれら2種類の薬剤の効果の単純な合計よりも、さらに有効であると考えられる治療用の組み合わせ物を代表している。加えて、この組み合わせ物の異なる用量は、ラパマイシン(rapamycin)またはクラドリビン(cladribine)単独よりも、新内膜の増殖の抑制の付加的な利益を生じることができる。

0046

さらに別の代替的で例示的な実施形態において、ラパマイシン(rapamycin)は、イリノテカン(irinotecan)、カンプトセシン(camptothecin)、カンプトサル(camptosar)およびDX−8951fを含む、トポテカン(topotecan)または他のトポイソメラーゼ(topoisomerase)I抑制因子、との組み合わせにおいて利用可能である。ラパマイシン(rapamycin)およびトポテカン(topotecan)は、細胞周期の異なる段階において、細胞増殖に影響を及ぼす異なる分子レベルのメカニズムを通して作用するので、これらの物質は、薬物溶出式のステントまたは本明細書において定められているような任意の他の医療装置において組み合わされる場合に、異なる複数のメカニズムにより、平滑筋細胞および免疫細胞の増殖(炎症性細胞の増殖)の両方をダウンレギュレーションすることにより、互いの抗再狭窄性の活性を高めることが可能である。本質的に、前記のラパマイシン(rapamycin)とトポテカン(topotecan)または他のトポイソメラーゼ(topoisomerase)I抑制因子との組み合わせ物は、いずれかの物質の単独またはこれら2種類の薬剤の効果の単純な合計よりも、さらに有効であると考えられる治療用の組み合わせ物を代表している。加えて、この組み合わせ物の異なる用量は、ラパマイシン(rapamycin)またはトポテカン(topotecan)単独よりも、新内膜の増殖の抑制の付加的な利益を生じることができる。

0047

さらに別の代替的で例示的な実施形態において、ラパマイシン(rapamycin)は、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)およびその誘導体およびテニポシド(teniposide)を含む、エトポシド(etoposide)または他の細胞増殖抑制性グルコシド、との組み合わせにおいて利用可能である。ラパマイシン(rapamycin)およびエトポシド(etoposide)は、細胞周期の異なる段階において、細胞増殖に影響を及ぼす異なる分子レベルのメカニズムを通して作用するので、これらの物質は、薬物溶出式のステントまたは本明細書において定められているような任意の他の医療装置において組み合わされる場合に、異なる複数のメカニズムにより、平滑筋細胞および免疫細胞の増殖(炎症性細胞の増殖)の両方をダウンレギュレーションすることにより、互いの抗再狭窄性の活性を高めることが可能である。本質的に、前記のラパマイシン(rapamycin)と、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)およびその誘導体およびテニポシド(teniposide)を含む、エトポシド(etoposide)または他の細胞増殖抑制性グルコシドとの組み合わせ物は、いずれかの物質の単独またはこれら2種類の薬剤の効果の単純な合計よりも、さらに有効であると考えられる治療用の組み合わせ物を代表している。加えて、この組み合わせ物の異なる用量は、ラパマイシン(rapamycin)またはエトポシド(etoposide)単独よりも、新内膜の増殖の抑制の付加的な利益を生じることができる。

0048

さらに別の代替的で例示的な実施形態において、2−メトキシエストラジオール(2-methoxyestraiol)またはパンゼム(Panzem)(登録商標)は、脈管の傷害後の再狭窄を予防するために、単独またはラパマイシン(rapamycin)との組み合わせにおいて、利用可能である。ラパマイシン(rapamycin)またはシロリムス(sirolimus)およびパンゼム(Panzem)(登録商標)は、異なる分子レベルのメカニズムを通して細胞増殖を抑制するように作用するので、これらの物質は、薬物溶出式のステントまたは本明細書において定められているような任意の他の医療装置において組み合わされる場合に、異なる複数のメカニズムにより、平滑筋および免疫細胞の増殖の両方をダウンレギュレーションすることにより、互いの抗再狭窄性の活性を高めることが可能である。本質的に、前記のラパマイシン(rapamycin)とパンゼム(Panzem)(登録商標)または他のエストロゲン受容体モジュレーターとの組み合わせ物は、いずれかの物質の単独またはこれら2種類の薬剤の効果の単純な合計よりも、さらに有効であると考えられる治療用の組み合わせ物を代表している。加えて、この組み合わせ物の異なる用量は、ラパマイシン(rapamycin)またはパンゼム(Panzem)(登録商標)単独よりも、新内膜の増殖の抑制の付加的な利益を生じることができる。

0049

さらに別の代替的で例示的な実施形態において、ラパマイシン(rapamycin)はシロスタゾール(cilostazol)との組み合わせにおいて利用可能である。このラパマイシン(rapamycin)およびシロスタゾール(cilostazol)の組み合わせ物は、平滑筋細胞の増殖および移動の両方の減少において、いずれかの薬物の単独よりも、さらに有効である可能性がある。加えて、この組み合わせ物の被膜からのシロスタゾール(cilostazol)の放出は、血液接触式の医療装置の表面上における長期の抗血小板付着および抗塞栓形成を達成するために、持続された様式で、調整できる。この場合に、前記組み合わせ物の被膜の中におけるシロスタゾール(cilostazol)の混合は、ラパマイシン(rapamycin)を伴う単一の層の中、あるいは、ラパマイシン(rapamycin)を含有している層の外側の別の層の中、の両方において、構成できる。

0050

さらに別の代替的で例示的な実施形態において、ラパマイシン(rapamycin)はPI3キナーゼ抑制因子との組み合わせにおいて利用可能である。本発明は、脈管の傷害の適用における新内膜の過形成を防ぐための、単独またはシロリムス(sirolimus)との組み合わせにおける、PI3キナーゼ抑制因子(例えば、PX867)の使用を記載している。このシロリムス(sirolimus)およびPI3キナーゼ抑制因子は発散性の抗増殖性のメカニズムを通して作用するので、これらの薬剤は、薬物溶出式ステントにおいて組み合わされると、異なる複数のメカニズムによって、平滑筋細胞および免疫細胞の増殖(炎症性細胞の増殖)の両方をダウンレギュレーションすることにより、互いの抗再狭窄性の活性を増強する可能性がある。このような、PI3キナーゼ抑制因子によるシロリムス(sirolimus)の抗増殖性の活性の増強は、脈管再生およびその他の脈管の外科処置の間における脈管の傷害後の抗再狭窄性の効果における向上と、この抗再狭窄性の効果を達成するためのいずれかの薬剤の必要とされる量における減少と、言い換えることができる。

0051

本発明の、医療装置、薬物被膜、送達装置、および当該送達装置の上に薬物被膜またはビヒクルを維持するための方法は、疾患や、疾患またはその他の状況の治療のための医療装置の植え込みによる生体の反応、を治療するために、材料の組み合わせ物を利用している。この薬物、薬剤または化合物の局所的な送達は一般に、それぞれの効果を増しながら、全身系的な送達に比べた場合に、それらの薬物、薬剤または化合物の潜在的な毒性を実質的に減少させる。

0052

薬物、薬剤または化合物は、種々の疾患を治療するために、多数の医療装置に固定できる。これらの薬物、薬剤または化合物はまた、別の状況を治療するために利用されている医療装置の導入による生物学的な生体反応を最小限にするか実質的に起こさせないために固定することも可能である。例えば、ステントは冠動脈や、胆管等のような、別の体内腔を開くために導入できる。これらのステントの導入は平滑筋細胞の増殖作用ならびに炎症を引き起こす。したがって、これらのステントは、前記のような反応に対処するために、薬物、薬剤または化合物により被覆できる。特定の種類の外科手術において日常的に用いられている、吻合装置もまた、平滑筋細胞の増殖作用ならびに炎症を引き起こす可能性がある。また、ステントグラフトおよび、例えば、動脈瘤バイパスシステム等の、ステントグラフトを利用しているシステムは、これらの装置の導入により引き起こされる有害な影響を防ぎ、治癒や取り込みを促進させるために、薬物、薬剤および/または化合物により被覆できる。それゆえ、これらの装置はまた、これらの反応に対処するために、薬物、薬剤および/または化合物により被覆することも可能である。加えて、動脈瘤バイパスシステム等のような装置は、創傷治癒および内皮化を促進させる薬物、薬剤および/または化合物により被覆することにより、内部漏れの危険性やその他の類似の現象を減少させる。

0053

前記薬物、薬剤または化合物は、医療装置の種類、医療装置の導入に対する反応および/または治療することが求められている疾患に応じて、変更する。また、これらの薬物、薬剤または化合物を医療装置に固定するために利用される被膜やビヒクルの種類も、その医療装置の種類、薬物、薬剤または化合物の種類、およびこれらの放出の速度を含む、さまざまな要素に応じて、変更してもよい。

0054

効果的であるために、前記の薬物、薬剤または化合物は、送達や植え込みの間に、医療装置に留まっていることが当然に好ましい。したがって、これらの薬物、薬剤または化合物の間の強い結合を形成するための種々の塗布技法(coating techniques)が利用できる。加えて、薬物、薬剤または化合物が早発的に脱離することを防ぐための表面改質剤として、種々の物質を利用できる。

0055

あるいは、前記被覆された植え込み可能な医療装置のための送達装置は、その被膜または装置自体に対する損傷の潜在的な危険性を最小限にするために、改良できる。例えば、自己拡張式ステント配備することに付随する摩擦力を減少させるために、ステント送達装置に対する種々の改良を行なうことができる。具体的に、前記送達装置は種々の物質により被覆することが可能であり、あるいは、被覆されたステントの特定の領域における力の作用を減少させるための特徴を含んでいてよい。

0056

本発明の自己拡張式ステントの送達システムは、熱分解カーボンまたは類似の物質の層により被覆されているシース、を備えている。この熱分解カーボンの層は、ステントの領域の中のシースの内腔にまたはそのシースの全長に沿って、固定できる。この熱分解カーボンは、自己拡張式のステントが、比較的に軟質高分子のシースの中に埋め込まれることを防ぐために、十分に硬質である。加えて、前記熱分解カーボンは潤滑性の材料である。これらの2種類の特性は、配備中のステントに対する損傷の変化を減少させると共に、ステントの配備のために必要とされる力を減少させ、これにより、医者が、配置を達成して、さらに正確なステントの配備を行なうことを容易にしている。

0057

前記の熱分解カーボンは、シースの内腔または基質に、直接に固定可能であり、この基質はさらにシースの内腔に固定される。種々の既知の技法が前記の製造方法において利用可能である。熱分解カーボンは生体適合性であり、多数の植え込み可能な医療装置の中において、現在、利用されている。この熱分解カーボンの層は、上述の特徴を備えるために十分に厚いが、全体のプロファイルおよび送達システムの柔軟性を維持するために十分に薄い。

0058

前記熱分解カーボンの潤滑性は、薬物被覆型ステントにおいて、特に有利である。この薬物の被膜、および薬物、薬剤または化合物、を含有しているポリマーは、好ましくは、最良の結果のために、ステントに留まる必要がある。シース上の潤滑性の被膜は、薬物またはポリマーが送達中に擦れ落ちる危険性を、実質的に減少させる。

0059

本発明の自己拡張性ステントの送達システムは、改良された軸部(shaft)を備えていてもよい。この改良された軸部は、ステント要素の間の隙間の中に、その軸部から突出する複数の要素、を含んでいてよい。これらの要素は、ステントの圧縮を防ぐか実質的に減少させることにより、配備中にステントに作用する力をかなり減少させることができる。これら複数の要素が無ければ、そのステントは送達システムの内側の軸部における停止部材に対して移動してこれを圧縮する可能性がある。さらに、このステントの圧縮は、比較的に高い配備の力を生じる。したがって、複数の要素を有する軸部はステントの長手方向の移動を無くすか実質的に減少させ、これにより、前記のような圧縮を無くすか実質的に減少させる。加えて、前記の突出している要素は、これら複数の要素にわたって、ステントに作用する全体の力を分配するので、ステントおよびその上のあらゆる被膜における局在化した応力が少なくなる。

0060

本発明の植え込み可能な医療装置の表面を被覆するための組成物は、薬物放出に対する化学的および物理的なバリアを与える被膜を達成するために、2種類の化学的に異なるポリマーの組み合わせ物、を用いている。この組み合わせ物は、耐久性および潤滑性であり、前記被膜の中に含有されているあらゆる薬物、薬剤、および/または化合物の溶出速度について、制御を行なう。

0061

微小針または、灌流バルーン等のような、他のカテーテル型送達システムは、アテローム硬化性プラークの部位に、ラパマイシン(rapamycin)を含む、1種類以上の薬物、薬剤および/または化合物を送達するために利用できる。この種の所与の領域にわたる送達は、単独で、または、植え込み可能な医療装置とこれに固定されている同種または異種の薬物との組み合わせにおいて、利用できる。前記の1種類以上の薬物、薬剤および/または化合物は好ましくは、病巣に最も近い外膜の空間(adventitial space)に送達される。

0062

ラパマイシン(rapamycin)等のような、有効な治療剤の、局所的または所与の領域にわたり送達される溶液は、全身系的に送達される薬剤や植え込み可能な医療装置により送達される薬剤よりも、多数の利点を提供する。例えば、動脈壁内に薬剤を直接に付着させることにより、比較的に高い組織濃度を達成できる。沈着の位置により、異なる薬物濃度プロファイルを、薬物溶出式ステントのプロファイルによるよりも、達成することができる。加えて、局所的にまたは所与の領域にわたり送達される溶液により、ステント等のような永久に植え込まれる装置に対する必要性がなくなり、これにより、炎症反応や長期間の組織の損傷等のような、ステントに伴う潜在的な副作用を無くなる。しかしながら、この局所的にまたは所与の領域にわたり送達される溶液が、薬物溶出式ステントや他の被覆型の植え込み可能な医療装置との組み合わせにおいて利用可能であることを注目することが重要である。さらに、溶液または液体配合物の別の利点は、その液体調合物中の賦形剤の調節が薬物の分布および保持のプロファイルを容易に変えるという事実において、存在している。加えて、前記液体調合物は、投与形態保管および貯蔵寿命を改善するために、予め包装された多数チャンバー式の注入装置により、注入直前に混合してもよい。

0063

ぜい弱性プラークは脈管の疾患であり、この場合に、高脂質のコアが平滑筋細胞の薄い層により被覆されている。これらのぜい弱性プラークは破裂または侵食しやすく、薄い炎症性の細胞の層が破裂するか潰瘍になると、かなりの梗塞を引き起こす可能性がある。炎症性の細胞が侵食されるか、破裂すると、脂質のコアは血流に曝されて、その動脈の中に血栓を形成する。これらの血栓は速やかに成長して、その動脈を遮断するか、分離して下流に移動して、塞栓症の状況、不安定なアンギナ、心筋梗塞、および/または急死、につながる。本発明は、血管の開通性を維持するように設計されている支持骨格構造に関連しており、この支持骨格構造は、ぜい弱性プラークの破裂および脂質コアの代謝に付随する、炎症およびその他の病状を治療するための、1種類以上の治療用の薬物、薬剤および/または化合物、を含有している高分子の被膜構造、を含む。抗炎症性の治療用の薬物、薬剤および/または化合物は、疾患の炎症性で急性の状態に対処するために、速やかな放出のための、被膜構造の中に組み込むことが可能であり、脂質を低下させる薬物、薬剤、および/または化合物は、疾患の慢性の状態に対処するために、ゆっくりとした放出のための、被膜構造の中に混合できる。加えて、複数の薬物を、相乗効果を与えるために、組み合わせることも可能である。また、これらの異なる薬物は、疾患の異なる状況において作用するために、異なるメカニズムを通して、作用する。

0064

本発明の前記およびその他の特徴および利点が以下の添付図面において例示されている本発明の好ましい実施形態のさらに詳しい説明により明らかになるであろう。

0065

〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
本発明の薬物/薬物の組み合わせおよび送達装置は、脈管の疾患、特に傷害により生じた脈管の疾患を効果的に予防および治療するために利用できる。脈管の疾患の治療において利用されている種々の医療用治療装置は、最終的にさらに別の合併症を誘発する可能性がある。例えば、バルーン脈管形成術は動脈の中を通る血流を増加するために利用されている処置であり、冠状動脈の狭窄における主要な治療方法である。しかしながら、前述のように、この処置は脈管壁部に対してある程度の損傷を生じるために、ある程度の時間の経過後に、その問題を潜在的に悪化させる可能性がある。また、別の処置および疾患も同様の傷害の原因になる可能性があるが、本発明の例示的な実施形態は、経皮的冠動脈形成術およびその他の、類似の動脈、静脈およびこれら以外の流体運搬導管を含む、別の類似の動脈/静脈処置に続いて生じる再狭窄および関連の合併症の治療に関して説明されている。加えて、被覆型の医療装置の効果的な送達のための種々の方法および装置が説明されている。

0066

本発明の例示的な実施形態は経皮的冠動脈形成術に続いて生じる再狭窄および関連の合併症の治療に関して説明されているが、前記薬物/薬物の組み合わせの局所的な送達が多数の医療装置を利用して多用な状況を治療すること、またはその装置の機能および/または寿命を高めること、のために利用できることに注目することが重要である。例えば、白内障手術後の視力回復するために配置される眼内レンズは二次的な白内障の形成により損なわれる場合が多い。後者はレンズ表面の上における細胞の過剰成長の結果である場合が多く、その装置に対する1種類以上の薬物の結合により潜在的に最小にすることができる。さらに、装置の内部、上部およびその周囲における組織の内部増殖またはタンパク質様の物質の堆積により故障する場合の多い別の医療装置、例えば、水頭症用のシャント透析グラフト(dialysis graft)、結腸取付装置ドレナージ管ペースメーカーおよび植え込み可能な除細動器用のためのリード線等もまた前記のような装置−薬物の組み合わせの方法により恩恵を受けることができる。また、組織または器官の構造および機能を改善するために役立つ装置も、適当な1種類以上の薬剤と組み合わされる場合に種々の有益性を示すことができる。例えば、植え込まれた装置の安定性を高めるための改善された整形外科装置骨一体化機能が、その装置を骨−形態形成性のタンパク質等のような物質と組み合わせることにより潜在的に達成可能になる。同様に、別の外科装置、縫合糸、ステープル、吻合装置、椎骨ディスク骨ピン縫合糸アンカー止血用バリア、クランプ、ねじ、プレートクリップ、脈管インプラント組織接着剤および密封材組織支持骨格材料、種々の包帯骨置換材料、内腔内装置、および脈管支持体もまた、前記のような薬物−装置の組み合わせの方法により患者の有益性を高めることができる。特に、脈管周囲ラップは単独または他の医療装置との組み合わせにおいて有利であると考えられる。すなわち、このような脈管周囲ラップは治療部位に対して付加的な薬物を供給することができる。本質的に、任意の種類の医療装置がその装置または薬剤の1回の使用期間の全体にわたり治療効果を高める薬物または薬物の組み合わせにより、ある様式で被覆できる。

0067

種々の医療装置に加えて、これらの装置における被膜は治療薬および薬剤を送達するために用いることができ、これらの治療薬および薬剤は、ビンカアルカロイド類(vinca alkaloids)(すなわち、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、およびビノレルビン(vinorelbine))等のような天然産物パクリタキセル(paclitaxel)、エピジポドフィルロトキシン類(epidipodophyllotoxins)(すなわち、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide))、抗生物質(すなわち、ダクチノマイシン(dactinomycin)(アクチノマイシンD(actinomycin D))、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)およびイダルビシン(idarubicin))、アントラサイクリン(anthracyclines)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ブレオマイシン(bleomycins)、プリカマイシン(plicamycin)(ミトラマイシン(mithramycin))およびマイトマイシン(mitomycin)、酵素(L−アスパラギン(L-asparagine)を全身系的に代謝し、独自にアスパラギン(asparagine)を合成する機能をもたない細胞を奪取するL−アスパラギナーゼ等)を含む抗増殖/抗有糸分裂剤、G(GP)IIb/IIIa抑制因子およびビトロネクチン(vitronectin)受容体拮抗物質等のような抗血小板剤ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustards)(メクロレタミン(mechlorethamine)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)およびその類似体メルファラン(melphalan)、クロラムブシル(chlorambucil))、エチレンイミン(ethyleneimines)およびメチルメラミン(methylmelamines)(ヘキサメチルメラミン(hexamethylmelamine)およびチオテパ(thiotepa))、スルホン酸アルキル類−ブスルファン複合物(alkyl sulfonates-busulfan)、ニトロソ尿素類(nitrosoureas)(カルムスチン(carmustine)(BCNU)およびその類似体、ストレプトゾシン(streptozocin))、トラゼン−ダカルバジニン複合物(trazenes-dacarbazinine)(DTIC)等のような抗増殖/抗有糸分裂アルキル化剤葉酸類似体(メトトレキサート(methotrexate))、ピリミジン類似体フルオロウラシル(fluorouracil)、フロクスウリジン(floxuridine)およびシタラビン(cytarabine))、プリン類似体および関連の抑制因子(メルカプトプリン(mercaptopurine)、チオグアニン(thioguanine)、ペントスタチン(pentostatin)および2−クロロデオキシアデノシン(2-chlorodeoxyadenosine){クラドリビン(cladribine)})、白金配位錯体(platinum coodination complexes)(シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin))、プロカルバジン(procarbazine)、ヒドロキシ尿素(hydroxyurea)、ミトテン(mitotane)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)等のような抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗物質ホルモン類(すなわち、エストロゲン(estrogen))、抗凝固薬(ヘパリン(heparin)、合成ヘパリン塩類(synthetic heparin salts)およびその他のトロンビンの抑制物質)、フィブリン溶解剤組織プラスミノゲン活性化因子(tissue plasminogen activator)、ストレプトキナーゼ(streptokinase)およびウロキナーゼ(urokinase)等)、アスピリン(aspirin)、ジピリダモール(dipyridamole)、チクロピジン(ticlopidine)、クロピドグレル(clopidogrel)、アブシキシマブ(abciximab)、抗遊走薬(antimigratory)、抗分泌薬(ブレベルジン(breveldin))、さらに、副腎皮質ステロイドコルチゾール(cortisol)、コルチゾン(cortisone)、フルドロコルチゾン(fludrocortisone)、プレドニゾン(prednisone)、プレドニゾロン(prednisolone)、6α−メチルプレドニゾロン(6α-methylprednisolone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、ベタメタゾン(betamethasone)、およびデキサメタゾン(dexamethasone))、非ステロイド性薬剤(サリチル酸誘導体(salicylic acid derivatives)、すなわち、アスピリン(aspirin)、パラアミノフェノール誘導体(para-aminophenol derivatives)、すなわち、アセトアミノフェン(acetaminophen))等のような抗炎症薬インドールおよびインデン酢酸(indole and indene acetic acids)(インドメタシン(indomethacin)、スリンダク(sulindac)、およびエトダラック(etodalac))、ヘテロアリール酢酸(トルメチン(tolmetin)、ジクロフェナク(dicrofenac)およびケトロラク(ketorolac))、アリールプロピオン酸イブプロフェン(ibuprofen)およびその誘導体)、アントラニル酸メフェナム酸(mefenamic acid)およびメクロフェナム酸(meclofenamic acid))、エノール酸(enolic acids)(ピロキシカム(piroxicam)、テノキシカム(tenoxicam)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、およびオキシフェンタトラゾン(oxyphenthatrazone))、ナブメトン(nabumetone)、金化合物オーラノフィン(auranofin)、金チオグルコース(aurothioglucose)、金チオリンゴ酸ナトリウム(gold sodium thiomalate))、免疫抑制剤、すなわち、(シクロスポリン(cyclosporine)、タクロリムス(tacrolimus)(FK−506)、シロリムス(sirolimus)(ラパマイシン(rapamycin))、アザチオプリン(azathioprine)、ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil))、脈管形成剤、すなわち、血管内皮細胞増殖因子VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、アンギオテンシン受容体遮断薬一酸化窒素供与体、アンチセンス・オリゴヌクレオチド類およびこれらの組み合わせ、細胞周期抑制因子、mTOR抑制因子、および増殖因子受容体信号伝達キナーゼ抑制因子(growth factor receptor signal transduction kinase inhibitor)、レテノイド(retenoid)、サイクリン/CDK抑制因子、HMG補酵素還元酵素阻害剤スタチン類(statins))、およびプロテアーゼ阻害剤等、を含む。

0068

前述のように、バルーン脈管形成術と関連している冠状動脈ステントの植え込みは急性の脈管閉塞の治療において極めて有効であり、再狭窄の危険性を減少させることができる。脈管内超音波調査に関する研究(ミンツ(Mintz)他,1996年)は、冠状動脈ステント処理が脈管の狭窄を有効に防止すること、およびステント植え込み後における術後内腔損失の大部分がプラークの増殖によるものであり、恐らくは新内膜過形成に関連していること、を示唆している。この冠状動脈ステント処理後の術後内腔損失率は従来のバルーン脈管形成術の後に観察される量のほぼ2倍高い。したがって、ステントが再狭窄の過程の少なくとも一部分を妨げる限りにおいて、平滑筋細胞の増殖を阻止し、炎症を軽減して凝固を減少させるか、または、多数のメカニズムにより平滑筋細胞の増殖を阻止するか、ステントと組み合わされて炎症を軽減して凝固を減少させる、薬物、薬剤または化合物の組み合わせは、脈管形成術後の再狭窄に対する最も効力のある治療方法を提供する可能性がある。また、同種または異種の薬物/薬物の組み合わせの局所的な送達との組み合わせにおける薬物、薬剤または化合物の全身系的な使用も有益な治療の選択肢を与える可能性がある。

0069

ステントからの薬物/薬物の組み合わせの局所的な送達は以下の利点、すなわち、ステントの支持骨格作用による脈管の反跳および再造形の防止、新内膜の過形成または再狭窄の多くの発生要素の阻止ならびに炎症および血栓症の軽減という利点を、有している。さらに、前記のようなステント処理した冠状動脈への薬物、薬剤または化合物の局所的な投与はさらに付加的な治療上の有益性を有することもできる。例えば、薬物、薬剤または化合物の、組織における比較的に高い濃度は、全身系的な投与ではなく、局所的な送達を利用することにより達成できる。加えて、減少された全身系的な毒性は、全身系的な投与ではなく、組織における比較的に高い濃度を維持しながら、局所的な送達を利用することにより達成できる。また、全身系的な投与の代わりに、ステントによる局所的な送達を利用することにおいて、1回の処置で、比較的に良好な患者の応諾感に対して十分に対応できる。さらに、前記のような薬物、薬剤、および/または化合物の組み合わせによる治療の付加的な有益性は治療用の薬物、薬剤または化合物のそれぞれの投薬量を減少させることができることであり、これにより、それぞれの毒性を制限すると共に、再狭窄、炎症および血栓症の軽減を達成できる。それゆえ、前記のような局所的なステントに基づく治療方法は抗再狭窄性、抗炎症性、または抗血栓性の薬物、薬剤または化合物の治療率(効力/毒性)を改善する手段である。

0070

経皮的冠動脈形成術に続いて利用できる多数の異なるステントが存在する。このような多数のステントを本発明にしたがって利用することが可能であるが、簡明化のために、限定された数のステントが本発明の例示的な実施形態において説明されている。なお、当業者であれば、任意数のステントが本発明に関連して利用可能であることが認識できるであろう。加えて、前述のように、別の医療装置も利用可能である。

0071

ステントは一般的に、障害を軽減するために1つの管路の内腔の中に留置される管状の構造体として用いられる。一般的に、ステントは非拡張状態の形態で内腔の中に挿入された後に、自律的に、または、原位置における第2の装置の補助により、拡張する。代表的な拡張の方法は、拡張状態の内腔を得るために、脈管の壁部の構成要素に付随している障害物を剪断および破壊するように、狭窄した脈管または体内通路の中において膨張されるカテーテル取付型の脈管形成バルーンの使用により行なわれている。

0072

図1は、本発明の例示的な実施形態にしたがって利用可能である例示的なステント100を示している。この拡張可能円筒形のステント100は、血管、管路または内腔を開口状態に保つためにその血管、管路または内腔の中に配置するための、特に、血管形成術後に動脈の一部分を再狭窄から保護するための、有窓構造を含む。このステント100は円周方向に拡張されて、拡張した形態に維持されることが可能であり、円周方向または半径方向に剛性になる。さらに、このステント100は軸方向に柔軟であり、その帯域部分において曲がる場合に、このステント100は外部に突出する構成部分を含まないようになっている。

0073

前記ステント100は一般に第1の端部および第2の端部、およびこれらの端部の間の中間部分を有している。さらに、このステント100は長手軸を有していて、複数の長手方向に配置された帯域部分102を含んでおり、それぞれの帯域部分102は前記長手軸に対して平行な線分に沿って概ね連続的な波形を定めている。さらに、円周方向に配列されている複数の連結部材104が各帯域部分102を実質的に管状の構造に維持している。本質的に、長手方向に配置されているそれぞれの帯域部分102は、複数の周期的な位置において、短い円周方向に沿って配列されている連結部材104を介して、隣接している帯域部分102に接続している。これらの帯域部分102のそれぞれに付随している波形はその中間部分において概ね同一の基本的な空間的周波数を有しており、これらの帯域部分102は、互いに概ね同一の位相になるように、これらに付随する波形が概ね整合するように配置されている。図示のように、長手方向に配列されているそれぞれの帯域部分102は隣接している帯域部分102に対する連結部分が存在するまでの間にほぼ2周期で波打ちしている。

0074

前記ステント100は多数の方法を利用して作成することができる。例えば、このステント100はレーザー放電フライス加工(electric discharge milling)、化学的エッチングまたはその他の手段により、機械加工可能である中空のまたは成型処理されているステンレス・スチールの管により作成できる。このようなステント100は体内に挿入されて、非拡張状態の形態で所望の部位に配置される。一例の例示的な実施形態において、拡張はバルーン・カテーテルにより血管内において行なうことができ、この場合に、そのステント100の最終的な直径はその使用するバルーン・カテーテルの直径の関数である。

0075

本発明のステント100が、例えば、ニッケルおよびチタンの適切な合金またはステンレス・スチールを含む、形状記憶材料において実施可能であることが認識される必要がある。さらに、このようなステンレス・スチールにより形成される構造は、例えば、このステンレス・スチール材料を編み組み状の形態にねじることによる等の、所定の様式でそのステンレス・スチールを構成することにより、自己拡張式にすることができる。このような実施形態においては、ステント100を形成した後に、このステントを圧縮して挿入手段により血管またはその他の組織の中への挿入を可能するために十分に小さい空間部分を占めるようにすることが可能であり、この場合に、その挿入手段は適当なカテーテルまたは柔軟な棒材を含む。さらに、カテーテルから出た後に、前記ステント100は所望の形態に拡張するように構成することができ、この場合に、その拡張は自動的であるか、圧力、温度または電気等の刺激の変化により開始される。

0076

図2は、図1に示すステント100を利用している本発明の例示的な実施形態を示している。図示のように、このステント100は、1つ以上の貯蔵部分106を有するように変更可能である。これらの貯蔵部分106のそれぞれは要望に応じて開閉できる。さらに、これらの貯蔵部分106は送達される薬物/薬物の組み合わせを保持するように特別に設計できる。また、このようなステント100の設計とは無関係に、病巣の領域中に有効な投薬量を供給するために十分な特性および十分な濃度で供給される前記の薬物/薬物の組み合わせの投薬量を有することが好ましい。この点に関して、前記の帯域部分102の中の貯蔵部分の大きさは好ましくは前記薬物/薬物の組み合わせの投薬量を所望の場所において所望の量で適切に供給するように寸法付けられている。

0077

代替的で例示的な実施形態において、前記ステント100の内表面部および外表面部の全体を治療の投薬量における薬物/薬物の組み合わせにより被覆することも可能である。さらに、再狭窄を治療するための薬物ならびに例示的な被覆技法についての詳細な説明が以下において記載されている。しかしながら、このような被覆技法が前記の薬物/薬物の組み合わせに応じて変更可能であることに注目することが重要である。さらに、この被覆技法は前記ステントまたはその他の内腔内医療装置を構成する材料に応じて変更することも可能である。

0078

ラパマイシン(rapamycin)は米国特許第3,929,992号に開示されているようにストレプトミセス属ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)により生成される大環状トリエン型の抗生物質である。このラパマイシン(rapamycin)は、とりわけ、生体内における脈管平滑筋細胞の増殖を抑制することが知られている。したがって、ラパマイシン(rapamycin)は、特に、生物学的にまたは機械的に媒介される脈管の損傷に続いて、または、哺乳類動物を脈管損傷に罹りやすくすると考えられる状況において、哺乳類動物における内膜平滑筋細胞の過形成、再狭窄、および脈管閉塞の治療に利用することができる。さらに、ラパマイシン(rapamycin)は平滑筋細胞の増殖を抑制するように機能し、脈管壁部の再内皮化を妨げない。

0079

前記ラパマイシン(rapamycin)は、脈管形成術により誘発される傷害において放出されるマイトジェン信号に応答して平滑筋の増殖に拮抗することにより、脈管の過形成を軽減する。細胞周期の後期G1期における増殖因子およびサイトカインにより媒介される平滑筋増殖の抑制はラパマイシン(rapamycin)の作用の主要なメカニズムであると考えられている。しかしながら、ラパマイシン(rapamycin)はまた、全身系的に投与される場合に、T細胞の増殖および分化を阻止することも知られている。このことがそのラパマイシン(rapamycin)の免疫抑制活性およびそのグラフト(graft)拒絶反応を阻止する能力に対応する論拠である。

0080

本明細書においては、ラパマイシン(rapamycin)は、ラパマイシン(rapamycin)と、FKBP12およびその他の免疫促進物質に結合してTORの抑制を含むラパマイシン(rapamycin)と同一の薬理学的な諸特性を有する全ての類似体、誘導体および共役体と、を含む。

0081

ラパマイシン(rapamycin)の抗増殖効果は全身系的な使用により達成できるが、さらに優れた結果がその化合物の局所的送達により達成できる。本質的に、ラパマイシン(rapamycin)はその化合物の近くにある組織の中において作用し、その送達装置からの距離が増大するにつれて効果が減少する。このような作用を利用するために、ラパマイシン(rapamycin)を内腔の壁部に直接的に接触させることが望ましいと考えられる。したがって、好ましい実施形態において、ラパマイシン(rapamycin)はステントまたはその種々の部分の表面上に組み込まれている。本質的に、ラパマイシン(rapamycin)は、好ましくは、図1において示されているステント100の中に組み込まれており、この場合に、このステント100は内腔の壁部に対して接触する。

0082

ラパマイシン(rapamycin)は多くの方法においてステント上に組み込むかこれに対して固着させることができる。例示的な実施形態において、ラパマイシン(rapamycin)はポリマー基材(polymeric matrix)の中に直接的に組み込まれて、ステントの外表面部に噴霧される。その後、このラパマイシン(rapamycin)は経時的にそのポリマー基材から溶出して周囲の組織の中に入り込む。このラパマイシン(rapamycin)は、好ましくは少なくとも3日から約6ヶ月までの間にわたり、さらに好ましくは7日〜30日の間にわたり、ステント上に留まっている。

0083

多数の非侵食性のポリマーがラパマイシン(rapamycin)と共に利用できる。一例の例示的な実施形態において、ラパマイシン(rapamycin)またはその他の治療薬をフィルム形成用のポリフルオロコポリマー中に組み込むことができ、このフィルム形成用のポリフルオロコポリマーは、重合化されたフッ化ビニリデン(vinylidenefluoride)と重合化されたテトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)とからなる群から選択される所与の量の第1の成分と、この第1の成分とは異なり、当該第1の成分と共重合されることにより前記ポリフルオロコポリマーを生成する所与の量の第2の成分と、を含有しており、この第2の成分は前記ポリフルオロコポリマーに靱性または弾性を賦与することができ、前記第1の成分と第2の成分の相対的な各量は植え込み可能な医療装置の処理において使用するために有効な特性を伴ってこれらから作られる被膜およびフィルムを提供するために有効である。

0084

本発明はポリフルオロコポリマーを含むポリマーの被膜と、例えば、ステントを脈管形成術において用いる場合に血栓および/または再狭窄を減少するために有効な量で前記ポリマーの被膜のフィルムにより被覆されている、例えば、ステント等のような、植え込み可能な医療装置と、を提供している。なお、本明細書においては、ポリフルオロコポリマーは重合化されたフッ化ビニリデン(vinylidenefluoride)と、重合化されたテトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)とからなる群から選択される所与の量の第1の成分と、この第1の成分とは異なり、当該第1の成分と共重合されることにより前記ポリフルオロコポリマーを生成する所与の量の第2の成分と、を含有しているコポリマーを意味し、この第2の成分は前記ポリフルオロコポリマーに靱性または弾性を賦与することができ、前記第1の成分と第2の成分の相対的な各量は植え込み可能な医療装置の被覆において使用するために有効な特性を伴って前記ポリフルオロコポリマーから作られる被膜およびフィルムを形成するために有効である。

0085

前記被膜は再狭窄、炎症および/または血栓を軽減するための薬剤または治療薬を含むことができ、これらの被膜により被覆されているステントは種々の薬剤の持続された放出を行なうことができる。本発明の特定のポリフルオロコポリマーの被膜から調製されているフィルムは、その装置の被膜およびフィルムが曝される最高の温度が比較的に低い温度に制限されている場合においても、従来の被覆型の医療装置において必要とされる物理的および機械的な特性を示す。このことは、前記の被膜/フィルムを用いて熱の影響を受けやすい薬剤/治療薬または薬物を送達する場合に、または、前記被膜をカテーテル等のような温度の影響を受けやすい装置に供給する場合に、特に重要である。一方、最高の暴露温度が問題にならない場合、例えば、イトラコナゾール(itraconazole)等のような熱安定性の薬物が被膜中に組み込まれる場合には、比較的に高い融点の熱可塑性のポリフルオロコポリマーを用いることができ、極めて高い伸び率および付着性が必要とされる場合には、エラストマーを用いることができる。このように、望まれる場合または必要とされる場合に、ポリフルオロエラストマーが、例えば、「モダンフルオロポリマーズ(Modern Fluoropolymers)」,(J.シャイアズ(J. Shires)編集),ジョン・ワイリー・アンドサンズ(John Wiley & Sons),ニューヨーク,1997年,p.77〜87において記載されている標準的な方法により架橋できる。

0086

本発明は医療装置用の改善された生体適合性の被膜またはビヒクルを提供するポリフルオロコポリマーを含む。これらの被膜は再狭窄または血栓、または他の望ましくない反応を軽減するために十分な、例えば、ヒトのような、哺乳類動物の体組織に対して接触するように、不活性な生体適合性の表面部分を賦与する。多くの報告されているポリフルオロホモポリマーにより作成されている被膜は不溶性であり、および/または、植え込み可能な装置、例えば、ステント等において使用する場合に適当な物理的および機械的な特性を備えたフィルムを得るために、例えば、約125℃以上の温度の高い熱を必要とし、または、特定的に靱性または弾性を有していないが、本発明のポリフルオロコポリマーにより調製されているフィルムは、医療装置において形成される場合に、適当な接着性、靱性または弾性および割れに対する耐性を賦与する。また、特定の例示的な実施形態において、前記のことは医療装置が比較的に低い最高温度に曝される場合においても言える。

0087

本発明による被膜において用いられているポリフルオロコポリマーは好ましくは蝋質または粘着質にならない程度に十分に高い分子量を有するフィルム形成用のポリマーである。さらに、これらのポリマーおよび当該ポリマーにより形成されるフィルムは、ステントに付着して、そのステント上に付着した後に容易に変形して血流の応力により移動可能にならないことが当然に好ましい。また、このポリマーの分子量は、このポリマーを含むフィルムがステントの取扱いまたは配備中に摩擦により剥がれ落ちないように、十分な靱性を賦与する程度に十分に高いことが当然に好ましい。さらに、特定の例示的な実施形態において、前記被膜はステントまたはその他の医療装置の膨張が生じる場合に割れを生じない。

0088

本発明の被膜は、前述のように、ポリフルオロコポリマーを含有している。このポリフルオロコポリマーを調製するために前記の第1の成分と重合される第2の成分は、哺乳類動物に植え込みをする場合に許容可能な生体適合性のポリマーを提供すると共に、本明細書において特許請求されているそれぞれの医療装置において使用するために十分な弾性フィルムの特性を維持すると考えられる、重合化された生体適合性のモノマーから選択できる。このようなモノマーは、限定を伴うことなく、ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)(HFP)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)(TFE)、フッ化ビニリデン(vinylidenefluoride)、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン(1-hydropentafluoropropylene)、ペルフルオロメチルビニルエーテル)(perfluoro(methyl vinyl ether))、クロロトリフルオロエチレン(chlorotrifluoroethylene)(CTFE)、ペンタフルオロプロペン(pentafluoropropene)、トリフルオロエチレン(trifluoroethylene)、ヘキサフルオロアセトン(hexafluoroacetone)およびヘキサフルオロイソブチレン(hexafluoroisobutylene)を含む。

0089

本発明において用いられるポリフルオロコポリマーは一般的に約50〜約92重量%のフッ化ビニリデン(vinylidinefluoride)および約50〜約8重量%のヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)(HFP)の範囲の重量比率で、ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)を共重合しているフッ化ビニリデン(vinylidinefluoride)を含有する。好ましくは、本発明おいて用いられるポリフルオロコポリマーは約50〜約15重量%のHFPと共重合している約50〜約85重量%のフッ化ビニリデン(vinylidinefluoride)を含有している。さらに好ましくは、前記ポリフルオロコポリマーは約45〜約30重量%のHFPと共重合している約55〜約70重量%のフッ化ビニリデン(vinylidinefluoride)を含有している。さらに好ましくは、前記ポリフルオロコポリマーは約45〜約35重量%のHFPと共重合している約55〜約65重量%のフッ化ビニリデン(vinylidinefluoride)を含有している。さらに、これらのポリフルオロコポリマーはジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)(DMAc)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、ジメチルホルムアミド(dimethyl formamide)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)およびN−メチルピロリドン(N-methyl pyrrolidone)等のような溶媒中において、種々の度合いで溶ける。さらに、一部のポリフルオロコポリマーはメチルエチルケトン(methylethylketone)(MEK)、アセトンメタノールおよびその他の従来の植え込み可能な医療装置に対して被膜を供給する場合に一般的に用いられる溶媒中において可溶性である。

0090

従来のポリフルオロホモポリマーは結晶質であり、このポリマーの溶融温度(Tm)に一致する比較的に高い温度にその被膜を曝すことなく金属の表面に高品質のフィルムを供給することが困難である。このように高められた温度は、前記装置に対するフィルムの十分な接着性を示すと共に、好ましくはその被覆された医療装置の膨張/収縮時におけるフィルムの割れに耐えるために十分な柔軟性を維持する前記のようなPVDFホモポリマー等の被膜により調製されているフィルムを提供するために役立つ。本発明による特定のフィルムおよび被膜は、これらの被膜およびフィルムが曝される最高温度が概ね所定の最高温度よりも低い場合であっても、それぞれの同一の物理的および機械的な特性、または、実質的に同一の特性を示す。このことは、前記の被膜/フィルムが、例えば、化学的または物理的な劣化またはその他の熱により誘発される弊害等のような、熱の影響を受けやすい薬剤または治療薬または薬物を含む場合に、または、例えば、熱により誘発される組成上のまたは構造上の劣化を受けやすい医療装置における熱の影響を受けやすい基質を被覆する場合に、特に重要である。

0091

本発明の被膜およびフィルムが供給される特定の装置およびこの装置において必要とされる特定の用途/結果に応じて、これらの装置を調製するために用いるポリフルオロコポリマーは結晶質、半結晶質または非結晶質(amorphous)のいずれにすることも可能である。

0092

装置が当該装置の高温に対する曝露に関する制約条件または制限条件を有していない場合には、結晶質のポリフルオロコポリマーを使用することができる。このような結晶質のポリフルオロコポリマーはそれぞれのガラス転移(Tg)温度よりも高い温度に曝される場合に、加えられる応力または重力下において流れやすくなることに対して抵抗する傾向を有している。さらに、結晶質のポリフルオロコポリマーはこれらの完全な非結晶質の対応物よりも靱性の高い被膜およびフィルムを提供する。加えて、結晶質のポリマーは比較的に潤滑性が高く、例えば、ニチノールステント等のような、自己拡張式のステントを取り付けるために用いられる圧着および移送の処理の全体を通して比較的に容易に取り扱える。

0093

一方、半結晶質および非結晶質のポリフルオロコポリマーは高い温度に曝されることが問題である場合、例えば、熱の影響を受けやすい薬剤または治療薬がその被膜またはフィルムに混合されている場合に、または、装置の設計、構造および/または用途が前記のような高い温度に曝されることを除外している場合に、有利である。例えば、VDF等のような前記第1の成分と共重合されている、例えば、約30〜約45重量%等のような、比較的に多量の、例えば、HFP等のような、前記第2の成分を含有している半結晶質のポリフルオロコポリマーのエラストマーは、非結晶質のポリフルオロコポリマーのエラストマーに対して摩擦係数および自己遮断性が低いという利点を有している。このような特徴は前記のようなポリフルオロコポリマーにより被覆されている医療装置を加工、包装および送達する場合に重要な価値を有すると考えられる。加えて、比較的に高い含有率の前記第2の成分を含有している前記のようなポリフルオロコポリマーのエラストマーはそのポリマー中における、例えば、ラパマイシン(rapamycin)等のような特定の薬剤の溶解性を調整し、それゆえ、その基材中におけるその薬剤の浸透性を調整することに役立つ。

0094

本発明において利用されているポリフルオロコポリマーは既知の様々な重合法により調製できる。例えば、アジロルジ(Ajroldi)他,「フルオロエラストマー−組成における緩和現象依存性(Fluoroelastomers-dependence of relaxation phenomena on compositions)」,ポリマー(POLYMER),30巻,p.2180,1989年、において開示されているような高圧ラジカル連続式乳化重合法(high pressure, free-radical, semi-continuous emulsion polymerization techniques)が非結晶質のポリフルオロコポリマーを調製するために使用することができ、これらの一部をエラストマーにすることも可能である。加えて、この文献において開示されているラジカルバッチ式乳化重合法は比較的に多量の第2の成分が含まれている場合においても、半結晶質であるポリマーを得るために使用できる。

0095

前述のように、ステントは多様な材料により多様な幾何学的形状に構成できる。また、これらのステントは生体安定性で生体吸収性の材料を含む生体適合性の材料により作成できる。適当な生体適合性の金属はステンレス・スチール、タンタルチタン合金ニチノールを含む)、および種々のコバルト合金コバルトクロムニッケル合金を含む)を含むが、これらに限定されない。また、適当な非金属の生体適合性の材料はポリアミドポリオレフィン(すなわち、ポリプロピレンポリエチレン等)、非吸収性ポリエステル(すなわち、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)等)、および生体吸収性の脂肪族ポリエステル(すなわち、乳酸グリコール酸ラクチドグリコリドパラジオキサノン(para-dioxanone)、トリメチレンカーボネート(trimethylene carbonate)、ε−カプロラクトン(ε-caprolactone)およびこれらの混合物のホモポリマーおよびコポリマー等)を含むが、これらに限定されない。

0096

前記フィルム形成用の生体適合性のポリマーの被膜は一般にステントの中を通る血液の流れの局所的な乱流を減少すると共に有害な組織反応を減少するためにステントに供給される。これらの被膜およびこれらにより形成されるフィルムもまた薬剤として活性な物質をステントの配置部位に投与するために使用できる。一般に、ステントに供給されるポリマー被膜の量は、可能なパラメータの中において、とりわけ、その被膜を調製するために使用する特定のポリフルオロコポリマーと、ステントの設計と、その被膜の所望の効果と、により変化する。一般に、被覆されたステントは約0.1〜15重量%、好ましくは約0.4〜約10重量%の被膜を含む。また、前記ポリフルオロコポリマーの被膜は、その供給されるポリフルオロコポリマーの量に応じて、1回以上の塗布工程において供給することが可能である。さらに、異なるポリフルオロコポリマーをステントの被膜の中において互いに異なる層に対応して用いることも可能である。実際に、特定の例示的な実施形態において、薬剤として活性な物質を含有できる後続のポリフルオロコポリマーの被膜層接着を助長するためのプライマーとして、ポリフルオロコポリマーを含有している希釈された第1の塗布溶液を用いることが極めて有利である。さらに、個々の被膜を互いに異なるポリフルオロコポリマーにより調製することも可能である。

0097

加えて、上部被膜を薬剤の放出を遅らせるために供給することも可能であり、または、これらの被膜を異なる薬剤として活性な物質の送達のための基材として使用することも可能である。また、このような被膜の層状化は、薬剤の放出を段階的にするために、または、異なる層の中に配置されている異なる薬剤の放出を調整するために、用いることもできる。

0098

また、異なる薬剤の放出速度を調整するために、または、被膜特性、すなわち、弾性、靱性等、および薬物の送達特性、例えば、放出特性等の、望ましい釣り合いを提供するために、ポリフルオロコポリマーの混合物を用いることも可能である。さらに、異なる薬物を送達するために使用できる異なるポリマーの層を構築するために、または、薬物の放出特性を調整するために、溶剤中において異なる溶解度を有するポリフルオロコポリマー使用することが可能である。例えば、85.5/14.5(重量/重量)のポリ(フッ化ビニリデン/HFP)(poly(vinylidinefluoride)/HFP)を含むポリフルオロコポリマーと60.6/39.4(重量/重量)のポリ(フッ化ビニリデン/HFP)(poly(vinylidinefluoride)/HFP)を含むポリフルオロコポリマーは共にDMAc中において溶ける。しかしながら、60.6/39.4のPVDFポリフルオロコポリマーだけがメタノール中において溶ける。したがって、所与の薬物を含有している85.5/14.5のPVDFポリフルオロコポリマーの第1の層を、メタノール溶媒により作成した60.6/39.4のPVDFポリフルオロコポリマーの上部被膜により被覆することが可能である。この上部被膜は前記第1の層の中に含まれている薬物の送達を遅らせるために使用できる。あるいは、前記第2の層は連続的な薬物送達を行なうために異なる薬剤を含有することも可能である。さらに、最初に1つのポリフルオロコポリマー、そしてその後の別の種類のポリフルオロコポリマー、の交互の層により、異なる薬物の複数の層を備えることも可能である。すなわち、当業者により容易に認識されるように、多数の層状化方式が所望の薬物送達を行なうために使用できる。

0099

被膜は1種類以上の治療薬とその被膜のポリフルオロコポリマーとをその被膜の混合物中において混合することにより配合できる。この治療薬は、液体、微細に分割された固体または任意の他の適当な物理的な形態として、存在できる。随意的に、前記被膜の混合物は、例えば、稀釈剤キャリヤー、賦形剤、安定化剤等のような、無毒性補助物質を含む、1種類以上の添加物を含有できる。さらに、別の適当な添加物が前記のポリマーおよび薬剤として活性な物質または配合物と共に配合できる。例えば、親水性のポリマーを生体適合性で疎水性の被膜に添加してその放出特性を変更することができ、または、疎水性のポリマーを親水性の被膜に添加することによりその放出特性を変更することも可能である。一例として、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、カルボキシルメチルセルロース(carboxylmethyl cellulose)およびヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethyl cellulose)からなる群から選択される親水性のポリマーをポリフルオロコポリマーの被膜に添加してその放出特性を変更することが考えられる。これらの適当な相対量は治療薬についての生体外および/または生体内における放出特性をモニターすることにより決定できる。

0100

前記被膜の供給において最良の条件は前記ポリフルオロコポリマーと薬剤が共通の溶剤を有している場合である。これにより、真正の溶液である液状被膜が得られる。また、望ましさの点において劣るが、依然として使用可能な状態として、溶媒中の前記ポリマーの溶液の中の固形分散物として前記薬剤を含有している被膜もある。このような分散の状況においては、分散されている薬剤の粉末粒度、すなわちその主な粉末の大きさおよびその凝集体集塊物の両方が、不規則塗膜面を生じない程度に、または、実質的に被膜の無い状態を維持することが必要なステントの各スロット部分を詰まらせない程度に、十分に小さいことを確実にするために注意払う必要がある。分散物がステントに供給されて、その被膜フィルムの表面の滑らかさが改善を必要とする場合に、または、薬物の全ての粒子がポリマー中に完全に包み込まれることを確実にするために、または、薬物の放出速度が低められることが必要である場合に、その薬物の持続された放出を行なうために用いられる同一のポリフルオロコポリマーまたはその被膜からの薬物の拡散をさらに制限する別のポリフルオロコポリマーの透明な(ポリフルオロコポリマーだけの)上部被膜を供給することができる。さらに、この上部被膜は、各スロット部分を開口するために、マンドレルによる浸漬塗布により供給できる。この方法は米国特許第6,153,252号において開示されている。さらに、前記上部被膜を供給するための別の方法はスピンコート法および噴霧塗布法を含む。なお、この上部被膜の浸漬塗布は前記薬物がその被膜溶剤中に極めて溶けやすい場合に問題を生じる可能性があり、このような溶媒はポリフルオロコポリマーを膨潤させて、その透明な被覆溶液はゼロ濃度シンクとして作用して先に付着された薬剤を再び溶かしてしまう。さらに、薬物がその薬物を含まない槽の中に抽出されないようにするために、その浸漬槽中におく時間を制限する必要がある。加えて、先に付着された薬物が前記の上部被膜の中に完全に拡散しないように乾燥を速やかに行なう必要がある。

0101

前記治療薬の量は使用する特定の薬物および治療されている医療状況に応じて決まる。一般的に、この薬物の量は全体の被膜の重量の約0.001%〜約70%、さらに一般的には全体の被膜の重量の約0.001%〜約60%である。また、この薬物は全体の被膜の重量の0.0001%程度の少ない量であることも可能である。

0102

薬剤を含有している被膜フィルム中に用いられているポリフルオロコポリマーの量および種類は所望の放出特性および使用する薬剤の量に応じて変化する。この生成物は、所望の放出特性または任意の配合に対して一貫性を示すように、異なる分子量を有する同種または異種のポリフルオロコポリマーの混合物を含むことができる。

0103

ポリフルオロコポリマーは拡散により分散状態の薬剤を放出することができる。この結果、有効量(0.001μg/cm2 −分〜1000μg/cm2 −分)の薬剤の長期の送達(例えば、約1000時間〜2000時間、好ましくは、200時間〜800時間にわたる送達)を行なうことができる。また、この投薬量は、治療を受けている患者、病状の深刻さ、処方医の判断等、に合わせることができる。

0104

所望の薬剤放出特性を達成するために、薬剤およびポリフルオロコポリマーの個々の配合物を適当な生体外および生体内のモデルにおいて試験することができる。例えば、薬剤をポリフルオロコポリマーまたはポリフルオロコポリマーの混合物と配合して、ステント上に塗布し、攪拌されているか循環している流体のシステム、例えば、25%のエタノール水溶液の中に置くことができる。その後、これらの循環している流体のサンプルを取り出して、その放出特性を決定することができる(例えば、HPLC、UV分析法または放射線タグ付きの分子の使用等、による)。さらに、ステント被膜からの内腔の内壁部の中への薬剤配合物の放出が適当な動物体のシステムにおいてモデル化できる。その後、その薬剤放出特性が、例えば、サンプルを特定の時点で採取して、各サンプルをその薬物濃度についてアッセイする(HPLCを用いて薬剤濃度を検出する)等のような、適当な手段によりモニターできる。また、血栓形成は、「米国科学アカデミー紀要(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)」,85巻,p.3184〜3188,(1988年)においてハンソン(Hanson)およびハーカー(Harker)により記載されている血小板内画像化法(In-platelet imaging methods)を用いて動物体モデルにおいてモデル化できる。また、前記の手順またはこれに類似の手順にしたがって、当業者であれば、様々なステント被膜配合物を配合できるようになるであろう。

0105

本発明の必要条件ではないが、前記の被膜およびフィルムは医療装置に一旦供給した後に架橋することができる。この架橋は、化学薬品、熱または光等のような、既知の架橋処理のメカニズムの内の任意のものにより行なうことができる。加えて、この架橋処理の開始剤および促進剤も、適用可能であり適当であれば、使用してもよい。薬剤を含有している架橋フィルムを利用している例示的な実施形態において、その硬化処理がその被膜からの薬剤の拡散速度に影響を及ぼす可能性がある。さらに、本発明の架橋されたポリフルオロコポリマーフィルムおよび被膜は植え込み可能な医療装置の表面を改質するために薬剤を伴わずに使用することも可能である。

0106

実施例
実施例1:
それぞれ、F19NMRにより決定された場合に、92/8重量%および91/9重量%のフッ化ビニリデン/HFP(vinylidenefluoride/HFP)である、PVDFホモポリマー(テキサスヒュートンのソルベイアドバンスド・ポリマーズ社(Solvay Advanced Polymers)から入手可能なソレフ(Solef)(登録商標)1008、融点:約175℃)およびポリ(フッ化ビニリデン/HFP)(poly(vinylidenefluoride/HFP))のポリフルオロコポリマー(それぞれ、例えば、テキサス州ヒュートン(Houston, TX)のソルベイ・アドバンスド・ポリマーズ社(Solvay Advanced Polymers)から入手可能なソレフ(Solef)(登録商標)11010および11008、融点:約159℃および160℃)をステント用の可能性のある被膜として調べた。これらのポリマーはDMAc、N,N−ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(DMF)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)(DMSO)、N−メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)(NMP)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)(THF)およびアセトンを含むが、これらに限定されない、溶媒の中において溶ける。これらのポリマーをプライマーとしてアセトン中に5重量%で溶解させるか、またはそのポリマーを上部被膜として50/50のDMAc/アセトン中に30重量%で溶解させることにより、それぞれのポリマー被膜を調製した。この場合に、浸漬によりステントに供給されて、数時間にわたり空気中において60℃で乾燥された後に、1.33×104Pa(100mmHg)よりも低い真空中において3時間にわたり60℃で乾燥された被膜は白色の発泡体状のフィルムを結果として得た。さらに、供給時に、これらのフィルムはステントに対する接着性が欠けており、剥がれ落ちて、過度に脆いことが分かった。さらに、前記の様式で被覆されたステントは175℃を超える温度、すなわち、そのポリマーの溶融温度を超える温度に加熱されると、透明で付着性のフィルムが形成された。それゆえ、高品質のフィルムを達成するために、被膜は高い温度、例えば、ポリマーの溶融温度を超える温度、を必要とする。前述のように、このような高温の熱処理は大部分の薬剤化合物において、これらの熱に対する影響の受けやすさにより、許容不可能である。

0107

実施例2:
次に、F19NMRにより決定された場合に、14.5重量%のHFPと共重合されている85.5重量%のフッ化ビニリデン(vinylidenefluoride)を含有しているポリフルオロコポリマー(例えば、ソレフ(Solef)(登録商標)21508)を評価した。このコポリマーは前記実施例1において記載されているポリフルオロホモポリマーおよびコポリマーよりも結晶性が低い。さらに、このコポリマーは約133℃であると報告されている低い融点も有している。この場合も同様に、約20重量%の前記ポリフルオロコポリマーを含む被膜が50/50のDMAc/MEK中におけるポリマー溶液により供給されている。その後、数時間にわたり60℃で(空気中において)乾燥した後に、1.33×104Pa(100mmHg)よりも低い真空中において3時間にわたり60℃で乾燥したことにより、透明な付着性のフィルムが得られた。この方法は高品質のフィルムを達成するための高温の熱処理の必要性を排除している。このようにして得られた被膜は前記実施例1の被膜よりも滑らかであり、付着性が高かった。また、拡張された一部の被覆型ステントは、前記フィルムが金属から分離するのにしたがって、ある程度の付着性の低下と「テント状化(tenting)」を示した。そこで、必要である場合には、前記の各コポリマーを含有している被膜の改質を、例えば、可塑剤等をその被膜配合物に添加する等により、行なうことができる。このような被膜により調製されたフィルムは、特に、その装置がステントの程度までの膨張に対して影響を受けにくい場合に、それぞれのステントまたはその他の医療装置を被覆するために使用できる。

0108

前記の被覆処理を繰り返して、今回は、前記85.5/14.6(重量/重量)のフッ化ビニリデン/HFP(vinylidenefluoride/HFP)、および被膜の固形物全重量に基づいて約30重量%のラパマイシン(rapamycin)(ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia, PA)のワイス−エアスト・ラボラトリーズ社(Wyeth-Ayerst Labratories))を含有している被膜を得た。この結果、場合により被覆したステントの膨張時に割れまたは剥がれを生じる透明なフィルムが結果として得られた。この場合に、可塑剤等を前記の被膜の組成に含ませることにより、前記のような割れおよび剥がれの影響を受けない、ステントおよびその他の医療装置において使用するための、被膜およびフィルムが得られるようになると考えられる。

0109

実施例3:
その後、前記よりもさらに高いHFP含有量のポリフルオロコポリマーを試験した。この系列のポリマーは半結晶質ではなく、むしろ、エラストマーとして市販されている。一例のこのようなコポリマーはフルオレル(Fluorel)(商標)FC2261Q(ミネソタオークデール(Oakdale, MN)の、3M−ホエスト・エンタープライズ(3M-Hoechst Enterprise)の1社である、ダイニオン社(Dyneon)による)、すなわち、フッ化ビニリデン/HFP(vinylidenefluoride/HFP)の60.6/39.4(重量/重量)のコポリマーである。このコポリマーは室温よりも十分に低いTg(ガラス転移点)(このTgは約−20℃)を有しているが、室温または60℃でも粘着性にならない。このポリマーは示差走査熱量計(differential scanning calorimetry)(DSC)または広角X線回折法により測定された場合に、検出可能な結晶化度を持たない。前述のようなステント上に形成されるフィルムは非粘着性で、透明であり、ステントが拡張される時に問題を生じることなく拡張される。

0110

前述の被覆処理を繰り返して、今回は、被膜固形物の全重量に基づいて、60.6/39.4(重量/重量)のフッ化ビニリデン/HFP(vinylidenefluoride/HFP)、および約9重量%、30重量%および50重量%のラパマイシン(rapamycin)(ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia, PA)のワイス−エアスト・ラボラトリーズ社(Wyeth-Ayerst Labratories))を含む被膜をそれぞれ得た。この場合に、約9重量%および30重量%のラパマイシン(rapamycin)を含有している各被膜はステント上において問題を生じることなく拡張される白色で付着性の強靱なフィルムを形成した。同様に、50%の薬剤を混入すると、その結果として、拡張時に付着性がある程度失われた。

0111

前記のポリフルオロコポリマーのコモノマーの組成の変化もまた、乾燥後において、その固体状態の被膜の性質に影響を及ぼす可能性がある。例えば、14.5重量%のHFPと重合させた85.5重量%のフッ化ビニリデン(vinylidenefluoride)を含有している半結晶質コポリマーのソレフ(Solef)(登録商標)21508は、DMAcおよび50/50のDMAc/MEK中において、約30%のラパマイシン(rapamycin)(全体の固体の重量、例えば、薬剤+コポリマー、で割った薬剤の重量)と共に均質な溶液を形成する。このフィルムを乾燥させると(16時間にわたり60℃で処理した後に、3時間にわたり60℃で1.3×104Pa(100mmHg)の真空中で処理した)、ポリマー中における薬剤の固溶体を示す透明な被膜が得られる。これとは逆に、60.6/39.5(重量/重量)のPDVF/HFPの、非結晶質コポリマーである、フルオレル(Fluorel)(商標)FC2261QはDMAc/MEK中におけるラパマイシン(rapamycin)の同様の30%溶液を形成し、同様に乾燥させると、その薬物およびポリマーの相分離を示す白色のフィルムが得られる。しかしながら、この第2の薬物を含むフィルムは、結晶質のソレフ(Solef)(登録商標)21508の前述の透明なフィルムの場合よりも、25%のエタノール水溶液の生体外試験溶液中に薬物を放出することが極めて遅い。さらに、前記の両方のフィルムのX線分析により、前記の薬物は非結晶質の形態で存在していることが示されている。また、高いHFP含有量のコポリマー中における薬物の不十分なまたは極めて低い溶解度により、薄い被膜フィルムを通る薬物の透過度が低下する。なお、この透過度は、フィルム(コポリマー)の中に拡散している物質(この場合、薬物)の拡散速度と、そのフィルムの中の薬剤の溶解度との積である。

0112

実施例4:被膜からのラパマイシン(rapamycin)の生体外における放出結果
図3は85.5/14.5のフッ化ビニリデン/HFP(vinylidenefluoride/HFP)のポリフルオロコポリマーに関するデータをプロットしたグラフ図であり、上部被膜の無い場合における時間の関数として放出される薬剤のフラクションを示している。また、図4は上部被膜が配置されている同一のポリフルオロコポリマーについてのデータをプロットしたグラフ図であり、放出速度における最も大きな影響が透明な上部被膜を伴う場合に生じていることを示している。図示のように、例えば、TC150は150μgの上部被膜を有する装置を示しており、TC235は235μgの上部被膜を示している。上部被膜を備える前の各ステントは30%のラパマイシン(rapamycin)を含有している平均で750μgの被膜を有していた。さらに、図5は60.6/39.4のフッ化ビニリデン/HFP(vinylidenefluoride/HFP)のポリフルオロコポリマーについてのデータをプロットしたグラフ図であり、時間の関数としての放出される薬剤のフラクションを示しており、上部被膜を伴わない場合の被膜からの放出速度の著しい調整を示している。すなわち、この放出は薬剤をフィルム中に装填することにより調整されている。

0113

実施例5:ポリ(VDF/HFP)からのラパマイシン(rapamycin)の生体内におけるステントの放出速度
通常のを与えられている9匹のニュージーランド種の白色ウサギ(2.5kg〜3.0kg)に、手術の24時間前と、手術の直前と、調査の残りの期間中と、においてアスピリン(aspirin)を与えた。手術時に、各動物体にアセプロマジン(acepromazine)(0.1〜0.2mg/kg)をあらかじめ投薬して、ケタミン(ketamine)/キシラジン(xylazine)の混合物(それぞれ40mg/kgおよび5mg/kg)により麻酔をかけた。さらに、各動物体にヘパリン(heparin)の1回分の処置間投与量(150IU/kg、(静脈内(i.v.))を与えた。

0114

総頸動脈動脈切除を行ない、0.16cm(5フレンチ)のカテーテル導入装置(コーディス・インコーポレイテッド社(Cordis, Inc.))をその血管内に配置して結紮糸により固定した。その後、ヨウ素造影剤を注入して、右総頸動脈、腕頭動脈および大動脈弓を可視化した。次に、操縦可能なガイドワイヤ(0.036cm(0.014inin)/180cm、コーディス・インコーポレイテッド社(Cordis, Inc.))を前記の導入装置を介して挿入し、順次に各腸骨動脈内に前進させて、既に行なわれている血管造影式マッピング法を用いて、その腸骨動脈が2mmに最も近い直径を持つ場所まで進行させた。その後、30%のラパマイシン(rapamycin)を含有しているポリ(VDF/HFP):(60.6/39.4)により作成したフィルムを被覆した2個のステントを、実行可能な場合の各動物体において、3.0mmバルーンを用いて各腸動脈中に1個ずつ配備し、30秒間にわたり8〜10気圧まで膨張させた後に、1分間の時間間隔を置いてさらに30秒間にわたる8〜10気圧までの2回目の膨張を行なった。その後、ステントの正確な配備位置を確認するために、両方の腸骨動脈を可視化する事後点検用の血管造影図を得た。

0115

前記の処置の終了時に、総頸動脈を結紮し、その皮膚を1層の中断された閉鎖部材を用いて3/0ビクリル縫合糸により閉鎖した。各動物体にブトロパノール(butoropanol)(0.4mg/kg、(s.c.))およびゲンタマイシン(gentamycin)(4mg/kg、(筋肉内(i.m.)))を与えた。回復後、各動物体をそれぞれのケージに戻し、自由に食物および水に接触可能にした。

0116

早期の死亡および外科的な困難さにより、2匹の動物体はこの分析において用いられなかった。ステント処理した各脈管を以下の各時点、すなわち、植え込み後10分において1本の脈管(1匹の動物体)、植え込み後40分〜2時間(平均、1.2時間)において6本の脈管(3匹の動物体)、植え込み後3日において2本の脈管(2匹の動物体)、および植え込み後7日において2本の脈管(1個の動物体)を残りの7匹の動物体から取り出した。さらに、2時間の時点における1匹の動物体において、そのステントは腸骨動脈ではなく大動脈から回収した。除去時に、各動脈をステントの近位端部および遠位端部の両方において注意深く整形した。その後、各脈管を注意深くステントから切断して離し、洗い流して残留している血液を除去し、そのステントと脈管の両方をすぐに凍結して、別々に箔で包み、ラベルを貼って−80℃において凍結状態に維持した。全てのサンプルを集めて、それぞれの脈管およびステントを凍結し、輸送した後に、組織中におけるラパマイシン(rapamycin)について分析を行ない、これらの結果が図4に示されている。

0117

実施例6:ポリマーの浄化
前記のフルオレル(Fluorel)(商標)FC2261Qコポリマーを約10重量%でMEK中に溶解して、14:1のエタノール/水とMEK溶液との溶液比率においてエタノール/水の50/50の混合物中において洗浄した。その後、このポリマーを沈澱させて、遠心処理により溶媒相から分離した。さらに、そのポリマーを再びMEK中に溶解して、洗浄処理を繰り返し行なった。その後、このポリマーを各洗浄工程の後に一晩にわたり真空オーブン(0.266×102Pa(200mtorr)よりも低い)内において60℃で乾燥させた。

0118

実施例7:ブタの冠状動脈中における被覆型ステントの生体内試験
クロスフレックス(CrossFlex)(登録商標)ステント(コーディス(Cordis)、ジョンソンエンド・ジョンソン・カンパニー社(Johnson & Johnson Company)の1社、から入手可能)を、前記の「受け入れられた(as received)」フルオレル(Fluorel)(商標)FC2261QPVDFコポリマーおよび前記実施例6において浄化したポリフルオロコポリマーにより、浸漬処理および拭き取り法を用いて被覆した。その後、これらの被覆されたステントをエチレンオキシドおよび標準的な処理工程により滅菌処理した。さらに、これらの被覆されたステントおよび被覆されていない金属ステント対照品)をブタの各冠状動脈に植え込み、これらを28日間にわたりその状態に維持した。

0119

血管造影を植え込み時および28日目に各ブタについて行なった。この血管造影法により、対照の被覆されていないステントは約21%の再狭窄を示した。前記の「受け入れられた」ポリフルオロコポリマーは約26%の再狭窄(対照と同等)を示したが、洗浄処理したコポリマーは約12.5%の再狭窄を示した。

0120

組織学的な結果により、被覆されていない金属の対照品、浄化されていないコポリマーおよび浄化されたコポリマーにおいて、28日目における新内膜領域はそれぞれ2.89±0.2、3.57±0.4、2.75±0.3であることが分かった。

0121

ラパマイシン(rapamycin)は周囲の組織に入ることにより作用するので、1組織に対して接触するステントの表面のみに固着されていることが好ましい。一般的に、このようなステントの外表面部のみが組織に接触する。したがって、一例の例示的な実施形態において、ステントの外表面部のみがラパマイシン(rapamycin)により被覆されている。

0122

循環器系は、通常の条件下において、自己シール型である必要があり、自己シール型でなければ、外傷部からの継続した血液の損失が生命脅かすことも考えられる。一般的に、たいていの重篤出血を除く全ての出血は止血として知られている処理により即時に止まる。この止血は一連の工程を通して行なわれる。流量が多い場合に、止血は血小板凝集フィブリン形成を含む種々の状態の組み合わせになる。この血小板凝集により、細胞による栓の形成に起因して血液の流れの減少を引き起こすと共に、一連の生物化学的な工程により、フィブリンの凝塊が形成される。

0123

フィブリン凝塊は、前述のように、傷害に応答して形成される。このような血液の凝固または特定領域内における凝固が健康上の危険性をもたらす特定の状況が存在する。例えば、経皮的冠動脈形成術の実施中において、動脈壁部の内皮細胞が一般的に損傷し、これにより、内皮下細胞が露出する。血小板はこれらの露出した細胞に付着する。凝集している血小板および損傷した組織はさらに生化学的な過程を開始し、これにより、血液凝固が生じる。血小板およびフィブリン血餅は重要な領域への血液の正常な流れを妨げる。したがって、血液凝固を種々の医療処置において調整する必要がある。血液が凝固しないようにする化合物は抗凝固剤と呼ばれている。本質的に、抗凝固剤は血栓の形成または機能の抑制因子である。これら化合物はヘパリン(heparin)およびヒルジン(hirudin)等のような薬剤を含む。本明細書においては、このヘパリン(heparin)は血栓または第Xa因子の直接的または間接的な全ての抑制因子を含む。

0124

有効な抗凝固剤であることに加えて、ヘパリン(heparin)はまた、生体内における平滑筋細胞の増殖を抑制することが立証されている。したがって、ヘパリン(heparin)は脈管の疾患の治療においてラパマイシン(rapamycin)と共に有効に利用できる可能性がある。本質的に、ラパマイシン(rapamycin)とヘパリン(heparin)の組み合わせは、ヘパリン(heparin)が抗凝固剤として作用すること加えて、二種類の異なるメカニズムを介して平滑筋細胞の増殖を抑制できる。

0125

ヘパリン(heparin)は、その多官能的化学的性質のために、多くの方法でステントに対して不動化または固着できる。例えば、ヘパリンは種々の方法により多様な表面の上に固着でき、このような方法として、ガイア(Guire)他に発行されている米国特許第3,959,078号および4,722,906号およびカハラン(Cahalan)他に発行されている米国特許第5,229,172号、同5,308,641号、同5,350,800号および同5,415,938号において記載されているフォトリンク(photolink)法が含まれる。また、このようなヘパリン(heparin)を付着した表面はまたディング(Ding)他に発行されている米国特許第5,837,313号、同6,099,562号および同6,120,536号において記載されているような、例えば、シリコーンゴム等のポリマー基材からの調整された放出により達成されている。

0126

ラパマイシン(rapamycin)とは異なり、ヘパリン(heparin)は血液中の循環タンパク質に対して作用し、このヘパリン(heparin)が有効であるためには血液に接触することだけを必要とする。したがって、例えば、ステント等のような医療器具と共に使用される場合に、血液と接触する面においてのみ存在していることが好ましい。例えば、ヘパリン(heparin)がステントを介して投与される場合に、このヘパリン(heparin)が有効であるためにはそのステントの内表面部においてのみ存在していればよい。

0127

本発明の例示的な実施形態において、脈管の疾患の治療のためにステントはラパマイシン(rapamycin)およびヘパリン(heparin)との組み合わせにおいて利用可能である。この例示的な実施形態において、ヘパリン(heparin)は血液と接触するようにそのステントの内表面部に固着されており、ラパマイシン(rapamycin)はその周囲組織に対して接触するようにそのステントの外表面部に固着されている。図7図1において示されているステント100における帯域部分102の断面を示している。図示のように、この帯域部分102はその内表面部110においてヘパリン(heparin)108により被覆されており、その外表面部114においてラパマイシン(rapamycin)112により被覆されている。

0128

別の例示的な実施形態において、前記ステントはその内表面部に固着されているヘパリン(heparin)の層およびその外表面部に固着されているラパマイシン(rapamycin)およびヘパリン(heparin)を有することができる。現行の塗布技法を利用すると、ヘパリン(heparin)はラパマイシン(rapamycin)の場合よりも、そのヘパリン(heparin)が固着される表面に対してさらに強固な結合状態を形成する傾向がある。したがって、最初にラパマイシン(rapamycin)をステントの外表面部に固着させてから、ヘパリン(heparin)の層をそのラパマイシン(rapamycin)の層に固着させることが可能であると考えられる。このような実施形態において、ラパマイシン(rapamycin)はステントに比較的に確実に固着できると共に、そのポリマー基材からヘパリン(heparin)を通して周囲の組織の中に比較的に有効に溶け出すことができる。図8図1において示されているステント100における帯域部分102の断面を示している。図示のように、この帯域部分102はその内表面部110においてヘパリン(heparin)108により被覆されており、その外表面部114においてラパマイシン(rapamycin)112およびヘパリン(heparin)108により被覆されている。

0129

前記ヘパリン(heparin)の層をラパマイシン(rapamycin)の層に固着させる方法、すなわち、侵食性の結合による捕捉または共有結合的な連結には多数の方法がある。例えば、ヘパリン(heparin)を高分子基質の上部層に導入することができる。また、別の実施形態においては、異なる形態のヘパリン(heparin)を、例えば図9において示されているように、高分子基質の上部層の上に直接的に固着させることも可能である。すなわち、図示のように、疎水性のヘパリン(heparin)の層116をラパマイシン(rapamycin)の層112の上部被膜層118の上に固着させることができる。なお、これらのラパマイシン(rapamycin)およびヘパリン(heparin)の被膜は非相容性の被膜供給技法を代表するものであるので、疎水性の形態のヘパリン(heparin)が用いられている。さらに、ラパマイシン(rapamycin)は有機溶媒に基づく被膜であり、ヘパリン(heparin)は、その自然な形態において、水性の被膜である。

0130

前述のように、ラパマイシン(rapamycin)の被膜は浸漬法、噴霧法またはスピンコート法および/またはこれら方法の任意の組み合わせによりステントに供給できる。この場合に、種々のポリマーが利用可能である。例えば、前述のように、エチレン酢酸ビニル共重合体(poly(ethylene-co-vinyl acetate))(EVA)およびポリブチルメタクリレート(polybutyl methacrylate)の混合物を利用することができる。さらに別のポリマーも利用可能であり、例えば、フッ化ポリビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)およびポリエチルブチルメタクリレート−コ−ヘキシルメタクリレート(polyethylbutyl methacrylate-co-hexyl methacrylate)が含まれるが、これらに限定されない。また、前述のように、バリアまたは上部被膜をポリマー基材からのラパマイシン(rapamycin)の溶解の調整のために供給することも可能である。前述されている、例示的な実施形態において、ヘパリン(heparin)の薄い層がポリマー基材の表面に供給されている。なお、これらのポリマー組織は疎水性であり、親水性のヘパリン(heparin)に対して非相容性であるので、適当な表面改質が必要になる場合がある。

0131

前記ポリマー基材の表面へのヘパリン(heparin)の供給は種々の方法により種々の生体適合性の材料を用いて行なうことができる。例えば、一例の実施形態において、水中またはアルコールの溶液中において、ラパマイシン(rapamycin)を劣化させないように注意しながら(例えば、pH<7、低温において)ポリエチレンイミン(polyethylene imine)をステントに供給した後に、ヘパリン酸ナトリウム(sodium heparinate)を水性またはアルコールの溶液において供給する。この表面改質の拡張例として、共有結合性のヘパリン(heparin)をアミド型の化学薬品(カルボンジイミド(carbodiimide)活性化剤、例えば、EDC)または還元性アミノ化薬品(結合のためのCBAS−ヘパリン(CBAS-heparin)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride))を用いてポリエチレンイミン(polyethylene imine)に結合させることができる。また、別の例示的な実施形態において、ヘパリン(heparin)は、光開始剤の成分により適当にグラフト化されている場合に、その表面において光結合できる。このような改質されたヘパリン(heparin)の調合物を共有結合性のステントの表面に供給すると、光の曝露により、架橋が生じてヘパリン(heparin)がその被膜表面上に固着される。さらに別の例示的な実施形態において、ヘパリン(heparin)は疎水性の第四級アンモニウム塩と共に錯体を形成することにより、その分子が有機溶媒(例えば、ヘパリン酸ベンザルコニウム(benzalkonium heparinate)、ヘパリン酸トリドデシルメチルアンモニウム(troidodecylmethylammonium heparinate))の中に溶けるようになる。このようなヘパリン(heparin)の調合物は疎水性のラパマイシン(rapamycin)の被膜に対して相容性があり、その被膜表面上に直接的に供給可能であるか、前記のラパマイシン(rapamycin)/疎水性ポリマーの調合物中に供給可能になる。

0132

ステントが、前述のように、種々の金属、高分子材料およびセラミック材料を含む多数の材料から形成可能であることに注目することが重要である。したがって、種々の技法が前記の薬物、薬剤、化合物の組み合わせをステント上に固着させるために利用可能である。特に、前述のポリマー基材に加えて、生体ポリマーを用いることができる。これらの生体ポリマーは一般に天然ポリマーとして分類できるが、前述のポリマーは合成ポリマーとして説明することもできる。利用可能な例示的な生体ポリマーはアガロースアルギネートゼラチン、コラーゲンおよびエラスチンを含む。加えて、前記の薬物、薬剤または化合物は他の経皮的に送達される、例えば、グラフトおよび灌流バルーン等のような医療装置と共に利用することも可能である。

0133

抗増殖剤および抗凝固剤の利用に加えて、抗炎症薬もこれらと組み合わせて利用できる。このような組み合わせの一例として、ラパマイシン(rapamycin)、クラドリビン(cladribine)、ビンクリスチン(vincristine)、タクソール(taxol)または一酸化窒素供与体等のような抗増殖剤、およびヘパリン(heparin)等のような抗凝固剤を伴う、デキサメタゾン(dexamethasone)等のような抗炎症性のコルチコステロイド(corticosteroid)の添加が考えられる。このような組み合わせによる治療方法はさらに良好な治療効果を与えると考えられ、すなわち、何れか一方の薬剤のみにより生じると考えられる効果よりも、増殖の度合いが低下し、炎症、すなわち、増殖に対応する刺激の度合いが低下する。抗増殖剤、抗凝固剤および抗炎症薬を含むステントを、損傷した脈管に送達することにより、局所的な平滑筋細胞の増殖の度合いが制限され、増殖に対応する刺激すなわち炎症が減少して、凝固作用も低下するので、ステントの再狭窄の制限作用が高められるという付加的な治療上の有益性が得られる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ