図面 (/)

技術 表面平滑性に優れた低炭素鋼冷延鋼帯の製造方法

出願人 日新製鋼株式会社
発明者 谷村洋一増野拓前田宗彦大澤学
出願日 2005年11月14日 (15年1ヶ月経過) 出願番号 2005-328216
公開日 2007年5月31日 (13年6ヶ月経過) 公開番号 2007-130679
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般 圧延機に特に連結された素材の表面処理装置
主要キーワード 脱脂洗浄処理 燃焼残滓 ブラッシング作用 アルカリ洗浄処理 形状品質 熱エネルギーコスト 機械部材 湿式研削
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年5月31日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

各種機械部材電気電子機器部品自動車用CVプレート材等に使用される表面の平滑性に優れた低炭素冷延鋼帯の製造方法を提供する。

解決手段

C量0.12質量%以下の低炭素冷延鋼帯を脱脂洗浄アルカリ脱脂法等)して鋼帯表面に付着している冷延油脂類等の汚染物を除去したうえ、焼鈍処理することなく調質圧延を行う。調質圧延はドライ方式(調質圧延油不使用)とし、ブライトロールを使用してロール表面鋼帯転写する。調質圧延の伸び率(ε)は0.2-1.5%とする。得られる鋼帯は表面粗度Ra0.3μm以下でバラツキの小さい高精度の平滑面を有する。

概要

背景

表面粗さの小さい平滑な表面を要求される炭素鋼冷延鋼帯は、冷間圧延所定板厚にした冷延鋼帯を、ブライトロールワークロールとする調質圧延に付し、ブライトロールの平滑面を鋼帯表面転写することにより製造される。その調質圧延に際しては、鋼帯材種や要求される特性(硬度延性等)の仕様に応じて焼鈍処理が施され、また調質圧延での転写効果、表面疵防止等のための表面処理電解洗浄処理等)が必要に応じて実施される。冷延鋼帯の調質圧延における伸び率(ε)は、製品鋼帯表面粗度や、所要材料特性(硬さ、加工性等)の調整のために、また焼鈍処理済み冷延鋼帯では降伏伸びの解消等を目的として制御される。

上記冷延鋼帯の調質圧延は、調質圧延油を使用するウエット調質圧延と、それを使用しないドライ調質圧延の2方式に分けられる。ウエット調質圧延は、被圧延材(冷延鋼帯)の表面の油脂類(冷間圧延時の圧延油等)や鉄粉,その他の汚染物質を調質圧延油の洗浄作用で洗い流し、汚染物の付着に起因する弊害を防止する作用を有する反面、ワークロールと被圧延材との間に調質圧延油が介在するために、被圧延材に対するロール表面転写率が低くなるほか、調質圧延の伸び率(ε)のムラ(伸び率ハンチング、所謂ジャンピング現象)を生じ易い等の難点がある。他方、ドライ調質圧延は、ワークロールと被圧延材との直接接触(調質圧延油膜の介在なし)により比較的高い転写率が得られるものの、調質圧延油の洗浄作用がないために、被圧延材の表面汚染(圧延油,鉄粉等の付着異物)に起因する不具合を生じ易いという欠点がある。

板面の平滑性を制御された冷延鋼帯の製造法については種々の提案がなされている。
(a)炭素鋼の冷延鋼帯を焼鈍処理した後、その板面を酸洗いし、ついで熱水スプレー洗浄処理を施したうえ、ブライトロールによるドライ調質圧延に付して表面粗度Ra0.3μm以下の平滑性を有するブライト鋼板仕上げる(特許文献1)、
(b)高炭素冷延鋼帯を焼鈍処理した後、二段階のウエット調質圧延(第1段:ダルロール使用,第2段:ブライトロール使用)に付して所要の表面粗度(Ra:0.05-0.2μm)を有するブライト鋼板を得る(特許文献2)、
(c)炭素鋼冷延鋼帯を、電解洗浄処理して板面にシリカ膜を形成した後、焼鈍処理に付し、ついでブライトロール(表面粗度Ra:0.04-0.08μm)を用いたドライ調質圧延を施すことにより、高光沢表面(加熱機器反射板,車両用ヘッドランプフォグランプの反射板等として使用される)に仕上げる(特許文献3)、
(d)低炭素冷延鋼帯(C:0.007%以下)を、焼鈍処理の後、ブライトロール(表面粗度Ra:0.1μm以下)によるウエット調質圧延を施して、家電製品暖房機機器等の外板材アイロンカバー,ヘッドライト反射板等)に使用される高光沢冷延鋼帯(Ra:0.4μm以下)を得る(特許文献4)。
特許第3252553号公報
特許第3433711号公報
特開平11−267707号公報
特開平11−254001号公報

概要

各種機械部材電気電子機器部品自動車用CVプレート材等に使用される表面の平滑性に優れた低炭素冷延鋼帯の製造方法を提供する。C量0.12質量%以下の低炭素冷延鋼帯を脱脂洗浄アルカリ脱脂法等)して鋼帯表面に付着している冷延油脂類等の汚染物を除去したうえ、焼鈍処理することなく調質圧延を行う。調質圧延はドライ方式(調質圧延油不使用)とし、ブライトロールを使用してロール表面を鋼帯に転写する。調質圧延の伸び率(ε)は0.2-1.5%とする。得られる鋼帯は表面粗度Ra0.3μm以下でバラツキの小さい高精度の平滑面を有する。

目的

本発明は、表面粗さの小さい炭素鋼冷延鋼帯の製造における上記問題を解消し、ドライ調質圧延により高精度の平滑性を付与された炭素鋼冷延鋼帯の製造方法を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

含有量0.12質量%以下の低炭素鋼からなる冷延鋼帯を、脱脂洗浄処理したうえ、焼鈍処理することなく調質圧延工程に付し、ブライトロールによるドライ調質圧延を行うことを特徴とする平滑性に優れた低炭素冷延鋼帯の製造方法。

請求項2

前記低炭素鋼が、C:0.12質量%以下、Mn:0.50質量%以下、P:0.04質量%以下、S:0.045質量%以下、残部Fe及び不可避不純物からなる請求項1に記載の平滑性に優れた低炭素冷延鋼帯の製造方法。

請求項3

前記脱脂洗浄処理はアルカリ水溶液処理液とし、処理液中に鋼帯を浸漬し又は処理液を鋼帯表面スプレーするアルカリ洗浄処理である請求項1又は2に記載の平滑性に優れた低炭素冷延鋼帯の製造方法。

請求項4

前記ドライ調質圧延における鋼帯の伸び率は0.2〜1.5%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の平滑性に優れた低炭素冷延鋼帯の製造方法。

請求項5

前記ドライ調質圧延された冷延鋼帯の表面粗度がRa:0.3μm以下である請求項4に記載の平滑性に優れた低炭素冷延鋼帯の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、各種機械部品電気電子部品自動車部品等の分野において平滑面を要求される板材として好適に使用される表面平滑性に優れた低炭素鋼冷延鋼帯の製造方法に関する。

背景技術

0002

表面粗さの小さい平滑な表面を要求される炭素鋼冷延鋼帯は、冷間圧延所定板厚にした冷延鋼帯を、ブライトロールワークロールとする調質圧延に付し、ブライトロールの平滑面を鋼帯表面転写することにより製造される。その調質圧延に際しては、鋼帯材種や要求される特性(硬度延性等)の仕様に応じて焼鈍処理が施され、また調質圧延での転写効果、表面疵防止等のための表面処理電解洗浄処理等)が必要に応じて実施される。冷延鋼帯の調質圧延における伸び率(ε)は、製品鋼帯表面粗度や、所要材料特性(硬さ、加工性等)の調整のために、また焼鈍処理済み冷延鋼帯では降伏伸びの解消等を目的として制御される。

0003

上記冷延鋼帯の調質圧延は、調質圧延油を使用するウエット調質圧延と、それを使用しないドライ調質圧延の2方式に分けられる。ウエット調質圧延は、被圧延材(冷延鋼帯)の表面の油脂類(冷間圧延時の圧延油等)や鉄粉,その他の汚染物質を調質圧延油の洗浄作用で洗い流し、汚染物の付着に起因する弊害を防止する作用を有する反面、ワークロールと被圧延材との間に調質圧延油が介在するために、被圧延材に対するロール表面転写率が低くなるほか、調質圧延の伸び率(ε)のムラ(伸び率ハンチング、所謂ジャンピング現象)を生じ易い等の難点がある。他方、ドライ調質圧延は、ワークロールと被圧延材との直接接触(調質圧延油膜の介在なし)により比較的高い転写率が得られるものの、調質圧延油の洗浄作用がないために、被圧延材の表面汚染(圧延油,鉄粉等の付着異物)に起因する不具合を生じ易いという欠点がある。

0004

板面の平滑性を制御された冷延鋼帯の製造法については種々の提案がなされている。
(a)炭素鋼の冷延鋼帯を焼鈍処理した後、その板面を酸洗いし、ついで熱水スプレー洗浄処理を施したうえ、ブライトロールによるドライ調質圧延に付して表面粗度Ra0.3μm以下の平滑性を有するブライト鋼板仕上げる(特許文献1)、
(b)高炭素冷延鋼帯を焼鈍処理した後、二段階のウエット調質圧延(第1段:ダルロール使用,第2段:ブライトロール使用)に付して所要の表面粗度(Ra:0.05-0.2μm)を有するブライト鋼板を得る(特許文献2)、
(c)炭素鋼冷延鋼帯を、電解洗浄処理して板面にシリカ膜を形成した後、焼鈍処理に付し、ついでブライトロール(表面粗度Ra:0.04-0.08μm)を用いたドライ調質圧延を施すことにより、高光沢表面(加熱機器反射板,車両用ヘッドランプフォグランプの反射板等として使用される)に仕上げる(特許文献3)、
(d)低炭素冷延鋼帯(C:0.007%以下)を、焼鈍処理の後、ブライトロール(表面粗度Ra:0.1μm以下)によるウエット調質圧延を施して、家電製品暖房機機器等の外板材アイロンカバー,ヘッドライト反射板等)に使用される高光沢冷延鋼帯(Ra:0.4μm以下)を得る(特許文献4)。
特許第3252553号公報
特許第3433711号公報
特開平11−267707号公報
特開平11−254001号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ウエット調質圧延では、前記のようにワークロールと被圧延材との界面に調質圧延油が介在することにより、被圧延材(冷延鋼帯)に対するブライトロールの転写効果が弱められ、製品鋼帯表面の平滑性を十分に高めることが困難であり、表面粗度の分布も比較的大きいバラツキを示す。またワークロールと被圧延材との界面に流入する調質圧延油の流入ムラに起因して、該接触界面の摩擦抵抗の変動とそれに伴なう鋼帯の伸び率ハンチング(ジャンピング現象)を生じ易い。

0006

ウエット調質圧延の上記難点を解消する手法として、ダルロールによる第1段の調質圧延とブライトロールによる第2段の調質圧延とからなる2段構成(特許文献2)を採用する場合は、設備の複雑化、メンテナンスコスト負担の増加を避けることができない。
また、冷延鋼帯の調質圧延に先だって焼鈍処理を行う場合は、工程の煩瑣化及び熱エネルギーコストの負担増を余儀なくされ、しかも焼鈍炉内での鋼帯表面の汚染酸化物粒子等の生成付着)を生じ易いことから、調質圧延において調質圧延油を使用しないドライ方式を適用することが困難となる。

0007

本発明は、表面粗さの小さい炭素鋼冷延鋼帯の製造における上記問題を解消し、ドライ調質圧延により高精度の平滑性を付与された炭素鋼冷延鋼帯の製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る平滑性に優れた低炭素冷延鋼帯の製造方法は、
含有量0.12質量%以下の低炭素鋼からなる冷延鋼帯を、脱脂洗浄処理したうえ、焼鈍処理することなく調質圧延工程に付し、ブライトロールによるドライ調質圧延を行うことを特徴としている。

発明の効果

0009

油脂類等が付着している冷延鋼帯の調質圧延には、ウエット式(鋼帯表面の油脂類を調質圧延油で共洗いすると共に鉄粉等の汚染物を除去する)の調質圧延が適用されるが、本発明では、調質圧延に先立つ脱脂洗浄処理で鋼帯表面の油脂類(及び油脂類に付着した鉄粉等の汚染物質)は除去されているので、調質圧延では調質圧延油の洗浄作用を必要とせず、ドライ調質圧延を適用することができる。ドライ調質圧延では、ワークロール(ブライトロール)の平滑面が直接鋼帯表面に押圧されるので、ウエット調質圧延に比し鋼帯表面に対するロール平滑面の転写率が高く、冷延鋼帯に表面粗さ及びそのバラツキの小さい高精度の平滑面が形成される。

0010

また、鋼帯の材種をC含有量0.12質量%以下の低炭素鋼に限定していることにより、冷間圧延における加工硬化歪みは比較的低いレベルに抑えられ、このため冷間圧延後の焼鈍処理が不要となり、熱処理工程の省略による製造工数及び熱エネルギーコストの削減効果が得られる。しかも、冷延鋼帯の焼鈍処理を行う場合は、焼鈍処理に付随する汚染(酸化物等の生成付着)のために、焼鈍後の鋼帯表面を十分に清浄化するには、例えば酸洗いと液体スプレー洗浄の2段の洗浄処理を焼鈍後の冷延鋼帯に施し(特許文献1)、あるいは焼鈍処理に先だって冷延鋼帯に電解洗浄処理を施す(特許文献3)等の煩瑣な処理が必要となる。これと異なって本発明(焼鈍処理なし)では、焼鈍処理に起因する汚染がないので、調質圧延に先行する鋼帯表面の洗浄処理は、特殊な設備や操作を必要とせず、アルカリ溶液処理液とし、処理液浴に冷延鋼帯を浸漬通板するか、又は該処理液を鋼帯表面にスプレーする等の所謂アルカリ脱脂と称される比較的簡素な設備と処理操作(後記)で鋼帯表面を十分に清浄化すると共に、ドライ調質圧延によって高度の平滑性を有する製品冷延鋼帯を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0011

本発明に係る平滑表面を有する冷延鋼帯は、所定の鋼組成に調製された低炭素鋼のスラブ素材とし、熱間圧延および冷間圧延の工程を経由した後、冷延鋼帯を脱脂洗浄処理し、ついでブライトロールをワークロールとしてドライ調質圧延(調質圧延油は不使用)する工程を経由して製造される。

0012

[鋼帯の鋼材種]
本発明の冷延鋼帯の鋼材種は、C含有量が0.12質量%以下の低炭素鋼である。鋼材種を低炭素鋼に限定したことにより、冷間圧延における加工歪みが少なく、冷延鋼帯を焼鈍処理することなく調質圧延に付すことができる。この低炭素鋼の代表例として、JIS G3141「冷延圧延鋼板及び鋼帯」の「参考」欄に記載された「SPCC」(C≦0.12%,Mn≦0.50%,P≦0.040%,S≦0.045%)が挙げられる。

0013

[熱間圧延]
上記低炭素鋼スラブの熱間圧延は常法に従って行われ、Ac3変態点以上の温度域オーステナイト単相域)で熱間圧延を終了する。これより低い温度域(オーステナイトフェライト混相)で圧延すると、最終製品鋼帯の材質均質性を確保し難くなる。熱延終了後熱延鋼板巻取りは、高温巻取りではスケール生成量が増加し易く、低温巻取りでは結晶粒過度微細化に伴なう過度の強度上昇・延性不足等をきたすおそれがあり、このため約535〜635℃の範囲でおこなうのがよい。熱延鋼帯は、表面スケール酸洗処理等で除去されたうえ、次の冷間圧延に付される。

0014

[冷間圧延]
冷間圧延は通常の条件により行われる。冷延圧下率は、製品鋼帯の具体的用途に応じ、板厚仕様及び所要の材料特性(硬さ,プレス加工性等)を充足するように適宜設定される。例えば、自動車CVプレートに使用される冷延鋼帯(板厚:約0.6〜2.3mm)の場合、一定の硬さ(例えばHv約160以上)が確保されるように、圧下率:約50%以上とするのがよい。しかし、圧下率を高くし過ぎると、鋼帯の過度の硬質化により、調質圧延におけるブライトロールの転写効果が弱められ、製品表面の平滑性の調整が困難となるほか、プレス加工等における加工性が損なわれることになる。このため冷延圧下率は約70%を上限とする。

0015

冷延鋼板の表面粗度は特に限定されないが、脱脂洗浄処理の後の調質圧延を経て得られる製品鋼帯として、中心線粗さRa(JIS B0601)0.3μm以下の平滑面を望む場合は、冷間圧延後の鋼帯表面粗度をRa0.4μm以下に仕上げるのがよい。冷間圧延における鋼帯表面粗度をRa0.3μm以下にすれば、調質圧延を経て得られる製品鋼帯の表面平滑性をより高精度とすることができる。冷間圧延における鋼帯の表面粗度Raは、冷間圧延のワークロールのロール表面粗度及び冷延圧下率により容易に調整することができる。

0016

[脱脂洗浄処理]
冷延鋼帯を調質圧延する前の洗浄処理の実施は、本発明のもっとも特徴とする点である。焼鈍された冷延鋼帯を対象とする洗浄処理(圧延油脂類の燃焼残滓である炭素分や焼鈍処理過程で生成付着した汚染物質の除去)と異なって、本発明における冷延鋼帯(焼鈍処理なし)の洗浄処理は、冷間圧延時に付着した圧延油(及び該油脂と共に付着している鉄粉等の異物)を除去するものである。脱脂洗浄処理法としては、アルカリ脱脂、溶剤脱脂エマルジョン脱脂、電解脱脂等の各種方法が知られているが、本発明における脱脂洗浄処理は、アルカリ脱脂法により十分に達成することができる。

0017

アルカリ脱脂法は、水酸化ナトリウムオルソ珪酸塩(代表的にはオルソ珪酸ソーダ)、リン酸ナトリウムなどの適宜濃度に調整されたアルカリ溶液(必要に応じ少量の界面活性剤等が添加される)を処理液とし、これを適宜液温(約60-100℃)に加温して使用する。その洗浄操作は、冷延鋼帯を処理液の浴中に連続的に浸漬通板し、または該処理液を鋼帯表面にスプレーすることにより行われる。洗浄処理効率を高めるために、必要に応じブラシロール等によるブラッシング作用が付加される。鋼帯表面に付着している鉄粉等の汚染物質は、油脂類と共に鋼帯表面から洗い流される。ついで鋼帯表面に付着している処理液を水(又は温水)等で洗い流す。この脱脂洗浄処理により、調質圧延での転写効率の妨げとなる汚染(油脂類及び鉄粉等の汚染物)が除去された清浄面を形成して調質圧延に供する。

0018

[調質圧延]
上記冷延鋼帯(脱脂洗浄処理済み)の調質圧延は、ドライ方式を適用し、ブライトロールを用いて行う。製品冷延鋼帯を、表面粗さRa0.3μm以下の平滑面に仕上げるために、ブライトロールとして、例えば粒度♯320の研削砥石による湿式研削処理を施して平滑面に仕上げたものが使用される。
調質圧延における鋼帯の伸び率(ε)は、0.2〜1.5%の範囲に制御することを要する。この伸び率(ε)に相応する幅荷重は、概ね0.3〜0.7Ton/mm程度である。伸び率(ε)を上記範囲(0.2〜1.5%)に限定したのは、これより低い伸び率の調質圧延では、ロール表面の転写効果が弱く製品鋼帯表面の平滑性の不足をきたし、他方その範囲を越える調質圧延では、製品鋼帯の延性の低下が大きく、良好なプレス加工性等を確保し難くなるからである。好ましい伸び率(ε)は、約0.4〜1.0%であり、最も好ましくは0.6〜0.8%である。

0019

本発明は調質圧延をドライ方式で行うので、冷延鋼帯に対するロール平滑面の転写効果が高く、またウエット調質圧延のようなジャンピング現象(伸び率のムラ)もなく、調質圧延を円滑に達成し、表面粗度Ra:0.3μm以下で、粗度分布のバラツキも小さい高精度の平滑面を有する冷延鋼帯が得られる。冷延鋼帯に反り等の変形がある場合でも、調質圧延での形状矯正効果として変形が解消され良好な形状品質が得られる。
なお、調質圧延における伸び率を上記範囲内で比較的高めに設定する場合において、製品鋼帯の延性の低下・プレス加工性の不足等をきたすおそれがあるときは、調質圧延における伸び率の高め設定に相応する分だけ、冷間圧延における圧下率を低めに設定して加工硬化の増加を相殺するようにすればよい。

0020

上記工程を経て得られる製品冷延鋼帯は、表面粗度Ra0.3μm以下で、そのバラツキも少ない高精度の平滑面を有すると共に、硬さ(Hv)約160以上を有し、かつプレス成形等に必要な延性・加工性を備えている。

0021

低炭素鋼スラブを素材とし、熱間圧延、熱延鋼板の酸洗処理(脱スケール処理)及び冷間圧延を経由して所定板厚の冷延鋼帯を得る。これを脱脂洗浄処理したうえ、ドライ調質圧延を施して表面粗度を調整された製品冷延鋼帯(発明材)を得た。
比較例として、同種の低炭素鋼スラブの冷延鋼帯(但し、脱脂洗浄処理なし)を、調質圧延油を使用するウエット調質圧延に付して表面粗度を調整した製品冷延鋼帯(比較材)を得た。
上記発明例及び比較例の製品冷延鋼帯は、いずれもSPCC-1B(JIS G3141)相当の板材(調質区分:硬質、表面仕上げ区分:ブライト仕上げ)である。

0022

(1)鋼組成(質量%)
C:0.02-0.06、Mn0.4-0.48、P: 0.02以下、S:0.01以下 Si:trace。
(2)熱間圧延
熱延仕上げ温度:875〜935℃
巻取り温度:535〜635℃
(3)冷間圧延
圧下率:50〜60%
冷延板厚 :1.6〜2.3mm

0023

(4)脱脂洗浄処理
鋼帯を連続移送しながら、処理液浴槽の浴中を浸漬通板することにより鋼帯表面の油脂類(及びこれに付着した鉄粉等の汚染物)を除去する。
処理液 :オルソ珪酸ソーダ(約3%)水溶液(界面活性剤:約0.015%)
液 温 :80〜95℃

0024

(5)調質圧延
ワークロールとして湿式研削処理(粒度♯320の研削砥石使用)を施した平滑面を有するブライトロールを使用しドライ方式またはウエット方式により実施。
(5.1)ドライ調質圧延(発明材)
鋼帯伸び率:0.6〜0.8%
(幅荷重:0.3〜0.6Ton/mm)
(5.1)ウエット調質圧延(比較材)
調質圧延油:「ND-10改」(大同化学(株)製)使用濃度6%
鋼帯伸び率 :0.4〜1.2%
(幅荷重:0.3〜0.6Ton/mm)

0025

上記製品冷延鋼帯(発明材及び比較材)の表面粗度の測定結果を、図1及び図2図1:発明材、図2:比較材)に示す。図示のとおり、比較材の冷延鋼帯(図2)は、表面粗度Ra(平均値):0.232μm(最大値0.394μm)、標準偏差(σ):0.058であり、これに対して発明材(図1)のそれは、Ra(平均値):0.199μmで、0.30μmを越えず(最大値は0.265μm)、標準偏差(σ):0.028とバラツキも小さく、比較材(図2)との差異は歴然である。なお、発明材について別途実施した試験により、Hv170〜190と十分な硬さを有すると共に、プレス成形等のための良好な延性・加工性を備えていることも認められた。

0026

以下に本発明の実施態様の具体例を示す。
1. C含有量0.12質量%以下の低炭素鋼からなる冷延鋼帯を、脱脂洗浄処理したうえ、焼鈍処理することなく調質圧延工程に付し、ブライトロールによるドライ調質圧延を行うことにより平滑性に優れた低炭素冷延鋼帯を得る。
2. 上記の低炭素鋼は、C:0.12質量%以下、Mn:0.50質量%以下、P:0.04質量%以下、S:0.045質量%以下、残部Fe及び不可避不純物からなる低炭素鋼(JIS G3141所載の「SPCC」相当材)である。

0027

3.上記の脱脂洗浄処理は、アルカリ水溶液を処理液とし、冷延鋼帯を処理液の浴中に浸漬通板し又は鋼帯表面に処理液をスプレーしたのち、鋼帯表面の処理液を水洗除去することからなるアルカリ脱脂処理である。
4.上記脱脂洗浄処理のアルカリ水溶液として、オルソ珪酸ソーダ水溶液(界面活性剤含有)を使用する。

0028

5.上記ドライ調質圧延における鋼帯の伸び率を0.2〜1.5%の範囲に制御する。
6.前記ドライ調質圧延により、表面粗度がRa:0.3μm以下である平滑面を有する冷延鋼帯を得る。
7.前記ドライ調質圧延により、表面粗度がRa:0.3μm以下の平滑面、硬さ(Hv)160以上の冷延鋼帯を得る。
8.自動車用トルクコンバータープレート(CVTプレート)材として使用される上記冷延鋼帯の製造。

0029

本発明により製造される低炭素冷延鋼帯は、表面粗さとそのバラツキの小さい高度の平滑面を有すると共に、硬さ及びプレス加工等の加工性を具備し、またその製造工程は焼鈍処理が省略されて簡素な工程とコスト的に有利な条件下に製造することができ、従って各種の機械部品、電気・電子機器部品、自動車部品等の多方面の分野において、前記諸特性を要求される部材、例えば家電製品の外板材、加熱機器・暖房機器の反射板、車両用ヘッドランプ・フォグランプの反射板、乾電池ジャケット、自動車用トルクコンバータCVT用プレート材等として好適に使用されるものである。

図面の簡単な説明

0030

実施例における発明材の冷延鋼帯の表面粗度を示すグラフである。
実施例における比較材の冷延鋼帯の表面粗度を示すグラフである。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 日本製鉄株式会社の「 鋼板の保持装置」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】吸着用金属片を電磁チャックの吸着力で吸着して鋼板を保持する場合に、電磁チャックまたは吸着用金属片を駆動する駆動機構の損傷を抑える。【解決手段】鋼板200の上方側に配置される吸着用金属片ユニット... 詳細

  • 日本製鉄株式会社の「 形鋼の製造方法」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】H形鋼を製造する場合に、加熱炉のスキッド部でのスケール堆積に起因して発生する凹み(圧痕)を、最終製品において残存させることなくH形鋼製品を製造する。【解決手段】加熱炉から抽出されたスラブを素材... 詳細

  • 日本製鉄株式会社の「 チタン熱間圧延板の製造方法」が 公開されました。( 2020/10/22)

    【課題・解決手段】電子ビーム溶解法またはプラズマアーク溶解法を用いて直接製造したチタンスラブに、熱間圧延を行ってチタン板を製造する方法であって、前記チタンスラブが熱間圧延時に圧延される面を被圧延面、圧... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ