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技術 分子列固定化基板およびその製造方法

出願人 国立研究開発法人理化学研究所
発明者 モハメッドザキールホサイン川合真紀
出願日 2005年11月1日 (15年2ヶ月経過) 出願番号 2005-318761
公開日 2007年5月24日 (13年7ヶ月経過) 公開番号 2007-125628
状態 特許登録済
技術分野 ナノ構造物 原子、分子の操作により形成されたナノ構造物 結晶、結晶のための後処理
主要キーワード 分子列 スチレンガス STMチップ 初期基板 次固定 n型半導体 ビニルフェロセン 水素終端処理
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重要な関連分野

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図面 (6)

課題

基板表面のダイマー列に直交する分子列を有する基板の提供。

解決手段

少なくとも1つのダングリングボンドを含む水素終端基板上に、チオール基または水酸基と前記基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を含む分子を供給することにより、前記分子が、前記共有結合形成可能な基と基板を構成する元素との間の共有結合によって表面に配列して固定化された基板を製造する方法。表面に分子が固定化された基板。チオール基または水酸基と前記基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を含む分子が、前記共有結合形成可能な基と基板を構成する元素との間の共有結合によって表面に配列して固定化されている。

概要

背景

近年、単一分子をスイッチやトランジスタなどの電子デバイスとして機能させる試みがなされている。このような機能性分子を組み込んだ電子素子は、単分子デバイスと呼ばれている。単分子デバイスの実現には、分子に信号を伝えるための分子列ナノワイヤーと呼ばれる)が不可欠であり、世界各国の研究者が、ナノワイヤーとして有力な物質を模索している状況にある。その中で、最近注目を集めているのが、Si表面上に分子連鎖反応によって形成される一次元分子列である。

Si(100)表面は、2つのSi原子同士が結合したダイマーを形成し、それらのダイマーが平行に並んだ構造(Siダイマー列)で安定化することが知られている。Si(100)表面上に更に水素を結合させると、水素で終端された表面が得られる。この水素終端表面から水素原子を取り除くことにより、部分的に結合不飽和ダングリングボンドを形成することができる。このダングリングボンドは1つの電子しかもたないため高い反応性を有する。そこで、このダングリングボンドの反応性を利用し、ある種のアルケン分子により、ダングリングボンドを基点としてSiダイマー列に沿った一次元分子列を連続的に形成することが報告されている(特許文献1参照)。

基板表面の任意の2点を結ぶためには、ダイマー列に沿った分子列とダイマー列に直交する分子列を組み合わせる必要がある。しかし、これまで知られている一次元分子列は、すべてダイマー列に沿ったものであり、ダイマー列に直交して分子列を形成する分子は知られていなかった。
カナダ特許出願公開第2323850号明細書

概要

基板表面のダイマー列に直交する分子列を有する基板の提供。少なくとも1つのダングリングボンドを含む水素終端基板上に、チオール基または水酸基と前記基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を含む分子を供給することにより、前記分子が、前記共有結合形成可能な基と基板を構成する元素との間の共有結合によって表面に配列して固定化された基板を製造する方法。表面に分子が固定化された基板。チオール基または水酸基と前記基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を含む分子が、前記共有結合形成可能な基と基板を構成する元素との間の共有結合によって表面に配列して固定化されている。

目的

かかる状況下、本発明は、基板表面のダイマー列に直交する分子列を有する基板を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

少なくとも1つのダングリングボンドを含む水素終端基板上に、チオール基または水酸基と前記基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を含む分子を供給することにより、前記分子が、前記共有結合形成可能な基と基板を構成する元素との間の共有結合によって表面に配列して固定化された基板を製造する方法。

請求項2

前記基板は、シリコン基板ゲルマニウム基板またはダイヤモンド基板である、請求項1に記載の製造方法。

請求項3

前記表面は、基板を構成する元素のダイマー列を含み、前記分子は、前記ダイマー列に直交する方向に配列して固定化されている、請求項1または2に記載の製造方法。

請求項4

前記表面は、Si(100)面、Ge(100)面またはダイヤモンド(100)面である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項5

前記分子は、下記一般式(I):[一般式(I)中、Xは、CH2=CH−、HC≡C−、HOOC−またはO=CR−(Rは、H、CH3またはOCH3である)であり、Yは、−SH、−OHまたは−CH(SH)−(CH2)m−CH3(mは、0〜5の範囲の整数である)であり、nは、0〜5の範囲の整数である。]で表される分子であり、前記一般式(I)で表される分子を基板上に供給することにより、下記一般式(II):[一般式(II)中、Zは、−CH2−CH2−、−HC=CH−、−O−CH(OH)−または−O−CH(R)−(Rは前記と同義である)であり、Yおよびnは、一般式(I)と同義である。]で表される基が表面に配列して固定化された基板を製造する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項6

前記分子の供給量を制御することにより、基板上に固定化される分子の配列の長さを制御する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項7

水素終端基板上の所望の位置にダングリングボンドを形成し、該ダングリングボンドを基点とし、前記分子を基板上に固定化する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項8

前記所望の位置へのダングリングボンドの形成は、走査型トンネル顕微鏡を用いて、基板上の所望の位置の終端水素原子を除去することによって行われる、請求項7に記載の製造方法。

請求項9

表面に分子が固定化された基板であって、チオール基または水酸基と前記基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を含む分子が、前記共有結合形成可能な基と基板を構成する元素との間の共有結合によって表面に配列して固定化された基板。

請求項10

前記基板は、シリコン基板、ゲルマニウム基板またはダイヤモンド基板である、請求項9に記載の基板。

請求項11

前記表面は、基板を構成する元素のダイマー列を含み、前記分子が、前記ダイマー列に直交する方向に配列して固定化されている、請求項9または10に記載の基板。

請求項12

前記表面は、Si(100)面、Ge(100)面またはダイヤモンド(100)面である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の基板。

請求項13

前記分子は、下記一般式(I):[一般式(I)中、Xは、CH2=CH−、HC≡C−、HOOC−またはO=CR−(Rは、H、CH3またはOCH3である)であり、Yは、−SH、−OHまたは−CH(SH)−(CH2)m−CH3(mは、0〜5の範囲の整数である)であり、nは、0〜5の範囲の整数である。]で表される分子であり、前記基板表面に、下記一般式(II):[一般式(II)中、Zは、−CH2−CH2−、−HC=CH−、−O−CH(OH)−または−O−CH(R)−(Rは前記と同義である)であり、Yおよびnは、一般式(I)と同義である。]で表される基が配列して固定化されている、請求項9〜12のいずれか1項に記載の基板。

技術分野

0001

本発明は、分子列を有する基板、および基板と分子間の連鎖反応により、分子列を有する基板を製造する方法に関する。

背景技術

0002

近年、単一分子をスイッチやトランジスタなどの電子デバイスとして機能させる試みがなされている。このような機能性分子を組み込んだ電子素子は、単分子デバイスと呼ばれている。単分子デバイスの実現には、分子に信号を伝えるための分子列(ナノワイヤーと呼ばれる)が不可欠であり、世界各国の研究者が、ナノワイヤーとして有力な物質を模索している状況にある。その中で、最近注目を集めているのが、Si表面上に分子連鎖反応によって形成される一次元分子列である。

0003

Si(100)表面は、2つのSi原子同士が結合したダイマーを形成し、それらのダイマーが平行に並んだ構造(Siダイマー列)で安定化することが知られている。Si(100)表面上に更に水素を結合させると、水素で終端された表面が得られる。この水素終端表面から水素原子を取り除くことにより、部分的に結合不飽和ダングリングボンドを形成することができる。このダングリングボンドは1つの電子しかもたないため高い反応性を有する。そこで、このダングリングボンドの反応性を利用し、ある種のアルケン分子により、ダングリングボンドを基点としてSiダイマー列に沿った一次元分子列を連続的に形成することが報告されている(特許文献1参照)。

0004

基板表面の任意の2点を結ぶためには、ダイマー列に沿った分子列とダイマー列に直交する分子列を組み合わせる必要がある。しかし、これまで知られている一次元分子列は、すべてダイマー列に沿ったものであり、ダイマー列に直交して分子列を形成する分子は知られていなかった。
カナダ特許出願公開第2323850号明細書

発明が解決しようとする課題

0005

かかる状況下、本発明は、基板表面のダイマー列に直交する分子列を有する基板を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに、末端チオール基または水酸基を有する分子が、ダングリングボンドを基点としてダイマー列と直交する方向に分子列を形成することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1] 少なくとも1つのダングリングボンドを含む水素終端基板上に、チオール基または水酸基と前記基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を含む分子を供給することにより、前記分子が、前記共有結合形成可能な基と基板を構成する元素との間の共有結合によって表面に配列して固定化された基板を製造する方法。
[2] 前記基板は、シリコン基板ゲルマニウム基板またはダイヤモンド基板である、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記表面は、基板を構成する元素のダイマー列を含み、
前記分子は、前記ダイマー列に直交する方向に配列して固定化されている、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記表面は、Si(100)面、Ge(100)面またはダイヤモンド(100)面である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記分子は、下記一般式(I):

0007

[一般式(I)中、Xは、CH2=CH−、HC≡C−、HOOC−またはO=CR−(Rは、H、CH3またはOCH3である)であり、Yは、−SH、−OHまたは−CH(SH)−(CH2)m−CH3(mは、0〜5の範囲の整数である)であり、nは、0〜5の範囲の整数である。]
で表される分子であり、前記一般式(I)で表される分子を基板上に供給することにより、下記一般式(II):

0008

[一般式(II)中、Zは、−CH2−CH2−、−HC=CH−、−O−CH(OH)−または−O−CH(R)−(Rは前記と同義である)であり、Yおよびnは、一般式(I)と同義である。]
で表される基が表面に配列して固定化された基板を製造する、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記分子の供給量を制御することにより、基板上に固定化される分子の配列の長さを制御する、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]水素終端基板上の所望の位置にダングリングボンドを形成し、該ダングリングボンドを基点とし、前記分子を基板上に固定化する、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 前記所望の位置へのダングリングボンドの形成は、走査型トンネル顕微鏡を用いて、基板上の所望の位置の終端水素原子を除去することによって行われる、[7]に記載の製造方法。
[9] 表面に分子が固定化された基板であって、
チオール基または水酸基と前記基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を含む分子が、前記共有結合形成可能な基と基板を構成する元素との間の共有結合によって表面に配列して固定化された基板。
[10] 前記基板は、シリコン基板、ゲルマニウム基板またはダイヤモンド基板である、[9]に記載の基板。
[11] 前記表面は、基板を構成する元素のダイマー列を含み、
前記分子が、前記ダイマー列に直交する方向に配列して固定化されている、[9]または[10]に記載の基板。
[12] 前記表面は、Si(100)面、Ge(100)面またはダイヤモンド(100)面である、[9]〜[11]のいずれかに記載の基板。
[13] 前記分子は、下記一般式(I):

0009

[一般式(I)中、Xは、CH2=CH−、HC≡C−、HOOC−またはO=CR−(Rは、H、CH3またはOCH3である)であり、Yは、−SH、−OHまたは−CH(SH)−(CH2)m−CH3(mは、0〜5の範囲の整数である)であり、nは、0〜5の範囲の整数である。]
で表される分子であり、前記基板表面に、下記一般式(II):

0010

[一般式(II)中、Zは、−CH2−CH2−、−HC=CH−、−O−CH(OH)−または−O−CH(R)−(Rは前記と同義である)であり、Yおよびnは、一般式(I)と同義である。]
で表される基が配列して固定化されている、[9]〜[12]のいずれかに記載の基板。

発明の効果

0011

本発明によれば、Si(100)面等に含まれるダイマー列に直交する分子列を有する基板を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0012

以下、本発明について更に詳細に説明する。

本発明は、少なくとも1つのダングリングボンドを含む水素終端基板上に、チオール基または水酸基と前記基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を含む分子を供給することにより、前記分子が、前記共有結合形成可能な基と基板を構成する元素との間の共有結合によって表面に配列して固定化された基板を製造する方法に関する。

0013

前記分子は、チオール基または水酸基と基板と構成する元素(例えばシリコン基板の場合はSi、ゲルマニウム基板の場合はGe、ダイヤモンド基板の場合はC)との間で共有結合可能な基を含む。前記共有結合可能な基としては、CH2=CH−、HC≡C−、HOOC−またはO=CR−(Rは、H、CH3またはOCH3である)を例示できる。

0014

前記分子は、前記共有結合可能な基とチオール基または水酸基が、連結基を介して結合したものであることができる。前記連結基としては、

0015

を例示できる。ここで、nは0〜5の範囲の整数であり、好ましくは1〜4の範囲の整数である。

0016

前記分子の好ましい構造としては、下記一般式(I)を例示でき、一般式(I)で表される分子を基板上に供給することにより、下記一般式(II)で表される基を基板表面に配列して固定化することができる。

0017

[一般式(I)中、Xは、CH2=CH−、HC≡C−、HOOC−またはO=CR−(Rは、H、CH3またはOCH3である)であり、Yは、−SH、−OHまたは−CH(SH)−(CH2)m−CH3(mは、0〜5、好ましくは0〜1の範囲の整数である)であり、nは、0〜5(好ましくは1〜4)の範囲の整数である。]

0018

[一般式(II)中、Zは、−CH2−CH2−、−HC=CH−、−O−CH(OH)−または−O−CH(R)−(Rは前記と同義である)であり、Yおよびnは、一般式(I)と同義である。]

0019

更に、前記分子の好ましい具体例を以下に示す。但し、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
2−プロペン−1−チオールチオグリコール酸、3−メルカプト安息香酸、3−ブテン−1−チオール、3−メルカプトプロピオン酸チオサリチル酸メルカプト琥珀酸、3−メルカプト−2−ペンタノン、3−メルカプト−2−ブタノン、3−ブテン−2オール、3−ブテン−1−オール、cis−2−ペンテン−1−オール。

0020

本発明において使用される基板は、少なくとも1つのダングリングボンドを含む水素終端基板である。水素終端基板は、公知の水素終端処理によって得ることができる。ダングリングボンドは、水素終端基板上から、終端水素原子を取り除くことによって形成することができる。終端水素原子は、電子線照射紫外線照射などの公知の方法によって除去することができる。また、超高真空下に基板を配置し、その表面にSTM(走査型トンネル顕微鏡)の探針を近付け、適当な電圧パルス印加することにより、表面から一つまたは複数の原子を引く抜くことができる。基板上の所望の位置から終端水素原子を確実に除去するためには、STMを用いることが好ましい。こうして基板上の所望の位置にダングリングボンドを形成すれば、該ダングリングボンドを基点として、基板上の所望の位置に分子列を形成することができる。なお、終端水素原子除去時の操作条件は、適宜設定することができる。本発明では、基板上に1つのダングリングボンドを形成するだけで、連鎖反応により分子列を形成することが可能である。また、基板上に複数のダングリングボンドを形成すれば、一度の処理で複数の分子列を形成することができる。更に、基板上に異なる分子を順次供給することにより、異なる種類の基からなる複数の分子列を形成することもできる。

0021

前記基板は、シリコン基板、ゲルマニウム基板、ダイヤモンド基板を用いることができる。前記基板としては、単結晶基板を用いることができる。なお、前記基板には、不純物が含まれていてもよく、例えば、半導体としての電気伝導度を付与し得る程度の量のリンガリウム砒素ホウ素、インジウム等の不純物が含まれていてもよい。また、前記基板は、n型半導体であってもp型半導体であってもよい。電子デバイスとしての有用性等の観点からは、シリコン基板を用いることが好ましい。

0022

分子列を形成する表面は、基板を構成する元素のダイマー列を含むことが好ましく、前記分子によれば、ダイマー列に直交する方向に分子列を形成することができる。以下、この点について説明する。

0023

チオール基または水酸基と基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を有する分子は、ダングリングボンドを基点として、基板上のダイマー列に直交する方向に、連鎖的に固定化され分子列を形成するという特徴を有する。この点を、プロペンチオールおよびスチレンを、Si(100)面に固定化する場合を例にとり、図1に基づき説明する。

0024

図1は、プロペンチオールおよびスチレンがSi(100)面上に固定化される過程を示す模式図である。
図1(a)に示すように、ダングリングボンドを1つ有する水素終端処理を施したSi(100)面に、プロペンチオール、スチレンを供給すると、図1(b)に示すように、SiとCが共有結合することにより基板上に分子が固定化されるとともに、炭素ラジカルが形成される。その後、スチレンの場合は、図1(c)に示すように、Cラジカルが、同じダイマー列上の最も近いHに達し、隣接するダイマー上に新たなラジカルを形成する。この反応が繰り返されることにより、スチレン分子が順次固定化され、Siダイマー列に沿った分子列が形成される。
それに対し、プロペンチオールの場合には、図1(b)に示すCラジカル形成後、互変異性により、Sラジカルが形成される。図1(d)に示すように、このSラジカルが、隣のダイマー列上のHに達してラジカルが形成される。この反応が繰り返されることにより、今まで不可能であったダイマー列と直交する方向に、−(CH2)3−SH基が配列して固定化された基板、即ち、ダイマー列と直交する分子列を有する基板を形成することができると考えられる。

0025

ダイマー列を含む表面としては、具体的には、Si(100)面、Ge(100)面、ダイヤモンド(100)面等を挙げることができ、中でも、Si(100)面を用いることが好ましい。

0026

ダングリングボンドを有する水素終端基板上に前記分子を供給すれば、先に説明したように連鎖的に反応が進行するため、これにより、基板上に分子列を容易に形成することができる。分子の供給方法としては、基板を配置した反応容器中に、前記分子をガスとして導入する方法を用いることができる。

0027

基板上に固定する前記一般式(II)で表される基の量および分子列の長さは、作製した基板の用途等に応じて適宜設定することができる。分子列の長さは、例えば20〜500Åとすることができる。分子列の長さおよび固定量は、前記分子の供給量によって制御することができる。反応雰囲気中の前記分子ガス露出量は、例えば10-9〜10-4Torr・s、好ましくは10-7〜10-5Torr・sとすることができる。混合するガスとしては、不活性ガス(例えば、アルゴン等の希ガス窒素ガス等)を用いることができる。反応温度は、好ましくは室温(約25℃)であるが、室温以上〜200℃以下であれば同反応により分子列を形成すことができる。本反応は連鎖反応であって、きわめて選択的かつ迅速に進行するものである。

0028

更に、本発明は、表面に分子が固定化された基板であって、チオール基または水酸基と前記基板を構成する元素との間で共有結合形成可能な基を含む分子が、前記共有結合形成可能な基と基板を構成する元素との間の共有結合によって表面に配列して固定化された基板に関する。前記基板は、前述の工程によって得ることができる。なお、基板上に分子列が形成されたことは、STMによって確認することができる。

0029

また、前記分子は、基板上で安定に存在することができ、例えば−200〜500℃においても固定化状態を維持することができる。このように熱的安定性が高いことにより、デバイス作製等のプロセスの影響を受けにくく、また、デバイスとした場合には、使用により生じる発熱に耐え得るため、高い耐久性を得ることができる。

0030

以上説明したように、本発明によれば、基板上に、従来不可能であったダイマー列に直交する方向に分子列を形成することができる。ダイマー列に沿った分子列と、本発明により形成される、ダイマー列に直交する分子列を組み合わせることにより、基板の任意の2点を結ぶことが可能となる。ダイマー列に沿った分子列を形成する分子としては、スチレン、ジメチルスチレン、ビニルフェロセン、その他、カナダ特許出願公開第2323850号明細書に記載の各種分子を用いることができる。ダイマー列に沿った分子列も、前述のダイマー列に直交する分子列と同様に、ダングリングボンドを有する水素終端基板上に、所定の分子を供給することによって形成することができる。その条件は、適宜設定することができ、詳細については、カナダ特許出願公開第2323850号明細書を参照できる。

0031

前述のようにダイマー列に直交する分子列とダイマー列に沿った分子列を組み合わせることにより、電子デバイスとして有用な基板を得ることができる。例えば、基板上に固定された分子の末端に金属等の導電性物質を結合させれば、電荷移動性を有する分子列(ナノワイヤー)を形成することができる。また、末端に化学発光物質等の各種機能性分子やDNA、タンパク等の生体分子を結合または吸着させることにより、センサーマイクロアレイとしての応用も期待される。

0032

以下、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
(1)ダイマー列に直交する分子列の形成
ホウ素ドープシリコン基板を850Kで8時間アニールし、次いで1400Kでフラッシング(flashing)を繰り返して表面の汚染を除去した。このときの真空度は3×10-10Torrであった。この基板表面は、Si(100)面であった。この基板表面を、625Kにおいて、ホットWフィラメント(2100K)によって生成された原子状水素曝すことにより、水素終端処理を行った。この水素終端処理基板の所望の位置から、STMチップからの高圧パルス注入によって終端水素を取り除き、ダングリングボンドを形成した。本実施例で使用したSTMは、可変温度型走査型トンネル顕微鏡(Omicron製VT−STM)である。
この基板を、約25℃でプロペンチオールガス雰囲気下に配置した。使用したガスは、freeze-pump-thaw法を数回繰り返して精製したものである。反応雰囲気中のガス露出量は、5×10-6Torr・sであった。

0033

反応後の基板のSTM像図2に示す。図2に示すように、プロペンチオールにより、基板上のダイマー列に直交する分子列が形成されたことが確認された。この分子列における各分子間の距離を測定したところ、7.8Åであり、ダイマー列間の距離とほぼ一致した。これにより、プロペンチオールが各ダイマー列上に固定化されていることが確認された。また、この分子列は、650Kにおいても安定であった。これにより、プロペンチオールが共有結合によって強固に基板上に固定化されていることが確認された。

0034

(2)ダイマー列に直交する分子列とダイマー列と沿った分子列との組み合わせ
上記(1)において分子列を形成した基板上の、図3に矢印で示す位置に、上記と同様の方法でダングリングボンドを形成した。この基板を、使用するガスをスチレンガス(ガス露出量:5×10-6Torr・s)に変更した以外は上記(1)と同様に分子固定化処理を行った。処理後の基板のSTM像を図4に示す。図4に示すようにダイマー列に沿ったスチレン分子列が形成され、2本のプロペンチオール分子列を、スチレン分子列によって連結することができた。なお、図4中、Dで示す部分は、スチレンの二重分子列である。これは、一般にスチレン分子列形成時に観察される現象である。
なお、プロペンチオール分子列近傍に、ダイマー列に沿ったスチレン分子列を形成するために、上記の新たなダングリングボンド形成工程は必須ではない。新たなダングリングボンド形成を行わなかった以外、上記と同様の処理を行った基板のSTM像を図5に示す(図5中、矢印は初期基板上に存在していたダングリングボンドの位置を示す)。水素終端基板には、通常複数のダングリングボンドが含まれるため、新たなダングリングボンド形成を行わなくても、図5に示すように、それらダングリングボンドを基点とし、プロペンチオール分子列近傍にスチレン分子列を形成することができた。

0035

本発明によれば、今まで不可能であったダイマー列と直交する分子列を形成することができる。本発明の基板は、電子デバイス、センサー、マイクロアレイ用基板として好適である。

図面の簡単な説明

0036

プロペンチオールおよびスチレンがSi(100)面上に固定化される過程を示す模式図である。
プロペンチオール分子列を形成した基板のSTM像である。
図2に示す基板に形成されたダングリングボンドを示すSTM像である。
図3に示すダングリングボンドを基点として形成されたスチレン分子列を示すSTM像である。
水素終端基板に含まれるダングリングボンドを基点として形成されたスチレン分子列を示すSTM像である。

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