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技術 耐熱金属材料の耐酸化性の改善方法および耐熱金属部材の製造方法

出願人 一般財団法人電力中央研究所
発明者 餌取良幸
出願日 2005年10月25日 (13年9ヶ月経過) 出願番号 2005-309683
公開日 2007年5月17日 (12年2ヶ月経過) 公開番号 2007-119802
状態 特許登録済
技術分野 タービンロータ・ノズル・シール ガスタービン、高圧・高速燃焼室 非鉄金属または合金の熱処理 金属質材料の表面への固相拡散 タービンロータ・ノズル・シール
主要キーワード アルゴンガスフロー アルミナイズ処理 合金全量 高温水蒸気雰囲気 ニッケル基耐熱合金 溶化温度 拡散浸透法 立方体形
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年5月17日)のものです。
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図面 (5)

課題

合金表面近傍の材料組織脆化することなく、さらに部材の製造工程を増やさずに、高温水蒸気雰囲気中における耐熱金属材料耐酸化性を改善する方法を提供する。

解決手段

アルミニウムを含有するニッケル基合金からなる耐熱金属材料を、低酸素分圧雰囲気熱処理する。低酸素分圧雰囲気で熱処理することにより、合金構成金属のうちアルミニウムが選択的に酸化され、合金表面に緻密な酸化アルミニウム保護皮膜が形成される。

概要

背景

火力発電所用のガスタービンなどに用いられる部材の材料として、耐熱性高温強度等の機械的特性などの要求を満足するニッケル基合金が用いられている。一方、これらの部材は高温水蒸気中で使用されるため、水蒸気酸化に対する耐性も要求される。

アルミニウム(Al)は、実用合金元素ニッケルコバルトクロム、鉄、タンタルタングステン等)の中でも最も酸化物平衡酸素解離圧が小さい部類に属する。アルミニウムを含有する合金の表面に緻密なアルミナ(Al2O3)皮膜が生成すると、合金のアルミナ皮膜よりも内部における酸素分圧はアルミナの平衡酸素解離圧以下になるので、酸化物の平衡酸素解離圧がそれよりも大きい合金元素は酸化されず、以降の酸化の進行が抑制されることが知られている。

このため、従来では、特にガスタービン用途の合金にはアルミナイズ処理を施すことが行われてきた。このアルミナイズ処理は、Alを合金表面から拡散させ、合金表面近傍のAl濃度を著しく高める処理であり、例えば、拡散浸透法化学気相蒸着法パック法などによる処理が実用化されている(非特許文献1および非特許文献2)。アルミナイズ処理を施した合金表面には、高温水蒸気中での実使用等によって酸化アルミニウムの皮膜が形成される。
日本機械学会第75期通常総会講演会講演論文集(II) No.98−1 1998年 p.540−541
Journal of the Society of Materials Science, Japan (ジャーナルオブザ ソシエティオブマテリアルサイエンスジャパン) 第51巻 第12号 2002年 p.1405-1410

概要

合金表面近傍の材料組織脆化することなく、さらに部材の製造工程を増やさずに、高温水蒸気雰囲気中における耐熱金属材料耐酸化性を改善する方法を提供する。アルミニウムを含有するニッケル基合金からなる耐熱金属材料を、低酸素分圧雰囲気熱処理する。低酸素分圧雰囲気で熱処理することにより、合金の構成金属のうちアルミニウムが選択的に酸化され、合金表面に緻密な酸化アルミニウム保護皮膜が形成される。なし

目的

また本発明は、合金表面近傍の材料組織が脆化することなく、さらに部材の製造工程を増やさずに、高温水蒸気雰囲気中における耐酸化性に優れた耐熱金属部材を得ることができる耐熱金属部材の製造方法を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
3件

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請求項1

アルミニウムを含有するニッケル基合金からなる耐熱金属材料を、低酸素分圧雰囲気熱処理し、これにより、耐熱金属材料の表面に酸化アルミニウム保護皮膜を形成することを特徴とする耐熱金属材料の耐酸化性改善方法

請求項2

前記熱処理は、鋳造した耐熱金属材料の溶体化処理および時効処理であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱金属材料の耐酸化性の改善方法。

請求項3

前記熱処理を、当該熱処理の温度におけるニッケル酸化物平衡酸素解離圧よりも低い酸素分圧雰囲気で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱金属材料の耐酸化性の改善方法。

請求項4

前記熱処理を、前記耐熱金属材料を構成するアルミニウム以外の金属元素酸化物における、当該熱処理の温度での平衡酸素解離圧よりも低い酸素分圧雰囲気で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱金属材料の耐酸化性の改善方法。

請求項5

発電用ガスタービン構成部材として鋳造した前記耐熱金属材料に対して前記熱処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱金属材料の耐酸化性の改善方法。

請求項6

前記耐熱金属材料は、5.0質量%以上のアルミニウムを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱金属材料の耐酸化性の改善方法。

請求項7

アルミニウムを含有するニッケル基合金からなり、高温水蒸気中で使用される耐熱金属部材を、低酸素分圧雰囲気で熱処理し、これにより、耐熱金属部材の表面に酸化アルミニウム保護皮膜を形成することを特徴とする耐熱金属部材の製造方法。

請求項8

前記熱処理は、前記耐熱金属部材の溶体化処理および時効処理であることを特徴とする請求項7に記載の耐熱金属部材の製造方法。

請求項9

前記熱処理を、当該熱処理の温度におけるニッケル酸化物の平衡酸素解離圧よりも低い酸素分圧雰囲気で行うことを特徴とする請求項7または8に記載の耐熱金属部材の製造方法。

請求項10

前記熱処理を、前記耐熱金属部材を構成するアルミニウム以外の金属元素の酸化物における、当該熱処理の温度での平衡酸素解離圧よりも低い酸素分圧雰囲気で行うことを特徴とする請求項7または8に記載の耐熱金属部材の製造方法。

請求項11

前記耐熱金属部材は、発電用ガスタービンの構成部材であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の耐熱金属部材の製造方法。

請求項12

前記耐熱金属部材は、5.0質量%以上のアルミニウムを含有することを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の耐熱金属部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、耐熱金属材料耐酸化性改善方法および耐熱金属部材の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、火力発電所用のガスタービンのような高温水蒸気中で使用される機器構成部材として用いられる耐熱金属材料の耐酸化性の改善方法および耐熱金属部材の製造方法に関する。

背景技術

0002

火力発電所用のガスタービンなどに用いられる部材の材料として、耐熱性高温強度等の機械的特性などの要求を満足するニッケル基合金が用いられている。一方、これらの部材は高温水蒸気中で使用されるため、水蒸気酸化に対する耐性も要求される。

0003

アルミニウム(Al)は、実用合金元素ニッケルコバルトクロム、鉄、タンタルタングステン等)の中でも最も酸化物平衡酸素解離圧が小さい部類に属する。アルミニウムを含有する合金の表面に緻密なアルミナ(Al2O3)皮膜が生成すると、合金のアルミナ皮膜よりも内部における酸素分圧はアルミナの平衡酸素解離圧以下になるので、酸化物の平衡酸素解離圧がそれよりも大きい合金元素は酸化されず、以降の酸化の進行が抑制されることが知られている。

0004

このため、従来では、特にガスタービン用途の合金にはアルミナイズ処理を施すことが行われてきた。このアルミナイズ処理は、Alを合金表面から拡散させ、合金表面近傍のAl濃度を著しく高める処理であり、例えば、拡散浸透法化学気相蒸着法パック法などによる処理が実用化されている(非特許文献1および非特許文献2)。アルミナイズ処理を施した合金表面には、高温水蒸気中での実使用等によって酸化アルミニウムの皮膜が形成される。
日本機械学会第75期通常総会講演会講演論文集(II) No.98−1 1998年 p.540−541
Journal of the Society of Materials Science, Japan (ジャーナルオブザ ソシエティオブマテリアルサイエンスジャパン) 第51巻 第12号 2002年 p.1405-1410

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、アルミナイズ処理を施すと合金表面近傍の材料組織脆化し、き裂の発生が従前に比べて増加するという問題が生じている。また、部材の製造段階において工程が増えることがコスト増加の要因となっている。

0006

本発明は、上記した従来技術における課題を解決するためになされたものであり、合金表面近傍の材料組織が脆化することなく、さらに部材の製造工程を増やさずに、高温水蒸気雰囲気中における耐熱金属材料の耐酸化性を改善することを目的としている。

0007

また本発明は、合金表面近傍の材料組織が脆化することなく、さらに部材の製造工程を増やさずに、高温水蒸気雰囲気中における耐酸化性に優れた耐熱金属部材を得ることができる耐熱金属部材の製造方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、アルミニウムを含有する耐熱金属材料を、低酸素分圧雰囲気熱処理することにより、合金の構成金属のうちアルミニウムが選択的に酸化され、合金表面に緻密
酸化アルミニウム皮膜が形成されることを見出し本発明を完成するに至った。

0009

本発明の耐熱金属材料の耐酸化性の改善方法は、アルミニウムを含有するニッケル基合金からなる耐熱金属材料を、低酸素分圧雰囲気で熱処理し、これにより、耐熱金属材料の表面に酸化アルミニウム保護皮膜を形成することを特徴としている。

0010

このように、アルミナイズ処理を施さずに、耐熱金属材料を構成するニッケル基合金を酸化して酸化アルミニウム皮膜を形成しているので、合金表面近傍における材料組織の脆化を防止できる。

0011

上記の発明において、前記熱処理は、鋳造した耐熱金属材料の溶体化処理および時効処理であることが好ましい。
このように、耐熱金属材料の機械的特性等を向上させるための溶体化処理および時効処理において低酸素分圧雰囲気とすることで、当該処理時に合金の構成金属のうちアルミニウムが選択的に表面近傍で酸化され、緻密な酸化アルミニウム皮膜が形成される。したがって、部材の製造工程を増やさずに、高温水蒸気雰囲気中における耐熱金属材料の耐酸化性を改善することができる。

0012

上記の発明において、前記熱処理を、当該熱処理の温度におけるニッケル酸化物の平衡酸素解離圧よりも低い酸素分圧雰囲気で行うことが好ましい。
上記の発明において、前記熱処理を、前記耐熱金属材料を構成するアルミニウム以外の金属元素の酸化物における、当該熱処理の温度での平衡酸素解離圧よりも低い酸素分圧雰囲気で行うことが好ましい。

0013

上記の発明において、発電用ガスタービンの構成部材として鋳造した前記耐熱金属材料に対して前記熱処理を行うことが好ましい。
上記の発明において、前記耐熱金属材料は、5.0質量%以上のアルミニウムを含有することが好ましい。

0014

本発明の耐熱金属部材の製造方法は、アルミニウムを含有するニッケル基合金からなり、高温水蒸気中で使用される耐熱金属部材を、低酸素分圧雰囲気で熱処理し、これにより、耐熱金属部材の表面に酸化アルミニウム保護皮膜を形成することを特徴としている。

0015

このように、アルミナイズ処理を施さずに、耐熱金属部材を構成するニッケル基合金を酸化して酸化アルミニウム皮膜を形成しているので、合金表面近傍における材料組織の脆化を防止できる。

0016

上記の発明において、前記熱処理は、前記耐熱金属部材の溶体化処理および時効処理であることが好ましい。
このように、耐熱金属部材の機械的特性等を向上させるための溶体化処理および時効処理において低酸素分圧雰囲気とすることで、当該処理時に合金の構成金属のうちアルミニウムが選択的に表面近傍で酸化され、緻密な酸化アルミニウム皮膜が形成される。したがって、部材の製造工程を増やさずに、高温水蒸気雰囲気中における耐酸化性に優れた耐熱金属部材を得ることができる。

0017

上記の発明において、前記熱処理を、当該熱処理の温度におけるニッケル酸化物の平衡酸素解離圧よりも低い酸素分圧雰囲気で行うことが好ましい。
上記の発明において、前記熱処理を、前記耐熱金属部材を構成するアルミニウム以外の金属元素の酸化物における、当該熱処理の温度での平衡酸素解離圧よりも低い酸素分圧雰囲気で行うことが好ましい。

0018

上記の発明において、前記耐熱金属部材は、発電用ガスタービンの構成部材であることが好ましい。
上記の発明において、前記耐熱金属部材は、5.0質量%以上のアルミニウムを含有することが好ましい。

発明の効果

0019

本発明の耐熱金属材料の耐酸化性の改善方法によれば、合金表面近傍の材料組織が脆化することなく、さらに部材の製造工程を増やさずに、高温水蒸気雰囲気中における耐熱金属材料の耐酸化性を改善することができる。

0020

本発明の耐熱金属部材の製造方法によれば、合金表面近傍の材料組織が脆化することなく、さらに部材の製造工程を増やさずに、高温水蒸気雰囲気中における耐酸化性に優れた耐熱金属部材を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0021

以下、本発明について詳細に説明する。本発明において用いられる耐熱金属材料は、アルミニウムを含有するニッケル基合金であり、高温水蒸気中における耐熱性を有するものである。

0022

ニッケル基合金としては、一般的にガスタービン用途等に使用されるものなどを用いることができる。このようなニッケル基合金は、普通鋳造合金、一方向凝固合金、単結晶合金などのいわゆる超合金であり、ニッケルを主成分として各種の添加元素を加えることにより、耐熱性、高温における強度、長時間の組織定性などの所望の特性を備えている。

0023

ニッケル基合金におけるニッケル以外の添加元素としては、アルミニウムの他に、コバルト、クロム、鉄、タンタル、タングステン、モリブテンハフニウムレニウムなどを挙げることができる。

0024

後述する熱処理によって緻密なアルミニウム皮膜を形成可能であり、耐熱性および、高温強度などの機械的特性等において、ガスタービンの構成部材として適切な特性を得る点から、ニッケル基合金として、アルミニウム5.0〜6.0質量%、コバルト1.0〜12.5質量%、クロム2.0〜16.0質量%、モリブテン0.4〜4.0質量%、タングステン2.6〜13.7質量%、チタン0.2〜5.0質量%、タンタル1.7〜12.0質量%を少なくとも含有する普通鋳造合金、一方向凝固合金または単結晶合金が好ましい。この他、一方向凝固合金および単結晶合金である場合、ハフニウム、レニウムなどが必要に応じて添加される。また、結晶粒界強化元素である炭素ホウ素等が添加される場合がある。

0025

このようなニッケル基合金は、ガスタービンの構成部材などの所望の部材形状に鋳造した後、適切な溶体化処理および時効処理を行うことによって得ることができる。
発電用のガスタービンにおいて、冷却構造を有する複数段の各動翼を鋳造する方法としては、ロストワックス法などが用いられており、真空溶解真空鋳造で製造されるのが一般的である。例えば、マスターインゴットとして溶製された材料を用い、これを再溶解して鋳造を行う。普通鋳造合金では、疲労特性を向上させるために、各種の方法で結晶粒微細化して鋳造することが多い。一方向凝固合金および単結晶凝固合金の鋳造には、いわゆる鋳型引出し式方向凝固法などが用いられる。ガスタービン用途では、普通鋳造合金、一方向凝固合金および単結晶凝固合金は、使用温度応力などに応じて使い分けられている。

0026

本発明における特に好ましい態様では、上記の鋳造した耐熱金属材料に対して、低酸素分圧雰囲気にて溶体化処理および時効処理を施し、これによって、機械的特性等を向上させると同時に、耐熱金属材料の表面に緻密な酸化アルミニウム(Al2O3)保護皮膜を形成し、高温水蒸気雰囲気中における耐熱金属材料の耐酸化性を改善する。

0027

溶体化処理では、高温に加熱して析出相母相中に溶かし込み、これを急冷することによって、時効により析出させる元素母相へ充分に固溶した固溶体を得る。多相合金のように母相とは組成の異なる析出相を時効により析出させる場合には、母相に析出される元素を過剰に含む過飽和固溶体を生成させる。

0028

溶化温度から急冷し、固溶化温度よりも低い温度に加熱保持することにより時効を行う。時効すると次第に析出が起こり、金属原子の拡散に必要な時間と温度を保つことによって析出相が成長する。析出相の成長に伴って合金の各種の性質、例えば硬さやクリープ強度等の機械的性質、その他物理的および化学的性質が変化する。

0029

上記の溶体化処理および時効処理では、所望の相構造および所望の特性をもつ合金を得るために、一定温度での1段の熱処理または、温度を複数回変更した複数段の熱処理が行われる。

0030

例えば1100K程度の高温において高い強度を示す耐熱性のニッケル超合金における具体的な一例を説明すると、溶体化処理および時効処理によって、母相であるγ相にγ’相が析出相として析出する。

0031

鋳造後の合金には、母相中に共晶γ’相があり、析出したγ’相も粗大化している。普通鋳造合金および一方向凝固合金では、共晶組織の他に炭化物が混在している場合もある。普通鋳造合金および一方向凝固合金では、溶体化処理によっても共晶γ’相が消失しないが、単結晶合金では、溶体化処理によって共晶γ’相が消失してγ単相となり、その後の時効処理で形状の整ったγ’相が析出する。

0032

一般的には、時効によってγ’相が立方体形状で規則正しく析出する(鋳造工学第73巻(2001年)第12号 p.834−839等)。γ’相の形態はニッケル基合金のクリープ強度等の性質に大きく影響するが、溶体化処理および時効処理によってこれを制御する。γ’相の形態は、例えば溶体化処理後冷却速度などにより大きく依存するので、アルゴンガスフローなどにより強制的に冷却する場合がある。

0033

なお、本発明では、低酸素分圧雰囲気にて溶体化処理および時効処理を施し、これによって、機械的特性等を向上させると同時に、耐熱金属材料の表面に緻密な酸化アルミニウム(Al2O3)保護皮膜を形成し、高温水蒸気雰囲気中における耐熱金属材料の耐酸化性を改善することを要旨としており、溶体化処理および時効処理の具体的な条件、および結果として得られる合金の相構造、結晶形態などは上記の説明に限定されるものではない。すなわち、所望の特性を有するニッケル基合金に応じて、温度や冷却速度等が各種の条件とされるが、従来より各種の条件が開示されており、また、当業者であれば目的に応じて当該条件を適宜に変更するであろう。

0034

本発明では、鋳造した耐熱金属材料に対して、低酸素分圧雰囲気での熱処理を施す。この熱処理によって、耐熱金属材料の表面には緻密な酸化アルミニウム(Al2O3)保護皮膜が形成される。この熱処理は、上記したように、溶体化処理および時効処理であることが特に好ましい。この熱処理によって形成される酸化アルミニウム保護皮膜は、αアルミナの皮膜であり、その平均厚さは、通常は約1μmである。

0035

このような酸化アルミニウム保護皮膜が形成されることによって、高温水蒸気中で耐熱金属材料の使用を続けても、皮膜の内部における酸化の進行が充分に抑制される。
上記の熱処理は、加熱炉などの所定の加熱室内に耐熱金属材料を配置し、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で、温度および酸素分圧を適宜に調節して行う。熱処理時における酸素分圧は、少なくとも熱処理温度におけるニッケル酸化物の平衡酸素解離圧よりも低いことが好ましい。また、合金の添加元素の種類および組成等に応じて、これらの元素の酸化物の平衡酸素解離圧を考慮し、合金表面に連続した酸化アルミニウム皮膜が形成される条件に酸素分圧を設定する。

0036

具体的には、例えば、必要に応じて脱酸素処理を行った高純度の不活性ガスを用いて、当該ガスの雰囲気下で熱処理を行い、真空度を適切に調節することで上記の酸素分圧とすることができる。

0037

上記のような条件で熱処理を行うことによって、ニッケル酸化物、他の添加元素による複合酸化物などの生成が防止され、アルミニウムが選択的に酸化されて合金表面に連続した酸化アルミニウム皮膜が形成される。酸化アルミニウム皮膜以外の酸化物皮膜が形成されると、高温水蒸気雰囲気での使用において、皮膜内部における酸化の進行を充分に防止できなくなる。

0038

なお、ニッケル基合金中におけるアルミニウムの含有量は、具体的な相構造、結晶構造などにもよるが、好ましくは合金全量に対して5.0質量%以上、より好ましくは5.0〜6.0質量%である。例えば、アルミニウムが高濃度に存在する相が見かけ上塊状に存在し、その周囲を比較的低濃度のアルミニウムを含有する相が囲んでいる組織になっている場合では、合金表面での酸化が始まると、酸化物層を生成させるために塊状相からアルミニウムが表層へ拡散していくが、ニッケル基合金中におけるアルミニウムの含有量が少ないと、アルミナ皮膜の形成や表面近傍の合金組織構造に対して好ましくない影響を与える場合がある。

0039

また、ニッケル基合金中におけるアルミニウムの含有量は、耐酸化性に関する限り特に上限はないが、例えば合金の強度、疲労特性などの機械的性質等はアルミニウムの含有量にも依存するので、それらを考慮する必要がある。

0040

本発明は、高温水蒸気雰囲気の過酷条件下で使用される機器に用いられる耐熱金属材料の耐酸化性の改善および耐熱金属部材の製造に好ましく適用される。このような耐熱金属部材の具体例としては、火力発電所用のガスタービンおよびボイラなどが挙げられる。火力発電所用のガスタービンには、水蒸気タービン水蒸気で冷却を行うガスタービンなどがあり、ガスタービンと排熱回収ボイラおよび蒸気タービンを組み合わせたコンバインド発電プラントで使用されるものなどがある。ガスタービンの構成部材としては、例えばタービン動翼タービン静翼ディスクスタッキングボルトなどが挙げられる。

0041

本発明によれば、例えば、温度400〜800℃、圧力150kg/cm2以上である
ような水蒸気雰囲気において使用される耐熱金属部材の耐酸化性を大幅に向上させることができる。
実施例
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示す組成のニッケル基耐熱合金に対して低酸素分圧下における熱処理を行った。

0042

0043

低酸素分圧下における熱処理は、全圧67Paの純Arガスを雰囲気として、1304℃で2時間保持した後に1140℃まで強制的に冷却し、その後、1140℃で6時間、1080℃で6時間、871℃で20時間保持し、その後室温まで徐冷するという温度履歴で実施した。

0044

熱処理後の合金断面を電子顕微鏡写真で観察したところ、厚さ約1μmのAl2O3皮膜の生成が確認された。図1に、熱処理後の合金断面の電子顕微鏡写真(撮影倍率10000倍)を示す。

0045

この低酸素分圧下における熱処理によりAl2O3皮膜が形成されたニッケル基耐熱合金に対して、600℃、700℃、800℃の各水蒸気中にて500時間酸化での重量増加挙動を評価した。その結果を図2に示す。

0046

図3は、上記のニッケル基耐熱合金を800℃水蒸気中で500時間まで酸化した後の合金断面の電子顕微鏡写真(撮影倍率10000倍)である。Al2O3皮膜の厚さは約1μmであり、水蒸気酸化以前の状態に比べて厚さの増加はほとんど認められなかった。
[比較例1]
上記表1の組成を有し、実施例1の熱処理を行わずに表面を鏡面仕上げしたニッケル基耐熱合金を用意した。

0047

このニッケル基耐熱合金に対して、600℃、700℃、800℃の各水蒸気中にて500時間酸化での重量増加挙動を評価した。その結果を図4に示す。
図2および図4に示されるように、表面にAl2O3皮膜が形成された実施例1のニッケル基耐熱合金では、比較例1のニッケル基耐熱合金に比べて、800℃水蒸気中での酸化増量は約1/10に、700℃水蒸気中での酸化増量は約1/20に、600℃水蒸気中での酸化増量は約1/3にまで低下した。

0048

図5は、比較例1のニッケル基耐熱合金を800℃水蒸気中で500時間まで酸化した後の合金断面の電子顕微鏡写真(撮影倍率10000倍)である。鏡面仕上げした合金表面には、水蒸気酸化によって、厚さ約6μmの酸化皮膜が形成されていた。

図面の簡単な説明

0049

図1は、低酸素分圧下における熱処理を行った実施例1のニッケル基耐熱合金の断面の電子顕微鏡写真である。
図2は、低酸素分圧下における熱処理を行いAl2O3皮膜を形成した実施例1のニッケル基耐熱合金に対して、600℃、700℃、800℃の各水蒸気中にて500時間酸化での重量増加挙動を評価した結果を示したグラフである。
図3は、低酸素分圧下における熱処理を行った実施例1のニッケル基耐熱合金を800℃水蒸気中で500時間まで酸化した後の合金断面の電子顕微鏡写真である。
図4は、表面を鏡面仕上げした比較例1のニッケル基耐熱合金に対して、600℃、700℃、800℃の各水蒸気中にて500時間酸化での重量増加挙動を評価した結果を示したグラフである。
図5は、表面を鏡面仕上げした比較例1のニッケル基耐熱合金を800℃水蒸気中で500時間まで酸化した後の合金断面の電子顕微鏡写真である。

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