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課題

固体電解質層ピンホールの発生に伴う諸問題を解消して高歩留り化を実現できる薄膜リチウム電池を提供する。

解決手段

本発明薄膜リチウム電池は、正極層20と、負極層50と、これら両層の間に介在される固体電解質層40と、正極層20及び負極層50の各々又は一方に電気的に接続される集電体10とが積層された薄膜リチウム電池である。この電池を前記各層の積層方向に平面視した場合、正極層20と負極層50とが重ならない位置に配されている。この構成により、固体電解質層40にピンホールが生じても、このピンホールで両極層20,50間が短絡されることを防止できる。

概要

背景

薄膜電池は、全固体型電池のうち、主に数〜数10μAhの極小容量の電池として、研究開発が進められている。その構成は、例えば集電体となる金属箔、あるいはアルミナ等のセラミック基材に形成した金属薄膜上に、正極層固体電解質層、負極層を順次重ねた積層構造となっている。これら各層の製造方法は、例えばスパッタリング法等の気相堆積法がとられ、固体電解質層には酸化物、負極層にはLi金属が使用されている(例えば、特許文献1〜5及び非特許文献1及び2)。

一方、高容量化を目的として、粉末固体電解質を使用した全固体型リチウム二次電池が研究されている。この電池は、通常、正極層、固体電解質層、負極層を順次重ねた積層構造となっている。正極には固体電解質粉末正極活物質粉末、及び主に炭素よりなる導電助剤粉末混合体が使用され、負極にはLi金属箔の他、Al、In等のLiと合金を形成する金属が使用されている。固体電解質には、イオン伝導度が比較的高い硫化物系が使用されることが多い。全固体型電池は有機電解液を使用せず、安全であると同時に、100℃以上の高温域でも安定で劣化しない特徴を有している(例えば、特許文献6〜8)。

特開2004-235155号公報
特開2004-179158号公報
特開2004-127743号公報
特開平10-83838号公報
特開平4-231346号公報
特開2004-95243号公報
特開2003-68361号公報
特公平6-54687号公報
Electrochemistry Communication 6(2004) pp.417-421
Solid State Ionics 69 (1994)pp.357-368

概要

固体電解質層のピンホールの発生に伴う諸問題を解消して高歩留り化を実現できる薄膜リチウム電池を提供する。本発明薄膜リチウム電池は、正極層20と、負極層50と、これら両層の間に介在される固体電解質層40と、正極層20及び負極層50の各々又は一方に電気的に接続される集電体10とが積層された薄膜リチウム電池である。この電池を前記各層の積層方向に平面視した場合、正極層20と負極層50とが重ならない位置に配されている。この構成により、固体電解質層40にピンホールが生じても、このピンホールで両極層20,50間が短絡されることを防止できる。

目的

本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、固体電解質層のピンホールの発生に伴う諸問題を解消して高歩留り化を実現できる薄膜リチウム電池を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
3件

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請求項1

極層と、負極層と、これら両層の間に介在される固体電解質層と、正極層及び負極層の各々又は一方に電気的に接続される集電体とが積層された薄膜リチウム電池であって、この電池を前記各層の積層方向に平面視した場合、正極層と負極層とが重ならない位置に配されていることを特徴とする薄膜リチウム電池。

請求項2

前記正極層と負極層とが同一平面上にないことを特徴とする請求項1に記載の薄膜リチウム電池。

請求項3

前記集電体が金属であり、この集電体上の一部に一方の電極層電気絶縁層を介することなく直接形成され、かつ一方の電極層が形成されている箇所以外の集電体の表面には電気絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜リチウム電池。

請求項4

前記集電体が絶縁基板上の一部に形成され、その集電体を覆うように一方の電極層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜リチウム電池。

請求項5

前記負極層がLi金属及びLi金属と合金を形成することのできる材料よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物又は合金であり、かつ集電体も兼ねていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜リチウム電池。

請求項6

前記Li金属と合金を形成することのできる材料が、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、及びインジウム(In)よりなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項5に記載の薄膜リチウム電池。

請求項7

前記負極層は、複数の分割領域と、集電用のリード部と、各分割領域とリード部とをつなぎ、一部の分割領域とその領域に対向する集電体とが短絡した際に、その短絡した分割領域とリード部との間で溶断される溶断部とを有することを特徴とする請求項5又は6に記載の薄膜リチウム電池。

請求項8

前記固体電解質層は、正極層に面する第一電解質層と、負極層に面する第二電解質層とを備え、この第一電解質層と第二電解質層とは組成が異なることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜リチウム電池。

技術分野

0001

本発明は、薄膜リチウム電池に関するものである。特に、高歩留り化と、大面積化に伴う大容量化及び高電流密度化とを実現することができる薄膜リチウム電池に関するものである。

背景技術

0002

薄膜電池は、全固体型電池のうち、主に数〜数10μAhの極小容量の電池として、研究開発が進められている。その構成は、例えば集電体となる金属箔、あるいはアルミナ等のセラミック基材に形成した金属薄膜上に、正極層固体電解質層、負極層を順次重ねた積層構造となっている。これら各層の製造方法は、例えばスパッタリング法等の気相堆積法がとられ、固体電解質層には酸化物、負極層にはLi金属が使用されている(例えば、特許文献1〜5及び非特許文献1及び2)。

0003

一方、高容量化を目的として、粉末固体電解質を使用した全固体型リチウム二次電池が研究されている。この電池は、通常、正極層、固体電解質層、負極層を順次重ねた積層構造となっている。正極には固体電解質粉末正極活物質粉末、及び主に炭素よりなる導電助剤粉末混合体が使用され、負極にはLi金属箔の他、Al、In等のLiと合金を形成する金属が使用されている。固体電解質には、イオン伝導度が比較的高い硫化物系が使用されることが多い。全固体型電池は有機電解液を使用せず、安全であると同時に、100℃以上の高温域でも安定で劣化しない特徴を有している(例えば、特許文献6〜8)。

0004

特開2004-235155号公報
特開2004-179158号公報
特開2004-127743号公報
特開平10-83838号公報
特開平4-231346号公報
特開2004-95243号公報
特開2003-68361号公報
特公平6-54687号公報
Electrochemistry Communication 6(2004) pp.417-421
Solid State Ionics 69 (1994)pp.357-368

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、上記の薄膜電池においては、いずれの構成も正極層と負極層が重なるように配置されており、固体電解質層形成時に下地に付着した異物の為に、固体電解質層にピンホールが形成されやすく、正負極層間で短絡する問題がある。その結果、薄膜電池の歩留りが低くなっている。また、この種の薄膜電池において、電極層や固体電解質層の形成面積を大きくすることにより大容量化を図る場合にも、固体電解質層でピンホールの生成が一箇所でもあれば、正負極層間で短絡を起こし、電池として駆動しない。さらに、ピンホールの生成を防ぐためには、クリーン度の高い無埃のクリーンルームが必要となり、その設置に多大な設備費を要する。

0006

一方、粉末の固体電解質を使用した全固体型電池においては、粉末粒子界面抵抗を低減する為に電池全体加圧する必要があり、通常に市販されているコイン型電池又はカード型電池の構成をとることが難しい。

0007

本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、固体電解質層のピンホールの発生に伴う諸問題を解消して高歩留り化を実現できる薄膜リチウム電池を提供することにある。

0008

また、本発明の他の目的は、大面積化に伴い、大容量化及び高電流密度化を実現できる薄膜リチウム電池を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、正負極層の積層配置構造に工夫を施すことで上記の目的を達成する。

0010

本発明薄膜リチウム電池は、正極層と、負極層と、これら両層の間に介在される固体電解質層と、正極層及び負極層の各々又は一方に電気的に接続される集電体とが積層された薄膜リチウム電池である。そして、この電池を前記各層の積層方向に平面視した場合、正極層と負極層とが重ならない位置に配されていることを特徴とする。

0011

一般に、層状に形成される固体電解質層には、その厚み方向にピンホールが発生しやすい。本発明では、正極層と負極層とを互いに重ならないように配置することで、仮に固体電解質層にピンホールが生じても、このピンホールで両極層間が短絡されることが実質的になく、電池としての機能を保持することができる。

0012

また、本発明は、粉末の固体電解質を使用した全固体型電池とは異なり、薄膜技術による各層間の高密着性を生かした薄膜電池とすることで、活物質と固体電解質層との界面抵抗の低減を実現しつつ大面積化と高容量化を図ることができる。特に、本発明は、薄膜電池とすることで、コイン型電池又はカード型電池の構成をとることも容易にできる。

0013

さらに、本発明は、有機電解液を用いない全固体型電池を構成できるため、有機電解液を用いることに伴う不都合、例えば電解液漏れによる安全性の問題、高温時、有機電解液がその沸点を超えて揮発することによる耐熱性の問題、低温時、有機電解液のイオン伝導度が大きく低下して電池反応が低下したり、電解液が凍結する問題などを解消することができる。

0014

本発明電池は、一方の電極層と他方の電極層とを重ならないように配置し、かつ両極層の間に固体電解質層を介在させる。その際、各層の積層構造としては、一方の電極層を金属の集電体上に直接形成する場合と、絶縁基板上に直接又は集電体を介して一方の電極層を形成する場合が挙げられる。

0015

まず、前者であるが、集電体を金属とし、この集電体上の一部に一方の電極層を、電気絶縁層を介することなく直接形成し、かつ一方の電極層が形成されている箇所以外の集電体の表面には電気絶縁層を形成する。そして、一方の電極層および電気絶縁層上に固体電解質層を形成し、その電解質層上のうち、一方の電極層とは重ならない位置に他方の電極層を形成する。

0016

この構成によれば、他方の電極層は、一方の電極層との間に固体電解質層が介在されるが、この一方の電極層とは重なることがない。その上、他方の電極層は、一方の電極層と電気的に接続される集電体と対向するが、この集電体との間には電気絶縁層が介在されることになる。そのため、固体電解質層にピンホールがあっても他方の電極層と集電体との短絡を抑制することができる。

0017

次に、後者であるが、絶縁基板の一部に集電体を形成し、その集電体上を覆うように一方の電極層を形成するか、絶縁基板の一部に直接一方の電極層を形成する。そして、一方の電極層および絶縁基板上に固体電解質層を形成し、その電解質層上のうち、一方の電極層とは重ならない位置に他方の電極層を形成する。

0018

この構成によっても、他方の電極層は、一方の電極層との間に固体電解質層が介在されるが、この一方の電極層及び集電体とは重なることがない。その上、他方の電極層は、固体電解質層の表面と対面するが、固体電解質層の裏面には絶縁基板が配されていることになる。そのため、固体電解質層にピンホールがあっても他方の電極層と一方の電極層(集電体)との短絡を抑制することができる。ここでの絶縁基板には、アルミナ、SiO2などのセラミックスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックを用いることができる。

0019

また、本発明電池においては、正極層と負極層とが同一平面上にないことが好ましい。

0020

正極層と負極層が同一平面上に形成されていると、その平面上に導電性異物が存在した場合、両電極層が短絡するおそれがある。そこで、正極層と負極層とが同一平面上にないようにすることで、前記異物を介した界面伝導による短絡を抑制することができる。これら両電極層を異なる平面上に形成するには、一方の電極層が設けられた平面に対して、固体電解質層と電気絶縁層の両方または固体電解質層を形成して、他方の電極層との間に段差を形成することが挙げられる。

0021

さらに、本発明電池においては、固体電解質層を正極層に面する第一電解質層と、負極層に面する第二電解質層とで構成し、異なる組成で第一電解質層と第二電解質層とを形成することが望ましい。

0022

この構成によれば、固体電解質層と正極層および固体電解質層と負極層の界面抵抗の少なくとも一方を低減することが可能になる。それに伴い、電池容量の向上など、電池特性の改善が可能になる。

0023

第一(第二)電解質層には、正極層(負極層)との界面抵抗値が10000Ω・cm2以下である材料が好ましい。より好ましい界面抵抗値は5000Ω・cm2以下、さらに好ましい界面抵抗値は1000Ω・cm2以下、より一層好ましい界面抵抗値は500Ω・cm2以下である。また、第一電解質層には、固体電解質層を第二電解質層と同じ材質の1層で構成した場合に比べて正極層との界面抵抗を低減することができる材料を用い、又は第二電解質層には、固体電解質層を第一電解質層と同じ材質の1層で構成した場合に比べて固体電解質層と負極層との界面抵抗を低減することができる材料を用いることが好ましい。このような材料を選択することで、固体電解質層と正極層または固体電解質層と負極層の界面抵抗を低減することが可能になる。具体的には、第一電解質層としてLi-P-S-Nが挙げられ、第二電解質層としてLi-P-S-Oが挙げられる。第一電解質層と第二電解質層の厚みは等しくなくてもよい。

0024

なお、第一電解質層と第二電解質層の間に、別の組成の中間電解質層を設けてもよい。中間電解質層は、イオン伝導度が比較的高い電解質材料が好適に利用できる。そして、この中間電解質層自体は、単層で構成されていても、複数層から構成されていても良い。

0025

以下、本発明の各部の構成をより詳しく説明する。

0026

(正極層の材料)
正極層は、リチウムイオン吸蔵及び放出を行う活物質を含む層で構成する。特に、酸化物、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)及びオリビン型鉄リン酸リチウム(LiFePO4)よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物を好適に使用することができる。その他、正極層は、硫化物、例えばイオウ(S)、硫化リチウム及び硫化チタニウム(TiS2)よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物であっても良い。

0027

(正極層の形成方法
正極層の形成方法としは、湿式法乾式法を利用することができる。湿式法には、ゾルゲル法コロイド法キャスティング法等が挙げられる。乾式法には、気相堆積法である蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザアブレーション法等が挙げられる。

0028

(負極層の材料)
負極層も、リチウムイオンの吸蔵及び放出を行う活物質を含む層で構成する。例えば、負極層として、Li金属及びLi金属と合金を形成することのできる金属よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物又は合金が好適に使用できる。Liと合金を形成することのできる金属としては、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、及びインジウム(In)よりなる群より選ばれる少なくとも一つ(以下、合金化材料という)が良い。

0029

このような元素を含有した負極層は、負極層自体に集電体としての機能を持たせることができ、かつリチウムイオンの吸蔵・放出能力が高く好ましい。特に、シリコン(Si)はリチウムを吸蔵・離脱する能力グラファイト(黒鉛)よりも大きくエネルギー密度を高くすることができる。

0030

また、負極層材料にLi金属との合金相を用いることで、Li金属と合金化した合金化材料とLiイオン伝導性の固体電解質層との界面でのLiイオン移動抵抗が低減される効果があり、第1サイクル目充電初期における合金化材料の高抵抗化緩和される。

0031

さらに、合金化材料の金属単体を負極層とした場合には、第1サイクル目の充放電サイクルにおいて、充電容量に対して放電容量が大幅に小さくなる問題があるが、予めLi金属と合金化材料とを合金化した負極層材料を用いることにより、この不可逆容量は殆どなくなる。このことにより、正極活物質量不可逆容量分だけ余分に充填する必要がなくなり、薄膜電池の容量密度を向上させることができる。

0032

(負極層の構成)
負極層には集電体を設けず、負極層(負極活物質)自体に集電体の機能を持たせることもできる。その場合、負極層の集電体を省略することができて好ましい。特に、負極層はパターン形成し、そのパターンを複数の分割領域とすることが好ましい。その際、各分割領域集電用のリード部と溶断部で接続することが好適である。複数ある分割領域のうち、一部の分割領域(負極層)が正極層の集電体と短絡した際に、その短絡した分割領域とリード部との間で溶断部が溶断されることで、電池の安全性を確保する。例えば、各分割領域を島状とし、各島を集電用の主配線(リード部)と微細配線(溶断部)でつなぐ。この構成により、たとえ島の一つで短絡等により急激な電流の増大が起きたとしても、微細配線が溶断して短絡した島と主配線との導通遮断され、短絡状態が継続することを回避する。

0033

溶断部は、各分割領域及びリード部と同一材料で形成され、かつ各分割領域及びリード部の断面積よりも小さな断面積とすることが好ましい。この構成により、短絡電流による溶断を確実に生じさせることができる。通常、分割領域、リード部、溶断部は、パターン形成により実質的に同一の厚みに形成されるため、溶断部の幅を分割領域やリード部の幅よりも狭く構成すればよい。この言うならばヒューズ効果は、負極層材料が低融点の金属である程高くなり、合金系の場合にはLi金属との合金相に予めしておくことにより高めることができる。

0034

(固体電解質層の材質)
固体電解質層はLiイオン伝導体であり、固体電解質層のLiイオン伝導度(20℃)が10-5S/cm以上あり、かつLiイオン輸率が0.999以上であることが好ましい。特に、Liイオン伝導度が10-4S/cm以上あり、かつLiイオン輸率が0.9999以上であれば良い。固体電解質層の材質としては硫化物系が良く、Li、P、Sより構成される固体電解質層が好ましく、さらに酸素を含有していても良い。

0035

(負極層と固体電解質層の形成方法)
負極層及び固体電解質層の形成方法は、気相堆積法が好ましい。気相堆積法としては、例えば、PVD(物理気相合成)法,CVD(化学気相合成)法が挙げられる。具体的には、PVD法としては、真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法,レーザアブレーション法が、CVD法としては、熱CVD法,プラズマCVD法などが挙げられる。

0036

(集電体)
一方、集電体には金属箔などが適する。負極集電体材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、及びこれらの合金から選択される1種が挙げられる。これらの金属は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しないため、リチウムとの金属間化合物による不具合、具体的には、充放電による膨張収縮によって、負極層が構造破壊を起こし集電性が低下したり、負極層の接合性が低下して負極層が集電体から脱落し易くなるといった不具合を防止できる。正極集電体の具体例としては、アルミニウム(Al),ニッケル(Ni),これらの合金,ステンレスから選択される1種が挙げられる。

0037

これらの集電体は、PVD法やCVD法により形成することができる。特に、所定のパターンに集電体を形成する場合、適宜なマスクを用いることで、容易に所定のパターンの集電体を形成することができる。

発明の効果

0038

本発明薄膜リチウム電池によれば、次の効果を奏することができる。

0039

(1)正極層と負極層とを互いに重ならないように配置することで、仮に固体電解質層にピンホールが生じても、このピンホールで両極層間が短絡されることが実質的になく、電池としての機能を保持することができる。

0040

(2)さらに固体電解質層のピンホールによる歩留まりの悪化を抑制し、高歩留り化を実現することができる。特に、電解液を用いず、安全性、耐熱性、及び低温特性に優れた全固体型薄膜リチウム二次電池を構成することができる。それに伴い、大面積化により、大容量化、高電流密度化を実現して、電池容量が大きく、充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0041

以下、本発明の実施の形態を説明する。

0042

〔実施例1〕
図1に本発明電池の縦断面図を示す。この電池は、金属箔の集電体10上に正極層20と電気絶縁層30とを有し、これら両層20,30の上に固体電解質層40が形成され、さらにこの電解質層40の上に負極層50が形成された構成である。

0043

ここで、集電体10は、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及びステンレスのいずれかの金属とすることが最適である。正極層20は集電体表面の一部に所定のパターンで形成されている。この集電体表面のうち、正極層20が形成されていない箇所に電気絶縁層30が形成される。正極層20の方が電気絶縁層30よりも厚いため、正極層20の表面が電気絶縁層30よりも突出した状態となっている。そして、この正極層20と電気絶縁層30とを覆うように固体電解質層40が形成されている。つまり、正極層20の上面に固体電解質層40が接し、負極層50の下面に固体電解質層40が接して、固体電解質層40のうち正極層20の上部のみ突出した状態が構成される。一方、負極層50は固体電解質層40の上で正極層20とは重ならない位置にずれて形成されている。この負極層50も所定のパターンに形成されている。例えば、正極層20及び負極層50の形状を櫛形とすることにより、電池全体として流すことのできる電流値を大きくとることが可能となる。

0044

以上の構成において、電気絶縁層30は、集電体10上に正極層20を形成する際に、集電体10を酸化雰囲気にさらし、正極層20が形成される箇所以外の集電体表面を酸化させて金属酸化物層を形成し、この酸化物層を電気絶縁層30とすることが好ましい。その他、正極層20の形成後に、金属酸化物層又は有機高分子層などの電気絶縁層30を正極層20のパターンに対応したパターンのマスクを用いて、集電体上の正極層20が形成された箇所以外の面に形成しても良い。

0045

この構成の電池によれば、正極層20と負極層50とが、各層の厚み方向に重なることなくずれて配置されているため、両極層の間に介在される固体電解質層40にピンホールが形成されたとしても両極層が短絡することを防止できる。また、負極層50は、正極層20と電気的に接続された集電体に対向するが、負極層20の下面に位置する固体電解質層40と集電体10との間には電気絶縁層30が形成されている。そのため、負極層下面の固体電解質層40にピンホールが生じたとしても、負極層50と集電体10との短絡を抑制することができる。

0046

〔実施例2〕
図2に実施例1と異なる構成の本発明電池の縦断面図を示す。本例は実施例1の正極層20と負極層50の位置が入れ替わった点を除いて、基本的な構成は実施例1とほぼ共通である。つまり、本例の電池は、金属箔の集電体11上に負極層50と電気絶縁層30とを有し、これら両層50,30の上に固体電解質層40が形成され、さらにこの電解質層40の上に正極層20が形成されている。

0047

ここで、負極層50と接触する集電体11としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及びステンレスのいずれかの金属とすることが最適である。また、この構成において、図示していないが、正極側には正極用集電体を形成する。この正極用集電体は、正極層上にのみ形成され、正極層20のない領域には形成されないようにする。それにより、負極層上の固体電解質層40にピンホールが生じたとしても、負極層50と正極用集電体とが短絡することを防止できる。

0048

本例の構成においても、実施例1と同様に、正極層20と負極層50とが、各層の厚み方向に重なることなくずれて配置されているため、両極層の間に介在される固体電解質層40にピンホールが形成されたとしても両極層が短絡することを防止できる。また、正極層20と集電体11との間には電気絶縁層30が介在されているため、正極層下面の固体電解質層40にピンホールが生じたとしても、正極層20と集電体11との短絡を抑制することができる。

0049

〔実施例3〕
図3に絶縁基板を用いた本発明電池の縦断面図を示す。本例は、絶縁基板60上に金属箔の集電体10をパターン形成し、その集電体上に重なるように正極層20を形成して、さらに絶縁基板60及び正極層20を覆うように固体電解質層40を形成している。そして、この電解質層40上における正極層20とは重ならない位置に負極層50を形成している。

0050

ここで、絶縁基板60には、セラミック有機高分子シート材が好適に利用できる。集電体10及び正極層20が設けられた箇所は、それ以外の箇所に比べて突出して固体電解質層40が形成されている。また、図3では明示していないが、正極層20の下面に位置する集電体10は、部分的にその表面が露出され、その露出箇所から集電を行なうことができる。

0051

本例の構成においても、実施例1と同様に、正極層20と負極層30とが、各層の厚み方向に重なることなくずれて配置されているため、両極層の間に介在される固体電解質層40にピンホールが形成されたとしても両極層が短絡することを防止できる。また、負極層50の下面には固体電界質層40が位置するが、この電解質層40の下面は絶縁基板60であり、かつ正極層20の下面に位置する集電体10とは重ならないように配置されているため、負極層下面の固体電界質層40にピンホールがあったとしても負極層50が集電体10と短絡することを回避できる。さらに、本例では、負極層50自体が負極層用集電体の機能も兼ねているため、負極層用の集電体を設ける必要がなく、電池構成を簡略化できる。

0052

〔実施例4〕
図4図3の構成における正極層と負極層の位置を入れ替えた構成の本発明電池の縦断面図を示す。この電池では、絶縁基板60上に金属箔の集電体11をパターン形成し、その集電体上に重なるように負極層50を形成して、さらに絶縁基板60及び負極層50を覆うように固体電解質層40を形成している。そして、この電解質層上における負極層50とは重ならない位置に正極層20を形成している。さらに本例では、正極層20の上面に集電体10が形成されている。この集電体10は、正極層20の上面のみに形成され、他の箇所には形成されていない。

0053

この構成においても、正極層20と負極層50とが、各層の厚み方向に重なることなくずれて配置されているため、両極層の間に介在される固体電解質層40にピンホールが形成されたとしても両極層が短絡することを防止できる。また、正極層20の下面には固体電界質層40が位置するが、この電解質層40の下面は絶縁基板60であり、かつ負極層50の下面に位置する集電体11とは重ならないように配置されているため、正極層下面の固体電界質層40にピンホールがあったとしても正極層20が集電体11と短絡することを回避できる。

0054

〔実施例5〕
図5に絶縁基板上に直接負極層を形成した本発明電池の縦断面図を示す。本例では、絶縁基板60の一部に負極層50を所定のパターンに形成し、その負極層50と絶縁基板60の他の領域を覆うように固体電解質層40を形成する。そして、固体電解質層40における負極層50とは重ならない位置に順次正極層20と集電体10とを設けている。この集電体10は、正極層20の上にのみ形成され、他の箇所には形成されていない。図示していないが、負極層50はその一部が固体電解質層40から露出され、その露出箇所から集電を行うことができるように構成されている。

0055

本例の電池においても、正極層20と負極層50とが、各層の厚み方向に重なることなくずれて配置されているため、両極層の間に介在される固体電解質層40にピンホールが形成されたとしても両極層が短絡することを防止できる。また、本例では、負極層50自体が負極層用集電体の機能も兼ねているため、負極層用の集電体を設ける必要がなく、電池構成を簡略化できる。

0056

〔実施例6〕
さらに、実施例3の変形例を図6に示す。この電池でも絶縁基板60上に集電体10を形成し、その集電体10上に正極層20を形成している。そして、正極層20の上には固体電解質層40が形成され、その電解質層40の上に負極層50が形成されている。図6では薄膜電池の部分断面図を示しており、一対の正極層20の間に負極層50が配置された構成となっている。

0057

ここで、正極層20は集電体10の上面のみならず側面をも覆うように形成されている。それにより正極層20と集電体10との接触面積を多くできるようにしている。そして、実施例1から実施例5でも共通しているが、正極層20と負極層50とは重ならず、かつ同一平面上に形成されていない。ここでは、正極層20は集電体10の上に形成されており、負極層50は固体電解質層40の上に形成されている。従って、正極層20と負極層50との間に何らかの導電性異物が付着した場合でも、この異物を介した界面伝導により正極層20と負極層50とが短絡することを効果的に抑制できる。もちろん、正極層20と負極層50とが、平面視した場合にずれた位置に形成されていることによっても両電極層20,50の短絡が抑制できることは上述した他の実施例と同様である。

0058

〔実施例7〕
図7に固体電解質層を2層にした本発明電池の縦断面図を示す。本例の電池は、その基本構成が実施例1と共通するが、固体電解質層40が、正極層20に接する第一電解質層40Lと、負極層50に接する第二電解質層40Uの2層で形成されている点が異なる。

0059

ここで、第一電解質層40Lには、固体電解質層40を第二電解質層40Uと同じ材質の1層で構成した場合に比べて正極層20との界面抵抗を低減することができる材料を用いる。例えば、第一電解質層40LとしてLi-P-S-Nを用い、第二電解質層40UとしてLi-P-S-Oを用いる。

0060

この構成により、固体電解質層40をLi-P-S-Oのみからなる1層で構成した場合に比べて第一電解質層40Lと正極層20との界面抵抗を低減することが可能になる。それに伴い、電池容量の向上など、電池特性の改善が可能になる。

0061

試作例1〕
図1に記載の構成で、正極用集電体:Al箔、正極層:LiCoO2膜、固体電解質層:Li-P-S-O、負極層:Li金属膜からなる薄膜リチウム電池を作製する。まず、厚さ10μm、10cm角のAl箔をステンレス製基材ホルダーに固定し、その上にステンレス製の正極用のマスクを固定した。マスク70には、図8に示すように、両歯の櫛型電極孔71、つまり幅1mm、長さ8cmの配線用孔71Aの幅方向両側に、1mm間隔に、1本が1mm幅、4mm長の櫛歯用孔71Bが直交方向に複数形成されたものが8列形成されている。この各列の櫛型電極孔71の両端部には櫛歯用孔71Bは形成されていない。

0062

この基材(Al箔)上にエキシマレーザアブレーション法により、LiCoO2膜(正極層)を形成した。エキシマレーザには248nmの波長のKrFエキシマレーザを使用した。基材温度;500℃、真空度;10-2Paの酸素ガス雰囲気下、パルス繰り返し;10Hz、エネルギー密度;2J/cm2のレーザ条件にて、5時間成膜を行った。このとき、レーザ成膜をする直前にArイオンビームにより基材表面のクリーニングを行っている。膜厚測定用事前にセットしていたSi基板上の膜を触針膜厚計で測定したところ、正極層の膜厚は10μmであり、基材全体に設けられた正極活物質の容量は1.6mAhであることが分かった。また、正極層が形成されていないAl箔の表面の電気抵抗を測定したところ1MΩ以上あり、Al箔表面に電気絶縁層が形成されていることが分かった。

0063

このマスクをはずし、下記に示す手順で、エキシマレーザアブレーション法により、全面にリチウム(Li)-リン(P)-イオウ(S)-酸素(O)組成の固体電解質層を形成した。露点が-80℃のアルゴンガスが充填されているグローブボックス内で、硫化リチウム(Li2S)、五硫化リン(P2S5)、五酸化リン(P2O5)を混合し、さらに混合粉末金型に入れて加圧してペレット状のターゲットを作製した。

0064

大気暴露しない様にして、ターゲットをグローブボックス内より成膜装置内に移して設置し、レーザ光をターゲット上に集光して原料気化させて基材上に成膜した。基材は特に加熱しなかった。

0065

固体電解質層の成膜後、ファイ社製ESCA5400MCでこの膜組成分析を行った結果、リチウム(Li)-リン(P)-イオウ(S)-酸素(O)組成は、各々26原子%、13原子%、54原子%、7原子%であった。また、膜厚測定用Si基材成膜品の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、固体電解質層の膜厚は1μmであった。さらに、ガラス基材上の固体電解質層にAuの櫛形電極を形成して、複素インピーダンス測定を行ったところ、固体電解質層のイオン伝導度は2×10-4S/cmであった。

0066

このように集電体、正極層、固体電解質層を形成した基材上に負極用のマスクを固定した。この負極用のマスク80には、図9に示すように、正極層の形成に使用したマスク70(図8)とは櫛型電極として補う形状の櫛型電極孔81、82が9列形成されている。1列目と9列目の櫛型電極孔81は、片歯の櫛型電極孔、つまり配線用孔81Aの片側に櫛歯用孔81Bが直交方向に形成されており、2列目〜8列目の櫛型電極孔82は、両歯の櫛型電極孔、つまり配線用孔82Aの両側に櫛歯用孔82Bが直交方向に形成されている。さらに、これらの9列の櫛型電極孔における配線用孔81A、82Aの一端は、1本の1mm幅、9cm長の主配線孔83とつながっており、その主配線孔83の一方の端部には5mm角のリード取付部孔84が設けられている。このマスク80を、各電極孔81、82が既に形成された正極層に平面視で重ならないように配置する。このマスク80により形成される櫛型負極層と既に形成された櫛型正極層との並列間隔は0.1mmである。

0067

蒸着法により、真空度;10-4Paの条件下で負極層となるLi金属膜をマスクの装着された基材上に形成した。その膜厚は、膜厚測定用のステンレス基材成膜品のICP分析(Inductivery Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry)より1μmであった。

0068

次に、作製した薄膜電池の電池評価を行った。露点が-60℃のドライルーム内で、Al基材裏面の端部をヤスリで削ってAl金属面を出し、その金属面に超音波溶接によりAl製リードを取り付けた。また、Li金属膜(負極層)のリード取付部に超音波溶接によりCu箔のリードを取り付けた。さらに、これらリードの端部以外の箇所をポリマー製のシール材アルミラミネート袋シール部でシールし、端部のみが露出される状態とした。

0069

この電池を用いて、定電流制御の1C(Cは電池容量)の条件下、充放電サイクル試験を4.2V-3Vの電圧の範囲で行った。充放電試験前に3V以上のOCV開回路電位)が観測された。また、充電状態で24時間放置したところ全く電圧降下は見られず、正極層、負極層間での短絡がないことが確認できた。さらに、このサイクル試験では、1000サイクル以上の安定駆動が確認された。

0070

〔試作例2〕
次に、図3に記載の構成で、絶縁基板:アルミナ、正極集電体:Al箔、正極層:LiCoO2膜、固体電解質層:Li-P-S-O、負極層:Al-Li合金膜からなる薄膜リチウム電池を作製する。厚さ1mm、10cm角のアルミナ板をステンレス製基材ホルダーに固定し、ステンレス製マスクをその上に固定した。マスクは図8と同様の構成である。

0071

この基材上に蒸着法により0.1μm厚のAl薄膜を形成した。さらに、マスクを保持した状態で、エキシマレーザアブレーション法により、LiCoO2膜(正極層)を形成した。エキシマレーザには248nmの波長のKrFエキシマレーザを使用した。基材温度;500℃、真空度;10-2Paの酸素ガス雰囲気下、パルス繰り返し;10Hz、エネルギー密度;2J/cm2のレーザ条件にて、5時間成膜を行った。このとき、レーザ成膜をする直前にArイオンビームにより基材表面のクリーニングを行っている。膜厚測定用に事前にセットしていたSi基板上の膜を触針式膜厚計で測定したところ、正極層の膜厚は10μmであり、基材全体に設けられた正極活物質の容量は1.6mAhであることが分かった。また、正極が形成されていないAl箔の表面の電気抵抗を測定したところ1MΩ以上あり、Al箔表面に電気絶縁層が形成されていることが分かった。

0072

このマスクをはずし、下記に示す手順で、エキシマレーザアブレーション法により、基材全面にリチウム(Li)-リン(P)-イオウ(S)-酸素(O)組成の固体電解質層を形成した。露点が-80℃のアルゴンガスが充填されているグローブボックス内で、硫化リチウム(Li2S)、五硫化リン(P2S5)、五酸化リン(P2O5)を混合し、さらに混合粉末を金型に入れて加圧してペレット状のターゲットを作製した。

0073

大気に暴露しない様にして、ターゲットをグローブボックス内より成膜装置内に移して設置し、レーザ光をターゲット上に集光して原料を気化させて基材上に固体電解質層を成膜した。基材は特に加熱しなかった。

0074

固体電解質層を成膜後、ファイ社製ESCA5400MCでその膜組成の分析を行った結果、リチウム(Li)-リン(P)-イオウ(S)-酸素(O)組成は、各々26原子%、13原子%、54原子%、7原子%であった。また、膜厚測定用Si基材成膜品の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、固体電解質層の膜厚は1μmであった。さらに、ガラス基材上の固体電解質層にAuの櫛形電極を形成して、複素インピーダンス測定を行ったところ、この電解質層のイオン伝導度は2×10-4S/cmであった。

0075

このように集電体、正極層、固体電解質層を形成した基材上に負極用のマスクを固定した。この負極用のマスクは図9と同様の構成・寸法である。

0076

蒸着法により、真空度;10-4Paの条件下、AlとLiの合金膜(負極層)をマスクの装着された基材上に形成した。その膜厚は、膜厚測定用のステンレス基材成膜品のICP分析より1μmであり、AlとLiとの組成比原子比)は3:1であった。

0077

次に、作製した薄膜電池の電池評価を行った。露点が-60℃のドライルーム内で、正極層の一部をヤスリで削り落としてAl金属面を露出してリード取付部とし、そのリード取付部に超音波溶接によりAl製リードを取り付けた。また、Li-Al合金膜のリード取付部に超音波溶接によりCu箔のリードを取り付けた。さらに、これらリードの端部以外の箇所をポリマー製のシール材とアルミラミネート袋のシール部でシールし、端部のみが露出される状態とした。

0078

この電池を用いて、定電流制御の1Cの条件下、充放電サイクル試験を4.2V-3Vの電圧の範囲で行った。充放電試験前に3V以上のOCV(開回路電位)が観測された。また、充電状態で24時間放置したところ全く電圧降下は見られず、正極層、負極層間での短絡がないことが確認できた。さらに、サイクル試験では、1000サイクル以上の安定駆動が確認された。

0079

〔試作例3〕
次に、図1に記載の構成で、正極集電体:Al箔、正極:LiMn2O4膜、固体電解質:Li-P-S-O、負極:Li金属膜からなる薄膜リチウム電池を作製する。厚さ10μm、10cm角のAl箔をステンレス製基材ホルダーに固定し、ステンレス製マスクをその上に固定した。このマスクは図8と同様の構成・寸法である。

0080

この基材上にエキシマレーザアブレーション法により、LiMn2O4膜(正極層)を形成した。エキシマレーザには248nmの波長のKrFエキシマレーザを使用した。基材温度;500℃、真空度;10-2Paの酸素ガス雰囲気下、パルス繰り返し;10Hz、エネルギー密度;2J/cm2のレーザ条件にて、5時間成膜を行った。このとき、レーザ成膜をする直前にArイオンビームにより基材表面のクリーニングを行っている。膜厚測定用に事前にセットしていたSi基板上の膜を触針式膜厚計で測定したところ、正極層の膜厚は10μmであり、基材全体に設けられた正極活物質の容量は1.2mAhであることが分かった。また、正極層が形成されていないAl箔の表面の電気抵抗を測定したところ1MΩ以上あり、Al箔表面に電気絶縁層が形成されていることが分かった。

0081

このマスクをはずし、下記に示す手順で、エキシマレーザアブレーション法により、基材全面にリチウム(Li)-リン(P)-イオウ(S)-酸素(O)組成の固体電解質膜を形成した。露点が-80℃のアルゴンガスが充填されているグローブボックス内で、硫化リチウム(Li2S)、五硫化リン(P2S5)、五酸化リン(P2O5)を混合し、さらに混合粉末を金型に入れて加圧してペレット状のターゲットを作製した。

0082

大気に暴露しない様にして、ターゲットをグローブボックス内より成膜装置内に移して設置し、レーザ光をターゲット上に集光して原料を気化させて基材上に固体電解質膜を成膜した。基材は特に加熱しなかった。

0083

固体電解質膜を成膜後、ファイ社製ESCA5400MCでその膜組成の分析を行った結果、リチウム(Li)-リン(P)-イオウ(S)-酸素(O)組成は、各々26原子%、13原子%、54原子%、7原子%であった。また、膜厚測定用Si基材成膜品の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、固体電解質層の膜厚は1μmであった。ガラス基材上の固体電解質層にAuの櫛形電極を形成して、複素インピーダンス測定を行ったところ、固体電解質層のイオン伝導度は2×10-4S/cmであった。

0084

このように集電体、正極層、固体電解質層を形成した基材上に負極用のマスクを固定した。この負極用のマスクは図9に示す構成に類似しているが、本例で用いたマスクは、櫛型電極孔81、82と主配線孔83との連結箇所細線孔とされている点で異なっている。つまり、図9に二点破線で示すように、櫛型電極孔81、82と主配線孔83との連結箇所に、配線用孔81A、82Aや主配線孔83よりも幅の細い細線孔85を形成する。ここでは、櫛型電極孔81、82で形成される部分が分割領域、主配線孔83で形成される部分がリード部、細線孔の箇所で形成された負極層の微細配線部分が溶断部となる。この微細孔の幅は0.1mmである。

0085

蒸着法により、真空度;10-4Paの条件下で負極層となるLi金属膜をマスクの装着された基材上に形成した。その膜厚は、膜厚測定用のステンレス基材成膜品のICP分析より1μmであった。

0086

次に、作製した薄膜電池の電池評価を行った。露点が-60℃のドライルーム内で、Al基材裏面の端部をヤスリで削ってAl金属面を出し、その金属面に超音波溶接によりAl製リードを取り付けた。また、Li金属膜のリード取付部に超音波溶接によりCu箔のリードを取り付けた。さらに、これらリードの端部以外の箇所をポリマー製のシール材とアルミラミネート袋のシール部でシールし、端部のみが露出される状態とした。

0087

このように作製した電池をArガス循環のグローブボックス内に置き、定電流制御の1Cの条件下、充放電サイクル試験を4.3V-3.3Vの電圧の範囲で行った。充放電試験前に3V以上のOCV(開回路電位)が観測された。また、充電状態で24時間放置したところ全く電圧降下は見られず、正極層、負極層間での短絡がないことが確認できた。サイクル試験でも安定駆動が確認された。

0088

次に、充放電サイクル中に、負極層の櫛形電極の一つを、金属針により上から突き刺し、負極層の一部を正極層の集電体と短絡させることを試みた。金属針を突き刺したとたんに、この櫛型電極部と主配線とをつなぐ幅0.1mmの微細配線が溶断したが、他の櫛型電極部には異常はなく安定した充放電サイクルを継続した。

0089

〔試作例4〜7〕
試作例1に示す方法にて、他の負極層材質を使用して図1の構成の薄膜リチウム二次電池を作製し、その電池に対して試作例1と同様の充放電サイクル試験を行った。各試作例の負極層材質、正極層(正極活物質)及び正極集電体の材質、並びに試験結果を表1に示す。表1のいずれの試作例においても、1000サイクル以上の安定駆動が可能であり、好ましい充放電サイクル特性を有することが確認できた。

0090

0091

〔試作例8〕
次に、図7に記載の実施例7の電池を作製した。この電池の基本構成は試作例1と共通である。ただし、試作例1におけるLi-P-S-Oを第二電解質層とし、この第二電解質層をレーザアブレーション法で形成する前に、第一電解質層としてLi-P-S-Nを形成する点が試作例1とは異なっている。ここでは、窒素20vol%、酸素80vol%の混合ガスを100mmTorr(0.13Pa)とした雰囲気下でリン酸リチウムスパッタリングして厚さ0.1μmのLi-P-S-Nを成膜した。第一電解質層40Lと正極層20との界面抵抗値は1000Ω・cm2以下で、第二電解質層40Uと負極層50との界面抵抗値は10000Ω・cm2以下である。

0092

得られた薄膜電池の評価を行ったところ、本例の電池では試作例1の約5倍の電流容量を得られることが確認された。

0093

本発明電池は、充放電が可能な二次電池、特に電解液を用いず、安全性、耐熱性及び低温特性に優れた全固体型リチウム二次電池として好適に利用することができる。例えば、この電池は、移動型携帯型などの種々の電気・電子機器電源として利用することが期待される。その他、耐熱性が高く、高容量の本発明電池は、加熱炉に入れて配線のロウ付け一括して行うリフロー工程に投入される電子基板用電池、自動車等の電子回路に使用されるバックアップ用電源、及び耐熱性が必要となる主電源等にも利用することができる。

図面の簡単な説明

0094

実施例1の本発明電池の縦断面図である。
実施例2の本発明電池の縦断面図である。
実施例3の本発明電池の縦断面図である。
実施例4の本発明電池の縦断面図である。
実施例5の本発明電池の縦断面図である。
実施例6の本発明電池の縦断面図である。
実施例7の本発明電池の縦断面図である。
正極層を形成する際に用いるマスクのパターンを示す概略図である。
負極層を形成する際に用いるマスクのパターンを示す概略図である。

符号の説明

0095

10、11集電体20 正極層30電気絶縁層40固体電解質
40L 第一電解質層40U 第二電解質層
50 負極層 60絶縁基板
70マスク71櫛型電極孔 71A配線用孔71B櫛歯用孔
80 マスク 81、82 櫛型電極孔 81A、82A 配線用孔 81B、82B 櫛歯用孔
83 主配線孔84リード取付部孔85細線孔

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