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技術 固体電解コンデンサ

出願人 株式会社トーキン
発明者 齋藤猛春日健男吉田勝洋戸井田剛
出願日 2006年8月28日 (14年10ヶ月経過) 出願番号 2006-231165
公開日 2007年4月12日 (14年3ヶ月経過) 公開番号 2007-096284
状態 特許登録済
技術分野 電解コンデンサのセパレータ等 電解コンデンサの端子・電極等 電解コンデンサ
主要キーワード 製品体積 封入部材 無機酸アンモニウム塩 レジスト帯 電流流出 電圧処理 容量拡大 降下率
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重要な関連分野

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図面 (7)

課題

耐湿性に優れ小型大容量及び低ESRの特性を備えた固体電解コンデンサを提供すること及び耐湿性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提供すること。

解決手段

アルミニウム固体電解コンデンサ100において、陽極酸化皮膜層2と、導電性高分子層20との間に形成されたポリスチレンスルホン酸塩層4を備えている導電性高分子型固体電解コンデンサである。伝送線路素子構造を備えた固体電解コンデンサは、陰極部10をアルミニウム基体1の中央部に形成し、陽極端子接続9を前記アルミニウム基体1の前記陰極部10の両側に一対形成し、前記一対の陽極端子接続部9間に通電できるように構成されている。

概要

背景

近年、アルミニウム等の弁作用金属多孔質体に、陽極酸化法により誘電体酸化皮膜(以下、陽極酸化皮膜と呼ぶ)を形成した後、陽極酸化皮膜上に固体電解質として導電性高分子層を形成した固体電解コンデンサが開発された。この固体電解コンデンサは、二酸化マンガンを固体電解質とする固体電解コンデンサに比べ、固体電解質の導電率が10〜100倍高い。さらに、この固体電解コンデンサは、等価直列抵抗値(以下、ESR表記)を低くすることが可能で、高周波数特性が大幅に改善されている。従って、この種の固体電解コンデンサは、小型機器高周波ノイズ除去のために様々な電子機器に用いられ始めている。

電子部品の高密度実装化、高速化はますますコンデンサ小型大容量、及び低ESR化を要求している。これらに対応して単位面積当たり静電容量拡大化の試みがなされている。これらの試みは、弁作用金属としてのアルミニウム基体エッチング倍率の増大や製品体積とコンデンサを形成する部分の体積との比である体積効率の増大、および積層化等が進展している。

本願発明者らは、陽極酸化皮膜と前記ポリピロール導電性高分子層との密着性を向上させ、陽極酸化皮膜に対する導電性高分子の実質的な被覆率の改善を図り、コンデンサの特性を改善するために、特許文献1に次のような固体電解コンデンサを形成する方法を開示している。特許文献1の方法においては、まず、アルミニウム基体をエッチングによって、表面を粗面化する。粗面化したアルミニウム基体の表面にアジピン酸アンモニウムリン酸リン酸アンモニウム等を含む水溶液中で、アルミニウム誘電体膜陽極酸化皮膜層)を形成して、陽極部とする。次に、ポリスチレンスルホン酸水溶液に浸漬、乾燥して、陽極酸化皮膜表面にポリスチレンスルホン酸薄膜プリコート層として形成する。次に、このプリコート層が形成された陽極酸化皮膜層を有するアルミニウム基体を導電性高分子モノマーを含有する溶液浸す。さらに、プロトン酸金属ハロゲン化物過酸化物等の溶液に浸して、ポリピロール膜ポリチオフェン膜、ポリオキシチオフェン膜等の導電性高分子膜内部重合膜層)を形成する。ポリピロール層とポリスチレンスルホン酸のプリコート層とを反応させて、陽極酸化皮膜層とポリピロール層との密着性を向上させる。次に、内部重合膜層上に化学酸化重合法によって、ポリピロール膜、ポリチオフェン膜、ポリオキシチオフェン膜等の導電性高分子膜(外部重合膜層)を、複数層形成する。その上にグラファイト層銀ペースト層を形成して陰極部とする。

ところで、固体電解コンデンサの小型、大容量化のためには、被覆率の改善が最も効果的であるが、エッチング倍率の増大とともに、多孔質体の構造がより緻密で複雑になってきたため、更なる被覆率の改善による静電容量の拡大化と、それに伴う低抵抗化(ESR値を低減)させる方法が求められている。

前述した特許文献1の固体電解コンデンサにおけるポリスチレンスルホン酸のプリコート層は、被覆率改善には絶大の効果を発揮する。しかしながら、ポリスチレンスルホン酸が水溶性高分子化合物のため、その上に形成されるポリピロールと反応した部分では、水に不溶であるが、未反応の部分は、水に溶解する可能性がある。水に溶解した極微少部分のポリスチレンスルホン酸は、pH≒0.5〜1と酸性が強く、陽極酸化皮膜に対して悪影響をおよぼし、高湿度で使用された場合に漏れ電流(LC)値の増加が起きる可能性があった。

特開2005−159154号公報

概要

耐湿性に優れ小型大容量及び低ESRの特性を備えた固体電解コンデンサを提供すること及び耐湿性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提供すること。アルミニウム固体電解コンデンサ100において、陽極酸化皮膜層2と、導電性高分子層20との間に形成されたポリスチレンスルホン酸塩層4を備えている導電性高分子型固体電解コンデンサである。伝送線路素子構造を備えた固体電解コンデンサは、陰極部10をアルミニウム基体1の中央部に形成し、陽極端子接続9を前記アルミニウム基体1の前記陰極部10の両側に一対形成し、前記一対の陽極端子接続部9間に通電できるように構成されている。

目的

そこで、本発明の一目的は、従来の欠点を解消し、耐湿性に優れ小型大容量及び低ESRの特性を備えた固体電解コンデンサを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

粗面化したアルミニウム基体と、前記粗面化したアルミニウム基体の表面に形成された陽極酸化皮膜層と、前記陽極酸化皮膜層上の一部に形成されたポリスチレンスルホン酸塩層と、前記ポリスチレンスルホン酸塩層上に固体電解質として形成された導電性高分子膜層とを備え、前記ポリスチレンスルホン酸塩層は、前記陽極酸化皮膜層と前記導電性高分子膜層との間に形成されていることを特徴とする固体電解コンデンサ

請求項2

請求項1に記載の固体電解コンデンサにおいて、前記ポリスチレンスルホン酸塩層は、0.1〜10wt%のポリスチレンスルホン酸水溶液中に、アミン、アミンと有機酸とを反応させたアミン塩、有機酸及び無機酸の内のいずれかのアンモニウム塩、及びアンモニア水の内の少なくとも一種を加えて、pH値を2〜6に調整した水溶液に浸潰し、乾燥して形成したことを特徴とする固体電解コンデンサ。

請求項3

請求項2に記載の固体電解コンデンサにおいて、前記アミンが、トリエチルアミン及びトリエタノールアミンの内の少なくとも一種であり、前記アミン塩が前記アミンとホウ酸マロン酸マレイン酸アジピン酸、セバチン酸、ドデカン酸クエン酸フタル酸テレフタル酸、及びピロメリット酸の内の少なくとも一種とを反応させたアミン塩の内の少なくとも一種であり、前記有機酸及び無機酸の夫々のアンモニウム塩が、ホウ酸アンモニウムアジピン酸アンモニウム、セバチン酸アンモニウム、及びドデカン酸アンモニウム内の少なくとも一種であることを特徴とする固体電解コンデンサ。

請求項4

請求項1から3の内のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサにおいて、前記ポリスチレンスルホン酸塩層を形成した後、アジピン酸、クエン酸等の有機酸のアンモニウム塩を含む水溶液で電圧処理を行ったことを特徴とする固体電解コンデンサ。

請求項5

請求項1から4の内のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサにおいて、前記アルミニウム基体の前記陽極酸化皮膜層の前記一部からなる陽極部と、前記一部の陽極酸化皮膜上にポリスチレン酸塩を介して前記導電性高分子層が形成された陰極部とを有し、前記アルミニウム基体の前記一部以外の部分に形成された陽極端子接続部を備え、前記陰極部は前記導電性高分子層上に形成された陰極端子接続部を備えていることを特徴とする固体電解コンデンサ。

請求項6

請求項5に記載の固体電解コンデンサにおいて、一つの前記陰極端子接続部と一つの前記陽極端子接続部とに接続された端子と、合成樹脂または絶縁材料からなる封入部材とを有することを特徴とする固体電解コンデンサ。

請求項7

請求項1から5の内のいずれか一つに記載の固体電解コンデンサにおいて、前記固体電解コンデンサは伝送線路素子構造を備え、前記伝送線路素子構造は、表面に形成された陽極酸化皮膜を有するアルミニウム基体の中央部に含まれる陽極部と、前記陽極部の両側に位置する第1及び第2の陽極端子接続部と、前記陽極部に対向するとともに、前記陽極酸化皮膜上の一部に形成された前記ポリスチレンスルホン酸塩層と、前記ポリスチレンスルホン酸塩層上の前記導電性高分子膜層とを備えていることを特徴とする固体電解コンデンサ。

請求項8

請求項7に記載の固体電解コンデンサにおいて、前記陰極端子接続部及び前記第1及び第2の陽極端子接続部に接続された端子と、合成樹脂または絶縁材料からなる封入部材とを有することを特徴とする固体電解コンデンサ。

請求項9

アルミニウム基体の表面を粗面化する工程と、前記アルミニウム基体の表面に陽極酸化皮膜層を形成する工程と、前記陽極酸化皮膜層上の一部にポリスチレンスルホン酸塩層を形成する工と、前記ポリスチレンスルホン酸塩層上に固体電解質として導電性導電性高分子膜層を形成する工程とを有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。

請求項10

請求項9に記載の固体電解コンデンサの製造方法において、前記ポリスチレンスルホン酸塩層を形成する工程は、0.1〜10wt%のポリスチレンスルホン酸水溶液中に、アミン、アミンと有機酸とを反応させたアミン塩、有機酸または無機酸のアンモニウム塩、及びアンモニア水の内の少なくとも一種を加えて、pH値を2〜6に調整した水溶液に、前記アルミニウム基体を浸漬し、乾燥して形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。

請求項11

請求項9又は10に記載の固体電解コンデンサの製造方法において、前記アミンが、トリエチルアミン及びトリエタノールアミンの少なくとも一種のアミンであり、前記アミン塩が前記アミンとホウ酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン酸、クエン酸、フタル酸、テレフタル酸、及びピロメリット酸の内の少なくとも一種の酸とを反応させたアミン塩であり、前記有機酸もしくは無機酸のアンモニウム塩が、ホウ酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、セバチン酸アンモニウム、ドテカン酸アンモニウムの内の少なくとも一種であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。

請求項12

請求項9から11の内のいずれか一つに記載の固体電解コンデンサ製造方法において、ポリスチレンスルホン酸塩層を形成した後、アジピン酸、クエン酸等の有機酸のアンモニウム塩を含む水溶液で電圧処理を行う工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。

請求項13

請求項9から12のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法において、前記アルミニウム基体の前記陽極酸化皮膜の一部からなる陽極部と、前記陽極部の前記陽極酸化皮膜の前記一部上に前記プリコート層を介して前記導電性高分子膜層、その上に陰極端子接続部が形成されて陰極部が形成され、前記アルミニウム基体の前記陰極部以外の部分に陽極端子接続部が形成されることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。

請求項14

請求項13に記載の固体電解コンデンサの製造方法において、前記固体電解コンデンサは、前記陰極端子接続部と前記陽極端子接続部とに夫々セう属される端子と、合成樹脂又は絶縁材料からなる封入部材とを有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。

請求項15

請求項13に記載の固体電解コンデンサの製造方法において、前記固体電解コンデンサは伝送線路素子構造を備え、前記伝送線路素子構造は、アルミニウム基体の表面に陽極酸化皮膜を有する前記アルミニウム基体の中央部に形成された陽極部と、前記陽極部の両側に形成された第1及び第2の陽極端子接続部と、前記陽極部に対向するとともに前記陽極酸化皮膜の前記一部上に形成されたポリスチレンスルホン酸塩層と、前記ポリスチレンスルホン酸塩層上に形成された前記導電性高分子層を含む陰極部とを有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。

請求項16

請求項15に記載の固体電解コンデンサの製造方法において、前記固体電解コンデンサは伝送線路素子構造を備え、前記伝送線路素子構造は前記陰極端子接続部及び第1及び第2の陽極端子接続部に接続された端子と、合成樹脂又は絶縁材料から形成された封入部材とを備えていることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、固体電解コンデンサに関し、詳しくは、固体電解コンデンサの酸化膜固体電解質との間に設けられたプリコートを改善した固体電解コンデンサに関する。

背景技術

0002

近年、アルミニウム等の弁作用金属多孔質体に、陽極酸化法により誘電体酸化皮膜(以下、陽極酸化皮膜と呼ぶ)を形成した後、陽極酸化皮膜上に固体電解質として導電性高分子層を形成した固体電解コンデンサが開発された。この固体電解コンデンサは、二酸化マンガンを固体電解質とする固体電解コンデンサに比べ、固体電解質の導電率が10〜100倍高い。さらに、この固体電解コンデンサは、等価直列抵抗値(以下、ESR表記)を低くすることが可能で、高周波数特性が大幅に改善されている。従って、この種の固体電解コンデンサは、小型機器高周波ノイズ除去のために様々な電子機器に用いられ始めている。

0003

電子部品の高密度実装化、高速化はますますコンデンサ小型大容量、及び低ESR化を要求している。これらに対応して単位面積当たり静電容量拡大化の試みがなされている。これらの試みは、弁作用金属としてのアルミニウム基体エッチング倍率の増大や製品体積とコンデンサを形成する部分の体積との比である体積効率の増大、および積層化等が進展している。

0004

本願発明者らは、陽極酸化皮膜と前記ポリピロール導電性高分子層との密着性を向上させ、陽極酸化皮膜に対する導電性高分子の実質的な被覆率の改善を図り、コンデンサの特性を改善するために、特許文献1に次のような固体電解コンデンサを形成する方法を開示している。特許文献1の方法においては、まず、アルミニウム基体をエッチングによって、表面を粗面化する。粗面化したアルミニウム基体の表面にアジピン酸アンモニウムリン酸リン酸アンモニウム等を含む水溶液中で、アルミニウム誘電体膜陽極酸化皮膜層)を形成して、陽極部とする。次に、ポリスチレンスルホン酸水溶液に浸漬、乾燥して、陽極酸化皮膜表面にポリスチレンスルホン酸薄膜プリコート層として形成する。次に、このプリコート層が形成された陽極酸化皮膜層を有するアルミニウム基体を導電性高分子モノマーを含有する溶液浸す。さらに、プロトン酸金属ハロゲン化物過酸化物等の溶液に浸して、ポリピロール膜ポリチオフェン膜、ポリオキシチオフェン膜等の導電性高分子膜内部重合膜層)を形成する。ポリピロール層とポリスチレンスルホン酸のプリコート層とを反応させて、陽極酸化皮膜層とポリピロール層との密着性を向上させる。次に、内部重合膜層上に化学酸化重合法によって、ポリピロール膜、ポリチオフェン膜、ポリオキシチオフェン膜等の導電性高分子膜(外部重合膜層)を、複数層形成する。その上にグラファイト層銀ペースト層を形成して陰極部とする。

0005

ところで、固体電解コンデンサの小型、大容量化のためには、被覆率の改善が最も効果的であるが、エッチング倍率の増大とともに、多孔質体の構造がより緻密で複雑になってきたため、更なる被覆率の改善による静電容量の拡大化と、それに伴う低抵抗化(ESR値を低減)させる方法が求められている。

0006

前述した特許文献1の固体電解コンデンサにおけるポリスチレンスルホン酸のプリコート層は、被覆率改善には絶大の効果を発揮する。しかしながら、ポリスチレンスルホン酸が水溶性高分子化合物のため、その上に形成されるポリピロールと反応した部分では、水に不溶であるが、未反応の部分は、水に溶解する可能性がある。水に溶解した極微少部分のポリスチレンスルホン酸は、pH≒0.5〜1と酸性が強く、陽極酸化皮膜に対して悪影響をおよぼし、高湿度で使用された場合に漏れ電流(LC)値の増加が起きる可能性があった。

0007

特開2005−159154号公報

発明が解決しようとする課題

0008

そこで、本発明の一目的は、従来の欠点を解消し、耐湿性に優れ小型大容量及び低ESRの特性を備えた固体電解コンデンサを提供することにある。

0009

また、本発明のもう一つの目的は、耐湿性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。

0010

また、本発明のさらにもう一つの目的は、耐湿性を改善した伝送線路構造の固体電解コンデンサを提供することにある。

0011

また、本発明の別の一つの目的は、耐湿性を改善した伝送線路構造の固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明によれば、粗面化したアルミニウム基体と、前記粗面化したアルミニウム基体の表面に形成された陽極酸化皮膜層と、前記陽極酸化皮膜層上の一部に形成されたポリスチレンスルホン酸塩層と、前記ポリスチレンスルホン酸塩層上に固体電解質として形成された導電性高分子膜層とを備え、前記ポリスチレンスルホン酸塩層は、前記陽極酸化皮膜層と前記導電性高分子膜層との間に形成されていることを特徴とする固体電解コンデンサが得られる。

0013

また、本発明によれば、前記固体電解コンデンサにおいて、前記ポリスチレンスルホン酸塩層は、0.1〜10wt%のポリスチレンスルホン酸水溶液中に、アミン、アミンと有機酸とを反応させたアミン塩、有機酸及び無機酸の内のいずれかのアンモニウム塩、及びアンモニア水の内の少なくとも一種を加えて、pH値を2〜6に調整した水溶液に浸潰し、乾燥して形成したことを特徴とする固体電解コンデンサが得られる。

0014

また、本発明によれば、前記固体電解コンデンサにおいて、前記アミンが、トリエチルアミン及びトリエタノールアミンの内の少なくとも一種であり、前記アミン塩が前記アミンとホウ酸マロン酸マレイン酸アジピン酸、セバチン酸、ドデカン酸クエン酸フタル酸テレフタル酸、及びピロメリット酸の内の少なくとも一種とを反応させたアミン塩の内の少なくとも一種であり、前記有機酸及び無機酸の夫々のアンモニウム塩が、ホウ酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、セバチン酸アンモニウム、及びドデカン酸アンモニウム内の少なくとも一種であることを特徴とする固体電解コンデンサが得られる。

0015

また、本発明によれば、前記いずれか一つの固体電解コンデンサにおいて、前記ポリスチレンスルホン酸塩層を形成した後、アジピン酸、クエン酸等の有機酸のアンモニウム塩を含む水溶液で電圧処理を行ったことを特徴とする固体電解コンデンサが得られる。

0016

また、本発明によれば、前記いずれか1つの固体電解コンデンサにおいて、前記アルミニウム基体の前記陽極酸化皮膜層の前記一部からなる陽極部と、前記一部の陽極酸化皮膜上にポリスチレン酸塩を介して前記導電性高分子層が形成された陰極部とを有し、前記アルミニウム基体の前記一部以外の部分に形成された陽極端子接続部を備え、前記陰極部は前記導電性高分子層上に形成された陰極端子接続部を備えていることを特徴とする固体電解コンデンサが得られる。

0017

また、本発明によれば、前記固体電解コンデンサにおいて、一つの前記陰極端子接続部と一つの前記陽極端子接続部とに接続された端子と、合成樹脂または絶縁材料からなる封入部材とを有することを特徴とする固体電解コンデンサが得られる。

0018

また、本発明によれば、前記いずれか一つの固体電解コンデンサにおいて、前記固体電解コンデンサは伝送線路素子構造を備え、前記伝送線路素子構造は、表面に形成された陽極酸化皮膜を有するアルミニウム基体の中央部に含まれる陽極部と、前記陽極部の両側に位置する第1及び第2の陽極端子接続部と、前記陽極部に対向するとともに、前記陽極酸化皮膜上の一部に形成された前記ポリスチレンスルホン酸塩層と、前記ポリスチレンスルホン酸塩層上の前記導電性高分子膜層とを備えていることを特徴とする固体電解コンデンサが得られる。

0019

また、本発明によれば、前記固体電解コンデンサにおいて、前記陰極端子接続部及び前記第1及び第2の陽極端子接続部に接続された端子と、合成樹脂または絶縁材料からなる封入部材とを有することを特徴とする固体電解コンデンサ。

0020

また、本発明によれば、アルミニウム基体の表面を粗面化する工程と、前記アルミニウム基体の表面に陽極酸化皮膜層を形成する工程と、前記陽極酸化皮膜層上の一部にポリスチレンスルホン酸塩層を形成する工と、前記ポリスチレンスルホン酸塩層上に固体電解質として導電性導電性高分子膜層を形成する工程とを有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。

0021

また、本発明によれば、前記固体電解コンデンサの製造方法において、前記ポリスチレンスルホン酸塩層を形成する工程は、0.1〜10wt%のポリスチレンスルホン酸水溶液中に、アミン、アミンと有機酸とを反応させたアミン塩、有機酸または無機酸のアンモニウム塩、及びアンモニア水の内の少なくとも一種を加えて、pH値を2〜6に調整した水溶液に、前記アルミニウム基体を浸漬し、乾燥して形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。

0022

また、本発明によれば、前記いずれか一つの固体電解コンデンサの製造方法において、前記アミンが、トリエチルアミン及びトリエタノールアミンの少なくとも一種のアミンであり、前記アミン塩が前記アミンとホウ酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン酸、クエン酸、フタル酸、テレフタル酸、及びピロメリット酸の内の少なくとも一種の酸とを反応させたアミン塩であり、前記有機酸もしくは無機酸のアンモニウム塩が、ホウ酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、セバチン酸アンモニウム、ドテカン酸アンモニウムの内の少なくとも一種であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。

0023

また、本発明によれば、前記いずれか一つの固体電解コンデンサ製造方法において、ポリスチレンスルホン酸塩層を形成した後、アジピン酸、クエン酸等の有機酸のアンモニウム塩を含む水溶液で電圧処理を行う工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。

0024

また、本発明によれば、前記いずれか1つの固体電解コンデンサの製造方法において、前記アルミニウム基体の前記陽極酸化皮膜の一部からなる陽極部と、前記陽極部の前記陽極酸化皮膜の前記一部上に前記プリコート層を介して前記導電性高分子膜層、その上に陰極端子接続部が形成されて陰極部が形成され、前記アルミニウム基体の前記陰極部以外の部分に陽極端子接続部が形成されることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。

0025

また、本発明によれば、前記固体電解コンデンサの製造方法において、前記固体電解コンデンサは、前記陰極端子接続部と前記陽極端子接続部とに夫々セう属される端子と、合成樹脂又は絶縁材料からなる封入部材とを有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。

0026

また、本発明によれば、前記固体電解コンデンサの製造方法において、前記固体電解コンデンサは伝送線路素子構造を備え、前記伝送線路素子構造は、アルミニウム基体の表面に陽極酸化皮膜を有する前記アルミニウム基体の中央部に形成された陽極部と、前記陽極部の両側に形成された第1及び第2の陽極端子接続部と、前記陽極部に対向するとともに前記陽極酸化皮膜の前記一部上に形成されたポリスチレンスルホン酸塩層と、前記ポリスチレンスルホン酸塩層上に形成された前記導電性高分子層を含む陰極部とを有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。

0027

また、本発明によれば、前記固体電解コンデンサの製造方法において、前記固体電解コンデンサは伝送線路素子構造を備え、前記伝送線路素子構造は前記陰極端子接続部及び第1及び第2の陽極端子接続部に接続された端子と、合成樹脂又は絶縁材料から形成された封入部材とを備えていることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。

発明の効果

0028

本発明によれば、耐湿性に優れ小型大容量及び低ESRの特性を備えた固体電解コンデンサを提供することができる。

0029

また、本発明によれば、耐湿性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。

0030

また、本発明によれば、耐湿性を改善した伝送線路構造の固体電解コンデンサを提供することができる。

0031

また、本発明によれば、耐湿性を改善した伝送線路構造の固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。

発明を実施するための最良の形態

0032

本発明についてさらに、図1(a)から図6を参照しながら、詳細に説明する。同様な部位は、同様な符号を付し、繰り返して呼ばない。なお、本発明は、先に出願した特許文献1に記載の発明の更なる改善を行ったものである。

0033

図1(a)は本発明の実施の形態による固体電解コンデンサを示す図、図1(b)は図1(a)の部分Aの拡大図である。

0034

図1(a)及び図1(b)に示すように、本発明の固体電解コンデンサ100は、アルミニウム箔からなるアルミニウム基体1を有する。アルミニウム基体1は、エッチング等で粗面化された表面を有している。固体電解コンデンサ100はアルミニウム基体1の粗面化された表面上に陽極酸化皮膜層2を有する。また、固体電解コンデンサ100は、陽極酸化皮膜層2上に、固体電解質層である導電性高分子膜層20が形成されている。導電性高分子膜層20は内部重合膜層5と外部重合膜層6とを有している。この陽極酸化皮膜層2と前記導電性高分子層20との間にプリコート層としてのポリスチレンスルホン酸塩層4を有している。

0035

より詳しく説明すると、アルミエッチング箔のアルミニウム基体1の表面は、エッチングによって粗面化される。陽極酸化皮膜がアルミニウム基体の粗面化された表面に、アジピン酸、クエン酸、リン酸、またはその塩等を含む水溶液中で行われて、アルミニウム基体1の粗面化された表面にアルミニウムの陽極酸化皮膜層2を化成する。しかるのち、アルミニウム基体1を容量形成領域陽極リード又は陽極端子に接続される領域(以下、陽極端子接続部と呼ぶ)9に区分けするために熱硬化性樹脂レジスト帯3を設ける。容量形成領域のアルミニウム基体1は、陽極部11を構成する。このレジスト帯3は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を用いているが、熱可塑性樹脂でもその目的を果すことができる。その後、本発明の主目的であるポリスチレンスルホン酸塩のプリコート層4を、陽極酸化皮膜層2の多孔質体内部に到るまで形成する。その後、ポリピロール等の導電性高分子の化学酸化重合によって、内部化学重合層(内部重合膜層)5を形成する。さらに、この内部重合膜層5上に3,4−エチレンジオキシチオフェンスラリーポリマーを塗布、乾燥して外部化学重合層(外部重合膜層)であるスラリポリマー層6を形成する。さらに、その上に、導体層であるグラファイト層7及び銀ペースト層8を順次形成してとし、伝送線路構造の固体電解コンデンサ100とする。グラファイト層7及び銀ペースト層8は、プリコート層4と導電性高分子層6とともに陰極部10を形成する。ここで、銀ペースト層8は、陰極リード又は陰極端子に接続される陰極端子接続部を構成する。容量形成領域は、陰極部10と陽極部11が陽極酸化皮膜層2を挟んで対向する領域に形成される。

0036

なお、図示の固体電解コンデンサ100において、陽極端子接続部9に接続される陽極リード又は端子と、銀ペースト層8に接続される陰極リード又は陰極端子は省略されている。

0037

具体的には、前述したポリスチレンスルホン酸塩のプリコート層4は、まず、0.1〜10質量%(以下、wt%と示す)のポリスチレンスルホン酸水溶液中に、アミンと有機酸とを反応させたアミン塩、または有機酸及び無機酸の内のいずれかのアンモニウム塩を加えて、pH値を2〜6に調整した水溶液を作製し、陽極化皮膜層2が形成されたアルミニウム基体1を浸漬し、乾燥して形成される。

0038

本発明において、ポリスチレンスルホン酸塩のプリコート層4を形成するためにポリスチレンスルホン酸溶液に加える塩基として、アミン類、アミン塩、アンモニア水、及び/又は有機酸または無機酸のアンモニウム塩類を用いることができる。それらの塩基の中で、種々検討した結果、次のものを用いることが好ましいことが判明した。

0039

アミン類としては、例えば、4−メトキシ−2,2´,4´−トリメチルジフェニルアミン2−エチルヘキシルアミンヘキサデシルアミンオクタデシルアミンジメチルアミンジエチルアミンジイソプロピルアミンジブチルアミントリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミントリアリルアミンエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミンなどのアミノ基をもつ有機化合物を挙げることができるが、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。

0040

また、アミン塩としては、上記アミン類に有機酸であるアジピン酸、ドデカン酸、セバチン(セバシン)酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、テレフタル酸、及びピロメリット酸などの有機脂肪酸やホウ酸などの無機酸を反応させて生成したものを使用することが好ましい。

0041

また、アンモニウム塩類としては、無機酸アンモニウム塩であるホウ酸アンモニウム等を挙げることができる。さらに、有機酸アンモニウム塩類である、アジピン酸アンモニウム、セバチン酸アンモニウム、及びドデカン酸アンモニウムを挙げることができる。

0042

なお、有機酸アンモニウム塩を形成するための有機酸として、前述したアジピン酸、ドデカン酸、セバチン(セバシン)酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、テレフタル酸、及びピロメリット酸となどの有機脂肪酸を使用することが好ましい。また、無機酸としては、前述したホウ酸などを使用することが好ましい。

0043

さらに、ポリスチレンスルホン酸溶液に加える塩基として、無機化合物であるアンモニア水なども挙げることができる。

0044

なお、本発明において、ポリスチレンスルホン酸塩層を形成した後、導電性高分子層を形成するものと説明したが、前記ポリスチレンスルホン酸塩層を形成した後に、アジピン酸、クエン酸等の有機酸のアンモニウム塩を含む水溶液で電圧処理を行い、その後、ポリスチレンスルホン酸塩上に導電性高分子層を形成することが好ましい。

0045

本発明では、特許文献1のプリコート層を改善したもので、以下に本発明のプリコート層4の特性評価するために、試験を行った結果について説明する。

0046

(プリコート層の耐電圧降下率
本発明の実施例1に係るプリコート層4として、所定の大きさに切断したアルミニウム箔を8Vで陽極酸化処理して陽極酸化皮膜を化成したのち、ポリスチレンスルホン酸1.5wt%、トリエタノールアミン1.1wt%とを混合した水溶液中に30分浸漬、乾燥して、ポリスチレンスルホン酸塩のプリコート薄膜層を形成した。

0047

また、本発明の実施例2に係るプリコート層として、実施例1と同様に陽極酸化皮膜を化成した後、ポリスチレンスルホン酸1.5wt%、トリエタノールアミン1.0wt%、アジピン酸0.5wt%を混合した水溶液中に30分浸漬、乾燥し、ポリスチレンスルホン酸塩のプリコート薄膜層を形成した。

0048

また、比較例1として、実施例1と同様に、陽極酸化皮膜を化成した後、プリコート薄膜層を形成しない試料を用意した。

0049

また、比較例2として、実施例1と同様に陽極酸化皮膜を化成した後、従来の方法であるポリスチレンスルホン酸1.5wt%水溶液に30分浸漬、乾燥し、ポリスチレンスルホン酸のプリコート薄膜層を形成した。

0050

実施例1に係る試料を、65℃、95%の恒温恒湿度に保った耐高湿試験槽中に入れ、24時間(H)、48H、72H保持した。同様に、実施例2、比較例1及び2に係る夫々の試料も、65℃、95%の恒温、恒湿度に保った耐高湿試験槽中に入れ、24時間(H)、48H、72H保持した。各々の保持時間の後、高湿槽から試料を取り出した後、各々の試料は、耐電圧を調べるために試験された。電圧挙動は、各試料をアジピン酸アンモニウム7.5wt%、リン酸二水素アンモニウム0.05wt%水溶液(化成液)中で、電流密度(I)=2A/m2の定電流を流すことで観察された。特に、試料は、容器内の溶液に浸漬され、定電流が10分間、試料を陽極としてのアルミニウム基体と陰極をなす容器間通電された。電圧挙動は陽極と陰極との間の電圧を時間とともに測定することで得られた。電流供給の開始から5分後の電圧を耐電圧と決定した。なお、実施例1,2及び比較例1,2の別の試料を、耐高湿試験槽に入れずに、初期の耐電圧を測定するために用意した。各試料に、前記化成液中で同じ電流密度で10分間の電流を流した。これらの別の試料の耐電圧を初期耐電圧として、これらに対する各試料の耐電圧変化の比を時間に対して図2に示すように、プロットした。

0051

図2に示すように、従来の方法による比較例2に係るプリコート層は、線分22で示されるように、線分21で示される比較例1に係るプリコート層なしのものに比べて、耐高湿試験による電圧変化率が大きく、本来化成した際の耐電圧が保持できないため、定格電圧を低下した耐電圧以下に設定しなければならなかった。

0052

しかし、線分23,24で示される本発明の実施例1,2に係るプリコート層では、耐電圧の低下がほとんどなく、同じ化成電圧でも定格電圧を引き上げることが可能である。

0053

次に、実施例3,4について説明する。前述した実施例1では、ポリスチレンスルホン酸1.5wt%にトリエタノールアミン1.1wt%とを混合した水溶液を用い、それらの水溶液中に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基体を30分浸漬し、乾燥してプリコート層を形成したが、実施例3では、トリエタノールアミンの代わりにトリエチルアミンを用いた水溶液を用い、実施例1と同様に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基体を30分浸漬し、乾燥してプリコート層を形成した。

0054

実施例4では、実施例1のトリエタノールアミンの代わりにアジピン酸アンモニウム1.3wt%用いた水溶液を用い、実施例1と同様に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基体を30分浸漬し、乾燥してプリコート層を形成した。

0055

得られた実施例3及び4のプリコート層を形成した試料を上記と同様に耐高湿試験を行った。その結果を、前述した比較例1及び比較例2に係る試料の測定結果とともに図3に示す。図3の結果から、折れ線53に示すように、ポリスチレンスルホン酸塩のプリコート層を備えた本発明の実施例3では、比較例1に係るプリコート処理なし(プリコート層を形成しない)の試料とほぼ同様の効果を示した。また、線分54に示すように、ポリスチレンスルホン酸塩のプリコート層を備えた本発明の実施例4も、比較例1に係るプリコート処理なしの試料と同様の効果を示していることが分かる。

0056

次に、実施例5及び6について説明する。前述した実施例2では、ポリスチレンスルホン酸1.5wt%にトリエタノールアミン1.1wt%とアジピン酸0.5wt%を混合した水溶液を用い、それらの水溶液中に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基体を30分浸漬し、乾燥してプリコート層を形成したが、実施例5では、アジピン酸の代わりにドデカン酸0.69wt%の水溶液を用い、実施例2と同様に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基体を30分浸漬し、乾燥してプリコート層を形成した。

0057

実施例6では、実施例2のアジピン酸の代わりにセバチン酸(セバシン酸)0.69wt%の水溶液を用い、実施例2と同様に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基体を30分浸漬し、乾燥してプリコート層を形成した。

0058

上記実施例5及び6の耐高湿試験を前述した実施例3及び4と同様に行った。その結果を図4に示す。同図には、実施例1及び2に係るプリコート層の耐高湿放置試験結果も示してある。

0059

図4の結果から、本発明の実施例5及び6に係るポリスチレンスルホン酸塩のプリコート層を備えた試料は、曲線63,64で示されように、曲線61,62で示される実施例1及び2に係るポリスチレンスルホン酸塩のプリコート層を備えた試料と同様の効果が期待できることが判明した。

0060

(被覆率の測定)
次に、ポリスチレンスルホン酸濃度がポリスチレンスルホン酸塩の被覆率へ及ぼす影響について調べた。

0061

まず、所定の大きさに切断したアルミニウム箔を8Vで陽極酸化処理して陽極酸化皮膜を化成したのち、ポリスチレンスルホン酸濃度を0〜20wt%の範囲で変えた各ポリスチレンスルホン酸溶液と、エタノールアミン混合液に浸漬、乾燥してプリコート層を形成した。その後、特許文献1に記載のように、プリコート層上にポリピロール膜、ポリチオフェン膜等の導電性高分子膜を化学酸化重合によって形成し、グラファイト層、銀ペースト層を順次形成して固体電解コンデンサ素子を形成した。その素子を120Hzでの容量Cを測定し、ポリスチレンスルホン酸濃度が0wt%の容量CO(%)との変化率ΔC/CO(%)を求めた。この関係を図5に示す。

0062

図5の結果から、ポリスチレンスルホン酸の濃度が0.01〜10wt%でポリスチレンスルホン酸塩の薄膜層を形成した場合は、容量が増加した。このことから、ポリスチレンスルホン酸塩によって、被覆率のよい固体電解コンデンサが提供できることがわかる。

0063

(耐高湿試験におけるリーク電流変化特性と電圧処理の効果)
次に、実施例7乃至10に係る固体電解コンデンサ素子について耐高湿試験槽中に放置したリーク電流の変化特性を調べた。

0064

まず、実施例7では、前述の実施例1と同様にプリコート層を形成した。すなわち、所定の大きさに切断したアルミニウム箔を8Vで陽極酸化処理して陽極酸化皮膜を化成した。その後、ポリスチレンスルホン酸1.5wt%、トリエタノールアミン1.1wt%とを混合した水溶液中に30分浸漬し、乾燥してプリコート層を形成した。その後、アジピン酸アンモニウム7.5wt%、リン酸二水素アンモニウム0.05wt%水溶液中で10分間、電流密度(I)=2A/m2の定電流を流して電圧処理した。電圧処理は、夫々プリコート層を形成したアルミニウム化成箔に、この化成箔を陽極とし、化成液の入った容器(槽)を陰極として、7.8Vまで12V/分で昇圧し、その後7.8Vで10分キープすることで行った。次に、特許文献1と同様に、ポリピロール膜、ポリチオフェン膜の導電性高分子層を化学酸化重合によって形成した。さらに、グラファイト層、銀ペースト層を順次形成して固体電解コンデンサを形成した。

0065

次に、実施例8として、実施例7と同様にプリコート層を形成した後、電圧処理をせずに、ポリピロール膜、ポリチオフェン膜の導電性高分子層を化学酸化重合によって形成した固体電解コンデンサを作製した。

0066

また、実施例9として、前述の実施例2と同様に陽極酸化皮膜を化成した後、ポリスチレンスルホン酸1.5wt%、トリエタノールアミン1.0wt%、アジピン酸0.5wt%を混合した水溶液中に30分浸漬、乾燥し、実施例2に係るものと同様のプリコート層を形成した。その後、アジピン酸アンモニウム7.5wt%、リン酸二水素アンモニウム0.05wt%水溶液中で10分間、電流密度(I)=2A/m2の定電流を流して電圧処理した。次に、特許文献1と同様に、ポリピロール膜、ポリチオフェン膜を化学酸化重合によって形成した。さらに、グラファイト層、銀ペースト層を順次形成して固体電解コンデンサを形成した。

0067

次に、実施例10として、実施例9と同様にプリコート層を形成した後、電圧処理をせずに、ポリピロール膜、ポリチオフェン膜の導電性高分子層を化学酸化重合によって形成した固体電解コンデンサを作製した。

0068

また、比較例3として、比較例2と同様にアルミニウム基体に陽極酸化膜を化成した後、従来の方法であるポリスチレンスルホン酸1.5wt%水溶液に30分浸漬、乾燥してプリコート層を形成した。その後アジピン酸アンモニウム7.5wt%、リン酸二水素アンモニウム0.05wt%水溶液中で10分間、電流密度(I)=2A/m2の定電流を流して電圧処理した。次に、特許文献1と同様に、ポリピロール膜、ポリチオフェン膜を化学酸化重合によって形成した。さらに、グラファイト層、銀ペースト層を順次形成して固体電解コンデンサを形成した。

0069

また、比較例4として、比較例3と同様にプリコート層を形成した後、電圧処理をせずに、ポリピロール膜、ポリチオフェン膜の導電性高分子層を化学酸化重合によって形成した固体電解コンデンサを作製した。

0070

前述の耐高湿試験槽中に、夫々の試料を72時間放置した後、前記耐高湿試験槽から取り出して、2.5V、4.0V、6.3Vの電圧を1分印加し、LC(リーク電流)を測定した。その結果を図6に示す。

0071

図6の結果から、ポリスチレンスルホン酸塩のプリコート薄膜層が形成された本発明の実施例7,8,9及び10に係る固体電解コンデンサは、折れ線43乃至46に示すように、折れ線41,42で示す比較例3に係る固体電解コンデンサと同様、各電圧におけるLCが少ないことが分かる。また、プリコート層を形成した後、電圧処理をした比較例4と本発明の実施例8及び10に係る固体電解コンデンサは、電圧処理をしない比較例3と本発明の7及び8に係る固体電解コンデンサよりもLCが少なくなることが分かる。

0072

以上の説明のように、本発明の実施例によれば、ポリスチレンスルホン酸塩でプリコートすることによって、従来のポリスチレンスルホン酸をプリコート層とした場合に発生する漏れ電流を低減して、被覆率を高めたので、小型大容量及び低ESRの特性を備えた固体電解コンデンサを提供することができることが判明した。

0073

また、本発明の実施例によれば、ポリスチレンスルホン酸塩で陽極酸化皮膜をプリコートすることで、固体電解コンデンサの漏れ電流を少なくして、被覆率を大きくすることで、固体電解コンデンサを小型大容量及び低ESRの特性にすることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供することができることが判明した。

0074

なお、上述の実施例では、陽極部11の両端に電流流入路又は電流流出部となる第1及び第2の陽極端子接続領域(陽極端子接続部)9を設け、さらに、第1及び第2の陽極接続領域に第1及び第2の陽極端子を設け、第1の陽極端子と陰極部との間に電源電圧を印加し、第2の陽極端子と陰極部との間に負荷を接続する伝送線路構造の素子について説明した。しかし、本発明の固体電解コンデンサは陽極接続領域が1個形成され、陽極接続領域に陽極端子を1個設け通常構造の固体電解コンデンサでも良い。

0075

また、本発明に係る固体電解コンデンサは、電子機器、電気機器基板に搭載されるキャパシタ素子に、さらに、伝送線路構造を備えた固体電解コンデンサは、電源カップリング回路電源回路の安定化に適用される。

0076

以上述べた実施例においては、本発明の固体電解質を構成する導電性高分子層として、ポリピロール、3,4−エチレンジオキチオフェンのみ挙げられているが、導電性高分子であるならば、これらの導電性高分子に限定されず、本発明を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。

0077

以上説明したとおり、本発明に係る固体電解コンデンサは、電気電子回路基板に実装される回路素子として、特に、バックアップ電源デカップリング回路の回路素子に適用される。

図面の簡単な説明

0078

(a)は本発明の固体電解コンデンサの一例を示す断面図である。(b)は(a)のA部分の拡大図である。
本発明の実施例1,2に係るプリコート層が形成された試料、比較例1に係るプリコート層が形成されない試料、及び比較例2に係るプリコート層が形成された試料に夫々に一定の電流密度を流した際の電圧挙動と耐高湿試験槽中の放置時間との関係を示す図である。
本発明の実施例3及び4に係るプリコート層が形成された試料に一定の電流密度を流した際の電圧挙動と耐高湿試験槽中の放置時間との関係を示す図で、併せて比較例1に係るプリコート層が形成されない試料、及び比較例2に係るプリコート層が形成された試料についても示している。
本発明の実施例5及び6に係るプリコート層が形成された試料に一定の電流密度を流した際の電圧挙動と耐高湿試験槽中の放置時間との関係を示す図で、併せて実施例1及び2に係るプリコート層が形成された試料についても示している。
固体電解コンデンサのポリスチレンスルホン酸塩を形成するに用いるポリスチレンスルホン酸の濃度が容量に与える影響を示す図である。
図6は本発明の実施例7,8,9,10に係る固体電解コンデンサと、比較例3,4に係る固体電解コンデンサの夫々に2.5V,4V,6.3Vの一定の電圧を与えた場合におけるリーク電流(LC)を示す図である。

符号の説明

0079

1アルミニウム基体
2陽極酸化皮膜層
3レジスト帯
4プリコート層(ポリスチレンスルホン酸塩層)
5内部重合膜層
6 外部重合膜層
7グラファイト層
8銀ペースト層
9陽極端子接続部
10陰極部
11陽極部
20導電性高分子膜層
100 固体電解コンデンサ

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