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技術 半導体装置の温度測定方法および半導体装置の温度測定装置

出願人 関西電力株式会社
発明者 浅野勝則菅原良孝
出願日 2005年9月28日 (15年1ヶ月経過) 出願番号 2005-281638
公開日 2007年4月12日 (13年7ヶ月経過) 公開番号 2007-093335
状態 特許登録済
技術分野 温度及び熱量の測定
主要キーワード 時間比較器 突発事故 特性時間 使用限界温度 吸熱源 波形計測 電流減衰 圧接構造
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

半導体装置接合温度を精度よくかつ遅滞なく検知できる半導体装置の温度測定方法および半導体装置の温度測定装置を提供する。

解決手段

この半導体装置の温度測定方法によれば、半導体スイッチング素子であるSiCGTOのターンオフ特性時間としての蓄積時間tsは温度依存性が大きいことを利用して、SiC GTOの接合温度を求めている。蓄積時間tsはゲートターンオフ電流Ig立ち上がり開始時刻t1からアノード電流Iaの減衰開始時刻t2までの時間である。すなわち、この温度測定方法では、予め測定した蓄積時間tsと接合温度との関係特性に基づいて、測定したターンオフ特性時間を、SiC GTOの接合温度に換算している。

概要

背景

従来、半導体装置接合部の温度を測定する方法としては、半導体装置の接合部に熱電対などの感熱素子を直接に接触させて接合部の温度を測定する方法がある。また、もう1つの測定方法としては、図11に示すような半導体装置の所定電流に対するオン電圧温度依存性をあらかじめ調べておき、このオン電圧の値により半導体装置の接合温度間接的に求める方法が用いられている。

また、従来、インバータに組み込まれている半導体装置の点検は、インバータの定期点検時ダイオード半導体スイッチング素子各端子間抵抗値を測定することにより行われている。この半導体装置の抵抗値を測定することにより、この半導体装置の異常の有無が判定され、この異常の有無の判定に基づいて、半導体装置の交換等の適当な処置がなされてきた。

ところで、前者の半導体装置の接合部に熱電対などの感熱素子を直接接触させて接合部の温度を測定する方法では、被供試体としての半導体装置のパッケージ開封し、感熱素子を取り付ける必要がある。この感熱素子の取り付けに起因して、通電状態での接合部の温度の計測電気的絶縁制約となったり、さらには感熱素子が吸熱源となって半導体装置の接合部の温度計測誤差が生じる等の欠点があった。また、接合部の実際の温度上昇速度に感熱素子による温度検出が追い付かないため、感熱素子で検出した接合温度を半導体装置の加熱保護などに利用できないという問題がある。

また、後者のオン電圧の温度依存性を利用し、間接的に接合温度を計測する方法は、測定対象である半導体装置の構造により、本質的にオン電圧の温度依存性が無い場合には、測定が不可能であり、また、測定対象の温度変化が小さい場合には測定精度が悪くなる。このため、測定対象となる半導体装置の適用範囲が限定されていた。

従来のSi半導体装置の使用限界温度の約125℃より大幅に高い温度まで使用可能であるSiC、窒化ガリウムダイヤモンドなどのワイドギャップ半導体を用いたバイポーラ半導体装置は、図12に例示するように、低温から200℃程度までは温度上昇に伴いオン電圧が徐々に低下する。

しかし、図12に例示するように、これらのワイドギャップ半導体を用いたバイポーラ半導体装置のオン電圧は、接合温度が200℃以上になると、ほとんど温度依存性がなくなる。そして、この接合温度がさらに高温になると、逆にオン電圧が上昇する。このような半導体装置の場合、200℃以上の接合温度を精度よく計測することが不可能であったり、計測できたとしても精度が非常に悪くなる。

また、測定対象の半導体装置が圧接構造の大電力半導体装置であり、この大電力半導体装置の接合温度をオン電圧の温度依存性を利用して求める場合、オン電圧の変化が測定対象の接合全面にわたる平均的な接合温度を十分反映しないことがある。これは、圧接構造における圧接力の変化が内部電極接触抵抗を変化させたり、オン電圧を得るための測定電流が測定対象の半導体装置の全体に均一に流れないことなどに起因して発生する。さらに、電流が瞬時に変化する場合、電流が変化することにより生ずる電圧の変化と、接合温度の変化により生ずる電圧の変化の判別が困難なため、接合温度を精度よく求められないという欠点もある。

さらに、インバータの構成部品寿命は、周囲温度使用条件により大きく左右される。これらの部品劣化はある時期より急速に進むことが多く、従来のような定期点検では部品の異常を発見できず、インバータ装置故障にまで至ってしまう場合がある。インバータに組み込まれているダイオードや半導体スイッチング素子の場合は、各端子間の抵抗値をチェックするだけでは異常や故障の判定はできないことが多い。
特開平05−215809号公報
特許第3054404号公報

概要

半導体装置の接合温度を精度よくかつ遅滞なく検知できる半導体装置の温度測定方法および半導体装置の温度測定装置を提供する。この半導体装置の温度測定方法によれば、半導体スイッチング素子であるSiCGTOのターンオフ特性時間としての蓄積時間tsは温度依存性が大きいことを利用して、SiC GTOの接合温度を求めている。蓄積時間tsはゲートターンオフ電流Ig立ち上がり開始時刻t1からアノード電流Iaの減衰開始時刻t2までの時間である。すなわち、この温度測定方法では、予め測定した蓄積時間tsと接合温度との関係特性に基づいて、測定したターンオフ特性時間を、SiC GTOの接合温度に換算している。

目的

そこで、この発明の課題は、半導体装置の接合温度を精度よくかつ遅滞なく検知できる半導体装置の温度測定方法および半導体装置の温度測定装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

半導体スイッチング素子を所定の温度に設定し、この所定の温度になった上記半導体スイッチング素子をオン状態からターンオフさせて、このターンオフ時における所定のターンオフ特性時間を測定する特性測定を、上記温度を替えて複数回行って上記ターンオフ特性時間と上記半導体スイッチング素子の温度との関係特性を予め測定する第1の工程と、上記半導体スイッチング素子をオン状態からターンオフさせ、このターンオフ時の上記ターンオフ特性時間を測定する第2の工程と、上記第2の工程で測定した上記ターンオフ特性時間を、上記第1の工程で予め測定した上記関係特性に基づいて、上記半導体スイッチング素子の温度に換算する第3の工程とを備えることを特徴とする半導体装置温度測定方法

請求項2

請求項1に記載の半導体装置の温度測定方法において、上記半導体スイッチング素子はバイポーラ半導体素子であることを特徴とする半導体装置の温度測定方法。

請求項3

請求項1に記載の半導体装置の温度測定方法において、上記半導体スイッチング素子はGTOであり、上記ターンオフ特性時間は、ゲートターンオフ電流立ち上がり開始時刻からアノード電流減衰開始時刻までの蓄積時間であることを特徴とする半導体装置の温度測定方法。

請求項4

請求項1に記載の半導体装置の温度測定方法において、上記半導体スイッチング素子はGTOであり、上記ターンオフ特性時間は、アノード-カソード間電圧立ち上がり時間であることを特徴とする半導体装置の温度測定方法。

請求項5

請求項1に記載の半導体装置の温度測定方法において、上記半導体スイッチング素子はGTOであり、上記ターンオフ特性時間は、アノード電流の減衰時間であることを特徴とする半導体装置の温度測定方法。

請求項6

請求項3乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置の温度測定方法において、上記半導体スイッチング素子は、SiCGTOであることを特徴とする半導体装置の温度測定方法。

請求項7

請求項3乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置の温度測定方法において、上記半導体スイッチング素子は、GaNGTOであることを特徴とする半導体装置の温度測定方法。

請求項8

請求項3乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置の温度測定方法において、上記半導体スイッチング素子は、ダイヤモンドGTOであることを特徴とする半導体装置の温度測定方法。

請求項9

請求項1に記載の半導体装置の温度測定方法を用いて半導体装置の温度を測定する測定装置であって、半導体スイッチング素子の出力端子間に直流電圧印加する直流電源と、上記半導体スイッチング素子の制御端子制御信号を入力して、上記半導体スイッチング素子をターンオン,ターンオフさせる制御回路と、上記半導体スイッチング素子のターンオフ波形計測する波形計測部と、上記波形計測部が計測したターンオフ波形に基づいて所定のターンオフ特性時間を演算する波形演算部と、予め測定された上記半導体スイッチング素子のターンオフ特性時間と上記半導体スイッチング素子の温度との関係特性を表すデータが格納されていると共に上記波形演算部から入力された上記ターンオフ特性時間に対応する上記半導体スイッチング素子の温度を上記関係特性から求める温度算出部とを備えることを特徴とする半導体装置の温度測定装置

請求項10

請求項9に記載の半導体装置の温度測定装置において、上記波形計測部は、上記半導体スイッチング素子の出力端子間に流れる電流を測定する出力電流測定部と、上記制御端子に流れる電流を測定する制御電流測定部と、上記制御端子の電圧を測定する制御電圧測定部と、上記出力端子間の電圧を測定する出力電圧測定部のうちの少なくともいずれか1つを有することを特徴とする半導体装置の温度測定装置。

請求項11

請求項1に記載の半導体装置の温度測定方法を用いて半導体装置の熱抵抗を測定する方法であって、上記第1の工程によって、半導体スイッチング素子のターンオフ特性時間と上記半導体スイッチング素子の温度との関係特性を予め測定する第1の測定工程と、上記半導体スイッチング素子の第1の温度を測定し、次に、上記半導体スイッチング素子をオンさせ、このオンさせてから所定時間が経過してから、上記半導体スイッチング素子をターンオフさせ、上記第2、第3の工程によって、上記半導体スイッチング素子の第2の温度を測定する第2の測定工程と、上記第2の温度から上記第1の温度を減算した値を、上記所定時間での上記半導体スイッチング素子の発熱量で除算した値を熱抵抗として算出することを特徴とする半導体装置の熱抵抗測定方法

請求項12

請求項11に記載の半導体装置の熱抵抗測定方法を用いて半導体装置の熱抵抗を測定する装置であって、半導体スイッチング素子の出力端子間に負荷を介して直流電圧を印加する直流電源と、上記半導体スイッチング素子の制御端子にオン制御信号を入力して、上記半導体スイッチング素子をオフ状態からオンさせ、この半導体スイッチング素子がオンしてから所定時間が経過した後に、上記制御端子にオフ制御信号を入力して、上記半導体スイッチング素子をターンオフさせる制御回路と、上記半導体スイッチング素子の上記ターンオフの波形を計測する波形計測部と、上記波形計測部が計測した上記ターンオフの波形に基づいて所定のターンオフ特性時間を演算する波形演算部と、予め測定された上記半導体スイッチング素子のターンオフ特性時間と上記半導体スイッチング素子の温度との関係特性を表すデータが格納されていると共に上記波形演算部から入力された上記所定のターンオフ特性時間に対応する上記半導体スイッチング素子の温度を上記関係特性から求める温度算出部と、上記温度算出部が求めた上記半導体スイッチング素子の温度から、上記制御回路でオンされる前の上記半導体スイッチング素子の温度を減算した値を、上記所定時間に上記半導体スイッチング素子が発熱した発熱量で除算した値を熱抵抗として算出する熱抵抗算出部とを備えたことを特徴とする半導体装置の熱抵抗測定装置

請求項13

請求項11に記載の半導体装置の熱抵抗測定方法で測定した熱抵抗に基づいて、半導体装置の劣化状況を評価する半導体装置の劣化状況評価方法

技術分野

0001

この発明は、例えば、GTO(ゲートターンオフサイリスタ)等の半導体スイッチング素子温度測定方法および温度測定装置に関する。

背景技術

0002

従来、半導体装置接合部の温度を測定する方法としては、半導体装置の接合部に熱電対などの感熱素子を直接に接触させて接合部の温度を測定する方法がある。また、もう1つの測定方法としては、図11に示すような半導体装置の所定電流に対するオン電圧温度依存性をあらかじめ調べておき、このオン電圧の値により半導体装置の接合温度間接的に求める方法が用いられている。

0003

また、従来、インバータに組み込まれている半導体装置の点検は、インバータの定期点検時ダイオードや半導体スイッチング素子の各端子間抵抗値を測定することにより行われている。この半導体装置の抵抗値を測定することにより、この半導体装置の異常の有無が判定され、この異常の有無の判定に基づいて、半導体装置の交換等の適当な処置がなされてきた。

0004

ところで、前者の半導体装置の接合部に熱電対などの感熱素子を直接接触させて接合部の温度を測定する方法では、被供試体としての半導体装置のパッケージ開封し、感熱素子を取り付ける必要がある。この感熱素子の取り付けに起因して、通電状態での接合部の温度の計測電気的絶縁制約となったり、さらには感熱素子が吸熱源となって半導体装置の接合部の温度計測誤差が生じる等の欠点があった。また、接合部の実際の温度上昇速度に感熱素子による温度検出が追い付かないため、感熱素子で検出した接合温度を半導体装置の加熱保護などに利用できないという問題がある。

0005

また、後者のオン電圧の温度依存性を利用し、間接的に接合温度を計測する方法は、測定対象である半導体装置の構造により、本質的にオン電圧の温度依存性が無い場合には、測定が不可能であり、また、測定対象の温度変化が小さい場合には測定精度が悪くなる。このため、測定対象となる半導体装置の適用範囲が限定されていた。

0006

従来のSi半導体装置の使用限界温度の約125℃より大幅に高い温度まで使用可能であるSiC、窒化ガリウムダイヤモンドなどのワイドギャップ半導体を用いたバイポーラ半導体装置は、図12に例示するように、低温から200℃程度までは温度上昇に伴いオン電圧が徐々に低下する。

0007

しかし、図12に例示するように、これらのワイドギャップ半導体を用いたバイポーラ半導体装置のオン電圧は、接合温度が200℃以上になると、ほとんど温度依存性がなくなる。そして、この接合温度がさらに高温になると、逆にオン電圧が上昇する。このような半導体装置の場合、200℃以上の接合温度を精度よく計測することが不可能であったり、計測できたとしても精度が非常に悪くなる。

0008

また、測定対象の半導体装置が圧接構造の大電力半導体装置であり、この大電力半導体装置の接合温度をオン電圧の温度依存性を利用して求める場合、オン電圧の変化が測定対象の接合全面にわたる平均的な接合温度を十分反映しないことがある。これは、圧接構造における圧接力の変化が内部電極接触抵抗を変化させたり、オン電圧を得るための測定電流が測定対象の半導体装置の全体に均一に流れないことなどに起因して発生する。さらに、電流が瞬時に変化する場合、電流が変化することにより生ずる電圧の変化と、接合温度の変化により生ずる電圧の変化の判別が困難なため、接合温度を精度よく求められないという欠点もある。

0009

さらに、インバータの構成部品寿命は、周囲温度使用条件により大きく左右される。これらの部品劣化はある時期より急速に進むことが多く、従来のような定期点検では部品の異常を発見できず、インバータ装置故障にまで至ってしまう場合がある。インバータに組み込まれているダイオードや半導体スイッチング素子の場合は、各端子間の抵抗値をチェックするだけでは異常や故障の判定はできないことが多い。
特開平05−215809号公報
特許第3054404号公報

発明が解決しようとする課題

0010

そこで、この発明の課題は、半導体装置の接合温度を精度よくかつ遅滞なく検知できる半導体装置の温度測定方法および半導体装置の温度測定装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

上記課題を解決するため、この発明の半導体装置の温度測定方法は、半導体スイッチング素子を所定の温度に設定し、この所定の温度になった上記半導体スイッチング素子をオン状態からターンオフさせて、このターンオフ時における所定のターンオフ特性時間を測定する特性測定を、上記温度を替えて複数回行って上記ターンオフ特性時間と上記半導体スイッチング素子の温度との関係特性を予め測定する第1の工程と、
上記半導体スイッチング素子をオン状態からターンオフさせ、このターンオフ時の上記ターンオフ特性時間を測定する第2の工程と、
上記第2の工程で測定した上記ターンオフ特性時間を、上記第1の工程で予め測定した上記関係特性に基づいて、上記半導体スイッチング素子の温度に換算する第3の工程とを備えることを特徴とする。

0012

この発明の温度測定方法によれば、半導体スイッチング素子のターンオフ特性時間は温度依存性が大きいことを利用して、半導体スイッチング素子の温度を求めている。すなわち、この発明によれば、第1の工程で予め測定した上記半導体スイッチング素子のターンオフ特性時間と温度との関係特性に基づいて、第2の工程で測定したターンオフ特性時間を、上記半導体スイッチング素子の温度に換算している。したがって、この発明によれば、半導体装置の接合温度を精度よくかつ遅滞なく検知できる。

0013

また、一実施形態の半導体装置の温度測定方法では、上記半導体スイッチング素子はバイポーラ半導体素子である。
また、一実施形態の半導体装置の温度測定方法では、上記半導体スイッチング素子はGTOであり、上記ターンオフ特性時間は、ゲートターンオフ電流立ち上がり開始時刻からアノード電流減衰開始時刻までの蓄積時間である。

0014

この実施形態の半導体装置の温度測定方法によれば、半導体スイッチング素子としてのGTOの蓄積時間を測定することで、このGTOの温度(接合温度)を精度良く測定できる。

0015

また、一実施形態の半導体装置の温度測定方法では、上記半導体スイッチング素子はGTOであり、上記ターンオフ特性時間は、アノード-カソード間電圧立ち上がり時間である。

0016

この実施形態の半導体装置の温度測定方法によれば、半導体スイッチング素子としてのGTOのアノード-カソード間電圧の立ち上がり時間を測定することで、このGTOの温度(接合温度)を精度良く測定できる。

0017

また、一実施形態の半導体装置の温度測定方法では、上記半導体スイッチング素子はGTOであり、上記ターンオフ特性時間は、アノード電流の減衰時間である。

0018

この実施形態の半導体装置の温度測定方法によれば、半導体スイッチング素子としてのGTOのアノード電流の減衰時間を測定することで、このGTOの温度(接合温度)を精度良く測定できる。
また、一実施形態の半導体装置の温度測定方法では、上記半導体スイッチング素子は、SiC GTOである。特に、SiC GTOのターンオフ特性は接合温度依存性が大きいことが実験で判明した。
また、一実施形態の半導体装置の温度測定方法では、上記半導体スイッチング素子は、GaN GTOである。
また、一実施形態の半導体装置の温度測定方法では、上記半導体スイッチング素子は、ダイヤモンドGTOである。

0019

また、一実施形態の半導体装置の温度測定装置は、上記半導体装置の温度測定方法を用いて半導体装置の温度を測定する測定装置であって、
半導体スイッチング素子の出力端子間に直流電圧印加する直流電源と、
上記半導体スイッチング素子の制御端子制御信号を入力して、上記半導体スイッチング素子をターンオン,ターンオフさせる制御回路と、
上記半導体スイッチング素子のターンオフ波形を計測する波形計測部と、
上記波形計測部が計測したターンオフ波形に基づいて所定のターンオフ特性時間を演算する波形演算部と、
予め測定された上記半導体スイッチング素子のターンオフ特性時間と上記半導体スイッチング素子の温度との関係特性を表すデータが格納されていると共に上記波形演算部から入力された上記ターンオフ特性時間に対応する上記半導体スイッチング素子の温度を上記関係特性から求める温度算出部とを備える。

0020

この実施形態の半導体装置の温度測定装置によれば、制御回路によって半導体スイッチング素子をターンオフさせ、波形計測部で上記ターンオフ波形を計測し、波形演算部で上記ターンオフ波形からターンオフ特性時間を演算する。そして、温度算出部は波形演算部から入力された上記ターンオフ特性時間に対応する上記半導体スイッチング素子の温度を予め測定されたターンオフ特性時間と温度との関係特性から求める。したがって、この実施形態によれば、半導体装置の接合温度を精度よくかつ遅滞なく検知できる。

0021

また、一実施形態の半導体装置の温度測定装置では、上記波形計測部は、上記半導体スイッチング素子の出力端子間に流れる電流を測定する出力電流測定部と、上記制御端子に流れる電流を測定する制御電流測定部と、上記制御端子の電圧を測定する制御電圧測定部と、上記出力端子間の電圧を測定する出力電圧測定部のうちの少なくともいずれか1つを有する。

0022

この実施形態の半導体装置の温度測定装置によれば、波形計測部としての出力電流測定部、制御電流測定部、制御電圧測定部、出力電圧測定部によって、出力電流、制御電流、制御電圧、出力電圧のターンオフ波形を計測できる。

0023

また、一実施形態の半導体装置の熱抵抗測定方法は、上記半導体装置の温度測定方法を用いて半導体装置の熱抵抗を測定する方法であって、
上記第1の工程によって、半導体スイッチング素子のターンオフ特性時間と上記半導体スイッチング素子の温度との関係特性を予め測定する第1の測定工程と、
上記半導体スイッチング素子の第1の温度を測定し、次に、上記半導体スイッチング素子をオンさせ、このオンさせてから所定時間が経過してから、上記半導体スイッチング素子をターンオフさせ、上記第2、第3の工程によって、上記半導体スイッチング素子の第2の温度を測定する第2の測定工程と、
上記第2の温度から上記第1の温度を減算した値を、上記所定時間での上記半導体スイッチング素子の発熱量で除算した値を熱抵抗として算出する。

0024

この実施形態の半導体装置の熱抵抗測定方法によれば、第2の測定工程でのオン期間中の損失(発熱量)と第1の温度から第2の温度への温度上昇幅から熱抵抗を導出でき、高温(例えばワイドギャップ半導体では200℃以上)においても熱抵抗を高い精度で検出できる。なお、第2の測定工程での第1の温度の測定は、一例として、接触温度計で測定してもよく、この発明の半導体装置の温度測定方法の上記第2、第3の工程によって、測定することも可能である。

0025

また、一実施形態の半導体装置の熱抵抗測定装置は、上記熱抵抗測定方法を用いて半導体装置の熱抵抗を測定する装置であって、半導体スイッチング素子の出力端子間に負荷を介して直流電圧を印加する直流電源と、
上記半導体スイッチング素子の制御端子にオン制御信号を入力して、上記半導体スイッチング素子をオフ状態からオンさせ、この半導体スイッチング素子がオンしてから所定時間が経過した後に、上記制御端子にオフ制御信号を入力して、上記半導体スイッチング素子をターンオフさせる制御回路と、
上記半導体スイッチング素子の上記ターンオフの波形を計測する波形計測部と、
上記波形計測部が計測した上記ターンオフの波形に基づいて所定のターンオフ特性時間を演算する波形演算部と、
予め測定された上記半導体スイッチング素子のターンオフ特性時間と上記半導体スイッチング素子の温度との関係特性を表すデータが格納されていると共に上記波形演算部から入力された上記所定のターンオフ特性時間に対応する上記半導体スイッチング素子の温度を上記関係特性から求める温度算出部と、
上記温度算出部が求めた上記半導体スイッチング素子の温度から、上記制御回路でオンされる前の上記半導体スイッチング素子の温度を減算した値を、上記所定時間に上記半導体スイッチング素子が発熱した発熱量で除算した値を熱抵抗として算出する熱抵抗算出部とを備えた。

0026

この実施形態の熱抵抗測定装置によれば、制御回路によって、半導体スイッチング素子を、オフ状態から、順に、オン、ターンオフさせ、波形計測部で上記ターンオフの波形を計測する。波形演算部は、上記ターンオフの波形に基づいて所定のターンオフ特性時間を演算し、温度算出部は、上記ターンオフ特性時間から上記半導体スイッチング素子の温度を求める。そして、熱抵抗算出部は、上記温度算出部が求めた上記半導体スイッチング素子の温度から上記制御回路でオンされる前の上記半導体スイッチング素子の温度を減算した値を、上記所定時間に上記半導体スイッチング素子が発熱した発熱量で除算した値を熱抵抗として算出する。これにより、高温(例えばワイドギャップ半導体では200℃以上)においても半導体スイッチング素子の熱抵抗を高精度で検出できる。

0027

また、一実施形態の半導体装置の劣化状況評価方法は、上記熱抵抗測定方法で測定した熱抵抗に基づいて、半導体装置の劣化状況を評価することができる。

発明の効果

0028

この発明の半導体装置の温度測定方法によれば、半導体スイッチング素子のターンオフ特性時間は温度依存性が大きいことを利用して、半導体スイッチング素子の温度を求めている。すなわち、この発明によれば、第1の工程で予め測定したターンオフ特性時間と温度との関係特性に基づいて、第2の工程で測定したターンオフ特性時間を、半導体スイッチング素子の温度に換算している。したがって、この発明によれば、半導体装置の接合温度を精度よくかつ遅滞なく検知できる。

発明を実施するための最良の形態

0029

以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。

0030

(第1の実施の形態)
図1図3を参照して、この発明の第1実施形態としての半導体装置の温度測定方法を説明する。この第1実施形態は、半導体スイッチング素子の一例としてのSiCGTO(ゲートターンオフサイリスタ)の接合温度を遅滞なく検知する方法である。なお、図3に、GTOの構造の一例を示す。図3において、1はゲート、2はカソード、3はアノード、4はPエミッタ、5はNベース、6はPベース、7はNエミッタである。

0031

GTOは、アノード3の電位がカソード2の電位より高い状態で、ゲート1の電位をアノード3の電位より低くしてアノード3とゲート1との間に順バイアス電圧を印加すると、アノード3からゲート1にターンオン電流が流れ、さらに、アノード3からカソード2に電流が流れることにより、ターンオンしオン状態となる。

0032

このオン状態において、上記アノード3とゲート1との間に逆バイアス電圧を印加すると、カソード2からアノード3に流れる電子流、あるいはアノード3からカソード2に流れるホールがゲート1に分流され、ゲートターンオフ電流が流れ、GTOはターンオフする。

0033

図1に、上記GTOのターンオフ時の電流電圧波形を示す。図1において、Iaはアノード電流、Vakはアノード‐カソード間電圧、Igはゲートターンオフ電流である。また、図1において、tsは蓄積時間と呼ばれる。この蓄積時間tsは、ゲートターンオフ電流Igによって上記GTOがオン状態からオフ状態に切り替わる際に、ゲートターンオフ電流Igの立ち上がり開始時刻t1からアノード電流Iaの減衰開始時刻t2までの時間をいう。

0034

なお、上記ゲートターンオフ電流Igの立ち上がり開始時刻t1は、例えば、ゲートターンオフ電流Igがゲートターンオフ電流Igのピーク値の10%に達した時点とする。また、上記アノード電流Iaの減衰開始時刻t2とは、例えば、アノード電流Iaが最大値Iakから10%だけ降下した値0.9Iakになった時点とする。また、上記立ち上がり開始時刻t1としては、ゲートターンオフ電流Igがゲートターンオフ電流Igのピーク値の10%に達した時点に限らないのは勿論であり、ピーク値の10%未満(一例として、3%や5%や8%)になった時点でもよく、ピーク値の10%以上(一例として、12%や15%)になった時点でもよい。また、減衰開始時刻t2としては、アノード電流Iaが最大値Iakから10%だけ降下した値0.9Iakになった時点に限らないのは勿論であり、最大値Iakから10%を超えた値(一例として12%や15%)だけ下降した時点としてもよく、最大値Iakから10%に達しない値(一例として5%や8%)だけ下降した時点としてもよい。

0035

図2に示すように、上記蓄積時間tsは、上記GTOの接合温度に対して、大きな温度依存性がある。図2は、上記GTOの接合温度と蓄積時間tsとの関係特性を示す図である。

0036

ところで、SiCの場合、p型不純物として用いられるAlやB等は、アクセプタ準位が深く、温度が低いとその一部しかイオン化しないが、温度が上昇すると、イオン化率が上がる。GTOは、pnpn(pエミッタ、nベース、pベース、nエミッタ)の4層構造をしているので、アクセプタ準位の深い半導体を用いたGTOの場合、温度が高いとp型のホール密度が高い状態になる。GTOのpエミッタのホール密度が高くなると、オン時には、pエミッタからnベースを通ってpベースに注入されるホールが増える。その時、nエミッタからは電荷中性条件により、電子がpベースに注入されるので、pベース内のキャリアが増大する。また、温度が高くなると、小数キャリアライフタイムが長くなる。これらの影響により、温度が高くなると、pベース中余剰キャリアが多くなり、ターンオフ時の蓄積時間tsが長くなる。

0037

そこで、この実施形態では、上記GTOのターンオフ時の蓄積時間tsを計測する(第2の工程)ことで、GTOの接合温度を検知する(第3の工程)。このためには、事前に、図2の関係特性図に示すような蓄積時間tsの温度依存性を測定する(第1の工程)必要がある。

0038

この蓄積時間tsの温度依存性は、一例として、次のようにして測定する。

0039

上記GTOとこのGTOを収容するパッケージとで半導体装置を構成するが、このGTOを収容したパッケージをヒーターで加熱するか、あるいは、恒温槽内に入れて、上記GTOのパッケージの温度が所定の温度に安定するまで待つ。この温度が安定したときに、上記GTOの接合の温度も上記所定の温度に安定する。この安定した時点で、上記GTOを、所定の時間だけオンさせた後、オフさせる。このオンさせる所定の時間は、上記GTOの接合温度が上昇しない程度の短時間(例えば、10μ秒から200μ秒程度)とする。

0040

そして、上述の如く、図1に例示するような、上記オフ時のゲートターンオフ電流Igおよびアノード電流Iaの波形から、蓄積時間tsを計測する。そして、上記GTOのパッケージの異なる複数の温度において、上記蓄積時間tsの計測を行う。これにより、図2に例示されるような、GTOの蓄積時間tsと接合温度との関係特性(温度依存特性)が得られる。上記関係特性の測定が第1の工程をなす。

0041

図2に示すような蓄積時間tsの温度依存特性は、測定した蓄積時間tsをGTOの接合温度に換算する換算曲線として利用される。すなわち、蓄積時間tsはGTOの接合温度を反映している。よって、上記換算曲線を利用することで、蓄積時間tsからGTOの接合温度を時間遅れなく検知することができる。また、蓄積時間tsの温度依存性が大きいので、GTOの接合温度を精度よく測定可能である。したがって、GTOの定格決定を高い信頼性を保持して、安定に行える。さらに、GTOの断続動作試験などでは、GTOの接合温度を高精度に応答性よく測定可能である。

0042

なお、この第1実施形態では、図1に示すようなGTOの蓄積時間tsの温度依存特性を利用して、GTOの接合温度を測定したが、図1に示すGTOのアノード-カソード間電圧Vakの立ち上がり時間tvと温度との関係特性(依存特性)をGTOの接合温度の換算に利用してもよい。このアノード-カソード間電圧Vakの立ち上がり時間tvとは、例えば、電圧Vakがピーク値の10%のときから90%に達するまでの時間とする。このGTOのアノード-カソード間電圧Vakの立ち上がり時間tvと温度との関係特性(温度依存特性)の一例を、図4に示す。また、図1に示すGTOのアノード電流Iaの減衰時間tiの温度依存特性をGTOの接合温度の換算に利用してもよい。このアノード電流Iaの減衰時間tiとは、例えば、アノード電流Iaが最大値Iakの90%のときから10%まで低下するまでの時間とする。このGTOのアノード電流Iaの減衰時間tiと温度との関係特性(温度依存特性)を、図5に示す。
なお、上記アノード-カソード間電圧Vakの立ち上がり時間tvは、電圧Vakがピーク値の10%のときから90%に達するまでの時間に限らず、ピーク値の5%のときから95%に達するまでの時間や、ピーク値の15%のときから85%に達するまでの時間等の様々な範囲に設定することが可能であるのは勿論である。また、上記アノード電流Iaの減衰時間tiとは、アノード電流Iaが最大値Iakの90%のときから10%まで低下するまでの時間に限らず、ピーク値の95%のときから5%に達するまでの時間や、ピーク値の85%のときから15%に達するまでの時間等の様々な範囲に設定することが可能であるのは勿論である。

0043

また、上記蓄積時間tsは、前述の如く、ゲートターンオフ電流Igの立ち上がり時からアノード電流Iaが減少し始める時までの時間として定義したが、ゲート配線上、CT(カレントトランスフォーマ)を取り付けられない場合や、ゲート配線のインダクタンスが問題になる場合には、ゲート電圧を制御電圧測定部としてのゲート電圧測定部(図示せず)で計測することにより、蓄積時間tsを求めてもよい。例えば、ゲート逆電圧の立ち上がりから、アノード−カソード間電圧Vakが電源電圧と等しくなるまでの時間を蓄積時間と定義し、この蓄積時間の温度依存特性をGTOの接合温度の換算曲線として利用してもよい。

0044

また、上記実施形態では、半導体スイッチング素子がSiCGTOである場合を説明したが、この発明は、SiCバイポーラ半導体素子、例えば、SiC IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のターンオフ期間の各波形の温度依存性の大きな半導体スイッチング素子であれば、適用できる。また、本発明は、SiC GTOに限らず他のGTOにも適用でき、SiCバイポーラ半導体素子に限らず他のバイポーラ半導体素子にも適用できる。

0045

(第2の実施の形態)
次に、図6図8を参照して、この発明の第2実施形態としての半導体装置の温度測定装置を説明する。

0046

この接合温度測定装置30は、直流電源31と、この直流電源31と並列に接続されたコンデンサ32と、第1端子33と第2端子34と第3端子35を有する。この第1端子33と直流電源31の一端との間には、負荷リアクトル36と出力電流測定部としての第1変成器38とが直列に接続されている。また、第3端子35は直流電源31の他端に接続されている。また、負荷リアクトル36と並列に還流用ダイオード37が接続されている。

0047

また、第1端子33と第3端子35との間に出力電圧測定部としての電圧計40が接続されている。また、第1端子33にゲート回路41の一端が接続され、第2端子34にゲート回路41の他端が接続されている。このゲート回路41の他端と第2端子34との間には制御電流測定部としての第2変成器42が接続されている。

0048

一方、第1端子33には第1接続部材43が接続され、第2端子34には第2接続部材44が接続され、第3端子35には第3接続部材45が接続される。そして、この第1接続部材43は接合温度測定対象としてのSiCGTO47のカソード47aに接続され、第2接続部材44はSiC GTO47のゲート47bに接続され、第3端子35はSiC GTO47のアノード47cに接続される。上記直流電源31は、上記GTO47のアノード47c側に正の電圧が印加される方向に接続されている。

0049

また、接合温度測定装置30は、図7ブロック図に示すように、上記直流電源31、温度センサ部50、制御回路51、波形計測部52、波形記録部53、波形演算部54、温度算出部としての時間比較器55、温度表示(記録)部56を有する。温度センサ部50は、上記ゲート回路41と第1〜第3端子33〜35、第1〜第3接続部材43〜45を有している。また、波形計測部52は、上記第1変成器38と第2変成器42と電圧計40を有している。

0050

次に、図8フローチャートを参照して、この接合温度測定装置30の動作を説明する。

0051

まず、ステップS1で、直流電源31から第1端子33,第3端子35,第1接続部材43,第3接続部材45を経由して、SiCGTO47のアノード47cとカソード47aとの間に、アノード47c側が正となる直流電圧を印加する。

0052

次に、ステップS2で、制御回路51は温度センサ部50のゲート回路41を制御し、ゲート回路41から第2端子34,第2接続部材44を経由してGTO47のゲート47bにオン制御信号を入力して、GTO47をオンさせる。これにより、直流電源31から、第3端子35、GTO47、第1端子33を経由して、負荷リアクトル36に電流が流れる。

0053

その後、所定の短い時間が経過した後に、ステップS3に進み、制御回路51は、ゲート回路41を制御して、ゲート回路41からGTO47のゲート47bにオフ制御信号を入力して、GTO47をオフさせる。

0054

上記所定の短い時間とは、例えば、負荷リアクトル36に流れる電流が所定の値となるまでの時間とする。すなわち、GTO47のオン時間は、オン電流により接合温度が上昇しないような十分短い時間に設定する。なお、この負荷リアクトル36に流れる電流は、波形計測部52が有する第1変成器38を用いて検出される。

0055

次に、ステップS4に進み、上記波形計測部52は、第2変成器42によって、図1に例示されるようなゲートターンオフ電流Igを計測する。また、波形計測部52は、第1変成器38によって、図1に例示されるような出力電流であるアノード電流Iaを計測する。また、波形計測部52は、電圧計40によって、図1に例示されるような出力電圧であるアノード-カソード間電圧Vakを計測する。なお、このとき、ゲート回路41でゲート電圧を計測してもよい。

0056

波形計測部52が計測したゲートターンオフ電流Ig,アノード電流Ia,アノード-カソード間電圧Vakは、波形記録部53に入力され、ゲートターンオフ電流Igの波形,アノード電流Iaのターンオフ波形,アノード-カソード間電圧Vakのターンオフ波形が記録される。そして、この波形記録部53が記録したターンオフ波形は、波形演算部54に入力される。

0057

この波形演算部54は、波形記録部53から入力されたゲートターンオフ電流Igの波形とアノード電流Iaのターンオフ波形とに基づいて、前述の第1実施形態で説明した蓄積時間tsを演算して、時間比較器55に入力する。この時間比較器55には、図2に例示する蓄積時間tsとGTO47の接合温度との関係特性を表すデータが予め格納されている。なお、この蓄積時間tsと接合温度との関係特性(温度依存特性)は、前述の第1実施形態で述べたのと同様にして、事前に測定される。

0058

また、この波形演算部54は、波形記録部53から入力されたアノード-カソード間電圧Vakのターンオフ波形から、前述の第1実施形態で述べたアノード-カソード間電圧Vakの立ち上がり時間tvを演算して、時間比較器55に入力する。この時間比較器55には、図4に例示する電圧立上がり時間tvとGTO47の接合温度との関係特性を表すデータが予め格納されている。なお、この電圧立ち上がり時間tvと接合温度との関係特性は、蓄積時間tsと接合温度との関係特性と同様、事前に測定される。

0059

また、この波形演算部54は、波形記録部53から入力されたアノード電流Iaの波形から、前述の第1実施形態で述べたアノード電流Iaの減衰時間tiを演算して、時間比較器55に入力する。この時間比較器55には、図5に例示する電流減衰時間tiとGTO47の接合温度との関係特性を表すデータが予め格納されている。なお、この電流減衰時間tiとGTO47の接合温度との関係特性は、蓄積時間tsと接合温度との関係特性と同様、事前に測定される。

0060

次に、ステップS5に進み、時間比較器55は、波形演算部54から入力された蓄積時間tsと、上記蓄積時間と接合温度との関係特性を表すデータとを比較し、入力された蓄積時間tsに対応する接合温度を表す第1データを温度表示(記録)部56に入力する。

0061

また、時間比較器55は、波形演算部54から入力された立ち上がり時間tvと、上記電圧立ち上がり時間tvとGTO47の接合温度との関係特性を表すデータとを比較し、入力された立ち上がり時間tvに対応する接合温度を表す第2データを温度表示(記録)部56に入力する。

0062

また、時間比較器55は、波形演算部54から入力されたアノード電流Iaの減衰時間tiと、電流減衰時間tiとGTO47の接合温度との関係特性を表すデータとを比較し、入力されたアノード電流Iaの減衰時間tiに対応する接合温度を表す第3データを温度表示(記録)部56に入力する。

0063

これにより、温度表示(記録)部56は、上記接合温度を表す第1〜第3データに応じた温度を表示し記録する。例えば、この温度表示(記録)部56は、上記3つのデータのうちの1つを選択して、選択したデータの温度を表示してもよいし、3つのデータの温度の平均値を表示してもよい。また、3つのデータの温度をそのまま表示してもよい。

0064

なお、この実施形態では、上記蓄積時間ts、電圧立ち上がり時間tv、電流減衰時間ti、という接合温度に対して比較的強い相関がある3つの時間を用いたが、これらのうちの1つまたは2つを選択して接合温度を求めてもよい。さらには、ゲート回路41で計測したゲート逆電圧の立ち上がり時点からアノード−カソード間電圧Vakが直流電源31の電源電圧と等しくなるまでの時間と接合温度との関係特性を利用して、接合温度を求めてもよい。また、この実施形態では、負荷としてリアクトル36を用いたが、リアクトル36に替えて、抵抗、もしくはリアクトルと抵抗との直列体などを負荷としてもかまわない。また、この実施形態では、ゲート回路41として、チョッパ回路を用いたが、SiCGTOに通電し、遮断させる回路であれば、チョッパ回路以外でも適用可能である。

0065

(第3の実施の形態)
次に、この発明の第3の実施の形態としての半導体装置の熱抵抗測定方法を説明する。この第3実施形態の熱抵抗測定方法は、上述した第1実施形態の接合温度測定方法を利用している。

0066

この第3実施形態では、まず、図9のステップS11に示すように、第1実施形態で述べたのと同様にして、熱抵抗を測定する対象となる半導体スイッチング素子の一例としてのSiCGTO(ゲートターンオフサイリスタ)について、図1に例示した各ターンオフ波形(ゲートターンオフ電流Ig,アノード電流Ia,アノード-カソード間電圧Vak)から、図2,図4,図5に例示した蓄積時間tsと接合温度との関係特性,電圧立ち上がり時間tvと接合温度との関係特性,電流減衰時間tiと接合温度との関係特性を求める。

0067

次に、ステップS12に進み、まず、上記GTOの接合温度を測定し、この測定した接合温度を第1の接合温度T1とする。この接合温度の測定は、一例として、接触温度計で測定してもよく、前述の第1実施形態の温度測定方法で測定してもよい。
次に、図10の波形図に示すように、GTOのゲートに、ゲート信号としてオン制御信号を入力して上記GTOをオンさせる。このオンしてから一定期間t10が経過してから、上記GTOのゲートに、ゲート信号としてオフ制御信号を入力して上記GTOをオン状態からオフさせる。このGTOのターンオフ時のターンオフ波形(ゲートターンオフ電流Ig,アノード電流Ia,アノード-カソード間電圧Vak)から、第1実施形態と同様の方法で、上記GTOの接合温度を測定し、この測定した接合温度を第2の接合温度T2とする。

0068

上記オンの一定期間t10に、上記GTOに加わるアノード-カソード間電圧Vakによって上記GTOの接合温度が(T2−T1=ΔT)だけ上昇する。上記期間t10での接合温度の上昇幅ΔTを、上記期間t10でのGTOの発熱量Qを除算した値(ΔT/Q)が熱抵抗である。

0069

なお、上記GTOの発熱量Qは、オン期間t10(秒)と、オン期間t10のアノード-カソード間電圧Vakon(V)と、オン期間t10のアノード電流Iak(A)とから算出される。つまり、発熱量Q(J)=Vakon×Iak×t10となる。

0070

上述の如く、半導体スイッチング素子の一例としてのGTOのターンオフ波形における蓄積時間ts,電圧立ち上がり時間tv,電流減衰時間tiが接合温度に対して依存性が大きい。したがって、この実施形態の熱抵抗測定方法によれば、従来のオン電圧の温度依存性を利用して求めた接合温度で熱抵抗を算出する場合に比べて、GTOの熱抵抗を高い精度で測定できる。また、オン電圧の温度依存性がほとんどない高温においても熱抵抗を測定できる。さらに、上記蓄積時間ts(電圧立ち上がり時間tv,電流減衰時間ti)は、GTOの接合温度を反映しているので、接合温度を時間的な遅れ無く測定することが可能であり、過渡的な熱抵抗を精度よく測定できる。なお、ターンオフ特性時間としては、蓄積時間ts,電圧立ち上がり時間tv,電流減衰時間tiの3つの時間うちのいずれか1つを用いてもよく、各特性時間から3つの温度を求めて平均をとってもよい。

0071

(第4の実施の形態)
次に、この発明の第4実施形態としての熱抵抗測定装置を説明する。この第4実施形態の熱抵抗測定装置は、前述の第3実施形態の熱抵抗測定方法を利用している。また、この第4実施形態の熱抵抗測定装置は、前述の第2実施形態の接合温度測定装置30において、負荷リアクトル36に替えて抵抗とした回路を有する。また、この第4実施形態は、GTOをオンさせる時間を、前述の第2実施形態の接合温度測定装置30よりも長くし、第3実施形態でのオン期間t10としている。このオン期間t10に、GTOを発熱させ、接合温度を上昇させる。

0072

この実施形態の熱抵抗測定装置では、上記期間t10での接合温度の上昇幅ΔTと、上記期間t10でのGTOの発熱量Qとから、上記GTOの熱抵抗(ΔT/Q)を算出し、この算出して熱抵抗を表示部に表示する。

0073

この実施形態の熱抵抗測定装置によれば、従来のオン電圧の温度依存性から熱抵抗を算出する装置に比べ、精度よく熱抵抗を計測できる。また、オン電圧の温度依存性のほとんどない高温においても熱抵抗を測定できる。

0074

(第5の実施の形態)
次に、この発明の第5実施形態としての半導体装置の劣化状況評価方法を説明する。この第5実施形態は、前述の第3実施形態の熱抵抗測定方法を利用している。つまり、この第5実施形態は、前述の第3実施形態の熱抵抗測定方法によって、測定したGTOの熱抵抗の値によって、このGTOの不良もしくは劣化状況を評価する。

0075

GTOをなす半導体チップとパッケージとで半導体装置を構成するが、このGTOをなす半導体チップとパッケージとの密着性が悪い場合には、上記半導体装置に通電すると、GTOの接合温度が上昇し易く、蓄積時間tsが長くなる。したがって、熱抵抗が大きくなる。また、長期間の使用により、半導体チップとパッケージとの密着性が悪くなり、一部剥離などが発生した場合にも、同様に、接合温度が上昇し易くなり、蓄積時間tsが長くなり、熱抵抗が大きくなる。

0076

また、半導体チップとパッケージとの密着性に問題がない場合にも、蓄積時間tsが短くなる場合がある。この場合は、半導体チップ内部の欠陥が増え、少数キャリアのライフタイムが短くなった場合である。この場合、蓄積時間tsが初期値より短くなる。この場合には、前述の第3実施形態の熱抵抗測定方法において、蓄積時間tsの温度依存曲線(図2)として欠陥の少ない初期の温度依存曲線を用いると、測定した接合温度は実際の接合温度よりも低くなる。このため、測定した接合温度から算出した熱抵抗は、初期の熱抵抗よりも小さくなる。つまり、測定した接合温度から算出した熱抵抗の値が、初期に測定した接合温度から算出した熱抵抗の値から減少した減少幅によって、半導体チップ(GTO)の劣化の度合いを評価することができる。

0077

また、この実施形態の劣化状況評価方法では、半導体装置の主電極間(つまりアノード-カソード間)に電圧を印加し、主電極に流れ込む電流(つまりアノード電流Ia)および主電極間の電圧(つまりアノード-カソード間電圧Vak)およびそのゲート電流あるいはゲート電圧を計測することにより、半導体装置の劣化状況を把握可能である。よって、半導体装置をスタックから取り外す必要がなく、定期点検の工期を短くできる。また、半導体装置をスタックから取り外すことなく劣化の進行を把握でき、半導体スイッチング素子が破壊する前に、半導体スイッチング素子を交換して、突発事故を未然に防止できる。かつ、素子劣化の進行を事前に把握し、必要以上に素子の交換を行わないようにすることができ、コスト低減できる。

0078

なお、上記第1〜第5実施形態では、半導体スイッチング素子がSiCGTOである場合を説明したが、この発明は、SiCバイポーラ半導体素子、例えば、SiC IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のターンオフ期間の各波形の温度依存性の大きな半導体スイッチング素子であれば、適用できる。また、上記第1〜第5実施形態では、ワイドギャップ半導体としてSiCを取り上げたが、窒化ガリウム、ダイヤモンドなどのワイドギャップ半導体についても同様に適用可能である。すなわち、この発明は、SiC GTOに限らずGaN GTOやダイヤモンド GTO等の他のGTOにも適用でき、SiCバイポーラ半導体素子に限らず他のバイポーラ半導体素子にも適用できる。

図面の簡単な説明

0079

この発明の第1実施形態で説明するSiCGTOのターンオフ波形を示す波形図である。
上記第1実施形態で説明する上記SiC GTOのターンオフ特性時間としての蓄積時間と接合温度との関係を示す特性図である。
上記SiC GTOの構造を模式的に示す図である。
上記SiC GTOのアノード-カソード間電圧Vakの立ち上がり時間tvと温度との関係特性の一例を示す図である。
上記SiC GTOのアノード電流Iaの減衰時間tiと温度との関係特性の一例を示す図である。
この発明の第2実施形態としての半導体装置の温度測定装置を示す回路図である。
上記第2実施形態の信号処理系統を示すブロック図である。
上記第2実施形態の動作を説明するフローチャートである。
この発明の第3実施形態としての半導体装置の熱抵抗測定方法を説明する工程図である。
上記第3実施形態を説明する波形図である。
従来例で利用する半導体装置のオン電圧と接合温度との関係を示す図である。
ワイドギャップ半導体を用いたバイポーラ半導体装置のオン電圧と接合温度との関係を示す図である。

符号の説明

0080

1ゲート
2カソード
3アノード
4 Pエミッタ
5 Nベース
6 Pベース
7 Nエミッタ
Iaアノード電流
Vak アノード-カソード間電圧
Igゲートターンオフ電流
ts蓄積時間
t1立ち上がり開始時刻
t2減衰開始時刻
30接合温度測定装置
31直流電源
32コンデンサ
33 第1端子
34 第2端子
35 第3端子
36負荷リアクトル
37還流用ダイオード
38 第1変成器
40電圧計
41ゲート回路
47 SiCGTO
47a カソード
47b ゲート
47c アノード
50温度センサ部
51制御回路
52波形計測部
53波形記録部
54波形演算部
55時間比較器
56温度表示(記録)部

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