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課題
解決手段
少なくとも屋根若しくは外壁とその下地材の間にアモルファスシリカを基材とした塗装型の輻射熱遮蔽膜を施すとともに、建屋に装着してなる窓ガラスをガラス基材とその建屋内部側の表面に被覆された赤外線断熱透明コーティング層とから構成し、前記屋根・外壁・窓を通じて断熱処理を総合的に行って建屋外部と内部との伝熱遮断を図る。前記建屋に設置された空調機を制御するコントローラを設けてなり、このコントローラによりデマンド電力を監視し、当該デマンド電力の超過予測に基づいて前記空調機の圧縮機の制御を行って使用電力を調整し、また、前記建屋内の電気機器に電力を供給するトランスを備え、当該トランスのコアをアモルファス合金または高効率珪素鋼により形成して省エネルギ化を図る。
概要
背景
概要
総合的かつ効率的に建築物の断熱をり、低コスト化と同時に省エネ効果を得ることのできる建築物の省エネシステムを提供する。 少なくとも屋根若しくは外壁とその下地材の間にアモルファスシリカを基材とした塗装型の輻射熱遮蔽膜を施すとともに、建屋に装着してなる窓ガラスをガラス基材とその建屋内部側の表面に被覆された赤外線断熱透明コーティング層とから構成し、前記屋根・外壁・窓を通じて断熱処理を総合的に行って建屋外部と内部との伝熱遮断をる。前記建屋に設置された空調機を制御するコントローラを設けてなり、このコントローラによりデマンド電力を監視し、当該デマンド電力の超過予測に基づいて前記空調機の圧縮機の制御を行って使用電力を調整し、また、前記建屋内の電気機器に電力を供給するトランスを備え、当該トランスのコアをアモルファス合金または高効率珪素鋼により形成して省エネルギ化をる。
目的
このような従来の断熱工法によっても、建材そのものが膨張、伸縮して劣化して、雨漏りの原因となることは防げず、また、従来の断熱材が空気層による断熱であることから、内部結露による断熱性能の低下が著しく、見えない部分で内存された水により構造物の腐食を生じるなどの問題があった。
本発明の目的は前記従来技術の欠点を改善し、総合的かつ効率的に建築物の断熱を図り、低コスト化と同時に省エネ効果を得ることのできる建築物の省エネシステムを提供することを目的としている。
効果
実績
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この技術が所属する分野
請求項1
少なくとも屋根若しくは外壁とその下地材の間にアモルファスシリカを基材とした塗装型の輻射熱遮蔽膜を施すとともに、建屋に装着してなる窓ガラスをガラス基材とその建屋内外部側の表面に被覆された赤外線断熱透明コーティング層とから構成し、前記屋根・外壁・窓を通じて断熱処理を総合的に行って建屋外部と内部との伝熱遮断を図ってなることを特徴とする建築物の省エネシステム。
請求項2
前記建屋に設置された空調機を制御するコントローラを設けてなり、このコントローラによりデマンド電力を監視し、当該デマンド電力の超過予測に基づいて前記空調機の圧縮機の制御を行って使用電力を調整することを特徴とする請求項1記載の建築物の省エネシステム。
請求項3
技術分野
背景技術
0002
一般家屋やビルあるいは工場建屋などの建築物では、その建築施工に際して断熱工法を採用し、屋根や構造壁、あるいは仕切り壁などに断熱材を配置し、仕切られた部屋の断熱を施し、冷房や暖房などの際の熱効率が低減しないように調整されている。断熱のための手段としては、一般的には壁内部や天井裏にグラスウールなどの集合繊維やウレタンなどの発泡剤を配置、充填することにより行われている(特許文献1,2)。また、窓ガラスを二重ガラス構造にして空気断熱を図ることも行われている。
特開平11−71835号公報
特開2000−212475号公報
発明が解決しようとする課題
0003
ところが従来の工法によれば、断熱材を配備することに多大の時間を必要とするとともに、建屋の解体に際して、断熱材が産業廃棄物になってしまうという問題があった。また、外装材と内装材の間に厚みのある断熱材を設け、あるいは空気層を介在して複数枚積層させることにより、大きな設置スペースが必要となってしまう問題もあった。更に、高い断熱効果を得るためには断熱材の厚みや量を多く必要とした。
0004
また、建築物の外装材表面は、外部の気象条件の変化によって外表面が熱せられたり、冷やされたりする。これにより、外装材の面は熱変化によって膨張、収縮することがある。また、断熱層は放熱作用がなく蓄熱されるため、この畜熱に伴い内装側に熱が伝搬し、これにより、内装材に伝熱される結果、室内気温を上昇させる原因となっていた。逆に、内装材が冷却された場合は、内装材表面に結露が発生したり、伝熱によって室内気温を低下させる原因ともなっていた。
0005
このような従来の断熱工法によっても、建材そのものが膨張、伸縮して劣化して、雨漏りの原因となることは防げず、また、従来の断熱材が空気層による断熱であることから、内部結露による断熱性能の低下が著しく、見えない部分で内存された水により構造物の腐食を生じるなどの問題があった。
本発明の目的は前記従来技術の欠点を改善し、総合的かつ効率的に建築物の断熱を図り、低コスト化と同時に省エネ効果を得ることのできる建築物の省エネシステムを提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
0006
上記目的を達成するために、本発明に係る建築物の省エネシステムは、少なくとも屋根若しくは外壁とその下地材の間にアモルファスシリカを基材とした塗装型の輻射熱遮蔽膜を施すとともに、建屋に装着してなる窓ガラスをガラス基材とその建屋内外部側の表面に被覆された赤外線断熱コーティング層とから構成し、前記屋根・外壁・窓を通じて断熱処理を総合的に行って建屋外部と内部との伝熱低減を図ってなることを特徴とするものである。
0007
また、上記構成において、前記建屋に設置された空調機を制御するコントローラを設けてなり、このコントローラによりデマンド電力を監視し、当該デマンド電力の超過予測に基づいて前記空調機の圧縮機の制御を行って使用電力を調整するようにすればよい。更に、前記建屋内の電気機器に電力を供給するトランスを備え、当該トランスのコアをアモルファス合金または高効率珪素鋼により形成することが望ましい。
発明の効果
0008
上記構成による本発明にかかる建築物の省エネシステムによれば、少なくとも屋根若しくは外壁とその下地材の間にアモルファスシリカを基材とした塗装型の輻射熱遮蔽膜を施しているので熱を99%以上も効果的に反射し、屋根や外壁、ダクト、配管、装置あるいは仕切り壁で仕切られた内外空間の間で熱交換するようなことがなくなり、熱収支が改善する。また、建屋に装着してなる窓ガラスをガラス基材とその建屋内部側の表面に被覆された赤外線断熱透明コーティング層とから構成しているので、視認性を阻害することなく、窓から透過してくる赤外線による熱を効率的に遮断することができる。これにより建屋の内部の部屋は確実に断熱され、同時に無駄に熱を外部に逃がすことがなくなる。したがって、建屋内部の熱管理が有効に行われ、省エネでありながら低コストの建築物とすることが出来る。
0009
前記建屋に設置された空調機を制御するコントローラを設け、このコントローラによりデマンド電力を監視し、当該デマンド電力の超過予測に基づいて前記空調機の圧縮機の制御を行って使用電力を調整する構成とすることにより、電力過剰消費が改善される。
0010
前記建屋内の電気機器に電力を供給するトランスを備え、当該トランスのコアをアモルファス合金または高効率珪素鋼により形成した構成とすることにより、コアロスが低減されると同時に鉄損だけでなく巻線構造の改良により銅損も低減して省エネ効果を高めることができるものとなっている。
発明を実施するための最良の形態
0011
以下、本発明に係る建築物の省エネシステムの具体的実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る省エネシステムが施された建築物の構成概略図である。図に示しているように、実施形態に係る建築物の省エネシステムは、屋根および外壁と、その下地材の間にアモルファスシリカを基材とした塗装型の輻射熱遮蔽膜を施しており、同時に、建屋に装着してなる窓ガラスをガラス基材とその建屋内部側の表面に被覆された赤外線断熱透明コーティング層とから構成している。これによって、前記屋根・外壁・窓を通じて断熱処理を総合的に行って建屋外部と内部との伝熱遮断を図っているのである。
0012
更に、当該実施形態に係る建築物の省エネシステムでは、前記建屋に設置された空調機を制御するコントローラを設けてなり、このコントローラによりデマンド電力を監視し、当該デマンド電力の超過予測に基づいて前記空調機の圧縮機の制御を行って使用電力を調整するようにしている。また、前記建屋内の電気機器に電力を供給するトランスを備え、当該トランスのコアをアモルファス合金または高効率珪素鋼により形成してなるものである。
0013
まず、図1に示すように、実施形態に係る省エネシステムが施された建築物10は、一般的な建築物と同様に、基礎上に間隔をおいて柱あるいは間柱を建て付け、これに壁面を形成するとともに、屋根を取り付けた構成となっている。屋根12や外壁14は内側の内装材と外側の外装材とならなり、特に外装材は下地材の上に取り付けられて外気との遮断を図るようにしている。また、外壁14に形成される窓には窓ガラス16が嵌め込まれ、採光と同時に外気遮断できるように構成されている。
0014
このような建築物10において、実施形態では、屋根12や外壁14における外装材とその下地材の間にアモルファスシリカを基材とした塗装型の輻射熱遮蔽膜を施して構成されている。具体的には、図2に示すように、外壁14は、室内側の内装材18の外表面には外装下地材20が形成され、最外面に壁面外装材22が形成される。また、前述の柱上に形成される屋根12は、屋根下地材24が形成され、この外表面に屋根瓦などの屋根外装材26が敷設される。
0015
そして、外装下地材20と屋根下地材24の外表面にアモルファスシリカを基材とした塗装型の輻射熱遮蔽膜28を形成するようにしている。輻射熱遮蔽膜28は、輻射熱の遮蔽断熱効果のある塗装等を用いればよく、例えば、輻射熱の遮蔽効果のある塗装材として、例えば熱反射性が高く、熱伝導率性が低くかつ断熱特性を有する商品名セラミック・カバーCC100等を用いることができる。
このような輻射熱遮蔽膜28の施工は次のように行えばよい。外装下地材20及び屋根外装材26を形成した後、エアレスガンによりアモルファスシリカを基材とした輻射熱の遮蔽効果のある断熱材を吹き付け塗布する。
0016
まず、一層目を任意に設定した塗布膜の膜厚まで塗布した後、完全乾燥させる。ついで、二層目の重ね塗りを行う。このように複数回の重ね塗りを行い、膜を複数形成することにより塗布膜を厚くして境膜断熱効果を高めることが可能となる。
外装下地材20及び屋根下地材24の外表面に塗装型輻射熱遮蔽膜28を形成した後、外壁面にはタイル、板金等の屋根外装材26を形成する。また、屋根下地材24の表面には瓦等の屋根外装材26を施工する。
0017
よって、輻射熱の遮蔽断熱効果のある塗装型輻射熱遮蔽膜28は外壁14および屋根12の内側で、建屋全体を覆い、塗装型輻射熱遮蔽膜28そのものは直射日光や気象変化に直接晒されることが無いので劣化するおそれがない。また、塗装型輻射熱遮蔽膜28を設けたことによって、建築物外表面の外観上のデザインを損なうことがない。さらに、エアレスガンによる吹き付け作業によって容易に熱遮蔽膜を形成することができる。
0018
このように下地材20、24に塗装型輻射熱遮蔽膜28を形成して、その上に外装材22,26を敷設施工することにより、図3に模式的に示したように、標準的な膜厚0.35mmにおいて太陽熱や放射熱を99.61%反射してしまうので、この膜の透過熱は0.39%しかなく、より高い熱遮蔽効率があることが理解できる。図3において、塗装型輻射熱遮蔽膜28の断面が示され、アモルファスシリカ29が模式的に示している。
0019
なお、塗装型輻射熱遮蔽膜28は内装材18の外表面にエアレスガンによる吹き付け塗布による形成のほかに、あらかじめ表面に輻射熱遮蔽断熱機能を有する塗料を塗布して膜を形成したシートを製作し、これを外装下地材20及び屋根下地材24の外表面に貼り付けてもよい。塗装型輻射熱遮蔽膜28は、建築物の床と床下地材の間に形成してもよい。もちろん、一般的な塗料を塗布する場合と同様にローラ塗布などによって膜形成するようにしても良い。
0020
次に、当該実施形態に係る省エネシステムでは、建屋に装着してなる窓ガラス16を、ガラス基材30とその建屋内部側の表面に被覆された赤外線断熱透明コーティング層32とから構成している。これは図4(1)に示しているように、ガラス基材30における室内面側に赤外線断熱透明コーティング層32を塗布形成したものである。赤外線断熱透明コーティング層32としては、例えば、特開2000−160130号公報に開示されている常温硬化型断熱ガラスコーティング剤を用いることが好ましい。ガラス基材30の室内側の面に対し、スポンジバーコーティング法を用い、ガラス面の油膜やはじきを完全に取り除いた後、上述した常温硬化型断熱ガラスコーティング剤の溶液をスポンジバーに十分に染み込ませ、縦横にスポンジバーを移動させて、コーティングを施すことで施工することができる。このような赤外線断熱透明コーティング層32を施した窓ガラス16では、日射熱取得率が0.63、遮蔽係数が0.72、熱貫流率が4.6、紫外線カット率が98%、可視光線透過率が69%の結果が出ている。これにより、当該コーティングを施した窓ガラス16部分での断熱効果が高く、熱貫流率の数値からわかる通り、冬の窓から放出される熱の遮断に大きな効果があり、冷輻射が極端に少なくなり、かつ、熱線吸収による結露の防止によい効果を発揮するようになる。
0021
図4は日射熱の遮蔽性能を模式的に示した図である。図4(1)は実施形態に係る3mmクリアフロートガラスをガラス基材30として赤外線断熱透明コーティング層32を施した窓ガラス16の日射熱の遮蔽性能を示し、同図(2)はコーティング層のない3mmクリアフロートガラスの日射熱の遮蔽性能を示している。同図(3)は日射熱量を100とした場合の反射熱A、直接透過熱B、ガラスの内部吸収熱C、室外側への再放熱量D、室内側への再放熱量E、除去熱量比合計F、流入熱量比合計Gを示している。
0022
更に、当該実施形態に係る建築物の省エネシステムでは、前記建屋に設置された空調機を制御するコントローラを設け、デマンド電力を監視し、当該デマンド電力の超過予測に基づいて前記空調機の圧縮機の制御を行って使用電力を調整するようにしている。空調機が稼動する冷房時期と暖房時期ではデマンド電力がピーク値に達するが、空調機を効率よく制御することでデマンド電力を抑制することが出来る。この実施形態では、図1に示しているように、複数の空調機34が建築物10の室内に装備されているが、これらを監視するデマンドコントローラ36を設置している。このコントローラ36はデマンド監視を行いながら、デマンド監視終了時(デマンド監視開始から30分後)の使用電力を予測演算し、契約電力を超過しそうな場合に、空調機34を制御することで使用電力の調整を行うようにしている。実施形態では、空調機34の室外機の圧縮機のみのコントロールを行い、室内への送風状態は維持するように制御している。
0023
本実施形態に係る建築物の省エネシステムでは、前記建屋内の電気機器に電力を供給するトランスを備え、当該トランスのコアをアモルファス合金または高効率珪素鋼により形成したものとしている。アモルファス合金または高効率珪素鋼を用いたことにより、無負荷損を大幅に改善でき、全損失を70%低減できるものとなっている。
0024
また、本実施形態に係る建築物の省エネシステムでは、室内における空調機34の補助手段として、空調機吹出し空気の循環経路に水分イオン化クロス式空調補助装置40を配置している。このクロスとしては商品名「クロスギー」を用いることが出来る。これは空調空気を通過させることで、空気中の水分のイオンエネルギの弱電化を行い、快適湿度約30%を維持するようにしてなるものである。これにより、空調空気が温度設定よりも冷房時で−2〜3度低くなるため、+2〜3度高い温度設定でよくなる(暖房時は逆である)。したがって、設定温度を省エネ温度にすることができ、空調コストを削減することができる。
0025
なお、実施形態に係る建築物の省エネシステムでは、室内蛍光器具42の反射面に反射率95%の超高性能蛍光器具反射板44(3M社製ニューラックス)を取り付けている。これにより反射効率が高くなり、省エネシステムとして寄与する建築物となっている。
図面の簡単な説明
0027
実施形態に係る省エネシステムが適用された建築物の説明用斜視図である。
同建築物の屋根構造と外壁構造の説明図である。
同建築物の屋根構造と外壁構造に設けられた塗装型輻射熱遮蔽膜の説明図である。
同建築物の窓ガラスにおける日射熱の遮蔽性能を模式的に示した図であり、(1)は実施形態に用いられる窓ガラスの熱量分配図、(2)は一般フローガラスの熱量分配図、(3)は分配熱量の一覧表である。
符号の説明
0028
10………建築物、12………屋根、14………外壁、16………窓ガラス、18………内装材、20………外装下地材、22………壁面外装材、24………屋根下地材、26………屋根外装材、28………塗装型輻射熱遮蔽膜、30………ガラス基材、32………赤外線断熱透明コーティング層、34………空調機、36………デマンドコントローラ、38………トランス、40………水分イオン化クロス式空調補助装置、42………室内蛍光器具、44………超高性能蛍光器具反射板。