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技術 転炉排滓方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 内藤憲一郎廣川雄一奥原圭介中村哲也
出願日 2005年9月16日 (14年6ヶ月経過) 出願番号 2005-270250
公開日 2007年3月29日 (12年11ヶ月経過) 公開番号 2007-077481
状態 特許登録済
技術分野 炭素鋼又は鋳鋼の製造
主要キーワード 傾動角度θ 最大傾動角 試験水準 設備投資コスト 熟練オペレータ 原料使用量 傾動速度 押し出し力
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年3月29日)のものです。
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図面 (3)

課題

溶鉄転炉に残したまま、転炉を横転させて溶鉄の上層スラグ排滓する際に、排滓率が高く、また、迅速な排滓が可能な効率的な排滓方法を提供する。

解決手段

溶鉄を転炉内に残したまま、転炉を横転させて、溶鉄の上層のスラグを炉口から排滓する方法において、傾動角度がθ0°から少なくともθ1°に達するまでの平均傾動速度を、20°/min以上とし、かつ、θ1°からθ2°に達するまでの平均傾動速度を、θ0°からθ1°に達するまでの平均傾動速度よりも小さくすることを特徴とする転炉排滓方法。ここで、θ0°は、炉口からスラグが流出を開始する傾動角度、θ2°は、排滓時の最大傾動角度であり、θ1°は、(1)式で定義される。 θ1=0.6×(θ2−θ0)+θ0 …(1)

概要

背景

鉄鋼精錬において、脱りん処理と脱炭処理を分割し、脱炭前の溶鉄に脱りん処理を施す溶銑予備処理が広く行われている。溶銑予備処理の方式は、トーピードカーなどの輸送容器を使用する方式と、転炉を使用する方式に大別されるが、転炉を使用する方式は、処理速度、熱裕度、その他諸々の面で優位性が高いことから、近年は、溶銑予備処理の主流を占めるようになっている。

溶銑予備処理後スラグ分離除去、すなわち、排滓は、脱炭工程における復りん防止や、副原料削減の面から重要な工程であるが、転炉型溶銑予備処理後の排滓方法としては、1)溶鉄を転炉内に残したまま、転炉を横転させて、上層のスラグのみを排滓する方法(例えば、特許文献1、参照)、2)転炉の出鋼口から溶鉄を一旦別の容器出湯した後に、排滓する方法(例えば、特許文献2、参照)がある。

転炉の基数余裕がなく、同一の転炉で脱りん処理と脱炭処理を連続で実施する場合、前者の方法(=上層のスラグのみを排滓する方法)は、後者の方法(=溶鉄を一旦出湯する方法)に比べ、出湯や再装入の必要がなく、排滓作業の煩雑さが少ないため転炉の生産性を低下させない、出湯等の容器の移し替えによる放熱ロスがないため熱裕度が高い、等の利点があるが、一方、溶鉄の流出を抑制しつつスラグのみを効率良く排滓することが難しく、排滓されずに炉内に残留するスラグの量が多い、すなわち、排滓率が低い等の問題がある。

なお、ここで、排滓率とは、予備脱りん処理時に生成したスラグのうち排滓されたスラグの重量割合である。

そこで、上層のスラグのみを排滓する方法における効率的な排滓法として、種々の提案がなされており、例えば、炉腹および炉底に設けた複数個羽口からガスを吹き込んでスラグを炉口側に移動させて排滓する方法(例えば、特許文献1、参照)、酸化性ガスを吹き込んでスラグフォーミング(=スラグの泡立ち)を促進して排滓する方法(例えば、特許文献3、参照)等が提案されている。

しかし、これらの方法では、炉腹に羽口を設置するため転炉の改造が必要であること、耐火物溶損が進行した転炉では内容積の変化によりスラグ位置が変化し、羽口の位置が最適な位置から外れてくること、吹錬中の羽口閉塞を防止するために常時ガスを吹き込む必要があり、不要なガスコストが増大する等の問題がある。

また、電磁力を利用してスラグのみを選択的に排滓する方法(例えば、特許文献4、参照)が提案されているが、設備投資コストがかかること、また、高温かつ振動の激しい劣悪な環境下で整備コストが増大する等の問題がある。

その他、トーピードカーや鍋からの排滓方法として利用されている、ドラッガーと呼ばれる掻き出し板をつけた排滓装置により溶鉄上層のスラグを掻き出す方法(例えば、特許文献5、参照)等を転炉に適用することも考えられるが、転炉の容量を考えると、設備が大きくなりすぎ、現実的とは言えない。

以上のように、溶鉄を転炉内に残したまま上層のスラグのみを排滓する方式は、一旦出湯した後に排滓する方式に比べて、作業の容易さ、生産性、熱裕度の面で有利である一方、溶鉄とスラグの分離性、すなわち、排滓率の面で難がある。

さらに、一旦出湯した後に排滓する方式に比べれば、生産性が高いとはいえ、排滓には、通常数分を要しており、特に高い排滓率を狙う場合は、排滓時間が長くなる傾向がある。そこで、さらなる生産性の向上を図る上でも、迅速な排滓が可能な効率の良い方法が求められている。

特許第2582692号明細書
特許第1761646号明細書
特開平05−279721号公報
特開平05−247514公報
特開昭59−13009公報

概要

溶鉄を転炉に残したまま、転炉を横転させて溶鉄の上層のスラグを排滓する際に、排滓率が高く、また、迅速な排滓が可能な効率的な排滓方法を提供する。 溶鉄を転炉内に残したまま、転炉を横転させて、溶鉄の上層のスラグを炉口から排滓する方法において、傾動角度がθ0°から少なくともθ1°に達するまでの平均傾動速度を、20°/min以上とし、かつ、θ1°からθ2°に達するまでの平均傾動速度を、θ0°からθ1°に達するまでの平均傾動速度よりも小さくすることを特徴とする転炉排滓方法。ここで、θ0°は、炉口からスラグが流出を開始する傾動角度、θ2°は、排滓時の最大傾動角度であり、θ1°は、(1)式で定義される。 θ1=0.6×(θ2−θ0)+θ0 …(1)

目的

本発明は、溶鉄を転炉に残したまま、転炉を横転させて、溶鉄の上層のスラグを排滓する方法において、排滓率が高く、また、迅速な排滓が可能な効率的な排滓方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

溶鉄転炉内に残したまま、転炉横転させて、溶鉄の上層スラグ炉口から排滓する方法において、傾動角度がθ0°から少なくともθ1°に達するまでの平均傾動速度を、20°/min以上とし、かつ、θ1°からθ2°に達するまでの平均傾動速度を、θ0°からθ1°に達するまでの平均傾動速度よりも小さくすることを特徴とする転炉排滓方法。ここで、θ0°は、炉口からスラグが流出を開始する傾動角度、θ2°は、排滓時の最大傾動角度であり、θ1°は、(1)式で定義される。θ1=0.6×(θ2−θ0)+θ0…(1)

技術分野

0001

本発明は転炉排滓方法に関する。

背景技術

0002

鉄鋼精錬において、脱りん処理と脱炭処理を分割し、脱炭前の溶鉄に脱りん処理を施す溶銑予備処理が広く行われている。溶銑予備処理の方式は、トーピードカーなどの輸送容器を使用する方式と、転炉を使用する方式に大別されるが、転炉を使用する方式は、処理速度、熱裕度、その他諸々の面で優位性が高いことから、近年は、溶銑予備処理の主流を占めるようになっている。

0003

溶銑予備処理後スラグ分離除去、すなわち、排滓は、脱炭工程における復りん防止や、副原料削減の面から重要な工程であるが、転炉型溶銑予備処理後の排滓方法としては、1)溶鉄を転炉内に残したまま、転炉を横転させて、上層のスラグのみを排滓する方法(例えば、特許文献1、参照)、2)転炉の出鋼口から溶鉄を一旦別の容器出湯した後に、排滓する方法(例えば、特許文献2、参照)がある。

0004

転炉の基数余裕がなく、同一の転炉で脱りん処理と脱炭処理を連続で実施する場合、前者の方法(=上層のスラグのみを排滓する方法)は、後者の方法(=溶鉄を一旦出湯する方法)に比べ、出湯や再装入の必要がなく、排滓作業の煩雑さが少ないため転炉の生産性を低下させない、出湯等の容器の移し替えによる放熱ロスがないため熱裕度が高い、等の利点があるが、一方、溶鉄の流出を抑制しつつスラグのみを効率良く排滓することが難しく、排滓されずに炉内に残留するスラグの量が多い、すなわち、排滓率が低い等の問題がある。

0005

なお、ここで、排滓率とは、予備脱りん処理時に生成したスラグのうち排滓されたスラグの重量割合である。

0006

そこで、上層のスラグのみを排滓する方法における効率的な排滓法として、種々の提案がなされており、例えば、炉腹および炉底に設けた複数個羽口からガスを吹き込んでスラグを炉口側に移動させて排滓する方法(例えば、特許文献1、参照)、酸化性ガスを吹き込んでスラグフォーミング(=スラグの泡立ち)を促進して排滓する方法(例えば、特許文献3、参照)等が提案されている。

0007

しかし、これらの方法では、炉腹に羽口を設置するため転炉の改造が必要であること、耐火物溶損が進行した転炉では内容積の変化によりスラグ位置が変化し、羽口の位置が最適な位置から外れてくること、吹錬中の羽口閉塞を防止するために常時ガスを吹き込む必要があり、不要なガスコストが増大する等の問題がある。

0008

また、電磁力を利用してスラグのみを選択的に排滓する方法(例えば、特許文献4、参照)が提案されているが、設備投資コストがかかること、また、高温かつ振動の激しい劣悪な環境下で整備コストが増大する等の問題がある。

0009

その他、トーピードカーや鍋からの排滓方法として利用されている、ドラッガーと呼ばれる掻き出し板をつけた排滓装置により溶鉄上層のスラグを掻き出す方法(例えば、特許文献5、参照)等を転炉に適用することも考えられるが、転炉の容量を考えると、設備が大きくなりすぎ、現実的とは言えない。

0010

以上のように、溶鉄を転炉内に残したまま上層のスラグのみを排滓する方式は、一旦出湯した後に排滓する方式に比べて、作業の容易さ、生産性、熱裕度の面で有利である一方、溶鉄とスラグの分離性、すなわち、排滓率の面で難がある。

0011

さらに、一旦出湯した後に排滓する方式に比べれば、生産性が高いとはいえ、排滓には、通常数分を要しており、特に高い排滓率を狙う場合は、排滓時間が長くなる傾向がある。そこで、さらなる生産性の向上を図る上でも、迅速な排滓が可能な効率の良い方法が求められている。

0012

特許第2582692号明細書
特許第1761646号明細書
特開平05−279721号公報
特開平05−247514公報
特開昭59−13009公報

発明が解決しようとする課題

0013

本発明は、溶鉄を転炉に残したまま、転炉を横転させて、溶鉄の上層のスラグを排滓する方法において、排滓率が高く、また、迅速な排滓が可能な効率的な排滓方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

本発明は溶鉄を転炉に残したまま、転炉を横転させて、溶鉄の上層のスラグを排滓する方法において、転炉の傾動速度を適正な範囲とすることを特徴とするものである。さらに、適正な範囲の傾動速度で排滓するに際に、適正な有効容量を有する排滓鍋に排滓することを特徴とするものである。

0015

すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。

0016

(1)溶鉄を転炉内に残したまま、転炉を横転させて、溶鉄の上層のスラグを炉口から排滓する方法において、傾動角度がθ0°から少なくともθ1°に達するまでの平均傾動速度を、20°/min以上とし、かつ、θ1°からθ2°に達するまでの平均傾動速度を、θ0°からθ1°に達するまでの平均傾動速度よりも小さくすることを特徴とする転炉排滓方法。

0017

ここで、θ0°は、炉口からスラグが流出を開始する傾動角度、θ2°は、排滓時の最大傾動角度であり、θ1°は、(1)式で定義される。
θ1=0.6×(θ2−θ0)+θ0 …(1)

発明の効果

0018

排滓率が高い排滓が可能となることにより、副原料使用量副産物であるスラグ発生量が削減される。また、迅速な排滓が可能となることにより、転炉の生産性が向上する。

発明を実施するための最良の形態

0019

本発明を実施するための最良の形態を下記に説明する。

0020

溶鉄を転炉に残したまま、転炉を横転させて、溶鉄の上層のスラグを排滓する方法においては、上層スラグを重力やガスによる押し出し力等により流出させる方式が一般的であるが、排滓末期に、溶鉄がスラグとともに流出してしまうという現象があり、排滓率の向上と排滓の迅速化の両立は困難であった。

0021

そこで、本発明者は、溶鉄の流出を抑制して排滓率を向上させ、また、排滓を迅速化することを目的に鋭意研究を重ねた結果、下記のような現象の機構を見出した。

0022

すなわち、スラグの粘度は、溶鉄の粘度の数十倍と高いため、スラグ流出時の剪断力が大きく、その剪断力に溶鉄が引きずられて、スラグとともに流出する現象が発生する。

0023

したがって、溶鉄の流出を抑制するためには、スラグ流出時の流速を低減して剪断力を小さくせざるを得ないが、スラグ流出の流速を低減させることは、排滓速度を低下させることに他ならず、排滓の迅速化とは相反する。

0024

しかし、一方で、転炉の傾動速度を適正に調整することにより、排滓率の向上と排滓の迅速化を両立させることが可能であることも見出した。

0025

図1に、排滓状況の模式図を示すが、排滓初期は、傾動角度が小さいため、スラグ厚みが十分厚く、溶鉄面にかかるスラグ流出の剪断力は小さい。したがって、排滓初期は、傾動速度が速くても溶鉄の流出は生じ難い。

0026

逆に、排滓末期にかけて傾動角度が大きくなるにつれ、スラグ厚みが徐々に薄くなり、溶鉄面にかかるスラグ流出の剪断力は次第に大きくなる。したがって、排滓末期は、傾動速度を低減することで、溶鉄にかかる剪断力を小さくし、溶鉄の流出を抑制する必要がある。

0027

このように、排滓初期には、高速傾動し、排滓末期は、傾動速度を低減すること、すなわち、排滓段階に応じて転炉の傾動速度を調整することにより、溶鉄の流出を抑制しつつ、迅速な排滓が可能となり、排滓率の向上と排滓の迅速化を両立できることとなる。

0028

加えて、排滓初期に高速で傾動することより、溶銑予備処理スラグフォーミング(=泡立ち)を利用して、排滓を効率化できるという利点もある。溶銑予備処理スラグの温度、組成等の条件下では、スラグの粘度が高く、フォーミングしやすい状態となるため、吹錬中の脱炭反応により生じたCOガスで、容易に、スラグがフォーミングする。

0029

フォーミングにより、スラグの嵩体積は10〜20倍に増加するが、そのため、スラグ厚みが増し、排滓が容易となる。ただし、排滓中は、吹錬時に比べて、COガスの発生が少ないため、排滓中にフォーミングは徐々に沈静し、スラグの嵩体積も減少する。

0030

したがって、フォーミングを利用して排滓を高効率化するためには、フォーミングによりスラグの嵩体積が十分大きい排滓初期に、高速で傾動することが望ましい。

0031

傾動速度については、傾動角度がθ0°から少なくともθ1°に達するまでの平均傾動速度を、20°/min以上とし、かつ、θ1°からθ2°に達するまでの平均傾動速度を、θ0°からθ1°に達するまでの平均傾動速度よりも小さくすることが望ましい。

0032

ここで、θ0°は、炉口からスラグが流出を開始する傾動角度、θ2°は、排滓時の最大傾動角度であり、θ1°は、(1)式で定義される。また、傾動角度の基準は炉が直立している状態を傾動角度0°とする。
θ1=0.6×(θ2−θ0)+θ0 …(1)

0033

さらに、平均傾動速度は、傾動角度がθm°に達してからθn°に達するまでの時間を、Tθn-θmとすると(2)式で表される。
平均傾動速度=(θn−θm)/Tθn-θm …(2)

0034

この理由は、傾動角度がθ0°から少なくともθ1°に達するまでの平均傾動速度が20°/min未満の場合は、傾動速度が遅く、その間に炉内のフォーミングが沈静してしまうため、スラグの嵩体積が減少し、十分な排滓率が得られないということである。

0035

ここで、十分な排滓率とは、操業鋼種の条件によって変化するが、通常は約70%程度であり、この排滓率以上であれば、系外に排出すべきりんをスラグとともに排出することができる。

0036

排滓率が約70%未満の場合は、脱りん処理に続けて実施される脱炭処理時にも脱りん負荷がかかるため、副原料の使用量等が増加したり、復りんによる成分はずれ等の問題が発生しやすくなったりする。ただし、鋼種によっては、さらに排滓率を高めることが望ましい場合もある。

0037

また、さらに排滓率を高めるという面からは、平均傾動速度は速い方が望ましいが、実際には平均傾動速度が速すぎると炉口から流出するスラグが炉前の操業床に流出するなどの問題が生じるため、通常は、約120°/minが上限になると思われる。

0038

一方、θ1°超の傾動角度まで平均傾動速度を20°/min以上として排滓することも可能であり、また、排滓率を高めるという面からは、できるだけ大きな傾動角度まで高速で傾動することが望ましいが、実際には、排滓末期まで高速で傾動すると、溶鉄がスラグとともに流出してしまうという現象が発生して、歩留まりが低下するため、傾動角度がθ0°からの平均傾動速度を20°/min以上とできる傾動角度の上限は、(3)式で表される傾動角度とするのが望ましい。

0039

但し、この場合でも、θ1°からθ2°に達するまでの平均傾動速度を、θ0°からθ1°に達するまでの平均傾動速度よりも小さくすることが必要である。
0.9×(θ2−θ0)+θ0 …(3)

0040

ここで、上記の傾動パターンを実現するためには、炉口からスラグが流出を開始する傾動角度θ0°と排滓時の最大傾動角度θ2°の値が必要となるが、θ0°については、炉内の耐火物プロフィールから計算した傾動時の炉内容積と炉内の溶鉄量およびスラグ量から概略値予測が可能であり、また、正確な値は単純に炉口からスラグが流出する傾動角度を記録すればよい。

0041

一方、θ2°についても、炉内の耐火物プロフィールから計算した傾動時の炉内容積と炉内の溶鉄量から、準静的に傾動した場合に溶鉄が流出する傾動角度を予測することは可能であるが、実際に溶鉄が流出する傾動角度は、直前の傾動速度の影響を受けることから、予め傾動速度を変更して試験を行い、θ2°を決定しておく必要がある。

0042

さらに、θ0°やθ2°は、炉内耐火物の溶損状況等の炉形状や溶鉄やスラグの装入量に応じて随時変化するため、それらの条件からθ0°やθ2°を予測できるようにすると、さらに望ましい。

0043

実際の傾動においては、上記の傾動パターンを満たすように予め傾動パターンを設定しておき、そのパターンに則って傾動を行うのが現実的である。また、傾動パターンの制御については、段階的に傾動速度を切り替えるような制御でも、連続的に傾動速度を切り替えるような制御でも構わない。

0044

一方、フォーミングを利用して高効率な排滓を行うに際し、フォーミングにより嵩体積が大きくなったスラグを排滓するには、排滓鍋からのスラグの溢出を防止するため、容量の大きな排滓鍋が必要となる。

0045

本発明者は、上記の傾動パターンを実現し、かつ、排滓鍋からの溢出がない排滓鍋の容量についてスラグの沈静速度や傾動パターンを考慮した検討を行い、転炉内溶鉄1t当たり0.11m3以上の有効容量を確保することが望ましいことを見出した。

0046

ここで、有効容量とは、排滓鍋壁へのスラグの焼き付き防止用にあらかじめ鍋に装入されているスラグ等、体積を除いた鍋の容量、すなわち、実際に排滓できる容量である。

0047

この理由は、排滓鍋の転炉内溶鉄1t当たりの有効容量が0.11m3未満の場合は、排滓初期に高速で傾動すると、フォーミングしたスラグが排滓鍋内で沈静される前に排滓鍋の容量を超えてしまうため、排滓鍋からの溢出を防止するためには排滓の初期の段階でしか高速で傾動できず、それ以降は傾動速度を低減せざるを得ないということである。

0048

したがって、この間に、炉内のフォーミングが沈静してスラグの嵩体積が減少するため、十分な排滓率が得られず、また、迅速な排滓もできない。

0049

一方、排滓鍋の容量が大きすぎる場合は、余分な設備費を要する上、溶鉄の流出や操業床にスラグが流出するなどの制約で傾動速度にも上限があるため、一般的には、排滓鍋の転炉内溶鉄1t当たりの有効容量は、0.20m3超とする必要はない。

0050

本発明の排滓方法による排滓試験について説明する。

0051

試験は370t転炉において実施した。スクラップおよび溶銑を装入した後、溶銑中Si量に応じて、所定の塩基度およびスラグ量となるように生石灰珪石等の造滓剤投入して、溶銑の予備脱りん処理を行った。

0052

脱りん処理後に転炉を横転させて、炉口からスラグを排滓した。その際、傾動速度のパターン、排滓鍋の有効容量等を変更して、排滓時間、排滓率を評価した。ここで、排滓率は、スラグの組成に基づいた物質収支計算とスラグ量により求めた。

0053

また、炉口からスラグが流出を開始する傾動角度θ0は60°であり、排滓時の最大傾動角度の判断は、熟練オペレータによりこれ以上傾動すると溶鉄の流出が発生すると判断された時点としたが、最大傾動角度θ2は、全水準で84°であった。

0054

表1に、試験水準および試験結果、図2に実施例における傾動速度のパターン(時間と傾動角度の関係)を示すが、傾動パターンは、所定のパターンとなるように手動で制御した。

0055

水準1、2は、傾動速度のパターンが本発明の範囲外である比較例、、水準3〜6は、傾動速度のパターンが本発明の範囲内である本発明例であり、さらに、水準4〜6は、傾動速度のパターンが本発明の範囲内であり、かつ、溶鉄1t当たりの排滓鍋の有効容量が望ましい容量(0.11m3以上)の範囲内である発明例である。

0056

0057

表1に示すように、傾動速度のパターンが本発明の範囲外である比較例(水準1、2)に比べて、傾動速度のパターンが本発明の範囲内である例(水準3〜6)では、排滓率が70%以上と高位となるとともに、排滓時間も短縮され、また、単位時間当たりの排滓率が向上している。

0058

特に、排滓鍋の有効容量の大きい水準(水準4〜6)では、スラグの溢出がなく、大きな傾動角度まで高速で傾動することができた結果、排滓率が目標70%を大きく超過すると共に、排滓時間も、比較例よりも十分短縮できた。

図面の簡単な説明

0059

排滓状況を模式的に示す図である。(a)は、排滓初期の排滓状況を示し、(b)は、排滓末期の排滓状況を示す。
実施例における傾動速度のパターン(時間と傾動角度の関係)を示す図である。

符号の説明

0060

1傾動角度
2スラグ
3 溶鉄

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