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技術 グリッド偏光フィルムの製造方法、グリッド偏光フィルム、偏光素子、および液晶表示装置

出願人 日本ゼオン株式会社
発明者 村上俊秀
出願日 2005年8月25日 (14年7ヶ月経過) 出願番号 2005-243762
公開日 2007年3月8日 (13年0ヶ月経過) 公開番号 2007-057873
状態 未査定
技術分野 回折格子、偏光要素、ホログラム光学素子 液晶4(光学部材との組合せ) 偏光要素 液晶4(光学部材との組合せ)
主要キーワード 線状金属 長尺積層体 樹脂成形法 アルミニウム薄膜層 ゲル状化合物 無端リンク グリッド周期 加水分解重合反応
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

効率的で、安価で且つ簡便な工程で、偏光分離性能に優れ、かつ耐擦傷性防汚性を有する、ハンドリング性の良好なグリッド偏光フィルムを製造する方法を提供する。

解決手段

樹脂からなるA層と、該A層の少なくとも一方の面の全面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、該B層の上に形成された、樹脂からなるC層とを有する積層体延伸することによりB層に亀裂を生じさせることを含む製造方法により、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層が、互いに離間した状態で複数並んだ、グリッド偏光フィルムを得る。

概要

背景

反射型偏光子一種としてグリッド偏光子が知られている。これは、多数の線状金属を一定の周期で平行に配列したグリッド構造をもつ光部品である。このような金属グリッドを形成すると、グリッド周期入射光波長より短い場合に、金属グリッドを形成している線状金属に対して平行な偏光成分は反射し、垂直な偏光成分は透過するため、単一偏光を作りだす偏光子として機能する。このグリッド偏光子は、光通信ではアイソレーターの光部品として、液晶表示装置では光の利用率を高め輝度を向上させるための部品として、利用することが提案されている。

樹脂フィルム基材上にグリッド偏光子を形成した、グリッド偏光フィルム製法として、例えば、特許文献1に、透明で柔軟な基板上に金属膜を形成し、金属膜の融点以下で基板と金属膜とを延伸することにより、延伸方向に直交する方向に金属膜の割れを発生させ、異方的な形状を有する金属部分と誘電体部分とからなる構造を形成するグリッド型偏光光学素子の製造方法が開示されている。

また、特許文献2には、結晶部及び非晶部が交互に連なる高次構造を有するフィルム又はガラス転移温度が異なる二種の相が延伸方向に交互に連なる高次構造を有するフィルムの片面又は両面の全面に導電性薄膜を形成して複合膜を得、その複合膜を延伸し、熱固定することによって、異方的な導電性部分高分子誘電体部分からなる構造を形成する偏光光学素子の製造方法が開示されている。

特開2001−74935号公報
特開2005−148416号公報

概要

効率的で、安価で且つ簡便な工程で、偏光分離性能に優れ、かつ耐擦傷性防汚性を有する、ハンドリング性の良好なグリッド偏光フィルムを製造する方法を提供する。樹脂からなるA層と、該A層の少なくとも一方の面の全面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、該B層の上に形成された、樹脂からなるC層とを有する積層体を延伸することによりB層に亀裂を生じさせることを含む製造方法により、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層が、互いに離間した状態で複数並んだ、グリッド偏光フィルムを得る。 なし。

目的

本発明者の検討によると、特許文献1又は特許文献2に開示されている製造方法で得られる偏光光学素子は、樹脂フィルム表面に形成された金属グリッドが、摩擦や衝撃、汚れに弱く、光学性能が容易に劣化してしまうものであった。
本発明の目的は、効率的で、安価で且つ簡便な工程で、偏光分離性能に優れ、かつ耐擦傷性、防汚性を有する、ハンドリング性の良好なグリッド偏光フィルムを製造する方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

樹脂からなるA層と、該A層の少なくとも一方の面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、該B層の上に形成された、樹脂からなるC層とを有する積層体延伸することにより、B層に亀裂を生じさせることを含む、前記材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層が、互いに離間した状態で複数並んだ、グリッド偏光フィルムの製造方法。

請求項2

積層体は、A層を構成する樹脂フィルムaの少なくとも一方の面に、材料Xを含んでなるB層を形成し、次いで該B層の上に、C層を構成する樹脂フィルムcを貼り合わせることにより得られたものである、請求項1に記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。

請求項3

材料Xが金属である、請求項1〜2のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。

請求項4

金属がアルミニウムである、請求項3に記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。

請求項5

B層の形成が、材料Xを蒸着することを含むものである、請求項2〜4のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。

請求項6

積層体の延伸において、第一の延伸方向の延伸倍率R1が1.25〜10倍であるとともに、第一の延伸方向に直交する第二の延伸方向の延伸倍率R2が0.85〜2倍であり、且つ、延伸倍率R1が延伸倍率R2よりも大きい請求項1〜5のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。

請求項7

積層体が長尺のものであり、且つ延伸を連続的に行う、請求項1〜6のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。

請求項8

第一の延伸方向が長尺積層体幅方向と略平行である、請求項7に記載のグリッド偏光フィルムの製造方法。

請求項9

請求項1〜8のいずれかに記載の方法で得られたグリッド偏光フィルム。

請求項10

材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層、樹脂からなるA層及び樹脂からなるC層に囲まれた空間は中空であり、該中空は、空気、不活性ガス有機ガスまたはこれらの混合物により満たされている、請求項9に記載のグリッド偏光フィルム。

請求項11

請求項9または10に記載のグリッド偏光フィルムの少なくとも一方の面に、反射防止層をさらに含む反射防止層付きのグリッド偏光フィルム。

請求項12

請求項9〜11のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムと他の偏光光学フィルムとを重ね合わせた偏光素子

請求項13

他の偏光光学フィルムが吸収型偏光フィルムであり、グリッド偏光フィルムの偏光透過軸と吸収型偏光フィルムの偏光透過軸とが略平行である、請求項12に記載の偏光素子。

請求項14

請求項9〜11のいずれかに記載のグリッド偏光フィルムまたは請求項12〜13のいずれかに記載の偏光素子を備える液晶表示装置

技術分野

0001

本発明は、光通信光記録センサー画像表示装置等に使用されるグリッド偏光フィルムの製造方法、グリッド偏光フィルム、偏光素子、および液晶表示装置に関し、詳細には、効率的で、且つ簡便な工程で、偏光分離性能に優れたグリッド偏光フィルムを製造する方法、この製造方法により得られるグリッド偏光フィルム、これを用いた偏光素子、および液晶表示装置に関する。

背景技術

0002

反射型偏光子一種としてグリッド偏光子が知られている。これは、多数の線状金属を一定の周期で平行に配列したグリッド構造をもつ光部品である。このような金属グリッドを形成すると、グリッド周期入射光波長より短い場合に、金属グリッドを形成している線状金属に対して平行な偏光成分は反射し、垂直な偏光成分は透過するため、単一偏光を作りだす偏光子として機能する。このグリッド偏光子は、光通信ではアイソレーターの光部品として、液晶表示装置では光の利用率を高め輝度を向上させるための部品として、利用することが提案されている。

0003

樹脂フィルム基材上にグリッド偏光子を形成した、グリッド偏光フィルムの製法として、例えば、特許文献1に、透明で柔軟な基板上に金属膜を形成し、金属膜の融点以下で基板と金属膜とを延伸することにより、延伸方向に直交する方向に金属膜の割れを発生させ、異方的な形状を有する金属部分と誘電体部分とからなる構造を形成するグリッド型偏光光学素子の製造方法が開示されている。

0004

また、特許文献2には、結晶部及び非晶部が交互に連なる高次構造を有するフィルム又はガラス転移温度が異なる二種の相が延伸方向に交互に連なる高次構造を有するフィルムの片面又は両面の全面に導電性薄膜を形成して複合膜を得、その複合膜を延伸し、熱固定することによって、異方的な導電性部分高分子誘電体部分からなる構造を形成する偏光光学素子の製造方法が開示されている。

0005

特開2001−74935号公報
特開2005−148416号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明者の検討によると、特許文献1又は特許文献2に開示されている製造方法で得られる偏光光学素子は、樹脂フィルム表面に形成された金属グリッドが、摩擦や衝撃、汚れに弱く、光学性能が容易に劣化してしまうものであった。
本発明の目的は、効率的で、安価で且つ簡便な工程で、偏光分離性能に優れ、かつ耐擦傷性防汚性を有する、ハンドリング性の良好なグリッド偏光フィルムを製造する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、樹脂からなるA層と、該A層の少なくとも一方の面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、該B層の上に形成された、樹脂からなるC層とを有する積層体を延伸することによってB層に亀裂を生じさせることを含む、効率的で、安価で且つ簡便な製法によって、前記材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層が互いに離間した状態で複数並んだグリッド偏光フィルムが得られ、そのグリッド偏光フィルムが、耐擦傷性及び防汚性に優れていることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。

0008

かくして本発明によれば、
(1)樹脂からなるA層と、
該A層の少なくとも一方の面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、
該B層の上に形成された、樹脂からなるC層とを有する積層体を延伸することにより、B層に亀裂を生じさせることを含む、
前記材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層が、互いに離間した状態で複数並んだ、グリッド偏光フィルムの製造方法が提供される。

0009

また本発明によれば、
(2)積層体は、
A層を構成する樹脂フィルムaの少なくとも一方の面に、
材料Xを含んでなるB層を形成し、次いで
該B層の上に、C層を構成する樹脂フィルムcを貼り合わせることにより得られたものである、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(3)材料Xが金属である、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(4)金属がアルミニウムである、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(5)B層の形成が、材料Xを蒸着することを含むものである、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、

0010

(6)積層体の延伸において、
第一の延伸方向の延伸倍率R1が1.25〜10倍であるとともに、第一の延伸方向に直交する第二の延伸方向の延伸倍率R2が0.85〜2倍であり、
且つ、延伸倍率R1が延伸倍率R2よりも大きい、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、
(7)積層体が長尺のものであり、且つ延伸を連続的に行う、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、及び/又は
(8)第一の延伸方向が長尺積層体幅方向と略平行である、前記グリッド偏光フィルムの製造方法、が提供される。

0011

また、本発明によれば、
(9)前記の製造方法で得られたグリッド偏光フィルム、
(10)材料Xを含んでなる細長く線状に伸びたb層、樹脂からなるA層及び樹脂からなるC層に囲まれた空間は中空であり、該中空は空気、不活性ガス有機ガスまたはこれらの混合物により満たされている、前記グリッド偏光フィルム、及び/又は
(11)前記グリッド偏光フィルムの少なくとも一方の面に、反射防止層をさらに含む、反射防止層付きのグリッド偏光フィルム、が提供される。

0012

本発明によれば、
(12)前記のグリッド偏光フィルムと、他の偏光光学フィルムとを重ね合わせた偏光素子が提供され、好適な態様として(13)他の偏光光学フィルムが、吸収型偏光フィルムであり、グリッド偏光フィルムの透過軸と吸収型偏光フィルムの透過軸とが略平行である前記偏光素子が提供され、さらに(14)前記グリッド偏光フィルム又は偏光素子を備える液晶表示装置が提供される。

発明の効果

0013

本発明のグリッド偏光フィルムの製造方法は、公知の樹脂成形法、延伸法と、金属膜等の製膜法を特定の条件で組み合わせた工程を含むものであるので、効率的で、簡便に行うことができる。そして、本発明の製造方法で得られるグリッド偏光フィルムは、自然光を、二種の直線偏光に分離し、一方を反射し、もう一方を透過させることができる。さらに、十分なフレキシビリティーと強度を有するので、グリッド偏光フィルムを液晶表示装置等に取り付ける際の取り扱いが楽である。また、本発明のグリッド偏光フィルムを液晶表示装置の液晶セルバックライト装置との間に配置すると、バックライトからの出光を有効利用でき、表示画面の輝度を向上させることができる。

発明を実施するための最良の形態

0014

本発明の、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層が互いに離間した状態で複数並んだグリッド偏光フィルムの製造方法は、
樹脂からなるA層と、
該A層の少なくとも一方の面に形成された、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含んでなるB層と、
該B層の上に形成された、樹脂からなるC層とを有する積層体を延伸することによりB層に亀裂を生じさせることを含むものである。

0015

本発明のグリッド偏光フィルムの製法に用いる積層体のA層及びC層は、透明な樹脂からなるものであれば特に制限されない。透明樹脂としては、加工性の観点から樹脂のガラス転移温度が60〜200℃であることが好ましく、100〜180℃であることがより好ましい。なお、ガラス転移温度は示差走査熱量分析DSC)により測定することができる。A層とC層の樹脂は同一であっても異なっていてもよい。

0016

透明樹脂の具体例としては、ポリカーボネート樹脂ポリエーテルスルホン樹脂ポリエチレンテレフタレート樹脂ポリイミド樹脂ポリメチルメタクリレート樹脂ポリスルホン樹脂ポリアリレート樹脂ポリエチレン樹脂ポリ塩化ビニル樹脂二酢酸セルロース三酢酸セルロース脂環式オレフィンポリマーなどが挙げられる。これらのうち、透明性、低吸湿性、寸法安定性、加工性の観点から脂環式オレフィンポリマーが好適である。脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05−310845号公報、米国特許第5179171号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報、米国特許第5202388号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報、国際公開99/20676号公報に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体及びその水素添加物等が挙げられる。

0017

本発明に用いる透明樹脂は、顔料染料のごとき着色剤蛍光増白剤分散剤熱安定剤光安定剤紫外線吸収剤耐電防止剤酸化防止剤滑剤溶剤などの配合剤が適宜配合されたものであってもよい。
透明樹脂からなるA層及びC層は、前記透明樹脂を公知の方法で成形することによって得られる。成形法としては、例えば、キャスト成形法、押出成形法インフレーション成形法などが挙げられる。

0018

A層及びC層は、通常、シート又はフィルム状を成しており、400〜700nmの可視領域の光の透過率が80%以上で、平滑な面を有するものが好ましい。またA層及びC層の平均厚みは、取り扱い性の観点から通常5μm〜1mm、好ましくは20〜200μmである。A層とC層の厚みは同一であっても異なっていてもよい。
また、A層及びC層は、その波長550nmで測定したレターデーションRe(Re=d×(nx−ny)で定義される値、nx、nyはA層又はC層の面内主屈折率;dはA層又はC層の平均厚みである)によって特に制限されない。面内の任意2点のレターデーションReの差(レターデーションむら)が好ましくは10nm以下であり、より好ましくは5nm以下である。レターデーションむらが大きいと、液晶表示装置に用いた場合に表示面の明るさにバラツキが生じやすくなる。

0019

本発明のグリッド偏光フィルムの製法に用いる積層体のB層は、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料Xを含むものである。B層は、前記A層の少なくとも一方の面に形成され、そのB層の上にC層が積層されている。本発明の製法によれば、このB層に亀裂を生じさせることによって、互いに離間した状態で複数並んだ、材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層を形成できる。

0020

材料Xは、複素屈折率の実部と虚部のいずれかが大きく、その差の絶対値が1.0以上の材料の中から適宜選択することができる。材料Xの具体例としては、金属;シリコンゲルマニウム等の無機半導体ポリアセチレンポリピロールポリチオフェンポリ−p−フェニレン等の導電性ポリマー、及びこれら導電性樹脂ヨウ素、三フッ化ホウ素、五フッ化ヒ素過塩素酸等のドーパントを用いてドーピングした有機導電性材料絶縁性樹脂に金、銀などの導電性金属微粒子を分散した溶液を乾燥して得られる有機−無機複合系導電性材料、などが挙げられる。これらの中でも、グリッド偏光フィルムの生産性耐久性の観点からは金属材料が好ましい。可視域の光を効率よく偏光分離するためには、温度25℃、波長550nmにおける複素屈折率の実部n及び虚部κのそれぞれは、好ましくはnが4.0以下で、κが3.0以上で且つその差の絶対値|n−κ|が1.0以上のものであり、より好ましくはnが2.0以下で、κが4.5以上で且つ|n−κ|が3.0以上のものである。前記好ましい範囲にあるものとしては、銀、アルミニウム、クロムインジウムイリジウムマグネシウムパラジウム白金ロジウムルテニウムアンチモン、スズ等が挙げられ、前記より好ましい範囲にあるものとしては、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、ロジウム、スズ等が挙げられる。また上記以外に、nが3.0以上で且つκが2.0以下の範囲にある材料、好ましくはnが4.0以上で且つκが1.0以下の範囲にある材料も好適に用いることができる。このような材料としてはシリコンなどが挙げられる。複素屈折率Nは、電磁波の理論的関係式であり、実部の屈折率nと虚部の消衰係数κを用いて、N=n−iκで表現されるものである。

0021

詳細は不明であるが|n−κ|の値は次のような意義を持つ。まず、n<κの場合においては、κがより大きく、nがより小さいものほど好ましいということ示している。κが大きいものほど導電性が大きく、b層の長手方向に振動できる自由電子が多くなるため、偏光(b層の長手方向に(電場が)平行な方向の偏光)の入射により発生する電界が強くなり、前記偏光に対する反射率が高まる。b層の幅が小さいので、b層の長手方向と直交する方向には電子は動けず、b層の長手方向と直交する方向の偏光に対しては上記の効果は生じず、前記偏光は透過する。またnが小さい方が入射した光の媒質中での波長が大きくなるため、相対的に微細凹凸構造のサイズ(線幅ピッチ等)が小さくなり、散乱回折等の影響を受け難くなり、光の透過率(b層に直交する方向の偏光)、反射率(b層に平行な方向の偏光)が高まる。
一方n>κの場合においては、nがより大きく、κがより小さいものほど好ましいということを示している。nが大きいものほど、b層とそれに隣接する部分(図2では空気)との屈折率nの差が大きくなり、構造複屈折発現しやすくなる。一方κが大きいと光の吸収が大きくなるため、光の損失を防ぐ意味でκは小さいほど好ましい。

0022

このB層を形成させる方法は特に制限されない。用いる材料に応じて、真空蒸着法スパッタリング法イオンプレーティング法等の真空成膜プロセスや、マイクログラビア法スクリーンコート法ディップコート法、無電解めっき、電解めっき等のウェットプロセスによる各種コーティング法を用いることができる。これらのうち、真空蒸着法、スパッタリング法が好ましい。

0023

本発明に用いる積層体は、その製法によって、特に制限されない。例えば、樹脂フィルムaの少なくとも一方の面に、材料Xを含んでなるB層を形成し、該B層の上に樹脂フィルムcを貼り合わせる方法又は該B層の上に樹脂の溶液を塗布し乾燥する方法などが挙げられる。

0024

本発明の製造方法では、このA層、B層及びC層とを有する積層体を延伸する。
図1は本発明の製造方法に用いる積層体の一例を示す図である。図1に示す積層体は、透明樹脂フィルムからなるA層10の上に、前記材料Xを含んでなるB層11が形成されている。該B層は、蒸着などの方法で製膜することで容易に得ることができる。該B層の上には透明樹脂からなるC層13が形成されている。延伸前の積層体は横XB及び縦YBの長さを有している。この積層体を第一の延伸方向15に延伸する。

0025

本発明において、延伸方法は特に限定されないが、第一の延伸方向の延伸倍率R1(=延伸後の長さXA/延伸前の長さXB)が、好ましくは1.25〜10倍、特に好ましくは1.5〜3.0倍であり、第一の延伸方向に直交する第二の延伸方向の延伸倍率R2(=延伸後の長さYA/延伸前の長さYB)が、好ましくは0.85〜2倍、特に好ましくは1.0〜1.2倍であり、延伸倍率R1が延伸倍率R2よりも大きくなるように延伸することが好ましい(図1及び図2参照)。
このような延伸を行う方法としては、例えば、(i)延伸方向に直交する方向の長さの収縮率を15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下に抑えて一軸延伸する方法と、(ii)二軸延伸する方法とがある。延伸では、長尺の積層体を用いて連続的に行うことが、効率的で好ましい。

0026

前記(i)の延伸方法では、延伸方向に直角な方向に縮もうとする力に抗して、延伸方向に直角な方向の長さの収縮を15%以下に抑えて、一軸延伸するので、皺を生じさせずにb層を形成できる。より具体的には、一軸延伸方向(第一の延伸方向)の延伸後の長さXAが延伸前の長さXBの1.25〜10倍、好ましくは1.5〜3.0倍であり、一軸延伸方向に直交する方向(第二の延伸方向)の延伸後の長さYAが延伸前の長さYBの0.85〜1.05倍、好ましくは0.9〜1.05倍、より好ましくは0.95〜1.05倍である。
このような倍率で延伸できる方法の代表例として横一軸延伸法が挙げられる。横一軸延伸法は長尺の積層体を、その幅方向に延伸する方法である。横一軸延伸法を行う装置としてはテンター延伸機が挙げられる。横一軸延伸を行うと、B層の流れ方向(MD方向)に沿って亀裂が入り、流れ方向に細長く線状に延びたb層が形成できる。

0027

前記(ii)の延伸方法では、二軸延伸を行う。二軸延伸法では、縦及び横全ての方向に伸ばされるので、積層体が収縮せず、皺のないb層を形成できる。より具体的には、第一の延伸方向の延伸後の長さXAが延伸前の長さXBの1.25〜10倍、好ましくは1.5〜3.0倍であり、第一の延伸方向に直交する第二の延伸方向の延伸後の長さYAが延伸前の長さYBの1〜2倍、好ましくは1.05〜1.2倍であり、延伸前の長さXBに対する長さXAの倍率が延伸前の長さYBに対する長さYAの倍率よりも大きくなるように、積層体を延伸する。
二軸延伸には、逐次二軸延伸法と、同時二軸延伸法とがあるが、いずれも適用可能である。逐次二軸延伸法では、先に縦一軸延伸を行い、次に横一軸延伸を行ってもよいし、先に横一軸延伸して、次に縦一軸延伸を行ってもよい。
同時二軸延伸法では、テンター同時二軸延伸機が好適に用いられる。

0028

例えば、図3延伸機は、積層体1の端部を把持する複数の把持手段2を具備している。把持手段2は折尺状に形成された複数個等長リンク装置より構成された無端リンク装置(図中リンクの一部並びに片側の無端リンクは省略)3に取付けられている。該無端リンク装置3は入口側スプロケット4と出口側スプロケット9によって駆動する。無端リンク装置3は、図3の左から右へ進行し、末広がり状に配置されたガイドレール5、6、7および8に案内される。図3中、上下のガイドレールの間隔が広がることによって上記把持手段2の幅方向の間隔が徐々に拡大する。また上側及び下側それぞれのガイドレール6と8の間隔が狭くなることによって、等長リンク装置の角度が広がり把持手段2の流れ方向の間隔が徐々に拡大する。積層体1は延伸機の入口で把持手段2によってその両端が把持され、把持手段の間隔の拡大によって、縦横二方向に同時に延伸され、延伸機の出口で前記把持手段2から外される。

0029

長尺の積層体の二軸延伸において、第一の延伸方向は長さ方向及び幅方向のいずれでも良いが、製造上の安定性を考慮すると第一の延伸方向を幅方向にするのが好ましい。第一の延伸方向を幅方向に略平行にすることで、B層の流れ方向に沿って亀裂が入り、流れ方向に細長く延びたb層が形成できる。

0030

B層の亀裂によって形成されたb層は、細長く線状に延びており、且つ互いに離間した状態で複数並んでいる。例えば、図2に示すように、A層310及びC層313の間に、b層311が、複数並んで積層された構造を成している。b層のピッチは使用する光の波長の1/2以下になっている。b層の幅及び高さは小さいほど透過方向の偏光成分の吸収が小さくなり、特性上好ましい。可視光線に用いるグリッド偏光フィルムでは、b層のピッチが通常50〜1000nmであり、b層の幅が通常25〜600nm、b層の高さは10〜800nmである。b層は、通常、光の波長より長く延びていればよく、b層の長さは好ましくは800nm以上である。b層の高さはB層の厚みによって調整できる。b層の長さ、ピッチ及び幅は延伸速度、延伸温度などによって調整することができる。
なお、b層は必ずしも図2に示したように同一の形状、サイズである必要は無く、各々が光の波長よりも長い辺と短い辺とを有する、アスペクト比の大きな形状であればよい。また、隣り合う細長く線状に延びたb層は、完全に離間している必要は無く、一部離間しているものであればよい。例えば、細長く線状に延びたb層が途中で分断して二本に分かれていてもよいし、二本の細長く線状に延びたb層が途中で結合して一本になっていてもよい。

0031

本発明のグリッド偏光フィルムは、材料Xを含んでなる細長く線状に延びたb層、樹脂からなるA層及び樹脂からなるC層に囲まれた空間は中空であり、該中空は空気、不活性ガス、有機ガスまたはこれらの混合物により満たされていることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素アルゴンなどが挙げられる。有機ガスとしてはA層またはC層の樹脂に含まれる揮発成分がガス化したものなどが挙げられる。

0032

本発明のグリッド偏光フィルムは、その少なくとも一方の面に、反射防止層をさらに含むことが好ましい。反射防止層の平均厚みは、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.02〜0.5μmである。反射防止層としては、公知のものから選択でき、例えば、無機化合物からなる低屈折率層と無機化合物からなる高屈折率層とを繰り返し積層したもの、高屈折率層の上に低屈折率層を積層したものなどが挙げられる。本発明においては、高屈折率層の上に微小空気層を有する材料で形成された低屈折率層を積層したものが好ましい。

0033

そこで、高屈折率層の上に微小空気層を有する材料で形成された低屈折率層を積層した反射防止層について説明する。

0034

本発明においては、A層又はC層がすでに高屈折率な層となっている場合は、そのままA層又はC層を高屈折率層として用いることができる。もちろん、高屈折率層は、該A層又はC層とは別の層(この別に設ける層のことを「ハードコート層」ということがある。)として、A層又はC層の表面に形成したものであってもよい。A層又はC層の表面に形成する場合、高屈折率層の厚さは、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは3〜15μmである。

0035

高屈折率層は、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験試験板ガラス板)で「2H」以上の硬度を示す材料から形成されることが好ましい。高屈折率層用材料としては、有機系シリコーン系メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;および、二酸化ケイ素などの無機系ハードコート材料;などが挙げられる。なかでも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系ハードコート材料の使用が好ましい。

0036

高屈折率層は、その屈折率nHが、その上に積層する低屈折率層の屈折率nLとの間に、nH≧1.53、及び√nH−0.2<nL<√nH+0.2、の関係を有することが、反射防止機能を発現させるために好ましい。

0037

高屈折率層には、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、耐熱性帯電防止性、防眩性などの向上を図る目的で、各種フィラーを含有せしめてもよい。さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤レベリング剤消泡剤などの各種添加剤を配合することもできる。

0038

高屈折率層の屈折率や帯電防止性を調整するためのフィラーとしては、酸化チタン酸化ジルコニウム酸化亜鉛酸化錫酸化セリウム五酸化アンチモン、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化錫(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)が挙げられる。透明性を維持できるという点から五酸化アンチモン、ITO、IZO、ATO、FTOが好ましいフィラーとして挙げられる。これらフィラーの一次粒子径は通常1nm以上100nm以下、好ましくは1nm以上30nm以下である。

0039

防眩性を付与するためのフィラーとしては、平均粒径が0.5〜10μmのものが好ましく、1〜7μmのものがより好ましい。防眩性を付与するフィラーの具体例としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ化ビニリデン樹脂およびその他のフッ素樹脂シリコーン樹脂エポキシ樹脂ナイロン樹脂ポリスチレン樹脂フェノール樹脂ポリウレタン樹脂架橋アクリル樹脂架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂ベンゾグアナミン樹脂などの有機樹脂からなるフィラー;または酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化錫、酸化ジルコニウム、ITO、フッ化マグネシウム、酸化ケイ素などの無機化合物からなるフィラーが挙げられる。

0040

高屈折率層の上に形成される低屈折率層は、微小空気層を有する材料で形成されたものである。低屈折率層の厚さは、通常10〜1000nm、好ましくは30〜500nmである。
微小空気層を有する材料としては、エアロゲルが挙げられる。エアロゲルは、マトリックス中に微小気泡が分散した透明性多孔質体である。気泡の大きさは大部分が200nm以下であり、気泡の含有量は、通常10〜60体積%、好ましくは20〜40体積%である。エアロゲルには、シリカエアロゲルと、中空粒子をマトリックス中に分散させた多孔質体とがある。

0041

シリカエアロゲルは、米国特許第4,402,927号公報、米国特許第4,432,956号公報および米国特許第4,610,863号公報などに開示されているように、アルコキシシラン加水分解重合反応によって得られたシリカ骨格からなるゲル状化合物を、アルコールあるいは二酸化炭素などの溶媒分散媒)で湿潤状態にし、そしてこの溶媒を超臨界乾燥で除去することによって製造することができる。また、シリカエアロゲルは、米国特許第5,137,279号公報、米国特許5,124,364号公報などに開示されているように、ケイ酸ナトリウム原料として、上記と同様にして製造することができる。

0042

本発明において、特開平5−279011号公報および特開平7−138375号公報に開示されているようにして、アルコキシシランの加水分解重合反応によって得られたゲル状化合物を疎水化処理して、シリカエアロゲルに疎水性を付与することが好ましい。この疎水性を付与した疎水性シリカエアロゲルは、湿気や水などが浸入し難くなり、シリカエアロゲルの屈折率や光透過性などの性能が劣化することを防ぐことができる。

0043

中空微粒子がマトリックス中に分散された多孔質体としては、特開2001−233611号公報、国際公開第2002/021259号公報および特開2003−149642号公報に開示されているような多孔質体が挙げられる。なお、中空微粒子がマトリックス中に分散された多孔質体は、前記熱可塑性樹脂層には含まれないものとする。

0044

マトリックスに用いる材料は、中空微粒子の分散性、多孔質体の透明性、多孔質体の強度などの条件に適合する材料から選択される。例えば、ポリエステル樹脂アクリル樹脂ウレタン樹脂塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、アルコキシシランなどの加水分解性有機珪素化合物およびその加水分解物などが挙げられる。
これらの中でも中空微粒子の分散性、多孔質体の強度からアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、加水分解性有機珪素化合物およびその加水分解物が好ましい。

0045

中空微粒子は特に制限されないが、無機中空微粒子が好ましく、特にシリカ系中空微粒子が好ましい。無機中空微粒子を構成する無機化合物としては、SiO2、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、Ce2O3、P2O5、Sb2O3、MoO3、ZnO2、WO3、TiO2−Al2O3、TiO2−ZrO2、In2O3−SnO2、Sb2O3−SnO2などを例示することができる。

0046

中空微粒子の外殻は細孔を有する多孔質なものであってもよく、あるいは細孔が閉塞されて空洞が外殻の外側に対して密封されているものであってもよい。外殻は、内側層外側層などからなる多層構造であってもよい。外側層の形成に含フッ素有機珪素化合物を用いた場合は、中空微粒子の屈折率が低くなるとともに、マトリックスへの分散性もよくなり、さらに低屈折率層に防汚性を付与する効果も生じる。この含フッ素有機珪素化合物の具体例としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシランヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラントリデカフルオロオクチルトリメトキシシランなどが挙げられる。外殻の厚みは通常1〜50nm、好ましくは5〜20nmである。また、外殻の厚みは、無機中空微粒子の平均粒子径の1/50〜1/5の範囲にあることが好ましい。
また、空洞には中空微粒子を調製するときに使用した溶媒および/または乾燥時に浸入する気体が存在してもよいし、空洞を形成するための前駆体物質が空洞に残存していてもよい。

0047

中空微粒子の平均粒径は特に制限されないが、5〜2,000nmの範囲が好ましく、20〜100nmがより好ましい。ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察により求めた数平均粒子径である。

0048

本発明のグリッド偏光フィルムでは、さらに防汚層を含んでいてもよい。防汚層は、グリッド偏光フィルムの表面に撥水性撥油性耐汗性、防汚性などを付与できる層である。防汚層を形成するために用いる材料としては、フッ素含有有機化合物が好適である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボンパーフルオロシラン、又はこれらの高分子化合物などが挙げられる。防汚層の平均厚みは好ましくは1〜50nm、より好ましくは3〜35nmである。

0049

本発明の偏光素子は、前記グリッド偏光フィルムと、他の偏光光学フィルムとを重ね合わせてなるものである。他の偏光光学フィルムとしては、吸収型偏光フィルム、位相差素子偏光回折素子などが挙げられる。特に、本発明の偏光素子を液晶表示装置の輝度向上素子として用いる場合には、他の偏光光学フィルムが吸収型偏光フィルムであることが好ましい。

0050

本発明に用いられる吸収型偏光フィルムは、直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過し、他方を吸収するものである。例えば、ポリビニルアルコールフィルムエチレン酢酸ビニル部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性物質吸着させて一軸延伸させたもの、前記親水性高分子フィルムを一軸延伸して二色性物質を吸着させたもの、ポリビニルアルコール脱水処理物ポリ塩化ビニル脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルムなどが挙げられる。吸収型偏光フィルムの厚さは、通常5〜80μmである。

0051

グリッド偏光フィルムと吸収型偏光フィルムは、グリッド偏光フィルムの偏光透過軸と吸収型偏光フィルムの偏光透過軸とが略平行になるように重ね合わせることが好ましい。このような配置にすることによって、自然光を効率的に直線偏光に変換することができる。

0052

本発明の偏光素子はその製法によって、特に限定されない。例えば、ロール状に巻かれた前記の長尺のグリッド偏光フィルム及びロール状に巻かれた他の長尺の偏光光学フィルムを同時にロールから巻き出しながら、該グリッド偏光フィルムと該他の偏光光学フィルムとを密着させることを含む方法が挙げられる。グリッド偏光フィルムと他の偏光光学フィルムとの密着面には接着剤を介在させることができる。グリッド偏光フィルムと他の偏光光学フィルムとを密着させる方法としては、二本の平行に並べられたロールのニップにグリッド偏光フィルムと他の偏光光学フィルムを一緒に通し圧し挟む方法が挙げられる。

0053

本発明の液晶表示装置は、前記のグリッド偏光フィルム又は偏光素子を備えるものである。液晶表示装置は、偏光透過軸を電圧の調整で変化させることができる液晶セルと、それを挟むように配置される二枚の吸収型偏光フィルムとで構成される。そして、この液晶セルに光を送りこむために、表示面の裏側に、透過型液晶表示装置ではバックライト装置が、反射型液晶表示装置では反射板が備えられる。

0054

本発明のグリッド偏光フィルムは、直交する直線偏光のうちの一方を透過し、他方を反射する性質を持っている。また本発明の偏光素子は、グリッド偏光フィルム側から光を照射させた場合に、直交する直線偏光のうちの一方を透過し、他方を反射する性質を持っている。本発明の透過型液晶表示装置において、本発明のグリッド偏光フィルム及び偏光素子(偏光素子のグリッド偏光フィルムがバックライト側になるように配置する)を、バックライト装置と液晶セルとの間に配置すると、バックライト装置で発光した光がグリッド偏光フィルムによって、二つの直線偏光に分離され、一方の直線偏光は液晶セルの方向へ、他方の直線偏光はバックライト装置の方向へ戻る。バックライト装置には反射板が通常備わっており、バックライト装置の方向へ戻った直線偏光は、その反射板により反射され、再びグリッド偏光フィルムに戻ってくる。戻ってきた光はグリッド偏光フィルムで再度二つの偏光に分離される。これを繰り返すことでバックライト装置で発光した光が有効に利用されることになる。その結果、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。また反射型液晶表示装置において、同様の原理で画面を明るくすることができる。

0055

つぎに本発明を実施例を示しながらさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。部及び%は特に断りが無い限り質量基準である。

0056

(透明シクロオレフィンポリマーフィルム
透明シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン社製、ZEONOR1420、ガラス転移温度136℃)のペレットを、窒素を流通させた熱風乾燥機を用いて、100℃で4時間乾燥した。次いでこのペレットを、50mmφのスクリューを備えたTダイ式フィルム溶融押出成形機を使用して、溶融樹脂温度260℃で押出し成形することにより、幅700mm、厚さ80μmの透明シクロオレフィンポリマーフィルムを得た。

0057

接着剤層用樹脂
窒素置換した反応器に9−メチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−3−エンMTD)の開環重合体の水素添加物(ガラス転移温度140℃、水素添加率約100%、数平均分子量約28000)200部、無水マレイン酸6.34部、及びt−ブチルベンゼン470部を入れ、窒素ガス雰囲気下135℃に加熱して樹脂を均一溶解した。この樹脂溶液に、液温135℃を維持して、ジクミルパーオキサイド1.75部をシクロヘキサン33部に溶解させた溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後、温度を135℃に維持して、3時間反応を継続した。反応液を室温まで冷却し、該反応液にトルエン2500部を加え、希釈樹脂溶液を得た。次いで、イソプロピルアルコール13000部及びアセトン4000部からなる混合液に、強く撹拌しながら、前記の希釈樹脂溶液を滴下し、樹脂を凝固させた。凝固させた樹脂を濾別し、105℃で24時間乾燥して、接着剤層用樹脂を得た。収量は204部、収率は98%であった。

0058

ハードコート剤
官能ウレタンアクリレートオリゴマー商品名:NKオリゴU−6HA、新中化学社製)30部、ブチルアクリレート40部、イソボルニルメタクリレート(商品名:NKエステル1B、新中村化学社製)30部、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン10部をホモジナイザーで混合して、紫外線硬化性を有するハードコート剤を調製した。

0059

実施例1
積層フィルム1)
前記透明シクロオレフィンポリマーフィルム(長さ300m)の片面に、連続真空蒸着により、厚さ50nmの連続したアルミニウム薄膜層を形成した。次にアルミニウム薄膜層の表面に、アミノプロピルトリエトキシシランの0.2%溶液(エタノール:水=重量比4:1からなる溶媒)を、塗布後の厚さが5μmとなるように連続塗工し、次いで、温度120℃の温風循環させたトンネル乾燥機を2分間かけて通過させ、塗膜を乾燥させて、積層フィルム1を得た。

0060

(積層フィルム2)
前記接着剤層用樹脂200部をシクロペンチルメチルエーテル800部に溶解し、孔径1μmのフィルター濾過して、粘度130cPの樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を、前記透明シクロオレフィンポリマーフィルム(長さ300m)の片面に連続的に塗工し、厚み3μmの接着剤層を積層して、積層フィルム2を得た。

0061

(積層フィルム3)
次いで、積層フィルム2の接着剤層と、前記積層フィルム1の塗膜面とが接するように重ね合わせ、温度100℃の雰囲気中に設置した加圧ロール熱圧着し、積層フィルム3を得た。

0062

(グリッド偏光フィルム1)
積層フィルム3を、テンター延伸機を用いて、温度150℃でTD方向に延伸倍率R1が2.5倍、MD方向に延伸倍率R2が1倍になるように横一軸延伸した。延伸した積層フィルムの片面に、前記ハードコート剤を硬化後の膜厚が5μmとなるように連続的に塗布し、次いで80℃に設定したトンネル乾燥機を5分間かけて通過させることで塗膜を乾燥し、紫外線を積算光量300mJ/cm2で照射しハードコート剤を硬化させて、グリッド偏光フィルム1を得た。

0063

入射端面側冷陰極管が配置され、かつ裏面側に光反射シートが設けられた導光板出射面側に、光拡散シート、グリッド偏光フィルム1(所定の大きさに裁断したもの)を順次積層し、偏光光源装置を作成した。さらに吸収型偏光板を、その偏光透過軸がグリッド偏光フィルム1の偏光透過軸と略並行になるように重ねて配置し、さらに、透過型TN液晶セル、吸収型偏光板を(偏光透過軸が前記吸収型偏光板のものと直交するように)順次積層し、液晶表示装置を作成した。
得られた液晶表示装置の明表示時の正面輝度は、輝度計(商品名:BM−7、トプコン社製)による測定で、242Cd/m2であった。

0064

別に、前記グリッド偏光フィルム1のハードコート層を形成した側の表面に、スチールウール#0000を接触させ、荷重0.02MPaをかけた状態で、20往復させた。このグリッド偏光フィルム1の表面は、傷などの異常が目視で確認されなかった。スチールウールで擦った後のグリッド偏光フィルム1を用いて上記と同様に液晶表示装置を作成した。正面輝度は、241Cd/m2であった。

0065

実施例2
積層フィルム3のTD方向の延伸倍率R1を2.5倍に、MD方向の延伸倍率R2を1.1倍に変更した以外は、実施例1と同様にして、グリッド偏光フィルム2を得た。
グリッド偏光フィルム1に代えてグリッド偏光フィルム2を用いた他は実施例1と同様に液晶表示装置を作成した。得られた液晶表示装置の明表示時の正面輝度は、輝度計による測定で、247Cd/m2であった。実施例1と同様にスチールウールで擦った後のグリッド偏光フィルム2は表面に傷などの異常は認められなかった。また、スチールウールで擦った後のグリッド偏光フィルム2を用いて作成した液晶表示装置の正面輝度は247Cd/m2であった。

0066

実施例3
実施例1において、ハードコート層の積層を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、グリッド偏光フィルム3を得た。
グリッド偏光フィルム1に代えてグリッド偏光フィルム3を用いた他は実施例1と同様に液晶表示装置を作成した。得られた液晶表示装置の明表示時の正面輝度は、輝度計による測定で、245Cd/m2であった。
実施例1と同様にスチールウールで擦った後のグリッド偏光フィルム3は表面全面に細かい傷が認められた。また、スチールウールで擦った後のグリッド偏光フィルム3を用いて作成した液晶表示装置の正面輝度は236Cd/m2であった。

0067

比較例1
前記透明シクロオレフィンポリマーフィルム(長さ300m)の片面に、連続真空蒸着により、厚さ50nmの連続したアルミニウム薄膜層を形成して得た積層フィルムを、連続式のテンター延伸機を用いて、温度150℃でフィルム幅方向に延伸倍率R1を2.5倍、フィルム流れ方向に延伸倍率R2を1倍で横一軸延伸し、グリッド偏光フィルム4を得た。
グリッド偏光フィルム1に代えてグリッド偏光フィルム4を用いた他は実施例1と同様に液晶表示装置を作成した。得られた液晶表示装置の明表示時の正面輝度は、輝度計による測定で、252Cd/m2であった。
実施例1と同様にスチールウールで擦った後のグリッド偏光フィルム4は、表面全面に細かい傷があり、反射率及び透過率が変化している部分が散在している様子が観察された。スチールウールで擦った後のグリッド偏光フィルム4を用いて作成した液晶表示装置の正面輝度は218Cd/m2であった。グリッド偏光フィルム4は、耐擦傷性が十分でないことがわかる。

0068

比較例2
グリッド偏光フィルム1を積層しなかった他は実施例1と同様にして液晶表示装置を作成した。得られた液晶表示装置の明表示時の正面輝度は、輝度計による測定で、206Cd/m2であった。

図面の簡単な説明

0069

本発明の製造方法に用いる積層体の一例を示す斜視図である。
図1に示す積層体から、本発明の製造方法で得られたグリッド偏光フィルムの一例を示す斜視図である。
本発明に用いるテンター延伸機の一例を示す図である。

符号の説明

0070

1:積層体
2:把持手段
3:無端リンク装置
4:入口側スプロケット
9:出口側スプロケット
5、6、7、8:ガイドレール
10:A層
13:C層
11:B層
15:第一の延伸方向
310:延伸後のA層
311:b層
312:中空部
313:延伸後のC層

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