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技術 溶接部の溶け込み深さを検査する装置

出願人 NOK株式会社
発明者 水川大輔
出願日 2005年8月22日 (13年0ヶ月経過) 出願番号 2005-239622
公開日 2007年3月8日 (11年6ヶ月経過) 公開番号 2007-057245
状態 未査定
技術分野 磁気的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 交流誘導電圧 評価判断 光学式距離センサ 渦電流分布 回転位置検出値 距離検出信号 直線近似式 励起回路
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

溶接部溶け込み深さが深くリフトオフ量の変動がかなり大きい場合でも、正確にかつ非破壊方式で、溶接部の状態を検査する装置を提供する。

解決手段

磁気センサー11を用いて渦電流方式ビード部52の位相差Δφと振幅差ΔHとで示されるベクトル和出力信号V0 を検出する。距離センサー15でビード部52のリフトオフ量を測定し、磁気センサー11の検出信号に対してリフトオフ量変動の補正を行う。信号処理装置30はリフトオフ量変動値で補正したベクトル和出力信号V(y)を用いて式4の演算を行い、ビード部52の溶け込み深さXを算出する。

概要

背景

たとえば、金属ベローズアキュムレータシェル炭酸ガス(CO2 )レーザを用いて溶接した場合、溶接部品質の管理上、溶接部の検査が必要となる。

溶接部の検査のこれまでの基本的な方法は、溶接部の外観目視して行う方法である。しかしながら、この検査方法検査技師によって評価判断ばらつく可能性がある。また、目視による検査は時間がかかる。さらに、全ての溶接部を検査することが困難となり、抜き取り検査にならざるをえない。

他の検査方法は、溶接部を破壊して溶接断面の観察を目視で行う方法である。この破壊検査方法は検査の評価が正確であるという利点がある。しかしながら、検査対象を破壊するので検査対象全数を検査できず、抜き取り検査となる。そして、抜き取らない検査対象については、切断箇所、切断したサンプル数から溶接部の状態を推定せざるを得ない。

上述した方法を改善する検査技術が非破壊方式による検査方法であり、そのような非破壊方式の検査方法として、たとえば、超音波や、電磁誘導作用を用いた渦電流や、高周波電流を用いて傷などを測定技術を適用して溶接部を検査する技術が知られている。
以下、そのような技術について述べる。

特許文献1は、渦電流方式による測定結果を検査対象のサンプルの温度や形状を用いて補正して、焼き入れ硬化層深さを検査する非破壊検査技術を開示している。特許文献1に記載の渦電流方式による測定方法は、誘導励磁コイルと被誘導(検出)コイルとを検査対象のサンプルに挿通し、誘導コイル交流誘導電圧印加したときに被誘導コイルに発生する被誘導電圧を測定して、焼き入れ硬化層の深さを求めるものである。上述した渦電流方式の測定精度を向上させるため、検査対象のサンプルの他に同一の形状のマスター検査ピースを使用する方法も提案されている。
ところで、上述した渦電流方式による測定において、被誘導コイルに発生する被誘導電圧が検査対象のサンプルの硬化層深さの状態だけではなく、検査対象のサンプルの温度、形状によっても変化するため、検査対象のサンプルの温度、形状によって渦電流方式による測定結果を補正して焼き入れ硬化層深さの精度を向上させている。

特許文献2は、鋼材に高周波電流を供給したとき、高周波に起因する表皮効果により鋼材の表層部分にのみ流れる電流によって発生する電圧を測定して、脱炭状態を検査する技術を開示している。特許文献2には、発生した電圧の振幅位相との一次結合関係から脱炭の有無と深さを調べることが可能であると記載されている。

特許文献3は、非導電体被覆が施された探傷対象物表面の傷を渦電流方式によって検出する探傷技術を開示している。たとえば、特許文献3においては、励磁コイル移相交流電流を印加し、検出コイル被検査部位傷状況に応じた電流を検出し、傷信号位相検波した信号と、移相交流信号参照信号として傷信号を位相検波した信号とを用いて非導電体被覆が施された探傷対象物表面の傷を検出している。

特許文献4は、電磁誘導作用を用いて物体の内部の欠陥を検出する技術を開示している。
特開平9−89,845号公報
特開平9−257,734号公報
特開2003−232,776号公報
特許第3,140,105号

概要

溶接部の溶け込み深さが深くリフトオフ量の変動がかなり大きい場合でも、正確にかつ非破壊方式で、溶接部の状態を検査する装置を提供する。磁気センサー11を用いて渦電流方式でビード部52の位相差Δφと振幅差ΔHとで示されるベクトル和出力信号V0 を検出する。距離センサー15でビード部52のリフトオフ量を測定し、磁気センサー11の検出信号に対してリフトオフ量変動の補正を行う。信号処理装置30はリフトオフ量変動値で補正したベクトル和出力信号V(y)を用いて式4の演算を行い、ビード部52の溶け込み深さXを算出する。

目的

特許文献1、2に開示されている技術は、焼き入れ硬化層または鋼材の表層部分といった検査対象の表層付近での薄い層の状態の検査を目的としたものである。したがって、特許文献1、2に開示されている技術では、検査対象、たとえば、金属ベローズアキュムレータのシェルを溶接手段、たとえば、CO2レーザを用いて溶接した溶接部の溶け込み深さの検査のように、たとえば、溶け込み深さが数mm〜10mm程度と深い領域の状態を検査するには限界がある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

円筒形製品(50)の周囲に形成された溶接部(52)の溶け込み深さ(X)を非破壊方式で検査する検査装置であって、前記製品(50)が載置される、回転可能な回転テーブル(20)と、前記回転テーブル(20)を回転させるモータ(23)と、前記モータ(23)を回転駆動する制御手段(30)と、前記モータ(23)の回転位置を検出するエンコーダ(19)と、前記回転テーブル(20)に載置された前記製品(50)の前記溶接部(52)に対して所定距離離隔した所定位置に固定して配置され、前記溶接部(52)のリフトオフ量を検出するリフトオフ量検出センサー(15)と、前記回転テーブル(20)に載置された前記製品(50)の前記溶接部(52)に対して所定距離離隔した所定位置に固定して配置され、励磁コイル(111)と検出コイル(112)とを有し、前記励磁コイル(111)から前記溶接部(52)に渦電流を発生させるための所定周波数高周波電流印加され、前記検出コイル(112)により前記ビード状の溶接部52の状態を示す信号を検出する、磁気センサー(11)と、前記磁気センサー(11)の前記励磁コイル(111)に所定周波数の高周波電流を印加する高周波電源(131)と、前記溶接部の外周に沿って、前記磁気センサーの前記検出コイル(112)で検出した前記溶接部の状態を示す信号を、前記エンコーダ(19)で検出した信号を用いて位置合わせして、前記リフトオフ量検出センサー(15)で検出したリフトオフ量で補正し、補正した前記溶接部の状態を示す信号から前記溶接部の溶け込み深さ(X)を算出する、演算手段(30)とを具備する、溶接部の溶け込み深さを検査する装置。

請求項2

事前に、リフトオフ量を一定とし、前記溶け込み深さ(x)と前記磁気センサーの検出出力との関係を示す第1データを求めておき、前記演算手段は、前記リフトオフ量検出センサー(15)で検出したリフトオフ量の変動値を用いて前記溶接部の状態を示す信号を補正し、前記事前に求めた第1データを参照して前記リフトオフ量の変動値で補正した溶接部の状態を示す信号から前記溶け込み深さ(X)を算出する、請求項1に記載の検査装置。

技術分野

0001

本発明は非破壊検査方法と装置に関する。
本発明は特に、たとえば、溶接部溶け込み深さのように深さが深く、溶接部のリフトオフ量高低)の変動がある検査対象(被検体)の状態を、非破壊方式で、磁気的に検査する方法と装置に関する。
より特定的には、本発明は、渦電流を用いた非破壊方式で、溶接部の溶け込み深さを磁気的に検査(測定)するとともに、溶接部のリフトオフ量を測定し、測定したリフトオフ量で磁気信号検出値を補正して溶け込み深さを算出する装置に関する。

背景技術

0002

たとえば、金属ベローズアキュムレータシェル炭酸ガス(CO2 )レーザを用いて溶接した場合、溶接部の品質の管理上、溶接部の検査が必要となる。

0003

溶接部の検査のこれまでの基本的な方法は、溶接部の外観目視して行う方法である。しかしながら、この検査方法検査技師によって評価判断ばらつく可能性がある。また、目視による検査は時間がかかる。さらに、全ての溶接部を検査することが困難となり、抜き取り検査にならざるをえない。

0004

他の検査方法は、溶接部を破壊して溶接断面の観察を目視で行う方法である。この破壊検査方法は検査の評価が正確であるという利点がある。しかしながら、検査対象を破壊するので検査対象全数を検査できず、抜き取り検査となる。そして、抜き取らない検査対象については、切断箇所、切断したサンプル数から溶接部の状態を推定せざるを得ない。

0005

上述した方法を改善する検査技術が非破壊方式による検査方法であり、そのような非破壊方式の検査方法として、たとえば、超音波や、電磁誘導作用を用いた渦電流や、高周波電流を用いて傷などを測定技術を適用して溶接部を検査する技術が知られている。
以下、そのような技術について述べる。

0006

特許文献1は、渦電流方式による測定結果を検査対象のサンプルの温度や形状を用いて補正して、焼き入れ硬化層深さを検査する非破壊検査技術を開示している。特許文献1に記載の渦電流方式による測定方法は、誘導励磁コイルと被誘導(検出)コイルとを検査対象のサンプルに挿通し、誘導コイル交流誘導電圧印加したときに被誘導コイルに発生する被誘導電圧を測定して、焼き入れ硬化層の深さを求めるものである。上述した渦電流方式の測定精度を向上させるため、検査対象のサンプルの他に同一の形状のマスター検査ピースを使用する方法も提案されている。
ところで、上述した渦電流方式による測定において、被誘導コイルに発生する被誘導電圧が検査対象のサンプルの硬化層深さの状態だけではなく、検査対象のサンプルの温度、形状によっても変化するため、検査対象のサンプルの温度、形状によって渦電流方式による測定結果を補正して焼き入れ硬化層深さの精度を向上させている。

0007

特許文献2は、鋼材に高周波電流を供給したとき、高周波に起因する表皮効果により鋼材の表層部分にのみ流れる電流によって発生する電圧を測定して、脱炭状態を検査する技術を開示している。特許文献2には、発生した電圧の振幅位相との一次結合関係から脱炭の有無と深さを調べることが可能であると記載されている。

0008

特許文献3は、非導電体被覆が施された探傷対象物表面の傷を渦電流方式によって検出する探傷技術を開示している。たとえば、特許文献3においては、励磁コイル移相交流電流を印加し、検出コイル被検査部位傷状況に応じた電流を検出し、傷信号位相検波した信号と、移相交流信号参照信号として傷信号を位相検波した信号とを用いて非導電体被覆が施された探傷対象物表面の傷を検出している。

0009

特許文献4は、電磁誘導作用を用いて物体の内部の欠陥を検出する技術を開示している。
特開平9−89,845号公報
特開平9−257,734号公報
特開2003−232,776号公報
特許第3,140,105号

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献1、2に開示されている技術は、焼き入れ硬化層または鋼材の表層部分といった検査対象の表層付近での薄い層の状態の検査を目的としたものである。したがって、特許文献1、2に開示されている技術では、検査対象、たとえば、金属ベローズアキュムレータのシェルを溶接手段、たとえば、CO2レーザを用いて溶接した溶接部の溶け込み深さの検査のように、たとえば、溶け込み深さが数mm〜10mm程度と深い領域の状態を検査するには限界がある。

0011

また、特許文献1、2に開示されている技術は、焼き入れ硬化層または鋼材の表層部分といった検査対象の表面の凹凸が比較的少ない場合、すなわち、リフトオフ量の変動が少ない場合への適用に限られる。
リフトオフ量の変動により、検査の精度が大きく変動することが、本願発明者によって解明された。したがって、たとえば、金属ベローズアキュムレータのシェルをCO2レーザを用いて溶接した溶接部のようにリフトオフ量の変動が大きな場合には特許文献1、2に開示されている技術を適用できない。

0012

特許文献3、4に開示されている技術も、検査対象の表層付近の傷の探傷技術である。したがって、特許文献1、2と同様の課題に遭遇している。

0013

以上のとおり、たとえば、金属ベローズアキュムレータのシェルをCO2レーザなどを用いて溶接した場合、その溶接部の溶け込み深さは、たとえば、0〜10mm程度の深さがあり、溶接ビードの形成により変動によりリフトオフ量の変動はかなり大きく、上述した溶特許文献1〜4に開示された技術を適用することはできない。
もちろん、上記例示の金属ベローズアキュムレータのシェルの溶接部に限らず、溶け込み量が大きく、リフトオフ量の変動が大きな他の例についても同様である。

0014

本発明の目的は、たとえば、上記例の溶接部の溶け込み深さのように、深さがあり、たとえば、溶接ビードの形成による変動などによるリフトオフ量の変動がかなり大きい場合でも、正確に、かつ、非破壊方式で測定可能な装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

本発明によれば、円筒形製品(50)の周囲に形成された溶接部(52)の溶け込み深さ(X)を非破壊方式で検査する検査装置であって、前記製品(50)が載置される、回転可能な回転テーブル(20)と、前記回転テーブル(20)を回転させるモータ(23)と、前記モータ(23)を回転駆動する制御手段(30)と、前記モータ(23)の回転位置を検出するエンコーダ(19)と、前記回転テーブル(20)に載置された前記製品(50)の前記溶接部(52)に対して所定距離離隔した所定位置に固定して配置され、前記溶接部(52)のリフトオフ量を検出するリフトオフ量検出センサー(15)と、前記回転テーブル(20)に載置された前記製品(50)の前記溶接部(52)に対して所定距離離隔した所定位置に固定して配置され、励磁コイル(111)と検出コイル(112)とを有し、前記励磁コイル(111)から前記溶接部(52)に渦電流を発生させるための所定周波数の高周波電流が印加され、前記検出コイル(112)により前記ビード状の溶接部52の状態を示す信号を検出する、磁気センサー(11)と、前記磁気センサー(11)の前記励磁コイル(111)に所定周波数の高周波電流を印加する高周波電源(131)と、前記溶接部の外周に沿って、前記磁気センサーの前記検出コイル(112)で検出した前記溶接部の状態を示す信号を、前記エンコーダ(19)で検出した信号を用いて位置合わせして、前記リフトオフ量検出センサー(15)で検出したリフトオフ量で補正し、補正した前記溶接部の状態を示す信号から前記溶接部の溶け込み深さ(X)を算出する、演算手段(30)とを具備する、溶接部の溶け込み深さを検査する装置が提供される。

0016

好ましくは、事前に、リフトオフ量を一定とし、前記溶け込み深さ(x)と前記磁気センサーの検出出力との関係を示す第1データを求めておき、前記演算手段は、前記リフトオフ量検出センサー(15)で検出したリフトオフ量の変動値を用いて前記溶接部の状態を示す信号を補正し、前記事前に求めた第1データを参照して前記リフトオフ量の変動値で補正した溶接部の状態を示す信号から前記溶け込み深さ(X)を算出する。

発明の効果

0017

本発明によれば、非破壊方式で、たとえば、金属ベローズアキュムレータシェル溶接部の溶け込み深さのように、深さがあり、たとえば、溶接ビードの形成による変動などによるリフトオフ量の変動がかなり大きい場合でも、正確に、かつ、非破壊方式で、溶接部の状態を検査できる。

発明を実施するための最良の形態

0018

第1実施の形態
本発明の溶接部の溶け込み深さを検査する装置の第1実施の形態として、溶接部溶け込み量検査装置について述べる。

0019

図1は本発明の第1実施の形態の溶接部の溶け込み深さを検査する装置1(以下、検査装置)1の構成図である。
検査装置1は、磁気センサー11と、磁気センサー駆動・検出装置回路)13と、リフトオフ量を検出する距離センサー(本発明におけるリフトオフ量検出センサー)15と、距離センサー駆動・検出装置(回路)17と、エンコーダ19と、検査テーブル22とモータ23からなる回転テーブル20と、モータ駆動装置(回路)25と、信号処理装置30とを有する。
検査対象の製品50が検査テーブル22に載置されている。

0020

検査対象の製品50は、たとえば、金属ベローズアキュムレータのシェルであり、そのシェルを、溶接手段、たとえば、CO2レーザを用いて溶接している。製品50には溶接された部分が図2に断面を例示したようにビード状の溶接部52(以下、ビード部52)として形成されている。

0021

図2は溶接によって製品50に溶け込み深さXで形成されたビード部52の拡大図である。
溶け込み深さXは、検査対象が金属ベローズアキュムレータのシェルの場合、図14を参照して後述するように、CO2レーザの溶接出力に応じて、数mm〜10mm程度まで変化する。
なお、製品50の透磁率をμ50とし、ビード部52の透磁率をμ52とする。通常、μ50>μ52の関係にある。

0022

図3は信号処理装置30の構成を示す図である。
信号処理装置30は、コンピュータ、たとえば、マイクロプロセッサで構成されており、下記に述べる各種演算制御処理を行うCPU31と、CPU31で動作する各種プログラム、それに用いる各種パラメータなどを記憶しているROM32と、一時的に各種データを保存するRAM33と、後述する検査において大量のデータを保存するハードディスク34と、下記に述べる各種操作をオペレータ対話形式で行い、および/または、測定結果などを表示するキーボード付き表示装置35と、インターフェース(I/F)部36とを有し、これらがバス37を介して相互に接続されている。
キーボード付き表示装置35の表示パネル(DSP)とキーボード(KB)が図1に例示されている。
I/F部36には、磁気センサー駆動・検出装置(回路)13、距離センサー駆動・検出装置17、モータ駆動装置25が接続されており、CPU31と上記装置(回路)との間で信号の授受を行う。

0023

図1図解した検査装置1は、中空円筒形の製品50の外周に形成されたビード部52を連続的に検査可能な装置である。
モータ駆動装置25は、信号処理装置30のI/F部36を経由したCPU31からのモータ駆動制御信号をモータ23を駆動する信号に変換する。たとえば、モータ駆動装置25は、トランジスタを用いたモータドライバ回路を有し、CPU31からのモータ23を回転制御させるモータ駆動制御信号に応じてモータ23を回転させる。
信号処理装置30のCPU31は、モータ駆動装置25を介してモータ23を連続的に駆動して検査テーブル22を連続的に回転させることが可能である。それにより、検査テーブル22に載置された製品50が連続的に回転し、ビード部52に対向する固定位置にそれぞれ固定されている磁気センサー11および距離センサー15の周囲を回転する。

0024

エンコーダ19はモータ23の回転軸に接続され、モータ23の回転位置を検出して、製品50の回転位置を検出する。
信号処理装置30のCPU31はエンコーダ19が検出した回転位置信号を読み取る。それにより、CPU31は、磁気センサー11と距離センサー15とが製品50のどの回転位置を検出しているかを知ることができる。
エンコーダ19は、磁気センサー11と距離センサー15とがビード部52のどの部分を検査しているかを示す情報であるともに、磁気センサー11と距離センサー15との位置が異なる場合に磁気センサー11の検出コイル112の検出信号と、距離センサー15の距離検出信号の位置合わせ(位置調整)をする場合に使用する。

0025

磁気センサー11と距離センサー15とは、製品50の回転と相対的に回転可能に配置されている。
本実施の形態では、製品50が回転テーブル20の検査テーブル22に載置されて回転され、磁気センサー11と距離センサー15とは固定されている。
逆に、製品50を固定させ、磁気センサー11と距離センサー15とを製品50の周囲に回転することもできる。その場合、固定された製品50に対する距離センサー15の回転と、磁気センサー11の回転を独立に行うことかもできる。 このように、本実施の形態においては、製品50と磁気センサー11との回転、製品50と距離センサー15との回転が、同時または独立に、相対的になっていればよい。
以上から、CPU31、モータ23、回転テーブル20は、磁気センサー11と製品50とを相対的に移動させる第1移動手段として機能する。同様に、CPU31、モータ23、回転テーブル20は、距離センサー15と製品50とを相対的に移動させる第2移動手段として機能する。
なお以下、本実施の形態では、第1移動手段と第2移動手段とが一体化されている場合について述べる。

0026

磁気センサー
磁気センサー11と磁気センサー駆動・検出装置13の詳細を述べる。
図4は、磁気センサー11の断面構成と、磁気センサー駆動・検出装置13の回路構成例を示す図である。
磁気センサー11は電磁誘導作用を利用して磁性体内の渦電流を検出するセンサであり、たとえば、図4に概略断面を示したように、製品50のビード部52に対向して配置される、平面が環状の励磁コイル111と、平面が環状の検出コイル112とを有する。
磁気センサー駆動・検出装置13は、高周波電源131と、フィルタ回路132と、位相差振幅差検波(検出)回路133とを有する。
高周波電源131は、CPU31からの指令に基づいて、周波数fの高周波電流を励磁コイル111に印加して励磁コイル111を励磁させてビード部52を含む製品50(検査部位)に磁界を印加して検査部位内に渦電流を浸透させる。検出コイル112はビード部52を含む製品50における渦電流に基づく磁束(磁界)を検出する。検出コイル112は製品50およびビード部52(検査部位)の状態を示す信号、すなわち、製品50に対するビード部52の溶け込み深さ状態を示す信号を検出する。
フィルタ回路132は検出コイル112で検出した検査部位の状態を表す信号に含まれるノイズ成分を除去する。位相差・振幅差検出回路133はフィルタ回路132でノイズ成分が除去された信号を検波して検査部位の状態を表す信号を抽出する。
検査部位の状態を表す信号は、図7に参照して述べるように、位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和で表される出力信号V0 である。

0027

渦電流を検査部位に作用させ、発生した渦電流を検出するためには、励磁コイル111と検出コイル112とを、ビード部52に対向し、かつ、ビード部52の外周に極力接近させることが望ましい。しかしながら、磁気センサー11をビード部52にあまり接近させると、製品50が回転した場合に製品50から突出するビード部52の突起リフトオフ)部分に接触する可能性がある。それで、磁気センサー11は製品50および/またはビード部52から所定距離離隔して配置されている。たとえば、磁気センサー11は製品50の外周から約2mm程度離隔して配設されている。

0028

CPU31は、モータ23を駆動して回転テーブル20に載置されている製品50を回転させ、製品50の回転に伴うエンコーダ19のモータ23の回転位置検出値とともに、位相差・振幅差検出回路133からの検査部位の状態を表す信号、すなわち、位相差および振幅差のベクトル和で表される出力信号V0 を入力して、たとえば、ハード・ディスク34に連続的に記憶していく。

0029

磁気センサー11を用いた製品50に対するビード部52の溶け込み深さの検出方法について述べる。

0030

渦電流と浸透深さδとの関係
式1は、渦電流の溶接部への浸透深さδと、渦電流を発生させるため励磁コイル111に印加する周波数f、検査部位、たとえば、本実施の形態における製品50とビード部52の透磁率との関係を示す式である。

0031

0032

式1から、周波数fが低いほど、または、透磁率μが小さくなるほど、励磁コイル111による磁界に基づくビード部52を含む製品50(検査部位)への渦電流の浸透深さδが深くなることが分かる。他方、透磁率μが大きくても周波数fが高くなれば、励磁コイル111による磁界に基づく検査部位への渦電流の浸透深さδは浅くなることが分かる。
本実施の形態においては、製品50(シェル)の厚さと、ビード部52の溶け込み深さXと、製品50の透磁率μ50と、ビード部52の透磁率μ52とを考慮して高周波電源131から励磁コイル111に印加する周波数fを決定している。
製品50の透磁率μ50とビード部52の透磁率μ52は既知であり、製品50とビード部52の導電率σ50およびσ52も既知である。なお、本実施の形態において、製品50の透磁率μ50はビード部52の透磁率μ52より大きい(μ50>μ52)。

0033

式2は、検出コイル112の検出信号の位相遅れφと、検査部位、たとえば、本実施の形態における製品50に対するビード部52の溶け込み深さXとの関係を示す式である。

0034

0035

このように、位相遅れφは、検出コイルによる磁界に基づく渦電流の検査部位(製品50とビード部52)への浸透深さδと、検査部位の溶け込み深さXとで規定できる。換言すれば、本実施の形態における製品50に対するビード部52の溶け込み深さXは、渦電流の浸透深さδと位相遅れφとで規定できる。
このように、位相遅れφは、溶接部、たとえば、ビード部52の製品50に対する深さを示す情報を表している。
上述したように、ビード部52の透磁率μ52は小さく、ビード部52の透磁率μ50が大きいから、たとえば、励磁コイル111に印加する周波数fを固定した条件で励磁コイル111を励磁させたとき、位相遅れφを観察すれば、ビード部52の製品50に対する深さ、すなわち、溶け込み深さXを推定することが可能である。
しかしながら、実際は検出コイル112では位相遅れφのみを検出することはできず、検出コイル112は、図7に参照して述べるように、位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 を検出する。

0036

図5(A)、(B)は、磁気センサー11の検出コイル112で検出する渦電流に基づく検査部位(たとえば、ビード部52を含む製品50)の磁束分布を示す図である。
製品50に傷がなく、または製品50とは透磁率の異なるビード部52などの異物がなく(逆に、ビード部52部分に製品50が存在せず)、製品50またはビード部52内に透磁率が異なるなどの欠陥が存在しなければ、製品50またはビード部52内の渦電流分布乱れはないから検出コイル112で検出する磁気分布は歪みがなく、図5(A)に例示したようになる。
他方、検査対象、たとえば、製品50とは透磁率の異なるビード部52などの異物が存在したり(逆に、ビード部52部分に製品50が存在したり)、製品50またはビード部52内に巣などの透磁率が異なる欠陥が存在すれば、たとえば、図5(B)に例示したように、検出コイル112で検出する上記異物などが存在する部分の磁束分布が歪む。

0037

図6は渦電流を発生させるための磁気センサー11の励磁コイル111の駆動電流波形Vtra と、磁気センサー11の検出コイル112で検出する信号の波形Vrec について時間的に変化する様子を表した図である。
検出コイル112からは波形Vtra で示される渦電流をビード部52に印加し、検出コイル112が波形Vrec で示される信号を検出する。波形Vtra と波形Vrec との間には、位相差Δφと振幅差ΔHがある。
図7は振幅差ΔHを横軸にとり、位相差Δφを縦軸にとったグラフを示す。
検出部位(ビード部52)の状態を示す信号は、図7に図解したように、位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 として表される。

0038

リフトオフ量補正および距離センサー
本願発明者は、図7における振幅差ΔHおよび位相差Δφが、検査部位であるビード部52のリフトオフ量に大きく依存することを見い出した。
そこで、本実施の形態においては、リフトオフ量検出センサーとして使用する距離センサー15によってビード部52のリフトオフ量を測定し、信号処理装置30においてリフトオフ量の変動による補正を行う。
リフトオフ量とは、溶接部であるビード部52の面の高低を意味する値である。その様なリフトオフ量としては、下記に種々の測定方法が考えられる。
リフトオフ量として、製品50の基準面、たとえば、製品50の外表面を基準面として、その基準面からのビード部52の各部分の高さとしてもよい。あるいは、リフトオフ量として、ビード部52全周についての平均的な高さに対するビード部52の各部分の高低としてもよい。
本実施の形態では、リフトオフ量を測定する方法として、簡便に、距離センサー15と製品50の表面との距離がほぼ一定であることを想定し、距離センサー15からビード部52の面までの距離をリフトオフ量としている。あるいは、距離センサー15からビード部52の面までの距離を簡便に、リフトオフ量としている。以下、本実施の形態では、後者の例について述べる。
なお、距離センサー15から製品50の外周面、または、距離センサー15からビード部52の外周面までは一定ではない。なぜなら、回転テーブル20に載置された製品50が全く偏心せずに回転するわけではないからである。そこで、距離センサー15で測定したリフトオフ量の絶対値を用いずに、ビード部52のリフトオフ量の平均値をも考慮してリフトオフ量を処理する。

0039

距離センサー15はこのように、本実施の形態においてリフトオフ量検出センサーとして機能するが、距離センサー15も、磁気センサー11と同様に、製品50のビード部52に対向して配設されており、相対的に回転される。
このような距離センサー15としては、渦電流方式の距離センサー、または、図8に図解した光学式の距離センサーを用いることができる。

0040

距離センサー15として磁気センサー11と同様の検出原理に基づく渦電流方式の距離センサを用いた場合、距離センサー駆動・検出装置17は、磁気センサー11の励磁コイル111と同様の励磁コイルに渦電流を発生させ、磁気センサー11の検出コイル112と同様の検出コイルで距離を示す信号を検出する。
渦電流方式の距離センサを用いた場合、距離センサー駆動・検出装置17は、磁気センサー駆動・検出装置13における高周波電源131と、フィルタ回路132と、位相差・振幅差検出回路133に類似する回路構成となる。ただし、距離センサー15からの磁界をビード部52の奥深く作用させる必要はないから、高周波電源131から距離センサー15の励磁コイルに印加する周波数は高周波電源131から磁気センサー11の励磁コイル111に印加する周波数とは異なる。もちろん、距離センサー15のための位相差・振幅差検出回路133に対応する回路は距離センサー15からビード部52までの距離を示す信号を検波(検出)する回路となる。
好ましくは、CPU31は、モータ23を駆動して、製品50を回転させ、磁気センサー11で検出した位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 とともに、渦電流方式の距離センサー15で検出したビード部52までの距離Dをビード部52の1周について求め、エンコーダ19の検出値に対応させて、たとえば、信号処理装置30のハード・ディスク34に記憶しておく。

0041

距離センサー15として渦電流方式の距離センサを用いた場合、渦電流を用いて検出する磁気センサー11に影響する距離の情報と同様の情報を得ることができるという利点、および、渦電流方式の距離検出は検査部位(製品50および/またはビード部52)の比較的広い領域について距離を検出するので、その領域についての平均的な距離を求めることができるという利点がある。
他方、渦電流方式の距離センサを用いた場合、同じ渦電流が干渉しあうほど磁気センサー11と距離センサー15とを相互に接近させて配置することができない。

0042

図8(A)、(B)は光学式の距離センサー15と、距離センサー駆動・検出装置17の回路構成例とその動作を示す図である。
光学式距離センサー15は、発光素子151と受光素子152を有する。
距離センサー駆動・検出装置17と発光素子励起回路171と、受光信号検出回路172と、時間測定制御回路173とを有する。
時間測定・制御回路173がCPU31により起動されると、時間測定・制御回路173は所定時間間隔周期的に発光素子励起回路171を駆動する。発光素子励起回路171はパルス状の周期的な励起信号S171を発光素子151に印加する。それにより、発光素子151が周期的に励起されて発光してビード部52に光を照射する。受光素子152は発光素子151からビード部52に照射されて反射する反射光受光する。受光信号検出回路172は、受光素子152の検出信号を入力し、時間測定・制御回路173に出力する。時間測定・制御回路173は、発光素子励起回路171が発光素子151の励起開始したときから受光信号検出回路172が受光素子152の信号を受信したときまでの時間Δtを測定する。
光学式距離センサー15内において、ビード部52に対して発光素子151と受光素子152がほぼ同じ位置に位置していると仮定すると、時間測定・制御回路173で求めた時間は、発光素子151または受光素子152とビード部52との間を往復した時間である。

0043

CPU31は時間測定・制御回路173の測定時間を所定時間間隔でインターフェース部36を介して入力する。CPU31は、時間測定・制御回路173の測定時間Δtと、発光素子151の光の伝搬速度vから、D=(Δt×v)/2として、発光素子151または受光素子152とビード部52との距離Dを求める。
好ましくは、CPU31は、モータ23を駆動して製品50を回転させ、距離Dをビード部52の1周について求め、磁気センサー11の検出コイル112で検出する位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 とともに、ビード部52の1周分の距離Dをエンコーダ19の検出値に対応させて、たとえば、ハード・ディスク34に記憶していく。

0044

光学式の距離センサを用いた場合、渦電流方式の磁気センサー11とは干渉しあうことがないから磁気センサー11に接近させて配置することもできるという利点がある。さらに、渦電流方式による距離センサよりも微小領域の検査部位について正確に距離を測定できるという利点がある。なお、検査部位の平均的な距離は信号処理装置30で演算して求めることができる。

0045

磁気センサー11と距離センサー15との位置関係は、距離センサー15の種類(渦電流方式か光学式か)と測定方法に依存して決めることができる。
測定方法については、たとえば、まず、磁気センサー11を用いて製品50の1周についてビード部52の溶接状態を測定する前に、距離センサー15を用いて製品50の1周についてビード部52のリフトオフ量を測定する場合、あるいは、その逆に、磁気センサー11で製品50の1周についてビード部52の溶接状態を測定した後、距離センサー15でビード部521周のリフトオフ量を測定する場合は、磁気センサー11と距離センサー15とはそれぞれ任意の位置に置くことができる。
他方、検査時間の短縮を図るため製品50を1回転する間、距離センサー15によってビード部52のリフトオフも測定しながら、磁気センサー11でビード部52の溶接状態の検査データを取得する場合は、光学式距離センサー15を用いた場合、エンコーダ19の検出位置が同じ位置について、磁気センサー11と距離センサー15の検出ができるから、磁気センサー11と距離センサー15とを接近させることが好ましい。しかしながら、渦電流方式の距離センサー15を用いた場合は、磁気センサー11と距離センサー15とは余り接近させることができないので、たとえば、磁気センサー11と距離センサー15とを製品50を挟んで、90度、180度、270度離れた位置などに配置する。本実施の形態では、磁気センサー11と渦電流方式の距離センサー15とを製品50を挟んで180度離れた位置に配置した場合を例示する。

0046

光学式または渦電流方式の距離センサー15を、ビード部52の近傍の上下の位置の製品50の外周を測定可能な位置に設定して、CPU31がモータ23を駆動して製品50を回転させながら、上記同様に距離センサー駆動・検出装置17と距離センサー15を駆動して、製品50、1周について、エンコーダ19の位置検出値に対応させて求めて、ハード・ディスク34に記憶する。この値が本実施の形態において、ビード部52のリフトオフ量を示す値になる。

0047

図9(A)は、磁気センサー11の検出コイル112で検出した、位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 の生データを示す曲線CV1と、渦電流方式または光学式距離センサー15で測定したリフトオフ量を示す距離測定結果d0 の生データを示す曲線CV2とを、エンコーダ19の位置検出信号とともに、時間経過に応じて連続的に、たとえば、ハード・ディスク34に記憶した結果を示す図である。なお、CPU31は通常、モータ23を一定回転数で回転させるから、エンコーダ19の位置検出信号と時間経過とは比例しており、図9(A)の横軸はエンコーダ19の位置検出位置を示している。
図9(A)において線で結んだように、曲線CV1の開始点位置と、曲線CV2の開始点位置とがずれている。そこで、信号処理装置30のCPU31はハード・ディスク34に記憶されている両者のデータの位置合わせを行う。図9(B)はCPU31によりエンコーダ19の位置検出値による位置修正を行った場合を、曲線CV1aと曲線CV2aとして示す。曲線CV1と曲線CV1aとは同じであり、曲線CV2の始点を曲線CV1の始点に位置合わせをした例を示している。
このように、エンコーダ19の回転位置検出信号(または位置時間経過)に応じて連続的に測定した結果から、信号処理装置30においてエンコーダ19の検出位置に基づく補正を行うことにより、検出コイル112の検出結果および距離センサー15の対応関係が正確になる。
換言すれば、このような位置合わせを行うので、磁気センサー11と距離センサー15との配置関係は任意でよい。ただし、リフトオフ量検出センサーとして磁気センサー11と同様の磁気的な距離センサー15を用いた場合は磁気的な相互干渉を排除するため、上述したように、磁気センサー11と磁気的な距離センサー15とは所定間隔離す必要がある。

0048

図10は、横軸に示した、距離センサー15で測定し、エンコーダ19の位置検出値を参照して位置合わせを行ったリフトオフ量の変動(距離変動)値CV2a、すなわち、ビード部52のリフトオフ量の変動値CV2aと、縦軸に示した、磁気センサー11の検出コイル112の検出値、すなわち、位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和について位置補正した出力信号CV1aとの相関関係を示すグラフである。
検出コイル112で検出されたベクトル和の位置合わせ後の出力信号CV1aは、リフトオフ量の変動値CV2aにより図10に例示したように、ほぼ直線状に変化する。
本実施の形態においては、リフトオフ量の変動値(距離の変動値)CV2aと、位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和について位置補正した出力信号CV1aとは、たとえば、CV1a=−7.9555CV2a+0.1716として表されるように、一次式近似できた。したがって、信号処理装置30における位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和V0 について位置補正した出力信号CV1aに対するリフトオフ量の変動値(距離の変動値)CV2aの補正は簡単かつ容易である。

0049

図11は、図9(B)に示した、位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和V0 について位置補正した出力信号CV1aを、距離センサー15で測定したリフトオフ量の変動値(距離の変動値)CV2aを用いて、CPU31において、実際に補正した結果を示す図である。横軸は、エンコーダ19で測定した製品50の外周方向の位置である。その補正式を下記に示す。

0050

0051

リフトオフ量の変動値(距離の変動値)CV2aの平均値dave を用いたのは、製品50が偏心した回転し、距離センサー15に対するビード部52の位置が、リフトオフ量に変動がない場合でも、偏心量だけ変動するから、それを修正するためである。
Aは距離(リフトオフ量)と磁気センサー11の相関関係を近似するため、最小二乗法で近似した一次式の傾きである。

0052

溶け込み深さの測定例
実際に検査対象の溶け込み深さXを測定する前に、基準となる金属ベローズアキュムレータのシェルを、溶接手段、たとえば、炭酸ガス(CO2 )レーザを用いて溶接した。
CO2 レーザの溶接出力を、2000W(ワット)、2500W、3000W、3500W、4000W、4750W、5000W、5500Wと変化させた。溶接出力の大きさに応じてビード部52の溶け込み深さXは変化する。
上述した検査装置1を用いて、基準となる金属ベローズアキュムレータのシェルの溶接部(ビード部52)の溶け込み深さを非破壊方式で測定した。
測定例の条件は、製品50の1周の回転速度が、1周/7秒、磁気センサー11と製品50(またはビード部52)との間の離隔距離が2mm、高周波電源131の発振周波数が固定で2.38kHzであり、1周当たり、2000点のデータを測定した。
上記測定結果の例のうち、CO2 レーザの溶接出力を、3000W、4000W、5000Wとしたときの測定結果を、図12(A)〜(C)に例示する。
図12(A)〜(C)において、曲線CVV0は検出コイル112で検出した位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 の生データを示し、曲線CVdは距離センサー15で測定したリフトオフ量変動値を意味する距離センサー15の測定値の変動値(距離変動値)を位置合わせした信号CV2aを示し、曲線CVVは図11を参照して述べたように位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 をリフトオフ量変動値で補正した位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号CV1aを示す。
Aは、距離(リフトオフ量)と磁気センサー11の相関関係を近似するため、最小二乗法で近似した一次式の傾きである。

0053

図13はCO2レーザの種々の溶接出力と、式3から得た磁気センサー11の出力の位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 の1周の平均値Vとの関係を示すグラフである。

0054

図14各溶接条件で製造した製品をカットし、実際にビード状の溶接部52の溶け込み深さを測定した値と、CO2レーザの種々の溶接出力との関係を示すグラフである。図14は、たとえば、CO2 レーザの溶接出力が4000Wのときは正規の溶け込み深さは5.8mmであり、CO2 レーザの溶接出力が5000Wのときは正規の溶け込み深さは7.0mmであることを示している。

0055

図15は以上の結果を用いて、磁気センサー11の出力平均値Vave と、ビード状の溶接部52の溶け込み深さXとの関係をプロットした図である。
図15の結果を、たとえば、最小二乗近似法などで近似処理を行えば、比較的広い範囲について、磁気センサー11の出力の平均値Vave と溶け込み深さXとの関係を求めることができる。また、ビード状の溶接部52の各点におけるベクトル和出力信号のリフトオフ量による補正値CV2a(V(y))を用いることで、ビード状の溶接部52の各点における溶け込み深さXを求めることもできる。
なお、CO2レーザの溶接出力が3000W〜5000Wの範囲で溶接した場合の溶け込み深さを検査する場合には、直線で近似することもできる。直線近似式を下記に示す。

0056

0057

式4を適用すると、信号処理装置30のCPU31において、検出コイル112の検出結果を補正した平均値(位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号の平均値(V(y))から、ビード部52の溶け込み深さXを求めることができる。

0058

なお、式4に例示した係数は、事前に基準となる検査対象について種々の溶接出力で溶接し、溶け込み深さとの関係を上述した非破壊方式で測定して求めておく。
以上の処理内容を整理すると図16フローチャートに示したように、下記になる。

0059

テップ1、準備動作
式4の係数を求めるために、下記の準備動作を行う。
(1)基準となる検査対象、たとえば、金属ベローズアキュムレータのシェル(製品50)について、溶接手段、たとえば、CO2レーザの溶接出力を種々変化させて溶接を行う。
(2)それらの溶接結果物を検査装置1を用いて検査し、検出コイル112の検出結果、距離センサー15の検出結果、および、エンコーダ19の検出結果から、図12(A)〜(C)に例示した、曲線CVV0(検出コイル112で検出した位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 の生データ)、曲線CVd(距離センサー15で測定したリフトオフ量を意味する距離の、エンコーダ19で検出した位置信号で位置合わせした後のデータ)で示されるデータが得られ、信号処理装置30のハード・ディスク34に記憶される。
(3)信号処理装置30は曲線CVVで示したように、図11を参照して述べたようにリフトオフ量で補正した位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号Vを示す結果をさらに求めて、ハード・ディスク34に記憶する。
(4)図13および図14に例示したデータから、図15に例示した溶け込み深さXと、磁気センサー11の出力平均値Vave との関係を整理して、式4に例示した磁気センサー11の出力平均値と溶け込み深さとの関係式における係数を求める。
(5)求めた式4の関係式を信号処理装置30のハード・ディスク34などに記憶しておく。
以下、実際の検査対象である金属ベローズアキュムレータのシェル(製品50)のビード部52について検査処理を行う。

0060

ステップ2、検査準備動作
たとえば、CO2レーザで溶接されてビード部52が形成された金属ベローズアキュムレータのシェル(製品50)を検査テーブル22に載置する。
磁気センサー11および距離センサー15は、製品50の周囲に所定間隔を隔てて配置されているものとする。

0061

ステップ3、データ採取動作
信号処理装置30を動作させて下記の動作を行う。
(1)CPU31が、モータ駆動装置25を介してモータ23を駆動して検査テーブル22を回転させ、製品50を回転させる。
(2)CPU31は、モータ23の回転と同時に、エンコーダ19の検出値、磁気センサー11の検出値、距離センサー15の検出値を所定時間間隔で入力し、ハード・ディスク34に連続的に記憶していく。このデータ採取動作を製品50が1回転するまで連続して行う。その結果、CO2レーザの溶接出力に応じた図12(A)のいずれかに対応する特性、すなわち、曲線CVV0(検出コイル112で検出した位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 の生データ)、および、曲線CV2(距離センサー15で測定したリフトオフ量を意味する距離の生データ)で示されるデータが得られる。
(3)好ましくは、CPU31は、曲線CV1および曲線CV2で示されるデータをキーボード付き表示装置35に表示することでできる。

0062

検査条件としては、たとえば、製品50の1周の回転速度が、1周/7秒、磁気センサー11と製品50(またはビード部52)との間の離隔距離が2mm、高周波電源131の発振周波数が固定で2.38kHzであった。

0063

ステップ4、位置合わせ処理
CPU31は、ハード・ディスク34に記憶されたエンコーダ19の位置検出信号を用いて、磁気センサー11の位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 と、距離センサー15の検出信号との位置合わせを行う(図9図11参照)。)

0064

ステップ5、リフトオフ量補正処理
CPU31は、図12(A)のいずれかにおける曲線CVVで示したように、リフトオフ量、すなわち、距離センサー15で測定した距離で補正した位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号Vを示す結果を求めて、ハード・ディスク34に記憶する。
好ましくは、CPU31は、曲線CVV0および曲線CVdで示されるデータと加えて、曲線CVVで示されるデータをキーボード付き表示装置35に表示することでできる。

0065

ステップ6、溶け込み深さの演算
CPU31は、ハード・ディスク34に記憶された補正した位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V(y)を、事前に得られた式4に適用して、製品50のビード部52の各部分の溶け込み深さXを演算する。この演算処理をビード部52の全域について行う。
好ましくは、CPU31は、演算して求めた溶け込み深さXをキーボード付き表示装置35に表示することができる。

0066

ステップ7、溶接良否判定
好ましくは、検査技師は、図14に例示したいずれかに例示される、CO2レーザの溶接出力に応じた基準の溶け込み深さに余裕、たとえば、±10%の余裕を付加した制限値、たとえば、上限値と下限値とを事前に、キーボード付き表示装置35を用いて、たとえば、ハード・ディスク34に記憶しておく。
CPU31は、好ましくは、ステップ6において得た溶け込み深さが、制限値内に入っているか否かを判定し、制限値から逸脱した場合、その位置データ(エンコーダ19の検出値)とともに、溶け込み深さをキーボード付き表示装置35および/または図示しないプリンタ装置に出力して、検査技師に注意喚起させたり、検査結果として記録することができる。

0067

以上のとおり、本実施の形態においては、(1)磁気センサー11により位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 を検出し、また、距離センサー15によりビード部52のリフトオフ量を検出し、(2)必要に応じて、位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 とリフトオフ量との位置合わせを行い、(3)位置合わせをした位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 をリフトオフ量で補正し、(4)補正した位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V(y)を事前に求めた係数を求めた式4の演算を行うことにより、ビード部52の溶け込み深さXを求めることができる。
また、必要に応じて、溶け込み深さXの良否判定を行う。

0068

本発明の第1実施の形態によれば、非破壊方式で、たとえば、溶接部の溶け込み深さのように、深さがあり、たとえば、溶接ビードの形成による変動などによるリフトオフ量の変動がかなり大きい場合でも、正確に、かつ、非破壊方式で、溶接部の状態を検査できた。
また本発明の第1実施の形態の溶接部の溶け込み深さを検査する装置1は、比較的簡単な構成である。

0069

第2実施の形態
第1実施の形態は検査対象として、図2に図解した、たとえば、金属ベローズアキュムレータのシェルであり、そのシェルを、たとえば、CO2レーザを用いて溶接した製品50について述べた。
本発明の第2実施の形態における検査対象は、製品50のように円筒状の製品ではなく、図17に例示したように平坦状の金属板60にビード部62を溶接によって形成した場合の溶接部の溶け込み深さを検査する例について述べる。

0070

第2実施の形態においても、ビード部62を含む金属板60と、磁気センサー11および距離センサー15とを相対的に移動させるが、第2実施の形態では、金属板60を回転させず、水平に移動させる。あるいは、金属板60を固定して磁気センサー11と距離センサー15とを水平に移動させる。それにより、ビード部62の長手方向に沿って、距離センサー15によるリフトオフ量、磁気センサー11による溶け込み深さXを示す情報が得られる。
このとき、エンコーダ19に代えて、リニアセンサのように水平移動位置を検出する位置検出センサを用いる。
磁気センサー11、距離センサー15、リニアセンサの目的は第1実施の形態と同じである。
磁気センサー11の励磁コイル111に印加する周波数fは、金属板60の透磁率、ビード部62の溶け込み深さXなどに応じて決定する。

0071

本発明の第2実施の形態によれば、第1実施の形態と同様、非破壊方式で、たとえば、溶接部の溶け込み深さのように、深さがあり、たとえば、溶接ビードの形成による変動などによるリフトオフ量の変動がかなり大きい場合でも、正確に、かつ、非破壊方式で、溶接部の状態を検査できた。
また本発明の第2実施の形態の溶接部の溶け込み深さを検査する装置は、比較的簡単な構成である。

0072

本発明の溶接部の溶け込み深さを検査する装置と方法を実施するには上述した実施の形態に限定されず、種々の変形態様をとることができる。

0073

たとえば、検査対象としては、上述した金属ベローズアキュムレータのシェルに限定されない。たとえば、第1透磁率を持つ第1磁性体としての製品50に第2透磁率を持つ第2磁性体が埋め込まれている場合に、両者の透磁率との相違に基づいて、磁気センサー11で位相差Δφと振幅差ΔHのベクトル和出力信号V0 を検出すれば、上述した金属ベローズアキュムレータのシェルのビード部52を検査したと同様に第2磁性体の埋め込み深さを測定または検査できる。

図面の簡単な説明

0074

図1は本発明の非破壊検査装置の第1実施の形態の溶接部溶け込み量検査装置の構成図である。
図2は溶接によって製品に形成されたビード部の拡大図である。
図3図1に示した信号処理装置の構成を示す図である。
図4は、磁気センサーの断面構成と、磁気センサー駆動・検出装置の回路構成例を示す図である。
図5(A)、(B)は、磁気センサーの検出コイルで検出する渦電流に基づくビード部(溶接部)を含む製品の正常状態と、正常でない状態の磁束分布を示す図である。
図6は渦電流を発生させるための磁気センサーの励磁の駆動電流の波形Vtraと、磁気センサーの検出コイルで検出する信号の波形Vrec について時間的に変化する様子を表した図である。
図7は振幅差ΔHを横軸にとり、位相差Δφを縦軸にとったグラフを示す。
図8(A)、(B)は光学式の距離センサーと、距離センサー駆動・検出装置の回路構成例とその動作を示す図である。
図9(A)、(B)は、磁気センサーの検出コイルの出力信号と、距離センサーの距離測定結果とを、時間経過またはエンコーダの位置検出値に応じてプロットした結果を示す図である。
図10は、横軸に示した、距離センサーで測定し、エンコーダの位置検出値を参照して位置合わせを行ったビード部のリフトオフ量の変動値CV2aと、縦軸に示した、磁気センサーの検出コイルで検出した、位相差と振幅差のベクトル和について位置補正した出力信号CV1aとの相関関係を示すグラフである。
図11は、図9(B)に示した、位相差と振幅差のベクトル和について位置補正した出力信号CV1aを、距離センサーで測定したリフトオフ量の変動値(距離の変動値)CV2aを用いて、実際に補正した結果を示す図である。
図12(A)〜(C)は、曲線CVV0として検出コイルで検出した位相差と振幅差のベクトル和出力信号の生データ、曲線CVdとして距離センサーで測定したリフトオフ量変動値を位置合わせした信号CV2a、曲線CVVとして位相差と振幅差のベクトル和出力信号をリフトオフ量変動値で補正した信号CV1aを示す図である。
図13はCO2レーザの種々の溶接出力と、式3から得た磁気センサーの出力の位相差と振幅差のベクトル和出力信号の1周の平均値との関係を示すグラフである。
図14は各溶接条件で製造した製品をカットし、実際にビード状の溶接部の溶け込み深さを測定した値と、CO2 レーザの種々の溶接出力との関係を示すグラフである。
図15は、磁気センサー11の出力平均値と、ビード状の溶接部の溶け込み深さとの関係をプロットした図である。
図16は本発明の実施の形態の動作処理を示すフローチャートである。
図17は第1実施の形態における溶接によって製品に形成されたビード部の溶け込み深さを検査する状態を示す図である。

符号の説明

0075

1…溶接部の溶け込み深さを検査する装置
11…磁気センサー
111…励磁コイル、112…検出コイル
13…磁気センサー駆動・検出装置
131…高周波電源、132…フィルタ回路、
133…位相差・振幅差検出回路
15…距離センサー(渦電流式距離センサーまたは光学式距離センサー) 光学式距離センサー
151…発光素子、152…受光素子
17…距離センサ駆動・検出装置
光学式距離センサー
171…発光素子励起回路、172…受光信号検出回路、
173…時間測定・制御回路
19…エンコーダ
20…回転テーブル
22…検査テーブル、23…モータ
30…信号処理装置
31…CPU、34…ハード・ディスク、
35…キーボード付き表示装置
50、60…溶接製品
52、62…ビード部
X…溶け込み深さ

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