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技術 組換え微生物

出願人 花王株式会社
発明者 河村富士夫七宮英晃遠藤圭二荒勝俊尾崎克也
出願日 2005年8月23日 (14年10ヶ月経過) 出願番号 2005-241457
公開日 2007年3月8日 (13年3ヶ月経過) 公開番号 2007-053940
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理
主要キーワード Bacillus属細菌 n領域 クラウジ 作動遺伝子 下流末端 上流末端 rRNAオペロン 薬剤耐性マーカー遺伝子断片
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年3月8日)のものです。
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図面 (4)

課題

タンパク質又はポリペプチド生産性がより向上された微生物、及び当該微生物を用いる目的のタンパク質又はポリペプチドを製造する方法を提供すること。

解決手段

枯草菌オペロンrrnA及びrrnDのいずれか、又は当該オペロンに相当するオペロンのいずれか1以上のオペロンが欠失又は不活性化された微生物株に、目的のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入した組換え微生物

概要

背景

微生物による有用物質工業的生産は、アルコール飲料味噌醤油等の食品類をはじめとし、アミノ酸有機酸核酸関連物質抗生物質糖質、脂質、タンパク質等、その種類は多岐に渡っており、またその用途についても食品医薬や、洗剤化粧品等日用品、或いは各種化成品原料に至るまで幅広い分野に広がっている。

こうした微生物による有用物質の工業生産においては、その生産性の向上が重要な課題の一つであり、その手法として、突然変異等の遺伝学的手法による生産菌の育種が行われてきた。特に最近では、微生物遺伝学バイオテクノロジー発展により、遺伝子組換え技術等を用いたより効率的な生産菌の育種が行われるようになっている。さらに、近年のゲノム解析技術の急速な発展を受けて、対象とする微生物のゲノム情報解読し、これらを積極的に産業に応用しようとする試みもなされている。ゲノム情報の公開されている産業的に有用な宿主微生物としては、枯草菌Bacillus subtilis Marburg No.168(非特許文献1)、大腸菌Escherichia coli K-12 MG1655(非特許文献2)、コリネバクテリウムCorynebacterium glutamicumATCC132032などが挙げられ、これらのゲノム情報を利用し、改良を加えた菌株が開発されている。しかしながら、上記のような取り組みにも関わらず、生産効率は必ずしも満足できるものではなかった。

一方、タンパク質の生合成において翻訳過程を行うリボソームリボソームタンパク質リボソームRNArRNA)の複合体であり、枯草菌では57種類のリボソームタンパク質と3種類のrRNA(16S、23S、5S)によって構成されている。リボソームタンパク質の殆どは枯草菌ゲノム上で1遺伝子にコードされているが、3種類のrRNAはtRNAと共にオペロンを構成し、枯草菌ゲノム上に10コピーrrnオペロン(rrnA, rrnB, rrnD, rrnE, rrnG, rrnH, rrnI, rrnJ, rrnO, rrnW)が存在することが知られている(非特許文献1,3)。しかしながら、これらrrnオペロンとタンパク質の生産性向上との関連については知られていない。
Nature,390,249,1997
Science,277,1453,1997
Bacillus subtilis and its closest relative, ASMpress, Washington D.C., Ed. by A.L. Sonenshein, p313, 2002

概要

タンパク質又はポリペプチドの生産性がより向上された微生物、及び当該微生物を用いる目的のタンパク質又はポリペプチドを製造する方法を提供すること。枯草菌のオペロンrrnA及びrrnDのいずれか、又は当該オペロンに相当するオペロンのいずれか1以上のオペロンが欠失又は不活性化された微生物株に、目的のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入した組換え微生物。 なし

目的

本発明は、タンパク質又はポリペプチドの生産性がより向上された微生物、及び当該微生物を用いる目的のタンパク質又はポリペプチドを製造する方法を提供することに関する。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

枯草菌オペロンrrnA及びrrnDのいずれか、又は当該オペロンに相当するオペロンのいずれか1以上のオペロンが欠失又は不活性化された微生物株に、目的のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入した組換え微生物

請求項2

さらに枯草菌のオペロンrrnH、rrnG及びrrnOのいずれか、又は当該オペロンに相当するオペロンのいずれか1以上のオペロンが欠失又は不活性化された請求項1記載の組換え微生物。

請求項3

微生物バチルス属(Bacillus)細菌である請求項1又は2記載の組換え微生物。

請求項4

バチルス(Bacillus)属細菌が枯草菌(Bacillus subtilis)である請求項3記載の組換え微生物。

請求項5

目的のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の上流転写開始制御領域翻訳開始制御領域又は分泌シグナル領域のいずれか1以上の領域を結合した請求項1〜4のいずれか1項記載の組換え微生物。

請求項6

転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域を結合した請求項5記載の組換え微生物。

請求項7

分泌シグナル領域がバチルス(Bacillus)属細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、転写開始制御領域及び翻訳開始制御領域が当該セルラーゼ遺伝子の上流0.6〜1kb領域由来のものである請求項5又は6記載の組換え微生物。

請求項8

転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が、配列番号1で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659の塩基配列、配列番号3で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696の塩基配列又は当該塩基配列のいずれかと70%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、又は当該塩基配列の一部が欠失、置換、若しくは付加した塩基配列からなるDNA断片である請求項5〜7のいずれか1項記載の組換え微生物。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項記載の組換え微生物を用いる目的のタンパク質又はポリペプチドの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、有用なタンパク質又はポリペプチド生産に用いる組換え微生物、及びタンパク質又はポリペプチドの生産方法に関する。

背景技術

0002

微生物による有用物質工業的生産は、アルコール飲料味噌醤油等の食品類をはじめとし、アミノ酸有機酸核酸関連物質抗生物質糖質、脂質、タンパク質等、その種類は多岐に渡っており、またその用途についても食品医薬や、洗剤化粧品等日用品、或いは各種化成品原料に至るまで幅広い分野に広がっている。

0003

こうした微生物による有用物質の工業生産においては、その生産性の向上が重要な課題の一つであり、その手法として、突然変異等の遺伝学的手法による生産菌の育種が行われてきた。特に最近では、微生物遺伝学バイオテクノロジー発展により、遺伝子組換え技術等を用いたより効率的な生産菌の育種が行われるようになっている。さらに、近年のゲノム解析技術の急速な発展を受けて、対象とする微生物のゲノム情報解読し、これらを積極的に産業に応用しようとする試みもなされている。ゲノム情報の公開されている産業的に有用な宿主微生物としては、枯草菌Bacillus subtilis Marburg No.168(非特許文献1)、大腸菌Escherichia coli K-12 MG1655(非特許文献2)、コリネバクテリウムCorynebacterium glutamicumATCC132032などが挙げられ、これらのゲノム情報を利用し、改良を加えた菌株が開発されている。しかしながら、上記のような取り組みにも関わらず、生産効率は必ずしも満足できるものではなかった。

0004

一方、タンパク質の生合成において翻訳過程を行うリボソームリボソームタンパク質リボソームRNArRNA)の複合体であり、枯草菌では57種類のリボソームタンパク質と3種類のrRNA(16S、23S、5S)によって構成されている。リボソームタンパク質の殆どは枯草菌ゲノム上で1遺伝子にコードされているが、3種類のrRNAはtRNAと共にオペロンを構成し、枯草菌ゲノム上に10コピーrrnオペロン(rrnA, rrnB, rrnD, rrnE, rrnG, rrnH, rrnI, rrnJ, rrnO, rrnW)が存在することが知られている(非特許文献1,3)。しかしながら、これらrrnオペロンとタンパク質の生産性向上との関連については知られていない。
Nature,390,249,1997
Science,277,1453,1997
Bacillus subtilis and its closest relative, ASMpress, Washington D.C., Ed. by A.L. Sonenshein, p313, 2002

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、タンパク質又はポリペプチドの生産性がより向上された微生物、及び当該微生物を用いる目的のタンパク質又はポリペプチドを製造する方法を提供することに関する。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、枯草菌オペロンrrnA及びrrnDのいずれか1以上を欠失又は不活性化することにより、特に、枯草菌のオペロンrrnA及びrrnDのいずれか1以上が欠失又は不活性化された微生物からさらに、枯草菌オペロンrrnH、rrnG及びrrnO のいずれか1以上を欠失又は不活性化することにより、目的のタンパク質又はポリペプチドの生産性が向上することを見出した。

0007

すなわち本発明は、枯草菌のオペロンrrnA及びrrnDのいずれか、又は当該オペロンに相当するオペロンのいずれか1以上のオペロンが欠失又は不活性化された微生物株に、目的のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を導入した組換え微生物に関する。

0008

また本発明は、当該組換え微生物を用いる目的のタンパク質又はポリペプチドの製造方法に関する。

発明の効果

0009

本発明の組換え微生物を用いることにより、目的のタンパク質又はポリペプチドの生産性向上を図ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0010

本発明においてアミノ酸配列および塩基配列同一性はLipman-Pearson法 (Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。

0011

本発明の微生物を構築するための親微生物としては、枯草菌のオペロンrrnA及びrrnDのいずれか、又は当該オペロンに相当するオペロンのいずれか1以上を有するものであればよいが、さらに枯草菌のオペロンrrnA、rrnD、rrnH、rrnG及びrrnOのいずれか、又は当該オペロンに相当するオペロンのいずれか1以上を有するものが好ましく、これらは野生型のものでも変異を施したものでもよい。具体的には、バチルス(Bacillus)属細菌や、クロストリジウム(Clostridium)属細菌、或いは酵母等が挙げられ、中でもバチルス(Bacillus)属細菌が好ましい。更に、全ゲノム情報が明らかにされ、遺伝子工学、ゲノム工学技術が確立されている点、またタンパク質を菌体外分泌生産させる能力を有する点から特に枯草菌(Bacillus subtilis)が好ましい。尚、本発明においてオペロンとは、当該微生物のゲノム上において連続して存在し、且つ同一の転写単位に属する遺伝子と、該転写単位の発現制御に関わるプロモーターオペレーターなどの作動遺伝子を含んで構成される遺伝子群を指す。

0012

本発明において欠失又は不活性化の対象となる枯草菌のオペロンは、rrnA及びrrnDのいずれか、又は当該オペロンに相当するオペロンのいずれか1以上のオペロンである。また、枯草菌のオペロンrrnH、rrnG及びrrnOのいずれか、又は当該オペロンに相当するオペロンのいずれか1以上のオペロンをさらに欠失又は不活性化の対象とするのが好ましい。このうち、本発明においては、rrnHオペロン若しくはこれに相当するオペロン、rrnGオペロン若しくはこれに相当するオペロン、rrnOオペロン若しくはこれに相当するオペロン、及びrrnA若しくはrrnDオペロン又はこれらに相当するオペロンの欠失又は不活性化が好ましく、rrnHオペロン、rrnGオペロン、rrnOオペロン及びrrnAオペロン若しくはrrnDオペロンの欠失又は不活性化がより好ましい。

0013

本発明で用いられる枯草菌のオペロンrrnA、rrnD、rrnH、rrnG及びrrnOは、インターネット公開データベースSubtiList(http://genolist.pasteur.fr/SubtiList/、2001年4月26日更新)およびKunstらによる報告Nature 390:249-256(1997)及びHenkinによる総説Bacillus subtilis and its closest relative, ASMpress, Washington D.C., Ed. by A.L. Sonenshein, p313-322 (2002) に基づいた表記である。各rrnオペロンは16SrRNAをコードする遺伝子(以下、rrn-16S遺伝子とも称する)、23S rRNAをコードする遺伝子(以下、rrn-23S遺伝子とも称する)、5S rRNAをコードする遺伝子(以下、rrn-5S遺伝子とも称する)及びプロモーターやオペレーターなどの作動遺伝子を含んで構成され、またrrnAオペロン及びrrnDオペロンにはアミノ酸のペプチド鎖への結合に関与するtRNAをコードする遺伝子(以下、trn遺伝子或いはtrn-(アミノ酸3文字略号)遺伝子とも称する)も含んでいる。

0014

すなわち、枯草菌のオペロンrrnAには、http://genolist.pasteur.fr/SubtiList/、2001年4月26日更新のデータベースにおいて、塩基番号30277から31829からなるrrnA-16S遺伝子 (BG00011) が含まれ;塩基番号32175から35102からなるrrnA-23S遺伝子 (BG00014) が含まれ;塩基番号35235から35346からなるrrnA-5S遺伝子(BG00103)が含まれ;塩基番号31930から32006からなるtrnA-Ile遺伝子(BG00012)および塩基番号31930から32006からなるtrnA-Ile遺伝子(BG00013)が含まれる(図1)。
また、枯草菌のオペロンrrnDには、http://genolist.pasteur.fr/SubtiList/、2001年4月26日更新のデータベースにおいて、塩基番号946030から947583からなるrrnD-16S遺伝子(BG00096)が含まれ;塩基番号947751から950679からなるrrnD-23S遺伝子(BG00046)が含まれ;塩基番号950791から950906からなるrrnD-5S遺伝子(BG00047)が含まれ;塩基番号950916から952631の領域に16種類のtrnD遺伝子(BG00048、BG00049、BG00050、BG00051、BG00052、BG00053、BG00054、BG00055、BG00056、BG00057、BG00058、BG00059、BG00060、BG00061、BG00062、BG00063)が含まれる(図1)。
枯草菌のオペロンrrnHには、http://genolist.pasteur.fr/SubtiList/、2001年4月26日更新のデータベースにおいて、塩基番号166498から168051からなるrrnH-16S遺伝子(BG00044)が含まれ;塩基番号168217から171140からなるrrnH-23S遺伝子(BG00107)が含まれ;塩基番号171196から171307からなるrrnH-5S遺伝子(BG00101)が含まれる(図1)。
枯草菌のオペロンrrnGには、http://genolist.pasteur.fr/SubtiList/、2001年4月26日更新のデータベースにおいて、塩基番号171497から173046からなるrrnG-16S遺伝子(BG00102)が含まれ;塩基番号176196から176307からなるrrnG-23S遺伝子(BG00105)が含まれ;塩基番号173213から176140からなるrrnG-5S遺伝子(BG00106)が含まれる(図1)。
枯草菌のオペロンrrnOには、http://genolist.pasteur.fr/SubtiList/、2001年4月26日更新のデータベースにおいて、塩基番号9809から11361からなるrrnO-16S遺伝子(BG00005)が含まれ;塩基番号11707から14634からなるrrnO-23S遺伝子(BG00008)が含まれ;塩基番号14690から14801からなるrrnO-5S遺伝子(BG00009)が含まれ;塩基番号11462から11538からなるtrnO-Ile遺伝子(BG00006)および塩基番号11550から11625からなるtrnO-Ala遺伝子(BG00007)が含まれる(図1)。

0015

上に示される枯草菌の各オペロンと同じ機能を有する、及び/又は上記の各オペロンと塩基配列において70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有する、他の微生物由来、好ましくはBacillus属細菌由来のオペロンは、上に記載の遺伝子に相当するオペロンと考えられ、本発明において欠失、不活性化すべきオペロンに含まれる。
また、本発明のオペロンに相当するオペロンとしては、例えば、オペロンに含まれるrrn-16S遺伝子、rrn-23S遺伝子、rrn-5S遺伝子、作動遺伝子及びtrn遺伝子から選ばれる1以上が、オペロンrrnA、rrnD、rrnH、rrnG又はrrnOに含まれる遺伝子と、塩基配列において90%以上、好ましくは95%、より好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の同一性を有するものであるオペロンが挙げられる。このうち、オペロンに含まれるrrn-16S遺伝子、rrn-23S遺伝子、rrn-5S遺伝子及び作動遺伝子が、いずれも上記同一性を有するものであるオペロンが好ましい。

0016

欠失又は不活性化するオペロンは1以上であればよく、上記以外の遺伝子又はオペロン群の欠失又は不活性化を組み合わせることも可能である。更には上記オペロン群の欠失の他に、それ以外の遺伝子又はオペロン群の発現強化及び機能強化を組み合わせることも可能であり、生産性向上に対してより大きな効果が期待される。
また、上記オペロンの不活性化は、当該オペロン中に他のDNA断片を挿入する、或いは当該オペロンに含まれる遺伝子の転写翻訳開始領域に変異を与える等の方法によって行うことができるが、好適には、標的オペロン物理的に欠失させる方がより望ましい。

0017

本発明において行われるオペロンの欠失又は不活性化としては、オペロンに含まれるtRNA遺伝子を欠失又は不活性化せずに行うものが好ましく、また、オペロンに含まれる16SrRNA遺伝子、23SrRNA遺伝子及び5SrRNA遺伝子を欠失又は不活性化することにより行われるものが好ましい。

0018

本発明遺伝子の欠失又は不活性化の手順としては、rrnA、rrnD、rrnH、rrnG及びrrnOのいずれか、又は当該オペロンに相当するオペロン(標的オペロン)を計画的に欠失又は不活性化する方法のほか、ランダムなオペロンの欠失又は不活性化変異を与えた後、適当な方法によりrRNA、tRNA生産性の評価及び遺伝子解析を行う方法が挙げられる。

0019

標的オペロンを欠失又は不活性化するには、例えば相同組換えによる方法を用いればよい。すなわち、標的オペロンの一部を含むDNA断片を適当なプラスミドベクタークローニングして得られる環状の組換えプラスミドを親微生物細胞内に取り込ませ、標的オペロンの一部領域に於ける相同組換えによって親微生物ゲノム上の標的オペロンを分断して不活性化することが可能である。或いは、塩基置換塩基挿入等の変異によって不活性化した標的オペロン、又は標的オペロンの上流下流領域を含むが標的オペロンを含まない直鎖状のDNA断片等をPCR等の方法によって構築し、これを親微生物細胞内に取り込ませて親微生物ゲノムの標的オペロン内の変異箇所の外側の2ヶ所、又は標的オペロン上流側、下流側で2回交差の相同組換えを起こさせることにより、ゲノム上の標的オペロンを欠失或いは不活性化したオペロン断片と置換することが可能である。

0020

特に、本発明微生物を構築するための親微生物として枯草菌を用いる場合、相同組換えにより標的オペロンを欠失又は不活性化する方法については、既にいくつかの報告例があり(Mol.Gen.Genet., 223, 268, 1990等)、こうした方法を繰り返すことによって、本発明の宿主微生物を得ることができる。

0021

また、ランダムなオペロンの欠失又は不活性化についてもランダムにクローニングしたDNA断片を用いて上述の方法と同様な相同組換えを起こさせる方法や、親微生物にγ線等を照射すること等によっても実施可能である。

0022

以下に、より具体的にSOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61,1989)によって調製される欠失用DNA断片を用いた二重交差法による欠失方法について説明するが、本発明に於けるオペロン欠失方法は下記に限定されるものではない。

0023

本方法で用いる欠失用DNA断片は、欠失対象オペロンの上流に隣接する約1.0kb断片と、同じく下流に隣接する約1.0kb断片の間に、薬剤耐性マーカー遺伝子断片を挿入した断片である。まず、1回目のPCRによって、欠失対象オペロンの上流断片及び下流断片、並びに薬剤耐性マーカー遺伝子断片の3断片を調製するが、この際、例えば、上流断片の下流末端薬剤耐性マーカー遺伝子の上流側10〜30塩基対配列、逆に下流断片の上流末端には薬剤耐性マーカー遺伝子の下流側10〜30塩基対配列が付加される様にデザインしたプライマーを用いる。

0024

次いで、1回目に調製した3種類のPCR断片を鋳型とし、上流断片の上流側プライマーと下流断片の下流側プライマーを用いて2回目のPCRを行うことによって、上流断片の下流末端及び下流断片の上流末端に付加した薬剤耐性マーカー遺伝子配列に於いて、薬剤耐性マーカー遺伝子断片とのアニールが生じ、PCR増幅の結果、上流側断片と下流側断片の間に、薬剤耐性マーカー遺伝子を挿入したDNA断片を得ることができる。

0025

薬剤耐性マーカー遺伝子として、クロラムフェニコール耐性遺伝子を用いる場合、例えば表1〜4に示したプライマーセットを用い、Pyrobest DNAポリメーラーゼ(宝酒造)などの一般のPCR用酵素キット等を用いて、成書(PCR Protocols. Current Methodsand Applications, Edited by B.A.White, Humana Press pp251 ,1993、Gene,77,61,1989)等に示される通常の条件によりSOE−PCRを行うことによって、各遺伝子の欠失用DNA断片が得られる。

0026

かくして得られたオペロン欠失用DNA断片を、コンピテント法等によって細胞内に導入すると、同一性のある欠失対象オペロンの上流及び下流の相同領域において、細胞内での組換えが生じ、標的オペロンが薬剤耐性遺伝子と置換した細胞、或いは標的オペロン内に薬剤耐性遺伝子が挿入された細胞が薬剤耐性マーカーによる選択によって分離できる。即ち、後記表1〜4に示したプライマーセットを用いて調製した欠失用DNA断片を導入した場合、クロラムフェニコールを含む寒天培地上に生育するコロニーを分離し、ゲノムを鋳型としたPCR法などによってゲノム上の目的遺伝子がクロラムフェニコール耐性遺伝子と置換されていることを確認すれば良い。

0027

本発明の組換え微生物としては、クロラムフェニコール感受性であるものが好ましい。また、本発明の組換え微生物としては、オペロンの欠失又は不活性化を行う際に導入された薬剤耐性遺伝子等のマーカー遺伝子が除去された微生物が好ましい。

0028

本発明の組換え微生物を用いて生産される目的タンパク質又は目的ポリペプチドは、特に限定されず、例えば洗剤、食品、繊維、飼料化学品医療診断など各種産業用酵素や、生理活性ペプチドなどが挙げられるが、産業用酵素が好ましい。また、産業用酵素は、機能別に、酸化還元酵素(Oxidoreductase)、転移酵素(Transferase)、加水分解酵素(Hydrolase)、脱離酵素(Lyase)、異性化酵素(Isomerase)、合成酵素(Ligase/Synthetase)等が含まれ、好適には、セルラーゼα-アミラーゼプロテアーゼ等の加水分解酵素やクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)等の転移酵素が挙げられる。

0029

セルラーゼとしては、例えば、多糖加水分解酵素の分類(Biochem. J., 280, 309, 1991)中でファミリー5に属するセルラーゼが挙げられ、中でも微生物由来、特にBacillus属細菌由来のセルラーゼが挙げられる。より具体的な例として、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるBacillus属細菌KSM-S237株(FERM BP-7875)由来のアルカリセルラーゼ、または、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるBacillus属細菌KSM-64株(FERM BP-2886)由来のアルカリセルラーゼ、或いは、当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるセルラーゼが挙げられる。

0030

α−アミラーゼの具体例としては、微生物由来のα−アミラーゼが挙げられ、特にBacillus属細菌由来の液化アミラーゼが好ましい。より具体的な例として、配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるBacillus属細菌KSM-K38株(FERM BP-6946)由来のアルカリアミラーゼや、当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるアミラーゼが挙げられる。

0031

プロテアーゼの具体例としては、微生物由来、特にBacillus属細菌由来のセリンプロテアーゼ金属プロテアーゼ等が挙げられる。より具体的な例として、配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるバチルスクラウジ(Bacillus clausii)KSM-K16株(FERM BP-3376)由来のアルカリプロテアーゼや、当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるプロテアーゼが挙げられる。

0032

クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)の具体例としては、例えば、配列番号10で示されるアミノ酸配列からなるStaphylococcus aureus由来のCAT(J. Bacteriol., 158, 543, 1984)や、当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有し、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質が挙げられる。

0033

本発明の微生物に導入される目的タンパク質又はポリペプチドの遺伝子は、その上流に当該遺伝子の転写、翻訳分泌に関わる制御領域、即ち、プロモーター及び転写開始点を含む転写開始制御領域リボソーム結合部位及び開始コドンを含む翻訳開始領域並びに分泌シグナルペプチド領域から選ばれる1以上の領域が適正な形で結合されていることが望ましい。特に、転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が結合されていることが好ましく、更に分泌シグナルペプチド領域がバチルス(Bacillus)属細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、転写開始領域及び翻訳開始領域が当該セルラーゼ遺伝子の上流0.6〜1kb領域であるものが、目的のタンパク質又はポリペプチド遺伝子と適正な形で結合されていることが望ましい。例えば、特開2000-210081号公報や特開平4-190793号公報等に記載されているバチルス(Bacillus)属細菌、すなわちKSM-S237株(FERM BP-7875)、KSM-64株(FERM BP-2886)由来のセルラーゼ遺伝子の転写開始制御領域、翻訳開始領域及び分泌シグナルペプチド領域が目的のタンパク質又はポリペプチドの構造遺伝子と適正に結合されていることが望ましい。より具体的には、配列番号1で示される塩基配列の塩基番号1〜659の塩基配列、配列番号3で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696の塩基配列、また当該塩基配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、或いは上記いずれかの塩基配列の一部が欠失、置換、若しくは付加した塩基配列からなるDNA断片が、目的のタンパク質又はポリペプチドの構造遺伝子と適正に結合されていることが望ましい。尚、ここで、上記塩基配列の一部が欠失、置換、若しくは付加した塩基配列からなるDNA断片とは、上記塩基配列の一部を欠失、置換、若しくは付加しているが、遺伝子の転写、翻訳、分泌に関わる機能を保持しているDNA断片を意味する。

0034

上記の目的のタンパク質又はポリペプチド遺伝子を含むDNA断片と適当なプラスミドベクターを結合させた組換えプラスミドを、一般的な形質転換法を用いて宿主微生物細胞に取り込ませることによって、本発明の組換え微生物を得ることができる。また、当該DNA断片に宿主微生物ゲノムとの適当な相同領域を結合したDNA断片を用い、宿主微生物ゲノムに直接組み込むことによっても本発明の組換え微生物を得ることができる。

0035

本発明の組換え微生物を用いた目的のタンパク質又はポリペプチドの生産は、当該菌株を同化性の炭素源窒素源、その他の必須成分を含む培地接種し、通常の微生物培養法にて培養し、培養終了後、タンパク質又はポリペプチドを採取・精製することにより行えばよい。そして、後記実施例に示すように、目的のタンパク質又はポリペプチドの生産性は、本発明のオペロンを欠失又は不活性化していない微生物を用いた場合と比較して、その向上が達成されている。

0036

以下に、本発明の組換え微生物の構築方法及び当該組換え微生物を用いたセルラーゼの生産方法について具体的に説明する。
本実施例では、枯草菌168株野生株としてゲノム上のリボソームRNA(rrn)オペロンを欠失させた変異株を構築し、これらを宿主として用いた際の異種タンパク質の分泌生産性を評価した。

0037

<rrnオペロン欠失株の構築>
実施例 1 rrnH-rrnGオペロンの欠失1(薬剤耐性マーカーとの置換)
枯草菌168株のゲノム上で隣接して存在し、オペロン中にtRNA遺伝子(trn領域)を含まないものであるrrnHオペロン及びrrnGオペロンを以下の方法によって一括して欠失させた。まず、図2に示す様に168株から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、表1に示したrrnHG-AFWプライマーとrrnHG-ARV、及びrrnHG-BFWとrrnHG-BRVの各プライマーセットを用いてrrnHオペロンの上流側に隣接する約0.7kb断片(A)及びrrnGオペロンの下流に隣接する約0.5 kb断片(B)をそれぞれPCR法により増幅させ調製した。断片(A)及び断片(B)を、それぞれ制限酵素EcoRVとBamHI、及び制限酵素BamHIとSalIで処理した後、制限酵素EcoRVとSalIによって処理したプラスミドpBR322とのリガーゼ結合反応を行い、BamHI認識配列を介して断片(A)(B)が結合し、pBR322に挿入されたプラスミドptRNAを構築した。更に、本プラスミドをBamHIで切断後、プラスミドpCBB31(J Bacteriol., 186, 5450, 2004)を BglII/BamHI処理して得られたクロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(cat)遺伝子断片(約1.0 kb、 Staphylococcus aureusのプラスミドpC194由来、J. Bacteriol., 158, 543, 1984)との結合反応を行い、断片(A)(B)間にcat遺伝子断片(C)が挿入されたプラスミドptRNA-catを構築した。本プラスミドをNdeIで処理した後、コンピテント法による枯草菌168株に導入し、クロラムフェニコール50 ppmを含む寒天培地上に生育する形質転換体を分離した。得られた形質転換体のゲノムを鋳型としてPCR法により、rrnHオペロン及びrrnGオペロンからなるrrnH-rrnGオペロンがゲノム上から欠失し、CAT遺伝子断片に置換していることを確認した。本菌株をΔrrnHG-cat株と命名した。

0038

0039

実施例 2 rrnH-rrnGオペロンの欠失2(薬剤耐性マーカーの除去)
実施例1において構築したプラスミドptRNAをNdeIで切断し、これによって同じく実施例1で得られたΔrrnHG-cat株の形質転換処理を行った。プラスミドptRNAに由来する(A)(B)断片による相同組換え(二重交差)によって、ΔrrnH-rrnG-cat株ゲノムに挿入されたCAT遺伝子断片が欠失してクロラムフェニコール感受性となった株の存在比を高めるため、以下に示すアンピシリン法(Methodsin Molecular Genetics, Cold Spring Harbor Labs, (1970))による濃縮処理を行った。即ち、形質転換処理後の培養液LB培地に600nmにおける濁度OD600)が0.03になるように接種した。37℃にて約3時間培養後、終濃度50 ppmのクロラムフェニコールを添加して培養を継続し、更にその30分後に終濃度1000 ppmとなる様にアンピシリンナトリウムを添加して更に3時間培養した。培養終了後、菌体遠心洗浄し、LB寒天培地塗沫した。37℃にて約15時間インキュベーションし、生育した菌株のうち、cat遺伝子断片の脱落に伴ってクロラムフェニコール感受性となったものを分離した。分離菌株のゲノムDNAを鋳型とし、PCRによってrrnH-rrnGオペロンとCAT遺伝子断片の欠失を確認した。得られた菌株をΔrrnHG株と命名した。

0040

実施例3 rrnOオペロンの欠失
実施例2において構築したΔrrnHG株から、以下の方法により更にrrnOオペロンを欠失させた(図3)。まず、168株のゲノムを鋳型として表2に示したrrnO-DFWプライマーとrrnX-DRV/cat、及びrrnX-EFW/catとrrnO-ERVの各プライマーセットを用いてrrnOオペロンの上流側に隣接する約1.2kb断片(D)及びrrnOオペロンの下流に隣接する約1.0 kb断片(E)をそれぞれPCR法により調製した。尚、用いたプライマーrrnX-DRV/cat及びrrnX-EFW/catには、それぞれcat遺伝子断片(約0.7 kb、 Staphylococcus aureusのプラスミドpC194(J. Bacteriol., 158, 543, 1984)を鋳型とし、catpt1FW(cactttagataaaaatttaggagg:配列番号32)、catpt1RV(ctcatattataaaagccagtcat:配列番号33)両プライマーを用いてPCRにより調製)の下流側及び上流側との相同配列が付加されており、この結果、調製された断片(D)の下流末端及び断片(E)の上流末端にはcat遺伝子断片との相同配列が存在する。次に(D)(E)両断片、及び、cat遺伝子断片(F)を鋳型とし、表2に示したrrnO-DFWプライマーとrrnO-ERVプライマーを用いてSOE-PCR法によって3断片が(D)(F)(E)の順に結合した約2.9 kb断片(G)を調製した。本断片を用いてコンピテント法によりΔrrnHG株の形質転換処理を行った後、クロラムフェニコール50ppmを含む寒天培地上に生育する形質転換体を分離した。得られた形質転換体のゲノムを鋳型としてPCR法によって、rrnOオペロンがゲノム上から欠失し、CAT遺伝子断片に置換していることを確認した(ΔrrnHGO-cat株)。
引き続き、cat遺伝子断片の除去を以下の様に行った。上記と同様に168株のゲノムを鋳型として表2に示したrrnO-DFWプライマーとrrnX-DRV/E、及びrrnX-EFWとrrnO-ERVの各プライマーセットを用いてrrnOオペロンの上流側に隣接する約1.2 kb断片(H)及びrrnOオペロンの下流に隣接する約1.0 kb断片(I)をそれぞれPCR法により調製し、更に(H)(I)両断片を鋳型とし、rrnO-DFW及びrrnO-ERVのプライマーセットを用いてSOE-PCRによって両断片が結合した約2.2 kb断片(J)を調製した。本断片(J)によってΔrrnHGO-cat株の形質転換処理を行った後、実施例2と同様にしてアンピシリン濃縮処理を行って、rrnH、rrnG及びrrnO各オペロンが欠失、かつcat遺伝子断片を含まないΔrrnHGO株を構築した。

0041

0042

実施例4 rrnDオペロンの欠失
表3に示したrrnD-DFWプライマーとrrnX-DRV/cat、及びrrnX-EFW/catとrrnD-ERVの各プライマーセットを用いてプライマーセットを用い、実施例3と同様の方法によりΔrrnHGO株から更にrrnDオペロンを欠失させてcat遺伝子断片に置換したΔrrnHGOD-cat株を構築し、更に表3に示したrrnD-DFWプライマーとrrnX-DRV/E、及びrrnX-EFWとrrnD-ERVの各プライマーセットを用いて実施例3と同様にしてrrnH、rrnG、rrnO及びrrnD各オペロンが欠失、かつcat遺伝子断片を含まないΔrrnHGOD株を構築した。

0043

0044

実施例5 rrnAオペロンの欠失
実施例3において構築したΔrrnHGO株から、更にrrnAオペロンを欠失させた。rrnAオペロンにおいては16SrRNA遺伝子(以下、rrnA16S rRNA遺伝子ともいう)と23S rRNA遺伝子(以下、rrnA23S rRNA遺伝子ともいう)の間にtRNA遺伝子(以下、rrnA tRNA遺伝子ともいう)が存在するため、第1段階として16S rRNA遺伝子の欠失を行い、第2段階で23S rRNA遺伝子と5S rRNA遺伝子の欠失を行うことによってtRNA遺伝子を残し、rRNA遺伝子の欠失を行った(図4)。まず、第1段階として、表4に示したrrnA-KFWとrrnA-KRV/cat及びrrnA-LFW/catとrrnA-LRVのプライマーセットを用いてrrnA 16S rRNA遺伝子の上流に隣接する約1.2kb断片(K)及びrrnA 16S rRNA遺伝子下流領域からrrnA 23S rRNA遺伝子上流領域までの約0.8 kb断片(L)をそれぞれ調製した。次に(K)(L)両断片並びに実施例3と同様に調製したcat遺伝子断片(M)を鋳型とし、rrnA-KFWとrrnA-LRVのプライマーセットを用いたSOE-PCRによって、3断片が(K)(M)(L)の順で結合した約2.7 kb断片(N)を調製した。本断片(N)により実施例3と同様にして168株の形質転換を行い、rrnA 16S rRNA遺伝子の大部分がcat遺伝子断片と置換したΔrrnA16S-cat株を得た。第2段階としてΔrrnA16S-cat株のゲノムDNAを鋳型とし、rrnA-KFWとrrnA-LRV及びrrnA-OFW/NとrrnA-ORVの各プライマーセットを用いて、それぞれ前述の(N)断片及びrrnA 5S rRNA遺伝子の下流に隣接する約1.5 kbの断片(O)を調製した。断片(O)の上流末端にはrrnA-OFW/Nプライマーに由来する断片(N)下流末端との相同領域が存在しており、(N)(O)両断片を鋳型とし、rrnA-KFWとrrnA-ORVプライマーセットを用いたSOE-PCRによって、(N)(O)両断片が結合した約4.2 kb断片(P)を得た。本断片(P)によって実施例3で構築したΔrrnHGO株の形質転換を行い、rrnA 16S rRNA遺伝子の大部分がcat遺伝子断片と置換し、更にrrnA 23S及び5S rRNA遺伝子が欠失したΔrrnHGOA-cat株を得た。更に最終段階としてΔrrnHGOA-cat株からcat遺伝子断片の除去を以下の様に行った。すなわち、まずΔrrnHGOA-cat株のゲノムを鋳型とし、rrnA-KFWとrrnA-KRV/R、rrnA-OFW/NとrrnA-ORV及びrrnA-RFWとrrnA-RRVのプライマーセットを用いてrrnA 16S rRNA遺伝子の上流に隣接する約1.2 kb断片(Q)、rrnA 5S rRNA遺伝子の下流に隣接する約1.5 kbの断片(O)及びrrnA 16S rRNA遺伝子の下流領域からrrnA 23S rRNA遺伝子の上流末端までの約0.4 kb断片(R)をそれぞれ調製した。断片(Q)及び断片(R)のそれぞれ下流及び上流末端には用いたプライマーrrnA-KRV/R及びrrnA-OFW/Nに由来する断片(R)の上流及び下流末端との相同配列が付加されており、(Q)(O)(R)各断片を鋳型とし、rrnA-KFWとrrnA-ORVをプライマーとするSOE-PCRによって3断片が(Q)(O)(R)の順で結合した約3.1 kbの断片(S)を調製した。断片(S)によってΔrrnHGOA-cat株を形質転換し、さらにアンピシリン濃縮を行うことによって、rrnH、rrnG、rrnO及びrrnA各オペロンが欠失、かつcat遺伝子断片を含まないΔrrnHGOA株を構築した。

0045

0046

実施例6構築したrrnオペロン欠失変異株の異種タンパク質生産性評価
実施例1−5で作製した本発明に係るrrnオペロン欠失変異株を宿主とした異種タンパク質分泌生産性の評価を行った。本例ではrrnオペロン欠失変異株に導入する異種タンパク質として、アルカリセルラーゼを使用した。

0047

<アルカリセルラーゼ分泌生産評価方法
アルカリセルラーゼ分泌生産性評価は以下の様に行った。即ち、バチルスエスピー(Bacillus sp.)KSM-S237株(FERM BP-7875)由来のアルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000-210081号公報)断片(3.1kb)がシャトルベクターpHY300PLKのBamHI制限酵素切断点に挿入された組換えプラスミドpHY-S237を、プロトプラスト形質転換法によって各菌株に導入した。これによって得られた組換え菌株を10 mLのLB培地で一夜37℃で振盪培養を行い、更にこの培養液0.05 mLを50 mLの2×L−マルトース培地(2%トリプトン、1%酵母エキス、1% NaCl、7.5% マルトース、7.5 ppm硫酸マンガン4-5水和物、15 ppmテトラサイクリン)に接種し、30℃にて3日間振盪培養を行った。遠心分離によって菌体を除いた培養液上清アルカリセルラーゼ活性を測定し、培養によって菌体外に分泌生産されたアルカリセルラーゼの量を求めた。
セルラーゼ活性測定については、1/7.5Mリン酸緩衝液(pH7.4和光純薬)で適宜希釈したサンプル溶液50μLに0.4mMパラニトロフェニル-β-セロトリオシド(p-nitrophenyl-β-D-cellotrioside、生化学工業)を50μL加えて混和し、30℃にて反応を行った際に遊離するp-ニトロフェノール量を420nmにおける吸光度(OD420nm)変化により定量した。1分間に1μmolのp-ニトロフェノールを遊離させる酵素量を1Uとした。

0048

<アルカリセルラーゼ分泌生産評価結果>
表5に示す様に、ΔrrnHGOD株及びΔrrnHGOA株を宿主として用いた場合、野生株を宿主とした場合を上回るセルラーゼの分泌生産が認められた。一方、宿主としてΔrrnHGO株を用いた場合の生産性は野生株を用いた際と同等以下であった。ΔrrnHGOD株及びΔrrn HGOA株との比較から、rrnDオペロン、或いはrrnAオペロンの欠失、或いは両欠失とrrnHオペロン、rrnGオペロン及びrrnOオペロンの欠失の組合わせがタンパク質生産性向上に有効であるものと考えられた。

0049

図面の簡単な説明

0050

枯草菌のrRNAオペロンの構造を示した図である。
rrnHオペロン及びrrnGオペロンを欠失した組換え微生物を構築する方法の一例を示した図である。
rrnOオペロンを欠失した組換え微生物を構築する方法の一例を示した図である。
rrnAオペロンを欠失した組換え微生物を構築する方法の一例を示した図である。

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