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技術 位相差フィルムの波長分散調整方法およびそれを用いたフィルムの製造方法

出願人 株式会社カネカ
発明者 新宅将人白藤文明栗本健二
出願日 2005年8月15日 (14年10ヶ月経過) 出願番号 2005-235549
公開日 2007年3月1日 (13年4ヶ月経過) 公開番号 2007-052079
状態 拒絶査定
技術分野 回折格子、偏光要素、ホログラム光学素子 液晶4(光学部材との組合せ) 偏光要素 液晶4(光学部材との組合せ) 高分子成形体の製造 高分子組成物
主要キーワード 工程能力 材料特性値 生産ロット 液晶表示用装置 環状オレフィン系ポリマー セルロース分子中 画質向上効果 蒸留設備
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年3月1日)のものです。
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課題

複数のポリマーを混合することによって所望の波長分散を有する位相差フィルムを得る。特に、所望の波長分散を得るための波長分散の調整方法と、それを用いた透明フィルムおよび位相差フィルムの製造方法の提供を目的とする。

解決手段

互いに相溶しうる少なくとも2種類のポリマーAおよびポリマーBからなる位相差フィルムを製造するにあたり、それぞれのポリマー単体での波長分散を基に、ポリマーの重量比を所定の範囲内とする。

概要

背景

位相差フィルム液晶表示装置等の表示装置に広く使用されている。位相差フィルムとしては一般に、ポリカーボネート環状ポリオレフィン等の高分子からなる透明フィルムが使用されている。

位相差フィルムの用途はさらに広がっており、それにつれてより高度な機能が要求されてきている。それら要求のうち特に重要な特性として、位相差波長分散が挙げられる。位相差はその測定波長によって値が異なるが(これを位相差の「波長分散」と呼ぶ)、位相差フィルムに最適とされる波長分散は、液晶表示装置に用いられる液晶セル偏光板等の光学設計により異なっている。そのため、位相差フィルムを製造する立場からすると、液晶表示装置の光学設計に合致するものを用意することが望ましい。しかしながら、位相差の波長分散は位相差フィルムを構成する材料によりほぼ決定されてしまうため、液晶表示装置ごとに、最適な位相差の波長分散を有する種々の位相差フィルムを提供するには、非常に多数の材料を保有し、フィルム化することを考えなくてはならないといった問題があった。

この問題を解決するために、複数の高分子の混合体あるいは共重合フィルム一軸延伸してなる位相差フィルムにより波長分散を調整する方法が開示されている(例えば特許文献1を参照のこと)。

しかし、一般にポリマー同士は相溶性が悪いので、それらを混合した場合には相分離により透明性が低下するという問題があった。この問題を解決するために、互いに相溶するポリマーの組み合わせにより波長分散を調整する方法、が開示されている(例えば特許文献2を参照のこと)。さらに、互いに相溶しうる2種類のポリマーの波長分散の差を規定することにより、波長分散を調整した位相差フィルムが開示されている(例えば特許文献3を参照のこと)。また、酢化度が異なる2種類以上のセルロースアセテートの酢化度を規定することにより、長波長ほど位相差が大きいという特性を有し、かつ、波長分散を調整した位相差フィルムが開示されている(例えば特許文献4を参照のこと)。
特許第2780190号公報
特開平4-194902号公報
特開2002-14234号公報
特開2001-253971号公報

概要

複数のポリマーを混合することによって所望の波長分散を有する位相差フィルムを得る。特に、所望の波長分散を得るための波長分散の調整方法と、それを用いた透明フィルムおよび位相差フィルムの製造方法の提供を目的とする。互いに相溶しうる少なくとも2種類のポリマーAおよびポリマーBからなる位相差フィルムを製造するにあたり、それぞれのポリマー単体での波長分散を基に、ポリマーの重量比を所定の範囲内とする。 なし

目的

複数のポリマーを混合することによって所望の波長分散を有する位相差フィルムを得るためには、それらのポリマーの混合比が重要となる。しかしながら、前記した特許文献等においては、これらの波長分散の調整方法が記載されておらず、明確とはなっていなかった。また、実際の製造工程においては、複数のポリマーの混合比に誤差が生じ、所望とする波長分散からの乖離が起こる可能性があるため、製造工程においては、これら混合比の誤差に関する許容範囲を設定しておくことが望ましい。本発明は単一のフィルムによって、所望の波長分散を得るための波長分散の調整方法と、それを用いた透明フィルムおよび位相差フィルムの製造方法の提供を目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
2件

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請求項1

互いに相溶しうる少なくとも2種類のポリマーAおよびポリマーBからなる位相差フィルムを製造するにあたり、得られる位相差フィルムPの波長λnmにおける正面位相差をReP(λ)、ReP(450)/ReP(550)=RP、またポリマーX(XはAまたはBを表す)のガラス転移温度をTgXとした時に、ポリマーXを単体フィルムとし、温度(TgX+5)℃にてその製膜方向に50%自由端一軸延伸してなる位相差フィルムの波長λnmにおける正面位相差をReX(λ)、ReX(450)/ReX(550)=RX、その位相差フィルムの厚みをdx、更にReX(550)/dx=ΔNx(550)としたとき、位相差フィルムPにおける、ポリマーAとポリマーBの重量比(ポリマーBの重量/ポリマーAの重量)WABを下記式の範囲内とすることを特徴とする位相差フィルムの波長分散調整方法

請求項2

(RA−RB)の絶対値が0.05以上であるポリマーAとポリマーBを用いることを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項3

RP<1であることを特徴とする、請求項1または2に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項4

ポリマーAおよびポリマーBがセルロース誘導体であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項5

前記セルロース誘導体が、セルロース水酸基炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートであることを特徴とする請求項4に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項6

前記アシル基の置換度が、2.0以上、2.9以下であることを特徴とする請求項5に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項7

前記アシル基がアセチル基およびプロピオニル基であり、アセチル置換度(DSac)とプロピオニル置換度(DSpr)の比(DSpr/DSac)が2以上であることを特徴とする請求項5または6に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項8

ポリマーAのアシル基の置換度が2.0以上、2.6以下、ポリマーBのアシル基の置換度が2.5以上、2.9以下であり、かつポリマーAとポリマーBのアシル基の置換度の差が0.05以上であることを特徴とする請求項6から7のいずれか1項に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項9

ポリマーAおよびポリマーBの一方がセルロースの水酸基が炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートであり、もう一方がセルロースの水酸基が炭素数4以下のアルコキシル基で置換されたセルロースエーテルであることを特徴とする、請求項4に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項10

前記セルロースの水酸基が炭素数4以下のアルコキシル基で置換されたセルロースエーテルのアルコキシ基エトキシ基であり、エトキシ置換度(DSet)が2.0≦DSet≦2.8であることを特徴とする、請求項9に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項11

セルロースの水酸基が炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートのアシル基の置換度が、2.0以上、2.9以下であることを特徴とする、請求項10に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項12

アシル基がアセチル基およびプロピオニル基であり、アセチル置換度(DSac)とプロピオニル置換度(DSpr)の比(DSpr/DSac)が2以上であることを特徴とした、請求項11に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法。

請求項13

請求項1から12のいずれか1項に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法により調整された樹脂組成物

請求項14

請求項1から12のいずれか1項に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法により調整された樹脂組成物をフィルム化することを特徴とする、透明フィルムの製造方法。

請求項15

ソルベントキャスト法によってフィルム化することを特徴とする、請求項14に記載の透明フィルムの製造方法。

請求項16

ポリマーAおよびポリマーBを、それぞれ単独に有機溶剤に溶解した後、それらの溶液を請求項1から12のいずれか1項に記載の位相差フィルムの波長分散調整方法により混合し、ソルベントキャスト法によってフィルム化することを特徴とする、請求項15に記載の透明フィルムの製造方法。

請求項17

有機溶剤が単独の溶剤であることを特徴とする、請求項15または請求項16のいずれか1項に記載の透明フィルムの製造方法。

請求項18

単独の有機溶剤が塩化メチレンであることを特徴とする、請求項17に記載の透明フィルムの製造方法。

請求項19

請求項15から18のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された透明フィルムを少なくとも一軸方向に延伸または収縮することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。

技術分野

0001

本発明は位相差フィルム波長分散調整方法に関する。さらにまた、本発明は位相差フィルムの波長分散調整方法を用いた透明フィルムおよび、位相差フィルムの製造方法に関する。

背景技術

0002

位相差フィルムは液晶表示装置等の表示装置に広く使用されている。位相差フィルムとしては一般に、ポリカーボネート環状ポリオレフィン等の高分子からなる透明フィルムが使用されている。

0003

位相差フィルムの用途はさらに広がっており、それにつれてより高度な機能が要求されてきている。それら要求のうち特に重要な特性として、位相差波長分散が挙げられる。位相差はその測定波長によって値が異なるが(これを位相差の「波長分散」と呼ぶ)、位相差フィルムに最適とされる波長分散は、液晶表示装置に用いられる液晶セル偏光板等の光学設計により異なっている。そのため、位相差フィルムを製造する立場からすると、液晶表示装置の光学設計に合致するものを用意することが望ましい。しかしながら、位相差の波長分散は位相差フィルムを構成する材料によりほぼ決定されてしまうため、液晶表示装置ごとに、最適な位相差の波長分散を有する種々の位相差フィルムを提供するには、非常に多数の材料を保有し、フィルム化することを考えなくてはならないといった問題があった。

0004

この問題を解決するために、複数の高分子の混合体あるいは共重合フィルム一軸延伸してなる位相差フィルムにより波長分散を調整する方法が開示されている(例えば特許文献1を参照のこと)。

0005

しかし、一般にポリマー同士は相溶性が悪いので、それらを混合した場合には相分離により透明性が低下するという問題があった。この問題を解決するために、互いに相溶するポリマーの組み合わせにより波長分散を調整する方法、が開示されている(例えば特許文献2を参照のこと)。さらに、互いに相溶しうる2種類のポリマーの波長分散の差を規定することにより、波長分散を調整した位相差フィルムが開示されている(例えば特許文献3を参照のこと)。また、酢化度が異なる2種類以上のセルロースアセテートの酢化度を規定することにより、長波長ほど位相差が大きいという特性を有し、かつ、波長分散を調整した位相差フィルムが開示されている(例えば特許文献4を参照のこと)。
特許第2780190号公報
特開平4-194902号公報
特開2002-14234号公報
特開2001-253971号公報

発明が解決しようとする課題

0006

複数のポリマーを混合することによって所望の波長分散を有する位相差フィルムを得るためには、それらのポリマーの混合比が重要となる。しかしながら、前記した特許文献等においては、これらの波長分散の調整方法が記載されておらず、明確とはなっていなかった。また、実際の製造工程においては、複数のポリマーの混合比に誤差が生じ、所望とする波長分散からの乖離が起こる可能性があるため、製造工程においては、これら混合比の誤差に関する許容範囲を設定しておくことが望ましい。本発明は単一のフィルムによって、所望の波長分散を得るための波長分散の調整方法と、それを用いた透明フィルムおよび位相差フィルムの製造方法の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者等は、鋭意検討した結果、2種類のポリマーの重量比を所定の範囲とすることで上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。

0008

すなわち、本発明は、互いに相溶しうる少なくとも2種類のポリマーAおよびポリマーBからなる位相差フィルムを製造するにあたり、得られる位相差フィルムPの波長λnmにおける正面位相差をReP(λ)、ReP(450)/ReP(550)=RP、またポリマーX(XはAまたはBを表す)のガラス転移温度をTgXとした時に、ポリマーXを単体でフィルムとし、温度(TgX+5)℃にてその製膜方向に50%自由端一軸延伸してなる位相差フィルムの波長λnmにおける正面位相差をReX(λ)、ReX(450)/ReX(550)=RXとしたとき、位相差フィルムPにおける、ポリマーAとポリマーBの重量比(ポリマーBの重量/ポリマーAの重量)WABを下記の式1の範囲内とすることを特徴とした位相差フィルムの波長分散調整方法に関する。

0009

さらに、本発明の位相差フィルムの波長分散調整方法においては、(RA−RB)の絶対値が0.05以上であるポリマーAとポリマーBを用いることが好ましい。

0010

さらに、本発明の位相差フィルムの波長分散調整方法においては、得られる位相差フィルムPの波長λnmにおける正面位相差をReP(λ)、ReP(450)/ReP(550)=RPとしたとき、RP<1であることが好ましい。

0011

さらに、本発明の位相差フィルムの波長分散調整方法においては、ポリマーAおよびポリマーBがセルロース誘導体であることが好ましい。

0012

さらに、本発明の位相差フィルムの波長分散調整方法においては、前記セルロース誘導体が、セルロース水酸基炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートであることが好ましい。

0013

さらに、本発明の位相差フィルムの波長分散調整方法においては、前記アシル基の置換度が、2.0以上、2.9以下であることが好ましい。

0014

さらに、本発明の位相差フィルムの波長分散調整方法においては、前記アシル基がアセチル基およびプロピオニル基であり、アセチル置換度(DSac)とプロピオニル置換度(DSpr)の比(DSpr/DSac)が2以上であることが好ましい。

0015

さらに、本発明の位相差フィルムの波長分散調整方法においては、ポリマーAのアシル基の置換度が2.0以上、2.6以下、ポリマーBのアシル基の置換度が2.5以上、2.9以下であり、かつポリマーAとポリマーBのアシル基の置換度の差が0.05以上であることが好ましい。

0016

また、本発明の位相差フィルムの波長分散調整方法においては、ポリマーAおよびポリマーBの一方がセルロースの水酸基が炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートであり、もう一方がセルロースの水酸基が炭素数4以下のアルコキシル基で置換されたセルロースエーテルであることも好ましい構成である。

0017

さらに、前記セルロースの水酸基が炭素数4以下のアルコキシル基で置換されたセルロースエーテルのアルコキシ基エトキシ基であり、エトキシ置換度(DSet)が2.0≦DSet≦2.8であることが好ましい。

0018

さらに、前記した位相差フィルムの波長分散調整方法においては、セルロースの水酸基が炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートのアシル基の置換度が、2.0以上、2.9以下であることが好ましい。

0019

さらに、前記した位相差フィルムの波長分散調整方法においては、アシル基がアセチル基およびプロピオニル基であり、アセチル置換度(DSac)とプロピオニル置換度(DSpr)の比(DSpr/DSac)が2以上であることが好ましい。

0020

さらにまた、本発明は、位相差フィルムの波長分散調整方法により調整された樹脂組成物に関する。

0021

さらにまた、本発明は、前記樹脂組成物を有機溶剤に溶解し、ソルベントキャスト法によってフィルム化する透明フィルムの製造方法に関する。

0022

さらにまた、本発明は、ポリマーAおよびポリマーBを、それぞれ単独に有機溶剤に溶解した後、それらの溶液を前記した位相差フィルムの波長分散調整方法により混合し、ソルベントキャスト法によってフィルム化する透明フィルムの製造方法に関する。

0023

さらに、本発明の透明フィルムの製造方法においては、前記有機溶剤が単独の溶剤であることが好ましい。

0024

さらに、本発明の透明フィルムの製造方法においては、前記単独の有機溶剤が塩化メチレンであることが好ましい。

0025

さらにまた、本発明は前記の方法により製造された透明フィルムを少なくとも一軸方向に延伸または収縮する位相差フィルムの製造方法に関する。

発明の効果

0026

本発明により、所望の波長分散を有し、液晶表示用装置等に用いることができる、透明フィルムおよび、位相差フィルムを安定的に製造することができる。

発明を実施するための最良の形態

0027

本発明は、互いに相溶しうる少なくとも2種類のポリマーAおよびポリマーBからなる位相差フィルムの波長分散調整方法に関する。一般に位相差フィルムは液晶表示装置に用いられるが、透明であることが必要であるので、それら混合されるポリマーは互いに相溶しうる(相溶性である)ことが重要である。ここで相溶性であるとは、混合されたポリマーからなるフィルムのヘイズ値が3%以下であることを言う。ヘイズ値として好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。ヘイズの範囲が前記範囲を超えると、液晶表示装置においてコントラストが低下するといった問題を生じる場合がある。

0028

本発明において、ポリマーAとBはその複屈折の符号が異なっていても(つまり正と負の組み合わせ)よく、同じであってもよい。ここで、複屈折が正であるとは、該ポリマーを延伸した際に、延伸した方向の屈折率が大きくなる、すなわち、延伸方向が遅相軸になることを指し、複屈折が負であるとは、該ポリマーを延伸した際に、延伸した方向の屈折率が小さくなる、すなわち、延伸方向が進相軸になることを指す。

0029

本発明においては、ポリマーAおよびBは、それぞれ単独で位相差フィルムを形成したとき、位相差の波長分散がすべて同じではない、すなわち、ポリマーA単独で形成された位相差フィルムにおける位相差の波長分散と、ポリマーB単独で形成された位相差フィルムにおける位相差の波長分散が異なるものであり、ポリマーX(ただし、XはAまたはBである)を、単体で位相差フィルムとしたときの波長λnmにおける正面位相差をReX(λ)とし、ReX(450)/ReX(550)=RXとしたとき、(RA−RB)の絶対値は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.15以上である。この差が大きいほど多様な位相差波長分散を持つ位相差フィルムを作り出すことが可能となり、また、波長分散の調整が容易となる。

0030

ここで、本発明においてReX(λ)を求める方法に関して説明する。ポリマーXのガラス転移温度をTgXとし、ポリマーXを単体で溶剤に溶解した後にソルベントキャスト法によってフィルム化する。得られたフィルムを温度(TgX+5)℃にて、その製膜方向に元の長さの1.5倍となるように、すなわち、50%の倍率で自由端一軸延伸して位相差フィルムを作成する。この位相差フィルムの位相差を測定することによってReX(λ)を求めることができる。ポリマーのガラス転移温度は示差走査熱量計DSC)を用いて、JIS K−7121に記載の方法により測定することができる。位相差は、分光エリプソメーターや、王子計測機器(株)製の商品名「KOBRA」等の位相差計による平行ニコル回転法回転偏光子法等によって求めることができる。

0031

さらに、本発明においては、得られる位相差フィルムの550nmにおける位相差値ReP(550)と450nmにおける位相差値ReP(450)の比Rp={ReP(450)/ReP(550)}が1より小さい位相差フィルムにも好適に用いることができる。RP<1であるということは、長波長ほど位相差が大きいことを意味しているが、このような位相差フィルムは、可視光領域(概ね380〜770nmを指す)において任意の波長に対する位相差値が、測定波長に対して概ね1/4、あるいは1/2であるような位相差フィルム(それぞれλ/4板、λ/2板等と称される)や、これらと偏光板を貼り合わせて円偏光板直線偏光板として用いることができる。このような波長分散を有する位相差フィルムや円偏光板、直線偏光板は、例えば反射型液晶装置有機EL表示装置における反射防止膜や、液晶表示装置等に関連する多くの用途を有している。このような長波長ほど位相差が大きいフィルムにおいては、RP<1であり、より好ましくはRP<0.97、さらに好ましくはRP<0.95である。位相差の波長分散がこの範囲から外れた場合は、可視光領域の直線偏光をこのフィルムに入射した際、得られる偏光状態はある特定の波長では完全な円偏光が得られるものの、それ以外の波長では大きく円偏光から外れてしまうといった問題が生じる場合がある。理想的なλ/4板、λ/2板においては、RPの値は0.82であるが、用いられる液晶セルや偏光板等の光学設計により、その値を適宜定めることができる。

0032

本発明においては、ポリマーAとポリマーBの重量比(ポリマーBの重量/ポリマーAの重量)をWABとしたとき、WABの範囲を規定することで、位相差フィルムの波長分散を調整することができる。ポリマーAまたはポリマーB単体からなる位相差フィルムXの厚みをdx、ReX(550)/dx=ΔNx(550)(ただし、XはAまたはBを表す)としたとき、WABは式1の範囲内であることが好ましく、より好ましくは式2の範囲内、さらに好ましくは式3の範囲内である。

0033

0034

0035

ただし、本発明の明細書および特許請求の範囲においてlognと記載する場合は、10を底とするnの対数を表す。

0036

ここで、式1から式3の意味するところに関して述べる。位相差は複屈折ΔNとフィルムの厚みdの積で表され、一般に加成性成立する。そのため、ポリマーAとポリマーBを重量比A:Bで含有し、厚みdpの位相差フィルムの550nmにおける位相差ReP(550)は

0037

近似的に表される。

0038

同様に、ポリマーAとポリマーBを重量比がA:Bで含有し、厚みdpの位相差フィルムの450nmにおける位相差ReP(450)は

0039

で近似的に表される。
上記より、ポリマーAとポリマーBを重量比がA:Bで含有し、厚みdpの位相差フィルムの550nmにおける位相差ReP(550)と450nmにおける位相差ReP(450)の比Rp={ReP(450)/ReP(550)}は

0040

で表される(ただし、ΔNx(450)=ReX(450)/dxであり、XはAまたはBを表す)。これを元に波長分散Rpを示す位相差フィルムにおける、ポリマーAとポリマーBの重量比WABは、RA、RB、RPの定義より、

0041

で表される。

0042

理想的には、WABを上記の値に合致させることが好ましいが、実際に位相差フィルムを製造するにあたっては、ポリマーの計量に誤差が生じる可能性もあるため、ある程度の許容範囲を設定し、工程管理範囲とすることが必要となる場合がほとんどである。そこで、この許容範囲を定めるべく鋭意検討した結果、式1〜式3に示したように、ポリマーAとポリマーBの重量比WABの対数でその範囲を規定することにより、波長分散のズレを小さくできることを見出した。この許容範囲が広すぎると、常に一定の波長分散を有する位相差フィルムを得ることが困難となる場合があり、逆に狭過ぎると工程管理が困難となる場合があるため、位相差フィルムを製造するにあたっては、その工程能力と必要とされる波長分散の均一性に応じて、本発明に記載された範囲内において、WABの範囲を決定することができる。

0043

上記の波長分散の調整方法に関して、ポリマーAおよびBの複屈折の符号が同一の場合、すなわち、両者とも正または負の場合は位相差の測定値をそのまま用いればよいが、ポリマーAおよびBの複屈折の符号の一方が正であり、一方が負である場合は、正の複屈折を有するポリマーの位相差値を正の位相差、負の複屈折を有するポリマーの位相差値を負の位相差値と解釈し、上記式に適用することで、好ましいWABの値を決定することができる。

0044

さらに、上記具体例は2種類のポリマーを混合させる例であったが、3種類以上のポリマーを混合する場合においても、上記と同様の考え方に基づき、ポリマーの混合比を調整することで位相差フィルムの波長分散を調整することができる。第三のポリマーはAおよび/またはBと相溶するものであることが好ましく、また、第三のポリマーがポリマーAとポリマーBの相溶化剤役割を果たしても良い。

0045

ただし、3種類以上のポリマーを用いる場合、その重量比は一義的に決定することはできないので、この点は製造者にとって便宜的に(例えばポリマーのコストや、相溶性、耐熱性、フィルムの生産の便宜性等を考慮して)決定することができる。

0046

また、上記具体例は、位相差フィルムの波長分散を制御する方法として、450nmにおける位相差値と550nmにおける位相差値の比より、樹脂の重量比を決定させるものであるが、それ以外の波長においても可視光領域の任意の2波長を選択し、上記と同様の考え方を適用することで、本発明を実施することができる。そのような任意の2波長は、測定装置測定可能な波長等によって決定すればよいが、30nm以上離れていることが好ましく、50nm以上離れていることがさらに好ましい。

0047

次に本発明に用いることができるポリマーについて述べる。本発明に用いることができるポリマーAおよびBはフィルム形成能を有し、溶融押し出し法溶液キャスト法により製膜ができる熱可塑性ポリマーから選択するのが好ましい。かかるポリマーの例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコールポリエチレンテレフタレートポリエチレンナフタレートの如きポリエステルポリアリレートポリイミド環状オレフィン系ポリマーポリスルホン、ポノエーテルスルホンポリエチレンポリプロピレンの如きポリオレフィンポリスチレン等のスチレン系ポリマー、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートセルロースアセテートプロピオネートセルロースアセテートブチレート等のセルロースエステルや、メチルセルロースエチルセルロース等のセルロースエーテル、その他のセルロース誘導体等があげられる。中でも、非晶質で耐熱性に優れるポリマーを好ましく用いることができる。

0048

特に、本発明の波長分散の調整方法は、ポリマーAおよび/またはポリマーBにセルロース誘導体を用いる場合において好適に用いることができる。セルロース誘導体は一般的に木材パルプ綿花リンター等を原料としたセルロースをアシル化エーテル化等によりその水酸基を置換することによって得られるが、その置換度は処理条件や時間によって制御されることが多く、樹脂の生産ロットによるバラツキが生じる場合がある。このような置換度の相違により、各種溶剤に対する溶解性や、位相差発現性、位相差の波長分散が異なるという性質を有している。溶剤に対する溶解性に関しては、例えばダイセル化学工業社の「酢酸セルロースカタログ(1997年12月発行)、イーストマンケミカル社の「イーストマン・セルロース・エステル」カタログ(2004年6月発行)、ダウ・ケミカル社の「エトセル」カタログ等に記載の通りである。また、位相差発現性に関しては、特開2000−137116号公報の実施例や、特開2003−315538号公報、特開2003−96207号公報等に記載の通りである。

0049

このようなセルロース誘導体を用いた位相差フィルムを生産するにあたり、本発明の波長分散調整方法を用いると、所望とする波長分散を得られるだけでなく、あらかじめ複数の置換度を有するポリマーを準備しておき、それらの混合比を樹脂ロットによって調整することで、ロット間バラツキによる波長分散の変動を抑制することができる点で効果的であるといえる。

0050

また、本発明は、前記セルロース誘導体として、セルロースの水酸基が炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートである場合において好適に用いることができる。このようなセルロースアシレートとしては、具体的にはセルロースの水酸基がアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基のいずれかによって置換されたものが好ましい。すなわち、本発明に係るポリマーフィルムにおいて好適に使用されるセルロースアシレートとしては、セルロースアセテート、セルロールプロピオネート、セルロースブチレートや、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートのような複数種のアシル基を有するものが挙げられる。これらは透明性が高く、位相差フィルム等の光学用途に好適に用いることができる。中でも、セルロースアセテートまたはセルロースアセテートプロピオネートは一般的に安価に製造または入手できるため、特に好適に用いることができる。

0051

さらに、本発明において、長波長ほど高い位相差を有する位相差フィルムを生産する場合において、セルロースアシレートは、特定の置換度を有することが好ましい。具体的には、アセチル置換度、プロピオニル置換度、ブチリル置換度の合計が2.0以上、2.9以下であることが好ましく、2.3以上、2.9以下であることがより好ましく、2.5以上、2.8以下であることがさらに好ましい。

0052

ここで、セルロースアシレートの置換度の好ましい範囲に関して説明する。セルロース分子は、基本単位であるD−グルコースがβ−1,4結合して直鎖状につながった多糖である。セルロースアシレートの置換度とは、このD−グルコース分子中の2,3,6位に存在する3個の水酸基が、セルロース分子において平均してどれだけエステル化されているかを表し、それぞれの位置の置換度は均等でもよいし、いずれかの位置に偏っていてもよい。また、アシル基の置換度は、ASTM−D817−96記載の方法にて定量することができる。

0053

「置換度=3」は、セルロース分子中の全ての水酸基がエステル化されていることを示す。セルロース分子中の全ての水酸基がアセチル基またはプロピオニル基のいずれかでエステル化された、置換度3のセルロースアシレートからなるフィルムを一軸延伸すると、延伸方向と直交する方向が遅相軸となる負の光学異方性を有する位相差フィルムとなる。このフィルムの位相差の波長分散は、長波長であるほど位相差(絶対値)が小さい傾向を示す。

0054

置換度を3より小さくしていくと、延伸による位相差の発現のしやすさは低下し、約2.8〜2.9で延伸しても位相差が殆ど出ないフィルムとなり、さらに置換度を小さくすると、延伸方向が遅相軸となり、正の光学異方性の位相差フィルムとなる。これに伴い、位相差の波長分散は、長波長であるほど位相差(絶対値)が大きい傾向を示し、置換度をさらに小さくすると、この傾向は失われていき、波長に依らずにほぼ一定の位相差を示すようになる。このような波長に依らずに一定の位相差を示す置換度は、その置換基の種類と比率によって若干異なるが、概ね2.0〜2.3の範囲にある。

0055

以上の理由により、アシル基による置換度は3を超えることはなく、また、位相差の波長分散の観点から、2.0以上が適当である。置換度のより好ましい数値範囲は2.3以上、2.9以下であり、さらに好ましくは2.5以上、2.8以下である。
さらに、本発明においてセルロースアシレートを用いる場合は、前記アシル基がアセチル基およびプロピオニル基であり、アセチル置換度(DSac)とプロピオニル置換度(DSpr)の比(DSpr/DSac)が2以上であることが好ましい。

0056

ここで、置換基の種類と比率について、以下に説明する。セルロース誘導体として、セルロースアセテートやセルロースアセテートプロピオネートが好適に用いられることは先述した通りであるが、波長分散の観点によれば、特開2000−137116号公報や、特開2003−240948号公報、特開2003−315538号公報等に開示されているように、セルロース分子中の水酸基を、アセチル基で置換してもプロピオニル基で置換しても目的を達成することができる。しかしながら、ソルベントキャスト法で厚み精度の良いフィルムを製膜する場合においては、高濃度溶液の調製が可能であることが望まれ、さらには、単独の溶剤に高濃度で溶解することが好ましい。C.J.Malm他の論文(Ind.Eng.Chem.、43巻、688頁、1951年)には、セルロースアセテートよりもセルロースプロピオネートの方が遙かに有機溶剤に対する溶解性が高いことが記されており、アセチル置換度(DSac)の高いセルロースアセテートプロピオネートよりもプロピオニル置換度(DSpr)の高いセルロースアセテートプロピオネートの方が有機溶剤の選択性に優れ、さらに、高濃度溶液の調製が可能である。特に塩化メチレンを用いる場合においては顕著な差が認められ、プロピオニル置換度を大きくすることで、単独の溶剤に溶解させることが可能であるために好ましい構成である。

0057

従って、プロピオニル置換度(DSpr)は高い方が好ましく、アセチル置換度(DSac)との比率(DSpr/DSac)は2.0以上、より好ましくは5.0以上、さらに好ましくは10.0以上である。

0058

本発明に係るポリマーフィルムにおいてセルロースアシレートを用いる場合、セルロースアシレートは、既知の方法で製造することができる。例えば、セルロースを強苛性ソーダ溶液で処理してアルカリセルロースとし、これを酸無水物によりアシル化する。得られたセルロースアシレートの置換度はほぼ3であるが、これを加水分解することにより、目的の置換度を有するセルロースアシレートを製造することができる。

0059

セルロースアシレートの好ましい数平均分子量は5000〜100000であり、より好ましくは20000〜80000である。数平均分子量がこの範囲を下回ると、フィルムの機械強度が不十分となる傾向にあり、この範囲を上回ると溶剤に対する溶解性が低下し、ソルベントキャスト法にてフィルムを製造する際の生産性に劣る場合がある。

0060

本発明におけるポリマーAおよびBの両方に前記セルロースアセテートプロピオネートを用いる場合、その置換度は、アセチル置換度またはプロピオニル置換度の少なくとも一方が異なっていれば、ポリマーAとポリマーBの波長分散を異なるものにすることができる。セルロースアシレートの置換度は、樹脂の生産ロットによるバラツキが生じる場合があるが、一般にケン化処理条件や時間によって制御され、波長分散の制御範囲を広くするためには、ポリマーAにおけるアセチル置換度(DSac)とプロピオニル置換度(DSpr)の合計と、ポリマーBにおけるアセチル置換度(DSac)とプロピオニル置換度(DSpr)の合計は、0.05以上異なることが好ましく、0.10以上異なることがさらに好ましい。

0061

さらに、本発明の波長分散調整方法は、ポリマーAおよびポリマーBの一方がセルロースの水酸基が炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートであり、もう一方がセルロースの水酸基が炭素数4以下のアルコキシル基で置換されたセルロースエーテルである場合においても好適に用いることができる。このようなセルロースエーテルは、具体的には、セルロースの水酸基がメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のいずれかまたは複数によって置換されたセルロースエーテルであることがより好ましく、特に、メトキシ基およびエトキシ基の単独または複数によって置換されたものが好ましい。このようなセルロースエーテルは前期セルロースアシレートと相溶性を示し、透明なフィルムをえることができる点で好ましい。さらにまた、セルロースアシレートとは異なった波長分散を有する場合が多く、本発明において波長分散の調整範囲を広くできるという点で好ましい。

0062

本発明をセルロースエーテルに適用する場合、溶解性等の観点から、セルロースの水酸基がエトキシ基で置換されたものが好ましく、さらに特定の置換度を有することが好ましい。具体的には、エトキシ置換度が(III)式:2.0≦DSet≦2.8を満たすセルロースエーテルが好ましい。

0063

このエトキシ置換度(DSet)の好ましい範囲について、以下に説明する。

0064

DSetは、セルロース分子の基本単位であるD−グルコース分子中の2,3,6位に存在する3個の水酸基が、セルロース分子において平均してどれだけエトキシ化されているかを表し、置換度=3の時はセルロース分子中の全ての水酸基がエトキシ化されていることを示す。それぞれの位置の置換度は均等でもよいし、いずれかの位置に偏っていてもよい。また、エーテル置換度はASTMD4794−94に記載の方法にて定量することができる。

0065

セルロースエーテルは、その置換度により溶剤に対する溶解性が大きく変化することが知られているが、ソルベントキャスト法によってポリマーフィルムを製造する場合、セルロースエーテルと前述したセルロースアシレートとの両方を溶解する溶剤を選択する必要がある。置換度が2.0を下回ると単独で溶解する溶剤の種類が限定される上に、フィルムの吸水率が大きくなり、寸法安定性欠ける傾向にある。また、置換度が2.9を超えても溶解する溶剤の種類が限定されるばかりでなく、樹脂自体が高価になる傾向にある。そのため、DSetの好ましい範囲は2.0以上、2.8以下であり、さらに好ましくは2.2以上、2.6以下である。

0066

本発明に係るポリマーフィルムにおいて使用されるセルロースエーテルは、既知の方法で製造することができる。例えば、セルロースを強苛性ソーダ溶液で処理してアルカリセルロースとし、これをメチルクロリドまたはエチルクロリドと反応させてエーテル化することによって製造される。

0067

セルロースエーテルの数平均分子量は、好ましくは22000〜100000であり、より好ましくは30000〜80000、さらに好ましくは35000〜65000である。過度に高い分子量は、溶剤に対する溶解度を低下させる、得られた溶液の粘度が高過ぎて溶剤キャスト法に適さない、熱成形を困難にしてフィルムの透明性を低くするなどの問題を生じる場合がある。一方、過度に低い分子量は、得られたフィルムの機械的強度を低下させる傾向にある。

0068

また、本発明において、ポリマーAおよびポリマーBの一方がセルロースの水酸基が炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートであり、もう一方がセルロースの水酸基が炭素数4以下のアルコキシル基で置換されたセルロースエーテルである場合において、セルロースアシレートのアシル基の置換度は、波長分散の観点から、2.0以上、2.9以下であることが好ましく、2.3以上、2.9以下であることがより好ましく、2.5以上、2.8以下であることがさらに好ましい。さらに、ポリマーの入手容易性や、溶剤への溶解性の観点からは、アシル基がアセチル基およびプロピオニル基であり、アセチル置換度(DSac)とプロピオニル置換度(DSpr)の比(DSpr/DSac)は好ましくは2以上、より好ましくは5.0以上、さらに好ましくは10.0以上である。セルロースアシレートに関して先述したのと同じ理由から、上記のような好ましい範囲を定めることができる。

0069

さらに、本発明において、ポリマーAおよびポリマーBにセルロースアシレートとセルロースエーテルを用いて、長波長ほど高い位相差を有する位相差フィルムを生産する場合、セルロースエーテルの重量は、セルロースアシレート100重量部に対して、好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは、10重量部以下である。セルロースエーテルの含有量が20重量部より大きいと、波長による位相差が一定の値に近付く、すなわち、450nmにおける位相差値と550nmにおける位相差値の比は1に近付く傾向にあり、長波長であるほど高い位相差を有するという目的から外れる場合がある。

0070

本発明はさらに、前記した波長分散調整方法によって調整された樹脂組成物を提供する。ここで、樹脂組成物とは、単にポリマーを混合したもののみならず、ポリマーを溶剤等に溶解した後、その溶液を混合し、実質的に樹脂の重量比が先述した波長分散調整方法の範囲内となっている場合も含む。

0071

本発明に係る樹脂組成物は、フィルムに成型する際に存在する水分によるフィルム強度の低下を防止するために、樹脂、ペレット、溶剤などを予め乾燥させてもよい。本発明に係る樹脂組成物はまた、可塑剤劣化防止剤などの添加剤をさらに含有してもよい。

0072

可塑剤は、延伸などの加工特性または靱性を改善する目的で用いられる。可塑剤の種類は特に限定されないが、例えば本発明の波長分散調整方法において、セルロース誘導体を用いる場合は、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルなどが挙げられ、リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルフォスフェートおよびトリクレジルホスフェートなどが挙げられる。カルボン酸エステルとしては、例えば、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが挙げられ、フタル酸エステルとしては、例えば、ジメチルフタレートジエチルフタレートジブチルフタレートジオクチルフタレートジフェニルフタレートおよびジエチルヘキシルフタレートなどが挙げられる。クエン酸エステルとしては、O−アセチルクエン酸トリエチルおよびO−アセチルクエン酸トリブチルが挙げられる。その他のカルボン酸エステルとしては、オレイン酸ブチルリシノール酸メチルアセチルセバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルなどが挙げられる。本発明に係るポリマーフィルムにおいて、フタル酸系またはリン酸系の可塑剤を用いることが好ましい。

0073

劣化防止剤として、酸化による劣化を抑制する酸化防止剤高温下での安定性を付与する熱安定剤、および/または紫外線による劣化を防止する紫外線吸収剤が使用され得る。また、塩素化した樹脂類および/または可塑剤に対して、分解により発生する遊離酸を吸収させる酸吸収剤を用いることもできる。劣化防止剤としては、上述したリン酸エステル化合物以外に、フェノール誘導体エポキシ系化合物アミン誘導体などが用いられる。フェノール誘導体としては、オクチルフェノールペンタフェノンジアミルフェノールなどが挙げられる。アミン誘導体としてはジフェニルアミンなどが挙げられる。

0074

可塑剤などの添加剤の添加量は、ポリマーの合計100重量部に対して、0.5〜5.0重量部であることが好ましく、1.0〜4.0重量部であることがさらに好ましい。添加量が5.0重量部を超える場合、フィルム表面へ滲み出すために、透明性が低下する場合がある。また、添加量が0.5重量部未満であると、劣化防止剤の効果が十分に得られない場合がある。

0075

さらに、本発明においては、可塑剤を添加することにより、フィルム化した際のガラス転移温度を適度に調整することができる。例えば、特開平5−157911号公報等に示されるような熱収縮フィルムを用いた特殊な二軸延伸を施し、フィルム厚み方向の屈折率が大きい位相差フィルムを得ようとする場合、フィルムのガラス転移温度を、熱収縮フィルムの収縮温度付近とすることが好ましいが、可塑剤等を添加し、ガラス転移温度をこのような範囲内に低下させることで、厚み方向の屈折率が大きい位相差フィルムを得るための延伸方法に適したものとなる。また、ガラス転移温度を好ましい範囲とするための可塑剤の添加量は、可塑剤の種類によって異なるが、前記したような可塑剤の添加量の範囲内であり、かつ、ガラス転移温度を所望の値とする量とすることが好ましい。可塑剤の添加量が少ないと、ガラス転移温度の変化が小さく、十分な効果が得られない場合がある。また、可塑剤を過度に添加すると、ガラス転移温度の低下により、フィルムの耐熱性や複屈折の発現性が低下する場合がある。

0076

本発明はさらに、前記した波長分散調整方法により調整された樹脂組成物をフィルム化する、透明フィルムの製造方法を提供する。

0077

本発明の透明フィルムの製造方法においては、フィルム化の方法は特に限定されず、公知のフィルム化方法、例えば、溶融押出し法インフレーション法などの溶融成型法、ソルベントキャスト法等を用いることができる。特に、位相差フィルムのように高い平面性が要求される場合には、ソルベントキャスト法を採用することが好ましい。

0078

ソルベントキャスト法に用いることのできる溶剤はフィルム化するポリマーを溶解しうるものであれば特に限定されないが、コスト面や、環境への負荷を考慮した場合、乾燥工程で蒸発する有機溶剤を回収し、再利用することが好ましい。このような回収による溶剤の再利用を行う場合に、混合有機溶剤を用いると、回収設備の他に蒸留設備等が必要となり、製造設備の増大を招く場合があるため、溶剤は単独で用いることが好ましい。ここで言う、単独の溶剤とは、工業的に単独品として入手される溶剤のことを指し、混入している不純物が全くないことを指すものではない。このような溶剤としては、ケトン類エステル類ハロゲン化炭化水素などの公知の溶剤から選択される。ケトン類としては、アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンなどが挙げられる。エステル類としては、酢酸エチル酢酸メチル酢酸ブチルプロピオン酸エチルプロピオン酸メチルなどが挙げられる。また、ハロゲン化炭素としては、塩化メチレン、クロロホルムなどが挙げられる。乾燥効率の観点からは沸点が低い溶剤ほど好ましく、具体的には100℃以下の低沸点溶剤が好ましい。特に、塩化メチレンは、多くのポリマーを溶解しやすく、沸点が約40℃と低いために生産性が高くなるという利点を有する。さらに、塩化メチレンは、乾燥中に生じ得る火災などに関する安全性も高いので、最も好適に用いられる。

0079

ソルベントキャスト法によりフィルム化する場合、樹脂および添加剤等を前記した波長分散調整方法に基づいた重量比で溶剤に溶解し、ドープを調製したのち、支持体流延し、乾燥してフィルムとすることができる。また、ドープの調整に関しては、樹脂のみを先に溶剤に溶解した後、スタティックミキサー等を用いて添加剤を混合する方法を用いることもできる。

0080

さらに、ポリマーAおよびBをそれぞれ単独に溶剤に溶解してそれぞれのドープを作成し、フィルム化する前に、これらドープを前記した波長分散調整方法に基づく重量比となるように混合した後に、透明フィルムとすることもできる。このような場合の混合方法は特に限定されないが、スタティックミキサー等のインラインミキサーを用いて混合する方法を好適に用いることができる。さらに、これらのドープを混合せずに、共流延によりフィルム化することもできる。また、ポリマーAおよびBをそれぞれ単独に溶解するのではなく、ポリマーAおよびポリマーBをそれぞれ異なる重量比で混合した2種類以上のドープをあらかじめ作成しておき、これらを前記した波長分散調整方法に基づく重量比となるように混合したり、共流延することによりフィルム化することもできる。

0081

このように複数のドープを用いてフィルム化する製造方法は、それぞれのドープを供給するためのポンプ等をそれぞれに用意しておき、そのドープ供給量を制御することによって達成される。このような製造方法においては、品種毎にドープを作成せずとも、所望とする波長分散に調整できるため、いわゆる少量多品種の生産が要求される場合において好ましい形態である。

0082

ポリマーを溶解してドープを作成するにあたり、ドープの好ましい粘度は1.0Pa・s以上、10.0Pa・s以下、さらに好ましくは1.5Pa・s以上、8.0Pa・s以下である。好ましい支持体としては、ステンレス鋼や銅等の金属からなるエンドレスベルトドラムポリイミドフィルム二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等のようなフィルム等が挙げられる。また、ポリイミドや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートなどのフィルムを支持体として用いる場合は、支持体とフィルムとの付着性を首尾よく制御するために、支持体表面コーティング放電処理を施してもよい。詳細には、コーティングや放電処理により、支持体とフィルムを適度に剥離できる程度に付着性を高めることができる。

0083

本発明に係る透明フィルムは、支持体に担持された状態で乾燥を行うことも可能であるが、必要に応じて、予備乾燥したフィルムを支持体から剥離し、さらに乾燥することもできる。フィルムの乾燥には、一般にフロート法テンター法またはロール搬送法を利用することができる。フロート法の場合、フィルム自体が複雑な応力を受け、光学的特性の不均一が生じる場合がある。また、テンター法の場合、フィルム両端支えているピンまたはクリップの距離により、溶剤乾燥に伴うフィルムの幅収縮と自重を支えるための張力均衡させる必要があり、複雑な幅の拡縮制御を行う必要がある。一方、ロール搬送法の場合、安定なフィルム搬送のための張力は原則的にフィルムの流れ方向(MD方向)にかかるため、応力の方向を一定にしやすい。従って、フィルムの乾燥には、ロール搬送法を用いることが最も好ましい。また、支持体から剥離した直後のフィルムのカールが大きい場合には、乾燥初期はテンター法を用いることでカールを小さくし、その後ロール搬送法を用いることも好ましい方法である。また、溶剤の乾燥時にフィルムが水分を吸収しないよう、湿度を低く保った雰囲気中で乾燥することは、機械的強度および透明度の高い本発明フィルムを得るには有効な方法である。

0084

また、本発明の透明フィルムを液晶表示装置等の光学用途に使用する場合においては、その透明性が重要となる場合がある。本発明に係透明フィルムの光線透過率は85%以上が好ましく、より好ましくは、90%以上である。また、本発明に係る透明フィルムのヘイズは2%以下が好ましく、より好ましくは1%以下である。通常、種類の異なる複数のポリマーを混合した場合は、その相溶性の問題から透明性の高いフィルムを得ることができないという問題が生じるが、本発明においては、相溶しうる2種類以上のポリマーを用いることによって、光線透過率および/またはヘイズを上記範囲内とすることができる。

0085

本発明に係る透明フィルムの膜厚(厚み)は、10μm〜500μmが好ましく、30μm〜300μmがより好ましく、50μm〜130μmがさらに好ましい。フィルムの膜厚が上記範囲を超えると、溶剤の突沸等による発泡を生じやすく、ソルベントキャスト法による生産性が劣る傾向にある。また、フィルムの膜厚が上記範囲を下回ると、フィルムのハンドリング性が劣るばかりでなく、位相差フィルムとする際に、延伸により十分な位相差を得られない場合がある。

0086

さらに、前記した透明フィルムを公知の延伸方法により配向処理、すなわち、少なくとも一軸方向に延伸または収縮させることにより、均一な位相差を付与した位相差フィルムを得ることができる。すなわち、本発明は、上記の透明フィルムを少なくとも一軸方向に延伸または収縮する工程を包含する位相差フィルムの製造方法を提供する。本方法に従えば所望とする波長分散を有する、1枚の透明フィルムのみからなる位相差フィルムを得ることができる。

0087

本発明に係る位相差フィルムの正面位相差値は、1nmを超え1000nmまでの間で目的に応じて適宜選択することができる。(ただし、ここでいう「正面位相差値」とは、フィルムの法線方向で測定した位相差値を指し、以下本発明においては特に断りのない限り単に「位相差値」と記載する。)特に、本発明の製造方法からなる位相差フィルムを、λ/4板として使用する場合、波長550nmにおける位相差値は、好ましくは120〜155nm、より好ましくは125〜150nm、さらに好ましくは130〜145nmである。位相差がこの範囲にあれば、直線偏光を円偏光に変換することができ、本発明に係る位相差フィルムを反射型液晶表示装置などに好適に用いることができる。また、本発明の製造方法からなる位相差フィルムを、λ/2板として使用する場合、波長550nmにおける位相差値は、好ましくは240〜310nm、より好ましくは250〜300nm、さらに好ましくは260〜290nmである。位相差がこの範囲にあれば、直線偏光を位相逆転した直線偏光に変換することがでる。

0088

さらに、位相差フィルムの特性として、三次元方向の屈折率を制御することができる。三次元屈折率の制御に関しては、フィルム面内の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとした際、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)で表すことができる。例えば、通常の一軸延伸フィルムのNZは概ね1.0〜1.3であり、二軸延伸フィルムのNZは1.5を超える場合が多い。それに対して、NZ<1.0のフィルムは斜め方向から見た場合の位相差変化が小さく、液晶表示装置の視野角補償フィルムとして広く用いることができる。

0089

位相差値または三次元屈折率は、延伸および/または収縮の方法、温度、倍率などにより所望の値に調整することができる。延伸および収縮方法としては、公知のあらゆる方法を用いることができる。例えば、ロール延伸機等によるフィルム長手方向への延伸や、テンター延伸機等によるフィルム幅方向への延伸、同時二軸延伸等の熱延伸法を採用することができる。さらに、特開平5−157911号公報や、特開平7−230007号公報、特開2001−91743号広報、さらには、特開2000-304925号広報等に示されるような特殊な延伸および/または収縮を施し、フィルム厚み方向の屈折率を大きくすることも可能である。また、特開2000−9912号公報や、特開2002−86554号公報等に記載されているような、フィルム長手方向と略平行でも略垂直でもない所定の角度に延伸する方法も採用することができる。

0090

以上、本発明に記載の波長分散調整方法ならびに、樹脂組成物、透明フィルムの製造方法、位相差フィルムの製造方法により得られたフィルムの実用に際しては、例えばフィルムの片面又は両面に粘着層を設けたものや、その粘着層を介して偏光フィルム、および/またはは、等方性の透明な樹脂層ガラス層等からなる保護層を接着積層したものなどの2層又は3層以上の積層体からなる適宜な形態の光学部材として適用することもできる。特に本発明によって得られるフィルムと偏光板を積層することで、光学補償偏光板とすることができる。さらに、本発明によって得られるフィルムを、その他の光学フィルムとの組み合わせで用いることもできる。本発明以外の光学フィルムを用いる場合、補償効果の向上などを目的とし、その光学フィルムは特に限定されないが、例えば透明フィルムの一軸や二軸等による延伸処理物ディスコティック系やネマチック系等の液晶配向板などの適宜なものを用いることができる。このような組み合わせを液晶表示装置に適用することにより、高コントラスト広視野角等の画質向上効果を得ることができる。

0091

尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。

0092

また、本明細書中に記載された特許文献等に記載の公知技術の全てが、本明細書中において参考として援用される。

0093

以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0094

測定方法)本明細書中に記載の材料特性値等は、以下の評価法によって得られたものである。

0095

(1)セルロースアセテートプロピオネートの置換度
ASTM−D817−96記載の方法にて有機酸を定量し、特開平11−71464号公報に記載の方法で、置換率(重量%)を基に置換度を計算した。

0096

(2)エチルセルロースの置換度
ASTMD4794−94記載の方法にてヨウ化エチルを定量し、(1)と同様の方法で、置換率(重量%)を基に置換度を計算した。

0097

(3)位相差値
王子計測機器製の自動複屈折計KOBRA−WRにより、位相差の波長分散を測定し、その測定値を元に装置付属プログラムよりRe(450)、Re(550)を求めた。

0098

(4)NZおよびRth
王子計測機器製自動複屈折計KOBRA−WRにより、586.7nmにおける正面方向位相差と、フィルム遅相軸を回転軸として45°傾けた際の位相差を測定し、装置付属のプログラムにより、NZおよびRthを算出した。ただし、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nz、フィルムの厚みdに対して、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)、Rth={(nx+nz)/2−(nx−ny)}×dでそれぞれ定義されるものとし、それぞれの算出にあたっては、事前に各フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計にてナトリウムD線(波長589nm)で測定し、その平均屈折率を用いた。

0099

(5)厚み
アンリツ製電子マイクロメーターにより測定した。

0100

(6)全光線透過率
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K7105−1981の5.5記載の方法により測定した。

0101

(7)ヘイズ
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K7105−1981の6.4記載の方法により測定した。

0102

(8)ガラス転移温度
セイコー電子工業製示差走査熱量計DSC220Cにより、JIS K-7121に記載の方法にて測定した。

0103

[フィルム作成例1]
環状オレフィン系ポリマーとして、JSR製の商品名「ARTON−F」(以下、ポリマー1)とする)を30重量部、塩化メチレンを70重量部含むドープを調整した。このドープを室温23℃、湿度15%の環境下で、長辺方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上の長辺方向が流延方向となるように流延した後、室温で3分間、60℃で2分間、80℃で2分間乾燥を行った。得られたフィルムをPETフィルムから剥離した後、さらに流延方向に2.0×105N/m2の応力を付与した状態で80℃にて10分、100℃にて10分、110℃にて10分乾燥し、厚さ66μmの透明フィルムを得た。このフィルムを「透明フィルム1)」とする。

0104

[フィルム作成例2]
スチレン系ポリマーとして、スチレン無水マレイン酸共重合体であるノヴァ・ケミカル製の商品名「ダイラークD232」(以下、ポリマー2)とする)を40重量部、トルエンを60重量部含むドープを調整した。このドープを室温23℃、湿度15%の環境下で、長辺方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上の長辺方向が流延方向となるように流延した後、室温で2分間、60℃で1分間、80℃で1分間乾燥を行った。得られたフィルムをPETフィルムから剥離した後、さらに流延方向に2.0×105N/m2の応力を付与した状態で80℃にて10分、100℃にて10分、110℃にて10分乾燥し、厚さ80μmの透明フィルムを得た。このフィルムを「透明フィルム2)」とする。

0105

[フィルム作成例3]
セルロースアシレートとして、ダイセル化学工業製の商品名「酢酸セルロースL−50」(以下、ポリマー3)とする)を10重量部、塩化メチレンを80重量部、メタノールを10重量部含むドープを調整した。このドープを室温23℃、湿度15%の環境下で、長辺方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上の長辺方向が流延方向となるように流延した後、室温で2分間、60℃で2分間、80℃で2分間乾燥を行った。得られたフィルムをPETフィルムから剥離した後、さらに流延方向に2.0×105N/m2の応力を付与した状態で80℃にて10分、90℃にて10分、100℃にて10分乾燥し、厚さ50μmの透明フィルムを得た。このフィルムを「透明フィルム3)」とする。

0106

尚、ポリマー3)はセルロースの水酸基がアセチル基置換されたセルロースアセテートであり、その置換度はDSac=2.39であった。

0107

[フィルム作成例4]
セルロースアシレートとして、ダイセル化学工業製の商品名「酢酸セルロースLM−80」以下ポリマー4)とする)を8重量部、塩化メチレンを82重量部、メタノールを10重量部含むドープを調整した。このドープを室温23℃、湿度15%の環境下で、長辺方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上の長辺方向が流延方向となるように流延した後、室温で3分間、60℃で2分間、80℃で2分間乾燥を行った。得られたフィルムをPETフィルムから剥離した後、さらに流延方向に2.0×105N/m2の応力を付与した状態で80℃にて10分、90℃にて10分、100℃にて10分乾燥し、厚さ40μmの透明フィルムを得た。このフィルムを「透明フィルム4)」とする。

0108

尚、ポリマー4)はセルロースの水酸基がアセチル基置換されたセルロースアセテートであり、その置換度はDSac=2.14であった。

0109

[フィルム作成例5]
セルロースアシレートとして、イーストマン・ケミカル製の商品名「Cellulose EsterCAP482-0.5」(以下ポリマー5)とする)を18重量部、塩化メチレンを82重量部含むドープを調整した。このドープを室温23℃、湿度15%の環境下で、長辺方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上の長辺方向が流延方向となるように流延した後、室温で2分間、60℃で2分間、80℃で2分間乾燥を行った。得られたフィルムをPETフィルムから剥離した後、さらに流延方向に2.0×105N/m2の応力を付与した状態で80℃にて10分、90℃にて10分、100℃にて10分乾燥し、厚さ80μmの透明フィルムを得た。このフィルムを「透明フィルム5)」とする。

0110

尚、ポリマー5)はセルロースの水酸基がアセチル基およびプロピオニル基で置換されたセルロースアセテートプロピオネートであり、その置換度はDSac=0.12、DSpr=2.41であった。

0111

[フィルム作成例6]
セルロースアシレートとして、イーストマン・ケミカル製の商品名「Cellulose EsterCAP482-20」(以下ポリマー6)とする)を13重量部、塩化メチレンを87重量部含むドープを調整した。このドープを室温23℃、湿度15%の環境下で、長辺方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上の長辺方向が流延方向となるように流延した後、室温で3分間、60℃で2分間、80℃で2分間乾燥を行った。得られたフィルムをPETフィルムから剥離した後、さらに流延方向に2.0×105N/m2の応力を付与した状態で80℃にて10分、90℃にて10分、100℃にて10分乾燥し、厚さ80μmの透明フィルムを得た。このフィルムを「透明フィルム6)」とする。

0112

尚、ポリマー6)はセルロースの水酸基がアセチル基およびプロピオニル基で置換されたセルロースアセテートプロピオネートであり、その置換度はDSac=0.10、DSpr=2.60であった。

0113

[フィルム作成例7]
セルロースエーテルとして、ダウ・ケミカル製の商品名「エトセルMed70」(以下ポリマー7)とする)を9重量部、塩化メチレンを91重量部含むドープを調整した。このドープを室温23℃、湿度15%の環境下で、長辺方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上の長辺方向が流延方向となるように流延した後、室温で1分間、60℃で1分間、80℃で1分間乾燥を行った。得られたフィルムをPETフィルムから剥離した後、さらに流延方向に2.0×105N/m2の応力を付与した状態で80℃にて3分、90℃にて3分乾燥し、厚さ50μmの透明フィルムを得た。このフィルムを「透明フィルム7)」とする。

0114

尚、ポリマー7)はセルロースの水酸基がエトキシ基で置換されたエチルセルロースであり、DSet=2.38であった。

0115

作成例1〜7にて作成されたフィルム1)〜7)を、それぞれの製膜方向が25cm、幅方向が10cmとなるように切り出し、長さ方向のチャック間が20cmとなるように固定した後、各ポリマーのガラス転移温度より5℃高い温度に設定されたオーブン中にて、チャック間距離が30cmとなるように、すなわち、元の長さの1.5倍となるように、15cm/分の延伸速度にて長さ方向に自由端一軸延伸を実施した。得られたフィルムをそれぞれ延伸フィルム1)〜7)とし、それぞれの位相差およびRthを測定した。延伸フィルム1)および、延伸フィルム3)〜7)は正の複屈折を示し、延伸フィルム2)のみ負の複屈折を示した。得られた延伸フィルムの特性を表1に示す。

0116

(実施例1、実施例2、および比較例1)
ポリマー1)およびポリマー2)を用いて、Re(450)/Re(550)=0.98の位相差フィルムを得ることを目的として、それぞれ、WAB=0.09(実施例1)、 0.12(実施例2),0.04(比較例1)として、樹脂100重量部に対してトルエンが280重量部であるドープを作成した。このドープを室温(23℃)、湿度15%の環境下で、搬送方向長手方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上に連続的に流延、乾燥した後、PETフィルムからポリカーボネートフィルムを剥離してさらに乾燥させて、厚み120μmである透明フィルムを得た。

0117

(比較例2)
ポリマー1)およびポリマー3)を用いて、Re(450)/Re(550)=1.00の位相差フィルムを得ることを目的として、WAB=0.30として、樹脂100重量部に対して塩化メチレン500重量部であるドープを作成したが、樹脂に相溶性が無いため、このドープは相分離した。このドープを混合しながら、実施例1と同様にフィルムを作成したが、得られたフィルムは白濁しており、透明性を有しなかった。

0118

(実施例3)
ポリマー3)およびポリマー4)を用いて、Re(450)/Re(550)=1.00の位相差フィルムを得ることを目的として、WAB=0.50として、樹脂100重量部に対して塩化メチレン800重量部、メタノール100重量部であるドープを作成した。このドープを用いて、実施例1と同様にして厚み50μmである透明フィルムを得た。

0119

(実施例4、実施例5、実施例6、および比較例3)
ポリマー5)およびポリマー6)を用いて、Re(450)/Re(550)=0.93の位相差フィルムを得ることを目的として、それぞれ、WAB=0.19(実施例4)、0.25(実施例5)、0.11(実施例6)、0.70(比較例3)として樹脂100重量部に対して塩化メチレン700重量部であるドープを作成した。このドープを用いて、実施例1と同様にして厚み90μmである透明フィルムを得た。

0120

(実施例7、実施例8、実施例9、および比較例4)
ポリマー5)およびポリマー6)を用いて、Re(450)/Re(550)=0.86の位相差フィルムを得ることを目的として、それぞれ、WAB=4.5(実施例7)、3.0(実施例8)、6.5(実施例9)、1.0(比較例9)として樹脂100重量部に対して塩化メチレン750重量部であるドープを作成した。このドープを用いて、実施例1と同様にして厚み120μmである透明フィルムを得た。

0121

(実施例10、実施例11、および比較例5)
ポリマー5)およびポリマー6)を用いて、Re(450)/Re(550)=0.90の位相差フィルムを得ることを目的として、それぞれ、WAB=0.04、0.03、0.09として、樹脂100重量部に対して塩化メチレン900重量部であるドープを作成した。このドープを用いて、実施例1と同様にして厚み100μmである透明フィルムを得た。

0122

(実施例12〜実施例22、および比較例6〜比較例9)
実施例1〜実施例11、比較例1、および比較例3〜5のそれぞれにおいて得られた透明フィルムのガラス転移温度を測定した。それぞれの透明フィルムのガラス転移温度よりも炉内温度を5℃高く保ち、炉の入口と出口にそれぞれ1対のニップロールを有するロール延伸機にて、入口のニップロールの周速に対して、出口のニップロールの周速が1.5倍となるようにフィルムを搬送する、すなわち、搬送方向に1.5倍に自由端一軸延伸することで、位相差フィルムを得た。

0123

実施例1〜実施例11および、比較例1〜比較例5で得られた透明フィルムの特性を表2に、実施例12〜実施例22および比較例6〜比較例9で得られた位相差フィルムの特性を表3にそれぞれ示す。

0124

0125

(実施例23)
ポリマーA、ポリマーBとして、それぞれポリマー5)、ポリマー6)を用いて、Re(450)/Re(550)=0.90の位相差フィルムを得ることを目的として、WAB=0.04として、樹脂100重量部に対して、可塑剤としてジエチルフタレート2重量部、塩化メチレン900重量部であるドープを作成した。このドープを用いて、実施例10と同様にして厚み100μmである透明フィルムを得た。実施例10の透明フィルムのガラス転移温度は146℃であったのに対して、本実施例で得られた透明フィルムのガラス転移温度は137℃であった。

0126

(実施例24)
実施例23で得られた透明フィルムを実施例21と同様にして、製膜方向に自由端一軸延伸することにより位相差フィルムを得た。

0127

(実施例25)
実施例23で得られた透明フィルムを、クリップテンターを有する横延伸機にて、フィルム搬送方向延伸倍率が1.00倍、幅方向の延伸倍率が1.70倍となるように横延伸し、位相差フィルムを得た。

0128

(実施例26)
実施例23で作製した透明フィルムの両面に、厚さ60μm二軸延伸ポリプロピレンフィルムを、アクリル系粘着層を介して接着して、積層フィルムを得た。この積層フィルムを、60℃で24時間加熱し、粘着層の密着性を向上させた後、延伸温度142℃で自由端一軸延伸にて、フィルム流延方向に45%延伸することで、流延方向には延伸処理、幅方向には収縮処理を施し、得られた該積層体から、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを剥離して、位相差フィルムを得た。

0129

実施例24〜実施例26で得られた位相差フィルムの特性を表4に示す。

0130

以上、実施例1〜実施例11および、実施例23に示したように、相溶性を有するポリマーにより、透明なフィルムを得ることができる。また、実施例12〜22に示したように、ポリマーAとポリマーBの重量比を所定の範囲とすることで、目的とする波長分散からの乖離が小さい位相差フィルムを得ることができる。さらに、実施例24〜26に示したように、樹脂の重量比を一定とすることで、いずれの延伸方法においても、目的とする波長分散からの乖離が小さい位相差フィルムを得ることができる。

0131

本発明により、多種のポリマーを保有せずとも、ポリマーの混合比を所定の値とするだけで、種々の波長分散を有し、かつ透明性の高い位相差フィルムを得ることができる。また、これらのフィルムは、偏光板や液晶セル等の他の光学部設計毎に細やかに対応した位相差フィルムを提供しうる。

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