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課題

開始コドンに対応するアミノ末端メチオニンを除去する方法を確立する。

解決手段

目的タンパク質をコードする遺伝子を有するプラスミドおよびメチオニンアミノペプチダーゼをコードする遺伝子を有するプラスミドを細胞に導入し、該タンパク質遺伝子が該メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子よりもレベルの低い発現をする条件で培養することを特徴とする、アミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質組換え体にて製造する方法。

概要

背景

タンパク質細胞内で生合成される際には、そのアミノ末端mRNA開始コドン(一般にAUG)に対応するメチオニン原核生物ではホルミルメチオニン)から始まっているが、このメチオニンは生合成後に多くのタンパク質種において酵素反応で除去されてしまう。したがって、実際のタンパク質分子の多くは、アミノ末端にメチオニンを含有しない。一方、遺伝子組換え技術の進歩により、有用なタンパク質を微生物動物細胞を用いて産生することが可能となった。特に組換えタンパク質生産のための宿主としてはコスト等の面から大腸菌が最も広く用いられているが、大腸菌やその他の微生物を宿主として組換えタンパク質の発現を行った場合、動物細胞で発現させた場合に見られるような正確なプロセッシングがおこらない場合がある。開始コドンに由来するアミノ末端のメチオニンの付加も、そのような不正確なプロセッシングのひとつである。組換えタンパク質のアミノ末端に付加されたメチオニンの除去は、通常、宿主に由来するメチオニンアミノペプチダーゼによって行われるが、該組換えタンパク質の発現量が高い場合には、発現した組換えタンパク質の大部分がアミノ末端にメチオニンを有したままであることが多い。例えば、大腸菌で発現させたヒト成長ホルモンにおいてメチオニンの付加率はほぼ100%[非特許文献1:ネイチャー(Nature),293,408(1981)]に達し、インターフェロン−αにおいては50%[非特許文献2:ジャーナルオブ・インターフェロン・リサーチ(J. Interferon Res.),1,381(1981)]、非グリコシル化ヒトインターロイキン−2では、天然型ヒトインターロイキン−2と同じくアラニンではじまる分子種(rIL−2)に加え、アミノ末端にさらにメチオニンの付加した(アミノ末端にメチオニン残基を有する)分子種(Met−rIL−2)の存在が認められている。

アミノ末端にメチオニンが付加した組換えタンパク質とアミノ末端にメチオニンが付加していない組換えタンパク質を精製によって分離することが可能である場合もあるが、通常、アミノ末端メチオニンの有無しか違わない両者を分離することは困難な場合が多く、精製収率の点で不利となる。そのためアミノ末端にメチオニンが付加した組換えタンパク質の割合を低下させることは精製収率の面において効果が期待される。また、アミノ末端にメチオニンを付加した組換えタンパク質は、本来の活性が認められなかったり、その組換えタンパク質を医薬品として用いる場合には、抗原性が問題となることもある。例えば、組換えヒト成長ホルモン等に見られるように成熟型に比べ、抗原性の増加が指摘されている。したがって、遺伝子組換え技術を利用して産生した前駆体タンパク質を医薬品などに利用するためには、このアミノ末端のメチオニンを選択的に除去し成熟型タンパク質を得る必要がある。

アミノ末端のアミノ酸化学的に除去する方法としては、Dixon が、1964年に、DL−アラニルグリシングリオキシル酸ピリジン酢酸銅を反応させるとアミノ転位反応が起こり、ピルボイルグリシンが生成すること[非特許文献3:バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),92,661(1964)]、さらに、化合物チオセミカルバジドを反応させるとアミド結合開裂が起こり、グリシンを生成することを報告している[非特許文献4:バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),90,2C(1964)]。次いで、この反応をチトクロームc−551(Pseudomonas cytochrome c−551)に応用し、アミノ末端グルタミン酸が除去されることを報告している[非特許文献5:バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),94,463(1965)]。しかしながら、これらの方法は反応効率、反応の特異性の面で問題があり、目的タンパク質にも影響を与えかねないため実用性に乏しい。したがって、アミノ末端のメチオニンを選択的に除去する方法として、メチオニンアミノペプチダーゼを作用させる方法が最も望ましい。この方法に利用できるメチオニンアミノペプチダーゼとして、大腸菌〔特許文献1:特開昭62−115281号公報、及び非特許文献6:ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.),169,751(1987)〕、サルモネラティフィムリウム(Salmonella typhymurium) 〔特許文献2:特表平3−502400号公報、及び非特許文献7:ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eur. J. Biochem.),180,23(1989)〕、酵母(特許文献3:特表平4−500155号公報)、及び枯草菌(Bacillus subtilis)(特許文献4:特開平3−285684号公報)由来のメチオニンアミノペプチダーゼが提案されている。これらのメチオニンアミノペプチダーゼは、タンパク質として単離され、その遺伝子も明らかにされている。アミノ末端のメチオニンを除去あるいは該メチオニンの付加していない組換えタンパク質を生産する方法としてその他には、分泌発現を行う方法〔非特許文献8:ジーン(Gene),55,189(1987)〕、融合タンパク質として発現させる方法〔非特許文献9:サイエンス(Science),198,1056(1977)〕などが知られている。しかし、分泌発現を行う方法に関しては通常の発現に比べて生産量が低いという不都合がある。また、融合タンパク質として発現させる方法および発現後にアミノペプチダーゼを用いてメチオニンを除去する方法に関しては、発現させた後に、融合タンパク質の切断又はメチオニンの除去の操作が必要となり、操作が煩雑になるだけでなく、最終的な収率純度の低下を招き不都合である。
特開昭62−115281号公報
特表平3−502400号公報
特表平4−500155号公報
特開平3−285684号公報
ネイチャー(Nature),293,408(1981)
ジャーナル・オブ・インターフェロン・リサーチ(J. Interferon Res.),1,381(1981)
バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),92,661(1964)
バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),90,2C(1964)
バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),94,463(1965)
ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.),169,751(1987)
ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eur. J. Biochem.),180,23(1989)
ジーン(Gene),55,189(1987)
サイエンス(Science),198,1056(1977)

概要

開始コドンに対応するアミノ末端メチオニンを除去する方法を確立する。目的タンパク質をコードする遺伝子を有するプラスミドおよびメチオニンアミノペプチダーゼをコードする遺伝子を有するプラスミドを細胞に導入し、該タンパク質遺伝子が該メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子よりもレベルの低い発現をする条件で培養することを特徴とする、アミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。なし

目的

効果

実績

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請求項1

目的タンパク質をコードする遺伝子を有するプラスミドおよびメチオニンアミノペプチダーゼをコードする遺伝子を有するプラスミドを細胞に導入し、該タンパク質遺伝子が該メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子よりもレベルの低い発現をする条件で培養することを特徴とする、アミノ末端メチオニンが取り除かれたタンパク質組換え体にて製造する方法。

請求項2

メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子の発現レベルがタンパク質遺伝子の発現レベルの1.5倍以上である、請求項1記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。

請求項3

細胞として大腸菌を用いる、請求項1、2記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。

請求項4

メチオニンアミノペプチダーゼがアーキア由来である、請求項1〜3のいずれかに記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。

請求項5

目的タンパク質をコードするDNAを低コピー数プラスミドに挿入し、得られた発現プラスミドを、メチオニンアミノペプチダーゼをコードするDNAを有する高コピー数プラスミドと共に細胞に導入し、該タンパク質および該メチオニンアミノペプチダーゼの両者が発現する条件で培養することを特徴とする、アミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。

請求項6

低コピー数プラスミドが、細胞あたり1〜20コピーを維持し、高コピー数プラスミドが、細胞あたり50〜500コピーを維持する、請求項5記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。

請求項7

細胞として大腸菌を用いる、請求項5または6記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。

請求項8

メチオニンアミノペプチダーゼがアーキア由来である、請求項5〜7のいずれかに記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。

請求項9

目的タンパク質をコードするDNAを有するプラスミドおよびメチオニンアミノペプチダーゼをコードするDNAを有するプラスミドを導入した形質転換体

請求項10

目的タンパク質をコードするDNAを発現可能に組み込んだ低コピー数プラスミドと、メチオニンアミノペプチダーゼをコードするDNAを発現可能に組み込んだ高コピー数プラスミドを有し、高コピー数プラスミドのコピー数が、低コピー数プラスミドの1.5倍以上である形質転換体。

請求項11

アミノ末端のメチオニンが取り除かれた組換えタンパク質を製造するための、請求項9又は10に記載の形質転換体の使用。

技術分野

0001

本発明は、アミノ末端メチオニンを含有しないタンパク質を、遺伝子組換え技術により製造する方法に関する。

背景技術

0002

タンパク質が細胞内で生合成される際には、そのアミノ末端はmRNA開始コドン(一般にAUG)に対応するメチオニン(原核生物ではホルミルメチオニン)から始まっているが、このメチオニンは生合成後に多くのタンパク質種において酵素反応で除去されてしまう。したがって、実際のタンパク質分子の多くは、アミノ末端にメチオニンを含有しない。一方、遺伝子組換え技術の進歩により、有用なタンパク質を微生物動物細胞を用いて産生することが可能となった。特に組換えタンパク質生産のための宿主としてはコスト等の面から大腸菌が最も広く用いられているが、大腸菌やその他の微生物を宿主として組換えタンパク質の発現を行った場合、動物細胞で発現させた場合に見られるような正確なプロセッシングがおこらない場合がある。開始コドンに由来するアミノ末端のメチオニンの付加も、そのような不正確なプロセッシングのひとつである。組換えタンパク質のアミノ末端に付加されたメチオニンの除去は、通常、宿主に由来するメチオニンアミノペプチダーゼによって行われるが、該組換えタンパク質の発現量が高い場合には、発現した組換えタンパク質の大部分がアミノ末端にメチオニンを有したままであることが多い。例えば、大腸菌で発現させたヒト成長ホルモンにおいてメチオニンの付加率はほぼ100%[非特許文献1:ネイチャー(Nature),293,408(1981)]に達し、インターフェロン−αにおいては50%[非特許文献2:ジャーナルオブ・インターフェロン・リサーチ(J. Interferon Res.),1,381(1981)]、非グリコシル化ヒトインターロイキン−2では、天然型ヒトインターロイキン−2と同じくアラニンではじまる分子種(rIL−2)に加え、アミノ末端にさらにメチオニンの付加した(アミノ末端にメチオニン残基を有する)分子種(Met−rIL−2)の存在が認められている。

0003

アミノ末端にメチオニンが付加した組換えタンパク質とアミノ末端にメチオニンが付加していない組換えタンパク質を精製によって分離することが可能である場合もあるが、通常、アミノ末端メチオニンの有無しか違わない両者を分離することは困難な場合が多く、精製収率の点で不利となる。そのためアミノ末端にメチオニンが付加した組換えタンパク質の割合を低下させることは精製収率の面において効果が期待される。また、アミノ末端にメチオニンを付加した組換えタンパク質は、本来の活性が認められなかったり、その組換えタンパク質を医薬品として用いる場合には、抗原性が問題となることもある。例えば、組換えヒト成長ホルモン等に見られるように成熟型に比べ、抗原性の増加が指摘されている。したがって、遺伝子組換え技術を利用して産生した前駆体タンパク質を医薬品などに利用するためには、このアミノ末端のメチオニンを選択的に除去し成熟型タンパク質を得る必要がある。

0004

アミノ末端のアミノ酸化学的に除去する方法としては、Dixon が、1964年に、DL−アラニルグリシングリオキシル酸ピリジン酢酸銅を反応させるとアミノ転位反応が起こり、ピルボイルグリシンが生成すること[非特許文献3:バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),92,661(1964)]、さらに、化合物チオセミカルバジドを反応させるとアミド結合開裂が起こり、グリシンを生成することを報告している[非特許文献4:バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),90,2C(1964)]。次いで、この反応をチトクロームc−551(Pseudomonas cytochrome c−551)に応用し、アミノ末端グルタミン酸が除去されることを報告している[非特許文献5:バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),94,463(1965)]。しかしながら、これらの方法は反応効率、反応の特異性の面で問題があり、目的タンパク質にも影響を与えかねないため実用性に乏しい。したがって、アミノ末端のメチオニンを選択的に除去する方法として、メチオニンアミノペプチダーゼを作用させる方法が最も望ましい。この方法に利用できるメチオニンアミノペプチダーゼとして、大腸菌〔特許文献1:特開昭62−115281号公報、及び非特許文献6:ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.),169,751(1987)〕、サルモネラティフィムリウム(Salmonella typhymurium) 〔特許文献2:特表平3−502400号公報、及び非特許文献7:ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eur. J. Biochem.),180,23(1989)〕、酵母(特許文献3:特表平4−500155号公報)、及び枯草菌(Bacillus subtilis)(特許文献4:特開平3−285684号公報)由来のメチオニンアミノペプチダーゼが提案されている。これらのメチオニンアミノペプチダーゼは、タンパク質として単離され、その遺伝子も明らかにされている。アミノ末端のメチオニンを除去あるいは該メチオニンの付加していない組換えタンパク質を生産する方法としてその他には、分泌発現を行う方法〔非特許文献8:ジーン(Gene),55,189(1987)〕、融合タンパク質として発現させる方法〔非特許文献9:サイエンス(Science),198,1056(1977)〕などが知られている。しかし、分泌発現を行う方法に関しては通常の発現に比べて生産量が低いという不都合がある。また、融合タンパク質として発現させる方法および発現後にアミノペプチダーゼを用いてメチオニンを除去する方法に関しては、発現させた後に、融合タンパク質の切断又はメチオニンの除去の操作が必要となり、操作が煩雑になるだけでなく、最終的な収率純度の低下を招き不都合である。
特開昭62−115281号公報
特表平3−502400号公報
特表平4−500155号公報
特開平3−285684号公報
ネイチャー(Nature),293,408(1981)
ジャーナル・オブ・インターフェロン・リサーチ(J. Interferon Res.),1,381(1981)
バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),92,661(1964)
バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),90,2C(1964)
バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J.),94,463(1965)
ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.),169,751(1987)
ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eur. J. Biochem.),180,23(1989)
ジーン(Gene),55,189(1987)
サイエンス(Science),198,1056(1977)

発明が解決しようとする課題

0005

同じタンパク質であっても、アミノ末端にメチオニンの付加した分子種とそうでない分子種は、タンパク質の高次構造生物活性、安定性が相互に異なる可能性があり、さらにメチオニンのアミノ末端への付加が抗原性の増加をもたらす可能性もありうるものと考えられる。従って、産業利用上の観点から、この開始コドンに対応するアミノ末端メチオニンを除去する方法を確立することは意義あることと考えられる。この課題を解決するため、過酷な化学反応をタンパク質に付す方法は、決して満足する結果を与えない。すなわち、最終生産物となるタンパク質を変性させることなく、マイルドな条件下でアミノ末端のメチオニン残基を除去しうる化学的な反応を見出すことは困難であると考えられる。また、他の方法を用いることによっても、操作が煩雑で、かつ最終的な収率、純度の低下を招き不都合であると考えられる。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、アミノ末端にメチオニンを含有しないタンパク質を、遺伝子組換え技術により製造する方法に関し鋭意研究した結果、目的タンパク質をコードするDNAを有するプラスミドおよびメチオニンアミノペプチダーゼをコードするDNAを有するプラスミドを細胞に導入し、目的タンパク質遺伝子メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子よりもレベルの低い発現をする条件で培養することにより、アミノ末端のメチオニンを予想外にも効率よく除去できることを見出した。より具体的には、目的タンパク質をコードするDNAを低コピー数プラスミドに挿入し、得られた発現プラスミドをメチオニンアミノペプチダーゼをコードするDNAを有する高コピー数プラスミドと共に細胞に導入し、目的タンパク質およびメチオニンアミノペプチダーゼの両者が発現する条件で培養することにより、アミノ末端にメチオニン残基を有するタンパク質からメチオニン残基を除去し、その活性を低下させることなく、アミノ末端に余分なメチオニン残基を有していないタンパク質を予想外にも高収率で得る方法を見出し、さらに研究を進め、本発明を完成させるに至った。

0007

すなわち本発明は、以下の通りである。
1.目的タンパク質をコードする遺伝子を有するプラスミドおよびメチオニンアミノペプチダーゼをコードする遺伝子を有するプラスミドを細胞に導入し、該タンパク質遺伝子が該メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子よりもレベルの低い発現をする条件で培養することを特徴とする、アミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。
2. メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子の発現レベルがタンパク質遺伝子の発現レベルの1.5倍以上である、項1記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。
3. 細胞として大腸菌を用いる、項1、2記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。
4. メチオニンアミノペプチダーゼがアーキア由来である、項1〜3のいずれかに記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。
5. 目的タンパク質をコードするDNAを低コピー数プラスミドに挿入し、得られた発現プラスミドを、メチオニンアミノペプチダーゼをコードするDNAを有する高コピー数プラスミドと共に細胞に導入し、該タンパク質および該メチオニンアミノペプチダーゼの両者が発現する条件で培養することを特徴とする、アミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。
6. 低コピー数プラスミドが、細胞あたり1〜20コピーを維持し、高コピー数プラスミドが、細胞あたり50〜500コピーを維持する、項5記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。
7. 細胞として大腸菌を用いる、項5または6記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。
8. メチオニンアミノペプチダーゼがアーキア由来である、項5〜7のいずれかに記載のアミノ末端のメチオニンが取り除かれたタンパク質を組換え体にて製造する方法。
9. 目的タンパク質をコードするDNAを有するプラスミドおよびメチオニンアミノペプチダーゼをコードするDNAを有するプラスミドを導入した形質転換体
10. 目的タンパク質をコードするDNAを発現可能に組み込んだ低コピー数プラスミドと、メチオニンアミノペプチダーゼをコードするDNAを発現可能に組み込んだ高コピー数プラスミドを有し、高コピー数プラスミドのコピー数が、低コピー数プラスミドの1.5倍以上である形質転換体。
11. アミノ末端のメチオニンが取り除かれた組換えタンパク質を製造するための、項9又は10に記載の形質転換体の使用。

発明の効果

0008

本発明により、アミノ末端にメチオニンを含有しないタンパク質を、遺伝子組換え技術により製造することができる。したがって、目的タンパク質の活性を低下させることなく、アミノ末端に余分なメチオニン残基を有していないタンパク質を高収率で得ることが可能となる。本発明により、天然型のアミノ酸配列を有するペプチドまたはタンパク質を工業的に有利に製造することができる。

発明を実施するための最良の形態

0009

本発明の対象となる目的タンパク質としては、種類、分子量など特に限定されず、低分子量の所謂ペプチドから高分子量のタンパク質まで広範囲に適用できる。また、複数のサブユニットからなるタンパク質であっても、同じ条件下でDNAを細胞に導入することにより、本発明を適用することができる。好適には、可溶性のタンパク質、例えばホルモン成長因子酵素、核内レセプター、などが挙げられる。

0010

本発明の対象となるメチオニンアミノペプチダーゼとしては、特に限定されないが、タンパク質として単離され、その遺伝子も明らかにされているものが望ましい。そのようなメチオニンアミノペプチダーゼとしては、大腸菌、サルモネラティフィムリウム、酵母、枯草菌、アーキア由来のメチオニンアミノペプチダーゼが挙げられる。とりわけ、超好熱性アーキア由来のメチオニンアミノペプチダーゼは安定性に優れるため望ましい。
タンパク質を製造する細胞(形質転換体)としては、大腸菌などの細菌、酵母、らん藻、哺乳動物細胞昆虫細胞などの動物細胞、植物細胞などが挙げられ、好ましくは大腸菌が例示される。

0011

本発明の遺伝子発現レベルを変更する方法としては、各遺伝子DNAを異なるコピー数のプラスミドに組換え、コピー数の差異に伴う遺伝子量的効果を利用する方法が最も簡便に適用される。あるいは、各遺伝子の発現を異なるプロモーターの支配下でそれぞれ制御、調節することによっても、遺伝子発現レベルを変更することができる。或いは、エンハンサーサイレンサーなどの調節エレメントを使用することにより発現レベルを制御してもよい。
本発明を効果的に実施するためには、メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子の発現レベルが目的タンパク質遺伝子の発現レベルの1.5倍以上であることが好ましく、メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子の発現レベルが目的タンパク質遺伝子の発現レベルの2.5倍以上であることがさらに好ましい。メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子の発現レベルの上限は特に限定されないが、目的タンパク質遺伝子の発現レベルの100倍以下であることが望ましい。

0012

本発明に用いる低コピー数プラスミドとしては、細胞あたり1〜20コピーを維持するものが好適に利用される。このようなプラスミドとしては、pETcoco-1(1コピー/細胞)、pACYC(〜10コピー/細胞)、pSC101(〜6コピー/細胞)、ColE1(約15コピー/細胞)などが挙げられる。

0013

本発明に用いる高コピー数プラスミドとしては、細胞あたり25コピー以上、好ましくは50〜500コピー、或いはそれ以上を維持するものが好適に利用される。このようなプラスミドとしては、pGEM(300〜700コピー/細胞)pUC18(500〜700コピー/細胞)、pUC19(500〜700コピー/細胞)、pBR322(約25コピー/細胞)、pETベクター(〜40コピー/細胞)などが挙げられる。
本発明をより効率的に実施するには、挿入遺伝子に由来するタンパク質ごとに培地組成培養条件を詳細に検討すればよい。これらの検討を行い、至適条件を得ることで、メチオニン除去効率は100%に近い値が得られると期待される。

0014

以下の参考例および実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
参考例1(目的タンパク質発現プラスミドの構築
超好熱菌Archaeoglobus fulgidus由来ヒストンA(HAfA)を取得するため、構造遺伝子の開始コドン上流に隣接してNdeI切断部位、さらに上流にリボソーム結合部位、PstI切断部位をデザインしたオリゴヌクレオチド(配列番号1)、終止コドン下流にBamHI切断部位を持つオリゴヌクレオチド(配列番号2)と構造遺伝子内部配列をもつオリゴヌクレオチド(配列番号3)を合成した。
5'-AACTGCAGTAAGGAGGAATAGCATATGGCTGAGTTGCCGATGGCACCGGTTGACAGATTGATTAGGAAGGCTGGGGCTGAGAGAGTAAGT-3'(配列番号1);
5'-TTCCACAGCTTTCTTAGCAACGGTAATTGCGTAGTCCTCAAGCACTTCGACCATCTTTTCCACTGCATCTGCACTTACTCTCTCAGCCCC-3'(配列番号2);
5'-GGAATTCTTACATCGAGAGAGCGAGCTTAATGTCGTCCGCAGTGACGGTCTTTCTGCCAGAGTGCTTCGCAATTTCCACAGCTTTCTTAG-3'(配列番号3)。

0015

この3本のオリゴヌクレオチドを用いてオーバーラップPCRすることでhafA遺伝子を合成した。増幅断片をHincII切断したpUC19へ連結しこれを大腸菌DH10Bに導入した。アンピシリン耐性β-ガラクトシダーゼ活性を指標として形質転換体を選択、その株よりプラスミドを回収しpUC-HAfA(HincII)とした。pUC-HAfA(HincII)をPstI及びBamHIで切断し約0.2kbpの断片を回収した後、PstI及びBamHI切断したpUC19へ連結した。これを大腸菌DH10Bに導入し、アンピシリン耐性を指標として形質転換体を選択、その株よりプラスミドを回収し発現プラスミドpUC-HAfAとした。さらに、pUC-HAfAをPstI及びBamHIで切断しHAfA遺伝子断片を回収し、PstI及びBamHI切断したpSTV29へ連結した。これを大腸菌DH10Bに導入し、アンピシリン耐性を指標として形質転換体を選択、その株よりプラスミドを回収し発現プラスミドpSTV-HAfA(500〜700コピー/細胞)とした。
参考例2(メチオニンアミノペプチダーゼ発現プラスミドの構築)
超好熱菌Archaeoglobus fulgidus由来メチオニンアミノペプチダーゼ(AfMAP)遺伝子を取得するため、構造遺伝子の開始コドン上流に隣接してNdeI切断部位、さらに上流にリボソーム結合部位、PstI切断部位をもつプライマー(配列番号4)、及び終止コドン下流に隣接してBamHI切断部位をもつプライマー(配列番号5)を用いて、A. fulgidus染色体DNA を鋳型にPCRを行い、増幅断片を回収した。
5’-AACTGCAGTAAGGAGGAATAGCATATGGATGACGAGGTAAGGGAAAAGCTG-3’(配列番号4);
5’-TTGGATCCTTATTTAGTGGTTATGGTTGCTCCTCCGTCC-3’(配列番号5)。

0016

増幅断片をHincII切断したpSTV29へ連結しこれを大腸菌DH10Bに導入した。クロラムフェニコール耐性とβ-ガラクトシダーゼ活性を指標として形質転換体を選択、その株よりプラスミドを回収しpSTV-AfMAP(HincII)とした。pSTV-AfMAP(HincII)をPstI及びBamHIで切断し約0.9kbpの断片を回収した後、PstI及びBamHI切断したpUC19へ連結した。これを大腸菌DH10Bに導入し、アンピシリン耐性を指標として形質転換体を選択、その株よりプラスミドを回収し発現プラスミドpUC-AfMAP(500〜700コピー/細胞)とした。
参考例3(組換え体の調製と目的タンパク質の製造)
pSTV-HAfA、pUC-AfMAP両発現プラスミド保持株BL21(下記表1の(5))をクロラムフェニコール(34μg/ml)、アンピシリン(50μg/ml)を含む2YT培地(1.6%バクトリプトン、1.0%酵母エキス、0.5% NaCl)5mlが入った試験管中で37℃一晩培養した。得られた培養液2mlを、クロラムフェニコール(34μg/ml)、アンピシリン(50μg/ml)を加えた2YT培地200 mlを含む500 ml容坂口フラスコ中で37℃振とう培養した。培養液の濁度OD660で約0.4に到達した時点でイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドIPTG)を終濃度1mMとなるように加え37℃でさらに4時間培養した。培養液を遠心分離し得られた菌体を−80℃に凍結保存した。

0017

なお、pSTV-HAfA、pUC19両発現プラスミド保持株BL21(下記表1の(4))、pSTV-HAfA発現プラスミド保持株BL21(下記表1の(3))についても、上記と同様に処理した。

0018

また、pET-HAfA発現プラスミド保持株BL21(DE3)CodonPlusRIL(下記表1の(2))を、アンピシリン(50μg/ml)を含む2YT培地(1.6%バクトトリプトン、1.0%酵母エキス、0.5% NaCl)5mlが入った試験管中で37℃一晩培養した。得られた培養液2mlを、アンピシリン(50μg/ml)を加えた2YT培地200 mlを含む500 ml容坂口フラスコ中で37℃振とう培養した。培養液の濁度がOD660で約0.4に到達した時点でイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を終濃度1mMとなるように加え37℃でさらに4時間培養した。培養液を遠心分離し得られた菌体を−80℃に凍結保存した。

0019

(実施例)
大腸菌内でMAPと標的タンパク質共発現させることで、標的タンパク質の開始メチオニンを除去する。
MAP・・・・・・・・AfMAP (Archaeoglobus fulgidus由来MAP)
標的タンパク質・・・HAfA(Archaeoglobus fulgidus由来ヒストンA)
標的タンパク質のN末端アミノ酸配列・・・(M)AELPM・・・・
下記表1の(2)、(3)の製造条件
pET-HAfA発現プラスミド保持株BL21(DE3)CodonPlusRIL(下記表1の(2))を、アンピシリン(50μg/ml)を含む2YT培地(1.6%バクトトリプトン、1.0%酵母エキス、0.5% NaCl)5mlが入った試験管中で37℃一晩培養した。得られた培養液2mlを、アンピシリン(50μg/ml)を加えた2YT培地200 mlを含む500 ml容坂口フラスコ中で37℃振とう培養した。培養液の濁度がOD660で約0.4に到達した時点でイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を終濃度1mMとなるように加え37℃でさらに4時間培養した。培養液を遠心分離し得られた菌体を−80℃に凍結保存した。

0020

pSTV-HAfA発現プラスミド保持株BL21(下記表1の(3))を、クロラムフェニコール(34μg/ml)を含む2YT培地(1.6%バクトトリプトン、1.0%酵母エキス、0.5% NaCl)5mlが入った試験管中で37℃一晩培養した。得られた培養液2mlを、クロラムフェニコール(34μg/ml)を加えた2YT培地200 mlを含む500 ml容坂口フラスコ中で37℃振とう培養した。培養液の濁度がOD660で約0.4に到達した時点でイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を終濃度1mMとなるように加え37℃でさらに4時間培養した。培養液を遠心分離し得られた菌体を−80℃に凍結保存した。

0021

下記表1の(4)、(5)の製造条件
pSTV-HAfA、pUC-AfMAP両発現プラスミド保持株BL21またはpSTV-HAfA、pUC19両発現プラスミド保持株BL21をクロラムフェニコール(34μg/ml)、アンピシリン(50μg/ml)を含む2YT培地(1.6%バクトトリプトン、1.0%酵母エキス、0.5% NaCl)5mlが入った試験管中で37℃一晩培養した。得られた培養液2mlを、クロラムフェニコール(34μg/ml)、アンピシリン(50μg/ml)を加えた2YT培地200 mlを含む500 ml容坂口フラスコ中で37℃振とう培養した。培養液の濁度がOD660で約0.4に到達した時点でイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を終濃度1mMとなるように加え37℃でさらに4時間培養した。培養液を遠心分離し得られた菌体を−80℃に凍結保存した。

0022

0023

上記の表1の結果から、以下のことが明らかになった。
○元株では、HAfAの開始メチオニンは完全に除去されている((1))。
○大腸菌発現プラスミドのコピー数を減らす(発現量を減らす)ことで、開始メチオニンが除去されたHAfAの割合を増加させることに成功した((2)、(3))。
○さらにMAPと共発現させることで、HAfAの割合を増加(〜92%)させることに成功した((5)、(4)は対照実験)。

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