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技術 物体検知装置

出願人 パナソニック株式会社
発明者 村山頼信
出願日 2005年7月25日 (15年5ヶ月経過) 出願番号 2005-214976
公開日 2007年2月8日 (13年10ヶ月経過) 公開番号 2007-033158
状態 拒絶査定
技術分野 地球物理、対象物の検知 音波、超音波を用いた位置、速度等の測定
主要キーワード 受波強度 素子配置用 送波強度 通電電極 熱絶縁層 受波用 受波側 往復距離
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年2月8日)のものです。
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図面 (20)

課題

反射係数の異なる物体であっても、物体の大きさや形状を正確に識別することができ、かつ、従来構成よりも広範囲について物体を検知可能とする。

解決手段

送波器4から間欠的に送波され検知領域内に存在する物体2で反射された疎密波受波器6により受波して受波信号に変換し、受波信号を用いて検知領域内の物体2を検知する構成において、検知部7は、物体2における疎密波の反射係数を求め、この反射係数に基づいて受波信号の強度により物体2の有無を検知するための受波信号の強度に対するしきい値を設定する。検知部7は、しきい値が反射係数の大小に依らずに物体2で反射された疎密波に対応する受波信号の強度より小さくなるように、反射係数が小さい物体2ほどしきい値を小さく設定する。物体2を検知する対象とする検知領域は、領域設定部26により可変に設定される。

概要

背景

従来から、物体を検知する技術として、対象とする検知領域に疎密波間欠的に送波する送波器と疎密波を受波する受波器とを互いに隣接して設け、送波器から送波した疎密波が検知領域内に存在する物体で反射されて受波器に戻ってくると、検知領域内に物体が存在すると判断するものが知られている。

この技術により物体を検知する物体検知装置には、図23に示すように、それぞれ疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子9を複数個配列することによって受波器6を構成したものがある。図23に示す物体検知装置では、平面上に配列された複数個の圧電素子のうち、送波用切替回路32で選択された図中破線枠内の圧電素子を送波器4とし、受波用切替回路33で選択された圧電素子をそれぞれ受波素子9としている。送波器4は、送波用切替回路32に接続された駆動回路5により駆動される。各受波素子9のそれぞれの受波信号は、増幅器10において増幅されてからADコンバータ11においてデジタル信号化され、演算器13に入力される(たとえば特許文献1参照)。

ここにおいて、受波信号の強度により物体の有無を判別するために、受波信号の強度に対して一定のしきい値が設定されており、受波信号の強度がしきい値より大きければ物体が存在すると判断され、受波信号の強度がしきい値より小さければ物体が存在しないと判断される。

演算器13においては、疎密波が送波されてから受波されるまでに要した時間を物体までの距離に対応させ、かつ各受波素子9におけるそれぞれの受波信号の時間差を物体の方位(つまり受波器6が疎密波を受波した方位)に対応させることによって、検知領域内において物体が占有する領域(つまり、物体の大きさや形状)を識別することが可能である。たとえば、物体が比較的大きい場合には受波信号の強度が検知領域内の比較的広い範囲にわたってしきい値より大きくなり、物体が比較的小さい場合には受波信号の強度が検知領域内の比較的狭い範囲にわたってしきい値より大きくなる。
特開2000−28589号公報(第6頁、図1)

概要

反射係数の異なる物体であっても、物体の大きさや形状を正確に識別することができ、かつ、従来構成よりも広範囲について物体を検知可能とする。送波器4から間欠的に送波され検知領域内に存在する物体2で反射された疎密波を受波器6により受波して受波信号に変換し、受波信号を用いて検知領域内の物体2を検知する構成において、検知部7は、物体2における疎密波の反射係数を求め、この反射係数に基づいて受波信号の強度により物体2の有無を検知するための受波信号の強度に対するしきい値を設定する。検知部7は、しきい値が反射係数の大小に依らずに物体2で反射された疎密波に対応する受波信号の強度より小さくなるように、反射係数が小さい物体2ほどしきい値を小さく設定する。物体2を検知する対象とする検知領域は、領域設定部26により可変に設定される。

目的

本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、反射係数の異なる物体であっても、物体の大きさや形状を正確に識別することができ、かつ、従来構成よりも広範囲について物体を検知することができる物体検知装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

対象とする検知領域に疎密波間欠的に送波する送波器と、それぞれ疎密波を電気信号である受波信号に変換する複数個受波素子を有し、検知領域内に存在する物体反射された送波器からの疎密波を受波する受波器と、疎密波が送波されてから受波されるまでに要した時間に対応する前記物体までの距離と各受波素子のそれぞれの受波信号の時間差に対応する前記物体の方位とを識別して検知領域内の物体を検知する検知部と、前記検知領域を可変に設定する領域設定部とを備え、検知部は、送波器から送波された疎密波の強度である送波強度と受波器により受波された疎密波の強度である受波強度とを用いて前記物体の反射係数を求め、物体の有無を受波信号の強度により判別するための受波信号の強度に対するしきい値を前記物体で反射された疎密波に対応する受波信号の強度より小さくするように、前記反射係数が小さい物体ほど前記しきい値を小さく設定することを特徴とする物体検知装置

請求項2

前記領域設定部は、前記送波強度を変化させ、前記検知領域を遠方側拡張するほど送波強度を大きくすることを特徴とする請求項1記載の物体検知装置。

請求項3

前記領域設定部は、前記疎密波に対する受波感度を変化させ、前記検知領域を遠方側に拡張するほど受波感度を大きくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物体検知装置。

請求項4

前記領域設定部により設定された前記検知領域を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の物体検知装置。

技術分野

0001

本発明は、対象とする検知領域に疎密波送波し当該疎密波を用いて検知領域における物体の検知を行う物体検知装置に関するものである。

背景技術

0002

従来から、物体を検知する技術として、対象とする検知領域に疎密波を間欠的に送波する送波器と疎密波を受波する受波器とを互いに隣接して設け、送波器から送波した疎密波が検知領域内に存在する物体で反射されて受波器に戻ってくると、検知領域内に物体が存在すると判断するものが知られている。

0003

この技術により物体を検知する物体検知装置には、図23に示すように、それぞれ疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子9を複数個配列することによって受波器6を構成したものがある。図23に示す物体検知装置では、平面上に配列された複数個の圧電素子のうち、送波用切替回路32で選択された図中破線枠内の圧電素子を送波器4とし、受波用切替回路33で選択された圧電素子をそれぞれ受波素子9としている。送波器4は、送波用切替回路32に接続された駆動回路5により駆動される。各受波素子9のそれぞれの受波信号は、増幅器10において増幅されてからADコンバータ11においてデジタル信号化され、演算器13に入力される(たとえば特許文献1参照)。

0004

ここにおいて、受波信号の強度により物体の有無を判別するために、受波信号の強度に対して一定のしきい値が設定されており、受波信号の強度がしきい値より大きければ物体が存在すると判断され、受波信号の強度がしきい値より小さければ物体が存在しないと判断される。

0005

演算器13においては、疎密波が送波されてから受波されるまでに要した時間を物体までの距離に対応させ、かつ各受波素子9におけるそれぞれの受波信号の時間差を物体の方位(つまり受波器6が疎密波を受波した方位)に対応させることによって、検知領域内において物体が占有する領域(つまり、物体の大きさや形状)を識別することが可能である。たとえば、物体が比較的大きい場合には受波信号の強度が検知領域内の比較的広い範囲にわたってしきい値より大きくなり、物体が比較的小さい場合には受波信号の強度が検知領域内の比較的狭い範囲にわたってしきい値より大きくなる。
特開2000−28589号公報(第6頁、図1

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、受波信号の強度のピーク値は、物体における疎密波の反射係数によって異なり、反射係数が小さい物体ほど小さくなる。一方、上述した物体検知装置では、受波信号の強度に対するしきい値は物体の反射係数に依らず一定に設定されているので、同じ大きさかつ同じ形状の物体であっても、反射係数の違いによって、検知領域内において一定のしきい値に対して受波信号の強度が大きくなる範囲が異なり、異なる大きさの物体として検知されたり異なる形状の物体として検知されたりすることがある。

0007

また、特許文献1に記載の物体検知装置は検知領域が固定的に設定されており、1台の物体検知装置では、設定された検知領域よりも遠方に存在する物体に関しては検知することができず、設定された検知領域よりも近くに存在する物体に関しては受波側で疎密波が飽和し当該物体の大きさや形状を検知することができない。すなわち、固定的に設定された検知領域以外の領域に存在する物体に関しては検知することができず、物体を検知可能な範囲は比較的狭い範囲に限定されてしまう。

0008

本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、反射係数の異なる物体であっても、物体の大きさや形状を正確に識別することができ、かつ、従来構成よりも広範囲について物体を検知することができる物体検知装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

請求項1の発明では、対象とする検知領域に疎密波を間欠的に送波する送波器と、それぞれ疎密波を電気信号である受波信号に変換する複数個の受波素子を有し、検知領域内に存在する物体で反射された送波器からの疎密波を受波する受波器と、疎密波が送波されてから受波されるまでに要した時間に対応する前記物体までの距離と各受波素子のそれぞれの受波信号の時間差に対応する前記物体の方位とを識別して検知領域内の物体を検知する検知部と、前記検知領域を可変に設定する領域設定部とを備え、検知部は、送波器から送波された疎密波の強度である送波強度と受波器により受波された疎密波の強度である受波強度とを用いて前記物体の反射係数を求め、物体の有無を受波信号の強度により判別するための受波信号の強度に対するしきい値を前記物体で反射された疎密波に対応する受波信号の強度より小さくするように、前記反射係数が小さい物体ほど前記しきい値を小さく設定することを特徴とする。

0010

この構成によれば、受波信号の強度に対するしきい値を一定にするでのはなく、反射係数が小さい物体ほどしきい値を小さくするので、同じ大きさかつ同じ形状の物体であれば、反射係数が異なっていても、検知領域内においてしきい値に対して受波信号の強度が大きくなる範囲を反射係数の違いに依らず同程度とすることができ、同じ大きさかつ同じ形状の物体として検知することができる。要するに、反射係数の異なる物体であっても、物体の大きさや形状を正確に識別することができる。また、検知領域を可変に設定する領域設定部を備えているから、検知領域よりも遠方に存在する物体を検知する場合には検知領域を遠方に拡張することにより当該物体を検知することができ、逆に、検知領域よりも近くに存在する物体を検知する場合には検知領域を縮小することにより当該物体を検知することができる。すなわち、従来構成よりも広範囲について物体を検知することができるという利点がある。

0011

請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記領域設定部が、前記送波強度を変化させ、前記検知領域を遠方側に拡張するほど送波強度を大きくすることを特徴とする。

0012

この構成によれば、検知領域を遠方側に設定した場合でも、当該検知領域内の物体で反射され受波器で受波される疎密波の強度を、当該物体を検知するために十分な大きさとすることができる。

0013

請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記領域設定部が、前記疎密波に対する受波感度を変化させ、前記検知領域を遠方側に拡張するほど受波感度を大きくすることを特徴とする。

0014

この構成によれば、検知領域を遠方側に設定した場合でも、当該検知領域内の物体で反射された疎密波に対する受波感度を、当該物体を検知するために十分な大きさとすることができる。

0015

請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記領域設定部により設定された前記検知領域を表示する表示部を備えることを特徴とする。

0016

この構成によれば、検知領域を表示部で確認しながら変更できるので、所望の検知領域を容易に設定することができる。

発明の効果

0017

本発明は、受波信号の強度に対するしきい値を一定にするでのはなく、反射係数が小さい物体ほどしきい値を小さくするので、同じ大きさかつ同じ形状の物体であれば、反射係数が異なっていても、検知領域内においてしきい値に対して受波信号の強度が大きくなる範囲を反射係数の違いに依らず同程度とすることができ、同じ大きさかつ同じ形状の物体として検知することができる。要するに、反射係数の異なる物体であっても、物体の大きさや形状を正確に識別することができる。また、検知領域を可変に設定する領域設定部を備えているから、検知領域よりも遠方に存在する物体を検知する場合には検知領域を遠方に拡張することにより当該物体を検知することができ、逆に、検知領域よりも近くに存在する物体を検知する場合には検知領域を縮小することにより当該物体を検知することができる。すなわち、従来構成よりも広範囲について物体を検知することができるという利点がある。

発明を実施するための最良の形態

0018

(実施形態1)
本実施形態では、対象とする検知領域内に存在する物体を検知する物体検知装置において、物体までの距離および物体の方位を識別する構成について説明する。

0019

本実施形態の物体検知装置は、図1に示すように、対象とする検知領域(空気中)に間欠的に疎密波を送波する送波手段1と、検知領域内に存在する物体2で反射された疎密波を受波する受波手段3とを備える。送波手段1は、電気信号である送波信号を疎密波に変換する送波器4と、疎密波が間欠的に送波されるように送波器4を駆動する駆動回路5とを有し、受波手段3は、疎密波を受波するとともに当該疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波器6と、受波器6から受波信号を受けて受波信号の強度により物体2の有無を判別する検知部7とを有する。送波器4と受波器6とは、互いに隣接して配置され、センサ部を構成している。検知領域は、駆動回路5と検知部7との両方に接続された領域設定部26によって設定されるが、この領域設定部26については後述する。領域設定部26に接続された表示部27についても後述する。

0020

ここで、駆動回路5と検知部7とは互いに接続されており、疎密波が送波されてから受波されるまでに要した時間を検知部7において求めることができる。この疎密波の送受波に要した時間が物体2までの距離に対応する。また、受波器6は、図2に示すように、素子配列基板8上において縦方向垂直方向)に5個、横方向(水平方向)に5個それぞれ等間隔に配列された合計10個の受波素子9を有し、それぞれの受波素子9において疎密波を受波信号に変換することにより、検知部7において各受波素子9のそれぞれの受波信号の時間差によって物体2の方位を識別できるようにしてある。たとえば、図3に示すように、受波器6の素子配列用基板8に直交する方向に対して角度θだけ傾いた方位からの疎密波を受ける場合に、隣接する受波素子9(間隔をdとする)のそれぞれの受波信号の時間差Δtは次式のように表される。ここで、音速をcとしている。

0021

Δt=(d・sinθ)/c
検知部7は、図4に示すように、各受波素子5からの受波信号をそれぞれ増幅するアンプ10と、アンプ10で増幅された受波信号をA/D変換するADコンバータ11と、ADコンバータ11でデジタル信号化された受波信号を格納するフレームメモリ12と、フレームメモリ12に格納された受波信号を用いて物体2までの距離および物体2の方位を識別する演算器13とを有する。受波信号を増幅してA/D変換し、フレームメモリ12に格納するという一連の処理は、各受波素子9についてそれぞれ行われるものである。ここでは、アンプ10の増幅率は40dB〜60dBとしており、S/N比は60dB程度である。ADコンバータ11には16bitのものを用いており、サンプリング周波数は1MHzとしてある。フレームメモリ12は、それぞれの受波素子9について、ADコンバータ11のサンプリング周期(ここでは1μs)毎に受波信号の振幅を格納できるように分割された記憶領域を持つ。

0022

本実施形態の演算器13は、受波器6が疎密波を受波した方位(つまり物体2の方位)を識別するために、各受波素子9からの受波信号をそれぞれ遅延時間だけ遅延させる遅延手段14(図5参照)と、遅延された受波信号を加算する加算手段15(図5参照)とを有している。ここで、演算器13は、受波信号を遅延させた状態でフレームメモリ12から各受波素子9毎に読み出すことにより、遅延時間の組み合わせに対応する方位から受波した疎密波の受波信号を加算手段15の出力として取り出すことができるようにしている。

0023

以下に、物体2までの距離および物体2の方位を識別する処理の概要を、図5に示すように、検知領域内に2つの物体2,2’が存在する場合を想定して説明する。ただし、ここでは、1つの平面上での方位を識別するものとし、当該平面上に受波素子9が5個配列されている場合について説明する。また、図6(b)および図6(d)では長方形の横方向の長さを遅延時間の大きさとして遅延時間の組み合わせを表し、図6(c)および図6(e)においては横軸時間軸として図6(a)の受波素子9毎の受波信号を表す。図6(f)および図6(g)には横軸を時間軸として加算後の受波信号を示す。

0024

送波器4から送波された疎密波が各物体2,2’でそれぞれ反射されることにより、各受波素子9は、図6(a)のように各物体2,2’の方位に対応する時間差を持つ疎密波を受波する。各受波素子9からの受波信号を図6(b)に示す組み合わせの遅延時間だけ遅延させることにより、図6(c)に示すように物体2で反射された疎密波に対応するすべての受波信号のタイミングを一致させることができる。一方、各受波素子9からの受波信号を図6(d)に示す組み合わせの遅延時間だけ遅延させることにより、図6(e)に示すように物体2’で反射された疎密波に対応するすべての受波信号のタイミングを一致させることができる。ここで、図6(b)の遅延時間の組み合わせが物体2の方位に対応し、図6(d)の遅延時間の組み合わせが物体2’の方位に対応するのである。

0025

また、図7(a)に示すように、物体2の方位において疎密波の送受波に要した時間t1が物体2までの距離に換算されるとともに、図7(b)に示すように、物体2’の方位において疎密波の送受波に要した時間t2が物体2’までの距離に換算される。このように、物体2までの距離および物体2の方位を識別することによって、検知領域内において物体2が占有する領域(つまり、物体2の大きさや形状)を識別することが可能である。

0026

ところで、演算器13は、加算後の受波信号(図6(f)および図6(g)を参照)の強度によって、遅延時間の組み合わせに対応する方位における物体2の有無を判別する判別手段(図示せず)を有し、判別手段において、加算後の受波信号の強度としきい値とを比較し、受波信号の強度がしきい値より大きいと当該方位に物体2が存在すると判断する。本実施形態では、判別手段において受波信号の強度に対するしきい値が一定の値に設定されるのではなく、物体2における疎密波の反射係数に応じてしきい値を変化させている点に特徴がある。

0027

具体的に説明すると、反射係数が小さい物体2ほど疎密波は反射され難く受波信号の強度のピーク値が小さくなるので、しきい値は、反射係数の大小に依らずに物体2で反射された疎密波に対応する受波信号の強度より小さくなるように、反射係数が小さい物体2ほど小さく設定される。この構成によれば、同じ大きさかつ同じ形状の物体2であれば、反射係数が異なっていたとしても、当該物体で反射された疎密波に対応する受波信号の強度がしきい値よりも大きくなる範囲(つまり、検知領域内において物体2が占有する領域)を同程度とすることができ、同じ大きさかつ同じ形状の物体2として検知することができる。

0028

たとえば、物体検知装置が1m以内(往復距離では2m以内)に存在する物体2を検知するとすれば、疎密波は空気中で最大1mの距離を往復することになり、この期間に、疎密波の発散による発散損失と、疎密波の音響エネルギが空気中に吸収されることによる吸収損失と、疎密波が物体2で反射される際の反射損失(反射係数に依存する)とによって、疎密波が45dB程度減衰する。つまり、送波器4から送波された疎密波の強度である送波音圧Vs(送波強度に相当)と受波器6により受波された疎密波の強度である受波音圧Vr(受波強度に相当)との関係は、物体2までの往復距離Rに依存する空気中での発散損失{1/(4πR2)}および吸収損失exp(−αR)と、反射係数Krとを用いて次式のように表すことができる。ただし、吸収損失におけるαは吸収係数である。

0029

Vr=Vs・1/(4πR2)・exp(−αR)・Kr
本実施形態では、送波音圧と受波音圧と発散損失と吸収損失とを用いて、上式から物体2の反射係数を求めている。そして、求まった反射係数が小さい物体2ほどしきい値を小さく設定する。

0030

また、本実施形態では、送波器4および受波器6に、送受波する疎密波の周波数共振周波数を持たないものをそれぞれ採用することによって、送波器4から送波される疎密波における残響成分と受波器6から出力される受波信号における残響成分との両方を比較的小さくし、各受波素子9のそれぞれの受波信号が残響成分により時間軸方向に広がることを防止し、検知部7において物体2までの距離および物体2の方位を精度良く識別できるようにしている。

0031

具体的な構成として、送波器4においては、図8に示すような熱励起方式のものを採用している。この送波器4は、単結晶シリコン(c−Si)等からなる基板16と、基板16上に設けられたナノ結晶シリコン(nc−PS)等からなる熱絶縁層17と、送波器4の音源として熱絶縁層17上に成膜されたタングステン(W)等の金属薄膜18とを備えている。図8において、金属薄膜18の左右両端部には、アルミニウム(Al)等からなる一対の通電電極19が設けられる。通電電極19の左右方向の寸法は5mmにしてある。金属薄膜18はこの通電電極19を通して通電されたときに発熱するものであって、熱絶縁層17は金属薄膜18からの熱が基板16側に逃げることを防止している。

0032

ここにおいて、駆動回路5が通電電極19間に交流電圧印加して送波信号としての駆動電流を流すと、金属薄膜18が温度変化を繰り返すことにより金属薄膜18に接触する媒質(空気)が膨張収縮して、駆動電流と同じ周波数の疎密波が生じるのである。このように、本実施形態の送波器4は、金属薄膜18の温度変化により疎密波を発生するものであって、自身が機械的に振動するものではなく共振周波数を持たないので、疎密波の発生時に共振による残響成分を発生することはない。また、本実施形態の送波器4は、音源となる部位が平面状であって、当該平面に直交する向きに疎密波を送波する。音源となる部位は、正方形状に形成されている。

0033

駆動回路5は、この送波器4の金属薄膜18に図9に示すようなガウス波形状の駆動電流を流すことによって送波器4を駆動する。ガウス波形状の駆動電流の周波数成分はガウス分布であるから、このような駆動電流で送波器4を駆動することによって、特定の周波数帯域を有する疎密波を発生することができる。ここでは、疎密波の周波数帯域が50kHz〜70kHzの超音波領域に設定している。さらに、駆動回路5が出力する駆動電流は単発パルス電流であって、送波器4から単発の疎密波を送波させており、送波器4が送波する疎密波にサイドローブが発生することを防止している。駆動回路5は、図10に示すように、電源DCに対してスイッチSWを介して接続されたコンデンサC1を備え、コンデンサC1は、サイリスタからなるスイッチング素子Q1とインダクタL1と抵抗R1との直列回路を介して送波器4に接続された構成を有する。ここにおいて、コンデンサC1はスイッチSWがオンの期間に充電され、その後、スイッチSWがオフになり、スイッチング素子Q1がオンされることによりコンデンサC1から送波器4に駆動電流が流れる。駆動電流の波形は、コンデンサC1に蓄積された電荷量と、インダクタL1および抵抗R1の値とによって変化する。駆動回路5における出力端間には、負荷である送波器4の短絡防止のために送波器4と並列保護抵抗R2が設けられる。

0034

一方、受波器6の各受波素子9においては、共振周波数を持たない静電容量形のマイクロフォンをそれぞれ採用している。この受波素子9は、図11に示すように、単結晶シリコン等からなり一部に受波孔20が形成された基板21と、受波孔20の一方の開口を覆うように基板21に連続一体に形成され可動電極(図示せず)を設けた薄膜の受波体22と、ギャップ23を介して受波体22に対向する固定電極保持部24と、固定電極保持部24に設けられた固定電極25とを備え、基板21と受波体22とでダイアフラム構造を構成している。受波孔20は受波体22側ほど狭くなる形状に形成されている。この構成により、受波体22が疎密波を受けると受波体22が振動し、受波体22と固定電極25との距離が変化する。結果的に、可動電極と固定電極25との間の静電容量が変化する。そして、可動電極と固定電極25との間に電圧が印加されることにより、この静電容量の変化に依存して変化する電圧を受波信号として取り出すことができる。また、受波素子9の構造は、上述したダイアフラム構造に限らず、受波体22を受波孔20の一辺において基板21に連続させたカンチレバー構造としてもよい。

0035

10個の受波素子9が一平面上に配列された本実施形態の受波手段3においては、受波素子9が配列された平面に直交する方向に対して、傾きが0度のときの強度を0dBとすると、傾きが5度のときに強度が−3dBとなるような、比較的鋭い指向性を有する。また、受波器6が疎密波を受波しても共振しないことにより、受波素子9を疎密波の波長以下の比較的狭い間隔で配置することができるのである。

0036

ところで、本実施形態の領域設定部26は検知領域を可変に設定できる機能を有している。本実施形態では、検知領域を設定するために操作される操作部(図示せず)を領域設定部26に設けており、使用者がこの操作部を操作することにより検知領域の最遠端(つまり物体2を検知可能な最大距離)を任意に変化させることができる。ここにおいて、領域設定部26は、検知領域に合わせて送波音圧を変化させており、検知領域を遠方側に拡張するほど送波音圧を大きくする。言い換えると、領域設定部26は、検知領域を縮小するほど送波音圧を小さくする。これにより、検知領域を遠方側に設定した場合でも、当該検知領域内の物体2で反射され受波器6で受波される疎密波の強度を、当該物体2を検知するために十分な大きさとすることができる。

0037

具体的に説明すると、検知領域を遠方側に拡張する場合には、領域設定部26は、駆動回路5における電源DCの出力電圧とコンデンサC1の容量との少なくとも一方を大きくすることにより、コンデンサC1に蓄積される電荷量を大きくし、駆動回路5から送波器4に流す駆動電流のピーク値を増大させて送波音圧を大きくする。逆に、検知領域を縮小する場合には、領域設定部26は、駆動回路5における電源DCの出力電圧とコンデンサC1の容量との少なくとも一方を小さくすることにより、コンデンサC1に蓄積される電荷量を小さくし、駆動回路5から送波器4に流す駆動電流のピーク値を減少させて送波音圧を小さくする。この構成では、駆動回路5から送波器4に対して無駄に大きい駆動電流が流れることがなくなるので、送波器4における無駄な電力消費を防止できるという効果も期待できる。

0038

また、領域設定部26は、疎密波に対する受波感度を検知領域に合わせて変化させる構成を採用してもよい。すなわち、領域設定部26は、検知領域を遠方側に拡張するほど受波感度を大きくする。言い換えると、領域設定部26は、検知領域を縮小するほど受波感度を小さくする。これにより、検知領域を遠方側に設定した場合でも、当該検知領域内の物体2で反射された疎密波に対する受波感度を、当該物体2を検知するために十分な大きさとすることができる。具体的に説明すると、検知領域を遠方側に拡張する場合には、領域設定部26は、検知部7を構成するアンプ10の増幅率を大きくすることにより受波感度を大きくする。逆に、検知領域を縮小する場合には、領域設定部26は、検知部7を構成するアンプ10の増幅率を小さくすることにより受波感度を小さくする。ただし、領域設定部26においてアンプ10の増幅率を変化させなくとも、本実施形態のように検知部7において反射係数が小さい物体2ほど受波信号の強度に対するしきい値を小さく設定している場合には、同じ物体2であっても遠方に存在するほどしきい値が小さく設定されるので、結果的に、検知領域を遠方側に拡張するほど受波感度が大きくなることとなる。

0039

検知領域を可変に設定する場合には、設定された検知領域を確認できるようにすることが望ましく、そのため、ここでは領域設定部26で設定された検知領域を表示する表示部27が設けられている。ただし、表示部27は、実際の検知領域を表示するのではなく、領域設定部26における操作部の操作に基づいて予測される検知領域を表示する。ここでは、表示部27にLCDを用い、検知領域を一方向から見た3次元画像あるいは2次元画像として表示する構成を採用しているが、センサ部から検知領域の最遠端までの距離などを数値を用いて表示するだけの簡単な構成の表示部27を用いてもよい。本実施形態の表示部27について具体的に説明すると、図12に示すように、物体検知装置の構成要素として装置本体28の領域設定部26に接続可能なパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と略称する)29のモニタを表示部27として用いており、パソコン29上で検知領域を画像化するためのプログラムを実行している。これにより、使用者においては、所望の検知領域を表示部27で確認しながら容易に設定することができる。また、領域設定部26を制御することにより検知領域を変化させるプログラムも同時に前記パソコン29上で実行することによって、検知領域をパソコン29のモニタで確認しながらパソコン29の操作により変更できるようにしてもよい。さらに、本実施形態では検知領域の最遠端のみを変化させているが、検知領域の最近端(つまり物体2を検知可能な最小距離)や検知領域の形状などを変化させるようにしてもよい。

0040

また、本実施形態では、検知部7の演算器13が、送波器4が疎密波を送波するタイミングに合わせて受波信号を有効とする期間(以下では「受波期間」と呼ぶ)を決定するタイミング制御部としての機能を有している。物体検知装置がたとえば1m以内(往復距離では2m以内)に存在する物体を検出するとすれば、疎密波が空気中で1mの距離を往復するのに要する時間は6ms程度であることから、タイミング制御部は送波器4が疎密波を送波した直後から6msの受波期間を設定する。このようにタイミング制御部としての機能を有することにより、送波器4から送波された疎密波を受波器6が受波する期間にのみ受波信号を有効とすることができるので、外来ノイズ多重反射などによる受波信号を受けて検知部6が誤動作することを防止できる。ただし、タイミング制御部としての機能をADコンバータ11に設けてADコンバータ11が受波期間にのみ受波信号をデジタル信号化するようにしてもよい。ここにおいて、本実施形態のように、ADコンバータ11に16bitのものを用いサンプリング周波数を1MHzとし、かつ受波期間が6msであって受波素子9が10個の場合には、(6ms)×(1MHz)×(16bit)×(10個)=(120kbyte)のフレームメモリ12が必要になる。

0041

ただし、受波期間を固定的に設定するのではなく、領域設定部26において設定された検知領域に合わせて受波期間を可変とすることが望ましく、物体検知装置がたとえば1〜2mの範囲(往復距離では2〜4mの範囲)に存在する物体を検出するとすれば、タイミング制御部は送波器4が疎密波を送波した6ms後から6msの受波期間を設定する。

0042

なお、たとえば物体2までの距離が比較的小さいなどの理由により発散損失および吸収損失を無視できる場合には、反射係数を送波音圧と受波音圧とから求めるようにしてもよい。また、本実施形態のように物体2の検知に疎密波を用いた場合には、所謂無色透明の物体2のように、物体2の検知に光を用いた物体検知装置では検知し難い物体2であっても検知することができるという利点がある。

0043

(実施形態2)
本実施形態の物体検知装置は、対象とする検知領域内に存在する物体2を3次元画像として表示することができるものである。この物体検知装置は基本構成が実施形態1で説明したものと同様であって、実施形態1で説明したように物体検知装置が物体2までの距離および物体2の方位を識別できることを利用して、検知領域内において物体2が存在する3次元的な位置を識別している。

0044

本実施形態では、センサ部(送波器4および受波器6)の正面側において、センサ部を頂点として、左方に45度の角度で傾いた平面と、右方に45度の角度で傾いた平面と、上方に45度の角度で傾いた平面と、下方に45度の角度で傾いた平面とで囲まれた領域であって、センサ部から5m以内の範囲を検知領域とするように、領域設定部26で検知領域を設定する。以下では、センサ部の正面方向に対して左方への傾きを負の角度、右方への傾きを正の角度として左右方向の角度を表し、センサ部の正面方向に対して下方への傾きを負の角度、上方への傾きを正の角度として上下方向の角度を表す。ここで、検知領域を複数の小領域に分割し、各小領域のそれぞれにおいて物体2の有無を検知することにより検知領域内の物体2を画像化する。

0045

送波器4から送波される疎密波の伝播方向(以下では「奥行方向」と呼ぶ)においては、図13に示すように、検知領域を所定幅aで複数の区間に分割する。ここにおいて、区間同士がセンサ部を中心とした球面によって区切られることにより、各区間はセンサ部からそれぞれ等距離の空間を形成している。すなわち、センサ部から等距離に存在する複数の物体2はすべて同じ区間内に存在することになる。本実施形態ではセンサ部から所定距離だけ離れた位置からの区間を設定している。各区間の幅a(奥行方向の寸法)は疎密波の波長に基づいて決定されるものであって、本実施形態では疎密波の波長の10倍としている。ここでは、疎密波の波長を6.8mmとし、各区間の幅aを68mmとする。

0046

また、左右方向における角度分解能を5度に設定し、上下方向における角度分解能も5度に設定する。ここにおいて、角度分解能をそれぞれ5度に設定すること、および受波素子9における受波信号の時間差Δtの分解能に相当するADコンバータ11のサンプリング周期が1μsであることより、上述した式Δt=(d・sinθ)/cに基づいて、受波素子9が、疎密波の波長(つまり6.8mm)よりも小さい3.9mmという間隔で配置される。ここでは音速cは340m/sとしている。これにより、各区間は左右方向に19分割かつ上下方向に19分割される。さらに、図14に示すように左右方向および上下方向のそれぞれに19画素ずつとした361画素の2次元マップを各区間に対応付ける。この2次元マップにおける1画素分を小領域b(図13参照)として、各小領域bのそれぞれにおいて物体2の有無を検知する。

0047

ところで、送波器4から送波される疎密波の指向性(以下では「送波指向性」と呼ぶ)Ds(θ)は、疎密波が図15に示すようなパルス正弦波である場合に、疎密波の波長をλ、送波器4の音源となる部位の一辺の長さを2aとすると、受波器6の素子配列用基板8に直交する方向に対する傾きθに応じて次の2式のいずれかで表される。

0048

θが0≦θ≦sin−1(λ/4a)のときには、
Ds(θ)={sin(π・2a/λ・sinθ)}/(π・2a/λ・sinθ)
θがsin−1(λ/4a)≦θ≦π/2のときには、
Ds(θ)=1/(π・2a/λ・sinθ)
ここで、検知領域における送波指向性は図16に示すように、センサ部の正面方向から離れるほど小さくなるように分布する。

0049

一方、受波器6が疎密波を受波する指向性(以下では「受波指向性」と呼ぶ)においては、本実施形態のように、上下方向および左右方向にそれぞれ5個ずつの受波素子9が配列された受波器6では、センサ部の正面方向を中心として上下左右延長された十字状に、受波指向性Dr(θ)の高い領域が生じる。検知領域内における受波指向性の分布のシミュレーション結果を図17に示す。

0050

このように、送波指向性および受波指向性は検知領域内においてそれぞれ一律ではなく、受波器6の素子配列用基板8に直交する方向に対する傾きθによって異なるので、受波器6の素子配列用基板8に直交する方向に対する傾きθを考慮すると、送波音圧Vsと受波音圧Vrとの関係は、発散損失{1/(4πR2)}と、吸収損失exp(−αR)と、送波指向性Ds(θ)と、受波指向性Dr(θ)と、反射係数Krとを用いて、次式のように表される。

0051

Vr=Vs・1/(4πR2)・exp(−αR)・Ds(θ)・Dr(θ)・Kr
そこで、本実施形態の判別手段では、送波音圧と受波音圧と発散損失と吸収損失と送波指向性と受波指向性とを用いて、上式から物体2の反射係数を求めるものとする。そして、求まった反射係数が小さい物体2ほどしきい値を小さく設定する。

0052

また、反射係数が同じ物体2を検知した場合でも、センサ部から遠い物体2ほど受波信号の強度のピーク値は小さくなるので、本実施形態ではセンサ部から離れた区間ほどしきい値を小さくするように、区間毎にしきい値を設定している。さらに、送波指向性が小さい方位に存在する物体2ほど受波信号の強度は小さくなるので、本実施形態では送波指向性が小さい方位ほどしきい値を小さくする。加えて、受波指向性が低い方位に存在する物体2ほど受波信号の強度は小さくなるので、受波指向性が低い方位ほどしきい値を小さくする。

0053

要するに、本実施形態では、各小領域のそれぞれにおいて物体2の有無を検知する際に、物体2の反射係数だけでなく小領域の3次元的な位置にも基づいてしきい値を設定するものであって、異なる位置に存在する物体2であっても、その大きさや形状を正確に識別することができるのである。

0054

以下では、本実施形態の動作の一例として、物体検知装置が、区間内の全領域において反射率を100%とした場合の受波信号の強度(以下では「基準強度」と呼ぶ)の分布に対応するデータテーブルを区間毎に予め有しており、このデータテーブルを用いてしきい値を設定する場合の動作を示す。各区間における基準強度は、センサ部から各区間までの距離と、各区間における送波指向性の分布および受波指向性の分布とを考慮したものであって、センサ部の正面方向から離れるほど小さくなる。ここでは、ある区間の左右方向における受波信号の強度分布を示した図18を参照して説明する。図18においては、横軸に左右方向の角度、縦軸に受波信号の強度を示す。

0055

まず、検知領域内の物体2で反射された疎密波に対応する受波信号の強度Aから、物体2において反射率が最大である位置(以下では「存在位置」と呼ぶ)を求める。基準強度Cは反射率を100%とした場合の受波信号の強度であるから、受波信号の強度Aと基準強度Cとの差が反射率を反映しており、この差が最小となる位置で反射率が最大となる。したがって、図18では、受波信号の強度Aと基準強度Cとの差Yが最小となる位置が存在位置Xである。

0056

次に、この存在位置Xにおける物体2の反射係数に基づいて、当該区間におけるしきい値Bを設定する。本実施形態では、存在位置Xにおける反射係数に対応付けられた1以下の正の数を各方位の基準強度Cに乗じることにより各方位のしきい値Bを得るようにしている。これにより、しきい値Bは基準強度Cと同様にセンサ部の正面方向(0度)から離れるほど小さくなる。反射係数に対応付けられた数は、しきい値Bが存在位置Xにおける受波信号の強度Aよりも規定された割合だけ小さくなるように決められるものであって、本実施形態では存在位置Xにおいてしきい値Bが受波信号の強度Aの90%となるように決められている。

0057

物体2の有無は、受波信号の強度Aがしきい値Bより大きいか否かによって判別され、図18では、受波信号の強度Aがしきい値Bを越える領域Zにわたって物体2が存在すると判別される。ここで、物体2が占有する領域Zの広さが物体2の大きさに対応しているのである。

0058

また、物体2で反射された疎密波以外のノイズを受波器6が受波することにより、存在しない物体2を誤って検知してしまうことがないように、無効とする受波信号の強度を決定する最低しきい値Dが設定される。この最低しきい値Dより強度が小さい受波信号においては無効とするのである。この最低しきい値Dにおいても、しきい値Bと同様にセンサ部の正面方向(0度)から離れるほど小さくなる。

0059

ここでは、説明のために左右方向においてのみ受波信号の強度分布を示したが、実際には、左右方向および上下方向に広がる2次元マップ上において、物体2で反射された疎密波に対応する受波信号の強度が分布する。2次元マップ上においては、物体2が占有する領域の形状が、センサ部側からみた物体2の形状に対応する。

0060

ところで、本実施形態の物体検知装置は、検知領域内の各小領域にそれぞれ対応付けた複数の画素を有する画像を出力する画像出力部(図示せず)を備えている。画像出力部は、受波信号の強度がしきい値を越える小領域のみを表示するものである。ここにおいて、表示部27としてのLCDを画像出力部に共用してもよい。

0061

センサ部からの距離が1mの区間において、左右方向の角度が0度の位置に立つ人物30と、センサ部からの距離が1.3mの区間において、左右方向の角度が40度、上下方向の角度が−20度の位置に存在するボール31とを検知した場合に生成された画像を図19に示す。図19(a)が検知領域をセンサ部側からみた正面図として画像化したものであって、図19(b)は検知領域を斜めにみた斜視図として画像化したものである。このときの人物30の反射係数は約11%であって、この反射係数に基づいてしきい値が設定された。一方、ボール31の反射係数は約5%であって、人物30とは異なるしきい値が設定された。このように、反射係数が異なる物体であっても大きさや形状が比較的正確に検知できる。

0062

また、上述した例では、検知領域を一定の幅(68mm)で複数の区間に分割していたが、検知領域を前記区間に分割した状態での物体2の検知に加えて、検知領域をセンサ部の正面方向において前記区間に対して34mmだけずらして68mm幅で分割した状態でも物体2の検知を行うようにしてもよく、これにより、前者の分割状態において2つの区間に跨って疎密波が反射された場合にも、後者の分割状態において精度よく検知できるという効果を奏する。

0063

なお、受波器6は素子配置用基板8上における複数の方向にそれぞれ複数個ずつの受波素子9が配列されていればよく、素子配置用基板8上における受波素子9の配置は上述したものに限らない。受波素子9の個数も10個に限定するものではなく、たとえば図20に示すように、素子配置用基板8の中央に配置された1個の受波素子9の周囲を囲む円弧上に等間隔で6個の受波素子9を配列してもよい。図20に示す配列を採用した受波器6を用いた場合には、検知領域内における受波指向性の分布のシミュレーション結果である図21に示すように、センサ部の正面方向を中心として円形状に広がった領域の受波指向性が高くなる。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。

0064

(実施形態3)
本実施形態では、実施形態2の物体検知装置において、送波器4から一定の時間間隔で疎密波を送波し、この時間間隔に合わせて画像出力部に表示される画像を更新するようにした例を示す。ここでは、物体2までの距離を画素値に対応付けて表示する。

0065

この構成では、検知領域に存在する物体2を時系列に表示することができる。検知領域を移動する人物を検知した例を図22に示す。

0066

初めに表示された図22(a)においてセンサ部の近傍に存在していた人物は、次に表示された図22(b)では図22(a)の状態よりもセンサ部から離れた位置に存在し、この次に表示された図22(c)ではセンサ部からさらに離れた位置に存在している。すなわち、この人物がセンサ部から遠ざかるように移動したことがわかる。

0067

また、画像出力部は、検知領域において受波信号の強度がしきい値を越えた領域のみを表示するので、背景を省略した状態で検知領域内に存在する物体2のみを表示することもできる。物体の表示方法については、周知の画像処理の技術を用いて、物体2の形状を識別可能な形で表示したり、物体2を追跡して表示するようにしてもよい。さらに、同じ反射係数の物体2の位置を時系列的プロットすることにより、物体2が移動した向きを自動で判別するようにしてもよい。その他の構成および機能は実施形態2と同様である。

0068

なお、上述した各実施形態で示した数値は一例であって、これに限定されるものではない。

図面の簡単な説明

0069

本発明の実施形態1の構成を示すブロック図である。
同上の受波器を示す概略図である。
同上の受波器が疎密波を受波する方位を説明するための説明図である。
同上の受波手段の構成を示すブロック図である。
同上の受波手段の動作を示す動作説明図である。
同上の受波手段の動作を説明するための説明図である。
(a)は物体2に対応する受波信号を示し、(b)は物体2’に対応する受波信号を示す説明図である。
同上の送波器の構成を示し(a)は正面図、(b)は断面図である。
同上の駆動電流の波形を示すグラフである。
同上の駆動回路を示す回路図である。
同上の受波素子の構成を示す断面図である。
同上の構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態2の検知領域を示す説明図である。
同上の各区間に想定される2次元マップを示す説明図である。
同上の疎密波を示すグラフである。
同上の送波指向性の分布を示すグラフである。
同上の受波指向性の分布を示すグラフである。
同上の受波信号の強度分布を示す説明図である。
同上の画像出力部に表示される画像を示す説明図である。
同上の受波素子の他の配置を示す説明図である。
同上の受波指向性の分布を示すグラフである。
本発明の実施形態3の動作を示す動作説明図である。
従来例の構成を示すブロック図である。

符号の説明

0070

2物体
4送波器
5駆動回路
6受波器
7 検知部
9受波素子
26領域設定部
27 表示部

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