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課題
解決手段
概要
背景
従来の無線通信機においては、出し入れ可能なモノポールアンテナ以外にアンテナを内蔵することでダイバーシティ方式等を可能にしたものが知られているが、高いアンテナ性能を得るために、金属線または板金で構成したアンテナ素子や、チップアンテナ等のアンテナ部品を配置するのが一般的であった。
しかしながら、このような無線通信機においては、上記アンテナ素子またはアンテナ部品の専有体積が大きく、さらに高いアンテナ性能を得るためには周囲の金属物との距離をとるとともに、使用時に人体の影響を受け難い位置に配置する必要があり、それが無線通信機の小型化、薄型化および軽量化の弊害となっていた。
この問題に対して、特許文献1(特開2001−156898号公報)に記載の折畳式携帯無線機では、上部筐体のほぼ全面に配置されたアンテナに複数の穴を設けて、アンテナ内に表示部やマイク部を埋め込んだ内蔵方式を採用することにより、携帯無線機の薄型化および軽量化を図っている。
また、特許文献2(特開平9−326719号公報)に記載のパーソナル通信装置では、LCD(Liquid Crystal Display)一体型の透明タブレットへの入力用ペンを本体から取り外し可能な送受信用アンテナとする構造とし、入力用ペンとアンテナを兼用させることで、筐体の小型化を図っている。
図9は折畳み式携帯電話機となる従来例の無線通信機の背面側を示している。この無線通信機は、図示しない操作部や音声入力部を備えた下側筐体1と、図示しない表示画面や音声出力部を備えた上側筐体2と、両筐体1、2を開閉可能に結合するヒンジ部3とからなり、下側筐体1には、音声通信用に用いるセルラーアンテナ15に加え、例えばBluetooth(登録商標)用のチップアンテナ16を搭載した回路基板13が内蔵されている。
この回路基板13は、アンテナ15、16にそれぞれ接続する整合回路31、32と、これら整合回路31、32に接続された送受信回路33、34とを含んでいる。また、回路基板13は、無線通信機の複数のカバー状筐体部材であるカバー筐体11およびケース筐体12(以下、カバー状筐体部材11、12ともいう)によって保護されており、これらカバー状筐体部材11、12は複数のビス18a、18bおよび19a、19bによってほぼ四隅で一体的に締結・固定されている。
この他に、図10に示すように、下側筐体1に内蔵した回路基板14上に、Bluetooth(登録商標)用の板金アンテナ17と、その整合回路35と、送受信回路36とを設けて、Bluetooth機能を付加したものも、近時、広く普及している。
特開2001−156898号公報
特開平9−326719号公報
概要
拡大する周波数帯域をカバーするために新規にアンテナを増加させることなく高い無線特性を確保し、小型化、薄型化および軽量化された無線通信機を提供する。回路基板40と、この基板を保護する複数のカバー状筐体部材11,12からなる筐体1と、カバー状筐体部材同士を締結固定するための導電性の締結部材49aと、締結部材49aに締め付け可能にねじ係合するよう筐体中に配設された導電性の係合部材25とを備え、締結部材49aが係合部材25に係合し締め付けられたとき、複数のカバー状筐体部材11,12同士が締結固定されるとともに締結部材49aが係合部材25に電気的に接続され、締結部材49aおよび係合部材25が一体となってアンテナを構成する。
目的
本発明は、上述のような課題を解決するものであり、拡大する広い周波数帯域をカバーするために新規にアンテナを増加させることなく、高い無線特性を確保しつつ、小型化、薄型化および軽量化された無線通信機を提供することを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
回路基板と、前記回路基板を保護する複数のカバー状筐体部材からなる筐体と、前記筐体の複数のカバー状筐体部材同士を締結固定するための導電性の締結部材と、前記締結部材に締め付け可能にねじ係合するよう前記筐体中に配設された導電性の係合部材と、を備え、前記締結部材が前記係合部材に係合し締め付けられたとき、前記複数のカバー状筐体部材同士が締結固定されるとともに前記締結部材が前記係合部材に電気的に接続され、前記締結部材および前記係合部材が一体となってアンテナを構成することを特徴とする無線通信機。
請求項2
前記締結部材が前記係合部材に係合し締め付けられたとき、前記回路基板と前記係合部材が挟圧されて電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機。
請求項3
前記係合部材と前記回路基板のうちいずれか一方が他方に当接しつつ撓んだ当接腕部分を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信機。
請求項4
請求項5
前記締結部材が、板金からなる係合部材に電気的に接続されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の無線通信機。
請求項6
前記締結部材が、前記筐体に蒸着された金属部分からなる係合部材に電気的に接続されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の無線通信機。
技術分野
背景技術
0002
従来の無線通信機においては、出し入れ可能なモノポールアンテナ以外にアンテナを内蔵することでダイバーシティ方式等を可能にしたものが知られているが、高いアンテナ性能を得るために、金属線または板金で構成したアンテナ素子や、チップアンテナ等のアンテナ部品を配置するのが一般的であった。
0003
しかしながら、このような無線通信機においては、上記アンテナ素子またはアンテナ部品の専有体積が大きく、さらに高いアンテナ性能を得るためには周囲の金属物との距離をとるとともに、使用時に人体の影響を受け難い位置に配置する必要があり、それが無線通信機の小型化、薄型化および軽量化の弊害となっていた。
0004
この問題に対して、特許文献1(特開2001−156898号公報)に記載の折畳式携帯無線機では、上部筐体のほぼ全面に配置されたアンテナに複数の穴を設けて、アンテナ内に表示部やマイク部を埋め込んだ内蔵方式を採用することにより、携帯無線機の薄型化および軽量化を図っている。
0005
また、特許文献2(特開平9−326719号公報)に記載のパーソナル通信装置では、LCD(Liquid Crystal Display)一体型の透明タブレットへの入力用ペンを本体から取り外し可能な送受信用アンテナとする構造とし、入力用ペンとアンテナを兼用させることで、筐体の小型化を図っている。
0006
図9は折畳み式携帯電話機となる従来例の無線通信機の背面側を示している。この無線通信機は、図示しない操作部や音声入力部を備えた下側筐体1と、図示しない表示画面や音声出力部を備えた上側筐体2と、両筐体1、2を開閉可能に結合するヒンジ部3とからなり、下側筐体1には、音声通信用に用いるセルラーアンテナ15に加え、例えばBluetooth(登録商標)用のチップアンテナ16を搭載した回路基板13が内蔵されている。
0007
この回路基板13は、アンテナ15、16にそれぞれ接続する整合回路31、32と、これら整合回路31、32に接続された送受信回路33、34とを含んでいる。また、回路基板13は、無線通信機の複数のカバー状筐体部材であるカバー筐体11およびケース筐体12(以下、カバー状筐体部材11、12ともいう)によって保護されており、これらカバー状筐体部材11、12は複数のビス18a、18bおよび19a、19bによってほぼ四隅で一体的に締結・固定されている。
0008
この他に、図10に示すように、下側筐体1に内蔵した回路基板14上に、Bluetooth(登録商標)用の板金アンテナ17と、その整合回路35と、送受信回路36とを設けて、Bluetooth機能を付加したものも、近時、広く普及している。
特開2001−156898号公報
特開平9−326719号公報
発明が解決しようとする課題
0009
しかしながら、近年、Bluetooth(登録商標)やW−LAN(Wireless-Local Area Network)、GPS(Global Positioning System)等といった通信方式の異なる複数の無線通信のための回路が1つの無線通信機に搭載されるようになってきており、無線通信で使用する周波数帯域が拡大したため、1つのアンテナですべての周波数帯域をカバーするようにすることは困難となっていた。これに対して、対応する周波数帯域の異なる複数のアンテナで必要な周波数帯域をカバーしていたが、そのような複数のアンテナを配置する際に、例えばチップアンテナ等のアンテナ部品を用いる場合には基板実装面積の縮小を招くことになり、板金等でエレメントを構成する場合にはそのエレメントを筐体内に配置するエリアが必要となっていた。さらに、いずれの場合においても、無線通信機の小型化、薄型化および軽量化の弊害となっていた。
0010
また、複数のアンテナの相互の干渉を抑えるためには、アンテナ間に一定の距離が必要となるが、通常、筐体の隅にはカバー状の筐体部材同士を締結・固定するためのビスが存在するため、アンテナ配置の妨げとなっていた。
0011
さらに、特許文献2に記載のように入力用ペンを有する通信装置に限定されるのでは、入力用ペンを持たない他の無線通信機には適用できず、好ましくない。
0012
本発明は、上述のような課題を解決するものであり、拡大する広い周波数帯域をカバーするために新規にアンテナを増加させることなく、高い無線特性を確保しつつ、小型化、薄型化および軽量化された無線通信機を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0013
本発明の無線通信機は、上記課題解決のため、回路基板と、前記回路基板を保護する複数のカバー状筐体部材からなる筐体と、前記筐体の複数のカバー状筐体部材同士を締結固定するための導電性の締結部材と、前記締結部材に締め付け可能にねじ係合するよう前記筐体中に配設された導電性の係合部材と、を備え、前記締結部材が前記係合部材に係合し締め付けられたとき、前記複数のカバー状筐体部材同士が締結固定されるとともに前記締結部材が前記係合部材に電気的に接続され、前記締結部材および前記係合部材が一体となってアンテナを構成するものである。
0014
この構成により、無線通信機の筐体や基板を固定するための、本来アンテナでない締結部材が、アンテナとして機能し得るものとなる。また、締結部材は専ら筐体の隅に配置されるものが多く、樹脂等の筐体材料に覆われていることが多いので、周囲の金属物からの距離が確保しやすく高い無線特性が得られる。したがって、拡大する広い周波数帯域をカバーするために新規にアンテナを増加させることなく、高無線特性の小型化、薄型化および軽量化された無線通信機が得られる。
0015
また、本発明においては、前記締結部材が前記係合部材に係合し締め付けられたとき、前記回路基板と前記係合部材が挟圧されて電気的に接続されるのがよい。この構成により、前記回路基板と前記締結部材および係合部材との電気接続が容易となる。
0016
さらに、本発明においては、前記係合部材と前記回路基板のうちいずれか一方が他方に当接しつつ撓んだ当接腕部分を有するのが好ましい。この構成により、前記回路基板の安定した保持状態を維持することができる。
0018
また、前記締結部材は、前記筐体に蒸着された金属部分からなる係合部材に電気的に接続されるものであってもよい。この構成により、電気的接続を安定的に確保することができるのみならず、更なる小型化、薄型化および軽量化が可能になる。
0019
なお、本発明の無線通信機においては、前記締結部材として、例えばねじ結合するビスを用い、このビスと送受信回路との接続部の長さを調節する回路基板パターンを含めたものであってもよい。また、前記ビスの一端または両端に長さを調整する金属もしくは導体部分を含めることができ、その場合にも、前記ビスの形状によらずに、所望の周波数帯域で高いアンテナ性能を有することができる。
発明の効果
0020
本発明の無線通信機によれば、筐体や基板の締結構造を工夫し、拡大する周波数帯域をカバーするために新規にアンテナを増加させることなく、小型化、薄型化および軽量化された無線通信機を提供することができる。しかも、締結部材は通常筐体の隅側に配置され、筐体樹脂等に覆われることが多いので、周囲の金属物から距離が確保し易く、高い無線特性を得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
0021
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
0022
図1〜図3は本発明の第1の実施の形態の無線通信機を示す図であり、折畳み式携帯電話機となる例を図示している。なお、この実施の形態は図9、10に示した従来例と同一若しくは類似の構成要素を有するので、その部分については、従来例と同一の符号を用いて説明する。
0023
図1にその背面側を示すように、本実施形態の無線通信機は、図示しない操作部や音声入力部を備えた下側筐体1と、図示しない表示画面や音声出力部を備えた上側筐体2と、両筐体1、2を開閉可能に結合するヒンジ部3とからなり、下側筐体1の内部構造が従来例とは相違する。なお、両筐体1、2は、主として非金属材料、例えば樹脂からなる。
0024
下側筐体1には、音声通信用に用いるセルラーアンテナ(引き延ばしおよび図示状態への収納が可能なモノポールアンテナ)15が装着され、例えば後述する内蔵アンテナ41を搭載した回路基板40が内蔵されている。
0025
この回路基板40は、アンテナ15、41にそれぞれ接続する整合回路31、42と、これら整合回路31、42に接続された送受信回路33、43とを含んで構成されている。また、回路基板40は、カバー状筐体部材11、12によって保護されており、これらカバー状筐体部材11、12は複数のビス48a、48bおよび49a、49bによってほぼ四隅で一体的に締結・固定されている。
0026
すなわち、本実施形態の無線通信機は、下側筐体1内に配設された回路基板40、ビス48a、48bおよび49a、49b、整合回路31、42、送受信回路33、43を含んで構成されている。
0027
ここで、複数のビス48a、48bおよび49a、49bは、下側筐体1の複数のカバー状筐体部材11、12同士をねじ結合により締結・固定するための締結部材であって、それらのうち少なくとも1本のビス、例えばビス49aは導電性の締結部材となっている。この導電性のビス49aは、従来例におけるBluetooth(登録商標)用チップアンテナ16あるいは同板金アンテナ17といったアンテナに代えて配設され、整合回路42に接続されており、この整合回路42が送受信回路43に接続されている。なお、送受信回路33、43は同一の送受信回路の一部としてそれぞれ構成されてもよい。
0028
図2に示すように、下側筐体1のカバー状部材11にはインサート成形若しくはアウトサート成形によりサポートナット25(係合部材)が一体的に装着されており、このサポートナット25がビス49aと整合回路42の接続に使用されている。すなわち、この場合、ネジ49aを背面側のカバー状筐体部材12に形成された段付きねじ穴12a(図2参照)に挿入してサポートナット25に係合させた後、サポートナット25と回路基板40に実装された整合回路42の接続配線パターン部42aとを接触させながらビス49aを締め付け、ビス49aと整合回路42とを接続するようになっている。
0029
具体的には、このサポートナット25と回路基板40は、例えばナットの表面部分と基板表面のランド部分40aが接触することで接続され、ランド部分40aと整合回路42は接続配線パターン部42aで接続されている。
0030
なお、本実施形態ではサポートナットを用いた例を示したが、ビスと回路基板を接続する金属部分はサポートナットに限定されるものではなく、他にも、金属箔や金属を蒸着した樹脂等を用いることができる。
0031
図3はそのような他の接続態様の一例を例示しており、ビス49aと整合回路42の接続用の係合部材として板金を使用した例を示している。この接続板金22は長手方向断面が略への字形になるよう曲げ加工されるとともにビス49aの雄ねじに対応する雌ネジが形成されたもので、雌ねじ穴部22cでビス49aとねじ結合する。さらに、接続板金22は導電性を有する板バネ材料からなり、その一端部22a側が所定与圧(接触圧)を持って回路基板40に当接しながら撓むように他端部22b側でサポートナット25上に締結・固定される。これにより、ビス49aは、回路基板40上の整合回路42に接続板金22を介して接続される。
0032
また、本実施形態の筐体固定用のビス49aは、送受信回路43で送受信される信号の周波数においてサポートナット25と一体となってアンテナ動作するようなサイズ(長さ、体積)およびサポートナット25との組合せ形状を有している。
0033
なお、図2において、カバー状筐体部材12の段付きねじ穴12a内にはビス49aの頭部上面を覆うビス隠し用カバー部材(図示していない)が装着されており、ビス49aの頭部は下側筐体1の外表面よりわずかに内方に沈み込んでいる。すなわち、ビス49aの頭部は無線通信機の操作者に触れないようになっている。
0034
次に、動作について説明する。
0035
本実施形態においては、ネジ49aとサポートナット25を係合させた後、サポートナット25と回路基板40とを接触させながらビス49aを締め付けると、ビス49aと回路基板40に実装された整合回路42の接続配線パターン部42aとがサポートナット25を介して電気接続される。
0036
この接続状態においては、図4に示すようなアンテナ電圧定在波比(以下、VSWRともいう)の特性が得られることが実測で確認された。この場合、Bluetooth(登録商標)帯の周波数(2.4000GHz〜2.4835GHz)で、アンテナ動作をさせた。同図に示すように、この周波数帯域内において、VSWR≦2であり、高いアンテナ性能を有していることがわかる。
0037
このように、本実施形態の無線通信機は、下側筐体1や回路基板40を固定するための、本来アンテナでないビス49aがアンテナとしても機能し、このビス49aが下側筐体1の隅に配置され、かつ樹脂等の筐体材料(前記ビス隠し用カバー部材を含む)に覆われているので、周囲の金属物から距離が確保しやすく高い無線特性を得ることができ、したがって、広い周波数帯域をカバーするために新規にアンテナを増加させることなく、高無線特性の小型化、薄型化および軽量化された無線通信機とすることができる。
0038
また、本実施形態においては、ビス49aがサポートナット25に係合し締め付けられたとき、回路基板40がカバー状筐体部材11のサポートナット25部分とカバー状筐体部材12とによって挟圧されながらサポートナット25が電気的に接続されるから、回路基板40とビス49aおよびサポートナット25との電気接続が容易となる。
0039
さらに、図3に示したような接続態様では、接続板金22が回路基板40に(係合部材と回路基板のうちいずれか一方がいずれか他方に)所定の接触圧で当接しつつ弾性的に湾曲した、すなわち撓んだ一端部22a(当接腕部分)を有しているので、安定した保持状態を維持した回路基板40と接続板金22に電気接続されたビス49aとの機械的結合並びに電気的接続を安定的に確保することができる。また、ビス49aのような締結部材を、ナットのような部品でなく筐体1、2の一部に蒸着等で圧膜状に固着された金属部分からなる係合部材に電気的に接続しても、電気的接続を安定的に確保することができるのみならず、更なる小型化、薄型化および軽量化ができる。
0040
なお、本発明の無線通信機においては、締結部材としてのビス49aと送受信回路43の間の接続部に長さを調節する回路基板パターン等の導体部分若しくは長さを調整する金属を介在させることができ、その場合も、ビス49aの形状によらず所望の周波数帯域で高いアンテナ性能を持たせることができる。もっとも、締結部材は、ビス49aに限定されず、雄側の締結部材を雌側の係合部材に締結させるねじ結合に類似の締結構造を有するものであってもよい。また、他のビス、例えばビス49bを、別の用途、例えばW−LANやダイバーシティアンテナ用の内蔵アンテナ等に利用することもできる。
0041
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態の無線通信機を示すその背面側から見た斜視図である。
本実施形態の無線通信機は、上述の第1の実施の形態とほぼ同様な構成を有し、そのビス49aと整合回路42の間の接続の形態が上述の実施形態とは相違する。したがって、その相違点についてのみ説明する。
0043
しかし、ビス49aの長さは下側筐体1の厚さ内に制限されるので、ビス49aの長さがアンテナから放射される信号の波長の8分の1以下に制限される場合が生じる。そこで、本実施形態では、ビス49aと整合回路42の間に、アンテナ長さ調整用基板パターン51を追加することで、整合回路42からビス先端までの長さを、送受信回路43から伝送される信号の波長の8分の1以上にする構成となっている。ここで、調整用基板パターン51は、回路基板40上でその配線パターンを適当に折り返してパターン長やアンテナ特性を確保したもので、そのパターン形状は要求されるアンテナ特性に応じて決定される。
0044
このような本実施形態の無線通信機においては、アンテナ長さ調整用基板パターン51を設けているので、ビス49aの長さがアンテナから放射される信号の波長の8分の1以下である場合においても、高いアンテナ特性を得ることができ、上述の実施形態と同様な効果が期待できる。
0045
(第3の実施の形態)
図6および図7は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信機を示すその要部斜視図である。
上述のように、アンテナの長さはそのアンテナから放射される信号の波長の8分の1以上にするとよいが、ビス49aの長さは下側筐体1の厚さ内に制限されるので、ビス49aの長さがアンテナから放射される信号の波長の8分の1以下に制限される場合が生じる。そこで、本実施形態では、ビス49aの長さがアンテナから放射される信号の波長の8分の1以下である場合は、ビス49aの一端または両端に、金属もしくは導体部分を追加して、アンテナ長を送受信回路43から伝送される信号の波長の8分の1以上にすることができる。
0046
図6はビス49aのうち、送受信回路43に接続される一端側(内端側)に長さ調節用板金23を追加した例であり、この長さ調節用板金23を任意の長さとすることで、整合回路42からビス49a先端までの長さを、送受信回路43から伝送される信号の波長の8分の1以上にする。なお、この長さ調節用板金は、第1の実施の形態で示した図3の接続板金22と兼用させてもよい。
0047
図7はビス49aのうち、送受信回路43に接続される側とは反対側の一端(外端側)に長さ調節用板金を追加した例である。この長さ調節用板金24を任意の長さとすることで、整合回路42から、長さ調節用板金24を含むビス49aの先端(図7中の長さ調節用板金25の左端)までの長さを送受信回路43から伝送される信号の波長の8分の1以上にしている。なお、長さ調節用板金24は下側筐体1の外表面から突出しないビス49aの頭部より内方側に位置する。
0048
図8に、本発明の第3の実施の形態の無線通信機におけるアンテナ電圧定在波比(VSWR)の実測した特性を示す。本実施形態では、Bluetooth(登録商標)帯の周波数(2.4000GHz〜2.4835GHz)で、アンテナ動作をさせた。同図に示すように、この周波数帯域内においてVSWR≦2であり、高いアンテナ性能を有していることがわかる。
0049
このように、本実施形態の無線通信機においても、ビス49aの長さがアンテナから放射される信号の波長の8分の1以下である場合においても、高いアンテナ特性を発揮できる。
0050
なお、本実施形態では、ビス49aの外端側に設ける金属もしくは導体部分として長さ調節用板金24を例示したが、本発明の無線通信機に搭載されるこのような金属もしくは導体部分は、板金に限定されず、下側筐体内に設けられた金属箔や金属蒸着の樹脂等でもよい。
0051
以上説明したように、本発明の無線通信機は、本来アンテナではない金属又は導体部分を有する電子部品とアンテナとの共通化を可能とし、今後拡大していく周波数帯域(Bluetooth(登録商標)、W−LAN、GPS等)をカバーするために新規にアンテナを増加させることなく、高無線特性の小型化、薄型化および軽量化された無線通信機を提供することができ、コストダウンにもなるという効果を奏するものであり、無線通信機、特に複数のアンテナを備え、ビス(ねじ部材)で複数の筐体部品を締結してその筐体とした無線通信機全般に有用である。
図面の簡単な説明
0052
本発明の第1の実施の形態の無線通信機を背面側から見たその斜視図
本発明の第1の実施の形態の無線通信機の要部構成を示すその断面図
本発明の第1の実施の形態の無線通信機の要部構成を示すその斜視図
本発明の第1の実施の形態におけるアンテナVSWR特性図
本発明の第2の実施の形態の無線通信機を背面側から見たその斜視図
本発明の第3の実施の形態の無線通信機の要部構成を示すその斜視図
本発明の第3の実施の形態の無線通信機の変形態様の要部構成を示すその斜視図
本発明の第3の実施の形態におけるアンテナVSWR特性図
従来例の無線通信機を背面側から見たその斜視図
他の従来例の無線通信機を背面側から見たその斜視図