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技術 記録層の特性が制御された垂直磁気記録媒体及びその製造方法

出願人 三星電子株式会社
発明者 林志慶朴魯烈金庸洙呉ホン翔
出願日 2006年7月12日 (14年5ヶ月経過) 出願番号 2006-192111
公開日 2007年2月1日 (13年10ヶ月経過) 公開番号 2007-026642
状態 拒絶査定
技術分野 磁気記録担体
主要キーワード 重複構造 メインポール 磁気ヒステリシス曲線 静磁気エネルギ X座標 結晶粒構造 スピン配列 下部構造体
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

記録層の特性が制御された垂直磁気記録媒体及びその製造方法を提供する。

解決手段

下部構造体と下部構造体上に形成された記録層とを備える垂直磁気記録媒体において、記録層の2πMr2/K1(Mr:残留磁化、K1:垂直磁気方性エネルギー定数)値は、0.5以下であり、4πMr/Hc(Hc:保磁力)値は、0.8以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体である。これにより、記録層を構成する結晶粒の間の結晶粒界の厚さが多少不均一であるにしても結晶粒がほぼ同じ核生成磁界値を有することができ、したがって、垂直磁気記録媒体の高記録密度を維持し、記録された情報の維持安定性を確保することができる。

概要

背景

最近、磁気記録装置需要が増大しながら、ディスク装置の高い記録密度を持つ磁気記録媒体に対する需要が高まっている。従来の磁気記録媒体は、磁気ディスクの記録面に水平方向に情報を記録する水平磁気記録方式が行なわれてきた。しかし、最近では、磁気記録媒体の面記録密度を増加させるために、垂直磁気記録方式が提案されている。垂直磁気記録方式は、記録層に対して垂直方向磁化させて記録密度を向上させている。このような垂直磁気記録媒体の記録層は、相対的に高い垂直磁気方性及び高い保磁力を有するができる磁性物質で形成させている。

図1は、従来技術による一般的な垂直磁気記録装置を説明するために概略的に示す図面である。

図1を参照すれば、垂直磁気記録媒体10は、基板(図示せず)上に軟磁性下地層11、中間層13及び記録層15が順次に形成された構造を有している。記録層15上には、保護層及び/または潤滑層などがさらに形成されうる。そして、垂直磁気記録媒体10上に磁気ヘッド20が位置して記録層15を磁化させることによって、情報の記録が行なわれる。

情報の記録、すなわち書き込み動作時には、メインポール21から放出された磁束が記録層15をビット領域単位で磁化させ、記録層15の下部の軟磁性下地層12に入射されて流れた後、メインポール21につながるリターンポール25に回収される。垂直磁気記録は、既存の水平磁気記録に比べて原理的に高密度領域で記録された情報の熱的安定性に優れる特性を有するために、記録密度を向上させるのに有利な技術である。

現在の垂直磁気記録装置では、記録層の結晶粒サイズ及び磁気記録ヘッドは、前記条件のうち、ある程度要件充足させている。しかし、記録層の垂直磁気異方性エネルギーが十分に高くないか、または結晶粒の構造が不均一な場合、記録された情報の熱的安定性が悪化して情報の寿命が短縮されることによって、安定した記録媒体としての使用が困難であるという問題点がある。

概要

記録層の特性が制御された垂直磁気記録媒体及びその製造方法を提供する。下部構造体と下部構造体上に形成された記録層とを備える垂直磁気記録媒体において、記録層の2πMr2/K1(Mr:残留磁化、K1:垂直磁気異方性エネルギー定数)値は、0.5以下であり、4πMr/Hc(Hc:保磁力)値は、0.8以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体である。これにより、記録層を構成する結晶粒の間の結晶粒界の厚さが多少不均一であるにしても結晶粒がほぼ同じ核生成磁界値を有することができ、したがって、垂直磁気記録媒体の高記録密度を維持し、記録された情報の維持安定性を確保することができる。A

目的

本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためのものであって、記録層を構成する結晶粒構造、特に結晶粒間の結晶粒界の厚さが多少不均一であるにしても、全ての結晶粒がほとんど均一な核生成磁界値を持つことができるように、記録媒体を設計することによって、媒体に記録された情報の安定性を向上させ、かつ高い信号対ノイズ比確保することによって、高密度の記録が可能な媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

下部構造体と前記下部構造体上に形成された記録層とを備える垂直磁気記録媒体において、前記記録層の2πMr2/K1(Mr:残留磁化、K1:垂直磁気方性エネルギー定数)値は、0.5以下であり、4πMr/Hc(Hc:保磁力)値は、0.8以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。

請求項2

前記記録層は、FePt、CoPt、FePdまたはCoPdのうち少なくともいずれか一つの物質を含んで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項3

前記記録層は、C、Ag、W、Ti、B、Ta、Ru、Cr、Mn、Y、N、O、Pt、Cu、Mn3Si、Si、Cu、Nb、Ni、Fe、Au、CoまたはZnのうち少なくともいずれか一つの物質をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項4

前記記録層は、Al2O3、SiO2、B2O3、C4F8、Si3N4、SiN、BN、ZrO、TaNのうち少なくともいずれか一つの物質を含んで形成されたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項5

前記下部構造体は、基板と、前記基板上に順次に形成されたシード層と中間層と、をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項6

前記シード層と前記中間層との間に形成された軟磁性下地層をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項7

前記中間層及び前記記録層を一つの単位として繰り返して多層に形成されたことを特徴とする請求項5に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項8

前記記録層は、第1付加層、第1記録層、及び第2記録層を備えて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項9

前記第1記録層は、PtまたはPdのうち少なくともいずれか一つの物質を含んで形成されたことを特徴とする請求項8に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項10

前記第2記録層は、FeまたはCoのうち少なくともいずれか一つの物質を含んで形成されたことを特徴とする請求項8に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項11

前記付加層は、C、Ag、W、Ti、B、Ta、Ru、Cr、Mn、Y、N、O、Pt、Cu、Mn3Si、Si、Cu、Nb、Ni、Fe、Au、CoまたはZnのうち少なくともいずれか一つの物質をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項12

前記付加層は、Al2O3、SiO2、B2O3、C4F8、Si3N4、SiN、BN、ZrO、TaNのうち少なくともいずれか一つの物質を含んで形成されたことを特徴とする請求項8に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項13

前記下部構造体は、基板と、前記基板上に順次に形成されたシード層と中間層と、をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項14

前記シード層と前記中間層との間に形成された軟磁性下地層をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項15

前記付加層、第1記録層または第2記録層の厚さは、0.1ないし10nmであることを特徴とする請求項8に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項16

前記付加層、第1記録層、及び第2記録層を一つの単位として繰り返して多層に形成されたことを特徴とする請求項8に記載の垂直磁気記録媒体。

請求項17

下部構造体と、前記下部構造体上に形成された記録層と、を備える垂直磁気記録媒体の製造方法において、前記記録層の形成時または形成後、400ないし700℃の温度範囲で1分ないし2時間熱処理することで、前記記録層の2πMr2/K1(Mr:残留磁化、K1:垂直磁気異方性エネルギー定数)値を0.5以下、4πMr/Hc(Hc:保磁力)値を0.8以下に調節する段階を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。

請求項18

前記記録層は、FePt、CoPt、FePdまたはCoPdのうち少なくともいずれか一つの物質を含むことを特徴とする請求項17に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、垂直磁気記録媒体係り、より詳細には、情報記録密度を向上させるために、垂直磁気記録媒体の記録層の特性が制御された垂直磁気記録媒体及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

最近、磁気記録装置需要が増大しながら、ディスク装置の高い記録密度を持つ磁気記録媒体に対する需要が高まっている。従来の磁気記録媒体は、磁気ディスクの記録面に水平方向に情報を記録する水平磁気記録方式が行なわれてきた。しかし、最近では、磁気記録媒体の面記録密度を増加させるために、垂直磁気記録方式が提案されている。垂直磁気記録方式は、記録層に対して垂直方向磁化させて記録密度を向上させている。このような垂直磁気記録媒体の記録層は、相対的に高い垂直磁気方性及び高い保磁力を有するができる磁性物質で形成させている。

0003

図1は、従来技術による一般的な垂直磁気記録装置を説明するために概略的に示す図面である。

0004

図1を参照すれば、垂直磁気記録媒体10は、基板(図示せず)上に軟磁性下地層11、中間層13及び記録層15が順次に形成された構造を有している。記録層15上には、保護層及び/または潤滑層などがさらに形成されうる。そして、垂直磁気記録媒体10上に磁気ヘッド20が位置して記録層15を磁化させることによって、情報の記録が行なわれる。

0005

情報の記録、すなわち書き込み動作時には、メインポール21から放出された磁束が記録層15をビット領域単位で磁化させ、記録層15の下部の軟磁性下地層12に入射されて流れた後、メインポール21につながるリターンポール25に回収される。垂直磁気記録は、既存の水平磁気記録に比べて原理的に高密度領域で記録された情報の熱的安定性に優れる特性を有するために、記録密度を向上させるのに有利な技術である。

0006

現在の垂直磁気記録装置では、記録層の結晶粒サイズ及び磁気記録ヘッドは、前記条件のうち、ある程度要件充足させている。しかし、記録層の垂直磁気異方性エネルギーが十分に高くないか、または結晶粒の構造が不均一な場合、記録された情報の熱的安定性が悪化して情報の寿命が短縮されることによって、安定した記録媒体としての使用が困難であるという問題点がある。

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためのものであって、記録層を構成する結晶粒構造、特に結晶粒間結晶粒界の厚さが多少不均一であるにしても、全ての結晶粒がほとんど均一な核生成磁界値を持つことができるように、記録媒体を設計することによって、媒体に記録された情報の安定性を向上させ、かつ高い信号対ノイズ比確保することによって、高密度の記録が可能な媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

前記の技術的課題を達成するための本発明では、下部構造体と前記下部構造体上に形成された記録層とを備える垂直磁気記録媒体において、前記記録層の2πMr2/K1(Mr:残留磁化、K1:垂直磁気異方性エネルギー定数)値は、0.5以下であり、4πMr/Hc(Hc:保磁力)値は、0.8以下である垂直磁気記録媒体を提供する。

0009

本発明において、前記記録層は、FePt、CoPt、FePdまたはCoPdのうち少なくともいずれか一つの物質を含んで形成されたことを特徴とする。

0010

本発明において、前記記録層は、C、Ag、W、Ti、B、Ta、Ru、Cr、Mn、Y、N、O、Pt、Cu、Mn3Si、Si、Cu、Nb、Ni、Fe、Au、CoまたはZnのうち少なくともいずれか一つの物質をさらに含むことを特徴とする。

0011

本発明において、前記記録層は、Al2O3、SiO2、B2O3、C4F8、Si3N4、SiN、BN、ZrO、TaNまたは酸化物のうち少なくともいずれか一つの物質を含んで形成されたことを特徴とする。

0012

本発明において、前記下部構造体は、基板と、前記基板上に順次に形成されたシード層と中間層と、をさらに備えることを特徴とする。

0013

本発明において、前記シード層と前記中間層との間に形成された軟磁性下地層をさらに備えることを特徴とする。

0014

本発明において、前記中間層及び前記記録層を一つの単位として繰り返して多層に形成されたことを特徴とする。

0015

本発明において、前記記録層は、第1付加層、第1記録層及び第2記録層を備えて形成されたことを特徴とする。

0016

本発明において、前記第1記録層は、PtまたはPdのうち少なくともいずれか一つの物質を含んで形成されたことを特徴とする。

0017

本発明において、前記第2記録層は、FeまたはCoのうち少なくともいずれか一つの物質を含んで形成されたことを特徴とする。

0018

本発明において、前記付加層は、C、Ag、W、Ti、B、Ta、Ru、Cr、Mn、Y、N、O、Pt、Cu、Mn3Si、Si、Cu、Nb、Ni、Fe、Au、CoまたはZnのうち少なくともいずれか一つの物質をさらに含むことを特徴とする。

0019

本発明において、前記付加層は、Al2O3、SiO2、B2O3、C4F8、Si3N4、SiN、BN、ZrO、TaNまたは酸化物のうち少なくともいずれか一つの物質を含んで形成されたことを特徴とする。

0020

本発明において、前記付加層、第1記録層または第2記録層の厚さは、0.1ないし10nmであることを特徴とする。

0021

本発明において、前記付加層、第1記録層、及び第2記録層を一つの単位として繰り返して多層に形成されたことを特徴とする。

0022

また、本発明では、下部構造体と前記下部構造体上に形成された記録層とを備える垂直磁気記録媒体の形成方法において、前記記録層の形成時または形成後、400ないし700℃の温度範囲で1分ないし2時間熱処理することで、前記記録層の2πMr2/K1(Mr:残留磁化、K1:垂直磁気異方性エネルギー定数)値を0.5以下、4πMr/Hc(Hc:保磁力)値を0.8以下に調節する段階を含む垂直磁気記録媒体の製造方法を提供する。

発明の効果

0023

本発明によれば、記録層の2πMr2/K1(Mr:残留磁化、K1:垂直磁気異方性エネルギー定数)値は、0.5以下であり、4πMr/Hc(Hc:保磁力)値は、0.8以下である垂直磁気記録媒体を提供することによって、記録層を構成する結晶粒間の結晶粒界の厚さが局部的に多少不均一であるにしても、結晶粒がほぼ同じ核生成磁界値を有し、したがって、記録された情報の安定性を確保することができる。また、Hn値と2πMr2/K1値、または4πMr/Hc値との関係を見つけ、Hn値を制御するための具体的な磁気的性質を見つけて、垂直磁気記録密度の特性を容易に制御しうる。

発明を実施するための最良の形態

0024

以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態による記録層の特性が制御された垂直磁気記録媒体について詳細に説明する。

0025

本発明による垂直磁気記録媒体の場合、2πMr2/K1≦0.5、4πMr/Hc≦0.8、MrとMsとは類似した値であるので、2πMs2/K1≦0.5、4πMs/Hc≦0.8であることを特徴とする。各事項の条件について説明する。

0026

垂直磁気記録媒体の場合、その情報は、記録層の粒子の磁化方向を設定しながら記録される。記録密度が高く、記録された情報が安定した、すなわち長寿命を保証できる垂直磁気記録媒体を具現するためには、次のような条件を満足しなければならない。これを詳細に説明すれば、次の通りである。

0027

第1に、垂直磁気記録媒体の結晶粒のサイズが小さくなければならない。一般的な材料の結晶粒は、結晶格子が同じ領域を意味する。しかし、本発明での結晶粒は、外部磁場による磁化方向が同じ領域を意味することに留意しなければならない。前記従来技術に関する説明で記載したように、垂直磁気記録媒体は、同じスピン配列を有する領域が通常の情報記録媒体単位情報(例えば、0または1)として設定される。したがって、単位情報を保存する領域自体のサイズが小さいのは当然であり、これを満足させるためには、基本的に結晶粒のサイズが小さく、結晶粒間の磁気交換結合力が小さくなければならない。

0028

第2に、熱的安定性を確保するために、磁気記録媒体のKu(垂直磁気異方性エネルギー定数)及びHn(核生成磁界)が大きくなければならず、普遍的に、Kuが大きければHnが大きい特徴を有する。図2Aは、磁性物質の磁気ヒステリシス曲線(M−H曲線)を示す図面である。図2Aを参照すれば、磁性物質の磁気ヒステリシス曲線L1の上限である磁化が飽和する地点座標は、(Hs,Ms)であり、磁気ヒステリシス曲線とY軸とが交差する点の座標は、(0,Mr)であり、この2つの座標を連結した直線を想定してL2とする。そして、磁気ヒステリシス曲線がX軸の(−)領域と交差する点(−Hc、0)における接線を想定してL3とする。ここで、L2とL3との交点X座標は−Hnとなる。この時、Hnを核生成磁界という。Hnは、物質の種類及び蒸着工程によってそのサイズが変化する。媒体に記録された情報の熱的安定性のためには、Hn値が大きく、温度変化などによるその変動が小さいことが望ましい。図2Bは、図2Aに示した磁気ヒステリシス曲線をL1、L2及びL3で簡単に示す図である。ここでは、Ms(飽和磁化)値がMr値と同じような場合には、図2Bの傾向にそのまま従うことが分かる。

0029

前述したように、Ku及びHnの値が大きい場合に、材料を垂直磁気記録媒体に使用する場合、安定した記録媒体としての特性を表す。図3Aは、記録媒体の結晶粒構造についての理解を助けるために表現した典型的な垂直磁気記録媒体記録層の微細結晶粒構造である。図3Aに示すように、結晶粒31が多数分布しており、結晶粒31は、結晶粒界面32を挟んで分布している。図3Bは、このような結晶粒31の結晶粒界面32の厚さ及び静磁気エネルギーなどの特性を説明するための図面である。結晶粒31の間の静磁気エネルギー、すなわち一つの結晶粒が隣接する結晶粒に及ぼす静磁気エネルギーは、結晶粒の2πMr2及び結晶粒界32の厚さB1,B2(図3B)に依存する。具体的に、結晶粒界32の厚さBが厚い場合には、周辺結晶粒に及ぼすエネルギーは小さく、結晶粒界32の厚さBが薄い場合には、隣接する結晶粒に及ぼす静磁気エネルギー値が大きい。そして、物質による磁気異方性エネルギー密度は、K1と表す。このような静磁気エネルギー値及び磁気異方性エネルギー密度値はHnと関係があり、これを調べるために、静磁気エネルギー値及び磁気異方性エネルギー密度値を含むバランシング係数である2πMr2/K1を想定した。

0030

図4Aは、核生成磁界値Hnと2πMr2/K1との関係を示すグラフである。具体的に、図4Aでは、結晶粒間の磁気交換定数が10−8erg/cmであり、各結晶粒界の厚さが0.2nmである場合と、結晶粒間の磁気交換定数が10−8erg/cmであり、各結晶粒界の厚さが1.5nmである場合とについてそれぞれHnと2πMs2/K1の変化を測定した結果をグラフで示したものである。

0031

図4Aを参照すれば、結晶粒界の厚さが薄い場合と厚い場合のいずれも、2πMr2/K1の値が小さくなるほどHn値は増大し、2πMr2/K1の値が約0.35である時は、両曲線が互いに交差することが分かる。すなわち、2πMr2/K1の値が0.35である時は、結晶粒界の厚さに関係なしに同じHnを示すということが分かる。

0032

図4Bは、結晶粒界の厚さが薄い場合(0.2nm)と厚い場合(1.5nm)とのHn値の差の絶対値(ΔHn)を2πMr2/K1に対してプロットした曲線である。

0033

図4Bを参照すれば、結晶粒間の交換相互作用が大きい場合、2πMr2/K1値が小さいほどΔHnが0に近づくことが分かる。結晶粒間の交換相互作用が非常に小さい場合には、2πMr2/K1値が約0.4付近でΔHnが0に近い最低値を示すことが分かる。ΔHnが0に近い値を示すということは、結晶粒界の厚さ(厚い/薄い)に関係なく、媒体のHnがほぼ同一であることを意味し、これを他の側面で解釈すれば、媒体内で結晶粒界の厚さが多少不均一であるにしても、媒体のHn値は、ほとんど一定であるということを意味する。すなわち、媒体内で結晶粒界の厚さが局部的に多少薄いか、または多少厚い部位が存在しても、それに関係なしに媒体のHnはほとんど同値を示すということである。このような条件を満足する場合、局部的にHnが不均一な値を示す場合に比べて、媒体に記録された情報の熱的安定性が向上する。

0034

前述したように、高密度垂直磁気記録媒体を実現するためには、結晶粒自体のサイズが小さくなければならず、図4Aに示すように、結晶粒界の厚さが薄く、K1に対して静磁気的エネルギーの比率が低くいからこそさらに大きいHn値が得られるということが分かる。そして、結晶粒界の厚さ変化によるHnの変化量(ΔHn)が低い状態を維持するためには、図4Bに示すように、2πMr2/K1値も一定限度で維持しなければならない。具体的に、Hnの変化量(ΔHn)が0.15以下の値を持つように維持するためには、2πMr2/K1値が0.5以下の範囲で維持されるべきであることが分かる。

0035

図5A及び図5Bは、厚さがそれぞれ5nm、20nmであり、結晶粒の厚さが0.2nm及び1.5nmである試片に対して、Hc(保磁力)をさらに付加したファクターである4πMr/Hcを導入して、2πMr2/K1値との関係を示した。4πMr/Hcは、M−Hグラフから見られるように、2πMr2/K1値が0.4より小さな場合には、4πMr/Hc値が0.6以下の値をいつも有することが分かる。また、2πMr2/K1値が0.5以下である場合には、4πMr/Hc値はいつも0.8以下の値を有することが分かる。

0036

したがって、本発明では、記録層の磁性物質の2πMr2/K1値が0.5以下であることを特徴とし、また、4πMr/Hc値が0.8以下であることを特徴とする。

0037

図6Aは、高密度垂直磁気記録媒体の材料として高電位を有する具体的な物質についてのMs値及びHc値を示すグラフである。図6Aを参照すれば、通常、垂直磁気記録媒体の記録層に使われる物質は、MsとMrが類似した値をもっている。したがって、2πMr2/K1値は、2πMs2/K1として使われ、4πMr/Hc値は、4πMs/Hcとして使われうる。4πMs/Hcが0.8より小さいことが望ましいので、Msはできるかぎり小さく、Hcは大きいことが望ましい。図6Aを参照すれば、物質の特性がグラフの左側上方で分布する場合、高密度垂直磁気記録媒体の記録層材料として望ましく、右側下方で分布する場合は望ましくないことがわかる。したがって、FePt、Co/Pdなどが垂直磁気記録媒体の記録層として有用であるということが分かる。

0038

図6Bは、前記図6Aに示した物質に対して記録密度による信号対ノイズ比(SNR)値を計算した値を示すグラフである。図6Bを参照すれば、等しいSNR値に対する記録密度は、前記図6Aに示した傾向と類似した結果を示すことが分かる。例えば、FePtまたはFePtにC4F8の添加剤を付加したFePt系列の試片は、他の物質に比べて等しいSNR値に対する記録密度がさらに高いので、高密度記録媒体の材料としてさらに適したことが分かる。

0039

図7A図7B図8A及び図8Bは、本発明の特徴である2πMr2/K1値が0.5以下であり、4πMr/Hc値は、常に0.8以下の値を持つように設計するための望ましい垂直磁気記録媒体の構造を示す図面である。

0040

具体的に説明すれば、基板を備える下部構造体上に記録層が形成されている。下部構造体は、基板、シード層、軟磁性下地層及び中間層などを備える。下部構造体上には記録層が形成されており、選択的に保護層がさらに形成される。記録層は、FePt、CoPt、FePdまたはCoPdなどの合金ターゲットスパッタリングまたはコスパッタリングすることにより合金で形成され、Fe/Pt、Co/Pt、Fe/PdまたはCo/Pdの多層構造で形成することができる。そして、記録層は、選択的に添加物及びマトリックス物質を含むことができる。具体的に、添加物はC、Ag、W、Ti、B、Ta、Ru、Cr、Mn、Y、N、O、Pt、Cu、Mn3Si、Si、Cu、Nb、Ni、Fe、Au、CoまたはZnなどがある。そして、マトリックス物質は、Al2O3、SiO2、B2O3、C4F8、Si3N4、SiN、BN、ZrO、TaNまたはその他の酸化物を含む。前述したように、記録層を形成させる工程では、2πMr2/K1値を0.5以下に維持するために、製造工程中の熱処理工程を実施してK1値を増大させる段階を付与することが望ましい。具体的な熱処理工程条件について例を挙げれば、記録層物質としてFePt、FePd、CoPtまたはCoPdなどの合金を使用する場合、K1の高い相に相変化を起こすために、400〜700℃温度範囲で1分〜2時間程度の時間範囲が望ましい。多層構造で形成する場合には、それぞれの層が0.1ないし10nmの厚さ範囲を有するように形成されたことが望ましく、熱処理条件は、前記のFePt、FePd、CoPtまたはCoPd合金の場合と同様である。

0041

基板、シード層、中間層及び軟磁性下地層は、一般的に使われる物質であれば、制限なしに使われ、例えば、基板は、ガラス基板を利用でき、シード層は、Ta、Ta合金、Ta/Ru化合物またはNiFeCrで形成され、中間層は、Cu、Ru、PdまたはPtで形成されうる。そして、軟磁性下地層は、多様な磁性物質で形成され、CoFeB、CoZrNbまたはCoTaZr、Co90Fe10またはCo35Fe65のような合金物質で形成されうる。

0042

図7A及び図7Bを参照すれば、基板上にシード層、中間層、記録層、及び保護層が順次に形成されていることが分かる。ただし、図7Aは、軟磁性下地層を備える構造であり、図7Bは、軟磁性下地層を除外した構造を有している。中間層及び記録層は、単一構造で形成され、中間層及び記録層を単位に連続的にn個以上の多層に形成させることができる。記録層は、FePt、CoPtまたはFePdに添加物及びマトリックス物質をさらに付加して形成することができる。

0043

図8A及び図8Bを参照すれば、基板上にシード層、添加物またはマトリックス物質を含む付加層、記録層及び保護層が順次に形成されていることが分かる。ただし、図8Aは、軟磁性下地層及び中間層をさらに備える構造であり、図8Bは、中間層及び軟磁性下地層を除外した構造を有している。記録層は、PtまたはPdのうち少なくともいずれか一つの物質を含む第1記録層と、FeまたはCoのうち少なくともいずれか一つの物質を含む第2記録層とから形成されている。そして、第2記録層上には、さらに付加層、第1記録層及び第2記録層が形成されている。図8A及び図8Bに示すように、付加層、第1記録層、及び第2記録層の重複構造を一つの単位にn個以上の多層構造で形成されていることが分かる。このような多層構造は、記録層の垂直磁化の安定性をさらに確保するために形成される。

0044

前記した説明で多くの事項が具体的に記載されているが、それらは、発明の範囲を限定するものというより、望ましい実施形態の例示として解釈されねばならない。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態により決まるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想により決まらねばならない。

0045

本発明は、垂直磁気記録媒体関連の技術分野に好適に用いられる。

図面の簡単な説明

0046

従来技術による垂直磁気記録媒体の構造及び記録原理を概略的に示す図面である。
記録媒体に使われる硬質磁性物質の磁気ヒステリシス曲線(M−H曲線)を図式的に示す図面である。
図2Aに示した磁気ヒステリシス曲線をさらに単純化して示す図面である。
垂直磁気記録媒体を構成する結晶粒及び結晶粒界構造を図式的に示す図面である。
結晶粒間の結晶粒界の厚さ及び静磁気エネルギーの特性を説明するための図面である。
核生成磁界Hnと2πMr2/K1との関係を示すグラフである。
2πMr2/K1とHnの変化量ΔHnとの相関関係を示すグラフである。
厚さが5nmである試片に対して、結晶粒の厚さが0.2nm及び1.5nmである場合に対してHc(保磁力)をさらに付加したファクター、4πMr/Hcを導入して、2πMr2/K1値との関係を示すグラフである。
厚さが20nmである試片に対して、結晶粒の厚さが0.2nm及び1.5nmである場合に対してHc(保磁力)をさらに付加したファクター、4πMr/Hcを導入して、2πMr2/K1値との関係を示すグラフである。
高密度垂直磁気記録媒体であって高電位を有する具体的な物質についてのMs値及びHc値をグラフで示す図面である。
図6Aに示した物質を記録媒体として使用した場合、記録密度(単位面積当り記録された情報の量)変化による信号対ノイズ比(SNR:Signal to Noise Ratio)を示すグラフである。
本発明の特徴である、2πMr2/K1値が0.5以下であり、4πMr/Hc値は常に0.8以下の値を有するように設計するための望ましい垂直磁気記録媒体の構造を示す図面である。
本発明の特徴である、2πMr2/K1値が0.5以下であり、4πMr/Hc値は常に0.8以下の値を有するように設計するための望ましい垂直磁気記録媒体の構造を示す図面である。
本発明の特徴である、2πMr2/K1値が0.5以下であり、4πMr/Hc値は常に0.8以下の値を有するように設計するための望ましい垂直磁気記録媒体の構造を示す図面である。
本発明の特徴である、2πMr2/K1値が0.5以下であり、4πMr/Hc値は常に0.8以下の値を有するように設計するための望ましい垂直磁気記録媒体の構造を示す図面である。

符号の説明

0047

10垂直磁気記録媒体
11、12軟磁性下地層
13 中間層
15記録層
20磁気ヘッド
21メインポール
25 リターンポール

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