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技術 食用油脂の製造方法および食用油脂

出願人 日清オイリオグループ株式会社
発明者 渡辺智夫山口栄一野田竜治新井敦子
出願日 2005年7月7日 (15年5ヶ月経過) 出願番号 2005-198914
公開日 2007年1月25日 (13年11ヶ月経過) 公開番号 2007-014263
状態 特許登録済
技術分野 食用油脂 脂肪類、香料
主要キーワード 蒸気エジェクター 精製綿 規則充填材 ニオイセンサー カラム処理後 蒸気密度 油脂加工 精製コーン油
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2007年1月25日)のものです。
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図面 (2)

課題

風味が良好で加熱臭及び曝光加熱臭が抑えられ、かつ、油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂食用ジアシルグリセロール、又は食用油脂及び食用ジアシルグリセロール混合物を提供する。

解決手段

規則充填材具備した薄膜式カラムを用いた精製処理トレイ式装置を用いた精製処理とを組み合わせて、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂、ジアシルグリセロール、又は油脂及びジアシルグリセロール混合物を精製する工程を含み、精製処理時の該カラム内温度が225〜252℃、カラム内圧力が18hPa以下、油脂の液ロード値が12〜28m3/m2・hr、および規則充填材の移動単位高さHTU)が1〜7mであり、かつ、トレイ式装置を用いた精製処理時のトレイ内温度が210〜247℃、トレイ内圧力が18hPa以下、および精製処理時間が15〜120分により製造される。

概要

背景

近年、油脂中トランス脂肪酸による健康への影響に関して注目されてきており、低トランス脂肪酸志向が高まりつつある。ここで、トランス脂肪酸とは、トランス型異性化した二重結合を有する不飽和脂肪酸、つまり、トランス型不飽和脂肪酸のことをいう。なお、天然に存在する植物油脂中の不飽和脂肪酸の二重結合はトランス型ではなく、シス型である。

油脂中のトランス脂肪酸は、油脂加工工程の水素添加で多量に生成されるが、分析技術の向上により、油脂精製の脱臭工程においても生成されることが分かっている。油脂精製の脱臭工程においては、例えば、円形シェルの態様で垂直に積み重ねられた複数のトレイ又はコンテナを備えた脱臭プラントが用いられている(例えば、特許文献1参照)。

油脂精製の脱臭工程におけるトランス脂肪酸の生成を抑制する方法としては、例えば、脱臭工程を通常行われている温度よりも低い温度、具体的には、190℃以上210℃以下の低温で行うことで、α−リノレン酸異性体の発生を抑えることができることが開示されている(特許文献2参照)。

また、処理温度を240℃、処理時間を120分に設定して脱臭処理工程を行った後、活性炭によりろ過することで、トランス脂肪酸含量が1.2質量%の精製キャノーラ油が得られることも開示されている(特許文献3参照)。
特許第3461511号公報(2頁3欄)
特開平3−244344号公報(3頁左下欄)
特開2003−61577号公報(段落〔0047〕)

概要

風味が良好で加熱臭及び曝光加熱臭が抑えられ、かつ、油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂食用ジアシルグリセロール、又は食用油脂及び食用ジアシルグリセロール混合物を提供する。規則充填材具備した薄膜式カラムを用いた精製処理トレイ式装置を用いた精製処理とを組み合わせて、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂、ジアシルグリセロール、又は油脂及びジアシルグリセロール混合物を精製する工程を含み、精製処理時の該カラム内温度が225〜252℃、カラム内圧力が18hPa以下、油脂の液ロード値が12〜28m3/m2・hr、および規則充填材の移動単位高さHTU)が1〜7mであり、かつ、トレイ式装置を用いた精製処理時のトレイ内温度が210〜247℃、トレイ内圧力が18hPa以下、および精製処理時間が15〜120分により製造される。

目的

従って、本発明の目的は、風味が良好で加熱臭及び曝光加熱臭が抑えられ、かつ、油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂の製造方法および食用油脂を提供することにある。さらには、酸価及び色度の値が低く、風味が良好で加熱臭及び曝光加熱臭が抑えられ、かつ、油脂中のトコフェロール含量が高く、油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂の製造方法および食用油脂を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
8件

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請求項1

規則充填材具備した薄膜式カラムを用いた精製処理トレイ式装置を用いた精製処理とを組み合わせて、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂を精製する工程を含む食用油脂の製造方法であって、前記薄膜式カラムを用いた精製処理時のカラム内温度が225〜252℃、カラム内圧力が18hPa以下、油脂の液ロード値が12〜28m3/m2・hr、および規則充填材の移動単位高さHTU)が1〜7mであり、かつ、前記トレイ式装置を用いた精製処理時のトレイ内温度が210〜247℃、トレイ内圧力が18hPa以下、および精製処理時間が15〜120分である食用油脂の製造方法。

請求項2

前記工程が、前記薄膜式カラムを用いた精製処理を行った後に、前記トレイ式装置を用いた精製処理を連続的に行う工程である請求項1に記載の食用油脂の製造方法。

請求項3

前記薄膜式カラムを用いた精製処理時において、吹き込み蒸気のFファクターが2.0((m/s)・(kg/m3))0.5以下であり、かつ、精製処理する油脂に対する吹き込み蒸気量が0.5〜2.0質量%である請求項1又は2に記載の食用油脂の製造方法。

請求項4

前記トレイ式装置を用いた油脂の精製処理時の精製処理する油脂に対する吹き込み蒸気量が0.5〜8.0質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の食用油脂の製造方法。

請求項5

全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂が、動植物油脂、動植物油脂のエステル交換油脂、動植物油脂と中鎖脂肪酸トリグリセリドとのエステル交換油脂、及び植物ステロールを含有する動植物油脂のエステル交換油脂から選ばれる1種又はこれらの混合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の食用油脂の製造方法。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の食用油脂の製造方法により製造して得られた、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂。

請求項7

全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂が、菜種油であり、リノール酸トランス脂肪酸転化率が0.9%以下、かつ、リノレン酸のトランス脂肪酸転化率が9.5%以下である請求項6に記載の食用油脂。

請求項8

全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂が、大豆油であり、リノール酸のトランス脂肪酸転化率が0.9%以下、かつ、リノレン酸のトランス脂肪酸転化率が15.0%以下である請求項6に記載の食用油脂。

請求項9

規則充填材を具備した薄膜式カラムを用いた精製処理とトレイ式装置を用いた精製処理とを組み合わせて、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下のジアシルグリセロールを精製する工程を含む食用ジアシルグリセロールの製造方法であって、前記薄膜式カラムを用いた精製処理時のカラム内温度が225〜252℃、カラム内圧力が18hPa以下、油脂の液ロード値が12〜28m3/m2・hr、および規則充填材の移動単位高さ(HTU)が1〜7mであり、かつ、前記トレイ式装置を用いた精製処理時のトレイ内温度が210〜247℃、トレイ内圧力が18hPa以下、および精製処理時間が15〜120分である食用ジアシルグリセロールの製造方法。

請求項10

請求項9に記載の食用ジアシルグリセロールの製造方法により製造して得られた、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用ジアシルグリセロール。

請求項11

規則充填材を具備した薄膜式カラムを用いた精製処理とトレイ式装置を用いた精製処理とを組み合わせて、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂及びジアシルグリセロール混合物を精製する工程を含む、食用油脂及び食用ジアシルグリセロールの混合物の製造方法であって、前記薄膜式カラムを用いた精製処理時のカラム内温度が225〜252℃、カラム内圧力が18hPa以下、油脂の液ロード値が12〜28m3/m2・hr、および規則充填材の移動単位高さ(HTU)が1〜7mであり、かつ、前記トレイ式装置を用いた精製処理時のトレイ内温度が210〜247℃、トレイ内圧力が18hPa以下、および精製処理時間が15〜120分である食用油脂及び食用ジアシルグリセロールの混合物の製造方法。

請求項12

請求項11に記載の食用油脂及び食用ジアシルグリセロールの混合物の製造方法により製造して得られた、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂及び食用ジアシルグリセロールの混合物。

技術分野

0001

本発明は、食用油脂の製造方法および食用油脂に関し、特に、酸価及び色度の値が低く、風味が良好で加熱臭及び曝光加熱臭が抑えられ、かつ、油脂中トコフェロール含量が高く、油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂の製造方法および食用油脂に関するものである。

背景技術

0002

近年、油脂中のトランス脂肪酸による健康への影響に関して注目されてきており、低トランス脂肪酸志向が高まりつつある。ここで、トランス脂肪酸とは、トランス型異性化した二重結合を有する不飽和脂肪酸、つまり、トランス型不飽和脂肪酸のことをいう。なお、天然に存在する植物油脂中の不飽和脂肪酸の二重結合はトランス型ではなく、シス型である。

0003

油脂中のトランス脂肪酸は、油脂加工工程の水素添加で多量に生成されるが、分析技術の向上により、油脂精製の脱臭工程においても生成されることが分かっている。油脂精製の脱臭工程においては、例えば、円形シェルの態様で垂直に積み重ねられた複数のトレイ又はコンテナを備えた脱臭プラントが用いられている(例えば、特許文献1参照)。

0004

油脂精製の脱臭工程におけるトランス脂肪酸の生成を抑制する方法としては、例えば、脱臭工程を通常行われている温度よりも低い温度、具体的には、190℃以上210℃以下の低温で行うことで、α−リノレン酸異性体の発生を抑えることができることが開示されている(特許文献2参照)。

0005

また、処理温度を240℃、処理時間を120分に設定して脱臭処理工程を行った後、活性炭によりろ過することで、トランス脂肪酸含量が1.2質量%の精製キャノーラ油が得られることも開示されている(特許文献3参照)。
特許第3461511号公報(2頁3欄)
特開平3−244344号公報(3頁左下欄)
特開2003−61577号公報(段落〔0047〕)

発明が解決しようとする課題

0006

確かに、特許文献2記載の方法によれば、190℃以上210℃以下の低温で従来の脱臭処理を行うと、α—リノレン酸の異性体の生成が抑えられているが、食用油脂の品質として重要なファクターである加熱臭や曝光加熱臭の発生をより低減させた食用油脂を得るためには、さらに高い温度で脱臭処理することが必要である。しかしながら、特許文献2にも記載されているように、従来の脱臭方法により230℃以上260℃以下という高温で脱臭処理を行うと、α—リノレン酸の異性体が生成され、結果としてトランス脂肪酸含量が増加してしまう。

0007

また、特許文献3記載の方法によれば、トランス脂肪酸含量を少なくすることができるが、それでも1.2質量%存在しており、さらなる低トランス化が望まれる。

0008

従って、本発明の目的は、風味が良好で加熱臭及び曝光加熱臭が抑えられ、かつ、油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂の製造方法および食用油脂を提供することにある。さらには、酸価及び色度の値が低く、風味が良好で加熱臭及び曝光加熱臭が抑えられ、かつ、油脂中のトコフェロール含量が高く、油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂の製造方法および食用油脂を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、上記目的を達成するために、規則充填材具備した薄膜式カラムを用いた精製処理トレイ式装置を用いた精製処理とを組み合わせて、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂を精製する工程を含む食用油脂の製造方法であって、前記薄膜式カラムを用いた精製処理時のカラム内温度が225〜252℃、カラム内圧力が18hPa以下、油脂の液ロード値が12〜28m3/m2・hr、および規則充填材の移動単位高さHTU)が1〜7mであり、かつ、前記トレイ式装置を用いた精製処理時のトレイ内温度が210〜247℃、トレイ内圧力が18hPa以下、および精製処理時間が15〜120分である食用油脂の製造方法を提供する。

0010

また、本発明は、上記目的を達成するために、上記の食用油脂の製造方法により製造して得られた、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂を提供する。

0011

また、本発明は、上記目的を達成するために、規則充填材を具備した薄膜式カラムを用いた精製処理とトレイ式装置を用いた精製処理とを組み合わせて、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下のジアシルグリセロールを精製する工程を含む食用ジアシルグリセロールの製造方法であって、前記薄膜式カラムを用いた精製処理時のカラム内温度が225〜252℃、カラム内圧力が18hPa以下、油脂の液ロード値が12〜28m3/m2・hr、および規則充填材の移動単位高さ(HTU)が1〜7mであり、かつ、前記トレイ式装置を用いた精製処理時のトレイ内温度が210〜247℃、トレイ内圧力が18hPa以下、および精製処理時間が15〜120分である食用ジアシルグリセロールの製造方法を提供する。

0012

また、本発明は、上記目的を達成するために、上記の食用ジアシルグリセロールの製造方法により製造して得られた、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用ジアシルグリセロールを提供する。

0013

また、本発明は、上記目的を達成するために、規則充填材を具備した薄膜式カラムを用いた精製処理とトレイ式装置を用いた精製処理とを組み合わせて、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂及びジアシルグリセロール混合物を精製する工程を含む、食用油脂及び食用ジアシルグリセロールの混合物の製造方法であって、前記薄膜式カラムを用いた精製処理時のカラム内温度が225〜252℃、カラム内圧力が18hPa以下、油脂の液ロード値が12〜28m3/m2・hr、および規則充填材の移動単位高さ(HTU)が1〜7mであり、かつ、前記トレイ式装置を用いた精製処理時のトレイ内温度が210〜247℃、トレイ内圧力が18hPa以下、および精製処理時間が15〜120分である食用油脂及び食用ジアシルグリセロールの混合物の製造方法を提供する。

0014

また、本発明は、上記目的を達成するために、上記の食用油脂及び食用ジアシルグリセロールの混合物の製造方法により製造して得られた、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂及び食用ジアシルグリセロールの混合物を提供する。

発明の効果

0015

本発明によれば、風味が良好で加熱臭及び曝光加熱臭が抑えられ、かつ、油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂、食用ジアシルグリセロール、又は食用油脂及び食用ジアシルグリセロール混合を得ることができる。

0016

また、本発明によれば、酸価及び色度の値が低く、風味も良好で加熱臭及び曝光加熱臭が抑えられ、かつ、油脂中のトコフェロール含量が高く、油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下である食用油脂、食用ジアシルグリセロール、又は食用油脂及び食用ジアシルグリセロール混合を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0017

〔食用油脂の製造方法〕
図1は、本発明の実施の形態に係る食用油脂の製造フローを示す図である。図1を参照して、本発明の実施の形態に係る食用油脂の製造方法を以下に説明する。

0018

本実施の形態に係る食用油脂の製造方法は、精製処理の対象とされる油脂(以下、精製処理対象油脂と言う。)の精製工程において、規則充填材を具備した薄膜式カラムを用いた精製処理とトレイ式装置を用いた精製処理とを組み合わせて精製する工程を含むことを特徴とする。

0019

上記の規則充填材を具備した薄膜式カラムを用いた精製処理とトレイ式装置を用いた精製処理は連続的に行われることが好ましい。また、これらの精製処理は、図1に示すように、どちらを先に行う組み合わせでも良いが、吹き込み蒸気をより有効に利用することができるという理由により、薄膜式カラムを用いた油脂の精製処理を行った後に、トレイ式装置を用いた油脂の精製処理を連続的に行う組み合わせの工程であることがより好ましい。

0020

(精製処理対象油脂)
本実施の形態において、精製処理対象油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量は、1質量%以下であり、好ましくは0〜0.8質量%、より好ましくは0〜0.5質量%、最も好ましくは0〜0.2質量%である。

0021

精製処理対象油脂として、動植物油脂、その水素添加油脂分別油脂、及びエステル交換油脂から選ばれる1種又はこれらの混合物を使用することができる。

0022

動植物油脂としては、例えば、未精製植物油脂、脱酸植物油脂、脱色植物油脂、脱臭植物油脂、未精製動物油脂、脱酸動物油脂、脱色動物油脂、及び脱臭動物油脂等が挙げられる。

0023

未精製植物油脂、脱酸植物油脂、脱色植物油脂、及び脱臭植物油脂として使用する植物油脂の種類としては、大豆油菜種油高オレイン酸菜種油、綿実油ひまわり油ゴマ油ゴマサラダ油コーン油シソ油アマニ油グレーシード油落花生油紅花油、高オレイン酸紅花油、マカデミアナッツ油ヘーゼルナッツ油カボチャ種子油クルミ油椿油実油、エゴマ油ボラージ油、オリーブ油米糠油小麦胚芽油パーム油パーム核油カカオ脂及びヤシ油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0024

ここで、未精製植物油脂とは、脱酸、脱色、及び脱臭処理をしていない植物油脂のことをいい、植物種子圧搾処理及び/又は抽出処理し、場合によってはその後脱ガム処理することにより得られる油脂で、具体的には、未精製ゴマ油、未精製オリーブ油、未精製菜種油、未精製大豆油、未精製ナッツ油、未精製紅花油、未精製コーン油、未精製綿実油、未精製米油、未精製ヒマワリ油、未精製グレープシード油、未精製アマニ油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0025

また、脱酸植物油脂とは遊離の脂肪酸をアルカリもしくは蒸留で除去した油脂であり、かつ脱色及び脱臭処理をしていない植物油脂のことをいい、圧搾処理及び/又は抽出処理後、脱ガム及び脱酸処理することにより得られる油脂で、具体的には、脱酸大豆油、脱酸菜種油、脱酸紅花油、脱酸コーン油、脱酸綿実油、脱酸ヒマワリ油脱酸米油、脱酸グレープシード油、脱酸アマニ油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0026

また、脱色植物油脂とは、活性白土や活性炭等で脱色し、脱臭処理をしていない植物油脂のことをいい、圧搾処理及び/又は抽出処理後、脱ガム、脱酸処理及び脱色処理することにより得られる油脂で、具体的には、脱色大豆油、脱色菜種油、脱色紅花油、脱色コーン油、脱色綿実油、脱色ヒマワリ油、脱色米油、脱色グレープシード油、脱色アマニ油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0027

また、脱臭植物油脂とは、圧搾処理及び/又は抽出処理後、脱ガム、脱酸処理、脱色処理及び脱臭処理することにより得られる植物油脂のことをいい、具体的には、脱臭高オレイン酸菜種油、脱臭高オレイン酸紅花油、脱臭高オレイン酸ヒマワリ油、脱臭オリーブ油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0028

この中でも、特に、常温での油の流動性生産効率及び製造コスト等を考慮すると、処理する油脂としては、脱色菜種油又は脱色大豆油などの脱色植物油脂を用いるのが最も好ましいが、これらに限定されるものではない。

0029

未精製動物油脂、脱酸動物油脂、脱色動物油脂、及び脱臭動物油脂として使用する動物油脂の種類としては、牛脂豚脂、鶏脂、乳脂魚油、及びアザラシ油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0030

ここで、未精製動物油脂とは脱酸、脱色、及び脱臭処理をしていない動物油脂のことをいい、レンダリング処理等で得られた動物油脂のこといい、具体的には、未精製牛脂、未精製豚脂、未精製魚油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0031

また、脱酸動物油脂とは遊離の脂肪酸をアルカリもしくは蒸留で除去した油脂であり、脱色及び脱臭処理をしていない動物油脂のことをいい、具体的には、脱酸牛脂、脱酸豚脂、脱酸魚油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0032

また、脱色動物油脂とは、活性白土や活性炭等で脱色し、脱臭処理をしていない動物油脂のことをいい、具体的には、脱色牛脂、脱色豚脂、脱色魚油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0033

また、脱臭動物油脂とは、脱酸、脱色、及び脱臭処理をした動物油脂のことをいい、具体的には、脱臭牛脂、脱臭豚脂、脱臭魚油等が挙げられる。

0034

次に、動植物油脂の水素添加とは、先に挙げた動植物油脂を水素添加処理した油脂であって、公知の方法により水添処理して得ることができる。

0035

動植物分別油脂とは、先に挙げた動植物油脂を分別した油脂であって、冷却分別、乳化分別、溶剤分別等により得られる油脂のことである。

0036

中鎖脂肪酸トリグリセリドとは、構成脂肪酸炭素数が6〜12の中鎖脂肪酸からなるトリグリセリドのことであり、例えばトリオタングリセリドトリデカン酸グリセリド、モノデカン酸ジオクタン酸グリセリド、モノオクタン酸ジデカン酸グリセリド等があげられる。市販品として、例えば、商品ODO(日清オイリグループ(株)製)が挙げられる。

0037

エステル交換油脂としては、例えば、動植物油脂のエステル交換油脂、動植物油脂と中鎖脂肪酸トリグリセリドとのエステル交換油脂、及び植物ステロールを含有する動植物油脂のエステル交換油脂が挙げられ、これらの1種又はこれらの混合物を使用することができる。その中でも特に、脱色植物油脂のエステル交換油脂、脱色植物油脂と分別油脂のエステル交換油脂、脱色植物油脂と中鎖脂肪酸トリグリセリドとのエステル交換油脂、植物ステロールを含有する脱色植物油脂のエステル交換油脂を使用することが好ましい。エステル交換油脂は、酵素アルカリ触媒を使用することにより製造することができる。

0038

(規則充填材を具備した薄膜式カラムを用いた精製処理)
次に、規則充填材を具備した薄膜式カラムを用いた精製処理について以下に詳細に説明する。

0039

規則充填材を具備した薄膜式カラムとしては、市販品を使用することができ、例えば、住重プラントエンジニアリング(株)の商品名「住友/SFLOWTM」等が挙げられる。

0040

油脂の精製処理時における薄膜式カラムのカラム内温度は、225〜252℃であり、好ましくは225〜247℃であり、より好ましくは235〜245℃であり、最も好ましくは237〜245℃である。カラム内温度が225℃未満であると、酸価が低い食用油脂を得ることができない。また、252℃を超えると、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が増加してしまい、トランス脂肪酸含量が1質量%以下の食用油脂を得ることができない。

0041

油脂の精製処理時における薄膜式カラムのカラム内圧力は、18hPa以下であり、より好ましくは11hPa以下であり、最も好ましくは10hPa以下である。カラム内圧力が18hPaを超えてしまうと、酸価の低い食用油脂を得ることができない。薄膜式カラム内圧力をこの範囲内にするには、真空ポンプや、蒸気エジェクター等を組み合わせて使用することにより行うことができる。

0042

油脂の精製処理時における薄膜式カラムの油脂の液ロード値は、12〜28m3/m2・hrであり、より好ましくは13〜22m3/m2・hrであり、最も好ましくは14〜20m3/m2・hrである。油脂の液ロード値が、12m3/m2・hr未満又は28m3/m2・hrを超えると、脂肪酸蒸留の効率が低下し、酸価の低い食用油脂を得ることができないからである。ここで、油脂の液ロード値とは、以下の式(数1)で得られる値のことをいう。

0043

Q:油流量(m3/hr)
A:規則充填材の断面積(m2)

0044

油脂の精製処理時における薄膜式カラムの規則充填材の移動単位高さ(以下、HTUとも言う。)は1〜7mであり、より好ましくは1〜5mであり、最も好ましくは1〜4mである。7mを超えてしまうと、脂肪酸蒸留の効率が低下してしまい、また、設備の面でも規則充填材の段数を増やさなければならず、設備の大型化により設備費用が高くなってしまうからである。

0045

ここで、規則充填材の移動単位高さとは、以下の式(数2)で示した値をいう。そして、式からもわかるように、移動単位高さは、規則充填材高さを小さくすればするほど小さくすることができ、その値の調整は、規則充填材の段数を変更することにより行うことができる。

0046

Z:規則充填材高さ(m)
py:脂肪酸蒸気圧(hPa)
π:カラム内圧力(hPa)
L:カラム処理前の油脂中の脂肪酸量mol数
G:吹き込み蒸気量(mol数)
χ1:カラム処理後の油脂中の脂肪酸濃度(mol分率)
χ2:カラム処理前の油脂中の脂肪酸濃度(mol分率)

0047

得られる食用油脂の酸価をより効率的に下げるために、薄膜式カラムでの油の精製処理時における吹き込み蒸気のFファクターが2.0((m/s)・(kg/m3))0.5以下、かつ、精製処理対象油脂に対する吹き込み蒸気量が0.5〜2.0質量%であることが好ましく、Fファクターが0.05〜1.5((m/s)・(kg/m3))0.5、かつ、精製処理対象油脂に対する吹き込み蒸気量が0.5〜1.5質量%であることがより好ましく、Fファクターが0.05〜1.0((m/s)・(kg/m3))0.5、かつ、精製処理対象油脂に対する吹き込み蒸気量が0.5〜1.0質量%であることが最も好ましい。

0048

ここで、吹き込み蒸気のFファクターとは、カラムの断面積に対する蒸気流速、ならびにカラム内圧力に対する蒸気密度との関係から規定され、以下の式(数3)で得られる値をいい、その値の調整は吹き込み蒸気量の量を変化させることにより行うことができる。

0049

u:吹き込み蒸気の流速(m/s)、ρは吹き込み蒸気の密度(kg/m3)

0050

また、吹き込み蒸気量は、単位時間あたりに精製処理対象油脂の質量に対して、吹き込む蒸気の総量に対する割合のことをいい、単位時間あたりに吹き込む蒸気量を調整することで、先に記載した好ましい範囲の吹き込み蒸気量とすることができる。

0051

(トレイ式装置を用いた精製処理)
次に、トレイ式装置を用いた油脂の精製処理について以下に詳細に説明する。トレイ式装置は、一般に油脂の脱臭工程で用いられているシングルシェル式、ダブルシェル式、シングルシェル式とダブルシェル式を組み合わせたコンビネーションシェル式等を使用することができる。

0052

油脂の精製処理時におけるトレイ式装置のトレイ内温度は、210〜247℃であり、好ましくは、212〜247℃であり、より好ましくは215〜245℃であり、最も好ましくは218〜245℃である。トレイ内温度が210℃未満であると、得られる食用油脂の有臭成分を十分に除去することができず、風味良好の油脂品質を得ることができず、また、247℃を超えると、得られる食用油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が高くなってしまうからである。

0053

油の精製処理時におけるトレイ式装置のトレイ内圧力は、18hPa以下であり、より好ましくは11hPa以下であり、最も好ましくは10hPa以下である。18hPaを超えると、得られる食用油脂の有臭成分を十分に除去することができないからである。真空ポンプや、蒸気エジェクター等の装置を組み合わせて使用することにより、トレイ式装置内圧力をこの範囲内にすることができる。

0054

トレイ式装置による油の精製処理時間は、15〜120分であり、20〜50分であることが好ましく、20〜45分であることがより好ましく、20〜40分であることが最も好ましい。精製処理時間が15分未満であると、得られる食用油脂の有臭成分が十分に除去することができず、また、精製処理時間が120分を超えると、得られる食用油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が高くなってしまうからである。

0055

また、得られる食用油脂の有臭成分をより効率的に除去するために、トレイ式装置での油脂の精製処理時に、精製処理対象油脂に対する吹き込み蒸気量が0.5〜8.0質量%であることが好ましく、0.5〜3.0質量%であることがより好ましく、0.5〜2.0質量%であることが最も好ましい。

0056

吹き込み蒸気量は、単位時間あたりに精製処理対象油脂の質量に対して、吹き込む蒸気の総量に対する割合のことをいい、単位時間あたりに吹き込む蒸気量を調整することで、先に記載した好ましい範囲の吹き込み蒸気量とすることができる。

0057

(本発明の実施の形態による効果)
(1)通常の脱臭食用油脂の製造方法(たとえばトレイ式装置による脱臭)によると、得られる脱臭食用油脂の酸価は0.03〜0.15であるが、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量を1質量%以下にすることができない。一方、本発明の実施の形態によれば、得られる食用油脂の酸価を0.06以下にすることができ、かつ全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量を1質量%以下にすることが可能である。

0058

(2)通常の脱臭食用油脂の製造方法(たとえばトレイ式装置による脱臭)によると、脱臭菜種油の色度の値は2.0Y/0.2R〜10Y/1.0R、脱臭大豆油の色度の値は3.0Y・0.3R〜10Y/1.0Rであるが、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量を1質量%以下にすることはできない。一方、本発明の実施の形態によれば、食用菜種油の場合、色度の値を3.5Y/0.3R以下、食用大豆油の場合、色度の値を4.5/0.4R以下にすることができ、かつ全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量を1質量%以下にすることが可能である。この色度の値は、ロビボンド法により測定することができる。

0059

(3)通常の脱臭菜種油の製造方法(たとえばトレイ式装置による脱臭)によると、リノール酸トランス脂肪酸転化率は1〜2%で、リノレン酸のトランス脂肪酸転化率は15〜30%であるが、本発明の実施の形態によれば、食用菜種油のリノール酸のトランス脂肪酸転化率を0.9%以下、かつリノレン酸のトランス脂肪酸転化率を9.5%以下とすることができる。

0060

(4)通常の脱臭大豆油の製造方法(たとえばトレイ式装置による脱臭)によると、リノール酸のトランス脂肪酸転化率は1〜2%で、リノレン酸のトランス脂肪酸転化率は18〜30%であるが、本発明の実施の形態によれば、食用大豆油のリノール酸のトランス脂肪酸転化率を0.9%以下、かつリノレン酸のトランス脂肪酸転化率を15.0%以下とすることができる。

0061

ここで、リノール酸のトランス脂肪酸転化率とは、精製処理によって油脂を構成するリノール酸がトランス異性体転化した割合のことをいう。リノレン酸のトランス脂肪酸転化率とは、精製処理によって油脂を構成するリノレン酸がトランス異性体へ転化した割合のことをいう。
<トランス脂肪酸転化率の測定・計算方法
・リノール酸のトランス脂肪酸転化率(質量%)=((精製後の油脂を構成するリノール酸のトランス型異性体質量−精製前の油脂を構成するリノール酸のトランス型異性体質量)/(精製前の油脂を構成するリノール酸質量))×100
・リノレン酸のトランス脂肪酸転化率(質量%)=((精製後の油脂を構成するリノレン酸のトランス型異性体質量−精製後の油脂を構成するリノレン酸のトランス型異性体質量)/(精製前の油脂を構成するリノレン酸質量))×100

0062

(5)通常の脱臭菜種油の製造方法(たとえばトレイ式装置による脱臭)によると、菜種油中のトコフェロール含量は400〜630ppmであるが、本発明の実施の形態によれば、食用菜種油中のトコフェロール含量を650ppm以上とすることができる。

0063

(6)通常の脱臭大豆油の製造方法(たとえばトレイ式装置による脱臭)によると、脱臭大豆油中のトコフェロール含量は600〜1000ppmであるが、本発明の実施の形態によれば、食用大豆油中のトコフェロール含量を1100ppm以上とすることができる。製造後の食用油脂中のトコフェロール含量が多いほど、加熱に対する安定性を向上させることができる。

0064

(7)本発明の実施の形態によれば、風味も良好で加熱臭及び曝光加熱臭が抑えられた食用油脂を製造できる。ここで、本発明における加熱臭とは、食用油脂を180℃で加熱した時に発生する臭いのことをいい、曝光加熱臭とは、食用油脂を20℃、7000Luxの条件下で16時間保存後、180℃で加熱した時に発生する臭いのことを言う。

0065

なお、本発明のより好ましい実施の形態によれば、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が0.9質量%以下、さらには、0.7質量%以下の食用油脂を得ることができ、最も好ましい形態によれば、0.5質量%以下の食用油脂を得ることができる。

0066

〔本発明の実施の形態に係る食用油脂〕
次に、本発明の実施の形態に係る食用油脂について説明する。本発明の実施の形態に係る食用油脂は、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の食用油脂であり、上述した製造方法により製造することができる。食用油脂の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量は、例えば、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。なお、本発明のより好ましい実施の形態によれば、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が0.9質量%以下、さらには、0.7質量%以下、最も好ましい形態によれば、0.5質量%以下の食用油脂である。

0067

本発明の実施の形態に係る食用油脂は、酸価を0.06以下とすることができ、色度の値が低い。例えば、本発明の方法により製造された食用菜種油の場合、色度の値を3.5Y/0.3R以下、本発明の方法により製造された食用大豆油の場合、色度の値を4.5/0.4R以下とすることができる。

0068

本発明の実施の形態に係る食用油脂は、リノール酸およびリノレン酸のトランス脂肪酸転化率が低い。例えば、本発明の方法により製造された食用菜種油のリノール酸のトランス脂肪酸転化率を0.9%以下、かつリノレン酸のトランス脂肪酸転化率を9.5%以下とすることができ、本発明の方法により製造された食用大豆油のリノール酸のトランス脂肪酸転化率を0.9%以下、かつリノレン酸のトランス脂肪酸転化率を15.0%以下とすることができる。

0069

本発明の実施の形態に係る食用油脂は、トコフェロール含量が多い。例えば、本発明の方法により製造された食用菜種油中のトコフェロール含量を650ppm以上とすることができ、本発明の方法により製造された食用大豆油中のトコフェロール含量を1100ppm以上とすることができる。

0070

本発明の実施の形態に係る食用油脂は、風味も良好で加熱臭及び曝光加熱臭が少ない。

0071

本発明の実施の形態に係る食用油脂は、そのまま生食用、炒め油用、天ぷら用として使用することができる。また、マヨネーズドレッシングマーガリンスプレッド等の加工油脂製品原料としても使用することができ、加工油脂製品の全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量を低減することができる。

0072

なお、上記の実施の形態においては、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂(トリアシルグリセロール)を精製処理する例を説明したが、本発明は、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下のジアシルグリセロールの精製処理にも適用することができ、この場合、本発明の製造方法により、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の食用ジアシルグリセロールを得ることができる。また、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂及びジアシルグリセロール混合物の精製処理にも適用することができ、この場合、本発明の製造方法により、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の食用油脂及び食用ジアシルグリセロール混合物を得ることができる。

0073

精製処理対象である全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下のジアシルグリセロールは、例えば、先に説明した全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂を、酵素反応による加水分解処理、又は化学反応による加水分解処理後、脂肪酸を除去することにより得ることができる。

0074

また、精製処理対象である全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂及びジアシルグリセロール混合物は、例えば、先に説明した全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂と、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下のジアシルグリセロールとを混合することにより得ることができる。さらに、先に説明した全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下の油脂を、酵素反応による部分加水分解処理や化学反応による部分加水分解処理後、脂肪酸を除去することにより得ることができる。

0075

以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。

0076

〔実施例1〜8および比較例1〜6〕
(食用油脂の製造)
原料の菜種圧搾、抽出、水脱ガム、アルカリによる脱酸、活性白土による脱色を行い、脱色菜種油を得た。得られた脱色菜種油を用い、規則充填材(商品名:住友/SFLOWTM 、住重プラントエンジニアリング(株)製)を具備した薄膜式カラムにて、カラムの圧力7.3hPa、吹き込み蒸気量1.0質量%とし、カラム内温度、油脂の液ロード値、Fファクター、及び規則充填材の移動単位高さ(HTU)を表1〜4に示す条件設定で精製処理を行った後に、トレイ式装置にて、トレイの圧力を7.3hPaとし、トレイ内温度、トレイ処理時間、及び吹き込み蒸気量を表1〜4に示す条件設定で連続的に精製処理を行った。これにより、実施例1〜8および比較例1〜6の食用油脂を得た。

0077

(食用油脂の分析値および評価)
実施例1〜8および比較例1〜6の食用油脂について、酸価、色度の値、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量、トランス脂肪酸転化率、およびトコフェロール含量を測定し、また、風味、加熱臭、および曝光加熱臭を評価した。それぞれの測定方法を次に示し、測定・評価結果を表1〜4に示す。

0078

<酸価の測定方法>
基準油脂分析試験法2.3.1−1996に準じて測定した。

0079

<色度の測定方法>
基準油脂分析試験法2.2.1.1−1996に準じて測定した。

0080

<全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量の測定方法>
AOCS(American Official Chemists’Society)オフシャメソッドCe 1f−96に基づき測定した。

0081

<トランス脂肪酸転化率の測定・計算方法>
・リノール酸のトランス脂肪酸転化率(質量%)=((精製後の油脂を構成するリノール酸のトランス型異性体質量−精製前の油脂を構成するリノール酸のトランス型異性体質量)/(精製前の油脂を構成するリノール酸質量))×100
・リノレン酸のトランス脂肪酸転化率(質量%)=((精製後の油脂を構成するリノレン酸のトランス型異性体質量−精製後の油脂を構成するリノレン酸のトランス型異性体質量)/(精製前の油脂を構成するリノレン酸質量))×100

0082

<トコフェロール含量の測定方法>
基準油脂分析試験法2.4.10−1996に準じて測定した。

0083

風味評価試験方法
得られた各食用油脂を常温状態で1〜2ml程度口に含み、口に含んだ時の風味を下記の評価基準に従って評価した。評価方法は、7名のパネラーにより5点評価を行い、その平均値で評価した。
評価点数の基準)
5点・・・非常に良好
4点・・・良好
3点・・・普通
2点・・・やや悪い
1点・・・悪い

0084

<加熱臭評価試験方法
得られた各食用油脂を100ml容ビーカーに50g入れ、180℃に加熱し、その時の加熱臭を下記の評価基準に従って評価した。評価方法は、7名のパネラーにより5点評価を行い、その平均値で評価した。
(評価点数の基準)
5点・・・非常に良好
4点・・・良好
3点・・・普通
2点・・・やや悪い
1点・・・悪い

0085

<曝光加熱臭の評価方法>
得られた各食用油脂を600g容PET容器充填し、7000lux、20℃の条件下で16時間曝光させた後、以下の方法で評価を行った。
曝光後の各食用油脂を100ml容ビーカーに50g入れ、180℃に加熱し、その時の加熱臭を下記の評価基準に従って評価した。評価方法は、7名のパネラーにより5点評価を行い、その平均値で評価した。
(評価点数の基準)
5点・・・非常に良好
4点・・・良好
3点・・・普通
2点・・・やや悪い
1点・・・悪い

0086

0087

表1の結果から、薄膜式カラム内温度及びトレイ内温度が230、240又は245℃(実施例1〜3)の条件下において、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下であり、トコフェロール含量が多く、かつ酸価、色度、風味、加熱臭、及び曝光加熱臭が良好であることが分かった。

0088

一方、薄膜式カラム内温度が220℃(比較例1)であると、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量がさらに少なく、トコフェロール含量が多くなるが、酸価が高くなってしまう。また風味や、加熱臭、曝光加熱臭が実施例1〜3と比べて劣ることが分かった。また、薄膜式カラム内温度及びトレイ内温度が255℃(比較例2)となると、酸価、色度、風味、加熱臭、及び曝光加熱臭は良好であるが、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%を越え、トコフェロール含量が少なくなることが分かった。

0089

0090

表2の結果から、トレイ処理時間が30分又は40分(実施例4〜5)の条件下において、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下であり、トコフェロール含量が多く、かつ酸価、色度、風味、加熱臭、及び曝光加熱臭が良好であることが分かった。

0091

一方、トレイ処理時間が10分(比較例3)であると、酸価、色度、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量、及びトコフェロール含量は問題ないが、風味、加熱臭、及び曝光加熱臭が実施例4〜5に比べて劣ることが分かった。また、トレイ処理時間が150分(比較例4)であると、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%を超え、トコフェロール含量も少なくなることが分かった。

0092

0093

表3の結果から、薄膜式液ロードが12.7又は19.1m3/m2・hr(実施例6〜7)の条件下において、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下であり、トコフェロール含量が多く、かつ酸価、色度、風味、加熱臭、及び曝光加熱臭が良好であることが分かった。

0094

一方、薄膜式液ロードが10.2m3/m2・hr(比較例5)であったり、30.3m3/m2・hr(比較例6)であると酸価が高くなり、曝光加熱臭が劣ることが分かった。

0095

0096

表4の結果から、カラム内温度240℃、トレイ内温度220℃(実施例8)の条件にて精製処理を試みた場合、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下であり、トコフェロール含量が多く、かつ酸価、色度、風味、加熱臭、及び曝光加熱臭が良好であることが分かった。

0097

〔比較例7〜8〕
次に、薄膜式カラムのみによる精製処理を行った場合(比較例7)とトレイ式装置のみによる精製処理を行った場合(比較例8)について、表5に示す条件設定で、他は実施例1〜8および比較例1〜6と同様にして食用油脂を製造し、酸価、色度の値、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量、トランス脂肪酸転化率、およびトコフェロール含量を測定し、また、風味、加熱臭、および曝光加熱臭を評価した。測定・評価結果を表5に示す。

0098

0099

表5の結果から、薄膜式カラムのみ(比較例7)では、精製条件を本発明の適性範囲としても、風味、加熱臭、及び曝光加熱臭が劣ることが分かった。また、トレイ式装置のみ(比較例8)では、比較例は、風味、加熱臭および曝光加熱臭は実施例と比べて遜色ないが、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量2.3質量%と1質量%を超えてしまい、またトコフェロール含量も少ないことが分かった。

0100

〔実施例9〜11および比較例9〜10〕
実施例1〜3および比較例1〜2の食用油脂について、下記の方法にて調理評価を行った。評価結果を表6に示す。

0101

<調理評価試験方法>
フライヤーに実施例1〜3および比較例1〜2の食用油脂を800g入れ、180℃で3分間サツマイモの天ぷらを揚げた。評価方法は、調理品であるサツマイモの天ぷら及び調理時の臭いについて、7名のパネラーにより5点評価を行い、その平均値で評価した。
(評価点数の基準)
5点・・・非常に良好
4点・・・良好
3点・・・普通
2点・・・やや悪い
1点・・・悪い

0102

0103

表6の結果から、薄膜式カラム内温度が230、240又は245℃(実施例9〜11)では、調理時の臭い、及び調理品が良好であるのに対し、220℃(比較例9)では、酸価が高く、調理時の臭い、及び調理品のいずれも実施例9〜11に比べ劣ることが分かった。また、255℃(比較例10)では調理時の臭い、及び調理品については問題はないが、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%を越えてしまっている。

0104

〔実施例12〜14および比較例11〜12〕
実施例1〜3および比較例1〜2の食用油脂について、アクロレイン指数測定試験、及び臭い指数測定試験を行った。試験方法を次に示し、それぞれの試験結果を表7に示す。

0105

<アクロレイン指数測定試験方法
SS用20ml容バイアル瓶サンプル約4gを採取密栓後、180℃,10分の予備加熱を行い、サンプル調製を行った。同サンプルは、以下の条件で測定を行い、測定結果トータルイオンクロマトグラム(TIC)から各揮発成分のエリアを算出した。アクロレイン指数は、比較例12(比較例2)を100とした相対値で示し、数字が小さいほどアクロレインが少ないことを意味する。
使用機器
GC:HP6890 Gas Chromatograph
MS:5973 Mass Selective Detector
HSS:HP7694 Headspace Sampler
使用カラム:DB−WAX 60m

0106

<臭い指数測定試験方法>
測定用のバイアル瓶にサンプルを2g入れ、ニオイセンサーFOX4000(Alpha MOS社)で180℃に加熱したものを3分間測定した。各センサー感じ取る、測定時の数値の総和を臭いの強さとした。ニオイ指数評価は、比較例12(比較例2)を100とした相対値で示し、数字が小さいほどニオイが少ないことを意味する。

0107

0108

表7の結果から、薄膜式カラム内温度とトレイ式装置のトレイ内温度が230、240又は245℃(実施例12〜14)では、比較例12と比べ明らかに臭いが低減していること、また比較例11と比べても臭いが低減されていることが分かった。

0109

〔実施例15〕
次に、原料を脱色菜種油に換えて脱色大豆油を用いて、表8に示す条件設定で、他は実施例1〜8および比較例1〜6と同様にして食用油脂を製造し、酸価、色度の値、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量、トランス脂肪酸転化率、およびトコフェロール含量を測定し、また、風味、加熱臭、および曝光加熱臭を評価した。測定・評価結果を表8に示す。

0110

0111

表8の結果から、脱色大豆油を用いた場合(実施例15)も、実施例2と同様の精製処理条件において、全構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が1質量%以下であり、トコフェロール含量が多く、かつ酸価、色度、風味、加熱臭、及び曝光加熱臭が良好であることが分かった。

図面の簡単な説明

0112

本発明の実施の形態に係る食用油脂の製造フローを示す図である。

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