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技術 プリフォーム、FRP成形体およびそれらの製造方法

出願人 東レ株式会社
発明者 小谷浩司浅原信雄溝端真澄
出願日 2006年3月27日 (14年1ヶ月経過) 出願番号 2006-085139
公開日 2007年1月18日 (13年3ヶ月経過) 公開番号 2007-008147
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等の成形用の型 プラスチック等の注型成形、圧縮成形 プラスチック等のブロー成形,熱成形
主要キーワード 空隙形状 板状治具 変形長 横断面形 マンドレル間 平板状基材 立体形 組合せ状態
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重要な関連分野

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課題

湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体を用いて、目標とする形状のプリフォームFRP成形体を容易にかつ安価に、しかも精度良く製造する。

解決手段

湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体の該面上に強化繊維プリフォームを配置し、好ましくは複数個に分割されたマンドレルを強化繊維プリフォームに沿わせて配置し、全体を密閉媒体で覆って内部を減圧することにより、強化繊維プリフォームを板状体の前記面に沿うように変形させて板状体に密着させることを特徴とする、プリフォーム、FRP成形体の製造方法、およびその方法により製造されたプリフォーム、FRP成形体。

概要

背景

周知の通り、軽量で高強度な素材として、FRPが各種産業分野で注目されている。特に車両や船舶航空機建築部材など種々の分野における構造体等として適用が拡大されてきており、今後もさらなる拡大が見込まれる素材である。

特に高荷重がかかるようなFRP構造体は、板状部材等とそれを補強するストリンガ部材(以下、「補強部材」と呼ぶこともあり、本願では、「ストリンガ」と「補強部材」を同義語として使用する。)との一体構造として成形されることが多い。板状部材等の基材とそれを補強するストリンガとからなるFRP成形体の製造方法においては、基材とストリンガをリベットなどを用いて機械的に結合する方法が広く用いられている。しかしながら、この方法には、製造コスト面と重量面から多くの問題がある。一方、各部材を接着剤により接合する方法についても広く用いられているが、とくに接着面での層間強度が十分ではなく、また広い接着面での適用には品質確保と製造コストに問題がある。

また、特許文献1に記載の方法では、予め硬化させた部材(例えば、ストリンガ部材)とドライプリフォームの部材(例えば、基材プリフォーム)に、熱硬化性樹脂含浸させて2つの部材を一体化するようにしている。

この特許文献1に記載の方法のように、ストリンガ部材を予め硬化させた部材として準備する場合には、とくにストリンガ部材を沿わせようとする基材側に厚みの変化等による表面位置の変化が有る場合、ストリンガ部材をその変化に応じた形状に予め成形しておかなければならず、変化形状が異なると、もはやその成形体には適用できない。

また、FRP成形のための樹脂含浸前の強化繊維のプリフォームの段階で、ストリンガプリフォームを予め上記のような基材表面形状の変化に対応させた形状に賦形しておくことも考えられるが、基材側の表面形状の変化に応じたストリンガプリフォームをそれぞれ形成しなければならず、個々のストリンガプリフォームとしては寸法の固定されたものとなり、汎用性はまったく無い。また、個々のストリンガプリフォームを、最終的に成形しようとするFRP成形体の表面形状等に応じてそれぞれ賦形しなければならず、自動化が困難であり、ストリンガプリフォームの製造が高コストになる。また、ステッチ等で固定された真直なストリンガプリフォームを予め上記表面形状の変化等に応じて屈曲させようとすると、屈曲時にステッチ糸による拘束のため強化繊維に折れや断列、蛇行等を生じることがある。さらに、ストリンガプリフォームを急峻な変化に対応させることが困難であり、対応できない箇所に対して強化繊維材等を充填すると、全体の重量増加を招いてしまう。

また、たとえば特許文献2には、弾性材料からなるマンドレルを使用して補強部材を成形する方法が開示されている。また、特許文献3には、剛性材料シリコーン製のマンドレルを使用して、真空RTM(Resin Transfer Molding)法で外板と補強部材を成形する方法が示されている。さらに、特許文献4および特許文献5には、強化繊維プリフォームを予め所望の形状に成形し、その後硬化する方法が開示されている。

特許文献2、3に記載されるように、弾性材料からなるマンドレルを使用して成形を行う場合には、マンドレルが弾性変形するため、マンドレルを複雑形状に加工する必要が無く、真直なマンドレルを用いれば良いように考えられる。しかしながら、弾性材料は圧力により簡単に変形するため、成形時の寸法の安定性には劣ると言う品質上の問題がある。さらに、弾性材料は熱膨張率が高く、加熱成形においては、マンドレルの膨張が大きいため、所望する寸法を有する成形品を製造することが難しい。

また、特許文献4および特許文献5に記載されるように、予め必要とする立体形状に成形された繊維強化プリフォームを用いて、軸心方向湾曲もしくは屈曲しているFRP製補強部材を製造することも可能ではある。しかしながら、この場合も、予め形状を賦したプリフォームを製作すると、先述した通り、複数種のプリフォームを製作する必要があるため、プリフォームの製造コストが高くなる。

そして、これらの方法のように複数種のプリフォームやマンドレルを使用する必要がある場合は製造工程が煩雑になるという問題もある。
特許第3320051号公報
特開平5−116162号公報
米国特許出願公開第2003/0019567号明細書
特開昭64−52845号公報
特開2003−286639号公報

概要

湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体を用いて、目標とする形状のプリフォーム、FRP成形体を容易にかつ安価に、しかも精度良く製造する。湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体の該面上に強化繊維プリフォームを配置し、好ましくは複数個に分割されたマンドレルを強化繊維プリフォームに沿わせて配置し、全体を密閉媒体で覆って内部を減圧することにより、強化繊維プリフォームを板状体の前記面に沿うように変形させて板状体に密着させることを特徴とする、プリフォーム、FRP成形体の製造方法、およびその方法により製造されたプリフォーム、FRP成形体。

目的

そこで本発明の課題は、容易に量産可能な所定断面形状の、たとえば、真直な、ストリンガプリフォームを使用し、それを表面形状が変化する、つまり、湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体に対しても、問題を生じることなく容易に沿わせることができるようにし、目標とするFRP成形体を、安価に効率よく、かつ不要な重量増加を招くことなく、しかも高品質をもって製造できるようにした、プリフォーム、FRP成形体の製造方法、およびその方法により製造されたプリフォーム、FRP成形体を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
4件

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請求項1

湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体の該面上にストリンガ用の強化繊維プリフォームを配置し、全体を密閉媒体で覆って内部を減圧することにより、前記強化繊維プリフォームを前記板状体の前記面に沿うように変形させて前記板状体に密着させることを特徴とする、プリフォームの製造方法。

請求項2

湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体の該面上にストリンガ用の強化繊維プリフォームを配置し、全体を密閉媒体で覆って内部を減圧することにより、前記強化繊維プリフォームを前記板状体の前記面に沿うように変形させて前記板状体に密着させ、しかる後に減圧された内部にて前記板状体に密着された前記強化繊維プリフォームに樹脂注入してFRP成形することを特徴とする、FRP成形体の製造方法。

請求項3

湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体の該面上にストリンガ用の強化繊維プリフォームが設けられたプリフォームを製造するに際し、前記板状体の前記面上に前記ストリンガ用強化繊維プリフォームを配置し、全体を密閉媒体で覆って内部を減圧することにより、前記ストリンガ用強化繊維プリフォームを前記板状体の前記面に沿うように変形させて前記板状体に密着させることを特徴とする、プリフォームの製造方法。

請求項4

前記板状体も強化繊維からなる、請求項3に記載のプリフォームの製造方法。

請求項5

湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体の該面上にストリンガが設けられたFRP成形体を製造するに際し、前記板状体の前記面上に前記ストリンガ用の強化繊維プリフォームを配置し、全体を密閉媒体で覆って内部を減圧することにより、前記ストリンガ用強化繊維プリフォームを前記板状体の前記面に沿うように変形させて前記板状体に密着させ、しかる後に減圧された内部にて、少なくとも前記板状体に密着された前記ストリンガ用強化繊維プリフォームに樹脂を注入してFRPを成形することを特徴とする、FRP成形体の製造方法。

請求項6

前記板状体も強化繊維からなる、請求項5に記載のFRP成形体の製造方法。

請求項7

前記強化繊維プリフォームの前記板状体の前記面に沿うように変形される前の形状が、真直に延びる形状からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。

請求項8

前記強化繊維プリフォームが強化繊維材積層体からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。

請求項9

前記強化繊維材が、少なくとも片面に、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物分散付与されたものからなる、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記樹脂組成物が、前記強化繊維材に対し0.1〜30重量%の範囲内で分散付与されている、請求項9に記載の方法。

請求項11

前記強化繊維プリフォームの強化繊維に炭素繊維を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。

請求項12

前記板状体の前記面が、1/10〜1/200の範囲の傾きを有する部位を含んでいる、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。

請求項13

前記板状体の前記面が、厚み方向に5mm以下の表面変位を有する部位を含んでいる、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。

請求項14

前記強化繊維プリフォームに沿わせてマンドレルを配置する、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。

請求項15

前記マンドレルが前記板状体の前記面の形状に沿った形状を有する、請求項14に記載の方法。

請求項16

前記マンドレルが、前記強化繊維プリフォームが前記板状体の前記面に沿って変形するように、複数個に分割されたものからなる、請求項14に記載の方法。

請求項17

前記複数個に分割されたマンドレルを、隣接するマンドレル間に空隙が生じるように強化繊維プリフォームに併設する、請求項16に記載の方法。

請求項18

マンドレル間に空隙固定手段を設け、この空隙固定手段によりマンドレル間の空隙の大きさを一定範囲に維持する、請求項17に記載の方法。

請求項19

前記空隙固定手段として、スペーサ部材を配置する、請求項18に記載の方法。

請求項20

前記スペーサ部材とマンドレルとの接触面積が、マンドレルの横断面積の1/2以下である、請求項19に記載の方法。

請求項21

前記スペーサ部材は、マンドレルとの接触面が曲面である、請求項19または20に記載の方法。

請求項22

前記スペーサ部材に凸部を設け、該凸部に嵌合する凹部を前記マンドレルに設ける、請求項19〜21のいずれかに記載の方法。

請求項23

前記スペーサ部材と前記マンドレルとを一体化することを特徴とする、請求項19〜22のいずれかに記載の方法。

請求項24

前記空隙固定手段が複数個に分割されたマンドレルを可動に連結する連結部材であって、該連結部材によりマンドレル間の空隙の大きさを一定範囲に維持する、請求項18に記載の方法。

請求項25

前記複数個に分割されたマンドレルが直方体であって、該直方体の高さをH、前記板状体の湾曲もしくは屈曲している面の変形高さをT、変形長さをLとしたとき、前記マンドレル間の空隙の大きさをH×T/L以上に設定する、請求項16〜24のいずれかに記載の方法。

請求項26

前記密閉媒体の内部を減圧して成形するにあたり、該密閉媒体の内圧大気圧との差圧を利用して該密閉媒体の内部に樹脂を注入し、該樹脂を硬化してFRPを成形することを特徴とする、請求項2、5〜25のいずれかに記載の方法。

請求項27

前記強化繊維プリフォームがI型、T型、C型L型、Z型、J型から選ばれた横断面形状を有する、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。

請求項28

請求項1、3、4、7〜27のいずれかに記載の方法を用いて製造されたプリフォーム。

請求項29

請求項2、5、6、7〜27のいずれかに記載の方法を用いて製造されたFRP成形体。

技術分野

0001

本発明は、プリフォームFRP繊維強化プラスチックス成形体およびそれらの製造方法に関し、とくに湾曲もしくは屈曲している面を有するプリフォーム、湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体強化繊維プリフォームとを一体化したプリフォーム、それらプリフォームに樹脂含浸硬化させて成形したFRP成形体を、容易にかつ安価に、しかも高品質をもって製造可能な方法、およびその方法により製造されたプリフォーム、FRP成形体に関する。

背景技術

0002

周知の通り、軽量で高強度な素材として、FRPが各種産業分野で注目されている。特に車両や船舶航空機建築部材など種々の分野における構造体等として適用が拡大されてきており、今後もさらなる拡大が見込まれる素材である。

0003

特に高荷重がかかるようなFRP構造体は、板状部材等とそれを補強するストリンガ部材(以下、「補強部材」と呼ぶこともあり、本願では、「ストリンガ」と「補強部材」を同義語として使用する。)との一体構造として成形されることが多い。板状部材等の基材とそれを補強するストリンガとからなるFRP成形体の製造方法においては、基材とストリンガをリベットなどを用いて機械的に結合する方法が広く用いられている。しかしながら、この方法には、製造コスト面と重量面から多くの問題がある。一方、各部材を接着剤により接合する方法についても広く用いられているが、とくに接着面での層間強度が十分ではなく、また広い接着面での適用には品質確保と製造コストに問題がある。

0004

また、特許文献1に記載の方法では、予め硬化させた部材(例えば、ストリンガ部材)とドライプリフォームの部材(例えば、基材プリフォーム)に、熱硬化性樹脂を含浸させて2つの部材を一体化するようにしている。

0005

この特許文献1に記載の方法のように、ストリンガ部材を予め硬化させた部材として準備する場合には、とくにストリンガ部材を沿わせようとする基材側に厚みの変化等による表面位置の変化が有る場合、ストリンガ部材をその変化に応じた形状に予め成形しておかなければならず、変化形状が異なると、もはやその成形体には適用できない。

0006

また、FRP成形のための樹脂含浸前の強化繊維のプリフォームの段階で、ストリンガプリフォームを予め上記のような基材表面形状の変化に対応させた形状に賦形しておくことも考えられるが、基材側の表面形状の変化に応じたストリンガプリフォームをそれぞれ形成しなければならず、個々のストリンガプリフォームとしては寸法の固定されたものとなり、汎用性はまったく無い。また、個々のストリンガプリフォームを、最終的に成形しようとするFRP成形体の表面形状等に応じてそれぞれ賦形しなければならず、自動化が困難であり、ストリンガプリフォームの製造が高コストになる。また、ステッチ等で固定された真直なストリンガプリフォームを予め上記表面形状の変化等に応じて屈曲させようとすると、屈曲時にステッチ糸による拘束のため強化繊維に折れや断列、蛇行等を生じることがある。さらに、ストリンガプリフォームを急峻な変化に対応させることが困難であり、対応できない箇所に対して強化繊維材等を充填すると、全体の重量増加を招いてしまう。

0007

また、たとえば特許文献2には、弾性材料からなるマンドレルを使用して補強部材を成形する方法が開示されている。また、特許文献3には、剛性材料シリコーン製のマンドレルを使用して、真空RTM(Resin Transfer Molding)法で外板と補強部材を成形する方法が示されている。さらに、特許文献4および特許文献5には、強化繊維プリフォームを予め所望の形状に成形し、その後硬化する方法が開示されている。

0008

特許文献2、3に記載されるように、弾性材料からなるマンドレルを使用して成形を行う場合には、マンドレルが弾性変形するため、マンドレルを複雑形状に加工する必要が無く、真直なマンドレルを用いれば良いように考えられる。しかしながら、弾性材料は圧力により簡単に変形するため、成形時の寸法の安定性には劣ると言う品質上の問題がある。さらに、弾性材料は熱膨張率が高く、加熱成形においては、マンドレルの膨張が大きいため、所望する寸法を有する成形品を製造することが難しい。

0009

また、特許文献4および特許文献5に記載されるように、予め必要とする立体形状に成形された繊維強化プリフォームを用いて、軸心方向に湾曲もしくは屈曲しているFRP製補強部材を製造することも可能ではある。しかしながら、この場合も、予め形状を賦したプリフォームを製作すると、先述した通り、複数種のプリフォームを製作する必要があるため、プリフォームの製造コストが高くなる。

0010

そして、これらの方法のように複数種のプリフォームやマンドレルを使用する必要がある場合は製造工程が煩雑になるという問題もある。
特許第3320051号公報
特開平5−116162号公報
米国特許出願公開第2003/0019567号明細書
特開昭64−52845号公報
特開2003−286639号公報

発明が解決しようとする課題

0011

そこで本発明の課題は、容易に量産可能な所定断面形状の、たとえば、真直な、ストリンガプリフォームを使用し、それを表面形状が変化する、つまり、湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体に対しても、問題を生じることなく容易に沿わせることができるようにし、目標とするFRP成形体を、安価に効率よく、かつ不要な重量増加を招くことなく、しかも高品質をもって製造できるようにした、プリフォーム、FRP成形体の製造方法、およびその方法により製造されたプリフォーム、FRP成形体を提供することにある。

0012

また、本発明の課題は、前述の従来技術の問題を解決し、コスト低減を図りつつ高い寸法精度で、軸心方向に湾曲もしくは屈曲しているFRP製補強部材自体あるいは湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体と一体化されたFRP構造体を製造することが可能なプリフォーム、FRP成形体の製造方法、およびその方法により製造されたプリフォーム、FRP成形体を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

上記課題を解決するために、本発明に係るプリフォームの製造方法は、湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体の該面上にストリンガ用の強化繊維プリフォームを配置し、全体を密閉媒体で覆って内部を減圧することにより、前記強化繊維プリフォームを前記板状体の前記面に沿うように変形させて前記板状体に密着させることを特徴とする方法からなる。すなわち、湾曲もしくは屈曲している面を有するストリンガプリフォーム(補強部材用プリフォーム)自体を製造する方法である。

0014

また、本発明に係るFRP成形体の製造方法は、湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体の該面上にストリンガ用の強化繊維プリフォームを配置し、全体を密閉媒体で覆って内部を減圧することにより、前記強化繊維プリフォームを前記板状体の前記面に沿うように変形させて前記板状体に密着させ、しかる後に減圧された内部にて前記板状体に密着された前記強化繊維プリフォームに樹脂を注入してFRPを成形することを特徴とする方法からなる。すなわち、湾曲もしくは屈曲している面を有するFRP製ストリンガ(FRP製補強部材)自体を製造する方法である。

0015

また、本発明に係るプリフォームの製造方法は、湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体の該面上にストリンガ用の強化繊維プリフォームが設けられたプリフォームを製造するに際し、前記板状体の前記面上に前記ストリンガ用強化繊維プリフォームを配置し、全体を密閉媒体で覆って内部を減圧することにより、前記ストリンガ用強化繊維プリフォームを前記板状体の前記面に沿うように変形させて前記板状体に密着させることを特徴とする方法からなる。すなわち、湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体とストリンガプリフォーム(補強部材用プリフォーム)とが一体化されたプリフォームを製造する方法である。この方法においては、上記板状体も強化繊維からなる構成とすることもできるし、板状体がFRPやスチールアルミインバー等の他の材料からなる構成とすることもできる。

0016

さらに、本発明に係るFRP成形体の製造方法は、湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体の該面上にストリンガが設けられたFRP成形体を製造するに際し、前記板状体の前記面上に前記ストリンガ用の強化繊維プリフォームを配置し、全体を密閉媒体で覆って内部を減圧することにより、前記ストリンガ用強化繊維プリフォームを前記板状体の前記面に沿うように変形させて前記板状体に密着させ、しかる後に減圧された内部にて、少なくとも前記板状体に密着された前記ストリンガ用強化繊維プリフォームに樹脂を注入してFRPを成形することを特徴とする方法からなる。すなわち、湾曲もしくは屈曲している面を有するFRP製ストリンガ(FRP製補強部材)を備えたFRP成形体を製造する方法である。この方法においても、上記板状体を強化繊維からなる構成とすることもできるし、板状体がFRPやスチール、アルミ、インバー等の他の材料からなる構成とすることもできる。

0017

上記のような本発明に係るプリフォーム、FRP成形体の製造方法においては、上記強化繊維プリフォームの上記板状体の上記面に沿うように変形される前の形状が、真直に延びる形状からなることが好ましい。真直に延びる強化繊維プリフォームは、容易に低コスト大量生産でき、それを用いて効率よく、かつ、精度良く所定目標形状を有するプリフォーム、FRP成形体を製造することが可能になる。

0018

また、上記強化繊維プリフォームは、たとえば、強化繊維材の積層体からなる構成とすることもできる。この場合、強化繊維材が、少なくとも片面に、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物分散付与されたものからなることが好ましい。また、樹脂組成物が、強化繊維材に対し0.1〜30重量%の範囲内で分散付与されていることが好ましい。

0019

上記強化繊維プリフォームの強化繊維としては特に限定されないが、炭素繊維を含む場合に本発明はとくに有効である。

0020

本発明に係る方法は、上記板状体の上記面が、1/10〜1/200の範囲の傾きを有する部位を含んでいる場合にも十分に対応できる。

0021

本発明に係る方法は、上記板状体の上記面が、厚み方向に5mm以下の表面変位を有する部位を含んでいる場合にも十分に対応できる。

0022

本発明に係る上記のような方法においては、上記強化繊維プリフォームに沿わせてマンドレルを配置することができる。マンドレルとしては、上記板状体の上記面の形状に沿った形状を有するものを使用することもでき、強化繊維プリフォームが上記板状体の上記面に沿って変形するように、複数個に分割されたものを使用することもできる。複数個に分割されたマンドレルを使用すると、マンドレル自体の製作も容易で安価に製造でき、かつ、成形の際の取扱性の向上、および、自由度の増大を図ることが可能になり、とくに好ましい。

0023

また、上記複数個に分割されたマンドレルを使用する場合には、複数個に分割されたマンドレルを、隣接するマンドレル間に空隙が生じるように強化繊維プリフォームに併設することが好ましい。

0024

また、マンドレル間に空隙固定手段を設け、この空隙固定手段によりマンドレル間の空隙の大きさを一定範囲に維持することが好ましい。空隙固定手段としては、たとえば、スペーサ部材を配置することができる。

0025

この場合、上記スペーサ部材とマンドレルとの接触面積が、マンドレルの横断面積の1/2以下であることが好ましい。また、スペーサ部材は、マンドレルとの接触面が曲面であることが好ましい。また、スペーサ部材に凸部を設け、該凸部に嵌合する凹部を上記マンドレルに設けることも好ましい。さらに、スペーサ部材とマンドレルとを一体化することもできる。

0026

また、前記空隙固定手段が複数個に分割されたマンドレルを可動に連結する連結部材であって、該連結部材によりマンドレル間の空隙の大きさを一定範囲に維持する構成とすることもできる。

0027

また、上記のように複数個に分割されたマンドレルが直方体である場合、該直方体の高さをH、前記板状体の湾曲もしくは屈曲している面の変形高さをT、変形長さをLとしたとき、上記マンドレル間の空隙の大きさをH×T/L以上に設定することが好ましい。

0028

前記のようなFRP成形体の製造方法においては、前記密閉媒体の内部を減圧して成形するにあたり、該密閉媒体の内圧大気圧との差圧を利用して該密閉媒体の内部に樹脂を注入し、該樹脂を硬化してFRPを成形することが好ましい。

0029

このような本発明に係るプリフォーム、FRP成形体の製造方法においては、上記強化繊維プリフォームは、たとえば、I型、T型、C型L型、Z型、J型から選ばれた横断面形状を有するものに形成できる。

0030

本発明に係るプリフォームは、上記のような方法により製造されたものからなる。また、本発明に係るFRP成形体は、上記のような方法により製造されたものからなる。

発明の効果

0031

本発明によれば、たとえば所定の一定断面形状の真直なストリンガプリフォームを用い、それを無理なく適切に変形させて板状体の湾曲もしくは屈曲した面に沿わせて密着させることができるようになる。個々の成形体形状に対応させることなく、容易に大量生産可能な真直なストリンガプリフォームを用いることができるため、プリフォームの製造、ひいてはFRP成形体の製造の低コスト化をはかることができる。

0032

また、急峻な厚み変化等にも対応できるようになるため、プリフォーム、ひいてはFRP成形体の重量低減をはかることもできる。

0033

また、ストリンガプリフォームを板状体の表面形状に沿わせて良好に密着させることができ、板状体側に厚み変化等があってもそれを良好に吸収できるため、高品質のFRP成形体を得ることができる。

0034

さらに、マンドレルを用い、特に複数個に分割されたマンドレルを用いれば、寸法精度を高めつつもマンドレルの構成および製造プロセスを簡易化でき、コストを抑えて軸心方向に湾曲もしくは屈曲しているプリフォーム、FRP成形体を容易に精度良く製造することができる。

発明を実施するための最良の形態

0035

以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに、さらに詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係るプリフォームの製造方法を示している。図1は、湾曲もしくは屈曲した面(以下、第1の表面と言うこともある。)を有する板状体としての、平板状の基材部に横断面形状がI型のストリンガ部を一体に成形するFRP成形体用のプリフォームの製造を行う場合を示している。本実施態様では、板状体とストリンガ部とを一体化したFRP成形体用のプリフォームの製造を行う場合を示しているが、ストリンガ部用プリフォームだけを製造する場合にも、本実施態様に係る方法を同様に適用できる。図1において、その(A)に示すように、1は横断面形状がI型の真直に延びる、強化繊維からなるストリンガプリフォームを示している。このような真直なストリンガプリフォーム1は、容易に賦形できるものであり、容易に大量生産できる。

0036

このような真直なストリンガプリフォーム1に対して、本実施態様では、図1(B)に示すように、後述の基材の第1の表面の形状に沿った形状に屈曲した(とくに、平板状基材の厚み変化に合わせて屈曲した)マンドレル2が準備される。このマンドレル2は一対(2本)準備され、図1(C)に示すように、マンドレル2がI型横断面形状のストリンガプリフォーム1の両側のI型内に装着され、ストリンガプリフォーム1とマンドレル2との組合せ状態組合せ体3とされる。この組合せ体3では、ストリンガプリフォーム1はまだ真直に延びたままの状態にあり、I型内に装着された各マンドレル2とストリンガプリフォーム1の上下の内面との間には、マンドレル2の屈曲に対応して隙間が断続的に形成されている。

0037

図1(D)に示すように、下型a4(本例では、定盤)の上に、厚み変化を有する(図の上面である第1の表面5aの位置が面方向に変化している)板状体としての平板状基材プリフォーム5が配置され、その上に、上記組合せ体3が配置され、これら全体がバッグ材6で覆われその周囲がシール材7でシールされて内部が密閉される。これら一連の操作によって、プリフォーム賦形(成形)の準備が完了する。この段階では、ストリンガプリフォーム1はまだ真直に延びたままの状態にあり、該ストリンガプリフォーム1の下面と、表面位置が変化している基材プリフォーム5の上面との間には断続的に隙間が形成されている。

0038

そして、図1(E)に示すように、バッグ材6で覆われた内部が真空引きにより減圧され、該減圧およびバッグ材6の収縮により、真直に延びていたストリンガプリフォーム1が、表面位置が変化している基材プリフォーム5の上面の形状およびそれと同じ形状を有し両側に装着されていたマンドレル2の形状に沿って変形され、基材プリフォーム5の上面およびマンドレル2に密着される。このとき、図示の如く、加熱を伴う加熱工程を併用すると、ストリンガプリフォーム1は一層容易に所望形状に沿いやすくなる。とくに、後述の如く、ストリンガプリフォーム1を強化繊維材の積層体に構成し、強化繊維材に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物を分散付与している場合には、その樹脂組成物が適切に軟化あるいは溶融され、積層形態を維持しつつ上記のような表面変化形状に良好に沿わせることが可能になる。

0039

このようにして、ストリンガプリフォーム1が、基材プリフォーム5の表面形状に沿った形状で、該基材プリフォーム5に良好に密着され、目標とするFRP成形用プリフォームが形成される。真直なストリンガプリフォーム1を用いてそれを屈曲等により基材プリフォーム5の表面に沿わせるので、目標とする形状のプリフォームの製造が容易になり、低コスト化をはかることができる。つまり、同一断面形状の真直なストリンガプリフォーム1を製造して、それを図1に示したようなプリフォーム製造プロセスに供すればよいので、予めストリンガプリフォームを屈曲等により所定形状に形成する方法に比べ、大幅な低コスト化をはかることができる。また、同一断面形状の真直なストリンガプリフォーム1を用いて異なる表面形状の基材プリフォーム5に対しても所望のプリフォームを形成できることから、プリフォーム製造の連続化、自動化も容易になる。したがって、この面からも、一層の低コスト化をはかることができる。さらに、この方法では、基材プリフォーム5の表面が前述したような比較的急峻な表面の傾きや厚み変化を有する場合にも、十分に対応できるようになり、ストリンガプリフォーム1の断面としては必要最小限のサイズでよく、また、ストリンガプリフォーム1と基材プリフォーム5との間に余分な強化繊維材を充填する必要もないことから、全体としての軽量化もはかれる。

0040

このように形成されたプリフォームを用いて、例えば図2に示すようにFRP成形体が製造される。FRP成形体の製造に際しては、上記プリフォーム形成に用いた下型a4等をそのまま使用してもよいし、別の成形型を用いて成形してもよい。また、上記マンドレルをそのままI型断面部両側の保持成形型として用いることも可能であり、別の成形型を用いて成形してもよい。さらに上記バッグ材をそのまま用いることも可能であり、別のバッグ材を用いて成形してもよい。

0041

図2に示すFRP成形体の製造方法においては、上記のように目標とする屈曲形状に賦形されたストリンガプリフォーム1と、該ストリンガプリフォーム1が表面に密着された基材プリフォーム5とからなる所定形状のプリフォーム11が、平板状の下型b12上に配置され、必要に応じた数だけの他の成形型が配置されるとともに、樹脂を良好に拡散させるための樹脂拡散媒体13および成形後の剥離のためのピールプライ14が配置され、これらの全体がバッグ材15で覆われその周囲がシール材16でシールされて内部が密閉される。密閉された内部が真空ポンプ17により減圧された後、樹脂ポット18に収容されていたFRPのマトリックス樹脂が注入され、樹脂拡散媒体13を介して拡散されるとともにプリフォーム11の全体にわたって強化繊維内に含浸される。樹脂含浸後に、所定の温度にて樹脂が硬化され、脱型されるとともに必要に応じてピールプライ14および樹脂拡散媒体13が剥離除去され、所定のFRP成形体が取り出される。

0042

前述の如く、FRP成形前のプリフォーム11の段階で、ストリンガプリフォーム1が基材プリフォーム5と良好に密着されているので、図3に示すような目標とする最終形状のFRP成形体21が精度よく成形され、かつ高品質のFRPを低コストで得ることができるようになる。

0043

なお、上記実施態様では、バッグ材15を用いた真空引きによるFRP成形の例を示したが、前記マンドレル2をFRP成形にそのまま使用する場合や、FRP成形の際にマンドレルと同様の形状を有するI型断面保持型を使用する場合には、必ずしもバッグ材15を用いた真空引きによるFRP成形による必要はなく、所定の型内への樹脂の加圧注入による成形法を採用することも可能である。

0044

なお、上記実施態様では、ストリンガプリフォーム1自体、それを用いて成形されたFRP製ストリンガ自体に関しても、基材プリフォーム5と同一形状の板状部材を配置し、成形段階で板状部材を剥離させることで、同様に製造できる。

0045

本発明において、プリフォームの強化繊維については、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維などの無機繊維、あるいは、炭素繊維、アラミド繊維、その他有機繊維が挙げられる。とくに本発明は、ストリンガプリフォームの屈曲化時に、折れや断列、蛇行等が生じやすい強化繊維を使用している場合に有効である。なかでも、構造体としての軽量性、強度に優れる炭素繊維が含まれている強化繊維を使用することがより好ましい。

0046

また、プリフォームが強化繊維材を複数層積み重ねた構造である場合、成形品の強化繊維材の層間強度を向上させ、プリフォームの寸法を安定化させる点から、少なくとも片面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物が分散付与された強化繊維材を複数層積み重ねた構造であることが好ましい。その場合、樹脂組成物が、強化繊維材に対し0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲内で分散付与されていることが望ましい。層間が強化されることにより力学特性が向上するだけでなく、プリフォームのタック機能を有しており、繊維含有率が高く寸法精度に優れるプリフォームを形成しやすい。そして、プリフォームの精度向上により、FRP成形体の力学特性の向上と寸法精度の安定をはかることができる。また、図1(E)に示したようにプリフォームの加熱工程を設けることにより、プリフォームを成す強化繊維材間の樹脂組成物が軟化し、容易にストリンガプリフォームが基材プリフォームの表面形状に沿いやすくなって該プリフォームの形状が容易に変化できるため、強化繊維に折れや断列、蛇行等が生じにくくなって、目標とするプリフォームが一層容易にかつ良好に得られるようになり、最終的にはFRP成形体の品質向上につなげることができる。さらに、この熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物は、ストリンガプリフォームと基材プリフォームとの間にも分散付与されていることが好ましい。これらの間に樹脂組成物が分散付与されることにより、FRP成形の際のマトリックス樹脂の流動の妨げることなく、両部間の接合の強度を向上させる効果が得られる。

0047

次に、本発明の別の実施態様に係る方法、とくに、複数個に分割されたマンドレルを用いたFRP成形体(本実施態様では、FRP製補強部材と言うこともある。)の製造方法の一工程を、図4に斜視図として示す。図5は、本実施態様に係るFRP製補強部材の製造方法の一工程を示す側面図である。図6は、本実施態様に係るFRP製補強部材の製造方法における成形工程を示す概略構成図である。

0048

本発明は、たとえば図9に示すような軸心方向に湾曲もしくは屈曲しているFRP製補強部材80を製造する方法に関する。従来は、たとえば図8に示すような、元々屈曲しているマンドレル70に予め所望の形状に強化繊維を配置して、補強部材用プリフォームを形成した後、樹脂を含浸して、図9に示すようなFRP製補強部材80が製造されていた。本発明に係る製造方法においては、まず、たとえば図5(a)に示すように、軸心方向に湾曲もしくは屈曲している面を有する板状体31のその湾曲面もしくは屈曲面の上に補強部材の強化繊維プリフォーム32を配置し、その強化繊維プリフォーム32の上に、長手方向に複数個に分割されたマンドレル33a〜33cを併設する。ここで、マンドレル33a〜33cは、板状体31の湾曲面もしくは屈曲面に対応するように長手方向に分割し、また、隣接するマンドレル間に空隙を設けるように配置する。なお、マンドレル33a〜33cは、上述したように強化繊維プリフォーム32を板状体31の上に配置した状態で併設配置してもよいし、また、強化繊維プリフォーム32を板状体31の上に配置する前に予め強化繊維プリフォーム32に併設させておいておいてもよい。

0049

次に、板状体上に配置された強化繊維プリフォーム32およびマンドレル33a〜33cの全体を、図6に示すように、ナイロンバギングフィルムなどの密閉媒体43で覆う。このとき、強化繊維プリフォーム32の上部には成形治具37を配置し、強化繊維プリフォーム32とマンドレル33との間には、離型材としてのピールプライ35、樹脂拡散媒体36を配置する。そして、密閉媒体43の内部を真空ポンプ44により減圧する。その結果、密閉媒体43内の圧力と大気圧との差圧により強化繊維プリフォーム32及びマンドレル33a〜33cには大気圧が負荷され、マンドレル33a〜33cは高さ方向に荷重を受ける。そして、板状体31の形状に追従して隣接するマンドレル間に形成される空隙形状図5(b)に示すように変形し、プリフォーム32もマンドレル33a〜33cに追従して軸心方向に湾曲もしくは屈曲する。その後、図6に示すように、密閉媒体内の圧力と大気圧の差圧を利用して強化繊維プリフォーム32に樹脂46を注入、含浸、硬化させて補強部材を成形する。このとき、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)成形方法がコストの点から好ましい

0050

本発明によれば、板状体31の湾曲面や屈曲面に沿って変形するように複数個に分割されただけの単純な形状のマンドレルを使用するため、複雑な形状のマンドレルを製作する必要が無くなり、初期コストを安価にできる。また、複雑な形状のマンドレルの場合には、期的に寸法検査を実施し、変形が生じていれば修正などの加工をする必要があったが、マンドレルの構成が簡易化できるため、マンドレルの管理コストも削減することが可能となる。さらに、マンドレルの材質を自由に選択することができるため、補強部材を高い寸法精度で製造することができる。したがって、本発明により、FRP製補強部材を安価でかつ高い寸法精度で得ることが可能となる。

0051

また、本発明によれば、強化繊維プリフォーム32としては、板状体31に沿った方向(軸心方向)にわたって真直な形状のものを用いることができる。従来はたとえば予め所望の形状に賦形したプリフォームを使用する必要があったが、本発明の場合には、板状体31に沿った方向に真直な形状の強化繊維プリフォーム32であっても、マンドレルの変形によって強化繊維プリフォーム32が追従して変形するために、真直な強化繊維プリフォームを使用することが可能となる。

0052

本発明において板状体31は上述したように成形型として使用することが可能であるが、その場合、材質としては、FRP、スチール、アルミ、インバーなどを使用することができる。また、板状体31と強化繊維プリフォーム32とを最終的に一体化して補強部材とする場合には、強化繊維プリフォーム32と同材質のFRPであることが接着の点から好ましい。

0053

マンドレル33a〜33cの材質は特に限定されるものではないが、例えば、アルミ、インバー、スチール、アルミなどの剛性材料を使用することが、寸法精度安定化の点から好ましい。加熱成形の場合には、熱膨張の影響を考慮すれば、インバーやCFRPなどの低熱膨張率の材料を使用することがより好ましい。

0054

そして、上述した態様ではマンドレル33a〜33cとして複数個に分割された直方体のマンドレルを使用し、かつ、隣接するマンドレル間に空隙を設けるように配置しているが、この空隙の大きさが一定範囲内になるように制御することが好ましい。直方体マンドレルの高さをH、板状体1の湾曲もしくは屈曲している面の変形高さをT、変形長さをLとしたとき、空隙の大きさがH×T/L以上になるように設定することが好ましい。ここで、空隙の大きさは、板状体31の長手方向の長さであり、マンドレルの高さHは、板状体31の長手方向に対して垂直な方向の長さである。また、湾曲もしくは屈曲している面の変形高さTおよび変形長さLは、板状体31の非平面部分の高さおよび長さであって、板状体31の長手方向に対して垂直な方向の長さ、および、板状体31の長手方向の長さである。空隙4の大きさをH×T/L以上に設定することにより、マンドレルが変形部に応じて追従しやすくなり、強化繊維プリフォーム32をより精度良く変形することが可能となる。そして、空隙の大きさは10mm以下にすることがより好ましい。マンドレル間の空隙が大きすぎる場合、空隙に強化繊維プリフォーム32の強化繊維が入り込みやすく、その場合、FRP製補強部材に成形した後、表面に凹凸が生じ、表面平滑度が低下する。また、強化繊維の局所的に屈曲してしまい、FRP製補強部材の強度が低下しやすくもなる。

0055

そして、このように空隙の大きさを一定の範囲内にするには、図7に示すように、マンドレル間にスペーサー部材50や連結部材60などの空隙固定手段を設けることが好ましい。図7(a)、(b)は、マンドレル間にスペーサ部材50を配置して空隙の大きさを一定範囲内に維持しているものであり、これにより安定した寸法精度で成形することが可能となる。

0056

スペーサ部材50の材質としては、シリコーンなどの弾性部材を用いて変形性を持たせても良いが、例えばアルミ、スチール、FRP、インバーなどの剛性部材を使用し、前記スペーサ部材とマンドレルの接触面積をマンドレルの断面積の1/2以下とし、スペーサ部材50を支点としてマンドレルが変形させることもできる。

0057

スペーサ部材50の形状については特に限定されるものではなく、マンドレルに接触する面が平面であっても曲面であってもよいが、曲面にすることによりマンドレルの変形を滑らかすることができ、寸法精度を安定させることができる。また、スペーサ部材50は、マンドレルと一体化されていてもよい。スペーサ部材50がマンドレルと一体化されることにより、スペーサの位置が固定されるため、マンドレル間の隙間を安定して制御することができ、FRP製補強部材の寸法精度を安定化できる。

0058

さらに、図7(c)に一例を示すように、スペーサ部材50に凸部51を設け、その凸部に嵌合する凹部52(嵌合孔)を隣接するマンドレルに設けてもよい。このように嵌合させることでマンドレル間の相対的な位置精度が向上し、FRP製補強部材の寸法精度を向上させることができる。

0059

また、マンドレル間の空隙固定手段としては、図7(d)に示すような連結部材60であってもよい。連結部材60により隣接するマンドレルを可動に連結することで、マンドレル間の隙間の大きさを制御するだけでなく、マンドレル間の相対的な位置精度が向上する。また、連結部を可動状態にすることにより、大気圧の負荷によりマンドレルが容易に変形できるため、より寸法精度の高いFRP製補強部材を得ることができる。

0060

次に、とくに上記のような複数個に分割されたマンドレルを使用する場合の実施例について説明する。

0061

<実施例1>
断面形状がI型の強化繊維プリフォームを次の手段で賦形した。まず、炭素繊維(東レ(株)製T800S)の一方向織物ポリエーテルスルホン(PES)とエポキシからなる高靱性化粒子を分散付与した強化繊維基材を切断し、疑似等方性配向になるように8ply積層し、断面が100mm×50mmで長さが500mm、各角が径5mmのR加工した直方体マンドレルの3つの面にしわが生じないように沿わせて賦形し、ナイロン製バギングフィルムで密閉して真空引きした後、60℃で一時間加熱して、C型プリフォームを形成した。これを2つ形成し、得られた2つのC型プリフォームを互いに背中合わせにし、両者の間の曲面部に生じる空洞部に東レ(株)製炭素繊維T800Sの一方向織物を詰めて、最後に同じ高靱性化粒子を分散付与した東レ(株)製炭素繊維織物疑似等方に8ply積層した100mm×500mmの積層体を背中合わせにしたC型プリフォームの上下両面に重ねて、再びバギングフィルムで密閉して真空引きし、60℃で1時間加熱して、長手方向に真直な形状のI型の強化繊維補強部材プリフォームを賦形した。

0062

次に、図5に示すように屈曲面を有するアルミ製板治具(板状体)のその屈曲面上に、長手方向に真直な形状の上記I型の強化繊維プリフォームを配置した。そして、断面が100mm×50mmで、各角を径5mmのR加工した長さが200mm、100mm、200mmの3つのアルミ製直方体マンドレルを、板状治具の各屈曲部でそれぞれ1mmの空隙が生じるように、強化繊維プリフォーム上に配置した。つぎに、そして、ピールプライとしてナイロン製タフタ、樹脂拡散媒体としてポリプロピレン製メッシュ材、密閉媒体としてナイロン製バギングフィルムを用いて、図6に示すように強化繊維プリフォームを密閉した。なお、強化繊維プリフォームの周りにはシーラントを配置した。

0063

その後、密閉媒体内部を真空吸引し、差圧によりバギングフィルムに大気圧を負荷した。この結果、マンドレルは、板状治具の形状に沿って動き、I型の強化繊維プリフォームもそれに追従し、図5(b)に示すような形状に変形した。その後、60℃まで昇温してエポキシ樹脂を注入し、樹脂注入完了後に130℃に昇温して2時間放置、冷却して一次硬化させ、FRP製補強部材を治具から取り出した。このFRP製補強部材を180℃に昇温したオーブンに入れて2時間放置し、硬化させ目標とするFRP製補強部材を完成させた。

0064

FRP製補強部材の変形部の形状、各部の板厚を測定した結果、屈曲部の形状は、設計寸法に対して、長手に垂直な方向に±0.1mm以内の精度であり、また、各部断面の板厚のばらつきは±0.05mm以内の精度であり、高精度な寸法で成形出来ることが確認された。

0065

また、得られたFRP製補強部材の断面を切断して状態を観察した結果、ボイドや、局所的な樹脂リッチや繊維うねりなどの強度上に問題となる不具合が無いことが確認された。

0066

本発明は、車両、船舶、航空機、あるいは建築部材など種々の分野に用いられるFRP製補強部材の製造に適用することがより特徴を発揮できる点から好ましいが、その他の産業用途スポーツ用途など、広範囲なFRP成形体の製造に適用が可能である。

図面の簡単な説明

0067

本発明の一実施態様に係るプリフォームの製造方法を示す各工程の概略縦断面図である。
図1の方法で得られたプリフォームを用いてFRP成形体を製造する方法の一例を示す概略構成図である。
図2の方法で得られたFRP成形体の概略断面図である。
本発明の別の実施態様に係るFRP製補強部材の製造方法の一工程を示す斜視図である。
図4に示した別の実施態様に係るFRP製補強部材の製造方法の一工程を示す側面図である。
図4に示した別の実施態様に係るFRP製補強部材の製造方法における成形工程を示す概略構成図である。
図4に示した別の実施態様に係るFRP製補強部材の製造方法の一工程における空隙固定手段とマンドレルとの概略縦断面図である。
従来技術におけるマンドレルの一例を示す斜視図である。
軸方向に屈曲しているFRP製補強部材の一例を示す概略斜視である。

符号の説明

0068

1ストリンガプリフォーム
2マンドレル
3組合せ体
4下型a
5板状体としての平板状基材プリフォーム
5a 第1の表面
6バッグ材
7シール材
11 プリフォーム
12 下型b
13樹脂拡散媒体
14ピールプライ
15 バッグ材
16 シール材
17真空ポンプ
18樹脂ポット
19マトリックス樹脂
21FRP成形体
31 板状体
32強化繊維プリフォーム
33a〜33b 分割マンドレル
34 空隙
35 ピールプライ
36 樹脂拡散媒体
37成形治具
38注入口
39吸引
42シーラント
43密閉媒体
44 真空ポンプ
46樹脂
50スペーサ部材
51 凸部
52 凹部(嵌合孔)
60連結部材
70 従来例のマンドレル
80 軸方向に屈曲しているFRP製補強部材

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