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技術 血管由来の欠損に関連する高コレステロール血症または糖尿病の治療のための、線維芽細胞成長因子をコードするプラスミド

出願人 センテリオン
発明者 キャロン、アレクシスエマニュエル、フローレンスキャロン、アンネフィニエルス、フランソワーズミシュレ、サンドリーヌシュワルツ、ベルトランルイ、ディディエブラヌレック、ディディエ
出願日 2004年6月4日 (16年5ヶ月経過) 出願番号 2006-508289
公開日 2006年11月24日 (13年11ヶ月経過) 公開番号 2006-526592
状態 拒絶査定
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 部分壁 電気的パターン 下向き勾配 低フロー 境界ゾーン 予備的ステップ Mモード 円形配列
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2006年11月24日)のものです。
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図面 (20)

課題

血管由来欠損に関連する高コレステロール血症または糖尿病治療のために、線維芽細胞成長因子をコードするプラスミドを提供する。

解決手段

本発明は、心筋または骨格の血管由来の欠損に関連する高コレステロール血症または糖尿病の予防及び治療のための治療薬としての線維芽細胞成長因子をコードするプラスミドの使用に関する。本発明はまた、高コレステロール血症または糖尿病の哺乳類被験対象において心筋または骨格の虚血性組織における側副血行路細動脈の両方の形成を促進する方法に関する。本発明は更に、処置した筋肉VEGF−A因子発現誘導せずかつ浮腫を生じさせないで虚血性心筋組織または骨格組織における側副血行路を促進する方法に関する。

概要

背景

血管は、3種類の主要な血管、即ち、動脈毛細管静脈を含み、心臓から始まり心臓で終わるような閉じた血液運搬系を形成している。心臓が拍動すると、血液は心室から大動脈へ押し出される。大動脈は中型の動脈に枝分かれし、そこからさらに小さな動脈に枝分かれして血液を体の種々の部分へ送る。動脈は、最も小さい分枝である細動脈に辿り着くまで何度も分裂を繰り返す。細動脈は組織に入るとき、組織細胞近接する毛細管と呼ばれる微小血管に枝分かれする。毛細管は、非常に薄い壁を有する。酸素及び栄養素は毛細管中の血液から離れて組織細胞に入り二酸化炭素及び他の老廃物細胞を離れて毛細管内の血液に入る。毛細管は組織を離れる前に併合して細静脈と呼ばれる小さな静脈を形成する。細静脈は併合して連続的により大きな静脈を形成し、血液は最終的には血液を心臓に戻す大静脈に移る。

全ての血管壁は、毛細管を除いて、管腔を取り巻く3つの異なる層から構成されている。血管管腔裏打ちする最も内側の層は内膜と呼ばれ、主として内皮細胞からなる。中間の層即ち中膜は、主として円形配列された平滑筋細胞からなる。血管壁の最も外側の層即ち外膜は、主として、血管を保護しかつ血管を周囲の構造に固定する弾性線維及びコラーゲン線維からなる。外膜には神経線維が入り込んでおり、より大きな動脈及び静脈においては小さな血管の系が入り込んでいる。

細動脈は最も小さい動脈であり、50μmより小さな管腔径を有する。細動脈壁は、中膜に点在する平滑筋線維に囲繞された内膜からなる。細動脈は、動脈から毛細管への血流を調整する。細動脈壁の血管収縮時には、毛細管への血流は制限され、細動脈が働きを担っている組織を瞬間的に迂回させることができる。細動脈壁の血管拡張時には、毛細管への血流は著しく増加する。

対照的に、毛細管は、一連の内皮細胞、単なる内膜のみからなる非常に薄い壁を有する。毛細管は、ほぼ全ての体組織及びほぼ全てに近い体細胞に広がる大規模ネットワークを形成する。毛細管の平均管腔径は、0.01mm(10μm)であり、赤血球が通り抜けるのに十分なちょうど良い大きさである。毛細管をこの目的に完全に適合するようにしているのは非常に薄い壁であり、体の細胞との栄養素、酸素及び老廃物の交換がなされる。

側副血行路(collateral blood vessel)は、酸素を器官に供給する重大な役割を果たす。正常な脈管構造における疾患によって酸素の運搬が制限されるときは特にそうである。側副血管は、正常な状態で血流がほとんどまたは全くない既存の血管であることがある。正常な血管の急性閉塞(例えば大動脈の血栓症)は、血管ベッド内で圧力の再分布を生じさせ、それによって側副血管に血流を発生させることができる。側副血行路は冠状動脈及び骨格筋(例えばヒトの足)の循環において特に重要である。心臓においては、心外膜動脈の狭窄または閉塞に起因する虚血性領域への血流供給を側副血管が助けることができる。側副性血流は、梗塞サイズを制限するのに重要なメカニズムであり得る。治療血管形成において、側副血行路の形成が開始される。

血管形成は、内皮細胞の増殖、基底膜劣化、周囲基質からの移入アラインメントと、血管壁を形成しそれによって新たに形成された毛細管ネットワークを生み出すためのチューブ様構造への分化とに関与する複雑なプロセスである。

動脈形成は、側副細動脈の副産物と呼ばれ、毛細管ネットワークに比べてこれらの血管の容量が大きいので血液灌流回復のための最も効率的なプロセスであると信じられている(Carmeliet et al. , Nat. Med., 2000; 6: 389-395、Van Royen et al., Cardiovasc. Res., 2001; 49: 543-553)。事実上、細動脈は、内膜及び中膜の両方即ち平滑筋細胞の層に支えられている内皮細胞の層が存在するので、成熟した強固で機能性血管であると考えられている。細動脈の形成は、長期の有効な新血管新生のために好ましいタイプである。

血管内皮機能障害に関連する病理学的状態のうちで、高コレステロール血症は、異常な血管形成、組織灌流障害された制御、血流の異常な空間分布と、異常な微小血管の機能によって特徴付けられる疾患である。また、血管成長カイネティクスと得られた血管の性質は、健康な組織とは異なる。これらの変化は、シグナル伝達の減少、Lアルギニン利用可能性の減少、eNOSの発現の減少、他の炎症性細胞マクロファージ由来超酸化物アニオンにより増加したNO不活性化エンドセリンなど幾つかの血管収縮因子の放出、及び平滑筋血管反応を示すような、障害された血管内皮の結果であることがある。高コレステロール血症の被験対象において、動脈壁中の毛細管密度及び分布は劇的に変化する。究極的には、これらは顕著な失見当識を伴う外膜巨大血管の高密度な網を示す。これはより強いかまたはより弱い血管由来反応を生じさせ得る異なる刺激から生じ得ると信じられている。ヒトにおける高コレステロール血症は、血管内皮の機能障害と、究極的には主要な動脈の進行性狭小化を引き起こす。休息時と負荷時の冠状動脈血流不均衡が、痛み及び低収縮性につながる密かな筋肉機能不全を引き起こす。通常、供給は休息時には適切であるが、負荷が生じると、需要が高まる一方で動脈閉塞性病変により供給は不可能になる。このヒト病理学を模倣する目的が例えば主要な冠動脈上での狭窄の設定及びこの狭窄により負荷時に生み出される不均衡を明らかにするための負荷試験(stress test)の使用の両方につながる理由はここにある。I型及びII型糖尿病患者血管機能は、障害された内皮依存性弛緩によって特徴付けられることも知られている。糖尿病は、微小血管及び巨大血管の疾患の未熟発達によって特徴付けられる(Kannel et al., Diabetes Care, 1979,241: 2035-2038)。従って、末梢動脈疾患PAD)患者、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)患者、または心臓動脈疾患(CAD)患者における高コレステロール血症、糖尿病、高血圧高脂質血症に起因するそのような重症内皮機能障害及び異常性を、治療的血管形成を用いることにより救済できるか否かには疑問がある。

側副血行路を促進するために幾つかの血管由来因子、例えばVEGF−AFGF及びbFGF、HIF−1α/VP16及びHGF投与することは、治療的血管形成としても知られているが、虚血性心血管及び末梢虚血処置提唱されてきた。しかし、種々の細胞型への強力な多面発現性効果はこれらの化合物の治療的適用可能性を制限することがある。例えば、VEGF−Aは、最も強力な候補となる血管由来因子の1つであった。しかし、VEGF−Aは、腫瘍に見られるものに似た、でたらめ蛇行しかつ漏れる血管のみならず、浮腫を生じさせることが分かった(Lee et al.,Circulation 2000,102 : 898-901; Springer et al., Mol Cell, 1998,2: 549-559)。

治療的血管形成に対する2つの異なる戦略が存在する。虚血性組織への成長因子の直接運搬を含むタンパク質治療は可能な選択肢である。血管由来遺伝子治療はそれに代わる可能な選択肢であり、側副性発生の向上と、体細胞への核酸の移入による灌流欠損及び関連する虚血の克服を目指すものである(8−10)。

動物研究は、例えば、組換えヒトVEGF、組換えPDGF、または組換えbFGFを含む多くの成長因子の局所血管由来の可能性を実証してきた。しかし、組換えタンパク質の運搬及び高用量の組換えタンパク質の全身性投与が多数の他の負の副作用につながることが示されていた。更に、必要な組換えタンパク質の量も重要である。運搬されるタンパク質が少な過ぎれば、血管形成は達成されないであろう。運搬されるタンパク質が多過ぎれば、でたらめな脈管構造ベッド及び乱雑な血管形成の形成が生じることがある。

血管由来タンパク質を発現することが可能な核酸をの型でまたはリポソームまたはウイルス性ベクターによってのいずれかで投与することによる治療的血管形成について調査がされてきた。血管由来コード配列のウイルス性ベクター運搬は、高効率の運搬を可能にするが、ウイルス性ベクターの使用に関連する多数の短所、例えば免疫反応の発生や、統合及び散在の可能性に悩まされている。例えば、1999年9月にペンシルニア大学でジェシー・ゲルシンガー(Jesse Gelsinger)がヒトオルニチンカルバミル転移酵素補正型を発現したEl及びE4欠失組換えアデノウイルス肝臓内動脈注入後に死亡して以来、アデノウイルス遺伝子治療方法疑問視されてきた。病理学分析が示すところによれば、公式死因は、全身投与された組換えアデノウイルスへの全身性炎症性反応により誘導された成人呼吸困難症候群に伴う多臓器不全であった。ここ最近では、ベクターとしてレトロウイルスを使用したことよって重症複合免疫不全疾患(SCID)になった小児を治療することを目的とした治験において2つの白血病ケース報告された。

血管由来のペプチドをコードするDNAを含む裸のDNAとリポソームは共に、ウイルスに比べて輸送の効率が低いという主な欠点があり、治療効果を得るのに必要なタンパク質のレベルに到達するのが難しいことがある。

裸のDNA戦略に関連して、酸性線維芽細胞成長因子または線維芽細胞成長因子1型(FGF−1)をコードするプラスミドであるNV1FGFの筋肉内注射最終段階の末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)または末梢動脈疾患(PAD)の患者に対して行うことが安全性要求に適合することが驚いたことに実証された。カメロータら(Camerota et al., J Vasc. Surg., 2002, 35, 5:930-936)によれば、休息中の痛みまたは組織ネクローシスを伴う51人の再建不可能な最終段階のPAD患者は、虚血性大腿及びふくらはぎにNV1FGFを1回または頻回投与量を増加させながら筋肉内注射されていた。続いて、経皮的な酸素圧足首及び足指上腕指数、痛み評価、潰瘍治癒などの種々のパラメータを評価した。NV1FGF投与後、上腕指数の有意な増加、痛みの低減、潰瘍サイズの分解、灌流の向上が見られた。

後肢虚血患者におけるVEGF遺伝子移入による血管形成の誘導は、VEGF−165アイソフォームをコードするD裸のプラスミドDNAが、虚血性潰瘍が治癒しておらずかつ/または末梢動脈疾患による休息中の痛みを有する患者の虚血性筋肉に投与されることを示していた。新たに発生した側副血行路及び改善された灌流も毛細管同様に処置後8週間で血管造影的に見ることができた。しかし、処置から5〜6週間後にVEGFの血清レベルの著しい上昇も観察された(Isner et al., Lancet, 1996; 348: 370-4)。そのような血清VEGFレベルの上昇は、乱雑な好ましくない血管形成及び浮腫などの重大な負の副作用を生じさせることがある(26)。

ビンセントら(Vincent et al.,Circulation, 2000; 102 (18):2225-61)は、低酸素症誘導因子1α(HIF−1α)転写因子をコードする裸のDNAプラスミドの投与は、ふくらはぎ血圧比、血管由来スコア、局所血流及び毛細管密度の著しい向上と関連していたことを報告している。。しかし、HIF−1αは、in vivoで幾つかの標的のみならずVEGF経路依存血管形成の増強を示唆する内因性EFG遺伝子の発現を活性化することも報告されている。

タニヤマら(Taniyama et al., Gene Therapy, 2001,8: 181-189)は更に、ラット及びウサギの虚血性後肢モデルにおいてヒト肝細胞成長因子(HGF)をコードする裸のDNAプラスミドの筋肉内注射を用いた治療的血管形成に関する報告をしている。内皮細胞のマーカとしてのアルカリホスファターゼとして実証された血管造影及び毛細管密度によって、側副血行路の増加を同定した。肝細胞に対する分裂促進因子として最初に同定されたHGFは、メラノサイト腎尿細管細胞、ケラチノサイト、及びある種の内皮細胞を含むある種の細胞型、及び上皮起源の細胞に対する分裂促進因子であることも分かった(Matsumoto et al. , BBRC, 1991, 176: 45-51)。HGFは、血管の平滑筋細胞の複製なしに内皮細胞の成長を刺激することも示した(Nakamura et al., Hypertension, 1996; 28: 409-413、Hayashi et al., BBRC, 1996; 220: 539-545)。最後に、HGFが「散乱因子」即ち上皮及び血管の内皮細胞の解離を促進する活性としても作用し得ることが分かっている(Giordano et al. , PNAS, 1993, 90: 649-653)。従って、HGFは腫瘍形成に関与すると仮定されてきた。

対照的に、酸性線維芽細胞成長因子(aFGFまたはFGF−1)をコードするプラスミドの投与はFGF−1血清レベルを増加させないことが立証され、それによって、そのようなヒトFGF−1発現プラスミドの使用は、乱雑な血管形成または負の副作用が存在しないので安全性の点で特に有利であることを示した。循環FGF−1の不存在は、他の血管由来因子に対し、例えば、循環へのリーク及び遠位の浮腫への誘導が既に説明されているようなVEGFまたはFGF−2に対して有意な安全性の優位性を与える(Baumgartner et al. ,Circulation, 1998, 97: 1114-23)
線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーは、少なくとも23の構造的に関連があるタンパク質(FGF−1〜23)からなり、最もよく知られているメンバーは、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−7、FGF−9である。このファミリーのメンバーは、中胚葉及び神経外胚葉由来のほとんどの細胞において後発有糸分裂誘発を刺激し、血管形成、神経突起伸展骨芽細胞成長、神経細胞の生き残り、筋芽細胞分化を含む他の生物学的プロセスに影響する。一般的に、FGFはヘパリンに対する高い親和性を有する。個々に命名して分ける前には、ヘパリン結合成長因子−1、−2などと呼ばれるFGFもあった。全てではないが多くのFGFは線維芽細胞に対する分裂促進因子である。FGFファミリーのメンバーは、核配列内で概ね25〜55%のアミノ酸配列同一性を有し、この核配列の外側に、C末端N末端、またはその両方のいずれかで著しい伸展を有するFGFもある。この構造的な相同は、既知FGFをコードする異なる遺伝子が共通の先祖遺伝子に由来している可能性を示唆している。

FGFファミリーの23の既知メンバーに加えて、単一遺伝子からFGFの幾つかの分子型が生じて更に複雑さを増している。例えば、FGFの一次翻訳産物(FGF−1)は155の残基からなる。しかし、自然の源(例えばウシの脳)に見られるFGF−1の最も長い型は、154残基からなる。FGF−1のこの154残基型は、155残基型のNH2末端メチオニンが欠失し、アセチル化アミノ末端を有している。in vivoまたは精製中のタンパク分解プロセシングは、アミノ末端15(des1−15)または21(des1−21)アミノ酸のいずれかが欠失した、より小さな活性型のFGF−1を生じさせる。本明細書中では、FGF−1は、FGF−1の154残基型と、FGF−1の短い生物学的に活性な型、例えば上記したアミノ末端15(des1−15)または21(des1−21)アミノ酸のいずれかが欠失した型を指すものと定義する。歴史的には、FGF−1の154残基型はβ−内皮細胞成長因子(β−ECGF)と呼ばれ、des1−15型はaFGFまたはFGF−1と呼ばれ、des1−21型はα−ECGFと呼ばれていた。この成長因子群に対する専門用語標準化する前に、目から派生した(eye derived)成長因子及びヘパリン結合成長因子1を含む幾つかの追加の用語も同じタンパク質に適用する。bFGF(FGF−2)の類似型についても既に記載されている。bFGFの開裂型(cleaved form)に加え、bFGFの155残基型を生成するATG翻訳開始コドン上流に位置するいくつかの異なるGTコドンでの翻訳の開始から生じる拡張型(extended form)もついても既に記載されている。FGFのこれらの代替型は全て、FGFファミリーを画定する構造的な相同の核領域を含んでいる。種々のFGF分子の多くは、単離され、種々の心筋虚血動物モデルに投与されてきたが、変動及びしばしば反対の結果を伴っていた。

FGF−1に対する血管由来の役割は、in vivo研究に基づいて提唱された(Comerota et al., J. Vasc. Surg., 2002,35, 5: 930-936)。FGF−1発現プラスミドの筋肉内注射は、足首上腕指数の増加、痛みの減少、及び経皮酸素の増加に基づく灌流の改善を示した。

出願人は驚くべきことに、他のFGF因子、VEGF、HIF−1α/VP16及びHGFを含む他の血管由来因子とは対照的に、FGF−1発現プラスミドの筋肉内注射が血管内皮細胞におけるVEGFを誘導せず、それ故に非常に安全な血管形成治療を構成することを発見した。

ほとんどの治療的血管形成の研究は肢虚血の動物モデルにおいて確認され、正常な健康な動物において実施されていたが、内皮機能が大いに障害された高コレステロール血症または糖尿病環境(setting)において血管形成異常を逆戻り(reverse)させる能力試験したものもあった。

この点で、既知の治療的血管形成は、大腿の動脈を切除した高コレステロール血症ウサギモデルにおける試験時に説得力があることが立証されなかった。障害された側副血管形成及びVEGFの投与によって部分的に逆戻しされ得る毛細管密度が観察されたためである(26)。更に、ロギンら(Roguin A. et al., Cardiovascular Diabetology 2003,2 : 18)がVEGF発現プラスミドを用いても糖尿病の虚血性マウスの血流向上と側副化(collateralization)促進ができないことを示したように、治療的血管形成は糖尿病モデルにおける試験時に説得力があることが立証されなかった。

対照的に、本願出願人は驚くべきことに、ヒトFGF−1を発現するプラスミドが虚血性心筋または骨格筋に筋肉内投与されたときに、側副血管において高コレステロール血症または糖尿病に関連する欠損を効率的に逆戻りさせ、高コレステロール血症または糖尿病の哺乳類被験対象において細動脈などの成熟血管の形成を促進できることがわかった。

更に出願人は、類似の血管由来因子とは対照的に、FGF−1発現プラスミドの筋肉内注射は、処置した骨格または心筋において浮腫を生じさせず、従って高コレステロール血症または糖尿病環境など悪化した状態における虚血性筋肉の血管形成異常を救済するのに十分な量で用いることができることを発見した。

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概要

血管由来の欠損に関連する高コレステロール血症または糖尿病の治療のために、線維芽細胞成長因子をコードするプラスミドを提供する。 本発明は、心筋または骨格の血管由来の欠損に関連する高コレステロール血症または糖尿病の予防及び治療のための治療薬としての線維芽細胞成長因子をコードするプラスミドの使用に関する。本発明はまた、高コレステロール血症または糖尿病の哺乳類被験対象において心筋または骨格の虚血性組織における側副血行路と細動脈の両方の形成を促進する方法に関する。本発明は更に、処置した筋肉にVEGF−A因子発現を誘導せずかつ浮腫を生じさせないで虚血性心筋組織または骨格組織における側副血行路を促進する方法に関する。

目的

高コレステロール血症または糖尿病環境において虚血性心臓における成熟側副血管または虚血性筋肉における骨格筋組織の形成を刺激及び/または促進する方法であって、線維芽細胞成長因子をコードする有効量のプラスミドを前記被験対象の前記組織に注射してVEGF−A因子発現が誘導されずかつ/または浮腫が生成されないようにする過程を含む方法を提供することも本発明の目的である。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

高コレステロール血症患者または糖尿病患者において高コレステロール血症または糖尿病に関連する心筋または骨格の血管由来の疾患または欠損治療する方法であって、線維芽細胞成長因子をコードするプラスミドを前記患者に有効量投与し、心筋または骨格筋内でVEGF−A因子発現誘導されないようにする過程を含むことを特徴とする方法。

請求項2

高コレステロール血症患者または糖尿病患者において高コレステロール血症または糖尿病に関連する血管内皮機能障害を治療する方法であって、線維芽細胞成長因子をコードするプラスミドを前記患者の骨格筋または心筋に心筋または骨格の血管由来の欠損を逆戻りさせるのに十分な量投与し、前記筋肉内でVEGF−A因子発現が誘導されないようにする過程を含むことを特徴とする方法。

請求項3

高コレステロール血症患者または糖尿病患者において高コレステロール血症または糖尿病に関連する心筋または骨格の血管由来の疾患を治療する方法であって、線維芽細胞成長因子をコードするプラスミドを前記患者に前記患者の心筋または骨格筋における血管形成の促進に十分な量投与し、前記筋肉内でVEGF−A因子発現が誘導されないようにする過程を含むことを特徴とする方法。

請求項4

高コレステロール血症患者または糖尿病患者において高コレステロール血症または糖尿病に関連する心筋または骨格の血管由来の疾患を治療する方法であって、線維芽細胞成長因子をコードするプラスミドを前記患者の心筋または骨格筋における成熟側副血行路及び細動脈の形成の促進に十分な量投与する過程を含むことを特徴とする方法。

請求項5

虚血性心臓または骨格筋組織における成熟側副血管の形成をそのような処置を必要とする哺乳類被験対象において促進する方法であって、線維芽細胞成長因子をコードする有効量のプラスミドを前記被験対象の前記組織に注射して前記被験対象においてVEGF−A因子発現が誘導されないようにする過程を含むことを特徴とする方法。

請求項6

側副血行路及び細動脈の両方の形成をそのような処置を必要とする哺乳類被験対象の虚血性心筋または骨格筋組織において促進する方法であって、線維芽細胞成長因子をコードする有効量のプラスミドを前記被験対象の前記組織に注射する過程を含むことを特徴とする方法。

請求項7

前記被験対象の心筋または骨格筋において前記VEGF−A因子発現が誘導されないことを特徴とする請求項6に記載の方法。

請求項8

高コレステロール血症または糖尿病患者において高コレステロール血症または糖尿病で誘発される血管形成における欠損を、VEGF−A因子の発現を誘導することなく逆戻りさせる方法であって、線維芽細胞成長因子を発現する有効量のプラスミドを前記患者の心筋または骨格組織に注射して側副血行路及び細動脈の両方の形成を促進する過程を含むことを特徴とする方法。

請求項9

高コレステロール血症患者または糖尿病患者の心筋または骨格筋においてコンダクタンスが大きい成熟血管(150μm以上の側副血管)及び抵抗が小さい動脈(50μm以下の細動脈)の形成を促進する方法であって、線維芽細胞成長因子を発現する有効量のプラスミドを前記筋肉に注射する過程を含むことを特徴とする方法。

請求項10

前記VEGF−A因子誘導が誘導されないことを特徴とする請求項9に記載の方法。

請求項11

前記プラスミドの注射が、大腿及びふくらはぎの後部分及び/または前部分に位置する骨格筋において円形に実施されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の方法。

請求項12

前記プラスミドが、複数回注射により前記筋肉の虚血性部位の周囲に投与されることを特徴とする請求項11に記載の方法。

請求項13

前記プラスミドが、冠内注射、心筋内注射、経胸腔的注射、心臓周囲注射、または心外膜注射により前記患者の心筋に投与されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の方法。

請求項14

前記心筋への投与が、複数回注射により前記心筋の虚血性部位の周囲に、または単回注射により行われることを特徴とする請求項13に記載の方法。

請求項15

前記注射が、カテーテルを用いて行われることを特徴とする請求項13または14のいずれかに記載の方法。

請求項16

前記カテーテルが、針カテーテルであることを特徴とする請求項15に記載の方法。

請求項17

前記線維芽細胞成長因子が、FGF−1または酸性線維芽細胞成長因子であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1つに記載の方法。

請求項18

前記プラスミドが、制御配列と、FGF−1遺伝子の上流シグナルペプチドをコードする配列と、FGF−1遺伝子の下流の終結シグナル及びポリアデニル化シグナルとを更に含むことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1つに記載の方法。

請求項19

前記制御配列がCMVプロモータであり、シグナルペプチド配列がインターフェロンペプチド配列から派生し、ポリアデニル化シグナルがSV40のペプチド配列から派生し、FGF−1をコードするプラスミドが指定NV1FGFであることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1つに記載の方法。

請求項20

前記プラスミドが、低分子量のヘパリンと共に投与されることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1つに記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、心筋または骨格の血管由来欠損に関連する高コレステロール血症または糖尿病の予防及び治療のための治療薬としての線維芽細胞成長因子をコードするプラスミドの使用に関する。本発明はまた、高コレステロール血症または糖尿病の哺乳類被験対象において心筋または骨格の虚血性組織における側副血行路細動脈の両方の形成を促進する方法に関する。本発明は更に、処置した筋肉VEGF−A因子発現誘導せずかつ浮腫を生じさせないで虚血性心筋組織または骨格組織における側副血行路を促進する方法に関する。

背景技術

0002

血管は、3種類の主要な血管、即ち、動脈毛細管静脈を含み、心臓から始まり心臓で終わるような閉じた血液運搬系を形成している。心臓が拍動すると、血液は心室から大動脈へ押し出される。大動脈は中型の動脈に枝分かれし、そこからさらに小さな動脈に枝分かれして血液を体の種々の部分へ送る。動脈は、最も小さい分枝である細動脈に辿り着くまで何度も分裂を繰り返す。細動脈は組織に入るとき、組織細胞近接する毛細管と呼ばれる微小血管に枝分かれする。毛細管は、非常に薄い壁を有する。酸素及び栄養素は毛細管中の血液から離れて組織細胞に入り二酸化炭素及び他の老廃物細胞を離れて毛細管内の血液に入る。毛細管は組織を離れる前に併合して細静脈と呼ばれる小さな静脈を形成する。細静脈は併合して連続的により大きな静脈を形成し、血液は最終的には血液を心臓に戻す大静脈に移る。

0003

全ての血管壁は、毛細管を除いて、管腔を取り巻く3つの異なる層から構成されている。血管管腔裏打ちする最も内側の層は内膜と呼ばれ、主として内皮細胞からなる。中間の層即ち中膜は、主として円形配列された平滑筋細胞からなる。血管壁の最も外側の層即ち外膜は、主として、血管を保護しかつ血管を周囲の構造に固定する弾性線維及びコラーゲン線維からなる。外膜には神経線維が入り込んでおり、より大きな動脈及び静脈においては小さな血管の系が入り込んでいる。

0004

細動脈は最も小さい動脈であり、50μmより小さな管腔径を有する。細動脈壁は、中膜に点在する平滑筋線維に囲繞された内膜からなる。細動脈は、動脈から毛細管への血流を調整する。細動脈壁の血管収縮時には、毛細管への血流は制限され、細動脈が働きを担っている組織を瞬間的に迂回させることができる。細動脈壁の血管拡張時には、毛細管への血流は著しく増加する。

0005

対照的に、毛細管は、一連の内皮細胞、単なる内膜のみからなる非常に薄い壁を有する。毛細管は、ほぼ全ての体組織及びほぼ全てに近い体細胞に広がる大規模ネットワークを形成する。毛細管の平均管腔径は、0.01mm(10μm)であり、赤血球が通り抜けるのに十分なちょうど良い大きさである。毛細管をこの目的に完全に適合するようにしているのは非常に薄い壁であり、体の細胞との栄養素、酸素及び老廃物の交換がなされる。

0006

側副血行路(collateral blood vessel)は、酸素を器官に供給する重大な役割を果たす。正常な脈管構造における疾患によって酸素の運搬が制限されるときは特にそうである。側副血管は、正常な状態で血流がほとんどまたは全くない既存の血管であることがある。正常な血管の急性閉塞(例えば大動脈の血栓症)は、血管ベッド内で圧力の再分布を生じさせ、それによって側副血管に血流を発生させることができる。側副血行路は冠状動脈及び骨格筋(例えばヒトの足)の循環において特に重要である。心臓においては、心外膜動脈の狭窄または閉塞に起因する虚血性領域への血流供給を側副血管が助けることができる。側副性血流は、梗塞サイズを制限するのに重要なメカニズムであり得る。治療的血管形成において、側副血行路の形成が開始される。

0007

血管形成は、内皮細胞の増殖、基底膜劣化、周囲基質からの移入アラインメントと、血管壁を形成しそれによって新たに形成された毛細管ネットワークを生み出すためのチューブ様構造への分化とに関与する複雑なプロセスである。

0008

動脈形成は、側副細動脈の副産物と呼ばれ、毛細管ネットワークに比べてこれらの血管の容量が大きいので血液灌流回復のための最も効率的なプロセスであると信じられている(Carmeliet et al. , Nat. Med., 2000; 6: 389-395、Van Royen et al., Cardiovasc. Res., 2001; 49: 543-553)。事実上、細動脈は、内膜及び中膜の両方即ち平滑筋細胞の層に支えられている内皮細胞の層が存在するので、成熟した強固で機能性血管であると考えられている。細動脈の形成は、長期の有効な新血管新生のために好ましいタイプである。

0009

血管内皮機能障害に関連する病理学的状態のうちで、高コレステロール血症は、異常な血管形成、組織灌流障害された制御、血流の異常な空間分布と、異常な微小血管の機能によって特徴付けられる疾患である。また、血管成長カイネティクスと得られた血管の性質は、健康な組織とは異なる。これらの変化は、シグナル伝達の減少、Lアルギニン利用可能性の減少、eNOSの発現の減少、他の炎症性細胞マクロファージ由来超酸化物アニオンにより増加したNO不活性化エンドセリンなど幾つかの血管収縮因子の放出、及び平滑筋血管反応を示すような、障害された血管内皮の結果であることがある。高コレステロール血症の被験対象において、動脈壁中の毛細管密度及び分布は劇的に変化する。究極的には、これらは顕著な失見当識を伴う外膜巨大血管の高密度な網を示す。これはより強いかまたはより弱い血管由来反応を生じさせ得る異なる刺激から生じ得ると信じられている。ヒトにおける高コレステロール血症は、血管内皮の機能障害と、究極的には主要な動脈の進行性狭小化を引き起こす。休息時と負荷時の冠状動脈血流不均衡が、痛み及び低収縮性につながる密かな筋肉機能不全を引き起こす。通常、供給は休息時には適切であるが、負荷が生じると、需要が高まる一方で動脈閉塞性病変により供給は不可能になる。このヒト病理学を模倣する目的が例えば主要な冠動脈上での狭窄の設定及びこの狭窄により負荷時に生み出される不均衡を明らかにするための負荷試験(stress test)の使用の両方につながる理由はここにある。I型及びII型糖尿病患者血管機能は、障害された内皮依存性弛緩によって特徴付けられることも知られている。糖尿病は、微小血管及び巨大血管の疾患の未熟発達によって特徴付けられる(Kannel et al., Diabetes Care, 1979,241: 2035-2038)。従って、末梢動脈疾患PAD)患者、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)患者、または心臓動脈疾患(CAD)患者における高コレステロール血症、糖尿病、高血圧高脂質血症に起因するそのような重症内皮機能障害及び異常性を、治療的血管形成を用いることにより救済できるか否かには疑問がある。

0010

側副血行路を促進するために幾つかの血管由来因子、例えばVEGF−AFGF及びbFGF、HIF−1α/VP16及びHGF投与することは、治療的血管形成としても知られているが、虚血性心血管及び末梢虚血の処置に提唱されてきた。しかし、種々の細胞型への強力な多面発現性効果はこれらの化合物の治療的適用可能性を制限することがある。例えば、VEGF−Aは、最も強力な候補となる血管由来因子の1つであった。しかし、VEGF−Aは、腫瘍に見られるものに似た、でたらめ蛇行しかつ漏れる血管のみならず、浮腫を生じさせることが分かった(Lee et al.,Circulation 2000,102 : 898-901; Springer et al., Mol Cell, 1998,2: 549-559)。

0011

治療的血管形成に対する2つの異なる戦略が存在する。虚血性組織への成長因子の直接運搬を含むタンパク質治療は可能な選択肢である。血管由来遺伝子治療はそれに代わる可能な選択肢であり、側副性発生の向上と、体細胞への核酸の移入による灌流欠損及び関連する虚血の克服を目指すものである(8−10)。

0012

動物研究は、例えば、組換えヒトVEGF、組換えPDGF、または組換えbFGFを含む多くの成長因子の局所血管由来の可能性を実証してきた。しかし、組換えタンパク質の運搬及び高用量の組換えタンパク質の全身性投与が多数の他の負の副作用につながることが示されていた。更に、必要な組換えタンパク質の量も重要である。運搬されるタンパク質が少な過ぎれば、血管形成は達成されないであろう。運搬されるタンパク質が多過ぎれば、でたらめな脈管構造ベッド及び乱雑な血管形成の形成が生じることがある。

0013

血管由来タンパク質を発現することが可能な核酸をの型でまたはリポソームまたはウイルス性ベクターによってのいずれかで投与することによる治療的血管形成について調査がされてきた。血管由来コード配列のウイルス性ベクター運搬は、高効率の運搬を可能にするが、ウイルス性ベクターの使用に関連する多数の短所、例えば免疫反応の発生や、統合及び散在の可能性に悩まされている。例えば、1999年9月にペンシルニア大学でジェシー・ゲルシンガー(Jesse Gelsinger)がヒトオルニチンカルバミル転移酵素補正型を発現したEl及びE4欠失組換えアデノウイルス肝臓内動脈注入後に死亡して以来、アデノウイルス遺伝子治療方法疑問視されてきた。病理学分析が示すところによれば、公式死因は、全身投与された組換えアデノウイルスへの全身性炎症性反応により誘導された成人呼吸困難症候群に伴う多臓器不全であった。ここ最近では、ベクターとしてレトロウイルスを使用したことよって重症複合免疫不全疾患(SCID)になった小児を治療することを目的とした治験において2つの白血病ケース報告された。

0014

血管由来のペプチドをコードするDNAを含む裸のDNAとリポソームは共に、ウイルスに比べて輸送の効率が低いという主な欠点があり、治療効果を得るのに必要なタンパク質のレベルに到達するのが難しいことがある。

0015

裸のDNA戦略に関連して、酸性の線維芽細胞成長因子または線維芽細胞成長因子1型(FGF−1)をコードするプラスミドであるNV1FGFの筋肉内注射最終段階の末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)または末梢動脈疾患(PAD)の患者に対して行うことが安全性要求に適合することが驚いたことに実証された。カメロータら(Camerota et al., J Vasc. Surg., 2002, 35, 5:930-936)によれば、休息中の痛みまたは組織ネクローシスを伴う51人の再建不可能な最終段階のPAD患者は、虚血性大腿及びふくらはぎにNV1FGFを1回または頻回投与量を増加させながら筋肉内注射されていた。続いて、経皮的な酸素圧足首及び足指上腕指数、痛み評価、潰瘍治癒などの種々のパラメータを評価した。NV1FGF投与後、上腕指数の有意な増加、痛みの低減、潰瘍サイズの分解、灌流の向上が見られた。

0016

後肢虚血患者におけるVEGF遺伝子移入による血管形成の誘導は、VEGF−165アイソフォームをコードするD裸のプラスミドDNAが、虚血性潰瘍が治癒しておらずかつ/または末梢動脈疾患による休息中の痛みを有する患者の虚血性筋肉に投与されることを示していた。新たに発生した側副血行路及び改善された灌流も毛細管同様に処置後8週間で血管造影的に見ることができた。しかし、処置から5〜6週間後にVEGFの血清レベルの著しい上昇も観察された(Isner et al., Lancet, 1996; 348: 370-4)。そのような血清VEGFレベルの上昇は、乱雑な好ましくない血管形成及び浮腫などの重大な負の副作用を生じさせることがある(26)。

0017

ビンセントら(Vincent et al.,Circulation, 2000; 102 (18):2225-61)は、低酸素症誘導因子1α(HIF−1α)転写因子をコードする裸のDNAプラスミドの投与は、ふくらはぎ血圧比、血管由来スコア、局所血流及び毛細管密度の著しい向上と関連していたことを報告している。。しかし、HIF−1αは、in vivoで幾つかの標的のみならずVEGF経路依存血管形成の増強を示唆する内因性EFG遺伝子の発現を活性化することも報告されている。

0018

タニヤマら(Taniyama et al., Gene Therapy, 2001,8: 181-189)は更に、ラット及びウサギの虚血性後肢モデルにおいてヒト肝細胞成長因子(HGF)をコードする裸のDNAプラスミドの筋肉内注射を用いた治療的血管形成に関する報告をしている。内皮細胞のマーカとしてのアルカリホスファターゼとして実証された血管造影及び毛細管密度によって、側副血行路の増加を同定した。肝細胞に対する分裂促進因子として最初に同定されたHGFは、メラノサイト腎尿細管細胞、ケラチノサイト、及びある種の内皮細胞を含むある種の細胞型、及び上皮起源の細胞に対する分裂促進因子であることも分かった(Matsumoto et al. , BBRC, 1991, 176: 45-51)。HGFは、血管の平滑筋細胞の複製なしに内皮細胞の成長を刺激することも示した(Nakamura et al., Hypertension, 1996; 28: 409-413、Hayashi et al., BBRC, 1996; 220: 539-545)。最後に、HGFが「散乱因子」即ち上皮及び血管の内皮細胞の解離を促進する活性としても作用し得ることが分かっている(Giordano et al. , PNAS, 1993, 90: 649-653)。従って、HGFは腫瘍形成に関与すると仮定されてきた。

0019

対照的に、酸性線維芽細胞成長因子(aFGFまたはFGF−1)をコードするプラスミドの投与はFGF−1血清レベルを増加させないことが立証され、それによって、そのようなヒトFGF−1発現プラスミドの使用は、乱雑な血管形成または負の副作用が存在しないので安全性の点で特に有利であることを示した。循環FGF−1の不存在は、他の血管由来因子に対し、例えば、循環へのリーク及び遠位の浮腫への誘導が既に説明されているようなVEGFまたはFGF−2に対して有意な安全性の優位性を与える(Baumgartner et al. ,Circulation, 1998, 97: 1114-23)
線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーは、少なくとも23の構造的に関連があるタンパク質(FGF−1〜23)からなり、最もよく知られているメンバーは、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−7、FGF−9である。このファミリーのメンバーは、中胚葉及び神経外胚葉由来のほとんどの細胞において後発有糸分裂誘発を刺激し、血管形成、神経突起伸展骨芽細胞成長、神経細胞の生き残り、筋芽細胞分化を含む他の生物学的プロセスに影響する。一般的に、FGFはヘパリンに対する高い親和性を有する。個々に命名して分ける前には、ヘパリン結合成長因子−1、−2などと呼ばれるFGFもあった。全てではないが多くのFGFは線維芽細胞に対する分裂促進因子である。FGFファミリーのメンバーは、核配列内で概ね25〜55%のアミノ酸配列同一性を有し、この核配列の外側に、C末端N末端、またはその両方のいずれかで著しい伸展を有するFGFもある。この構造的な相同は、既知FGFをコードする異なる遺伝子が共通の先祖遺伝子に由来している可能性を示唆している。

0020

FGFファミリーの23の既知メンバーに加えて、単一遺伝子からFGFの幾つかの分子型が生じて更に複雑さを増している。例えば、FGFの一次翻訳産物(FGF−1)は155の残基からなる。しかし、自然の源(例えばウシの脳)に見られるFGF−1の最も長い型は、154残基からなる。FGF−1のこの154残基型は、155残基型のNH2末端メチオニンが欠失し、アセチル化アミノ末端を有している。in vivoまたは精製中のタンパク分解プロセシングは、アミノ末端15(des1−15)または21(des1−21)アミノ酸のいずれかが欠失した、より小さな活性型のFGF−1を生じさせる。本明細書中では、FGF−1は、FGF−1の154残基型と、FGF−1の短い生物学的に活性な型、例えば上記したアミノ末端15(des1−15)または21(des1−21)アミノ酸のいずれかが欠失した型を指すものと定義する。歴史的には、FGF−1の154残基型はβ−内皮細胞成長因子(β−ECGF)と呼ばれ、des1−15型はaFGFまたはFGF−1と呼ばれ、des1−21型はα−ECGFと呼ばれていた。この成長因子群に対する専門用語標準化する前に、目から派生した(eye derived)成長因子及びヘパリン結合成長因子1を含む幾つかの追加の用語も同じタンパク質に適用する。bFGF(FGF−2)の類似型についても既に記載されている。bFGFの開裂型(cleaved form)に加え、bFGFの155残基型を生成するATG翻訳開始コドン上流に位置するいくつかの異なるGTコドンでの翻訳の開始から生じる拡張型(extended form)もついても既に記載されている。FGFのこれらの代替型は全て、FGFファミリーを画定する構造的な相同の核領域を含んでいる。種々のFGF分子の多くは、単離され、種々の心筋虚血動物モデルに投与されてきたが、変動及びしばしば反対の結果を伴っていた。

0021

FGF−1に対する血管由来の役割は、in vivo研究に基づいて提唱された(Comerota et al., J. Vasc. Surg., 2002,35, 5: 930-936)。FGF−1発現プラスミドの筋肉内注射は、足首上腕指数の増加、痛みの減少、及び経皮酸素の増加に基づく灌流の改善を示した。

0022

出願人は驚くべきことに、他のFGF因子、VEGF、HIF−1α/VP16及びHGFを含む他の血管由来因子とは対照的に、FGF−1発現プラスミドの筋肉内注射が血管内皮細胞におけるVEGFを誘導せず、それ故に非常に安全な血管形成治療を構成することを発見した。

0023

ほとんどの治療的血管形成の研究は肢虚血の動物モデルにおいて確認され、正常な健康な動物において実施されていたが、内皮機能が大いに障害された高コレステロール血症または糖尿病環境(setting)において血管形成異常を逆戻り(reverse)させる能力試験したものもあった。

0024

この点で、既知の治療的血管形成は、大腿の動脈を切除した高コレステロール血症ウサギモデルにおける試験時に説得力があることが立証されなかった。障害された側副血管形成及びVEGFの投与によって部分的に逆戻しされ得る毛細管密度が観察されたためである(26)。更に、ロギンら(Roguin A. et al., Cardiovascular Diabetology 2003,2 : 18)がVEGF発現プラスミドを用いても糖尿病の虚血性マウスの血流向上と側副化(collateralization)促進ができないことを示したように、治療的血管形成は糖尿病モデルにおける試験時に説得力があることが立証されなかった。

0025

対照的に、本願出願人は驚くべきことに、ヒトFGF−1を発現するプラスミドが虚血性心筋または骨格筋に筋肉内投与されたときに、側副血管において高コレステロール血症または糖尿病に関連する欠損を効率的に逆戻りさせ、高コレステロール血症または糖尿病の哺乳類被験対象において細動脈などの成熟血管の形成を促進できることがわかった。

0026

更に出願人は、類似の血管由来因子とは対照的に、FGF−1発現プラスミドの筋肉内注射は、処置した骨格または心筋において浮腫を生じさせず、従って高コレステロール血症または糖尿病環境など悪化した状態における虚血性筋肉の血管形成異常を救済するのに十分な量で用いることができることを発見した。

0027

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発明が解決しようとする課題

0028

本発明は、高コレステロール血症または糖尿病に関連する心筋または骨格の血管由来の欠損を治療する方法であって、ある種の線維芽細胞成長因子をコードする遺伝子を有するプラスミドを含む医薬品成分を被験対象に内皮機能障害及び血管由来の欠損の逆戻りを促進する量投与する過程を含む方法に関する。

0029

本発明はまた、高コレステロール血症または糖尿病に関連する心筋または骨格の血管由来の疾患または欠損を治療する方法であって、線維芽細胞成長因子をコードする有効量のプラスミドを投与してVEGF−A因子発現が誘導されないようにする過程を含む方法に関する。

0030

本発明は更に、線維芽細胞成長因子をコードするプラスミドを骨格筋または心筋においてVEGF−A因子発現を誘導せずかつ浮腫を生じさせないで心筋または骨格の血管由来の欠損を逆戻りさせるのに十分な量投与することにより、患者において高コレステロール血症または糖尿病に関連する血管内皮機能障害を治療する方法に関する。

0031

高コレステロール血症または糖尿病環境において虚血性心臓における成熟側副血管または虚血性筋肉における骨格筋組織の形成を刺激及び/または促進する方法であって、線維芽細胞成長因子をコードする有効量のプラスミドを前記被験対象の前記組織に注射してVEGF−A因子発現が誘導されずかつ/または浮腫が生成されないようにする過程を含む方法を提供することも本発明の目的である。

0032

本発明の別の目的は、高コレステロール血症または糖尿病の哺乳類被験対象におけるPAD、PAODまたはCADなどの虚血性状態を、VEGF因子の発現を誘導することなくかつ浮腫を形成することなく処置する方法を提供することである。

0033

本発明の更に別の目的は、内皮機能が障害された虚血性組織において側副血行路及び細動脈の両方を促進する方法を提供することである。

0034

更なる目的は、高コレステロール血症または糖尿病で誘発される血管形成異常を、そのような処置を必要としている高コレステロール血症または糖尿病哺乳類被験対象においてVEGF因子を誘導することなく、逆戻りさせる方法である。

0035

本発明の更に別の目的は、血管形成VEGF非依存性経路を促進する方法を提供することである。

0036

本発明の更なる目的は、処置した細胞においてVEGFが上方制御されないことを条件に血管形成を促進する方法を提供することである。

0037

FGF発現プラスミドの心筋内または筋肉内注射は、高コレステロール血症または糖尿病に関連する心筋または骨格の血管由来の欠損を逆戻りさせるのに好ましい。本発明の実施に好ましい線維芽細胞成長因子はFGF−1であり、最も好ましいのはヒト完全長FGF−1である。

0038

これ以外の目的、機能及び利点については、図面と共に以下に開示される本発明の好適な実施形態の記載から明らかになるであろう。

課題を解決するための手段

0039

本発明は、内皮機能が障害されたか或いは不適当であるような高コレステロール血症または糖尿病環境に関連する心筋または骨格の血管由来の欠損を治療または修復する方法を提供する。

0040

本発明の方法及び成分は、心筋または骨格筋における血管形成の純増を促進するための直接筋肉内投与に続いて、高コレステロール血症または糖尿病に関連する内皮機能障害を逆戻りさせるのに特に有用である。本発明は、生物学的に活性な線維芽細胞成長因子をコードするプラスミド及び薬学的に許容される塩及びその誘導体の使用を含む。

0041

本発明はまた、虚血性心臓または骨格筋組織における成熟側副血管の形成をそのような処置を必要とする哺乳類被験対象において促進する方法であって、前記被験対象の前記組織に線維芽細胞成長因子をコードする有効量のプラスミドを注射して前記被験対象においてVEGF−A因子発現が誘導されないようにする過程を含むことを特徴とする方法を提供する。特に、FGF発現プラスミドの投与は、虚血性心筋または骨格筋組織においてVEGF−A因子の発現を誘導することなく側副血行路及び細動脈の両方の形成を誘導する。本発明に基づくFGF発現プラスミドは、浮腫などの副作用を引き起こすものではない。

0042

本発明は更に、高コレステロール血症または糖尿病で誘発される血管形成における欠損を、VEGF−A因子発現を誘導しかつ/または浮腫を形成することなく逆戻りさせる方法であって、前記患者の心筋または骨格組織に線維芽細胞成長因子を発現する有効量のプラスミドを注射して側副血行路及び細動脈の両方の形成を促進する過程を含むことを特徴とする方法を提供する。

0043

本発明は更に、高コレステロール血症または糖尿病環境の哺乳類被験対象の虚血性組織において側副血行路及び細動脈の両方を促進することにより血管再生強化する方法であって、有効量のFGF発現プラスミドを前記被験対象の前記組織に注射して血管形成異常を逆戻りさせる過程を含むことを特徴とする方法を提供する。前記プラスミドの運搬及び発現は、予想外に、虚血性筋肉全体での血液灌流の著しい向上する結果になる。

0044

「被験対象」なる語には、限定されるものではないが、イヌネコウマ雌ウシブタ、ラット、マウス、サル、ヒトなどの哺乳類が含まれる。

0045

「生物学的に活性な配列」なる語は、天然のペプチドまたは生物学的に活性な類似体またはその断片をコードするヌクレオチド配列を意味する。異なる型は、同一生物学的機能のペプチドのための構造遺伝子コード配列が変化する性質に存在する。これらの生物学的に活性な配列の類似体には、1回または複数回のアミノ酸の置換、欠失、付加、または交換を有する天然及び非天然の類似体が含まれる。全てのそのような対立遺伝子の変化の修飾と、1若しくは複数の未変性の生物学的に活性な特性を保持する誘導体を生じさせる類似体とは、本発明の範囲に含まれる。

0046

FGFをコードするプラスミドは従って所望のFGFタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。これらの分子は、cDNAゲノムDNA、合成DNA、またはそのハイブリッド、またはmRNAなどのRNA分子であり得る。プラスミドは、FGF−1をコードするヌクレオチド配列を含み、米国特許第4,686,113号に記載のFGF−1酸性成長因子の154残基型をコードするヌクレオチド配列を含むのが好ましい。

0047

DNA分子遺伝子発現に必要な制御要素には、プロモータ開始コドン停止コドン、及びポリアデニル化シグナルを含めることができる。更に、多くの場合遺伝子発現にエンハンサーが必要になる。これらの要素は所望のタンパク質をコードする配列に動作可能に結び付けられ、かつ、制御要素はそれが投与される被験対象の心筋において動作可能であることが必要である。

0048

開始コドン及び停止コドンは、一般的に、所望のタンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部と考えられている。しかし、遺伝子作成物が投与される被験対象においてこれらの要素が機能的であることが必要である。開始コドン及び終止コドンは、コード配列を有するフレームの中になければならない。

0049

用いられるプロモータ及びポリアデニル化シグナルは、被験対象の心筋細胞内で機能的でなければならない。

0050

本発明を実施するために有用なプロモータの例には、限定されるものではないが、シミアンウイルス40SV40)からのプロモータ、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモータ、ヒト免疫不全ウイルスHIV)、例えばHIV末端反復配列LTR)プロモータ、モロニーウイルス、ALV、サイトメガロウイルス(CMV)、例えばCMV最初期プロモータ、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)と、ヒト遺伝子からのプロモータ、例えばヒトαアクチン、ヒトミオシンヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン及びヒトメタロチオネインが含まれる。

0051

別の好適な実施形態においては、FGF遺伝子の発現は、筋肉特異プロモータによって、例えば米国特許出願公開第2003/0039984号に記載のマウスまたはヒトのCARP遺伝子上流配列によって、または国際公開WO01/11064に記載の心臓のαアクチンプロモータ配列によって推進される。

0052

本発明を実施するに当たり、特にヒトに対する遺伝的ワクチンの産物において、有用なポリアデニル化シグナルの例としては、限定されるものではないが、SV40ポリアデニル化シグナル、ウシまたはヒトの成長ホルモンポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナルがある。特に、SV40ポリアデニル化シグナルとして参照されるpCEP4プラスミド(Invitrogen, San Diego Calif.)におけるSV40ポリアデニル化シグナルが用いられる。

0053

DNA発現に必要な制御要素に加えて、DNA分子には他の要素が含まれることもある。そのような追加要素には、エンハンサーがある。エンハンサーは、限定されるものではないが、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、及びCMV、RSV、EBVから得られるウイルス性エンハンサーを含む群から選択することができる。

0054

作成物染色体外に維持しかつ細胞に作成物の複数のコピー産出するために、遺伝的作成物には哺乳類の複製起源が備わっていることがある。インビトロジェン社(Invitrogen, San Diego, Calif.)から得られるプラスミドpCEP4及びpREP4は、エプスタイン・バーウイルス複製起源と、統合なしに高コピーのエピソームの複製を産出する核抗原EBNA−1コード領域を含む。他の適切なプラスミドは当業者に公知であり、例えば、レプリケーターpMB1を伴うプラスミドpBR322、またはレプリケーターColE1を伴うプラスミドpMK16などがある(Ausubel, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, New York (1988) 11 : 1.5. 2.)
好適な実施形態において、FGFをコードするプラスミドは、国際出願WO97/10343及びソブリエールら(Soubrier et al., GeneTher. 1999; 6: 1482-1488)に記載されているような複製pCORの条件的な起源を示す。pCORプラスミドは、元の主鎖に挿入されるヒトFGF−1(sphFGF−1)の分泌型(secreted form)をコードする最適化発現カセットを収容している。得られるプラスミドは、都合のよいことに2.4kbの小さなサイズである。sphFGF−1をコードする配列は、ヒト線維芽細胞インターフェロンからの分泌シグナルペプチド(sp)をコードする配列と、アミノ酸21〜154(米国特許第4,686,113号、第5,849,538号)からのヒトFGF−1の天然の短縮型(truncated form)との融合である。sphFGF−1の発現は、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)最初期エンハンサー/プロモータ(ヌクレオチド−522から+72)によって推進された。適正かつ効率的な転写終了及びそれに続くsphFGF−1転写物ポリアデニル化を確実にするために、シミアンウイルス40(SV40ゲノムからのヌクレオチド2538〜2759、GenBanklocusSV4CG;米国特許第5,168,062号)からの後発のポリアデニル化シグナルをsphFGF−1融合の下流に挿入した。この好適なプラスミドは指定NV1FGFであり、抗生物質抵抗遺伝子がない。プラスミドの選択は、独立栄養性レシピエント菌種において抑制転移RNA遺伝子に依存している。プラスミドの高いコピー数及び厳しく制限された宿主範囲の維持は、R6Kγ複製起源により得られた。このタンパク質に対する配列コードは、細菌には通常見られないが、被選択宿主菌種のゲノムに人為的に挿入した。従って、プラスミドの潜在的な散在はかなり制限された。

0055

注射可能な物質を心筋の細胞に搬送する任意の方法により、本発明に基づくプラスミドを脊椎動物に投与することができる。本発明に基づくプラスミドは細胞への侵入を促進するように働くことができる運搬手段がないという意味では、例えばポリヌクレオチド配列にはウイルス性配列がなく、特に、遺伝情報を伝達することができるウイルス性粒子がないという意味で、裸のDNAプラスミドとしてプラスミドを投与するのが好ましい。本発明に基づくプラスミドは同様に、リポソームの製剤などのトランスフェクションを促進する任意の物質、リポフェクチン(Lipofectin)(登録商標)などの電荷脂質、またはCaPO4などの沈殿剤がないか或いはそれに関してむき出しである。別な方法で、薬学的に許容される液体担体によりプラスミドを動物に搬送することもできる。好適な適用例では、液体担体は水性または部分的に水性であり、無菌発熱物質を含有しない水を含む。試料のpHを適切に調整しかつ緩衝する。或いは、陽性または正に帯電させたリポソームなどのリポソームを用いてプラスミドを注射することができる。

0056

以下の実施例は、プラスミドNV1FGFが、細動脈などの成熟血管のみならず毛細管血管の形成により持続した血管由来反応を促進するのに十分な濃度で、コードされたFGF−1タンパク質の徐放を可能にすることをはっきり示している。更に、NV1FGFは、処置筋肉において検出不可能な濃度で血管形成を効率的に促進することが実証され、特に効力があることが示された。従って、治療的空白内にある濃度でNV1FGFを用い、それによって周囲の組織または器官への散在または乱雑な血管形成に起因する負の副作用を回避できる。

0057

更に、安全性及び効力の点でそのような優れた特性に起因して、高コレステロール血症または糖尿病により悪化した状態における治療的血管形成に対してNV1FGFが特に有用であることが実証された。

0058

高コレステロール血症または糖尿病などの状態が悪化した起源に拘らず、減弱された血液供給により生じた血管形成異常の逆戻りは、従って、本発明によって予期される。

0059

本発明の文脈から読み取れる範囲内で、標的組織は、従って、酸素を含ませた血液が組織に適切に供給されないときに生じる虚血性ダメージを受けているか受ける危険に晒され、高コレステロール血症または糖尿病環境において更に悪化した筋肉組織を含む。実施例中で示しているように、求められる遺伝子治療の安全基準に適合しかつ障害された内皮の機能を更に示す虚血性組織において血管形成を誘導することができるような治療的空白においてプラスミドNV1FGFの筋肉内注射を効率的に用いることができる。

0060

本発明の一実施形態によれば、NV1FGFプラスミドは局所的方法で標的筋肉組織に投与される。本発明の文脈から読み取れる範囲内でNV1FGFプラスミドを標的組織に投与する任意の適切な手段を用いることができるが、そのような標的筋肉組織への局在注射は、針を用いてNV1FGFを筋肉に直接注射することにより達成されるのが好ましい。

0061

「注射(する)」なる語は、NV1FGFを標的組織に効果的に導入することを意味する。本発明に基づき任意の適切な注射器を使用することができる。

0062

NV1FGFプラスミドの投与量の投与は標的組織への単回注射により達成することができるが、NV1FGFの複数回注射による投与量の投与が好ましい。複数回注射は、2、3、4、5、またはそれ以上の反復注射であってよく、高コレステロール血症または糖尿病の哺乳類被験対象の虚血性筋肉へ5回以上注射するのが好ましい。複数回注射は、各注射が行われる標的組織の位置によって画定される特異的な幾何学的配置などのパラメータによって扱うことができるので、単回注射よりも利点がある。NV1FGFの1回投与量を複数回に分けて注射することにより、制御を良好にし、所与の量を投与する有効性を最大にすることができる。

0063

複数回注射の特異的な幾何学的配置は、各NV1FGFが投与される2次元空間のいずれかに画定可能である。複数回注射は虚血性組織内またはその周辺で行うことができ、注射点が2cmまたは3cm離れるように一定の距離を空けるのが好ましい。

0064

本発明の別の実施形態によれば、複数回注射の各注射は前後の注射から約5〜10分間以内に行う。

0065

血管形成異常に影響されかつ内皮機能が激しく障害された標的組織にNV1FGFを投与するとき、側副血行路形成のための源及び末端とその間の領域に適度に近接する領域にNV1FGFが接触できるようなものである投与が望ましい。

0066

治療対象に効果を与えるための本発明に基づく成分を標的心筋組織に局所的に、筋肉内に、非経口的に、静脈内に、心筋内に、心臓周囲に、心外膜に、または冠内に投与することができる。心筋内投与、心外膜投与、心臓周囲投与、または冠内投与は、針またはカテーテルを用いて行うのが好ましい。

0067

NV1FGFの筋肉内注射は、遠位の大腿及び遠位の脚筋肉へ、及び虚血性部位に近い領域または虚血性部位周囲の領域において行うことができるのが好ましい。

0068

また、直接心筋内注射による投与を行うときには、開胸手術に行うか、カテーテルを利用して行うことができる。心臓運搬のためのカテーテルは当分野でよく知られており、そのようなカテーテルには、例えば米国特許第5,045,565号または第4,661,133号に記載されている針カテーテルや、米国特許第6,254,573号及び第6,309,370号に記載されている位置検出装置付きのものがある。らせん形の針を有する別のカテーテルについては、米国特許第6,346,099号及び第6,358,247号に記載されている。

0069

本発明の有利な一側面では、高コレステロール血症または糖尿病環境における血管形成の欠損を逆戻りさせるために、治療効果のある用量のNV1FGFが投与される。有効量は、高コレステロール血症または糖尿病の被験対象に加えて所与の血管形成異常被験対象の体重及び条件によって変わることになるが、所与の被験対象及び条件に対して適切な用量を決定することは当分野の技能の範囲内であると考えられよう。

0070

この好適な実施形態の側面によれば、血管形成異常の重症状態では、側副血管及び細動脈の両方の持続した形成を促進するために、約1〜2週間またはそれ以上の時間間隔で好適には2〜4回繰り返されるNV1FGFの筋肉内注射の複数回注射により投与される約8000μg乃至約16000μgのプラスミド用量で処置を行う。それによって、高コレステロール血症または糖尿病の哺乳類被験対象における虚血に起因する血管形成異常を逆戻りさせることができる。

0071

NV1FGFは、薬学的に許容される担体とNV1FGFプラスミドとを含む医薬品成分にて標的虚血性筋肉に投与されるのが望ましい。

0072

本発明の文脈から読み取れる範囲内で任意の適切な薬学的に許容される担体を用いることができ、そのような担体は当分野においてよく知られている。担体の選択は、部分的に、成分が投与される特定の部位及び成分を投与するのに用いられる特定の方法によって決定されることになる。注射に適した製剤には、水性及び非水性溶液と、所期レシピエントの血液と等張の製剤を与える酸化防止剤緩衝液静菌薬溶質を含み得る等張無菌注射液と、懸濁剤可溶化剤肥大剤、安定剤、防腐剤を含み得る水性及び非水性無菌懸濁液とが含まれる。製剤は、アンプル及びバイアルなどの1回量または複数回量を封じ込んだ容器に入った状態にもできるし、使用直前に無菌の液体担体、例えば水を加えるだけでよい凍結乾燥(lyophilized)状態で保存することもできる。上記した種類の無菌の粉末顆粒及び錠剤から即席注射溶液及び懸濁液を調製することもできる。薬学的に許容される担体は緩衝生理食塩水溶液であるのが好ましい。医薬品成分が塩化ナトリウム溶液(0.9%)を含むのが最も好ましい。

0073

好適な実施形態においては、本発明の成分を低分子量ヘパリン(LMWH)と関連付けて投与する。LMWH分子及び調製方法は当分野でよく知られており、とりわけ、米国特許第5,389,618号、第4,692,435号、第4,303,651号、欧州特許第EP0 040 144号、及びネンチ(Nenci GG, Vasc. Med, 2000; 5: 251-258)に記載されている。これらは引用を以って本発明の一部となす。

0074

第2の実施形態では、処置した骨格筋に電気刺激を与える前または後に高コレステロール血症患者または糖尿病患者の骨格筋にFGF発現プラスミドを注射する。この実施形態に基づき用いられる電気刺激は、米国特許出願公開第2002/0031827号に記載されており、筋肉収縮に対する閾値以下であるために患者への痛みがなく骨格筋の収縮を生じさせないような電圧及び周波数で適用される。例えば、適用される周波数は約50Hz、電圧は約0.1ボルトである。FGF発現プラスミドと共に用いられるときには、電気刺激は、血流増加の点で優れた相乗効果を奏する。

0075

第3の実施形態では、FGF−1発現プラスミドBBは1若しくは複数の血管形成促進因子と組み合わせて運搬される。血管由来因子は例外なく、PDGF−AA、M−CSFGMCSF、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、ニューロピリン(neuropilin)、FGF2(bFGF)、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、アンジオポエチン(Angiopoietin)1、アンジオポエチン2、1 5エリスロポエチン、BMP−2、BMP−4、BMP−7、TGF−β、IGF−I、オステオポンチンプレイトロピン(Pleiotropin)、アクチビン、エンドセリン−1、及びその組合せを含むことができる。

0076

NV1FGFは、PDGF−BB発現プラスミドと共に骨格または心筋に注射され、高コレステロール血症または糖尿病環境における側副血行路及び細動脈に優位に形成するのが好ましい。この実施形態は従って、側副血行路及び細動脈を促進する方法であって、PDGF−BBを発現するプラスミド及びNV1FGFを組織の局在領域に有効量運搬して組織の局在領域内で血管形成を誘導する過程を含む方法に関連する。血管形成促進因子は、組織の局在領域へのDNAの運搬に続いて、因子をコードする単離されたDNAからの発現により運搬される。

0077

本発明は、高コレステロール血症及び糖尿病を更に患う患者におけるPAD及びPAOD、CADまたはCHF症状の治療方法にも関連する。

0078

単一または複数の大きな血管閉塞に起因する後肢における障害された灌流は、PADの原因である。初期段階ではこれが歩行時における足の筋肉の不快感を生じさせ、後の段階では潰瘍形成及び壊疽に結び付く(1)。慢性心血管疾患は、内皮機能障害に関与するメカニズムのために、PADなどの虚血性状態を既に患っている患者における増悪因子である(2,3)。PADの実験的モデル発展させるための可能な標的として、高コレステロール血症、高血圧、糖尿病などの病態が調査されてきた(4−7)。にもかかわらず、そのような後肢虚血モデルにおいて重大な点は、後肢虚血の臨床的状況を模倣する試みにおいて血管再生処置の有効性を認めるために自発性血管由来反応を否定することである。

0079

高コレステロール血症の遺伝的モデルは、高コレステロール血症または糖尿病状態における血管由来特性の評価に用いられてきた。しかし、そのような遺伝的モデルでは、単一の受容体ワタナベ遺伝性高脂血症ウサギにおけるLDL受容体欠損)またはタンパク質(糖タンパク質ApoEの欠乏はApoE−/−マウスにおいてVLDL及びIDLレベルの増加を招く)の単一の変化が生じるだけで、実際に病態を再現するわけではない。

0080

対照的に、NV1FGFプラスミドは、患者に見られる病理学的状態に大いに匹敵する動物モデルにおいて高コレステロール血症で誘発される欠損を逆戻りさせるのに効力があることが実証された。実際、病状は、コレステロール血症のPAD患者が直面する状況を模倣するコレステロールに富んだ食餌に起因する全脂質過剰によるものである。

0081

本発明に基づけば、NV1FGFは、PAD患者においてコレステロールに誘導された血管形成機能障害を、側副血管及び細動脈の両方の成長を促進することによって救済するのに効力があることが実証されている。

0082

本発明の更に別の目的は、内皮機能が障害された虚血性組織において側副血行路及び細動脈の両方を促進する方法を提供することである。

0083

以下の実施例に示すように、NV1FGFは、組織への血液の搬送及び輸送が必要な大腿後部の虚血負傷筋肉においてコンダクタンスが大きい成熟血管(150μm以上の側副血管)及び抵抗が小さい動脈(50μm以下の細動脈)の形成を効率的に誘導することができる。そのような成熟血管の誘導は、有害な血管形成異常が高コレステロール血症または糖尿病で誘発されるような最も重症のケースで特に効率的な処置を表す。

0084

側副及び細動脈の両方の成長は、治療的血管形成において特に興味深い。実際、側副は動脈ネットワーク間に橋を形成する血管であり、細動脈は、組織へのまとまったフローを与える経壁細胞(周細胞または平滑筋細胞)により固定された内皮細胞の層を形成する成熟血管である。毛細管ネットワークは、従って、フローの分布を確実にするためにその存在に依存している(Carmeliet et al., Nat. Med., 2000; 6: 389-395; Van Royen et al., Cardiovasc. Res., 2001; 49: 543-553)
本発明の更なる目的は、処置した細胞においてVEGFが上方制御されないことを条件に血管形成を促進する方法を提供することである。

0085

以下に示す例は、NV1FGFの注射の筋肉内投与は注射された筋肉において局所的なマウスVEGF−A誘導を誘発せず、注射されたマウスの循環血液においてマウスVEGF−A分泌を誘発しないことを実証している。これは、VEGF非依存性の経路においてVEGF−A因子を誘導することなく側副血行路及び細動脈を促進するための新たな方法に関連する本発明の重要な側面である。事実、VEGF−Aが乱雑で好ましくない血管形成、浮腫、及び造腫瘍性の可能性など深刻な負の副作用を引き起こすことはよく知られている。

0086

本明細書において、種々の出版物、特許及び特許出願を参照している。本発明が属する最先端分野をより十分に説明するため、これらの出版物、特許及び特許出願の教示及び開示をそのまま引用することを以って本明細書の一部となす。

0087

また、本明細書において例示的な実施形態に開示されている発明の原理は、当業者により多様に実施され得ることが理解及び期待されるであろう。そのような改変、変更、置換は、本特許出願の範囲内に含まれるものとする。

0088

実施例
実施例1:動物及び食餌
実験には11〜12週齢のシリアゴールデンハムスター(n=50)(CERJ, Le Genest St Isle, France)を用いた。動物は、研究実験計画を開始する少なくとも7日前に標準条件慣れさせた。全ての動物は、実験の全期間を通じて自由に水へアクセスできた。全ての動物手順はアベンティス・ファーマ社(Aventis Pharma)の動物使用委員会承認されたものであり、国立衛生研究所(NIH)が出版したガイドライン(NIH publication No. 85-23, revised 1985)に基づき手順を実施した。

0089

実験1では、ハムスター(n=37)を無作為に3つの群に分けた(図1)。低コレステロール(LC)群のハムスター(n=13)に適宜標準固形試料(ref. A04-C,UAR, Epinay-sur-Orge, France)を与えた。高コレステロール(HC)群の処置後21日(HC/21)及び28日 (HC/28)の両群のハムスター(HC/21:n=12;HC/28:n=12)には、3%コレステロール及び15%ココアバターを補充した標準固形試料(ref. 1414C, UAR, Epinay-sur-Orge, France)からできたコレステロールを高めた食餌を毎日動物1匹につき20g与えた。実験2では、ハムスター(n=13)を無作為に2つの群に振り分けた(図1)。生理食塩水群(n=5)とNV1FGF群(n=8)のハムスターには、実験1に記載したコレステロールを高めた食餌を与えた。

0090

実施例2:後肢虚血の誘導
LCまたはHCの食後35日目に、以下の手術手順に従って動物を後肢虚血にした。他の動物種に関連して記載した手順に従って(19,20)、N2O(0.8l.min−1)、O2(0.4l.min−1)及びイソフルオラン(isofluorane)(2%)のガス麻酔下で後肢虚血を誘導した。無菌手術条件下で、鼠径靭帯から膝蓋骨近位にある点まで右後肢の大腿内側部で縦方向切開を行った。この切開を通じて、手術ループを用いて、大腿の動脈をばらばらにし、その主要な分枝を凝固させた。伏在枝と膝窩枝の二股に分かれる遠位の点への外腸骨動脈の分枝として大腿の動脈をその近位の起源から完全に切除した(20)。4.0シルクワイヤにより1つの層で切開を閉じた。

0091

実施例3:後肢骨格筋における遺伝子移入
実験2では、虚血の誘導から14日後に、生理食塩水(n=5)またはNV1FGFをコードするプラスミド(180μgのDNA、n=8)を3回の50μLの注射により、それと知らずに即ち盲検的に与えた。注射は、虚血性肢の頭部脛骨筋(Tibialis cranialis)、内転筋群筋肉、大腿4頭筋のそれぞれに行った。

0092

実施例4:血清中の全コレステロール及びトリグリセリドレベルの測定
手術日から−35日目、−7日目、及び+21日目または+28日目に、N2O(0.8l.min−1)、O2(0.4l.min−1)及びイソフルオラン(2%)のガス麻酔下で、眼窩穿刺によって、HC/21群、HC/28群、生理食塩水群、及びNV1FGF群のハムスターから血液を得た。血清中の全コレステロールレベル及びトリグリセリドレベルは、市販のキット(Olympus Diagnostica GmbH, Hamburg, Germany)を用いて酵素学的に決定した。

0093

実施例5:血管造影による側副血管形成の定量化
虚血の誘導後21日目(HC/21群)または28日目(LC、HC/28、生理食塩水群、及びNV1FGF)に以下の血管造影手順を実施した。

0094

腹大動脈に挿入されたカテーテルを介して〜300μlの造影剤(水に溶かした0.5g.ml−1の硫酸バリウム溶液)を注射した直後、ハムスターをペントバルビタールナトリウムの過剰投与により屠殺した。ハムスターを背側臥位放射線写真装置(モデルMX−20、Faxitron X-ray Corp., Wheeling,IL, USA)に載置し、両肢から脈管構造の死後写真を集めてデジタル化した(software Specimen,DALSAMedOptics, Tucson, AZ, USA)。この放射線写真ステムは、直径150μm以上の血管の可視化を可能にする。処置に盲検的な研究者が上記した専用のソフトウェアを用いて写真をオフラインで分析した(22)
簡単に言えば、虚血性肢及び非虚血性肢の両方に対して、大腿後部側における側副血管の範囲を、分析した面積パーセンテージとして決定した。血管造影スコアを虚血性/非虚血性比のパーセンテージとして計算した。この方法の妥当性チェックするために、後肢虚血になっていない6匹の別々の年齢適合ハムスターにおいて血管造影スコアを評価した。予想通り、右肢/左肢比のパーセンテージとして計算された血管造影スコアは1.04±0.18であり、両肢における類似の血管新生を反映していた。

0095

実施例6:免疫組織化学による細動脈形成の定量化及び高コレステロール血症のハムスターの大腿動脈の切除により後肢虚血に誘導された 典型的な筋肉病
虚血誘導後21日目(HC/21群)または28日目(LC群、HC/28群、生理食塩水群、NV1FGF群)に、虚血性後肢からの骨格筋を回収し、PBS3.7%ホルマリン溶液中に固定した。非虚血性後肢からの筋肉を同様に試料採取し、対照筋肉として用いた。異なる筋肉(大腿薄筋半膜様筋、内転筋群、半腱様筋大腿二頭筋)からなる2つの横断スライスを各大腿の後部分から処理した。スライスを脱水してパラフィン包埋し、免疫組織化学のために5μm厚の切片を準備した。平滑筋α−アクチン(SMA;clone1A4, 200倍希釈, Dako, Carpinteria, CA, USA)に向けられたマウスのモノクローナル抗体は、成熟血管において恒常的に発現されるので、血管平滑筋細胞VSMC)に対するマーカとして用いた。市販のキット(Envision(登録商標)+システム/西洋わさびペルオキシターゼ, Dako, Carpinteria, CA, USA)を用いてアビジンビオチンペルオキシターゼ方法によりSMA抗体を検出した。内転筋群筋肉及び大腿薄筋の両方で、SMA陽性(SMA+)血管をサイズ(外径)によってランク付けし、直径50μm以下の細動脈を計数した。

0096

これらの筋肉は、我々の後肢虚血ハムスターモデルにおいて組織病理学的病変へ、逆には大腿後部側から得た他の筋肉(半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋)への感受性に対して選択されたものである。

0097

大腿の動脈の切除によって誘導される典型的な病変を図2に示す。虚血誘導後28日目に大腿の後部分からの筋肉即ち大腿薄筋及び内転筋群を回収し、HES染色が観察された後に筋肉の5μm厚切片を回収した。図2B及び図2Cはそれぞれ、虚血性筋肉における軽度ネクローシス(破線)及び中心核形成(centronucleation)(矢印)を示す。図2Aは、対照としての病変を有しない非虚血性反対側筋肉の倍率100倍断面を示す。内転筋群筋肉及び大腿薄筋の総面積を決定し、筋肉量に対する虚血への影響を調査した。全筋肉面積に対するSMA+細動脈の数を決定した。両パラメータに対し、その後、虚血性/非虚血性値の比を計算した。処置に盲検的な研究者が全ての手順を実行した。

0098

実施例7:虚血性筋肉におけるNV1FGF遺伝子移入後のFGF−1の発現
実験2では、生理食塩水注射またはNV1FGF遺伝子移入から14日後(即ち虚血の誘導から28日後)、非虚血性及び虚血性肢から得た大腿の後部分からの筋肉(大腿薄筋及び内転筋群)を以下のように処理した。FGF−1発現を検出するために用いられる古典的なストレプトアビジン−ビオチンアッセイを用いてFGF−1免疫組織化学を行った。一次ポリクロナール抗FGF−1ウサギ抗体(reference AB-32-NA, 30倍希釈, R & D Systems, Abingdon, UK)によるインキュベーションの後、ビオチン化ロバ抗ウサギ免疫グロブリン(200倍希釈、Amersham, Buckinghamshire, UK)によるインキュベーションを行った。ストレプトアビジンに結合したペルオキシダーゼを加えた後、色素生産性ジアミノベンジジン基質を用いて免疫複合体局在化させた。5μm厚の切片をヘマトキシリンにより対比染色し、脱水して、永久封入剤により封入した。顕微鏡(Axioplan 2, Zeiss, Hallbergmoos, Germany)下で免疫反応性線維を同定した(褐色染色)。

0099

統計分析
結果を平均値SDとして表す。統計学的な有意性はP<0.05で想定した。

0100

実験1では、HC/21及びHC/28群における血清脂質レベルを種々の時点でANOVAにより比較し、任意の2つの値の比較のためにチューキークレーマー(Tukey-Kramer)事後テストを行った。LC、HC/21及びHC/28群において計算した血管造影スコアをANOVAにより比較し、チューキー・クレーマー事後テストを行った。HC/21群及びHC/28群において、非虚血性及び虚血性の筋肉面積値及びSMA陽性細動脈の数と対応する比を不対t検定によって比較した。

0101

実験2では、生理食塩水及びNV1FGF群おける血清脂質レベルを種々の時点でANOVAにより比較し、任意の2つの値の比較のためにチューキー・クレーマー事後テストを行った。生理食塩水及びNV1FGF群において、血管造影スコア、非虚血性及び虚血性の筋肉面積値及びSMA陽性細動脈の数と対応する比を不対t検定によって比較した。

0102

実施例8:低コレステロール及びコレステロールに富んだ食餌における血清脂質の測定
実験1及び実験2における、コレステロールに富んだ食餌を与える前(−35日目)及び食餌変更後の種々の時点(−7日目及び+21日目または+28日目)での血清脂質レベルをそれぞれ表1、表2にまとめた。コレステロールに富んだ食餌は、全コレステロールレベル及びトリグリセリド血清レベルの両方で時間依存増加をもたらした。

0103

実施例9:後肢虚血後の側副性発生及び細動脈密度に対するコレステロールに富んだ食餌の効果(実験1)
図3に示すように、後肢虚血から28日後の側副形成はLC群において高く(図3A)、血管造影スコアは0.93±0.45になった(図3D)。

0104

逆に、両HC群において側副の形成は後肢虚血後21日目または28日目に格段に障害され、血管造影スコアはそれぞれ0.35±0.38、0.37±0.21に減少した(図3B及び図3Cを参照)。血管造影スコアの減少は、両HC群においてLC群に比較して顕著であった(P<0.01)。にもかかわらず、血管造影スコアは、図3Dに示すようにHC/21とHC/28群で異なっていなかった(P>0.05)。

0105

図4A乃至図4Dは、虚血の誘導後21日目または28日目に回収された非虚血性及び虚血性筋肉(内転筋群及び大腿薄筋)からの平滑筋α−アクチン(SMA)免疫組織化学により標識された成熟血管の倍率100倍の代表的な断面と、筋肉面積及び50μm以下のSMA陽性細動脈の定量化を示す。

0106

図4E乃至図4Fに示されるように、虚血から21日後(P<0.01)に非虚血性肢に比べて虚血性肢における内転筋群及び大腿薄筋の面積が減少した。統計学的な有意性(P=0.0538)には到達しなかったが、後肢虚血から28日後に同じ傾向が見られた。更に、虚血後21日目と28日目の両方で、非虚血性肢に比べて虚血性肢における50μm以下の細動脈の数が有意に減少した(p<0.01)。細動脈密度計算の中間ステップにおける有意性のこれらの統計学的レベルに拘らず、食餌変更の開始から21日後と28日後で密度自体は異なっていなかった。筋肉面積と、SMA+細動脈と、虚血性/非虚血性肢の比で表される細動脈密度は、21日目と28日目で異なっていなかった。

0107

これらの結果は、後肢虚血から21日後と28日後に高コレステロール血症が側副血管、血管造影により定量化される巨大及び微小血管レベルの両方での慢性血管由来疾患、及び組織学的方法により同じ程度まで定量化される50μm以下の細動脈発生の阻害を誘導することをはっきり示している(図2B及び図2C)。

0108

更に、我々のモデルに適用された脂質過剰が上昇し、内皮機能障害及び後肢虚血後の血管形成反応における欠損をはっきり生じさせるので、この研究に用いた高コレステロール血症のハムスターは特に重症のモデルを与える。更に、コレステロールに富んだ食餌の開始から4週間後にハムスターから回収した動脈の組織病理学的分析を行ったところ、泡沫細胞の存在が明らかになった。更に、後肢虚血からの回復期間中に持続する全コレステロール及びトリグリセリドレベルの連続的な増加があり、それにより、モデルを載置することは内皮機能障害及び血管形成異常の重症度において最悪のシナリオである。

0109

実施例10:高コレステロール血症のハムスターにおける筋肉内投与から14日後(即ち後肢虚血後28日)の側副性発生及び細動脈密度に対するNV1FGF遺伝子移入の効果(実験2)
図5Bに示すように、後肢虚血の誘導から14日後の筋肉内のNV1FGF遺伝子移入は、生理食塩水で処置したハムスター(図5A)に比べ、虚血性肢における側副形成を大いに促進した。また、NV1FGF遺伝子移入後の血管造影スコア(0.75±0.47)は、生理食塩水で処置したハムスターのもの(0.22±0.05)より実際に有意に高かった(p<0.01)。

0110

図6A及び図6Bは、生理食塩水及びNV1FGFで処置したハムスターの虚血性筋肉からの平滑筋α−アクチン(SMA)免疫組織化学により標識された成熟血管を示す代表的な断面(100倍に拡大)であり、筋肉面積及び50μm以下のSMA陽性細動脈について定量化した。

0111

生理食塩水群及びNV1FGF群の両群において、虚血性肢における(それぞれP=0.2404、P=0.0846)内転筋群及び大腿薄筋の面積減少が観察された。図6C及び図6Dに示すように、虚血性/非虚血性肢の比で表される筋肉面積は、生理食塩水群及びNV1FGF群(P=0.4584)において類似していた。生理食塩水で処置した動物において、非虚血性肢に比べて虚血性肢において50μm以下の細動脈の数は有意に減少した(P=0.0333)。NV1FGF群においては、差は有意ではなかった(P=0.1347)。虚血性/非虚血性肢の比を計算することにより、生理食塩水(P=0.0187)と比べてNV1FGFで処置した筋肉において統計学的に高い値が明らかになった。にもかかわらず、どの処置群(生理食塩水、NV1FGFに対してそれぞれP=0.9320、P=0.1586)の非虚血性肢及び虚血性肢からの筋肉においても、細動脈密度は異なっていなかった。虚血性/非虚血性肢の比で表される細動脈密度は、生理食塩水群とNV1FGF群とで異なっていなかった(P=0.2724)。

0112

実施例11:NV1FGF遺伝子移入後の虚血性筋肉におけるFGF−1の発現
VEGFまたはFGF−2など他の血管由来因子を含む遺伝子治療とは対照的に、発明者は、FGF−1の発現がNV1FGFで処置した動物の虚血性筋肉に有利に制限されることを証明した。

0113

また、非虚血性(反対側)の注射されていない肢(図7A)及び生理食塩水(図7B)またはNV1FGF(図7C)を注射した虚血性肢から得た大腿の後部分からの筋肉(大腿薄筋及び内転筋群)における抗FGF−1ポリクロナール抗体での免疫組織化学的染色の代表的な写真(100倍に拡大)が示すように、生理食塩水で処置した動物の虚血性筋肉においても生理食塩水及びNV1FGFで処置した動物の非虚血性(反対側)筋肉においてもFGF−1の発現は驚いたことに検出できなかった。これは、成熟血管の形成による持続した血管由来反応をもたらすのに十分な治療的空白内で、しかし散在性及び乱雑な血管形成または負の副作用を許容しない濃度で、コードされたFGF−1タンパク質の徐放を可能にするプラスミドNV1FGFの優れた特性をはっきりと示している。NV1FGFは従って、処置筋肉において検出不可能な濃度で血管形成を効率的に促進することができ、従って、治療的空白及び悪化した内皮機能障害によって特徴付けられる条件に含まれるNV1FGFの濃度の使用を可能にするので、特に効力があることが証明された。安全性及び効力の点でそのような優れた特徴に起因して、NV1FGFは、高コレステロール血症または糖尿病により引き起こされた悪化した状態における血管形成治療として用いられ得るので有利である。

0114

これらの結果は、NV1FGF遺伝子治療が側副血管及び細動脈の増加によって障害されたものを救済することができることをはっきり示している。事実上、150μm以上の側副血管の成長が血管造影的に証明され、50μm以下の細動脈の成長が、大腿二頭筋、内転筋群、大腿薄筋、半膜様筋、及び半腱様筋を含む大腿後部における免疫組織化学によって証明された。期せずして本件出願人は、血管造影スコアによって際立たせたように(図5C)、NV1FGF遺伝子移入から14日後、側副血管の形成がこの領域へ著しく刺激されることを実証した。

0115

大腿の動脈切除後にその領域に虚血が生じると主張するために組織酸素付加のin situ測定を行ってはいないが、中心核形成、ジストロフィー、ネクローシス、炎症など組織学的病変の存在は明らかになった(図2)。より正確には、これらの病変は内転筋群筋肉及び大腿薄筋に限定され、大腿二頭筋、半膜様筋、及び半腱様筋には病変の傾向はなかった。従って、50μm以下の細動脈の定量化は、専ら、内転筋管のすぐ上の内転筋群筋肉及び大腿薄筋において行った。図6Dに示されるように、NV1FGF遺伝子移入が虚血性肢のこれらの筋肉への細動脈の絶対数を増加させた。

0116

従って、これらのデータは、組織への血液の搬送及び輸送が必要な大腿後部の虚血負傷筋肉においてコンダクタンスが大きい成熟血管(150μm以上の側副血管)及び抵抗が小さい動脈(50μm以下の細動脈)の形成を誘導するためのNV1FGFの能力を疑いなく実証している。

0117

実施例12:NV1FGFで処置した筋肉におけるVEGF−A誘導の不存在
この実験の目的は、マウスにおけるラットFGF−1をコードする裸のDNAの筋肉内(IM)投与に続くVEGF−A誘導をin vivoで評価することであった。マウスVEGF−A(mVEGF−A)循環レベルと局所遺伝子発現の両方を調査した。循環レベルをELISAによってIM投与後3日及び7日間測定し、7日目まで2つのアッセイ、即ち、タンパク質に対する免疫組織化学(IHC)と、リアルタイム転写ポリメラーゼ連鎖反応法RTPCR)によるmRNAの検出とを用いて局所mVEGF−A遺伝子発現を調査した。

0118

この研究には、40匹のメスのマウスを用いた。群1乃至3(1群につきn=8)にはそれぞれpCOR-CMV.rat-spFGF-1、pCOR-CMV.Empty(FGF−1遺伝子なし)またはNaCl0.9%を右左両方の頭部脛骨筋にIM投与した。pCOR-CMV.rat-spFGF-1は、ヒトFGF−1が対応するラット由来のコード配列に置換されたNV1FGFプラスミドに対応する。注射された筋肉を投薬後7日目に回収し、mVEGF−A及びFGF−1免疫組織化学(右筋肉)またはmVEGF−AリアルタイムRT−PCR(左筋肉)のために処理した。群1乃至3において、新たに調製した血清サンプルにおいてmVEGF−AのELISA検出を行うために、投与後3日目(D3)及び7日目(D7)に血液を収集した。

0119

図8に示すように、pCOR-CMV.Empty I(図8B)にもNaCl を注射した筋肉(図8C)にもFGF−1陽性筋線維は検出されなかった。pCOR-CMV.sp-ratFGF-1を注射した筋肉(図8E)に対して、筋線維/切片を発現する25FGF−1の平均値を確立した。

0120

免疫組織化学を用いて、両対照筋肉群(NaCl及びpCOR-CMV.Empty)に類似かつ淡いmVEGF−A標識が観察された。これはmVEGF−Aの内因性発現を示している。筋線維内に局在させた免疫染色はモザイクパターンを示したが、これは他よりも強く標識された線維があったためである。pCOR-CMV.rat-spFGF-1を注射した筋肉において、pCOR-CMV.EmptyまたはNaClを注射した筋肉に比べて投与後D7によるmVEGF−A免疫標識の増加は見られなかった(図8D)。同じ免疫染色のモザイクパターンは見られた。

0121

リアルタイムRT−PCR技術を用いて、pCOR-CMV.Empty及びNaClで処置した筋肉において類似レベルのmVEGF−AmRNA発現が証明された(全RNAの2ng当たり6.84×103及び4.31×103のcDNAコピー)。これは内因性mVEGF−A発現を示している。pCOR-CMV.sp-ratFGF-1を注射した筋肉において、pCOR-CMV.EmptyまたはNaClを注射した筋肉に比べて投薬後7日目(D7)までにmVEGF−AmRNAレベルの増加は見られなかった(全RNAの2ng当たり6.51×103cDNAコピー)。

0122

これらの結果は、pCOR-CMV.rat-spFGF-1を筋肉内投与しても注射された筋肉に局所mVEGF−A誘導をもたらさず、注射されたマウスの循環血液中にmVEGF−A分泌をもたらさなかったことをはっきりと示している。

0123

実施例13:高コレステロール血症のワタナベウサギ冠動脈疾患動物モデル
可能性のある処置としての遺伝子治療産物の確認は、その生物学的活性に部分的に依存している。それを評価するために、被選択動物モデルは、解剖学的構造及び機能に関する限り模倣するヒト疾患にできるだけ近いものであるべきである。

0124

解剖学的関連性は、用いる種に基づいた。冠状動脈ネットワークに関する限り、ヒトの心臓にできるだけ近いものであるべきである。更に、種々の技術ステップが容易になるので種は大きければ大きいほどよい。他方、費用、取扱い設備動物状態偶然性、動物設備適応性などの因子も考慮した。この研究で見つけられた最も良い妥協案はウサギである。ウサギは、取扱い及び固定が容易な程度に小さく、特定の動脈の良好なスポッティング、正確な冠動脈造影、種々の解剖学的及び機能的事項のヒト様比較が可能な程度に大きい。

0125

実際、機能的関連性はここでは動物の能力に基づいたが、これはヒト側の対応部(counterpart)即ち高コレステロール血症に関連する血管由来欠損にできるだけ近い病態を作り出すためである。

0126

ヒトにおける高コレステロール血症は、血管内皮機能障害と、究極的には主要な冠動脈の進行性狭小化を引き起こす。休息時と負荷時の冠状動脈血流の不均衡が、痛み及び低収縮性につながる密かな心筋機能不全を引き起こす。通常、供給は休息時には適切であるが、負荷が生じると、需要が高まる一方で冠状動脈の閉塞性病変により供給は不可能になる。このヒト病理学を模倣する目的が主要な冠動脈上での狭窄の設定及びこの狭窄により負荷時に生み出される不均衡を明らかにするための負荷試験の使用の両方につながる理由はここにある。

0127

従って、LDL受容体欠損であるがゆえに冠状動脈のアテロームにつながるような自発性アテローム性動脈硬化症を発現するワタナベ遺伝性高脂血症ウサギ(WHHR)を用いて、開胸手術中に虚血を評価し、虚血性状態に対するNV1FGFの心筋内注射の効果を評価した。

0128

全ての実験の扱いは、動物管理委員会に承認され、NIHの実験動物の管理と使用に関するガイドラインに適合した実験計画に基づいた。

0129

体重3000〜3500gの1齢のWHHウサギをコバンス社(Covance, PO Box 7200, Denver, PA, 17517, USA)から入手した。

0130

使用前少なくとも8日間は、良好な動物管理慣習に基づき全ての動物を動物小屋に保持した。この期間を通じて、1匹ずつ檻に入れ、エサ(112C type fromUAR)及び適切にろ過された飲料水に自由にアクセスできるようにした。動物小屋は、大気温度20〜24□、湿度35〜75%にセットし、12時間の明暗サイクル(午前6時に点灯)を維持した。

0131

ワタナベウサギは、野生型動物に比べてコレステロールレベルが7〜10倍高く、トリグリセリドレベルが正常より4〜5倍高かった。

0132

屠殺後、そのうちの4匹をオイルレッドO染色した。オイルレッドOは、大動脈、冠状動脈の口及び僧帽弁における脂質プラークの存在を証明する。

0133

更に、これらのうちの1つを組織学的分析に送った。回旋冠動脈のHES染色切片の顕微鏡検査は、2匹の研究用ウサギの一方(ウサギ番号CAD98R2、図9Bを参照)において管腔の約15%をカバーしているアテローム斑を同定した。

0134

ワタナベ遺伝性高脂血症ウサギは、2つの興味深い性質を有していた。1つはウサギの心臓サイズが複数回の心筋内注射に十分適合していたことであり、1つはウサギの冠状動脈ネットワークの所々にアテローム斑があったことである。麻酔下でのドブタミン負荷試験を行うと顕著な虚血パターンが見られる一方で、(正常なECG及び正常な収縮性により評価される)冠状動脈血流が休息中に正常である理由は、後者の性質により説明される。

0135

つまり、両分析、例えば心電図検査及び心臓エコー検査は、負荷時に、例えばSTの低下または減動(hypokinesis)などそのヒト側の対応部との比較が可能な徴候を証明する。

0136

実施例14:手術
直接注射によって遺伝子治療産物を心筋に届けるために手術を用いる。無菌条件下で手術手順を行った。ケタミン(70mg/Kg)とキシラジン(7mg/Kg)の混合物を麻酔下で動物に筋肉内注射した(1ml/Kg)。気管内挿管を容易にするために剃毛後に動物の咽頭リドカイン5%スプレーにより蒸気を与え、実験を通じて以下の条件で人工呼吸器(Siemens, Servo Ventilator 900D)により麻酔を維持した。

0137

ガス注入量:1,4L/分
ガス抜き頻度:40/分
ハロタン:0.4〜0.6%
酸素:30〜35%
5%のグルコースが動物の中を連続的に潅流するように、辺縁静脈のカニューレ挿入を行った。手術行為を通じて安定したリズムを確実にするためにECGによるモニタリングを用いた。第四肋間腔で左開胸を行った。心膜を開いた後、心臓をプラスミド注射のために曝した。

0138

自作の針により、即ち短い斜端針BD(26G3/8)が固定されたステリフレックス(Steriflex)G19カテーテル(ref: 167.10)に接続された250μlのハミルトン注射器により、左心室自由壁上の13の異なる位置に注射を行った。1つの位置につき1mg/mlのプラスミド溶液を25μl注射した。各注射位置図1Aに示す。

0139

注射後、ドレインチューブ胸腔に配置し、2本のMersurtures(登録商標)(1.0)縫合糸肋骨を隣り合わせに置いた。動物が覚醒するまでハロタンを止め、酸素を維持した。胸部を閉じる間中、ドレナージを200〜400mbar付近に設定した。筋肉の2つの層をバイクリル(登録商標)(4.0)縫合糸により閉じた。その後、Suturamide(2/0)縫合糸により皮膚を縫合した。ドレインチューブを引き抜く直前に胸部全体でが十分に膨らむように、最後の縫合が終わった時点でかつドレインチューブの除去前に、人工呼吸器の助けを借りて肺における終末呼気陽圧(PEEP)を増加させた。

0140

傷にベータダインゲルを塗布し、包帯巻回した。動物が覚醒したとき、人工呼吸器を停止させた。

0141

実施例15:手術後の処置
動物が覚醒したらすぐに、以下の化合物を注射した。

0142

手術中及び手術後に冠動脈の潜在的な血栓症を避けるための凝集阻止及び血液凝固阻止:
0.375mlのベタジン(Vetalgine)(手術の1日前及びその後5日間):筋肉内注射
0.1mlのヘパリン(手術の翌日から4日間):皮下注射
感染予防のためのスペクトルの大きな抗生物質:
0.2mlのバイトリル(Baytril)2%(5日間):皮下注射
動物がつらい手術行為に耐えるように強力な鎮痛薬
0.5mlのモルヒネ(2日間):皮下注射
実施例16:心電図検査
心電図検査をヒト側の対応部になるべく近づけて設定した。4つの電極四肢にセットし、6つ(V1からV6)を前胸部にセットした。古典的な十二誘導ECGを心電計(HP Pagewriter II 4565A)に記録した。ECGの使用により、(1)手術中の心臓リズム、(2)ドブタミン負荷試験中の心臓リズム、(3)心筋梗塞の検出、及び(4)虚血の徴候の検出をモニターすることが可能になった。

0143

4.1手術中の心臓リズムのモニタリング
全身麻酔を伴う開胸手術は、潜在的に、ECGモニタリングにより検出可能な種々の手術毎の問題につながることがある。徐脈アトロピン注射によって処置し、不整脈はリドカイン0.5%注射(0.5〜1ml)によって処置し、心臓の停止はイソプレナリンを含む高エネルギー心肺蘇生によって処置した。

0144

4.2ドブタミン負荷試験の心臓リズムのモニタリング
ドブタミンの主な薬理学的効果がその変力作用であったとしても、この産物は変時性のようでもあり、よって、心臓リズムの増加が負荷試験をモニターする最も簡単な方法であるように見えた。

0145

4.3心筋梗塞の検出
最も重要な部分ではそれぞれがp波、q波、r波、s波の連続したものであるような一連の拍動として心臓の電気活性を記録した。p波を試験活性の証拠として用い、qr波を合成したものを心室活性の証拠として用い、t波を再分極のマーカとして用いた。

0146

ヒトにおける心筋梗塞の最も古典的なECGサインは、深くかつ大きなq波である。一連の診査用ウサギの分析はほとんどのウサギにおいて冠動脈を機械的に閉じたときにそのようなq波の存在を示すので、ウサギの並列実験は可能であった。

0147

4.4虚血の徴候の検出
この密かな現象は、休息中に通常見られるものではなかった。負荷試験中、種々の変化が表れた。ウサギの心臓が同一の機械的/科学的負荷を与えたときに同一の電気的パターンを示すと仮定した。事実、ヒトにおける実際の虚血は、STセグメントの上昇またはT波の低下または/及び反転をもたらす(図10)。2つの主要なサインは、ヒトの負荷試験中、図10に示したようなSTセグメントの低下と負の深いT波である。そのウサギ側の対応部の例を図11に示す。

0148

虚血サインのスコアリング方法図12に示した。図12に示されるような各誘導に対する0ポイント(正常なECG)から3ポイント(著しい虚血)までのスコアが与えられ、記録された。誘導における有意な偏差の存在は、偏差が見られる誘導の数として重要であった。従って、先ず全スコアの合計を記録し、次に特定のECGに見られた最も高いスコアのみを保持し、虚血性動物の包括のために用いた。唯一除外基準は、経壁ネクローシスを示すq波(1マスより大きく、3マスより深い)の存在であった。

0149

休息中の典型的な標準十二誘導ECGを図13Aに示した。同一の動物は、最大負荷で(図13Bを参照)I、II、aVF、V1、V2、V3、V4誘導において有意な下向き勾配の低下と、III、V5及びV6誘導において有意でない低下を示した。この特定のECGは、非常に強い虚血を示した。

0150

結論的には、ECGは、除外基準(即ちネクローシス)または包含基準(ドブタミンに対する虚血性反応)のいずれかを検出するための、最初に行うのに最も良い方法であった。

0151

実施例17:心臓エコー検査
アキュソンセコイア256(Acuson Sequoia 256)及び線形8L5 8MHプローブを用いて心筋収縮性を評価した。小型ウサギの胸部域がこの特定の分析においてこの表在プローブを用いるに耐えるものだったからである。

0152

各動物に対して、手術前に1回、その後負荷試験前と負荷試験中に毎週、心臓エコー検査を実施した。各ケースでは、長軸及び短軸の両軸において、できるだけ多くのセグメント次々に心臓の全体的な速度論的挙動検査した。その後、長軸において最大径をスポッティングし、左心室の正常な挙動を確実にするために装置をMモード切り替えた。

0153

負荷試験の各ステップにおいて類似の2D分析を行った。検出された異常性を記録して更に評価した。位置は下記(図14)の命名法を用いて書き留め、欠損のタイプの格付けは、正常なものに対しては1、減動(hypokinesy)に対しては2、無動(akinesy)に対しては3、運動障害(dyskinesy)に対しては4とした。欠損の存在が疑わしいときは、Mモードを用いて肥大割合を格付けした。その後、全てのセグメントが正常な肥大割合(30%以上)を有すれば1、減動(1若しくは複数のセグメント30%以下)を有すれば2、無動(少なくとも1つのセグメントに肥大なし)を有すれば3、運動障害(1つのセグメントが負の肥大割合、即ち収縮期中に心筋が拡大)を有すれば4として配列をスコア化した。

0154

最も高い欠損スコアのみを最終分析のために保持した。

0155

実施例18:ドブタミン負荷試験
この試験は、負荷状態への心臓の反応を模倣するためにその変力性及び変時性特性によりドブタミンを用いた。虚血は、通常は負荷中に生じる密かな現象であるので、心臓エコー検査により証明されるようなECG上の電気サイン及び心筋収縮性に対するその結果を検出してそれを明かした。試験の技術的ステップは以下の通りである。

0156

麻酔:イソフルランは休息中の心拍数を高くするイソフルランを処分した。アトロピンの付加は心室転位症出現をもたらすので、ハロタンを処分した。従って、心拍数増加のカイネティクスが良好なキシラジン−ケタミンを選択した。

0157

アトロピン:0.5mg/Kgのアトロピン硝酸メチル予備的ステップとして耳カテーテルに注射した。ある程度の心拍数増加をもたらす硫酸アトロピンを処分した。

0158

用量のスケールアップ初回投与は2μg/Kg/分であった。3分毎に用量を5、10、20、30、及び40μg/Kg/分に増加させた。最大心臓に達していなければ、最終用量は80μg/Kg/分のにした。

0159

ステップ毎にECG及び心臓エコー検査を記録した。麻酔下のウサギの心拍数は、休息中203±22(n=61試験)、40μg/Kg/分で280±31(n=59)、80μg/Kg/分で299±19(n=29)であった。心拍数が40μg/kg/分で300bpm以下のときにのみ40から80に上げる決定をした。

0160

結論的には、この試験を用いて、化学的負荷中の心筋の挙動が分かるようにし、従って、心臓の虚血性切片を明らかにした。

0161

実施例19:アテローム斑、耐性及びFGF−1発現の組織学的分析検出
実験の最後に、アテローム斑が存在するかどうか2匹のウサギの回旋冠動脈を検査した。心臓を取り除き、回旋冠動脈の上部を含む左心室のサンプルを解剖して更なる分析のためにPBS緩衝3.7%ホルマリンに浸漬した。各サンプルをパラフィンに包埋した。各300μmから5μm切片を作成し、顕微鏡検査のためにヘマトキシリン−エロシンサフラン(Hematoxilin-Eosin-Saffron:HES)で染色した。

0162

2匹の他のウサギを用いて、左心室壁にFGF−1をコードするプラスミドを注射することの効率及び安全性を評価した。後者を3日目に安楽死させ、心臓を取り除いて洗浄し、前壁を観察してホルマリンに1時間保持した。その後、それを5つのサンプルに分け、それぞれを3.7%PBS緩衝ホルマリン中に一晩固定してからパラフィンに包埋した。

0163

各心臓に対し、肉眼的病変を示すか或いは注射部位を含むと推定された5つのサンプルを収集し、3.7%PBS緩衝ホルマリン中に一晩固定してからパラフィンに包埋した。

0164

スライド試料には標準化された手順を用いた。各ブロックから2つの5μmの連続切片を作成した。一方の切片を組織病理学的検査のためにヘマトキシリン−エロシン−サフラン(HES)で染色し、他方の切片をFGF−1免疫組織化学(IHC)のために処理した。針及びベクター注射に関連する組織学的変化の存在により、注射部位をHES染色切片上で同定した。古典的なストレプトアビジン−ビオチンアッセイを用いてIHC手順を行った。一次ポリクロナール抗FGF−1ウサギ抗体(R&D Systems; #AB-32-NA, 30倍希釈)によるインキュベーションの後、ビオチン化ロバ抗ウサギ免疫グロブリン(Amersham, 200倍希釈)によるインキュベーションを行った。ストレプトアビジンに結合したペルオキシダーゼを加えた後、色素生産性ジアミノベンジジン基質を用いて免疫複合体を局在化させた。切片をによりヘマトキシリン対比染色し、脱水して永久封入剤により封入した。この方法により、免疫反応性線維は褐色に、核は青色に見えた。ウサギ筋肉におけるFGF−1IHCアッセイの以前の確認は、ウサギ組織サンプルに抗ウサギ二次抗体を用いたときでさえも、筋線維におけるFGF−1導入遺伝子検出能力を実証した。陰性対照一次抗体を省略するが二次抗体を用いる)を用いて特定の免疫反応性に対する非特異的染色(主として細胞外の)を区別した。更に、アッセイ中のFGF−1IHCの動作制御は以前に高レベルのFGF−1発現を示したラット筋肉からの陽性切片(スライドP1056GNR2、研究PAD31.2001)を用いて行った。免疫反応性線維を同定して顕微鏡(Zeiss, Axioplan 2)下で計数した。所与の免疫反応性細胞数は、各注射部位の周辺に見られた免疫反応性心筋線維の数であった。

0165

実施例20:高コレステロール血症環境における治療的血管形成の実証
1歳齢のオスのワタナベウサギを全部で16匹用いて、高コレステロール血症に関連する心筋虚血の逆戻りに対するNV1FGFの有効性を評価した。更に、2匹のニュージーランドウサギに同一の手術手順を施し、3日目に発現分析のために屠殺した。

0166

20.1/FGF−1発現評価及び組織病理学的パターン
2匹の健康なニュージーランドウサギを手術手順及びNV1FGFの注射後3日目に屠殺した。各心臓から分析した5つのサンプル内に5及び7つの注射部位を局在化したので、ベクター注射に関連する組織病理学的変化の評価を成功裏に達成した。2つの注射間の距離に対応する6〜10mmだけ離れた、最大3つの異なる注射部位を証明するサンプルがあった。心筋病変は、ほぼ線形で、活性慢性炎症反応を伴うネクローシス及び変性にあった(図15Aを参照)。心膜下で限定された心膜炎を示唆するリンパ球拡散浸潤を示すサンプルもあった。個々の結果を表3に示す。

0167

NV1FGFの心筋内注射から3日後、注射部位を示す全てのサンプルにおいてFGF−1免疫反応性筋線維を検出した。発現は、組織学的病変の周辺に限ると、注射部位当たり3乃至36の陽性心筋線維であった(図15Bを参照)。個々の結果を表3に示す。

0168

結論的には、健康なウサギの心筋内にNV1FGFを直接注射してから3日後、筋線維変性及びそれに続く炎症反応が見られた。そのような初期時点で、病変の重症度及びタイプは、導入遺伝子をコードしない裸のDNAプラスミドを注射した後にブタの心筋で観察されたものと類似していたので、組織学的ダメージはNV1FGFに非特異と考えられた。

0169

注射部位を示す全てのサンプルにFGF−1発現が見られたとき、NV1FGFの心筋内注射に対してウサギの心臓における導入遺伝子発現の効率を確立した。注射部位当たりの免疫反応性筋線維の数を考慮すると、ウサギにおける1注射部位がラットの心臓における単回注射に等しいと仮定すれば、発現のレベルは同量のNV1FGFの心筋内注射後にラットの心臓で観察されたものと類似していた。

0170

20.2/注射されたワタナベウサギの心電図パターン
この研究には16匹のウサギを用いた。それぞれの動物に対し、手術前及びその後4週間毎週、負荷試験を行った。観察された最も高いスコアを両群に対してプロットした(空の(empty)プラスミドを注射した動物は青色、NV1FGFを注射した動物はピンク色)。7日目になるとすぐにNV1FGF群のほとんどの動物はより低いスコアを獲得し、処置下で虚血が消失する傾向にあることが示された。他方、空の処置群のほとんどの動物は、深く虚血性のままであった(最大虚血性スコアは3)。

0171

図16に示した結果は、空のプラスミド(個々の結果は青色の小さな丸、平均は青色の柱)またはNV1FGFプラスミド(個々の結果は赤色の小さな丸、平均はピンク色の柱)で処置したウサギに対する負荷試験中に最大ECGスコアの進展を示した。NV1FGFプラスミドの処置は、虚血性サイズの意図した効果を生ずる有意な減少をはっきり示した。

0172

7日目から開始し、統計分析(不対t検定)は両群間で有意な差を示した(*に対してp<0.05、**に対してp<0.01)。これは、負荷時に虚血性心電図パターンの回帰にFGF−1が存在する効果を示している。

0173

20.3/注射されたワタナベウサギの心エコーパターン
第1のステップは、定性評価分類正常、減動、無動)と定量分析部分壁肥大)との対応の正確さを確認することである。30のセグメントを分析したところ、16が正常、14が異常であることが分かった。その後、その部分壁肥大を計算し、対応を図17に示した。

0174

図から分かるように、2つの組の重複は非常に狭く、視覚的評価がかなり妥当であることを示している。異常なセグメントには、1つの運動障害のセグメント(肥大割合は良好だが動きが異常)及び3つの無動セグメントが含まれ、そのうち1つは収縮期により薄くすらなるものであった。続いて、我々が正常及び減動/無動として認定したのは妥当であり、従って、心筋の動態の二次的な、より広範な評価が可能になると考えられた。

0175

第2のステップは、各負荷試験における心エコーの評価にECGの結果を相関させることであった。結果を図18にプロットした。回帰曲線を赤色で示した。これは、異常なECGが異常なエコー凡そ相関することを示している。2つの影付き領域は主な2組のデータ、即ち、normokinesisエコー及び正常な/僅かに虚血性のECGと、異常なエコー(hypokinesis及びakinesis)及び非常に虚血性のECG(スコア3)を表す。

0176

虚血性ECGが正常なエコーに対応する6つの点は、あらゆる試験に対して良いクリップを得ることの技術的困難さであり、エコーの欠損が見当たらなかったことを恐らく示している。他方、エコー欠損を伴う僅かに虚血性のECGを示したのは3つの試験のみであった。異常なエコーと相関する正常なECGはなく、ECGに対する良好な感受性が示された。

0177

第3のステップでは、4つの処置動物の2つの群における心臓エコー検査の進展が続いた。スコアの格付けは、1(正常)、2(減動)または3(無動)とした。この組の動物には運動障害セグメントが見られなかった。表4に生データをプロットした。この表から分かるように、基線値は異なっていた(平均値2.25対1.5)。従って、各基線値を用いて組全体を100%に基準化した。次に、各動物に対する以下の点をこの基線のパーセンテージとして表した。最終的な図形を図19に示した。

0178

NV1FGFで処置した動物のスコアは空のプラスミドで処置した動物のスコアより有意に低かった(不対t検定による分析)。空のプラスミドで処置した動物のスコアが増大している一方で、心筋収縮性へのFGF−1の存在の効果を示している。

0179

最終屠殺ステップとして含まれる他の技術分析についてはここでは詳述していないので、28日目のこれらの動物に対するエコー記録は入手できなかったことに留意されたい。

0180

図19に示した結果は、心筋に複数回NV1FGFを注射した処置動物がECG及び心臓エコー検査の両方で負荷時に虚血パターンの回帰に至る一方で、空のプラスミド注射ではそうはならないことをはっきりと示した。これらの結果は、NV1FGF効果が高コレステロール血症環境において心臓を負荷状態に適合させるのに役立つこともはっきりと示した。

0181

実施例21:NV1FGFで処置した心筋における細動脈の誘導の実証
21.1/動物
この研究には成体オス小型ブタ(30kg)を用いた。全部で34匹の動物(n=8各処置群及び対照群において期待される最後、全部で4群)を用いた。動物を標準条件下で小屋に入れ、普通の食餌を与えた。全ての手順及び実験計画はデューク大学(Duke University)の動物管理委員会に承認されたものである。動物達は、米国医学研究学会(the National Society for Medical Research)がまとめた「Principles of Laboratory Animal Care」及び米国実験動物資源協会(the Institute of Laboratory Animal Resources)が作成し国立衛生研究所が出版した「実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)」(NIH publication No. 85-23, revised 1985)に従って人道的世話を受けた。

0182

動物に麻酔及び経口気管内挿管を行った。手順を通じて連続的な心電図及び脈拍酸素測定モニタリングを用い、安定した心臓リズム及び酸化を確実にした。無菌状態で、第四肋間腔から左前外側の開胸を実施した。心膜を縦方向に単離し、左心耳を引っ込めて左回旋(LCx)動脈の暴露を可能にした。血管の周囲に水圧オクルダー及び2mmの超音波フロープローブ(Transonic Systems, Inc., Ithaca, NY)を自由に載置できるように近位のLCxを解剖した。LCxを通る下流フローを記録するために、フロープローブをオクルダーから遠位に載置した。その後、別々の穿刺による切開によりオクルダー及びフロープローブを体外に出した。20フレンチ胸腔チューブを配置し、層の傷を閉じた。手順の終わりに胸腔チューブを除去した。術後3日目にオクルダーを膨らませ、移植されたフロープローブを用いて評価される基線の約10%までLCx中の安静時血流を減少させた。生理学的評価の前に同程度の血管閉塞を確実にするために週に3回実施された血流記録と共に動物を低フロー状態に2週間保持した。

0183

21.2/ポジトロン放出断層撮影、ドブタミン負荷心臓エコー検査及び有色ミクロスフェア
低フロー状態で32±11日後、心臓の血流、代謝性及び機能性状態を特徴付け、LCx分布における虚血性の生存可能な心筋の存在を記録するために、動物のポジトロン放出断層撮影(PET)及びドブタミン負荷心臓エコー検査(DSE)を行った。これらの同じ領域において正常なまたは増加したグルコースの利用(共に非虚血性中隔と比較して)を伴うLCxにより供給される左心室の横壁及び後下壁においてフロー不足に気づいたら、冬眠心筋を示すものとしてPETスキャンを翻訳した。DSEを用いて、休息中に低収縮性が重篤である心筋領域における低用量ドブタミンによる収縮期性壁肥大の改善として左心室の横壁及び後下壁における生存能力を画定した。収縮期性壁運動が負荷により悪化したら、生存可能なセグメントは虚血性であると考えた(二相反応)。

0184

PET及びDSEにより虚血性心筋の存在を確認した後、開胸アプローチを用いて、NV1FGFなどのFGF発現プラスミドを直接心筋内注射することにより投薬を行った(LCx閉塞後52±16日)。左心室自由壁に分布した10部位(100μg/100μl/プラスミドベクター注射部位)にベクターを投与した。対照群に対し、100μlの生理食塩水を10回注射した。処置に盲検的な操作者及び研究者が処置を実施した。全ての有効性パラメータを盲検法割り当て、研究の最後にコードをオープンにした。

0185

21.3/実験計画

0186

処置から109±13日後、組織学分析及び灌流アッセイのために心臓を切除した。図20に示すようにサンプル試料には標準化された手順を用いた。より正確には、心臓を3つの短軸スライスに切断した(先端、中間、基底セグメント)。これらの各セグメントを、6つ(中間及び基底セグメント)または4つの定方位セクター(先端セグメント)にさらに分け、1つの心臓当たり全部で16のセクターを与えた。各セクターをその後3つの経壁サンプルに分けた。1つのサンプルをミクロスフェア灌流分析のために保存し、別のサンプルを液体窒素で冷却したイソペンタン中で急速冷凍(snap frozen)させ、3つ目のサンプルを3.7%ホルマリン中に固定した。右心室から得られたサンプルを対照として回収した。

0187

21.4/組織学的分析
スライド試料には標準化された手順を用いた。ホルマリン固定された各サンプルをパラフィンワックスに包埋し、各ブロックから3つの5μmの連続切片を作成した。一方の切片を組織病理学的検査による壊死後線維症の評価のためにヘマトキシリン−エロシン−サフラン(HES)で染色し、連続切片を抗α−平滑筋アクチン(SMA)抗体により染色して動脈及び細動脈を同定した。α−SMAは実際に、成熟血管における内皮細胞内で関連する周細胞及び平滑筋細胞の両方において発現された(Benjamin et al., Development, 125,1591-1598. 1998)。この抗体により染色できる大静脈もあるが、それは形態学的基準上で容易に同定されることに留意されたい。

0188

21.4.1/α−SMA染色
全てのブタからの全てのセクターをα−SMA免疫組織化学により処理した。ダコ社のエンビジョン(EnVision)(登録商標)+/HRP(西洋わさびペルオキシターゼ)検出システム(Dako, Sabattini et al. , J. Clin Pathol, 51: 506-511, 1998)を用いて手順を行った。抗α−SMAモノクローナル抗体(Dako, clone1A4, 100倍希釈)により切片をインキュベートした。第2のステップは、HRP標識ポリマーに共役したヤギ抗ウサギ抗体によるインキュベーションにある。色素生産性ジアミノベンジジン基質を用いて免疫複合体を局在化させた。切片をヘマトキシリンにより対比染色し、脱水して、永久封入剤により封入した。この方法により、免疫反応性細胞は褐色に、核は青色に見えた。

0189

21.4.2/形態計測分析
治療計画に盲検的な1人の観察者が測定を行った。各セクターに対し、瘢痕領域(壊死後線維症)を決定するために先ずHES染色切片を分析した。以下のスケールを用いて低倍率(25倍)でサンプル中の線維症量をスコア化した。
+:最小(線維症にされるサンプル表面の5%以下)
++:軽度(サンプル表面の5〜15%以下)
+++:顕著(サンプル表面の15〜25%以下)
++++:高度(サンプル表面の25%以上)
連続α−SMA染色切片で血管密度の評価を行った。i)瘢痕の中心(3視野)、ii)瘢痕の境界(3視野)、iii)瘢痕から遠位にある即ち生存可能な心筋(3視野)に位置する9つの高倍率の顕微鏡視野(各々0.37mm2)においてα−SMA染色血管の数を計数した。各視野に対して、3つの血管カテゴリーが記録された。小さな単層血管と、直径100μm以下の多層血管と、直径100μm以上の細動脈及び動脈である(図2を参照)。α−SMA染色をした大静脈をその形態学的機能に基づいて分析から除外した。α−SMA微細線維を含む筋線維芽細胞の多数を形態計測分析から除外したことに留意されたい。

0190

その後、注射されることになっている5つのセクター(BA、BAL、MA、MAL及びAAセクター)からデータをプールすることにより、各ゾーン(瘢痕、境界ゾーン、生存可能な心筋)に対して血管密度(即ちmm2当たりの各血管カテゴリーの数)を計算した。追加の対照として供するために、非注射ゾーン(BIL、BI、BIS、BAS、MILMIMIS、MAS、Al、AI、ASセクター)における血管密度も計算した。

0191

21.4.3/導入遺伝子発現
NV1FGFで処置したブタから得られたBA、BAL、MA、MAL、AAセクターをFGF−1免疫組織化学のために処理した。古典的なストレプトアビジン−ビオチンアッセイを用いてFGF−1発現を評価した。一次ポリクロナール抗FGF−1ウサギ抗体(R&D Systems; #AB-32-NA, 30倍希釈)によるインキュベーションの後、ビオチン化ロバ抗ウサギ免疫グロブリン(Amersham, 200倍希釈)によるインキュベーションを行った。ストレプトアビジンに結合したペルオキシダーゼを加えた後、色素生産性ジアミノベンジジン基質を用いて免疫複合体を局在化させた。切片をヘマトキシリンにより対比染色し、脱水して、永久封入剤により封入した。この方法により、免疫反応性線維は褐色に、核は青色に見えた。高レベルのpCOR-CMV.ratFGF-1プラスミド遺伝子移入を示したラット筋肉からの陽性切片を用いることによって、アッセイを通じてFGF−1IHCの動作を制御した。

0192

21.4.4/統計分析
脈管構造における定量的な変化は、生理食塩水群とプラスミド処置群の間で異なるゾーン(瘢痕、境界、生存可能な心筋)において明らかにされた。血管の各カテゴリーに対して算術平均及び標準偏差(Sd)を計算した。一方向分散分析(ANOVA、SigmaStat(登録商標)、Jandel Scientific)を用いて群間データを比較した。有意な差が見られたときには、ダネットの方法を用いて対照群に対する複数回の比較を行った。全ての差は、p≦0.05のレベルで有意であると考えられた。

0193

21.5/血管密度の評価
処置動物における注射ゾーンと対照動物におけるNV1FGF及びNaCl注射ゾーンの間で平均値の比較を行った(図21)。

0194

生存可能な心筋における血管の各クラス(小、中、大)に対して別々に分析を行った。処置群が何であれ、直径100μm以下の多数の動脈構造が線維性瘢痕に見られた。形態学的基準のみに基づけば、これらの血管は未変性の心筋血管と区別がつかなかった。これらの大部分は小さく、単層の平滑筋細胞を示していた。

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