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技術 ナノインバー合金及びその製造方法

出願人 ナノインバーカンパニーリミテッド
発明者 パク、ヨン-ボム
出願日 2004年3月12日 (16年9ヶ月経過) 出願番号 2006-507753
公開日 2006年10月26日 (14年2ヶ月経過) 公開番号 2006-524292
状態 拒絶査定
技術分野 金属の電解製造 電気鍍金;そのための鍍金浴
主要キーワード 平面モニタ 電流供給装置 低熱膨張合金 鍛造設備 真空溶融 ナノ結晶質 熱膨張挙動 ナノ結晶構造
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2006年10月26日)のものです。
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図面 (6)

課題・解決手段

本発明は、電気メッキ法を用いて、Ni含量が33〜42wt%の範囲である新規なFe−Ni合金、具体的には、結晶粒サイズが5〜15nmであるナノ結晶質構造を有するナノインバー合金を製造するための電解液とその製造条件とに関する。電解液は、水1L当たり、32〜53gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)、塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)若しくはこれらの混合物と、97gの硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)、スルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)若しくはこれらの混合物と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1〜3gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含む。本発明のインバー合金薄板は、従来のFi−Ni合金よりも優れた機械的性質を示し、かつ例えば一定の温度範囲では熱膨張係数が負の値を有するなどの新しい物性をも示す。

概要

背景

Fe−Ni合金は、Ni含量により多様な物性を示し、低い熱膨張特性は、Niの含量が重量比で20%〜50%の範囲のときに示される(D.R.Rancourt、S.Chehab及びG.Lamarche、J.Mag.Mag.Mater.78(1989)129を参照)。このうち、インバー合金(invar alloy)と称される64%のFeと36%のNiとからなる合金は、熱膨張係数がほぼ0である。Guillaumeが1897年に最初に発明して以来(C.E.Guillaume、C.R.Acad.Sci.Paris、124(1897)176を参照)、該インバー合金は代表的な低熱膨張合金として種々の実用的な用途において商業的に使用されている。

熱膨張係数が小さい代表的なインバー合金(Fe−36%Ni)は、標準測定装置内燃機関ピストンバイメタル(bimetal)、温度制御装置液体ガス貯蔵装置集積回路リードフレーム、TV及びパソコン(PC)のカラーモニタ陰極線管(CRT)の必須部品であるシャドーマスク、その他の電子素子など、非常に多様な用途にて使用されている。

また、近年、多く開発されている平面モニタ電界放出ディスプレイ(FED)のみならず、半導体集積回路(IC)チップを支持するリードフレームにおいても、インバー合金から形成されたシャドーマスクが使用可能であると考えられている。

合金が使用される環境の温度が上昇するにしたがって、むしろ合金が収縮可能であることを必要とする場合がある。このような場合、使用温度範囲で熱膨張係数がマイナスである合金の開発が非常に必要とされている。

Fe−Ni合金薄板を製造する方法は多様ではあるが、現在では、冷間圧延法が主として用いられている。冷間圧延法を使用する場合、真空溶融鍛造(forging)、熱間圧延焼きならし(normalizing)、1次冷間圧延中間アニーリング、2次冷間圧延、還元雰囲気での最終アニーリングなどの工程を実施しなければならない。厚さ0.1mm以下のインバー合金薄板を製作するためには、多段階圧延工程を行う必要があるが(米国特許第494834号明細書を参照)、工程が複雑で均質製品を得難い。また、この工程は製造コストが高い。更に、このような工程に必要な真空溶解炉鍛造設備熱間圧延機、多段階圧延機等の大規模設備が必要であること、及び、最終製品が要求する形状を作るための熱的工程を実施することが非常に難しいこと、のような種々の問題がある。さらに、工程中に介入される不純物及び工程条件の変化に対して熱膨張係数が敏感に変わるという問題もある(Metals Handbook、第9版、第3巻、ASM(1980)889を参照)。

従来の製造方法のこのような限界を克服するために、近年になり、電気メッキ法電鋳法)によるFe−Ni合金の製造法に関する研究が盛んに行われている。しかしながら、このような電気メッキ方法によるインバー合金製造方法は、適切な電解液を選択すること、温度及び電流密度などのような適切な工程条件を確立することが極めて厳しいので、現在までに所望のFe−Ni合金を製造するための電気メッキ法の使用が成功を収めてはいない。

概要

本発明は、電気メッキ法を用いて、Ni含量が33〜42wt%の範囲である新規なFe−Ni合金、具体的には、結晶粒サイズが5〜15nmであるナノ結晶質構造を有するナノインバー合金を製造するための電解液とその製造条件とに関する。電解液は、水1L当たり、32〜53gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)、塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)若しくはこれらの混合物と、97gの硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)、スルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)若しくはこれらの混合物と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1〜3gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含む。本発明のインバー合金薄板は、従来のFi−Ni合金よりも優れた機械的性質を示し、かつ例えば一定の温度範囲では熱膨張係数が負の値を有するなどの新しい物性をも示す。

目的

従って、ナノインバー合金製造のための適切な電解液と工程条件を提供するという要求が高まっている。特に、商業的な用途に対しては、メッキしようとする板材の幅が少なくとも300mm(30cm)でなければならないので、このような条件下において電気メッキを行うための適切な条件を見出すことが非常に必要となっている。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

水1L当たり、32〜53gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)、塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)若しくはこれらの混合物と、97gの硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)、スルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)若しくはこれらの混合物と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1〜3gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含む溶液電解液として用い、前記電解液のpHは2〜3の範囲であり、電流密度は50〜100mA/cm2であり、かつ電解液の温度は45〜60℃の範囲である条件下において電気メッキ法で製造したNiを33〜38重量%含むFe−Ni合金

請求項2

前記電解液が、水1L当たり、43〜53gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)と、97gの硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のFe−Ni合金。

請求項3

前記電解液が、水1L当たり、50gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)と、97gの塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のFe−Ni合金。

請求項4

前記電解液が、水1L当たり、42〜44gの塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)と、97gの硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のFe−Ni合金。

請求項5

前記電解液が、水1L当たり、44〜50gの塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)と、97gの塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のFe−Ni合金。

請求項6

前記電解液が、水1L当たり、35〜37gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)と、97gのスルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のFe−Ni合金。

請求項7

前記電解液が、水1L当たり、32〜34gの塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)と、97gのスルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のFe−Ni合金。

請求項8

前記Fe−Ni合金は、1〜200μmの範囲の厚みを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のFe−Ni合金。

請求項9

前記Fe−Ni合金は5〜15μmの範囲の結晶粒サイズを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のFe−Ni合金。

請求項10

前記Fe−Ni合金は、一定の温度以上で負の熱膨張係数を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のFe−Ni合金。

請求項11

前記Fe−Ni合金は、Feが64wt%であり、かつNiが36wt%である組成比を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のFe−Ni合金。

請求項12

水1L当たり、32〜53gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)、塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)若しくはこれらの混合物と、97gの硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)、スルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)若しくはこれらの混合物と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1〜3gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含む溶液を電解液として用い、上記電解液のpHは2〜3の範囲であり、電流密度は50〜100mA/cm2であり、かつ電解液の温度は45〜60℃の範囲である条件下で電気メッキ法で形成することを特徴とするNiを33〜38重量%含むFe−Ni合金を製造する方法。

請求項13

前記電解液が、水1L当たり、43〜53gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)と、97gの硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。

請求項14

前記電解液は、水1L当たり、50gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)と、97gの塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。

請求項15

前記電解液は、水1L当たり、42〜44gの硫酸鉄(FeCl2・4H2O)と、97gの硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaClと、)を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。

請求項16

前記電解液は、水1L当たり、44〜50gの塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)と、97gの塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。

請求項17

前記電解液は、水1L当たり、35〜37gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)と、97gのスルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。

請求項18

前記電解液は、水1L当たり、32〜34gの塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)と、97gのスルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)と、20〜30gのホウ酸(H3BO3)と、1.0〜3.0gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)と、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)と、20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、電気メッキ法を用いて、Ni含量が33〜42wt%の範囲である新規なFe−Ni合金、具体的には、結晶粒サイズが5〜15nmであるナノ結晶質構造を有するナノインバー合金、を製造するための電解液とその製造条件とに関する。

背景技術

0002

Fe−Ni合金は、Ni含量により多様な物性を示し、低い熱膨張特性は、Niの含量が重量比で20%〜50%の範囲のときに示される(D.R.Rancourt、S.Chehab及びG.Lamarche、J.Mag.Mag.Mater.78(1989)129を参照)。このうち、インバー合金(invar alloy)と称される64%のFeと36%のNiとからなる合金は、熱膨張係数がほぼ0である。Guillaumeが1897年に最初に発明して以来(C.E.Guillaume、C.R.Acad.Sci.Paris、124(1897)176を参照)、該インバー合金は代表的な低熱膨張合金として種々の実用的な用途において商業的に使用されている。

0003

熱膨張係数が小さい代表的なインバー合金(Fe−36%Ni)は、標準測定装置内燃機関ピストンバイメタル(bimetal)、温度制御装置液体ガス貯蔵装置集積回路リードフレーム、TV及びパソコン(PC)のカラーモニタ陰極線管(CRT)の必須部品であるシャドーマスク、その他の電子素子など、非常に多様な用途にて使用されている。

0004

また、近年、多く開発されている平面モニタ電界放出ディスプレイ(FED)のみならず、半導体集積回路(IC)チップを支持するリードフレームにおいても、インバー合金から形成されたシャドーマスクが使用可能であると考えられている。

0005

合金が使用される環境の温度が上昇するにしたがって、むしろ合金が収縮可能であることを必要とする場合がある。このような場合、使用温度範囲で熱膨張係数がマイナスである合金の開発が非常に必要とされている。

0006

Fe−Ni合金薄板を製造する方法は多様ではあるが、現在では、冷間圧延法が主として用いられている。冷間圧延法を使用する場合、真空溶融鍛造(forging)、熱間圧延焼きならし(normalizing)、1次冷間圧延中間アニーリング、2次冷間圧延、還元雰囲気での最終アニーリングなどの工程を実施しなければならない。厚さ0.1mm以下のインバー合金薄板を製作するためには、多段階圧延工程を行う必要があるが(米国特許第494834号明細書を参照)、工程が複雑で均質製品を得難い。また、この工程は製造コストが高い。更に、このような工程に必要な真空溶解炉鍛造設備熱間圧延機、多段階圧延機等の大規模設備が必要であること、及び、最終製品が要求する形状を作るための熱的工程を実施することが非常に難しいこと、のような種々の問題がある。さらに、工程中に介入される不純物及び工程条件の変化に対して熱膨張係数が敏感に変わるという問題もある(Metals Handbook、第9版、第3巻、ASM(1980)889を参照)。

0007

従来の製造方法のこのような限界を克服するために、近年になり、電気メッキ法(電鋳法)によるFe−Ni合金の製造法に関する研究が盛んに行われている。しかしながら、このような電気メッキ方法によるインバー合金製造方法は、適切な電解液を選択すること、温度及び電流密度などのような適切な工程条件を確立することが極めて厳しいので、現在までに所望のFe−Ni合金を製造するための電気メッキ法の使用が成功を収めてはいない。

発明が解決しようとする課題

0008

従って、ナノインバー合金製造のための適切な電解液と工程条件を提供するという要求が高まっている。特に、商業的な用途に対しては、メッキしようとする板材の幅が少なくとも300mm(30cm)でなければならないので、このような条件下において電気メッキを行うための適切な条件を見出すことが非常に必要となっている。

0009

本発明の目的は、結晶粒のサイズがナノサイズのナノインバー合金薄板を電気メッキ法、又は電鋳法を用いて製造するための電解液とその工程条件とを提供することにある。
本発明の他の目的は、一定の温度範囲で熱膨張係数がマイナスであるFe−Ni合金を提供することにある。

0010

本発明の更に他の目的は、機械的特性既知のインバー合金よりも優れているFe−Ni合金を提供することにある。
本発明のまた更に他の目的は、一定の温度範囲で熱膨張係数がマイナスであるFe−Ni合金を製造する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明に従って、水1L当たり、32〜53gの硫酸鉄(FeSO4・7H2O)、塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)若しくはこれらの混合物、97gの硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)、スルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)若しくはこれらの混合物、20〜30gのホウ酸(H3BO3)、1〜3gのサッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)、0.1〜0.3gのラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)及び20〜40gの塩化ナトリウム(NaCl)を含む溶液を電解液として使用し、上記電解液のpHは2〜3の範囲であり、電流密度は50〜100mA/cm2であり、かつ電解液の温度は45〜60℃の範囲である条件下にて、電気メッキ法により製造される33〜38wt%のNiを含有するFe−Ni合金を提供する。

発明の効果

0012

本発明に従って、低い熱膨張特性を有するFe−Ni合金が単一工程である電気メッキ法により製造されるので、製造コストを大幅に低減することができる。特に、本発明に従うFe−Ni合金はナノ結晶構造を有するので、優れた機械的特性を有し、産業的利用の範囲を新たに創出することができる。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明の好適な実施形態を添付図面を参照して以下に詳しく説明する。
図1は、本発明に従うナノインバー合金薄板を形成するための電気メッキ装置の概略図である。

0014

図1において、電解槽9に、本発明に従う電解液3を入れ、間隔の距離が10mmである陰極1と陽極2との間を電解液3が0.1〜2.0m/秒の流速で流れ込むように循環ポンプ5を作動しながら、電気メッキを行った。ここで、符号6はろ過器、7はノズル、8は循環配管を示す。厚さ20μmのFe−Ni合金が陰極にある板材に電着すると、電流供給装置4を止め、陰極表面からメッキされた板材を分離して薄板を得た。本発明の一態様に従って陽極に使用される板材の傾斜角度10は、流速に依存する。

0015

本発明で提案された電解液は、硫酸鉄(FeSO4・7H2O)又は塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)と、硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)又はスルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)と、ホウ酸(H3BO3)20〜30g/lと、サッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)1〜3g/lと、ラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)0.1〜0.3g/lと、塩化ナトリウム(NaCl)20〜40g/lとを含む組成物を有する溶液である。ホウ酸(H3BO3)は22〜25g/lを、サッカリンナトリウム(C7H4NO3SNa)は2.0〜2.4g/lを、ラウリル硫酸ナトリウム(C12H25O4SNa)は0.1〜0.2g/lを、塩化ナトリウム(NaCl)は30〜32g/lを含有したとき、電解液はより望ましい効果を奏する。ホウ酸はpH緩衝剤として、サッカリンナトリウムはメッキされた製品の応力緩和剤として、塩化ナトリウムは電解液の伝導度の向上のために、また、ラウリル硫酸ナトリウムは界面活性剤として添加される。電気メッキ中、電解液のpHは2〜3の範囲に維持され、電流密度は50〜100mA/cm2、電解液の温度は45〜60℃で行われる。

0016

鉄の組成物とニッケルの組成物とは、電解液からイオンの形態にて遊離された後、電気メッキの過程において陰極板材に1〜200μmの厚さを有するFe−Ni合金の形態にて電着される。

0017

本発明のナノインバー合金薄板を電気メッキ法で製造するための電解液の実施例を、表1〜6に表した。

0018

0019

0020

0021

0022

0023

表1は、硫酸鉄(FeSO4・7H2O)と硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)とを主成分として含む電解液を使用しており、硫酸ニッケルの量を97g/lと一定に維持しながら、硫酸鉄の量を43〜53g/lの範囲で変化させ、実施例1乃至3に従い所望の組成を有するFe−Ni合金を製造した結果を示した。

0024

表2は、硫酸鉄(FeSO4・7H2O)と塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)とを主成分として含む電解液を使用しており、塩化ニッケルの量を97g/lと一定に維持しながら、50g/lの量の硫酸鉄を用いて、実施例4に従い所望の組成を有するFe−Ni合金を製造した結果を示した。

0025

表3は、塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)と硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)とを主成分として含む電解液を使用しており、硫酸ニッケルの量を97g/lと一定に維持しながら、塩化第一鉄の量を42〜44g/lの範囲で変化させ、実施例5及び6に従い所望の組成を有するFe−Ni合金を製造した結果を示した。

0026

表4は、塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)と塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)とを主成分として含む電解液を使用しており、塩化ニッケルの量を97g/lと一定に維持しながら、塩化第一鉄の量を44〜50g/lの範囲で変化させ、実施例7乃至9に従い所望の組成を有するFe−Ni合金を製造した結果を示した。

0027

表5は、硫酸鉄(FeSO4・7H2O)とスルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)とを主成分として含む電解液を使用しており、スルファミン酸ニッケルの量を97g/lと一定に維持しながら、硫酸鉄の量を35〜37g/l範囲で変化させ、実施例10及び11に従い所望の組成を有するFe−Ni合金を製造した結果を示した。

0028

表6は、塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)とスルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)とを主成分として含む電解液を使用しており、スルファミン酸ニッケルの量を97g/lと一定に維持しながら、塩化第一鉄の量を32〜34g/lの範囲で変化させ、実施例12及び13に従い所望の組成を有するFe−Ni合金を製造した結果を示した。

0029

このような組成の電解液を用いて、電気メッキ法で製造されたFe−Ni合金は、上記の表1〜表6で用いられた電解液の種類に関わらず、以下の表8のような特性を示す。表7に示された従来のインバー合金と本発明に従うナノインバー合金とをその物性に関して比較した場合、本発明により製造されたナノインバー合金が、従来のインバー合金よりも優れた材料特性を有することが確認された。比較した結果を表9に示す。

0030

即ち、本発明に従うナノインバー合金の場合、硬度、引張強さ、降伏強度において、従来のインバー合金よりも少なくとも2倍の値を有する。より詳細に述べると本発明に従うナノインバー合金の降伏強度は805MPaであり、従来のインバー合金の降伏強度である275〜415MPaよりもはるかに大きい。従って、本発明に従うナノインバー合金は、高強度を必要とする分野において有利に適用することができる。

0031

表10は、従来のインバー合金の温度範囲に依存する平均熱膨張係数を示す。表10に示されているように、従来のインバー合金は、17〜100℃の温度範囲で平均熱膨張係数が1.66μm/m・Kの値を有し、温度が上昇するに従って、熱膨張係数が増加している。一方、本発明に従うナノインバー合金(Fe−36wt%Ni)は、20〜100℃の温度範囲では熱膨張係数が1.58μm/m・Kの値を示し、140〜150℃の温度範囲では熱膨張係数がゼロとなった後、150℃以上に温度が高くなると、熱膨張係数が負の値を有することになる。温度が20〜200℃の範囲にある場合、本発明に従うナノインバー合金の平均熱膨張係数は−1.78μm/m・Kの値を有する。このような熱膨張挙動は、本発明に従うナノインバー合金のNi含量が33〜38wt%の範囲にある場合に共通に現れる。

0032

図2は、本発明に従うナノインバー合金の組成比による熱膨張係数の変化を示す図であり、前述した事実を証明するものである。図に示されているように、Ni含量の重量%が33%及び38%の場合、いずれの場合も一定の温度以上で熱膨張係数が負の値を示している。したがって、本発明に従うナノインバー合金は、熱膨張係数が負の値を有するので、このような特性を必要とする新しい用途に適用可能である。

0033

図3は、従来のインバー合金をアニーリングした後の集合組職の{111}極点図であり、図4Aは、本発明に従うナノインバー合金の集合組職の{100}極点図であり、図4Bは、本発明に従うナノインバー合金をアニーリングした後の集合組職の{111}極点図である。

0034

上記の図から明らかなように、従来のインバー合金をアニーリングすると、{001}<100>の方位が主要方位として発達することが示されている。一方、本発明に従うナノインバー合金の場合、メッキされた状態では、{100}//NDファイバータイプが支配的であり、アニーリング処理すると、{111}//NDファイバーの集合組職が強く発達することが示されている。

0035

X線回折によると、本発明によるFe−Ni合金は、結晶粒のサイズが5〜15nmであるナノ結晶構造を有する。Niの含量が36%であるインバー合金の結晶粒のサイズは、5〜7nm程度と非常に小さいことが結果から確認された。このようなナノ結晶構造は、インバー合金が高い降伏強度を有する理由を説明するものであると考えられる。

図面の簡単な説明

0036

本発明に従うナノインバー合金薄板を製造するために用いた電気メッキ装置の概略図である。
本発明に従うナノインバー合金の組成比による熱膨張係数の変化を示す図である。
従来のインバー合金をアニーリングした後の集合組職の{111}極点図である。
本発明に従うナノインバー合金の集合組職の{100}極点図である。
本発明に従うナノインバー合金をアニーリングした後の集合組職の{111}極点図である。

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