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技術 希土類永久磁石の製造方法

出願人 TDK株式会社
発明者 石坂力西澤剛一坂本篤司
出願日 2006年3月15日 (14年8ヶ月経過) 出願番号 2006-070217
公開日 2006年11月9日 (14年0ヶ月経過) 公開番号 2006-310797
状態 特許登録済
技術分野 金属質粉又はその懸濁液の製造 粉末冶金 硬質磁性材料 コア、コイル、磁石の製造
主要キーワード アルゴンガスフロー 低酸素量 不規則変化 所定温度域 スクリュ式 微粉砕前 金型壁 混合方式
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図面 (12)

課題

より少ない量の潤滑剤の添加であっても潤滑剤としての効果を十分に発揮できる希土類永久磁石の製造方法を提供する。

解決手段

R−T−B(R:希土類元素の1種又は2種以上、T:Fe、又はFe及びCo、B:ホウ素)系希土類永久磁石の製造方法であって、原料合金粗粉砕する粗粉砕工程と、粗粉砕工程で得られた粗粉砕粉末に第1の潤滑剤を添加する工程と、第1の潤滑剤が添加された粗粉砕粉末を微粉砕する微粉砕工程と、微粉砕工程で得られた微粉砕粉末に第2の潤滑剤を添加し、かつ30℃以上Tm(ただし、Tmは第1の潤滑剤の融点及び第2の潤滑剤の融点の中で最も低い融点の温度)未満の温度域撹拌する混合工程と、混合工程を経た微粉砕粉末を磁場中で成形する成形工程と、成形工程で得られた成形体焼結する焼結工程と、を備える。

概要

背景

R−T−B系希土類永久磁石(Rは希土類元素の1種又は2種以上であり、TはFe、又はFe及びCo、B:ホウ素)は、磁気特性に優れていることや、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であることから、各種モータ等の電気機器に使用されている。

希土類永久磁石の製造方法の一例として粉末冶金法がある。粉末冶金法は低コストでの製造が可能なことから広く用いられている。粉末冶金法では、原料合金粗粉砕及び微粉砕し、数μmの微粉砕粉末を得る。このようにして得られた微粉砕粉末を静磁場中で磁場配向させ、磁場がかかった状態のままプレス成形を行う。このとき、成形時の粉末同士の摩擦や粉末と金型壁面との摩擦により磁気的な配向度が上がらず、磁気特性の向上を十分に図ることができない。また、金型面及び成形体表面に損傷が生じやすく、品質上及び製品歩留まり上好ましくない。そのために、潤滑剤を添加し、潤滑剤を微粉砕粉末表面へ被覆することが行われている。つまり、潤滑剤は、磁場中成形時の合金粉末流動性を確保することにより配向度を向上し、かつ金型からの離型を容易にする、等を目的として添加されるものであり、通常、ステアリン酸亜鉛などの有機系材料が用いられる。

前述の潤滑剤は凝集性が極めて高い。したがって、長時間撹拌した後にも凝集粒子として存在する。そして、潤滑剤は焼結により蒸発するため、潤滑剤の凝集粒子が存在していたところは、焼結後に巨大空孔となってしまう。また、潤滑剤が凝集粒子として存在すると、所定の配向度向上効果及び離型効果を得るために、理想的な量よりも多量の潤滑剤を添加しなければならず、焼結後の残留炭素の影響で希土類永久磁石の保磁力低下を招くといった問題がある。

このような問題を解決するために、潤滑剤の分散性を上げるために潤滑剤を添加するタイミングを工夫している。例えば、特許文献1では、粗粉砕後かつ微粉砕前に潤滑剤を添加している。

特許第2915560号公報

しかしながら、上記特許文献1においては、潤滑剤による潤滑性が十分発揮できる量を添加した場合には、粉砕機配管などの損耗激しくなってしまうという問題が生じる。
そこで本発明者等は、潤滑剤添加による配向度の向上等の効果を享受しつつ、粉砕危機の損耗を低減する手法として、特許文献2及び特許文献3において、比較的少量の固体状の潤滑剤を微粉砕前に添加し、液体状の潤滑剤又は潤滑剤を溶解する溶剤微粉砕後に添加することにより、少ない潤滑剤で潤滑効果を得ることができることを開示している。

特開2004−6761号公報
特開2003−68551号公報

概要

より少ない量の潤滑剤の添加であっても潤滑剤としての効果を十分に発揮できる希土類永久磁石の製造方法を提供する。R−T−B(R:希土類元素の1種又は2種以上、T:Fe、又はFe及びCo、B:ホウ素)系希土類永久磁石の製造方法であって、原料合金を粗粉砕する粗粉砕工程と、粗粉砕工程で得られた粗粉砕粉末に第1の潤滑剤を添加する工程と、第1の潤滑剤が添加された粗粉砕粉末を微粉砕する微粉砕工程と、微粉砕工程で得られた微粉砕粉末に第2の潤滑剤を添加し、かつ30℃以上Tm(ただし、Tmは第1の潤滑剤の融点及び第2の潤滑剤の融点の中で最も低い融点の温度)未満の温度域撹拌する混合工程と、混合工程を経た微粉砕粉末を磁場中で成形する成形工程と、成形工程で得られた成形体を焼結する焼結工程と、を備える。

目的

特許文献2及び特許文献3は、微粉砕後に液体状の潤滑剤又は潤滑剤を溶解する溶剤を添加することにより、潤滑剤添加による配向性の向上等の効果を享受しつつ、粉砕機器の損耗を低減することができる。しかし、例えば特許文献2において、微粉砕前に脂肪酸アミドを0.3wt%添加し、さらに微粉砕後に脂肪酸エステルを0.2wt%添加しているように、最終的に添加される潤滑剤の量を低減するまでには至っていない。希土類永久磁石の磁気特性を考えると、全体として添加される潤滑剤の量は少ないほど好ましい。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、より少ない量の潤滑剤の添加であっても潤滑剤としての効果を十分に発揮できる希土類永久磁石の製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

R−T−B(R:希土類元素の1種又は2種以上、T:Fe、又はFe及びCo、B:ホウ素)系希土類永久磁石の製造方法であって、原料合金粗粉砕する粗粉砕工程と、前記粗粉砕工程で得られた粗粉砕粉末に第1の潤滑剤を添加する工程と、前記第1の潤滑剤が添加された前記粗粉砕粉末を微粉砕する微粉砕工程と、前記微粉砕工程で得られた微粉砕粉末に第2の潤滑剤を添加し、かつ30℃以上Tm(ただし、Tmは前記第1の潤滑剤の融点及び前記第2の潤滑剤の融点の中で最も低い融点の温度)未満の温度域撹拌する混合工程と、前記混合工程を経た前記微粉砕粉末を磁場中で成形する成形工程と、前記成形工程で得られた成形体焼結する焼結工程と、を備えることを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。

請求項2

前記第1の潤滑剤と前記第2の潤滑剤は、種類が異なることを特徴とする請求項1に記載の希土類永久磁石の製造方法。

請求項3

前記混合工程は、35〜70℃の温度域で撹拌することを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類永久磁石の製造方法。

請求項4

前記混合工程において、堆積状態にある前記微粉砕粉末同士の摩擦により前記微粉砕粉末が加熱されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希土類永久磁石の製造方法。

請求項5

前記第1の潤滑剤及び前記第2の潤滑剤の添加量の合計が、0.02〜0.2wt%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の希土類永久磁石の製造方法。

請求項6

前記第1の潤滑剤は、固体状の潤滑剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の希土類永久磁石の製造方法。

請求項7

前記第2の潤滑剤は、液体状の潤滑剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の希土類永久磁石の製造方法。

請求項8

前記粗粉砕工程から前記焼結工程に至るまで、酸素量が100ppm以下の低酸素雰囲気で各工程が行われることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の希土類永久磁石の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、希土類永久磁石の製造方法に関し、高い磁気特性、特に残留磁束密度(Br)を得ることができる希土類永久磁石の製造方法に関する。

背景技術

0002

R−T−B系希土類永久磁石(Rは希土類元素の1種又は2種以上であり、TはFe、又はFe及びCo、B:ホウ素)は、磁気特性に優れていることや、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であることから、各種モータ等の電気機器に使用されている。

0003

希土類永久磁石の製造方法の一例として粉末冶金法がある。粉末冶金法は低コストでの製造が可能なことから広く用いられている。粉末冶金法では、原料合金粗粉砕及び微粉砕し、数μmの微粉砕粉末を得る。このようにして得られた微粉砕粉末を静磁場中で磁場配向させ、磁場がかかった状態のままプレス成形を行う。このとき、成形時の粉末同士の摩擦や粉末と金型壁面との摩擦により磁気的な配向度が上がらず、磁気特性の向上を十分に図ることができない。また、金型面及び成形体表面に損傷が生じやすく、品質上及び製品歩留まり上好ましくない。そのために、潤滑剤を添加し、潤滑剤を微粉砕粉末表面へ被覆することが行われている。つまり、潤滑剤は、磁場中成形時の合金粉末流動性を確保することにより配向度を向上し、かつ金型からの離型を容易にする、等を目的として添加されるものであり、通常、ステアリン酸亜鉛などの有機系材料が用いられる。

0004

前述の潤滑剤は凝集性が極めて高い。したがって、長時間撹拌した後にも凝集粒子として存在する。そして、潤滑剤は焼結により蒸発するため、潤滑剤の凝集粒子が存在していたところは、焼結後に巨大空孔となってしまう。また、潤滑剤が凝集粒子として存在すると、所定の配向度向上効果及び離型効果を得るために、理想的な量よりも多量の潤滑剤を添加しなければならず、焼結後の残留炭素の影響で希土類永久磁石の保磁力低下を招くといった問題がある。

0005

このような問題を解決するために、潤滑剤の分散性を上げるために潤滑剤を添加するタイミングを工夫している。例えば、特許文献1では、粗粉砕後かつ微粉砕前に潤滑剤を添加している。

0006

特許第2915560号公報

0007

しかしながら、上記特許文献1においては、潤滑剤による潤滑性が十分発揮できる量を添加した場合には、粉砕機配管などの損耗激しくなってしまうという問題が生じる。
そこで本発明者等は、潤滑剤添加による配向度の向上等の効果を享受しつつ、粉砕危機の損耗を低減する手法として、特許文献2及び特許文献3において、比較的少量の固体状の潤滑剤を微粉砕前に添加し、液体状の潤滑剤又は潤滑剤を溶解する溶剤微粉砕後に添加することにより、少ない潤滑剤で潤滑効果を得ることができることを開示している。

0008

特開2004−6761号公報
特開2003−68551号公報

発明が解決しようとする課題

0009

特許文献2及び特許文献3は、微粉砕後に液体状の潤滑剤又は潤滑剤を溶解する溶剤を添加することにより、潤滑剤添加による配向性の向上等の効果を享受しつつ、粉砕機器の損耗を低減することができる。しかし、例えば特許文献2において、微粉砕前に脂肪酸アミドを0.3wt%添加し、さらに微粉砕後に脂肪酸エステルを0.2wt%添加しているように、最終的に添加される潤滑剤の量を低減するまでには至っていない。希土類永久磁石の磁気特性を考えると、全体として添加される潤滑剤の量は少ないほど好ましい。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、より少ない量の潤滑剤の添加であっても潤滑剤としての効果を十分に発揮できる希土類永久磁石の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

微粉砕後の状態における潤滑剤の分散性を確保するためには、特許文献1にも示されるように粗粉砕後に潤滑剤を添加して微粉砕を行うことが好ましい。しかし、この微粉砕のみでは、微粉砕粉末における潤滑剤の分散性は未だ十分とはいえない。そこで本発明者等は、潤滑剤の分散性を極限まで高めるべく、微粉砕後の微粉砕粉末と潤滑剤との混合物をさらに撹拌して混合処理する検討を行った。その結果、詳しくは後述するが、ある種の混合機を用いて処理したところ、非処理物の温度が上昇、具体的には30℃以上の温度となり、このようにして得られた微粉砕粉末を用いて作製された希土類永久磁石は高い焼結密度を誇り、かつ残留磁束密度(Br)が向上した。

0011

以上の検討結果に基づいてなされた本発明は、R−T−B(R:希土類元素の1種又は2種以上、T:Fe、又はFe及びCo、B:ホウ素)系希土類永久磁石の製造方法であって、原料合金を粗粉砕する粗粉砕工程と、粗粉砕工程で得られた粗粉砕粉末に第1の潤滑剤を添加する工程と、第1の潤滑剤が添加された粗粉砕粉末を微粉砕する微粉砕工程と、微粉砕工程で得られた微粉砕粉末に第2の潤滑剤を添加し、かつ30℃以上Tm(ただし、Tmは第1の潤滑剤の融点及び第2の潤滑剤の融点の中で最も低い融点の温度)未満の温度域で撹拌する混合工程と、混合工程を経た微粉砕粉末を磁場中で成形する成形工程と、成形工程で得られた成形体を焼結する焼結工程と、を備えることを特徴とする。本発明において、第1の潤滑剤と第2の潤滑剤とは、同一の種類の潤滑剤を、添加時期を分けて添加することができるが、異なる種類の潤滑剤を用いることもできる。
なお、前記Tmを特定する場合に、第1の潤滑剤の融点及び/又は第2の潤滑剤として液体状の潤滑剤を用いる場合には、当該液体状の潤滑剤は除外してTmを特定することとする。例えば、第1の潤滑剤として固体状の潤滑材を用い、第2の潤滑剤として液体状の潤滑材を用いた場合には、第1の潤滑剤の融点がTmとなる。
本発明の希土類永久磁石の製造方法において、混合工程は、35〜70℃の温度域で撹拌することが高い残留磁束密度(Br)を得るために好ましい。

0012

第2の潤滑剤が添加された微粉砕粉末(第1の潤滑剤も添加されている)を上記温度域に加熱する手法としては、混合工程において、堆積状態にある微粉砕粉末同士の摩擦により微粉砕粉末を加熱することが好ましい。撹拌により微粉砕粉末を自発的に発熱させる手法である。外部の加熱手段により微粉砕粉末を加熱することも本発明は許容するが、自発的な発熱を利用する方が、エネルギー消費の観点から好ましい。なお、本発明で必要となる温度域に加熱するために好適な撹拌手法については後述する。

0013

本発明の希土類永久磁石の製造方法は、第1の潤滑剤及び第2の潤滑剤の添加量が、0.02〜0.2wt%と少ない量で高い配向度を得ることを可能にし、ひいては高い残留磁束密度(Br)を有する希土類永久磁石を得ることができる。また、本発明によれば、固体状の潤滑剤のみを用いて、以上のような少ない量で高い残留磁束密度(Br)を得ることができるという利点がある。もっとも、本発明は液体状の潤滑剤の添加を排除するものではない。例えば、第2の潤滑剤として液体状の潤滑剤を用いることが好ましい。

0014

本発明において、潤滑剤は、撹拌の過程において、固体状態を維持することが好ましい。潤滑剤が溶融してしまうと、凝固過程で微粉砕粉末を凝集させるおそれがあるからである。
また本発明において、粗粉砕工程から焼結工程に至るまで、酸素量が100ppm以下の低酸素雰囲気で各工程が行われることが好ましい。特に、混合工程においては、微粉砕粉末同士の摩擦による発熱によって、微粉砕粉末は酸化しやすい状態となっているために、有効である。

発明の効果

0015

以上説明したように、本発明によれば、より少ない量の潤滑剤の添加であっても潤滑剤としての効果を十分に発揮して、高い残留磁束密度(Br)の希土類永久磁石を製造することができる。しかも、本発明によれば、潤滑剤の添加量を抑制できるから、微粉砕における粉砕機の損耗を防止する効果も併せ持つことができる。

発明を実施するための最良の形態

0016

本実施の形態は、粉末冶金法を用いた希土類永久磁石の製造方法であり、微粉砕後に固体の潤滑剤を添加し、かつ潤滑剤と微粉砕粉末を所定温度域において撹拌して混合することを特徴とする。以下、本発明による製造方法を詳述する。
図1に示すように、本実施の形態による希土類永久磁石の製造方法は、原料合金作製工程、粗粉砕工程、第1の潤滑剤添加工程、微粉砕工程、第2の潤滑剤添加工程、加熱撹拌・混合工程、磁場中成形工程、焼結工程、時効熱処理工程とを含む。
<原料合金作製工程>
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはアルゴン雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属アルゴンガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片鱗片)状に急冷凝固される。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の他の溶解法によって得ることもできる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
R−T−B系希土類永久磁石を得る場合、R2T14B結晶粒主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法を本発明に適用することもできる。

0017

<粗粉砕工程>
粗粉砕工程では、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕し、粗粉砕粉末を得る。粗粉砕は、スタンプミルジョークラッシャーブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行うことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行うことが効果的である。水素放出処理は、希土類永久磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素吸蔵は室温から200℃で30分以上、好ましくは1時間以上行い、脱水素処理は、真空中又はアルゴンガスフローにて、350〜650℃で行う。なお、水素吸蔵処理、脱水素処理は必須の処理ではない。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。

0018

<第1の潤滑剤添加工程>
粗粉砕工程で得られた粗粉砕粉末に第1の潤滑剤を添加する。本発明における第1の潤滑剤の種類は問わないが、入手容易性等の観点から、脂肪酸系化合物を用いることが好ましい。脂肪酸系化合物としては、ステアリン酸等の脂肪酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸の金属セッケン、脂肪酸アミドなどが好ましく、その中でも脂肪酸アミドが特に好ましい。脂肪酸アミドの中でも、特にカプリル酸アミドカプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミドオレイン酸アミドベヘン酸アミドの1種又は2種以上を用いることが好ましい。潤滑剤としてショウノウ又はパラフィンを用いることも可能である。なお、液体状の潤滑剤を第1の潤滑剤として用いることもできるが、後述する第2の潤滑剤として液体状の潤滑剤を用いることが好ましい。
添加する第1の潤滑剤の形態は特に制約はないが、効率よく均一な分散を行うためには粉末状の潤滑剤が好ましい。また、添加する際の潤滑剤の粒径についても特に制約はないが、粗粉砕粉末と同等以下の粒径を有していることが好ましい。

0019

潤滑剤の添加量は、粉砕性を向上させるという点からすれば、なるべく多くするのが好ましいが、磁気特性及び成形体の強度の観点からすれば、なるべく少なくするのが好ましい。したがって、後述する第2の潤滑剤との合計で0.01〜1wt%の範囲で添加することができる。特に、本発明では少ない量の潤滑剤であっても、配向度向上という効果を最大限発揮させることができるので、潤滑剤の添加量は、第1の潤滑剤及び第2の潤滑剤の合計で0.02〜0.2wt%とすることができ、さらには第1の潤滑剤及び第2の潤滑剤の合計で0.03〜0.15wt%とすることができる。

0020

<混合工程>
潤滑剤添加後の混合工程は必須のものではないが、第1の潤滑剤を添加後に、粗粉砕粉末と第1の潤滑剤とを混合することが好ましい。後述する微粉砕の際に粗粉砕粉末に対する潤滑剤の分散性を向上する効果が期待される。この混合は、スクリュ式混合装置(例えば、ホソカワミクロン(株)製のナウミキサ)等により5〜30分間ほど行なう程度でよい。

0021

<微粉砕工程>
次に、粗粉砕粉末を微粉砕する。微粉砕には主にジェットミル気流式粉砕機)を用い、平均粒径2.5〜6μm、望ましくは3〜5μmの微粉砕粉末(粉砕粉)を得る。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速ガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突ターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。

0022

<第2の潤滑剤添加工程>
微粉砕工程で得られた微粉末に第2の潤滑剤を添加する。第2の潤滑剤は、第1の潤滑剤と同一の種類のものを用いてもよいし、異なる種類のものを用いてもよい。例えば、第1の潤滑剤として固体状の潤滑剤を用いる場合には、第2の潤滑剤として液体状の潤滑剤を用いることが好ましい。そうすることにより、液体状の潤滑剤は、固体状の潤滑剤と比べて潤滑効果か高いため、粉砕機の磨耗を回避しつつ、磁場中成形における配向性を向上することができる。
液体状の潤滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステルが、その潤滑性、入手容易性等の観点から好ましい。脂肪酸の中では、カプリル酸、ラウリン酸、オレイン酸の1種又は2種以上を用いることが好ましい。脂肪酸エステルの中では、カプリル酸エチル、カプリル酸ブチル、ラウリン酸エチルラウリン酸ブチルオレイン酸メチルオレイン酸エチルオレイン酸ブチルの1種又は2種以上を用いることが好ましい。また、脂肪酸及び脂肪酸エステルを併用してもよい。

0023

<加熱撹拌・混合工程>
本発明は、微粉砕粉末と潤滑剤(第1の潤滑剤及び第2の潤滑剤をまとめて単に潤滑剤ということがある)の混合物を撹拌して混合する。微粉砕粉末に対する潤滑剤の分散状態を上げるためである。本発明では、この撹拌を30℃以上の温度域で行う。後述する実施例に示すように、30℃以上の温度域で撹拌を行うことにより、高い残留磁束密度(Br)を得ることができる。ただし、撹拌の温度が高すぎて潤滑剤が溶融すると、その凝固過程で潤滑剤同士又は微粉砕粉末を凝集させてしまうので好ましくない。したがって、この工程における温度は、潤滑剤の溶融温度Tm未満とする。潤滑剤の溶融温度Tmは、第1の潤滑剤の融点及び第2の潤滑剤の融点の中で最も低い融点の温度とすればよい。なお、Tmを定める場合には、前述したように、液体状の潤滑剤は除外される。撹拌のさらに好ましい温度域は35〜70℃、さらに好ましい温度域は40〜60℃である。なお、いくつかの潤滑剤の融点を以下に示しておく。
ステアリン酸:72℃
ステアリン酸亜鉛:140℃
カプリル酸アミド:110℃
カプリン酸アミド:100℃
ラウリン酸アミド:110℃
ステアリン酸アミド:108℃
オレイン酸アミド:75℃
ベヘン酸アミド:111℃
ベヘン酸:81℃

0024

撹拌を以上の温度域で行うために、本発明では撹拌による微粉砕粉末同士の摩擦熱を利用することができる。このように摩擦を利用して加熱するための装置の構成概要図2に示す。この撹拌装置10は、微粉砕粉末Pを収容する容器1と、微粉砕粉末Pを撹拌する撹拌翼2と、撹拌翼2を回転駆動するモータ3とを備えている。所定量の微粉砕粉末Pを容器1に堆積状態で収容し、堆積状態にある微粉砕粉末Pの一部の領域に、撹拌翼2による回転力を作用させる。微粉砕粉末Pの一部の領域に、撹拌翼2による回転力を作用させると、堆積されている微粉砕粉末Pの一部の領域及び他の領域は流動状態となり、微粉砕粉末P同士に摩擦が生じて、微粉砕粉末Pは外部からの加熱を行うことなく、自発的に発熱する。この撹拌による混合は、高速流動混合方式と称することができる。粉末の流動状態が維持される範囲であれば、この撹拌翼2の回転数が速ければ速いほど摩擦による加熱を迅速に行える。撹拌翼2の回転数は、処理する微粉砕粉末Pの量によって変わるが、数百〜数千rpm程度とすれば数分で本発明が要求する温度に微粉砕粉末Pを加熱することができる。なお、本発明者等の検討によれば、公知の混合あるいは粉砕方法の中で、ボールミル、スクリュ式の混合装置では、相当長時間処理しなければ、微粉砕粉末Pの自己発熱によって30℃以上の温度に加熱することは困難であった。

0025

撹拌を上記温度域で行うためには、微粉砕粉末同士の摩擦による自己発熱を利用する以外に、加熱手段を用いることもできることはいうまでもない。例えば、上記温度範囲に加熱された雰囲気中で微粉砕粉末と潤滑剤の混合物を撹拌してもよい。
また、本発明の撹拌による混合工程は、低酸素雰囲気で行うことが好ましい。微粉砕粉末を構成するR及びFeは酸化しやすい元素であり、加熱により酸化は助長される。したがって、加熱を伴う撹拌による混合工程は、酸素量が100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下の雰囲気下で行うことが好ましい。なお、この工程に限らず、高い磁気特性の希土類永久磁石を得るためには、他の工程、つまり粗粉砕工程から焼結工程に至るまで、酸素量が100ppm以下の低酸素雰囲気とすることが好ましい。このような低酸素雰囲気で各工程を実施することにより、酸素量が2000ppm以下のR−T−B系希土類永久磁石を得ることができる。

0026

<磁場中成形工程>
以上のようにして得られた微粉砕粉末は、金型キャビティ充填され、磁場中成形に供される。磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm2の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増又は漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向度は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
また、印加する磁場は、12〜20kOe程度とすればよい。また、印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。

0027

本発明は、磁場中成形に先立つ加熱撹拌・混合工程において、潤滑剤が微粉砕粉末中に十分に分散しているため、潤滑剤の添加量が少量であっても、磁場中成形で高い配向度を得ることができる。高い配向度は、希土類永久磁石としての残留磁束密度(Br)の値から判断できる。また、潤滑剤が微粉砕粉末中に十分に分散しているため、成形体が金型壁面に付着したりするおそれもなく、安定した磁場中成形を実施することができる。

0028

<焼結工程>
磁場中成形により得られた成形体には、潤滑剤除去処理が施される。炭素残留による磁気特性低下を防止するためである。潤滑剤除去処理は、真空中あるいは水素雰囲気中で、所定の熱処理条件で行うのが好ましい。潤滑剤除去処理は、焼結の昇温過程で行うことが効率的である。
潤滑剤除去処理後、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、真空中で、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。

0029

<時効熱処理工程>
焼結後、得られた焼結体時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力(HcJ)を制御する重要な工程であり、不活性ガス雰囲気中あるいは真空中で時効処理を施すことが好ましい。この時効処理としては、2段時効処理が好ましい。1段目の時効処理工程では、700〜900℃の範囲内に1〜3時間保持する。次いで、室温〜200℃の範囲内にまで急冷する第1急冷工程を設ける。2段目の時効処理工程では、500〜700℃の範囲内に1〜3時間保持する。次いで、室温まで急冷する第2急冷工程を設ける。600℃近傍の熱処理で保磁力(HcJ)が大きく増加するため、時効処理を1段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。

0030

磁石組成>
本発明は、例えば、希土類永久磁石、特にR−T−B系希土類永久磁石に適用することができる。
このR−T−B系希土類永久磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系希土類永久磁石の主相となるR2T14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR2T14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%、さらに望ましいRの量は28.5〜33wt%である。

0031

また、このR−T−B系希土類永久磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
このR−T−B系希土類永久磁石は、Coを3wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜2wt%、さらに望ましくは、0.3〜1.5wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相耐食性向上に効果がある。

0032

また、このR−T−B系希土類永久磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.5wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られるR−T−B系希土類永久磁石の高保磁力化高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は、0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、望ましいCuの量は0.15wt%以下(0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.12wt%である。
さらに、このR−T−B系希土類永久磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。特に、低酸素量のR−T−B系希土類永久磁石を作製する場合には、結晶粒の粗大化防止のために、Zr、Ti、Nb及びTaの1種又は2種以上を添加することが好ましい。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を2000ppm以下、さらには1500ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。また、本発明では、潤滑剤の添加量を低減することができるので、炭素量を1500ppm以下、さらには1000ppm以下に規制することができる。

0033

ストリップキャスト法により、28.1wt%Nd−0.06wt%Cu−0.12wt%Al−0.2wt%Zr−1.1wt%B−Fe.balの組成を有する低R合金と、35wt%Nd−0.5wt%Cu−0.1wt%Al−10wt%Co−Fe.balの組成を有する高R合金を作製した。
次いで、低R合金及び高R合金を90:10の重量比で配合した後に、室温にて水素を吸蔵させた。その後、Ar雰囲気中で600℃×1時間保持する脱水素処理を行った。脱水素処理により低R合金及び高R合金は数百μm程度に粗粉砕された。なお、この水素粉砕処理の工程から後述する焼結の工程までは、酸素量が100ppm以下の雰囲気下で各工程が実施された。もちろん、各工程間の雰囲気も酸素量が100ppm以下に規制されている。

0034

以上で得られた粗粉砕粉末に潤滑剤(第1の潤滑剤)としてオレイン酸アミドを0.07wt%添加した。なお、オレイン酸アミドの融点は75℃である。オレイン酸アミドが添加された粗粉砕粉末をジェットミルにて平均粒径が3.5〜4μmになるまで微粉砕した。
その後、得られた微粉砕粉末に第2の潤滑剤としてカプリル酸アミドを0.05wt%添加した後に、図2に示す高速流動型の撹拌装置10を用いて混合処理した。なお、撹拌翼2の回転数を4000rpm(実施例A)とした。また、微粉砕粉末に第2の潤滑剤としてカプリル酸アミドを添加した後に、スクリュ式の混合機(ホソカワミクロン(株)製ナウタミキサ)を用いて、微粉砕粉末と潤滑剤を撹拌・混合処理した(比較例A)。なお、種々の時間で処理を終了した。

0035

以上の処理を施して十分に時間が経過した後に、微粉砕粉末を磁場中成形した。なお、磁場中成形は、成形圧力:1.4ton/cm2、印加磁場:17kOeの条件で行った。
磁場中成形で得られた成形体を焼結した。焼結は、真空中、1090℃で4時間保持する条件とした。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と540℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。

0036

得られたR−T−B系希土類永久磁石の組成分析を行ったところ、以下の通りであった。
28.7wt%Nd−0.1wt%Cu−0.12wt%Al−0.18wt%Zr−1wt%B−1wt%Co−Fe.bal
また、これらR−T−B系希土類永久磁石の酸素量、窒素量及び炭素量は以下の通りであった。
酸素量:890〜1020ppm
窒素量:320〜380ppm
炭素量:680〜820ppm

0037

得られたR−T−B系希土類永久磁石の磁気特性を測定した。微粉砕後の撹拌による混合の処理時間と磁気特性の関係を図3(残留磁束密度(Br))及び図4(保磁力(HcJ))に示す。図3及び図4に示すように、混合時間によって残留磁束密度(Br)が変動することがわかった。ただし、保磁力(HcJ)は、混合時間によって、また混合の方式によって変動していない。これは、水素粉砕処理以降の各工程を100ppm以下の酸素量の雰囲気で行うことにより、酸化を抑制できたからである。

0038

本発明者等は、磁気特性が混合処理時間によって変動する理由を確認すべく、撹拌処理時間毎の微粉砕粉末の温度を測定した。その結果を図5に示す。図5に示すように、混合処理時間が長くなるにつれて微粉砕粉末の温度が上昇することがわかる。

0039

以上の結果に基づき、混合処理時の到達温度と希土類永久磁石の磁気特性の関係を図6及び図7に示した。図6及び図7に示すように、保磁力(HcJ)は温度によって変動しないが、残留磁束密度(Br)は混合処理における到達温度によって変動する。本実施例で用いたオレイン酸アミド、カプリル酸アミドの場合、混合処理における温度が30〜75℃の範囲で150〜300Gも残留磁束密度(Br)が向上することがわかる。

0040

第1の潤滑剤及び第2の潤滑剤として表1に示すものを用いた。それ以外は実施例1と同様に図2に示す高速流動型の撹拌装置10を用い、700sec混合処理(到達温度:60℃)を行った。その際、回転翼2の回転数を4000rpmとした。なお、第1の潤滑剤及び/又は第2の潤滑剤の添加量を種々変えた。

0041

0042

以上の処理を施して十分に時間が経過した後に、実施例1と同様にして磁場中成形、焼結を行ってR−T−B系希土類永久磁石を得た。得られたR−T−B系希土類永久磁石の磁気特性を測定した。その結果を表1に示す。なお、得られたR−T−B系希土類永久磁石の組成を確認したところ、実施例1と同様であった。またR−T−B系希土類永久磁石の酸素量、窒素量及び炭素量についても実施例1と同様であった。参考までに、実施例1Aの磁気特性も表1に示す。

0043

<比較例>
攪拌に比較例Aと同様にスクリュ式混合機を使用した以外は実施例2と同様にして得られたR−T−B系希土類永久磁石についても磁気特性を測定した。その結果を表2に示す。

0044

0045

表1及び表2の比較により、潤滑剤として表1、2に示すものを用いた場合にも、混合処理を行うことにより残留磁束密度(Br)が向上することがわかる。つまり、本実施例においても実施例1と同様の傾向が確認できた。また、磁気特性の観点から、ラウリン酸アミドとカプリル酸の組み合わせが好ましいことがわかった。

0046

<実施例B>
第1の潤滑剤としてラウリン酸アミド(融点:110℃)、第2の潤滑剤としてカプリル酸ブチル(液体)を用いた。それ以外は実施例1と同様に図2に示す高速流動型の撹拌装置10を用い、700sec混合処理(到達温度:60℃)を行った。その際、回転翼2の回転数を4000rpmとした。なお、ラウリン酸アミド及び/又はカプリル酸ブチルの添加量を種々変えた。
<実施例C>
第1の潤滑剤としてカプリル酸アミド(融点:110℃)、第2の潤滑剤としてカプリル酸(液体)を用いる以外は実施例Bと同様に700sec混合処理(到達温度:60℃)を行った。なお、カプリル酸アミド及び/又はカプリル酸の添加量を種々変えた。

0047

以上の処理を施して十分に時間が経過した後に、実施例1と同様にして磁場中成形、焼結を行ってR−T−B系希土類永久磁石を得た。
得られたR−T−B系希土類永久磁石の磁気特性を測定した。なお、高速流動型の撹拌装置10を用いた混合処理を行わない以外は実施例Bと同様にして得られたR−T−B系希土類永久磁石(比較例B)についても磁気特性を測定した。

0048

潤滑剤の添加量と磁気特性の関係を図8(残留磁束密度(Br))及び図9(保磁力(HcJ))に示す。図8に示すように、撹拌装置10を用いた混合処理を行った実施例B、Cの方が当該処理を行わない比較例Bよりも高い残留磁束密度(Br)が得られることがわかる。また、図8及び図9より、潤滑剤の添加量が少ないと高い保磁力(HcJ)が得られ、逆に潤滑剤の添加量が多いほど高い残留磁束密度(Br)が得られることがわかる。これは、潤滑剤に起因するCの残留量に起因するものと介される。
なお、得られたR−T−B系希土類永久磁石の組成を確認したところ、実施例1と同様であった。

0049

実施例1と同様にしてジェットミルにより微粉砕粉末を得た。得られた微粉砕粉末に第2の潤滑剤としてカプリル酸アミドを0.05wt%添加した後に、微粉砕粉末を実施例1の比較例Aで用いたスクリュ式混合機を用いて撹拌・混合処理した。ただし、スクリュ式混合機の容器の外周に熱媒体(加熱された油)を循環させることにより、処理されている微粉砕粉末を加熱した。なお、種々の時間で処理を終了した。
以上の処理を施して十分に時間が経過した後に、実施例1と同様にして磁場中成形、焼結を行ってR−T−B系希土類永久磁石を得た。得られたR−T−B系希土類永久磁石の磁気特性を測定した。

0050

撹拌・混合処理の過程で微粉砕粉末が加熱された温度と磁気特性の関係を図10(残留磁束密度(Br))及び図11(保磁力(HcJ))に示す。なお、図10及び図11には、前述した実施例1の結果を併せて示している。図10及び図11に示すように、専ら外部から加熱を加えつつ撹拌・混合処理した場合にも、残留磁束密度(Br)の向上効果が得られる。

0051

上記実施例1〜4では粗粉砕工程から焼結工程に至るまで、酸素量が100ppm以下の低酸素雰囲気で各工程を実施した。本実施例では、粗粉砕工程から焼結工程までの間に酸素を容認した工程を一部用いた場合にも、撹拌・混合処理による残留磁束密度(Br)の向上効果が得られるかを確認した。
<実施例D>
ストリップキャスト法により、27.9wt%Nd−5.6wt%Pr−0.07wt%Cu−0.25wt%Al−1.1wt%B−Fe.balの組成を有する低R合金と、60.0wt%Nd−0.7wt%Cu−0.25wt%Al−5.0wt%Co−Fe.balの組成を有する高R合金を作製した。
次いで、低R合金及び高R合金を90:10の重量比で配合した後に、室温にて水素を吸蔵させた。その後、Ar雰囲気中で600℃×1時間保持する脱水素処理を行った。脱水素処理により低R合金及び高R合金は数百μm程度に粗粉砕された。
以上で得られた粗粉砕粉末に潤滑剤(第1の潤滑剤)としてオレイン酸アミドを0.10wt%添加した。なお、オレイン酸アミドの融点は75℃である。オレイン酸アミドが添加された粗粉砕粉末を酸素濃度が3000ppmに管理されたジェットミルにて平均粒径が3.0〜3.5μmになるまで微粉砕した。
その後、得られた微粉砕粉末に第2の潤滑剤としてオレイン酸ブチル(液体)を0.05wt%添加した後に、図2に示す高速流動型の撹拌装置10を用い、720sec混合処理(到達温度:64℃)を行った。なお、撹拌翼2の回転数を4000rpmとした。また、混合処理では酸素濃度を100ppm以下に規制した。
以上の処理を施して十分に時間が経過した後に、微粉砕粉末を磁場中成形した。なお、磁場中成形は、成形圧力:1.4ton/cm2、印加磁場:17kOeの条件で大気中で行った。
磁場中成形で得られた成形体を焼結した。焼結は、真空中、1010℃で4時間保持する条件とした。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と540℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。

0052

<比較例C>
攪拌に比較例Aと同様にスクリュ式混合機を使用した以外は実施例Dと同様にしてR−T−B系希土類永久磁石を作製した。

0053

実施例Dおよび比較例Cにおいて得られたR−T−B系希土類永久磁石の組成分析を行ったところ、以下の通りであった。
29.2wt%Nd−5.0wt%Pr-0.1wt%Cu−0.2wt%Al−1.0wt%B−0.5wt%Co−Fe.bal
また、これらR−T−B系希土類永久磁石の酸素量、窒素量及び炭素量はそれぞれ以下の通りであった。
実施例D
酸素量:4780ppm、窒素量:120ppm、炭素量:920ppm
比較例C
酸素量:4550ppm、窒素量:120ppm、炭素量:850ppm

0054

実施例Dおよび比較例Cにおいて得られたR−T−B系希土類永久磁石の磁気特性を測定した。その結果を表3に示す。

0055

0056

一部の工程で酸素を容認した場合にも、表3に示すように、30℃以上かつ潤滑剤の融点未満の温度域で混合処理を行うことにより残留磁束密度(Br)が向上することが確認できた。

図面の簡単な説明

0057

本発明によるR−T−B系希土類永久磁石の製造工程を示すフローチャートである。
本発明に適用できる撹拌装置の構成概要を示す断面図である。
実施例1における混合処理時間と磁気特性(残留磁束密度(Br))の関係を示すグラフである。
実施例1における混合処理時間と磁気特性(保磁力(HcJ))の関係を示すグラフである。
実施例1における混合処理時間と微粉砕粉末の温度の関係を示すグラフである。
実施例1における混合処理時の到達温度と磁気特性(残留磁束密度(Br))の関係を示すグラフである。
実施例1における混合処理時の到達温度と磁気特性(保磁力(HcJ))の関係を示すグラフである。
実施例3における潤滑剤添加量と磁気特性(残留磁束密度(Br))の関係を示すグラフである。
実施例3における潤滑剤添加量と磁気特性(保磁力(HcJ))の関係を示すグラフである。
実施例4における混合処理時の到達温度と磁気特性(残留磁束密度(Br))の関係を示すグラフである。
実施例4における混合処理時の到達温度と磁気特性(保磁力(HcJ))の関係を示すグラフである。

符号の説明

0058

1…容器、2…撹拌翼、3…モータ、10…撹拌装置、P…微粉砕粉末

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