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技術 酸化金属/テンプレート化合物複合膜の製造方法、及びそれを用いた光電極材料の製造方法

出願人 豊田合成株式会社
発明者 安藤宏明竹内宏充箕浦秀樹吉田司
出願日 2005年7月8日 (16年1ヶ月経過) 出願番号 2005-199998
公開日 2006年11月9日 (14年9ヶ月経過) 公開番号 2006-307315
状態 特許登録済
技術分野 電気分解または電気泳動による被覆 光起電力装置 光起電力装置 混成電池
主要キーワード 電導性基板 常時継続的 酸化金属薄膜 総導入量 略平面形状 非平面形状 高周波振動子 最小曲率半径
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重要な関連分野

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課題

任意形状導電性基板から成る作用極非平面形状の表面に、酸化金属テンプレート化合物から成る複合膜を、電解装置を用いて略均一に成膜すること。

解決手段

反応槽4内の電解液6中に浸される作用極1は、フッ素をドープすることによって導電性が与えられた透光性ITOガラス基板から形成されている。この作用極1は、ITOガラス基板を屈曲させて形成されており、その屈曲部最小曲率半径は約50mmとした。対極2は亜鉛板から成り、また、参照極3は飽和カロメル電極とした。恒温槽5の中に略水平に配置された正方形超音波振動子7は、厚さ約2mmのアルミ合金からできており、その面積は、250mm×250mmである。この超音波振動子7の裏面には多数の圧電素子が配列されており、それらの圧電素子には合計400Wの電力給電される。これらの圧電素子の出力周波数は27kHzである。

概要

背景

電解処理超音波振動を利用した技術としては、例えば下記の非特許文献1,2に開示されているものが公知である。これらの文献には、電解液を介してではなく直接機械的に作用極を超音波振動させることによって、電解処理中に著しくその電流値が上昇する場合があることが指摘されている。
また、下記の特許文献1には、電極を一定の周波数振幅振動させることによって強制的な物質輸送能力を生み出す装置として、振動電極電解装置に関する言及がある。
本田新、外3名、「超音波振動電極の電極反応特性の検討」(山形大院理工)、[online]、[平成17年3月15日検索]、インターネットLRU:http://vweb.yz.yamagata-u.ac.jp/k5/theme/u-sonic0307.pdf>
本田新、「超音波振動電極の電極反応特性の検討」(山形大工)、[online]、[平成17年3月15日検索]、インターネット<LRU:http://vweb.yz.yamagata-u.ac.jp/k5/theme/u-sonic0309.pdf>
特開2004−006235

概要

任意形状導電性基板から成る作用極の非平面形状の表面に、酸化金属テンプレート化合物から成る複合膜を、電解装置を用いて略均一に成膜すること。反応槽4内の電解液6中に浸される作用極1は、フッ素をドープすることによって導電性が与えられた透光性ITOガラス基板から形成されている。この作用極1は、ITOガラス基板を屈曲させて形成されており、その屈曲部最小曲率半径は約50mmとした。対極2は亜鉛板から成り、また、参照極3は飽和カロメル電極とした。恒温槽5の中に略水平に配置された正方形超音波振動子7は、厚さ約2mmのアルミ合金からできており、その面積は、250mm×250mmである。この超音波振動子7の裏面には多数の圧電素子が配列されており、それらの圧電素子には合計400Wの電力給電される。これらの圧電素子の出力周波数は27kHzである。

目的

本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、任意形状の導電性基板から成る作用極の非平面形状の表面に、酸化金属とテンプレート化合物から成る複合膜を、電解装置を用いて略均一に成膜することである。
また、本発明の更なる目的は、略均一に成膜されるそれらの複合膜を利用して、任意形状の光電素子エネルギー変換効率を維持または向上せさることである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

導電性基板から成る作用極非平面形状の表面に、酸化金属テンプレート化合物から成る複合膜を、電解装置を用いて略均一に成膜する方法であって、前記作用極に対して非接触の超音波振動子を用いて前記電解装置の電解液超音波振動させながら、前記複合膜を成膜する電解処理を実行することを特徴とする酸化金属/テンプレート化合物複合膜の製造方法。

請求項2

前記超音波振動子の振動周波数を1kHz以上200kHz以下とすることを特徴とする請求項1に記載の酸化金属/テンプレート化合物複合膜の製造方法。

請求項3

前記電解液を保持する反応槽と、前記電解液を一定の温度に保つための恒温槽との間に前記超音波振動子を配設することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸化金属/テンプレート化合物複合膜の製造方法。

請求項4

前記酸化金属は、酸化亜鉛(ZnO)から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の酸化金属/テンプレート化合物複合膜の製造方法。

請求項5

前記テンプレート化合物は、カルボキシル基スルホン酸基、またはリン酸基などのアンカー基を有し、電気化学的な還元性を有する色素化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の酸化金属/テンプレート化合物複合膜の製造方法。

請求項6

光電素子光電極材料の製造方法であって、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の製造方法に基づいて製造された前記酸化金属/テンプレート化合物複合膜を洗浄することによって、前記酸化金属/テンプレート化合物複合膜から前記テンプレート化合物を除去する洗浄工程と、前記洗浄工程によって形成された多孔質酸化金属膜内部表面に、色素化合物を吸着させる色素吸着工程とを有することを特徴とする光電極材料の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、任意形状導電性基板から成る作用極非平面形状の表面に酸化金属テンプレート化合物から成る複合膜を、電解装置を用いて略均一に成膜する方法、及び、その方法を利用した光電極材料の製造方法に関する。これらの方法は、例えば屈曲部等を有する非平面形状の導電性基板に上記の複合膜を成膜するのに特に適しており、例えばその様な非平面形状の導電性基板を用いて色素増感太陽電池などの光電素子を製造する場合などに非常に有効である。

背景技術

0002

電解処理超音波振動を利用した技術としては、例えば下記の非特許文献1,2に開示されているものが公知である。これらの文献には、電解液を介してではなく直接機械的に作用極を超音波振動させることによって、電解処理中に著しくその電流値が上昇する場合があることが指摘されている。
また、下記の特許文献1には、電極を一定の周波数振幅振動させることによって強制的な物質輸送能力を生み出す装置として、振動電極型電解装置に関する言及がある。
本田新、外3名、「超音波振動電極の電極反応特性の検討」(山形大院理工)、[online]、[平成17年3月15日検索]、インターネットLRU:http://vweb.yz.yamagata-u.ac.jp/k5/theme/u-sonic0307.pdf>
本田新、「超音波振動電極の電極反応特性の検討」(山形大工)、[online]、[平成17年3月15日検索]、インターネット<LRU:http://vweb.yz.yamagata-u.ac.jp/k5/theme/u-sonic0309.pdf>
特開2004−006235

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、これらの文献からは、例えば屈曲部等を有する任意形状の導電性基板から成る非平面形状の作用極の表面に、酸化金属膜を極力均一に成膜するために、特に適した電解処理方法があり得るか否かと言う問題に係わる知見や、その可能性や、少なくともその具体的な実施様態等については、何ら知ることができない。
また、電解液を介してではなく直接機械的に作用極を超音波振動させることは、必ずしも容易ではなく、その様な方式を採用する場合には、処理対象となる作用極の大きさや重さや形などの変更に応じて、その振動子や駆動系に係わる電解装置の仕様を随時変更する必要性が生じ得る。

0004

本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、任意形状の導電性基板から成る作用極の非平面形状の表面に、酸化金属とテンプレート化合物から成る複合膜を、電解装置を用いて略均一に成膜することである。
また、本発明の更なる目的は、略均一に成膜されるそれらの複合膜を利用して、任意形状の光電素子のエネルギー変換効率を維持または向上せさることである。

課題を解決するための手段

0005

上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、導電性基板から成る作用極の非平面形状の表面に、酸化金属とテンプレート化合物から成る複合膜を、電解装置を用いて略均一に成膜する方法において、作用極に対して非接触の超音波振動子を用いて電解装置の電解液を超音波振動させながら、上記の複合膜を成膜する電解処理を実行することである。

0006

ただし、ここで、作用極の非平面形状の表面とは、曲面凹凸や穴などを有する作用極の表面のことを言う。また、曲面の曲率半径は特に制限されるものではないが、その曲面の曲率半径が20cm以下の場合には、本発明に基づくより大きな作用・効果を期待することができる。また、上記の凹凸は、平面の組み合わせから形成されていても良い。
また、上記の作用極に対する超音波振動子の相対的な配向は任意で良い。

0007

また、ここで言うテンプレート化合物とは、カソード電解により形成される酸化金属の内部表面に吸着される化合物をいう。このテンプレート化合物は、化学吸着により酸化金属のバルク内部に存在するのではなく、金属イオン錯体を形成して酸化金属の内部表面に吸着される化合物であれば良い。これらのテンプレート化合物は、必ずしも色素化合物である必要はない。

0008

また、上記の導電性基板としては、導電性基板を任意に用いて良く、例えば、スズ(Sn)が添加されたITOガラス酸化インジウムスズ硝子)や、例えばITOなどをコーティングしたPETや、FTO(酸化スズフッ素をドープした膜)やSnO2 などを用いることができる。これらの導電性基板は、高い透光性を有することが望ましい。しかしながら、必ずしもその限りではなく、全く透光性を有しない基板材料を使用しても良い。これは、例えば、色素増感太陽電池を構成する場合、少なくとももう一方の他極側に透光性があれば、太陽電池を構成することが十分に可能となるためである。

0009

また、本発明の第1の手段は、従来の攪拌操作と併用して実施しても良い。従来の攪拌方法攪拌装置については、例えば上記の特許文献1などに多くの例示がある。

0010

また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段において、上記の超音波振動子の振動周波数を1kHz以上200kHz以下とすることである。ただし、この範囲は、より望ましくは、10kHz以上100kHz以下である。
また、本発明の第3の手段は、上記の第1又は第2の手段において、電解液を保持する反応槽と、その電解液を一定の温度に保つための恒温槽との間に上記の超音波振動子を配設することである。

0011

また、本発明の第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段において、上記の酸化金属を酸化亜鉛(ZnO)とすることである。この場合、電解装置の電解液の溶質としては、亜鉛塩(ZnCl2 )などを添加する。
ただし、これ以外にも、例えば酸化チタン酸化タングステンチタン酸バリウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化鉛などの金属酸化物を材料としても良い。これらの場合には、カソード電析において、これらの無機酸塩を含む電解液を用いることができる。

0012

また、本発明の第5の手段は、上記の第1乃至第4の何れか1つの手段において、カルボキシル基スルホン酸基、またはリン酸基などのアンカー基を有し、電気化学的な還元性を有する色素化合物を上記のテンプレート化合物に用いることである。
これらの色素化合物については、後から多数例示するが、例えばエオシンY(C20H6 Br4 Na2 O5 )などを用いると良い。

0013

また、本発明の第6の手段は、光電素子の光電極材料の製造方法において、上記の本発明の第1乃至第5の何れか一つの手段に基づいて製造された酸化金属/テンプレート化合物複合膜洗浄することによって、その酸化金属/テンプレート化合物複合膜から上記のテンプレート化合物を除去する洗浄工程と、その洗浄工程によって形成された多孔質の酸化金属膜の内部表面に色素化合物を吸着させる色素吸着工程とを設けることである。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。

発明の効果

0014

以上の本発明の手段によって得られる効果は以下の通りである。
即ち、本発明の第1の手段によれば、作用極周辺の電解液を適度に超音波振動させることができるため、そのミクロな攪拌操作に基づいて、作用極の表面の各部の法線の向きに依存し難いどの方位に対しても略均一な物質輸送を実現することができる。したがって、本発明の第1の手段によれば、任意形状の作用極の表面においても各部の成長速度が略均一になり、その結果、屈曲部や凹凸や穴などを有する任意形状の(非平面形状の)導電性基板に対して膜厚が略均一な酸化金属/テンプレート化合物複合膜を略均一に成膜することが可能となる。

0015

この方法では略平面形状電導性基板に対して従来の電解処理方法を用いた場合に比べ複合膜の成長速度が大幅に低下してしまうために、この方法は従来から特に用いられることは無かったが、しかしながら、この方法は上記の通り、例えば屈曲部等を有する非平面形状の導電性基板に上記の複合膜を略均一に成膜するのに特に適している。
したがって、本発明の第1の手段は、例えばその様な非平面形状の導電性基板を用いて色素増感太陽電池などの光電素子を製造する場合などに非常に有効である。

0016

また、本発明の第2の手段によれば、作用極周辺の電解液をより好適に超音波振動させることができる。ただし、この範囲は、より望ましくは、10kHz以上100kHz以下である。この周波数が低過ぎると、成長速度の方位依存性が顕著になり易い。また、この周波数を高くし過ぎると、成長速度の方位依存性が現われたり、或いは振動子を駆動するのに必要となる電力が増大したりして望ましくない。

0017

また、本発明の第3の手段によれば、超音波振動子を電解液中に配設する必要がなくなるので、電解液との作用を考慮せずに超音波振動子やその駆動系を構成する部品の材料を決定することができる。
また、これらの部品を恒温槽の側に据え付けにすることも可能となるので、電解装置の設計が容易となり、また、2つの反応槽を入れ換える場合などにも電解装置の利用が容易となる。

0018

また、本発明の第4の手段によれば、酸化亜鉛で複合膜のポーラス構造が形成されるので、そのポーラス構造の形成が良好となり、また、金属膜内における伝導電子エネルギー準位や界面での電気抵抗なども適当となるので、この複合膜を有する上記の導電性基板を光電素子の電極材料として利用する場合に、より高いエネルギー変換効率を確保することができる。

0019

また、本発明の第5の手段によれば、上記の酸化金属/テンプレート化合物複合膜から上記のテンプレート化合物を除去する際に、水酸化ナトリウム水酸化カリウムなどの塩基水溶液を用いたアルカリ洗浄によって、簡単に膜中のテンプレート化合物を除去することが可能となる。

0020

また、本発明の第6の手段によれば、酸化金属に直接結合できなかった色素(テンプレート化合物)等が排除(洗浄)されて、増感剤として機能させるために必要かつ十分な量の色素だけが改めて膜中に導入(再吸着)されるので、光電極特性が向上する。そのため、この酸化金属/色素複合薄膜を色素増感太陽電池やその他の光電素子の光電極材料に用いた際には、非常に高いエネルギー変換効率を得ることができる。また、本発明の第6の手段によれば、多孔質の酸化金属によって構成されるポーラス構造の内部表面に、用途などに応じて様々な色素を選択して再吸着させることも可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0021

上記のテンプレート化合物は、電気化学的に還元性を有し、これらが酸化金属膜成長過程還元され、求核性が増すことにより金属イオンと錯体を形成し、これが酸化金属結晶の内部表面に吸着されるためにそれ以上の結晶成長を抑制し、テンプレート化合物の分子サイズ+αの3次元的に連結したナノポア結晶粒内に形成する化合物であると言うことができる。したがって、この様なテンプレート化合物としては、カルボキシル基、スルホン酸基あるいはリン酸基などのアンカー基を有し、電気化学的に還元性を有する芳香族化合物などのπ−電子を有するもの等が好適であり、より具体的に例示すれば以下の通りである。

0022

即ち、上記のテンプレート化合物としては例えば、キサンテン系色素のエオシンY、フルオレセインエリスロシンBフロキシンB、ローズベンガル、フルオレクソンマーキュロクロムジブロモフルオレセイン、ピロガロールレッドなど、クマリン系色素クマリン343など、トリフェニルメタン系色素ブロモフェノールブルーブロモチモールブルーフェノールフタレインなどがある。また、これら以外にシアニン系色素メロシアニン系色素ポルフィリンフタロシアニンペリレンテトラカルボン酸誘導体インジゴ色素オキソノール色素天然色素アントシアニンクチナシ色素ウコン色素ベニバナ色素カロテノイド色素コチニール色素パプリカ色素、Ru、Osなどのポリピリジン錯体などを挙げることができ、これらの大半は色素である。
なお、上記の本発明の第6の手段によって、色素を改めて酸化金属膜の内部表面に吸着させる場合には、先の電解処理時に電解液中に添加するこれらのテンプレート化合物は必ずしも色素である必要はない。即ち、酸化金属膜の内部表面に最終的に付着、残留する化合物だけが色素であれば良い。

0023

また、作用極に用いる導電性基板は、少なくとも光電変換反応に必要な波長の光を透過させるものであれば良く、95%酸化インジウムと5%酸化スズからなる化合物(ITO)を透明ガラス板に薄く蒸着したITOガラス基板や酸化スズにフッ素をドープした膜(FTO)を透明ガラス板に薄く蒸着したFTOガラス基板などを挙げることができる。また、酸化金属は、高温焼成する必要がないので、透明ガラス板に代え、例えば導電性PETなどの透明なプラスチックを基板として用いることもできる。プラスチックを基板として用いる場合、プラスチックをコイル状に巻き、これに酸化金属/色素複合薄膜を形成すれば、大量生産が可能となる。

0024

また、上記のテンプレート化合物を除去した後に、改めてその酸化金属の膜中(内部表面)に吸着させる色素としては様々なものを用いることができ、例えば、キサンテン系色素のエオシンY、フルオレセイン、エリスロシンB、フロキシンB、ローズベンガル、フルオレクソン、マーキュロクロム、ジブロモフルオレセイン、ピロガロールレッドなど、クマリン系色素のクマリン343など、トリフェニルメタン系色素のブロモフェノールブルー、ブロモチモールブルー、フェノールフタレインなどがある。また、これら以外にシアニン系色素、メロシアニン系色素、ポルフィリン、フタロシアニン、ペリレンテトラカルボン酸誘導体、インジゴ色素、オキソノール色素や天然色素のアントシアニン、クチナシ色素、ウコン色素、ベニバナ色素、カロテノイド色素、コチニール色素、パプリカ色素、Ru、Osなどのポリピリジン錯体などを挙げることもできる。

0025

また、これらの色素を再吸着させる多孔質酸化金属薄膜におけるテンプレート化合物の色素脱着率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。80%より色素脱着率が低いと、色素を再吸着させて得られる酸化金属/色素複合薄膜を色素増感太陽電池の光電極材料として用いた場合の光電極機能が著しく低下するからである。ただし、ここで、上記の色素脱着率は、{(色素(テンプレート化合物)総導入量)−(アルカリ処理後色素(テンプレート化合物)残留量)}/(色素(テンプレート化合物)総導入量)と定義される。また、色素を再吸着させる場合、多孔質酸化金属膜に乾燥処理を施してから行うのが好ましい。乾燥処理を施さないと、光電極機能が低下するからである。

0026

また、酸化金属膜を形成するカソード電析は、所望の基板の存在下、亜鉛塩を含む電解浴中で行う。亜鉛塩は、塩化亜鉛臭化亜鉛ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛硝酸亜鉛過塩素酸亜鉛などを用いることができ、ハロゲン化亜鉛の場合は酸素を供給する(バブリング)が、酸素のバブルが電極に接触すると色素は酸化していまい脱着不能となるので、電極にバブルが接触しないようにする工夫が必要である。亜鉛塩を用いる場合の対極としては、亜鉛、金、白金、銀などが挙げられる。カソード電析により、酸化亜鉛の規則薄膜構造が得られ、また酸化チタンのような熱処理が不要なことにより基板の選択範囲も広まる。

0027

また、多孔質酸化金属膜は、テンプレート化合物を前記の電解浴に予め混合しておいてからカソード電析し、更に酸化金属膜の内部表面に吸着されたテンプレート化合物を脱着手段を講じることにより得ることができる。これにより、酸化金属膜の表面からテンプレート化合物が脱着されることにより酸化金属膜には多数の空隙が形成され極めてポーラス比表面積が増大する。テンプレート化合物の脱着手段は、テンプレート化合物がカルボキシル基、スルホン酸基あるいはリン酸基などのアンカー基を有する化合物であれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基の水溶液を用いて洗浄することで行えるが、これに限定されるものではなく、テンプレート化合物の種類に応じて適宜行うことができる。アルカリによる洗浄は、pH10〜13で行うことが好ましい。

0028

また、色素増感太陽電池の中に用いる電解質溶液は、レドックス電解質を含む溶液、これをゲル化剤によって半固体化した電解質、CuI、CuSCN、NiO、Cu2O、KIなどのp型半導体固体ホール輸送材料など様々なものを用いることができる。電池の電解質中に存在させる酸化還元対としては、ヨウ素/ヨウ化物臭素臭化物などの酸化還元対を用いることができる。また、溶媒は水系でアセトニトリルエチレンカーボネート混合溶液など様々なものを用いることができる。特に、多孔質酸化亜鉛薄膜に吸着させた色素が脱離しにくい嵩高い電解質を含む電解液が好ましく、このような電解質としては、ハロゲン化セシウムハロゲン化四級アルキルアンモニウム類ハロゲン化イミダゾリウム類、ハロゲン化チアゾリウム類、ハロゲン化オキサゾリウム類、ハロゲン化キノリニウム類、ハロゲン化ピリジニウム類から選ばれた一種以上とハロゲン単体とを組み合わせたものなどが好適である。より具体的には例えば、ヨウ化セシウム四級アルキルアンモニウムヨージド類のテトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラエブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラへプチルアンモニウムヨージド、トリメチルフェニルアンモニウムヨージド、イミダゾリウムヨージド類として3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド、チアゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−2−チアゾリウムヨージド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムヨージド、3−エチル−2−メチルベンゾチアゾリウムヨージド、オキサゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−ベンゾキサゾリウムヨージド、キノリニウムヨージド類として1−エチル−2−メチルキノリニウムヨージド、ピリジニウムヨージド類の1種以上とヨウ素との組み合わせ、あるいは四級アルキルアンモニウムブロミド等と臭素との組み合わせなどを用いることができる。

0029

以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。

0030

本実施例1では、3電極系の1室型セルを用いる。図1に、本実施例1で用いるその電解装置の構成を示す。反応槽4内の電解液6中に浸される作用極1は、フッ素をドープすることによって導電性が与えられた透光性のFTOガラス基板から形成されている。この作用極1は、200mm×200mmのFTOガラス基板を屈曲させて形成されており、その屈曲部の最小曲率半径は、約50mmとした。
対極2は亜鉛(Zn)板から成り、また、参照極3(SCE)は飽和カロメル電極とした。反応槽4は、水を溜めた恒温槽5の中に固定されており、これによって、上記の電解液6は、0℃〜100℃の間の任意の温度に設定することができる。

0031

恒温槽5の中に略水平に配置された正方形の超音波振動子7は、厚さ約2mmのアルミ合金からできており、その面積は、250mm×250mmである。この超音波振動子7の裏面には、周知の超音波洗浄装置などと略同様に多数の圧電素子が配列されており、それらの圧電素子には合計400Wの電力が商用電源9から給電線8を介して給電される。これらの圧電素子の出力周波数は27kHzである。この超音波振動子7から出力される振動は、反応槽4を介して反応槽4内の電解液6を振動させる。
なお、上記のFTOガラス基板は使用前に、アセトン2−プロパノール、及び5%ビスタ溶液(洗浄液)中にてそれぞれ15分間ずつ超音波洗浄して脱脂し、その後、45%硝酸溶液に2分間浸すなどの表面処理を施してから上記の作用極1として使用した。

0032

〔多孔質酸化亜鉛薄膜の作製〕
まず最初に、KClが0.1Mとなるように調製した水溶液を上記の電解液6として用いて、その溶液に酸素を20分間バブリングした。
その後の酸化亜鉛薄膜を成膜するための電解処理では、アンカー基を有するテンプレート化合物としてエオシンY(以下、EYと略すことがある)を用いた。即ち、ここでは、EYが内部表面に吸着される酸化亜鉛薄膜(以下、酸化亜鉛/EY薄膜初回吸着)という)の形成浴(即ち、図1の電解液6)を、50μMのエオシンY水溶液中でZnCl2 が5mM、KClが0.1Mとなるように調製した。なお、上記のエオシンYの濃度は、ランベルトベールの法則に基づいて決定した。

0033

次に、電解処理では、浴温は70℃に固定し、電位−1.1V(vs.SCE)で定電位電解を45分間行うことにより、膜厚約3μmの酸化亜鉛/EY複合薄膜を形成した。また、上記の酸素のバブリングは、引き続きこの電解処理中も継続した。また、この電解処理工程中には、上記の超音波振動子7を400W,27kHzで常時継続的に振動させた。
その後、この電解処理によって得られた酸化亜鉛/EY薄膜を乾燥させることなく直ちに、0.1MのKOHに10分間浸漬し、更に水洗いすることにより薄膜中のEYを除去して多孔質酸化亜鉛薄膜を得た。

0034

〔酸化亜鉛/色素複合薄膜の作製〕
次に、得られた多孔質酸化亜鉛薄膜を約150℃で30分乾燥処理した後、約100℃にて、5mMのEYエタノール溶液中で簡易還流を行い、これによって酸化亜鉛/EY複合薄膜を作製した。
ただし、上記と同様の手順で得られる同様の多孔質酸化亜鉛薄膜に対して、上記のEYの代りにクマリン343(色素)を再吸着させた酸化亜鉛/クマリン343薄膜を作製しても良い。

0035

〔色素増感太陽電池の作製〕
その後、上記の酸化亜鉛/EY複合薄膜を用いて、色素増感太陽電池を作製した。ここでは正極として、電池の電解質溶液に直接接触する面に反射膜を兼ねた白金(Pt)蒸着の電極層を成膜した導電性ガラスを用いた。また、その電解質溶液にはヨウ化エトラブチルアンモニウム0.5M、ヨウ素0.05Mのヨウ素電解液を用いた。

0036

〔本実施例1の効果〕
高周波振動子7を使用しない従来の場合よりも成膜時間が約2倍必要となったが、しかしながら、本実施例1では図2にそのSEM写真を示す様に、作用極1の全面にわたって、膜厚約3μmの酸化亜鉛/EY薄膜を略均一に良好に成膜することができた。
図3は、これと比較するために超音波振動子を用いずに作成したサンプルの酸化亜鉛/EY薄膜の表面のSEM写真である。何れの酸化亜鉛/EY薄膜も個々の酸化亜鉛結晶塊の大きさは略同じであるが、上記の実施例1の酸化亜鉛/EY薄膜の表面(図2の写真)には、個々の結晶塊の間に殆ど隙間がなく、本発明によってポーラス構造がより綿密に平らに均等に形成されていることが判る。

0037

また、高周波振動子7を使用しない従来方式の場合についても同様に、上記の通りに色素増感太陽電池を作製して、双方の光電流作用スペクトルをそれぞれ測定した。その結果、実施例1で得られた色素増感太陽電池は、高周波振動子7を利用せずに得られた従来の平面形状の酸化亜鉛/EY薄膜を用いたものと比べても遜色なく、当該光電素子に対して所定数光子照射して発生させた光電流の値(よって照射フォトン数当り光電流変換効率)は、従来と略同等のエネルギー変換効率(約85%)を示した。

0038

〔その他の変形例〕
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
(変形例1)
例えば、上記の実施例1では、マクロな攪拌操作を並行に実施しなかったが、本発明の作用・効果を得るに当たっては、例えば特許文献1などに例示されている様なマクロな適当な攪拌操作を併用しても良く、また、その様なマクロな攪拌操作を併用する製造方法も本発明に属する。即ち、この様な攪拌操作の有無に係わらず、本発明の手段は、前記の本発明の作用・効果を示すものである。

0039

(変形例2)
また、上記の実施例1では、超音波振動子7を略水平に配設したが、超音波振動子7の配向は任意で良く、よって、超音波振動子7の配向は、実際の電解装置(特に、恒温槽5や反応槽4など)の大きさや形や作用極の位置や配向などに応じて適当に決定することができる。

0040

本発明の方法は、色素増感太陽電池の外にも、例えば紫外線発光素子など光電素子の電極材料等として大いに有用である。

図面の簡単な説明

0041

実施例1で用いる3極式の電解装置の構成を模式的に描いた概念
実施例1の作用極1の酸化亜鉛/EY薄膜の表面のSEM写真
超音波振動子を用いずに得られた酸化亜鉛/EY薄膜の表面のSEM写真

符号の説明

0042

1:作用極(透光性の導電性基板)
2:対極
3:参照極
4:反応槽
5:恒温槽
6:電解液
7:超音波振動子

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