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技術 鋼帯の製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 高橋秀行佐々木成人
出願日 2005年6月17日 (15年6ヶ月経過) 出願番号 2005-177165
公開日 2006年11月9日 (14年1ヶ月経過) 公開番号 2006-307314
状態 特許登録済
技術分野 熱処理一般;主に搬送、冷却 ストリップ・線材の熱処理
主要キーワード 冷却手法 ラボ試験 冷却試験 グロー放電発光分析 酸化防止能力 不メッキ 冷間圧延鋼帯 常温程度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

鋼帯冷却開始温度が高い場合であっても、酸化物生成抑制作用が優れ、また冷却時の温度ムラによる鋼帯形状劣化を防止できる鋼帯の製造方法を提供する。

解決手段

加熱処理工程と、加熱処理後に冷却する冷却工程を含む鋼帯の製造方法であって、前記冷却工程は、アスコルビン酸化合物を含む液体を用いて鋼帯を冷却することを特徴とする鋼帯の製造方法である。鋼帯冷却開始温度が高温であっても、鋼帯表面酸化させないで冷却することが可能である。

概要

背景

近年、鋼帯の製造には連続焼鈍が用いられている。例えば、高強度鋼帯を製造する場合、鋼帯を加熱焼鈍高速冷却して製造される。高速冷却手法としては、水浸漬法(例えば特許文献1等参照)等が行われている。しかし、この手法で鋼帯を高速冷却すると、鋼帯表面酸化物が形成され、外観品質劣化する問題があり、また、冷却時の温度ムラによって鋼帯形状が劣化する等の問題がある。鋼帯形状劣化等の問題は、水噴射ノズルの構造を改善することである程度改善できる(例えば特許文献2〜4等参照)が、外観劣化を防止できる程度に酸化物の生成を抑制することは困難であった。

近年、鋼帯の耐食性を向上させるために、焼鈍後の鋼帯に溶融亜鉛めっきを施した高強度溶融亜鉛めっき鋼板も製造されるようになってきた。表面に酸化物が生成した鋼帯に溶融亜鉛めっきを施すと不メッキ等が発生し、表面外観が低下する問題がある。

そのため、冷却媒体の水への添加剤を検討することで、酸化物の生成を抑制する技術が開示されている。例えば、特許文献5には、水溶性有機酸水溶性有機アミンからなる金属冷却剤が記載され、さらに、前記水溶性有機酸は炭素数3以上の水溶性ジカルボン酸であり、マロン酸コハク酸グルタール酸アジピン酸ピメリン酸等の飽和ジカルボン酸と、マレイン酸イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸と、リンゴ酸酒石酸等のオキシカルボン酸とが好ましい例としてあげられている。
特公昭49−17131号公報
特開昭51−73911号公報
特開昭60−9834号公報
特公昭63−14053号公報
特開昭57−85923号公報

概要

鋼帯冷却開始温度が高い場合であっても、酸化物生成抑制作用が優れ、また冷却時の温度ムラによる鋼帯形状の劣化を防止できる鋼帯の製造方法を提供する。加熱処理工程と、加熱処理後に冷却する冷却工程を含む鋼帯の製造方法であって、前記冷却工程は、アスコルビン酸化合物を含む液体を用いて鋼帯を冷却することを特徴とする鋼帯の製造方法である。鋼帯冷却開始温度が高温であっても、鋼帯表面を酸化させないで冷却することが可能である。

目的

本発明の課題は、前記問題点を解決し、鋼帯冷却開始温度が高い場合であっても、酸化物生成の抑制作用が優れ、また冷却時の温度ムラによる鋼帯形状の劣化を防止できる鋼帯の製造方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

加熱処理工程と、加熱処理後に冷却する冷却工程を含む鋼帯の製造方法であって、前記冷却工程は、アスコルビン酸化合物を含む液体を用いて鋼帯を冷却することを特徴とする鋼帯の製造方法。

請求項2

前記液体はさらに、オキシカルボン酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼帯の製造方法。

請求項3

前記液体中のアスコルビン酸化合物の含有量は、質量比で0.1%以上2%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼帯の製造方法。

請求項4

前記液体中のオキシカルボン酸の含有量は、質量比で0.1%以上3%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の鋼帯の製造方法。

請求項5

前記冷却工程は、冷却開始温度が500℃以上800℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の鋼帯の製造方法。

請求項6

冷却工程の後に、溶融亜鉛めっきを行う溶融めっき工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の鋼帯の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、表面外観に優れる鋼帯の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、鋼帯の製造には連続焼鈍が用いられている。例えば、高強度鋼帯を製造する場合、鋼帯を加熱焼鈍高速冷却して製造される。高速冷却手法としては、水浸漬法(例えば特許文献1等参照)等が行われている。しかし、この手法で鋼帯を高速冷却すると、鋼帯表面酸化物が形成され、外観品質劣化する問題があり、また、冷却時の温度ムラによって鋼帯形状が劣化する等の問題がある。鋼帯形状劣化等の問題は、水噴射ノズルの構造を改善することである程度改善できる(例えば特許文献2〜4等参照)が、外観劣化を防止できる程度に酸化物の生成を抑制することは困難であった。

0003

近年、鋼帯の耐食性を向上させるために、焼鈍後の鋼帯に溶融亜鉛めっきを施した高強度溶融亜鉛めっき鋼板も製造されるようになってきた。表面に酸化物が生成した鋼帯に溶融亜鉛めっきを施すと不メッキ等が発生し、表面外観が低下する問題がある。

0004

そのため、冷却媒体の水への添加剤を検討することで、酸化物の生成を抑制する技術が開示されている。例えば、特許文献5には、水溶性有機酸水溶性有機アミンからなる金属冷却剤が記載され、さらに、前記水溶性有機酸は炭素数3以上の水溶性ジカルボン酸であり、マロン酸コハク酸グルタール酸アジピン酸ピメリン酸等の飽和ジカルボン酸と、マレイン酸イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸と、リンゴ酸酒石酸等のオキシカルボン酸とが好ましい例としてあげられている。
特公昭49−17131号公報
特開昭51−73911号公報
特開昭60−9834号公報
特公昭63−14053号公報
特開昭57−85923号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、前述の特許文献5で開示される技術は、酸化物生成を抑制する作用が安定して発現されず、特に、鋼帯の冷却開始温度が高くなると、酸化物生成を抑制する作用が不十分となりやすい。そのため、冷却後に生成した酸化物を除去するための酸洗処理が行われる。また、冷却開始温度が高くなると冷却時の温度ムラによって鋼帯形状が悪化する等の問題もある。

0006

本発明の課題は、前記問題点を解決し、鋼帯冷却開始温度が高い場合であっても、酸化物生成の抑制作用が優れ、また冷却時の温度ムラによる鋼帯形状の劣化を防止できる鋼帯の製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決する本発明の要旨は次の通りである。

0008

第1発明は、加熱処理工程と、加熱処理後に冷却する冷却工程を含む鋼帯の製造方法であって、前記冷却工程は、アスコルビン酸化合物を含む液体を用いて鋼帯を冷却することを特徴とする鋼帯の製造方法である。

0009

第2発明は、第1発明において、前記液体はさらに、オキシカルボン酸を含むことを特徴とする鋼帯の製造方法である。

0010

第3発明は、第1または第2発明において、前記液体中のアスコルビン酸化合物の含有量は、質量比で0.1%以上2%以下であることを特徴とする鋼帯の製造方法である。

0011

第4発明は、第1〜第3発明において、前記液体中のオキシカルボン酸の含有量は、質量比で0.1%以上3%以下であることを特徴とする鋼帯の製造方法である。

0012

第5発明は、第1〜第4発明において、前記冷却工程は、冷却開始温度が500℃以上800℃以下であることを特徴とする鋼帯の製造方法である。

0013

第6発明は、第1〜第5発明において、冷却工程の後に、溶融亜鉛めっきを行う溶融めっき工程を含むことを特徴とする鋼帯の製造方法である。

発明の効果

0014

本発明によれば、鋼帯冷却開始温度が高温であっても、鋼帯表面を酸化させないで冷却することが可能である。本発明によれば、冷却後に酸洗を特に行わなくても表面外観にすぐれた鋼帯を得ることができる。また冷却時に鋼帯幅方向の温度ムラが小さくなるため、冷却による形状不良の劣化を防止できる。

発明を実施するための最良の形態

0015

本発明者らは、酸化物の生成を抑制できる冷却方法について種々検討調査した結果、水冷冷媒中(=水)にアスコルビン酸化合物を含有させると、鋼帯冷却開始温度が高い場合であっても酸化物の生成を抑制する作用が優れ、また鋼帯形状を劣化させる問題点も解消できることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。

0016

本発明で用いられるアスコルビン酸化合物は、例えばアスコルビン酸アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウムイソアスコルビン酸イソアスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸カリウムなどである。これらの1種以上を用いる。アスコルビン酸化合物は酸素との反応速度が非常に速いという性質を持つ。水浸漬法により鋼帯を冷却したときの鋼帯表面の酸化は、水中に侵入直後の非常に短い時間で進行すると考えられるが、アスコルビン酸化合物は、酸素との反応速度が非常に速いことから、冷媒にアスコルビン酸化合物を含有させることでこのような表面酸化を効果的に防止でき、また冷媒が蒸発しても酸化物生成が少なくなると考えられる。

0017

鋼帯温度が300℃以上になると鋼帯表面が酸化されやすくなる。鋼帯表面の酸化を抑制する作用は冷媒中に含まれるアスコルビン酸化合物の濃度でほぼ決定される。鋼帯表面酸化を抑制するのに必要なアスコルビン酸化合物の濃度は鋼帯冷却開始温度によって異なる。鋼帯冷却開始温度が600℃未満の鋼帯に対しては、アスコルビン酸化合物を0.1%以上含有させることで鋼帯の表面酸化を抑制する作用が発現される。鋼帯冷却開始温度が600℃以上では0.2%以上含有させることが必要である。実操業では、鋼帯表面状態のばらつき、その他の操業条件の変動があっても酸化物の生成を安定して抑制できるように、前記濃度+01%以上とすることが好ましい。

0018

鋼帯表面酸化を抑制する上で、アスコルビン酸化合物の濃度の上限は規定されないが、コスト面からは2%程度が好ましい。

0019

鋼帯表面に生成した酸化物量レーザーによる反射率測定や、蛍光X線法などの物理分析、あるいは画像処理法などによって測定できる。したがって、前述の手法等によって鋼帯表面に生成した酸化物量を測定し、測定結果に基づいてアスコルビン酸化合物の濃度を目標酸化物量以下となる濃度に調整してもよい。

0020

本発明では、アスコルビン酸化合物添加に加えて、冷媒である水に、さらにオキシカルボン酸を添加することができる。オキシカルボン酸は、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸グルコン酸などである。これらの1種以上を用いる。このオキシカルボン酸は、鋼素地の溶解を促進させる作用と、溶解した鉄イオンキレート作用により可溶性錯体に変化させる作用を有するため、鋼帯表面の酸化物生成防止とともに、鉄イオンの鋼帯への再付着を防止する作用を持ち、また冷却能酸化防止能力などの冷媒品質を一定に保つ効果に優れる。そのため、冷媒に、アスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸とを複合添加することで、より安価に鋼帯表面の酸化物生成を抑制できる。

0021

アスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を複合添加する場合、オキシカルボン酸の冷媒中の濃度は0.1%以上が好ましい。鋼帯表面酸化を抑制する上で、オキシカルボン酸の濃度の上限は規定されないが、コスト面からは3%以下が好ましい。アスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を複合添加する場合、両者の混合比は鋼帯の冷却開始温度を考慮して決定することが好ましい。すなわち、鋼帯の冷却開始温度が低いと反応速度が小さいので、酸素との反応速度が速いアスコルビン酸化合物よりも、キレート作用があり、かつ比較的安価なオキシカルボン酸の配合比を高める方が液寿命経済性の点で有利である。逆に鋼帯の冷却開始温度が高い場合、酸化防止の観点で、酸素との反応速度が速いアスコルビン酸化合物の混合比を高める方が有利であり、表面外観を重視する鋼帯の場合は、アスコルビン酸化合物の混合比を高めることが特に有効である。

0022

オキシカルボン酸とアスコルビン酸化合物の最適な混合比は、鋼帯の侵入板温(冷却開始温度)で異なる。すなわち、鋼帯の侵入板温が500℃以下の低温ではオキシカルボン酸とアスコルビン酸化合物の混合比を8:2程度にする方が効果的である。これは鋼帯の侵入板温が低温では反応速度が小さいため、酸素との反応速度が速いアスコルビン酸化合物よりも、キレート作用があり、かつ比較的安価なオキシカルボン酸の配合比を高めた方が液寿命や経済性の点で有利であるためである。逆に鋼帯の侵入板温が700℃以上の高温では、酸化防止の観点で、逆にオキシカルボン酸とアスコルビン酸化合物の混合比を2:8程度にした方が好適であり、表面外観を重視する場合は、特に重要となる。鋼帯の侵入板温が500〜700℃程度の中間の温度域では経済性と表面品質の観点から1:1程度が望ましい。また、オキシカルボン酸とアスコルビン酸化合物の混合比は鋼帯の使用用途により変化、すなわち酸化物生成量を低く抑える方が好ましい用途に使用される鋼帯に対しては、アスコルビン酸化合物の割合を高めても良い。

0023

鋼帯冷却時の温度ムラを防止するために必要なオキシカルボン酸濃度、アスコルビン酸化合物濃度は、鋼帯表面の酸化防止のために必要なオキシカルボン酸濃度、アスコルビン酸化合物濃度よりも少ない(後記実施例の図7図11参照)。このことから、鋼帯表面の酸化が抑制される条件であれば、冷却時の温度ムラが防止されることがわかった。アスコルビン酸化合物、オキシカルボン酸の添加で鋼帯冷却時の温度ムラが防止される詳細な理由は不明であるが、冷却の際に酸化物が生成しにくいことや、それによって濡れ性が向上/安定化すること、沸点が上昇しその分蒸気膜が生成しにくくなることなどが考えられる。なお、この温度ムラは、熱応力を発生させるため、鋼帯の反りを誘発し、形状不良を発生させ、さらには材質不均一性の原因ともなるため、極力抑制させる必要がある。

0024

本発明において、加熱処理工程は、冷間圧延鋼帯焼鈍炉連続焼鈍炉)の再結晶焼鈍を行う焼鈍工程であってもよく、また焼鈍炉を備えた連続溶融亜鉛めっき装置の加熱焼鈍工程であってもよい。前記焼鈍炉は、加熱焼鈍工程の後方過時効処理工程を有していてもよい。

0025

本発明において、冷却工程は、再結晶焼鈍後の冷却工程であってもよく、過時効処理後の冷却工程であってもよい。冷却工程の冷却手法は限定されない。水浸漬法、水噴射法、気水噴霧法等で使用される冷媒の水に、アスコルビン酸化合物、またはさらにオキシカルボン酸を含有させることで、冷却時に発生する鋼帯表面の酸化物生成を抑制する効果が奏される。また、酸化物生成が抑制される結果、鋼帯幅方向で冷却速度の変動が低減されることで冷却工程での形状悪化を防止できる。

0026

冷却工程の後で溶融亜鉛めっきを行う場合、冷却工程は、めっき浴温より低い温度まで冷却し、その後加熱装置で鋼帯をめっき浴に浸漬させるのに適した温度、例えば450〜500℃程度の温度まで再加熱した後めっき浴に浸漬してもよい。また、冷却工程は、冷却終了温度を、鋼帯をめっき浴に浸漬させるのに適した温度まで冷却してめっき浴に浸漬させてもよい。溶融亜鉛めっき後、必要に応じて合金化処理を行ってもよい。

0027

前述のアスコルビン酸化合物、オキシカルボン酸は、そのほとんどが食品添加を認められているなど安全性が極めて高く、生分解性に優れているため、特別な排水処理設備が不要であり、また酸洗やリンス工程などの後処理が不要であるため、設備コストランニングコストの点からも有利である。

0028

以上述べたごとく、本発明によれば、冷却時の鋼帯表面酸化の問題や冷却温度ムラに起因する鋼帯形状不良を防止して、急速冷却可能となる。

0029

前述の方法で製造された鋼帯に溶融亜鉛めっきを施すと、表面酸化物が多いことに起因して発生する不メッキ等を防止して表面外観に優れる溶融亜鉛めっき鋼帯を得ることができる。
また冷媒に含有されるアスコルビン酸化合物、オキシカルボン酸を処理するための特別の排水処理設備等が不要であり、また、特段の後処理も不要であるため、設備費やランニングコストを抑制することが可能である。

0030

窒素95%+水素5%の雰囲気露点:−40℃)中で、850℃で1分加熱した鋼帯に対して、種々のオキシカルボン酸、アスコルビン酸化合物を添加した冷媒(水)を用いて浸漬法による冷却試験焼入れ試験)を実施した。使用した鋼帯サンプル(板厚1.2mm×長さ300mm×幅150mm)の成分組成を表1に示す。

0031

0032

温度はCA熱電対で測定し、焼入れ開始温度(冷却開始温度)は400℃〜800℃とし、冷媒温度常温程度)まで冷却した。その際、300℃まで冷却されたときの各点の時間差で面内の冷却ムラを評価した(測定箇所図1参照。30mm間隔で5点測定)。冷却後の酸化物厚さの評価をGDS(グロー放電発光分析)で行った。各条件における酸化量(酸化物量)を図2図6に示す。冷却ムラの評価結果を図7図11に示す。

0033

この結果から、アスコルビン酸化合物は高温焼入れでもその酸化防止効果は非常に大きいこと、オキシカルボン酸は、高温焼入れでは酸化防止効果は小さいが、低温では十分大きいことが分かる。酸化量は鋼帯用途にもよるが100mg/m2以上になると外観上問題になる場合が多い。この酸化量を基準に考えるとアスコルビン酸化合物濃度は600℃以上の高温焼入れでは0.2%以上、600℃未満の低温焼入れでは0.1%以上で酸化物の生成を抑制する効果が十分であることが分かる。ただし、実際の操業では焼入れ開始温度が種々あるのが普通であるので、このような場合は、アスコルビン酸化合物濃度は、前記濃度+0.1%以上の濃度に調整することが好ましい。

0034

オキシカルボン酸単独でも酸化量生成を抑制する作用がある。しかし、その作用はアスコルビン酸化合物に比べて劣るため冷却開始温度が500℃超になると、鋼帯酸化物生成量を安定して100mg/m2以下にできない。

0035

アスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を複合添加したものは、アスコルビン酸化合物単独添加の場合に比べて酸化量が僅かに増加するだけで低温域ではほぼ同程度の酸化量である。オキシカルボン酸はキレート効果をもつため、鋼帯面へのスラジ等の再付着を防止する効果を持つ。その効果はオキシカルボン酸濃度が高いほど長時間保持できる。冷媒中に、アスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を複合添加することで、より効果的に酸化物生成を抑制できる。

0036

なお、いずれの例でも、水のみの冷却の場合に比べて、鋼帯幅方向の冷却ムラは少なく、問題のないレベルであった。

0037

供試材として、実施例1で作製した冷却後の鋼帯サンプルのうち、冷却水に、イソアスコルビン酸、クエン酸及びイソアスコルビン酸、クエン酸を各々0.5%添加した冷却水を用いたもの、及び、実施例1と同様の成分組成を有する鋼板をイソアスコルビン酸とクエン酸を各々0.3%添加した冷却水を用いて実施例1と同様の方法で浸漬法による冷却試験(焼入れ試験)を実施して作製した冷却後の鋼帯サンプルを準備した。

0038

溶融亜鉛めっき試験装置を用いて、準備した供試材を、窒素95%+水素5%雰囲気(露点:−40℃)中で550℃まで加熱後、浴温:460℃、浴中Al濃度:0.13質量%の亜鉛浴に浸漬して、片面あたり亜鉛めっき量:40g/m2の溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっき鋼板を作製した。

0039

作製した溶融亜鉛めっき鋼板の外観を目視観察し、不メッキの有無およびその程度に基いてめっき性の評価を行った。評点は1〜5で、評点が高いほど、めっき性が良好であることを示す。実用面からの合格レベルは評点4点以上である。めっき性の評価結果を図12に示す。

0040

図12によると、めっき性は、実施例1に示した酸化膜生成量とほぼ同じような傾向、すなわち、アスコルビン酸化合物を添加した冷却水を用いた場合はオキシカルボン酸を添加した冷却水を用いた場合よりもめっき性に優れ、アスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を複合添加した冷却水を用いたものは、めっき性がより優れることがわかる。ただし、アスコルビン酸化合物を添加した冷却水を用いたもの、及びオキシカルボン酸を添加した冷却水を用いたものでは、焼入れ開始温度は600℃がもっともめっき性が良好であった。これは、次の理由によると考えられる。

0041

不メッキの原因には、(1)鉄の酸化膜の過多が原因で発生するものと、(2)鋼中のSi、Mn等が鋼板表面に濃化して、鋼板表面にSi、Mn等の酸化物が生成し、これによって不メッキが発生するもの、とがあり、(2)のSi、Mn等の表面濃化は焼鈍中に起こる現象で、高Si、高Mn鋼であるほど顕著に発生する。高温焼入れの場合、水冷却時に鉄の酸化膜が多く生成し、そのために不メッキが発生しやすくなる。一方、低温焼入れの場合、水冷却時に鉄の酸化膜の生成量は少ないが、冷却液還元性が低いため、焼鈍中に生成しているSi、Mn等の酸化物を除去できないため、不メッキが発生する。

0042

以上の結果から、溶融亜鉛めっきを行う場合は、アスコルビン酸化合物の濃度は0.3%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましい。また焼入れ開始温度は600〜700℃程度が最適であると考えられる。

0043

表1の成分組成で厚さ1.2mm×幅1000mmの冷間圧延鋼帯を、連続焼鈍ラインCAL)に装入して、窒素95%+水素5%の雰囲気(露点:−40℃)中で、850℃で1分加熱焼鈍後、冷媒(水)中に添加されるイソアスコルビン酸、クエン酸濃度を種々変えた冷却設備冷却槽)に浸漬冷却し、冷却後の鋼帯の酸化膜厚さ及び反り量を評価した。冷却開始時の鋼帯温度は多重反射放射温度計で測定し、焼入れ開始温度は400℃〜800℃とした。

0044

これまでのラボ試験結果から、冷却後の鋼帯外観と酸化膜厚は非常に良い相関があることが分かっているので、酸化膜厚さの評価は、浸漬冷却後の供試鋼帯の外観を目視観察して評価した。具体的には、予め準備した酸化膜厚が既知で酸化膜厚の異なる鋼帯と外観を比較して供試鋼板の酸化膜厚を評価し、酸化膜厚200mg/m2以上は×、100mg/m2以上200mg/m2未満は△、50mg/m2以上100mg/m2未満は○、50mg/m2以下は◎とした。

0045

また、反り測定は、冷却試験後の鋼帯をそれぞれ1m切り出して、その板の凹凸レーザー変位計で測定し、反り量に換算し求めた。

0046

調査結果を表2に記載する。

0047

0048

焼き入れ開始温度が600℃以上の高温焼入れでは、イソアスコルビン酸濃度が0.2%以上で酸化量が100mg/m2未満であり、外観上問題となる酸化物の生成を抑制するのに必要な十分な効果が得られている。これに対してクエン酸を添加した試験No.2〜5は、イソアスコルビン酸を添加した試験No.6〜10に比べて酸化物量が多く、焼き入れ開始温度が600℃超では酸化量が100mg/m2未満のものが安定して得られていない。焼き入れ開始温度が600℃未満の低温焼入れでも、イソアスコルビン濃度が0.1%以上でクエン酸単独添加の場合に比べて酸化物の生成を抑制する効果が十分に認められる。

0049

イソアスコルビン酸とクエン酸を複合添加した試験No.11は、イソアスコルビン酸を単独添加した試験No.9とほぼ同程度の酸化量である。クエン酸のキレート効果によって鋼帯面へのスラジ等の再付着を防止する効果を持つので、イソアスコルビン酸化合物とクエン酸を複合添加することで、より効果的に酸化物生成を抑制できるようになる。

0050

冷媒中に、イソアスコルビン酸及びクエン酸の少なくとも一方を添加した試験No.2〜11は、これらを添加してない試験No.1に比べて反り発生量が顕著に少なく、反り発生を防止する効果が優れている。

図面の簡単な説明

0051

実施例の冷却試験における温度測定場所を説明する図である。
鋼帯焼入れ開始温度800℃での冷媒溶質濃度と生成した鋼帯酸化量の関係を示す図である。
鋼帯焼入れ開始温度700℃での冷媒溶質濃度と生成した鋼帯酸化量の関係を示す図である。
鋼帯焼入れ開始温度600℃での冷媒溶質濃度と生成した鋼帯酸化量の関係を示す図である。
鋼帯焼入れ開始温度500℃での冷媒溶質濃度と生成した鋼帯酸化量の関係を示す図である。
鋼帯焼入れ開始温度400℃での冷媒溶質濃度と生成した鋼帯酸化量の関係を示す図である。
鋼帯焼入れ開始温度800℃で、300℃まで冷却したときの冷却時間のばらつきを示す図である。
鋼帯焼入れ開始温度700℃で、300℃まで冷却したときの冷却時間のばらつきを示す図である。
鋼帯焼入れ開始温度600℃で、300℃まで冷却したときの冷却時間のばらつきを示す図である。
鋼帯焼入れ開始温度500℃で、300℃まで冷却したときの冷却時間のばらつきを示す図である。
鋼帯焼入れ開始温度400℃で、300℃まで冷却したときの冷却時間のばらつきを示す図である。
鋼帯焼入れ開始温度とめっき性の関係を示す図である。

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