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技術 物理的刺激応答非水系組成物

出願人 国立大学法人横浜国立大学
発明者 渡邉正義上木岳士徳田浩之
出願日 2005年4月26日 (15年4ヶ月経過) 出願番号 2005-127736
公開日 2006年11月9日 (13年9ヶ月経過) 公開番号 2006-306912
状態 拒絶査定
技術分野 高分子組成物
主要キーワード 微粒子ゲル ソルバトクロミズム 非水系極性溶媒 ゲル網目 極性パラメータ 非水系組成物 窒素バブル 線形高分子
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2006年11月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

解決手段

アクリルアミド骨格に有し、炭素数3〜18の分枝アルキル基が骨格に結合しているモノマー重合してなる高分子体イオン液体とを含み、モノマーを架橋剤を用いずに重合した線形高分子をイオン液体へ溶解した場合に、物理刺激に応じて線形高分子が相分離状態と溶解状態とに可逆的に変化する。

概要

背景

従来から、高分子体ハイドロゲルが周囲の物理化学的刺激(温度、イオン強度、pH、光、電場、磁場等)に応答して体積変化することが知られている。そして、このようなハイドロゲルの体積変化を利用したアクチュエータ(例えば、特許文献1参照)、薬剤放出を制御してDDS(薬物送達システム)に用いるためのゲル(例えば、特許文献2参照)、培養体(例えば、特許文献3参照)等が応用技術として報告されている。
これらのハイドロゲルは、物理刺激に応じて、高分子体の網目構造の間に溶媒である水が出入りし、可逆的なゲルの体積変化を伴うものである。

特開2004−188523号公報
特開平11−189626号公報
特開2005−60570号公報

概要

溶媒が揮発せずに開放系実用可能な新規物理的刺激応答非水系組成物を提供する。アクリルアミド骨格に有し、炭素数3〜18の分枝アルキル基が骨格に結合しているモノマー重合してなる高分子体とイオン液体とを含み、モノマーを架橋剤を用いずに重合した線形高分子をイオン液体へ溶解した場合に、物理刺激に応じて線形高分子が相分離状態と溶解状態とに可逆的に変化する。

目的

しかしながら、上記したハイドロゲルの場合、溶媒である水が経時により蒸発するため、開放系でゲルを長期間使用することができず、実用性の点で問題があった。そこで、非水系溶媒を用いた非水系組成物の開発が必要となる。
従って、本発明の目的は、溶媒が揮発せずに開放系で実用可能な新規の物理的刺激応答非水系組成物を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

アクリルアミド骨格に有し、炭素数3〜18の分枝アルキル基が前記骨格に結合しているモノマー重合してなる高分子体イオン液体とを含み、前記モノマーを架橋剤を用いずに重合した線形高分子を前記イオン液体へ溶解した場合に、前記物理刺激に応じて当該線形高分子が相分離状態と溶解状態とに可逆的に変化する物理刺激応答非水系組成物

請求項2

前記高分子体は前記モノマーを架橋重合してなり、前記物理刺激応答非水系組成物はゲル状であり、かつ物理刺激に応答して可逆的に体積変化する請求項1記載の物理刺激応答非水系組成物。

請求項3

前記モノマーがN−イソプロピルアクリルアミドである請求項1又は2に記載の物理刺激応答非水系組成物。

請求項4

前記イオン液体は、化学式で表される1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンとし、(CF3SO2)2N-をアニオンとする請求項1ないし3のいずれかに記載の物理刺激応答非水系組成物。

技術分野

0001

本発明は、物理的刺激応答するゲル等の組成物に関し、特に、新規物理的刺激応答非水系組成物に関する。

背景技術

0002

従来から、高分子体ハイドロゲルが周囲の物理化学的刺激(温度、イオン強度、pH、光、電場、磁場等)に応答して体積変化することが知られている。そして、このようなハイドロゲルの体積変化を利用したアクチュエータ(例えば、特許文献1参照)、薬剤放出を制御してDDS(薬物送達システム)に用いるためのゲル(例えば、特許文献2参照)、培養体(例えば、特許文献3参照)等が応用技術として報告されている。
これらのハイドロゲルは、物理刺激に応じて、高分子体の網目構造の間に溶媒である水が出入りし、可逆的なゲルの体積変化を伴うものである。

0003

特開2004−188523号公報
特開平11−189626号公報
特開2005−60570号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、上記したハイドロゲルの場合、溶媒である水が経時により蒸発するため、開放系でゲルを長期間使用することができず、実用性の点で問題があった。そこで、非水系溶媒を用いた非水系組成物の開発が必要となる。
従って、本発明の目的は、溶媒が揮発せずに開放系で実用可能な新規の物理的刺激応答非水系組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

本発明者らは、非水系溶媒として、不燃性不揮発性を有する溶媒として注目されているイオン液体イオン性液体)を用いることで上記課題を解決するに至った。イオン液体は、イオンのみから構成され、液体でありながら蒸気圧がなく(不揮発性)、耐熱性が高く、液体温度範囲が広いという特徴がある。
すなわち本発明の物理的刺激応答非水系組成物は、アクリルアミド骨格に有し、炭素数3〜18の分枝アルキル基が前記骨格に結合しているモノマー重合してなる高分子体とイオン液体とを含み、前記モノマーを架橋剤を用いずに重合した線形高分子を前記イオン液体へ溶解した場合に、前記物理刺激に応じて当該線形高分子が相分離状態と溶解状態とに可逆的に変化するものである。

0006

前記高分子体は前記モノマーを架橋重合してなり、前記物理刺激応答非水系組成物はゲル状であり、かつ物理刺激に応答して可逆的に体積変化するものであってもよい。

0007

前記モノマーがN−イソプロピルアクリルアミドであることが好ましく、前記イオン液体は、化学式



で表される1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンとし、(CF3SO2)2N-をアニオンとすることが好ましい。

発明の効果

0008

本発明によれば、溶媒が揮発せずに開放系で実用可能な新規の物理的刺激応答非水系ゲルを得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0009

以下、本発明の実施形態について説明する。本発明に係る物理的刺激応答非水系組成物は、以下の高分子体とイオン液体とを含む。又、本発明に係る組成物は、ゲル状のものと溶液のものとに分けられる。ゲル状のものは以下のモノマーを架橋重合した場合に得られ、溶液状のものはモノマーを架橋せずに重合した場合に得られる。

0010

1.ゲル状組成物
本発明に係る組成物がゲル状の場合について説明する。
<高分子体>
高分子体は、アクリルアミドを骨格に有し、炭素数3〜18の分枝アルキル基が前記骨格に結合しているモノマーを架橋重合してなる。架橋重合によって得られる網目構造の間に、溶媒であるイオン液体が出入りし、可逆的なゲルの体積変化を伴う。
モノマーと架橋剤の配合比率としては、例えば、モノマーの濃度を700mmol(ミリモル)/L以上とし、架橋剤をそれに対して数%程度とすることができる。
モノマーの重合を行うため、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば光開始剤を用いることができ、反応系に光照射することで重合を進行させることができる。なお、ゲル状の場合、高分子体の重合度は、通常無限大と定義される。

0011

モノマーとして、化学式



で表されるN−イソプロピルアクリルアミド(以下、適宜「NIPA」と称する)を用いることが好ましい。

0012

<線形高分子>
本発明においては、上記モノマーを架橋剤を用いずに重合した線形高分子を前記イオン液体へ溶解した場合に、物理刺激に応じて当該線形高分子が相分離状態と溶解状態とに可逆的に変化する特性を有する。
つまり、線形高分子がイオン液体と相分離した場合、上記高分子体のイオン液体への親和性が低下し、上記高分子体の網目構造からイオン液体が外部に排出されてゲルが収縮する。一方、線形高分子がイオン液体に溶解した場合、上記高分子体のイオン液体への親和性が向上し、上記高分子体の網目構造にイオン液体が取り込まれてゲルが膨潤する。従って、線形高分子が相分離状態と溶解状態とに可逆的に変化する場合、得られたゲルのイオン液体に対する親和性が物理刺激に応じて変化し、ゲルが可逆的に体積変化する。
線形高分子が相分離状態にあるか、溶解状態にあるかは、線形高分子をイオン液体へ溶解した液の光透過率を測定して判定することができ、線形高分子が相分離状態にあると液が白濁し、線形高分子が溶解状態にあると液が透明になる。

0013

<物理刺激>
本発明のゲルに与える物理刺激としては、温度、光、電磁波等が挙げられる。例えば、物理刺激を温度とした場合、温度上昇とともにゲルが収縮する場合と、ゲルが膨潤する場合とがある。上記したモノマーを用いたゲルの場合、温度上昇とともにゲルが膨張する。

0014

<イオン液体>
イオン液体(イオン性液体)は、イオンのみから構成され、液体でありながら蒸気圧がなく(不揮発性)、耐熱性が高く、不燃性、不揮発性を有する。本発明において、イオン液体の融点は好ましくは100℃以下、より好ましくは室温以下とする。

0015

イオン液体の極性パラメータDNが5〜40であることが好ましい。高分子体を溶かすために、イオン液体が極性を持つことが好ましいが、イオン液体はイオン伝導体であるため誘電損失が大きく、誘電率を見積もることが困難である。そこで、ソルバトクロミズムを利用した溶媒の極性パラメータDNをイオン液体の指標とすることが好ましい。
ここで、イオン液体のDNが5未満であると、高分子体を充分に溶解させることが困難となる場合がある。又、DNが40を超えるものは得られにくい。

0016

DNは、化学式



に示す色素を溶媒(イオン液体)に溶解させ、以下の方法で求めることができる。まず、上記色素を溶解した溶媒の極大吸収波長を測定する。同様にして、あらかじめDNが既知有機溶媒に色素を溶解させた時の極大吸収波長を測定し、DNと吸収波長との関係を示す検量線を作成する。検量線に基づき、測定対象溶媒のDNを求めることができる。DNと、その溶媒のルイス塩基性ドナー性)を定量化した値(ドナーナンバー)との間に非常によい相関が見られるので、DNはイオン液体のルイス塩基性を表すと考えられる。

0017

イオン液体としては、特に制限されないが、例えばカチオンとしてアンモニウム構造を用いることができ、アニオンとしてスルフォンイミド構造を用いることができる。

0018

具体的には、化学式



で表される1−エチル−3−メチルイミダゾリウムをカチオンとし、ビストリフルオロメタンスルフォン)イミド((CF3SO2)2N-)をアニオンとしたもの(EMITFSI、融点−18℃、DN=11)、及び/又は1−エチル−3−メチルイミダゾリウムをカチオンとし、塩素イオンをアニオンとしたもの(融点87℃)を好適に用いることができる。
なお、DNの値から、EMITFSIのルイス塩基性は非水系極性溶媒であるアセトニトリルに近いと考えられる。

0019

本発明のゲルは、温度等の物理刺激によって可逆的に体積変化を生じさせることができるので、例えば光学材料表示素子、各種センサー、アクチュエータ、DDS等に用いることができる。

0020

<ゲルの製造>
本発明のゲルは、例えば、イオン液体中に上記モノマーを分散させた状態で、モノマーを架橋重合することにより、イオン液体を内部に取り込んだ高分子体を得ることができる。
特に、イオン液体の粘性率が水より数10倍高い場合(例えば、EMITFSIを用いた場合)、ゲル網目共同拡散係数が低下し、平衡到達時間が大幅に遅延する問題がある。そのため、微粒子ゲルを用いることが好ましい。
微粒子ゲルは、例えば、直径10μm程度の球状の細孔を有するマクロポーラスポリスチレン鋳型とし、モノマー、イオン液体、架橋剤、及び必要に応じて重合開始剤を含有する溶液に上記鋳型を浸漬し、細孔内でモノマーを重合させる。その後、トルエンに鋳型を浸漬して鋳型を溶解し、球状の微粒子ゲルを得る。微粒子ゲルをエタノール及び純水で洗浄後、凍結乾燥し、イオン液体に微粒子ゲルを浸漬して減圧加熱することにより、ゲルを製造することができる。

0021

2.溶液状組成物
次に、本発明に係る組成物が溶液の場合について説明する。溶液状組成物の場合、モノマーを架橋剤を用いずに重合すること以外は、上記したゲル状組成物の場合とまったく同様である。溶液状組成物に用いるモノマー、重合開始剤、イオン液体としては、上記ゲル状組成物に用いるものを例示できる。溶液状組成物の製造方法も、上記したゲルの製造において架橋剤を配合しないこと以外は、上記したゲル状組成物の場合とまったく同様である。
なお、溶液状組成物における高分子体は、上記線形高分子と同一物である。

0022

上記溶液状組成物に物理刺激を与えると、線形高分子が相分離状態と溶解状態との間で可逆的に変化する。線形高分子が相分離状態にあると液が白濁し、線形高分子が溶解状態にあると液が透明になる。物理刺激としては、温度、光、電磁波等が挙げられる。例えば、物理刺激を温度とした場合、温度上昇とともに溶液が白濁する場合と、溶液が透明になる場合とがある。

0023

本発明の溶液状組成物は、温度等の物理刺激によって可逆的に液の透過率を変化させることができるので、例えば光学材料、表示素子、各種センサー、アクチュエータ、DDS等に用いることができる。
例えば、上記溶液状組成物を透明な二枚の基板間に封入し、熱を帯びたペンで、基板上に刺激を与えると、加熱部分の溶液状組成物の透過率が周囲と変化し、文字が表示されるリライタブルペーパーを製造することができる。上記溶液状組成物は、水系組成物と異なり不揮発性であるので、二枚の基板間のシーリング簡易的でも溶媒が揮発せず、性能劣化しないという利点がある。

0024

上記したゲル及び溶液状組成物を、所定の固体表面に固定化し、上記物理刺激に応答する基板を製造することもできる。固定化の方法としては、例えば、ガラス表面上の水酸基シランカップリング剤(例えば、クロロジメチルビニルシラン)によりビニル基に変換し、このガラス基板上でイオン液体に溶解させたモノマーをラジカル重合する事によって化学的にゲルを表面に固定することができる。

0025

以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、%は質量%を示す。

0026

<イオン液体(EMITFSI)の調製>
Cl-メチルイミダゾール臭化エチルとの4級化反応を生じさせ、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−Br(EMIBr)を得た。得られたEMIBrをLiTFSi(Li-トリフルオロメタンスルフォン)イミド(Li(CF3SO2)2N)とアニオン交換反応させ、EMITFSIを調製した。

0027

<ゲルの製造>
直径10μm程度の粒径シリカコロイド最密充填された結晶を用意し、結晶をスチレンモノマーに浸漬してポリマー化した。コロイド結晶をHFで溶解除去することにより、シリカが除去された部分が直径10μm程度の球状の細孔となっているマクロポーラスポリスチレンを得た。このマクロポーラスポリスチレンを鋳型として用いた。
モノマー(NIPA)2.82g〜11.3g、架橋剤(N,N‘−メチレンビスアクリルアミド)0.20g〜0.81g、及び重合開始剤(2,2−ジエトキシアセトフェノン)0.05g〜0.21gをエタノールに溶解し、これらの成分を1〜4mol/L含むエタノール溶液を得た。この溶液に上記鋳型を浸漬し、反応系に光照射することで細孔内にモノマーを重合させた。その後、トルエンに鋳型を浸漬して鋳型を溶解し、球状の微粒子ゲルを得た。微粒子ゲルをエタノール及び純水で洗浄後、凍結乾燥し、EMITFSIに微粒子ゲルを浸漬して減圧加熱することにより、ゲルを製造した。

0028

<線形高分子の製造>
エタノール溶媒中に、モノマー(NIPA)2mol/L、重合開始剤(AlBN)1mol%を溶解し、窒素バブルを20分行った後、熱重合を24時間行った。架橋剤は用いなかった。反応溶液透析して線形高分子を精製した。

0029

<評価>
(1)線形高分子の溶解特性
上記した線形高分子をEMITFSI中に1%溶解させ、溶液の透過率を測定した。500nmの波長光の透過率を分光光度計で測定した。
得られた結果を図1に示す。約35℃以上の温度では、溶液は透明(光透過率の値がほぼ100%)であったが、約35℃未満で溶液が白濁(光透過率の値がほぼ0%)した。これより、低温側で線形高分子が相分離状態に変化することがわかった。なお、光透過率の変化率が最大となる温度を相溶・相分離温度(図1の例では約35℃)とした。又、図1の線形高分子の分子量は数万程度であった。

0030

(2)ゲルの体積変化
上記したゲルをEMITFSI中に1mol/L含む溶液(微粒子ゲルが1wt%程度イオン液体中に分散したもの)を調製し、温度を変化させた時のゲルの膨潤度を求めた。膨潤度は、160℃におけるゲル状物質体積D0を基準とした。ゲルの膨潤度は、450℃まで温度調節可能な顕微鏡用ホットステージ上に上記ゲル状物質を置き、各温度における微粒子ゲルの直径を倒立型顕微鏡にて測定した。
得られた結果を図2に示す。このゲルの場合、温度が高くなると共に体積が増加することがわかった。

図面の簡単な説明

0031

線形高分子の温度−溶解特性を示す図である。
ゲルの体積(直径)の温度依存性を示す図である。

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