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技術 インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置

出願人 キヤノン株式会社
発明者 小池祥司加藤龍太
出願日 2006年3月22日 (13年4ヶ月経過) 出願番号 2006-078914
公開日 2006年11月2日 (12年9ヶ月経過) 公開番号 2006-299250
状態 特許登録済
技術分野 インキ、鉛筆の芯、クレヨン インクジェット(インク供給、その他) 複写又はマーキング インクジェット記録方法及びその記録媒体
主要キーワード 吐出形状 ノズル先端部分 プロピレンオキサイドユニット セルロース間 キャリッジ部材 周波数応答性 液体圧力 カール現象
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2006年11月2日)のものです。
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課題

普通紙等に短時間に多量のインク打ち込んでもカールを発生ぜず、同時に高い駆動周波数吐出時における良好な応答性耐固着性を高いレベルで維持しつつ、高精細画像記録に対応し得るインクジェット記録用インクの提供。

解決手段

水、色材及び界面活性剤を含むインクジェット記録用インクにおいて、界面活性剤の含有量が0.6〜5質量%であり、且つ、下記式(I)で示されるブロック化合物を更に含有してなるインクジェット記録用インク。

概要

背景

インクジェット記録方法は、インク小滴飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて記録を行うものであるが、種々の方式が知られている。その中で、吐出エネルギー供給手段として電気熱変換体を用い、熱エネルギーをインクに与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出させる吐出方式をサーマル方式という。この方式によれば、記録ヘッドの高密度マルチノズル化が容易に実現でき、高解像度、高品質の画像を高速で記録できる(例えば、特許文献1乃至3参照)。

近年、銀塩写真ベルの極めて高品位インクジェット記録画像に対応するために、単一のノズルから吐出させるインクの液滴のサイズが小さくなってきている。現在では、インクの液滴量が約5pl(ピコリットル)以下のインクジェットプリンタが市販されている。又、記録速度に関しても、より一層の高速化が求められてきている。記録速度の高速化に伴い、インクにおいては、より高い駆動周波数への対応や、記録ヘッド周辺で生じるインクの固着の発生を有効に抑制できる、いわゆる耐固着性の向上の達成が急務となっている。

又、インクジェット記録に用いられるインクとしては、色材を溶解或いは分散するための媒体である水を主成分とし、これに、乾燥防止、記録ヘッドの耐固着性向上等の目的でグリコール等の水溶性高沸点溶剤を含有したものが一般的である。このようなインクを用いて、普通紙や、微量コート紙、基紙吸収型コート紙等に代表されるセルロースを含有する記録媒体に記録を行った場合に、記録媒体が反ってしまう、いわゆるカール現象が生じる場合がある。例えば、一定の面積以上の領域に、短時間に多量のインクを打ち込むと、記録媒体が反ってカール現象が生じる。このカール現象の発生は、従来の主流であった文字中心の記録に際しては、インクの打ち込み量が少ないため、あまり問題とならなかった。しかしながら、近年、広く行われるようになってきた、インターネットホームページの記録や写真画像の記録をする場合には、普通紙等に多量のインクを打ち込む必要があるため、カール現象の発生は解決すべき大きな課題の一つとなっている。

こうした課題に対して、各種カール防止材を含有する水性インク組成物が提案されている(例えば、特許文献4及び5参照)。こうした物質を用いたインクでは、耐カール性カール発生抑制効果が認められることを意味する)についてはある程度の効果が認められている。しかしながら、記録速度の高速化に伴い問題となっている高い駆動周波数吐出時の応答性や耐固着性と、上記した耐カール性との両立については、更なる向上が望まれている。

一方、その構造内に、エチレンオキサイド部とプロキレオキサイド部を有するブロック化合物ブロック共重合体と呼ぶには分子量が小さいので、本発明ではブロック化合物と呼ぶ)を含有したインクについての提案がある(例えば、特許文献6及び7参照)。しかしながら、これらの従来例に記載されているインクにおいても、上記した高い駆動周波数吐出時の応答性や耐固着性と、耐カール性との両立という技術課題をより高いレベルで克服することが望まれている。

特公昭61−59911号公報
特公昭61−59912号公報
特公昭61−59914号公報
特開平6−157955号公報
特開平11−12520号公報
特公平3−43313号公報
特許第2894202号公報

概要

普通紙等に短時間に多量のインクを打ち込んでもカールを発生ぜず、同時に高い駆動周波数吐出時における良好な応答性、耐固着性を高いレベルで維持しつつ、高精細画像記録に対応し得るインクジェット記録用インクの提供。水、色材及び界面活性剤を含むインクジェット記録用インクにおいて、界面活性剤の含有量が0.6〜5質量%であり、且つ、下記式(I)で示されるブロック化合物を更に含有してなるインクジェット記録用インク。なし

目的

従って、本発明の目的は、特に、セルロースを含有する記録媒体に水系インクで記録する場合に、一定の面積以上の領域に短時間に多量のインクを打ち込んだ場合にもカールの問題を生じることがないインクジェット記録用のインクを提供することにある。又、これと同時に、高い駆動周波数吐出時における良好な応答性と、記録ヘッドの耐固着性を高いレベルで維持しつつ、高精細な画像記録に対応し得るインクジェット記録用のインクを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

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請求項1

水、色材及び界面活性剤を少なくとも含有してなるインクジェット記録用インクにおいて、上記界面活性剤のインク中における含有量が0.6質量%以上5質量%以下であり、且つ、下記式(I)で示されるブロック化合物をインク中に更に含有してなることを特徴とするインクジェット記録用インク。[式(I)中、EOはエチレンオキサイドを示し、POはプロピレンオキサイドを示し、a、b及びcは、a≧0、2≦b≦12、c≧0、1≦a+c≦60、を満足し、且つ、1分子中のEO部の比率質量基準で20%以上80%以下である。]

請求項2

前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。

請求項3

インクジェット記録ヘッドを用いて、セルロースを含有する記録媒体にインクを付与して記録を行う工程を有するインクジェット記録方法において、上記記録媒体における記録面積が15cm2以上であって、該記録媒体へのインクの付与量が0.03mg/cm2以上30mg/cm2以下であり、上記記録媒体に付与するインクが、水、色材及び界面活性剤を少なくとも含有し、該界面活性剤のインク中における含有量が0.6質量%以上5質量%以下であり、且つ、下記式(I)で示されるブロック化合物を更に含有してなるインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。[式(I)中、EOはエチレンオキサイドを示し、POはプロピレンオキサイドを示し、a、b及びcは、a≧0、2≦b≦12、c≧0、1≦a+c≦60、を満足し、且つ、1分子中のEO部の比率が質量基準で20%以上80%以下である。]

請求項4

前記記録媒体へのインクの付与量が、0.1mg/cm2以上20mg/cm2以下の範囲である請求項3に記載のインクジェット記録方法。

請求項5

前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である請求項3又は4に記載のインクジェット記録方法。

請求項6

前記セルロースを含有する記録媒体が、普通紙である請求項3乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。

請求項7

前記インクジェット記録ヘッドがサーマルインクジェットヘッドである請求項3乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。

請求項8

請求項1又は2に記載のインクを収容してなるインク収容部と、該インクを吐出させるインクジェット記録ヘッドとを具備してなることを特徴とするインクジェット記録装置

請求項9

前記インクジェット記録ヘッドがサーマルインクジェットヘッドである請求項8に記載のインクジェット記録装置。

技術分野

0001

本発明は、インクジェット記録用インクと、これを用いたインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。更に詳しくは、インクジェット記録方法に適し、セルロースを含有する記録媒体水系インクを多量に付与しても記録媒体のカールが問題とならず、しかも、高い駆動周波数吐出時における良好な応答性記録ヘッドの良好な耐固着性を与えるインクジェット記録用インク(以下「インク」と略す)に関する。

背景技術

0002

インクジェット記録方法は、インクの小滴飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて記録を行うものであるが、種々の方式が知られている。その中で、吐出エネルギー供給手段として電気熱変換体を用い、熱エネルギーをインクに与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出させる吐出方式をサーマル方式という。この方式によれば、記録ヘッドの高密度マルチノズル化が容易に実現でき、高解像度、高品質の画像を高速で記録できる(例えば、特許文献1乃至3参照)。

0003

近年、銀塩写真ベルの極めて高品位インクジェット記録画像に対応するために、単一のノズルから吐出させるインクの液滴のサイズが小さくなってきている。現在では、インクの液滴量が約5pl(ピコリットル)以下のインクジェットプリンタが市販されている。又、記録速度に関しても、より一層の高速化が求められてきている。記録速度の高速化に伴い、インクにおいては、より高い駆動周波数への対応や、記録ヘッド周辺で生じるインクの固着の発生を有効に抑制できる、いわゆる耐固着性の向上の達成が急務となっている。

0004

又、インクジェット記録に用いられるインクとしては、色材を溶解或いは分散するための媒体である水を主成分とし、これに、乾燥防止、記録ヘッドの耐固着性向上等の目的でグリコール等の水溶性高沸点溶剤を含有したものが一般的である。このようなインクを用いて、普通紙や、微量コート紙、基紙吸収型コート紙等に代表されるセルロースを含有する記録媒体に記録を行った場合に、記録媒体が反ってしまう、いわゆるカール現象が生じる場合がある。例えば、一定の面積以上の領域に、短時間に多量のインクを打ち込むと、記録媒体が反ってカール現象が生じる。このカール現象の発生は、従来の主流であった文字中心の記録に際しては、インクの打ち込み量が少ないため、あまり問題とならなかった。しかしながら、近年、広く行われるようになってきた、インターネットホームページの記録や写真画像の記録をする場合には、普通紙等に多量のインクを打ち込む必要があるため、カール現象の発生は解決すべき大きな課題の一つとなっている。

0005

こうした課題に対して、各種カール防止材を含有する水性インク組成物が提案されている(例えば、特許文献4及び5参照)。こうした物質を用いたインクでは、耐カール性カール発生抑制効果が認められることを意味する)についてはある程度の効果が認められている。しかしながら、記録速度の高速化に伴い問題となっている高い駆動周波数吐出時の応答性や耐固着性と、上記した耐カール性との両立については、更なる向上が望まれている。

0006

一方、その構造内に、エチレンオキサイド部とプロキレオキサイド部を有するブロック化合物ブロック共重合体と呼ぶには分子量が小さいので、本発明ではブロック化合物と呼ぶ)を含有したインクについての提案がある(例えば、特許文献6及び7参照)。しかしながら、これらの従来例に記載されているインクにおいても、上記した高い駆動周波数吐出時の応答性や耐固着性と、耐カール性との両立という技術課題をより高いレベルで克服することが望まれている。

0007

特公昭61−59911号公報
特公昭61−59912号公報
特公昭61−59914号公報
特開平6−157955号公報
特開平11−12520号公報
特公平3−43313号公報
特許第2894202号公報

発明が解決しようとする課題

0008

従って、本発明の目的は、特に、セルロースを含有する記録媒体に水系インクで記録する場合に、一定の面積以上の領域に短時間に多量のインクを打ち込んだ場合にもカールの問題を生じることがないインクジェット記録用のインクを提供することにある。又、これと同時に、高い駆動周波数吐出時における良好な応答性と、記録ヘッドの耐固着性を高いレベルで維持しつつ、高精細画像記録に対応し得るインクジェット記録用のインクを提供することにある。

0009

本発明の他の目的は、高品位な画像を、安定に形成することのできるインクジェット記録方法を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、上記インクジェット記録方法を実現できるインクジェット記録装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、水、色材及び界面活性剤を少なくとも含有してなるインクジェット記録用インクにおいて、上記界面活性剤のインク中における含有量が0.6質量%以上5質量%以下であり、且つ、下記式(I)で示されるブロック化合物をインク中に更に含有してなることを特徴とするインクジェット記録用インクである。

[式(I)中、EOはエチレンオキサイドを示し、POはプロピレンオキサイドを示し、a、b及びcは、a≧0、2≦b≦12、c≧0、1≦a+c≦60、を満足し、且つ、1分子中のEO部の比率質量基準で20%以上80%以下である。]

0011

上記本発明にかかるインクの好ましい形態としては;上記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤である場合;サーマルインクジェット用である場合に、発明の効果がより顕著である。

0012

又、本発明は、インクジェット記録ヘッドを用いて、セルロースを含有する記録媒体にインクを付与して記録を行う工程を有するインクジェット記録方法において、上記記録媒体における記録面積が15cm2以上であって、該記録媒体へのインクの付与量が0.03mg/cm2以上30mg/cm2以下であり、
上記記録媒体に付与するインクとして、前記インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法である。

0013

又、本発明は、上記インクを収容してなるインク収容部と、該インクを吐出させるインクジェット記録ヘッドとを具備してなることを特徴とするインクジェット記録装置である。

0014

サーマルインクジェット記録方式は、ヒーターによる熱エネルギーでインクを発泡させ、その圧力でインクを飛翔させるものである。このため、発泡時にインクは高温且つ高圧に曝され、発泡のたびに、その量は定かではないが、インク構成材料に起因する堆積物が若干発生する。これらの堆積物は水に対して難溶性であるため、ヒーター上のコゲの原因となり、更には発泡不良や吐出量の低下を引き起こし、ヘッド寿命を短くする。本発明にかかる構成のインクを用いた場合には、このような現象も抑制することができる。

発明の効果

0015

本発明によれば、インクジェット記録に用いた場合に、特にセルロースを含有する記録媒体に対して水系インクが多く付与された場合にも、カールが問題とならない水系インクが提供される。これと同時に、該インクは、高い駆動周波数吐出時における良好な応答性と、記録ヘッドの耐固着性等を高いレベルで維持しつつ、高精細な画像記録に対応することができる。高周波数吐出時の応答性については、とりわけサーマルインクジェット方式のインクジェット記録に用いた場合に、本発明の効果が顕著である。

発明を実施するための最良の形態

0016

以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明者らは、前述したような今後の技術トレンド背景とした技術課題に対し、インクジェット記録用のインクとしての基本特性、具体的には、セルロースを含有する記録媒体に対して多量のインクを付与した場合にも記録媒体のカールが問題とならず、高い駆動周波数(具体的には、10kHzを超えるような周波数)吐出時における良好な応答性と、記録ヘッドの耐固着性等を高いレベルで維持しつつ、高精細な画像記録に対応し得るインクジェット記録用プリンタを開発すべく、精力的な検討を行った。この結果、特定の性質を有した化合物を含む組成のインクが、上記目的を極めて高いレベルで達成できることを見出して、本発明を為すに至った。ここで、本発明が目的とする各課題の概要を、それぞれ説明する。

0017

1.耐カール性
普通紙に代表されるセルロースを含有する記録媒体に水系インクを多量に付与すると、記録媒体が反ってしまう、いわゆるカールという現象が生じる。強いカール現象が発生すると、場合によっては紙が筒状に丸まってしまう。

0018

カール現象のメカニズムは、抄紙段階における紙を乾燥する工程において、一定方向にテンションが加わった状態で水が蒸発し、セルロース間での水素結合が形成されることに起因していると考えられる。この状態の紙に水系インクが付着すると水によりセルロース間の水素結合が壊れ、水によって結合部が置換されるが、その水が蒸発すると、再びセルロース間の水素結合が形成される。水素結合が再形成される際にはテンションが働いていないため、紙のインク付着面側が収縮し、その結果、カールが発生するものと考えられる。

0019

形成する画像が文字中心である従来の記録ではインク付与量が比較的少ないので、この現象は注目されていなかった。しかしながら、インク付与量が多いグラフィック印刷頻度増してきた昨今では、大きな問題となり、画像形成において格段の耐カール性の向上が求められている。特に、セルロースを含有する普通紙等の記録媒体に、記録面積が15cm2以上であって、該記録面への水系インクの打ち込み量が0.03mg/cm2以上30mg/cm2以下という条件で記録する場合に、カールの発生が著しい。つまり、本発明は、このような条件下でインクジェット記録を行う場合に特に顕著な効果を発揮することができる。水系インク打ち込み量が0.1mg/cm2以上20mg/cm2以下であると、本発明の効果の発現はより顕著になる。

0020

2.周波数応答性
オンデマンド型インクジェット方式において、高い駆動周波数で連続して吐出させようとした場合、インクの物理的・化学的性質によっては、インクのノズルへのリフィルが間に合わなくなり、リフィルされる前に次の吐出が始まってしまうことがある。この結果、吐出不良を起こしたり、吐出量が極端に低下したりする状況となる。又、この現象は、吐出させる液滴が小さいほどより顕著である。従って、銀塩写真レベルの極めて高品位なインクジェット記録画像に対応するために開発された、単一のノズルから吐出させるインクの液滴量が約5pl(ピコリットル)以下であるようなインクジェットプリンタにおいて、特に問題となる。

0021

3.耐固着性(耐ノズル目詰まり性
ノズル先端で生じるインクの水分蒸発によって生じる問題として、ノズル目詰まりがある。かかる課題は、下記に挙げるような場合に生じることが多い。例えば、プリンタがある期間使用されないで放置されたとき、インクタンクプリントヘッド一体型の場合において、プリントヘッド自体がプリンタから外された状態で放置されたときである。或いは、インクタンクとプリントヘッドが分離可能な形態では、インクタンクがプリンタから外された状態で放置されたとき等である。そして、この課題は、インク中の水分蒸発によってノズル先端で生じる色材の固着に起因する。

0022

上記に挙げた課題に対して、本発明者らはインクの組成の点から鋭意検討を行った結果、特定の性質を有した化合物を特定の組成で含むインクが、上記目的を極めて高いレベルで達成できることを見出した。以下、本発明にかかるインクについて説明する。

0023

本発明にかかるインクは、水、色材及び0.6質量%以上5質量%以下の界面活性剤と、更にこれらに加えて、その構造中に、エチレンオキサイドからなる部分(エチレンレンオキサイドユニット)と、プロピレンオキサイドからなる部分(プロピレンオキサイドユニット)とを有する化合物を含有することを特徴とする。先ず、これらの成分について説明する。

0024

本発明にかかるインクは、本発明を特徴づける下記式(I)で示される化合物を含有してなることが必須である。該化合物は、合計1乃至60個のEOからなるエチレンレンオキサイドユニットと、2乃至12個のPOからなるプロピレンオキサイドユニットがブロック状に付加してなる下記の構造の化合物である。

[式(I)中、EOはエチレンオキサイドを示し、POはプロピレンオキサイドを示し、a、b及びcは、a≧0、2≦b≦12、c≧0、1≦a+c≦60、を満足し、且つ、1分子中のEO部の比率が質量基準で20%以上80%以下である。]

0025

ここで、エチレンオキサイドユニットを構成するEO、及びプロピレンオキサイドユニットを構成するPOは、下記の構造を有する有機基である。

0026

上記に挙げたような構造を有するブロック化合物は、常法によって合成可能である。本発明で使用できるブロック化合物としては、例えば、上記式(I)における、a、b及びcが、それぞれ表1に示すような値である化合物(1)乃至(14)等が挙げられる。勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。表1中に、各ブロック化合物におけるEO部の比率を、質量基準で示した。尚、本発明においては、a及びcの双方が0でないことが好ましい。

0027

0028

上記に列挙したような本発明で使用する式(I)で示される化合物のインク中における含有量は、インク全質量に対して、0.5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。より好ましいインク中における含有量は、1質量%以上35質量%以下、更に好ましくは、1.5質量%以上30質量%以下である。

0029

上記したように、本発明においては、2乃至12個のPO付加数のプロピレンオキサイドユニットを分子構造上にもつ化合物をインクの成分として使用することを一つの特徴とする。プロピレンオキサイドユニットを分子構造上にもつブロック化合物は、従来のインクジェット用のインクでも使用されている。しかし、この場合は、何れも界面活性剤として使われており、PO付加数が15乃至65程度のものが一般的である。従って、プロピレンオキサイドユニットのPO付加数が2乃至12個である本発明で使用するブロック化合物は、インク用途として特に注目されていなかったものである。即ち、本発明者らの検討によれば、プロピレンオキサイドユニットのPO付加数が12を超えると、カールの発生については、ある程度抑制できるものの、インクの粘度が高くなり、ノズル先端部分のインク構成成分の一部蒸発に伴う吐出不良や高周波吐出応答性に劣る。

0030

水性媒体
本発明にかかるインクは、水を必須成分とする。インク中の水の含有量は、インク全質量に対して、30質量%以上であることが好ましく、又、95質量%以下であることが好ましい。又、水と水溶性溶剤が併用された水性媒体が使用される場合も多い。水と併用される構成材料としては、例えば、メチルアルコールエチルアルコールn−プロピルアルコールイソプロピルアルコールn−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1乃至5のアルキルアルコール類
ジメチルホルムアミドジメチルアセトアミド等のアミド類
アセトンジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;
テトラヒドロフランジオキサン等のエーテル類
ジエチレングリコールトリエチレングリコールテトラエチレングリコールジプロピレングリコールトリプロピレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン重合体
エチレングリコールプロピレングリコールトリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ペキサンジオール等のアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類
1,2,6−ヘキサントリオールグリセリントリメチロールプロパン等のトリオール類
エチレングリコールモノメチル(又はエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル等のグリコールの低級アルキルエーテル類
トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;
モノエタノールアミンジエタノールアミントリエタノールアミン等のアルカノールアミン類
スルホランN−メチル−2−ピロリドン2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン尿素エチレン尿素ビスヒドロキシエチルスルフォンジグリセリン等が挙げられる。

0031

これらの中でも、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量200以上1,000以下)、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、エチレン尿素、トリメチロールプロパンを用いることが好ましく、特にエチレン尿素は、最も好適である。本発明にかかるインクにおいて、水と併用される水溶性溶剤の種類や含有量は特に限定されないが、インク全量に対して、例えば、3質量%以上であることが好ましく、又、60質量%以下であることが好ましい。

0032

(界面活性剤)
本発明にかかるインクは、よりバランスのよい吐出安定性を得るために、上記で説明した成分とは別に、インク中に、0.6質量%以上5質量%以下の界面活性剤を含有させることが必須である。本発明においては、界面活性剤の中でもノニオン性界面活性剤を含有させることが好適である。更に、ノニオン性界面活性剤の中では、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。これらのノニオン性界面活性剤のHLB値(Hydrophile−Lipophile Balance)は、10以上である。これらの界面活性剤のインク中における含有量は、0.6質量%以上5質量%以下であることを要するが、好ましくは0.7質量%以上4質量%以下、より好ましくは0.8質量%以上3質量%以下である。

0033

(その他の添加剤
又、本発明にかかるインクは、所望の物性値を有するインクとするために、上記した成分の他に、必要に応じて、添加剤として、粘度調整剤消泡剤防腐剤防カビ剤酸化防止剤等を添加することができる。添加剤の選択はインクの表面張力が25mN/m以上、好ましくは28mN/m以上になるようにすることが好ましい。

0034

(色材)
次に、本発明にかかるインクに含有させる色材としては、染料及び顔料を使用することができる。インク中における色材の含有量は、この範囲に限定されるものではないが、インク全量に対して、0.1質量%以上15質量%以下、好ましくは0.2質量%以上12質量%以下、より好ましくは、0.3質量%以上10質量%以下である。

0035

インクに用いられる染料としては、カラーインデックス(COLOR INDEX)に記載されている水溶性の、酸性染料直接染料塩基性染料及び反応性染料はそのほとんど全てが使用できる。又、カラーインデックスに記載のないものでも、水溶性染料であれば使用できる。

0036

本発明で使用する上記染料の具体例を以下に挙げる。イエローインクに使用される染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー173、142、144、86、132及びC.I.アシッドイエロー23、17等が挙げられる。マゼンタインクに使用される染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド92、289、35、37、52等が挙げられる。シアンインクに使用される染料としては、例えば、C.I.アシッドブルー9、7、103、1、90、C.I.ダイレクトブルー86、87、199等が挙げられる。ブラックインクに使用される染料としては、例えば、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブラック52、154、195等が挙げられる。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。

0037

本発明にかかるインクに含有させる色材としては、下記に挙げるような顔料を用いることもできる。黒色インクに使用される顔料としては、カーボンブラックが好適に使用される。例えば、ファーネスブラックランプブラックアセチレンブラックチャンネルブラック等のカーボンブラック顔料であり、一次粒径が15nm以上40nm以下、BET法による比表面積が50m2/g以上300m2/g以下、DBP吸油量が40ml/100g以上150ml/100g以下、揮発分が0.5質量%以上10質量%以下の特性を持つものが好ましく用いられる。

0038

カラーインクに使用される顔料としては有機顔料が好適に使用される。具体的には、トルイジンレッドトルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料
トールレッドヘリボルドーピグメントスカレットパーマネントレッド2B等の水溶性アゾ顔料
アリザリンインダントロンチオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体
フタロシアニンブルーフタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料
キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料
ペリレンレッドペリレンスカーレット等のペリレン系顔料
イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料
ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料
ピランロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料
インジゴ系顔料;
縮合アゾ系顔料
チオインジゴ系顔料;
ジケトピロロピロール系顔料
フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等の顔料が例示できる。

0039

又、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、55、74、83、86、93、97、98、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71;
C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272;
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50;
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64;
C.I.ピグメントグリーン7、36;
C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。

0040

上記のような顔料以外でも使用することができるが、特に、これらの顔料の中でも、C.I.ピグメントイエロー13、17、55、74、93、97、98、110、128、139、147、150、151、154、155、180、185;
C.I.ピグメントレッド122、202、209;
C.I.ピグメントブルー15:3、15:4が更に好ましい。

0041

色材として顔料を用いた場合の顔料の平均粒径は、50nm以上200nm以下の範囲が好ましい。平均粒径の測定方法としては、レーザ光散乱を利用した、ELS−8000(大塚電子製)、マイクロトラックUPA 150(日機装製)等を使用して測定できる。

0042

分散剤
顔料を分散する分散剤としては、水溶性であれば特に制約はないが、2つ以上の単量体(少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、或いはランダム共重合体グラフト共重合体、又はこれらの塩等が好適である。具体的なモノマーとしては、下記のものが挙げられる。例えば、スチレンスチレン誘導体ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸アクリル酸誘導体マレイン酸マレイン酸誘導体イタコン酸イタコン酸誘導体フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニルビニルピロリドンアクリルアミド、及びその誘導体等が挙げられる。中でも、本発明のインクに特に好適な分散剤は、上記に挙げた単量体から選ばれた2つ以上(少なくとも1つは親水性単量体)の単量体からなるブロック共重合体である。特に熱エネルギーを用いたヘッドにて、高い駆動周波数、例えば、10kHz以上で駆動させた場合に、上記のブロック共重合体を本発明に用いることにより、吐出性向上効果はより顕著になる。

0043

又、好ましいインク中の分散剤量はインク全量に対して0.5質量%以上10質量%以下、好ましくは0.8質量%以上8質量%以下、より好ましくは、1質量%以上6質量%以下の範囲である。もし、分散剤の含有量がこの範囲よりも高い場合、所望のインク粘度を維持するのが困難となることがある。

0044

本発明にかかるインクは、インクジェット記録に用いた場合に優れた効果が得られる。この場合のインクジェット記録装置について、インクジェットプリンタを具体例として説明する。図1は、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いる液体吐出装置であるインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。

0045

図1において、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる記録媒体としての用紙1028を矢印Pが示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する矢印S方向に、ガイド軸1014に沿って略平行に往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。

0046

上記搬送装置1030は、互いに略平行に対向配置されている一対のローラユニット1022a及び1022bと、一対のローラユニット1024a及び1024bと、これらの各ローラユニットを駆動させるための駆動部1020とを備えている。かかる構成により、搬送装置1030の駆動部1020が作動状態とされると、用紙1028が、それぞれのローラユニット1022a及び1022bと、ローラユニット1024a及び1024bにより狭持されて、矢印P方向に間欠送りで搬送されることとなる。移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a、及び、プーリ1026bに巻きかけられるベルト1016、ローラユニット1022a、及び、ローラユニット1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を、順方向及び逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。

0047

モータ1018が作動状態とされてベルト1016が矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。又、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図中に示した矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。

0048

記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジ記述する場合がある)1012Y、1012M、1012C及び1012Bが各色、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック毎にそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。

0049

図2は、上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。図示した例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インクを収容するインクタンク1001とで主要部が構成されている。

0050

インクジェット記録ヘッド100には、インクを吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インクは、インクタンク1001から図示しないインク供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(不図示)へと導かれるようになっている。図2に示したカートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100とインクタンク1001とを一体的に形成し、必要に応じてインクタンク1001内に液体補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、インクタンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。尚、インクジェット記録ヘッドを備えたインクジェットカートリッジが記録ユニットである。

0051

次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。又、残部とは全体を100%とし、各成分を差し引いた残りをいう。

0052

<実施例1>
顔料分散液1の調製)
先ず、ベンジルメタクリレートメタクリル酸原料として、常法により、酸価250、重量平均分子量3,000のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液中和し、イオン交換水希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。得られたポリマー水溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100g及びイオン交換水220gを混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。次いで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を液体圧力約10,000psi(約70MPa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン色の顔料分散液1とした。得られた顔料分散液1は、その顔料濃度が10%、分散剤濃度が10%であった。

0053

(インク1の調製)
インク1の調製は、上記で得たシアン色の顔料分散液1を使用し、これに下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過した。この結果、顔料濃度2%及び分散剤濃度2%のインク1が得られた。下記組成で使用した化合物(1)は、下記の構造のものであり、そのEO部の比率は、質量基準で57%である。又、下記のインクの組成において「残部」とあるのは、インクを構成する各成分の濃度の合計が100%となるように、イオン交換水で調整したことを意味している。又、下記組成において「EO付加」とあるのはエチレンオキサイド付加のことである。「残部」及び「EO付加」は、他のインクの調製においても同様である。

0054

・上記顔料分散液1 20%
・化合物(1) 16%
・アセチレングリコールのEO付加物商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製、HLBが
10以上のノニオン性界面活性剤) 0.5%
ポリオキシエチレンセチルエーテル
(EO付加数=30、HLB=19.5、ノニオン性
界面活性剤) 0.5%
・イオン交換水残部

0055

<実施例2>
(顔料分散液2の調製)
顔料分散液1の調製で使用したと同様のポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100g、及びイオン交換水300gを混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。次いで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を液体圧力約10,000psi(約70MPa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ色の顔料分散液2とした。得られた顔料分散液2は、その顔料濃度が10%、分散剤濃度が5%であった。

0056

(インク2の調製)
インク2の調製は、上記マゼンタ色の顔料分散液2を使用し、これに下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過した。この結果、顔料濃度4%、分散剤の濃度2%のインク2が得られた。下記組成で使用した化合物(6)は、下記の構造のものであり、そのEO部の比率は、質量基準で58%である。

0057

・上記顔料分散液2 40%
・化合物(6) 12%
・ポリエチレングリコール(平均分子量300)6%
・エチレン尿素4%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)0.6%
・イオン交換水残部

0058

<実施例3>
(顔料分散液3の調製)
先ず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、重量平均分子量4,000のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。上記のポリマー水溶液を110g、C.I.ピグメントイエロー128を100g及びイオン交換水290gを混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。次いで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を液体圧力約10,000psi(約70MPa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た顔料分散液3を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去して顔料分散液3とした。得られた顔料分散液3は、その顔料濃度が10%、分散剤濃度が6%であった。

0059

(インク3の調製)
インク3の調製は、上記イエロー色の顔料分散液3を使用し、これに下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過した。この結果、顔料濃度5%、分散剤濃度3%のインク3が得られた。下記組成で使用した化合物(8)は、下記の構造のものであり、そのEO部の比率は、質量基準で58%である。

0060

・上記顔料分散液3 50%
・化合物(8) 8%
・1,6−ヘキサンジオール6%
・トリエチレングリコール4%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)0.3%
・ポリオキシエチレンセチルエーテル
(EO付加数=30、HLB=19.5) 1.0%
・イオン交換水残部

0061

<実施例4>
(顔料分散液4の調製)
先ず、ベンジルメタクリレート、メタクリル酸及びエトキシエチレングリコールメタクリレートを原料として、常法により、酸価350、重量平均分子量5,000のABC型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。上記のポリマー水溶液を60g、カーボンブラックを100g及びイオン交換水340gを混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。次いで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を液体圧力約10,000psi(約70MPa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去して黒色の顔料分散液4とした。得られた顔料分散液4は、その顔料濃度が10%、分散剤濃度が3.5%であった。

0062

(インク4の調製)
インク4の調製は、上記黒色の顔料分散液4を使用し、これに下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過した。この結果、顔料濃度3%、分散剤濃度1.05%のインク4が得られた。下記組成で使用した化合物(10)は、下記の構造のものであり、そのEO部の比率は、質量基準で59%である。

0063

・上記顔料分散液4 30%
・化合物(10) 8%
・トリメチロールプロパン6%
・ポリエチレングリコール(平均分子量200)2%
・ポリオキシエチレンセチルエーテル
(EO付加数=30、HLB=19.5) 2%
・イオン交換水残部

0064

<実施例5>
(インク5の調製)
下記の成分を十分に混合撹拌して、インク5を調製した。下記組成中の化合物(14)は、下記の構造のものであり、そのEO部の比率は、質量基準で60%である。

0065

・C.I.ダイレクトブルー199 3.5%
・化合物(14) 4%
・ジグリセリン6%
・エチレン尿素8%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製) 1%
・イオン交換水残部

0066

<実施例6>
(インク6の調製)
下記の成分を十分に混合撹拌して、インク6を調製した。下記組成中の化合物(3)は、下記の構造のものであり、そのEO部の比率は、質量基準で72%である。

0067

・C.I.アシッドレッド289 3%
・化合物(3) 15%
・エチレン尿素4%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)1.2%
・イオン交換水残部

0068

<実施例7>
(インク7の調製)
下記の成分を十分に混合撹拌して、インク7を調製した。下記組成中の化合物(13)は、下記の構造のものであり、そのEO部の比率は、質量基準で80%である。

0069

・C.I.ダイレクトイエロー132 3%
・化合物(13) 3%
・ビスヒドロキシエチルスルフォン9%
・ポリエチレングリコール(平均分子量300)5%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)1.2%
・イオン交換水残部

0070

<実施例8>
(インク8の調製)
下記の成分を十分に混合撹拌して、インク8を調製した。下記組成中の化合物(4)は、下記の構造のものであり、そのEO部の比率は、質量基準で25%である。

0071

・C.I.フードブラック2 2.5%
・化合物(4) 25%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)1.0%
・イオン交換水残部

0072

<比較例1>
(インク9の調製)
実施例1で使用した化合物(1)をジエチレングリコールに置き換え、次の組成として実施例1と同様にインク9を得た。
・顔料分散液1 20%
・ジエチレングリコール 16%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)0.5%
・ポリオキシエチレンセチルエーテル
(EO付加数=30、HLB=19.5) 0.5%
・イオン交換水残部

0073

<比較例2>
(インク10の調製)
実施例2で使用したアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の含有量を変更し、次の組成として実施例2と同様にインク10を得た。
・上記顔料分散液2 40%
・化合物(6) 12%
・ポリエチレングリコール(平均分子量300)6%
・エチレン尿素4%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)0.5%
・イオン交換水残部

0074

<比較例3>
(インク11の調製)
実施例2で使用したアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の含有量を変更し、次の組成として実施例2と同様にインク11を得た。
・上記顔料分散液2 40%
・化合物(6) 12%
・ポリエチレングリコール(平均分子量300)6%
・エチレン尿素4%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)5.5%
・イオン交換水残部

0075

<比較例4>
(インク12の調製)
実施例3で使用した化合物(8)をテトラエチレングリコールに置き換え、次の組成として実施例1と同様にインク12を得た。
・上記顔料分散液3 50%
・テトラエチレングリコール 8%
・1,6−ヘキサンジオール6%
・トリエチレングリコール4%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)0.3%
・ポリオキシエチレンセチルエーテル
(EO付加数=30、HLB=19.5) 1.0%
・イオン交換水残部

0076

<比較例5>
(インク13の調製)
実施例7で使用した化合物(13)を、下記に示す構造の化合物(15)に置き換え、次の組成として実施例7と同様にインク13を得た。化合物(15)のEO部の比率は、質量基準で81%である。

0077

・C.I.ダイレクトイエロー132 3%
・化合物(15) 3%
・ビスヒドロキシエチルスルフォン9%
・ポリエチレングリコール(平均分子量300)5%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)1.2%
・イオン交換水残部

0078

<比較例6>
(インク14の調製)
実施例1で使用した化合物(1)を、下記に示す構造の化合物(16)に置き換え、次の組成として実施例1と同様にインク14を得た。化合物(16)のEO部の比率は、質量基準で70%である。

0079

・上記顔料分散液1 20%
・化合物(16) 16%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製)0.5%
・ポリオキシエチレンセチルエーテル
(EO付加数=30、HLB=19.5) 0.5%
・イオン交換水残部

0080

<比較例7>
(インク15の調製)
実施例5の化合物(14)を、下記に示す化合物(17)に置き換え、次の組成として実施例5と同様にインク15を得た。化合物(17)のEO部の比率は、質量基準で58%である。

0081

・C.I.ダイレクトブルー199 3.5%
・化合物(17) 4%
・ジグリセリン6%
・エチレン尿素8%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製) 1%
・イオン交換水残部

0082

<比較例8>
(インク16の調製)
実施例5の化合物(14)を、下記に示す構造の化合物(18)に置き換え、次の組成として実施例5と同様にインク16を得た。化合物(18)のEO部の比率は、質量基準で6%である。

0083

・C.I.ダイレクトブルー199 3.5%
・化合物(18) 4%
・ジグリセリン6%
・エチレン尿素8%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製) 1%
・イオン交換水残部

0084

<比較例9>
(インク17の調製)
実施例5の化合物(14)を、下記に示す構造の化合物(19)に置き換え、次の組成として実施例5と同様にインク17を得た。化合物(19)のEO部の比率は、質量基準で85%である。

0085

・C.I.ダイレクトブルー199 3.5%
・化合物(19) 4%
・ジグリセリン6%
・エチレン尿素8%
・アセチレングリコールのEO付加物(商品名:アセ
チレノールEH;川研ファインケミカル製) 1%
・イオン交換水残部

0086

比較例で使用した化合物の構造を下記式(I)を利用して、表2にまとめて示す。

0087

0088

<評価>
上記で得た実施例1〜8(インク1〜8)及び比較例1〜9(インク9〜17)の各インクを、下記のようにして評価した。図1に、評価項目(1)、(2)及び(3)で使用したインクジェット記録装置を示した。尚、ここで用いた記録ヘッドは、1,200dpiの記録密度を有し、1ドット当たりの吐出体積は4plであった。

0089

[評価項目]
(1)周波数応答性
サーマル方式のキヤノン製インクジェット記録装置を用いて、各インクを駆動周波数0.1kHzで吐出させ、徐々に周波数を上げてゆき、吐出形状が主滴の存在しない形状の不安定な吐出になった時点で周波数を測定し、判定した。表3に、評価結果をまとめて示した。
A:10kHzを超える
B:5kHz以上10kHz以下
C:5kHz未満

0090

(2)耐固着性
上記記録装置に搭載している各インクを収納したヘッドを本体から外して、35℃、湿度10%環境下で1週間放置した。その後、記録装置にヘッドを装着して、通常の回復動作印字回復可能か否かをチェックし、各インクにおける耐固着性を評価した。評価基準は以下の通りである。表3に、評価結果をまとめて示した。
A:1回の本体回復動作で回復する
B:数回の本体回復動作で回復する
C:本体回復動作で回復しない

0091

(3)耐カール性
上記記録装置を用い、A4サイズの普通紙(SW−101、キヤノン(株)製)に、紙の上下左右2cmを残してベタ印字を行った。この条件で記録した場合、記録物の記録面積は431.8cm2であって、該記録面へのインクの打ち込み量は、1.36mg/cm2となる。得られた記録物を、25℃、湿度55%環境下に置き放置した。そして、1時間後、10日後の状態を観察し、目視で評価した。評価基準は以下の通りである。表3に、評価結果をまとめて示した。
A:ほぼ平らな状態を保っている
B:端の部分が立ち上がっている
C:筒状になっている

0092

0093

上記表3の評価(1)〜(3)の結果より、実施例1〜8にかかるインク1〜8は何れも、良好なインクジェット吐出適性と耐カール性を備えたものであることが確認された。これに対して、比較例1〜9の結果より、併用される界面活性剤量が、規定外であったり、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの付加数や、エチレンオキサイド部の質量比が本発明の範囲外である化合物を含むインクは、耐カール性が十分でなかったり、良好なカール特性を示す場合であっても、耐固着性及び高周波数吐出時の応答性に問題があることが確認された。

図面の簡単な説明

0094

液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図である。

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