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技術 線状、膜状バイオデバイス及びバイオリアクター

出願人 国立研究開発法人海洋研究開発機構
発明者 小西聡史三輪哲也
出願日 2005年4月25日 (15年2ヶ月経過) 出願番号 2005-126378
公開日 2006年11月2日 (13年8ヶ月経過) 公開番号 2006-296367
状態 特許登録済
技術分野 微生物・酵素関連装置
主要キーワード 開口部内縁 底平面 中性官能基 面積基準 繊維集積体 好適形態 培養基体 開口中心
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2006年11月2日)のものです。
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図面 (3)

課題

接着性細胞を効率良く高密度に固定でき、取り扱い性や応用性にも優れる線状バイオデバイス膜状バイオデバイス及びバイオリアクターを提供すること。

解決手段

線状バイオデバイスは、長手方向とほぼ垂直な断面に曲線部を有する繊維と、この繊維の周囲に接着したほぼ球形の接着性細胞を備える。膜状バイオデバイスは、開口部を有するシートと、この開口部に接着したほぼ球形の接着性細胞を備える膜状バイオデバイスである。開口部の内縁の断面に曲線部が存在する。バイオリアクターは、球形接着性細胞がシートの開口部を閉塞するように密生した膜状バイオデバイスを備える。

概要

背景

従来、細胞を膜状に成形する方法には、温度官能性高分子表面処理を施した容器底平面に固定した細胞を、温度官能性高分子の伸縮を利用して剥離させる方法があり、角膜再生などに利用されている。
また、接着性細胞を固定する担体として様々な材質、形状の材料が研究されており、バイオリアクタでは、流路に設置した平面や繊維集積体に固定されている。

近年、通液性細胞培養担体と、この担体を用いる培養方法及び培養装置が提案されており(例えば、特許文献1参照。)、担体として複数の天然又は合成の糸及び/又は織成体を用いると、通液性を確保でき、動物細胞が三次元的に増殖し、且つ高い生存率自己組織形成できることが記載されている。

また、付着性動物細胞培養基体について、繊維径20〜60μmの繊維から成り、該繊維が繊維表面積10〜30m2/m3且つ空隙率90%で互いに絡み合って形成されている繊維集積体に塩基性官能基又は酸性官能基又は中性官能基を有する培養基体では、繊維表面に細胞が付着、増殖、伸展し、更に細胞が積層するので、細胞を高密度で固定でき、多孔性構造を形成することが開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照。)。
特開平7−298876号公報
特開平8−33743号公報
特開平8−33474号公報
特開平8−33475号公報

概要

接着性細胞を効率良く高密度に固定でき、取り扱い性や応用性にも優れる線状バイオデバイス膜状バイオデバイス及びバイオリアクターを提供すること。線状バイオデバイスは、長手方向とほぼ垂直な断面に曲線部を有する繊維と、この繊維の周囲に接着したほぼ球形の接着性細胞を備える。 膜状バイオデバイスは、開口部を有するシートと、この開口部に接着したほぼ球形の接着性細胞を備える膜状バイオデバイスである。開口部の内縁の断面に曲線部が存在する。 バイオリアクターは、球形接着性細胞がシートの開口部を閉塞するように密生した膜状バイオデバイスを備える。なし

目的

本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、接着性細胞を効率良く高密度に固定でき、取り扱い性や応用性にも優れる線状バイオデバイス、膜状バイオデバイス及びバイオリアクターを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

長手方向とほぼ垂直な断面に曲線部を有する繊維と、この繊維の周囲に接着したほぼ球形の接着性細胞を備えることを特徴とする線状バイオデバイス

請求項2

上記球形接着性細胞が、上記繊維の周囲において、上記断面の曲線部に接着していることを特徴とする請求項1に記載の線状バイオデバイス。

請求項3

上記球形接着性細胞の粒径が5〜50μmであり、上記繊維の繊維径が80μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の線状バイオデバイス。

請求項4

開口部を有するシートと、この開口部に接着したほぼ球形の接着性細胞を備える膜状バイオデバイスであって、上記開口部の内縁の断面に曲線部が存在することを特徴とする膜状バイオデバイス。

請求項5

上記開口部がほぼ同一の形状をなして複数個あり、各開口部が一定のピッチ穿設されていることを特徴とする請求項4に記載の膜状バイオデバイス。

請求項6

上記開口部の最大長が、上記球形接着性細胞の(分裂直後粒径)〜(成長後粒径×10)であることを特徴とする請求項4又は5に記載の膜状バイオデバイス。

請求項7

上記開口部がほぼ正方形をなし、その一辺長が20〜80μmであることを特徴とする請求項4又は5に記載の膜状バイオデバイス。

請求項8

上記シートが、長手方向とほぼ垂直な断面に曲線部を有する繊維の網状体から成ることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1つの項に記載の膜状バイオデバイス。

請求項9

上記球形接着性細胞が、上記シートの開口部を閉塞するように密生していることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1つの項に記載の膜状バイオデバイス。

請求項10

請求項9に記載の膜状バイオデバイスを備えることを特徴とするバイオリアクター

技術分野

0001

本発明は、線状バイオデバイス膜状バイオデバイス及びこれを用いたバイオリアクター係り、更に詳細には、接着性細胞を高密度接着した線状又は膜状のバイオデバイス、及びバイオリアクターに関する。
本発明のバイオデバイスやバイオリアクターは、接着性細胞を利用して有用物質生産、変換又は分離するのに有用である。

背景技術

0002

従来、細胞を膜状に成形する方法には、温度官能性高分子表面処理を施した容器底平面に固定した細胞を、温度官能性高分子の伸縮を利用して剥離させる方法があり、角膜再生などに利用されている。
また、接着性細胞を固定する担体として様々な材質、形状の材料が研究されており、バイオリアクタでは、流路に設置した平面や繊維集積体に固定されている。

0003

近年、通液性細胞培養担体と、この担体を用いる培養方法及び培養装置が提案されており(例えば、特許文献1参照。)、担体として複数の天然又は合成の糸及び/又は織成体を用いると、通液性を確保でき、動物細胞が三次元的に増殖し、且つ高い生存率自己組織形成できることが記載されている。

0004

また、付着性動物細胞培養基体について、繊維径20〜60μmの繊維から成り、該繊維が繊維表面積10〜30m2/m3且つ空隙率90%で互いに絡み合って形成されている繊維集積体に塩基性官能基又は酸性官能基又は中性官能基を有する培養基体では、繊維表面に細胞が付着、増殖、伸展し、更に細胞が積層するので、細胞を高密度で固定でき、多孔性構造を形成することが開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照。)。
特開平7−298876号公報
特開平8−33743号公報
特開平8−33474号公報
特開平8−33475号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、かかる従来技術においては、次のような問題があった。
即ち、培養容器の底平面に固定した細胞を剥がして作成した細胞シート支持体が無いため、該シートだけでは強度が不十分で、取り扱いが複雑になるという問題点があった。
また、培養容器の底平面に細胞を固定すると、細胞が伸展して接着するため、浮遊状態における細胞直径の数倍の面積占有し、しかもコンフルエントになった状態で増殖が停止するため、細胞を高密度に固定することができなかった。

0006

担体として多孔質体を用いる場合、膜状に成形することが困難であり、しかも細胞を高密度で固定することができない。更に動物細胞に必要な酸素及び栄養源担体内部まで迅速に供給することができず、担体の表面近傍しか機能していないという問題点があった。

0007

一方、担体として繊維集積体を用いる場合、通液性を良くするために対流が起きるほどの孔が開いていて、高密度に固定できず、しかも細胞を固定した担体が隔壁としての役割を果たすことができず、細胞に2種類の液体を混合させることなく接触させることは不可能であった。

0008

本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、接着性細胞を効率良く高密度に固定でき、取り扱い性や応用性にも優れる線状バイオデバイス、膜状バイオデバイス及びバイオリアクターを提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の断面形状を有する繊維や所定の開口部を有するシートなどを担体として用いると、かかる繊維の周囲や開口部内縁に付着した細胞が、伸展することなく球形のまま増殖して高密度に接着する割合が高く、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0010

即ち、本発明の線状バイオデバイスは、長手方向とほぼ垂直な断面に曲線部を有する繊維と、この繊維の周囲に接着したほぼ球形の接着性細胞を備えることを特徴とする。

0011

また、本発明の線状バイオデバイスの好適形態は、上記球形接着性細胞が、上記繊維の周囲において、上記断面の曲線部に接着していることを特徴とする。

0012

更に、本発明の線状バイオデバイスの他の好適形態は、上記球形接着性細胞の粒径が5〜50μmであり、上記繊維の繊維径が80μm以下であることを特徴とする。

0013

一方、本発明の膜状バイオデバイスは、開口部を有するシートと、この開口部に接着したほぼ球形の接着性細胞を備える膜状バイオデバイスであって、
上記開口部の内縁の断面に曲線部が存在することを特徴とする。

0014

本発明の膜状バイオデバイスの好適形態は、上記開口部がほぼ同一の形状をなして複数個あり、各開口部が一定のピッチ穿設されていることを特徴とする。

0015

また、本発明の膜状バイオデバイスの好適形態は、上記開口部の最大長が、上記球形接着性細胞の(分裂直後の粒径)〜(成長後粒径×10)であることを特徴とする。

0016

更に、本発明の膜状バイオデバイスの他の好適形態は、上記開口部の最大長が10〜80μmであることを特徴とする。

0017

更にまた、本発明の膜状バイオデバイスの更に他の好適形態は、上記シートが、長手方向とほぼ垂直な断面に曲線部を有する繊維の網状体から成ることを特徴とする。

0018

また、本発明の膜状バイオデバイスの他の好適形態は、上記球形接着性細胞が、上記シートの開口部を閉塞するように密生していることを特徴とする。

0019

更に、本発明のバイオリアクターは、上述の如き膜状バイオデバイスを備えることを特徴とする。

発明の効果

0020

本発明によれば、所定の断面形状を有する繊維や所定の開口部を有するシートなどを担体として用いることとしたため、接着性細胞を効率良く高密度に固定でき、取り扱い性や応用性にも優れる線状バイオデバイス、膜状バイオデバイス及びバイオリアクターを提供することができる。

0021

また、本発明の膜状バイオデバイスでは、細胞に必要な酸素及び栄養源を迅速に供給することができる。
更に、本発明の膜状バイオデバイスの好適形態では、接着性細胞を膜状に高密度に固定することも可能である。

0022

更にまた、本発明のバイオリアクターは、接着性細胞が膜状に固定化された膜状バイオデバイスによって、2種類の液体を相互に混合することなく、膜状をなす接着性細胞に接触させることができるので、所望の代謝生産を効率良く制御、促進することができる。
また、本発明のバイオリアクターにおいては、適当な細胞を選択することによって、膜状接着性細胞を選択透過膜として機能させることも可能である。従って、深海生物の細胞を固定化し、深海生物の有用な代謝生産物を効率良く連続的に生産、抽出することも可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0023

以下、本発明の線状バイオデバイスにつき詳細に説明する。なお、本明細書及び請求の範囲において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。また、「ほぼ」とは、測定誤差などを含めた範囲を意味しており、当該範囲内では本発明の作用効果が奏される。
上述の如く、本発明の線状バイオデバイスは、長手方向とほぼ垂直な断面形状において、曲線部を有する繊維と、ほぼ球形の接着性細胞を有するもので、この球形接着性細胞が担体としての該繊維の周囲に接着しているものである。
また、本発明の線状バイオデバイスの全体形状は、直線状でも曲線状でもよく、S字状のように蛇行していてもよい。

0024

ここで、担体として機能する繊維の材質は特に限定されるものではなく、種々の有機繊維及び無機繊維を用いることができるが、有機繊維としては、各種の天然及び合成繊維、例えば、や綿などの天然繊維ナイロン登録商標)、アクリル及びポリエステルなどの合成繊維を挙げることができ、一方、無機繊維としては、各種の金属繊維ガラス繊維セラミックス繊維を挙げることができる。

0025

なお、有機繊維としては、繊維表面が平滑な合成繊維及び該繊維に表面修飾を施したものを好ましく用いることができ、また、再生医療分野での応用を考えた場合、生分解性の繊維を用いることも有効である。

0026

また、本発明で用いる繊維は、長手方向とほぼ垂直な断面に曲線部を有するものであるが、典型的には、繊維断面円形楕円形のものを挙げることができる。
但し、繊維断面形状の少なくとも一部に曲線部があれば十分であるので、三角形多角形の角にR加工や面取りを施したような断面形状の繊維であっても使用可能である。
なお、本発明者らの観察によれば、接着性細胞は、上記曲線部を構成する繊維周囲に優先的ないし選択的に付着して球形の状態を保持したまま増殖するが、断面形状が直線である部位に付着した接着性細胞は球形を保持できず、伸展してしまうことが多い。

0027

上述のように、本発明においては、繊維断面がこのような形状を有すればよいので、かかる断面形状を有する限り、繊維がモノフィラメントであるかマルチフィラメントであるかは不問であり、更には、狭義の繊維のみならず、撚糸などを用いることも可能である。

0028

また、上記繊維の繊維径は、培養すべき接着性細胞の種類や大きさ(粒径)に応じて適宜変更することができるが、代表的には、粒径5〜50μm、好ましくは10〜30μmの接着性細胞に対しては、繊維径が80μm以下の繊維を用いることが好ましい。接着性細胞は、繊維径80μm以下の繊維に対しては、付着しても伸展せずに球形を保ったまま増殖する確率が高く、高密度に固定化し易い。
これに対し、繊維径が80μmを超えると、付着後に伸展してしまい、高密度に固定化することが困難になる。

0029

なお、本発明で対象とする細胞は、接着性細胞であり、上述した本発明所定の繊維を用いて培養を行えば、初期状態の球形を保持したまま成長する。従って、本発明の線状バイオデバイスは、上記所定の繊維周囲に球形の接着性細胞が固定されて成るものである。
かかる接着性細胞としては、特に限定されるものではないが、特に接着性の動物細胞、例えば動物繊維芽細胞神経細胞を挙げることができる。

0030

また、接着性細胞を105〜106セル/mL程度の濃度で培地に懸濁させ、担体たる上記繊維と接触させ、振盪培養しながら増殖させると、本発明の線状デバイスが容易に得られる。
このときに用いる培地としては、細胞をカルチャーボトルで培養するときに用いる標準的な培地でよい。

0031

次に、本発明の膜状バイオデバイスについて説明する。
上述の如く、本発明の膜状バイオデバイスは、開口部を有するシートと、球形の接着性細胞を備えるものである。そして、この開口部は、その内縁の断面形状に曲線部があるものであり、球形接着性細胞は該開口部内に接着・固定化されている。

0032

ここで、使用するシートとしては、以下に説明する開口部を有しているシート状のものであれば十分であり、一体成形されたいわゆる孔開きシートのみならず、上述した繊維から成る編物織物及び網などであってもよい。
但し、本発明においては、ほぼ同一の形状をなす複数個の開口部が、一定のピッチで穿設されているシートが有用であり、これにより、固定化された接着性細胞が規則的(周期的)に配列しており、固定化細胞が均一に分散配置され、全体としての均質性に優れる膜状バイオデバイスが実現される。
なお、シートの材質も、樹脂セラミックス、金属及びガラス等の有機材料及び無機材料でよく、特に限定されない。

0033

また、開口部の平面形状は、特に限定されるものではなく、円形、楕円形、三角形、四角形以上の多角形の他、星形などであってもよい。
但し、この開口部の内縁の断面形状については、少なくとも部分的に曲線部を有していることが必要であり、接着性細胞はこの曲線部に優先的ないし選択的に付着して球形を保持したまま成長・増殖する可能性が高い。
なお、かかる曲線部は、通常、開口部の中央方向に突出して形成されている。

0034

なお、開口部の大きさは、固定化する接着性細胞の大きさに応じて適宜選択することができるが、代表的には、開口部の最大長が、球形をなす接着性細胞の分裂直後の粒径から成長後の粒径の10倍程度の大きさであることが好ましい。
ここで、「開口部の最大長」とは、当該開口部の輪郭内に引け線分のうち最長のものの長さを意味するものとする。

0035

開口部の最大長が、接着性細胞の分裂直後の粒径未満の場合には、開口部内に接着性細胞が固定されず、成長後粒径の10倍を超えると、開口部を構成する繊維同士が離れすぎるため、該細胞が開口部を閉塞するように接着することが困難となり、開口中心部が空洞となり、結果として低密度になってしまうことがある。
通常、粒径5〜50μmの接着性細胞は、分裂と成長を繰り返す過程で大きさが変動し、成長後の粒径は分裂直後の粒径に比べ1.5倍程度にまで増大する。

0036

本発明の膜状バイオデバイスの好適形態においては、上記シートを上述の繊維、特に繊維径が80μm以下の有機繊維の網状体で形成し、ほぼ正方形をなす開口部の目開きを10〜80μmとする。
開口部の目開きが10μm未満では、接着性細胞が開口部に進入せず、当該網状体の表面を覆うように伸展して接着するため、該細胞を高密度に固定し難くなる。
一方、開口部の目開きが80μmを超えると、接着性細胞を付着させても、開口部を構成する繊維同士が離れすぎているため、該細胞が開口部を閉塞するように固定化されることが困難となる。この結果、孔が残存する確率が高くなり、更なる高密度を実現し難くなり、しかも後述する隔壁の役割も果たせなくなることがある。

0037

これに対し、本発明の膜状デバイスの好適形態によれば、繊維径80μm以下の繊維から成り、且つ目開き10〜80μmの網状体に接着性細胞を付着させると、該細胞が開口部を塞ぐように増殖し、網状体を支持体(担体)とする膜状デバイスが形成される。
また、この膜状バイオデバイスの厚み方向に積層される細胞数は、たかだか10個程度なので、これらの接着した細胞に対しては、酸素及び栄養源を迅速に供給することが容易であり、培養効率を向上することができる。
なお、かかる開口部の閉塞に応じて、本来ほぼ球状をなす接着性細胞は、細胞同士が接着して固定化されている膜領域では、立方体状や直方体状をなしていることがある。

0038

更に、本発明の膜状バイオデバイスにおいて、球形をなす接着性細胞がシートの開口部を閉塞するように固定化された場合には、この固定化細胞を貫通するような対流は起きなくなる。従って、この固定化細胞ないしは当該膜状バイオデバイス自体が隔壁として機能し得るので、この膜状デバイスの表面側(一方の面側)と裏面側(他方の面側)とに別種の2液を供給しても、両者が混合されるのを抑制ないし回避することができ、固定化細胞に2種の培地などを同時に供給することが可能となる。

0039

なお、本発明の膜状バイオデバイスの形成方法は、上記開口部を有するシートを担体として用いる以外は、上述した線状バイオデバイスの形成方法と同様である。

0040

次に、本発明のバイオリアクターについて説明する。
上述の如く、本発明のバイオリアクターは、上述した本発明の膜状バイオデバイスのうちでも、開口部が固定化細胞で閉塞されている膜状デバイスを備えるものである。
かかる膜状デバイスでは、その表面側と裏面側を貫通するような液流の発生は抑制ないし回避される。よって、バイオリアクター中に該膜状デバイスで区画された2空間(2つの系)を形成すれば、1つの系において、培地成分や細胞の代謝生産物は拡散のみで移動できるだけになる。従って、該膜状デバイスについては異なる2液を相互に混合することなく接触させることができるようになる。

0041

以上のことから、本発明のバイオリアクターでは、例えば、細胞に異なる成分の培地を独立に供給し、各培地の供給速度、濃度を独立に制御することが可能であるし、該膜状デバイスの表面に培地、裏面に回収液を接触させて有用物質を連続的に回収することが可能となる。
また、適当な細胞を固定化することによって、該膜状デバイスを選択透過膜としても機能させることが可能であるので、細胞の選択透過性を利用した試験などへの応用が可能となる。

0042

以下、本発明を若干の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

0043

(実施例1)
マウス繊維芽細胞3T3L1を106セル/mL含む培地[DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)−high glucose(SIGMA D6429)、10%FBS(Fetal Bovine Seram)]に繊維径20、40、60、80、100μm、長さ5mmのナイロン(登録商標)繊維を浸漬し、振盪培養を行った。なお、3日ごとに新鮮な培地に交換した。
10日後に繊維を取り出し、繊維に付着している細胞をトリプシンで剥離させて細胞数をカウントし、繊維に付着していた細胞密度を繊維表面積基準で計算した。得られた結果を図1に示す。

0044

繊維径80μm以下では、3.0×106[セル/cm2]以上の細胞密度となり、細胞が高密度に固定化されていることが分かった。
また、繊維径100μmでは、他の繊維の1/10以下の細胞密度であった。

0045

(実施例2)
マウス繊維芽細胞3T3L1を106セル/mL含む培地[DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)−high glucose(SIGMA D6429)、10%FBS(Fetal Bovine Seram)]に繊維径30μm、目開き5〜200μmの各ナイロン(登録商標)メッシュを浸漬して振盪培養を行った。なお、3日ごとに新鮮な培地に交換した。
ナイロン(登録商標)メッシュに付着した細胞はほとんど伸展することなく増殖し、ナイロンメッシュの開口部を埋めるように固定化された。

0046

30日後に各メッシュに固定された3T3L1の面積基準密度を測定した。得られた結果を図2に示す。
細胞密度は目開きが20〜80μmのメッシュが高いことが分かる。開口20〜80μmのメッシュでは、全ての開口部が細胞で閉塞されており、高密度で膜状をなす動物細胞固定化バイオデバイスが形成されていた。
この際、固定化された細胞の密度は106[セル/cm2]となり、平面上にコンフルエントに接着したときの細胞密度105の10倍の密度であった。また、厚み方向に並んだ細胞の最多数は8個であった。
目開きが10μm以下のメッシュでは、細胞が網目内に入らず、メッシュ表面に伸展していた。目開きが80μmを超えるメッシュでは繊維間の距離が長いため、細胞で網目を埋めることができず、開口部が残存していた。

0047

(実施例3)
実施例2と同様の操作を繰り返し、膜状をなす細胞固定化バイオデバイスを作成し、この膜状バイオデバイスを図3に示すようにバイオリアクター容器に組み込み、バイオリアクターを作成し、細胞培養を行った。
図3は、本発明のバイオリアクターの一実施例を示すものであり、バイオリアクター容器1は、細胞を固定化した膜状バイオデバイス2によって第1反応室7と第2反応室8との2部屋に区画されている。
また、第1供給タンク3にはフェノールレッドを含む細胞維持培地(DMEM、10%FBS)が蓄えられ、第2供給タンク5にはフェノールレッドを含まない細胞維持培地を蓄えられている。

0048

第1供給タンク3の培地は第1反応室7で膜状バイオデバイス2と接触し、第1回収タンク4に排出される。一方、第2供給タンク5に蓄えられた培地は第2反応室8で該デバイス2に接触し、第2回収タンク6に排出される。
培地中の酸素及び栄養源は第1反応室7から該デバイス2に移動し、該デバイス2中を拡散で移動し、各細胞に供給される。細胞の代謝生産物は該デバイス2から第2反応室8に移動し、第2回収タンク6に集められる。

0049

このリアクターを3日間運転した後、第2回収タンク8の培地に含まれるフェノールレッドを吸光度で測定した結果、検出限界以下であった。これにより、膜状をなす細胞固定化バイオデバイス2のデバイス内を貫通するような対流は起きていないことが分かり、この膜状デバイス2が隔壁の役割を果たしていることを確認できた。

図面の簡単な説明

0050

細胞密度と繊維径との関係を示すグラフである。
細胞密度と目開きとの関係を示すグラフである。
本発明のバイオリアクターの一実施例を示す断面図である。

符号の説明

0051

1バイオリアクタ容器
2動物細胞固定化膜状バイオデバイス
3 第1供給タンク
4 第1回収タンク
5 第2供給タンク
6 第2回収タンク
7 第1反応室
8 第2反応室

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