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技術 異方性試料の色差評価方法及び測色システム

出願人 コニカミノルタオプティクス株式会社
発明者 鷺坂直樹森本晃夫井村健二
出願日 2005年4月12日 (15年2ヶ月経過) 出願番号 2005-114653
公開日 2006年10月26日 (13年8ヶ月経過) 公開番号 2006-292578
状態 拒絶査定
技術分野 各種分光測定と色の測定
主要キーワード アウターボディ 反射光測定装置 方性試料 マイカ片 受け入れ検査 測定開口 アルミ片 パール塗装
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

メタリック塗装パール塗装等が施された異方性試料について、目視評価と十分に相関性のある色差評価を定量的に行えるようにする。

解決手段

色システムSは、マルチアングルジオメトリを有する反射光測定装置1、測定制御手段2、受光データ処理手段3、色差算出手段4、色差式係数記憶手段5、操作手段6、出力部71及び表示部72を備える。色差算出手段4は、明度彩度色相に関する係数が任意に設定可能な色差式を用い、ジオメトリに応じた係数の設定を受け付けて色差を求める。係数は、ハイライト光学系の受光データに適用する色差式の明度係数をL1とし、シェード光学系の受光データに適用する色差式の明度係数をL2とするとき、L1>L2の関係を満たすように設定される。

概要

背景

自動車のボディや各種家電機器外装部材等の塗装汎用されているメタリック塗装パール塗装は、塗装塗膜内に光輝材と呼ばれるフレーク状のアルミ片マイカ片が含まれてなり、いわゆるメタリック効果やパール効果を奏する。これは、反射特性に対する光輝材の寄与が照明および観察方向視認方向)によって異なることに起因するものであって、前記メタリック塗装やパール塗装が施された塗装面は、その視認方向により色感が異なるものとなる(本明細書において、このような塗装面を有する試料を「異方性試料」という)。

通常、塗装が施された製品については、当該塗装色が所定の基準色に対して色ずれがないかを確認する色管理が行われる。この場合、例えば特許文献1に示されているような所定の照明受光光学系ジオメトリ)を用いて塗装面に所定の照明光照射し、その反射光受光して得られた受光データに、所定の色差式を適用して色差評価を行うのが一般的である。このような色差式として現状で主に活用されているのは、国際照明委員会CIE)が推奨するL*a*b*表色系である。このCIEL*a*b*色差式は、次の(1)式のように表される。

さらに、上記L*a*b*表色系が必ずしも人間の視感判定と一致しないことを補完するために、明度彩度色相に関する係数を含ませた色差式であるCMC(l:c)色差式、CIE1994色差式、CIE2000色差式(これらの色差式については後記で詳述する)が知られている。

ところで、視認方向により色感が異ならない単色(Solid Color)試料とは異なり、メタリック塗装やパール塗装等が施された異方性試料については、視認方向により色感が異なることから複数のアングルにおける色管理が必要となる。従来、異方性試料の色管理は、最終的には検査者目視評価に依存している。これは、現状で汎用されているCIEL*a*b*色差式に基づく数値的な色差値と、人の目視評価の結果とが食い違うことがあり、特に異方性試料の場合に顕著に相違する場合があるからである。つまり、色差値としては大きく異なっていても人の目視感としてはさほど色差感じないことがあるからで、結局、人の主観に依存せざるを得ないのが現状である。

また、L*a*b*表色系の不具合を補う係数を設定できる上記CMC(l:c)色差式は、繊維製品の色管理に利用されている例がある。しかしながら、実際に活用されているのは、初期設定値である明度係数l=1、彩度係数c=1としたCMC(1:1)と、受け入れ検査時等に許容範囲を広げるために明度係数l=2、彩度係数c=1としたCMC(2:1)との2種類の色差式に過ぎない。つまり、上述のような単色試料と異方性試料とを区別しておらず、単に許容範囲を広げた検査を行うか否かにより係数二者択一的に設定されているものである。

さらに、照明方向に対する受光方向の角度若しくは受光方向に対する照明方向の角度が変更可能とされた所謂マルチアングルジオメトリを有する測定器において、上記CMC(l:c)色差式、CIE1994色差式、CIE2000色差式などを、色差値を求めるための色差式として設定することは可能である。しかしながら、色差式における明度、彩度、色相に関する係数を、使用するジオメトリや測定対象試料に応じて設定可能な測定器は未だ提案されていない。そもそも、如何なる測定条件のときに、どのように係数を設定すれば良いかについても十分に解明されていない。従って、上記の色差式を用いたとしてもメタリック塗装やパール塗装等が施された異方性試料について、目視評価と十分に相関性のある定量評価が行えないことから、上述のように人間の目による目視評価に依存しているのである。
特開2001−50817号公報

概要

メタリック塗装やパール塗装等が施された異方性試料について、目視評価と十分に相関性のある色差評価を定量的に行えるようにする。 測色システムSは、マルチアングル型ジオメトリを有する反射光測定装置1、測定制御手段2、受光データ処理手段3、色差算出手段4、色差式/係数記憶手段5、操作手段6、出力部71及び表示部72を備える。色差算出手段4は、明度、彩度、色相に関する係数が任意に設定可能な色差式を用い、ジオメトリに応じた係数の設定を受け付けて色差を求める。係数は、ハイライト光学系の受光データに適用する色差式の明度係数をL1とし、シェード光学系の受光データに適用する色差式の明度係数をL2とするとき、L1>L2の関係を満たすように設定される。

目的

本発明は、上述のような現状に鑑みてなされたもので、係数が任意に設定できる色差式を用いると共に、該色差式の係数を使用するジオメトリや測定対象試料等に応じて適正な値に設定可能とすることで、メタリック塗装やパール塗装等が施された異方性試料について、目視評価と十分に相関性のある定量評価を行うことができる異方性試料の色差評価方法及び測色システムを提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

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請求項1

照明方向に対する受光方向の角度若しくは受光方向に対する照明方向の角度が変更可能な照明受光光学系を用い、視認方向により色感が異なる異方性試料照明光照射し、その反射光受光して得られた受光データに所定の色差式を適用して色差評価を行う色差評価方法であって、前記色差式として、少なくとも明度に関する係数を任意に設定可能な色差式を用い、前記照明受光光学系を、ハイライト光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をL1とし、シェード光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をL2とするとき、L1>L2の関係を満たすように明度係数を設定することを特徴とする異方性試料の色差評価方法。

請求項2

所定の照明受光光学系を用い、視認方向により色感が異なる異方性試料に照明光を照射し、その反射光を受光して得られた受光データに所定の色差式を適用して色差評価を行う色差評価方法であって、前記色差式として、明度、彩度色相に関する係数を任意に設定可能な色差式を用い、前記照明受光光学系を、所定の反射角度の光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をl、彩度係数をc、色相係数をhとするとき、l≧c≧h但し、l≠h或いは、l≧h≧c但し、l≠cのいずれかの関係を満たすように明度係数を設定することを特徴とする異方性試料の色差評価方法。

請求項3

照明方向に対する受光方向の角度若しくは受光方向に対する照明方向の角度が変更可能な照明受光光学系を用い、視認方向により色感が異なる異方性試料に照明光を照射し、その反射光を受光して得られた受光データに所定の色差式を適用して色差評価を行う色差評価方法であって、前記色差式として、明度、彩度、色相に関する係数を任意に設定可能な色差式を用い、前記照明受光光学系を、ハイライト光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をL1とし、シェード光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をL2とするとき、L1≧L2の関係を満たすように明度係数を設定し、かつ、前記照明受光光学系を、所定の反射角度の光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をl、彩度係数をc、色相係数をhとするとき、l≧c≧h但し、l≠h或いは、l≧h≧c但し、l≠cのいずれかの関係を満たすように明度係数を設定することを特徴とする異方性試料の色差評価方法。

請求項4

照明方向に対する受光方向の角度若しくは受光方向に対する照明方向の角度が変更可能とされ、所定の試料に照明光を照射し、その反射光を受光可能に構成された照明受光光学系と、前記照明受光光学系で得られた前記反射光の受光データに所定の色差式を適用して色差を算出する色差算出手段とを備え、前記色差算出手段は、明度、彩度、色相に関する係数を任意に設定可能な所定の色差式を記憶する色差式記憶部と、前記色差式の係数についての設定を受け付け係数設定部と、前記係数設定部で設定された係数を前記色差式に代入して前記反射光の受光データについての色差を求める演算部とを具備することを特徴とする測色システム

請求項5

前記係数設定部に設定される係数を記憶する係数記憶部を具備することを特徴とする請求項4に記載の測色システム。

請求項6

色対象とする試料について、少なくとも視認方向により色感が実質的に異ならない第1の試料か、視認方向により色感が異なる第2の試料かを選択する試料モード選択部を備え、前記係数記憶部は、前記第1の試料についての第1の係数と、前記第2の試料についての第2の係数とを記憶しており、前記試料モード選択部にて第1の試料が選択された場合に前記係数設定部に前記第1の係数が設定され、第2の試料が選択された場合に前記係数設定部に前記第2の係数が設定されるよう構成されていることを特徴とする請求項5に記載の測色システム。

請求項7

前記第2の試料についての試料種別を選択する試料種別選択部を備え、前記係数記憶部は、前記試料種別に応じた係数をそれぞれ記憶しており、前記試料種別選択部にて選択された試料種別に応じた係数が、前記係数設定部に設定されるよう構成されていることを特徴とする請求項6に記載の測色システム。

請求項8

前記係数設定部に一旦設定された係数を修正する操作部を備え、前記係数記憶部は、前記操作部により修正された係数を記憶可能とされていることを特徴とする請求項6又は7に記載の測色システム。

請求項9

所定の表示部と、少なくとも測色対象とする試料の選択、色差式の選択、係数の設定に関する作業誘導情報を生成する表示制御部とを備え、前記表示制御部で生成される作業誘導情報が前記表示部へ表示可能とされていることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の測色システム。

技術分野

0001

本発明は、メタリック塗装パール塗装が施された試料のように、視認方向により色感が異なる異方性試料について、所定の基準色に対する色ずれである色差を評価する方法、及び測色システムに関するものである。

背景技術

0002

自動車のボディや各種家電機器外装部材等の塗装汎用されているメタリック塗装やパール塗装は、塗装塗膜内に光輝材と呼ばれるフレーク状のアルミ片マイカ片が含まれてなり、いわゆるメタリック効果やパール効果を奏する。これは、反射特性に対する光輝材の寄与が照明および観察方向(視認方向)によって異なることに起因するものであって、前記メタリック塗装やパール塗装が施された塗装面は、その視認方向により色感が異なるものとなる(本明細書において、このような塗装面を有する試料を「異方性試料」という)。

0003

通常、塗装が施された製品については、当該塗装色が所定の基準色に対して色ずれがないかを確認する色管理が行われる。この場合、例えば特許文献1に示されているような所定の照明受光光学系ジオメトリ)を用いて塗装面に所定の照明光照射し、その反射光受光して得られた受光データに、所定の色差式を適用して色差評価を行うのが一般的である。このような色差式として現状で主に活用されているのは、国際照明委員会CIE)が推奨するL*a*b*表色系である。このCIEL*a*b*色差式は、次の(1)式のように表される。

0004

0005

さらに、上記L*a*b*表色系が必ずしも人間の視感判定と一致しないことを補完するために、明度彩度色相に関する係数を含ませた色差式であるCMC(l:c)色差式、CIE1994色差式、CIE2000色差式(これらの色差式については後記で詳述する)が知られている。

0006

ところで、視認方向により色感が異ならない単色(Solid Color)試料とは異なり、メタリック塗装やパール塗装等が施された異方性試料については、視認方向により色感が異なることから複数のアングルにおける色管理が必要となる。従来、異方性試料の色管理は、最終的には検査者目視評価に依存している。これは、現状で汎用されているCIEL*a*b*色差式に基づく数値的な色差値と、人の目視評価の結果とが食い違うことがあり、特に異方性試料の場合に顕著に相違する場合があるからである。つまり、色差値としては大きく異なっていても人の目視感としてはさほど色差を感じないことがあるからで、結局、人の主観に依存せざるを得ないのが現状である。

0007

また、L*a*b*表色系の不具合を補う係数を設定できる上記CMC(l:c)色差式は、繊維製品の色管理に利用されている例がある。しかしながら、実際に活用されているのは、初期設定値である明度係数l=1、彩度係数c=1としたCMC(1:1)と、受け入れ検査時等に許容範囲を広げるために明度係数l=2、彩度係数c=1としたCMC(2:1)との2種類の色差式に過ぎない。つまり、上述のような単色試料と異方性試料とを区別しておらず、単に許容範囲を広げた検査を行うか否かにより係数二者択一的に設定されているものである。

0008

さらに、照明方向に対する受光方向の角度若しくは受光方向に対する照明方向の角度が変更可能とされた所謂マルチアングルジオメトリを有する測定器において、上記CMC(l:c)色差式、CIE1994色差式、CIE2000色差式などを、色差値を求めるための色差式として設定することは可能である。しかしながら、色差式における明度、彩度、色相に関する係数を、使用するジオメトリや測定対象試料に応じて設定可能な測定器は未だ提案されていない。そもそも、如何なる測定条件のときに、どのように係数を設定すれば良いかについても十分に解明されていない。従って、上記の色差式を用いたとしてもメタリック塗装やパール塗装等が施された異方性試料について、目視評価と十分に相関性のある定量評価が行えないことから、上述のように人間の目による目視評価に依存しているのである。
特開2001−50817号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、上述のような現状に鑑みてなされたもので、係数が任意に設定できる色差式を用いると共に、該色差式の係数を使用するジオメトリや測定対象試料等に応じて適正な値に設定可能とすることで、メタリック塗装やパール塗装等が施された異方性試料について、目視評価と十分に相関性のある定量評価を行うことができる異方性試料の色差評価方法及び測色システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明の請求項1にかかる異方性試料の色差評価方法は、照明方向に対する受光方向の角度若しくは受光方向に対する照明方向の角度が変更可能な照明受光光学系を用い、視認方向により色感が異なる異方性試料に照明光を照射し、その反射光を受光して得られた受光データに所定の色差式を適用して色差評価を行う色差評価方法であって、前記色差式として、少なくとも明度に関する係数を任意に設定可能な色差式を用い、前記照明受光光学系を、ハイライト光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をL1とし、シェード光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をL2とするとき、
L1>L2
の関係を満たすように明度係数を設定することを特徴とする。

0011

図1(a)に示すように、塗膜101内にアルミフレークマイカフレークのような光輝材102が配合されている異方性試料では、照明受光光学系(ジオメトリ)によって照明光の正反射成分の影響が大きく異なるものとなる。すなわち、異方性試料の光反射特性を示す図1(b)から明らかなように、照明方向と受光方向との角度が小さいハイライト光学系では、光輝材102表面からの正反射成分の影響が大きくなる。このため、無色のアルミフレークが配合されているメタリック塗装では光源色が強く反映されることとなり、マイカフレークが配合されているパール塗装では虹色発色効果が顕著に確認されることとなる。一方、照明方向と受光方向との角度が大きいシェード光学系では、塗膜101内の顔料による吸収、散乱による拡散光成分が主に観察されるようになる。

0012

正反射成分は、明度、彩度及び色相からなる色の成分のうち、明度として評価される。人間の目による目視評価では、正反射成分が多く含まれるにしたがって、他の色成分(彩度及び色相)に比べて明度差の影響が小さくなる。つまり、明度の値が数値的には大きく異なっていても、人間の目にはさほど大きな違いとして認識できないという傾向がある。一方、正反射成分があまり含まれていない場合は、相対的に明度の数値的な違いを比較的感知できるようになる。

0013

以上のような異方性試料の光反射特性に対する視感特性に鑑みて、請求項1にかかる発明では、ジオメトリをハイライト光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数L1を比較的大きくして、ハイライト光学系での色差評価における明度差の影響を小さくしている。一方、ジオメトリをシェード光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数L2を前記L1よりも小さく設定することで、色差評価における明度差の影響を比較的大きく扱うようにしたものである。これにより、目視感に近い色差評価が行えるようになる。

0014

本発明の請求項2にかかる異方性試料の色差評価方法は、所定の照明受光光学系を用い、視認方向により色感が異なる異方性試料に照明光を照射し、その反射光を受光して得られた受光データに所定の色差式を適用して色差評価を行う色差評価方法であって、前記色差式として、明度、彩度、色相に関する係数を任意に設定可能な色差式を用い、前記照明受光光学系を、所定の反射角度の光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をl、彩度係数をc、色相係数をhとするとき、
l≧c≧h 但し、l≠h
或いは、
l≧h≧c 但し、l≠c
のいずれか
の関係を満たすように明度係数を設定することを特徴とする。

0015

人間の目による目視感では、ジオメトリに関係なく、明度差<彩度差色相差の順で差異が敏感に感じられるという特性がある。つまり、明度差はあまり細かく識別できないが、色相のわずかな違いを良く識別できるという特性がある。そこで、明度係数l≧彩度係数c≧色相係数h(但し、l≠h)という関係で色差式の係数を設定することで、色差評価における明度差、彩度差及び色相差のそれぞれの影響度を目視感にマッチさせることができるようになる。但し、異方性試料の種別によっては、目視感で明度差<色相差<彩度差の順で差異が敏感に感じられるような場合がある。この場合は、明度係数l≧色相係数h≧彩度係数c(但し、l≠c)という関係で色差式の係数を設定することで、目視感にマッチさせることができる。

0016

本発明の請求項3にかかる異方性試料の色差評価方法は、照明方向に対する受光方向の角度若しくは受光方向に対する照明方向の角度が変更可能な照明受光光学系を用い、視認方向により色感が異なる異方性試料に照明光を照射し、その反射光を受光して得られた受光データに所定の色差式を適用して色差評価を行う色差評価方法であって、前記色差式として、明度、彩度、色相に関する係数を任意に設定可能な色差式を用い、前記照明受光光学系を、ハイライト光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をL1とし、シェード光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をL2とするとき、
L1≧L2
の関係を満たすように明度係数を設定し、かつ、
前記照明受光光学系を、所定の反射角度の光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をl、彩度係数をc、色相係数をhとするとき、
l≧c≧h 但し、l≠h
或いは、
l≧h≧c 但し、l≠c
のいずれかの関係を満たすように明度係数を設定することを特徴とする。

0017

この構成によれば、ジオメトリが相違する場合の色差評価における明度差の影響度を適正化できると共に、任意のジオメトリにおける色差評価における明度差、彩度差及び色相差のそれぞれの影響度を目視感にマッチさせることができるようになる。

0018

本発明の請求項4にかかる測色システムは、照明方向に対する受光方向の角度若しくは受光方向に対する照明方向の角度が変更可能とされ、所定の試料に照明光を照射し、その反射光を受光可能に構成された照明受光光学系と、前記照明受光光学系で得られた前記反射光の受光データに所定の色差式を適用して色差を算出する色差算出手段とを備え、前記色差算出手段は、明度、彩度、色相に関する係数を任意に設定可能な所定の色差式を記憶する色差式記憶部と、前記色差式の係数についての設定を受け付け係数設定部と、前記係数設定部で設定された係数を前記色差式に代入して前記反射光の受光データについての色差を求める演算部とを具備することを特徴とする。

0019

この構成によれば、例えばマルチアングルジオメトリを有する測色装置等において、ジオメトリの反射角度等に応じて係数設定部に明度、彩度、色相に関する係数を設定することが可能となり、ジオメトリ毎に個々の係数を設定した上で演算部により所定の色差式にて色差を求めることができるようになる。

0020

上記構成において、前記係数設定部に設定される係数を記憶する係数記憶部を具備する構成とすることが望ましい(請求項5)。この構成によれば、ジオメトリの反射角度別、或いは異方性試料の材料別等に設定した明度、彩度、色相に関する係数を係数記憶部に格納しておくことが可能となり、後で同一の異方性試料について色差評価を行う場合に係数記憶部から係数を読み出して測定を行うことができるようになる。

0021

この場合、測色対象とする試料について、少なくとも視認方向により色感が実質的に異ならない第1の試料か、視認方向により色感が異なる第2の試料かを選択する試料モード選択部を備え、前記係数記憶部は、前記第1の試料についての第1の係数と、前記第2の試料についての第2の係数とを記憶しており、前記試料モード選択部にて第1の試料が選択された場合に前記係数設定部に前記第1の係数が設定され、第2の試料が選択された場合に前記係数設定部に前記第2の係数が設定されるよう構成することが望ましい(請求項6)。この構成によれば、例えば試料モード選択部により単色試料(第1の試料)又は異方性試料(第2の試料)のいずれかが選択された場合に、各々の試料モードにおいて、係数として所定の推奨値や過去に使用された値等をデフォルト値として係数設定部に設定できるようになる。

0022

さらに、前記第2の試料についての試料種別を選択する試料種別選択部を備え、前記係数記憶部は、前記試料種別に応じた係数をそれぞれ記憶しており、前記試料種別選択部にて選択された試料種別に応じた係数が、前記係数設定部に設定されるよう構成されていることが望ましい(請求項7)。この構成によれば、ユーザが異方性試料(第2の試料)の種別を指定するだけで、その異方性試料に適した係数が、係数設定部に設定されるようになる。

0023

上記請求項6又は7の構成において、前記係数設定部に一旦設定された係数を修正する操作部を備え、前記係数記憶部は、前記操作部により修正された係数を記憶可能とされていることが望ましい(請求項8)。この構成によれば、例えばデフォルト値として設定された係数を、ユーザチューニングに応じてより目視感と相関性のある係数に微調整することが可能となる。

0024

また、請求項4〜8のいずれかにおいて、所定の表示部と、少なくとも測色対象とする試料の選択、色差式の選択、係数の設定に関する作業誘導情報を生成する表示制御部とを備え、前記表示制御部で生成される作業誘導情報が前記表示部へ表示可能とされていることを特徴とする(請求項9)。この構成によれば、異方性試料の色差評価を行うにあたり、少なくとも試料の選択、色差式の選択、係数の設定について、作業誘導情報に基づきユーザに対するナビゲートを行わせることができる。

発明の効果

0025

請求項1によれば、ジオメトリ毎に、異方性試料の色差評価を目視で行う場合に受ける明度差の影響に応じて色差式の明度係数が設定されるので、目視による評価と相関性の高い色差評価を行えるようになる。従って、メタリック塗装やパール塗装が施された物品の色管理を目視感に応じて的確に行えるようになる。

0026

請求項2によれば、明度差、彩度差及び色相差の色成分差について、目視での感受性に応じて色差式の明度係数が設定されるので、目視による評価と相関性の高い色差評価を行え、物品の色管理を目視感に応じて的確に行えるようになる。

0027

請求項3によれば、ジオメトリが相違する場合の色差評価における明度差の影響度を適正化できる、且つ、任意のジオメトリにおける色差評価における明度差、彩度差及び色相差のそれぞれの影響度を目視感にマッチさせることができるので、一層的確に物品の色管理を行えるようになる。

0028

請求項4によれば、個々のジオメトリの反射角度等に応じて係数設定部に明度、彩度、色相に関する係数を設定することが可能となり、メタリック塗装やパール塗装が施された物品の色管理を目視感に応じて的確に行えるようになる。

0029

請求項5によれば、色差式の係数を適宜係数記憶部から読み出して測定を行うことができるので、係数設定作業を簡素化でき、色差測定作業を効率的に行うことができる。

0030

請求項6によれば、各々の試料モードにおいて、係数として所定の推奨値や過去に使用された値等をデフォルト値として係数設定部に設定できるので、係数設定作業を簡素化でき、色差測定作業を効率的に行うことができる。

0031

請求項7によれば、異方性試料に適した係数が係数設定部に設定されるので、より一層色差測定作業を効率的に行うことができる。

0032

請求項8によれば、ユーザチューニングに応じてより目視感と相関性のある係数に微調整できるので、各ユーザにおける色管理目的に的確に対応した色差評価が行えるようになる。

0033

請求項9によれば、作業誘導情報を表示部に表示させることで、測定対象試料に応じた係数の設定作業を的確にナビゲートできるようになる。

発明を実施するための最良の形態

0034

以下、図面に基づいて本発明の実施形態につき説明する。
ハード構成の説明)
図2は、本発明の実施形態にかかる測色システムS(異方性試料の色差評価方法)の全体構成を概略的に示すブロック図である。この測色システムSは、視認方向により色感が異なる各種の異方性試料につき、所定の視認方向毎における基準色との色ずれ(色差)を評価するシステムとして適用可能であるが、本実施形態では、メタリック塗装やパール塗装が施された異方性試料8についての色差を、定量的に評価するための測色システムSを例示して説明する。この測色システムSは、マルチアングル型の照明受光光学系(ジオメトリ)を有する反射光測定装置1、測定制御手段2、受光データ処理手段3、色差算出手段4、色差式/係数記憶手段5、操作手段6、出力部71及び表示部72から構成されている。

0035

反射光測定装置1は、測定対象となる異方性試料8の所定の測定エリアに照明光を照射し、その反射光を光電変換して前記測定エリアの反射光受光データを取得する。この反射光受光データは、反射光測定装置1に備えられているジオメトリを少なくともハイライト光学系(照明光の正反射光成分を多く含む光を受光させる光学系)と、シェード光学系(照明光の正反射光成分をほとんど含まない光を受光させる光学系)とに設定し、各々の光学系において取得される。

0036

測定制御手段2は、前記反射光測定装置1に備えられている光源受光素子の動作を制御して、所定の手順で前記反射光受光データを取得させる制御を行う。受光データ処理手段3は、取得された反射光受光データに対して増幅処理やA/D変換処理、その他必要な演算処理を与える。色差算出手段4は、明度、彩度、色相に関する係数が所定の値に設定された色差式に、前記受光データ処理手段3から与えられる受光データを適用して、少なくともハイライト光学系及びシェード光学系における色差を求める。

0037

色差式/係数記憶手段5は、色差算出手段4で用いられる、明度、彩度、色相に関する係数が任意に設定可能な所定の色差式を記憶すると共に、異方性試料8の種別毎の前記係数値(推奨される係数、或いはユーザチューニングされた係数の値)を記憶する。操作手段6は、前記測定制御手段2及び色差算出手段4等に対し、ユーザが所定の処理指令設定指令等を与えるためのものである。出力部71はプリンタ等からなり、前記色差算出手段4により求められた色差等を数値データ、グラフ等として出力する。表示部72はLCDやCRT等からなり、前記色差等をユーザに対して表示する。

0038

この測色システムSのハード構成は適宜設定することができる。例えば、
(a)マルチアングル型ジオメトリ(多方向照明一方向受光、或いは一方向照明多方向受光)を有する反射光測定装置1を準備し、測定制御手段2、受光データ処理手段3、色差算出手段4、色差式/係数記憶手段5、操作手段6及び表示部72をパーソナルコンピュータ等で構成し、両者をUSBケーブル等で接続するハード構成、
(b)上記(a)の構成において、前記反射光測定装置1が前記測定制御手段2及び受光データ処理手段3を有しているハード構成、
(c)前記反射光測定装置1に、測定制御手段2、受光データ処理手段3、色差算出手段4、色差式/係数記憶手段5、操作手段6及び表示部72を搭載して一体型化したハード構成、
などを例示することができる。

0039

図3は、上記(b)のハード構成を備えた測色システムSの一例を示す構成図である。この測色システムSは、マルチアングル照明型の反射光測定装置10とパーソナルコンピュータPCとが、USBケーブル10cで接続されて構成されている。反射光測定装置10は箱型アウターボディ10a、該アウターボディ10aに収納される照明光学系11、受光光学系14、分光受光器15及び信号処理回路16を備えている。

0040

アウターボディ10aの底面部には測定開口10bが設けられており、この測定開口10bには、測定対象物である異方性試料8の試料表面81が密接して対向配置される。なお、前記異方性試料8は、例えば自動車ボディメタリック塗装表面又はパール塗装表面等からなる。

0041

この反射光測定装置10に備えられているジオメトリの概略は、図4の通りである。すなわち、受光方向(受光軸n)が異方性試料8の試料表面81の法線方向とされ、この受光軸nに対して角度が異なる3方向に照明方向が設定された光源(1)、光源(2)及び光源(3)が備えられている。光源(1)の照明方向は前記受光軸nに対して25°に設定されており、この光源(1)から試料表面81を経て受光されるジオメトリは、光輝材の正反射成分(図1(b)参照)が比較的多く受光されるハイライト光学系となる。一方、光源(3)の照明方向は前記受光軸nに対して75°に設定されており、この光源(3)から試料表面81を経て受光されるジオメトリは、主に拡散光成分が比較的多く受光されるシェード光学系となる。そして光源(2)の照明方向は前記受光軸nに対して45°に設定されており、前記ハイライト光学系とシェード光学系との中間的なジオメトリとなる。

0042

図3に戻って、照明光学系11は、試料表面81の法線方向から、それぞれ25°、45°、75°の方向に配置された第1の照明系11a、第2の照明系11b及び第3の照明系11cから構成されている。すなわち、図4に示した光源(1)〜(3)の照明方向とされている。

0043

第1の照明系11aは、タングステンランプ等からなる光源12aと、該光源12aの前方に配置されたコリメートレンズ13aとを備えている。前記光源12aから発せられた光は、コリメートレンズ13aによってコリメートされて平行光束とされ、異方性試料8の試料表面81を対法線角25°の方向から照明する。第2の照明系11b及び第3の照明系11cも同様に光源12b、12cとコリメートレンズ13b、13cとを有しており、それぞれ試料表面81を対法線角45°、75°の方向から照明する。これにより、試料表面81に対し対法線角25°、45°、75°の方向から照明光をそれぞれ平行光束で個別に照射できるようになっている。なお、この照明光学系11の構成は適宜設定してよく、例えば第1の照明系11aと第3の照明系11cとからなる構成(ハイライト方向及びシェード方向のみのジオメトリ)、あるいは4以上の照明系からなる構成としても良い。

0044

或いは、図5に示すように、受光軸nを中心として複数の光源を同心円状に配置するリング照明方式としても良い。すなわち、例えば照明用光ファイバ出射端110a、11b、110cを、それぞれ図4に示した光源(1)〜(3)の照明方向にリング状に配置し、対法線角25°、45°、75°の環状光源を形成して試料表面81に照明光を照射するようにしても良い。照明系をこのような方式とすることで、当該反射光測定装置1の向きに影響されない測定が行えるようになる。

0045

次に、受光光学系14は、複数の受光レンズ絞り板等を備えてなり、上述の通り試料表面81の法線方向に配置され、後段に配置された分光受光器15(受光素子152)に、試料表面81から反射される反射光の光像結像させる。

0046

分光受光器15は、前記受光光学系14により結像された反射光に対応する電気信号を出力する。この分光受光器15は、反射光を所定の波長に分光する分光フィルタ151と、該分光フィルタ151にて分光された波長ごとの光をそれぞれ受光して波長毎の反射光強度に相当する電気信号を出力する受光素子152とから構成されている。なお、前記分光フィルタ151に代えて、回折格子プリズム等を用いても良い。前記受光素子152としては、例えばシリコンフォトダイオードアレイ状整列させてなる受光装置等を用いることができる。

0047

信号処理回路16は、受光素子152から出力されるアナログ信号増幅回路や、A/D変換回路等を備えてなる。前記増幅回路は、電流電圧変換回路可変ゲインアンプなどを備え、受光素子152による光電変換により生成された電流を、電圧に変換して所定の電圧信号増幅する。A/D変換回路は、前記増幅回路から出力されるアナログ電圧信号を、デジタル信号に変換する。この信号処理回路16から出力される信号は、図略のインターフェイス部及びUSBケーブル10cを経て、パーソナルコンピュータPCへ送信される。

0048

(色差式及び係数の設定についての説明)
本実施形態では、上記反射光測定装置10で取得された受光データに所定の色差式を適用して、基準色との色ずれを評価する色差評価が行われる。そして前記色差式として、明度、彩度、色相に関する係数を任意に設定可能な色差式が用いられる。このような、係数が任意設定可能な色差式としては、[a]CMC(l:c)色差式、[b]CIE1994色差式、及び[c]CIE2000色差式を例示することができる。

0049

[a]CMC(l:c)色差式
この色差式は、上述のCIEが1976年に推奨したL*a*b*表色系のスケールと人間の色感とが異なることに鑑みて設定された色差式である。すなわち、上記(1)式のCIEL*a*b*色差式で求められた色差と、実際の人間の視感判定とは必ずしも一致しないことから、より人間の色感に一致させるために、明度、彩度につき補正のための係数を与えた色差式である。このCMC(l:c)色差式は、次の(2)式で与えられる。

0050

0051

ここで、
SL=0.040975L*t/(1+0.01765L*t)
但し、L*t<16のとき、SL=0.511
SC=0.0638C*t/(1+0.00131C*t)+0.638
SH=SC(fT+1−f)
f=[(C*t)4/(C*t)4+1900]1/2
164°≦h<345°のとき、T=0.56+|0.2cos(h+168°)|
345°≦h<164°のとき、T=0.36+|0.4cos(h+35°)|
但し、
L*t:基準試料メトリック明度指数(L*a*b*表色系における明度指数)
C*t:基準試料のメトリック彩度
h:基準試料のメトリック色差
ΔL*、ΔC*、ΔH*:L*a*b*表色系における基準色と試料との色差値
l:定数(明度係数)
c:定数(彩度係数)

0052

上記(2)式において、明度係数l及び彩度係数cは、任意に設定することができる。なお、色相に関する係数hについては、h=1に固定されているため、(2)式には表れていない。

0053

[b]CIE1994色差式
この色差式は、CIEのL*a*b*表色系による色差値であるΔL*、ΔC*、ΔH*に対し、重価係数及びパラメトリック係数と呼ばれる定数を掛け合わせることによって、上記(1)式におけるΔE*abに対し、色味に応じた重み付けを可能とした色差式である。このCIE1994色差式も、CIEL*a*b*色差式で求められた色差と、実際の人間の視感判定との乖離を可及的に一致させるべく設定された色差式であって、次の(3)式で与えられる。

0054

0055

但し、
ΔL*、ΔC*、ΔH*:L*a*b*表色系における基準色と試料との色差値
KL,KC,KH:パラメトリック係数
(KL=明度係数,KC=彩度係数,KH=色相係数)
SL,SC,SH:重価係数
ここで、SL=1
SC=1+0.0045C*
SH=1+0.0015C*

0056

上記(3)式において、明度係数KL、彩度係数KC及び色相係数KHは、色差判定の目的に応じて任意に設定することができる定数である。なお、重価係数SL,SC,SHは、明度を基準としてどの程度許容範囲を拡張するかについて定義された値であって、固定値として扱われる。

0057

[c]CIE2000色差式
この色差式は、CIEのL*a*b*表色系において微小な色差の場合での色差値と視感評価との相関性について、上記(3)式に示すCIE1994色差式にさらに改良を加え、より完成された色差式として開発されたものである。CIE2000色差式も、同様にL*a*b*表色系の色差値ΔL*、ΔC*、ΔH*に対し、重価係数及びパラメトリック係数を掛け合わせるが、特に低彩度領域のa*軸の目盛補正を行うのが特徴である。このCIE2000色差式は、次の(4)式で与えられる。

0058

0059

但し、
RT:ローテーション関数
ΔL*、ΔC*、ΔH*:L*a*b*表色系における基準色と試料との色差値
KL,KC,KH:パラメトリック係数
(KL=明度係数,KC=彩度係数,KH=色相係数)
SL,SC,SH:重価係数

0060

上記(4)式において、明度係数KL、彩度係数KC及び色相係数KHは、色差判定の目的に応じて任意に設定することができる定数である。なお、上記重価係数SL,SC,SHは、次の(5)式での算出が定義されている。

0061

0062

さらに、上記(4)式において、ローテーション関数RTは、次の(6)式での算出が定義されている。

0063

0064

以上のCMC(l:c)色差式、CIE1994色差式、及びCIE2000色差式は、いずれも基本は楕円式である。そして、上記(2)〜(4)式からも明かな通り、明度係数(l又はKL)、彩度係数(c又はKC)、色相係数(KH)は、いずれも各式の項目分母に掛かる係数であるので、これら係数が大きくなる程その色成分における色差は小さく扱われ、色差評価における許容範囲(色差判定において合格と判定される範囲)が広がることになる。

0065

図6は、上記の点を模式的に示すグラフ図である。いま、CMC(l:c)色差式、CIE1994色差式又はCIE2000色差式で規定される楕円を、図6中に示す楕円200とすると、この楕円200の領域内に入る試料が色差評価において合格と扱われることになる。そして、該楕円200の第1軸201(図では長軸)は彩度方向Cの指標であり、彩度係数(c又はKC)を任意の値に設定することで、図中の矢印で示すように第1軸201方向の領域(許容範囲)を拡大又は縮小することができる。同様に、第2軸202は色相方向Hの指標であり、色相係数(KH)を任意の値に設定することで、第2軸202の許容範囲を拡大又は縮小することができる。さらに、第3軸203は明度方向Lの指標であり、明度係数(l又はKL)を任意の値に設定することで、第3軸203の許容範囲を拡大又は縮小することができるものである。

0066

次に、以上のような色差式における係数の設定方法について説明する。先に図1に基づいて説明したように、メタリック塗装やパール塗装が施された異方性試料では、ハイライト光学系では、光輝材102(図1(b)参照)表面からの正反射成分の影響が大きく観察され、一方シェード光学系では、塗膜101内の顔料による吸収、散乱による拡散光成分が主に観察されるようになる。そして、正反射成分は主に明度として評価されるが、人間の目による目視評価では、正反射成分が多く含まれるに従い、他の色成分(彩度及び色相)に比べて明度差の影響が小さくなる(明度差の識別性が低下する)。これに対し、正反射成分があまり含まれていない場合は、相対的に明度差の識別性が比較的良好になる。

0067

このような異方性試料の光反射特性に対する視感特性に鑑みて、ジオメトリをハイライト光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数(l又はKL)をL1とし、シェード光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数をL2とするとき、
L1>L2 ・・・(7)
の関係を満たすように明度係数が設定される。すなわち、ハイライト光学系の場合における明度係数L1を比較的大きくして、ハイライト光学系での色差評価における明度差の影響を小さくする一方で、シェード光学系の場合における明度係数L2を前記L1よりも小さく設定することで、色差評価における明度差の影響を比較的大きく扱うようにしたものである。これにより、目視感に近い色差評価が行えるようになる。

0068

これに加え、人間の目による目視感では、ジオメトリに関係なく、明度差<彩度差<色相差の順で差異が敏感に感じられるという特性がある。つまり、明度差はあまり細かく識別できないが、色相のわずかな違いを良く識別できるという特性がある。そこで、ジオメトリを、所定の反射角度の光学系に設定した場合において得られた受光データに適用する色差式の明度係数(上記のl又はKL)をl、彩度係数(c又はKC)をc、色相係数(KH)をhとするとき、
l≧c≧h 但し、l≠h ・・・(8)
の関係を満たすように明度係数が設定される。すなわち、明度係数l≧彩度係数c≧色相係数h(但し、l≠h)という関係で色差式の係数を設定することで、色差評価における明度差、彩度差及び色相差のそれぞれの影響度を目視感にマッチさせることができるようになる。なお、異方性試料がメタリック塗装試料やパール塗装試料の場合は、上記(8)式の関係とすれば良いが、後述の変形実施形態で説明するように、特殊な異方性試料では、目視感に対する影響度が明度差<色相差<彩度差となる場合がある。この場合は、明度係数l≧色相係数h≧彩度係数c(但し、l≠c)という関係で色差式の係数が設定される。

0069

上記(7)式のジオメトリの相違に応じた明度係数の設定と、上記(8)式の色成分に応じた係数の設定とは、併用的に設定することが望ましい。すなわち、ハイライト光学系の場合の明度係数L1>シェード光学系の場合の明度係数L2という関係に加えて、各々の光学系において、明度係数l≧彩度係数c≧色相係数h(但し、l≠h)との関係を満たすように、各々の係数を設定することが望ましい。これにより、より一層目視感に近い色差評価が行えるようになる。なお、上記(7)式と上記(8)式との関係を併用する場合、上記(7)式を、
L1≧L2 ・・・(7)’
としても良い。

0070

電気的構成の説明)
続いて、上述のような色差式の係数設定が可能とされた本実施形態にかかる測色システムの主要な電気的構成について説明する。図7は、上記反射光測定装置10及びパーソナルコンピュータPCの、電気的な機能構成の要部を示すブロック図である。前記反射光測定装置10には、上述の光源12a〜12c、受光素子152及び信号処理回路16の他、測定制御部20を備えている。この測定制御部20は、照明光学系11に備えられている光源12a〜12cの点灯動作を所定の測定ルーチンに従って点灯制御(例えば対法線角が小さいものから順次点灯させる)し、その反射光を分光受光器15に受光させる制御等を行う。

0071

一方、パーソナルコンピュータPCには、上述の表示部72の他、機能的に色差算出部40、記憶部50、係数操作部60及び表示制御部73が備えられている。かかる構成において、まず色差算出部40は、前記反射光測定装置10で得られた受光データに所定の色差式を適用して色差を算出する機能部であって、色差式設定部41、係数設定部42、演算部43及び判定部44を備えている。

0072

色差式設定部41は、色差の算出のために、明度係数、彩度係数及び色相係数が任意に設定可能な色差式が設定される。具体的には、後述の色差式記憶部51に格納されている上記(2)〜(4)式に示した色差式から、色差評価目的に合致した適宜な色差式がユーザにより選択されることで設定される。

0073

係数設定部42は、色差式設定部41に設定された色差式に使用される係数の設定を受け付ける。本実施形態では、(2)〜(4)式に示した色差式に応じ、ジオメトリ毎に、明度係数(上記のl又はKL)、彩度係数(c又はKC)、色相係数(KH)の設定を受け付ける。すなわち、上記(7)式又は上記(8)式のいずれかの関係を満たすような、あるいは上記(7)式若しくは(7)’及び上記(8)式の双方の関係を満たすような、係数の設定を受け付ける。

0074

演算部43は、係数設定部42で設定された係数を、色差式設定部41で設定された色差式に代入して、前記反射光測定装置10で得られた受光データについて色差を求める演算を行う。判定部44は、予め色差評価目的に応じて設定されている閾値と、前記演算部43で求められた色差値とを比較して、その色差が基準値の範囲にあるか否かについての判定を行う機能部である。この判定結果は、表示部72等に表示され、当該異方性試料についての色差評価結果としてユーザに報知される。

0075

記憶部50は、色差式記憶部51、係数記憶部52、基準値記憶部53、RAM(Random Access Memory)54及びROM(Read Only Memory)55を備えている。色差式記憶部51には、明度係数、彩度係数及び色相係数が任意に設定可能な色差式、例えば上記(2)〜(4)式が格納される。係数記憶部52には、前記(2)〜(4)式において用いられる明度係数、彩度係数及び色相係数が、異方性材料の種別毎に格納される。

0076

図8は、係数記憶部52に格納される係数のデータテーブル520の一例を示す表形式の図である。このデータテーブル520は、色差式の種類を示す色差式フィールド521と、異方性材料の種別を塗装材料類型、メーカ、品番が格納される種別フィールド522と、ジオメトリ毎の明度係数、彩度係数及び色相係数が格納される係数フィールド523と、これらのデータが設定された最新日を示す更新日フィールド524とが備えられている。このようなデータテーブル520を保有することで、異方性材料の種別についての選択情報が与えられた場合に、その異方性材料における推奨値をデフォルト値としてジオメトリ毎に前記係数設定部42へ係数が設定可能となる。なお、係数フィールド523の係数値は書き換え可能とされ、この書き換え日若しくは新規設定日が更新日フィールド524に入力される構成とされている。

0077

基準値記憶部53には、上記(2)〜(4)式の色差式において、所定の表色系における基準色と試料との色差値ΔL*、ΔC*、ΔH*を求めるための、前記基準色の色彩値等が格納される。RAM54には、演算処理や制御処理などのデータが一時的に格納されるほか、反射光測定装置10から与えられる受光データ、この受光データから求められた分光反射率(色彩値)データ、或いは反射光測定装置10に備えられているメモリ部に格納されていた受光データ等をパーソナルコンピュータPCへダウンロードした際のデータ等が一時的に格納される。ROM55には、本測定システムSを動作させる制御プログラム等が格納される。

0078

次に係数操作部60は、ユーザによる色差式の選定及び係数設定に関する操作を受け付ける機能部であって、色差式選択部61、試料モード選択部62、試料種別選択部63及びマニュアル設定部64を備えている。

0079

色差式選択部61は、前記記憶部50の色差式記憶部51に格納されている色差式のいずれを使用するかについての選択を受け付ける。試料モード選択部62は、測色対象とする試料が、単色(Solid Color)試料(第1の試料)であるか、上述の異方性試料(第2の試料)であるかについての選択を受け付ける。この場合、単色試料が選択された場合は、係数設定部42に設定される係数が「明度係数=彩度係数=色相係数=1」として設定され、異方性試料が選択された場合は、前記係数記憶部52に格納されている異方性試料に対する所定の係数値が設定される。

0080

試料種別選択部63は、複数種類の異方性試料が測色対象とされる場合に、いずれの異方性試料について色差評価を行うかについての選択を受け付ける。この場合、図8に示したようなデータテーブル520に基づき、特定の異方性試料が選択された場合に、その試料について予め設定されている係数が係数設定部42に設定される。

0081

マニュアル設定部64は、特定の異方性試料について係数をチューニングする場合や、新たな異方性材料についての係数設定値を入力する場合等に、マニュアル操作による係数の設定を受け付ける。ここで入力された係数値は係数設定部42に設定されると共に、係数記憶部52に格納される(新たな係数値に書き換えられる)。

0082

表示制御部73は、色差算出部40で算出された色差データ等を、所定のフォーマットに変換して表示部72へ表示させるほか、少なくとも測色対象とする試料の選択、色差式の選択、係数の設定に関する作業誘導情報を生成し、該作業誘導情報を表示部72へ表示させる。すなわち、異方性試料の色差評価を行うにあたり、少なくとも試料の選択、色差式の選択、係数の設定について所定の作業誘導情報を表示部72へ表示させ、ユーザの作業をナビゲートする情報を提供する。

0083

図9図11に、表示制御部73により生成されるナビゲート情報の、表示部72への表示図面の一例を示す。図9は、測色の基本事項を設定する利用オブジェクト画面81を示す平面図である。この利用オブジェクト画面81には、色差式選択ウィンドゥ811、試料モード選択ウィンドゥ812及びジオメトリ選択ウィンドゥ813が備えられている。色差式選択ウィンドゥ811は、選択可能な色差式を表示すると共に、該色差式についての選択を受け付ける。試料モード選択ウィンドゥ812は、測色する試料の区分を表示すると共に、該区分についての選択を受け付ける。ここでは、単色(Solid Color)試料、メタリック塗装試料、パール塗装試料及び特殊試料が表示されている例を示している。ジオメトリ選択ウィンドゥ813は、測色作業用に用いるジオメトリの構成についての選択を受け付ける。ここでは、色差式選択ウィンドゥ811で「CIE1994」が、試料モード選択ウィンドゥ812で「パール塗装」が、ジオメトリ選択ウィンドゥ813で「25°/45°/75°」がそれぞれ選択されている例を示している。この状態でOKキー814が押下されると、図10に示す画面に遷移する。

0084

図10は、パール塗装についての試料種別を選択する試料種別選択画面82の一例を示す平面図である。この試料種別選択画面82には、試料種別選択ウィンドゥ821が備えられている。該試料種別選択ウィンドゥ821は、選択可能なパール塗装についての種別を表示すると共に、該種別についての選択を受け付ける。ここでは、「ホワイトパール(1)」が、種別として選択されている例を示している。この状態でOKキー822が押下されると、図11に示す画面に遷移する。

0085

図11は、特定の試料種別、色差式に応じて係数を設定するための係数設定画面83の一例を示す平面図である。この係数設定画面83には、前記試料種別選択画面82で選択された試料種別を表示する試料種別表示ウィンドゥ831と、前記利用オブジェクト画面81で選択された色差式を表示する色差式表示ウィンドゥ832と、前記色差式で用いられる係数を表示すると共にその設定を受け付ける係数表示部833とが備えられている。

0086

前記係数表示部833には、当該特定の試料種別、色差式についての初期値、推奨値、、前回の測定で用いられた値、或いはユーザによるチューニング値が、係数のデフォルト値として表示される。この状態でOKキー834が押下されると、ここで表示されている色差式が色差式設定部41へ設定されると共に、前記デフォルト値としての係数が係数設定部42に設定されることとなる。一方、ユーザがマニュアルで係数を設定する場合は、マニュアル設定キー835の押下を入力開始条件として、係数表示部833に対する所望の係数の入力が受け付けられるものである。

0087

動作フローの説明)
次に、以上の通り構成された測色システムSの動作について説明する。図12は、測色システムSによる色差算出の動作を示すフローチャートである。まず、当該色差評価に際して使用する色差式及びその係数が、色差式設定部41及び係数設定部42(図7参照)に設定される(ステップS1)。この動作については、図13のフローチャートに基づき後記で詳述する。

0088

以下、反射光測定装置10の測定制御部20によりジオメトリ毎の照明受光動作が実行される。最初に、第1の照明系11aの光源12a(図3参照)が点灯され、測定開口10bに配置された異方性試料8の試料表面81に測定光が照射される(ステップS2)。そして、前記試料表面81で反射される反射光が分光受光器15(受光素子152)で受光され、対法線角25°(25°/0°)の方向(ハイライト方向)の反射光受光データが取得される。かかる受光データは、反射光測定装置10のメモリ部(図略)、或いはパーソナルコンピュータPCのRAM54等に一時的に記憶される(ステップS3)。

0089

続いて、第2の照明系11bの光源12bが点灯され、試料表面81に測定光が照射される(ステップS4)。そして、前記試料表面81で反射される反射光が分光受光器15で受光され、対法線角45°(45°/0°)の方向の反射光受光データが取得され、記憶される(ステップS5)。さらに、第3の照明系11cの光源12cが点灯され、試料表面81に測定光が照射される(ステップS6)。そして、前記試料表面81で反射される反射光が分光受光器15で受光され、対法線角75°(75°/0°)の方向の反射光受光データが取得され、記憶される(ステップS7)。

0090

以上のようにして、25°/0°、45°/0°、75°/0°のジオメトリ毎において反射光受光データが取得されたら、演算部43により該データがRAM54等から読み出され、それぞれのジオメトリにおける分光反射率(色彩値)が算出される(ステップS8)。続いて、演算部43により、色差式設定部41及び係数設定部42に設定されている色差式及び係数を適用することで、ジオメトリ毎の色差が算出される(ステップS9)。この際、同一の色差式を利用しつつも、係数はジオメトリ毎に異なる値が設定されて演算が行われることとなる。その後、判定部44により色差が所定の閾値範囲内であるか否かが判定され、その判定結果及び求められた色差値等が表示部72に表示されるものである(ステップS10)。

0091

図13は、前記ステップS1の色差式及びその係数設定の詳細フローを示すフローチャートである。なお、当該フローは、先に図9図11に示したようなナビゲート画面により誘導されて実行される。まず、どのようなジオメトリを色差評価において使用するか(どのような反射角のジオメトリを有する反射光測定装置10を採用するか)についての選択指示が受け付けられる(ステップS11)。この選択指示は、例えば図9に示すジオメトリ選択ウィンドゥ813におけるジオメトリの選択操作による。

0092

続いて、色差式の選択指示が受け付けられる(ステップS12)。この選択指示は、例えば図9に示す色差式選択ウィンドゥ811における色差式の選択操作(図7に示す色差式選択部61による選択操作)による。ここで選択された色差式は、色差式設定部41に設定されることになる。さらに、試料モードの選択指示が受け付けられる(ステップS13)。この試料モードは、視認方向により色感が実質的に異ならない単色試料(第1の試料)か、視認方向により色感が異なる異方性試料(第2の試料)かの選択である。この選択指示は、例えば図9に示す試料モード選択ウィンドゥ812における試料モードの選択操作(試料モード選択部62による選択操作)による。

0093

上記ステップS13のフラグで単色試料が選択された場合、照明方向の色感を考慮する必要が低いことから、係数として初期値(例えば、明度係数=彩度係数=色相係数=1)が自動設定される(ステップS14)。一方、異方性試料が選択された場合、試料種別を選択するフラグが実行される(ステップS15)。この選択指示は、例えば図10に示す試料種別選択ウィンドゥ821における試料種別の選択操作(試料種別選択部63による選択操作)による。

0094

上記ステップS15のフラグでは、メタリック塗装が施された試料(ステップS16)、パール塗装が施された試料(ステップS17)、及びその他の反射特性を有する試料(ステップS18)のいずれかが選択される例を示している。これらの試料種別の選択が行われると、該試料種別に応じた標準的なデフォルト係数(予め設定されている推奨係数)が係数記憶部52から読み出され、その係数が係数設定部42に仮設定される。そして、仮設定された係数が、例えば図11に示す係数設定画面83のような態様で、係数表示部833に表示される(ステップS20)。

0095

このように、係数をデフォルト値で自動設定するモードに加え、係数をマニュアル設定部64からマニュアル操作で入力することも可能とされている。具体的には、ユーザの色差評価目的に応じてカスタマイズされたユーザチューニング値の入力(ステップS19)が可能とされている。このようなユーザチューニング値の策定には、対象となる異方性試料についての評価データ蓄積、色差評価値の分析最適係数の決定などの経過が踏まえられることとなる。このユーザチューニング値の入力操作は、例えば前記係数設定画面83においてマニュアル設定キー835が押下され、係数表示部833に所望の係数値が入力される操作による。

0096

続いて、上記の通り仮設定された係数の良否が判定され、係数設定値が適正でない場合(ステップS21でNO)、係数設定値の修正操作が受け付けられる(ステップS22)。そして、例えば前記係数設定画面83においてOKキー834が押下されることによって係数が確定され、その係数設定条件が係数記憶部52に記憶され(ステップS23)、処理が完了する。なお、係数設定値が適正である場合(ステップS21でYES)、ステップS23にスキップされ、仮設定された係数がそのまま係数設定部42に設定されると共に、係数記憶部52に記憶される。

0097

図3に示したような、25°/0°、45°/0°、75°/0°のジオメトリに設定された3方向照明1方向受光の反射光測定装置を用い、CIE2000色差式とCMC(l:c)色差式とを用い、異方性試料の色差評価を行った。用いた異方性試料は、自動車の外装品であって、全て目視による色差評価においてハイライト方向及びシェード方向とも合格と判定されたもの(基準色とのずれが許容範囲内と判定されたもの)を用いた。試料種別として、ホワイトパール系塗装、シルバー系塗装、淡色系塗装、濃色系塗装がそれぞれ施された4系色を選別し、各系色につき4つの試料(合計16試料)を準備した。

0098

具体的には、実施例1としてCIE2000色差式を用い、明度係数KL、彩度係数KC、色相係数KHを、25°/0°、45°/0°、75°/0°のジオメトリ毎に表1の通りにそれぞれ設定した。また、実施例2としてCMC(l:c)色差式を用い、明度係数l、彩度係数cを、25°/0°、45°/0°、75°/0°のジオメトリ毎に表1の通りにそれぞれ設定した。なお、CMC(l:c)色差式においては、色相係数=1で固定である。

0099

これとの比較のため、下記表1に示すように、上述の(1)式に示した係数を用いないΔE*a*b*色差式(比較例1)、全てのジオメトリについて明度係数KL=彩度係数KC=色相係数KH=1に設定したCIE2000色差式(比較例2)、及び明度係数l=彩度係数c=1に設定したCMC(l:c)色差式(比較例3)を設定した。

0100

0101

上記実施例1、2及び比較例1〜3で設定した色差式を用い、上記16試料について色差を求めた結果を図14に示す。図14は、16試料のそれぞれについて、25°/0°、45°/0°、75°/0°のジオメトリにおいてそれぞれ分光反射率を求め、これに上記表1に示した色差式を適用して色差を求めたものを1つのグラフ中に折れ線グラフとして表したものである。なお、各試料について3つのプロットが存在するが、これは左から順に、25°/0°、45°/0°、75°/0°のジオメトリにおける色差を示している。

0102

図14からも明らかな通り、実施例1、2の色差式を用いたものは、概ね色差は低い値(色差=1以下)として算出されており、目視による色差評価結果と相関性が高い結果が得られている。なお、実施例2において濃色試料につき一部色差値が高く算定されているが、これは試料種別に拘わらず一律に同じ係数を採用したことが影響していると考えられ、該濃色試料に適合した係数を個別に設定することで目視による色差評価結果との相関性を高めることが可能である。

0103

これに対し、比較例1〜3の色差式を用いたものは、総じて色差は高い値として算出されており、目視による色差評価結果と相関性が低い結果となっている。特にハイライト方向(25°/0°のジオメトリ)での色差が高い値にされる傾向にあり、これは人間の視覚では有意差として認識できない明度差が、数値としては大きい値として扱われたことに起因するものと考えられる。

0104

(変形実施形態の説明)
以上、本発明の実施形態につき説明したが、上記以外に種々の変形実施形態を採ることが可能である。例えば、上記実施形態では、異方性試料として、メタリック塗装試料やパール塗装試料を例示したが、これらとは異なる色変化をする試料についても適用可能である。一例を挙げると、多層構造塗料層を有する試料であって、視認方向により色相が大きく変化するような異方性試料も測色対象とすることができる。

0105

例えば、色(色相)が異なる2層構造の塗料層を有する試料であって、ハイライト方向の場合では外表面の1層目とその下の2層目との両方で反射した光が視認できるが、シェード方向では光路的に1層目の膜厚が厚くなることから、2層目で反射された光が1層目で阻まれ、結果的に2層目からの反射光を視認できないような試料である。このような2層構造の塗料層を有する試料において、前記1層目と2層目との色相が異なる場合は、上記(7)式の関係を採用しつつ上記(8)式の関係を、次の(8)’式の通りに変形して係数が設定される。
l≧h≧c 但し、l≠c ・・・(8)’
この場合、前記1層目と2層目との色相の組み合わせは無数にあるため、試料毎に係数の値を変更することが望ましい。この関係は、2層構造よりも多層の塗料層を有する試料であって、下層部の色が識別可能な試料にも適用される。但し、前記1層目と2層目とが同色である場合や、彩度が異なる色である場合は、上記(8)式の関係を適用すれば良い。

0106

さらに、多層構造の塗料層を有する試料であって、干渉波長の効果により、視認方向により色相が大きく変化するような異方性試料(例えば、日本ペイント株式会社製商品名「マジョーラ」が塗布された試料)も測色対象とすることができる。この場合も、色相の許容度を拡張するために、上記(7)式の関係を採用しつつ上記(8)’式の関係で係数を設定することが望ましい。

0107

また、ジオメトリの具体例として、25°/0°、45°/0°、75°/0°のジオメトリを例示したが、これ以外に例えば15°/0°、45°/0°、65°/0°のジオメトリ等も採用することが可能である。さらに、3方向ジオメトリとせず、単にハイライト方向とシェード方向との2方向ジオメトリ(例えば25°/0°と75°/0°)のみとしても良く、或いは4方向以上のジオメトリを用いるようにしても良い。さらに、上記実施形態では、受光方向に対する照明方向の角度が変更可能なジオメトリ(多方向照明一方向受光)について例示したが、照明方向に対する受光方向の角度が変更可能なジオメトリ(一方向照明多方向受光)としても良い。

図面の簡単な説明

0108

(a)は、異方性試料の断面を模式的に表した断面図を、(b)は、異方性試料の光反射特性を説明するための模式図をそれぞれ示している。
本発明の実施形態にかかる測色システムS(異方性試料の色差評価方法)の全体構成を概略的に示すブロック図である。
具体的な測色システムSのハード構成の一例を示す構成図である。
測色システムSの反射光測定装置に備えられているジオメトリの概略を示す説明図である。
照明系の他の実施形態を示す説明図である。
色差式の係数設定方法を模式的に示すグラフ図である。
反射光測定装置及びパーソナルコンピュータの、電気的な機能構成の要部を示すブロック図である。
係数記憶部に格納される係数のデータテーブルの一例を示す表形式の図である。
係数設定のためのナビゲート情報を提供する表示画面の一例を示す平面図である。
係数設定のためのナビゲート情報を提供する表示画面の一例を示す平面図である。
係数設定のためのナビゲート情報を提供する表示画面の一例を示す平面図である。
測色システムSによる色差算出の動作を示すフローチャートである。
色差式及びその係数設定の詳細フローを示すフローチャートである。
実施例及び比較例による色差算出結果を示すグラフ図である。

符号の説明

0109

1、10反射光測定装置(照明受光光学系/ジオメトリ)
4色差算出手段
PCパーソナルコンピュータ(色差算出手段)
40 色差算出部
41色差式設定部
42係数設定部
43演算部
50 記憶部
51 色差式記憶部
52係数記憶部
60 係数操作部
61 色差式選択部
62試料モード選択部
63試料種別選択部
64マニュアル設定部(係数を修正する操作部)
72 表示部
73表示制御部
8 異方性試料

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