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技術 耐酸化性に優れた排気系部品用チタン合金材およびその合金材を用いた排気装置

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 大塚広明藤井秀樹
出願日 2005年4月8日 (15年2ヶ月経過) 出願番号 2005-111813
公開日 2006年10月26日 (13年8ヶ月経過) 公開番号 2006-291268
状態 特許登録済
技術分野 排気消音装置
主要キーワード 通常強度 マフラー部分 触媒マフラー 湾曲加工 チタン合金材 初期直径 純チタン材 内方拡散
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この項目の情報は公開日時点(2006年10月26日)のものです。
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課題

耐酸化性に優れた排気系部品用チタン合金材およびその合金材を用いた排気装置を提供する。

解決手段

本発明のチタン合金材は、Al:0.4〜2.5%、Nb:0.3〜1.1%、Fe:0.06%以下、酸素:0.1%以下を含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする。また、本発明の排気装置は、エキゾーストマニホールドエキゾーストパイプ触媒マフラーのいずれか1または2以上の部品が、上記チタン合金材で構成されていることを特徴とする。これにより、軽量かつ高温で十分な強度があり、耐酸化性に優れ、かつ室温における加工性の良好なチタン合金を、溶解・圧延により製造、提供することが可能になる。

概要

背景

チタン材料は、軽量でありながら高強度で耐食性も良好であることから自動車排気装置にも使用されている。自動車やバイクエンジンから排出される燃焼ガスは、エキゾーストマニホールドにより一つにまとめられ、エキゾーストパイプにより車両後方排気口から排出される。エキゾーストパイプは、途中に触媒マフラー消音器)を入れるためいくつかに分割されて構成される。本明細書では、エキゾーストマニホールドからエキゾーストパイプ、排気口までの全体を通して排気装置と称する。

こうした排気装置の素材は現在、耐食性に優れたステンレス鋼が主に使われているが、車輌軽量化の観点から最近バイクを中心としてチタンも使われるようになってきた。現在使用されているチタン製マフラーの材料は、大部分がJIS2種の工業用純チタンである。排気ガスの温度は、およそ700℃以上と言われており、純チタンは、600℃以上の温度では通常強度が大きく低下するが、マフラー部分はエンジンの排気ガス出口からは遠い上、外気に触れているため、600℃以上となることは少なく、600℃以上になっても長時間その温度にさらされることはないため、純チタンでも十分に使用が可能であった。

しかし、近年、よりエンジンの排気口に近い部分まで軽量化したいニーズが出てきており、より高温強度の高いチタン合金が求められている。

600℃以上の高温において強度が高いという観点では、Ti−3Al−2.5V合金やTi−6Al−4V合金が適している。

また、特許文献1では、冷間加工性と室温での成形加工性と高温強度を併せ持つチタン合金が提案されている。

特開2001−234266号公報

概要

耐酸化性に優れた排気系部品用チタン合金材およびその合金材を用いた排気装置を提供する。 本発明のチタン合金材は、Al:0.4〜2.5%、Nb:0.3〜1.1%、Fe:0.06%以下、酸素:0.1%以下を含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする。また、本発明の排気装置は、エキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプ、触媒、マフラーのいずれか1または2以上の部品が、上記チタン合金材で構成されていることを特徴とする。これにより、軽量かつ高温で十分な強度があり、耐酸化性に優れ、かつ室温における加工性の良好なチタン合金を、溶解・圧延により製造、提供することが可能になる。 なし

目的

そこで、本発明は、600℃以上の高温に曝されるエキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプや触媒マフラー等の部位に使用可能な、耐酸化性に優れた排気系部品用チタン合金材およびその合金材を用いた排気装置を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

質量%で、Al:0.4〜2.5%、Nb:0.3〜1.1%Fe:0.06%以下、酸素:0.1%以下を含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする、耐酸化性に優れた排気系部品用チタン合金材

請求項2

エキゾーストマニホールドエキゾーストパイプ触媒マフラーのいずれか1または2以上の部品が、請求項1に記載のチタン合金材で構成されていることを特徴とする排気装置

技術分野

0001

本発明は、四輪車二輪車自動車用排気装置として使用されるチタン材料に関するものであり、メインマフラー部はもとより、600℃以上の高温に曝され、特に耐熱性耐酸化性が要求されるエキゾーストマニホールドエキゾーストパイプ触媒マフラー等の部位に使用可能な軽量かつ耐食性加工性、耐熱性・耐酸化性に優れたチタン合金材本チタン合金材を用いた排気装置に関するものである。

背景技術

0002

チタン材料は、軽量でありながら高強度で耐食性も良好であることから自動車の排気装置にも使用されている。自動車やバイクエンジンから排出される燃焼ガスは、エキゾーストマニホールドにより一つにまとめられ、エキゾーストパイプにより車両後方排気口から排出される。エキゾーストパイプは、途中に触媒マフラー消音器)を入れるためいくつかに分割されて構成される。本明細書では、エキゾーストマニホールドからエキゾーストパイプ、排気口までの全体を通して排気装置と称する。

0003

こうした排気装置の素材は現在、耐食性に優れたステンレス鋼が主に使われているが、車輌軽量化の観点から最近バイクを中心としてチタンも使われるようになってきた。現在使用されているチタン製マフラーの材料は、大部分がJIS2種の工業用純チタンである。排気ガスの温度は、およそ700℃以上と言われており、純チタンは、600℃以上の温度では通常強度が大きく低下するが、マフラー部分はエンジンの排気ガス出口からは遠い上、外気に触れているため、600℃以上となることは少なく、600℃以上になっても長時間その温度にさらされることはないため、純チタンでも十分に使用が可能であった。

0004

しかし、近年、よりエンジンの排気口に近い部分まで軽量化したいニーズが出てきており、より高温強度の高いチタン合金が求められている。

0005

600℃以上の高温において強度が高いという観点では、Ti−3Al−2.5V合金やTi−6Al−4V合金が適している。

0006

また、特許文献1では、冷間加工性と室温での成形加工性と高温強度を併せ持つチタン合金が提案されている。

0007

特開2001−234266号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、上記Ti−3Al−2.5V合金は室温における強度が強すぎ、成形加工性に乏しいこと、また、700℃付近の温度における酸化増量が大きいこと、冷間加工は可能であるが、耳割れを生じ易く中間焼鈍を何度も入れる必要があり加工コストがかかること等の問題があった。また、Ti−6Al−4V合金は、冷間加工が困難で薄板にすることができないため、排気装置用素材として不適当である。

0009

一方、特許文献1に記載の発明は、0.5〜2.3質量%のAlを含むチタン合金であるが、700℃付近の酸化増量が大きくスケール剥離が顕著であるため、よりエンジンに近い高温となる部位での使用は難しいのが現状である。

0010

また、特許文献1、段落18では、温間〜熱間域での耐熱強度向上効果を有する元素としてW,Ta,Nb,希土類元素などを添加することも可能であることが記載されているが、これは一般的な耐熱強度向上元素としての添加を意図したものであり、耐熱性を向上させる元素として必要な添加量の記載は一切なく、これらの元素を添加した合金の実施例もない。また、Al以外に耐酸化性を向上させる元素の記載はない。

0011

そこで、本発明は、600℃以上の高温に曝されるエキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプや触媒マフラー等の部位に使用可能な、耐酸化性に優れた排気系部品用チタン合金材およびその合金材を用いた排気装置を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0012

本発明者は、Ti−Al二元系チタン合金に様々な元素を添加し高温酸化増量に対する効果を調査した。その結果、適量のNbを添加することにより、700℃以上の高温における酸化増量が著しく減少すること、600℃以上の高温強度が上昇すること、および室温における0.2%耐力はNbを添加しないものに比べ、同等かやや高い程度であること、伸びは、Nbを添加しないものと同等かやや小さい程度であり、室温における加工性にほとんど影響を与えないことを見出した。

0013

本発明はこのような知見に基づくものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1) 質量%で、Al:0.4〜2.5%、Nb:0.3〜1.1%、Fe:0.06%以下、酸素:0.1%以下を含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする、耐酸化性に優れた排気系部品用チタン合金材。
(2)エキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプ、触媒、マフラーのいずれか1または2以上の部品が、上記(1)に記載のチタン合金材で構成されていることを特徴とする排気装置。

発明の効果

0014

本発明によれば、軽量かつ高温で十分な強度があり、耐酸化性に優れ、かつ室温における加工性の良好なチタン合金を、溶解・圧延により製造、提供することが可能になり、四輪者、二輪車等自動車の排気装置の軽量化が大きく進み、産業上の貢献が極めて顕著である。

発明を実施するための最良の形態

0015

本発明におけるチタン合金では、酸化を抑制する元素として周期律表で言えばVa属のNbを選ぶことにより、特に600℃〜700℃における耐酸化性向上を目指したものである。Nbはチタンの酸化膜中に固溶し、チタンが4価であるのに対し、5価であるため、酸化膜中の酸素の空孔濃度が低下し、酸化膜中の酸素の拡散が抑制される。チタンの酸化は、酸化膜中を酸素が拡散して表面のチタンと結びつくことにより起こるいわゆる内方拡散と呼ばれる酸化形態をとるため、酸素の拡散が抑制されれば酸化が抑制される。しかし、理由は不明であるが、同じVa属の元素であっても、Vは耐酸化性には特に有効性はなかった。一方、Nbの適量添加は高温での強度上昇に効果があるものの室温における加工性には影響を与えない。すなわち、Ti−Al合金にNbを適量添加すると、室温における加工性にほとんど影響を与えず、高温強度が高く、耐酸化性に優れたチタン合金が得られる。

0016

本発明のチタン合金は、高温、特に700℃における強度と室温における加工性が良好であること、および700℃以上における耐酸化性を第一の要件としている。高温強度および室温強度目安は、JIS2種の工業用チタンの700℃における0.2%耐力の1.5倍、すなわち30N/mm2以上、室温における0.2%耐力は320N/mm2以下、かつ室温における伸びが25%以上であることである。耐酸化性の目安は、700℃における200時間の加熱で酸化増量が25g/m2以下、800℃における酸化増量が60g/m2以下であることである。

0017

請求項1に記載の本発明では、質量%で、Al:0.4〜2.5%、Nb:0.3〜1.1%、Fe:0.06%以下、酸素:0.1%以下を含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする排気系部品用チタン合金材とした。Al、Nb、Fe、酸素の添加量を限定した理由は、以下の通りである。

0018

Alの添加量が0.4%よりも少ないと700℃における0.2%耐力が30N/mm2以上とならないためであり、2.5%よりも多いと室温における0.2%耐力が320N/mm2を超えてしまうためである。

0019

Nbの添加量が0.3%よりも少ないと700℃、200時間連続酸化における酸化増量が25g/m2以下、800℃、200時間連続酸化における酸化増量が60g/m2以下とならないためであり、1.1%よりも多いと酸化増量抑制効果飽和するだけでなく、室温における0.2%耐力が320N/mm2を超えてしまうためである。

0020

Feと酸素の含有量をそれぞれ0.06%以下、0.1%以下と規定したのは、これらの含有量を超えると、室温における成形性に悪影響を及ぼすためである。

0021

請求項2に記載の本発明では、請求項1に記載のチタン合金材を用いて排気装置を製作したものである。本発明のチタン合金材は、JIS2種の工業用チタンに準じた加工性、溶接性を有しているので、JIS2種の工業用チタンに準じた方法により、溶解、圧延、成形が可能であり、冷延焼鈍された薄板を管状に湾曲してTIG溶接し、各パーツ溶接することにより排気装置とすることができる。

0022

以下、実施例を挙げて本発明の構成と作用効果をより具体的に説明する。

0023

表1に示す成分のチタン合金を電子ビーム溶解し、鋳造して約10kgの鋳塊とした。これらを850〜900℃に加熱して、熱間圧延し、厚さ約3.5mmの板とした。ショットブラストおよび酸洗後、さらにこれを冷間圧延して、厚さ1mmの板とした。得られた板を真空中で750℃、1時間焼鈍した。これらの供試材からJIS13号Bの試験片を切出し、室温引張試験を行った。また、600℃、700℃においてJISG0567に準拠高温引張試験を行った。高温の酸化試験は20mm×20mmの試験片を表面と端部を#400のサンドペーパー研磨した後、600、700、800℃の各温度に大気中に200時間暴露し、試験前後の重量の変化を測定し、単位断面積あたりの酸化増量を求めた。

0024

0025

測定結果を表1にまとめて示す。表1において、No.1からNo.21は、請求項1に記載の本発明の実施例である。いずれも700℃における0.2%耐力は、JIS2種の工業用チタンの1.5倍、すなわち30N/mm2以上であり、室温における0.2%耐力は320N/mm2以下、かつ室温における伸びは25%以上であった。耐酸化性では、700℃における200時間の加熱での酸化増量は25g/m2以下、800℃における酸化増量は60g/m2以下であり、室温における十分な加工性と高温における十分な耐力、かつ高温における優れた耐酸化性を示している。

0026

一方、Nb添加のないNo.22からNo.26は、室温の0.2%耐力や700℃における耐力が目標値を超えるものもあるが、いずれも700℃200時間加熱での酸化増量が26g/m2を超え、また、800℃200時間加熱での酸化増量も230g/m2を超え、十分な耐酸化性を有していない。

0027

また、Vを1.3質量%、または2.5質量%含むNo.27およびNo.28の合金は600℃および700℃における耐力が高く、高温強度の観点で優れているが、室温における延性が不十分であり、かつ700℃および800℃における酸化増量もそれぞれ、40g/m2、270g/m2を超え、十分な耐酸化性を有していない。

0028

表1のNo.10に示す成分のチタン合金を真空アーク溶解炉で200kg溶製し、1000℃で粗鍛造して300mm角とした後、さらに900℃で鍛造した後、厚さ100mmのスラブを製造した。次に850℃で熱間圧延して、厚さ4mmの板とした後、厚さ1mmまで冷間圧延し、750℃、1時間の熱処理を施した。

0029

上記薄板を幅120mmで切り出し、外径38mmの溶接管を製造した。湾曲加工後、TIG溶接で溶接管を製造した。溶接管の製造工程は、JIS2種の工業用チタンに準じた薄板を用いて製造する場合と同様とした。

0030

溶接管端部に60°の円錐形コーンを押し込み、初期直径の1.3倍まで押し広げたところ、溶接部割れは生じず、良好な押し広げ特性を有していた。また、本溶接管を半径90mmで90°曲げ加工したしたところ、割れや皺などは生じなかった。

0031

本発明のチタン合金材は、高温強度が高く、かつ耐酸化性に優れ、室温における延性も良好で、溶接管の製造が従来の純チタン材並に容易であり、四輪者や二輪車等自動車のメインマフラー部はもとより、エキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプや触媒マフラー等の排気装置用部材に利用することが可能である。

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