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技術 豆板醤の製造方法

出願人 味の素株式会社
発明者 西内博章鯉渕恭子竹内吏野坂千秋
出願日 2005年4月8日 (15年8ヶ月経過) 出願番号 2005-112534
公開日 2006年10月26日 (14年1ヶ月経過) 公開番号 2006-288261
状態 特許登録済
技術分野 みそ、モルト製品 調味料
主要キーワード 設定温度幅 官能検査法 水溶き片栗粉 ラミネートパウチ 間欠供給 合わせ調味料 本キャリア プリザ
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

芽胞菌汚染度合いを少なくし、鮮やかな赤色でかつうま味の強い豆板醤の製造方法、該製造方法により製造された豆板醤、及び、該豆板醤を用いた食品を提供すること。

解決手段

豆板醤の製造工程中に、バクテリオシンを存在させ、かつ、除菌された空気を連続的又は簡潔供給しながら、手入れ時を除き密閉された状態の製麹機内で製麹し、得られた固体麹にバクテリオシンを添加した諸味発酵熟成食塩濃度が制御された状態で行なう。

概要

背景

醤のルーツは中国であると言われている。古来では、大豆、そら豆を主原料とし、必要に応じて小麦粉を加えて天然発酵させて麹を作製していた。そして、この麹に塩水を加えたものをに入れ、その室外において、日にさらし、夜露を浴びさせることにより発酵させて醤を製造してきた。
豆板醤(豆辣醤、豆辣ラージャン、そら豆ラージャーとも言われる。)は醤の1種類であり、大豆又はそら豆を主要原料として製造される。

豆板醤の製造においては、中国の四川省のピ県が有名である。このピ県産の豆板醤は、色が黒赤色で、辛味が濃いだけでなく、コク味濃厚であり、非常に高品質の豆板醤とされている。発酵期間が長期にわたる程、濃厚なコク味が醸し出されるため味を重視する場合には、発酵期間が数年にもわたる豆板醤が使用されている。一方、味よりも鮮やかな赤色を重視する料理には、発酵期間が3〜6ヵ月程度の豆板醤が使用されている。しかしながら、いずれの豆板醤もうま味補強する目的で、豆板醤にグルタミン酸を添加した多数のタイプでも流通している。

このように豆板醤は、自然発酵法や高温短期間発酵法などいくつかの製造方法が検討されてきた。現在では、自然発酵法は四川省の一部で使用されているが、ほとんどは高温短期間発酵法が用いられている。

自然発酵法は、一般に以下のような製造工程からなる。まず、蒸煮したそら豆に小麦粉を混ぜ合わせて、ザルに均一に薄めに乗せ、発酵室に置く。室温40℃程度の発酵室で6〜7日間発酵させることにより、発酵室中の麹菌がそら豆の表面に菌糸を伸ばし、麹が生じる。麹を陶器製のかめに入れ、食塩水を加え、室外で40〜50日寝かした後、唐辛子と更に食塩を加え、均一に混合する。更に、室外で3〜5ヵ月貯蔵発酵させ豆板醤を製造する。しかしながら自然発酵法は、は40℃以上、氷点下となりうる、温度調節のされていない室外でかめを保存することに特徴があり、製品の品質が地域や気候に影響され、品質のバラツキが多いという問題点がある。

高温短期間発酵法は、一般に以下のような製造工程からなる。まず、大豆あるいは脱皮そら豆を浸漬し、蒸煮し、冷却した後、麹菌を接種し、30〜38℃で数日間通風製麹することにより固体麹を作製する。固体麹に、磨砕した塩漬唐辛子、食塩水を加えて諸味を形成させる。該諸味を発酵槽で40〜55℃で15〜30日間発酵させて豆板醤を製造する。高温短期間発酵法は自然発酵法よりも貯蔵発酵時の平均温度が高いのが特徴である。このように高温で発酵させる製造方法は、発酵サイクルが短縮され設備利用率も向上させることができる為、量産化に適している。しかしながら、コク味といった官能の面では、伝統的な自然発酵法で製造された豆板醤には及ばないことが多い。

ところで、自然発酵法の場合でも、高温短期間発酵法の場合でも静菌目的で食塩が添加されている。食塩は、麹菌の産生するプロテアーゼペプチダーゼ活性阻害するため、諸味の分解が進行しない原因となっている。その為、原料たんぱく質からのグルタミン酸の遊離が進まず、豆板醤のうま味が低い原因ともなっている。

しかしながら、豆板醤の製造工程で食塩を添加しないと次のような点により、やはりグルタミン酸の遊離が進行しない。豆板醤の原料には穀類が用いられるが、穀類には芽胞菌が存在している。例えば、大豆にはバチルスズブチリス(Bacillus subtilis)が、そら豆にはバチルス・セレウス(Bacillus cereus)が生息していることが知られている。その為、大豆やそら豆等の穀類を原料に製麹した麹は、通常は芽胞菌に汚染されてしまう。しかし、麹に生息している芽胞菌は、諸味に添加される食塩によって芽胞を形成するため、増殖することができない。そのため豆板醤の品質にはほとんど影響しない。しかしながら、諸味の発酵熟成無塩状態で行なうと芽胞菌が増殖しグルタミン酸の遊離を阻害する。更には、芽胞菌が増殖するに伴い、腐敗臭のような香気成分が諸味中に産出され、豆板醤の著しい品質低下を誘発する。

また、前述したように自然発酵法或いは高温短期間発酵法などの従来法で豆板醤を製造する場合は、諸味の調製時に食塩を添加するため、芽胞菌は芽胞を形成し休眠状態で存在する。その結果、出来上がった豆板醤には多数の芽胞が存在している。ところで一般に加工食品は、豆板醤と比較して塩分濃度が低く、芽胞菌が増殖しやすい環境にある。そのため加工食品において豆板醤を使用する場合は、通常、芽胞を死滅させる条件で豆板醤を殺菌した後に使用されている。この殺菌工程で、豆板醤の品質が著しく低下してしまうため、豆板醤を使用した加工食品の品質も改善の余地があるものであった。

このような従来技術のもと、芽胞菌による汚染の度合いが少なく、鮮やかな赤色でかつうま味の強い豆板醤の製造方法が待ち望まれていた。

ところで、1992年に食品微生物制御の手段としてバイオプリザベーションを利用しようとする試みがB. Rayらによって提唱された。なかでも、バイオプリザバティブとしてバクテリオシンの利用が試みられている。例えば、ラクトコッカス(Lactococcus)属やラクトバチルス(Lactobacillus)属によって産生されるナイシンクラスIに属するランチビオティック系のバクテリオシン)は、グラム陽性菌に対して幅広静菌効果を有することが知られている(非特許文献1参照)。

グラム陽性菌に属する芽胞菌バチルス(Bacillus)属は、ナイシンによって殺菌されることが期待できるため、近年、ナイシンを麹の静菌剤として利用することが検討されつつある。例えば、バクテリオシンなどの乳酸醗酵液と水溶性カルシウム又は水溶性マグネシウムを麹の培養過程で添加する事を特徴とする、麹の雑菌阻止方法が知られている(特許文献1参照)。この方法では、速効性殺菌効果を有する乳酸醗酵液と効力持続する塩化カルシウム等を併用して、麹の雑菌の繁殖を阻止している。

しかしながら、この方法は、水溶性カルシウム又は水溶性マグネシウムが必須の構成要件であるため、水溶性カルシウム又は水溶性マグネシウムの添加量が多いと麹の風味に悪影響を与えてしまうという課題がある。また、当該発明は、酒、味噌醤油等の中間原料とする麹を製造することを目的としており、蒸煮した大豆を磨砕した後に麹菌を添加した製造方法のみが開示されている。しかしながら、豆板醤の製法においてその様な工程をとると風味の点で好ましくなく豆板醤の製造に適したものではなかった。

麹菌接種と発芽誘導物質の添加を行った後に、乳酸醗酵液等を添加して培養することを特徴とする麹の製造方法が知られている(特許文献2参照)。この方法では、乳酸醗酵液がバクテリオシンを含有しても良いとの記載がある。

しかしながら、この方法は、芽胞に対する発芽誘導物質であるアラニンを蒸煮後、35℃程度に温度が低下した段階で、或いは種麹と共に添加し、時間差を保って乳酸醗酵液を添加することで、芽胞菌を減少させることに特徴があるものである。また、当該発明は、酒、味噌、醤油等の中間原料とする麹を製造することを目的としており、蒸煮した大豆を磨砕した後に麹菌を添加した製造方法のみが開示されている。しかしながら、豆板醤の製法においてその様な工程をとると風味の点で好ましくなく豆板醤の製造に適したものではなかった。更には、発芽誘導物質を添加して休眠状態の芽胞菌を出芽させ、増殖させる為、芽胞菌が産生する不必要な成分が豆板醤に含まれる結果となり望ましくなかった。

穀類を、ナイシン生産能を有する乳酸菌の存在下で水浸漬し、これを常法により加熱変性して得られる穀類を麹基質として用いることを特徴とする、微生物汚染の少ない麹の製造方法が知られている(特許文献3参照)。この方法は、麹の原料である穀類の汚染菌生育抑制を行うことで、その後の汚染菌の生育も抑制している。

しかしながら、この方法は、穀類の汚染菌の生育抑制を行うために、穀類を乳酸菌の存在下で、長時間(例えば10〜50時間)水浸漬する必要があり、量産化に不都合である。また、水浸漬温度が15℃以下では、乳酸菌の増殖が緩慢となり、得られた穀類の汚染菌の生育抑制効果が得にくくなり、反対に、浸漬温度が35℃以上では、穀類の成分が浸漬水溶出し、原料利用率が低下すると同時に乳酸菌の生育も抑制される。そのため、この方法では温度管理も必要であるという課題があった。更には、15〜35℃という乳酸菌の至適温度かつ麹菌非存在下であらかじめ水浸漬するため、乳酸菌の過度の増殖を招き、製麹後の固体麹のpHが低くなるという欠点もあった。

米味噌あるいは豆味噌の製法において、その製造工程中にバチルス属細菌の汚染を受けるという課題を解決する方法として、発酵調味料の原料自体を乳酸醗酵させる、発酵調味料の製造方法が知られている(特許文献4参照)。

しかしながら、この方法は、バチルス属細菌の汚染を防ぐために、原料自体を乳酸醗酵させている。該発明には、乳酸醗酵に3日間及び24時間かかる旨の開示があるように、乳酸醗酵の時間が必要であるという課題があり、量産化に不都合である。

このようにバクテリオシン等の食品への利用は、検討されているが、豆板醤の製造にバクテリオシンを利用することにより、豆板醤の芽胞菌汚染度合いを少なくし鮮やかな赤色でかつ、うま味を強くすることで豆板醤の品質を向上させる方法は知られていなかった。

「食品の非加熱殺菌応用ハンドブック」、発行元:株式会社サイエンスフォーラム発行:2001年7月31日、第181頁〜第194頁
特開2002−369678号公報
特開2002−330715号公報
特開2000−116375号公報
特開平11−075754号公報
特開2001−224359号公報

概要

芽胞菌の汚染度合いを少なくし、鮮やかな赤色でかつうま味の強い豆板醤の製造方法、該製造方法により製造された豆板醤、及び、該豆板醤を用いた食品を提供すること。 豆板醤の製造工程中に、バクテリオシンを存在させ、かつ、除菌された空気を連続的又は簡潔供給しながら、手入れ時を除き密閉された状態の製麹機内で製麹し、得られた固体麹にバクテリオシンを添加した諸味の発酵熟成を食塩濃度が制御された状態で行なう。 なし

目的

本発明は、芽胞菌の汚染度合いを少なくし、鮮やかな赤色でかつうま味の強い豆板醤の製造方法、該製造方法により製造された豆板醤、及び、該豆板醤を用いた食品を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

麹菌を用いて固体麹を作成し、豆板醤を製造する工程において、1)穀類に麹菌及びバクテリオシンを添加し、2)除菌された空気を連続的又は間欠供給しながら、手入れ時を除き密閉された状態の製麹機内で製麹し、3)得られた固体麹に、バクテリオシンおよび固体麹重量の0〜50倍重量の殺菌された食品素材を混合して諸味を形成し、4)次に、該諸味を食塩濃度が12%以下に制御された状態で発酵熟成する一段階目の工程と、5)食塩濃度を0.1%以上に制御して発酵熟成する二段階目の工程を含み、6)一段階目の工程と二段階目の工程のいずれか若しくは両方の工程で唐辛子を添加することを特徴とする豆板醤の製造方法。

請求項2

段階目の発酵熟成前に固体麹を破砕する工程を含む請求項1記載の方法。

請求項3

穀類が大豆及び/又はソラマメである請求項1ないし2記載の方法。

請求項4

請求項1ないし3記載の方法で製造された豆板醤。

請求項5

請求項4記載の豆板醤を用いた食品

請求項6

食品が、殺菌工程を経る加工食品であることを特徴とする請求項6記載の食品。

技術分野

0001

本発明は、豆板醤の製造方法及び豆板醤を利用した食品に関するものである。より詳しくは、豆板醤の製造工程において、食塩濃度を調整し、かつ、バクテリオシンを利用することによって、芽胞菌による汚染度合いが少なく鮮やかな赤色でうま味の強い豆板醤の製造方法、該製造方法により製造された豆板醤、及び、該豆板醤を用いた食品に関するものである。

背景技術

0002

醤のルーツは中国であると言われている。古来では、大豆、そら豆を主原料とし、必要に応じて小麦粉を加えて天然発酵させて麹を作製していた。そして、この麹に塩水を加えたものをに入れ、その室外において、日にさらし、夜露を浴びさせることにより発酵させて醤を製造してきた。
豆板醤(豆辣醤、豆辣ラージャン、そら豆ラージャーとも言われる。)は醤の1種類であり、大豆又はそら豆を主要原料として製造される。

0003

豆板醤の製造においては、中国の四川省のピ県が有名である。このピ県産の豆板醤は、色が黒赤色で、辛味が濃いだけでなく、コク味濃厚であり、非常に高品質の豆板醤とされている。発酵期間が長期にわたる程、濃厚なコク味が醸し出されるため味を重視する場合には、発酵期間が数年にもわたる豆板醤が使用されている。一方、味よりも鮮やかな赤色を重視する料理には、発酵期間が3〜6ヵ月程度の豆板醤が使用されている。しかしながら、いずれの豆板醤もうま味を補強する目的で、豆板醤にグルタミン酸を添加した多数のタイプでも流通している。

0004

このように豆板醤は、自然発酵法や高温短期間発酵法などいくつかの製造方法が検討されてきた。現在では、自然発酵法は四川省の一部で使用されているが、ほとんどは高温短期間発酵法が用いられている。

0005

自然発酵法は、一般に以下のような製造工程からなる。まず、蒸煮したそら豆に小麦粉を混ぜ合わせて、ザルに均一に薄めに乗せ、発酵室に置く。室温40℃程度の発酵室で6〜7日間発酵させることにより、発酵室中の麹菌がそら豆の表面に菌糸を伸ばし、麹が生じる。麹を陶器製のかめに入れ、食塩水を加え、室外で40〜50日寝かした後、唐辛子と更に食塩を加え、均一に混合する。更に、室外で3〜5ヵ月貯蔵発酵させ豆板醤を製造する。しかしながら自然発酵法は、は40℃以上、氷点下となりうる、温度調節のされていない室外でかめを保存することに特徴があり、製品の品質が地域や気候に影響され、品質のバラツキが多いという問題点がある。

0006

高温短期間発酵法は、一般に以下のような製造工程からなる。まず、大豆あるいは脱皮そら豆を浸漬し、蒸煮し、冷却した後、麹菌を接種し、30〜38℃で数日間通風製麹することにより固体麹を作製する。固体麹に、磨砕した塩漬唐辛子、食塩水を加えて諸味を形成させる。該諸味を発酵槽で40〜55℃で15〜30日間発酵させて豆板醤を製造する。高温短期間発酵法は自然発酵法よりも貯蔵発酵時の平均温度が高いのが特徴である。このように高温で発酵させる製造方法は、発酵サイクルが短縮され設備利用率も向上させることができる為、量産化に適している。しかしながら、コク味といった官能の面では、伝統的な自然発酵法で製造された豆板醤には及ばないことが多い。

0007

ところで、自然発酵法の場合でも、高温短期間発酵法の場合でも静菌目的で食塩が添加されている。食塩は、麹菌の産生するプロテアーゼペプチダーゼ活性阻害するため、諸味の分解が進行しない原因となっている。その為、原料たんぱく質からのグルタミン酸の遊離が進まず、豆板醤のうま味が低い原因ともなっている。

0008

しかしながら、豆板醤の製造工程で食塩を添加しないと次のような点により、やはりグルタミン酸の遊離が進行しない。豆板醤の原料には穀類が用いられるが、穀類には芽胞菌が存在している。例えば、大豆にはバチルスズブチリス(Bacillus subtilis)が、そら豆にはバチルス・セレウス(Bacillus cereus)が生息していることが知られている。その為、大豆やそら豆等の穀類を原料に製麹した麹は、通常は芽胞菌に汚染されてしまう。しかし、麹に生息している芽胞菌は、諸味に添加される食塩によって芽胞を形成するため、増殖することができない。そのため豆板醤の品質にはほとんど影響しない。しかしながら、諸味の発酵熟成無塩状態で行なうと芽胞菌が増殖しグルタミン酸の遊離を阻害する。更には、芽胞菌が増殖するに伴い、腐敗臭のような香気成分が諸味中に産出され、豆板醤の著しい品質低下を誘発する。

0009

また、前述したように自然発酵法或いは高温短期間発酵法などの従来法で豆板醤を製造する場合は、諸味の調製時に食塩を添加するため、芽胞菌は芽胞を形成し休眠状態で存在する。その結果、出来上がった豆板醤には多数の芽胞が存在している。ところで一般に加工食品は、豆板醤と比較して塩分濃度が低く、芽胞菌が増殖しやすい環境にある。そのため加工食品において豆板醤を使用する場合は、通常、芽胞を死滅させる条件で豆板醤を殺菌した後に使用されている。この殺菌工程で、豆板醤の品質が著しく低下してしまうため、豆板醤を使用した加工食品の品質も改善の余地があるものであった。

0010

このような従来技術のもと、芽胞菌による汚染の度合いが少なく、鮮やかな赤色でかつうま味の強い豆板醤の製造方法が待ち望まれていた。

0011

ところで、1992年に食品の微生物制御の手段としてバイオプリザベーションを利用しようとする試みがB. Rayらによって提唱された。なかでも、バイオプリザバティブとしてバクテリオシンの利用が試みられている。例えば、ラクトコッカス(Lactococcus)属やラクトバチルス(Lactobacillus)属によって産生されるナイシンクラスIに属するランチビオティック系のバクテリオシン)は、グラム陽性菌に対して幅広静菌効果を有することが知られている(非特許文献1参照)。

0012

グラム陽性菌に属する芽胞菌バチルス(Bacillus)属は、ナイシンによって殺菌されることが期待できるため、近年、ナイシンを麹の静菌剤として利用することが検討されつつある。例えば、バクテリオシンなどの乳酸醗酵液と水溶性カルシウム又は水溶性マグネシウムを麹の培養過程で添加する事を特徴とする、麹の雑菌阻止方法が知られている(特許文献1参照)。この方法では、速効性殺菌効果を有する乳酸醗酵液と効力持続する塩化カルシウム等を併用して、麹の雑菌の繁殖を阻止している。

0013

しかしながら、この方法は、水溶性カルシウム又は水溶性マグネシウムが必須の構成要件であるため、水溶性カルシウム又は水溶性マグネシウムの添加量が多いと麹の風味に悪影響を与えてしまうという課題がある。また、当該発明は、酒、味噌醤油等の中間原料とする麹を製造することを目的としており、蒸煮した大豆を磨砕した後に麹菌を添加した製造方法のみが開示されている。しかしながら、豆板醤の製法においてその様な工程をとると風味の点で好ましくなく豆板醤の製造に適したものではなかった。

0014

麹菌接種と発芽誘導物質の添加を行った後に、乳酸醗酵液等を添加して培養することを特徴とする麹の製造方法が知られている(特許文献2参照)。この方法では、乳酸醗酵液がバクテリオシンを含有しても良いとの記載がある。

0015

しかしながら、この方法は、芽胞に対する発芽誘導物質であるアラニンを蒸煮後、35℃程度に温度が低下した段階で、或いは種麹と共に添加し、時間差を保って乳酸醗酵液を添加することで、芽胞菌を減少させることに特徴があるものである。また、当該発明は、酒、味噌、醤油等の中間原料とする麹を製造することを目的としており、蒸煮した大豆を磨砕した後に麹菌を添加した製造方法のみが開示されている。しかしながら、豆板醤の製法においてその様な工程をとると風味の点で好ましくなく豆板醤の製造に適したものではなかった。更には、発芽誘導物質を添加して休眠状態の芽胞菌を出芽させ、増殖させる為、芽胞菌が産生する不必要な成分が豆板醤に含まれる結果となり望ましくなかった。

0016

穀類を、ナイシン生産能を有する乳酸菌の存在下で水浸漬し、これを常法により加熱変性して得られる穀類を麹基質として用いることを特徴とする、微生物汚染の少ない麹の製造方法が知られている(特許文献3参照)。この方法は、麹の原料である穀類の汚染菌生育抑制を行うことで、その後の汚染菌の生育も抑制している。

0017

しかしながら、この方法は、穀類の汚染菌の生育抑制を行うために、穀類を乳酸菌の存在下で、長時間(例えば10〜50時間)水浸漬する必要があり、量産化に不都合である。また、水浸漬温度が15℃以下では、乳酸菌の増殖が緩慢となり、得られた穀類の汚染菌の生育抑制効果が得にくくなり、反対に、浸漬温度が35℃以上では、穀類の成分が浸漬水溶出し、原料利用率が低下すると同時に乳酸菌の生育も抑制される。そのため、この方法では温度管理も必要であるという課題があった。更には、15〜35℃という乳酸菌の至適温度かつ麹菌非存在下であらかじめ水浸漬するため、乳酸菌の過度の増殖を招き、製麹後の固体麹のpHが低くなるという欠点もあった。

0018

米味噌あるいは豆味噌の製法において、その製造工程中にバチルス属細菌の汚染を受けるという課題を解決する方法として、発酵調味料の原料自体を乳酸醗酵させる、発酵調味料の製造方法が知られている(特許文献4参照)。

0019

しかしながら、この方法は、バチルス属細菌の汚染を防ぐために、原料自体を乳酸醗酵させている。該発明には、乳酸醗酵に3日間及び24時間かかる旨の開示があるように、乳酸醗酵の時間が必要であるという課題があり、量産化に不都合である。

0020

このようにバクテリオシン等の食品への利用は、検討されているが、豆板醤の製造にバクテリオシンを利用することにより、豆板醤の芽胞菌汚染度合いを少なくし鮮やかな赤色でかつ、うま味を強くすることで豆板醤の品質を向上させる方法は知られていなかった。

0021

「食品の非加熱殺菌応用ハンドブック」、発行元:株式会社サイエンスフォーラム発行:2001年7月31日、第181頁〜第194頁
特開2002−369678号公報
特開2002−330715号公報
特開2000−116375号公報
特開平11−075754号公報
特開2001−224359号公報

発明が解決しようとする課題

0022

本発明は、芽胞菌の汚染度合いを少なくし、鮮やかな赤色でかつうま味の強い豆板醤の製造方法、該製造方法により製造された豆板醤、及び、該豆板醤を用いた食品を提供するものである。

課題を解決するための手段

0023

本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、豆板醤の製造工程中に、バクテリオシンを存在させ、かつ、除菌された空気を連続的又は簡潔供給しながら、手入れ時を除き密閉された状態の製麹機内で製麹し、得られた固体麹にバクテリオシンを添加した諸味の発酵熟成を食塩濃度が制御された状態で行なうことによって芽胞菌汚染が少なくうま味の強い豆板醤が製造できることを見出した。本発明は以下の内容を包含する。

0024

(1)麹菌を用いて固体麹を作成し、豆板醤を製造する工程において、1)穀類に麹菌及びバクテリオシンを添加し、2)除菌された空気を連続的又は間欠供給しながら、手入れ時を除き密閉された状態の製麹機内で製麹し、3)得られた固体麹に、バクテリオシンおよび固体麹重量の0〜50倍重量の殺菌された食品素材を混合して諸味を形成し、4)次に、該諸味を食塩濃度が12%以下に制御された状態で発酵熟成する一段階目の工程と、5)食塩濃度を0.1%以上に制御して発酵熟成する二段階目の工程を含み、6)一段階目の工程と二段階目の工程のいずれか若しくは両方の工程で唐辛子を添加することを特徴とする豆板醤の製造方法。(2)1段階目の発酵熟成前に固体麹を破砕する工程を含む請求項1記載の方法。(3)穀類が大豆及び/又はソラマメである請求項1ないし2記載の方法。(4)請求項1ないし3記載の方法で製造された豆板醤。(5)請求項4記載の豆板醤を用いた食品。(6)食品が、殺菌工程を経る加工食品であることを特徴とする請求項6記載の食品。

発明の効果

0025

本発明の効果として、芽胞菌汚染が少なく鮮やかな赤色で、かつうま味の強い豆板醤の製造方法、該製造方法により製造された豆板醤、及び、該豆板醤を用いた食品を提供することが可能である。

発明を実施するための最良の形態

0026

以下に、本発明の実施の形態について説明する。

0027

本発明において麹原料として使用する穀類は、通常の豆板醤の製造に用いられる原料を使用することができる。例えば、大豆、そら豆、小麦、米、麦などを用いることが出来る。必要により、これらの原料を水浸漬処理、蒸煮処理してもよい。穀類は1種類のみ使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。豆板醤らしさを強めるため大豆又はそら豆を使用することが望ましい。さらに、麹菌の生育を促進するため小麦を併用することも望ましい。

0028

上記原料に抗菌物質であるバクテリオシン及び麹菌を混合し、除菌された空気を供給でき、密閉できる製麹機に盛り込む。除菌された空気が供給でき、密閉できる製麹機とは、製麹機内に除菌された空気を供給する機能を持ち、製麹機内部と外気遮断できる構造を持つものであり、例えば回転ドラム式製麹機を挙げることができる。また完全に密閉できなくても外気からの微生物混入を防止できれば良い。構造がシンプルで安価な製麹機として、除菌された空気を製麹機内部に供給する構造を持ち、密閉状態が得られる開閉可能な蓋付の製麹機も例示することができる。空気の除菌方法は0.3μm以上の塵を99.97%以上集塵できるフィルター、例えばHEPAフィルターなどを用いることができる。尚、製麹機の排風口には外気を遮断するためのフィルターを取り付けることが好ましい。密閉できない製麹機、例えば円盤回転式製麹機、静地通風式製麹機などは、外気からの微生物の混入を免れず、品質の低下を招くことがある。通風の方式は特に限定されるものではなく、内部通風方式、表面通風方式などを用いることができる。

0029

本発明において、バクテリオシンを添加するとはバクテリオシン含有物を添加するだけでなく、バクテリオシン生産菌を添加することでバクテリオシンを存在させることも含まれる。バクテリオシン生産菌をあらかじめ最適条件で培養し、バクテリオシンを含有する培養物として添加することが操作性の観点から望ましい。バクテリオシン種類は、豆板醤の製造工程において汚染菌である芽胞菌を殺菌し、豆板醤が製造可能である限りにおいて特に制限されない。そのようなバクテリオシンとしてグラム陽性菌に作用するバクテリオシンを上げることができる。グラム陽性菌に作用するバクテリオシンとしては、ナイシン、ラクティシン、ペディオシンサカシンヌカシンなどがあり、中でも、ナイシンは世界各国で食品添加物として認可されていることから市場受容性から考えても好ましい。なお、ナイシンのようにナイシンA、ナイシンZ、ナイシンQなど類縁体を有するものもあるが、芽胞菌を殺菌できる限りにおいていずれでもかまわない。バクテリオシン生産菌としては、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ペディオコッカスペントーサス(Pediococcus pentosaceus)、ラクトバチルス・サケイ(Lacotobacillus sakei)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)等の乳酸菌、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)等のビフィズス菌プロピオニバクテリウム・ソエニ(Propionibacterium thoenii)等のプロピオン酸菌をあげることができる。バクテリオシンの培養方法が広く確立されている乳酸菌を使用することが望ましい。バクテリオシンの至適存在量は、その種類によって異なるが、固体麹作製時又は固体麹作成時及び諸味作製時に存在し、芽胞菌を殺菌できればよい。その存在量が多いほど微生物の混入や増殖を防ぐことができるため、効果の観点から存在量が多ければ多いほど望ましいことは言うまでもない。例えば、ナイシンの場合は、固体麹作製時、望ましくは固体麹作製時及び諸味作製時に存在していればよい。具体的には、そら豆1gあたり1IU以上、望ましくは10IU以上、より望ましくは100IU以上、更に望ましくは1,000IU以上存在していればよい。上限は特にないが、100,000IU以下、望ましくは10,000IU以下に制限することが製造コストの観点から望ましい。

0030

本発明において使用する麹菌は、通常の豆板醤の製造に用いられるものであればとくに制限されない。一例として、アスペルギルスオリゼ(Aspergillus oryzae), アスペルギルス・ソヤ(Aspergillus sojae),アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans),アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger),アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)等のアスペルギルス(Aspergillus)属、リゾパス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、リゾパス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)等のリゾパス(Rizopsu)属、モナスカスアンカ(Monascus anka), モナスカス・プルプレウス(Monascus purpureus)等のモナスカス(Monascus)属を挙げることができる。優良菌株育種例の多い、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryaze)やアスペルギルス・ソヤ(Aspergillus sojae)が汎用性が高く望ましい。

0031

本発明において、製麹とは、穀類とバクテリオシン、及び麹菌の混合物を製麹機内に盛り込んだ後、手入れ(麹菌の生育を促進するために、製麹機内に盛り込まれた混合物を例えば10時間毎に15分程度攪拌する工程)の際を除いて、製麹機内を密閉した状態で一定の温度に制御して培養することを意味する。制御温度は豆板醤が製造できる条件である限り特に制限されないが、25〜40℃、望ましくは28〜37℃、より望ましくは29〜34℃の温度に制御して培養することにより高品質の豆板醤を製造することができる。温度が低すぎると麹菌の増殖度合いが悪く、穀類が十分に分解されず豆板醤の強いうま味が得られず好ましくない。一方、温度が高すぎると原料蛋白質の分解に必要な酵素活性が低くなり強いうま味が得られず好ましくない。なお、一定の温度に制御するとは、その温度幅で管理することを意味し、麹菌の発熱等によって一時的に設定温度幅を逸脱してもよい。逸脱した場合は、加熱・冷却することによって一定の設定温度幅になるように培養管理されていればよい。培養期間は、通常の場合と同様に菌糸が穀物原料を覆い固体麹が製麹される期間とすることができる。使用する麹菌、使用する製麹装置等によって異なるため、通常は経験者が製麹中の固体麹を指でさわり水分量などを判断して製麹期間を決定している。一例として、15〜240時間、望ましくは20〜120時間、より望ましくは30〜72時間、35〜60時間と設定することができる。培養期間が短すぎると、麹菌が十分に増殖できず、豆板醤の深いコク味が得られない。培養期間が長すぎると、汚染菌を制御するために必要なバクテリオシン量が増大し、コスト増を招きやはり望ましくない。

0032

次に得られた固体麹とバクテリオシンを混合して諸味を形成し、食塩濃度が制御された状態で発酵熟成する。なお、諸味の作製の前後で固体麹を物理的に破砕してもよい。破砕度合いは、固体麹が軽くつぶれる状態でもよいし、ペースト状になるまで行なってもよい。破砕することによって発酵熟成する期間を短縮することができるため、製造コストの観点から望ましい。また、諸味を形成するとき固体麹重量の0〜50倍重量の殺菌された食品素材を混合して諸味を形成してもよい。混合する食品素材は、食品の製造に使用できるものであり、諸味中の食塩濃度を12重量%以下に調整できる限りにおいて、特に制限されない。大豆、そら豆、麦、小麦、米等の穀類、唐辛子などを混合しても良い。これら食品素材を殺菌する方法は、汚染微生物を殺菌できる限り特に制限されないが、蒸煮や塩蔵が風味の観点から好ましい。諸味形成時に加える重量の下限は、ゼロすなわち加えないことも含む。また、重量の上限は、固体麹重量の50倍重量まで、望ましくは10倍重量まで、より望ましくは5倍重量まで、さらに望ましくは3倍重量までである。この値を超えると諸味の1段階目発酵熟成が進行しにくい為、好ましくない。

0033

諸味の食塩濃度の制御は、固体麹とバクテリオシンを混合する際に添加する食塩水或いは食塩量を調節することによって実施することができる。諸味の発酵熟成中の塩分濃度は12%以下、望ましくは8%以下、より望ましくは5%以下、更に望ましくは2%以下に制御することが必要である。塩分濃度が高すぎると麹菌のプロテアーゼ、ペプチダーゼ活性を阻害し、原料蛋白質の分解が進まず、豆板醤のうま味が強くならず好ましくない。

0034

豆板醤中のグルタミン酸含有量を上昇させる目的の一段階目発酵熟成は20〜50℃、好ましくは20〜45℃、よりこのましくは25〜37℃に保温し、1〜50日間、好ましくは3〜30日間、より好ましくは4〜14日間、更に好ましくは4〜9日間行なう。温度が20℃未満では蛋白質の分解が十分でなく、強いうま味が得られない。一方、50℃を越える温度では諸味に含まれる糖とアミノ酸メイラード反応により褐変して苦味発現しやすく、官能的好ましくない傾向にある。日数についても同様の傾向があり、24時間未満であれば蛋白質の分解が十分でなく強いうま味が得られにくい。また、50日間以上では、二段階目発酵熟成の期間に影響を与えやすい。

0035

豆板醤の味をまとめ風味を改善する目的の二段階目発酵熟成では、通常、唐辛子を添加する。第一段階目発酵熟成で唐辛子を添加しなかった場合は、必ず本工程で唐辛子を添加する必要がある。本工程における食塩濃度の制御は、食塩水、食塩、或いは塩蔵唐辛子を添加することなどによって実施することができる。諸味中の塩分濃度は0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上に制御する必要がある。塩分濃度が低すぎると、唐辛子の味にまとまりがなく好ましくない。上限は特にないが、25重量%以下に制御することが望ましい。塩分濃度が高すぎると食塩が大幅に析出してしまい、操作性に影響を与える。なお、第一段階目発酵熟成ですでに唐辛子を添加しており、かつ食塩濃度が0.1重量%以上の場合は、1段階目発酵に引き続いてそのまま2段階目発酵熟成を行っても良い。

0036

豆板醤の味をまとめる目的で行う2段階目発酵熟成は、20〜50℃、好ましくは20〜45℃、よりこのましくは25〜37℃に保温し、1〜180日間、好ましくは3〜120日間、より好ましくは7〜90日間行う。温度が低すぎると味がまとまらず、高すぎるとアミノ酸と糖が反応しすぎて褐変臭が強まる。一方、2段階目発酵熟成期間が短すぎると味がまとまらず好ましくない。期間が長すぎると、アミノ酸と糖が反応しすぎて褐変臭がして望ましくない。

0037

本発明において、固体麹に添加混合する唐辛子に限定はなく、一例として、生唐辛子、塩漬された唐辛子、乾燥唐辛子唐辛子粉末等が挙げられる。また辣醤とは、唐辛子の発酵物または調味唐辛子である。

0038

本発明の方法で製造された豆板醤は、うま味が非常に強く、さらに芽胞菌が大幅に少ないため、過度に殺菌する必要がなく、広く加工食品に使用することができる。

0039

本発明において、豆板醤を用いた食品とは特に限定はなく、通常の豆板醤と同様に使用することができる。各種炒め物、各種揚げ物、或いは各種あわせ調味料に使用することができる。調理中に加熱工程を経る料理では、豆板醤の風味がより際だち好ましい。具体例の一部として、麻婆豆腐春雨茄子、麻婆茄子、回肉、干焼蝦、豆板醤入り炒りなどを挙げることができる。

0040

本発明において、豆板醤を用いた食品の製造工程において殺菌工程を有するとは、食品の品質を維持する為に汚染微生物を死滅させる工程を有することを意味する。原料としての豆板醤をあらかじめ殺菌してから使用してもよいし、豆板醤はあらかじめ殺菌せず出来上がった食品を殺菌してもよい。或いは、両方を併用してもよい。殺菌方法は、汚染微生物を死滅させる限りにおいて制限されないが、60℃で30分、70℃で30分、80℃で10分、90℃で10分等が用いられる。殺菌工程は、目的の品質を達成できる条件であればよい。例えば、レトルト食品では、水分活性0.94以上、pH4.6以上の食品では120℃4分の加熱殺菌条件などである。

0041

(実施例)
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。

0042

(実施例1)
(バクテリオシン粉末の調製)
ナイシンZを含有するラクティスエイドDL7溶液オーム乳業製、ナイシン活性7,000IU/ml)480Lを常法に従い、CPスケールUFモジュールSAP−3013:分画分子量4,000Da)を用い、25Lまで濃縮し、次にBPスケールUFモジュール(SAP−1013:分画分子量4,000Da)を用い、15Lまで濃縮した後、凍結乾燥することにより、260万IU/gの抗菌活性を有するナイシンZ粉末を調製した。ナイシンZ活性は、HPLCによる定量及びバイオアッセイ(Appl. Microbiol. Biotechnol. (1996) 45:36-40 A. Ishizaki et al.)により調べた。

0043

(バクテリオシン乳酸菌培養液の調製)
バクテリオシン乳酸菌培養液は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis) AJ110212 (FERM BP-8552)株Tioglycolate without glucose培地(Difco製)にて37℃で24時間培養し、その培養液を50mLのYD培地(0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム、3.0%グルコース、1.5%炭酸カルシウム、pH 7.0に調製、坂口フラスコ)にシードして100rpmで振とうし、約20時間のバッチ培養を行った(ナイシン活性約11,000IU/ml)。まれに培養ロットによっては、ナイシン活性が11,000IU/mlにならない場合もあるが、その時は実施例1で調製したナイシンを添加することによってナイシン活性を11,000IU/mlになるように調製した。

0044

乳酸菌体の調製)
ナイシン非生産菌であるラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)AJ3158をTioglycolate without glucose培地(Difco製)にて37℃で24時間培養し、その培養液を50mLのYD培地(0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム、3.0%グルコース、1.5%炭酸カルシウム、pH 7.0、坂口フラスコ)にシードして100rpmで振とうし、約20時間のバッチ培養を行った。遠心分離により、乳酸菌体を回収し、上清を除去した。乳酸菌体を生理食塩水(食塩濃度0.9%)で洗浄し、再度遠心分離により乳酸菌体を集菌して、乳酸菌体を調製した。

0045

(製麹時バクテリオシン添加効果の検証)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液或いは滅菌水10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにて43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、うま味を評価した。評価は直接、2つの対象品をなめることにより比較する2点嗜好法によって行なった。
その結果、20名中19名が製麹時に実施例2で調製した培養液(ナイシン含有)を添加した豆板醤のうま味が勝っていると評価した(参考:優位水準0.1%以上、統計的官能検査法(佐信著、日科技連出版社、1985年初版ISDN4-8171-9011-6、315頁)。

0046

(除菌された空気の検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液10ml、種麹(ビオック社製、味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合し、密閉されるラボ製麹機に盛込み、30℃、90%RHにて43時間製麹した。製麹中の発酵熱除熱には、フィルターを通して除菌した空気を用い製麹中は、手入れの際を除いて、密閉された状態の製麹機内で製麹した。或いは、製麹中の発熱の除熱に、外気を用いて行い(ラボ製麹機のフィルターをはずして外気を供給した。)、手入れは製麹開始後10時間毎に2分間行った。各々得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液を300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加えて混合し、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例4と同様に直なめによりうま味を評価した。その結果、20名中20名が除菌した空気を用いた豆板醤のうま味が勝っていると評価した(優位水準0.1%以上)。

0047

(1段階目発酵熟成における食塩濃度の検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにて43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml、及び食塩20g(食塩濃度約1.8%)或いは200g(食塩濃度約15.4%)加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填し、このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った。固体麹あたりの唐辛子量及び食塩量を同じくらいにするために、1段階目発酵熟成時に食塩を20g添加した実験区には、諸味全量に滅菌唐辛子を1920g、食塩を180g加え混合し、1段階目発酵熟成時に食塩を200g添加した実験区には、諸味全量に滅菌唐辛子を1920g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤中の可溶化窒素あたりの遊離グルタミン酸量を測定したところ、食塩20g添加した実験区では0.65%、食塩200g添加した実験区では0.22%であった。更に、出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例4と同様に直なめによりうま味を評価した。
その結果、20名中20名が1段階目発酵熟成時に食塩を20g添加した実験区、すなわち食塩量を制御して1段階目発酵熟成を行なった豆板醤のうま味が勝っていると評価した(優位水準0.1%以上)。

0048

(2段階目発酵熟成における食塩濃度の検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにて43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92mlを加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填し、このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し滅菌した唐辛子を1200g(食塩濃度約0%)、或いは滅菌した唐辛子を1200gと食塩を50g(食塩濃度約2.8%)混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例4と同様に直なめによりうま味を評価した。
その結果、20名中20名が2段階目発酵熟成時に食塩を添加した豆板醤のうま味が勝っていると評価した(優位水準0.1%以上)。
また、豆板醤中の食塩濃度をあわせる目的で2段階目発酵熟成時に食塩を添加しなかった実験区に食塩を50g添加して同様に官能評価を実施したが、やはり20名中20名が2段階目発酵熟成時に食塩を添加した豆板醤のうま味が勝っており、更に味のまとまりがよく好ましいと評価した(優位水準0.1%以上)。

0049

(製麹温度の検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、90%RHにして43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。製麹温度は20〜40℃の各条件を検討した。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、直なめによりうま味を評価した。評価は5点満点で行い、優位水準1%以上で3点以上となる条件を好ましい温度とした。
判断基準:5点・・・非常に強いうま味を感じ、官能的にも好ましい
4点・・・強いうま味を感じ、官能的にも好ましい
3点・・・うま味を感じ、官能的にも好ましい
2点・・・うま味を感じるが官能的に異風味を感じる
1点・・・うま味をあまり感じないがコントロールよりはうま味を感じる
0点・・・コントロールとして、実施例4でバクテリオシン乳酸菌培養無添加(ナイシン無添加)で製麹した豆板醤を用いた。

0050

0051

その結果、製麹温度条件は、20〜40℃でコントロールより好ましいことが判明したが、25〜35℃の範囲でより好ましいことが判明した。

0052

(2段階目発酵熟成温度の検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにして43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを20〜50℃の各条件で7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例8と同様に直なめによりうま味を評価した。

0053

0054

その結果、1段階目発酵熟成温度は、20〜50℃でコントロールよりも好ましいことが判明した。

0055

(1段階目発酵熟成期間の検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにして43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃で3〜60日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例8と同様に直なめによりうま味を評価した。

0056

0057

その結果、1段階目発酵熟成期間は3日の段階でコントロールより好ましいことが判明したが、4〜50日間でより好ましいことがわかった。

0058

(2段階目発酵熟成温度の検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにして43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃で7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を20〜50℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例8と同様に直なめによりうま味を評価した。

0059

0060

その結果、2段階目発酵熟成温度は、20〜50℃でコントロールよりも好ましいことが判明し、かつ25〜45℃でより好ましいことが判明した。

0061

(2段階目発酵熟成期間の検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにして43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃で7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を30℃、1〜180日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例8と同様に直なめによりうま味を評価した。

0062

0063

その結果、1段階目発酵熟成期間は1日の段階でコントロールより好ましいことが判明したが、3〜180日間でより好ましいことがわかった。

0064

(第1段階目発酵と第2段階目発酵の統合検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにて43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹を用いて以下の2つの条件を検討した。
条件1:得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml、食塩35g加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填し、このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った。諸味全量に滅菌唐辛子を1920g、食塩を180g加え混合し、この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。(1段階目発酵熟成:食塩濃度約3.0%、2段階目発酵熟成:食塩濃度約1.1%)
条件2:得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml、食塩60g(食塩濃度約1.8%)、及び滅菌唐辛子1920gを加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填し、このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った。そのまま引き続き、この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。(1段階目発酵熟成:食塩濃度約1.1%、2段階目発酵熟成:食塩濃度約1.1%)
得られた豆板醤の可溶化窒素あたりの遊離グルタミン酸含有量を測定したところ条件1は0.65%、条件2は0.72%であった。いずれも、実施例19に記載の四川豆板醤の値を上回っていた。

0065

(ナイシン添加量の検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、ナイシン乳酸菌培養液10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。なお本検討で用いたナイシン乳酸菌培養液は、実施例3で調製した菌体を用いて菌体濃度がソラマメ1gあたり108cfuになるように調製し、実施例1で調製したナイシン粉末を溶解させることによりナイシン濃度がソラマメ1gあたり0、10、100、1,000或いは10,000IUとなるように調製した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにて43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml、塩蔵唐辛子を1920g加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行い、そのまま続けて30℃、30日間保温する2段階目発酵熟成を行なった。
発酵熟成後の豆板醤中の芽胞菌量を測定したところ、製麹時にナイシン濃度無添加区では芽胞菌が105コ/g検出されたが、その他の条件では検出されなかった。このことより、製麹時にナイシンが必要であることがわかった。

0066

(乾燥ソラマメでの検討)
乾燥ソラマメ1kgに4Lの水を添加し、1晩水で浸漬した後、蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液或いは滅菌水10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにて43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例4と同様に直なめによりうま味を評価した。
その結果、20名中19名が製麹時にナイシンを添加した豆板醤のうま味が勝っていると評価した(優位水準0.1%以上)。このことから乾燥ソラマメを用いた検討でも、好ましい結果が得られることが判明した。

0067

(大豆での検討)
大豆1kgに600gの水を添加し、室温で3時間吸水させた後、蒸気釜にて114℃、40分蒸煮した。蒸煮大豆1kg、実施例2で調製した培養液或いは滅菌水10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにて43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例4と同様に直なめによりうま味を評価した。
その結果、20名中19名が製麹時にナイシンを添加した豆板醤のうま味が勝っていると評価した(優位水準0.1%以上)。このことから大豆を用いた検討でも、好ましい結果が得られることが判明した。

0068

(大豆、ソラマメ混合状態での検討)
皮むきしたソラマメ0.5kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。また、大豆0.5kgに300gの水を添加し、室温にて3時間吸水させた後、蒸気釜にて114℃、40分蒸煮した。蒸煮ソラマメ、蒸煮大豆各0.5kg、実施例2で調製した培養液或いは滅菌水10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにて43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例4と同様に直なめによりうま味を評価した。
その結果、20名中19名が製麹時にナイシンを添加した豆板醤のうま味が勝っていると評価した(優位水準0.1%以上)。このことから大豆、そら豆を用いた検討でも、好ましい結果が得られることが判明した。

0069

(唐辛子の種類の検討)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液或いは滅菌水を10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにて43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml、及び食塩20g(食塩濃度約1.8%)加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填し、このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った。諸味全量に滅菌唐辛子を1920g、食塩を180g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。滅菌唐辛子は牛角型唐辛子又は角型唐辛子又は天鷹椒又は天椒を用いた。
出来上がった豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、実施例4と同様に直なめによりうま味を評価した。
その結果、製麹時にナイシンを添加した豆板醤のうま味が勝っていた(2点嗜好法で評価。牛角型唐辛子の場合:20名中19名が製麹時に実施例2で調製した培養液(ナイシン含有)を添加した豆板醤を好ましいと評価した。優位水準0.1%以上。羊角型唐辛子の場合:20名中18名が製麹時に実施例2で調製した培養液(ナイシン含有)を添加した豆板醤を好ましいと評価した。優位水準0.1%以上。天鷹椒の場合:20名中17名が製麹時に実施例2で調製した培養液(ナイシン含有)を添加した豆板醤を好ましいと評価した。優位水準1%以上。朝天椒の場合:20名中18名が製麹時に実施例2で調製した培養液(ナイシン含有)を添加した豆板醤を好ましいと評価した。優位水準0.1%以上)。
この結果より、特に唐辛子の種類によらず製麹時ナイシン等のバクテリオシン添加の効果があることがわかった。

0070

(四川豆板醤との比較)
皮むきしたソラマメ1kgを蒸気釜にて121℃、5分蒸煮した。蒸煮ソラマメ1kg、実施例2で調製した培養液10ml、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.1gを滅菌ビニール袋にいれてよく混合した。混合物を麹フタに移し、30℃、90%RHにて43時間製麹した(二葉科学社製、恒温恒室槽)。手入れは製麹開始後17時間後、24時間後、38時間後に行った。1番手入れ後に麹フタを少しあけ水分が蒸発するようにして製麹した。得られた固体麹800gに、実施例2で調製した培養液300ml、酵母(ビオック社製、強力味噌用酵母)1.92ml加え混合した後、チョッパー(株式会社日本キャリア工業社製、ゴールデンチョッパーGM−D)により粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃、7日間保温し1段階目発酵熟成を行った後、パウチ500gに対し塩蔵牛角唐辛子を1200g加え混合した。この諸味を30℃、30日間保温し2段階目発酵熟成を行なった。
出来上がった試作豆板醤、購入した半年もの四川豆板醤(商品タイプ名:ピーシェントーバンブランド名:娟豆瓣醤。四川省ピ県豆板股分有限公司製。本発明において「半年もの豆板醤」は、特に限定がなければこの豆板醤を意味する)、及び購入した3年もの豆板醤(商品タイプ名:ピーシェントーバン、ブランド名:娟城 豆瓣醤。四川省ピ県豆板股分有限公司製。本発明において「3年もの豆板醤」は、特に限定がなければこの豆板醤を意味する)の理化学分析を行った。その結果を表6に示す。

0071

0072

その結果は、色度は、試作豆板醤がもっとも赤色に近かった。また、半年もの豆板醤及び3年もの豆板醤からは芽胞菌が検出されたが、試作豆板醤からは検出されなかった。
また、試作豆板醤を80℃ウオーターバスに13分間保温し、殺菌して豆板醤の官能評価を行った。20名からなる専門パネラーにより、直なめによりうま味を評価した。
評価基準:5点・・・非常に強いうま味を感じ、官能的にも好ましい。
4点・・・強いうま味を感じ、官能的にも好ましい
3点・・・うま味を感じ、官能的にも好ましい
2点・・・うま味を感じるが官能的に異風味を感じる
1点・・・うま味をあまり感じない
その結果を表7に示す。

0073

0074

その結果、試作豆板醤のうま味が最も強いことがわかった。

0075

メニュー系での評価 〜麻婆豆腐)
実施例19で作製した試作豆板醤、半年もの豆板醤、及び3年もの豆板醤を用いて、麻婆豆腐を試作した。レシピ:材料豆腐400g、ひき肉80g、長ネギ30g、しょうが15g、にんにく3g、豆板醤10g、醤油大さじ1、砂糖小さじ1、酒小さじ1、鶏がらスープ150g、油大さじ1、片栗粉大さじ1(水65gで溶く)、山椒適量。作り方:しょうが、にんにく、長ネギはあらかじめみじん切りにした。豆腐は2センチ角の賽の目に切った。フライパンに油を入れ、中火で加熱し、ひき肉を軽く炒め、弱火にして、しょうが、にんにく、豆板醤を入れさらに炒めた。スープ、調味料(醤油、砂糖、酒)を加えた後、豆腐を加え、弱火で煮た。豆腐に火が通ったら長ねぎを入れ、水溶き片栗粉を入れ一煮立ちさせ、とろみをつけた。
豆板醤は可溶化窒素が同じになる分量添加した。また、メニューに添加する食塩量を調整して、いずれの豆板醤を用いた場合でもメニュー中の塩分濃度が同一になるように調整した。
出来上がった、麻婆豆腐のうま味を20名の専門パネラーにて実施例19と同様に評価した。その結果を表8に示す。

0076

0077

その結果試作豆板醤使用品はうま味において最も好ましいことがわかった。

0078

(メニュー系での評価 〜麻婆春雨)
実施例19で作製した試作豆板醤、半年もの豆板醤、及び3年もの豆板醤を用いて、麻婆春雨を試作した。レシピ:材料薄切り肉300g、春雨 100g、長ねぎ 1カップ、にんにく 適量、しょうが 適量、鶏がらスープの素小さじ1、湯 カップ1、豆板醤大さじ1と1/2、サラダ油適量、ゴマ油適量。作り方:牛肉は食べやすい大きさに切り、醤油・酒・胡椒・ゴマ油少々えで下味をつけた。春雨は熱湯で2,3分固めに茹でて水にさらし、食べやすい長さに切った。ネギは荒みじん、ニンニクショウガはみじん切りに刻んだ。フライパンにサラダ油を熱し、牛肉を炒める。肉の色が変わったら春雨を加えて混ぜ、鶏がらスープの素を溶かしたお湯を加えた。煮立ったところへ、豆板醤を加えて混ぜ、仕上げにゴマ油をまわしかけた。豆板醤は可溶化窒素が同じになる分量添加した。また、メニューに添加する食塩量を調整して、いずれの豆板醤を用いた場合でもメニュー中の塩分濃度が同一になるように調整した。
出来上がった、麻婆春雨のうま味を20名の専門パネラーにて実施例19と同様に評価した。その結果を表9に示す。

0079

0080

その結果試作豆板醤使用品はうま味において最も好ましいことがわかった。

0081

(メニュー系での評価 〜麻婆茄子)
実施例19で作製した試作豆板醤、半年もの豆板醤、及び3年もの豆板醤を用いて、麻婆茄子を試作した。レシピ:材料 なす 6本、豚ひき肉120g、コーン油少々、合わせ調味料A(酒小さじ2、胡椒少々)、B(ねぎ 1/4本、しょうが 2/3片分、にんにく1片(各微塵切り))、豆板醤 小さじ1と1/2、合わせ調味料B(水カップ2/3、鶏がらスープ小さじ1、しょうゆ大さじ1と1/2、酒 大さじ2、砂糖小さじ2、胡椒 少々)、水溶き片栗粉(片栗粉大さじ1、水 大さじ1)、ごま油小さじ2。作り方:なすは縦8等分に切った。豚ひき肉は合わせ調味料Aで下味をつけた。中華なべに油を適量熱し、豚ひき肉、Bを入れて炒め、パラパラになったらなすを加えて更に炒めた。豆板醤を入れてサッと炒め、Cを加えて、煮込んだ。水溶き片栗粉でトロミをつけ、ごま油を加え、仕上げた。豆板醤は可溶化窒素が同じになる分量添加した。また、メニューに添加する食塩量を調整して、いずれの豆板醤を用いた場合でもメニュー中の塩分濃度が同一になるように調整した。
出来上がった、麻婆茄子のうま味を20名の専門パネラーにて実施例19と同様に評価した。その結果を表10に示す。

0082

0083

その結果試作豆板醤使用品はうま味において最も好ましいことがわかった。

0084

(メニュー系での評価 〜魚香茄子)
実施例19で作製した試作豆板醤、半年もの豆板醤、及び3年もの豆板醤を用いて、魚香茄子を試作した。レシピ:材料 茄子250g、豚モモ肉50g、卵白1個分、泡椒 6g、豆板醤 30g、にんにく 4g、ネギ4.5g、サラダ油20g、酒 8g、砂糖6g、水 6g、水溶き片栗粉6g、醤油14g、ゴマ油4.8g。作り方:豚モモ肉は棒状にカットした後、塩を加えてよく混ぜた後、卵白で和えて低温の油で揚げた。茄子は棒状にカットし、低温の油でじっくり揚げた。ネギは千切りにした。弱火でネギ、にんにく、泡菜を炒める。香りがでたら豆板醤を炒めた。下ごしらえをした肉、茄子、水、酒、醤油、砂糖を加え、さらに炒めた。水溶き片栗粉を加え、とろみ付けをし、最後にゴマ油をまわしいれた。豆板醤は可溶化窒素が同じになる分量添加した。また、メニューに添加する食塩量を調整して、いずれの豆板醤を用いた場合でもメニュー中の塩分濃度が同一になるように調整した。
出来上がった、魚香茄子のうま味を20名の専門パネラーにて実施例19と同様に評価した。その結果を表11に示す。

0085

0086

その結果試作豆板醤使用品はうま味において最も好ましいことがわかった。

0087

(麻棒豆腐の殺菌条件の検討:一定殺菌条件下での芽胞菌数の比較)
実施例20で調理した麻婆豆腐を各々レトルトパウチに150g加えて、120℃で4分間加熱殺菌した。その結果、試作豆板醤を使用した麻婆豆腐からは芽胞菌は検出されなかったが、半年もの豆板醤及び3年もの豆板醤を使用した麻婆豆腐からでは完全殺菌できなかった。

0088

(麻棒豆腐の殺菌条件の検討:芽胞菌が検出されない殺菌条件)
実施例20で調理した麻婆豆腐を各々レトルトパウチに150g加えて120℃で加熱殺菌した。完全殺菌できた条件は各々本発明の豆板醤は120℃で4分、半年ものは120℃で12分以上、3年もので120℃で12分以上であった。芽胞菌が検出されない条件で殺菌した麻婆豆腐のうま味を20名の専門パネラーにて評価した結果、全員に試作豆板醤が好まれた。

0089

(殺菌された豆板醤を使用した麻棒豆腐の比較)
半年もの豆板醤及び3年もの豆板醤を各々レトルトパウチに150g加えて120℃で殺菌した。完全殺菌できた条件は半年もの、3年もの共、120℃で12分以上であった。次に実施例19で試作した実質的に殺菌状態にある豆板醤及び殺菌した半年もの豆板醤、及び殺菌した3年もの豆板醤を用いて実施例20と同様に麻婆豆腐を調理した。麻婆豆腐のうま味を20名の専門パネラーにて評価した結果、全員に試作豆板醤が好まれた。

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