図面 (/)

技術 作業工具

出願人 株式会社マキタ
発明者 佐々木克彦
出願日 2005年3月18日 (14年5ヶ月経過) 出願番号 2005-080474
公開日 2006年9月28日 (12年10ヶ月経過) 公開番号 2006-255866
状態 特許登録済
技術分野 研削盤の構成部分、駆動、検出、制御 仕上研磨、刃砥ぎ、特定研削機構による研削
主要キーワード 球体保持 右回転用 ネジ締め工具 左回転用 平面カム 後ろ半分 ボール保持孔 断面弧状
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2006年9月28日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (16)

課題

駆動側回転部材と被動側回転部材同期回転を維持するべく保持力を付加する同期回転保持部の配置位置に関し、自由度を高める技術を提供する。

解決手段

駆動側回転部材121と、駆動側回転部材の回転軸線を貫通した状態で当該駆動回転部材相対回動可能に嵌合された被動側回転部材123とを有し、駆動側回転部材の回転力動力伝達部121aと動力受部153の当接状態を介して被動側回転部材123に伝達される。作業工具本体107には、同期回転するときには、当該被動側回転部材の回転を許容し、被動側回転部材が駆動側回転部材に対して相対回動したときには、当該被動側回転部材の回転を固定するロック部材165が設けられる。その保持力を超える外力が被動側回転部材に作用したときには、駆動側回転部材に対する当該被動側回転部材の相対回動を許容する同期回転保持部171を有する。

概要

背景

特開平11−72122号公報(特許文献1)には、工具交換を容易にするためのスピンドルロック機構を備えた手持ち式電動ネジ締め工具が開示されている。このネジ締め工具では、駆動側回転部材としての駆動軸と被動側回転部材としてのスピンドル軸継手を介して連接されている。軸継手は、駆動軸側から回転力が入力された場合には、駆動側軸継手の爪部が被動側軸継手の爪部に周方向において当接し、これによって駆動軸の回転力をスピンドルに伝達するが、スピンドル側から回転力(外力)が入力された場合には、被動側軸継手とハウジングに固定されたロックリングとの間にロック部材が噛み付き、これによって被動軸の回転が固定される構成である。このような構成のスピンドルロック機構を備えた電動ネジ締め工具によれば、工具交換する際にスピンドルの回転をわざわざロックする必要がなく、工具交換を容易に行うことができる。
上記形式のスピンドルロック機構の場合、駆動側軸継手の爪部と被動側軸継手の爪部が互いに当接する位置と、ロック部材が被動側軸継手とロックリング間に噛み付く位置との間には、周方向に所定の遊びが必要となる。このため、スピンドルの回転駆動中において、被動側の回転負荷の変化(増減)によってスピンドルの回転が駆動軸の回転よりも速くなったり遅くなったりする。すなわち、上記の遊びに伴いスピンドルと駆動軸との間に相対回動が生じ、その結果、駆動側軸継手の爪部と被動側軸継手の爪部との間で離間動作当接動作が繰り返されて振動あるいは異音が発生することになる。このことに鑑み、特許文献1では、駆動側軸継手と被動側軸継手との間に、両軸継手の相対回動を抑える、すなわち両軸継手の同期回転を維持するように制動力保持力)を付加する制動部を設けている。

しかしながら、特許文献1の場合、駆動側軸継手と被動側軸継手が軸方向において互いに対向するように配置され、その対向端部において、両軸継手の爪部が周方向で互いに当接して動力の伝達がなされる構成である。このため、駆動側軸継手と被動側軸継手との同期回転を維持するべく制動力を付加する制動部の配置位置が爪部の当接領域と同じ領域に制約されてしまう。すなわち、特許文献1の構成では、制動部の配置位置に関する自由度が低いものであり、かかる点でなお改良の余地がある。
特開平11−72122号公報

概要

駆動側回転部材と被動側回転部材の同期回転を維持するべく保持力を付加する同期回転保持部の配置位置に関し、自由度を高める技術を提供する。駆動側回転部材121と、駆動側回転部材の回転軸線を貫通した状態で当該駆動回転部材に相対回動可能に嵌合された被動側回転部材123とを有し、駆動側回転部材の回転力は動力伝達部121aと動力受部153の当接状態を介して被動側回転部材123に伝達される。作業工具本体107には、同期回転するときには、当該被動側回転部材の回転を許容し、被動側回転部材が駆動側回転部材に対して相対回動したときには、当該被動側回転部材の回転を固定するロック部材165が設けられる。その保持力を超える外力が被動側回転部材に作用したときには、駆動側回転部材に対する当該被動側回転部材の相対回動を許容する同期回転保持部171を有する。

目的

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、回転式先端工具を備えた作業工具において、駆動側回転部材と被動側回転部材の同期回転を維持するべく保持力を付加する同期回転保持部の配置位置に関し、自由度を高める上で有効な技術を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

作業工具本体に配置されて駆動源によって回転される駆動側回転部材と、前記作業工具本体に配置されるとともに前記駆動側回転部材の回転軸線を貫通した状態で当該駆動回転部材同軸にて回動可能に嵌合された被動側回転部材と、前記被動側回転部材に径方向に突出状に設けられた動力受部と、前記駆動側回転部材とともに回転し、前記動力受部に当接して当該駆動側回転部材の回転力を前記被動側回転部材に伝達する動力伝達部と、前記被動側回転部材を介して回転駆動されることで所定の加工作業遂行する先端工具と、前記作業工具本体に設けられ、前記駆動側回転部材と前記被動側回転部材が前記動力伝達部と前記動力受部との当接状態を介して同期回転するときには、当該被動側回転部材の回転を許容し、前記被動側回転部材が前記駆動側回転部材に対して相対回動したときには、当該被動側回転部材の回転を固定するロック部材と、を有し、前記駆動側回転部材と前記被動側回転部材が前記動力伝達部と前記動力受部との当接状態を介しての同期回転を維持するように、当該駆動側回転部材と被動側回転部材に対して相対回動を抑えるべく保持力を付加し、前記被動側回転部材に前記保持力を超える周方向外力が作用したときには、前記駆動側回転部材に対する当該被動側回転部材の相対回動を許容する同期回転保持部が備えられていることを特徴とする作業工具。

請求項2

請求項1に記載の作業工具であって、前記駆動側回転部材の軸方向の一端側に前記動力伝達部と前記動力受部が配置され、前記駆動側回転部材の軸方向の他端側に前記同期回転保持部が配置されていることを特徴とする作業工具。

請求項3

請求項1に記載の作業工具であって、前記動力伝達部、前記動力受部および前記同期回転保持部が、前記駆動側回転部材の軸方向の一端側において概ね同一平面上に位置するように配置されていることを特徴とする作業工具。

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載の作業工具であって、前記同期回転保持部は、前記被動側回転部材の軸方向において互いに対向状に配置された第1および第2の部材を有し、それら第1および第2の部材は、周方向の相対移動に対して抵抗力が作用する抵抗部を介して互いに連接され、これによって前記駆動側回転部材と前記被動側回転部材に対して相対回動を抑える保持力が付与される構成としたことを特徴とする作業工具。

技術分野

0001

本発明は、例えばディスクグラインダのように、先端工具回転運動を利用して加工作業を行う作業工具に関する。

背景技術

0002

特開平11−72122号公報(特許文献1)には、工具交換を容易にするためのスピンドルロック機構を備えた手持ち式電動ネジ締め工具が開示されている。このネジ締め工具では、駆動側回転部材としての駆動軸と被動側回転部材としてのスピンドル軸継手を介して連接されている。軸継手は、駆動軸側から回転力が入力された場合には、駆動側軸継手の爪部が被動側軸継手の爪部に周方向において当接し、これによって駆動軸の回転力をスピンドルに伝達するが、スピンドル側から回転力(外力)が入力された場合には、被動側軸継手とハウジングに固定されたロックリングとの間にロック部材が噛み付き、これによって被動軸の回転が固定される構成である。このような構成のスピンドルロック機構を備えた電動ネジ締め工具によれば、工具交換する際にスピンドルの回転をわざわざロックする必要がなく、工具交換を容易に行うことができる。
上記形式のスピンドルロック機構の場合、駆動側軸継手の爪部と被動側軸継手の爪部が互いに当接する位置と、ロック部材が被動側軸継手とロックリング間に噛み付く位置との間には、周方向に所定の遊びが必要となる。このため、スピンドルの回転駆動中において、被動側の回転負荷の変化(増減)によってスピンドルの回転が駆動軸の回転よりも速くなったり遅くなったりする。すなわち、上記の遊びに伴いスピンドルと駆動軸との間に相対回動が生じ、その結果、駆動側軸継手の爪部と被動側軸継手の爪部との間で離間動作当接動作が繰り返されて振動あるいは異音が発生することになる。このことに鑑み、特許文献1では、駆動側軸継手と被動側軸継手との間に、両軸継手の相対回動を抑える、すなわち両軸継手の同期回転を維持するように制動力保持力)を付加する制動部を設けている。

0003

しかしながら、特許文献1の場合、駆動側軸継手と被動側軸継手が軸方向において互いに対向するように配置され、その対向端部において、両軸継手の爪部が周方向で互いに当接して動力の伝達がなされる構成である。このため、駆動側軸継手と被動側軸継手との同期回転を維持するべく制動力を付加する制動部の配置位置が爪部の当接領域と同じ領域に制約されてしまう。すなわち、特許文献1の構成では、制動部の配置位置に関する自由度が低いものであり、かかる点でなお改良の余地がある。
特開平11−72122号公報

発明が解決しようとする課題

0004

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、回転式の先端工具を備えた作業工具において、駆動側回転部材と被動側回転部材の同期回転を維持するべく保持力を付加する同期回転保持部の配置位置に関し、自由度を高める上で有効な技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、作業工具本体に配置されて駆動源によって回転される駆動側回転部材と、作業工具本体に配置されるとともに駆動側回転部材の回転軸線を貫通した状態で当該駆動回転部材同軸にて回動可能に嵌合された被動側回転部材と、当該被動側回転部材に径方向に突出状に設けられた動力受部と、駆動側回転部材とともに回転し、動力受部に当接して当該駆動側回転部材の回転力を被動側回転部材に伝達する動力伝達部と、被動側回転部材を介して回転駆動されることで所定の加工作業を遂行する先端工具と、を有する作業工具が構成される。本発明における「駆動源」としては、典型的には、電動モータがこれに該当するが、当該電動モータに限らず、エアモータあるいはエンジン等を広く包含する。また本発明における「作業工具」は、典型的には、先端工具としての砥石回転動作によって被加工材研削作業研磨作業を遂行するディスクグラインダがこれに該当するが、ディスクグラインダに限らず、回転動作を行う先端工具によって被加工材に対し所定の加工作業を遂行する作業工具であれば、広く適用することが可能である。

0006

本発明の作業工具は、作業工具本体に設けられ、被動側回転部材が動力伝達部と動力受部との当接状態を介して駆動側回転部材と同期して回転するときには、当該被動側回転部材の回転を許容し、被動側回転部材が駆動側回転部材に対して相対回動したときには、当該被動側回転部材の回転を固定するロック部材と、を有している。すなわち、被動側回転部材に対して当該被動側回転部材を回転させる方向に外力が作用した場合には、被動側回転部材が駆動側回転部材に対して相対回動したときに、ロック部材によって当該被動側回転部材の回転が固定される構成である。このため、例えば先端工具の交換作業時において、被動側回転部材に駆動側回転部材に対する相対回動方向の外力を作用させると、当該被動側回転部材はロック部材によって回転を固定されることになり、これによって先端工具の取り付け、取り外し作業を楽に行うことができる。ここで「同期回転」とは、駆動側回転部材と被動側回転部材が周方向のずれを伴うことなく一体に回転する状態をいう。

0007

本発明の作業工具は、駆動側回転部材と被動側回転部材が動力伝達部と動力受部との当接状態を介しての同期回転を維持するように、当該駆動側回転部材と被動側回転部材に対して相対回動を抑えるべく保持力を付加し、被動側回転部材に保持力を超える周方向の外力が作用したときには、駆動側回転部材に対する当該被動側回転部材の相対回動を許容する同期回転保持部が備えられている。本発明によれば、所定の加工作業を遂行するべく先端工具が駆動されている状態において、被動側回転部材の回転負荷の変化(増減)によって被動側回転部材の回転が駆動側回転部材の回転よりも速くなる、すなわち先行しようとしても、その動きが同期回転保持部の保持力によって抑えられる。その結果、動力伝達部と動力受部との当接状態が維持されて駆動側回転部材と被動側回転部材との同期回転が維持される。これにより、動力伝達部と動力受部との間で離間動作と当接動作が繰り返されることによる振動あるいは異音の発生が防止される。

0008

ところで、駆動側回転部材と被動側回転部材が互いに対向する軸端部間で回転力を伝達する構成の従来装置であれば、同期回転保持部の配置位置が軸端部間に限られることとなる。しかるに、本発明によれば、被動側回転部材が駆動側回転部材を貫通する構成としているため、駆動側回転部材と被動側回転部材との間に同期回転保持部を設けるに際し、当該同期回転保持部の配置位置が駆動側回転部材と被動側回転部材の軸方向における任意の位置に設定することが可能とされる。すなわち、本発明によれば、同期回転保持部の配置位置に関して自由度を得ることができる。また被動側回転部材が駆動側回転部材を貫通する構成のため、両回転部材の嵌め合いによって軸相互の芯だしが可能となる。その結果、ハウジングへの組み付けに当っては、芯だしが不要となって組付け性が向上する。更には被動側回転部材が駆動側回転部材を貫通する構成としたことにより、被動側回転部材を軸方向の両側において軸受によって支持する、いわゆる両持ちによる支持構造とすることが可能となる。そして両持ちによる支持構造とすれば、駆動側回転部材と被動側回転部材間の回転力伝達を軸受間で安定した状態で行うことができる。

0009

(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の作業工具において、駆動側回転部材の軸方向の一端側に動力伝達部と動力受部が配置され、駆動側回転部材の軸方向の他端側に保持部が配置された構成とされる。かかる構成によれば、駆動側回転部材の回転力を被動側回転部材に伝達する機構の配置領域と、駆動側回転部材と被動側回転部材との相対回動を抑える同期回転保持部の配置領域を、駆動側回転部材の軸方向の異なる端部を利用して設定できるため、それぞれにつき広いスペースを用いて組付けることが可能となって組付け性の向上に有効とされる。

0010

(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の作業工具における動力伝達部、動力受部および同期回転保持部が、駆動側回転部材の軸方向の一端側において概ね同一平面上に位置するように配置された構成とされる。かかる構成としたときは、軸方向長さの短縮化を図る上で有効とされる。

0011

(請求項4に記載の発明)
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の作業工具における同期回転保持部は、被動側回転部材の軸方向において互いに対向状に配置された第1および第2の部材を有し、それら第1および第2の部材は、周方向の相対移動に対して抵抗力が作用する抵抗部を介して互いに連接され、これによって駆動側回転部材と被動側回転部材に対して相対回動を抑える保持力が付与される構成としている。本発明における「周方向の相対移動に対して抵抗力が作用する抵抗部を介して互いに連接される」とは、対向状に配置される第1の部材と第2の部材が、凸部と凹部との係合によって抵抗力を付与する態様、対向状に配置される第1の部材と第2の部材が、互いに弾発状に弾性付勢された状態での摩擦接触によって抵抗力を付与する態様、対向状に配置される第1の部材と第2の部材をゴムバネ等の弾性体を介して連接し、当該弾性体の弾性変形によって抵抗力を付与する態様、等広く包含する。

発明の効果

0012

本発明によれば、回転式の先端工具を備えた作業工具において、駆動側回転部材と被動側回転部材との同期回転を維持するべく保持力を付加する同期回転保持部の配置位置に関し、自由度を高める上で有効な技術が提供されることとなった。

発明を実施するための最良の形態

0013

(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態につき、図1図13を参照しつつ、詳細に説明する。本実施の形態では、作業工具の一例として、金属、コンクリート石材等の各種被加工材の研削作業あるいは研磨作業に用いられる手持ち式の電動ディスクグラインダを用いて説明する。図1には電動ディスクグラインダ101の全体構成が縦断面図によって示されている。なお便宜上、図1では後側(図示右側)の一部を省略している。図2動力伝達機構部を示す縦断面図である。図3は動力伝達機構部の断面構造を示す図であり、図2の断面指示線(A−A線、B−B線)に基づく断面構造が上段下段にそれぞれ示され、また左側から右側に向って各断面構造部分の作動態様が順次示されており、(I)は加工作業時、(II)は砥石の取り外し時、(III)は砥石の取り付け時を示す。また図4図13はそれぞれ動力伝達機構部の各構成部品を示す部品図であり、図4図6ギアを示し、図7および図8はスピンドルを示し、図9および図10ロックカムを示し、図11および図12はロックリングを示し、図13リーフスプリングを示している。

0014

図1に示すように、電動ディスクグラインダ101は、長軸方向を前後方向(図示左右方向)とするものであって、モータハウジング105およびギアハウジング107からなる本体部103によって外郭が構成されている。本体部103は本発明における「作業工具本体」に対応する。モータハウジング105は、概ね円筒形状に形成され、当該モータハウジング105内には、駆動モータ111が収容されている。駆動モータ111は、本発明における「駆動源」に対応する。駆動モータ111は、その回転子113の回転軸線方向が電動ディスクグラインダ101の長軸方向となるように配置されている。駆動モータ111のモータ軸115の前端部側(図示左側)には、小ベベルギア117が取り付けられるとともに、冷却ファン119が当該モータ軸115と一体回転するように取り付けられている。なお本実施の形態においては、駆動モータ111の回転方向は、一方向に定められている。

0015

モータハウジング105の前端部に連接されるギアハウジング107内には、駆動モータ111の回転出力を砥石141に伝達する動力伝達機構部109が収容されている。砥石141は、本発明における「先端工具」に対応する。図2に示すように、動力伝達機構部109は、小ベベルギア117(図1参照)、ギア121、スピンドル123、ロックカム151を主体として構成される。ギア121は、本発明における「駆動側回転部材」に対応し、スピンドル123は、本発明における「被動側回転部材」に対応する。なお駆動モータ111によって駆動されるギア121は、図3に示す矢印方向(右回転)に回転されるものとする。

0016

ギア121は、外周領域に小ベベルギア117(図1参照)と常時に噛み合い係合する歯を有し、その軸方向が駆動モータ111の回転軸線に直交する方向、すなわち上下方向となるように配置される。スピンドル123は、ギア121の軸孔を貫通して同心状に配置されるとともに、当該ギア121に相対回転可能に嵌合されている。スピンドル123は、上下に延在されるとともに、その上下部においてそれぞれ軸受125,126(図1参照)を介してギアハウジング107に回転自在に支持された両持ちによる支持構造とされる。

0017

図1に示すように、スピンドル123の先端(下端)は、ギアハウジング107の下面から突出され、その突出端部には二面幅ネジ部を有する砥石装着部131が形成されている。そして砥石装着部131には、砥石141が内側(砥石上面側)と外側(砥石下面側)の取付フランジ133,135を介して上下方向から挟み込むようにして着脱自在に装着される。砥石141の上面側に位置する内側の取付フランジ133は、砥石装着部131に二面幅を介して相対回動不能に取り付けられ、下面側に位置する外側の取付フランジ135をネジ部にねじ込むことで砥石141を取り付ける構造である。外側の取付フランジ135は、ネジ孔を有する部材であり、スピンドル123の回転方向と逆方向が締まり方向となるように設定される。つまり砥石141の回転駆動時に締まり勝手となるように設定されている。なお砥石141の後ろ半分は、カバー143によって覆われている。

0018

ロックカム151は、図9および図10に示すように、スプライン孔151aを有する概ね円筒形に形成され、ギア121の軸方向の一端部である下面側に、当該ギア121と同心状に配置されている。ロックカム151はスピンドル123に形成されたスプライン軸部123aとスプライン嵌合により連結され、これによりスピンドル123と一体に回転する構成とされる。なおギア121およびロックカム151は、図2に示すように、下部側の軸受126と、スピンドル123にサークリップ157を介して取り付けられたワッシャ159とによってスピンドル123に対する軸方向の移動が規制されている。ロックカム151は、その外周面において、互いに周方向に180度の位相差を有する2個の爪部153と、この爪部153に対して周方向にそれぞれ90度の位相差を有する(したがって互いには180度の位相差を有する)2個の平面カム部155を備えている。爪部153は、径方向に所定長さで突出する態様で設けられ、平面カム部155は、互いに平行をなす平面によって形成されている。なおロックカム151の爪部153は、ギア121に設けられる動力伝達用としての2つの爪部121a(図5および図6参照)から回転力を受けてスピンドル123に伝達するべく設けられており、この回転力の伝達構成については、後述する。

0019

図1図2および図3に示すように、ギア121と下部の軸受126との間であって、かつロックカム151の外周には円形のロックリング161が配置されている。ロックリング161は、外周に径方向に突出する複数の突起161a(図11および図12参照)を有し、この突起161aがギアハウジング107の内壁面に当該突起161aに対応して形成された凹部107a(図1参照)と係合されることによって周方向の動きが規制されている。ロックリング161はロックカム151の爪部153を含む領域の外径よりもやや大きい内径内周面を有し、当該内周面とロックカム151の外周面との間、および平面カム部155との間にそれぞれ所定の隙間156が形成されている(図3参照)。

0020

ロックリング161の内周面とロックカム151の平面カム部155との間の隙間156には、図3に示すように、円柱形状に形成された転動体165が配置されている。転動体165は本発明における「ロック部材」に対応する。ロックカム151の平面カム部155とロックリング161の内周面とによって形成される隙間156の径方向間隔は、平面カム部155の周方向中央部において最大となり、端部において最小となる。転動体165の外径は、隙間156の最大間隔よりも小さく、最小間隔部よりも大きく設定されている。このため、転動体165は、隙間156の最大間隔部に位置した状態(図3の(I)に示す状態)では、スピンドル123の回転を許容するが、最大間隔部から遊びの領域(可動領域)を移動した状態(図3の(II)および(III)に示す状態)では、ロックカム151の平面カム部155とロックリング161の内周面間に噛み付き、これによって当該ロックカム151とロックリング161間がロック状態となり、スピンドル123の回転が固定される。すなわち、上記のロックカム151、ロックリング161および転動部材165によって、スピンドルロック機構が構成されている。

0021

前記ギア121の下面側には、当該ギア121の軸線回りに互いに90度の位相差を有する4個の爪部121a,121b(図5参照)が設けられている。各爪部121a,121bはギア121の軸方向および周方向にそれぞれ所定長さで延在する断面弧状に形成されており、図3に示すように、ロックカム151の爪部153と平面カム部155との間にそれぞれ位置するように、ロックカム151の外周面とロックリング161の内周面間の隙間に挿入した状態で配置される。ギア121側の4個の爪部121a,121bのうち、軸線を挟んで対向する2個の爪部121aの周方向の一端部(回転方向の前面側)が、ロックカム151の爪部153の周方向の一端部に当接して当該ロックカム151に矢印方向(右回り)の回転力を与え、スピンドル123を同方向に回転させる。すなわち、ギア121の爪部121aとロックカム151の爪部153とによって、ギア121の回転力をスピンドル123に伝達する回転力伝達機構が構成されている。ギア121の爪部121a,121bのうち、ロックカム151の爪部153に当接する2個の爪部121aは、本発明における「動力伝達部」に対応し、ロックカム151および爪部153は、本発明における「動力受部」に対応する。

0022

上記のように、ギア121とスピンドル123がギア121側の爪部121aとロックカム151側の爪部153との当接状態を介して回転する同期回転状態では、ギア121側の他の2個の爪部121bは、周方向の一端が転動体165に当接し、当該転動体165を隙間156の最大間隔部に保持してロックカム151とロックリング161間への噛み付きを回避する。すなわち、スピンドル123のギア121との同期回転を許容する。

0023

図3に示すように、ロックカム151の爪部153は、当該爪部153を挟んで位置するギア121の爪部121a,121bに対して周方向に所定の隙間(以下、遊びという)を有する。すなわち、ロックカム151は、ギア121に対し遊びの範囲内での周方向の相対回動が許容されている。このため、スピンドル123の回転動作中において、当該スピンドル側(被動側)の回転負荷が変化(増減)し、それに伴いスピンドル123の回転がギア121の回転に対して先行あるいは遅れたときは、ギア121側の爪部121a,121bとロックカム151側の爪部153との間で、離間動作と当接動作が繰り返され、振動あるいは異音が発生することになる。かかる現象を回避してスピンドル123とギア121の同期回転を維持するべく、ギア121とスピンドル123との相対回動を抑えるように保持力を作用する同期回転保持部171が設けられている。

0024

同期回転保持部171は、リーフスプリング173とスチールボール175(鋼球)から構成されている。リーフスプリング173は、本発明における「第1の部材」に対応し、スチールボール175は本発明における「第2の部材」に対応する。リーフスプリング173は、中央部にスプライン孔173a(図13参照)が形成された弾性材料からなる板状部材であり、ギア121の上面に対向状に配置されるとともに、スピンドル123のスプライン軸部123aとスプライン嵌合によって連結(図3参照)されている。なおリーフスプリング173は、図1および図2に示すように、スピンドル123にサークリップ157を介して取り付けられたワッシャ159により軸方向の移動が規制されている。スチールボール175は、ギア121の上面側に形成されたボール取付凹部121c(図6参照)によって保持されており、その一部がリーフスプリング173に設けたボール保持孔173bに係合することによって、スピンドル123のギア121に対する相対回動(先行する方向への回動)を抑えるべく保持力(抵抗力)を付与し、これによってギア121側の爪部121aとロックカム151側の爪部153との当接状態を維持する。

0025

本実施の形態に係る電動ディスクグラインダ101は、上記のように構成されている。次にその作用および使用方法を説明する。駆動モータ111の通電駆動により、モータ軸115、小ベベルギア117、ギア121が回転されると、図3の(I)の下段側に示すように、ギア121の2つの爪部121aがロックカム151の爪部153に当接し、当該ロックカム151に右方向の回転力を与え、スピンドル123を右回転させる。またギア121の他の2つの爪部121bが転動体165に同時に当接し、当該転動体165をロックカム151の平面カム部155とロックリング161の内周面間における隙間156の最大間隔部に保持して一体に回転させる。このため、転動体165のロックカム151とロックリング161間に対する噛み付きは生じない。このとき、図3の(I)の上段側に示すように、リーフスプリング173のボール保持孔173bにスチールボール175の一部が係合しており、ギア121の爪部121aとロックカム151の爪部153との当接状態を保持している。このため、スピンドル123とギア121は、相互の相対回動が抑えられることで同期回転状態が維持されることになり、被動側の回転負荷の変化に基づきギア121の爪部121a,121bとロックカム151の爪部153との間で離間動作と当接動作が繰り返されるといった現象の発生が回避される。

0026

次に砥石141をスピンドル123から取り外す場合につき説明する。この場合は、スピンドル123の静止状態において、ロックナットレンチ(図示省略)を用いて外側の取付フランジ135を緩めるべく右回り(スピンドル123の回転方向)に回転力を加えると、スピンドル123にスプラインを介して連結されているリーフスプリング173にその回転力が伝わる。そのとき、リーフスプリング173のボール保持孔173bにはスチールボール175が嵌り込んでおり、ギア121の爪部121aとロックカム151の爪部153の当接状態が保持されているが、ギア121は駆動モータ111のアーマチュアに連結されていて回転負荷があるため、スピンドル123とともにリーフスプリング173がギア121に対して相対的に右回りに回動する。その結果、図3の(II)に示すように、当該リーフスプリング173のスピンドル軸方向図1の上方)への弾性変形を介してボール保持孔173bからスチールボール175が抜け出る。このスピンドル123とギア121との相対回動により、当該スピンドル123とスプラインを介して連結されているロックカム151が回動し、ロックカム151の爪部153がギア121の爪部121aから離れる。すなわち、ロックカム151がギア121に対して右回りに相対回動する。この相対回動により、転動体165がギア121の爪部121bから離れ、可動領域を移動することに伴いロックカム151の平面カム部155とロックリング161の内周面との間に対して転動体165の噛み付きが発生し、スピンドル123の回転が固定される。その後は、固定状態のスピンドル123に対して取付フランジ135を右回りに回転することによって当該取付フランジ135をスピンドル123の砥石装着部131から取り外すとともに、砥石141を取り外すことができる。

0027

次に砥石141をスピンドル123に取付ける場合につき説明する。スピンドル123の静止状態(図3の(II)の状態)において、砥石141を砥石装着部131に嵌め込むとともに取付フランジ135を左回りに回転して締め付けるが、当該締め付けに伴いスピンドル123に回転力が加わると、図3の(III)に示すように、スピンドル123とともにリーフスプリング173がギア121に対して左回りに相対回動する。これによりリーフスプリング173のボール保持孔173bにスチールボール175が嵌り込む。と同時にロックカム151がスピンドル123とともにギア121に対して左回りに相対回動し、それに伴い転動体165が平面カム部155とロックリング161の内周面との間に噛み付き、スピンドル123の回動が固定される。この状態で取付フランジ135を所定の強さで締め付けることによって砥石141をスピンドル123に取付けることができる。

0028

上述したように、本実施の形態によれば、砥石141をスピンドル123から取り外す場合、あるいは取付ける場合において、スピンドル123側から回転力(外力)が入力されると、ロックカム151、ロックリング161および転動体165によって構成されるスピンドルロック機構が作動する。すなわち、スピンドル123を外部から固定操作することなく、当該スピンドル123の回転を固定できる。このため、砥石141の着脱の操作性を向上できる。

0029

また駆動モータ111の駆動により、動力伝達機構部109を介して砥石141が回転駆動されている状態においては、ギア121とスピンドル123との間には、同期回転保持部171を介して当該ギア121とスピンドル123に相対回動を抑えるべく保持力が作用する構成としている。このため、被動側の回転負荷の変動によるギア121とスピンドル123間での相対回動が規制される結果、ギア121の爪部121a,121bとロックカム151の爪部153との間での、当接と離間の繰り返しによる振動あるいは異音の発生を未然に防止することができる。

0030

さて、本実施の形態によれば、スピンドル123がギア121を貫通するとともに、当該スピンドル123の両端部を軸受125,126によって支持する、いわゆる両持ちによる支持構造である。このため、ギア121とスピンドル123間での回転力の伝達を安定した状態で行うことができる。またスピンドル123がギア121を貫通した状態で当該ギア121を相対回転可能に支持する構成である。このため、スピンドル123とギア121との嵌め合いによって当該スピンドル123とギア121相互の、いわゆる芯だしが行われることになり、その結果、スピンドル123をギアハウジング107に組み付けるに当っては芯だしを考える必要がない。このため、組付け性が向上する。
また、スピンドル123の両端部を支持する構成とすることによって、回転力の伝達が安定化し、ギア121およびスピンドル123にかかる力が均等になるため、ギア121の爪部121a、ロックカム151の爪部153、あるいは転動体165等の回転力の伝達に関わる構成部材寿命を向上できる。

0031

更には、スピンドル123がギア121を貫通する構成としたことにより、ギア121とスピンドル123との間に同期回転保持部171を設定するに際し、当該同期回転保持部171の設定位置をスピンドル123の軸方向における任意の位置に設定できる。すなわち、本実施の形態によれば、同期回転保持部171を、ギア121の回転力をスピンドル123に伝達する機構およびスピンドル123の回転を固定するロック機構が設定されるギア下面側領域とは異なるギア上面側の領域を利用して配置することができる。これにより、限られたスペースに複数種類の機構を組付ける必要がなくなり、全体としての組付け性の向上に有効とされる。また本実施の形態では、電動ディスクグラインダ101において、元々デッドスペースとして存在しているギア上面側の空き領域を有効に利用して同期回転保持部171を配置する構成であり、製品を大型化することなく、同期回転保持部171を設定することができる。

0032

また本実施の形態に係る同期回転保持部171は、リーフスプリング173のボール保持孔173aにスチールボール175の一部を嵌め込む(係合する)ことによって保持力を作用する構成である。このように、ギア121の軸線方向において対向状に配置されたリーフスプリング173とスチールボール175とを係合させることによって、ギア121の軸線方向と直交する方向を係合面として保持力を得る構成のため、ギア121の軸線方向を係合面とする構成に比べて、同期回転保持部171の軸方向長さの短縮化を図る上で有効となる。

0033

(本発明の第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態につき図14および図15を参照して説明する。第2の実施形態は、先端工具としての、例えば砥石141(図1参照)を右回転(正転)および左回転逆転)することが可能な正逆転モデルでの構造に関するものである。この実施形態では、駆動モータ111(図1参照)によりギア121が右回転されるときには、4つの爪部121a,121bのうち、ギア121の回転軸線を挟んで対向する一方の2つの爪部121aが右回転力伝達用として機能し、他方の2つの2つの爪部121bが転動体165保持用として機能し、そしてギア121が左回転されるときには、爪部121a,121bの機能が逆転する、つまり他方の2つの爪部121bが左回転力伝達用として機能し、一方の2つの爪部121aが転動体165保持用として機能する構成とされる。また同期回転保持部171を構成するリーフスプリング173は、右回転時用のボール保持孔173bと、左回転時用のボール保持孔173cを有する構成とされている。右回転用のボール保持孔173bと左回転用のボール保持孔173cは、周方向に所定の間隔を置いて配置されており、その間隔は、ロックカム151の爪部153と、当該爪部153を挟んで配置されるギア121の爪部121a,121bとの間に設定される周方向間隔に対応する。

0034

本実施の形態は、上記の構成を除いては、第1の実施形態と同様に構成される。図14は駆動モータ111により駆動されるギア121が右回転(したがって、砥石141が右回転)する場合を示している。このとき、図15の(I)に示すように、ギア121の右回転用の2つの爪部121aがロックカム151の爪部153に当接し、ギア121の他の2つの爪部121bが転動体165に当接し、当該転動体165をロックカム151の平面カム部155とロックリング161の内周面間の隙間156における最大間隔部に保持する。このため、ロックカム151の平面カム部155とロックリング161の内周面間への転動体165の噛み付きが生じなく、ギア121とスピンドル123がギア121の爪部121aとロックカム151の爪部153との当接状態を介して一体に回転する。このとき、同期回転保持部171においては、リーフスプリング173の右回転時用のボール保持孔173bにスチールボール175が嵌り込み、スピンドル123とギア121との相対回動を抑えるように保持力を作用し、これによって被動側の回転負荷変動に拘わらず、スピンドル123とギア121の同期回転状態を維持する。

0035

砥石141による右回転での研削作業あるいは研磨作業後において、砥石141を取り外す場合は、スピンドル123の静止状態において、取付フランジ153(図1参照)を緩める方向(右回り)に回転する。このとき、ギア121には駆動モータ111のアーマチュアの回転負荷が作用しているため、図14の(II)の上段側に示すように、スピンドル123とともにリーフスプリング173が当該ギア121に対して相対回動する。この回動動作によってギア121側に保持されているスチールボール175がリーフスプリング173のボール保持孔173bから当該リーフスプリング173をスピンドル軸方向(図1の上方)へ弾性変形させつつ抜け出る。一方、スピンドル123とギア121との相対回動により、図14の(II)の下段側に示すように、当該スピンドル123とスプラインを介して連結されているロックカム151が回動し、ロックカム151の爪部153がギア121の爪部121aから離れる。すなわち、ロックカム151がギア121に対して右回りに相対回動する。この相対回動により、転動体165がギア121の爪部121bから離れ、可動領域を移動することに伴いロックカム151の平面カム部155とロックリング161の内周面との間に対して転動体165の噛み付きが発生し、スピンドル123の回転が固定される。その後は、固定状態のスピンドル123に対して取付フランジ135を右回りに回転することによって当該取付フランジ135をスピンドル123の砥石装着部131から取り外すとともに、砥石141を取り外すことができる。

0036

次に砥石141をスピンドル123に取付ける場合につき説明する。スピンドル123の静止状態(図14の(II)の状態)において、砥石141を砥石装着部131に嵌め込むとともに取付フランジ135を左回りに回転して締め付けるが、当該締め付けに伴いスピンドル123に回転力が加わると、図14の(III)に示すように、スピンドル123とともにリーフスプリング173がギア121に対して左回りに相対回動する。これによりリーフスプリング173のボール保持孔173bにスチールボール175が嵌り込む。と同時にロックカム151がスピンドル123とともにギア121に対して左回りに相対回動し、それに伴い転動体165が平面カム部155とロックリング161の内周面との間に噛み付き、スピンドル123の回動が固定される。この状態で取付フランジ135を所定の強さで締め付けることによって砥石141をスピンドル123に取り付けることができる。

0037

図15の(I)は、砥石141を左回りに回転させて研削作業あるいは研磨作業を行う場合を示している。この場合は、ギア121が駆動モータ111により左回りに回転される。このとき、リーフスプリング173の右回転時用のボール保持孔173bにスチールボール175が嵌り込んでいると、被動側の回転負荷によってギア121がスピンドル123に対して左方向に相対回動し、その相対回動に伴いスチールボール175がリーフスプリング173の右回転時用のボール保持孔173bから抜け出た後、左回転時用のボール保持孔173cに嵌り込む(図15の(I)上段参照)このとき、ギア121の左回転用の2つの爪部121bがロックカム151の爪部153に当接し、他の2つの爪部121aが転動体165に当接する。これにより転動体165は、ロックカム151の平面カム部155とロックリング161の内周面間の隙間156における最大間隔部に保持される(図15の(I)下段参照)。このため、ロックカム151の平面カム部155とロックリング161の内周面間への転動体165の噛み付きが生じなく、スピンドル123がギア121と一体となって左回転する。一方、同期回転保持部171においては、リーフスプリング173の左回転時用のボール保持孔173cにスチールボール175が嵌り込んでおり、その状態でスピンドル123とギア121との相対回動を抑えるように保持力を作用し、これによって被動側の回転負荷変動に拘わらず、スピンドル123とギア121の同期回転状態を維持する。

0038

次に砥石141による左回転での研削作業あるいは研磨作業後において、砥石141を取り外す場合は、スピンドル123の静止状態において、取付フランジ153(図1参照)を緩める方向(右回り)に回転する。このとき、図15の(II)に示すように、ロックカム151の爪部153がギア121の左回転用の爪部121bに当接しているため、取付フランジ153に対し、駆動モータ111のアーマチュアの回転負荷を上回る外力(回転力)を作用させる。これによりギア121とともにロックカム151が回動し、それに伴い転動体165が平面カム部155とロックリング161の内周面との間に噛み付き、スピンドル123の回動が固定される。この場合、ギア121とロックカム151が共回りするため、スチールボール175はリーフスプリング173の左回転時用のボール保持孔173cに対する嵌り込み状態が維持される。その後は、固定状態のスピンドル123に対して取付フランジ135を右回りに回転することによって当該取付フランジ135をスピンドル123の砥石装着部131から取り外すとともに、砥石141を取り外すことができる。

0039

次に砥石141をスピンドル123に取付けるときは、当該スピンドル123の静止状態(図15の(II)の状態)において、砥石141を砥石装着部131に嵌め込むとともに取付フランジ135を左回りに回転して締め付けるが、当該締め付けに伴いスピンドル123に回転力が加わると、図15の(III)に示すように、スピンドル123とともにリーフスプリング173がギア121に対して左回りに相対回動する。これによりリーフスプリング173の左回転時用のボール保持孔173cからスチールボール175が抜け出る。またロックカム151がスピンドル123とともにギア121に対して左回りに相対回動し、それに伴い転動体165が平面カム部155とロックリング161の内周面との間に噛み付き、スピンドル123の回動が固定される。この状態で取付フランジ135を締め付けることによって砥石141をスピンドル123に取付けることができる。

0040

以上説明したように、本実施の形態によれば、砥石141の回転駆動時には、右回転、左回転のいずれの場合であっても、同期回転保持部171を介してスピンドル123とギア121に相対回動を抑える保持力を作用させ、被動側の回転負荷の変化に拘わらず、スピンドル123とギア121の同期回転を維持することができる。また砥石141をスピンドル123から取り外す場合、あるいは取付ける場合において、スピンドル123側から回転力が入力されると、ロックカム151、ロックリング161および転動体165によって構成されるスピンドルロック機構の作動を介してスピンドル123を外部から固定操作することなく、当該スピンドル123の回転を固定できる。このため、砥石141の着脱の操作性を向上できる。また前述した第1の実施形態と同様、スピンドル123がギア121の軸中心を貫通する構成であり、このことによる作用効果については、第1の実施形態と同様である。

0041

なお本実施の形態では、同期回転保持部171につき、ギア121の上面側に配置する構成としたが、ギア121の下面側に配置する構成、すなわちギア121の回転力をスピンドル123に伝達する機構およびスピンドル123の回転を固定するロック機構が配置される領域に同期回転保持部171を配置する構成に変更してもよい。また実施の形態では、転動体165として円柱形状のものを用いるとしたが、転動体165を鋼球によって構成してもよい。
また本実施の形態では、リーフスプリング173と当該リーフスプリング173のボール保持孔173bに係合するスチールボール175によって同期回転保持部171を構成するとしたが、これに限定されない。すなわち、ギア121とスピンドル123とに対して、それらの相対回動を抑えることが可能な保持力を作用できる構成であれば差し支えなく、例えばギア121とスピンドル123とをゴムまたはバネ等の弾性体を介して連結する形態、あるいは弾発状に弾性付勢された2つの部材が相互に摩擦接触することで保持力を作用する形態、等が考えられる。したがって、第1の実施形態におけるリーフスプリング173のボール保持孔173b、あるいは第2の実施形態におけるリーフスプリング173の右回転用と左回転用の2つのボール保持孔173b,173cをそれぞれ廃止し、リーフスプリング173のバネ性を利用して当該リーフスプリング173がスチールボール175に面当りで抵抗を与える構成に変更してもよい。
また本実施の形態は、作業工具の一例として研削作業あるいは研磨作業に用いられる電動ディスクグラインダ101の場合で説明したが、これに限られるものではなく、例えばネジ締め工具のように、先端工具の回転動作によって所定の加工作業を行う作業工具であれば、適用することが可能である。

0042

上記発明の趣旨に鑑み、以下の態様を構成することが可能とされる。
(態様1)
「請求項4に記載の作業工具であって、
前記第1の部材は、前記駆動側回転部材に設けられた球体として構成され、前記第2の部材は、前記被動側回転部材に設けられた板状部材として構成され、前記球体と前記板状部材に設けた球体保持部との係合を介して駆動側回転部材と前記被動側回転部材との相対回動を抑える保持力が付与されることを特徴とする作業工具。」
態様1に記載の発明によれば、簡単な構造の同期回転保持部を提供できる。

図面の簡単な説明

0043

第1の実施形態に係る電動ディスクグラインダの全体構成を示す縦断面図である。
動力伝達機構部の拡大断面図である。
図2の断面指示線(A−A線、B−B線)に基づく回転力伝達部、ロック機構部、同期回転保持部の断面図であり、(I)は加工作業時、(II)は砥石の取り外し時、(III)は砥石の取り付け時を示す。
ギアの平面図である。
ギアの底面図である。
ギアの断面図である。
スピンドルの正面図である。
スピンドルの半断平面図である。
ロックカムの平面図である。
ロックカムの断面図である。
ロックリングの平面図である。
ロックリングの断面図である。
リーフスプリングの平面図である。
第2の実施形態に係る回転力伝達部、ロック機構部、同期回転保持部の断面図であり、(I)は砥石の右回転による加工作業時、(II)は砥石の取り外し時、(III)は砥石の取り付け時を示す。
第2の実施形態に係る回転力伝達部、ロック機構部、同期回転保持部の断面図であり、(I)は砥石の左回転による加工作業時、(II)は砥石の取り外し時、(III)は砥石の取り付け時を示す。

符号の説明

0044

101電動ディスクグラインダ(作業工具)
103 本体部
105モータハウジング
107ギアハウジング
107a 凹部
109動力伝達機構部
111駆動モータ(駆動源)
113回転子
115モータ軸
117 小ベベルギア
119冷却ファン
121ギア(駆動側回転部材)
121a 爪部
121b 爪部
121cボール取付凹部
123スピンドル(被動側回転部材)
123aスプライン軸部
125軸受
126 軸受
131砥石装着部
133 内側の取付フランジ
135 外側の取付フランジ
141 砥石(先端工具)
143カバー
151ロックカム
151aスプライン孔
153 爪部
155平面カム部
157サークリップ
159ワッシャ
161ロックリング
161a突起
165転動体
171同期回転保持部
173リーフスプリング
173a スプライン孔
173bボール保持孔
173c ボール保持孔
175 スチールボール

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社ディスコの「 被加工物の加工方法」が 公開されました。( 2019/06/20)

    【課題】被加工物に生じる研削痕が目立つことを抑制することができる被加工物の加工方法を提供すること。【解決手段】被加工物の加工方法は、保持面が僅かな円錐を呈したチャックテーブルに被加工物を保持して、中心... 詳細

  • 株式会社ディスコの「 被加工物の加工方法、及び、研削研磨装置」が 公開されました。( 2019/06/20)

    【課題】研削加工後に研磨加工を行う際に、研磨加工後の被加工物の厚みばらつきを抑えて被研磨面の形状を平坦にできる被加工物の加工方法、及び、研削研磨装置を提供する。【解決手段】ウエーハ200を保持する保持... 詳細

  • ハンミセミコンダクターカンパニーリミテッドの「 半導体資材の切断装置」が 公開されました。( 2019/06/20)

    【課題】半導体ストリップを個別の半導体パッケージに切断する、半導体資材の切断装置を提供する。【解決手段】半導体資材の切断装置は、ストリップピッカーを用いて半導体ストリップをローディング部からピックアッ... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ