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課題
解決手段
概要
背景
従来、電子レンジ等の加熱部を備えた調理機器については、システムキッチンを構成する調理器の一つとして位置づけられている。また、近年、キッチンの大型化・システム化を反映して、調理器についても多様化・ユニット化が進み、クックトップ、引き出し式電子レンジ、電気オーブン等と組み合わされたビルトインに構成された調理機器が提案されている。前面に開閉扉式のものが数多く提案されているが、そうした型式とは別型式の調理器として前面側への引き出し式の加熱調理器も提案されている。
ビルトイン型加熱調理機器の一例が斜視図である図4に示されている。図4に示すように、ビルトイン型加熱調理器は、例えば、キッチンにおいて他の機器と並べて収容される調理機器であり、前面板35において、クックトップ部31、電子レンジ部32及び電気オーブン部33が上下方向に並んで配置されて複合調理機器30である。加熱調理器はビルトイン型の機器であり、上面がクックトップ31となっているキッチンキャビネット37内に組み込まれている。クックトップ部31には、調理に関する小物を収容可能な引き出し34を設けることができる。電子レンジ部32及び電気オーブン部33は、ともに引き出し式とすることができる。電子レンジ部32は、全体的に直方体形状を呈している調理器本体1と、調理器本体1から引き出し体を引き出し操作可能であるとともに調理器本体1の前面に加熱室2を閉鎖可能に配設されている開閉扉7、調理器本体1の前面で且つ開閉扉7の上方に配設されている操作パネル8を備えている。操作パネル8は調理器本体1に対して一体的に構成されている。電気オーブン部33も、引き出し操作可能な開閉扉36を備えている。
従来の加熱調理器の一つとして、ロースタ加熱を行うヒータと、高周波加熱を行うマグネトロンと、加熱調理器本体の外部と加熱室とを連通する排気経路と、排気経路に配されて排気を行う排気ファンと、加熱室と排気ファンの間の排気経路内に配されて排気の脱臭及び脱煙を行う触媒とを備え、ロースタ加熱時に排気ファンによって加熱室から排気経路に流入する第1の空気量を、高周波加熱時に排気ファンによって加熱室から排気経路に流入する第2の空気量より少なくして、ロースタ加熱時の加熱効率及び触媒の脱臭、脱煙効率を向上させると共に、高周波加熱時に発生する水蒸気を効率良く排気することのできる加熱調理器が提案されている。
また、電磁調理器、電子レンジ及び支持台を備えるビルトインタイプの電子レンジの冷却構造として、その前面の上部に制御パネルを有し、制御パネルの直下に吸い込みグリルが設けられ、前面下部に排気グリルが設けられている型式のものがある(特許文献2参照)。この型式の電子レンジでは、内部に上・下部ヒータが設けられ、上部ヒータが設けられている部分には上部ヒータ冷却ファンによるエアフローが通過する上側内部通路が設けられ、下部ヒータが設けられる部分には下部ヒータ冷却ファンによるエアフローが通過する冷却通路が設けられている。上部の吸い込みグリル73から吸い込まれる空気の一部は、直接排気グリルの前方に供給され、ヒータを通過することにより高温化された空気と合流して温度が低下された状態で、排気グリルから排気される。
特開2000−274693号公報(段落[0060]〜[0069]、図1〜図7)
特開2005−3316号公報(段落[0002]〜[0008]、図9、図10)
ビルトイン型式の電子レンジなどの高温になる加熱部を備えるキッチン機器においては、加熱部を冷却するための冷却部を備えており、通常、冷却部は、導入した冷却空気で加熱部を冷却する空気冷却構造となっている。従来のビルトインタイプの電子レンジの冷却構造は、上記のように、吸気が上辺部(下辺部)、排気が下辺部(上辺部)という、電子レンジの上下に分かれている構造をとっている。給排気が上下辺部に分散されていると、吸気部及び排気部が設けられる辺部が嵩張ることになり、全体の高さが制限されている中では加熱室の容量を減少させることになってキャビネットの収納効率が低下するとともに、ビルトイン型の加熱調理器の設計にとって制約となる。給排気を左右辺部に分ける場合も、横幅が幅狭になるという同様の問題がある。また、吸気部及び排気部を単純に一ヶ所に集めるとした場合、冷たい吸気と温かい暖気とが混じってしまう、或いは電気部品の冷却に非常に不利な構造となる等の新たな問題が発生する。
概要
吸気部及び排気部をキッチン機器において一辺部に集約し、吸気及び排気の効率を改善し、電気部品の冷却及び庫内排気を効率よくし、且つキッチン機器の設計及び配置の制約を緩和することができるビルトイン型キッチン機器を提供する。キャビネット内にビルトインされるキッチン機器本体1には、処理物に対して高周波加熱などの処理を行う加熱室2が形成され、キッチン機器本体1は、冷却用の気流を吸い込む吸気部10、加熱室2における熱を伴う気流を排気する第1排気部11、及び高温になる高圧トランス5などを冷却した気流を排気する第2排気部12を備える。吸気部10及び排気部11,12は、吸入口13及び排気口14,15を前面側に向けて前後に延びる態様でキッチン機器本体1の一辺部9に集約されているので、給排気が分離され、効率化をることができ、排気に蒸気が含まれる場合でも結露の発生を防止することができる。
目的
この発明の目的は、単独の機器或いは複合加熱調理器のコンポーネントとしてキャビネット内に組み込まれるビルトイン型キッチン機器において、吸気部及び排気部を集約し、吸気及び排気の効率を改善し、電気部品の冷却及び庫内排気を効率よくし、且つキッチン機器の設計及び配置の制約を緩和することができるビルトイン型キッチン機器を提供することである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
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請求項1
キャビネット内にビルトインされ且つ処理物を収容可能な処理室が形成されているキッチン機器本体、冷却用の気流を吸い込む吸気部、及び前記吸気部に接続され且つ前記吸気部からの前記気流を前記処理物の処理に際して発生する熱を受熱した状態で排出する排気部を備え、前記吸排気部は前記吸気部の吸入口及び前記排気部の排気口を前面側に向けて前記キッチン機器本体の一辺部に集約されていることを特徴とするビルトイン型キッチン機器。
請求項2
前記吸気部及び前記排気部は、それぞれ前記キッチン機器本体の前記一辺部の端部側に分けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のビルトイン型キッチン機器。
請求項3
前記一辺部は前記キッチン機器本体の下辺部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のビルトイン型キッチン機器。
請求項4
前記キッチン機器本体は前記処理物の熱的な処理のための加熱源を備えており、前記排気部は、前記処理室に繋がり前記処理室からの気流を排出する第1排気部と、前記第1排気部と並列に配置されており前記加熱源を冷却した気流を排出する第2排気部とから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のビルトイン型キッチン機器。
請求項5
請求項6
前記キッチン機器本体は前記吸気部を通じて前記冷却用の気流を吸い込むための冷却用ファンを備えており、前記冷却用ファンから吹き出される気流の一部又は全部が前記加熱源の冷却用として用いられ、前記冷却用ファンから吹き出される気流の一部であって且つ前記加熱源を冷却した気流の少なくとも一部が前記第2排気部に送られ、残部が前記第1排気部に送られることを特徴とする請求項4又は5に記載のビルトイン型キッチン機器。
請求項7
前記処理室は前記処理物の熱的な処理に際して高温の蒸気を発生する室であり、第1排気部は前記処理室に流入する前記気流とともに前記蒸気を排気可能であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のビルトイン型キッチン機器。
請求項8
前記キッチン機器は、前記処理室の前方上部に接続するとともに前記処理室の天井部を後方に延びる水平ダクト及び前記水平ダクトに接続されて前記第1排気部に接続する接続ダクトとを備えていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のビルトイン型キッチン機器。
請求項9
技術分野
背景技術
0002
従来、電子レンジ等の加熱部を備えた調理機器については、システムキッチンを構成する調理器の一つとして位置づけられている。また、近年、キッチンの大型化・システム化を反映して、調理器についても多様化・ユニット化が進み、クックトップ、引き出し式電子レンジ、電気オーブン等と組み合わされたビルトインに構成された調理機器が提案されている。前面に開閉扉式のものが数多く提案されているが、そうした型式とは別型式の調理器として前面側への引き出し式の加熱調理器も提案されている。
0003
ビルトイン型加熱調理機器の一例が斜視図である図4に示されている。図4に示すように、ビルトイン型加熱調理器は、例えば、キッチンにおいて他の機器と並べて収容される調理機器であり、前面板35において、クックトップ部31、電子レンジ部32及び電気オーブン部33が上下方向に並んで配置されて複合調理機器30である。加熱調理器はビルトイン型の機器であり、上面がクックトップ31となっているキッチンキャビネット37内に組み込まれている。クックトップ部31には、調理に関する小物を収容可能な引き出し34を設けることができる。電子レンジ部32及び電気オーブン部33は、ともに引き出し式とすることができる。電子レンジ部32は、全体的に直方体形状を呈している調理器本体1と、調理器本体1から引き出し体を引き出し操作可能であるとともに調理器本体1の前面に加熱室2を閉鎖可能に配設されている開閉扉7、調理器本体1の前面で且つ開閉扉7の上方に配設されている操作パネル8を備えている。操作パネル8は調理器本体1に対して一体的に構成されている。電気オーブン部33も、引き出し操作可能な開閉扉36を備えている。
0004
従来の加熱調理器の一つとして、ロースタ加熱を行うヒータと、高周波加熱を行うマグネトロンと、加熱調理器本体の外部と加熱室とを連通する排気経路と、排気経路に配されて排気を行う排気ファンと、加熱室と排気ファンの間の排気経路内に配されて排気の脱臭及び脱煙を行う触媒とを備え、ロースタ加熱時に排気ファンによって加熱室から排気経路に流入する第1の空気量を、高周波加熱時に排気ファンによって加熱室から排気経路に流入する第2の空気量より少なくして、ロースタ加熱時の加熱効率及び触媒の脱臭、脱煙効率を向上させると共に、高周波加熱時に発生する水蒸気を効率良く排気することのできる加熱調理器が提案されている。
0005
また、電磁調理器、電子レンジ及び支持台を備えるビルトインタイプの電子レンジの冷却構造として、その前面の上部に制御パネルを有し、制御パネルの直下に吸い込みグリルが設けられ、前面下部に排気グリルが設けられている型式のものがある(特許文献2参照)。この型式の電子レンジでは、内部に上・下部ヒータが設けられ、上部ヒータが設けられている部分には上部ヒータ冷却ファンによるエアフローが通過する上側内部通路が設けられ、下部ヒータが設けられる部分には下部ヒータ冷却ファンによるエアフローが通過する冷却通路が設けられている。上部の吸い込みグリル73から吸い込まれる空気の一部は、直接排気グリルの前方に供給され、ヒータを通過することにより高温化された空気と合流して温度が低下された状態で、排気グリルから排気される。
特開2000−274693号公報(段落[0060]〜[0069]、図1〜図7)
特開2005−3316号公報(段落[0002]〜[0008]、図9、図10)
0006
ビルトイン型式の電子レンジなどの高温になる加熱部を備えるキッチン機器においては、加熱部を冷却するための冷却部を備えており、通常、冷却部は、導入した冷却空気で加熱部を冷却する空気冷却構造となっている。従来のビルトインタイプの電子レンジの冷却構造は、上記のように、吸気が上辺部(下辺部)、排気が下辺部(上辺部)という、電子レンジの上下に分かれている構造をとっている。給排気が上下辺部に分散されていると、吸気部及び排気部が設けられる辺部が嵩張ることになり、全体の高さが制限されている中では加熱室の容量を減少させることになってキャビネットの収納効率が低下するとともに、ビルトイン型の加熱調理器の設計にとって制約となる。給排気を左右辺部に分ける場合も、横幅が幅狭になるという同様の問題がある。また、吸気部及び排気部を単純に一ヶ所に集めるとした場合、冷たい吸気と温かい暖気とが混じってしまう、或いは電気部品の冷却に非常に不利な構造となる等の新たな問題が発生する。
発明が解決しようとする課題
0007
そこで、冷却用空気の吸気部と、キッチン機器において処理物の処理に際して発生した熱を受熱した後の高温空気の排気部とを、吸気と排気が混ざらないように分離しつつまとめて配置して、機器の嵩張りを回避する点で解決すべき課題がある。
0008
この発明の目的は、単独の機器或いは複合加熱調理器のコンポーネントとしてキャビネット内に組み込まれるビルトイン型キッチン機器において、吸気部及び排気部を集約し、吸気及び排気の効率を改善し、電気部品の冷却及び庫内排気を効率よくし、且つキッチン機器の設計及び配置の制約を緩和することができるビルトイン型キッチン機器を提供することである。
課題を解決するための手段
0009
上記の課題を解決するため、この発明によるビルトイン型キッチン機器は、キャビネット内にビルトインされ且つ処理物を収容可能な処理室が形成されているキッチン機器本体、冷却用の気流を吸い込む吸気部、及び吸気部に接続され且つ吸気部からの気流を処理物の処理に際して発生する熱を受熱した状態で排出する排気部を備え、吸排気部は吸気部の吸入口及び排気部の排気口を前面側に向けてキッチン機器本体の一辺部に集約されていることを特徴としている。
0010
このビルトイン型キッチン機器によれば、キャビネット内にビルトインされているキッチン機器本体に形成されている処理室内に処理物が収容される。キッチン機器の作動に伴って、処理室における処理物の熱的な処理に際して熱が発生する。ビルトインされているキッチン機器では、熱の逃げ場がないので、発生した熱を積極的に外部に排出する必要がある。発生した熱は、吸気部において吸い込まれる冷却用の気流によって受け取られ、排気部から排気される気流とともに機外に排出される。詳細には、前面の吸気口から吸気された冷却用の吸気は一旦、キッチン機器本体の後方まで送られ、処理物の処理の際に発生する熱を受け取った後、キッチン機器本体の後方から前方に送られて排気として排出される。吸気部及び排気部は、吸気部の吸入口及び排気部の排気口を前面側に向けてキッチン機器本体の上下左右の何れかの一辺部に集約されているので、冷却用の給排気部のために必要となるスペースが節約される。また、吸気部と排気部とが一辺部において分離されていて互いに混ざることがないので、吸気及び排気の効率が改善され、電気部品の冷却及び庫内排気の効率が良化し、且つキッチン機器の設計及び配置の自由度が高くなり制約が緩和される。
0011
このビルトイン型キッチン機器において、吸気部及び排気部をそれぞれキッチン機器本体の一辺部の端部側に分けて配置することが好ましい。吸気部及び排気部は同じ一辺部に存在しているので、吸気部及び排気部を分離することで互いの混合を一層、確実に防止することができる。ビルトイン型キッチン機器において、吸気部及び排気部を設ける一辺部としては、キッチン機器本体の下辺部とすることができる。しかしながら、勿論、他の辺部、上辺部、左辺部或いは右辺部であってもよい。
0012
このビルトイン型キッチン機器において、キッチン機器本体は処理物の熱的な処理のための加熱源を備えており、排気部は、処理室に繋がり処理室からの気流を排出する第1排気部と、第1排気部と並列に配置されており加熱源を冷却した気流を排出する第2排気部とから構成することができる。処理室からの気流は、処理物の熱的な処理に起因して処理室で高温になる、或いは処理室で発生した蒸気などの高温の気流を含むので、第1排気部は、そうした高温になった気流を排出する。また、加熱源が高温になる場合には、加熱源に触れて受熱することで加熱源を冷却し、その結果、高温乾燥した気流が第2排気部を通して排出される。
0013
排気部が第1排気部と第2排気部とから成るビルトイン型キッチン機器において、第2排気部は、第1排気部に対して一辺部の長手方向に沿う方向に且つ吸気部寄りに並んで配置することができる。この配置を採ると、吸気部は、第1排気部と隣り合わせにならず、高温乾燥した気流が流れる第2排気部と隣り合わせになる。したがって、第1排気部で排出される気流は低温吸気の影響を受けることがない。
0014
このビルトイン型キッチン機器において、キッチン機器本体は吸気部を通じて冷却用の気流を吸い込むための冷却用ファンを備えており、冷却用ファンから吹き出される気流の一部又は全部を加熱源の冷却用として用い、冷却用ファンから吹き出される気流の一部であって且つ加熱源を冷却した気流の少なくとも一部を第2排気部に送り、残部を第1排気部に送ることができる。キッチン機器本体には、吸気部と排気部とを繋ぐ経路中に冷却用ファンを設けることで、吸気部を通じて冷却用の気流が吸い込まれる。冷却用ファンから吹き出される気流の一部又は全部が加熱源の冷却用として用いられる。即ち、冷却用ファンからの気流の一部を、直接に処理室に送ってもよい。加熱源を冷却した気流は、第1排気部へ送られる気流がある限り、一部又は全部が第2排気部に送られる。したがって、第1排気部と第2排気部とで気流の流れが途絶えることなく、処理室の冷却・排気と加熱源の冷却とを継続して行うことができる。
0015
排気部が第1排気部と第2排気部とから成るビルトイン型キッチン機器において、処理室は処理物の熱的な処理に際して高温の蒸気を発生する室であり、第1排気部は処理室に流入する気流とともに蒸気を排気可能とすることができる。処理室を通過する気流が、処理物の熱的な処理に際して生じた高温蒸気を含む場合などには、吸気部を通じて行われる吸気の影響がなくなり、蒸気の凝縮による結露の心配がない。
0016
排気部が第1排気部と第2排気部とから成るビルトイン型キッチン機器において、処理室の前方上部に接続するとともに処理室の天井部を後方に延びる水平ダクト及び水平ダクトに接続されて第1排気部に接続する接続ダクトとを備えることができる。吸気部を通じて導入され後方に送られた冷却用の気流は後部から処理室に導入される。導入された気流は、処理室内において上方に移動し、前方上部から処理室の天井部に配置された水平ダクトに流入する。水平ダクトは後方に延びているので、水平ダクトに流入した気流は直ちに後方へ移動する。したがって、高周波加熱調理器或いは高周波加熱調理部の前面とその近傍に配置されている操作部や制御部、或いはパネル等の表示部は、高温の気流の影響を受け難くなり、故障し易くなることを回避することができる。
0017
上記のビルトイン型キッチン機器において、キッチン機器は、処理物としての被加熱物を、処理室としての加熱室内で高周波加熱処理をする高周波加熱調理器、又は処理物としての被加熱物を、処理室としての加熱室内で高周波加熱処理をするコンポーネントとしての高周波加熱調理部を含む複合キッチン機器とすることができる。高周波加熱調理器及びコンポーネントとしての高周波加熱調理部は、例えば、マイクロ波加熱を行う電子レンジ、電子オーブンレンジとすることができる。この場合、被加熱物は、加熱調理すべき飲食材・飲食品である。高周波加熱をすることによって、食材に含まれる水分が加熱室内において高温蒸気として発生する。高温蒸気を含む気流は、吸気・排気効率上、冷却用の吸気と混ざらないようにすることが好ましく、また、高温になった加熱源を冷却した高温乾燥の気流が流れる排気部に対して、高温蒸気を含む気流が流れる排気部を区別して、冷却用の吸気との一層の分離を図って高温蒸気の凝結(結露)を防止することが好ましい。
発明の効果
0018
ビルトインされているキッチン機器では、内部で発生した熱をキャビネット内に逃がすことができないので、キッチン機器の作動によって処理室における処理物の処理に際して発生した熱を排気経路を通じて外部に排出する必要があるが、この発明によるビルトイン型キッチン機器においては、上記のように、吸気部及び排気部が、吸気部の吸入口及び排気部の排気口を前面側に向けた状態でキッチン機器本体の上下左右の何れかの一辺部に集約されているので、前面の吸気口から吸気された冷却用の吸気は一旦、キッチン機器本体の後方まで送られ、処理物の処理に際して発生する熱に対して必要な取り込みと冷却を行った後、キッチン機器本体の後方から前方に送られて排気として排出される。吸気部及び排気部はキッチン機器本体の一辺部に集約されていることから、冷却用の給排気系のためのスペースを削減することが可能になる。また、吸気部と排気部とが連続した1つの経路で繋がり且つ一辺部で互いに分離されているので、吸気と排気とが互いに混ざることがない。更に、吸気部と庫内蒸気の排気を行う第1排気部とを、高温部品を冷却した気流が流れる第2排気部によって分離する場合には、第1排気部での蒸気の急激な冷却を避けることができ、つゆ垂れ(結露)を防止することができ、特に第1排気部と第2排気部とを隣り合わせに配置する場合には、第1排気部内を流れる気流の温度を第2排気部を流れる気流で上昇させることで、結露の一層の防止を図ることができる。即ち、蒸気はビルトインボックスの内部で水滴状態にされることなくビルトインボックス外に排気することができる。このように、単独の機器或いは複合加熱調理器のコンポーネントとしてキャビネット内に組み込まれるビルトイン型キッチン機器においては、吸気及び排気の効率が改善され、電気部品の冷却及び庫内排気の効率が良化し、且つキッチン機器の設計に対する制約が緩和される。
発明を実施するための最良の形態
0019
以下、添付した図面に基づいて、この発明によるビルトイン型キッチン機器の実施例を説明する。図1はこの発明によるビルトイン型キッチン機器の一実施例における気流の様子を模式的に示す斜視図、図2は図1に示すビルトイン型キッチン機器の後方から見た気流の流れの様子を示す模式図、図3は図1に示すビルトイン型キッチン機器の上方から見た気流の流れの様子を示す模式図である。なお、図1(a)においては高周波加熱調理器が内部の気流の様子とともに模式的に描かれており、図1(b)は、上から見たときの下辺部における気流の様子を図1(a)に対応して示す図である。
0020
図1〜図3に示すビルトイン型キッチン機器は、具体的には、加熱室を手前側に引き出し可能な電子レンジのような高周波加熱調理器であり、高周波加熱調理器は、基本的には単独の高周波加熱調理器又は図4に示した複合加熱調理器のコンポーネントとしてキャビネット内に組み込まれる高周波加熱調理器と同様の構造を持つことができるので、同じ要素には同じ符号が付されている。
0021
調理器本体1は、全体的にボックス(直方体)状の形状を備えており、内部には被加熱物3が入れられるレンジ庫内としての加熱室2が形成されている。調理器本体1内の奥方位置には、加熱室2に入れられた被加熱物3をマイクロ波加熱するマイクロ波発生装置として、上部のマグネトロン4と、下部に設けられており且つマグネトロン4への高電圧発生装置としての高圧トランス(HVT)5とが備わっている。マグネトロン4で発生したマイクロ波は、詳細には図示しないが導波管によって伝搬されて給電口から加熱室2に照射される。マグネトロン4と高圧トランス5とは、高周波加熱調理器の稼働中には電磁的な作用によって高温になる。また、被加熱物3がマイクロ波加熱されることによって被加熱物3に含まれる水分が加熱蒸発するので、加熱室2には高温の水蒸気が発生する。
0022
調理器本体1の下辺部9には、下辺部9の一側に寄った位置に冷却用空気のためのダクトとして吸気部10が設けられているとともに、下辺部9の他側に寄った位置において、調理器本体1からの排気を行う第1排気部11と第2排気部12とが設けられている。吸気部10の吸気口13と、第1排気部11と第2排気部12の各排気口14、15は調理器本体1の前面に向かって開口しており、吸気部10、第1排気部11及び第2排気部12は、調理器本体1の正面から実質的に奥壁部まで前後方向に延びる態様で設けられている。図示の例では、簡単のために互いに並列状態に延びるように描かれているが、概略並列に並んでいればよく、調理器本体1の構造に応じて適宜変更可能である。
0023
第1排気部11は、後述するように、加熱室2に発生した高温蒸気を含む熱い空気を機外に排気するための排気ダクトであり、吸気部10から最も遠い側、即ち、最外側に配置されている。また、第2排気部12は、調理器本体1内の高温になった高圧トランス4を冷却した高温であるが乾燥した空気のための排気ダクトであり、吸気部10と第1排気部11とに間に配置されている。吸気部10の奥方上部には、吸気部10に吸込み側が繋がる態様で冷却用ファンモータ6が設けられている。
0024
上記のように構成された高周波加熱調理器を作動させると、冷却用ファンモータ6が作動し、外気は、吸気部10を通して吸い込むことで機内に取り入れられる。吸気部10を通る流れが冷却用の気流F1として示され、吸気部10の最奥部分から冷却用ファンモータ6に向かう流れが気流F2として示されている。冷却用ファンモータ6の吹き出し側の気流は、一つの流れが奥方上部のマグネトロン4に向かう気流F3として、もう一つの流れが奥方下部の高圧トランス5に向かう気流F4として示されている。即ち、吸気部10を通じて吸い込まれた冷却用空気は、一部がマグネトロン4に吹き付けられてこれを冷却し、残る部分が高圧トランス5に吹き付けられてこれを空冷する。
0025
マグネトロン4を空冷した気流F3は、その冷却の際にマグネトロン4から熱を受けて適度に加温されて加熱室2へと誘導される気流F5となり、加熱室2にはその後方から流入する。加熱室2内に流入した空気は、加熱室2内で更に加熱されるとともに、被加熱物3を加熱した際に発生する高温の水蒸気を含み込む。水蒸気を含むこの気流F6は、加熱室2内を前方に移動しながら上昇するので、調理器本体1の上方の水平ダクト16に流れ込む。水平ダクト16は、加熱室2の天井部に配置されていて全体的にL字形の形状の構造を持ち、後方に加熱室2の最奥位置まで延びる第1部分16aと、最奥位置で横方向に延びる第2部分16bとから成っている。水平ダクト16には、調理器本体1の奥方を下方に延びる接続ダクトとしての垂直ダクト17が接続されている。水平ダクト16は、加熱室2の天井部において、第1部分16aで直ちに後方に向かっているので、前面(正面)に配置されている操作部、制御部或いは表示部に及ぶ高温の気流の影響を可及的に少なくしている。水平ダクト16に入った気流F7は、気流F8,F9を経て、垂直ダクト17内を気流F10として流れ、更に第1排気部11において排気流れF11として機外へ排気される。
0026
一方、高圧トランス5を冷却する気流F4は、空冷する際に高圧トランス5から熱を受けて高温になるが、湿分の供給を受けることはない。高圧トランス5を冷却した高温且つ乾燥した気流F12は、第2排気部12へと誘導され(気流F13)、第2排気部12を通じて気流F14として機外へと排気される。なお、マグネトロン4を冷却する流れF3と高圧トランス5を冷却する流れF4とは、第1排気部11又は第2排気部12へとそれぞれ明確に分かれて流れる必要はなく、マグネトロン4を冷却した流れF5と高圧トランス5を冷却した流れF12についても、トータルとして、第1排気部11と第2排気部12に分かれて流れるようにしてよい。
0027
上記のように、吸気部10から流入した冷却用空気は調理器本体1の内部で分岐された冷却経路を経て各排気部11,12を通じて機外に排気される。その際に、冷却経路途中にて、調理器本体1内の部品を効率良く冷却することができる。吸気部10と排気部11,12とは、設置場所が下辺部9の1ヵ所と制限されているが、左右方向に2分されて設けられているので、吸気と排気とはそれぞれ個別の冷却経路を流れることができ、排気部11,12を通る高温の排気が吸気部10を通る低温の吸気に混ざることがない。また、第1排気部11と第2排気部12とが隣り合わせに配置されており、第1排気部11と吸気部10とは第2排気部12を介して互いに分離されているので、第1排気部11を流れる高温蒸気が吸気部10を流れる低温空気によって冷やされるということがなく、むしろ、第1排気部11を流れる高温蒸気を含む気流はマグネトロン4を冷却した後の高温空気で加熱される。その結果、第1排気部11を流れる高温蒸気が排気口15に近づくに従って急激に冷却されてつゆ垂れ(結露)を生じるのを防止することができる。即ち、第1排気部11を流れる高温蒸気は、ビルトインボックスの内部(電子レンジ内部)で水滴状態にされることがなく、ビルトインボックス外に排気することができる。
0028
本発明においては、その技術的思想を逸脱しない範囲で、上記実施例として示した構造に対して種々の変更を施すことが可能である。即ち、一例として、上記実施例では各ダクトは接近して配置したが、これは大流量を確保する点では好ましいが、必ずしもそうした配置にする必要はなく、それぞれのダクトを分離して配置してもよい。また、ダクトは下辺部に設けられるとして説明したが、上辺部に集約してもよいし、左辺部又は右辺部に集約させてもよい。左右辺に集約させる場合には、排気が吸気に混ざらないようにするために、吸気部を下端部に、排気部を上端部に寄せることが好ましい。更に、調理器本体1内の部品の配置やそれに応じた気流の設計も、実施例として図に示したもの以外の構造に変更可能である。本発明によるビルトイン型キッチン機器の例として、電子レンジのような高周波加熱調理器を挙げて説明したが、ビルトイン型キッチン機器は、これに限らず、電気オーブンや食器洗浄乾燥機も含まれることは明らかである。食器洗浄乾燥機の場合、処理物が濡れた食器であり、加熱する処理は乾燥処理となる。熱風を吹き出す部品が加熱源となり、食器の乾燥によって発生した高温蒸気が第1排気部を通じて排気される。
図面の簡単な説明
0029
この発明によるビルトイン型キッチン機器の一実施例における気流の流れの様子を模式的に示す斜視図。
図1に示すビルトイン型キッチン機器の後方から見た気流の流れの様子を示す模式図。
図1に示すビルトイン型キッチン機器の上方から見た気流の流れの様子を示す模式図。
ビルトイン型加熱調理機器の一例である複合調理機器の外観を示す斜視図。
符号の説明
0030
1調理器本体 2加熱室
3被加熱物
4マグネトロン5高圧トランス(HVT)
6冷却用ファンモータ7開閉扉
8操作パネル
9下辺部 10吸気部
11 第1排気部12 第2排気部
13 吸気口 14,15排気口
16水平ダクト
16a 第1部分 16b 第2部分
17垂直ダクト(接続ダクト)