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技術 液体接触面用コーティング剤及び液体接触面用コーティング剤を備えた物体

出願人 石原一彦株式会社AIバイオチップス
発明者 石原一彦江森郁子
出願日 2005年2月4日 (15年0ヶ月経過) 出願番号 2005-029551
公開日 2006年8月17日 (13年6ヶ月経過) 公開番号 2006-213861
状態 拒絶査定
技術分野 流動性材料の適用方法、塗布方法 塗料、除去剤
主要キーワード 部材表 材料表 表面塗布剤 アルブミン吸着量 水槽内壁 粘着性繊維 藻類培養液 アルブミン吸着
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重要な関連分野

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図面 (15)

課題

環境に悪影響を及ぼすことがなく、容易に液体に接する材料に付すことが可能であるとともに、光透過性を有する部材に対して、当該部材に要求される機能を阻害することのない液体接触面コーティング剤及びこの液体接触面用コーティング剤を備えた物体を提供する。

解決手段

液体接触面を有するものに施され、前記のものの表面に水生微生物が付着することを防止するためのコーティング剤に関する。 コーティング剤は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン、あるいは2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンから誘導される構成単位を有する重合体を含む。

概要

背景

水槽内壁面、水中カメラレンズ船底部材配管内壁面、護岸ブロック等、水中で用いられる部材に生じる問題としては、錆による腐食に起因する破壊動水圧による破壊等の問題が生じることが知られている。
しかし、この他、藻類カビ等の微生物の付着もまた、水中で用いられる部材に生じる深刻な問題として浮上している。
例えば、取水及び排水のために配管内壁面にこれらの微生物が付着すると、配管内の流体流路狭小となり、流体の移動を阻害する。このため、配管としての機能低下、排水の再利用の阻害、配管内壁面の腐食環境悪化による早期劣化等の問題が生じることとなる。

また、これらの微小生物は、フジツボ類となるため、これらの微生物の付着は、貝・フジツボ類の二次付着を招くこととなる。
例えば、原子力火力発電所冷却用海水の取水・排水配管内壁面に付着する量は、貝類だけで年間1900トンにも及び、これらの貝類を除去する費用莫大なものとなっている。
また、貝類等の除去処理後も、腐敗による悪臭処理場所不足といった二次的な問題を抱えている。

工業以外の分野においても、例えば水産分野では、微生物の付着による網の早期劣化や、船底への貝・フジツボ類の二次付着による航行速度下等船舶の機能低下、が問題となっている。
また、水族館などでは、水槽内壁面に、これら微生物及び二次付着物が付着すると、視界の妨げとなる。このため、これら微生物及びこれら二次付着物の除去を行っているが、その手段はほとんどの場合手作業であり、多大な労力を要する。

このような藻類等の微生物の付着問題を解決するために、材料表面に塗料鍍金などによる処理が行われてきた。
また、様々な表面塗布剤が開発されてきた。
藻類の付着を防止するためには、藻類が付着する際に用いる接着性繊維分泌を抑制する方法、又は接着性繊維が付着しにくい材料表面を創製する方法、の2種類の方法が考えられる。
藻類の接着性繊維の分泌を抑制する方法としては、トリフェニルスズTPT)やトリブチルスズ(TBT)等の有機スズ化合物が用いられていた。有機スズ化合物は、いわゆる環境ホルモン内分泌撹乱化合物質)であり、生物ミトコンドリアへ作用することで藻類の接着性繊維の分泌を抑制し、成長を阻害する。
しかし、TPTは、藻類に限らず人間を含む生態系全体にとっても毒性が強く、人が長期的に摂取すると成長阻害白血球減少による免疫力の低下等の問題を引き起すとして使用が禁止されている。
また、TBTについても同様に毒性の他、血液系に悪影響を与える可能性があるとして総量規制されており、将来的に使用が禁止される予定である。
また、同様の物質として2,6-ジクロロベンゾニトリル(DCB)や3-アミノ-2,6-ジクロロベンゾニトリルといったセルロース合成抑制剤接着繊維の分泌を抑制する物質として知られており、徐藻剤として使用されているが、やはり海洋汚染防止法にて有害液体物質とされている。

その他、鉛、クロム、銅などの金属イオンを利用する方法がある。
本方法は、材料表面及び処理表面より除放される金属イオンの微小金属作用による殺菌・殺藻効果を利用した方法である。このうち、銅が最も一般的に使用されており、銅板そのものを材料表面に貼付する方法、銅を用いた鍍金、銅イオンを含んだ塗料を塗布する方法が実用化されている。
しかし、銅板表面の酸化に起因するイオン放出低下により機能低下及び景観悪化が生じたり、銅板や塗料の劣化による剥離が生じたりするという問題が生じており、加えて、銅による環境への影響も懸念されている。このため、諸外国には、銅を使用した藻類付着防止塗料の船底使用を禁止している国も存在する。

このため、環境負荷が少ない方法として、光触媒である酸化チタンを塗料等として用いる方法が開発されている(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1には、光触媒層で発生する活性酸素酸化作用から水槽本体を保護するために
水槽内壁面に、耐熱性及び化学安定性に優れた樹脂で構成されている保護コーティング層を形成し、この保護コーティング層に、アナターゼ型酸化チタンで構成される光触媒層を積層することによって藻類の付着を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献2には、光触媒材料粉体と、抗菌性材料の粉体とを混合した防汚材を、接着剤によって船底に貼付することによって、船底に水生生物が付着することを防止する技術が開示されている。

特開平11−225658号公報(第3頁乃至第6頁)

特開2001−220524号公報(第4頁乃至第8頁)

概要

環境に悪影響を及ぼすことがなく、容易に液体に接する材料に付すことが可能であるとともに、光透過性を有する部材に対して、当該部材に要求される機能を阻害することのない液体接触面コーティング剤及びこの液体接触面用コーティング剤を備えた物体を提供する。液体接触面を有するものに施され、前記のものの表面に水生微生物が付着することを防止するためのコーティング剤に関する。 コーティング剤は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン、あるいは2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンから誘導される構成単位を有する重合体を含む。なし

目的

本発明の目的は、このような問題を解決することにあり、環境に悪影響を及ぼすことがなく、容易に液体に接する材料に施すことが可能であるとともに、光透過性を有する物体に対して、当該物体に要求される機能を阻害することのない液体接触面用コーティング剤及びこの液体接触面用コーティング剤を備えた物体を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

液体接触面を有するものに施され、前記ものの表面に水生微生物が付着することを防止するためのコーティング剤であって、前記コーティング剤は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン、あるいは2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンから誘導される構成単位、を有する重合体を含有することを特徴とするコーティング剤。

請求項2

前記ものは、光透過性を有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング剤。

請求項3

液体接触面を有するものに施され、前記ものの表面に水生微生物が付着することを防止するためのコーティング剤であって、前記コーティング剤は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンのホモポリマーであり、末端トリエトキシシリル基が結合されていることを特徴とするコーティング剤。

請求項4

液体接触面を有するものに施され、前記ものの表面に水生微生物が付着することを防止するためのコーティング剤であって、前記コーティング剤は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと、側鎖にウレタン基を有する化合物との共重合体であることを特徴とするコーティング剤。

請求項5

前記側鎖にウレタン基を有する化合物は、2−メタクリロイルオキシエチルブチルウレタンであることを特徴とする請求項4に記載のコーティング剤。

請求項6

液体接触面を有するものに施され、前記ものの表面に水生微生物が付着することを防止するためのコーティング剤であって、前記コーティング剤は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと、側鎖にシランカップリング基を有する化合物であることを特徴とするコーティング剤。

請求項7

前記側鎖にシランカップリング基を有する化合物は、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランであることを特徴とする請求項6に記載のコーティング剤。

請求項8

請求項1乃至請求項7いずれかに記載のコーティング剤を液体接触面に備えた物体

請求項9

請求項4または請求項5いずれかに記載のコーティング剤が液体接触面に施された物体であって、該物体は、二酸化ケイ素三次元架橋を有し、前記コーティング剤は、前記二酸化ケイ素三次元架橋中に分散されるとともに、水素結合により結合されていることを特徴とする物体。

請求項10

請求項3、請求項6、請求項7のいずれかに記載のコーティング剤が液体接触面に施された物体であって、前記物体は、無機化合物からなり、前記コーティング剤が、シランカップリング基により結合されていることを特徴とする物体。

請求項11

光透過性を有することを特徴とする請求項8乃至請求項10いずれかに記載の物体。

技術分野

0001

本発明は、液体接触面コーティング剤及び液体接触面用コーティング剤を備えた物体係り、特に水槽内壁面、水中カメラレンズ船底部材配管内壁面等、水に接して使用される部材を、海草カビ等の付着物から保護することが可能な液体接触面用コーティング剤及び液体接触面用コーティング剤を備えた物体に関する。

背景技術

0002

水槽内壁面、水中カメラレンズ、船底部材、配管内壁面、護岸ブロック等、水中で用いられる部材に生じる問題としては、錆による腐食に起因する破壊動水圧による破壊等の問題が生じることが知られている。
しかし、この他、藻類や苔、カビ等の微生物の付着もまた、水中で用いられる部材に生じる深刻な問題として浮上している。
例えば、取水及び排水のために配管内壁面にこれらの微生物が付着すると、配管内の流体流路狭小となり、流体の移動を阻害する。このため、配管としての機能低下、排水の再利用の阻害、配管内壁面の腐食環境悪化による早期劣化等の問題が生じることとなる。

0003

また、これらの微小生物は、フジツボ類となるため、これらの微生物の付着は、貝・フジツボ類の二次付着を招くこととなる。
例えば、原子力火力発電所冷却用海水の取水・排水配管内壁面に付着する量は、貝類だけで年間1900トンにも及び、これらの貝類を除去する費用莫大なものとなっている。
また、貝類等の除去処理後も、腐敗による悪臭処理場所不足といった二次的な問題を抱えている。

0004

工業以外の分野においても、例えば水産分野では、微生物の付着による網の早期劣化や、船底への貝・フジツボ類の二次付着による航行速度下等船舶の機能低下、が問題となっている。
また、水族館などでは、水槽内壁面に、これら微生物及び二次付着物が付着すると、視界の妨げとなる。このため、これら微生物及びこれら二次付着物の除去を行っているが、その手段はほとんどの場合手作業であり、多大な労力を要する。

0005

このような藻類等の微生物の付着問題を解決するために、材料表面に塗料鍍金などによる処理が行われてきた。
また、様々な表面塗布剤が開発されてきた。
藻類の付着を防止するためには、藻類が付着する際に用いる接着性繊維分泌を抑制する方法、又は接着性繊維が付着しにくい材料表面を創製する方法、の2種類の方法が考えられる。
藻類の接着性繊維の分泌を抑制する方法としては、トリフェニルスズTPT)やトリブチルスズ(TBT)等の有機スズ化合物が用いられていた。有機スズ化合物は、いわゆる環境ホルモン内分泌撹乱化合物質)であり、生物ミトコンドリアへ作用することで藻類の接着性繊維の分泌を抑制し、成長を阻害する。
しかし、TPTは、藻類に限らず人間を含む生態系全体にとっても毒性が強く、人が長期的に摂取すると成長阻害白血球減少による免疫力の低下等の問題を引き起すとして使用が禁止されている。
また、TBTについても同様に毒性の他、血液系に悪影響を与える可能性があるとして総量規制されており、将来的に使用が禁止される予定である。
また、同様の物質として2,6-ジクロロベンゾニトリル(DCB)や3-アミノ-2,6-ジクロロベンゾニトリルといったセルロース合成抑制剤接着繊維の分泌を抑制する物質として知られており、徐藻剤として使用されているが、やはり海洋汚染防止法にて有害液体物質とされている。

0006

その他、鉛、クロム、銅などの金属イオンを利用する方法がある。
本方法は、材料表面及び処理表面より除放される金属イオンの微小金属作用による殺菌・殺藻効果を利用した方法である。このうち、銅が最も一般的に使用されており、銅板そのものを材料表面に貼付する方法、銅を用いた鍍金、銅イオンを含んだ塗料を塗布する方法が実用化されている。
しかし、銅板表面の酸化に起因するイオン放出低下により機能低下及び景観悪化が生じたり、銅板や塗料の劣化による剥離が生じたりするという問題が生じており、加えて、銅による環境への影響も懸念されている。このため、諸外国には、銅を使用した藻類付着防止塗料の船底使用を禁止している国も存在する。

0007

このため、環境負荷が少ない方法として、光触媒である酸化チタンを塗料等として用いる方法が開発されている(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1には、光触媒層で発生する活性酸素酸化作用から水槽本体を保護するために
水槽内壁面に、耐熱性及び化学安定性に優れた樹脂で構成されている保護コーティング層を形成し、この保護コーティング層に、アナターゼ型酸化チタンで構成される光触媒層を積層することによって藻類の付着を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献2には、光触媒材料粉体と、抗菌性材料の粉体とを混合した防汚材を、接着剤によって船底に貼付することによって、船底に水生生物が付着することを防止する技術が開示されている。

0008

特開平11−225658号公報(第3頁乃至第6頁)

0009

特開2001−220524号公報(第4頁乃至第8頁)

発明が解決しようとする課題

0010

しかし、上記特許文献1及び特許文献2の技術は、光触媒効果を利用する技術であるため、暗所では効果が期待できないという問題点があった。
また、光触媒層を均一に塗布することが困難であるという問題点もあった。

0011

更に、その他の技術としてフッ素樹脂セラミックスの塗料が開発されているが、これは、工業構造物等への利用が主となっており、水槽、水中カメラのレンズ等、光透過性を持つ材料へ使用できないものが殆どである。

0012

本発明の目的は、このような問題を解決することにあり、環境に悪影響を及ぼすことがなく、容易に液体に接する材料に施すことが可能であるとともに、光透過性を有する物体に対して、当該物体に要求される機能を阻害することのない液体接触面用コーティング剤及びこの液体接触面用コーティング剤を備えた物体を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

前記課題は、請求項1に係る発明によれば、液体接触面を有するものに施され、前記ものの表面に水生微生物が付着することを防止するためのコーティング剤であって、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン、あるいは2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンから誘導される構成単位、を有する重合体を含有することにより解決される。
また、このとき、前記ものは、光透過性を有するものである。
このように、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン、あるいは2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンから誘導される構成単位、を有する重合体を含有するコーティング剤を液体接触面に施すことにより、水生微生物の付着を有効に防止することができる。
2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンは、側鎖にリン脂質極性基であるホスホコリン基を親水性基として有する、反応性富むメタクリル酸エステルであり、この2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンを含む高分子化合物は、タンパク質等の吸着阻害能力を有している。
このため、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンを含む高分子化合物は、例えば珪藻細胞膜を貫通して分泌する接着性繊維に含まれるグルコプロテイン及びプロテオグルカン(側鎖に糖鎖を有するタンパク質)の接着を阻害することにより珪藻の付着を防止することができるものと考えられる。
よって、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンを含む高分子化合物を光透過性部材の液体接触面に付すことにより、液体接触面に藻類等の水生微生物が付着することを防止することができるものと考えられる。

0014

また、前記課題は、請求項3に係る発明によれば、液体接触面を有するものに施され、前記ものの表面に水生微生物が付着することを防止するためのコーティング剤であって、前記コーティング剤は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンのホモポリマーであり、末端トリエトキシシリル基が結合されていることにより解決される。
この2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンのホモポリマーは透明であり、光透過性物質表面に付しても、光透過性を阻害することがない。
また、トリエトキシシリル基の存在により、コーティング剤を光透過性物質表面に容易に付すことができる。

0015

更に、前記課題は、請求項4に係る発明によれば、液体接触面を有するものに施され、前記ものの表面に水生微生物が付着することを防止するためのコーティング剤であって、前記コーティング剤は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと、側鎖にウレタン基を有する化合物との共重合体であることにより解決される。
また、このとき、前記側鎖にウレタン基を有する化合物は、2-メタクリロイルオキシエチルブチルウレタンであると好適である。
この2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと、側鎖にウレタン基を有する化合物である2-メタクリロイルオキシエチルブチルウレタンとの共重合体は、透明であり、光透過性物質表面の付しても、光透過性を阻害することがない。
また、ウレタン基の存在により、コーティング剤を光透過性物質表面に容易に付すことができる。

0016

更に、前記課題は、請求項6に係る発明によれば、液体接触面を有するものに施され、前記ものの表面に水生微生物が付着することを防止するためのコーティング剤であって、前記コーティング剤は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと、側鎖にシランカップリング基を有する化合物であることにより解決される。
また、このとき、前記側鎖にシランカップリング基を有する化合物は、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランであると好適である。
この2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと、側鎖にシランカップリング基を有する3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランとの共重合体は、透明であり、光透過性物質表面の付しても、光透過性を阻害することがない。
また、シランカップリング基の存在により、コーティング剤を光透過性物質表面に容易に付すことができる。

0017

更に、請求項8に示すように、これらのコーティング剤が液体接触面に施された物体を、水等の液体に接触する場所に使用すると、これらコーティング剤の存在により、藻類等が液体接触面に付着することを防止でき、物体の耐久性及び美観が長期間保持されるため好適である。
また、この物体が光透過性を有している場合には、光透過性部材の機能を害することなく、光透過性部材表面に藻類等の水生微生物が付着することを防止することができる。

0018

また、請求項9に係る発明によれば、請求項4または請求項5いずれかに記載のコーティング剤が液体接触面に施された物体であって、前記物体は、二酸化ケイ素三次元架橋を有し、前記コーティング剤は、前記二酸化ケイ素三次元架橋中へ分散されるとともに、水素結合により物体と結合されている。
更に、請求項10に係る発明によれば、請求項3、請求項6、請求項7のいずれかに記載のコーティング剤が液体接触面に施された物体であって、前記物体は、無機化合物からなり、前記コーティング剤が、シランカップリング基により直接結合している。
このように、コーティング剤が有する特性及び物体が有する特質に応じて、適した方法を選択することにより、物体上に平滑なコーティング剤の層を容易に付すことができる。
このように処理表面が平滑であると、藻類等の水生微生物の接触面積が減少すると共に、これら水生微生物が増殖するための足場となる場所が減少するため、水生微生物の付着を有効に防止することができる。
また、この物体が光透過性を有している場合には、光透過性部材の機能を害することなく、光透過性部材表面に藻類等の水生微生物が付着することを防止することができる。

発明の効果

0019

本発明によれば、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンを原料とした高分子化合物であるコーティング剤を光透過性部材に付し、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンの粘着性タンパク質付着防止機能及び細胞粘着抑制機能により、光透過性部材表面に藻類等が付着することを防止することができる。
また、藻類の付着を防止することによって、二次的に付着する貝類・フジツボ等の付着もまた有効に防止することができる。
また、コーティング剤としては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンのホモポリマー、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと2-メタクリロイルオキシエチルブチルウレタンの共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランとの共重合体が、有効に使用される。
これらのコーティング剤は、透明であるため、光透過性部材の光透過機能を害することなく、光透過性部材表面に藻類等が付着することを防止することができる。

0020

また、本発明によれば、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと2-メタクリロイルオキシエチルブチルウレタンの共重合体はゾルゲル法により、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンのホモポリマー及び2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンと3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランとの共重合体はシランカップリングにより、光透過性部材に平滑に付すことができる。
よって、処理表面の凹凸により光透過性部材の光透過機能を害することなく、光透過性部材表面に藻類等が付着することを有効に防止することができる。
また、処理表面が平滑であることから、藻類等の水生微生物の接触面積が減少すると共に、
これら水生微生物が増殖するための足場となる場所が減少するため、藻類等水生微生物が付着することを更に有効に防止することができる。

0021

更に、これらコーティング剤を付した光透過性を有する部材は、水槽に使用されるガラス及びアクリル板、水中カメラのレンズ等として利用することが可能であり、これらに生じる藻類等の一次付着物、及び貝類・フジツボ等の二次付着物の付着を有効に阻止することができるため、これらの部材の光透過機能を保持するとともに、外観上の美観もまた維持することができる。

発明を実施するための最良の形態

0022

以下、本発明の一実施形態を説明する。
なお、以下の説明は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本発明は、ガラス、アクリル板、水中カメラのレンズ、水槽内壁面等、光透過性を有する部材の水との接触面にコーティング剤による表面処理を施し、藻類等の一次付着物、及び貝類・フジツボ等の二次付着物の付着を有効に阻止することができる液体接触面用コーティング剤及びこの液体接触面用コーティング剤を備えた部材を提供することにある。
なお、本発明に係るコーティング剤は、上記に記載された光透過性を有する物体に限られることはなく、水槽内装品、船底、消波ブロックブイ漁業用網下水配管等各配管内壁面、下水処理内壁面等、光透過性を有しない物体にも使用することができる。
また、コーティング剤の付与方法も、本実施形態に限られることはなく、塗布、吹付け等、本発明の趣旨を外れない範囲で様々な方法を選択することができる。

0023

液体接触面用コーティング剤としては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下単に「MPC」と記す)のホモポリマー又は共重合体が使用される。
MPCとは、側鎖にリン脂質極性基であるホスホコリン基を親水性基として有する、反応性に富むメタクリル酸エステルであり、電荷を有するものの分子内で塩を形成しているため、分子全体で、広いpH領域において中性分子として振舞う。
下記に、MPCの構造式を示す。

0024

0025

このMPCのポリマーは、生体膜構造から発想された材料であり、タンパク質吸着を抑制する機能を有していることが報告されている。
一般的に、タンパク質のポリマー表面への吸着現象及び構造変化に関しては、周囲の水が大きく関与しており、水の構造が自由水の状態であれば吸着が起こりにくいということがわかっている。
MPCポリマーの自由水含有率は、他の生体材料に使用されているポリマーと比して大きいため、他のポリマーに比してタンパク質吸着を抑制する機能を発揮する。
発明者らは、このMPCポリマーのタンパク質吸着抑制機能及び細胞粘着抑制機能を利用することにより、藻類等の接着性タンパク質吸着を抑制するコーティング剤を作成したものである。
つまり、水生微生物である珪藻を例にとると、物質に接した珪藻は、珪藻細胞より分泌される粘着性のある細胞外基質により物質に緩く付着する。その後、細胞膜を貫通して分泌される接着性繊維に含まれるグルコプロテイン及びプロテオグルカン(側鎖に糖鎖を有するタンパク質)により物質に固着する。
よって、コーティング剤の原料である2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリンのタンパク質付着防止機能によって、藻類の付着は有効に防止できるものと考えられる。

0026

1.コーティング剤を構成するポリマーの合成
(1)試薬の調整
(イ)2-イソシアネートエチルメタクリレート(以下、単に「IEMA」と記す)の調整
市販の試薬を、減圧蒸留して使用した(bp50℃/1.5mmHg)。
(ロ)1-ブタノールの調整
市販の試薬をそのまま使用した。
(ハ)トルエンの調整
市販の試薬に塩化カルシウムを加えて水分除去し、塩化カルシウム存在下で常圧蒸留したものを使用した(bp110.6℃)。
(ニ)ジラウリン酸ブチルスズ(以下、単に「DTBL」と記す)の調整
市販の試薬をそのまま使用した。
(ホ)3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン(以下、単に「3-MPTESC」と記す)。
市販の試薬をそのまま使用した。
(ヘ)MPCの調整
発明者らにより報告された製法(Polymer Journal,Vol22,No.5,pp355-360(1990))に基づき調整した。
(ト)エタノールの調整
市販の試薬を常圧蒸留したものを使用した(bp78.3℃)。
(チ)ジエチルエーテルの調整
市販の試薬をそのまま使用した。
(リ)クロロホルムの調整
市販の試薬をそのまま使用した。
(ヌ)重エタノール
市販の試薬をそのまま使用した。
(ル)70%過塩素酸
市販の試薬をそのまま使用した。
(ヲ)モリブデン酸アンモニウム
市販の試薬をそのまま使用した。
(ワ)アスコルビン酸
市販の試薬をそのまま使用した。
(カ)リン酸水素二ナトリウム
市販の試薬をそのまま使用した。

0027

(2)MPCと2-メタクリロイルオキシエチルブチルウレタン(以下、単に「MEBU」と記す)との共重合体(以下、単に「PMBU」と記す)の合成
(イ)MEBUの合成
予めMEBUを合成する。
トルエン200mlを溶媒として、IEMAと1-ブタノールをそれぞれ0.5molずつ加えてよく撹拌する。
次いで、触媒としてDBTLを加え、60℃で6.5時間反応させた。
反応終了後ロータリーエバポレータを使用し、溶媒を除去した。
図1にMEBUの合成スキームを記す。
(ロ)PMBUの合成
モノマー濃度を0.5Mとし、MPCとMEBUがそれぞれ15mol%、85mol%となるように仕込み、エタノール30mlを溶媒、AIBN5mMを重合開始剤として加え、60℃で3時間反応させた。
反応後、ジエチルエーテルとクロロホルムを9:1の割合で混合した溶媒中で、得られた共重合体を再沈殿し、精製した。
収率は、約75%であった。
下記に、PMBUの構造式を記す。

0028

0029

(3)MPCと3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン(以下、単に「MPTESC」と記す)との共重合体(以下、単に「PMSi」と記す)の合成
モノマー濃度を0.5Mとし、MPCとMPTESCがそれぞれ95mol%、5mol%となるように仕込み、エタノール30mlを溶媒、AIBN5mMを重合開始剤として加え、60℃で2時間反応させた。
収率は、約52%であった。
下記に、PMSiの構造式を記す。

0030

0031

(4)末端にトリエトキシシリル基を有するMPCのホモポリマー(以下、単に「TEOS-PMPC」と記す)の合成
モノマーとしてMPC、ラジカル生成剤としてAIBN、連鎖移動剤としてTESPMを混合し、溶媒としてエタノールを用い、モノマー濃度0.03M、AIBN濃度0.03mMとした。
TESPM濃度は、[TESPM]/[MPC]=0.01となるように、3×10-5Mとした
重合反応は、60℃で2時間行い、反応終了後、反応混合物エーテル−クロロホルム混合溶媒(エーテル:クロロホルム=8:2)中に投じ、ポリマーを沈殿精製した。
収率は、約63%であった。
下記に、TEOS-PMPCの構造式を記す。

0032

0033

(5)構造解析
(イ)PMBU及びPMSi
測定方法
MPC共重合体の構造解析は、フーリエ変換赤外分光(FT/IR)測定(JASCO FT/IR 615)により行った。
PMBU、PMSiをそれぞれ0.006gはかりとり10ml用メスフラスコで、エタノールによりメスアップした溶液を50μl試験管採取した。
次いで、120℃で乾固させ、70%過塩素酸260μlを加えて180℃、20分間加熱分解した。
冷却後、蒸留水1900μl、モリブデン酸アンモニウム400μl、アスコルビン酸400μlを加えて、100℃の湯浴で5分間加温して発色させ、紫外可視吸光光度計(UV:JASCO V560)にてリン吸光度を測定した。
検量線は、1.0mMリン酸水素二ナトリウム溶液を、0μl、10μl、20μl、40μl、80μl、120μl採取して同様の操作を行なうことにより作成した。
測定した吸光度より、PMBU、PMSi中のMPCユニット組成を算出した。
(結果)
図2にPMBUのFT/IRチャートを、図3にPMSiのFT/IRチャートを示す。
図2には、PMBUの構造由来の-COO−(1168cm-1)、P=O(1245cm-1)、-NHCOO−(1542cm-1)、C=O(1706cm-1)のピークが認められた。
図3には、PMSiの構造由来のSi−C(790cm-1)、−COO−(1168cm-1)、P=O(1245cm-1)、C=O(1706cm-1)のピークが認められた。
以上の結果より、得られたポリマーがそれぞれPMBP、PMSiであることが確認できた。
(ロ)TEOS-PMPC
TEOS-PMPCは、NMRにより、末端にトリエトキシシリル基が結合していることを確認した。

0034

(6)光透過性部材へのコーティング処理
ゾル−ゲル法を用いて形成されるSiO2の三次元架橋中へPMBUを分散させる方法、シランカップリングユニットを有するPMSi、TEOS-PMPCを用いて、シランカップリングユニットにより、光透過性部材へ直接結合させる方法、の2種類の表面処理方法によりコーティング処理を行い、物理的構造表面特性に関する評価及び比較、及びコーティング処理後の表面への藻類の付着抑制効果の評価を行った。
なお、ゾル−ゲル法とは、比較的低温での処理でガラス、セラミックスを生成する方法として一般的に知られている方法であり、詳細は実施例にて記載する。

0035

コーティング処理を施した光透過性部材の物理的構造、表面特性に関する評価及び比較をおこなった。
以下、試薬として、下記の試薬を使用した。
(イ)エタノール
市販の試薬をそのまま使用した。
(ロ)テトラエトキシシラン(以下、単に「TEOS」と記す)
市販の試薬をそのまま使用した。
(ハ)酢酸
市販の試薬(99.7%)をそのまま使用した。
(ニ)硫酸
市販の試薬をそのまま使用した。
(ホ)過酸化水素水
市販の試薬をそのまま使用した。

0036

1.ゾル−ゲル法によるPMBU/SiO2表面処理
本実施例においては、光透過性部材として、ガラス板を用いた。
エタノールを溶媒としたPMBUの0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、5wt%、10wt%溶液を作成し、これらの溶液にTEOS10ml、酢酸1mlを加え、30分間撹拌することにより、PMBU/SiO2表面処理液を作成した。
次いで、硫酸と過酸化水素水を3:1にて混合した溶液で洗浄したガラス板を処理溶液中に10分間浸漬した後、2時間100℃にて保持した。

0037

2.PMSi、TEOS-PMPCによる表面処理
本実施形態においては、光透過性部材としてガラス板を用いた。
エタノールを溶媒としたPMSi0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%溶液と、エタノールを溶媒とした0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%溶液とを、それぞれ20ml作成し、表面処理液とした。
次いで、硫酸と過酸化水素水を3:1にて混合した溶液で洗浄したガラス板を処理溶液中に10分間浸漬した後、2時間100℃にて保持した。

0038

3.処理表面の物理的構造評価
(1)走査電子顕微鏡(以下、単に「SEM」と記す)観察
PMBU/SiO2処理表面、PMSi処理表面、TEOS−PMPC処理表面をそれぞれ電子顕微鏡で観察した。
(2)結果
PMBU/SiO2に関して、表面処理ポリマー濃度0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%においては、平滑で透明な表面処理が可能であったが、表面処理ポリマー濃度5wt%、10wt%においては、表面が不均一で不透明な表面となった。これは、処理液中に大量のポリマー粒子が存在すると粒子の分散が不均一になるためであると考えられる。
図4(a)に表面処理ポリマー濃度10wt%のPMBU/SiO2処理表面SEM写真を、図4(b)に表面処理ポリマー濃度1wt%のPMBU/SiO2処理表面SEM写真を示す。
PMSi、TEOS−PMPCに関しては、双方とも表面処理ポリマー濃度0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%いずれにおいてもガラス基板上への平滑で透明な表面処理が可能であった。
図4(c)に表面処理ポリマー濃度1wt%のPMSi処理表面SEM写真を、図4(d)に表面処理ポリマー濃度1wt%のTEOS−PMPC処理表面SEM写真を示す。
なお、図4(c)及び図4(d)を比較すると、PMSi処理表面は、TEOS−PMPC処理表面に比して粗い表面となっていることがわかる。これは、PMSiの方が分子量が大きく、シランカップリングユニットを多く持つため、表面付着が不均一になるためであると考えられる。

0039

4.処理表面の特性評価
(1)接触角測定
PMBU/SiO2に関して、表面処理ポリマー濃度0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、5wt%、10wt%、PMSiに関して、表面処理ポリマー濃度0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、TEOS−PMPCに関して、表面処理ポリマー濃度0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%の静的接触角及び水中静的接触角の測定を行った(FACE CA-W)。

0040

(2)X線電子分光(以下、単に「XPS」と記す)測定
PMBU/SiO2に関して、表面処理ポリマー濃度0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、5wt%、10wt%、PMSiに関して、表面処理ポリマー濃度0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、TEOS−PMPCに関して、表面処理ポリマー濃度0.01wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%の炭素原子酸素原子窒素原子リン原子ケイ素についてXPS測定を行った(AXIS-HSi)。

0041

(3)結果
各処理表面の静的接触角及び水中接触角図5に示す。
また、PMBU/SiO2処理表面に関するXPSスペクトル図6に、PMSi処理表面に関するXPSスペクトルを図7に、TEOS−PMPC処理表面に関するXPSスペクトルを図8に示す。
更に、P/S比及びP/Si比を表1に示す。

0042

(イ)PMBU/SiO2処理表面の特性
図5に示すように、乾燥状態の接触角ではポリマー濃度1wt%に比して、5wt%以上の接触角が高くなっている。これは、表面状態が平滑でないためであると考えられる。
乾燥状態での接触角に比して、膨潤状態での接触角が低いことから、膨潤させることによりPMBU中のMPCユニットが表面へ移動するものと考えられる。
また、乾燥状態で相違が確認された5wt%以上の処理表面においても同様に、膨潤状態での接触角が低くなった。これは、膨潤させることにより、MPCポリマーが表面に移動すると共に、水の接触表面が増加するためであると考えられる。
更に、図6に示すように、PMBU/SiO2処理表面に関するXPSスペクトルにおいては、PMBU由来の窒素原子のピーク(399eV)、及びリン原子のピーク(133eV)が確認された。このことより処理表面にPMBUが存在していることがわかる。
また、表1に示すように、処理溶液濃度と比例してP/Si比が増加することより、濃度に比例して処理表面中のPMBUが増加していることがわかる。

0043

(ロ)PMSi処理表面及びTEOS−PMPC処理表面の特性
図5に示すように、静的接触角が処理濃度と比例して下がることより、当該処理濃度範囲において、PMSi及びTEOS−PMPCによる表面処理が可能であることがわかる。
また、図7及び図8に示すように、PMSi処理表面及びTEOS−PMPC処理表面のXPSスペクトルにおいては、各々のポリマー由来の窒素原子のピーク(399eV)、リン原子のピーク(133eV)、及びSiのピーク(103eV)が確認された。このことより、処理表面に、PMSi及びTEOS−PMPC各ポリマーが存在していることがわかる。
更に、PMBU/SiO2処理表面に比して、Si原子ピークが低くなっていることから、シランカップリングユニットがガラス基板側を向いており、MPCユニット側が表面に存在していると考えられる。

0044

コーティング処理を施した光透過性部材による藻類の付着抑制に関する評価及び比較をおこなった。
実施例1から、コーティング剤としてPMBU/SiO2、PMSi、TEOS−PMPCを用いることにより、光透過性部材の光透過性を損なうことなく表面処理を行うことが可能であることが確認された。
よって、これらのコーティング剤をガラス基板に施し、藻類の付着抑制に関する評価を行う。
以下、試薬として、下記の試薬を使用した。
(イ)ウシ血清アルブミン
市販の試薬をそのまま使用した。
(ロ)リン酸緩衝液(以下、単に「PBS」と記す)
市販の試薬をそのまま使用した。
(ハ)ドデシル酸ナトリウム(以下、単に「SDS」と記す)
市販の試薬をそのまま使用した。
(ニ)藻類培養液
KW-21(第一製網株式会社)を使用した。
(ホ)ケイ酸ナトリウム
市販の試薬をそのまま使用した。
(ヘ)硝酸カリウム
市販の試薬をそのまま使用した。

0045

1.タンパク質吸着実験
各ポリマーにより表面処理を行ったガラス基板の表面への、粘着性タンパク質吸着抑制確認を行った。
粘着性タンパク質として、ウシ血清アルブミンを使用した。
PMBU/SiO2、PMSi、TEOS−PMPCで処理したガラス板を細胞培養用シャーレ(Falcon 24well)に入れ、PBSにて平衡化処理を行った。
次いで、PBSを除去し、アルブミン溶液(0.45g/dl)を加え、37℃で60分間接触させた。
この後、吸着したアルブミン量を測定する。これは、ミクロBCA法による。
アルブミン溶液を除去し、各ガラス板処理表面をPBSで20回洗浄した後、SDS溶液(1wt%:PBS溶媒)1mlを加え、30分間超音波洗浄を行い、処理表面へ付着したアルブミンを溶解させた。
次いで、SDS溶液を細胞培養シャーレ(Falcon 96well)へ移し、市販のミクロBCAキットを用いて処理を行った。処理方法は、市販のミクロBCAキット処理手順による。
その後、37℃で120分間反応させ、570nmの吸光度を測定することにより各ガラス板処理表面に吸着していたアルブミン量の評価を行った。

0046

2.珪藻付着実
(1)珪藻培養
本実施例においては、部材表面へ付着しやすい藻類である淡水付着珪藻(Achnanthes minutissima NIES-412)を使用した。
培養液としては、藻類培養液を純水にて2000倍に希釈したものに、Na2SiO3 0.1mg/l、KNO3 0.1mg/lを加えたものを、pH7に調整して使用した。
明暗期サイクルは、12h/12hとし、15℃に保ち液地培養を行った。
(2)珪藻付着実験
培養液(藻類濃度25mg/ml)ごと細胞培養シャーレ(Falcon 6well)に5mlずつ移し、その中に、PMBU/SiO2、PMSi、TEOS−PMPCで処理したガラス板(20mm×26mm)を浸漬させた。
明暗期のサイクルは、12h/12hとし、15℃に保った。

0047

3.結果
(1)タンパク質吸着抑制効果の評価
図9に、各処理表面へのタンパク質付着量を示す。
表面処理を施していないガラス表面と比して、いずれの処理表面についてもアルブミンの吸着量が少ないことが確認された。
また、表面が平滑でないPMBU/SiO2(処理溶液ポリマー濃度5wt%、10wt%)の表面においても、同様に、表面に導入されているMPCポリマー量にのみ比例して、表面へのアルブミン吸着量が減少していることが確認された。
なお、同様の操作を同一条件にて3回繰り返して実験を行っても同様の傾向が見られるが、PMSi処理表面において、最もタンパク質吸着抑制能力が認められた。
上より、処理表面に存在するMPCユニットがアルブミン吸着抑制に効果的に機能すると考えられ、各々の処理表面において、ある程度の物理的付加への耐久性が確認された。

0048

(2)珪藻付着抑制効果の評価
図10に、各処理表面への珪藻付着量の変化を示す。
また、図11に表面処理を行わないガラス板表面の経時間変化を示す顕微鏡写真、図12及び図13にPMBU/SiO2表面処理を行ったガラス板表面の経時間変化を示す顕微鏡写真(各ポリマー濃度毎)、図14にPMSi表面処理を行ったガラス板表面の経時間変化を示す写真(各ポリマー濃度毎)、図15にTEOS-PMPC表面処理を行ったガラス板表面の経時間変化を示す顕微鏡写真(各ポリマー濃度毎)を示す。
図10及び図11より、ガラス表面へは、14日後の時点で目視においても珪藻の付着が確認され、表面上で珪藻が多数の群を形成し、40日後まで次第に珪藻の付着面積及び付着数が増加していることが確認された。
図10(a)、図12及び図13より、PMBU/SiO2表面処理を行ったガラス板表面では、処理溶液ポリマー濃度5wt%、10wt%のものに関して、40日間殆ど珪藻の付着は認められなかった。処理液ポリマー濃度0.5wt%、1wt%のものに関しては、目視でスライム状の汚れが認められた程度で、殆ど珪藻の付着は確認できなかった。しかし、顕微鏡では、ガラス表面程ではないが、処理表面上に平均的に珪藻土の群の点在が認められた。
図10(b)(c)、図14及び図15より、PMSi表面処理を行ったガラス板表面及びTEOS-PMPC表面処理を行ったガラス板表面では、処理溶液ポリマー濃度0.5wt%、1wt%のものに関して、いずれにおいても40日間表面上への珪藻の付着は殆ど確認されなかった。
しかしながら、PMSi表面処理を行ったガラス板表面及びTEOS-PMPC表面処理を行ったガラス板表面双方共、処理溶液ポリマー濃度0.5wt%の試料において、40日経過した表面上に、僅かながら鎖状の珪藻の群の付着が認められた。

0049

以上より、各処理表面の存在するMPCユニットが珪藻付着に効果的に機能していると考えられ、PMBU/SiO2では、処理溶液のポリマー濃度5 wt%以上、PMSi及びTEOS-PMPCでは、処理溶液のポリマー濃度0.5wt%以上において、珪藻の付着はほぼ阻止できることが確認された。
また、本来、珪藻が付着し易い筈である、表面が平滑でないPMBU/SiO2(処理溶液ポリマー濃度5wt%、10wt%)の表面においてもMPCポリマー導入量に比例して珪藻付着が抑制されること、及び付着していない珪藻の周囲に分泌物が見られることから、MPCユニットによる表面処理により、珪藻の分泌する粘着性繊維に起因する付着が抑制されていると予測され、珪藻の生態系には影響を与えることはないと考えられる。

図面の簡単な説明

0050

本実施形態に係るMEBUの合成スキームである。
本実施形態に係るPMBUのFT/IRチャートである。
本実施形態に係るPMSiのFT/IRチャートである。
実施例1に係るPMBU/SiO2処理表面、PMSi処理表面、TEOS−PMPC処理表面の電子顕微鏡写真である。
実施例1に係るPMBU/SiO2処理表面、PMSi処理表面、TEOS−PMPC処理表面の静的接触角及び水中接触角を示すグラフである。
実施例1に係るPMBU/SiO2処理表面のXPSスペクトルである。
実施例1に係るPMSi処理表面のXPSスペクトルである。
実施例1に係るTEOS−PMPC処理表面のXPSスペクトルである。
実施例2に係るPMBU/SiO2処理表面、PMSi処理表面、TEOS−PMPC処理表面へのタンパク質付着量を示すグラフである。
実施例2に係るPMBU/SiO2処理表面、PMSi処理表面、TEOS−PMPC処理表面への珪藻付着量の変化を示すグラフである。
実施例2に係る表面処理を行わないガラス板表面の経時間変化を示す顕微鏡写真である。
実施例2に係るPMBU/SiO2表面処理を行ったガラス板表面の経時間変化を示す顕微鏡写真(各ポリマー濃度毎)である。
実施例2に係るPMBU/SiO2表面処理を行ったガラス板表面の経時間変化を示す顕微鏡写真(各ポリマー濃度毎)である。
実施例2に係るPMSi表面処理を行ったガラス板表面の経時間変化を示す写真(各ポリマー濃度毎)である。
実施例3に係るTEOS-PMPC表面処理を行ったガラス板表面の経時間変化を示す顕微鏡写真(各ポリマー濃度毎)である。

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