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技術 操作性評価方法、プログラム、記録媒体および操作性評価装置

出願人 株式会社豊田中央研究所国立大学法人広島大学
発明者 羽田昌敏山田大介辻敏夫
出願日 2004年12月28日 (12年11ヶ月経過) 出願番号 2004-379063
公開日 2006年7月13日 (11年5ヶ月経過) 公開番号 2006-185249
状態 未査定
技術分野 CAD 特定用途計算機
主要キーワード 伝達空間 定常操作 非中立位置 剛体セグメント 人体全身 慣性特性 主慣性モーメント 解析位置

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図面 (20)

課題

人間による対象物操作性を評価する技術であって、それら人間および対象物のそれぞれの慣性を考慮して操作性をより精度よく評価するものを提供する。

解決手段

対象物単独の慣性である対象物慣性Mmと、人間が前記対象物を操作している操作状態において前記人間のうち前記対象物の操作に関与する部分単独の慣性である人間慣性Mhとが合成された合成慣性rMhmを取得し、その取得された合成慣性rMhmに基づき、人間による対象物の操作性を評価する。

背景

操作者である人間による対象物操作性を評価する手法として、試験者である人間による官能評価存在する。しかしながら、このような官能評価では、操作性の評価結果を定量化するのに限界があるうえに、この官能評価の結果が試験者によって変動してしまい、その官能評価の信頼性を向上させるのにも限界がある。

このような不都合を解消するため、人間による対象物の操作性を、試験者による官能評価に依存することなく、定量的に評価する手法が既にいくつか提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−220872号公報

概要

人間による対象物の操作性を評価する技術であって、それら人間および対象物のそれぞれの慣性を考慮して操作性をより精度よく評価するものを提供する。対象物単独の慣性である対象物慣性Mmと、人間が前記対象物を操作している操作状態において前記人間のうち前記対象物の操作に関与する部分単独の慣性である人間慣性Mhとが合成された合成慣性rMhmを取得し、その取得された合成慣性rMhmに基づき、人間による対象物の操作性を評価する。

目的

以上説明した事情背景として、本発明は、人間による対象物の操作性を評価する技術であって、それら人間および対象物のそれぞれの慣性を考慮して操作性をより精度よく評価するものを提供することを課題としてなされたものである。

効果

実績

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請求項1

人間による対象物操作性を評価する操作性評価方法であって、前記対象物単独の慣性である対象物慣性と、前記人間が前記対象物を操作している操作状態において前記人間のうち前記対象物の操作に関与する部分単独の慣性である人間慣性とが合成された合成慣性取得する合成慣性取得工程と、その取得された合成慣性に基づいて前記操作性を評価する評価工程とを含む操作性評価方法。

請求項2

前記合成慣性取得工程は、前記対象物と前記人間とのいずれかに、前記操作性を評価するために着目すべき位置を評価位置として設定する評価位置設定工程と、前記人間慣性とは無関係に、前記対象物慣性を取得する対象物慣性取得工程と、前記対象物慣性とは無関係に、前記人間慣性を取得する人間慣性取得工程と、それら取得された対象物慣性と人間慣性とを、前記設定された評価位置に関して、数学的に互いに合成することにより、前記合成慣性を算出する合成慣性算出工程とを含む請求項1に記載の操作性評価方法。

請求項3

前記対象物慣性取得工程は、前記取得された対象物慣性と、前記操作状態において前記対象物のうち前記人間に接触する対象物側接触部分が外部環境から受ける第1拘束条件とに基づき、前記第1拘束条件を考慮しつつ、前記取得された対象物慣性に対して、前記対象物を定義する座標空間を、前記評価位置を定義する座標空間に変換する第1座標変換を行い、それにより、前記取得された対象物慣性が前記対象物から前記評価位置まで伝達された場合のその評価位置における対象物慣性を等価対象物慣性として誘導する対象物慣性座標変換工程を含み、前記人間慣性取得工程は、前記取得された人間慣性と、前記操作状態において前記人間のうち前記対象物に接触する人間側接触部分が外部環境から受ける第2拘束条件とに基づき、前記第2拘束条件を考慮しつつ、前記取得された人間慣性に対して、前記人間を定義する座標空間を、前記評価位置を定義する座標空間に変換する第2座標変換を行い、それにより、前記取得された人間慣性が前記人間から前記評価位置まで伝達された場合のその評価位置における人間慣性を等価人間慣性として誘導する人間慣性座標変換工程を含み、前記合成慣性算出工程は、前記誘導された等価対象物慣性と等価人間慣性とを数学的に互いに合成することにより、前記合成慣性を算出する請求項2に記載の操作性評価方法。

請求項4

前記対象物慣性座標変換工程は、前記取得された対象物慣性と、前記第1拘束条件と、前記人間と前記対象物とが互いに接触する接触条件とに基づき、前記第1拘束条件と前記接触条件とを考慮しつつ、前記取得された対象物慣性に対して前記第1座標変換を行い、それにより、前記等価対象物慣性を誘導し、前記人間慣性座標変換工程は、前記取得された人間慣性と、前記第2拘束条件と、前記接触条件とに基づき、前記第2拘束条件と前記接触条件とを考慮しつつ、前記取得された人間慣性に対して前記第2座標変換を行い、それにより、前記等価人間慣性を誘導する請求項3に記載の操作性評価方法。

請求項5

前記合成慣性取得工程は、前記操作状態において前記対象物に作用する力を第1センサによって検出する第1検出工程と、前記操作状態において前記対象物が示す挙動を第2センサによって検出する第2検出工程と、前記第1センサによる検出値と前記第2センサによる検出値とに基づいて前記合成慣性を算出する算出工程とを含む請求項1に記載の操作性評価方法。

請求項6

前記評価工程は、設計者が前記対象物を前記対象物慣性に関して設計することを支援するために、前記合成慣性の目標値を入力する目標値入力工程と、前記取得された合成慣性の、前記入力された目標値に対する誤差が減少するように、前記対象物慣性の設計値修正する設計値修正工程とを含む請求項1ないし5のいずれかに記載の操作性評価方法。

請求項7

前記人間は、車両の乗員であり、前記対象物は、前記車両において前記乗員によって操作される操作部材である請求項1ないし6のいずれかに記載の操作性評価方法。

請求項8

前記操作部材は、ステアリング操作部材と、ブレーキ操作部材と、アクセル操作部材と、クラッチ操作部材と、変速のために操作されるシフト操作部材とのうちの少なくとも一つを含む請求項7に記載の操作性評価方法。

請求項9

請求項1ないし8のいずれかに記載の方法を実施するためにコンピュータにより実行されるプログラム

請求項10

請求項9に記載のプログラムをコンピュータ読取り可能に記録した記録媒体

請求項11

人間による対象物の操作性を評価する操作性評価装置であって、前記対象物と前記人間とのいずれかに、前記操作性を評価するために着目すべき位置を評価位置として設定する評価位置設定手段と、その設定された評価位置に関して、前記対象物単独の慣性である対象物慣性と、前記人間が前記対象物を操作している操作状態において前記人間のうち前記対象物の操作に関与する部分単独の慣性である人間慣性とが合成された合成慣性を取得する合成慣性取得手段と、その取得された合成慣性に基づいて前記操作性を評価する評価手段とを含む操作性評価装置。

請求項12

前記評価手段は、設計者が前記対象物を前記対象物慣性に関して設計することを支援するために、前記合成慣性の目標値を入力する目標値入力手段と、前記取得された合成慣性の、前記入力された目標値に対する誤差が減少するように、前記対象物慣性の設計値を修正する設計値修正手段とを含む請求項11に記載の操作性評価装置。

技術分野

0001

本発明は、人間による対象物操作性を評価する技術に関するものであり、特に、それら人間および対象物のそれぞれの慣性を考慮して操作性を評価する技術に関するものである。

背景技術

0002

操作者である人間による対象物の操作性を評価する手法として、試験者である人間による官能評価存在する。しかしながら、このような官能評価では、操作性の評価結果を定量化するのに限界があるうえに、この官能評価の結果が試験者によって変動してしまい、その官能評価の信頼性を向上させるのにも限界がある。

0003

このような不都合を解消するため、人間による対象物の操作性を、試験者による官能評価に依存することなく、定量的に評価する手法が既にいくつか提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−220872号公報

発明が解決しようとする課題

0004

人間による対象物の操作性を評価する典型的な従来技術によれば、人間による対象物の操作性を評価するために、その対象物単独の剛性または粘性計算または実測によって取得され、その取得値に基づいてその操作性が評価される。

0005

しかしながら、本発明者らの研究により、操作中に人間が対象物から感じ特性は、その対象物の剛性または粘性に限らず、その対象物の慣性によっても左右されることが判明した。さらに、操作中に人間が対象物から感じる慣性は、その対象物単独の慣性に必ずしも一致しないことが判明した。さらにまた、操作中に人間が対象物から感じる慣性は、対象物単独の慣性に、人間単独の慣性による影響を与えたものに一致する可能性があることも判明した。

0006

このことを、車両の操舵系を例にとり、具体的に説明するに、運転者が車両を操縦する場合には、運転者がステアリングホイールを手で握ることによって人間から操舵系へ操作力伝達される。そのため、運転者の手とステアリングホイールとの間には、あたかも機械的なジョイントが介在するのと等価な物理特性が発生する。そのため、運転者である人間の筋や関節あるいは身体が持つ慣性が、ステアリングホイールのコラム軸線まわりの回転運動に何らかの物理的な影響を与える。その結果、操舵中に運転者がステアリングホイールから感じる慣性は、そのステアリングホイール単独の慣性に、運転者単独の慣性による影響を与えたものに一致する可能性がある。

0007

以上説明した事情背景として、本発明は、人間による対象物の操作性を評価する技術であって、それら人間および対象物のそれぞれの慣性を考慮して操作性をより精度よく評価するものを提供することを課題としてなされたものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。

0009

さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。

0010

(1) 人間による対象物の操作性を評価する操作性評価方法であって、
前記対象物単独の慣性である対象物慣性と、前記人間が前記対象物を操作している操作状態において前記人間のうち前記対象物の操作に関与する部分単独の慣性である人間慣性とが合成された合成慣性を取得する合成慣性取得工程と、
その取得された合成慣性に基づいて前記操作性を評価する評価工程と
を含む操作性評価方法。

0011

この方法によれば、対象物単独の慣性と、人間が対象物を操作している操作状態において人間のうち対象物の操作に関与する部分単独の慣性とが合成された合成慣性が取得される。その取得された合成慣性に基づいて操作性が評価される。

0012

したがって、この方法によれば、対象物単独の慣性のみに基づいて操作性が評価される場合より、操作性の評価の信頼性を向上させることが容易となる。さらに、人間単独の慣性のみに基づいて操作性が評価される場合より、操作性の評価の信頼性を向上させることが容易となる。

0013

本項および下記の各項における「合成慣性」は、典型的には、対象物慣性と人間慣性とを加算的または乗算的に合成して取得された値として定義されるが、合成慣性の取得値が人間または対象物の物理特性の解析よりむしろ操作性の評価に用いられるという側面重視する場合には、その他の値、例えば、対象物慣性と人間慣性とを減算的または除算的に合成して取得された値として定義することが可能である。

0014

(2) 前記合成慣性取得工程は、
前記対象物と前記人間とのいずれかに、前記操作性を評価するために着目すべき位置を評価位置として設定する評価位置設定工程と、
前記人間慣性とは無関係に、前記対象物慣性を取得する対象物慣性取得工程と、
前記対象物慣性とは無関係に、前記人間慣性を取得する人間慣性取得工程と、
それら取得された対象物慣性と人間慣性とを、前記設定された評価位置に関して、数学的に互いに合成することにより、前記合成慣性を算出する合成慣性算出工程と
を含む(1)項に記載の操作性評価方法。

0015

この方法によれば、合成慣性を数値解析によって取得することが可能となるため、特定の物理量の実測もその実測のための試験品製作も完全にないしは部分的に省略可能となる。

0016

本項における「対象物慣性取得工程」は、対象物が特定の挙動を示すときにおけるその対象物単独の慣性として取得したり、対象物の挙動を表す物理量の関数として取得することが可能である。同様に、「人間慣性取得工程」は、人間が特定の挙動を示すときにおけるその人間単独の慣性として取得したり、人間の挙動を表す物理量の関数として取得することが可能である。

0017

ただし、「対象物慣性取得工程」および「人間慣性取得工程」がそれぞれ、対象物および人間が特定の挙動を示すときにおけるその対象物単独の慣性およびその人間単独の慣性として取得する態様で実施される場合には、対象物であるか人間であるかを問わず、慣性が挙動に依存する性質を有するため、その取得された挙動を、挙動に基づいて補正することが必要である。

0018

(3) 前記対象物慣性取得工程は、
前記取得された対象物慣性と、前記操作状態において前記対象物のうち前記人間に接触する対象物側接触部分が外部環境から受ける第1拘束条件とに基づき、前記第1拘束条件を考慮しつつ、前記取得された対象物慣性に対して、前記対象物を定義する座標空間を、前記評価位置を定義する座標空間に変換する第1座標変換を行い、それにより、前記取得された対象物慣性が前記対象物から前記評価位置まで伝達された場合のその評価位置における対象物慣性を等価対象物慣性として誘導する対象物慣性座標変換工程を含み、
前記人間慣性取得工程は、
前記取得された人間慣性と、前記操作状態において前記人間のうち前記対象物に接触する人間側接触部分が外部環境から受ける第2拘束条件とに基づき、前記第2拘束条件を考慮しつつ、前記取得された人間慣性に対して、前記人間を定義する座標空間を、前記評価位置を定義する座標空間に変換する第2座標変換を行い、それにより、前記取得された人間慣性が前記人間から前記評価位置まで伝達された場合のその評価位置における人間慣性を等価人間慣性として誘導する人間慣性座標変換工程を含み、
前記合成慣性算出工程は、
前記誘導された等価対象物慣性と等価人間慣性とを数学的に互いに合成することにより、前記合成慣性を算出する(2)項に記載の操作性評価方法。

0019

対象物慣性は、対象物を定義する座標空間上においてそもそも定義される場合には、その対象物慣性を、評価位置が定義される座標空間まで座標変換することが必要である。その座標変換された対象物慣性を等価対象物慣性という。また、操作状態において対象物のうち人間に接触する対象物側接触部分が外部環境から拘束を受ける場合には、その拘束条件を考慮して、対象物慣性の座標変換を行うことが望ましい。

0020

以上のような知見に基づき、本項に係る方法においては、取得された対象物慣性と、対象物側接触部分が外部環境から受ける第1拘束条件とに基づき、第1拘束条件を考慮しつつ、取得された対象物慣性に対して第1座標変換が行われ、それにより、等価対象物慣性が誘導される。

0021

同様にして、人間慣性が、人間を定義する座標空間上においてそもそも定義される場合には、その人間慣性を、評価位置が定義される座標空間まで座標変換することが必要である。その座標変換された人間慣性を等価人間慣性という。また、操作状態において人間のうち対象物に接触する人間側接触部分が外部環境から拘束を受ける場合には、その拘束条件を考慮して、人間慣性の座標変換を行うことが望ましい。

0022

以上のような知見に基づき、本項に係る方法においては、取得された人間慣性と、人間側接触部分が外部環境から受ける第2拘束条件とに基づき、その第2拘束条件を考慮しつつ、取得された人間慣性に対して第2座標変換が行われ、それにより、等価人間慣性が誘導される。

0023

よって、本項に係る方法によれば、対象物慣性と人間慣性とをそれぞれ、対象物および人間に対するそれぞれの拘束条件を考慮して、評価位置が定義される座標空間において正確に定義することが容易となる。

0024

本項および下記の各項における「外部環境」は、例えば、人間については、人間が対象物以外の環境から物理的な拘束を受ける場合に、その環境を意味するように定義することが可能であり、また、対象物については、対象物が人間以外の環境から物理的な拘束を受ける場合に、その環境を意味するように定義することが可能である。

0025

(4) 前記対象物慣性座標変換工程は、
前記取得された対象物慣性と、前記第1拘束条件と、前記人間と前記対象物とが互いに接触する接触条件とに基づき、前記第1拘束条件と前記接触条件とを考慮しつつ、前記取得された対象物慣性に対して前記第1座標変換を行い、それにより、前記等価対象物慣性を誘導し、
前記人間慣性座標変換工程は、
前記取得された人間慣性と、前記第2拘束条件と、前記接触条件とに基づき、前記第2拘束条件と前記接触条件とを考慮しつつ、前記取得された人間慣性に対して前記第2座標変換を行い、それにより、前記等価人間慣性を誘導する(3)項に記載の操作性評価方法。

0026

この方法によれば、対象物が外部環境から受ける拘束と、その対象物と人間とが互いに接触する接触条件とを考慮して、評価位置における対象物慣性すなわち等価対象物慣性をより正確に誘導することが容易となる。さらに、人間が外部環境から受ける拘束と、その人間と対象物とが互いに接触する接触条件とを考慮して、評価位置における人間慣性すなわち等価人間慣性をより正確に誘導することが容易となる。

0027

本項における「接触条件」は、例えば、人間と対象物とがすべての可動方向において剛体結合される条件、人間と対象物とが面接触する条件、人間と対象物とが点接触する条件等を意味するように定義することが可能である。

0028

(5) 前記合成慣性取得工程は、
前記操作状態において前記対象物に作用する力を第1センサによって検出する第1検出工程と、
前記操作状態において前記対象物が示す挙動を第2センサによって検出する第2検出工程と、
前記第1センサによる検出値と前記第2センサによる検出値とに基づいて前記合成慣性を算出する算出工程と
を含む(1)項に記載の操作性評価方法。

0029

この方法によれば、操作状態において対象物に作用する力の検出と、操作状態において対象物が示す挙動の検出とを行うことにより、より複雑な数値計算を行うことなく、合成慣性を算出することが可能となる。

0030

本明細書の全体を通じ、「力」という用語は、狭義の力のみならずモーメントまたはトルクを含む広義の力を意味しており、その広義の力は例えば、一般化力と称される。

0031

また、本明細書の全体を通じ、「挙動」という用語は、人間または対象物の変位(長さ、位置、角度等を含む)と、変位速度(長さが変化する速度、角速度等を含む。)と、変位加速度(長さが変化する加速度、角加速度等を含む。)との少なくとも一つを意味するように定義することが可能である。

0032

本項における「第1センサ」は、例えば、力センサトルクセンサ等であり、「第2センサ」は、例えば、位置センサ角度センサ速度センサ角速度センサ加速度センサ角加速度センサ等である。

0033

また、本項における「第2センサ」は、慣性を算出するために使用されるセンサである関係上、典型的には、加速度センサまたは角加速度センサを含むように構成される。ただし、この「第2センサ」は、異なる物理量間に時間微分または時間積分の関係が成立するという事実に着目すれば、それら加速度センサまたは角加速度センサを含むように構成することは不可欠ではない。例えば、この「第2センサ」は、速度センサまたは角速度センサを含むように構成したうえで、その検出値の時間微分によって加速度または角加速度を計算によって取得することが可能である。

0034

(6) 前記評価工程は、設計者が前記対象物を前記対象物慣性に関して設計することを支援するために、
前記合成慣性の目標値を入力する目標値入力工程と、
前記取得された合成慣性の、前記入力された目標値に対する誤差が減少するように、前記対象物慣性の設計値修正する設計値修正工程と
を含む(1)ないし(5)項のいずれかに記載の操作性評価方法。

0035

この方法によれば、合成慣性という、操作性をより正確に定量化し得る物理量を用いることにより、操作性が改善された対象物の設計が支援されるため、その設計者の負担が軽減されるとともに、その対象物の設計品質が向上する。

0036

(7) 前記人間は、車両の乗員であり、
前記対象物は、前記車両において前記乗員によって操作される操作部材である(1)ないし(6)項のいずれかに記載の操作性評価方法。

0037

(8) 前記操作部材は、ステアリング操作部材と、ブレーキ操作部材と、アクセル操作部材と、クラッチ操作部材と、変速のために操作されるシフト操作部材とのうちの少なくとも一つを含む(7)項に記載の操作性評価方法。

0038

(9) (1)ないし(8)項のいずれかに記載の方法を実施するためにコンピュータにより実行されるプログラム

0039

このプログラムがコンピュータにより実行されれば、前記(1)ないし(8)項のいずれかに係る方法におけると基本的に同じ原理に従い、同様な作用効果が実現され得る。

0040

本項に係るプログラムは、それの機能を果たすためにコンピュータにより実行される指令の組合せのみならず、各指令に従って処理されるファイルやデータをも含むように解釈することが可能である。

0041

また、このプログラムは、それ単独でコンピュータにより実行されることにより、所期の目的を達するものとしたり、他のプログラムと共にコンピュータにより実行されることにより、所期の目的を達するものとすることができる。後者の場合、本項に係るプログラムは、データを主体とするものとすることができる。

0042

(10) (9)項に記載のプログラムをコンピュータ読取り可能に記録した記録媒体

0043

この記録媒体に記録されているプログラムがコンピュータにより実行されれば、前記(1)ないし(8)項のいずれかに係る方法と同じ作用効果が実現され得る。

0044

この記録媒体は種々な形式を採用可能であり、例えば、フレキシブルディスク等の磁気記録媒体、CD、CD−ROM等の光記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、ROM等のアンリムーバブルストレージ等のいずれかを採用し得る。

0045

(11) 人間による対象物の操作性を評価する操作性評価装置であって、
前記対象物と前記人間とのいずれかに、前記操作性を評価するために着目すべき位置を評価位置として設定する評価位置設定手段と、
その設定された評価位置に関して、前記対象物単独の慣性である対象物慣性と、前記人間が前記対象物を操作している操作状態において前記人間のうち前記対象物の操作に関与する部分単独の慣性である人間慣性とが合成された合成慣性を取得する合成慣性取得手段と、
その取得された合成慣性に基づいて前記操作性を評価する評価手段と
を含む操作性評価装置。

0046

この装置によれば、前記(1)または(2)項に係る方法におけると基本的に同じ原理に従い、同様な作用効果が実現され得る。

0047

(12) 前記評価手段は、設計者が前記対象物を前記対象物慣性に関して設計することを支援するために、
前記合成慣性の目標値を入力する目標値入力手段と、
前記取得された合成慣性の、前記入力された目標値に対する誤差が減少するように、前記対象物慣性の設計値を修正する設計値修正手段と
を含む(11)項に記載の操作性評価装置。

0048

この装置によれば、前記(6)項に係る方法におけると基本的に同じ原理に従い、同様な作用効果が実現され得る。

発明を実施するための最良の形態

0049

以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。

0050

図1には、本発明の第1実施形態に従う操作性評価方法を実施するのに好適な操作性評価装置10のハードウエア構成概念的にブロック図で表されている。

0051

この操作性評価装置10は、人間である操作者が車両において対象物(例えば、車両の操作部材としてのステアリングホイール)を操作する挙動をコンピュータ20上で表現し得る人間物理モデルおよび対象物物理モデルを用いることにより、その操作者による対象物の操作性を数値解析し、その結果を利用して設計者による対象物の設計を支援するために設けられている。

0052

図1に示すように、この操作性評価装置10は、コンピュータ20に入力装置22と出力装置24とが接続されることによって構成されている。コンピュータ20は、よく知られているように、プロセッサ30とストレージ32とがバス34によって互いに接続されて構成されている。コンピュータ20においては、必要なプログラムがストレージ32から読み出されてプロセッサ30によって実行される。その際、その実行に必要なデータがストレージ32から読み込まれるとともに、その実行結果を表すデータが必要に応じてストレージ32に格納されて保存される。

0053

入力装置22は、例えば、図示しないが、ポインティングデバイスとしてのマウスキーボードとを含むように構成される。出力装置24は、図示しないが、文字、図形等の画像画面上に表示するモニタを含むように構成される。

0054

図1に示すように、ストレージ32には、プログラムメモリ40とデータメモリ42とが設けられている。プログラムメモリ40には、人間物理モデル作成プログラム、対象物物理モデル作成プログラム、操作性解析プログラムおよび設計支援プログラムを始めとする各種プログラムが予め記憶されている。データメモリ42には、コンピュータ20上において人体全身を3次元的に表現する人間物理モデルを定義するためのモデルデータストアされる。このデータメモリ42には、さらに、前記対象物を表現する対象物物理モデルを定義するためのモデルデータもストアされる。

0055

人間物理モデルは、有限要素人体モデルとしたり、多関節剛体モデルとすることが可能であるが、本実施形態においては、多関節剛体モデルとして構成されている。この多関節剛体モデルは、機構モデルともいわれ、複数の剛体セグメントが複数の関節まわりに回動可能に連結されて構成されている。

0056

各剛体セグメントの形状の表面は、ポリゴンによって構成されている。ポリゴン上における複数個頂点は、そのポリゴンのベースとなった複数の要素上における複数個の節点によって構成される。よって、各剛体セグメントの形状は、対応するポリゴンデータによって表されている。各剛体セグメントごとにローカル座標系割り当てられており、そのローカル座標系において、対応する剛体セグメントの重心位置、質量、慣性モーメントおよびポリゴンの位置が定義される。剛体セグメントの質量は、並進運動における慣性に相当し、一方、慣性モーメントは、回転運動における慣性に相当する。

0057

図2には、操作性評価装置10が、それによって実現される機能に着目してブロック図で概念的に表されている。この操作性評価装置10は、人間物理モデル作成手段200と、対象物物理モデル作成手段202と、操作性解析手段204と、設計支援手段205とを含んでいる。

0058

図2には、さらに、操作性解析手段204が、それによって実現される機能に着目してブロック図で概念的に表されており、図3には、この操作性解析手段204が、さらに詳しくブロック図で概念的に表されている。図3には、さらに、設計支援手段205も、それによって実現される機能に着目してブロック図で概念的に表されている。

0059

概略的に説明するに、図3に示すように、操作性解析手段204は、人間および対象物のいずれについても、慣性を解析するために設けられており、また、設計支援手段205は、対象物の慣性につき、設計者による対象物の設計を支援するために設けられている。

0060

図4には、互いに機械的に接触する人間と対象物(例えば、機械)との間に存在する複数の座標空間が概念的に表されている。それら座標空間は、人間から対象物に向かって、人間の挙動(例えば、変位qh、変位速度dqh/dt、変位加速度d2qh/dt2等)を表す一般化座標が存在する人間一般化座標空間、人間のうち、対象物との接触点が存在する人間接触点空間、仮想空間である接触伝達空間、対象物のうち、人間との接触点が存在する対象物接触点空間、および対象物の挙動(例えば、変位qm、変位速度dqm/dt、変位加速度d2qm/dt2等)を表す一般化座標が存在する対象物一般化座標空間である。

0061

図4には、さらに、互いに隣接した座標空間間において座標変換を行うための行列cJh,HおよびcJmが示されている。それら記号の定義は後に詳述する。

0062

図4には、さらに、各座標空間ごとに、変位加速度d2q/dt2と力/トルクτとが慣性という物理特性によって互いに物理的に関連付けられる様子も示されている。

0063

具体的には、人間一般化座標空間においては、人間の変位加速度d2qh/dt2と人間一般化力τhとが、人間の特性に基づく人間慣性(人間単独の慣性)Mhによって互いに物理的に関連付けられる。人間接触点空間においては、接触点の変位加速度d2c/dt2と接触力τcとが慣性cMhによって互いに物理的に関連付けられる。対象物接触点空間においては、接触点の変位加速度d2c/dt2と接触力τcとが慣性cMmによって互いに物理的に関連付けられる。対象物一般化座標空間においては、対象物の変位加速度d2qm/dt2と対象物一般化力τmとが、対象物の特性に基づく対象物慣性(対象物単独の慣性)Mmによって互いに物理的に関連付けられる。

0064

それら各種用語および各種記号のうち、「変位」は、ある物体の並進運動の位置と回転運動の位置とを一般化して包括的に表現する用語である。具体的には、人間の変位quは、人間一般化座標空間において、人間のある点の並進運動の位置と回転運動の位置とを包括的に表現し、対象物の変位qmは、対象物一般化座標空間において、対象物のある点の並進運動の位置と回転運動の位置とを包括的に表現する。以上、「変位」の定義を説明したが、この説明は、「変位速度」および「変位加速度」に準用される。

0065

また、「一般化力τ」は、ある物体に作用する並進力とトルクまたはモーメントとを一般化して包括的に表現する用語である。具体的には、一般化力τhは、人間一般化座標空間(関節を定義する関節空間でもある。)において人間の関節に作用する並進力およびトルクを意味する。また、一般化力τmは、対象物一般化座標空間において対象物に作用する並進力およびトルクを意味する。

0066

また、接触力τcは、人間と対象物との接触点に作用する一般化力を意味しており、その接触点に作用する並進力とモーメントとを一般化して包括的に表現する用語である。図4に示すように、接触力τcは、人間接触点空間にも対象物接触点空間にも存在するが、それら2つの接触力τcは、大きさが同じで向きが互いに逆であるという関係を有する。

0067

以上、図4に示す各種用語および各種記号を部分的に説明したが、他の用語および記号は後に詳述する。

0068

図2に示す人間物理モデル作成手段200は、前記対象物を操作する人間である操作者の人体物理特性を含む人間物理モデルを前述の多関節剛体モデルとして作成する。

0069

本実施形態における人間物理モデルは、さらに具体的に説明するに、人体の各部をnb個の剛体であるセグメント(要素)によって表現する。この人間物理モデルにおいては、それら要素がnj個の関節によって拘束あるいは連結されている。

0070

この人間物理モデルの自由度ndは、図5において式(1)で表されている。したがって、人間物理モデルの挙動は、nd次元の一般化座標qhを用いて表現される。

0071

この人間物理モデルが持っている物理特性は、人体各部については、寸法、重心位置、質量、主慣性モーメント関節位置等である。

0072

この人間物理モデルにおいては、各剛体セグメントごとに、並進運動における慣性(質量)および回転運動における慣性モーメント(以下、それらを単に「慣性」と総称する。)が定義されている。その定義された慣性により、人間一般化座標空間における操作者である人間の一般化慣性テンソルが誘導できる。

0073

対象物物理モデル作成手段202は、人間によって操作される対象物(例えば、操作装置)の物理特性を含む対象物物理モデルを、対象物の剛体セグメントモデルとして作成したり、有限要素モデルとして作成することが可能である。本実施形態においては、この対象物物理モデル作成手段202は、対象物物理モデルを、複数の剛体セグメントが複数のジョイントによって互いに連結されて成る剛体モデルとして作成する。

0074

本実施形態における対象物物理モデルは、さらに具体的に説明するに、対象物を構成するmb個の各部品を剛体のセグメント(要素)によって表現する。この対象物物理モデルにおいては、それら要素がmj個のジョイントによって拘束あるいは連結されることにより、対象物が表現されている。

0075

この対象物物理モデルの自由度mdは、図5において式(2)で表されている。したがって、対象物物理モデルの挙動は、md次元の一般化座標qmを用いて表現される。

0076

この対象物物理モデルが持っている物理特性は、各部品については、寸法、重心位置、質量、主慣性モーメント、ジョイント位置等であり、また、各ジョイントについては、種類等である。

0077

図2に示す操作性解析手段204は、それら作成された人間物理モデルと対象物物理モデルとを用い、かつ、人間と対象物との間の拘束条件・接触条件を含む解析条件のもとに、人間による対象物の操作性を解析する。ここに、「拘束条件」とは、人間または対象物が外部環境によって拘束される条件を意味し、また、「接触条件」とは、人間と対象物とが互いに接触する条件を意味する。

0078

その接触条件としては、例えば、人間と対象物とが、一体的に結合するように接触する条件、面接触する条件、人間の片手で対象物に軽く触れる条件、両手で対象物に軽く触れる条件、片手で対象物を強固に把持する条件、両手で対象物を強固に把持する条件等がある。

0079

図2に示すように、この操作性解析手段204は、解析条件設定手段206と、挙動計算手段208と、人間慣性テンソル算出手段210と、対象物慣性テンソル算出手段212と、合成慣性テンソル算出手段214とを含んでいる。

0080

解析条件設定手段206は、操作性解析のために解析条件を設定する。その解析条件は、人間が対象物を操作する際のその人間と外部環境(対象物以外の物体)との間の拘束条件および外力、対象物と外部環境(人間以外の物体)との間の拘束条件および外力、それら人間と対象物との間の接触条件および外力、互いに接触する人間および対象物から成る人間−対象物系(人間−機械系)において操作性が解析されるべき少なくとも一つの評価位置等を含んでいる。以下、解析条件をさらに具体的に説明する。

0081

本実施形態においては、操作中に人間が外部環境から受けるnc個の拘束が、ヤコビ行列Ghと人間の変位速度dqh/dtとを用いることにより、図5における式(3)によって表現される。また、人間によって操作される対象物が外部環境から受けるmc個の拘束が、ヤコビ行列Gmと対象物の変位速度dqm/dtとを用いることにより、図5における式(4)によって表現される。それら式(3)および(4)はいずれも、拘束条件を記述する拘束条件式である。

0082

人間と対象物との間にM個の接触点が存在する場合には、それら接触点のうち、i番目の接触点ciにおける拘束が、図6における式(5)によって表現される接触拘束行列Hiによって表現される。M個の接触点のすべてにおける拘束は、図6における式(6)によって表現される全体接触拘束行列H(図4参照)によって表現される。接触拘束行列Hiの一具体例は後述する。

0083

対象物慣性のみならず人間慣性をも考慮したうえで対象物の操作性すなわち人間−機械系動特性を求めたい評価位置rは、人間を表現している要素、または対象物を表現している要素上に定義される。また、評価位置rに関する可動方向が、可動方向行列Prによって記述される。例えば、評価位置rに原点を持つ6自由度xyz座標系のx軸およびy軸にのみ動く場合には、その行列Prは図6における式(7)で表現される。

0084

図2に示す操作性解析手段204は、図3に示すように、人間慣性取得部204aと、対象物慣性取得部204bと、接触条件入力手段215とを含んでいる。

0085

接触条件入力手段215は、人間が対象物を操作している際にそれら人間と対象物とが互いに接触する接触条件を全体接触拘束行列Hとして入力するために設けられている。

0086

人間慣性取得部204aは、前述の人間物理モデル、すなわち、人間筋特性、人体の幾何学的特徴、人間の関節が持つ受動特性に基づく人間関節特性等を反映したモデルを用い、人間慣性Mhが人間から評価位置rまで伝達されたときにおける人間慣性Mhの値を等価人間慣性rMhとして取得するために設けられている。

0087

具体的には、この人間慣性取得部204aは、人間物理モデルを用い、人間が対象物を操作する際のその人間の挙動(以下、人間の変位位置、変位速度および変位加速度を含み得る広義の概念として使用する。)と、人間が外部環境から受ける拘束を表す人間拘束条件Ghと、人間単独の慣性である人間慣性特性Mhと、接触条件入力手段215から供給される全体接触拘束行列Hと、前述の評価位置rとに基づき、等価人間慣性rMhを算出する。人間慣性特性Mhは、人間挙動の関数として定義することが可能である。

0088

この人間慣性取得部204aは、入力手段216と、人間直交射影算出手段218と、人間慣性座標変換手段226とを含んでいる。

0089

入力手段216は、人間挙動(変位qh等)、人間拘束条件Gh、人間慣性特性Mh等を入力する。この入力手段216によって入力すべき人間挙動(変位qh等)は、例えば、現実の挙動をモーションキャプチャ等を用いて計測することによって取得したり、現実の挙動を想定することによって取得することが可能である。この入力手段216は、入力装置22と、コンピュータ20のうち、該当する情報を入力するために実行される部分との組合せによって構成されている。

0090

人間直交射影算出手段218は、人間物理モデルを用いることにより、入力手段216から供給された人間拘束条件Ghから、人間に対する拘束Ghの空間への直交射影行列(後述)Phを算出する。

0091

人間慣性座標変換手段226は、図4に示す人間一般化座標空間から、その人間一般化座標空間と対象物一般化座標空間との間においてユーザによって指定される評価位置rが存在する評価点空間(図12および図13参照)への座標変換により、入力手段216から供給された人間慣性Mhを、その人間慣性Mhがその評価位置rまで伝達された等価人間慣性rMh(図13および図14参照)に変換する。

0092

具体的には、この人間慣性座標変換手段226は、上述の座標変換により、人間一般化座標空間における人間慣性Mhを、人間挙動(変位qh等)と、人間直交射影算出手段218から供給された直交射影行列Phと、接触条件入力手段215から供給された全体接触拘束行列Hとを考慮して、図9に示す後述の式(17)を用いることにより、評価点空間における等価人間慣性rMhに変換する。

0093

対象物慣性取得部204bは、図3に示すように、前述の対象物物理モデル、すなわち、対象物の慣性Mm等を反映したモデルを用い、対象物慣性Mmが対象物一般化座標空間から評価位置rまで伝達されたときにおけるその対象物慣性Mmの値を等価対象物慣性rMmとして取得するために設けられている。

0094

具体的には、この対象物慣性取得部204bは、対象物物理モデルを用い、人間が対象物を操作する際のその対象物の挙動(以下、対象物の変位位置、変位速度および変位加速度を含み得る広義の概念として使用する。)と、対象物が外部環境から受ける拘束を表す対象物拘束条件Gmと、対象物単独の慣性である対象物慣性Mm(図3においては「対象物慣性初期値」で示す。)と、接触条件入力手段215から供給される全体接触拘束行列Hと、前述の評価位置rとに基づき、等価対象物慣性rMmを算出する。対象物慣性特性Mmは、対象物挙動の関数として定義することが可能である。

0095

この対象物慣性取得部204bは、入力手段228と、対象物直交射影算出手段230と、対象物慣性座標変換手段234とを含んでいる。

0096

入力手段228は、前述の対象物挙動(変位qm等)、対象物拘束条件Gm、対象物慣性Mm等を入力する。この入力手段228によって入力すべき対象物挙動(変位qm等)は、例えば、現実の挙動をモーションキャプチャ等を用いて計測することによって取得したり、現実の挙動を想定することによって取得することが可能である。この入力手段228は、入力装置22と、コンピュータ20のうち、該当する情報を入力するために実行される部分との組合せによって構成されている。

0097

対象物直交射影算出手段230は、対象物物理モデルを用いることにより、対象物拘束条件Gmから、対象物に対する拘束Ghの零空間への直交射影行列(後述)Pmを算出する。対象物慣性座標変換手段234は、図4に示す対象物一般化座標空間から前述の評価点空間への座標変換により、入力手段228または後述の対象物慣性更新手段242から供給された対象物慣性Mmを、その対象物慣性Mmが評価位置rまで伝達された等価対象物慣性rMm(図13および図14参照)に変換する。

0098

具体的には、この対象物慣性座標変換手段234は、上述の座標変換により、対象物一般化座標空間における対象物慣性Mmを、対象物挙動(変位qm等)と、対象物直交射影算出手段230から供給された直交射影行列Pmと、接触条件入力手段215から供給された全体接触拘束行列Hとを考慮して、図11に示す後述の式(23)を用いることにより、評価点空間における等価対象物慣性rMmに変換する。

0099

すなわち、本実施形態においては、入力手段216および228と人間直交射影算出手段218と対象物直交射影算出手段230とが互いに共同して、図2に示す解析条件設定手段206を構成しているのである。

0100

本実施形態においては、入力手段216に入力される人間挙動は、人間のうちの代表的な部分の挙動(例えば、腕の挙動)を意味しており、同じ人間のうちの他の部分の挙動は、その代表的な部分の挙動を主挙動とし、かつ、人間拘束条件Ghを考慮しつつ人間物理モデルを用いることにより、付随挙動として計算される。この計算は人間慣性座標変換手段226において行われる。

0101

同様にして、本実施形態においては、入力手段228に入力される対象物挙動は、対象物のうちの代表的な部分の挙動を意味しており、同じ対象物のうちの他の部分の挙動は、その代表的な部分の挙動を主挙動とし、かつ、対象物拘束条件Gmを考慮しつつ対象物物理モデルを用いることにより、付随挙動として計算される。この計算は対象物慣性座標変換手段234において行われる。

0102

したがって、本実施形態においては、人間慣性座標変換手段226のうち、入力された主挙動から付随挙動を計算する部分と、対象物慣性座標変換手段234のうち、入力された主挙動から付随挙動を計算する部分とが互いに共同して、図2に示す挙動計算手段208を構成している。

0103

さらに、本実施形態においては、人間慣性座標変換手段226が、図3に示す人間慣性テンソル算出手段210を構成し、対象物慣性座標変換手段234が図3に示す対象物慣性テンソル算出手段212を構成しているのである。

0104

なお付言するに、本実施形態においては、人間と対象物とのいずれについても、挙動が部分的に与えられ、残りの部分についての挙動が、人間物理モデルと対象物物理モデルとのうち対応するものを利用した計算によって取得されるようになっているが、このようにすることは本発明を実施するために不可欠なことではない。例えば、人間と対象物との双方またはいずれかについては、挙動が全体的に与えられ、対応するモデルを利用した計算が、挙動の取得工程については、省略される態様で本発明を実施することが可能である。

0105

図3に示すように、操作性解析手段204は、さらに、合成慣性算出手段236を含んでおり、その合成慣性算出手段236は、図2に示す合成慣性テンソル算出手段214を構成している。

0106

合成慣性算出手段236は、人間慣性座標変換手段226から供給された等価人間慣性rMhと、対象物慣性座標変換手段234から供給された等価対象物慣性rMmとを数学的に互いに合成する。それにより、この合成慣性算出手段236は、操作中における対象物の、前述の評価位置rにおける慣性が、その対象物単独の慣性のみならず、その対象物を操作している人間の慣性をも考慮して取得される。この合成慣性算出手段236は、それら等価人間慣性rMhおよび等価対象物慣性rMmと、その他必要なパラメータとに基づき、図9に示す後述の式(16)または図11に示す後述の式(22)を用いることにより、合成慣性rMhmを算出する。

0107

図3に示すように、設計支援手段205は、合成慣性目標値入力手段238と、慣性誤差算出手段240と、対象物慣性更新手段242とを含んでいる。

0108

合成慣性目標値入力手段238は、上記算出された合成慣性rMhm(合成慣性rMhmの計算値)との比較のため、合成慣性rMhmの目標値を入力する。慣性誤差算出手段240は、合成慣性rMhmの計算値の、その入力された目標値に対する誤差を算出する。対象物慣性更新手段242は、その算出された誤差が許容値を超える場合に、対象物慣性Mmであって、図3に示すように、入力手段228を経て対象物慣性座標変換手段234に供給されるものを更新する。この対象物慣性更新手段242により、操作者による対象物の操作性を改善する観点から、対象物慣性Mmを最適化することが容易となる。

0109

ここで、人間慣性テンソル算出手段210において人間慣性テンソルが誘導される論理を説明する。

0110

人間慣性テンソル算出手段210は、前記作成された人間物理モデルと、前記拘束条件と、操作中の人間の挙動またはその挙動と内力との組合せを用いることにより、人間単独の慣性を記述する人間慣性テンソルを算出する。

0111

その人間慣性テンソルは、拘束条件を考慮する前の人間慣性Mhを用い、かつ、図7において式(9)ないし(11)で表される直交射影行列Phによって表される前述の拘束条件を考慮することにより、図7において式(8)で表される。

0112

以下、人間に対する拘束条件を考慮した慣性を人間慣性テンソル(図においてアルファベット上線を付して示すことにより、拘束条件を考慮した慣性テンソルであることを示す。このことは、他のパラメータについても同じとする。)というが、その人間慣性テンソルは、人間の姿勢や内力によってその値が変化するため、事前に取得された人間の挙動や内力(前述の一般化力を含む。)を用いて、人間慣性テンソルの操作中における変化が考慮される。

0113

ここで、対象物慣性テンソル算出手段212において対象物慣性テンソルが誘導される論理を説明する。

0114

対象物慣性テンソル算出手段212は、前記作成された対象物物理モデルと、前記拘束条件と、操作中の対象物の挙動またはその挙動と内力との組合せを用いることにより、対象物単独の慣性を記述する対象物慣性テンソルを算出する。

0115

その対象物慣性テンソルは、拘束条件を考慮する前の対象物の慣性Mmを用い、かつ、図8において式(13)ないし(15)で表される直交射影行列Pmによって表される前述の拘束条件を考慮することにより、図8において式(12)で表される。対象物慣性Mmは、前述の対象物物理モデルによって定義されている特性から求めることができる。

0116

以下、対象物に対する拘束条件を考慮した慣性を対象物慣性テンソルというが、その対象物慣性テンソルは、対象物の姿勢や内力によってその値が変化するため、事前に取得された対象物の挙動や内力を用いて、対象物慣性テンソルの操作中における変化が考慮される。

0117

ここで、合成慣性テンソル算出手段214において合成慣性テンソルが誘導される論理を説明する。

0118

合成慣性テンソル算出手段214は、前記算出された人間慣性テンソルおよび対象物慣性テンソルと、事前に設定された拘束条件および評価位置rとを用いることにより、それら人間慣性と対象物慣性とを合成した合成慣性を表す合成慣性テンソルを算出する。以下、その合成慣性テンソルを説明するが、評価位置rが対象物上にある場合と、操作者である人間上にある場合とに分けて、それらの順に説明する。

0119

1.評価位置rが対象物上にある場合

0120

評価位置rが対象物上にある場合には、図9において式(16)で示すように、評価位置rにおける合成慣性テンソルが、

0121

(a)図8において式(12)で表される対象物慣性テンソルMmと、
(b)図9において式(17)で表される等価人間慣性テンソルrMhと、
(c)図9において式(18)を用いて説明されるヤコビ行列rJmと、
(d)図8において式(13)ないし(15)を用いて説明される直交射影行列Pmと、
(e)図6において式(7)で例示される可動方向行列Prと

0122

を用いることにより、記述される。

0123

等価人間慣性テンソルrMhは、前述の人間慣性テンソルMhを評価位置rまで伝達したものであり、ヤコビ行列rJmは、評価位置rと対象物一般化座標qmとの間のヤコビ行列である。

0124

その等価人間慣性テンソルrMhは、図9において式(17)で示すように、

0125

(a)図7において式(8)で表される人間慣性テンソルMhと、
(b)図10において式(19)、(20−1)および(20−2)で表されるヤコビ行列cJhと、
(c)図7において式(9)ないし(11)を用いて説明される直交射影行列Phと、
(d)図6において式(5)および(6)で表される接触拘束行列Hと、
(e)図10において式(21)で表される座標系変換行列rScと

0126

を用いることにより、記述される。

0127

図12には、人間一般化座標空間と対象物一般化座標空間との間に存在する複数の座標空間であって、図4に示す複数の座標空間に対して、評価位置rが存在する評価点空間が追加されたものが示されている。図12には、等価人間慣性テンソルrMmと、座標系変換行列rScと、ヤコビ行列rJmとが、評価点空間に関連付けて示されている。

0128

2.評価位置rが人間である操作者上にある場合

0129

評価位置rが対象物上にある場合には、図11において式(22)で示すように、評価位置rにおける合成慣性テンソルrMhmが、

0130

(a)図7において式(8)で表される人間慣性テンソルMhと、
(b)図11において式(23)で表される等価対象物慣性テンソルrMmと、
(c)図11において式(24)を用いて説明されるヤコビ行列rJhと、
(d)図7において式(9)ないし(11)を用いて説明される直交射影行列Phと、
(e)図6において式(7)で例示される可動方向行列Prと

0131

を用いることにより、記述される。等価対象物慣性テンソルrMmは、前述の対象物慣性テンソルMmを評価位置rまで伝達したものであり、ヤコビ行列rJhは、評価位置rと人間一般化座標qhとの間のヤコビ行列である。

0132

その等価対象物慣性テンソルrMmは、図11において式(23)で示すように、

0133

(a)図8において式(12)で表される対象物慣性テンソルMmと、
(b)図11において式(25)および(26)で表されるヤコビ行列cJmと、
(c)図6において式(5)および(6)で表される接触拘束行列Hと、
(d)図8において式(13)ないし(15)を用いて説明される直交射影行列Pmと、
(e)図10において式(21)で表される座標系変換行列rScと

0134

を用いることにより、記述される。

0135

図13には、人間一般化座標空間と対象物一般化座標空間との間に存在する複数の座標空間であって、図4に示す複数の座標空間に対して、評価位置rが存在する評価点空間が追加されたものが示されている。図13には、等価人間慣性テンソルrMmと、座標系変換行列rScと、ヤコビ行列rJhとが、評価点空間に関連付けて示されている。

0136

ここで、人間と対象物とのうち人間を例にとり、慣性テンソルを算出する際に拘束Ghを考慮する手法を説明するために、図10において式(20−2)が誘導される論理を、図14ないし図16を参照して説明する。

0137

図10においては、式(20−1)により、接触点の変位速度と人間の変位速度とが、ヤコビ行列cJhによって互いに関連付けられている。そのヤコビ行列cJhは、図14に概念的に表すように、人間の変位速度を、人間一般化座標空間から人間接触点空間にマッピングするための行列である。

0138

図5においては、式(3)により、人間の変位速度と、人間拘束点空間において人間が動かないことを表す零行列0とが、ヤコビ行列Ghによって互いに関連付けられている。そのヤコビ行列Ghは、図14に概念的に表すように、人間の変位速度を、人間一般化座標空間から人間拘束点空間にマッピングするための行列である。

0139

ここに「拘束点空間」は、人間または対象物のうち外部環境によって拘束される各拘束点ごとに定義される空間である。

0140

この「拘束点空間」を、人間が、路面に接地する車輪操舵する操舵系を有する車両においてその車両のシート着座してステアリングホイールを操作する運転者であり、対象物が、その操舵系である場合を例にとり、具体的に説明する。この例においては、人間としての運転者は、それの胴体において外部環境としてのシートに拘束される。対象物としての操舵系は、それの車輪において外部環境としての路面(地面を含む。)に拘束される。したがって、運転者については、人間の胴体に第1の拘束点が設定されて、そこに第1の拘束点空間が定義される。操舵系については、車輪に第2の拘束点が設定されて、そこに第2の拘束点空間が定義される。

0141

図7においては、式(9)により、ヤコビ行列Ghと、拘束点空間において人間が動かないことを表す零行列0とが、直交射影行列Phによって互いに関連付けられている。その直交射影行列Phは、図15に概念的に表すように、その零空間を、拘束点空間から人間一般化座標空間にマッピングするための行列である。その人間一般化座標空間にマッピングされた零空間は、人間一般化座標空間のうち、人間が拘束Ghを満たし、かつ、動くことが許容される部分的な空間を意味している。

0142

したがって、拘束Ghを考慮した人間一般化座標空間から接触点空間へのマッピングは、図10において式(20−2)で表すことができるとともに、図16に概念的に図示することができる。よって、直交射影行列Phを適切に設定すれば、拘束Ghが適切に考慮されて人間慣性テンソルが誘導されることになる。

0143

同様にして、図8の式(13)に示す直交射影行列Pmを適切に設定すれば、図5の式(4)に示す拘束Gmが適切に考慮されて対象物慣性テンソルが誘導されることになる。ひいては、それら人間慣性テンソルと対象物慣性テンソルとから、合成慣性テンソルが適切に誘導されることになる。

0144

以上のようにして誘導された合成慣性テンソルは、人間による対象物の操作性を反映する物理量であるため、その操作性の解析・評価に用いたり、その操作性が改善されるように対象物を設計するために用いたり、その対象物またはその操作性を、例えば車両走行中に、操作者の好みに応じて適応的に制御するために用いることが可能である。

0145

合成慣性テンソルを考慮して、操作性が改善されるように対象物を設計するに際し、その対象物が並進運動系を含む場合には、その対象物の質量が操作性との関係において最適化され、また、回転運動系を含む場合には、その対象物の質量または回転半径が操作性との関係において最適化されることになる。対象物の質量または回転半径の最適化は、その対象物の形状、長さ、材料、配置等の最適化によって達成される。

0146

また、車両走行中、合成慣性テンソルを考慮して、操作性が改善されるように対象物を制御するに際し、その対象物に作用する力/トルクと、それに応答してその対象物が示す加速度との関係が、その対象物の作動状態を制御するアクチュエータにより、最適化されることになる。

0147

例えば、その対象物が車両の操舵系である場合には、車両走行中に、運転者と操舵系との合成慣性テンソルが計算され、その操舵系の操舵トルクアシストするかまたは操舵反力を擬似的に発生させるアクチュエータ(例えば、電動モータ圧力アクチュエータ等)が、その合成慣性テンソルの計算値に基づいて制御される。そのアクチュエータは、合成慣性テンソルの計算値のみならず、運転者の操舵状態操舵速度、切換し頻度すなわち操舵周波数等)にも基づき、適応的に制御することが可能である。

0148

図17には、本実施形態に従う操作性評価方法の概略であってコンピュータ20によって実施されるものが工程図で示されている。コンピュータ20は、前述のように、入力装置22および出力装置24と共同して操作性評価装置10を構成している。

0149

図17に示すように、この操作性評価方法の各回の実行時には、まず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする。)において、操作者である人間による対象物の操作性が解析される。このS1の詳細は、操作性解析プログラムとして図18フローチャートで概念的に表されている。これについては後述する。すなわち、コンピュータ20のうちこのS1を実行する部分が、図2における操作性解析手段204を構成しているのである。

0150

続いて、図17のS2において、その操作性の解析結果が対象物および/またはその対象物が設置される車両の設計にフィードバックされることにより、設計者による車両設計が支援される。このS2の詳細は、設計支援プログラムとして図19にフローチャートで概念的に表されている。これについては後述する。すなわち、コンピュータ20のうちこのS2を実行する部分が、図2における設計支援手段205を構成しているのである。

0151

以上で、この操作性評価方法の一回の実行が終了する。

0152

ここで、図18を参照することにより、前記操作性解析プログラムを具体的に説明する。

0153

この操作性解析プログラムにおいては、まず、S101において、人間物理モデルが定義される。具体的には、データメモリ42から人間物理モデルが読み込まれ、その読み込まれた人間物理モデルを定義する物理パラメータが定義される。そのような物理パラメータに人間慣性Mhが存在する。この物理パラメータの定義により、一般的な人間物理モデルが、特化された人間物理モデルに変換されることになる。

0154

図20には、そのようにして定義された人間物理モデルの一例が正面図で示されている。図20に示す例においては、人間物理モデル300が、人間全身を54個の剛体セグメントと53個の関節とによって表現している。この人間物理モデル300は、合計96自由度を持っている。各剛体セグメントは、それぞれの慣性特性を有している。

0155

次に、図18のS102において、対象物物理モデルが定義される。具体的には、具体的には、データメモリ42から対象物物理モデルが読み込まれ、その読み込まれた対象物物理モデルを定義する物理パラメータが定義される。そのような物理パラメータに対象物慣性Mmが存在する。この物理パラメータの定義により、一般的な対象物物理モデルが、特化された対象物物理モデルに変換されることになる。

0156

図21には、そのようにして定義される対象物物理モデルの一例が斜視図で示されている。図21に示す例においては、対象物物理モデル302が、車両を操舵するために運転者によって操作される操舵系304と、その操作中に運転者が着座するシート306とを表現している。ただし、人間によって操作される対象物は操舵系304であって、シート306でない。

0157

その操舵系304は、運転者によって手で回転操作されるステアリング操作部材としてのステアリングホイール308を備えている。この操舵系304は、そのステアリングホイール308の回転に応じて左右の車輪310,310の向きを変化させるように設計されている。

0158

図21に示す例においては、対象物物理モデル302が、操舵系304およびシート306を、27個の剛体セグメントと、26個のジョイントとによって表現しており、これの自由度は18である。各剛体セグメントは、それぞれの慣性特性を有している。

0159

続いて、図18のS103において、それら人間および対象物について解析条件が設定される。この解析条件には、例えば、前述の拘束条件や前述の評価位置r(人間および対象物のうち、ユーザが操作性を評価する際の注目部位の位置)が含まれる。

0160

図22には、図20に示す人間物理モデル300と、図21に示す対象物物理モデル302とが互いに物理的に関連付けて配置される一例が示されている。この例においては、人間物理モデル300によって表現される人間が、対象物物理モデル302によって表現される操舵系304の操作者である。

0161

図22に示す例においては、人間物理モデル300によって表現される操作者の胴体が、シート306からの拘束Ghを受ける。さらに、対象物物理モデル302によって表現される左右の車輪310,310が、それらが接地している路面から、拘束Gmを受ける。

0162

この例においては、さらに、操作者がそれの両手においてステアリングホイール308に剛接触するため、それら操作者とステアリングホイール308との間に2個の接触点cが存在する。各接触点cは、拘束点であり、各拘束点に個別に拘束点座標空間が設定されている。個別の拘束点座標空間は、対応する拘束点の位置にローカルな原点を有し、かつ、ステアリングホイール308の回転軸線(コラム軸線)の方向に平行にx方向が存在するxyz座標系によって定義される。

0163

各接触点ciにおける拘束は、図23において式(101)で表現される接触拘束行列Hiによって表現される。その接触拘束行列Hiは、拘束の数と同数である6つの行と、各部位の自由度nd,md(x軸方向並進、y軸方向並進、z軸方向並進、x軸まわり回転、y軸まわり回転およびz軸まわり回転)の数と同数である6つの列とによって構成される。

0164

図23に示す式(101)で表現される接触拘束行列Hiにおいては、要素が「1」であることが、その要素の位置に対応する運動方向において力が伝達されること、すなわち、その運動方向において運動が拘束されることを意味する。したがって、この接触拘束行列Hiは、操作者とステアリングホイール308との間において、x軸方向、y軸方向およびz軸方向の相対並進運動ならびにx軸まわり、y軸まわりおよびz軸まわりの相対回転運動が阻止されること、すなわち、剛体接触状態が成立することを表現している。

0165

この例においては、さらに、評価位置rがステアリングホイール308の回転軸線上に設定されている。ステアリングホイール308がその評価位置rにおいて有する自由度rdは1である。ステアリングホイール308に設定された対象物一般化座標空間のxyz座標系は、そのステアリングホイール308の回転軸線上に原点を持つとともにその回転軸線の方向にx方向が一致するように定義されている。

0166

したがって、図6に示す式(7)で表される可動方向行列Prは、図23において式(102)で表すように、ステアリングホイール308が評価位置rにおいてx軸まわりの自由回転が可能であることを表現している。

0167

その後、図18のS104において、各種情報が入力される。この各種情報は、図3を参照して前述したように、人間拘束条件(拘束Gh等)、対象物拘束条件(拘束Gm等)、人間慣性特性Mhおよび対象物慣性特性Mmの他、例えば、解析位置rおよび可動方向行列Prを含んでいる。

0168

続いて、S105において、解析時刻tが0にセットされる。その後、S106において、解析時刻tの現在値に対応する人間の主挙動および対象物の主挙動が入力される。

0169

すなわち、コンピュータ20のうち、S104およびS106を実行する部分が、入力装置22と共同することにより、図3に示す入力手段216および228を構成しているのである。

0170

続いて、図18におけるS107において、解析時刻tの現在値に対応する人間の付随挙動が、前記入力された人間の主挙動に基づき、前記定義された人間物理モデルを用いて計算される。このS107においては、さらに、解析時刻tの現在値に対応する対象物の付随挙動が、前記入力された対象物の主挙動に基づき、前記定義された対象物物理モデルを用いて計算される。

0171

その後、S108において、人間物理モデルおよび対象物物理モデルを考慮することにより、前記入力された拘束条件から直交射影行列が算出される。具体的には、図7において式(9)ないし(11)で表すように、入力された拘束Ghから直交射影行列Phが生成される。また、図8において式(13)ないし(15)で表すように、入力された拘束Gmから直交射影行列Pmが生成される。すなわち、コンピュータ20のうち、このS108を実行する部分が、図3に示す人間直交射影算出手段218および対象物直交射影算出手段230を構成しているのである。

0172

続いて、図18のS109において、前記入力された情報のうち必要なもの(人間慣性Mhを含む。)と、人間挙動(人間の主挙動と付随挙動とを含む。)に依存するヤコビ行列cJhと、前記算出された直交射影行列Phとに基づき、図9に示す式(17)を用いることにより、評価点空間における等価人間慣性rMhが算出される。すなわち、コンピュータ20のうち、このS109を実行する部分が、図3に示す人間慣性座標変換手段226を構成しているのである。

0173

その後、図18のS110において、前記入力された情報のうち必要なもの(対象物慣性Mmを含む。)と、対象物挙動(対象物の主挙動と付随挙動とを含む。)に依存するヤコビ行列cJmと、前記算出された直交射影行列Pmとに基づき、図11に示す式(23)を用いることにより、評価点空間における等価対象物慣性rMmが算出される。すなわち、コンピュータ20のうち、このS110を実行する部分が、図3に示す対象物慣性座標変換手段234を構成しているのである。

0174

続いて、図18のS111において、それら算出された等価人間慣性rMhおよび等価対象物慣性rMmに基づき、図9に示す式(16)および図11に示す式(22)のうち該当するものを用いることにより、合成慣性rMhmが算出される。評価位置rが対象物上に設定された場合には、式(16)、操作者である人間上に設定された場合には、式(22)が用いられる。すなわち、コンピュータ20のうち、このS111を実行する部分が、図3に示す合成慣性算出手段236を構成しているのである。

0175

その後、図18のS112において、その算出された合成慣性rMhmが、解析時刻tの現在値に関連付けて、後続する前記設計支援プログラムの実行に備えてデータメモリ42にストアされる。

0176

続いて、S113において、解析時刻tの現在値が解析終了時刻tmaxに到達したか否かが判定される。今回は、解析時刻tの現在値が未だ解析終了時刻tmaxに到達していないと仮定すれば、このS113の判定がNOとなり、S114において、解析時刻tの現在値がタイムステップ幅Δtだけ進められる。このタイムステップ幅Δtは、S106ないしS111の実行が反復される周期に相当する。その後、S106に戻る。

0177

このS106の今回の実行時には、それの前回の実行時よりタイムステップ幅Δtだけ進んだ解析時刻tに対応する人間の主挙動および対象物の主挙動が入力される。続いて、S107において、その入力された人間の主挙動に基づき、解析時刻tの現在値に対応する人間の付随挙動が計算される。このS107においては、さらに、その入力された対象物の主挙動に基づき、解析時刻tの現在値に対応する対象物の付随挙動が計算される。

0178

その後、S108ないしS111が前回と同様にして実行され、その結果、解析時刻tの現在値に対応する合成慣性rMhmが算出される。続いて、S112において、その算出された合成慣性rMhmが、解析時刻tの現在値に関連付けて、後続する前記設計支援プログラムの実行に備えてデータメモリ42にストアされる。

0179

S106ないしS114の実行が何回か反復された結果、解析時刻tの現在値が解析終了時刻tmaxに到達すれば、S113の判定がYESとなり、この操作性解析プログラムの一回の実行が終了する。その結果、合成慣性rMhmが、人間挙動および対象物挙動と共に推移する系列として、取得されることになる。

0180

次に、図19を参照することにより、前記設計支援プログラムを具体的に説明する。

0181

この設計支援プログラムにおいては、まず、S201において、合成慣性rMhmの目標値が入力される。この合成慣性rMhmの目標値は、例えば、一連の人間挙動に関連付けられた複数個の目標値の系列として入力される。すなわち、コンピュータ20のうち、このS201を実行する部分が、図3に示す合成慣性目標値入力手段238を構成しているのである。

0182

次に、図19のS202において、データメモリ42から合成慣性rMhmの計算値が読み込まれる。この合成慣性rMhmの計算値は、上述の目標値と同様にして、例えば、一連の人間挙動に関連付けられた複数個の計算値の系列として読み込まれる。

0183

続いて、S203において、その読み込まれた合成慣性rMhmの計算値の、前記入力された合成慣性rMhmの目標値に対する誤差Eが算出される。このS203においては、例えば、各人間挙動ごとに、対応する計算値と目標値との差が個別誤差として算出され、一連の人間挙動についてそれぞれ算出された複数個の個別誤差の単純合計または重み付き合計が、求めるべき誤差Eとして算出される。すなわち、コンピュータ20のうち、それらS202およびS203を実行する部分が、図3に示す慣性誤差算出手段240を構成しているのである。

0184

その後、図19のS204において、その算出された誤差Eが許容値E0以下であるか否かが判定される。許容値E0以下である場合には、その判定がYESとなり、S205において、合成慣性rMhmの最終値が、上記読み込まれた計算値(最新の計算値)と等しい値に確定される。

0185

以上で、この設計支援プログラムの一回の実行が終了する。

0186

これに対し、今回は、前記算出された誤差Eが許容値E0以下ではないと仮定すれば、S204の判定がNOとなり、S206に移行する。

0187

このS206においては、対象物慣性Mmの現在値(今回は初期値)のための更新量Δが決定される。この更新量Δは、例えば、予め設定された固定値として定義したり、前記算出された誤差Eに応じて変化する可変値として定義することが可能である。続いて、S207において、その決定された更新量Δで、対象物慣性Mmの現在値が更新される。前記操作性解析プログラムのその後の実行においては、その更新された対象物慣性Mmを用いて合成慣性rMhmの計算値が取得される。

0188

その後、S208において、その操作性解析プログラムの最新回の実行による合成慣性rMhmの最新値の計算が完了するのが待たれる。その計算が完了したならば、S208の判定がYESとなり、S202に戻る。

0189

その後、S202ないしS204が、合成慣性rMhmの最新の計算値について実行される。その最新の計算値についての誤差Eが許容値E0以下であれば、S204の判定がYESとなり、S205を経てこの設計支援プログラムの一回の実行が終了する。これに対し、その最新の計算値についての誤差Eが許容値E0以下でなければ、S204の判定がNOとなり、S206およびS207において、対象物慣性Mmが再度、更新される。

0190

S202ないしS208の実行が必要回数繰り返された結果、合成慣性rMhmの最新の計算値について誤差Eが許容値E0以下となれば、S204の判定がYESとなり、S205を経てこの設計支援プログラムの一回の実行が終了する。

0191

すなわち、コンピュータ20のうち、S204ないしS208を実行する部分が、図3に示す対象物慣性更新手段242を構成しているのである。

0192

この設計支援プログラムの実行によって対象物としての操舵系304の設計を支援する場合には、合成慣性rMhmの更新量Δを実現するために、例えば、操作者に対するステアリングホイール308の相対位置を変更すればよい。操作者に対するステアリングホイール308の位置を遠ざけたり近づけたりすればよいのであり、このようにしてステアリングその相対位置が変更されれば、図4に示す複数の座標空間間に成立する座標系変換行列が変更され、その結果、合成慣性rMhmが更新される。

0193

さらに、合成慣性rMhmの更新量Δを実現するために、操舵系304の慣性モーメントを変更してもよい。その慣性モーメントを変更するために、例えば、ステアリングホイール308の重量または回転半径を変更すればよい。

0194

本発明者らは、図22に示す人間物理モデル300と対象物物理モデル302とによって表現される人間−機械系の一例であって、操作者がステアリングホイール308を操作して左右の車輪310,310を操舵するものに対し、合成慣性rMhmを計算によって取得すべく、前述の操作性解析プログラムをコンピュータ20によって実行した。

0195

この計算に先立ち、操作者がステアリングホイール308を操作する条件として3種類の操作条件が設定された。第1の操作条件は、操作者がステアリングホイール308を右で触れる面接触状態で操作するというものである。第2の操作条件は、操作者がステアリングホイール308を両手で触れる面接触状態で操作するというものである。第3の操作条件は、操作者がステアリングホイール308を、両手で触れ、かつ、両手首の関節を拘束する状態で操作するというものである。

0196

いずれの操作条件においても、操作者はステアリングホイール308を、それの中立位置にある状態において、右手については、時計における3時の位置、左手については、9時の位置に位置するように、操作するものとした。さらに、いずれの操作条件においても、操作者は、一連の操作中、ステアリングホイール308を持ち替えることはしないものとした。

0197

図24には、この計算の結果が3つのグラフで表されている。「(a)」が付されたグラフは、第1の操作条件における合成慣性rMhmのステアリング角δに対する推移を表し、「(b)」が付されたグラフは、第2の操作条件における合成慣性rMhmのステアリング角δに対する推移を表し、「(c)」が付されたグラフは、第3の操作条件における合成慣性rMhmのステアリング角δに対する推移を表している。ステアリング角δは、ステアリングホイール308の、それの中立位置からの回転角を意味するように定義されている。

0198

いずれのグラフも、ステアリング角δが横軸に取られる一方、ステアリングホイール308の回転軸線まわりの合成慣性rMhmが縦軸に取られている。ステアリング角δは、左右の車輪310,310の直進状態において「0」を示し、右操状態において符号が正となり、左操舵状態において符号が負となるように定義されている。

0199

それらグラフから明らかなように、第1の操作条件においては、合成慣性rMhmが、右操舵時と左操舵時とで非対称的に変化し、また、ステアリング角δが−π/6であるときに最大値を示す。

0200

第2の操作条件においては、合成慣性rMhmが、右操舵時と左操舵時とでほぼ対称的に変化し、また、第1の操作条件における合成慣性rMhmと比較すれば、瞬間値に関しては変域全体を通じて大きいが、ステアリング角δに対する変化量に関しては変域全体を通じて少ない。

0201

第3の操作条件においては、第1の操作条件における合成慣性rMhmに対する第2の操作条件における合成慣性rMhmの関係と同様に、合成慣性rMhmが、右操舵時と左操舵時とでほぼ対称的に変化し、また、第2の操作条件における合成慣性rMhmと比較すれば、瞬間値に関しては全体的に大きいが、ステアリング角δに対する変化量に関しては全体的に少ない。

0202

したがって、車両走行中、操作者が実際の操作条件を、第1の操作条件から第2の操作条件に、第2の操作条件から第3の操作条件というように、変更すれば、合成慣性rMhmが増加し、路面からステアリングホイール308に伝達される、それの回転軸線まわりの加速度に対する操作者の感度が高くなる。その結果、操作者は、路面からの情報をステアリングホイール308を介して感受し易くなる。

0203

操作者がステアリングホイール308を操作する状態は、操作者がステアリングホイール308を同じ位置に保持する保舵状態定常操作状態)と、操舵状態(過渡操作状態)とに分類される。保舵状態は、操作者がステアリングホイール308を中立位置で保持する直進操作状態と、非中立位置で保持する狭義の保舵状態とを含む広義の概念である。これに対し、操舵状態は、操作者がステアリングホイール308を回転させる状態を意味する。

0204

それら保舵状態と操舵状態との間における合成慣性rMhmの関係を説明するに、合成慣性rMhmは、保舵状態においては、大きい方が、操作者がステアリングホイール308から感じる剛性感および安定感を向上させるために望ましい。これに対し、操舵状態においては、小さい方が、ステアリングホイール308の操作し易さを向上させるために望ましい。

0205

したがって、操作者と操舵系との間における合成慣性rMhmは、操作条件に応じて適応的に変化させることが、操作性を向上させるために望ましい。

0206

以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、図17におけるS1およびS2が互いに共同して、前記(1)項に係る「操作性評価方法」の一例を構成し、S1が同項における「合成慣性取得工程」の一例を構成し、S2が同項における「評価工程」の一例を構成し、操作性評価装置10が前記(11)項に係る「操作性評価装置」の一例を構成しているのである。

0207

さらに、本実施形態においては、図18に示す操作性解析プログラムと図19に示す設計支援プログラムとが互いに共同して、前記(9)項に係る「プログラム」の一例を構成し、それら操作性解析プログラムおよび設計支援プログラムを記憶しているストレージ32(または、そのストレージ32へのインストールのためにそれら操作性解析プログラムおよび設計支援プログラムを記録している図示しないCD−ROM等の可搬性記録媒体)が前記(10)項に係る「記録媒体」の一例を構成しているのである。

0208

さらに、本実施形態においては、図18におけるS101ないしS111が互いに共同して、前記(2)項における「合成慣性取得工程」の一例を構成し、S103のうち対応する部分が同項における「評価位置設定工程」の一例を構成し、S102ないしS104、S106ないしS108およびS110が互いに共同して、同項における「対象物慣性取得工程」の一例を構成し、S101、S103、S104、S106ないしS109が互いに共同して、同項における「人間慣性取得工程」の一例を構成し、S111が同項における「合成慣性算出工程」の一例を構成しているのである。

0209

さらに、本実施形態においては、図18におけるS109が前記(3)項における「人間慣性座標変換工程」の一例を構成し、S110が同項における「対象物慣性座標変換取得工程」の一例を構成し、S111が同項における「合成慣性算出工程」の一例を構成しているのである。

0210

さらに、本実施形態においては、入力装置22と、コンピュータ20のうち図18におけるS103を実行する部分とが互いに共同して、前記(11)項における「評価位置設定手段」の一例を構成し、コンピュータ20のうち図18におけるS101ないしS111を実行する部分が同項における「合成慣性取得手段」の一例を構成し、コンピュータ20のうち図19に示す設計支援プログラムを実行する部分が同項における「評価手段」の一例を構成しているのである。

0211

さらに、本実施形態においては、コンピュータ20のうち図19におけるS201を実行する部分が前記(12)項における「目標値入力手段」の一例を構成し、コンピュータ20のうち図19におけるS202ないしS208を実行する部分が同項における「設計値修正手段」の一例を構成しているのである。

0212

次に、本発明の第2実施形態に従う操作性評価装置を説明する。ただし、本実施形態は、人間による対象物の操作性を解析する理論に関して第1実施形態と共通するため、その理論に関する重複した説明を省略する。

0213

第1実施形態においては、前述の説明から明らかなように、対象物物理モデルを利用することにより、物理量の実測なしで、対象物慣性が取得され、さらに、人間物理モデルを利用することにより、物理量の実測なしで、人間慣性が取得される。さらに、それら取得された対象物慣性と人間慣性とが、ユーザによって設定された評価位置に関して、数学的に互いに合成されることにより、合成慣性が算出される。さらに、その算出された合成慣性に基づき、対象物の設計が支援される。

0214

これに対し、本実施形態においては、概略的に説明するに、人間物理モデルも対象物物理モデルも利用することなく、人間が対象物を操作している操作状態においてその対象物に作用する力が第1センサによって検出されることによって取得され、さらに、その操作状態において対象物が示す挙動が第2センサによって検出されることによって取得される。さらに、第1センサによる検出値と第2センサによる検出値とに基づいて合成慣性が算出される。

0215

図25には、本実施形態に従う操作性評価装置がブロック図で概念的に表されている。この操作性評価装置は、コンピュータ330を有している。そのコンピュータ330は、よく知られているように、プロセッサ332とストレージ334とがバス336によって互いに接続されて構成されている。ストレージ334には、図26にフローチャートで概念的に表されている操作性解析プログラムが記憶されている。

0216

この操作性解析プログラムは、人間による対象物の操作性を解析する機能と、その解析結果に基づき、設計者による対象物の設計を支援する機能とを備えている。具体的には、この操作性解析プログラムは、図22に示す例の如く、人間としての操作者が、対象物としての操舵系304を操作する際の操作性を解析する機能と、その解析結果に基づき、設計者による操舵系304の設計を支援する機能とを備えている。この操作性解析プログラムは後に詳述する。

0217

図25に示すように、コンピュータ330には、操作状態において操舵系304が示す挙動を表現する物理量の一例である操舵角速度ωを検出する操舵角速度センサ340が前記第2センサとして接続されている。その操舵角速度ωは、操作者がステアリングホイール308を回転させる角速度を意味する。その操舵角速度センサ340は、操作者がステアリングホイール308を回転させる操舵角加速度αを計算によって取得するために設けられている。

0218

このコンピュータ330には、さらに、操作状態において操舵系304に作用する力を表現する物理量の一例であるトルクを検出する操舵トルクセンサ342も接続されている。それら操舵角速度センサ340および操舵トルクセンサ342の利用態様は後に詳述する。

0219

図25に示すように、コンピュータ330には、さらに、出力装置350も接続されている。この出力装置350は、図1に示す出力装置24と同様にして構成することが可能であり、コンピュータ330に対する入力の内容可視化してユーザに表示したり、コンピュータ330による処理の内容(例えば、計算結果)を可視化してユーザに表示するために使用される。

0220

ここで、図26を参照することにより、前記操作性解析プログラムを具体的に説明する。この操作性解析プログラムは、ステアリングホイール308の操舵状態においてそのステアリングホイール308の操舵トルクが操作者によって変化させられる状態において、コンピュータ330によって実行される。

0221

この操作性解析プログラムがコンピュータ330によって実行されると、まず、S301において、操舵角速度センサ340によって操舵角速度ωが検出される。次に、S302において、その検出された操舵角速度ωの今回値前回値との差を計算することにより、今回の操舵角加速度αが算出される。すなわち、操舵角速度ωの検出値の時間微分値として操舵角加速度αが算出されるのである。

0222

続いて、S303において、操舵トルクセンサ342によって操舵トルクTが検出される。それらS301ないしS303はそれぞれ、互いに時期的に関連付けて、繰り返し実行される。その結果、操舵角加速度αの系列データと、操舵トルクTの系列データとが取得されることになる。

0223

続いて、S304において、それら取得された操舵角加速度αの系列データと、操舵トルクTの系列データとの相関に基づき、操作者と操舵系304との合成慣性が計算される。この計算に際し、平均最小二乗法等、適当な統計処理を行って計算精度を向上させることが可能である。

0224

その後、S305において、合成慣性の目標値が入力される。この目標値は、操舵角加速度αまたは操舵トルクTの変域全体について共通の値として定義したり、その変域における各値に関連付けて定義された系列値として定義することが可能である。

0225

続いて、S306において、それら合成慣性の計算値と目標値とに基づき、計算値の目標値に対する誤差Eが算出される。この誤差Eの算出は、その後、S307において、その算出された誤差Eが許容値E0以下であるか否かが判定される。

0226

今回は、その算出された誤差Eが許容値E0以下ではないと仮定すれば、S307の判定がNOとなり、S308に移行する。このS308においては、合成慣性の現在設計値に対する更新量Δが、誤差Eと許容値E0との差とは無関係な固定値、ないしは、誤差Eと許容値E0との差に応じて増加する可変値として、決定される。

0227

その後、S309において、その決定された更新量Δに従い、操舵系304の設計パラメータが更新される。その設計パラメータは、操舵系304の諸要素を特定するために設計者によって可変に定義されるパラメータであって、操舵系304自身の慣性に影響を及ぼすものである。この設計パラメータの更新に伴い、操舵系304において、該当する要素の特性(個体の物理的特性、他の要素との相対位置関係および相対運動特性等を含む。)が変更される。

0228

その後、ステアリングホイール308の操舵状態においてそのステアリングホイール308の操舵トルクTが変化させられる状態が再度、実現される。続いて、S301に戻る。

0229

S301ないしS309の今回の実行は、設計変更された操舵系304について行われる。それらS301ないしS309の実行は、誤差Eが許容値E0以下となるまで繰り返され、誤差Eが許容値E0以下となれば、S307の判定がYESとなり、S310において、操作者および操舵系304の合成慣性の最終値が決定される。

0230

以上で、この操作性解析プログラムの一回の実行が終了する。

0231

以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、S301ないしS304が互いに共同して、前記(1)項における「合成慣性取得工程」の一例を構成し、S305ないしS310が互いに共同して、同項における「評価工程」の一例を構成しているのである。

0232

さらに、本実施形態においては、S301およびS302が互いに共同して前記(8)項における「第2検出工程」の一例を構成し、S303が同項における「第1検出工程」の一例を構成し、S304が同項における「算出工程」の一例を構成し、操舵角速度センサ340が同項における「第2センサ」の一例を構成し、操舵トルクセンサ342が同項における「第1センサ」の一例を構成しているのである。

0233

さらに、本実施形態においては、S305が前記(9)項における「目標値入力工程」の一例を構成し、S306ないしS310が互いに共同して、同項における「設計値修正工程」の一例を構成しているのである。

0234

さらに、本実施形態においては、図26に示す操作性解析プログラムが前記(9)項に係る「プログラム」の一例を構成し、その操作性解析プログラムを記憶しているストレージ334(または、そのストレージ334へのインストールのためにその操作性解析プログラムを記録している図示しないCD−ROM等の可搬性記録媒体)が前記(10)項に係る「記録媒体」の一例を構成しているのである。

0235

さらに、本実施形態においては、操舵角速度センサ340と、操舵トルクセンサ342と、コンピュータ330のうち図26におけるS301ないしS304を実行する部分とが互いに共同して、前記(11)項における「合成慣性取得手段」の一例を構成し、コンピュータ330のうち図26におけるS305ないしS310を実行する部分が同項における「評価手段」の一例を構成しているのである。

0236

さらに、本実施形態においては、コンピュータ330のうち図26におけるS305を実行する部分が前記(12)項における「目標値入力手段」の一例を構成し、コンピュータ330のうち図26におけるS306ないしS310を実行する部分が同項における「設計値修正手段」の一例を構成しているのである。

0237

以上、本発明の実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。

図面の簡単な説明

0238

本発明の第1実施形態に従う操作性評価方法を実施するのに好適な操作性評価装置10のハードウエア構成を概念的に表すブロック図である。
図1における操作性評価装置10を概念的に表す機能ブロック図である。
図2における操作性解析手段204および設計支援手段205を概念的に表す機能ブロック図である。
互いに機械的に接触する人間と対象物との間に存在する複数の座標空間を概念的に表す図である。
前記第1実施形態に従う操作性評価方法において人間による対象物の操作性を評価する理論を複数の式を用いて説明する図である。
前記第1実施形態に従う操作性評価方法において人間による対象物の操作性を評価する理論を複数の式を用いて説明する別の図である。
前記第1実施形態に従う操作性評価方法において人間による対象物の操作性を評価する理論を複数の式を用いて説明する図である。
前記第1実施形態に従う操作性評価方法において人間による対象物の操作性を評価する理論を複数の式を用いて説明するさらに別の図である。
前記第1実施形態に従う操作性評価方法において人間による対象物の操作性を評価する理論を複数の式を用いて説明するさらに別の図である。
前記第1実施形態に従う操作性評価方法において人間による対象物の操作性を評価する理論を複数の式を用いて説明するさらに別の図である。
前記第1実施形態に従う操作性評価方法において人間による対象物の操作性を評価する理論を複数の式を用いて説明するさらに別の図である。
人間一般化座標空間と対象物一般化座標空間との間に存在する複数の座標空間を評価位置が対象物上に設定された場合について説明するための図である。
人間一般化座標空間と対象物一般化座標空間との間に存在する複数の座標空間を評価位置が人間上に設定された場合について説明するための図である。
前記第1実施形態において慣性テンソルを算出する際に拘束Ghを考慮する手法を説明するための図である。
前記第1実施形態において慣性テンソルを算出する際に拘束Ghを考慮する手法を説明するための別の図である。
前記第1実施形態において慣性テンソルを算出する際に拘束Ghを考慮する手法を説明するためのさらに別の図である。
前記第1実施形態に従う操作性評価方法を示す工程図である。
図17におけるS1の詳細を操作性解析プログラムとして概念的に表すフローチャートである。
図17におけるS2の詳細を設計支援プログラムとして概念的に表すフローチャートである。
図18に示す操作性解析プログラムの実行により、車両の運転者による操舵系304の操作性を解析して評価するために用いられる人間物理モデル300を示す正面図である。
図20に示す人間物理モデル300と共に使用される対象物物理モデル302によって表現される操舵系304を示す斜視図である。
図20に示す人間物理モデル300と図21に示す対象物物理モデル302とを、互いに物理的に関連付けられた状態で示す斜視図である。
図40における接触および評価位置に関する複数の条件を定義する手法を複数の式を用いて説明するための図である。
図18に示す操作性解析プログラムの実行により、図22に示す操作者と操舵系304との合成慣性が解析された結果の一例を表す複数のグラフである。
本発明の第2実施形態に従う操作性評価方法を実施するのに好適な操作性評価装置を概念的に表すブロック図である。
図25におけるコンピュータ330によって実行される操作性解析プログラムを概念的に表すフローチャートである。

符号の説明

0239

10操作性評価装置
20コンピュータ
300人間物理モデル
302対象物物理モデル
304操舵系
306シート
308ステアリングホイール
310車輪
330 コンピュータ
340操舵角速度センサ
342 操舵トルクセンサ

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