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技術 チタニルフタロシアニン、電子写真感光体及び電子写真装置

出願人 株式会社リコー
発明者 山崎純一
出願日 2005年8月16日 (14年8ヶ月経過) 出願番号 2005-235901
公開日 2006年6月15日 (13年10ヶ月経過) 公開番号 2006-154749
状態 拒絶査定
技術分野 電子写真における感光体 染料
主要キーワード 正四面体形状 投入点 面積総和 ホルマール化度 透過型電子顕微鏡観察用試料 特性条件 体積総和 四面体形状
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図面 (20)

課題

分散性取り扱い性が良好で、感度が高く、電気特性の安定性が優れた結晶型を有するチタニルフタロシアニン、これを用いた繰り返し使用に対しても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定した電子写真感光体等を提供する。

解決手段

X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示し、かつ正四面体形状とその形状の15%以上を残存する辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなるチタニルフタロシアニン混合物(混合物の体積の総和は全チタニルフタロシの25体積%以上)を製造し、これを結着樹脂と脂と溶剤に分散して導電性支持体上に塗布し電荷発生層を設けて電子写真感光体を作製する。これを電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジに搭載する。

概要

背景

電子写真装置は、従来から複写機印刷機ファクシミリ等に使用されているが、近年の性能向上には著しいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換し、電子写真感光体に対して光書き込みを行う、いわゆる光プリンタは、解像度階調性、あるいはカラー化等の性能において向上が著しい。このような光プリンタの書き込み光源としては、現在のところ小型、かつ安価で信頼性の高い半導体レーザ(LD)や、発光ダイオードLED)が多く使われている。現在よく使われているLEDの発光波長は660nmであり、LDの発光波長域近赤外光領域にあるが、波長のより短いLDやLEDも上梓されつつある。そこで、そのような光源に対応する可視光領域から近赤外光領域に高い感度を有する電子写真感光体の開発が望まれている。

電子写真感光体の感光波長域は、感光体に使用される電荷発生物質の感光波長域によってほぼ決まってしまう。そのため、従来から各種アゾ顔料多環キノン系顔料三方晶セレン、各種フタロシアニン顔料等多くの電荷発生物質が開発されている。それらの内、チタニルフタロシアニンは600〜800nmの長波長光に対して高感度を示すため、光源がLEDやLDである電子写真プリンタデジタル複写機用の感光体用材料として極めて重要かつ有用である。

一方、カールソンプロセスおよび類似プロセスにおいて繰り返し使用される電子写真感光体に要求される特性条件としては、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性残留電位分光特性に代表される静電特性が挙げられる。とりわけ、高感度感光体においては、繰り返し使用による帯電性の低下と残留電位の上昇が感光体の寿命特性を支配するということが多くの感光体で経験的に知られており、チタニルフタロシアニンを使用した場合もこの例外ではない。現状では、チタニルフタロシアニンを用いた感光体の繰り返し使用による安定性は未だ十分とは言えず、その性能の向上が切望されていた。

上記チタニルフタロシアニンの晶形については、多くの検討が行なわれている。例えば、ブラッグ角(2θ)が9.2°、13.1°、20.7°、26.2°、27.1°に強い回析ピークを示す結晶(例えば、特許文献1参照。)、ブラッグ角(2θ)が7.5°、12.6°、13.0°、25.4°、26.2°、28.6°に強い回析ピークを示す結晶(例えば、特許文献2参照。)、ブラッグ角(2θ)が9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、27.3°に強い回析ピークを示す結晶(例えば、特許文献3参照。)などが記載されている。

このようにチタニルフタロシアニンには多くの晶形が見い出されており、その晶形として、例えば、Y型、A型、B型C型などが知られている。なお、A型はβ型と呼ばれる場合もあり、B型はα型と呼ばれる場合もある。
ここで、Y型のチタニルフタロシアニンの場合、X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークがブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)にあり、A型のフタロシアニンは26.3°に最も強いピークがある。Y型チタニルフタロシアニンは、準安定な晶形であり、分散時の力学的ストレスによって晶形が変わりやすいことが知られている。

例えば、ブラッグ角(2θ)が27.3°(±0.2°)に明確な回析ピークを示すチタニルフタロシアニンは準安定型であり、この結晶を用いて電荷発生層を塗布するための分散液を調製する際、分散条件により安定な結晶型に変化しやすく、本来Y型の結晶が有する良好な電気特性がこの段階で損なわれてしまうと報告されている(例えば、特許文献4参照。)。

すなわち、Y型の結晶が一部A型に変化したチタニルフタロシアニンを電子写真感光体に用いた場合、感度が低下するという問題が発生する。この問題を回避するには、Y型チタニルフタロシアニンを用いて電子写真感光体製造用塗工液を調製する際に、結晶をY型に維持したまま分散調製することが必要となる。
このため、Y型チタニルフタロシアニンがA型チタニルフタロシアニンに変化しないように塗工液を調製するには、Y型チタニルフタロシアニンの製造工程、および塗工液におけるチタニルフタロシアニンの分散工程の両方に対する検討が必要になる。

チタニルフタロシアニンの分散の検討は従来から広く行われており、例えば、α型オキシチタニウムフタロシアニン水性懸濁液芳香族炭化水素溶剤を添加し、加熱処理する技術が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。しかし、この場合には芳香族炭化水素の除去が必要になるという難点がある。また、α型オキシチタニウムフタロシアニンを摩砕助剤分散媒と共にサンドグラインダー摩砕する技術が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。この場合には摩砕助剤を除去しなければならず、手間がかかるという問題がある。あるいは、同一分散機内において乾式分散後湿式分散を行なう技術が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。この場合には、乾式と湿式を兼用できる分散機は、分散性の問題やコンタミ混入等の問題があるため実現は困難である。

また、フタロシアニン顔料および分散媒を含有する混合物同士を衝突させる工程を有するフタロシアニン顔料の分散方法(例えば、特許文献8参照。)、フタロシアニン顔料および分散媒を含有する混合物同士を12℃以下の温度で衝突させる工程を有するフタロシアニン顔料の分散方法(例えば、特許文献9参照。)、フタロシアニン顔料および分散媒を含有する混合物同士を43〜75m/secの速度で衝突させる工程を有するフタロシアニン顔料の分散方法(例えば、特許文献10参照。)などが提案されている。
しかし、これらの方法は、フタロシアニン顔料および分散媒を含有する混合物を圧送し、微細な穴を通過させて液を相互に衝突させるものであり、そのためには事前にフタロシアニン顔料を分散させておく必要がある。したがって、前処理として別途の分散が必要となり、その工程における晶形変化が問題となる。

さらに、チタニルフタロシアニンの水ペースト水溶性樹脂溶液を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献11参照。)が、これを電荷発生層に用いて電子写真感光体とした場合、水溶性樹脂を含むことにより、使用環境湿度によって電子写真感光体の特性が大きく変化し不具合が生じるという問題がある。また、Y型フタロシアニンの分散時間を0.3時間以上、9時間以内とし、分散媒をエーテル類溶媒とする技術が提案されている(例えば、特許文献12参照。)が、この分散条件は非常に幅が広く(0.3時間〜9時間)、この条件だけでは製造方法を決定できない等の問題点がある。

上記のような状況から、容易にかつ安定した分散状態のY型チタニルフタロシアニンを得ることは困難であった。そこで、本出願人は先に、溶媒を含むウェットケーキ中の顔料固形分濃度が70重量%以下の状態のうちに室温以上の温度で加熱乾燥したり、あるいは、加熱乾燥工程が、10mmHg以下の減圧下で行ない有機顔料(Y型チタニルフタロシアニン)を作製する方法を提案した(例えば、特許文献13参照。)。また、顔料作製の最終工程が少なくとも溶媒と接触した状態から顔料を取り出す工程を備えた有機顔料の作製方法において、溶媒を含むウェットケーキ中の顔料固形分濃度が75%以上の状態で室温以上の温度で加熱乾燥して有機顔料を作製し、この有機顔料を電子写真感光体の感光層に含有させる方法を提案した(例えば、特許文献14参照。)。あるいは、有機顔料(Y型チタニルフタロシアニン)を組成分とした分散液を得る方法を提案し、分散工程において、ビーズミルにより分散する方法を提案した(例えば、特許文献15、16、17、18参照。)。
また、有機顔料(チタニルフタロシアニン)が加熱乾燥された状態を経ることなく、ほとんど1次粒子および結晶型を維持したまま分散液とすることを目的として、結晶変換工程が分散手段と併用された方法を提案した(例えば、特許文献19参照。)。あるいは、目的とするチタニルフタロシアニンの構造をラマンスペクトルに着目して特徴付ける提案を行なった(例えば、特許文献20、21参照。)。
さらにまた、CuKαの特性X線に対する特定のブラッグ角(2θ)において規定された回折ピークを有すると共に、粒子サイズが規定されたチタニルフタロシアニン結晶を分散することにより、高速プリントに対応できる電子写真感光体および電子写真装置、あるいは関連技術に関して提案した(例えば、特許文献22〜28参照。)。

本出願人の上記提案により従来に比べ性能は向上したが、近年の電子写真装置の機能向上に伴って感光体に要求される性能は一段と高まり、このような要請に対して未だ十分とは言えなかった。特に、近年の電子写真装置の小型化により、電子写真感光体の外径は30mmあるいはそれ以下の細さとなり、その反面、従来よりも多くの耐刷枚数が要求されており、電子写真感光体には極めて高い耐久性が必要になっている。しかし、このような高い要求に答えるのは益々困難になっている。

以上説明したように、電子写真感光体用としてどのようなフタロシアニンの結晶が好ましいか、各種検討が行われている。しかし、X線回折スペクトルのみでは電子写真感光体の電荷発生材料として使用した場合の特性を完全に説明するのは困難な場合が有り、さらに走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡によりフタロシアニンの結晶の形状を観察する方法が適用されている。しかし、これらの電子顕微鏡による形状観察でも、電荷発生材料として適したフタロシアニンの形状を特定化することが難しかった。このため、電荷発生材料として適したフタロシアニンの結晶形状を把握することが求められていた。

特開昭59−49544号公報
特開昭59−166959号公報(特公平3−5745号公報)
特開昭64−17066号公報(特公平7−97221号公報)
特開平8−123052号公報
特開昭63−20365号公報(特公平6−39575号公報)
特開昭64−17066号公報(特公平7−97221号公報)
特開平1−173042号公報
特開平4−337362号公報(特許第3039701号明細書)
特開平4−372954号公報(特許第2887215号明細書)
特開平4−372955号公報
特開平7−140681号公報
特開平8−123052号公報(特許第3451751号明細書)
特開2000−103984号公報
特開2001−142232号公報
特開2000−112155号公報
特開2000−126638号公報
特開2000−181104号公報
特開2000−281931号公報
特開2000−239556号公報
特開2000−330308号公報
特開2001−11335号公報
特開2004−83859号公報
特開2004−102229号公報
特開2004−126560号公報
特開2004−163862号公報
特開2004−271848号公報
特開2004−287070号公報
特開2004−326070号公報

概要

分散性や取り扱い性が良好で、感度が高く、電気特性の安定性が優れた結晶型を有するチタニルフタロシアニン、これを用いた繰り返し使用に対しても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定した電子写真感光体等を提供する。X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示し、かつ正四面体形状とその形状の15%以上を残存する辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなるチタニルフタロシアニン混合物(混合物の体積の総和は全チタニルフタロシの25体積%以上)を製造し、これを結着樹脂と脂と溶剤に分散して導電性支持体上に塗布し電荷発生層を設けて電子写真感光体を作製する。これを電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジに搭載する。

目的

本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、分散性や取り扱い性が良好で、感度が高く、電気特性の安定性が優れた結晶型を有する有機顔料(Y型チタニルフタロシアニン)とその製造方法、並びに、このY型チタニルフタロシアニン(以降、チタニルフタロシアニンと略称する場合がある。)を電荷発生層に用いることにより、繰り返し使用に対しても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定した電子写真感光体と、その電荷発生層を長期間安定して作製可能な電子写真感光体用塗工液を提供すると共に、当該電子写真感光体を具備した電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジを提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すチタニルフタロシアニンにおいて、前記チタニルフタロシアニンは正四面体形状破砕された形状を含み、かつ該破砕形状は元の正四面体形状の15%以上を残存する形態を保持し、その辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなる結晶を全チタニルフタロシアニンの25%以上含有することを特徴とするチタニルフタロシアニン。

請求項2

X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すチタニルフタロシアニンにおいて、前記チタニルフタロシアニンは、透過型電子顕微鏡で観察したとき、辺の長さが0.1〜1μmの正三角形であるチタニルフタロシアニンと、該正三角形の面積の少なくとも15%以上を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニンとを含み、前記正三角形と、その15%以上の面積を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニン混合物透過型電子顕微鏡写真における面積の総和が、全チタニルフタロシアニンの面積総和の25%以上であることを特徴とするチタニルフタロシアニン。

請求項3

前記X線回析スペクトルのブラッグ角(2θ)における9.0〜10.0゜(±0.2°)の範囲に、さらに複数のシャープな回折線を有することを特徴とする請求項1または2に記載のチタニルフタロシアニン。

請求項4

前記X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ)の7.3゜(±0.2°)および24.1゜(±0.2°)にブロードな回折線を示すことを特徴とする請求項1または2に記載のチタニルフタロシアニン。

請求項5

請求項1〜4のいずれかに記載のチタニルフタロシアニンと、結着樹脂と、溶剤とを含有してなることを特徴とする電子写真感光体用塗工液

請求項6

前記溶剤がケトン類であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体用塗工液。

請求項7

分散装置を用いてY型チタニルフタロシアニン、結着樹脂および溶剤を混合し、該チタニルフタロシアニンを分散してなる電子写真感光体用塗工液の製造方法であって、前記分散されたチタニルフタロシアニンは、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すと共に9.0〜10.0゜(±0.2°)の範囲に複数のシャープな回折線を示し、かつ正四面体形状が破砕された形状を含む結晶で該破砕形状が元の正四面体形状の15%以上を残存する形態を保持し、その辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなる結晶を全チタニルフタロシの25%以上含有するように制御されたことを特徴とする電子写真感光体用塗工液の製造方法。

請求項8

分散装置を用いてY型チタニルフタロシアニン、結着樹脂および溶剤を混合し、該チタニルフタロシアニンを分散してなる電子写真感光体用塗工液の製造方法であって、前記分散されたチタニルフタロシアニンは、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すと共に9.0〜10.0゜(±0.2°)の範囲に複数のシャープな回折線を示し、かつ透過型電子顕微鏡で観察したとき、辺の長さが0.1〜1μmの正三角形であるチタニルフタロシアニンと、該正三角形の面積の少なくとも15%以上を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニンとを含み、前記正三角形と、その15%以上の面積を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニン混合物の透過型電子顕微鏡写真における面積の総和が、全チタニルフタロシアニンの面積総和の25%以上含有するように制御されたことを特徴とする電子写真感光体用塗工液の製造方法。

請求項9

導電性支持体上に少なくとも電荷発生層を有する電子写真感光体であって、該電荷発生層に請求項1〜4のいずれかに記載のチタニルフタロシアニンを含有してなることを特徴とする電子写真感光体。

請求項10

前記電荷発生層にブチラール化度70モル%未満のブチラール系樹脂を含むことを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体。

請求項11

前記電荷発生層にホルマール化度15モル%未満のブチラール系樹脂を含むことを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体。

請求項12

前記ブチラール系樹脂がビニル化合物重合体、もしくはその共重合体樹脂からなることを特徴とする請求項10または11に記載の電子写真感光体。

請求項13

塗工液を用いて導電性支持体上に形成された電荷発生層を有する電子写真感光体であって、該塗工液は、請求項5または6に記載の電子写真感光体用塗工液であることを特徴とする電子写真感光体。

請求項14

少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体は請求項9〜13のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。

請求項15

前記露光手段に用いられる書き込み光源波長が800nm以下であることを特徴とする請求項14に記載の電子写真装置。

請求項16

前記書き込み光源が複数から構成され、かつ各光源の間隔が5μm以下であることを特徴とする請求項15に記載の電子写真装置。

請求項17

電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を含んで一体に支持され、電子写真装置本体着脱可能としたことを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、前記電子写真感光体は、請求項9〜13のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ

請求項18

請求項14〜16のいずれかに記載の電子写真装置により、少なくとも帯電、露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする電子写真形成方法

技術分野

0001

本発明は、電子写真技術に関し、詳しくは、分散性取り扱い性が良好で、感度が高く、帯電特性、安定性などが優れた所定の結晶型を有する有機顔料とその製造方法、およびそれを用いた電子写真感光体電子写真装置、並びに電子写真装置用プロセスカートリッジに関する。

背景技術

0002

電子写真装置は、従来から複写機印刷機ファクシミリ等に使用されているが、近年の性能向上には著しいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換し、電子写真感光体に対して光書き込みを行う、いわゆる光プリンタは、解像度階調性、あるいはカラー化等の性能において向上が著しい。このような光プリンタの書き込み光源としては、現在のところ小型、かつ安価で信頼性の高い半導体レーザ(LD)や、発光ダイオードLED)が多く使われている。現在よく使われているLEDの発光波長は660nmであり、LDの発光波長域近赤外光領域にあるが、波長のより短いLDやLEDも上梓されつつある。そこで、そのような光源に対応する可視光領域から近赤外光領域に高い感度を有する電子写真感光体の開発が望まれている。

0003

電子写真感光体の感光波長域は、感光体に使用される電荷発生物質の感光波長域によってほぼ決まってしまう。そのため、従来から各種アゾ顔料多環キノン系顔料三方晶セレン、各種フタロシアニン顔料等多くの電荷発生物質が開発されている。それらの内、チタニルフタロシアニンは600〜800nmの長波長光に対して高感度を示すため、光源がLEDやLDである電子写真プリンタデジタル複写機用の感光体用材料として極めて重要かつ有用である。

0004

一方、カールソンプロセスおよび類似プロセスにおいて繰り返し使用される電子写真感光体に要求される特性条件としては、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、残留電位分光特性に代表される静電特性が挙げられる。とりわけ、高感度感光体においては、繰り返し使用による帯電性の低下と残留電位の上昇が感光体の寿命特性を支配するということが多くの感光体で経験的に知られており、チタニルフタロシアニンを使用した場合もこの例外ではない。現状では、チタニルフタロシアニンを用いた感光体の繰り返し使用による安定性は未だ十分とは言えず、その性能の向上が切望されていた。

0005

上記チタニルフタロシアニンの晶形については、多くの検討が行なわれている。例えば、ブラッグ角(2θ)が9.2°、13.1°、20.7°、26.2°、27.1°に強い回析ピークを示す結晶(例えば、特許文献1参照。)、ブラッグ角(2θ)が7.5°、12.6°、13.0°、25.4°、26.2°、28.6°に強い回析ピークを示す結晶(例えば、特許文献2参照。)、ブラッグ角(2θ)が9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、27.3°に強い回析ピークを示す結晶(例えば、特許文献3参照。)などが記載されている。

0006

このようにチタニルフタロシアニンには多くの晶形が見い出されており、その晶形として、例えば、Y型、A型、B型C型などが知られている。なお、A型はβ型と呼ばれる場合もあり、B型はα型と呼ばれる場合もある。
ここで、Y型のチタニルフタロシアニンの場合、X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークがブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)にあり、A型のフタロシアニンは26.3°に最も強いピークがある。Y型チタニルフタロシアニンは、準安定な晶形であり、分散時の力学的ストレスによって晶形が変わりやすいことが知られている。

0007

例えば、ブラッグ角(2θ)が27.3°(±0.2°)に明確な回析ピークを示すチタニルフタロシアニンは準安定型であり、この結晶を用いて電荷発生層を塗布するための分散液を調製する際、分散条件により安定な結晶型に変化しやすく、本来Y型の結晶が有する良好な電気特性がこの段階で損なわれてしまうと報告されている(例えば、特許文献4参照。)。

0008

すなわち、Y型の結晶が一部A型に変化したチタニルフタロシアニンを電子写真感光体に用いた場合、感度が低下するという問題が発生する。この問題を回避するには、Y型チタニルフタロシアニンを用いて電子写真感光体製造用塗工液を調製する際に、結晶をY型に維持したまま分散調製することが必要となる。
このため、Y型チタニルフタロシアニンがA型チタニルフタロシアニンに変化しないように塗工液を調製するには、Y型チタニルフタロシアニンの製造工程、および塗工液におけるチタニルフタロシアニンの分散工程の両方に対する検討が必要になる。

0009

チタニルフタロシアニンの分散の検討は従来から広く行われており、例えば、α型オキシチタニウムフタロシアニン水性懸濁液芳香族炭化水素溶剤を添加し、加熱処理する技術が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。しかし、この場合には芳香族炭化水素の除去が必要になるという難点がある。また、α型オキシチタニウムフタロシアニンを摩砕助剤分散媒と共にサンドグラインダー摩砕する技術が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。この場合には摩砕助剤を除去しなければならず、手間がかかるという問題がある。あるいは、同一分散機内において乾式分散後湿式分散を行なう技術が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。この場合には、乾式と湿式を兼用できる分散機は、分散性の問題やコンタミ混入等の問題があるため実現は困難である。

0010

また、フタロシアニン顔料および分散媒を含有する混合物同士を衝突させる工程を有するフタロシアニン顔料の分散方法(例えば、特許文献8参照。)、フタロシアニン顔料および分散媒を含有する混合物同士を12℃以下の温度で衝突させる工程を有するフタロシアニン顔料の分散方法(例えば、特許文献9参照。)、フタロシアニン顔料および分散媒を含有する混合物同士を43〜75m/secの速度で衝突させる工程を有するフタロシアニン顔料の分散方法(例えば、特許文献10参照。)などが提案されている。
しかし、これらの方法は、フタロシアニン顔料および分散媒を含有する混合物を圧送し、微細な穴を通過させて液を相互に衝突させるものであり、そのためには事前にフタロシアニン顔料を分散させておく必要がある。したがって、前処理として別途の分散が必要となり、その工程における晶形変化が問題となる。

0011

さらに、チタニルフタロシアニンの水ペースト水溶性樹脂溶液を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献11参照。)が、これを電荷発生層に用いて電子写真感光体とした場合、水溶性樹脂を含むことにより、使用環境湿度によって電子写真感光体の特性が大きく変化し不具合が生じるという問題がある。また、Y型フタロシアニンの分散時間を0.3時間以上、9時間以内とし、分散媒をエーテル類溶媒とする技術が提案されている(例えば、特許文献12参照。)が、この分散条件は非常に幅が広く(0.3時間〜9時間)、この条件だけでは製造方法を決定できない等の問題点がある。

0012

上記のような状況から、容易にかつ安定した分散状態のY型チタニルフタロシアニンを得ることは困難であった。そこで、本出願人は先に、溶媒を含むウェットケーキ中の顔料固形分濃度が70重量%以下の状態のうちに室温以上の温度で加熱乾燥したり、あるいは、加熱乾燥工程が、10mmHg以下の減圧下で行ない有機顔料(Y型チタニルフタロシアニン)を作製する方法を提案した(例えば、特許文献13参照。)。また、顔料作製の最終工程が少なくとも溶媒と接触した状態から顔料を取り出す工程を備えた有機顔料の作製方法において、溶媒を含むウェットケーキ中の顔料固形分濃度が75%以上の状態で室温以上の温度で加熱乾燥して有機顔料を作製し、この有機顔料を電子写真感光体の感光層に含有させる方法を提案した(例えば、特許文献14参照。)。あるいは、有機顔料(Y型チタニルフタロシアニン)を組成分とした分散液を得る方法を提案し、分散工程において、ビーズミルにより分散する方法を提案した(例えば、特許文献15、16、17、18参照。)。
また、有機顔料(チタニルフタロシアニン)が加熱乾燥された状態を経ることなく、ほとんど1次粒子および結晶型を維持したまま分散液とすることを目的として、結晶変換工程が分散手段と併用された方法を提案した(例えば、特許文献19参照。)。あるいは、目的とするチタニルフタロシアニンの構造をラマンスペクトルに着目して特徴付ける提案を行なった(例えば、特許文献20、21参照。)。
さらにまた、CuKαの特性X線に対する特定のブラッグ角(2θ)において規定された回折ピークを有すると共に、粒子サイズが規定されたチタニルフタロシアニン結晶を分散することにより、高速プリントに対応できる電子写真感光体および電子写真装置、あるいは関連技術に関して提案した(例えば、特許文献22〜28参照。)。

0013

本出願人の上記提案により従来に比べ性能は向上したが、近年の電子写真装置の機能向上に伴って感光体に要求される性能は一段と高まり、このような要請に対して未だ十分とは言えなかった。特に、近年の電子写真装置の小型化により、電子写真感光体の外径は30mmあるいはそれ以下の細さとなり、その反面、従来よりも多くの耐刷枚数が要求されており、電子写真感光体には極めて高い耐久性が必要になっている。しかし、このような高い要求に答えるのは益々困難になっている。

0014

以上説明したように、電子写真感光体用としてどのようなフタロシアニンの結晶が好ましいか、各種検討が行われている。しかし、X線回折スペクトルのみでは電子写真感光体の電荷発生材料として使用した場合の特性を完全に説明するのは困難な場合が有り、さらに走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡によりフタロシアニンの結晶の形状を観察する方法が適用されている。しかし、これらの電子顕微鏡による形状観察でも、電荷発生材料として適したフタロシアニンの形状を特定化することが難しかった。このため、電荷発生材料として適したフタロシアニンの結晶形状を把握することが求められていた。

0015

特開昭59−49544号公報
特開昭59−166959号公報(特公平3−5745号公報)
特開昭64−17066号公報(特公平7−97221号公報)
特開平8−123052号公報
特開昭63−20365号公報(特公平6−39575号公報)
特開昭64−17066号公報(特公平7−97221号公報)
特開平1−173042号公報
特開平4−337362号公報(特許第3039701号明細書)
特開平4−372954号公報(特許第2887215号明細書)
特開平4−372955号公報
特開平7−140681号公報
特開平8−123052号公報(特許第3451751号明細書)
特開2000−103984号公報
特開2001−142232号公報
特開2000−112155号公報
特開2000−126638号公報
特開2000−181104号公報
特開2000−281931号公報
特開2000−239556号公報
特開2000−330308号公報
特開2001−11335号公報
特開2004−83859号公報
特開2004−102229号公報
特開2004−126560号公報
特開2004−163862号公報
特開2004−271848号公報
特開2004−287070号公報
特開2004−326070号公報

発明が解決しようとする課題

0016

本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、分散性や取り扱い性が良好で、感度が高く、電気特性の安定性が優れた結晶型を有する有機顔料(Y型チタニルフタロシアニン)とその製造方法、並びに、このY型チタニルフタロシアニン(以降、チタニルフタロシアニンと略称する場合がある。)を電荷発生層に用いることにより、繰り返し使用に対しても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定した電子写真感光体と、その電荷発生層を長期間安定して作製可能な電子写真感光体用塗工液を提供すると共に、当該電子写真感光体を具備した電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジを提供することを目的とする。

0017

また、チタニルフタロシアニンについてのX線回折による結晶形状は広く検討されているものの、実際の結晶形状とその形態との関係はあまり検討されていない。

0018

例えば、特開2001−115054号公報にはチタニルフタロシアニンのSEM写真(実施例、比較例)が示されているが、いずれも粒状あるいは不定形状であり、SEM写真で観察されるチタニルフタロシアニンの結晶形状とその形態と電気特性との関係については示されていない。

0019

また、フタロシアニンの結晶構造を走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡により観察した場合の形状については、不定形状(例えば、特公平5−29109号公報、特許第3176797号明細書、特開2002−0322382号公報、特開2004−126560号公報)、楕円あるいは不定形(例えば、特開平5−333575号公報)、針状(例えば、特公平4−47814号公報、特開2004−18600号公報)、棒状あるいは針状(例えば、特公平5−60844号公報)であることが報告されているが、電気特性としては必ずしも満足できるものではなかった。

0020

さらに、チタニルフタロシアニン結晶の形状を透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡で観察した例としては、特開2004−83859号公報、特開2004−102229号公報、特開2004−163862号公報、特開2004−271848号公報、特開2004−287070号公報、特開2004−326070号公報があるが、これらの特許文献においても、特性の形状のチタニルフタロシアニンが優れた電気特性を持つことを見出してはない。

0021

また、フタロシアニンの結晶構造に関して、例えば、電子写真学会誌第32巻第3号289頁や、Journal of Imaging Science and Technology, Vol.37, No.6, 1993,P607-609にも報告されているが、このような結晶構造の把握のみでは電荷発生材料として適したフタロシアニンを明らかにすることはできない。

0022

このように、従来は電荷発生材料として適したチタニルフタロシアニンの結晶を評価する方法として、X線回折スペクトルと結晶の大きさから判断していたが、X線回折スペクトルと結晶の大きさでは不十分であった。

0023

そこで本発明の課題においては、電荷発生材料として適したチタニルフタロシアニンを特定する方法として、X線回折スペクトル以外の評価項目とその内容を明らかにすることであり、これにより、耐久性が有り、電気特性が優れた電子写真感光体を提供することを目的の一つとする。

課題を解決するための手段

0024

本発明者は鋭意検討した結果、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すと共に、辺の長さが0.1〜1μmである正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、その正四面体形状を体積において15%以上残存する破砕形状のチタニルフタロシアニンを含み、前記混合物(正四面体形状と、その15%以上の体積を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニン)が全チタニルフタロシアニンの体積総和の25%以上であるものを用いて電荷発生層塗工液を調製し、電荷発生層を形成することにより上記課題が解決されることを見出した。すなわち、本発明におけるチタニルフタロシアニンは、ブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示し、かつ正四面体形状が破砕された形状を含み、破砕形状は元の正四面体形状の15%以上を残存する形態を保持し、その辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなる結晶を全チタニルフタロシアニンの25%以上含有するものである。
また同様に、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すと共に、透過型電子顕微鏡で観察したとき、辺の長さが0.1〜1μmの正三角形であるチタニルフタロシアニンと、該正三角形の面積の少なくとも15%以上を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニンとを含み、前記正三角形と、その15%以上の面積を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニン混合物の透過型電子顕微鏡写真における面積の総和が、全チタニルフタロシアニンの面積総和の25%以上であるものを用いて電荷発生層塗工液を調製し、電荷発生層を形成することにより上記課題が解決されることを見出した。
以下、本発明について具体的に説明する。

0025

本発明は、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すチタニルフタロシアニンにおいて、
前記チタニルフタロシアニンは正四面体形状が破砕された形状を含み、かつ該破砕形状は元の正四面体形状の15%以上を残存する形態を保持し、その辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなる結晶を全チタニルフタロシアニンの25%以上含有することを特徴とするチタニルフタロシアニンである。

0026

すなわち、上記発明におけるチタニルフタロシアニンは、「X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すと共に、該チタニルフタロシアニンは、辺の長さが0.1〜1μmの正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状のチタニルフタロシアニンの混合物であり、かつ該破砕形状のチタニルフタロシアニンは、正四面体形状を体積で15%以上を残存したものであって、これらの、正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状のチタニルフタロシアニンとの混合物の体積の総和が、全チタニルフタロシアニンの体積総和の25%以上であるもの」である。

0027

また、本発明は、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すチタニルフタロシアニンにおいて、
前記チタニルフタロシアニンは、透過型電子顕微鏡で観察したとき、辺の長さが0.1〜1μmの正三角形であるチタニルフタロシアニンと、該正三角形の面積の少なくとも15%以上を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニンとを含み、
前記正三角形と、その15%以上の面積を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニン混合物の透過型電子顕微鏡写真における面積の総和が、全チタニルフタロシアニンの面積総和の25%以上であることを特徴とするチタニルフタロシアニンである。

0028

上記発明において、チタニルフタロシアニンは、透過型電子顕微鏡で観察したとき、辺の長さが0.1〜1μmの正三角形であるチタニルフタロシアニンと、辺の長さが0.1〜1μmの正三角形における面積の少なくとも15%以上を残す破砕された形状のチタニルフタロシアニンとの混合物を含み、透過型電子顕微鏡写真において、これらチタニルフタロシアニン混合物の面積の総和が、全チタニルフタロシアニンの総面積の25%以上であればよく、該チタニルフタロシアニンが3次元的にどのような形状であるかは問題ではない。

0029

また、本発明は、上記いずれかに記載のチタニルフタロシアニンにおいて、前記X線回析スペクトルのブラッグ角(2θ)における9.0〜10.0゜(±0.2°)の範囲に、さらに複数のシャープな回折線を有することを特徴とする。

0030

さらに、本発明は、上記いずれかに記載のチタニルフタロシアニンの前記X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ)の7.3゜(±0.2°)および24.1゜(±0.2°)にブロードな回折線を示すことを特徴とする。

0031

そして、本発明は、上記いずれかに記載のチタニルフタロシアニンと、結着樹脂と、溶剤とを含有してなることを特徴とする電子写真感光体用塗工液に係るものである。
ここで、上記溶剤がケトン類であることが好ましい。

0032

また、本発明は、分散装置を用いてY型チタニルフタロシアニン、結着樹脂および溶剤を混合し、該チタニルフタロシアニンを分散してなる電子写真感光体用塗工液の製造方法であって、
前記分散されたチタニルフタロシアニンは、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すと共に9.0〜10.0゜(±0.2°)の範囲に複数のシャープな回折線を示し、かつ正四面体形状が破砕された形状を含む結晶で該破砕形状が元の正四面体形状の15%以上を残存する形態を保持し、その辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなる結晶を全チタニルフタロシの25%以上含有するように制御されたことを特徴とする電子写真感光体用塗工液の製造方法に係るものである。

0033

上記発明におけるチタニルフタロシアニンは、「X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すと共に9.0〜10.0゜(±0.2°)の範囲に複数のシャープな回折線を示すと共に、該チタニルフタロシアニンは、辺の長さが0.1〜1μmの正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状のチタニルフタロシアニンの混合物であり、かつ該破砕形状のチタニルフタロシアニンは、正四面体形状を体積で15%以上を残存したものであって、これらの、正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状のチタニルフタロシアニンとの混合物の体積の総和が、全チタニルフタロシアニンの体積総和の25%以上であるもの」である。

0034

上記発明において、正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状を含むチタニルフタロシアニンの体積の総和が、全チタニルフタロシアニンの体積総和の25%以上含有するように制御する方法としては、分散を行なう前のチタニルフタロシアニンの見かけ比重の制御、分散時の分散条件が挙げられる。ここで、分散を行なう前のチタニルフタロシアニンの見かけ比重は特に重要であり、チタニルフタロシアニンの1次結晶が大きいと、それを破砕する際に過度分散エネルギーを加えなければならず、その結果、分散後のチタニルフタロシアニン結晶を透過型電子顕微鏡で観察すると、正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状を含むチタニルフタロシアニンの体積の総和が、全チタニルフタロシアニンの体積総和の25%以下となる。

0035

さらに、本発明は、分散装置を用いてY型チタニルフタロシアニン、結着樹脂および溶剤を混合し、該チタニルフタロシアニンを分散してなる電子写真感光体用塗工液の製造方法であって、
前記分散されたチタニルフタロシアニンは、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すと共に9.0〜10.0゜(±0.2°)の範囲に複数のシャープな回折線を示し、かつ透過型電子顕微鏡で観察したとき、辺の長さが0.1〜1μmの正三角形であるチタニルフタロシアニンと、該正三角形の面積の少なくとも15%以上を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニンとを含み、
前記正三角形と、その15%以上の面積を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニン混合物の透過型電子顕微鏡写真における面積の総和が、全チタニルフタロシアニンの面積総和の25%以上含有するように制御されたことを特徴とする電子写真感光体用塗工液の製造方法に係るものである。

0036

上記発明において、正三角形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状を含むチタニルフタロシアニンの体積の総和が、全チタニルフタロシアニンの体積総和の25%以上含有するように制御する方法としては、分散を行なう前のチタニルフタロシアニンの見かけ比重の制御、分散時の分散条件が挙げられる。ここで、分散を行なう前のチタニルフタロシアニンの見かけ比重は特に重要であり、チタニルフタロシアニンの1次結晶が大きいと、それを破砕する際に過度の分散エネルギーを加えなければならず、その結果、分散後のチタニルフタロシアニン結晶を透過型電子顕微鏡で観察すると、正三角形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状のフタロシアニンの割合が少なくなり、いわゆる外形が不定形のフタロシアニンが大半になる。

0037

そして、本発明は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層を有する電子写真感光体であって、該電荷発生層に前記いずれかに記載のチタニルフタロシアニンを含有してなることを特徴とする電子写真感光体に係るものである。

0038

上記電子写真感光体において、電荷発生層にブチラール化度70モル%未満のブチラール系樹脂を含むことが好ましい。

0039

また、上記電子写真感光体において、電荷発生層にホルマール化度15モル%未満のブチラール系樹脂を含むことが好ましい。

0040

さらに、上記いずれかのブチラール系樹脂がビニル化合物重合体、もしくはその共重合体樹脂からなることが好ましい。

0041

また、本発明は、塗工液を用いて導電性支持体上に形成された電荷発生層を有する電子写真感光体であって、該塗工液は、前記いずれかに記載の電子写真感光体用塗工液であることを特徴とする電子写真感光体である。

0042

そして、本発明は、少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体は前記いずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置に係るものである。

0043

上記電子写真装置において、露光手段に用いられる書き込み光源の波長が800nm以下であることが望ましい。

0044

また、上記書き込み光源が複数から構成され、かつ各光源の間隔が5μm以下であることが好ましい。

0045

さらに、本発明は、電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を含んで一体に支持され、電子写真装置本体着脱可能としたことを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、
前記電子写真感光体は、前記いずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジに係るものである。

0046

そして、本発明は、前記いずれかに記載の電子写真装置により、少なくとも帯電、露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする電子写真形成方法に係るものである。

発明の効果

0047

本発明によれば、分散性や取り扱い性が良好で、感度が高く、電気特性の安定性が優れた結晶型、すなわちX線回析スペクトルの特定のブラッグ角(2θ)27.3°(±0.2°)に明確な回折ピークを有するY型チタニルフタロシアニンが得られる。
このチタニルフタロシアニンを電荷発生層に用いることにより、繰り返し使用に対しても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じず、感度が高く安定した電子写真感光体を提供することができる。そして、この感光体を電子写真装置に搭載、あるいは電子写真装置用プロセスカートリッジとして組み込むことによって、高速プリントにおいても長期間、高品質で安定した電子写真画像の形成を可能とすることができる。

発明を実施するための最良の形態

0048

本発明におけるY型チタニルフタロシアニン(以降、チタニルフタロシアニンと略称する場合がある。)は、前述のようにX線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示し、結晶は正四面体形状が破砕された形状を含み、かつ破砕形状は元の正四面体形状の15%以上を残存する形態を保持し、その辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなる結晶を含有するものである。
ここで、発明におけるチタニルフタロシアニンは、前記のように「X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すと共に、該チタニルフタロシアニンは、辺の長さが0.1〜1μmの正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状のチタニルフタロシアニンの混合物であり、かつ該破砕形状のチタニルフタロシアニンは、正四面体形状を体積で15%以上を残存したものであって、これらの、正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状のチタニルフタロシアニンとの混合物の体積の総和が、全チタニルフタロシアニンの体積総和の25%以上であるもの」であって、破砕された形状のチタニルフタロシアニンは、元の正四面体形状の外面、辺、稜線、あるいは頂点のいずれかの形状を残していることが重要であり、この正四面体形状が破砕された形状を擬似正四面体形状と呼ぶことにする。

0049

そして、このような形状のチタニルフタロシアニンは、電子写真感光体の電荷発生用顔料として好適に用いることができる。
本発明において、チタニルフタロシアニンの結晶の形状と大きさは走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡で観察することが可能である。
すなわち、本発明におけるチタニルフタロシアニンは、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示し、透過型電子顕微鏡で観察したとき、辺の長さが0.1〜1μmの正三角形であるチタニルフタロシアニンと、該正三角形の面積の少なくとも15%以上を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニンとを含み、前記正三角形と、その15%以上の面積を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニン混合物の透過型電子顕微鏡写真における面積の総和が、全チタニルフタロシアニンの面積総和の25%以上であることを特徴とする。
ここで、破砕された形状のチタニルフタロシアニンの形状は、電子顕微鏡で観察したとき、元の正三角形の辺、あるいは頂点のいずれかの形状を残していることが重要であり、この正三角形が破砕された形状を擬似三角形状と呼ぶことにする。

0050

チタニルフタロシアニンを電荷発生材料として含有する塗工液を透過型電子顕微鏡で観察するには、塗工液の一部をイオン交換水固形分濃度凡そ1重量%になるように希釈した後、この液の表面を導電性処理した銅製のネットすくい取り、これを透過型電子顕微鏡観察用試料として用いることにより観測可能である。
また、チタニルフタロシアニンが粉末の場合は、ビーカーに入れたイオン交換水に投入し、この液の表面を導電性処理した銅製のネットですくい取り、これを透過型電子顕微鏡観察用試料とすることで観測可能になる。

0051

ここで、透過型電子顕微鏡観察用試料の作成方法は上記以外の方法でもよく、例えば、「日本表面科学会編、1999年3月丸善刊行、表面分析技術選書:透過型電子顕微鏡」、「M.AHayat著、永野俊雄監訳、1990年3月丸善刊行:透過電子顕微鏡生物試料作製ハンドブック」、永野俊雄著、学会出版センター1981年9月刊行:透過電子顕微鏡の使い方」等の文献で紹介されている方法を使用することができる。

0052

従来、チタニルフタロシアニン合成後における乾燥や取り出し、あるいは分散に関しては前述のように多くの検討が行われているが、顔料の晶析に関してはあまり検討されていなかった。そこで、本発明者は晶析の工程に着目して検討を行ったところ、チタニルフタロシアニンの晶析工程が重要であり、特に、チタニルフタロシアニンのX線回折で観察される晶形だけではなく、結晶形状とその形態により電荷発生材料として適したチタニルフタロシアニンであるかどうかを特定化できることを見出した。

0053

すなわち、目的とする性能を満たす電子写真感光体の電荷発生材料として適したチタニルフタロシアニンとするには、まず始めにX線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に明確、すなわち主要な回析ピークを示すと共に、辺の長さが0.1〜1μmの四面体形状のY型チタニルフタロシアニン結晶を製造し、さらにこのY型チタニルフタロシアニンを分散して塗工液を調製する際、分散工程で破砕された結晶が元の正四面体形状の15%以上を残存し、その辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなる形態を保持し、かつ擬似正四面体形状が全チタニルフタロシの25%以上含有するように調製することによって繰り返し使用しても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない電子写真感光体を製造することができることを見出した。

0054

すなわち、上記製造方法におけるチタニルフタロシアニンを詳述すれば、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に主要な回析ピークを示すと共に9.0〜10.0゜(±0.2°)の範囲に複数のシャープな回折線を示すと共に、該チタニルフタロシアニンは、辺の長さが0.1〜1μmの正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状のチタニルフタロシアニンの混合物であり、かつ該破砕形状のチタニルフタロシアニンは、正四面体形状を体積で15%以上を残存したものであって、これらの、正四面体形状のチタニルフタロシアニンと、それが破砕された形状のチタニルフタロシアニンとの混合物の体積の総和が、全チタニルフタロシアニンの体積総和の25%以上であるものである。

0055

ここで、正四面体形状チタニルフタロシアニンの辺の長さは0.1〜1μmが良いが、さらに好ましくは0.1〜0.3μmが良い。
また、破砕された形状のチタニルフタロシアニンは破砕前における辺の長さとしては0.1〜1μmが良いが、さらに好ましくは0.1〜0.3μmが良い。

0056

ここで、上記破砕されてできた擬似正四面体形状の結晶は、元の正四面体形状の25体積%以上が残存する形態であることがさらに好ましく、50体積%以上が特に好ましい。正四面体形状の残存割合が15体積%未満の場合には、電子写真感光体の電荷発生材料として要求される電気特性が得られず安定した画像形成ができなくなる。
また、上記塗工液を調製する際、分散工程で形成されるチタニルフタロシアニンが正四面体形状もしくは正四面体形状の15体積%以上を残存する擬似正四面体形状の結晶は、破砕された、いわゆる「破砕物」を含みこれらの集合体として塗工液中に分散される。

0057

正四面体形状と擬似正四面体形状からなるチタニルフタロシアニンの含有量は、上記のように全チタニルフタロシアニンの25体積%以上であることがさらに好ましい。25体積%未満であると、電荷発生材料として要求される電気特性などの特性が十分に発揮されず安定した画像形成が難しくなる傾向がある。破砕物は、微結晶やそれ以外の形状、例えば不定形形状のものであり、限定するものではないが5体積%〜25体積%程度が含まれる。

0058

また、目的とする性能を満たす電子写真感光体の電荷発生材料として適したチタニルフタロシアニンとするには、まず始めにX線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に明確、すなわち主要な回析ピークを示すと共に、透過型電子顕微鏡観察を行なった場合、辺の長さが0.1〜1μmの正三角形状として観察されるY型チタニルフタロシアニン結晶を製造し、さらにこのY型チタニルフタロシアニンを分散して塗工液を調製する際、透過型電子顕微鏡で観察したとき、辺の長さが0.1〜1μmの正三角形であるチタニルフタロシアニンと、該正三角形の面積の少なくとも15%以上を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニンとを含み、前記正三角形と、その15%以上の面積を残存する破砕形状のチタニルフタロシアニン混合物の透過型電子顕微鏡写真における面積の総和が、全チタニルフタロシアニンの面積総和の25%以上含有するように調製することによって繰り返し使用しても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない電子写真感光体を製造することができることを見出した。

0059

ここで、チタニルフタロシアニンは、透過型電子顕微鏡で観察したとき、正三角形状における辺の長さとしては0.1〜1μmが良いが、さらに好ましくは0.1〜0.3μmが良い。また、破砕された三角形状のチタニルフタロシアニンは破砕前の辺の長さが0.1〜1μmが良いが、さらに好ましくは0.1〜0.3μmが良い。

0060

また、チタニルフタロシアニンを透過型電子顕微鏡で観察したとき、上記破砕されてできた擬似正三角形状の結晶は、元の正三角形状の25面積%以上が残存する形態であることがさらに好ましく、50面積%以上が特に好ましい。
正三角形状の残存割合が15面積%未満の場合には、電子写真感光体の電荷発生材料として要求される電気特性が得られず安定した画像形成ができなくなる。また、上記塗工液を調製する際、分散工程で形成されるチタニルフタロシアニンが正三角形状もしくは正三角形状の15%以上を残存する擬似正三角形状の結晶は、破砕された、いわゆる「破砕物」を含みこれらの集合体として塗工液中に分散される。

0061

ここで、擬似正三角形状からなるチタニルフタロシアニンの含有量は、上記のように全チタニルフタロシアニンの25面積%以上であることがさらに好ましい。25面積%未満であると、電荷発生材料として要求される電気特性などの特性が十分に発揮されず安定した画像形成が難しくなる傾向がある。破砕物は、微結晶やそれ以外の形状、例えば不定形形状のものであり、限定するものではないが5面積%〜25面積%程度が含まれる。

0062

上記により規定される擬似正四面体形状の結晶を含むチタニルフタロシアニンは、X線回析スペクトルのブラッグ角(2θ)における9.0〜10.0゜(±0.2°)の範囲に、さらに複数のシャープな回折線を有する。さらに、上記集合体は、ブラッグ角(2θ)の7.3゜(±0.2°)および24.1゜(±0.2°)に破砕物に基づくブロードな回折線を示す。従って、上記各回折線によって本発明におけるチタニルフタロシアニンをさらに確実に特定することができる。

0063

また、上記により規定される透過型電子顕微鏡で観察したとき擬似正三角形の結晶を含むチタニルフタロシアニンは、X線回析スペクトルのブラッグ角(2θ)における9.0〜10.0゜(±0.2°)の範囲に、さらに複数のシャープな回折線を有する。さらに、上記集合体は、ブラッグ角(2θ)の7.3゜(±0.2°)および24.1゜(±0.2°)に破砕物に基づくブロードな回折線を示す。従って、上記各回折線によって本発明におけるチタニルフタロシアニンをさらに確実に特定することができる。

0064

以下に、本発明における擬似正四面体形状のチタニルフタロシアニンについて、図を参照して具体的に説明する。
図1はチタニルフタロシアニンの基本構造である正四面体形状を異なる方向から観察した外観模式図である。すなわち、図1において、ア、イ、ウ、エはそれぞれ正四面体を別々の方向から見た外観の一例を模式的に示したものである。このような正四面体形状を元として本発明におけるチタニルフタロシアニンの結晶形状が形成されている。

0065

しかし、合成工程時及び/又は分散工程時の機械的ストレスにより、正四面体形状のチタニルフタロシアニンは破砕されて頂点や辺の欠けが発生するため、図1に示すような鋭利な頂点を有する正四面体形状を保持することが難しい。なお、頂点の欠けの一部は結晶成長過程での成長不足による場合もあると考えられる。すなわち、合成工程や分散工程等を経た後のチタニルフタロシアニンの結晶形状は、図2の外観模式図、オ、カ、キ、ク、ケ、コ、サ、シに示すような頂点等の欠けが生じた正四面体、いわゆる擬似正四面体形状を呈している。

0066

ここで、欠けの量あるいは程度はさまざまであるが、前述のように電子写真感光体の電荷発生材料として高い性能を持つには、たとえ欠けが有っても、正四面体形状の一部を残すことが重要である。欠けが進行し、外見が不定形になると、X線回折スペクトルではブラッグ角(2θ)が27.3°(±0.2°)にピークを示すものの、電気特性の低下が発生する。すなわち、図2のオ、カ、キ、ク、ケ、コ、サ、シに示す形状のように正四面体形状が残った、いわゆる擬似正四面体形状を有していればよい。なお、図2のシに示す擬似正四面体形状は、元の正四面体形状の15%を残存する形態を維持している例である。従って、オ、カ、キ、ク、ケ、コ、サに示す擬似正四面体形状は、正四面体形状の15%以上を残存する形態である。

0067

また、透過型電子顕微鏡で観察したときの擬似正三角形からなる結晶を含む発明におけるチタニルフタロシアニンについて、図を参照して具体的に説明する。
図3は透過型電子顕微鏡でチタニルフタロシアニンを観察した場合のチタニルフタロシアニン結晶の輪郭を示す図である。すなわち、図3において、タは欠けのまったく無い正三角形状を示す。また、チは2つの頂点が小さく欠けた正三角形状、ツは1つの頂点が大きく欠け、1つの頂点が小さく欠けた正三角形状、テは大きく欠けた三角形状を示す。
透過型電子顕微鏡でチタニルフタロシアニンを観察する場合、ふたつの正三角形状の辺同士が重なって観察される場合があり、その例をトに示す。 そして、トの頂点が欠けた例をナに示す。本発明では、トやナの形状は菱形ではなく、二つの三角形として把握する。

0068

[チタニルフタロシアニンの製造方法]
次に、本発明におけるチタニルフタロシアニンの製造方法について説明する。
上記のような形状のチタニルフタロシアニンを得るためにはこれまで着目されていなかった晶析工程における諸条件を詳細に設定、管理して製造することが重要である。
すなわち、チタニルフタロシアニンを濃硫酸に溶解し、これを氷水滴下してY型チタニルフタロシアニンを製造するが、この時のチタニルフタロシアニン濃硫酸溶液の温度は精密に管理する必要がある。なお、温度は0±1℃に管理するのが好ましい。また、この溶液を氷水に滴下する際の諸条件にも配慮する必要があり、晶析時の温度上昇を厳密(1℃以下)に押さえる必要がある。
また、氷水の攪拌結晶成長を妨げないように、槽全体を大きく攪拌し、局所的な部分のみの攪拌を避けることが重要である。
また、従来用いられている回転翼式の攪拌器の場合には攪拌によって渦ができ、その部分の攪拌は行われるが、槽全体の攪拌が不十分となることがある。このような攪拌では、チタニルフタロシアニン濃硫酸溶液の投入点では硫酸濃度が高くなり、また温度が1℃以上に上昇するため、目的とする良好な形状の結晶が得られ難い。従って、チタニルフタロシアニン濃硫酸溶液を氷水へ投入する場合の装置は、撹拌性や温度上昇など問題のない適切な装置を使用することが必要である。

0069

図4概略構成図に本発明におけるチタニルフタロシアニン濃硫酸溶液を氷水へ投入する場合に用いる装置の一例を示す。図4において、符号30は氷水、31はチタニルフタロシアニンの濃硫酸溶液滴下装置、32は振動フィン攪拌装置、34は槽、35は冷却ジャケットである。
また、図5は、図4における振動フィン型攪拌装置の振動フィンの部分を拡大した模式図である。図5において、符号46は振動フィンがついている棒、47は振動フィンである。棒46が上下動すると、振動フィン47も撓んで上下動し液を攪拌する。
図4図5において、振動フィン型攪拌装置は1〜20Hzで振動し、振動フィンが槽の氷水を攪拌する。フィンの形状、寸法は槽の大きさによって適宜選定すればよい。なお、図4では、槽の液払い出し機構は示されていない。

0070

一方、図6の概略構成図は従来から用いられている回転翼方式の攪拌装置の一例を示す。
図6において、符号50は氷水、51はチタニルフタロシアニンの濃硫酸溶液滴下装置、53は回転翼方式攪拌装置、54は槽、55は冷却ジャケットである。なお、槽の液払い出し機構は図示していない。この方式の装置でも、攪拌装置の位置や角度に留意すれば、槽内を均一に攪拌することが可能である。

0071

いずれにしても上記図4に示す装置、あるいは図6に示す装置を用いる場合、チタニルフタロシアニンの濃硫酸溶液滴下点の状態を常に一定に保つことが重要であり、が集まらないように網で囲うことが有効である。氷水には5%以下のメチルアルコールエチルアルコール等のアルコール類、あるいはグリセリンを入れておいてもよい。また、5%以下の塩化ナトリウムを入れてもよい。特に、図4に示す攪拌装置では、攪拌に伴う渦を生じさせずに槽内全体を攪拌できる利点がある。また、槽の形状が箱型であっても、隅まで十分に攪拌が行われる効果がある。

0072

[電子写真感光体用塗工液の調製]
次に、本発明における電子写真感光体用塗工液、すなわち電荷発生層用の塗工液について説明する。
前述のように、本発明における電子写真感光体用塗工液(以降、電荷発生層用塗工液呼称する。)は、結着樹脂と、前記チタニルフタロシアニンと、溶剤とを含有した分散溶液である。
この分散溶液を調製する際、正四面体形状のチタニルフタロシアニンの粉末を、その一次粒子の形状が大きく破壊することなく分散することが非常に重要である。分散時のストレスが大きいと、正四面体形状のチタニルフタロシアニンはその形状を留めることなく粉砕され、たとえX線回析スペクトルのブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に明確な回析ピークを示したとしても、それを使用して作製した電子写真感光体は、繰り返し使用時の耐久性が低下し、帯電性の低下と残留電位が上昇するようになる。このため、破砕形状が元の正四面体形状の15%以上を残存し、その辺の長さが0.1〜1μmを維持するように分散することが必要である。

0073

図7は、電荷発生層用塗工液としての分散溶液を調製する際、チタニルフタロシアニンを分散するのに用いる分散装置の一例を示す概略構成図である。
図7において、分散室61の内部には、モーター63によって高速回転するローター62と分散を行なうビーズが入っている。ビーズとしては、直径0.3mmから1mmのジルコニアビーズが使用される。符号64は循環タンクであり、内部に分散するための液(結着樹脂、Y型チタニルフタロシアニン、溶剤からなる液状物)が貯えられる。符号65は循環タンク内の液を撹拌する機構であり、66は循環タンクの液を分散室に送るポンプである。図7では分散室61および循環タンク64は一部を切り欠いた図で示してある。また、図示はしていないが、分散室61および循環タンク64は通水冷却できるジャケットが取り付けられており、分散時にジャケットに冷却水を通して分散液を冷却できるようになっている。また、符号67は送液配管、68は戻り液配管である。

0074

上記分散装置による電荷発生層用塗工液の調製は、上記循環タンク64にY型チタニルフタロシアニンと結着樹脂と溶剤からなる液状物(液と略す。)を入れ、送液ポンプ66を動作させて液を分散室61に送液しながら、モーター63を回転して分散室61内のローター62を高速で回転させ、分散室内にあるY型チタニルフタロシアニンを粉砕することによって行なわれる。分散室61内の液は戻り液配管68を通って循環タンク64へ戻り、循環タンク64内にある液と撹拌される。始めに循環タンク64に投入するY型チタニルフタロシアニンの粒径は分散に使用するビーズの直径以下である必要がある。循環タンク64内の液は送液ポンプ66によって分散装置内を循環するが、分散は分散室61内においてのみ行なわれるので、循環タンク64内に滞留する液がムラなく分散されるには投入量に応じた時間を要する。

0075

電荷発生層用塗工液中に直径2μm以上の大きさのY型チタニルフタロシアニン、すなわち電荷発生材料粒子が存在すると、この溶液により形成した電子写真感光体は画像に点欠陥が生じる場合がある。そこで、品質の優れた電荷発生層用塗工液とするためには、2μm以上の大きさの電荷発生材料粒子が含まれない分散液としなければならない。本発明者の検討においては、種々の影響を考慮して、電荷発生層用塗工液中の電荷発生材料の最大粒径が1μm以下となるように分散している。
分散の条件としては、図7における分散室内のローター先端の速度を10m/sec以下とする必要がある。10m/secを超える速度であると、分散のストレスが大きく、Y型チタニルフタロシアニンの一部はA型チタニルフタロシアニンに変化する。
ローターの回転数は分散全体を通じて一定速度で行う必要はなく、途中で回転速度を上げたり、あるいは下げたりする等の変化をさせても構わない。分散時に分散室61から出る液の温度に注意する必要があり、分散開始時の温度から5℃以上上昇するようなら、ローターの回転数を下げる必要がある。

0076

また、送液ポンプの送液量も分散全体を通じて一定速度で行う必要はなく、途中で送液量を上げたり、あるいは下げたりする等、変化させて行っても構わない。分散時における固形分濃度は、一定にする必要はない。例えば、始めに分散装置に樹脂を含む有機溶剤溶液を入れ、所定量のチタニルフタロシアニンの半分を入れ、短時間分散を行ってから、残りのチタニルフタロシアニンを投入してもよい。
分散室61は液の入り口と出口が同一側でなく、それぞれ反対側に位置していることが好ましい。このような構造になっていることによって、分散室61内で、液のよどみや滞留がなく分散が可能になる。分散室61およびローター62の材料としては酸化ジルコニウムが好ましく、SUSや鋼等の金属は分散液に金属粉末が混入するため、使用するのは好ましくない。

0077

上記のように調製した電荷発生層用塗工液、すなわち電子写真感光体用塗工液は、分散性と結晶安定性が良好で、取り扱いやすく、導電性支持体上に長期間安定して電荷発生層を作製することができる。このため、繰り返し使用を行なっても帯電性の低下や残留電位の上昇を起こさず、特性の安定した電子写真感光体が得られる。
以下、本発明における導電性支持体上に少なくとも電荷発生層を有する電子写真感光体について図面を参照して説明する。

0078

[電子写真感光体]
図8は、本発明における電子写真感光体の構成の一例を示す概略断面図である。
図8では、導電性支持体71上に、電荷発生材料と電荷輸送材料を主成分とする単層の感光層72が設けられている。図9および図10は、本発明における電子写真感光体の別の構成例を示す概略断面図である。図9に示す電子写真感光体では、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層83と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層84とが積層された構成を備えている。図10に示す電子写真感光体では、図9の電荷輸送層84の上にさらに保護層95を設けた構成になっている。

0079

上記導電性支持体71としては、体積抵抗1010Ωcm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウムニッケルクロムニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板、およびそれらを押し出し、引き抜き等の工法素管化後、切削超仕上げ研磨等で表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルトエンドレスステンレスベルトも導電性支持体71として用いることができる。

0080

この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工し導電層を形成したものも、本発明の導電性支持体71として用いることができる。
このような導電性粉体としては、カーボンブラックアセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉或いは導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、ポリスチレンスチレンアクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体ポリエステルポリ塩化ビニル塩化ビニル酢酸ビニル共重合体ポリ酢酸ビニルポリ塩化ビニリデンポリアリレート樹脂フェノキシ樹脂ポリカーボネート酢酸セルロース樹脂エチルセルロース樹脂ポリビニルブチラールポリビニルホルマールポリビニルトルエンポリN−ビニルカルバゾールアクリル樹脂シリコーン樹脂エポキシ樹脂メラミン樹脂ウレタン樹脂フェノール樹脂アルキッド樹脂等の熱可塑性熱硬化性樹脂、または光硬化性樹脂が挙げられる。

0081

導電性層は、上記導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば例えばTHF(テトラヒドロフラン)、MDC(ジクロロメタン)、MEK(メチルエチルケトン)、トルエン等に分散し、これを塗布することにより形成することができる。さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン塩化ゴムテフロン登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明における導電性支持体71として良好に用いることができる。

0082

次に、感光層について説明する。前記のように感光層は単層の構成でも積層の構成でもよいが、説明の都合上、まず電荷発生層83と電荷輸送層84の積層により構成される場合について述べる。
電荷発生層83は、導電性支持体71上に、結着樹脂と、前述の方法で得られたチタニルフタロシアニンと、溶剤とを含有した塗工液を塗布し、乾燥することにより形成される。従って、形成された電荷発生層83には、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)に明確な、すなわち主要な回析ピークを示し、かつ元の正四面体形状の15%以上を残存し、その辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなる結晶を含む(25%以上が好ましい)チタニルフタロシアニンを含有している。

0083

電荷発生層83に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアミドポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジンセルロース系樹脂カゼインポリビニルアルコールポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し20〜200重量部、好ましくは50〜150重量部が適当である。

0084

特に、電荷発生層83にブチラール化度70モル%未満のブチラール系樹脂や、ホルマール化度15モル%未満のブチラール系樹脂を含むことが好ましく、これらのブチラール系樹脂がビニル化合物の重合体、もしくはその共重合体樹脂からなることが好ましい。このような結着樹脂を用いることによって、分散性や取り扱い性が良好で安定した塗工液が得られ、形成された感光体を繰り返し使用しても長期間、高品質で安定した電子写真画像が提供できる。

0085

ここで用いられる溶剤としては、例えば、イソプロパノールアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサンエチルセルソルブ酢酸エチル酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタンモノクロロベンゼンシクロヘキサン、トルエン、キシレンリグロイン等が挙げられる。
上記塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法スプレーコートビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層83の膜厚は0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。

0086

電荷発生層83に必要により可塑剤レベリング剤酸化防止剤等を添加することもできる。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイルメチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して0〜1重量%程度が適当である。

0087

一方、電荷輸送層84は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層83上に塗布、乾燥することにより形成できる。ここで、電荷輸送物質には、正孔輸送物質電子輸送物質とがあり、いずれも使用できる。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレンテトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。

0088

一方、正孔輸送物質としては、ポリ−N−カルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレンホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレンポリシランオキサゾール誘導体オキサジアゾール誘導体イミダゾール誘導体モノアリールアミン誘導体ジアリールアミン誘導体トリアリールアミン誘導体スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体ピラゾリン誘導体ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体インデン誘導体ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独または2種以上混合して用いられる。

0089

電荷輸送層形成用の結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、または熱硬化性樹脂が挙げられる。

0090

電荷輸送物質の量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は、5〜50μm程度とすることが好ましい。ここで、用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが挙げられる。

0091

また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能と、結着樹脂としての機能を有する高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。例えば、特開2000−103984号公報の(1)〜(10)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。

0092

また、本発明において、電荷輸送層84に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレートジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量としては結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して0〜1重量%程度が適当である。

0093

次に、図8に示したように感光層が単層から構成される場合について説明する。
単層からなる感光層72は、導電性支持体上に、結着樹脂と、前述の方法で得られたチタニルフタロシアニンと、溶剤とを含有した塗工液を塗布し、乾燥することにより形成される。さらにこの感光層には上述した電荷輸送材料を添加した機能分離タイプとしてもよくまた、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
従って、単層からなる感光層72は、少なくとも、X線回析スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)主要な回析ピークを示し、かつ元の正四面体形状の15%以上を残存し、その辺の長さが0.1〜1μmの擬似正四面体形状からなる結晶を含む(辺の長さが0.1〜1μmの正四面体形状と、それが破砕されその正四面体形状を体積で15%以上を残存した破砕形状のチタニルフタロシアニンとの混合物の体積の総和が、全チタニルフタロシアニンの体積総和の25%以上である)チタニルフタロシアニンを含有している。

0094

上記結着樹脂としては、先に電荷輸送層84で挙げた結着樹脂をそのまま用いることができるほかに、電荷発生層83で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。単層の感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート等で塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は5〜100μm程度が適当である。

0095

本発明における電子写真感光体には、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、下引き層状に感光層を溶剤で塗布することを考えると、これらの樹脂は一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロンメトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタンシリカアルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層の場合と同様、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。

0096

さらに、本発明における下引き層として、シランカップリング剤チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層にはAl2O3を陽極酸化によって設けたものや、ポリパラキシリレンパリレン)等の有機物や、SiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物真空薄膜作製法によって設けたものも良好に使用できる。この他にも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。

0097

前記図10に示すように、本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層95を感光層の上に設けることもある。
保護層95に使用する材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィンビニルモノマー共重合体塩素化ポリエーテルアリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミドポリアクリレートポリアリルスルホンポリブチレンポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。また、保護層95にはその他、耐摩耗性を向上する目的で、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂およびこれら樹脂に酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。

0098

保護層95の形成法としては、通常の塗布法が採用される。なお、保護層5の厚さは、0.1〜7μm程度が適当である。また、以上の他に真空薄膜作製法にて形成したα−C、α−SiCなど公知の材料も保護層95として用いることができる。

0099

また、本発明においては、感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン水酸化ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のような通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。

0100

以上のような構成とした電子写真感光体は感度が高く、繰り返し使用に対しても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じず、この感光体を電子写真装置に搭載することによって高速プリントにおいても長期間、高品質で安定した電子写真画像の形成が行える。
以下に、図面を用いて本発明の電子写真装置および電子写真形成方法について詳しく説明する。

0101

[電子写真装置]
図11は、本発明の電子写真装置および電子写真形成方法の一例を説明するための概略構成図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図11において、この電子写真装置は、ドラム状の電子写真感光体131の周りに、帯電手段である帯電機構132、露光手段である露光機構133、現像手段である現像機構134、転写手段である転写機構135、クリーニング手段であるクリーニング機構137が配置されている。転写機構135において、転写材138にはトナーが転写され、これが定着機構136で定着される。

0102

上記の電子写真装置を使用した電子写真形成方法においては、電子写真感光体131は、反時計方向に回転して、帯電機構132で正または負に帯電され、露光機構133の光源からの露光によって、静電潜像を電子写真感光体131上に形成する。そして、現像機構134による現像、転写機構135による転写が繰り返し行われる。
この場合、帯電機構132には、コロトロンスコロトロン固体帯電器ソリッドステートチャージャ)、帯電ローラなどを始めとする公知の帯電手段を用いることができる。また、転写機構135には、一般の帯電器が使用できるが、転写チャージャー分離チャージャーを併用したものが効果的である。

0103

また、露光機構133の光源および図示されていないが、除電光源等で使用する光源としては、蛍光灯タングステンランプハロゲンランプ水銀灯ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物を使用することができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルターバンドパスフィルター近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター干渉フィルター色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。かかる光源等は、図11に図示した構成の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光等の工程を設けることにより、感光体に光が照射される際にも用いることができる。
なお、露光手段に用いられる書き込み光源の波長が800nm以下であることが好ましい。そして、光源は複数から構成され、かつ各光源の間隔が5μm以下であることが好適である。

0104

感光体に正または負の帯電を施して画像露光を行った場合、感光体上には正または負の静電潜像が形成される。これを、負または正に帯電した極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、逆に正または負に帯電した極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像には、公知の方法を適用することができ、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。

0105

図11の例においては、導電性支持体がドラム状のものとして示されているが、シート状、エンドレスベルト状のものを使用することができる。クリーニング前チャージャーとしては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッドステートチャージャー)、帯電ローラなどをはじめとする公知の帯電手段を用いることができる。また、転写チャージャーおよび分離チャージャーには、通常上記の帯電手段を使用することができる。クリーニング機構には、ファーブラシマグファーブラシなどをはじめとする公知のブラシやポリウレタン製ブレードを使用することができる。

0106

以上に示すような本発明の画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタなどの装置内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、この他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を含んで一体に支持され、電子写真装置本体に着脱可能とされた一つの装置(部品)である。
プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として図12の概略構成図に示すものが挙げられる。図12に示されるプロセスカートリッジは、電子写真感光体131の周囲に配置された帯電機構132、現像機構134、クリーニング機構137からなる。露光機構133の光源や転写機構135はプロセスカートリッジに含んでもよく、図12のように含まなくてもよい。なお、図中139はプロセスカートリッジを示す。
すなわち、本発明における電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を含んで一体に支持され、電子写真装置本体に着脱可能としたプロセスカートリッジとすることにより、画像装置コンパクトに構成することができるほか、簡単でかつ着実メンテナンス作業が可能となり、さらに部品の交換を容易とし、高速プリントにおいても長期間、高品質で安定した電子写真画像の形成を可能とすることができる。

0107

以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
(実施例1)
以下の手順で顔料として用いるフタロシアニンを製造し、これを用いて電荷発生層用塗工液を調製すると共に、別途、下引き層用塗工液電荷輸送層用塗工液をそれぞれ調製し、これらを用いて電子写真感光体を作製した。

0108

〔フタロシアニンの製造〕
25℃でフタロジニトリル525部と、1−クロロナフタレン4000部を撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン190部を滴下した。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を190℃〜210℃の問に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後放冷し130℃になったところで熱時濾過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し422部の粗チタニルフタロシアニンを得た。熱水洗浄処理して得られた粗チタニルフタロシアニンのうち60部を96%硫酸1000部に3〜5℃の温度下で撹拌溶解し、テフロン(登録商標)製フィルターで濾過した。

0109

次に、前記図4に示した構成と同じ攪拌装置に氷水35000部を入れ、攪拌装置の冷却ジャケットに−5℃の冷却液を通して冷却した。また、振動モーター周波数3Hz、振幅5mmで振動動作させて氷水の攪拌を行なった。
そして、氷水35000部中に、撹拌しながら上記調製した粗チタニルフタロシアニンの硫酸溶液を0.7g/secの速度で滴下し、チタニルフタロシアニン結晶を析出させた。析出した結晶を濾過し、次いで洗浄液中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニンの水ペーストを得た。この水ぺーストに1,2−ジクロロエタン1500部を加え、室温下2時間撹拌した後、メタノール2500部をさらに加え撹拌し、濾過した。これをメタノール洗浄し、減圧下で乾燥してチタニルフタロシアニン49部を得た。このようにして製造したチタニルフタロシアニンは粉状であり、堅く凝縮するようなことはなかった。なお、チタニルフタロシアニンはいわゆる顔料である。

0110

上記製造方法により顔料用として製造されたチタニルフタロシアニンについてX線回折スペクトルを下記に示す条件で測定したところ、ブラッグ角(2θ)の最大ピークが少なくとも27.3°±0.2°にある結晶形であることを確認した。
測定条件
X線管球:Cu、
電圧:40kV、
電流:20mA、
走査速度:1°/分、
走査範囲:3°〜40°、
時定数:2秒

0111

〔電荷発生層用塗工液の調製〕
ブチラール樹脂250部を2−ブタノン5000部に溶解した後、平均孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターにより濾過した。この液に上記により得たチタニルフタロシアニン370部を入れて良く攪拌し、これを前記図7に示した構成と同じ分散機の循環タンクに投入した。分散機の分散室には直径0.5mmの球形酸化ジルコニウムを分散室体積の50%だけ充填しておいた。そして、回転数1500rpm(ローター先端の速度9.1m/sec)で回転させ、循環を行いながら10分間分散を行った。このとき、25〜30℃の範囲に保たれるように分散液の温度を制御した。そして分散終了後、分散液を取り出し、同量の2−ブタノンで希釈し、これを平均孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して電荷発生層用塗工液を調製した。

0112

〔下引き層用塗工液の調製〕
下記下引き層用塗工液処方の材料をボールミルに入れ、分散を行なって下引き層用塗工液を調製した。

0113

<下引き層用塗工液処方>
二酸化チタン粉末: 15部、
ポリビニルブチラール: 6部、
2−ブタノン: 150部

0114

〔電荷輸送層用塗工液の調製〕
下記電荷輸送層用塗工液処方の材料を溶解後、平均孔径1μmのコットンフィルターで濾過して電荷輸送層用塗工液を作製した。

0115

<電荷輸送層用塗工液処方>
ポリカーボネート: 10部、
塩化メチレン: 80部、
下記構造式(1)の電荷輸送物質: 7部

0116

0117

〔電子写真感光体の作製〕
外径30mm、肉厚0.9mm、長さ340mmのアルミニウム管を洗浄後、浸漬塗工によって前記下引き層用塗工液を塗工し、120℃で30分間乾燥して厚さ3μmの下引き層を形成した。次に、前記電荷発生層用塗工液を浸漬塗工装置塗工槽に入れ、浸漬塗工を行ない、105℃で10分間乾燥して厚さ約0.8μmの電荷発生層を形成した。さらに、上記電荷輸送層用塗工液を浸漬塗工装置の塗工槽に入れ、浸漬塗工を行ない、120℃で20分間乾燥して厚さ約28μmの電荷輸送層を形成した。このようにして作成した電子写真感光体を実施例1とする。

0118

(実施例2)
実施例1において顔料として用いたフタロシアニンに代えて、下記のように結晶析出条件を変えて製造したフタロシアニンを用いたほかは、実施例1と同様にして電荷発生層用塗工液、下引き層用塗工液、電荷輸送層用塗工液をそれぞれ調製し、電子写真感光体を作製した。これを実施例2とする。

0119

〈結晶析出装置が異なるフタロシアニンの製造〉
図6に示した構成と同じ装置を用いて、氷水35000部中に、撹拌しながら実施例1で製造した粗チタニルフタロシアニンの硫酸溶液を0.7g/secの速度で滴下し、チタニルフタロシアニン結晶を析出させた。析出した結晶を濾過、次いで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニンの水ペーストを得た。この水ぺーストに1,2−ジクロロエタン1500部を加え、室温下2時間撹拌した後、メタノール2500部をさらに加え撹拌した後、濾過した。
これをメタノール洗浄し、減圧下で乾燥してチタニルフタロシアニン49部を得た。このようにして製造したチタニルフタロシアニンは粉状であった。

0120

(実施例3)
実施例1において用いた電荷発生層用塗工液に代えて、下記のように分散条件を変えて調製した電荷発生層用塗工液を用いたほかは、実施例1と同様にして下引き層用塗工液、電荷輸送層用塗工液をそれぞれ調製し、電子写真感光体を作製した。これを実施例3とする。

0121

〈分散条件を変えた場合の電荷発生層用塗工液の調製〉
ブチラール樹脂250部を2−ブタノン5000部にした溶解後、平均孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターにより濾過した。この液に実施例1で製造したチタニルフタロシアニン370部を入れ、良く攪拌し、これを前記図7に示した構成と同様の装置(分散機)の槽(循環タンク)に投入した。分散機の分散室には直径0.5mmの球形酸化ジルコニウムを分散室体積の50%だけ充填しておいた。そして、回転数1200rpm(ローター先端の速度7.3m/sec)で回転させ、循環を行いながら15分間分散を行った。このとき、25〜30℃の範囲に保たれるように分散液の温度を制御した。そして分散終了後、分散液を取り出し、同量の2−ブタノンで希釈し、これを平均孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して電荷発生層用塗工液を調製した。

0122

(実施例4)
実施例1において顔料として用いたチタニルフタロシアニンに代えて、下記のように結晶析出装置と結晶析出条件を変えて製造したフタロシアニンを用いたほかは、実施例1と同様にして電荷発生層用塗工液、下引き層用塗工液、電荷輸送層用塗工液をそれぞれ調製し、電子写真感光体を作製した。これを実施例4とする。

0123

〈結晶析出装置と結晶析出条件が異なるチタニルフタロシアニンの製造〉
前記図6に示した構成と同様の装置を使用し、氷水35000部中に、撹拌しながら実施例1で示した粗チタニルフタロシアニンの硫酸溶液を1.0g/secの速度で滴下し、チタニルフタロシアニン結晶を析出させた。析出した結晶を濾過し、次いで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニンの水ペーストを得た。この水ぺーストに1,2−ジクロロエタン1500部を加え、室温下2時間撹拌した後、メタノール2500部をさらに加え撹拌した後、濾過した。これをメタノール洗浄し、減圧下で乾燥してチタニルフタロシアニン49部を得た。このようにして製造したチタニルフタロシアニンは粉状であった。

0124

(比較例1)
実施例1において顔料として用いたフタロシアニンに代えて、前記図4に示した構成と同じ攪拌装置を用い粗チタニルフタロシアニンの濃硫酸溶液を氷水ではなく、3℃の水に投入して製造したフタロシアニンを用いたほかは、実施例1と同様にして電荷発生層用塗工液、下引き層用塗工液、電荷輸送層用塗工液をそれぞれ調製し、電子写真感光体を作製した。これを比較例1とする。

0125

(比較例2)
実施例1において用いた電荷発生層用塗工液に代えて、下記のように分散条件を変えて調製した電荷発生層用塗工液を用いたほかは、実施例1と同様にして下引き層用塗工液、電荷輸送層用塗工液をそれぞれ調製し、電子写真感光体を作製した。これを比較例2とする。

0126

〈電荷発生層用塗工液の調製〉
ブチラール樹脂250部を2−ブタノン5000部に溶解した後、平均孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターにより濾過した。この液に実施例1で得たチタニルフタロシアニン370部を入れて良く攪拌し、これを前記図7に示した構成と同じ分散機の循環タンクに投入した。分散機の分散室には直径0.5mmの球形酸化ジルコニウムを分散室体積の50%だけ充填しておいた。そして、回転数3000rpmで回転させ、循環を行いながら90分間分散を行った。このとき、25〜30℃の範囲に保たれるように分散液の温度を制御した。そして分散終了後、分散液を取り出し、同量の2−ブタノンで希釈し、これを平均孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して電荷発生層用塗工液を調製した。

0127

(比較例3)
実施例1において製造したチタニルフタロシアニンに代えて、下記の方法により製造したチタニルフタロシアニンを用いたほかは、実施例1と同様にして電荷発生層用塗工液、下引き層用塗工液、電荷輸送層用塗工液をそれぞれ調製し、電子写真感光体を作製した。これを比較例3とする。

0128

〈チタニルフタロシアニンの製造〉
窒素雰囲気下、フタロジニトリル33.3gをジフェニルメタン208ml中に分散し、40℃で四塩化チタン12.5gを添加した。その後1時間かけて205〜210℃まで昇温し、205〜210℃で5時間反応させた。生成物を130℃で熱ろ過し、ジフェニルメタン、メタノールの順で洗浄した。次いで、N−メチルピロリドン(NMP)300ml中で140〜150℃加熱撹拌を2回繰り返し、熱水縣洗、メタノール縣洗後、乾燥してチタニルフタロシアニン26.9gを得た。

0129

(比較例4)
実施例1において製造したフタロシアニンに代えて、下記の方法により製造したフタロシアニンを用いたほかは、実施例1と同様にして電荷発生層用塗工液、下引き層用塗工液、電荷輸送層用塗工液をそれぞれ調製し、電子写真感光体を作製した。これを比較例4とする。

0130

〈チタニルフタロシアニンの製造〉
窒素雰囲気下、フタロジニトリル33.3gをジフェニルメタン208ml中に分散し、40℃で四塩化チタン12.5gを添加した。その後3時間かけて205〜210℃まで昇温し、205〜210℃で5時間反応させた。それ以降は実施例1と同様に行い、チタニルフタロシアニン28.5gを得た。

0131

上記により調製した実施例1〜4および比較例1〜4の電荷発生層用塗工液について以下の条件で透過型電子顕微鏡(以下TEMと略す)を用いて含まれるチタニルフタロシアニンの形状を観察すると共に、各電荷発生層用塗工液を乾固してX線回折の測定を行った。

0132

TEM観察
チタニルフタロシアニンの形状及び寸法の測定は、作成した電荷発生層塗工液の一部をイオン交換水でおよそ1重量%になるように希釈し、表面を導電性処理した銅製のネットですくい取り、チタニルフタロシアニンの粒子サイズを透過型電子顕微鏡(TEM、日立:H−9000NAR)にて、75000倍の倍率で観察を行なった。

0133

TEM観察結果を写真に撮影し、これをスキャナーパーソナルコンピューターに取り込んで輪郭検出画像処理を行い、得られた画像から形状を判断した。ここで、スキャナーはエプソン社製GT−8500を使用し、256階調白黒画像としてパーソナルコンピューターに取り込んだ。また、輪郭検出の画像処理は米国のScion Corporation社製Scion Imageを使用した。なお、画像処理のソフトウェアはScion Image以外にも各種の画像処理ソフトウェア使用可能であり、例えば、米国国立衛生研究所(National Institute of Health)のNIH Imageが使用できる。
図13は実施例1の電荷発生層塗工液のTEM写真であり、図14はそのTEM写真に対して、輪郭検出の画像処理を行なって得た画像である。図15はさらにその画像に対して形状別に分類を行った画像である。同様に、図16は実施例2の電荷発生層塗工液のTEM写真であり、図17図16のTEM写真に対して、輪郭検出の画像処理を行なって得た画像である。図18図17の画像に対して形状別に分類を行った画像である。

0134

すなわち、図15および図18の形状別分類において、Aは形状が明確に四面体と判断できるもの、Bは判断できないもの、Cは四面体でないものを示している。上記のように画像処理して実施例1〜4および比較例1〜4のチタニルフタロシアニンの形状を分類し、その割合を面積比で測った結果を下記表1に示す。

0135

表1では透過型電子顕微鏡の観察写真で観察されるチタニルフタロシアニンの結晶像の面積の総和を100とし、その中で明確に正四面体と見なせるものの面積の総和を四面体とした。
例えば、実施例1の観察結果では、透過型電子顕微鏡写真で観察されるチタニルフタロシアニン結晶の透過像において、その面積で約60%が正四面体の像と判断した。

0136

また、透過型電子顕微鏡でチタニルフタロシアニンを観察し、写真撮影を行なって、写真からその形状を分類すると、図15のAは形状が明確に三角形と判断できるもの、Bは判断できないもの、Cは三角形ではないものを示している。
同様に、図18のAは形状が明確に三角形と判断できるもの、Bは判断できないもの、Cは三角形ではないものを示している。このようにして、透過型電子顕微鏡写真像の結晶の形状を調べた結果を、下記表2に示す。

0137

〈X線回折測定〉
実施例1で示した測定条件(X線管球:Cu、電圧:40kV、電流:20mA、走査速度:1°/分、走査範囲:3°〜40°、時定数:2秒)により測定した。
図19は実施例1の電荷発生層用塗工液を乾固した固化試料のX線回折スペクトルである。同様に各電荷発生層用塗工液固化試料のX線回折スペクトルを取得し、それぞれのブラッグ角(2θ)における回折ピーク強度を調べた。
ブラッグ角(2θ)の27.3°(±0.2°)(本発明におけるY型チタニルフタロシアニンの主要な回折ピークが観測される)と、26.3°(本発明におけるチタニルフタロシアニンには観測されない、通常A型チタニルフタロシアニンに観測される)の回折ピーク強度を下記表1および表2に示す。

0138

0139

0140

次に、実施例1〜4および比較例1〜4で作製した電子写真感光体を前記図11と同様に構成された電子写真装置に装着し、画像露光光源として780nmの半導体レーザ(ポリゴンミラーによる画像書き込み)を用い、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計プローブを挿入した。このように構成した電子写真装置により、連続して5000枚の印刷を行ない、その際の画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と5000枚後に測定した。測定結果を下記表3に示す。
また、初期、2500枚目付近、および5000枚目付近において、白ベタ画像、7%文字パターン画像、ハーフトーン画像、2ドット細線画像を各5枚出力し評価した。その評価結果を下記表4に示す。

0141

0142

0143

表3および表4から、実施例1〜4の本発明の電子写真感光体は繰り返し使用後にも、安定した表面電位を維持し、良好な画像を形成できることがわかる。

0144

(実施例5)
実施例1において使用したチタニルフタロシアニンを、VMA—GETZMNN社製ビーズミルDISPERMAT SL型に入れ、回転数3000rpmで分散を行なった。
このとき、分散室の内径は100mm、分散ローターの外形は90mm、分散に用いたビーズは東レ社製の平均粒径0.5mmのジルコニアビーズであった。
この分散処理により、破砕された正四面体形状の辺の長さが0.1μmの擬似正四面体形状からなるチタニルフタロシアニンが得られた。
得られたチタニルフタロシアニンを用いて実施例1と同様に電荷発生層用塗工液を調製し、電子写真感光体を作製した。実施例1と同様に評価した結果、電子写真感光体は繰り返し使用後にも、安定した表面電位を維持し、良好な画像が形成できた。

0145

上記実施例から、本発明におけるチタニルフタロシアニンは、分散性や取り扱い性が良好で、電気特性にも優れ、これを電荷発生層に用いることにより、繰り返し使用に対しても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定した電子写真感光体、およびこれを搭載した電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジが得られる。

図面の簡単な説明

0146

本発明におけるチタニルフタロシアニンの基本構造である正四面体形状を異なる方向から観察した外観模式図である。
本発明におけるチタニルフタロシアニン擬似正四面体形状(オ、カ、キ、ク、ケ、コ、サ、シ)を説明するための外観模式図である。
本発明におけるチタニルフタロシアニンを透過型電子顕微鏡で観察したときの輪郭(タ、チ、ツ、テ、ト、ナ)を説明するための外観模式図である。
本発明におけるチタニルフタロシアニン濃硫酸溶液を氷水へ投入する場合に用いる装置の一例を示す概略構成図である。
図4における振動フィン型攪拌装置の振動フィンの部分を拡大した模式図である。
従来から用いられている回転翼方式の攪拌装置の一例を示す概略構成図である。
本発明における分散溶液(電子写真感光体用の塗工液)を調製する際にチタニルフタロシアニンを分散するのに使用する分散装置の一例を示す概略構成図である。
本発明における電子写真感光体の構成の一例を示す概略断面図である。
本発明における電子写真感光体の構成の別例を示す概略断面図である。
本発明における電子写真感光体の構成のさらに別例を示す概略断面図である。
本発明における電子写真装置および電子写真形成方法の一例を説明するための概略構成図である。
本発明におけるプロセスカートリッジを説明するための概略模式図である。
実施例1の電荷発生層塗工液のTEM写真である。
実施例1のTEM写真に対して輪郭検出の画像処理を行なった画像である。
図14の画像に対して形状別に分類を行った画像である。
実施例2の電荷発生層塗工液のTEM写真である。
実施例2のTEM写真に対して輪郭検出の画像処理を行なった画像である。
図17の画像に対して形状別に分類を行った画像である。
実施例1の電荷発生層用塗工液を乾固した固化試料のX線回折スペクトルである。

符号の説明

0147

30氷水
31チタニルフタロシアニンの濃硫酸溶液滴下装置
32振動フィン型攪拌装置
34 槽
35冷却ジャケット
46 振動フィンがついている棒
47 振動フィン
50 氷水
51 チタニルフタロシアニンの濃硫酸溶液滴下装置
53回転翼方式攪拌装置
54 槽
55 冷却ジャケット
61分散室
62ローター
63モーター
64循環タンク
65循環タンク内の液を撹拌する機構
66ポンプ
67 送液配管
68戻り液配管
71導電性支持体
72感光層
83電荷発生層
84電荷輸送層
95 保護層
131電子写真感光体
132帯電機構
133露光機構
134現像機構
135転写機構
136定着機構
137クリーニング機構
138転写材
139 プロセスカートリッジ

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