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技術 カバノアナタケの細胞壁の破壊方法、破壊装置及びカバノアナタケの有効成分の抽出方法。

出願人 株式会社コーケン株式会社東洋高圧
発明者 佐伯憲治
出願日 2004年11月2日 (15年8ヶ月経過) 出願番号 2004-319198
公開日 2006年5月25日 (14年1ヶ月経過) 公開番号 2006-129714
状態 未査定
技術分野 微生物・酵素関連装置 微生物、その培養処理 抽出、液体の置換 構造不明の化合物
主要キーワード 二酸化炭素液体 小型圧力容器 実証データ 抽出円 熱的破壊 超臨界二酸化炭素流体 高圧ガス状態 圧力検知器
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

操作が簡便でまた短時間で細胞破壊が可能なカバノアナタケ細胞壁破壊方法、有効成分の回収率が高いカバノアナタケの有効成分の回収方法、及びカバノアナタケの細胞壁の破壊装置を提供する。

解決手段

カバノアナタケの細胞内の水を、該水と超臨界流体との双方に相溶性を持つ媒体置換するステップと、該細胞内の水を該媒体で置換した該カバノアナタケを、超臨界流体と接触させることにより該細胞内の該媒体の少なくとも一部を超臨界流体で置換するステップと、圧力を一挙に減じ、該細胞壁内の超臨界流体を急激に体積膨張させ細胞壁を破壊するステップと、を含む。

概要

背景

天然物抽出物を用いた健康機能食品は従来から多く知られている。例えば白樺などのカバノ類の寄生するキノコであるカバノアナタケ(学名:Fuscopiria Obliqua)の菌核であるチャーガには、抗腫瘍作用血糖降下作用があることが知られており、有効成分を抽出する方法も種々の検討がなされている。

カバノアナタケからの有効成分の抽出方法は、熱湯で煎じる方法が一般的であるが、有効成分は細胞壁の内側に存在するため、有効成分の抽出率が極めて低い。そのため細胞壁を破壊し、有効成分の回収率を高める方法が多く用いられている。細胞壁を破壊する方法としては、(1)界面活性剤を用いる方法、(2)酵素を用いる方法、(3)超音波破砕法、(4)磨砕フレンチプレス法、(5)凍結破砕法などが知られている。このうち酵素を利用した例として、菌核を超音波で破砕し、プロテアーゼまたはセルラーゼ酵素処理し、その後熱水抽出する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。同様の方法としてカバノアナタケにアミラーゼ等の糖質分解酵素を加え酵素処理を行なった後、アルコールで抽出する方法も提案されている(例えば特許文献2参照)。

上記の方法の他にも細胞膜または細胞壁を破壊する方法としては、超臨界流体を利用した技術も開示されている。(例えば特許文献3及び特許文献4参照)。特許文献3に記載の技術は、菌体培養液超臨界状態溶解溶媒を混合した後、圧力を瞬時に低下させることで、細胞膜内に拡散した混合溶媒を急激に膨張させ、細胞膜を破壊させるとするものである。特許文献4に記載の技術は、動植物細胞の懸濁液に高圧ガス状態二酸化炭素微小泡状に導入することで、懸濁液に溶解した二酸化炭素が、細胞膜や細胞壁を構成する脂質二重膜浸透し細胞膜や細胞壁を破壊する技術である。
特開2002−262820号公報
特開2004−161748号公報
特公平6−9502号公報
特開2002−78478号公報

概要

操作が簡便でまた短時間で細胞破壊が可能なカバノアナタケの細胞壁の破壊方法、有効成分の回収率が高いカバノアナタケの有効成分の回収方法、及びカバノアナタケの細胞壁の破壊装置を提供する。カバノアナタケの細胞内の水を、該水と超臨界流体との双方に相溶性を持つ媒体置換するステップと、該細胞内の水を該媒体で置換した該カバノアナタケを、超臨界流体と接触させることにより該細胞内の該媒体の少なくとも一部を超臨界流体で置換するステップと、圧力を一挙に減じ、該細胞壁内の超臨界流体を急激に体積膨張させ細胞壁を破壊するステップと、を含む。

目的

本発明の目的は、操作が簡便でまた短時間で細胞破壊が可能なカバノアナタケの細胞壁の破壊方法、有効成分の回収率が高いカバノアナタケの有効成分の回収方法、及びカバノアナタケの細胞壁の破壊装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

カバノアナタケ細胞内の水を、該水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体置換するステップと、該細胞内の水を該媒体で置換した該カバノアナタケを、超臨界流体と接触させることにより該細胞内の該媒体の少なくとも一部を超臨界流体で置換するステップと、圧力を一挙に減じ、該細胞壁内の超臨界流体を急激に体積膨張させ細胞壁を破壊するステップと、を含むことを特徴とするカバノアナタケの細胞壁の破壊方法

請求項2

前記超臨界流体は、二酸化炭素であり、また前記媒体は、エチルアルコールまたは酢酸のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のカバノアナタケの細胞壁の破壊方法。

請求項3

請求項1に記載のカバノアナタケの細胞壁の破壊方法により、カバノアナタケの細胞壁の破壊し、該細胞壁を破壊したカバノアナタケから有効成分を抽出することを特徴とするカバノアナタケの有効成分の抽出方法

請求項4

カバノアナタケの細胞内の水を、該水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体で置換するステップと、該細胞内の水を該媒体で置換した該カバノアナタケを、超臨界流体と接触させることにより該細胞内の該媒体の少なくとも一部を超臨界流体で置換するステップと、圧力を一挙に減じ、該細胞壁内の超臨界流体を急激に体積膨張させ細胞壁を破壊するステップと、該細胞壁を破壊した該カバノアナタケから有効成分を抽出するステップと、を含み、細胞壁を破壊するステップと、細胞壁を破壊したカバノアナタケから有効成分を抽出するステップとを、同一の容器内で略同一に行なうことを特徴とするカバノアナタケの有効成分の抽出方法。

請求項5

超臨界流体を形成可能な超臨界流体形成手段と、該カバノアナタケ、水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体、及び該超臨界流体を受入れ可能なカバノアナタケの細胞壁を破壊する処理槽と、該処理槽内の圧力を一挙に低減可能な圧力減圧手段と、を含むことを特徴とするカバノアナタケの細胞壁の破壊装置

技術分野

0001

本発明は、カバノアナタケ細胞壁破壊方法、カバノアナタケの細胞壁の破壊装置及びカバノアナタケの有効成分の抽出方法に関する。

背景技術

0002

天然物抽出物を用いた健康機能食品は従来から多く知られている。例えば白樺などのカバノ類の寄生するキノコであるカバノアナタケ(学名:Fuscopiria Obliqua)の菌核であるチャーガには、抗腫瘍作用血糖降下作用があることが知られており、有効成分を抽出する方法も種々の検討がなされている。

0003

カバノアナタケからの有効成分の抽出方法は、熱湯で煎じる方法が一般的であるが、有効成分は細胞壁の内側に存在するため、有効成分の抽出率が極めて低い。そのため細胞壁を破壊し、有効成分の回収率を高める方法が多く用いられている。細胞壁を破壊する方法としては、(1)界面活性剤を用いる方法、(2)酵素を用いる方法、(3)超音波破砕法、(4)磨砕フレンチプレス法、(5)凍結破砕法などが知られている。このうち酵素を利用した例として、菌核を超音波で破砕し、プロテアーゼまたはセルラーゼ酵素処理し、その後熱水抽出する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。同様の方法としてカバノアナタケにアミラーゼ等の糖質分解酵素を加え酵素処理を行なった後、アルコールで抽出する方法も提案されている(例えば特許文献2参照)。

0004

上記の方法の他にも細胞膜または細胞壁を破壊する方法としては、超臨界流体を利用した技術も開示されている。(例えば特許文献3及び特許文献4参照)。特許文献3に記載の技術は、菌体培養液超臨界状態溶解溶媒を混合した後、圧力を瞬時に低下させることで、細胞膜内に拡散した混合溶媒を急激に膨張させ、細胞膜を破壊させるとするものである。特許文献4に記載の技術は、動植物細胞の懸濁液に高圧ガス状態二酸化炭素微小泡状に導入することで、懸濁液に溶解した二酸化炭素が、細胞膜や細胞壁を構成する脂質二重膜浸透し細胞膜や細胞壁を破壊する技術である。
特開2002−262820号公報
特開2004−161748号公報
特公平6−9502号公報
特開2002−78478号公報

発明が解決しようとする課題

0005

細胞壁の破砕方法として従来から用いられている磨砕法などは、破壊に際して熱履歴を伴うので、本来有効な成分が熱的破壊を受けたり、変性を伴う場合があった。また特許文献1に記載の技術は、超音波で処理することにより供試体を10μm以下の微粒子とし、さらに酵素作用によりたんぱく質等を加水分解することにより溶媒に対する溶解性を高め、有効成分を効率的に回収する方法であり有効な方法と思われるが、抽出に多くの工程、操作を必要とし、また抽出に多くの時間を必要とする。特許文献2に記載の技術も、供試体を粉砕し、アミラーゼなどの糖質分解酵素を加え加水分解させた後、アルコール抽出を行なうので、有効成分の抽出には多くの時間を必要とする。また、特許文献1及び特許文献2の技術も酵素を使用するので、これらが不所望の影響を与えるおそれがある。

0006

特許文献3及び特許文献4に記載の超臨界技術を利用する方法は、処理工程が少なくまた処理時間も比較的短いが、これら技術をカバノアナタケのような植物細胞体の破壊に利用しようとしても、細胞内の水への二酸化炭素の溶解度は超臨界加圧状態においても僅かであり、期待するほどの細胞破壊は認められない。

0007

本発明の目的は、操作が簡便でまた短時間で細胞破壊が可能なカバノアナタケの細胞壁の破壊方法、有効成分の回収率が高いカバノアナタケの有効成分の回収方法、及びカバノアナタケの細胞壁の破壊装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

発明者は、二酸化炭素液体が水とは殆んど相溶性がないが、エチルアルコール酢酸とは相溶性を示すことと、同時にエチルアルコールや酢酸は水とも相溶性であることを利用し、細胞内の水の一部又は大部分を一旦エチルアルコールや酢酸等の水と相溶性のある媒体置換し、その後に超臨界状態の二酸化炭素流体加圧処理して、細胞内媒体の一部又は大部分を二酸化炭素流体で置換することにより、細胞内の二酸化炭素濃度を遥かに高め、次いで、急激に圧力を減ずることにより二酸化炭素をガス状と成すことで急激な体積膨張を起こさせ、よって細胞壁を破壊する方法を見出した。

0009

すなわち、本発明は、カバノアナタケの細胞内の水を、該水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体で置換するステップと、
該細胞内の水を該媒体で置換した該カバノアナタケを、超臨界流体と接触させることにより該細胞内の該媒体の少なくとも一部を超臨界流体で置換するステップと、
圧力を一挙に減じ、該細胞壁内の超臨界流体を急激に体積膨張させ細胞壁を破壊するステップと、
を含むことを特徴とするカバノアナタケの細胞壁の破壊方法である。

0010

また本発明で、前記超臨界流体は、二酸化炭素であり、また前記媒体は、エチルアルコールまたは酢酸のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のカバノアナタケの細胞壁の破壊方法である。

0011

また本発明は、請求項1に記載のカバノアナタケの細胞壁の破壊方法により、カバノアナタケの細胞壁の破壊し、該細胞壁を破壊したカバノアナタケから有効成分を抽出することを特徴とするカバノアナタケの有効成分の抽出方法である。

0012

また本発明は、カバノアナタケの細胞内の水を、該水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体で置換するステップと、
該細胞内の水を該媒体で置換した該カバノアナタケを、超臨界流体と接触させることにより該細胞内の該媒体の少なくとも一部を超臨界流体で置換するステップと、
圧力を一挙に減じ、該細胞壁内の超臨界流体を急激に体積膨張させ細胞壁を破壊するステップと、
該細胞壁を破壊した該カバノアナタケから有効成分を抽出するステップと、を含み、
細胞壁を破壊するステップと、細胞壁を破壊したカバノアナタケから有効成分を抽出するステップとを、同一の容器内で略同一に行なうことを特徴とするカバノアナタケの有効成分の抽出方法である。

0013

本発明は、超臨界流体を形成可能な超臨界流体形成手段と、
該カバノアナタケ、水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体、及び該超臨界流体を受入れ可能なカバノアナタケの細胞壁を破壊する処理槽と、
該処理槽内の圧力を一挙に低減可能な圧力減圧手段と、
を含むことを特徴とするカバノアナタケの細胞壁の破壊装置である。

発明の効果

0014

本カバノアナタケの細胞壁の破壊方法は、カバノアナタケの細胞内の水を、水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体で置換し、細胞内の水を媒体で置換したカバノアナタケを超臨界流体と接触させることにより細胞内の媒体の少なくとも一部を超臨界流体で置換した後、圧力を一挙に減じることで細胞壁を破壊するので、簡単な操作でまた短時間でカバノアナタケの細胞壁を破壊することができる。

0015

またカバノアナタケの細胞内の水を、水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体で置換し、細胞内の水を媒体で置換したカバノアナタケを超臨界流体と接触させることにより細胞内の媒体の少なくとも一部を超臨界流体で置換しているので、従来の超臨界流体を用いた細胞壁の破壊の方法と異なり、媒体への超臨界流体の溶解度が非常に大きい。この結果、圧力を一挙に減じることで確実に細胞壁を破壊することができる。また界面活性剤や酵素を用いる方法のように異物が取り込まれるおそれがない。

0016

また本発明によれば、超臨界流体は二酸化炭素であるので、臨界温度及び臨界圧力が比較的低く、超臨界状態の形成が容易である。また超臨界流体は二酸化炭素であるので、臨界温度が低く、カバノアナタケに含まれる有効成分が熱的変性を受けることがない。また超臨界流体は二酸化炭素であるので、室温、大気圧下では気体であり、カバノアナタケから容易に除去することができる。

0017

また本発明によれば、水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体は、エチルアルコールまたは酢酸のうち少なくともいずれか1つであるので安価である。また、媒体はエチルアルコールまたは酢酸のうち少なくともいずれか1つであるので、水または超臨界状態の二酸化炭素とも相溶性が高い。また酵素などを用いないので抽出物に影響を与えることもなく、エチルアルコールの場合は、カバノアナタケ内に仮に残留したとしても安全である。

0018

また本カバノアナタケの有効成分の抽出方法は、上記のカバノアナタケの細胞壁の破壊方法により、カバノアナタケの細胞壁の破壊し、細胞壁を破壊したカバノアナタケから有効成分を抽出する抽出方法であるので、有効性成分の回収率が高い。また抽出操作前にカバノアナタケの細胞壁がすでに破壊されているので、水による抽出、アルコールによる抽出など種々の抽出方法を採用することが可能で、有効成分の抽出方法の選択肢が広がる。

0019

また本カバノアナタケの有効成分の抽出方法は、カバノアナタケの細胞壁を破壊するステップと、細胞壁を破壊したカバノアナタケから有効成分を抽出するステップとを含み、これらステップを同一の容器内で略同一に行なうので、短時間に効率的にカバノアナタケから有効成分を抽出することができる。

0020

また本発明によれば本細胞壁破壊装置は、超臨界流体を形成可能な超臨界流体形成手段と、カバノアナタケ、水と超臨界流体との双方に相溶性を持つ媒体、及び該超臨界流体を受入れ可能なカバノアナタケの細胞壁を破壊する処理槽と、処理槽内の圧力を一挙に低減可能な圧力減圧手段とを含むので、本装置を用いてカバノアナタケの細胞壁を破壊することができる。

発明を実施するための最良の形態

0021

図1は、本発明の実施の一形態としてのカバノアナタケの細胞壁破壊装置1の概略的な構成を示す図である。超臨界流体として二酸化酸素を用いて本実施形態を説明する。なお後述のように超臨界流体が二酸化酸素に限定されないのは言うまでもない。細胞壁破壊装置1は、原材料であるカバノアナタケ、水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体、及び超臨界流体を受入れ、後述の操作によりカバノアナタケの細胞壁を破壊する処理槽10、この処理槽10に超臨界流体を形成し供給する超臨界流体供給手段20、処理槽10の圧力を保持または減圧する圧力調節手段30、処理槽10の圧力低下操作に伴う留出物を回収する回収手段40を主な構成要素とする。

0022

処理槽10は、原材料であるカバノアナタケを受入れる金属製の圧力容器であり、原材料を受入れ可能なように上部が開閉可能な構造となっている。上部には超臨界流体を受入れる管路11が接続され、この管路11を通じて超臨界流体供給手段20から供給される超臨界流体を受入れる。またこの管路11は、処理槽内の超臨界流体を排出する管路としても使用する。

0023

処理槽10は、恒温槽12内に設置され一定の温度に保持される。恒温槽12は内部に電気ヒータ13を備え、槽内の温度を測定する熱電対14及び温度制御装置15とで恒温槽内の温度を一定に保つ。例えば超臨界流体として二酸化炭素を使用する場合は、二酸化炭素の臨界温度が304.2Kであるので、恒温槽12はこの温度以上に加熱する能力が求められる。また恒温槽12には、恒温槽12の温度分布をなくするためにファン16が装着される。これにより処理槽10に供給した超臨界流体を超臨界状態で安定的に保持することができる。本実施形態では恒温槽12を用いる例を示しているけれども、処理槽の温度を一定に保持することができる機能を備えるものであれば特に形式は問わない。例えば温度制御機構を備えるウオターバスオイルバス、又は処理槽に装着して使用可能なリボン形状の電気ヒータ、マントルヒータであってもよい。

0024

超臨界流体供給手段20は、処理槽10に超臨界流体を供給するもので、超臨界流体を形成する二酸化炭素の供給源である液体二酸化炭素ボンベ21、液体二酸化炭素を昇圧し処理槽に供給する供給ポンプ22、供給ポンプ22から送液される液体二酸化炭素を加温する熱交換器24を主な構成要素とする。

0025

液体二酸化炭素の供給源である液体二酸化炭素ボンベ21出口には、管路23が接続され、管路23を通じて供給ポンプ22に液体二酸化炭素を供給する。なお、供給ポンプ22が可動すると熱を発生するので、管路23の途中には冷却器を装着し、供給ポンプ22に送液する液体二酸化炭素を冷却し送液することが望ましい。供給ポンプ22は、送液された液体二酸化炭素を所定の圧力まで昇圧する。供給ポンプ22の出口には管路25が接続され、管路25の途中には管路内の圧力を検知する圧力検知器26が設けられている。この圧力検知器26と図示を省略した圧力制御装置とで、供給ポンプ22の作動を制御する。

0026

昇圧された液体二酸化炭素は、管路25を介して恒温槽内に設置された熱交換器24に送られ、ここで所定の温度まで加温され超臨界状態となる。超臨界状態の二酸化炭素は、熱交換器24に接続する管路27、管路27に接続する仕切弁28、仕切弁28に接続する管路29、管路29と接続する管路11を通じて、処理槽10に送られる。本実施形態では、圧力検出器26、及び図示を省略した圧力制御装置を供給ポンプに連動させ、圧力を一定に制御する例を示したけれども、供給ポンプ22の出口圧力を一定に制御する方法はこれに限定されない。例えば供給ポンプ22出口に逃がし弁を設けて、圧力が上昇した場合はこの逃がし弁を通じて二酸化炭素を管路23に戻す方法であってもよい。

0027

また超臨界二酸化炭素の形成は、上記の方法以外にも次の方法を用いることもできる。処理槽10の容積と超臨界状態の二酸化炭素の密度とから、処理槽10に充填する液体二酸化炭素の量を算出する。この量に相当する臨界温度以下の液体二酸化炭素を処理槽10に送液後、処理槽10で液体二酸化炭素を加熱し、超臨界流体を形成する。この方法を採用する場合にあっては、熱交換器24は必ずしも必要ではない。

0028

圧力調整手段30は、仕切弁31を主な構成要素として、処理槽10内の圧力を一定に保持、又は必要に応じて減圧する。処理槽10に供給された超臨界流体を排出する場合は、処理槽10の上部に連結した管路11、管路32を通じて仕切弁31を開とすることで行なう。仕切弁31は、後述のように処理槽10内の圧力を一挙に低減可能な機能を備える圧力減圧手段でもある。仕切弁31と接続する管路32には分岐管33を通じて圧力検出器34が設けられ、これにより処理槽10内の圧力を検知することができる。仕切弁31を通じて超臨界流体を排出させると、断熱膨張に伴い仕切弁31が冷却されるので、流体固化閉塞する場合もある。よって仕切弁31は恒温槽12内に設置することが望ましい。

0029

仕切弁31の出口には管路35が接続され、管路35は、留出物を回収する回収手段40である回収槽に接続する。回収槽40の上部にはベント配管41が接続され、処理槽10から排出される二酸化炭素は最終的にベント配管41を通じて排出される。また回収槽40は底部に、排出される二酸化炭素に同伴し留出する留出物を排出する管路42及び弁43を備える。

0030

次に本細胞壁破壊装置1を用いてカバノアナタケの細胞壁を破砕する手順、及びカバノアナタケの有効成分を抽出する方法について説明する。図2は、本細胞壁破壊装置1を用いてカバノアナタケの細胞壁を破砕する手順、及び細胞壁を破壊したカバノアナタケを用いて有効成分を抽出する手順を示すフローチャートである。本フローチャートは手順の一例を示しただけで、ステップS1からステップS6までの操作は変更して使用してよいことはもちろんである。

0031

まずステップS1で、試料であるカバノアナタケを乾燥し、試料に含まれる水分量を低下させる。本発明は、後述のようにカバノアナタケの細胞内に含まれる水分を、水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体と置換するので、試料に含まれる水分は少ないことが好ましいことによる。乾燥は水と媒体との置換を容易にするために行なうものであるから、試料の水分量が少ないような場合は、乾燥工程を省略してもよい。また試料に含まれる水分が比較的多い場合であっても、媒体の量を増加させたり、試料の媒体への浸漬時間を長くすることで乾燥工程を省略することは可能である。

0032

本発明のカバノアナタケの有効成分の抽出には、菌核であるチャーガが有効成分を多く含有する点で好適であるけれども、カバノアナタケの子実体菌糸体を用いることもできる。これらは単独で使用できることはもちろんであるが、子実体や菌糸体や菌核を混合してもよい。またカバノアナタケは天然物以外にも栽培物または培養物を使用できることは言うまでもない。

0033

次にステップS2で、試料を粉砕し処理槽10に充填する。試料を粉砕しておくことで、試料中の水分を、水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体に置換することが容易となる。粉砕の程度は特に限定されないけれども、粉粒体の大きさが小さいほど水と媒体との置換が容易である。また粉砕に用いる粉砕装置の種類も特に限定されるものではない。

0034

次にステップS3で処理槽10にエチルアルコールを加え、試料をエチルアルコールに浸漬させる。エチルアルコールは水と超臨界流体である二酸化炭素との双方に相溶性のある媒体であり、試料をエチルアルコールに浸漬することで、細胞内の水分をエチルアルコールに置換することができる。本実施の形態では、エチルアルコールを使用しているけれども、細胞内の水と置換する媒体は、エチルアルコールに限定されない。この媒体は、水と超臨界流体との双方に相溶性を持つ媒体であればよいので、超臨界流体に二酸化炭素を使用するのであれば、メチルアルコール、メチルアルコールとエチルアルコールとの混合物、酢酸を使用することができる。さらにメチルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコールとエチルアルコールとの混合物、酢酸と、水との混合物を用いることも可能である。ただし、媒体は細胞内の水分と置換するためのものであるので、媒体に含まれる水分濃度は低いことが望ましいのは当然である。また超臨界流体も二酸化炭素に限定されるものではない。例えばプロパンなどの炭化水素を使用することも可能である。

0035

また、細胞内の水をエチルアルコール等の媒体で置換する際に、その置換を促進させる為、引き続き使用する二酸化炭素等を用いて常圧乃至超臨界圧の範囲で適宜加圧することも好適な方法である。

0036

ステップS3におけるエチルアルコール浸漬は、細胞壁内の水をエチルアルコールで置換することにある。この際、十分なる浸漬後に、余剰のエチルアルコールを系外に排除することで、後に続く超臨界流体による細胞破壊で乾燥状態細胞破壊物を取得することも可能となる。すなわち、超臨界状態の二酸化炭素を急速圧力開放した場合、二酸化炭素に溶解したエチルアルコールは同伴して系外に排出されるので、残留する細胞破壊物を乾燥状態として得ることも可能となる。

0037

次にステップS4において、処理槽10に超臨界流体を供給する。超臨界流体は、液体二酸化炭素を充填した二酸化炭素のボンベ21から管路23を経由し供給ポンプ22に送り、供給ポンプ22で所定の圧力まで昇圧し、熱交換器24で所定の温度まで加温することで形成することができる。なお処理槽10へ超臨界流体を送るに先立ち、処理槽10を所定の温度まで加温しておく。

0038

処理槽10へ超臨界二酸化炭素を供給することで、超臨界二酸化炭素は細胞内のエチルアルコールに溶解し、エチルアルコールの少なくとも一部は超臨界二酸化炭素に置換する。超臨界二酸化炭素を細胞内のエチルアルコールへより確実に溶解させるには、処理槽10に供給した超臨界二酸化炭素を排出し、再度処理槽10へ超臨界二酸化炭素を供給する方法を用いてもよい。本発明における超臨界流体とは、臨界温度及び臨界圧力を超えた状態を言い、二酸化炭素にあっては、圧力7.37MPa、温度304.2Kを超えた状態を言う。二酸化炭素を使用すれば、比較的低い温度及び圧力で超臨界状態を形成可能なので、装置の仕様が緩やかであり、装置コストを抑えることができる。

0039

処理槽10に超臨界二酸化炭素を供給した後、ステップS5において仕切弁31を開とし、処理槽内の圧力を急激に開放する。これによりカバノアナタケの細胞内のエチルアルコールに溶解していた超臨界状態の二酸化炭素が、一挙にガス化し体積膨張を起こす。この体積膨張によりカバノアナタケの細胞壁が破壊される。このように本発明ではカバノアナタケの細胞内の水を、超臨界二酸化炭素と相溶性のあるエチルアルコールで置換した後、細胞内のエチルアルコールに超臨界二酸化炭素を溶解させるので、超臨界二酸化炭素の溶解量が非常に大きく、圧力を開放することで確実に細胞壁を破壊させることができる。

0040

従来の超臨界流体を用いた菌体の細胞壁の破壊は、水と超臨界流体との双方に相溶性のある媒体を介在させていない。このため超臨界二酸化炭素は細胞内の水に溶解することとなるが、超臨界状態の二酸化炭素であっても水に溶解する量は水に対して数%である。これに対して、エチルアルコールに対する超臨界二酸化炭素の溶解量は、水の場合の数十倍以上の溶解量を示す。一方大気圧状態においては、超臨界二酸化炭素は、ガス状態となりエチルアルコールに対する溶解量は非常小さい。これにより超臨界状態の二酸化炭素の圧力を開放することで、カバノアナタケの細胞内のエタノールに溶解していた超臨界状態の二酸化炭素が、一挙にガス化し体積膨張を起こす。

0041

超臨界状態の二酸化炭素は、液体二酸化炭素に近似する密度を有するとともに、二酸化炭素ガスの有する拡散速度を示すことから、細胞内への二酸化炭素の拡散が良好に行われることからその使用が好ましいが、亜臨界状態の二酸化炭素であっても、エチルアルコールに対する溶解量は、超臨界状態の二酸化炭素の水に対する溶解量よりも大きい。このため必要に応じて亜臨界状態の流体を細胞壁の破壊に用いることができる。ここで亜臨界状態とは、温度、圧力が臨界点近傍にあるもの、または温度、圧力のうち少なくとも一方は、臨界点を超え、他方は臨界点近傍にあるものを言う。

0042

以上ステップS1からステップS5の操作において、カバノアナタケの細胞壁を確実に破壊することができる。このように簡単な操作でまた短時間のうちにカバノアナタケの細胞壁を破壊することができる。さらにこの細胞壁を破壊したカバノアナタケを用いて、カバノアナタケから有効成分の抽出を行なってもよい(ステップS6)。細胞壁を破壊していないカバノアナタケに比較して有効成分をより多く抽出することが可能なことは、後述の実施例の実証データが示すところである。抽出には溶媒抽出を用いることが可能である。この有効成分の抽出に用いる溶媒は、特に限定されるものではなく水、アルコールなどを用いることができる。アルコール抽出を行う場合は、エチルアルコールを用いることが安全性の点から好ましい。

0043

有効成分の溶媒による抽出は、ステップS5の細胞壁破壊が終了した後、処理槽に抽出溶媒投入し行うこともできる。またステップS5の細胞壁破壊が終了したカバノアナタケを処理槽から回収し、他の抽出装置を用いて有効成分を抽出することも可能である。このようにカバノアナタケの有効成分の抽出は、細胞壁破壊操作に引き続き、細胞壁破壊を行なった処理槽10で行なうこともできるので、有効成分を抽出するために特別の装置を必要としない。

0044

本発明の他の実施形態として、カバノアナタケの細胞壁破壊とカバノアナタケの有効成分の抽出を略同一に行なうことも可能である。図2に示す操作手順において、ステップS3で処理槽10に加えるエチルアルコールの量を多くし、以下図2に示すステップS4及びステップS5の操作を行なう。ステップS5の減圧操作で処理槽内のエチルアルコールの多くは、二酸化炭素に同伴して留出するが、ステップS3で処理槽に充填するエチルアルコールの量を多くすることで、処理槽内にはエチルアルコールの一部が残留する。この残留したエチルアルコールは、細胞壁が破壊したカバノアナタケから有効成分を抽出する役目を果たす。

0045

ステップS5で、二酸化炭素に同伴し留出するエチルアルコールにもカバノアナタケの有効成分が含まれる場合もあるので、処理槽10に残留したエチルアルコール及び回収槽40に留出した留出物からカバノアナタケの有効成分を回収することができる。本実施形態を採用することで、カバノアナタケの細胞破壊と細胞破壊をさせたカバアノナタケからの有効成分の抽出を略同一に行なうことができる。

0046

抽出されたカバノアナタケの有効成分は、従来から用いられている所定の方法で加工することで、キャラメルなどの菓子ジュースなどの飲料(ドリンク)、粉末形態錠剤形態などの機能性食品とすることができる。機能性食品に配合するにあたっては、抽出物をそのまま、あるいは濃縮した抽出液を配合することもできる。また機能性食品を製造するにあたり、所定の食品添加物を添加可能なことは言うまでもない。このように食品に、本発明のカバノアナタケの有効成分を含む抽出物を添加することで、異味異臭などを生じることはなく、経口摂取が容易と機能性食品とすることができる。

0047

以下本発明の実施例を示す。
(実施例1)試料にはチャーガを用いた。まず始めに次ぎの要領でチャーガの細胞内の水を、液体二酸化炭素と水の双方に相溶性のあるエチルアルコールで置換した。乾燥したチャーガを機械的に粉砕し、粉末としたもの10.5gを、内容積60mlの金属製小型圧力容器に入れ、エチルアルコール30mlを加えて容器を密閉した。この容器を40℃に加温した湯浴漬け、液体二酸化炭素を昇圧装置を経由して圧力容器に供給し、15MPaまで加圧して超臨界状態とし、そのまま20分間保持した。その後圧力をゆっくり減じ常圧に戻した。次いで、再び液体二酸化炭素を昇圧装置を経由して圧力容器に供給し、15MPaまで加圧して超臨界状態としそのまま20分間保持した後、圧力をゆっくり減じ、常圧に戻した。この2回の脱圧操作の際に、排出される二酸化炭素には一部エチルアルコールが含まれており、4.01gが回収槽に捕集された。

0048

次にチャーガ処理物を含む圧力容器に、液体二酸化炭素を昇圧装置を経由して供給し、15Mpaまで加圧して超臨界状態とし、そのまま20分間保持した後、今度は圧力を一挙に開放し、速やかに常圧に戻した。更にもう一度、液体二酸化炭素を昇圧装置を経由して供給し、15Mpaまで加圧して超臨界状態とし、そのまま20分間保持した後、圧力を一挙に開放し、速やかに常圧に戻した。こうして細胞内の水分をエチルアルコールで置換したチャーガの超臨界二酸化炭素流体による急速脱圧処理物を得た。固形分として23.2gを得た。

0049

乾燥チャーガの重量は、上記処理によりその重量が10.5gから23.2gに増大した。これは、細胞内に多くのエチルアルコールが取り込まれたことを示しており、この細胞内に含まれるエチルアルコールに相溶性を有する二酸化炭素流体が、超臨界流体からガス状へ変換することに伴う急激な体積膨張により、細胞壁が破壊されることを支持している。

0050

次に上記処理で得たチャーガ処理物(細胞壁を破壊したチャーガ)2.07gを、ソックスレー抽出円筒ろ紙に入れ、エチルアルコール50mlを抽出媒体として一夜ソックスレー抽出した。抽出操作終了後、抽出円ろ紙に残留する成分を乾燥後、量したところ0.80gであった。ここで用いたチャーガ処理物2.07gは、原料のチャーガ0.94gに相当するので、この一連の処理により、乾燥したチャーガの15%に相当する有効成分が抽出されたこととなる。この値は、後述の比較例1及び比較例2の値に比較して非常に大きな値であった。

0051

(比較例1)乾燥したチャーガを機械的に粉砕した粉末試料1.13gをソックスレー抽出円筒ろ紙に入れ、エチルアルコール50mlを抽出媒体として一夜ソックスレー抽出した。抽出操作終了後、抽出円筒ろ紙に残留する成分を乾燥後、秤量したところ1.03gであった。即ち、本処理により、乾燥したチャーガの9%に相当する有効成分が抽出されたことが分かった。

0052

(比較例2)乾燥したチャーガを機械的に粉砕し粉末としたものを、液体窒素を用いる凍結粉砕法でさらに粉砕し細胞壁破壊を行った。この粉末試料1.07gをソックスレー抽出円筒ろ紙に入れ、エチルアルコール50mlを抽出媒体として一夜ソックスレー抽出した。抽出操作終了後、抽出円筒ろ紙に残留する成分を乾燥後、秤量したところ0.93gであった。即ち、本処理により、乾燥したチャーガの13%に相当する有効成分が抽出されたことが分かった。

0053

以上のように、チャーガ内の内包水を一旦、超臨界流体である液体二酸化炭素と相溶性を有する媒体と置換した後、液体又は超臨界状態の二酸化炭素を加圧下で共存させることにより細胞壁内の二酸化炭素流体濃度を高め、次いで急激な圧力開放により二酸化炭素がガス状態に変換することに伴う急激な体積膨張で強固な細胞壁を破壊することで、有効成分の抽出率を向上させることが可能なことが実証された。

図面の簡単な説明

0054

本発明の実施の一形態としてのカバノアナタケの細胞壁破壊装置1の概略的な構成を示す図である。
本発明の細胞壁破壊装置1を用いてカバノアナタケの細胞壁を破砕後、有効成分を抽出する手順を示すフローチャートである。

符号の説明

0055

1細胞壁破壊装置
10処理槽
20超臨界流体供給手段
21液体二酸化炭素ボンベ
22供給ポンプ
24熱交換器
31仕切弁
40 回収槽

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