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技術 非水電解質電池

出願人 株式会社GSユアサ
発明者 小園卓中川裕江稲益徳雄温田敏之
出願日 2004年10月22日 (15年8ヶ月経過) 出願番号 2004-308349
公開日 2006年5月11日 (14年1ヶ月経過) 公開番号 2006-120517
状態 特許登録済
技術分野 一次電池(その1) 二次電池(その他の蓄電池) 電池の電極及び活物質
主要キーワード 密度電極 揮発溶剤 固形重量 スタンディング 電極活物質材料 外装体内 減圧環境下 電極充填密度
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課題

充填密度が高い正極や負極に対しても、合剤の空隙内に非水電解質を充分に配置できるようにすることで、体積エネルギー密度の高い非水電解質電池を提供することを目的とする。

解決手段

非水電解質は、無機アニオン及び有機アニオンを含み、前記無機アニオンはPF6-及びBF4-のうちいずれか一方又は両方を含み、前記有機アニオンは(CnF2n+1SO2)(CmF2m+1SO2)N-(n、mは共に1〜4の整数であり、nとmは同じであっても異なっていてもよい)で表される1種又は2種以上を含むものとする。本発明により、非水電解質の含浸が困難であった高密度電極に対しても含浸が容易となる。誘電率40以上の高誘電率溶媒を60体積%以上含む非水電解質であっても適用できる。

概要

背景

本明細書において非水電解質とは、溶媒電解質塩を含んでなるものをいう。ここで非水電解質は液状であってもよく固体状であってもよい。

リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質電池は、高い電圧を取り出せることから、原理的にエネルギー密度の高い電池とすることができるといった特徴がある。現在市販されているリチウムイオン二次電池の正極には、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物であるLiCoO2が主に用いられている。また、負極には、リチウイオン吸蔵・放出可能な炭素材からなる負極活物質が主に用いられている。

近年、電極活物質材料の改良、電池に使用する各種部材の薄型化、電極製造技術の進歩等により、非水電解質電池のエネルギー密度が改良され向上している。現在、さらなる高エネルギー密度化が求められている。

しかしながら、非水電解質電池のエネルギー密度をさらに高めることについてはほぼ限界に達している。その理由としては、正極活物質材料や、負極活物質材料については基本的に大きく変わっていないこと、集電体セパレータ外装体等の厚さは、製造上の問題や品質保証の観点から、薄膜化の限界に近づいていること等が挙げられる。

一般的な非水電解質電池の作製方法を次に例示する。電極(正極、負極)は、例えば、粒子状活物質(正極活物質、負極活物質)に必要に応じてバインダー導電剤を添加し、揮発性溶剤を用いて混練してペースト状とし、集電体(正極集電体負極集電体)上に塗布後、前記揮発溶剤を除去することにより集電体上に電極合剤正極合剤負極合剤)が形成される。ここで、電極合剤は活物質粒子間に空隙が設けられている。電極合剤中における活物質の充填密度及び空隙率は、揮発溶剤を除去した後に電極合剤をプレスすること等により制御できる。電極(正極、負極)とセパレータを組み合わせ発電要素を構成した後、外装体内に発電要素を設置し、非水電解質を注液する。これにより、前記空隙部分に非水電解質が配置される。ここで、合剤中に空隙率を一定以上確保することで、注液により非水電解質を空隙内に充分に導入することができ、これにより活物質粒子と非水電解質との接触が充分となり、充電放電に伴う電極反応を充分に進行させることができる。

電極合剤における活物質の充填密度を高めると、計算上は非水電解質電池のエネルギー密度を高めることができる。合剤の充填密度を高めた電極を作製すること自体は、塗布・乾燥後のプレス圧力等を調整することにより当業者の技術常識を用いれば容易である。しかしながら、充填密度を高めると必然的に空隙率が低下し、注液によって非水電解質を空隙内に充分に導入することができず、このため活物質粒子と非水電解質との接触を充分に確保できなくなるため、電極反応を充分に進行させることができない。従って、充分な電池性能を伴った非水電解質電池とする観点から、現行の非水電解質電池においては、正極合剤における正極充填密度は3.1g/cm3程度に、負極合剤における負極充填密度は1.4g/cm3程度に設計されている。

より高いエネルギー密度を有する非水電解質電池とするには、充填密度の高い電極を用いても、非水電解質を電極の空隙内に充分に配置できる技術が望まれていた。

非水電解質電池に用いられる代表的な非水電解質としては、高誘電率溶媒であるエチレンカーボネートと低粘度溶媒であるジエチルカーボネートを2:3の体積比で混合した混合溶媒に電解質塩であるLiPF6を1mol/lの濃度で溶解したものを例示できる。このように、低粘度溶媒を体積比率で多く混合することにより、非水電解質の粘度を低いものとすることができるので、合剤に設けられた空隙内に非水電解質を注液によって充分に配置することができる。ところが、近年、金属樹脂複合フィルム等の柔軟な外装体を備えた電池が開発され実用化される傾向にあるが、金属樹脂複合フィルム等の柔軟な外装体は電池内圧の変化によって変形しうるものであり、低粘度溶媒は概して蒸気圧が高いことから、非水電解質が低粘度溶媒を多く含んでいると、電池の膨れを引き起こしやすいといった問題点があった。従って、低粘度溶媒を含有しないかまたは少ない割合で含有する非水電解質を用いながらも、充分な電池性能を有する非水電解質電池とすることのできる技術が求められていた。

ところが、高誘電率溶媒は概して粘度が高いことから、低粘度溶媒を含有しないかまたは少ない割合で含有する非水電解質を用いると、充填密度を高めた電極合剤の空隙内に非水電解質を充分に配置しようとする上記課題は解決されないどころか逆に非水電解質の充分な配置が困難となる方向にあり、ましてや、正極合剤の充填密度を3.3g/cm3を超えて設計した場合、あるいは負極合剤の充填密度を1.4g/cm3を超えて設計した場合には、非水電解質を空隙内にほとんど配置できず、電池性能が大きく低下してしまうといった問題点があった。

一般に、電極合剤の空隙に非水電解質を充分に配置させる方法としては、注液後に長時間のスタンディング工程を設けることや、注液後に高温放置することが挙げられる。しかしながら、注液後の放置時間を充分に設けることは、製造コストを大幅に引き上げてしまうことになり採用が困難であり、高い温度でスタンディング工程に供することは、電池性能を低下させるといった問題があった。電解質塩としてのLiPF6は優れた電極性能を引き出すことができることから一般的な非水電解質電池に標準的に用いられているが、LiPF6は熱的安定性が良好ではないため、注液後に高温で放置することは好ましい方法ではなかった。また、上記したように正極合剤の充填密度を3.3g/cm3を超えて設計した場合、あるいは負極合剤の充填密度を1.4g/cm3を超えて設計した場合には、注液後に長時間の放置工程を設ける方法や、高い温度でスタンディング工程に供する方法を用いてもなお、非水電解質を充分に行き渡らせることが実質的に不可能であるといった問題点があった。

また、非水電解質として、液状の非水電解質(電解液)に代えてゲル電解質を用いた電池(以下「ゲル電解質電池」ともいう)があり、特に金属樹脂複合フィルム等の柔軟な外装体を備えた電池に多く用いられようとしている。ここで、電極合剤の空隙内に非水電解質を配置する方法としては、電極合剤(正極合剤、負極合剤)に設けた空隙部分に、ゲルを構成するポリマーの前駆体である重合性官能基を有するモノマーを含んだ非水電解質(以下「モノマー液」ともいう)を配置した後、固化する方法が一般的である。ここで、電極合剤に設けた空隙部分にモノマー液を配置する方法として、必要に応じて導電剤を加えた活物質粒子にモノマー液を添加してペースト状として集電体上に塗布後固化する方法を用いても良いが、この方法では合剤の活物質密度を充分に高いものとすることが困難であるため、あまり採用されていない。

このように、ゲル電解質電池においては、固化後のゲルは流動性を有さないことから、固化の前までに、モノマー液を合剤の空隙内に充分に配置できなければ、充分な電池性能を有する非水電解質電池とすることができないため、活物質を高密度に配した電極の空隙内に非水電解質を充分に配置させようとする課題は、より確実に達成されなければならない。さらに、ゲル電解質電池は外装体を軽量化できるとの特長を生かすため、柔軟な外装体材料を用いる場合が多く、非水電解質が蒸気圧の高い低粘度溶媒を多く含まないものとしたいという要求はより一層高い。加えて、モノマーを含有しない非水電解質に比べてモノマーを含有しているモノマー液は粘度が高くなる場合が多いことから、上記課題はなおさら切実であった。

特許文献1には、溶質としてLiBF4 、LiPF6等のリチウム塩とLiN(CF3SO2 )2 、LiC(CF3 SO2 )3 等のリチウム塩とを混合して使用することにより、「自己放電を抑制し保存特性を向上させ、電解液の伝導度を向上させ、より高エネルギー密度非水電解液電池を提供することができる」ことが記載されている。しかし、この特許文献1には、電極合剤の空隙内に非水電解質を充分に配置させようとする課題は存在しない。

特許文献2には、LiN(CF3SO2)2 、LiC(CF3SO2)3等のパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩を使用した高分子固体電解質を正極上に塗布し、含侵させた後に熱重合すること(請求項1)により、「正極合剤と高分子固体電解質との接触の改善された、より高エネルギー密度の高分子固体電解質電池を提供することができる」(段落[0058])事が記載されている。しかし、この特許文献2には電解質塩として無機アニオンLiPF6あるいはLiBF4と有機アニオンLiN(CnF2n+1SO2)2(n:1〜4の整数)、あるいはLiC(CnF2n+1SO2)3(n:1〜4の整数)で表されるイミド塩あるいはメチド塩を混合して用いることについては記載がない。
特許第3016447号公報
特許第3499916号公報

概要

充填密度が高い正極や負極に対しても、合剤の空隙内に非水電解質を充分に配置できるようにすることで、体積エネルギー密度の高い非水電解質電池を提供することを目的とする。 非水電解質は、無機アニオン及び有機アニオンを含み、前記無機アニオンはPF6-及びBF4-のうちいずれか一方又は両方を含み、前記有機アニオンは(CnF2n+1SO2)(CmF2m+1SO2)N-(n、mは共に1〜4の整数であり、nとmは同じであっても異なっていてもよい)で表される1種又は2種以上を含むものとする。本発明により、非水電解質の含浸が困難であった高密度電極に対しても含浸が容易となる。誘電率40以上の高誘電率溶媒を60体積%以上含む非水電解質であっても適用できる。

目的

より高いエネルギー密度を有する非水電解質電池とするには、充填密度の高い電極を用いても、非水電解質を電極の空隙内に充分に配置できる技術が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

正極、負極及び非水電解質を備える非水電解質電池において、前記正極は、リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含有し、前記正極の正極充填密度が3.5g/cm3以上であり、前記非水電解質は、無機アニオン及び有機アニオンを含み、前記無機アニオンはPF6-及びBF4-のうちいずれか一方又は両方を含み、前記有機アニオンは(CnF2n+1SO2)(CmF2m+1SO2)N-(n、mは共に1〜4の整数であり、nとmは同じであっても異なっていてもよい)で表される1種又は2種以上を含むことを特徴とする非水電解質電池。

請求項2

前記正極の正極充填密度が3.7g/cm3以下である請求項1記載の非水電解質電池。

請求項3

正極、負極及び非水電解質を備える非水電解質電池において、前記負極は、炭素材からなる負極活物質を含有し、前記負極の負極充填密度が1.5g/cm3以上であり、前記非水電解質は、無機アニオン及び有機アニオンを含み、前記無機アニオンはPF6-及びBF4-のうちいずれか一方又は両方を含み、前記有機アニオンは(CnF2n+1SO2)(CmF2m+1SO2)N-(n、mは共に1〜4の整数であり、nとmは同じであっても異なっていてもよい)で表される1種又は2種以上を含むことを特徴とする非水電解質電池。

請求項4

前記負極の負極充填密度が1.8g/cm3以下である請求項3記載の非水電解質電池。

請求項5

前記非水電解質は、誘電率40以上の溶媒を60体積%以上含む請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質電池。

請求項6

前記非水電解質は、ゲル電解質である請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解質電池。

請求項7

外装体は、電池内圧の変化によって変形しうるものである請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解質電池。

技術分野

0001

本発明は、非水電解質電池に関し、エネルギー密度が高く、電池性能に優れた非水電解質電池を提供しようとするものである。

背景技術

0002

本明細書において非水電解質とは、溶媒電解質塩を含んでなるものをいう。ここで非水電解質は液状であってもよく固体状であってもよい。

0003

リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質電池は、高い電圧を取り出せることから、原理的にエネルギー密度の高い電池とすることができるといった特徴がある。現在市販されているリチウムイオン二次電池の正極には、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物であるLiCoO2が主に用いられている。また、負極には、リチウイオン吸蔵・放出可能な炭素材からなる負極活物質が主に用いられている。

0004

近年、電極活物質材料の改良、電池に使用する各種部材の薄型化、電極製造技術の進歩等により、非水電解質電池のエネルギー密度が改良され向上している。現在、さらなる高エネルギー密度化が求められている。

0005

しかしながら、非水電解質電池のエネルギー密度をさらに高めることについてはほぼ限界に達している。その理由としては、正極活物質材料や、負極活物質材料については基本的に大きく変わっていないこと、集電体セパレータ外装体等の厚さは、製造上の問題や品質保証の観点から、薄膜化の限界に近づいていること等が挙げられる。

0006

一般的な非水電解質電池の作製方法を次に例示する。電極(正極、負極)は、例えば、粒子状活物質(正極活物質、負極活物質)に必要に応じてバインダー導電剤を添加し、揮発性溶剤を用いて混練してペースト状とし、集電体(正極集電体負極集電体)上に塗布後、前記揮発溶剤を除去することにより集電体上に電極合剤正極合剤負極合剤)が形成される。ここで、電極合剤は活物質粒子間に空隙が設けられている。電極合剤中における活物質の充填密度及び空隙率は、揮発溶剤を除去した後に電極合剤をプレスすること等により制御できる。電極(正極、負極)とセパレータを組み合わせ発電要素を構成した後、外装体内に発電要素を設置し、非水電解質を注液する。これにより、前記空隙部分に非水電解質が配置される。ここで、合剤中に空隙率を一定以上確保することで、注液により非水電解質を空隙内に充分に導入することができ、これにより活物質粒子と非水電解質との接触が充分となり、充電放電に伴う電極反応を充分に進行させることができる。

0007

電極合剤における活物質の充填密度を高めると、計算上は非水電解質電池のエネルギー密度を高めることができる。合剤の充填密度を高めた電極を作製すること自体は、塗布・乾燥後のプレス圧力等を調整することにより当業者の技術常識を用いれば容易である。しかしながら、充填密度を高めると必然的に空隙率が低下し、注液によって非水電解質を空隙内に充分に導入することができず、このため活物質粒子と非水電解質との接触を充分に確保できなくなるため、電極反応を充分に進行させることができない。従って、充分な電池性能を伴った非水電解質電池とする観点から、現行の非水電解質電池においては、正極合剤における正極充填密度は3.1g/cm3程度に、負極合剤における負極充填密度は1.4g/cm3程度に設計されている。

0008

より高いエネルギー密度を有する非水電解質電池とするには、充填密度の高い電極を用いても、非水電解質を電極の空隙内に充分に配置できる技術が望まれていた。

0009

非水電解質電池に用いられる代表的な非水電解質としては、高誘電率溶媒であるエチレンカーボネートと低粘度溶媒であるジエチルカーボネートを2:3の体積比で混合した混合溶媒に電解質塩であるLiPF6を1mol/lの濃度で溶解したものを例示できる。このように、低粘度溶媒を体積比率で多く混合することにより、非水電解質の粘度を低いものとすることができるので、合剤に設けられた空隙内に非水電解質を注液によって充分に配置することができる。ところが、近年、金属樹脂複合フィルム等の柔軟な外装体を備えた電池が開発され実用化される傾向にあるが、金属樹脂複合フィルム等の柔軟な外装体は電池内圧の変化によって変形しうるものであり、低粘度溶媒は概して蒸気圧が高いことから、非水電解質が低粘度溶媒を多く含んでいると、電池の膨れを引き起こしやすいといった問題点があった。従って、低粘度溶媒を含有しないかまたは少ない割合で含有する非水電解質を用いながらも、充分な電池性能を有する非水電解質電池とすることのできる技術が求められていた。

0010

ところが、高誘電率溶媒は概して粘度が高いことから、低粘度溶媒を含有しないかまたは少ない割合で含有する非水電解質を用いると、充填密度を高めた電極合剤の空隙内に非水電解質を充分に配置しようとする上記課題は解決されないどころか逆に非水電解質の充分な配置が困難となる方向にあり、ましてや、正極合剤の充填密度を3.3g/cm3を超えて設計した場合、あるいは負極合剤の充填密度を1.4g/cm3を超えて設計した場合には、非水電解質を空隙内にほとんど配置できず、電池性能が大きく低下してしまうといった問題点があった。

0011

一般に、電極合剤の空隙に非水電解質を充分に配置させる方法としては、注液後に長時間のスタンディング工程を設けることや、注液後に高温放置することが挙げられる。しかしながら、注液後の放置時間を充分に設けることは、製造コストを大幅に引き上げてしまうことになり採用が困難であり、高い温度でスタンディング工程に供することは、電池性能を低下させるといった問題があった。電解質塩としてのLiPF6は優れた電極性能を引き出すことができることから一般的な非水電解質電池に標準的に用いられているが、LiPF6は熱的安定性が良好ではないため、注液後に高温で放置することは好ましい方法ではなかった。また、上記したように正極合剤の充填密度を3.3g/cm3を超えて設計した場合、あるいは負極合剤の充填密度を1.4g/cm3を超えて設計した場合には、注液後に長時間の放置工程を設ける方法や、高い温度でスタンディング工程に供する方法を用いてもなお、非水電解質を充分に行き渡らせることが実質的に不可能であるといった問題点があった。

0012

また、非水電解質として、液状の非水電解質(電解液)に代えてゲル電解質を用いた電池(以下「ゲル電解質電池」ともいう)があり、特に金属樹脂複合フィルム等の柔軟な外装体を備えた電池に多く用いられようとしている。ここで、電極合剤の空隙内に非水電解質を配置する方法としては、電極合剤(正極合剤、負極合剤)に設けた空隙部分に、ゲルを構成するポリマーの前駆体である重合性官能基を有するモノマーを含んだ非水電解質(以下「モノマー液」ともいう)を配置した後、固化する方法が一般的である。ここで、電極合剤に設けた空隙部分にモノマー液を配置する方法として、必要に応じて導電剤を加えた活物質粒子にモノマー液を添加してペースト状として集電体上に塗布後固化する方法を用いても良いが、この方法では合剤の活物質密度を充分に高いものとすることが困難であるため、あまり採用されていない。

0013

このように、ゲル電解質電池においては、固化後のゲルは流動性を有さないことから、固化の前までに、モノマー液を合剤の空隙内に充分に配置できなければ、充分な電池性能を有する非水電解質電池とすることができないため、活物質を高密度に配した電極の空隙内に非水電解質を充分に配置させようとする課題は、より確実に達成されなければならない。さらに、ゲル電解質電池は外装体を軽量化できるとの特長を生かすため、柔軟な外装体材料を用いる場合が多く、非水電解質が蒸気圧の高い低粘度溶媒を多く含まないものとしたいという要求はより一層高い。加えて、モノマーを含有しない非水電解質に比べてモノマーを含有しているモノマー液は粘度が高くなる場合が多いことから、上記課題はなおさら切実であった。

0014

特許文献1には、溶質としてLiBF4 、LiPF6等のリチウム塩とLiN(CF3SO2 )2 、LiC(CF3 SO2 )3 等のリチウム塩とを混合して使用することにより、「自己放電を抑制し保存特性を向上させ、電解液の伝導度を向上させ、より高エネルギー密度非水電解液電池を提供することができる」ことが記載されている。しかし、この特許文献1には、電極合剤の空隙内に非水電解質を充分に配置させようとする課題は存在しない。

0015

特許文献2には、LiN(CF3SO2)2 、LiC(CF3SO2)3等のパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩を使用した高分子固体電解質を正極上に塗布し、含侵させた後に熱重合すること(請求項1)により、「正極合剤と高分子固体電解質との接触の改善された、より高エネルギー密度の高分子固体電解質電池を提供することができる」(段落[0058])事が記載されている。しかし、この特許文献2には電解質塩として無機アニオンLiPF6あるいはLiBF4と有機アニオンLiN(CnF2n+1SO2)2(n:1〜4の整数)、あるいはLiC(CnF2n+1SO2)3(n:1〜4の整数)で表されるイミド塩あるいはメチド塩を混合して用いることについては記載がない。
特許第3016447号公報
特許第3499916号公報

発明が解決しようとする課題

0016

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、充填率の高い電極を用いながらも電池性能を充分に発揮させることができ、もって高いエネルギー密度を有する非水電解質電池を提供しようとするものである。また、誘電率40以上の溶媒を60体積%以上含む非水電解質を用いながらも、高いエネルギー密度を有する非水電解質電池を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0017

本発明の構成及び作用効果は次の通りである。但し、作用機構については推定を含んでおり、その作用機構の成否は、本発明を制限するものではない。

0018

本発明は、正極、負極及び非水電解質を備える非水電解質電池において、前記正極は、リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含有し、前記正極の正極充填密度が3.5g/cm3以上であり、前記非水電解質は、無機アニオン及び有機アニオンを含み、前記無機アニオンはPF6-及びBF4-のうちいずれか一方又は両方を含み、前記有機アニオンは(CnF2n+1SO2)(CmF2m+1SO2)N-(n、mは共に1〜4の整数であり、nとmは同じであっても異なっていてもよい)で表される1種又は2種以上を含むことを特徴とする非水電解質電池である。

0019

このような構成によれば、正極充填率が3.5g/cm3以上である正極に対しても、非水電解質を充分に配置できるので、高いエネルギー密度を有する非水電解質電池を提供することができる。正極充填密度は3.6g/cm3以上とすれば、より高密度に充填された正極において本発明の効果が奏されるため、よりエネルギー密度の高い非水電解質電池を提供することでき、好ましい。

0020

また、本発明は、前記正極の正極充填密度が3.7g/cm3以下であることを特徴としている。このような構成によれば、正極合剤の空隙率を充分に確保し、空隙率が低くなりすぎ空隙への非水電解質の配置が不充分となるおそれを低減することができる。

0021

また、本発明は、正極、負極及び非水電解質を備える非水電解質電池において、前記負極は、炭素材からなる負極活物質を含有し、前記負極の負極充填密度が1.5g/cm3以上であり、前記非水電解質は、無機アニオン及び有機アニオンを含み、前記無機アニオンはPF6-及びBF4-のうちいずれか一方又は両方を含み、前記有機アニオンは(CnF2n+1SO2)(CmF2m+1SO2)N-(n、mは共に1〜4の整数であり、nとmは同じであっても異なっていてもよい)で表される1種又は2種以上を含むことを特徴とする非水電解質電池である。

0022

このような構成によれば、負極充填率が1.5g/cm3以上である負極に対しても、非水電解質を充分に配置できるので、高いエネルギー密度を有する非水電解質電池を提供することができる。負極充填密度は1.6g/cm3以上とすれば、より高密度に充填された負極において本発明の効果が奏されるため、よりエネルギー密度の高い非水電解質電池を提供することでき、より好ましい。

0023

また、本発明は、前記負極の負極充填密度が1.8g/cm3以下であることを特徴としている。このような構成によれば、負極合剤の空隙率を充分に確保し、空隙率が低くなりすぎ空隙への非水電解質の配置が不充分となるおそれを低減することができる。

0024

また、本発明の非水電解質電池は、前記非水電解質は、誘電率40以上の高誘電率溶媒を60体積%以上含むものであることを特徴としている。

0025

このような構成によれば、誘電率40以上の高誘電率溶媒を60体積%以上含み、低粘度溶媒の含有率が低い非水電解質を用いながらも、活物質が高密度に配された正極や負極に対して、非水電解質を充分に行き渡らすことができる。従って、非水電解質の蒸気圧を低いものとすることができるので、金属樹脂複合フィルム等の電池内圧の変化によって変形しうる外装体を用いた電池の膨れを抑制できる。この観点から、誘電率40以上の高誘電率溶媒の比率は、より好ましくは70体積%以上、さらに好ましくは85体積%以上、最も好ましくは90体積%以上である。

0026

また、本発明の非水電解質電池は、前記非水電解質がゲル電解質であることを特徴としている。

0027

このような構成によれば、固化の前までにモノマー液を正極や負極に配置されることが求められるゲル電解質電池において、活物質の充填密度が高い電極を用いながらも、高いエネルギー密度を有する非水電解質電池(ゲル電解質電池)を提供することができる。

0028

また、本発明の非水電解質電池は、外装体が電池内圧の変化によって変形しうるものであることを特徴としている。

0029

このような構成によれば、金属樹脂複合フィルム等の電池内圧の変化によって変形しうる外装材を用いた電池であっても、本発明により内圧の上昇が抑えられるので、電池の膨れが抑制された非水電解質電池を提供できる。

0030

なお、正極充填密度が3.5g/cm3以上である前記正極と、負極充填密度が1.5g/cm3以上である前記負極とを組み合わせると、電池のエネルギー密度を高いものとすることができるので、好ましい。

0031

本願明細書において、「正極充填密度」、「負極充填密度」とは、正極、負極のうち集電体を含まない部分、即ち、活物質材料に必要に応じて導電剤や結着剤等を混合してなる電極合剤部分に対して算出されるものとする。正極合剤または負極合剤は、板状または箔上の集電体上に層をなして形成しているものであってもよく、メッシュ状、網状または繊維状の集電体の中に埋め込まれるように形成されているものでもよく、いずれの場合においても充填密度は集電体部分を差し引いて算出されるものとする。即ち、正極充填密度、負極充填密度は、算出の対象となる前記電極合剤部分の体積と重量から求められる。電極合剤が集電体と一体のなっている場合には、集電体を含む正極又は負極の体積及び重量から集電体に係る体積及び重量を差し引き換算することで、正極、負極の充填密度を求めることができる。「正極充填密度」、「負極充填密度」の算出にあたって、電極中に非水電解質は配置されていないものとして扱う。非水電解質を含んだ電極に対して充填密度を測定する必要がある場合には、電極を低沸点溶媒(例えばジメチルカーボネート)に1分程度浸漬し、次に再度別の低沸点溶媒(例えばジメチルカーボネート)に1分程度浸漬し、最後にロータリーポンプ等で真空乾燥することにより、非水電解質を実質的に取り除くことができる。

0032

本発明に適用することのできるリチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質としては、特に限定されるものではないが、一般式LixNiaMnbCocOz(0<x≦1.3、0≦a<1.0、0≦b<0.6、0≦c≦1、a+b+c=1、1.7≦z≦2.3)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が好ましく、また上記組成範囲内のものにおいて確実に本発明の効果が発揮されることを確認している。なかでも、LiCoO2、LiNi0.165Mn0.165Co0.67O2、LiNi0.2Mn0.2Co0.4O2のように、上記一般式の係数aとbの値が実質的に等しいものが好ましい。正極には、周知の材料からなる導電剤やバインダー等を技術常識の範囲内で適用することができる。正極合剤がリチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を85%以上含む正極であれば、導電剤やバインダー等その余の材料の種類や比率によらず本発明の効果が奏される。

0033

本発明に適用することのできる炭素材からなる負極活物質としては、特に限定されるものではなく、一般にリチウム電池の負極に用いることのできるリチウム吸蔵放出可能な炭素材料として周知のものが適用可能である。例えば、格子面間隔(d002)が0.333〜0.350nm、a軸方向の結晶子の大きさ(La)が20nm以上、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が20nm以上、真密度が2.00〜2.25g/cm3であるものが好適な材料として挙げられる。負極には、周知の材料からなるバインダー等を技術常識の範囲内で適用することができる。負極合剤が炭素材料を90%以上含む負極であれば、バインダー等その余の材料の種類や比率によらず本発明の効果が奏される。

0034

非水電解質が無機アニオンとしてPF6-及びBF4-のうちいずれか一方又は両方を含むものとするためには、LiPF6及びLiBF4のうちいずれか一方又は両方を非水溶媒に溶解させることで達成できる。また、非水電解質が有機アニオンとして(CnF2n+1SO2)(CmF2m+1SO2)N-(n、mは共に1〜4の整数であり、nとmは同じであっても異なっていてもよい)で表される1種又は2種以上を含むものとするためには、該有機アニオンのリチウム塩、具体的には、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等の中から1種又は2種以上を選択して溶解させることで達成できる。

0035

非水電解質中の前記有機アニオンの量については特に限定されるものではないが、電極合剤における空隙への非水電解質の配置を充分とするため、無機アニオンに対する前記有機アニオンのモル比は1/99以上が好ましく、1/4以上がより好ましい。また、電池の内部抵抗が大きくなる虞を低減するため、無機アニオンに対する前記有機アニオンのモル比は2/3以下が好ましく、1/1以下がより好ましい。

0036

本発明の非水電解質を構成する誘電率40以上の溶媒としては、リチウム塩を好適に溶解しうるものであれば特に限定されるものではないが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブトラクトンジメチルスルフォキシド、γ−バレロラクトンスルフォランが例示される。なかでも、プロピレンカーボネートを溶媒全体の40体積%以上用いることが好ましく、プロピレンカーボネートを溶媒全体の50体積%以上用いることがより好ましい。

0037

また、注液後のスタンディング工程を30℃以上とすることにより、非水電解質を電極合剤の空隙内に速やかに行き渡らせることができるようになり、短時間で化成初期充電)を開始することが可能となるので、製造コストを低く抑えながら、高エネルギー密度の非水電解質電池を提供することが可能となる。また、電解質塩としてLiPF6を用いると電池性能を優れたものとすることができる一方、LiPF6を単独で用いた非水電解質は熱的安定性が良好ではないので、有機アニオンを含む塩と混合して用いることにより、非水電解質の熱的安定性が向上する。従って、本発明に用いる非水電解質は、無機アニオンとしてPF6-を少なくとも含むものとすることにより、本発明の効果を有効に発揮させることができ、好ましい。

発明の効果

0038

請求項1,2により、正極合剤の正極充填密度が3.5g/cm3以上であっても、非水電解質が空隙内部に充分に行き渡るものとなり、これにより、高いエネルギー密度を有する非水電解質電池を提供できる。

0039

請求項3,4により、負極合剤の負極充填密度が1.5g/cm3以上であっても、非水電解質が空隙内部に充分に行き渡るものとなり、これにより、高いエネルギー密度を有する非水電解質電池を提供できる。

0040

請求項5により、誘電率40以上の高誘電率溶媒を60体積%以上含む非水電解質を用いながらも、高いエネルギー密度を有する非水電解質電池を提供することができ、電池内圧の変化によって変形しうる外装体を用いた場合の電池の膨れを抑制できる。

0041

請求項6により、エネルギー密度の高いゲル電解質電池を提供できる。

0042

請求項7により、電池内圧の変化によって変形しうる外装体を用いた電池の膨れが抑制された、高エネルギー密度の非水電解質電池を提供できる。

発明を実施するための最良の形態

0043

以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。

0044

(非水電解質A)
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)及びジエチルカーボネート(DEC)を体積比5:4:1の割合で混合した混合溶媒に、0.5モルリットルの濃度のLiPF6及び0.5モル/リットルの濃度のLiN(C2F5SO2)2を溶解させた。

0045

(非水電解質B)
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)及びジエチルカーボネート(DEC)を体積比5:4:1の割合で混合した混合溶媒に、1.0モル/リットルの濃度のLiPF6を溶解させた。

0046

(非水電解質C)
85重量部の前記非水電解質Aに、メチルメタクリレート(MMA)12重量部、及びエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)3重量部を加えて均一に混合し、適量のアゾビスイソブチロニトリルAIBN)を添加し、これを非水電解質Cとした。

0047

(正極の作製)
LiCoO2(正極活物質)、アセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデンPVdF)を重量比90:5:5の割合で混合し、分散媒としてN−メチルピロリドンを加えて混練分散し、ペースト状の塗布液を調製した。なお、PVdFは固形分が溶解分散された液を用い、固形重量換算した。該塗布液を厚さ15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布・乾燥し、プレスすることにより、正極集電体上に正極合剤が形成された正極を作製した。ここで、プレス圧力を適宜調整することにより、正極充填密度が3.1g/cm3、3.3g/cm3、3.4g/cm3、3.5g/cm3、3.6g/cm3及び3.7g/cm3のそれぞれである正極を作製した。

0048

(負極の作製)
グラファイト(負極活物質)、カルボキシメチルセルロース及びスチレンーブタジエンゴムが重量比97:1.5:1.5の割合で混合しているペースト状の水性塗布液を調製した。該塗布液を厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に塗布・乾燥し、プレスすることにより、負極集電体上に負極合剤が形成された負極を作製した。ここで、プレス圧力を適宜調整することにより、負極充填密度が1.4g/cm3、1.5g/cm3、1.6g/cm3、1.7g/cm3及び1.8g/cm3のそれぞれである負極を作製した。

0049

非水電解質電池は次の処方により組み立てる。正極集電体及び負極集電体に正極リード端子及び負極リード端子をそれぞれ取り付ける。ポリプロピレン製セパレータ(空隙率50%)を介して正極及び負極を積層し、扁平に捲回することにより極群を構成する。金属樹脂複合フィルム(アルミラミネートフィルム)製の袋状外装体に前記極群を収納し、外装体の開口部を注液孔部を除いて封止する。次いで、減圧環境下で注液孔から非水電解質を注入し、注液孔部を封止する。次に、スタンディング工程を経た後、5サイクル初期充放電からなる初期化成を経て非水電解質電池が完成される。初期化成における充電条件は温度20℃で0.1ItmA、電圧4.2V、15時間の定電流定電圧充電とし、放電条件電流0.2ItmA、終止電圧3.0Vの定電流放電とし、充電/放電の切り替わり時にはそれぞれ30分間の休止を設ける。初期化成の5サイクル目の放電容量をその電池の初期容量とする。本実施例及び比較例で作製する非水電解質電池の寸法は、いずれも厚さ約4mm、幅35mm、高さ62mmである。

0050

表1に示すように、正極と負極を組み合わせ、それぞれの組み合わせに対して非水電解質A〜Cを用いて、前記処方で非水電解質電池を組み立てた。次に、スタンディング工程として20℃環境下に1日間放置した。初期化成により確認された初期容量の値に基づき、電池内の電極合剤体積当たりの放電容量を表1に併せて示す。なお、電池内の電極合剤体積とは、正極合剤及び負極合剤が占める体積のことであり、正極集電体、負極集電体、セパレータ、外装体等、電極合剤以外の部分の体積は含まない。

0051

0052

表1に示したように、電池1〜10は、いずれも正極充填密度が3.1g/cm3である正極を用い、負極充填密度が1.4〜1.8g/cm3のそれぞれである負極と組み合わせ、非水電解質A又はBを用いて上記処方により作成した非水電解質電池である。これらの結果から次のことがわかる。

0053

電解質塩としてLiPF6を単独で用いた非水電解質Bを用いた電池6〜10において、負極充填密度が1.4g/cm3である負極を用いた電池6に比べ、負極充填密度が1.5g/cm3である負極を用いた電池7の放電容量は向上している。これは電池7の方がより負極充填密度の高い負極を用いたことによりエネルギー密度が向上したためである。しかしながら、電池8〜10はより負極充填密度の高い負極を用いているにもかかわらず、放電容量は逆に低下している。これは、負極充填密度が高すぎて非水電解質Bが負極の空隙内に充分に配置されなかったことによると考えられる。この結果、同一体積の電池である電池6〜10の中では電池7が最もエネルギー密度が高い結果となった。

0054

電解質塩としてLiPF6及びLiN(C2F5SO2)2を用いた非水電解質Aを用いた電池1〜5において、負極充填密度が1.4g/cm3である負極を用いた電池1の放電容量は前記電池6と同程度であるが、負極充填密度が1.5g/cm3〜1.8g/cm3である負極を用いた電池2〜5は、いずれも前記電池7の放電容量を上回っている。これは、負極充填密度の高い負極に対しても、非水電解質Aが充分に行き渡ったことによると考えられ、この結果、より体積エネルギー密度の高い非水電解質電池が得られた。

0055

電池11〜20は、いずれも負極充填密度が1.5g/cm3である負極を用い、正極充填密度が3.3〜3.7g/cm3のそれぞれである正極と組み合わせ、非水電解質A又はBを用いて上記処方により作成した非水電解質電池である。これらの結果から次のことがわかる。

0056

電解質塩としてLiPF6を単独で用いた非水電解質Bを用いた電池16〜20において、正極充填密度が3.3g/cm3である正極を用いた電池16に比べ、正極充填密度が3.4g/cm3である負極を用いた電池17の放電容量は向上している。これは電池17の方がより正極充填密度の高い正極を用いたことによりエネルギー密度が向上したためである。しかしながら、電池18はより正極充填密度の高い正極を用いているにもかかわらず、放電容量は電池17と同程度であり、さらに正極充填密度の高い正極を用いた電池19,20では放電容量が逆に低下している。これは、正極充填密度が高すぎて正極の空隙率が低いため、非水電解質Bが正極の空隙内に充分に行き渡らかったことによると考えられる。この結果、電池6〜10の中では電池7が最もエネルギー密度が高い結果となった。

0057

電解質塩としてLiPF6及びLiN(C2F5SO2)2を用いた非水電解質Aを用いた電池11〜15において、正極充填密度が3.3g/cm3又は3.4g/cm3である正極を用いた電池11,12の放電容量は前記電池16,17とそれぞれ同程度であるが、正極充填密度が3.5g/cm3又は3.6g/cm3である正極を用いた電池13〜14は、いずれも前記電池17の放電容量を上回っている。これは、正極充填密度の高い負極に対しても、非水電解質が充分に行き渡ったことによると考えられ、この結果、より体積エネルギー密度の高い非水電解質電池が得られた。正極充填密度が3.7g/cm3である正極を用いた電池15の放電容量は前記電池12と同程度であるが、電極充填密度が大きい電極を用いることで、同一体積内に収納できる活物質量が多くなるために、同一体積の電池を作製して比較すればより放電容量の大きい電池とすることができる利点がある。

0058

(実施例2)
非水電解質には非水電解質C(モノマー液)を用いたことを除いては、実施例5及び実施例15と同一の電極の組み合わせにより前記処方で非水電解質電池を組み立てた。次に、スタンディング工程として60℃環境下に1日間放置した後、20℃にて10時間放置した。この工程により、非水電解質Cは固化しゲル電解質となっている。この電池をそれぞれ電池21,電池22とする。

0059

電池21,電池22の初期容量の値は、それぞれ電池5,電池15とほとんど同程度であった。このことから、メチルメタクリレートやエチレングリコールジメタクリレートが加えられ、非水電解質Aよりも粘度が高いと考えられるモノマー液(非水電解質C)であっても活物質が高密度に充填された電極の空隙内へ充分に配置できることがわかった。このように、今回準備した正極及び負極の中でも最も充填密度の高い電極を選んだ場合においても実施例1と同程度の電池性能が確認されたことから、これより充填密度の低い電極を用いた場合にも何ら問題なく適用できることがわかる。従って、スタンディング工程以降に非水電解質が空隙内にさらに行き渡ることが期待されないゲル電解質電池にも本発明が有効に適用できる。なお、初期化成後にこの電池を解体して正極及び負極を調査したところ、正極合剤及び負極合剤の空隙部分には、流動性や滲出性を有さないゲル電解質が配置されていることが確認された。

0060

以上の実施例では、正極側の効果と負極側の効果を独立して確認するため、一方の電極に従来の範囲の充填密度であるものを用いたが、正極及び負極の双方に本発明の範囲の充填密度である電極を用いることが最適であることはいうまでもない。

0061

以上、正極活物質としてLiCoO2を用いた場合を例に挙げて説明したが、LiNi0.165Mn0.165Co0.67O2を用いた場合にも同様の効果が確認された。また、リチウム塩としてLiN(C2F5SO2)2及びLiPF6を混合して用いた場合を例に挙げて説明したが、LiN(CF3SO2)2及びLiPF6を混合して用いた場合、LiN(C2F5SO2)2,LiPF6及びLiBF4を混合して用いた場合にも同様の効果が確認された。

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