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技術 塩化水素の精製方法

出願人 住友化学株式会社
発明者 森康彦阿部忠
出願日 2005年12月8日 (15年6ヶ月経過) 出願番号 2005-354818
公開日 2006年5月11日 (15年1ヶ月経過) 公開番号 2006-117529
状態 特許登録済
技術分野 ハロゲン、その化合物
主要キーワード 自動シーケンス制御 凝結器 冷却処理後 凝固開始温度 伝熱チューブ 塩素製造 副生塩化水素 渦流量計
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

少なくともモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンを含む塩化水素を、これらの不純物の濃度を不検出レベル(50volppb以下)にまで効率よく精製することができる、塩化水素の精製方法を提供する。

解決手段

少なくともモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンを含む塩化水素を、第1の凝縮器内で少なくとも10℃に冷却し、冷却された塩化水素と第1の凝縮液とに分離する工程と、第1の凝縮器から送出された前記塩化水素中に含まれるモノクロロベンゼンとo−ジクロロベンゼンとのモル比推定し、このモル比に応じて−45℃〜−10℃の範囲内から選ばれる温度に制御して冷却し、塩化水素と第2の凝縮液とに分離する工程とを有する塩化水素の精製方法。

概要

背景

塩素は、塩化ビニルホスゲンなどの原料として有用であり、塩化水素酸化によって得られることもよく知られている。この塩化水素として、ホスゲンと一級アミンとを反応させてイソシアネート類を合成する際に副生物として得られる塩化水素を利用することが知られている。このようにして得られた塩化水素を、触媒の存在下、接触気相反応により塩化水素を酸化することで、塩素が製造される。

イソシアネート類の合成に際しては、モノクロロベンゼン(MCB)と、o−ジクロロベンゼンODB)とが、溶媒として一般的に用いられている。たとえば、ジフェニルメタンジイソシアネートMDI:diphenylmethane diisocyanate)の合成の際にはMCBを、トルエンジイソシアネート(TDI:toluene diisocyanate)の合成の際にはODBが、それぞれ溶媒として用いられる。このため、イソシアネート類の合成の際の副生物である塩化水素には、飽和のMCBまたはODBが含まれており、この副生物の塩化水素を塩素の製造のための原料として用いる場合における不純物として問題となっていた。

塩化水素よりこれらの不純物を除去する方法としては、塩化水素を加圧・冷却し、有機物液化させて分離する方法が知られている。たとえば特許文献1(米国特許6719957号)には、MCBと比較して高い融点を有するODBが固結しないように(ODBの融点:−17.5℃、MCBの融点:−45℃)、温度の異なる2段の凝縮器で前記不純物を除去する方法が開示されている。しかしながら、この特許文献1に記載された方法では、冷却温度とその管理方法不明瞭であるため、効率よく前記不純物を除去することが困難であると考えられる。
米国特許6719957号

概要

少なくともモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンを含む塩化水素を、これらの不純物の濃度を不検出レベル(50volppb以下)にまで効率よく精製することができる、塩化水素の精製方法を提供する。少なくともモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンを含む塩化水素を、第1の凝縮器内で少なくとも10℃に冷却し、冷却された塩化水素と第1の凝縮液とに分離する工程と、第1の凝縮器から送出された前記塩化水素中に含まれるモノクロロベンゼンとo−ジクロロベンゼンとのモル比推定し、このモル比に応じて−45℃〜−10℃の範囲内から選ばれる温度に制御して冷却し、塩化水素と第2の凝縮液とに分離する工程とを有する塩化水素の精製方法。

目的

本発明の目的は、少なくともモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンを含む塩化水素を、これらの不純物の濃度を不検出レベル(50volppb以下)にまで効率よく精製することができる、塩化水素の精製方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

少なくともモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンを含む塩化水素を、第一凝縮器内で10℃以下に冷却し、冷却された塩化水素と第一凝縮液とに分離する工程と、第一凝縮器から送出された前記塩化水素中に含まれるモノクロロベンゼンとo−ジクロロベンゼンとのモル比推定し、このモル比に応じて−45℃〜−10℃の範囲内から選ばれる温度に制御して冷却し、塩化水素と第二凝縮液とに分離する工程とを有する、塩化水素の精製方法

請求項2

第一凝縮器に供する前の塩化水素を0.2MPa以上に圧縮する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項3

第一凝縮器に供する前の塩化水素を20℃以下に予め冷却する工程をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。

請求項4

第二凝縮器から導出された塩化水素を、前記予め冷却する工程における冷媒として用いることを特徴とする請求項3に記載の方法。

請求項5

第二凝縮器から導出された塩化水素を活性炭塔に導入する工程をさらに有する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

請求項6

活性炭塔を通過後の塩化水素ガス中のモノクロロベンゼンとo−ジクロロベンゼンを合わせた濃度が50volppb以下である、請求項5に記載の方法。

請求項7

塩化水素がイソシアネート類を合成する際に副生する塩化水素であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。

請求項8

第一凝縮器から導出される塩化水素に含まれるモノクロロベンゼンとo−ジクロロベンゼンとのモル比が、ジフェニルメタンジイソシアネートプラントトルエンジイソシアネートプラントから送られてくる副生塩化水素ガス流量と、各副生塩化水素に含まれるモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンの濃度と、第一凝縮器の出口における温度および圧力とから推定されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。

請求項9

触媒の存在下、塩化水素を酸化することにより塩素を製造するプロセスにおいて原料となる塩化水素を精製する方法に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、塩化水素ガス精製方法に関する。特に、イソシアネート類を合成する際に副生する塩化水素を精製する方法に関する。

背景技術

0002

塩素は、塩化ビニルホスゲンなどの原料として有用であり、塩化水素の酸化によって得られることもよく知られている。この塩化水素として、ホスゲンと一級アミンとを反応させてイソシアネート類を合成する際に副生物として得られる塩化水素を利用することが知られている。このようにして得られた塩化水素を、触媒の存在下、接触気相反応により塩化水素を酸化することで、塩素が製造される。

0003

イソシアネート類の合成に際しては、モノクロロベンゼン(MCB)と、o−ジクロロベンゼンODB)とが、溶媒として一般的に用いられている。たとえば、ジフェニルメタンジイソシアネートMDI:diphenylmethane diisocyanate)の合成の際にはMCBを、トルエンジイソシアネート(TDI:toluene diisocyanate)の合成の際にはODBが、それぞれ溶媒として用いられる。このため、イソシアネート類の合成の際の副生物である塩化水素には、飽和のMCBまたはODBが含まれており、この副生物の塩化水素を塩素の製造のための原料として用いる場合における不純物として問題となっていた。

0004

塩化水素よりこれらの不純物を除去する方法としては、塩化水素を加圧・冷却し、有機物液化させて分離する方法が知られている。たとえば特許文献1(米国特許6719957号)には、MCBと比較して高い融点を有するODBが固結しないように(ODBの融点:−17.5℃、MCBの融点:−45℃)、温度の異なる2段の凝縮器で前記不純物を除去する方法が開示されている。しかしながら、この特許文献1に記載された方法では、冷却温度とその管理方法不明瞭であるため、効率よく前記不純物を除去することが困難であると考えられる。
米国特許6719957号

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の目的は、少なくともモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンを含む塩化水素を、これらの不純物の濃度を不検出レベル(50volppb以下)にまで効率よく精製することができる、塩化水素の精製方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明の塩化水素の精製方法は、少なくともモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンを含む塩化水素を、第一凝縮器内で10℃以下に冷却し、冷却された塩化水素と第一凝縮液とに分離する工程と、第一凝縮器から送出された前記塩化水素中に含まれるモノクロロベンゼンとo−ジクロロベンゼンとのモル比推定し、このモル比に応じて−45℃〜−10℃の範囲内から選ばれる温度に制御して冷却し、塩化水素と第二凝縮液とに分離する工程とを有することを特徴とする。

0007

本発明の塩化水素の精製方法は、第一凝縮器に供する前の塩化水素を0.2MPa以上に圧縮する工程をさらに有することが好ましい。

0008

また本発明の塩化水素の精製方法は、第一凝縮器に供する前の塩化水素を20℃以下に予め冷却する工程をさらに有することが好ましい。

0009

また本発明の塩化水素の精製方法においては、第二凝縮器から導出された塩化水素を、前記予め冷却する工程における冷媒として用いることが好ましい。

0010

本発明の塩化水素の精製方法は、第二凝縮器から導出された塩化水素を活性炭塔に導入する工程をさらに有することが、好ましい。ここにおいて、活性炭塔を通過後の塩化水素ガス中のモノクロロベンゼンとo−ジクロロベンゼンを合わせた濃度が50volppb以下であることが、より好ましい。

0011

また本発明における塩化水素は、イソシアネート類を合成する際に副生する塩化水素であることが好ましい。

0012

本発明の塩化水素の精製方法は、第一凝縮器から導出される塩化水素に含まれるモノクロロベンゼンとo−ジクロロベンゼンとのモル比が、ジフェニルメタンジイソシアネートプラントとトルエンジイソシアネートプラントから送られてくる副生塩化水素ガス流量と、各副生塩化水素に含まれるモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンの濃度と、第一凝縮器の出口における温度および圧力とから推定されることが、好ましい。

0013

また本発明の塩化水素の精製方法は、触媒の存在下、塩化水素を酸化することにより塩素を製造するプロセスにおいて原料となる塩化水素を精製する方法に用いられることが好ましい。

発明の効果

0014

本発明によれば、従来と比較して格段に効率的な塩化水素の精製が可能となり、少なくともモノクロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンを含む塩化水素を、これらの不純物の濃度を不検出レベル(10ppb以下)にまで低下させることができる。

発明を実施するための最良の形態

0015

図1は、本発明の塩化水素の精製方法を模式的に示す図である。本発明の塩化水素の精製方法は、少なくともモノクロロベンゼン(MCB)およびo−ジクロロベンゼン(ODB)を含む塩化水素より、MCBおよびODBを効率的除去し、精製された塩化水素を得るものである。

0016

本発明の方法ではまず、上記少なくともMCBおよびODBを含む塩化水素1を、第一凝縮器Aで冷却し、冷却された塩化水素2と第一凝縮液3とに分離する工程を含む。ここで、第一凝縮器Aによる冷却温度は、10℃以下とする。この第一凝縮器Aによる冷却温度が10℃を超える場合には、凝縮量が少なく、より多くの凝縮液を得るためには、過大に塩化水素を圧縮しなければならないという不具合があるためである。第一凝縮器Aによる冷却温度は、ODBの固結防止の観点からは、−15℃〜0℃であるのが好ましく、−15℃〜−10℃であるのがより好ましい。

0017

この工程では、少なくともMCBおよびODBを含む塩化水素1を、MCBよりも高い融点を有するODBの融点(−17.5℃)よりもやや高めの温度にまで冷却することで、当該塩化水素1中に含まれるODBの一部を凝縮させ、第一凝縮液3として分離する。当該工程にて、塩化水素中に含まれるODBが主として回収される。

0018

次に、第一凝縮器Aにおいて冷却された塩化水素2を、第二凝縮器Bに送り、さらに低い温度で凝縮する。本発明においては、この第二凝縮器Bによる冷却温度が、当該第一凝縮器Aから送出された塩化水素2に含まれるMCBとODBとのモル比を推定し、このモル比に応じて、−45℃〜−10℃の範囲内から選ばれる温度となるように制御することを特徴とする。

0019

すなわち、この工程では、第一凝縮器Aより送出された塩化水素2に含まれるMCBおよびODBの比率を把握し、この比率に応じて、MCBおよびODBが固結しない温度に制御して冷却することで、塩化水素2に含まれるMCBおよびODBの大部分を凝縮し、第二凝縮液5として塩化水素4より分離する。

0020

当該工程における第二凝縮器Bによる冷却温度は、−45℃〜−10℃の範囲から選択する。第二凝縮器Bによる冷却温度が−45℃未満であると、MCBの一部が固結する虞が生じる不具合があるためであり、また、第二凝縮器Bによる冷却温度が−10℃を超えると、MCBの大部分が凝縮されずに第二凝縮器Bからリークするという不具合があるためである。また、より効率的にMCBを凝縮するためには、第二凝縮器Bによる冷却温度は上記範囲の中でも−45℃〜−10℃の範囲から選択することが好ましく、−45℃〜−20℃の範囲から選択することが好ましい。

0021

当該工程において、第一凝縮器Aから送出された塩化水素2に含まれるMCBとODBとのモル比を推定する方法は特に制限されるものではなく、従来公知の適宜の方法により行うことができる。本発明においては、精製される塩化水素が、好ましくはイソシアネート類を合成する際に副生する塩化水素であり、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)プラントとトルエンジイソシアネート(TDI)プラントから送られてくる副生塩化水素のガス流量と、各副生塩化水素に含まれるMCDおよびODBの濃度と、第一凝縮器Aの出口における温度および圧力とから、この塩化水素2に含まれるMCBとODBとのモル比を推定するのが、好ましい。このようにしてMCBとODBとのモル比を推定することで、第二凝縮器内でより効率的にMCBを凝縮できるという利点がある。

0022

図2は、本発明の塩化水素の精製方法における第二凝結器Bによる冷却操作の一例を説明するためのグラフである。図2のグラフにおいて、縦軸凝固開始温度(℃)、横軸はMCBモル分率(=MCB/MCB+ODB)を示している。上述したように、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の合成の際には、溶媒としてMCBを用いるため、当該MDIプラントから副生される塩化水素にはMCBが不純物として含まれる。また、トルエンジイソシアネート(TDI)の合成の際には、溶媒としてODBを用いるため、当該TDIプラントから副生される塩化水素にはODBが不純物として含まれる。したがって、MDIプラントおよびTDIプラントから送られてくる副生塩化水素のガス流量と、各副生塩化水素に含まれるMCDおよびODBの濃度とから、第一凝縮器Aに導入する前の塩化水素1中におけるMCDおよびODBの含有量が推定できる。そして、この塩化水素1中におけるMCDおよびODBの含有量の推定値と、第一凝縮器Aの出口における温度および圧力とから、第一凝縮器Aによる冷却処理後の塩化水素2中に含まれるMCDおよびODBの含有量を推定でき、この値からMCBモル分率(=MCB/MCB+ODB)を算出できる。

0023

なお、上記MDIプラントおよびTDIプラントから送られてくる副生塩化水素のガス流量の測定は、たとえば渦流量計などの公知の流量計を用いて測定することができる。また、上記副生塩化水素中に含まれるMCDおよびODBの濃度は、たとえばオンラインガスクロマトグラフィーによって測定することができる。

0024

本発明においては、好ましくは、この推定されたMCBモル分率の値に基づき、第二凝縮器Bによる冷却温度を制御する。図2には、MCBモル分率と、凝固開始温度との関係を模式的に示している。すなわち、MCBモル分率が0(塩化水素中のMCBの含有量が0)である場合には、凝固開始温度はODBの融点である−17.5℃となる。そして、MCBモル分率が増加する(塩化水素中のODBの含有量が減少する)に従って、MCBモル分率が約0.69の場合の−61℃にまで緩やかな曲線を描いて低下するような挙動を示す。この−61℃以下では、MCBモル分率に関わらず、塩化水素中のMCBおよびODBは凝固してしまう。また、MCBモル分率が約0.69を超えて増加するに従い、今度はMCBモル分率が1(すなわち、塩化水素中のODBの含有量が0)である場合のMCBの融点である−45℃まで凝固開始温度は緩やかな曲線を描いて上昇するような挙動を示す。

0025

本発明における第二凝結器Bの冷却温度は、上述した−45℃〜−10℃の範囲内で、塩化水素中に含まれるMCBおよびODBが固結してしまわない条件となる(すなわち、図2のグラフにおいて液相である領域となる)ように制御される。図2に示す例では、たとえば、MCBモル分率が0以上0.5未満の範囲内では、上記曲線の近似する直線上に冷却操作温度を設定する(図2に示す例では、MCBモル分率xに対し、y=−50x−15の関係を満たすように冷却操作温度yを設定する。)。また、たとえばMCBモル分率が0.5以上1以下の範囲では、−40℃に冷却操作温度を設定する(y=−40)。このような制御を行うことで、第二凝結器Bを用いた効率的な塩化水素の精製を実現することができる。

0026

図3は、本発明の塩化水素の精製方法における第二凝結器Bによる冷却操作の他の例を説明するためのグラフである。本発明の塩化水素の精製方法では、図2に示した冷却操作をより簡略化した方法として、図3に示す例の方法を採用してもよい。図3に示す場合では、冷却操作温度を3点のみ設定している。すなわち、MCBモル分率が0以上0.3未満の範囲では−15℃に冷却操作温度を設定し(y=−15)、MCBモル分率が0.3以上0.5未満の範囲では−25℃に冷却操作温度を設定し(y=−25)、MCBモル分率が0.5以上1以下の範囲では−40℃に冷却操作温度を設定する(y=−40)。このような冷却操作を行うことによって、比較的簡便に冷却温度を設定できるという利点が得られる。

0027

また図4は、本発明の塩化水素の精製方法における第二凝結器Bによる冷却操作のさらに他の例を説明するためのグラフである。本発明の塩化水素の精製方法では、図3に示した冷却操作をより簡略化した方法として、図4に示す例の方法を採用してもよい。図4に示す場合では、冷却操作温度を2点のみ設定している。すなわち、MCBモル分率が0以上0.5未満の範囲では−15℃に冷却操作温度を設定し(y=−15)、MCBモル分率が0.5以上1以下の範囲では−40℃に冷却操作温度を設定する(y=−40)。このような冷却操作を行うことによって、MCBモル比の測定に多少の振れ幅があったとしても、十分な余裕をもって凝縮を行うことができるという利点が得られる。

0028

本発明の塩化水素の精製方法において、塩化水素2に含まれるMCBとODBとのモル比の推定、ならびに、第二凝結器Bにおける冷却温度の制御は、たとえばプラント制御システムの中に組み込んでオンラインで自動計算することにより実現することができる。

0029

上述したような本発明の塩化水素の精製方法では、塩化水素に含まれるMCBおよび/またはODBの含有量を不検出レベル(10volppb〜50volppb)にまで低減することができる。

0030

本発明の塩化水素の精製方法は、ODBおよびMCBの凝縮温度を高めるために、図1に示す例のように、第一凝縮器Aに供する前の塩化水素1を、圧縮機Cに供して圧縮する工程をさらに有することが好ましい。圧縮後の塩化水素1の圧力は、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上である。圧縮後の塩化水素1の圧力が0.2MPa未満であると、気相中のODB、MCBの濃度が高くなる傾向にあるためである。また、電力原単位が過大とならないように、圧縮後の塩化水素1の圧力は2.0MPa以下であることが好ましい。なお、圧縮器Cによる昇圧前の塩化水素1の圧力は、一般的には、0.1〜0.6MPaである。

0031

また本発明の塩化水素の精製方法は、第一凝縮器Aに供する前の塩化水素を20℃以下に予め冷却する工程をさらに有することが好ましい。上述した圧縮後の塩化水素1の温度は、通常、30〜150℃であり、これを第一凝縮器Aに直接導入してもよいが、図1に示す例のように、冷却器Dを介して予備的に冷却した後に第一凝縮器Aに供するようにすることで、第一凝縮器Aの熱負荷下げることができるようになるため、好ましい。

0032

冷却器Dにより、塩化水素1は20℃以下に予備的に冷却されることが好ましい。冷却器Dによる冷却温度が20℃を超える場合には、第一凝縮器における冷却負荷が過大になる傾向にあるためである。塩化水素1は、冷却器Dによって15℃以下にまで冷却されることが好ましく、10℃以下にまで冷却されることがより好ましい。また、伝熱チューブ内でのODB凝固を避けるため、冷却器Dによる冷却温度は−15℃以上であることが好ましい。

0033

冷却器Dにおける冷媒は、冷却水チルド水を用いるのが一般的であるが、本発明の塩化水素の精製方法では、上述した第二凝縮器Bにより第二凝縮液5と分離後の塩化水素4を冷媒として用いると、冷熱回収できる点で好ましい。

0034

本発明の塩化水素の精製方法においては、第二凝縮器Bにより第二凝縮液5と分離後の塩化水素4は、(好ましくは上記冷却器Dの冷媒として利用された後)活性炭塔Eに導入する工程を含むことが好ましい。このように塩化水素4を活性炭塔に導入することで、MCBおよびODBをはじめとした塩素化有機化合物が完全に除去され、精製された塩化水素5を得ることができる。好ましくは、活性炭塔を通過後の塩化水素ガス中のMCBとODBを合わせた濃度は、50volppb以下である。

0035

本発明における活性炭塔Eにおいて使用される活性炭の材料としては、石炭椰子殻などが挙げられるが、特に限定されるものではない。また活性炭の形状は、粒状、繊維状、円柱状、球状などが挙げられる。たとえば、日本エンバイケミカルズ(株)の白鷺WH2C8/32は好適に使用される。

0036

活性炭塔Eにおける実ガス線速は、特に制限されるものではないが、通常0.05〜1m/sの範囲であり、好ましくは0.1〜0.5m/s、さらに好ましくは0.1〜0.3m/sである。また、活性炭塔Eにおける吸着温度についても特に制限されるものではないが、通常−40〜30℃であり、好ましくは−10〜20℃、さらに好ましくは0〜10℃である。

0037

活性炭塔Eは、たとえば、図1に示すように、2を設置して、交互に切り替えて使用することができる。一方に塩化水素ガスを通気している間は、他方は窒素のような不活性ガスを導入して吸着した塩素化有機物を脱離する。脱離温度は、特に制限されるものではないが、通常50〜300℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜250℃である。

0038

上記活性炭塔Eの切り替えは手動であってもよく、また吸着・切り替え・脱離の一連の作業をプログラム化した自動シーケンス制御を行なってもよい。1回の吸着に要する時間は任意であるが、通常は1日〜20日の範囲で行う。

0039

本発明における塩化水素の精製方法によると、塩化水素ガス中の塩素化芳香族化合物の量を不検出レベルに低減することが可能であり、塩化水素の酸化による塩素製造プロセス用の原料ガスとして好ましく用いることができる。

0040

以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0041

TDIプラントから副生される塩化水素ガスと、MDIプラントから副生される塩化水素ガスを両者併せて500kmol/h使用して塩化水素酸化の原料とする。TDI副生塩化水素中にはODBが100volppm、MDI副生塩化水素中にはMCBが100volppm含有されている。混合ガスを以下の方法で凝縮し、ODBおよびMCBを分離した。

0042

<実験例1>
TDI副生塩化水素ガス400kmol/hと、MDI副生塩化水素ガス100kmol/hを混合して塩化水素酸化の原料とする。混合ガスにはODBが40mol/h、MCBが10mol/h含有されている。このガスを第一凝縮器に導入して−15℃に冷却した結果、冷却後のガスにはODBが6.8mol/h、MCBが6.9mol/hと計算され、MCBモル分率は0.51となる。そこで、図2に示したグラフより、第二凝縮器の冷却操作温度を−40℃に設定した。その結果、冷却後のガスにはODBが0.1mol/h、MCBが1.6mol/h含まれ、ODBおよびMCBの塩化水素ガスに対する濃度は3.4volppmとなった。

0043

<実験例2>
TDI副生塩化水素ガス450kmol/hとMDI副生塩化水素ガス50kmol/hを混合して塩化水素酸化の原料とする。混合ガスにはODBが45mol/h、MCBが5mol/h含有されている。このガスを第一凝縮器に導入して−15℃に冷却した後、冷却後のガスにはODBが7.1mol/h、MCBが3.3mol/hと計算され、MCBモル分率は0.32となる。この場合、図2に示したグラフより、第二凝縮器で−40℃まで温度を下げるとMCBおよびODBの一部が固結するおそれがあるので、y=−50x−15の式を満たすように、第二凝縮器の冷却操作温度を−31℃に設定した。冷却後のガスには、ODBが1.1mol/h、MCBが2.4mol/h含まれ、ODB+MCBの塩化水素ガスに対する濃度は7.4volppmとなる。

0044

今回開示された実施の形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

図面の簡単な説明

0045

本発明の塩化水素の精製方法を模式的に示す図である。
本発明の塩化水素の精製方法における第二凝結器Bによる冷却操作の一例を説明するためのグラフである。
本発明の塩化水素の精製方法における第二凝結器Bによる冷却操作の他の例を説明するためのグラフである。
本発明の塩化水素の精製方法における第二凝結器Bによる冷却操作のさらに他の例を説明するためのグラフである。

符号の説明

0046

1塩化水素、2 塩化水素、3 第一凝縮液、4 塩化水素、5 第二凝縮液、A 第一凝縮器、B 第二凝縮器、C圧縮器、D冷却器、E活性炭塔。

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