図面 (/)

技術 放射線測定器

出願人 日立アロカメディカル株式会社
発明者 小林祐介加藤徹
出願日 2004年9月28日 (16年2ヶ月経過) 出願番号 2004-281259
公開日 2006年4月13日 (14年7ヶ月経過) 公開番号 2006-098081
状態 特許登録済
技術分野 放射線の測定
主要キーワード 移動平均後 容器電極 波形勾配 測定値群 移動平均処理後 測定値メモリ 移動平均期間 バリエーション展開
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2006年4月13日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題

サーベイメータなどの放射線測定器において静電気ノイズによる影響ができる限り現れないようにする。

解決手段

測定値(生データ)列に対する移動平均処理によって移動平均値列が求められる。静電気ノイズ200は前半の第1部分と後半の第2部分とに大別され、第1部分が検出された場合、第2部分の期間内においては過去に求められたA−1点の移動平均値が表示され続ける。第2波形部分が検出された場合、A点からC点までの期間内における測定値が移動平均処理の対象から除外される。これによって、静電気ノイズが表示される問題を軽減でき、またその発生後において静電気ノイズの影響が移動平均処理に残存することを防止できる。

概要

背景

サーベイメータなどの放射線測定器では、一般に、一連測定値に対する移動平均処理平滑化処理)が適用される。すなわち、現在から過去に遡った移動平均期間内の複数の測定値が用いられ、それらに対して波形を滑らかにするあるいはバックグランドノイズ抑圧する移動平均処理が適用される。このような処理により、リアルタイム表示される表示値指示値)にノイズが直接的に現れて、表示値が大きく変動することが防止されている。下記の特許文献1及び特許文献2には、移動平均期間を状況に応じて動的に設定することが記載されている。

電離箱を利用した放射線測定器は一般に静電気による影響を受けやすい。例えば、静電気が電離箱に流れると、電離箱に印加している直流電圧がふらつき、その影響が電離箱の出力信号に現れる。そこで、リアルタイム表示している表示値に静電気の影響ができる限り表れないようすることが望まれ、また、上記の移動平均処理の対象に静電気による波形が取り込まれないようにすることが望まれる。

下記の特許文献3には、放射線測定において、パルス幅を基準としてノイズ除去を行うことが記載されている。下記の特許文献4には、放射線測定において、ソフトウエア処理を用いて波形の面積を利用してノイズを除去することが記載されている。しかし、特許文献1〜4のいずれにも効果的な静電気対策については記載されていない。

特開平7−134180号公報
特開平10−82860号公報
特開2004−212337号公報
特開平9−80084号公報

概要

サーベイメータなどの放射線測定器において静電気ノイズによる影響ができる限り現れないようにする。測定値(生データ)列に対する移動平均処理によって移動平均値列が求められる。静電気ノイズ200は前半の第1部分と後半の第2部分とに大別され、第1部分が検出された場合、第2部分の期間内においては過去に求められたA−1点の移動平均値が表示され続ける。第2波形部分が検出された場合、A点からC点までの期間内における測定値が移動平均処理の対象から除外される。これによって、静電気ノイズが表示される問題を軽減でき、またその発生後において静電気ノイズの影響が移動平均処理に残存することを防止できる。

目的

本発明の目的は、放射線の測定において、静電気による影響を除外又は軽減することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

放射線の測定により各時刻測定値を出力する測定値出力手段と、移動平均期間内の複数の測定値に対して移動平均処理を行うことにより、各時刻の移動平均値を求める移動平均処理手段と、前記各時刻の移動平均値を監視し、静電気に起因する固有波形における第1波形部分を検出する第1波形部分検出手段と、前記各時刻の移動平均値を順次監視し、静電気に起因する固有波形における第1波形部分に続く第2波形部分を検出する第2波形部分検出手段と、前記第1波形部分に続いて前記第2波形部分が検出された場合に、前記固有波形に相当する期間内において得られた複数の測定値をその後の移動平均処理の対象から除外する除外処理を実行する除外処理手段と、を含むことを特徴とする放射線測定器

請求項2

請求項1記載の放射線測定器において、通常期間において前記各時刻の移動平均値を表示する通常表示処理を実行し、前記第1波形部分が検出されてから前記第2波形部分の存否確定するまでの期間において各時刻の移動平均値に代えて暫定移動平均値を表示する暫定表示処理を実行する表示処理手段を含むことを特徴とする放射線測定器。

請求項3

請求項1記載の放射線測定器において、前記第1波形部分は前記静電気に起因する固有波形における立ち上がり部分であり、前記第2波形部分は前記静電気に起因する固有波形における立ち下がり部分であることを特徴とする放射線測定器。

請求項4

請求項2記載の放射線測定器において、前記暫定移動平均値は、前記静電気に起因する固有波形より前の過去の移動平均値に基づくものであることを特徴とする放射線測定器。

請求項5

請求項2記載の放射線測定器において、前記表示処理手段は、前記第1波形部分より後の所定期間内において前記第2波形部分が検出されなかった場合には前記暫定表示処理を終了させて前記通常表示処理へ復帰させることを特徴とする放射線測定器。

請求項6

請求項1記載の放射線測定器において、前記第1波形部分検出手段は、時間的に隣接する移動平均値を比較することにより、前記第1波形部分の初期点を認識し、その初期点の直前にある基準点を認識する手段と、前記基準点の移動平均値と各時刻の移動平均値とを比較することにより、前記第1波形部分の下降点を認識する手段と、を含み、前記初期点と前記下降点が認識された場合に前記第1波形部分の検出とみなされることを特徴とする放射線測定器。

請求項7

請求項6記載の放射線測定器において、前記第2波形部分検出手段は、前記基準点の移動平均値と各時刻の移動平均値とを比較することにより、前記第2波形部分の終了点を認識する手段を含み、前記下降点の後の一定期間内に前記終了点が認識された場合に前記第2波形部分の検出とみなされることを特徴とする放射線測定器。

請求項8

請求項6記載の放射線測定器において、前記除外処理では前記初期点から前記終了点までの複数の測定値が前記移動平均処理から除外されることを特徴とする放射線測定器。

請求項9

請求項7記載の放射線測定器において、前記下降点が検出されてから前記終了点までの期間において各時刻の移動平均値に代えて前記基準点の移動平均値が表示されることを特徴とする放射線測定器。

技術分野

0001

本発明は放射線測定器に関し、特に、静電気ノイズによる影響を除去又は軽減するための技術に関する。

背景技術

0002

サーベイメータなどの放射線測定器では、一般に、一連測定値に対する移動平均処理平滑化処理)が適用される。すなわち、現在から過去に遡った移動平均期間内の複数の測定値が用いられ、それらに対して波形を滑らかにするあるいはバックグランドノイズ抑圧する移動平均処理が適用される。このような処理により、リアルタイム表示される表示値指示値)にノイズが直接的に現れて、表示値が大きく変動することが防止されている。下記の特許文献1及び特許文献2には、移動平均期間を状況に応じて動的に設定することが記載されている。

0003

電離箱を利用した放射線測定器は一般に静電気による影響を受けやすい。例えば、静電気が電離箱に流れると、電離箱に印加している直流電圧がふらつき、その影響が電離箱の出力信号に現れる。そこで、リアルタイム表示している表示値に静電気の影響ができる限り表れないようすることが望まれ、また、上記の移動平均処理の対象に静電気による波形が取り込まれないようにすることが望まれる。

0004

下記の特許文献3には、放射線測定において、パルス幅を基準としてノイズ除去を行うことが記載されている。下記の特許文献4には、放射線測定において、ソフトウエア処理を用いて波形の面積を利用してノイズを除去することが記載されている。しかし、特許文献1〜4のいずれにも効果的な静電気対策については記載されていない。

0005

特開平7−134180号公報
特開平10−82860号公報
特開2004−212337号公報
特開平9−80084号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の目的は、放射線の測定において、静電気による影響を除外又は軽減することにある。

0007

本発明の他の目的は、リアルタイム表示されている表示値に静電気の影響ができる限り表れないようにすることにある。

0008

本発明の他の目的は、静電気に相当する測定値が移動平均処理対象から除外されるようにして、静電気発生後においてその静電気の影響が残存することを防止又は軽減することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、放射線の測定により各時刻の測定値を出力する測定値出力手段と、移動平均期間内の複数の測定値に対して移動平均処理を行うことにより、各時刻の移動平均値を求める移動平均処理手段と、前記各時刻の移動平均値を監視し、静電気に起因する固有波形における第1波形部分を検出する第1波形部分検出手段と、前記各時刻の移動平均値を順次監視し、静電気に起因する固有波形における第1波形部分に続く第2波形部分を検出する第2波形部分検出手段と、前記第1波形部分に続いて前記第2波形部分が検出された場合に、前記固有波形に相当する期間内において得られた複数の測定値をその後の移動平均処理の対象から除外する除外処理を実行する除外処理手段と、を含むことを特徴とする。

0010

上記構成において、測定値出力手段は望ましくは電離箱部として構成されるが、他の測定機器であってもよい。移動平均期間は固定期間あるいは可変期間であり、例えば、測定値のばらつきや分散などを基礎として移動平均期間が適応的に設定されるのが望ましい。静電気に起因するノイズ(静電気ノイズ)の波形は固有の形態を有し、上記構成では、その固有波形の第1波形部分と第2波形部分を個別的に検出することによって、適切な除外処理等を達成できる。各波形部分の検出を各時刻の測定値(移動平均処理前の値)を基礎として行うことも可能であるが、測定値がバックグランドレベルにおいてかなり激しく変動し、そのような状況下では静電気ノイズを明確に認識できないおそれがあるために、移動平均処理後の移動平均値を基礎として各波形部分の検出が行われる。

0011

上記構成によれば、第1波形部分に続いて第2波形部分が検出された場合には真の信号ではなく静電気ノイズであると判断され、その静電気ノイズに相当する期間内に存在する複数の測定値がその後の移動平均処理の対象から除外される。よって、その除外処理により、静電気ノイズの影響により移動平均処理を適正に行えない問題を解消できる。換言すれば、静電気ノイズの発生後におけるその影響の残存を強制的に排除できる。除外処理は単に複数の測定値を除外するものであってもよいが、その除外後にダミー値を挿入するものであってもよい。上記構成においては、第1波形部分の検出に加えて第2波形部分の検出を併用しているので正確な除外処理を行える。

0012

望ましくは、通常期間において前記各時刻の移動平均値を表示する通常表示処理を実行し、前記第1波形部分が検出されてから前記第2波形部分の存否確定するまでの期間において各時刻の移動平均値に代えて暫定移動平均値を表示する暫定表示処理を実行する表示処理手段を含む。

0013

上記構成によれば、第1波形部分が検出されて静電気ノイズの発生の可能性が出てきた段階で、静電気ノイズの第2波形部分の全体が検出されるまで、あるいは静電気ノイズでなかったと判断されるまで、暫定的に暫定移動平均値を表示させておくことができる。ここで第1波形部分は基本的にそのまま表示される。真の信号は第1波形部分に近い形態を有することもあり、第1波形部分を表示させないようにすると、真の信号も表示されなくなるおそれがあるが、上記構成によれば、真の信号の表示を確保できる。その上で、第2波形部分の表示を回避して表示内容を部分的に適正化して、ユーザー誤認を軽減できる。第2波形部分が一定期間内に検出できないような場合にはその期間の経過によって通常表示処理に復帰する。

0014

望ましくは、前記第1波形部分は前記静電気に起因する固有波形における立ち上がり部分であり、前記第2波形部分は前記静電気に起因する固有波形における立ち下がり部分である。立ち上がり部分及び立ち下がり部分は一般にそれぞれ複数の特徴点を認識することによって検出することができる。立ち上がり部分についての最後の特徴点と立ち下がり部分の最初の特徴点とが一致するものであってもよい。なお、波形勾配あるいは変動傾向などの特徴量を利用することもできる。

0015

望ましくは、前記暫定移動平均値は、前記静電気に起因する固有波形より前の過去の移動平均値に基づくものである。その場合、固有波形直前の移動平均値を用いることもできるし、固有波形前の複数の移動平均値の平均値を用いることもできる。

0016

望ましくは、前記表示処理手段は、前記第1波形部分より後の所定期間内において前記第2波形部分が検出されなかった場合には前記暫定表示処理を終了させて前記通常表示処理へ復帰させる。この構成によれば、何らかの事情によって第2波形部分の検出を行えなかった場合に、リアルタイム表示を行えない期間が増大することを防止できる。

0017

望ましくは、前記第1波形部分検出手段は、時間的に隣接する移動平均値を比較することにより、前記第1波形部分の初期点を認識し、その初期点の直前にある基準点を認識する手段と、前記基準点の移動平均値と各時刻の移動平均値とを比較することにより、前記第1波形部分の下降点を認識する手段と、を含み、前記初期点と前記下降点が認識された場合に前記第1波形部分の検出とみなされる。

0018

上記構成では、初期点と下降点との認識によって、迅速かつ容易に第1波形部分を検出することができる。もちろん、より多くの点を認識するようにして、第1波形部分の検出精度を高めるようにしてもよい。

0019

望ましくは、前記第2波形部分検出手段は、前記基準点の移動平均値と各時刻の移動平均値とを比較することにより、前記第2波形部分の終了点を認識する手段を含み、前記下降点の後の一定期間内に前記終了点が認識された場合に前記第2波形部分の検出とみなされる。

0020

上記構成では、下降点の後の終了点の認識によって(あるいは下降点と終了点の認識によって)、迅速かつ容易に第2波形部分を検出することができる。もちろん、より多くの点を認識するようにして、第2波形部分の検出精度を高めるようにしてもよい。

0021

望ましくは、前記除外処理では前記初期点から前記終了点までの複数の測定値が前記移動平均処理から除外される。望ましくは、前記下降点から前記終了点までの期間において各時刻の移動平均値に代えて前記基準点の移動平均値が表示される。

発明の効果

0022

以上説明したように、本発明によれば、放射線の測定において、静電気による影響を除外又は軽減できる。本発明によれば、リアルタイム表示されている表示値に静電気の影響ができる限り表れないようにすることができる。あるいは、本発明によれば、静電気に相当する測定値が移動平均処理対象から除外されるようにして、静電気発生後においてその静電気の影響が残存することを防止又は軽減することができる。

発明を実施するための最良の形態

0023

以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。

0024

図1には、本発明に係る放射線測定器の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す概念図である。この放射線測定器は、屋内あるいは屋外において放射線を検出するサーベイメータである。測定対象となる放射線は、例えばγ線であるが、もちろんβ線などの他の放射線が測定対象となってもよい。

0025

放射線測定器は、電離箱部10と信号演算部12とを有する。電離箱部10は放射線検出器として機能し、信号演算部12はエレクトロメータ回路29及び信号処理回路を有している。本実施形態では検出された信号はデジタル信号に変換され、その信号に対してソフトウエア処理によって測定結果が求められている。なお、電離箱方式以外の方式を利用して放射線の検出を行うようにしてもよい。また、本実施形態においてはコンデンサによる電荷蓄積型のエレクトロメータ回路29が用いられているが、例えば抵抗による電流電圧変換方式に従う回路構成を採用することもできる。

0026

電離箱部10は、容器14を有する。容器14は例えばABS樹脂などによって構成され、その内面には電極層16が形成されている。この電極層16は容器電極を構成するものである。電離箱部10の内部には集電極18が配置されている。図中符号24は絶縁性を向上するためのガードリングを表している。電源22によって電極層16と集電極18との間に電圧が印加される。その電圧は例えば30Vであるが、もちろんそれ以上の高電圧を印加するようにしてもよい。電極層16と集電極18との間に電圧が印加された状態において、放射線26が電離箱部10の内部に進入すると、それによって電離箱部10内のガス電離し、これによって集電極18において電荷が補集される。その電荷は電離箱部10から信号演算部12におけるエレクトロメータ回路29へ出力される。

0027

静電気が発生すると、それにより、例えば、電極層16と集電極18との間における電圧が変動し、静電気ノイズが発生する。そのような静電気ノイズは真の信号の演算等において悪影響を生じさせるものであり、それをできる限り除外する必要がある。そのための処理が信号演算部12に備わっている。これについては後に詳述する。

0028

エレクトロメータ回路29はコンデンサC及びプリアンプ30を有する。エレクトロメータ回路29はコンデンサCに蓄積された電荷量に相当する電圧信号ADC32へ出力する。

0029

図2には、コンデンサCに蓄積される蓄積電荷量の時間的な変化が示されている。(A)は線源からの放射線を電離箱部10へ照射した場合の特性を示しており、(B)には静電気による場合を示している。いずれの特性においても右肩上がりとなっており、これはバックグランドによってコンデンサCに徐々に電荷が蓄積されることを表している。(A)に示すように、符号110で示すタイミングで線源からの放射線が照射されると、それに伴って段差が生じ、蓄積電荷量はその照射に対応した分だけ徐々に上昇する。一方、(B)に示すように、符号112で示すタイミングで静電気が発生すると、蓄積電荷量はそれぞれのタイミングで一瞬上昇するもののその直後に減少する特異な挙動を示すことになる。本実施形態においては、(B)に示した特性及び(B)に示した特性の違いを利用して静電気ノイズを適正に判定し、その静電気ノイズによる影響をできる限り排除することを特徴とするものである。その詳細については後に説明する。

0030

図1に戻って、エレクトロメータ回路29からの出力を受けるADC32は、入力される信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号であるデータ(測定値)をプロセッサ34へ与えている。ADC32のサンプリングレートは所望のものに設定することができ、例えばサンプリング間隔は0.1〜1.0sであり、望ましくは0.5sである。もちろん、細かくサンプリングを行った上で、表示値を表示する場合にはもっと遅い表示レートを採用するようにしてもよい。

0031

プロセッサ34はマイコンなどによって構成され、時系列順で入力される測定値に対して移動平均処理を適用し、その移動平均処理の結果である移動平均値を表示値としてLCD(液晶表示器)36に出力する。LCD36には上記のように演算された表示値が表示されることになり、その表示値は空間線量率などの単位で表される。本実施形態では、静電気ノイズが生じた場合には、その第1波形部分に続く第2波形部分について過去の最も確からしい表示値を現在の表示値に代えて表示する処理を行っている。これについては後に図3などを用いて詳述するが、プロセッサ34は移動平均後の波形を解析して、必要に応じて表示値の差し替えを行っており、また必要に応じて生データとしての測定値の削除を行っている。これは移動平均処理が一定期間に亘る複数の測定値を対象にして行われることを前提として、静電気ノイズの発生後の移動平均処理において静電気ノイズの影響が残存しないようにするためである。

0032

ちなみに、本実施形態におけるサーベイメータは可搬型であるが、もちろん固定設置型の放射線測定器に本発明を適用することもできる。

0033

図3には、プロセッサ34が有する機能がブロック図として示されている。図3に示される各機能はプロセッサ34におけるソフトウエア動作によって実現されるものである。測定値メモリ40は例えばリングバッファのような構造を有しており、現在の測定値から過去における一定期間内の測定値までの一連の測定値列を記憶している。移動平均処理部42は現在から過去に遡った一定時期までを移動平均処理期間とし、その移動平均処理期間内における複数の測定値に対して移動平均処理(平滑化処理)を実行し、これによって現在の移動平均値を求めている。すなわち、各時刻ごとに移動平均値が求められる。この場合において、移動平均期間は本実施形態において現在から過去に遡ってみた場合に一定の分散値内に各測定値(あるいはそれに基づく別の演算値)が入るところまでとして設定されており、すなわち移動平均期間は可変である。これについては上記特許文献1に記載された方法などを利用できる。定常的な状態にある場合には比較的長い移動平均期間が設定されることになり、激しく変動しているような状況下では比較的短い移動平均期間が設定される。特に、定常的な状態において突発的に静電気ノイズが発生すると、上記のように比較的長い移動平均期間が設定されることからその静電気ノイズの影響がその発生後もかなり長い時間にわたって残存することになるため、本実施形態においては後に説明する除外処理部52によってそのような問題を防止するようにしている。移動平均期間は固定設定されてもよい。また移動平均期間を可変設定する場合においても、本実施形態のように測定値のばらつき度合いを参照するのではなく、他の基準に基づいて移動平均期間を適応的に設定するようにしてもよい。

0034

移動平均値メモリ46には移動平均値が一時的に格納される。これは後に説明する暫定表示処理あるいは代替表示処理において過去の適正な移動平均値をもって現在の表示値とするためである。したがって移動平均値メモリ46には現在の移動平均値から過去に遡って必要な個数分の移動平均値が格納されることになる。

0035

表示処理部44は、通常表示処理においては移動平均処理部42から出力される現在の移動平均値を表示値としてそのまま出力する。その一方において静電ノイズ波形における後半部分に相当する第2波形部分に相当する期間においてはそれをそのまま表示させないために、現在の移動平均値に代えて移動平均値メモリ46から読み出される特定の移動平均値(暫定移動平均値あるいは代表移動平均値)を出力するようにしている。

0036

波形解析部48は、移動平均処理部42から出力される時系列順の移動平均値を参照し、静電気ノイズに相当する固有波形を認識している。具体的にはその演算処理を簡便に行うため、本実施形態では後に説明するようにA点、B点、C点の3つの検出が行われており、またA点の一つ前の点としてA−1点も特定されている。波形解析部48はタイマー50を有しており、例えばA点を検出した後に一定期間を経てもB点が検出されない場合には波形解析処理のルーチンリセットしている。これはC点の検出についても同様であり、B点の検出の後に一定の期間を経過してもC点の検出が行えなかった場合には波形解析処理のルーチンを初期に戻している。波形解析部48によって静電ノイズ波形における前半部分としての第1波形部分が検出されると、具体的には後に説明するA点、B点が検出されると、その後の第2波形部分については暫定表示処理を適用するために制御信号54,57がそれぞれ表示処理部44及び移動平均値メモリ46へ出力される。制御信号54は表示処理のモードを切り換える信号であり、制御信号57は移動平均値メモリ46から後に説明するA−1点の移動平均値を読み出すための信号である。また、波形解析部48は、第1波形部分に続いて後半部分である第2波形部分が検出された場合、具体的にはB点に続いてC点が検出された場合には、制御信号56を除外処理部52へ出力している。

0037

除外処理部52は、制御信号56によって特定される期間内の一連の測定値を測定値メモリ40から削除する処理を実行する。具体的にはA点〜C点までの複数の測定値が測定値メモリ40上における測定値列から削除されている。削除後に当該削除期間に対して複数のダミーデータを挿入することも可能であり、その場合においては過去一定期間内における測定値の平均値などをダミーデータとして利用することなどが考えられる。いずれにしても、このような静電気ノイズに相当する期間内における複数の測定値の除外によりその除外後において移動平均処理の対象を適正化することができ、換言すれば、静電気ノイズの発生後においてその影響が移動平均処理に残存してしまうことを効果的に防止することができる。

0038

図4には、図3に示した構成の作用が概念図として示されている。もちろん、図3に示す構成及び図4に示す作用は一例であって、それら以外のものであってもよい。

0039

図4において、(A)には図3に示した測定値メモリ40に格納される測定値列が示されている。また(B)には移動平均処理部42から出力される移動平均値列が示されている。また(C)には図1に示したLCD36に表示される表示値列が示されている。時間軸tで示されるように、各列における右端が現在の値を表している。なお、処理時間の遅れ図4では無視されている。移動平均値は上述したように現在から過去の所定期間内における複数の測定値を処理することによって得られ、その処理が各時刻ごとに実行される。ここで移動平均値列において後に説明するA点,B点,C点が符号として表されており、またA点の1つ前のA−1点及びC点の1つ次のC+1点が示されている。図4に示す例は静電気ノイズが発生した直後を表しており、C+1点の移動平均値がそのまま表示値として表示されている。

0040

上述した波形解析部によって移動平均値列が参照され、ここでA点に引き続いてB点が検出されると、符号102で示されるように、表示される表示値は過去において取得されたA−1点の移動平均値とされる。すなわちA点は静電気ノイズの初期点であり、それ以前の地点における移動平均値が適正な値であるとしてB点以降において表示され続ける。ちなみにその期間内においても移動平均処理自体は継続的に実行されており、各時点における移動平均値を参照することによってC点が検出される。C点が検出されるとすなわち静電気ノイズの終了点が検出されると、符号104で示されるようにa点からc点までの期間に相当する複数の測定値が測定値列上から削除される。ここでaはA点に対応する測定値を表しており、bはB点に対応する測定値を表しており、cはC点に対応する測定値を表しているが、aからcまでの複数の測定値が一括して削除されることになる。その上で、C+1点の移動平均値を求める場合には、図に示されるように測定値除外後の時間軸が部分的に圧縮された状態において移動平均期間100が設定され、すなわち静電気ノイズに相当する部分を除外して適正な測定値群を選択して移動平均処理を行うことができる。そしてそのような適正な移動平均処理によって得られた移動平均値が符号102で示される期間の次に表示されることになる。そしてこのことが繰り返される。

0041

なお、図4に示す例では測定値列においてaからcまでの期間104を除外対象としたが、それを基準として幅広くあるいは縮小して除外対象を特定するようにしてもよい。またB点の検出直後の移動平均値から代替表示を行うようにしたが、時間的に間に合えばB点の移動平均値を表示する時点から代替表示を適用することもできる。また時間的な関係から、C+1点においてはそのままA−1点の移動平均値を表示させ、次のC+2点から通常の表示を適用するようにしてもよい。すなわち、図4に示される原理は様々なバリエーション展開が可能であり、いずれにおいてもユーザーに提供する表示において真の信号の表示を優先しつつもできる限り静電気ノイズが現れないようにするのが望ましく、また、移動平均処理においてできる限り静電気ノイズの影響が生じないようにするのが望ましい。

0042

以上の原理を図5及び図6を用いてより詳細に説明する。図5には移動平均値列が波形として示されており、図6には表示値列が波形として示されている。

0043

図5において、静電気ノイズの波形200は大別して前半部分としての第1波形部分と後半部分としての第2波形部分とに区分することができ、第1波形部分は真の信号に近い形態を有するが、第2波形部分は静電気ノイズに固有な形態を有しているとみなすことができる。

0044

本実施形態では、時間軸上において隣接する2つの値(移動平均値)の差分が逐次的に演算され、その差分が一定の値(x)を超えた場合にその超えた地点をもってA点が特定される。このA点は初期点に相当するものである。またA点が特定されると、その直前の地点としてA−1点が特定される。そのA−1点は基準点に相当する。次に、B点が特定される。具体的には、基準点であるA−1点の値と現在の値とを逐次的に比較し、その差分が所定値−xをマイナス方向に超えた場合にその地点をもってB点が特定されている。もちろんx及び−xは互いに同じ絶対値でなくてもよい。B点が特定された後、基準点であるA−1点の値と現在の値との差分が逐次的に演算され、その差分がyを超えた値をもってC点が特定される。このC点は終了点に相当する。yはゼロ又はマイナス値であってもよい。

0045

本実施形態では、上記の暫定表示処理により、B点からC点の間にわたってA−1点の値が表示値として表示される。すなわち波形200と波形202とを対比すれば明らかなように、表示される表示値列においてはB点以降においてフラットな形態となっており、C+1点から実際の移動平均値のリアルタイム表示が再開されることになる。したがって第2波形部分については効果的にその表示を抑制することが可能であるので、静電気ノイズの影響を緩和することができる。もちろん第1波形部分についてもそれをキャンセルするのが望ましいが、そのキャンセルを行うと真の信号までも表示から除外されてしまう可能性があるため、本実施形態では真の信号を確実に表示するという観点から、第1波形部分についてはそのままの表示を許容している。ただし、静電気ノイズの発生以降においてその影響が移動平均処理において残存することを防止するため、上述したようにA点〜C点までの測定値(生データ)が全て削除されている。

0046

ちなみに上記のx及びyは適宜設定することが可能であり、例えば放射線の状況に応じてその値を可変設定するようにしてもよい。また上記で示した複数の点よりも多くの点を参照点として設定して、より厳密に静電気ノイズの波形を解析するようにしてもよい。ただし、上記の手法によればA点、B点、C点の3つの点の検出によって静電気ノイズであることを認識できるため迅速な処理を達成でき、またその処理負担を少なくできるという利点がある。

0047

次に図7を用いて本実施形態に係る放射線測定器の動作例を説明する。

0048

S101では、前回の移動平均値と現在の移動平均値との差が逐次計算される。そしてS102ではその差が+x以上であるか否かが判断され、その差が+x以上であればS103において現在の地点がA点として特定され、その1つ前の地点がA−1点として特定される。

0049

S104では、A−1点の移動平均値と現在の移動平均値との差が逐次計算され、S105ではその差が−x以下(マイナス方向にx以上)であるか否かが判断される。ここで一定時間を経過しても差がマイナス方向にx以上とはならない場合には処理がS101に移行する。その一方、一定期間内において差がマイナス方向にx以上であればS107においてB点が特定される。それに連動してS113に示されるように、A−1点の移動平均値を表示値とする代替処理が開始される。これは本実施形態においてはB+1点から行われているが、もちろんB点からその処理を実行するようにしてもよい。

0050

S108では、A−1点の移動平均値と現在の移動平均値との差が計算される。そしてS109ではその差がy以上となったか否かが判断され、一定時間を経過してもその差がy以上とはならない場合にはS110から処理がS101へ移行する。

0051

その一方、一定期間内において、その差がy以上となった場合には、S111においてC点が特定される。C点が特定されると、S114に示されるようにA−1点の移動平均値を現在の移動平均値に代えて表示する処理が終了することになる。なお、S110において一定時間を経過したと判断された場合にもS114の工程が実行される。S112ではA点〜C点に対応する測定値(生データ)が移動平均処理の対象から削除される。

0052

上記のS101、S104、S108などの工程は現在の移動平均値が得られる都度実行されており、それはサンプリングレートにしたがったものである。ただし、サンプリングレートとは別のレートでその差を計算するようにしてもよい。

0053

本実施形態によれば静電気による影響を除外又は軽減することができ、とくにリアルタイム表示されている表示器に静電気の影響ができる限り現れないようにすることができる。また、静電気による影響が移動平均処理に残らないようにすることができ、信頼性の高い放射線測定装置を構成できるという利点がある。

図面の簡単な説明

0054

本発明に係る放射線測定器の好適な実施形態を示す概念図である。
コンデンサにおける蓄積電荷量の時間的な変化を示す図である。
図1に示すプロセッサの機能を説明するためのブロック図である。
図3に示す各構成の作用を説明するための原理説明図である。
移動平均値列の波形を示す図である。
表示値列の波形を示す図である。
図1に示す放射線測定値の動作の一例を示すフローチャートである。

符号の説明

0055

10電離箱部、12 信号演算部、29エレクトロメータ回路、40測定値メモリ、42移動平均処理部、44表示処理部、46移動平均値メモリ、48波形解析部、52除外処理部。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社島津製作所の「 検出器結合体」が 公開されました。( 2017/12/28)

    【課題】複数のシンチレータを一体化させて構成される検出器結合体おいて、製造コストを抑止された検出器結合体を提供する。【解決手段】本発明に係る検出器結合体は、各領域を分断する溝が設けられたSiPMA3を... 詳細

  • 東レ株式会社の「 シンチレータパネル」が 公開されました。( 2017/03/16)

    【課題・解決手段】本発明は、基板、該基板上に形成された隔壁、該隔壁により区画されたセル内に充填された、蛍光体を含有するシンチレータ層からなり、上記シンチレータ層は、蛍光体の含有濃度が異なる、複数の層か... 詳細

  • 東レ株式会社の「 立体構造物の製造方法、シンチレータパネルの製造方法及びシンチレータパネル」が 公開されました。( 2017/03/09)

    【課題・解決手段】本発明は、シンチレータパネルの基板の種類や厚みを任意に選択することを可能とする、立体構造物の製造方法、シンチレータパネルの製造方法、立体構造物及びシンチレータパネルを提供することを目... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ