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技術 測定制御系における制御回路の制御パラメータ補正方法および測定装置

出願人 株式会社ミツトヨ
発明者 齋藤章憲日高和彦
出願日 2004年9月15日 (14年10ヶ月経過) 出願番号 2004-268752
公開日 2006年3月30日 (13年3ヶ月経過) 公開番号 2006-085382
状態 拒絶査定
技術分野 測定手段を特定しない測長装置 フィードバック制御一般 位置、方向の制御
主要キーワード 制動素子 各振動周波数 最大伸張状態 振動周波数帯 位相線図 測定負荷 目標振幅値 光学式プローブ
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図面 (6)

課題

制御回路制御パラメータを適宜補正することにより、測定制御系周波数特性を最大に保持することができる、測定制御系における制御回路の制御パラメータ補正方法を提供すること。

解決手段

スタイラス131を被測定物Wに押し込んで接触測定を行う。このとき、スタイラス131の押し込み量を表す変位信号と、スタイラス131の受ける測定負荷に応じてセンサ13から出力されるセンサ信号とを測定し、この2つの信号を基にセンサ13のゲインGs´を算出する。Gs´の値は、スタイラス131および被測定物Wの性状によって異なるが、以上のように算出されたGs´に応じて制御回路のゲインを補正することによって、スタイラス131および被測定物Wの少なくともいずれかを性状の異なるものに交換した場合においても、測定制御系の周波数特性を最大に保持することができる。

概要

背景

制御回路制御パラメータとしては、ゲインや位相補償周波数などがあるが、従来、測定制御系における制御回路のゲインを設定する方法として、ゲイン設定に必要なデータを取得するデータ取得工程と、このデータを基に測定に最適なゲインを判定する判定工程と、制御回路のゲインを最適と判定されたゲインに設定する設定工程と、によって構成される方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、制御回路の最適ゲインとは、測定制御系が自己発振状態になるのを防止して安定な測定状態を実現できるとともに、迅速な測定を行うことを可能にするゲインのことをいうものとする。
したがって、特許文献1のゲイン設定方法によれば、測定制御系の周波数特性を最大にするような、ゲインを制御回路に設定できる。

特開平5−223519号公報(第3〜第6頁、図1〜図4、図7、図8)

概要

制御回路の制御パラメータを適宜補正することにより、測定制御系の周波数特性を最大に保持することができる、測定制御系における制御回路の制御パラメータ補正方法を提供すること。スタイラス131を被測定物Wに押し込んで接触測定を行う。このとき、スタイラス131の押し込み量を表す変位信号と、スタイラス131の受ける測定負荷に応じてセンサ13から出力されるセンサ信号とを測定し、この2つの信号を基にセンサ13のゲインGs´を算出する。Gs´の値は、スタイラス131および被測定物Wの性状によって異なるが、以上のように算出されたGs´に応じて制御回路のゲインを補正することによって、スタイラス131および被測定物Wの少なくともいずれかを性状の異なるものに交換した場合においても、測定制御系の周波数特性を最大に保持することができる。

目的

本発明の目的は、制御回路の制御パラメータを適宜補正することにより、測定制御系の周波数特性を最大に保持することができる、測定制御系における制御回路の制御パラメータ補正方法、および、測定装置を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

被測定物の測定に関与して測定信号を出力する測定手段と、所定の目標値と前記測定信号の出力値との偏差に基づく制御信号を出力する制御回路と、前記制御信号に基づいて、前記測定信号の出力値が前記目標値と一致されるように前記測定手段を制御する制御手段と、を備える測定制御系における制御回路の制御パラメータ補正方法において、前記測定制御系における最大の周波数特性を与える制御パラメータQを記憶する記憶工程と、前記測定手段および前記被測定物の少なくともいずれかを性状の異なるものに交換することによって生じる前記測定手段の制御パラメータの見かけ上の変化を相殺するように前記制御回路の制御パラメータを補正し、前記測定制御系全体の制御パラメータを記憶された前記Qに保持する制御パラメータ補正工程と、を行うことを特徴とする制御回路の制御パラメータ補正方法。

請求項2

請求項1に記載の制御回路の制御パラメータ補正方法において、前記測定手段は前記被測定物に接触されて測定を行う接触測定子とされ、前記制御パラメータ補正工程は、前記接触測定子および前記被測定物の少なくともいずれかの交換後に、前記接触測定子を前記被測定物に対して所定量押し込んで接触測定を行うと同時に、この押し込み量の測定を行う予備測定工程と、この予備測定工程における前記測定信号の出力値と、測定された前記押し込み量との間の関係から、前記接触測定子における制御パラメータの見かけ上の変化を算出する演算工程とを備え、この演算工程における演算結果を基に、前記測定制御系全体の制御パラメータが前記Qに保持されるように前記制御回路の制御パラメータを補正する、ことを特徴とする制御回路の制御パラメータ補正方法。

請求項3

請求項1または請求項2に記載の制御回路の制御パラメータ補正方法において、前記制御回路の制御パラメータをQi(i=1、2、・・・、N)に仮設定した上で仮測定を行い、その際に出力される前記測定信号に基づく仮測定データSiを所定時間にわたって取得する仮測定データ取得工程を、互いに異なるN種類の制御パラメータ(Q1、Q2、・・・、QN)について順次行ったのち、取得された前記各仮測定データSiごとに周波数分析を行い、前記測定制御系における所定の振動周波数に対応する周波数成分の大きさが所定の基準値未満となる仮測定データSiを抽出する抽出工程と、抽出された前記各仮測定データSiに対応する各制御パラメータQiのうち、最大の周波数特性を有するQiを前記制御回路の制御パラメータに設定する制御パラメータ設定工程とを行い、前記記憶工程では、前記制御パラメータ設定工程で前記制御回路に設定された制御パラメータQiによって決定される前記測定制御系全体の制御パラメータQを記憶する、ことを特徴とする制御回路の制御パラメータ補正方法。

請求項4

請求項3に記載の制御回路の制御パラメータ補正方法において、前記各制御パラメータQiについての前記仮測定データ取得工程では、前記振動周波数に対応する周波数成分のみを通過させる周波数フィルタによって前記測定信号を濾波したものが前記各仮測定データSiとされる、ことを特徴とする制御回路の制御パラメータ補正方法。

請求項5

請求項1から請求項4のいずれかに記載の制御回路の制御パラメータ補正方法において、前記制御回路の前記制御パラメータは、ゲインおよび位相補償周波数の少なくともいずれかである、ことを特徴とする制御回路の制御パラメータ補正方法。

請求項6

請求項1から請求項5のいずれかに記載の制御回路の制御パラメータ補正方法によって制御パラメータが補正される制御回路を備える測定制御系を含んで構成される測定装置

技術分野

0001

本発明は、測定制御系における制御回路制御パラメータ補正方法および測定装置に関する。詳しくは、測定制御系の周波数特性を最大に保持するための制御回路の制御パラメータ補正方法、および、測定装置に関する。

背景技術

0002

制御回路の制御パラメータとしては、ゲインや位相補償周波数などがあるが、従来、測定制御系における制御回路のゲインを設定する方法として、ゲイン設定に必要なデータを取得するデータ取得工程と、このデータを基に測定に最適なゲインを判定する判定工程と、制御回路のゲインを最適と判定されたゲインに設定する設定工程と、によって構成される方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、制御回路の最適ゲインとは、測定制御系が自己発振状態になるのを防止して安定な測定状態を実現できるとともに、迅速な測定を行うことを可能にするゲインのことをいうものとする。
したがって、特許文献1のゲイン設定方法によれば、測定制御系の周波数特性を最大にするような、ゲインを制御回路に設定できる。

0003

特開平5−223519号公報(第3〜第6頁、図1図4、図7、図8)

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、測定制御系全体の周波数特性は、測定手段および被測定物の硬さ、弾性等の性状によっても変化される。そのため、特許文献1のゲイン設定方法に従って制御回路を最適ゲインに設定することで測定制御系の周波数特性を最大に調整しても、測定手段および被測定物の少なくともいずれかを性状の異なるものに交換してしまうと、測定制御系の周波数特性が劣化して小さくなり、測定の安定性阻害されるおそれがある。

0005

本発明の目的は、制御回路の制御パラメータを適宜補正することにより、測定制御系の周波数特性を最大に保持することができる、測定制御系における制御回路の制御パラメータ補正方法、および、測定装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明の測定制御系における制御回路の制御パラメータ補正方法は、被測定物の測定に関与して測定信号を出力する測定手段と、所定の目標値と前記測定信号の出力値との偏差に基づく制御信号を出力する制御回路と、前記制御信号に基づいて、前記測定信号の出力値が前記目標値と一致されるように前記測定手段を制御する制御手段と、を備える測定制御系における制御回路の制御パラメータ補正方法において、前記測定制御系における最大の周波数特性を与える制御パラメータQを記憶する記憶工程と、前記測定手段および前記被測定物の少なくともいずれかを性状の異なるものに交換することによって生じる前記測定手段の制御パラメータの見かけ上の変化を相殺するように前記制御回路の制御パラメータを補正し、前記測定制御系全体の制御パラメータを記憶された前記Qに保持する制御パラメータ補正工程と、を行うことを特徴とする。

0007

本発明の測定制御系では、測定手段、制御回路および制御手段によって閉ループが構成され、フィードバック制御によって測定状態が制御される。制御回路の制御パラメータは可変とされ、閉ループ全体の制御パラメータをこれによって調整することが可能である。

0008

本発明では、まず、記憶工程において測定制御系における最大の周波数特性を与える制御パラメータQが記憶される。その後、測定手段および被測定物の少なくともいずれかの交換によって測定手段の制御パラメータが見かけ上変化されると、制御パラメータ補正工程が行われ、制御回路の制御パラメータが補正されて測定制御系全体の制御パラメータが記憶された最適制御パラメータQに保持される。したがって、本発明によれば、測定手段および被測定物の如何によらず、測定制御系全体の制御パラメータを最適制御パラメータに保持でき、測定を安定、かつ、高精度に行うことができる。

0009

また、本発明では、前記測定手段は前記被測定物に接触されて測定を行う接触測定子とされ、前記制御パラメータ補正工程は、前記接触測定子および前記被測定物の少なくともいずれかの交換後に、前記接触測定子を前記被測定物に対して所定量押し込んで接触測定を行うと同時に、この押し込み量の測定を行う予備測定工程と、この予備測定工程における前記測定信号の出力値と、測定された前記押し込み量との間の関係から、前記接触測定子における制御パラメータの見かけ上の変化を算出する演算工程とを備え、この演算工程における演算結果を基に、前記測定制御系全体の制御パラメータが前記Qに保持されるように前記制御回路の制御パラメータを補正する、ことが好ましい。

0010

この発明では、接触測定子および被測定物の硬軟、弾性等の性状の違いによって接触測定子が受ける測定負荷等が異なるため、接触測定子および被測定物の少なくともいずれかを性状の異なるものに交換すると、接触測定子から出力される測定信号の出力値に変化が生じ、接触測定子の制御パラメータに見かけ上の変化が生じる。
この発明の予備測定工程では、接触測定子が被測定物に対して所定量押し込まれて接触測定が行われ、この際の測定信号の出力値および押し込み量が検出される。続く演算工程では、測定信号の出力値と押し込み量との間の相関関係を利用して接触測定子の制御パラメータの見かけ上の変化が算出される。最後の制御パラメータ補正工程では、接触測定子の制御パラメータの見かけ上の変化を相殺し、測定制御系全体の制御パラメータが最適制御パラメータQに保持されるように、制御回路の制御パラメータが補正される。
以上のように、本発明によれば、接触測定子および被測定物の如何によらず、測定制御系全体が最適制御パラメータQに保持されるから、測定を安定かつ正確に行うことができる。

0011

また、本発明では、前記制御回路の制御パラメータをQi(i=1、2、・・・、N)に仮設定した上で仮測定を行い、その際に出力される前記測定信号に基づく仮測定データSiを所定時間にわたって取得する仮測定データ取得工程を、互いに異なるN種類の制御パラメータ(Q1、Q2、・・・、QN)について順次行ったのち、取得された前記各仮測定データSiごとに周波数分析を行い、前記測定制御系における所定の振動周波数に対応する周波数成分の大きさが所定の基準値未満となる仮測定データSiを抽出する抽出工程と、抽出された前記各仮測定データSiに対応する各制御パラメータQiのうち、最大の周波数特性を有するQiを前記制御回路の制御パラメータに設定する制御パラメータ設定工程とを行い、前記記憶工程では、前記制御パラメータ設定工程で前記制御回路に設定された制御パラメータQiによって決定される前記測定制御系全体の制御パラメータQを記憶する、ことが好ましい。

0012

この発明における仮測定データ取得工程、抽出工程、制御パラメータ設定工程は、測定制御系における最大の周波数特性を与え、かつ、記憶工程において記憶される制御パラメータQを設定するために行われる一連の工程である。以下、これらの各工程について詳細に説明する。
<仮測定データ取得工程>
まず、制御回路の制御パラメータをN種類の制御パラメータQ1〜QNに順次仮設定して、各制御パラメータQiについて仮測定データSiを取得する。ここで、仮測定データSiとは、測定手段からの測定信号に基づく所定の測定量fiを、各時間tごとに記録したものであり、複数の(fi,t)の組によって構成される。これを座標平面プロットし、各点を滑らかに連結すれば、測定時間tについての関数fi(t)が構成される。なお、仮測定において測定量fiを所定時間にわたって連続的に記録することにすれば、fiはそのまま関数fi(t)を構成することになる。
ところで、仮測定においても測定手段からの測定信号の出力値が目標値と一致されるようにフィードバック制御が行われているので、この測定信号に基づく関数fi(t)の値は、前記目標値に対応する目標位置周り振動しながら時間的に変化するのが普通である。ここで、測定制御系(閉ループ)が安定でハンチングが生じていなければ、fi(t)の目標位置周りの振幅は時間tの経過とともに減衰し、fi(t)は目標位置に漸近する。一方、測定制御系が不安定でハンチングが生じていれば、fi(t)の目標位置周りの振幅は時間tが経過しても減衰されることなく、fi(t)は一定以上の振幅を維持して振動を続ける。

0013

ここで、測定制御系におけるハンチングと、測定制御系の制御パラメータとの関係について概説する。本発明では制御回路の制御パラメータが可変とされている。ここでは、制御パラメータの一例としてゲインについて説明する。測定制御系のゲインは、制御回路のゲインによって一意的に決定される。そこで、以下、ゲインは、制御回路のゲインとして説明する。図1は、制御回路の周波数伝達関数についてのボード線図である。図1(A)がゲイン線図で、図1(B)が位相線図である。
今、図1(A)には、互いに異なるゲインG1、G2、G3(G1<G2<G3)を制御回路に設定した場合におけるそれぞれのゲイン特性が示されている。この説明では、専らゲインの変化について考慮することとし、位相の変化については考慮に入れないこととする。そのため、図1(B)の位相線図は変化しない。すなわち、図1(B)における一本の位相線は、3つのゲインG1〜G3について共通の位相線である。なお、図1(A)において、各ゲインG1〜G3に対応するゲイン線を互いに略平行に描いているが、これは説明の簡略化のためであり、実際のゲインは各周波数ごとに異なる変化率をもって変化させることができ、柔軟に設定できる。

0014

測定制御系の安定性の判定、すなわち、ハンチングが生じるか否かの判定には、一般に知られているように、ゲインの値が1(ゲイン線図上では0)になるゲイン交差周波数ωcと、位相φが−180°になる位相交差周波数ω0とが利用される。
ゲインがG1のときは、図1に示されるように、ωc1<ω0、である。そのため、位相が−180°以下のときは、ゲインが常に1以下(ゲイン線図上ではマイナス)となっており、ハンチングが生じることはなく、測定制御系は安定である。
ゲインをG1から上げていきG2にすると、ωc2=ω0、になる。これはいわゆる安定限界状態であり、これ以上ゲインを上げると直ちにハンチングが生じる。
ハンチングが生じている状態を表すのがゲインG3についてのゲイン線である。このとき、ωc3>ω0、である。ω0≦ω≦ωc3、の周波数帯においては、位相が−180°以下で、かつ、ゲインが1以上(ゲイン線図上ではプラス)である。そのため、この周波数帯(以下、自己発振周波数帯、という)に属する周波数のハンチングが生じ、測定制御系が不安定になる。

0015

以上から、測定制御系におけるハンチング周波数は、自己発振周波数帯ω0≦ω≦ωc3に属する周波数であることがわかる。ここで、下限ω0が不変だから、自己発振周波数帯は、ゲインG3(>G2)を設定して上限ωc3を定めることによって一義的に決定される。本発明における振動周波数とは、主として、この自己発振周波数帯に属する周波数を意味するものとする。

0016

次に、制御回路が位相補償回路を含み、位相線図の特性が変更可能な場合について説明する。
図1(C)は、位相補償回路が位相進み補償回路であり、その位相進み補償によって位相交差周波数がω01(位相特性PH1)、ω02(位相特性PH2)、ω03(位相特性PH3)のように変更可能な例を示す。この場合も、ハンチングの発生原理は同一であり、ゲイン交差周波数ωCと位相交差周波数ω0との関係において、ωC≦ω0が安定条件である。これらのゲイン特性と位相特性との組合せは相互に独立に可変とされてもよく、あるいは相関関係を維持して可変とされてもよい。例えば、制御パラメータQ1(G1、PH1)、Q2(G2、PH2)、Q3(G3、PH3)、Q4(G4、PH4)・・・のような関係でもよく、あるいは、制御パラメータQ1(G1、PH1)、Q2(G1、PH2)、Q3(G2、PH1)、Q4(G2、PH2)・・・のような関係でもよい。いずれの場合においても、安定条件を満たし、かつ、ゲイン交差周波数ωCが最大となる制御パラメータが測定制御系の最大周波数特性を与える。なお、安定条件としてωC≦ω0を示したが、実際には安定性を考慮して、ωC=0において、位相遅れが−150deg程度であることが好ましい。さらに、この説明では、位相補償回路が位相進み補償回路である場合を示したが、これに限らず位相遅れ補償回路でもよく、また、位相進み補償回路と位相遅れ補償回路とが併用されても原理は同一である。また、位相補償回路が、制御回路に含まれる例を示したが、これに限らず、センサ検出信号フィードバック回路に挿入されてもよい。

0017

なお、測定制御系における振動周波数の他の例として、測定制御系を構成する電気回路共振周波数ωrが挙げられる。この電気回路にωrの共振周波数成分所定値以上含む測定信号が入力されると、共振周波数成分はほとんど減衰されることがないから、測定信号は共振周波数ωrをもって振動され続けることになる。特に、共振周波数ωrにおける測定制御系のゲインが1以上であるときは、共振周波数成分が増幅されてしまうので振幅が大きくなり、測定制御系を不安定にする。これは、前記の自己発振周波数帯についての状況と全く同じである。すなわち、測定制御系による制御によって測定信号が目標値に近づいていっても、ωrの振動が残るために、測定信号は目標値の周りで振動を続けるのである。

0018

<抽出工程>
さて、以上の仮測定データ取得工程に続いて、抽出工程が行われる。抽出工程では、各仮測定データSiについて周波数分析を行う。すなわち、各仮測定データSiにおける各関数fi(t)をフーリエ変換して周波数表示し、前記振動周波数に対応する周波数成分の大きさを、所定の基準値と比較する。振動周波数は、ハンチングが生じる周波数であるから、これに対応する周波数成分が大きければハンチングが生じていることになり、逆に、小さければハンチングの発生が適切に防止されていることになる。基準値は、ハンチングの発生/不発生を判別する上で最適な値として予め設定されているものとする。なお、基準値は、自己発振周波数帯における各振動周波数ごとに異なる値として設定してもよい。
以上の周波数分析を通じて、振動周波数成分の大きさが基準値未満となるようなM(≦N)個の仮測定データSj(j=1、2、・・・、M)が抽出される。

0019

<制御パラメータ設定工程>
抽出された仮測定データSjは、ハンチングが生じておらず、測定制御系が安定状態にあることを保証するデータ群である。したがって、これらのSjに対応する制御パラメータQjを制御回路に設定すれば、測定制御系の安定性は確保される。
安定性さえ確保できるのであれば、あとは、定常特性、速応性(応答性)等を高くするために、例えば、ゲインをできるだけ大きい値に設定すればよい。制御パラメータ設定工程では、測定制御系の安定性を保証する各制御パラメータQjのうち、最大の周波数特性を有するものが制御回路の制御パラメータに設定される。

0020

以上のように、仮測定データ取得工程、抽出工程、制御パラメータ設定工程からなる一連の工程によって、測定制御系における安定性を確保しつつ、高い定常特性、速応性等を実現できる制御パラメータを制御回路に設定できるから、測定制御系における最大の周波数特性を与える制御パラメータQを決定できる。この制御パラメータQは記憶工程において記憶され、制御パラメータ補正工程によって測定制御系の制御パラメータはQに保持されるから、測定を常に安定、高精度、かつ、迅速に行うことができる。

0021

また、本発明では、前記各制御パラメータQiについての前記仮測定データ取得工程では、前記振動周波数に対応する周波数成分のみを通過させる周波数フィルタによって前記測定信号を濾波したものが前記各仮測定データSiとされる、ことが好ましい。

0022

この構成によれば、各Siにおける関数fi(t)は、周波数フィルタを通過した振動周波数成分のみを有する。そのため、fi(t)のフーリエ変換を行う必要がないから、測定制御系を安定状態にするための最適ゲイン設定をより迅速に、かつ、容易に行うことができる。

0023

また、以上のように、本発明では、前記制御回路の前記制御パラメータは、ゲインおよび位相補償周波数の少なくともいずれかである、ことが好ましい。

0024

また、本発明によれば、前記制御回路の制御パラメータ補正方法によって制御パラメータが補正される制御回路を備える測定制御系を含む測定装置を構成できる。
この測定装置によれば、測定手段および被測定物の如何によらず、測定制御系全体の制御パラメータを最適制御パラメータに保持でき、測定を安定、かつ、高精度に行うことができる。

発明を実施するための最良の形態

0025

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態にかかる測定装置を図2に、この測定装置におけるフィードバック制御の様子を模式的に表すブロック線図を図3に、それぞれ示す。
図2において、測定装置の本体1にはアクチュエータ11を介してセンサ支持部12が取り付けられ、センサ支持部12には被測定物Wの測定に関与する測定手段としてのセンサ13が取り付けられる。
本体1は、駆動装置1Aによって被測定物Wに対して三次元方向に移動可能とされる。これにより、センサ13を被測定物Wの表面に沿って移動させながら測定を行うことが可能である。ここで、本体1に取り付けられる変位センサ14は、本体1と被測定物Wとが相対移動される際に両者の垂直距離(Z軸方向)を非接触方式、例えば、光学式静電容量式で検出する検出器である。
制御手段としてのアクチュエータ11は後述する駆動回路24からの駆動信号に基づいて伸縮可能な制動素子であり、これによってセンサ13が被測定物Wに対してZ方向に沿って接近/離隔され、微小位置決め制御が行われる。
つまり、本体1の駆動によって位置決めがされたセンサ13は、アクチュエータ11によってさらに微小に位置決めされるようになっており、測定の精度の向上が図られている。
接触測定子としてのセンサ13は、軸方向に常時加振されるスタイラス131を備える。スタイラス131が被測定物Wに接触されると、その接触負荷に応じてスタイラス131の振幅が小さくなる。センサ13からはスタイラス131の振幅の変化量に応じて測定信号としてのセンサ信号が出力されるようになっており、このセンサ信号に基づいて測定状態の制御が行われる。なお、スタイラス131の振幅およびセンサ信号の出力値は、スタイラス131が受ける測定負荷に対して直線的に変化されるものとする。

0026

センサ13からのセンサ信号は、センサ検出回路21において信号処理され、センサ検出信号として出力される。このセンサ検出信号も本発明における測定信号を構成する。センサ検出信号は分枝され、その一方は、図3にも示されるように、フィードバック信号としてフィードバック制御を行うための閉ループLに入力され、他方は後述する制御回路23のゲイン(制御パラメータQ)の調整を行うための制御回路ゲイン調整部3に入力される。
閉ループLに入力された測定信号としてのセンサ検出信号は、その目標値22と比較され、両者間の偏差が制御回路23に入力される。制御回路23は、制御回路ゲイン調整部3によって調整されたゲインGC(後述)に基づいて偏差を増幅し、制御信号として駆動回路24に入力する。駆動回路24は、入力された制御信号に基づく駆動制御信号をアクチュエータ11および駆動装置1Aの少なくとも一方に向けて出力し、アクチュエータ11がそれに応じて伸縮され、もしくは、本体1がZ軸方向に駆動される。すると、センサ13が被測定物Wに対してZ軸方向に変位され、両者間の測定負荷が変化されるから、センサ13からのセンサ信号が変化される。このように、アクチュエータ11および駆動装置1Aは、駆動制御信号に基づいてセンサ13を制御する本発明の制御手段を構成していることになる。
以上のように、センサ13-センサ検出回路21-制御回路23-駆動回路24-アクチュエータ11、駆動装置1A-センサ13の順に、測定状態を制御するための閉ループLが構成されていることになり、センサ検出回路21からのセンサ検出信号が目標値22と一致されるようなフィードバック制御の下、測定が行われるようになっている。

0027

続いて、本実施形態の測定装置を用いた測定方法について説明する。
まず、駆動装置1Aによって本体1を−Z軸方向(図2では下方向)に駆動することによって、センサ13のスタイラス131を被測定物Wに対して所定量押し込んだ後、本体1を停止させる。以後、本体1のZ軸方向の移動は制限され、本体1と被測定物Wとの間の垂直距離(Z軸方向)は一定に保たれるものとする。
スタイラス131を被測定物Wに対して押し込むと、その測定負荷に応じてスタイラス131の振幅(Z軸方向)が変化される。例えば、押し込み量が多いほどスタイラス131が受ける測定負荷が大きくなるので、スタイラス131の振幅が小さくなる。

0028

さて、スタイラス131の振幅に関する情報は、センサ信号としてセンサ13から出力され、その後、センサ検出回路21で信号処理されてセンサ検出信号となって目標値22と比較される。すなわち、目標値22は、スタイラス131の振幅の目標値(以下、目標振幅、という)を定めていることになり、測定時には、スタイラス131の振幅が目標振幅に等しくなるように制御が行われる。
具体的に言えば、スタイラス131の振幅が目標振幅よりも小さくなったときは、アクチュエータ11を収縮させることによってセンサ13を+Z軸方向に駆動してスタイラス131にかかる測定負荷を低減し、振幅を目標振幅にまで増大させる。逆に、スタイラス131の振幅が目標振幅よりも大きくなったときは、アクチュエータ11を伸張させることによってセンサ13を−Z軸方向に駆動してスタイラス131にかかる測定負荷を増大し、振幅を目標振幅にまで低減させる。

0029

このように、閉ループLによるフィードバック制御の下、スタイラス131の振幅が目標振幅に一致されることになる。スタイラス131の振幅が一定であるということは、センサ13と被測定物Wとの間の垂直距離(Z軸方向)が一定であることを意味する。そのため、この状態で本体1をXY方向に走査させると、センサ13はアクチュエータ11の駆動によって被測定物W表面の凹凸に倣ってZ軸方向に変位される。適当な変位検出手段によってこのZ軸変位を検出することにすれば、被測定物W表面の凹凸を検出できるので、被測定物W表面の倣い測定を行うことができる。

0030

以上、倣い測定について述べたが、本実施形態の測定装置によれば、被測定物のタッチ測定を行うこともできる。
アクチュエータ11の伸縮状態を、例えば、最大伸張状態に固定した上で、本体1を−Z軸方向に駆動し、スタイラス131の振幅が被測定物Wからの測定負荷によって目標振幅に低減されるまで、本体1を被測定物Wに近づけていく。そして、スタイラス131の振幅が目標振幅に一致した時点で、本体1の−Z軸駆動を停止し、そのときの本体1の三次元座標(X、Y、Z)を、図示しない三次元変位センサで検出する(タッチ測定)。これを被測定物W上の各測定点で行うことにより、被測定物Wの形状測定を行うことが可能である。

0031

また、本体1のZ軸位置を固定した上で、アクチュエータ11を伸縮させることによってもタッチ測定を行える。すなわち、アクチュエータ11を伸縮制御することによってスタイラス131と被測定物Wとの間の接触状態を調整する。そして、スタイラス131の振幅が目標振幅に一致した時点で伸縮を停止し、このときのアクチュエータ11の伸縮量(Z軸方向)と、本体1のXY座標を検出する(タッチ測定)。これを被測定物W上の各測定点で行うことにより、被測定物Wの形状測定を行うことが可能である。

0032

以上、本実施形態の測定装置を用いた測定の例として倣い測定およびタッチ測定について述べたが、これらの測定を適切に行うための前提として、閉ループLによるフィードバック制御を適切に行う必要がある。制御状態が不安定になると閉ループLにハンチングが生じてしまい、センサ検出回路21からのセンサ検出信号の出力値が目標値22の周りで大きく振動してしまう。これは、スタイラス131の振幅値目標振幅値の周りを、無視できない程度の振幅をもって振動してしまうことを意味する。前述した倣い測定およびタッチ測定は、いずれもスタイラス131の振幅と目標振幅とを一致できることを前提としているため、ハンチングが生じると測定を適切に行えず、測定精度が著しく悪化してしまうおそれがある。

0033

ハンチングの発生を抑え、閉ループLによるフィードバック制御を適切に行うためには、閉ループLのゲインGを最適な値に調整する必要がある。今、図3に示すように、制御回路23、駆動回路24、アクチュエータ11または駆動装置1A、センサ13、センサ検出回路21のゲインをそれぞれ、GC、GAD、GA、GS、GSD、とすると、閉ループL全体のゲインGは、以下の数1で表される。

0034

0035

数1において、制御回路23のゲインGCのみが、制御回路ゲイン調整部3によって調整可能である。したがって、閉ループLのゲインGを最適に調整して測定を安定かつ正確に行うためには、ゲインGCを最適に設定する必要がある。以下、このGCの設定について詳述する。

0036

まず、本体1のXY位置を固定した上で、本体1をZ軸方向に駆動し、スタイラス131を被測定物Wに対して所定量押し込んだ時点で停止する。以後、本工程において本体1のXYZ位置は、この停止位置に固定される。
この時点では、閉ループLによるフィードバック制御は開始されておらず、アクチュエータ11は一定の伸縮状態、例えば、最大伸張状態に固定されている。本体1およびアクチュエータ11の双方が固定されているため、スタイラス131と被測定物Wとの間の接触負荷が一定であるから、スタイラス131の振幅も一定である。今、この一定振幅(以下、初期振幅、という)が、目標値22によって規定される目標振幅よりも小さいものとして説明を続ける。以下の説明は、初期振幅が目標振幅よりも大きいとした場合にも、ほとんどそのまま当てはまる

0037

この状態から、閉ループLによるフィードバック制御を開始し、仮測定を行う。仮測定は、制御回路ゲイン調整部3によって制御回路23に順次仮設定されるN個の異なる各ゲインGi(i=1、2、3、・・・、N)ごとに行われる。すなわち、まず、一のゲインに仮設定した上で、制御を開始し、そのときセンサ検出回路21から出力されるセンサ検出信号を所定時間にわたって制御回路ゲイン調整部3に取り込む。その後、制御を停止し、他の仮設定ゲインに変更した上で、制御を再開し、制御回路ゲイン調整部3へのセンサ検出信号の取り込みを行う。以下、N個の仮設定ゲインGi全てについてセンサ検出信号の取り込みが完了するまで、同様の作業を繰り返す。

0038

図4に、制御回路ゲイン調整部3に取り込まれるセンサ検出信号の出力値fと仮測定時間tとの関係をグラフとして示す。この図において、Cjは、制御回路23の仮設定ゲインが適切だった場合の曲線を、Ckは、仮設定ゲインが不適切だった場合の曲線を、それぞれ大略示すものである。ここで、t=0は、仮測定開始時点、すなわち、各仮設定ゲインGiについて閉ループLによるフィードバック制御が開始された時点を表す。f0は、フィードバック制御開始前においてスタイラス131が初期振幅にあるときのセンサ検出信号の出力値を、ftは、センサ検出信号の目標値22を、それぞれ示す。t=0の時点においては、スタイラス131の振幅が制御回路23の仮設定ゲインGiによらず一定(初期振幅)であるため、センサ検出信号の出力値も一定(f0)であるから、CjおよびCkの始点は、共に(0,f0)である。

0039

Cjでは、仮設定ゲイン(以下、Gj、とする)が適切であるために、センサ検出信号fが目標値ftに漸近していく。このまま所定時間経過すれば、図4に示されるようにfとftとは略一致するから、仮設定ゲインGjによれば、閉ループLの制御状態を安定に保持でき、測定を安定かつ的確に行える。
一方、Ckでは、仮設定ゲイン(以下、Gk、とする)が不適切であるために、ハンチングが発生し、センサ検出信号fは目標値ftの周りを振動し続ける。このまま所定時間経過しても、図4に示されるようにハンチングの振幅はほとんど減衰されないから、fとftとが定常的に一致されることはない。このように、仮設定ゲインGkによれば、閉ループLの制御状態が不安定になってしまい、測定を適切に行うことができない。
ここで、本実施形態によれば、仮測定データ取得工程および抽出工程によって、N個の異なるゲインGiの中からハンチングを生じさせない(Cj参照)ゲインGj(j=1、2、・・・、M)と、ハンチングを生じさせる(Ck参照)ゲインGk(k=1、2、・・・、N−M)とを識別できる。以下、この両工程について説明する。

0040

<仮測定データ取得工程>
制御回路ゲイン調整部3に所定時間にわたって取り込まれた各仮設定ゲインGiごとのセンサ検出信号は、周波数フィルタ31によって濾波される。
フィルタ31は、時間について波形表示されているセンサ検出信号(図4参照)のうち、ハンチングの生じる周波数(振動周波数)に対応する周波数成分のみを通過させるように構成されている。したがって、フィルタ31を通過した成分が大きければ大きいほど閉ループLに生じるハンチングは大きく、不安定な制御状態となっている。後で述べるように、フィルタ31を通過する成分の大きさは所定の基準値と比較され、基準値以上であればハンチングが生じていると判定され、また、基準値未満であればハンチングが生じていないと判定される。そして、ハンチングが生じていないと判定されたデータを与える仮設定ゲインGjのうち所定の要件を満たす一のゲインが最適ゲインとして制御回路23に設定される。
このように、フィルタ31を通過される周波数成分の大きさは、ハンチングの生じない最適ゲイン(最大の周波数特性)を設定する上での重要な指標となるものであるから、フィルタ31における通過可能周波数帯を厳密に設定して、所望の周波数成分のみを通過させる必要がある。以下、この設定について説明する。

0041

図1を用いて前に説明したように、ハンチングが主として生じる自己発振周波数帯は閉ループL全体の位相交差周波数ω0とゲイン交差周波数ωCとを用いて、ω0≦ω≦ωC、と表される(但し、ω0≦ωC、のときに限る)。本実施形態では、閉ループLのゲイン調整に主眼を置く関係上、位相は固定して考える。そのため、自己発振周波数帯の下限としてのω0は、各仮設定ゲインGiについて共通の値である。一方、自己発振周波数帯の上限としてのωCは、各仮設定ゲインGiごとに異なる値である。図1に示されるように、ゲインの値が大きいほどωCの値が大きく、自己発振周波数帯が広くなる。
ところで、自己発振周波数帯に属する周波数のハンチングの振幅は、その周波数におけるゲイン(増幅率)の大きさと正の相関関係がある。図1に示されるように、制御系のゲインは、周波数に対して単調に減少するように構成されるのが一般的であるから、自己発振周波数帯内では、その下限(ω0)付近でのゲインの方が上限(ωC)付近でのゲインよりも大きい。そのため、自己発振周波数帯に属する周波数のハンチングの振幅は、下限ω0付近の周波数帯(以下、主要振動周波数帯、という)、ω0≦ω≦ω0+Δω(<ωC)、において大きいことになり、この大振幅のハンチングが測定制御状態を不安定にする主要因であると言える。
そこで、フィルタ31の通過可能周波数帯を主要振動周波数帯と一致するように設定する。このように設定されたフィルタ31によれば、主要ハンチングに対応する周波数成分のみを通過させ、これを分析できるから、ハンチングを生じさせない最適ゲインを容易に判定できる。なお、以上のようにして設定されるフィルタ31の通過可能周波数帯の幅Δωは、適宜最適な値が予め設定されているものとする。

0042

さて、以上のようなフィルタ31によって濾波された各仮設定ゲインGiごとのセンサ検出信号の出力値Siは、測定信号としてのセンサ検出信号に基づく本発明の仮測定データとしてメモリ32に記憶される。

0043

<抽出工程>
続いて、各Siは、予め設定されている所定の基準値S0と比較される。基準値S0は、閉ループLにおけるハンチングの有無を判定するための最適な値として予め設定されており、Sk≧S0となる仮設定ゲインGkについてはハンチングが生じ、Sj<S0となるGjについてはハンチングが生じていないことになる。抽出工程においてはハンチングが生じない仮設定ゲインGj(Sj<S0、を満たす)のみを抽出し、メモリ33に記憶させる。

0044

<ゲイン設定工程>
続く、ゲイン設定工程では、抽出された各Gjのうち最大の値を有するものが選択され、制御回路23のゲイン(GC)に設定される。ここで、最大のGjとしたのは、閉ループLの定常特性、速応性等を高くするため、つまり測定制御系の周波数特性を最大にするためである。

0045

以上のように、本実施形態のゲイン設定方法によれば、ハンチングを生じさせないゲインGj(j=1、2、・・・、M(≦N))を抽出することによって閉ループLにおける安定性を確保しつつ、各ゲインGjのうち最大の値のものを選択することによって高い定常特性、速応性等を実現できる。したがって、測定を安定、高精度、かつ、迅速に行うことができる。

0046

<記憶工程>
以下、前記ゲイン設定工程において、最適ゲインとして制御回路23に設定されたゲインをGCとする。また、このときの閉ループL全体のゲインをGとする。Gは、閉ループL全体の最適ゲインとして制御回路ゲイン補正部4のメモリ41に記憶される。

0047

<ゲイン補正工程>
続いて、ゲインの補正について説明する。
スタイラス131および被測定物Wの少なくともいずれかを性状の異なるものに交換すると、図3においてセンサ13のゲインGSが見かけ上変化される。
例えば、被測定物Wを軟質材料のものから硬質材料のものに交換すると、スタイラス131が被測定物Wから受ける測定負荷が増大する結果、アクチュエータ11または駆動装置1Aからの入力(アクチュエータ11の伸縮量、または、駆動装置1AのZ軸方向駆動量)に対するスタイラス131の振幅の変化率が大きくなり、結果的に、センサ13からのセンサ信号の変化率が大きくなる。これは、センサ13のゲインGS(=センサ信号の出力値/アクチュエータ11または駆動装置1Aからの入力)が見かけ上変化されることを意味する。
ここで、見かけ上変化されたセンサ13のゲインをGS´とし、このGS´を前記の数1に代入して計算される閉ループL全体のゲインをG´とする。G´≠G、であるから、このときの閉ループLのゲインは最適ゲインからずれており、このまま測定を行うと、安定性、定常特性、速応性等の点で問題が生じる可能性がある。そこで、センサ13のゲインの見かけ上の変化を相殺するように閉ループLのゲインをG´から最適ゲインGに補正する必要がある。本実施形態では、制御回路ゲイン補正部4で制御回路23のゲインを補正することによって、最適ゲインへの調整を行う。以下、詳しく述べる。

0048

<予備測定工程>
スタイラス131および被測定物Wの少なくともいずれかを交換した後、本体1のXY座標を固定した上で、本体1をZ軸方向に駆動してスタイラス131を被測定物W上の一点に押し込んで接触測定を行う。このとき、変位センサ14と被測定物Wとの垂直距離(Z軸方向)が変化され、その変化量(押し込み量)に応じた変位信号が変位センサ14から出力される。この変位信号は、センサ13からのセンサ信号とともに、制御回路ゲイン補正部4における演算回路42に入力される。

0049

<演算工程>
演算回路42は、この2つの信号を基に見かけ上変化されたセンサ13のゲインGS´を算出する。
GS´の算出は、例えば、図5のように行われる。図5(A)、(B)は、それぞれ、(i)センサ13(本体1)を一定の速さで被測定物(ワーク)Wに対して近づけ、(ii)スタイラス131を被測定物Wに対して所定量押し込み、その後、(iii)同じ速さでセンサ13を被測定物Wから遠ざけた場合における、時間と変位信号との関係を表すグラフ、時間とセンサ信号との関係を表すグラフ、であり、図5(C)は、(A)、(B)を基に、変位信号とセンサ信号との関係を表したグラフである。
図5(A)、(B)における、t1≦t≦t2、の時間領域において、スタイラス131と被測定物Wとは接触状態にあり、スタイラス131の押し込み量に応じてセンサ信号が変化されているが、これは図5(C)においては、一定傾きを有する直線部分として表される。図5(C)の座標原点を適当にとることによって、この直線部分の延長線原点を通るようにすることができるから、その傾きは、センサ信号/変位信号、で表される。ここで、変位信号は、駆動装置1Aからセンサ13への入力(本体1のZ軸方向への駆動)に相当するから、前記傾き=センサ13からの出力/センサ13への入力、となり、これはセンサ13のゲインGS´に等しい。

0050

さらに、演算回路42は、算出されたGS´を前記数1の右辺に代入した場合に、その左辺が閉ループLの最適ゲインG(メモリ41に記憶)に保持されるような制御回路23のゲインGC´の値を演算する。具体的には、制御回路23の補正ゲインGC´は、GS´および最適ゲインGを含む以下の数2を満足するような一意的な値として算出される。

0051

0052

制御回路ゲイン補正部4は、以上のように算出されたGC´を制御回路23に設定する。これにより、スタイラス131および被測定物Wの少なくともいずれかを性状の異なるものに交換した場合においても、閉ループL全体のゲインを最適ゲインGに保持することができるから、測定の安定性、定常特性、速応性等を高く維持できる。

0053

なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、フィルタ31の通過可能周波数帯として、各仮設定ゲインGiに共通の主要振動周波数帯(ω0≦ω≦ω0+Δω)を設定していたが、本発明では、各仮設定ゲインGiごとに異なるN個の通過可能周波数帯を設定してもよい。例えば、各仮設定ゲインGiごとに定まる自己発振周波数帯(ω0≦ω≦ωC)を、各仮設定ゲインGiについての通過可能周波数帯とすれば、ハンチングの発生を的確に防止するゲインを制御回路23に設定することが可能になる。なお、N個の通過可能周波数帯相互の切り替えは、一つのフィルタの通過可能周波数帯を調整することによって行ってもよいし、また、各々の通過可能周波数帯が各仮設定ゲインGiの自己発振周波数帯に等しいようなN枚のフィルタを用意しておき、仮設定されたゲインに応じて使うフィルタを切り替えることによって行ってもよい。

0054

また、前記実施形態においては、フィルタ31の通過可能周波数帯(ω0≦ω≦ω0+Δω)を、前に定義した自己発振周波数帯(ω0≦ω≦ωC)のみに着目して設定していたが、自己発振周波数帯以外にも閉ループLにハンチングを生じさせる周波数(あるいは、周波数帯)があるのであれば、それも包含されるようにフィルタ31の通過可能周波数帯を設定することができる。
例えば、自己発振周波数帯に属する周波数に加え、閉ループLを構成する電気回路の共振周波数ωrも通過可能周波数とするようなフィルタ31を使用してもよい。各仮設定ゲインGiごとにωrが異なる場合には、一枚のフィルタの通過可能周波数を調整することによって、あるいは、各ωrと一致する通過可能周波数が設定されたN枚のフィルタを用意し、各Giに対応してそれらを切り替えることによって、ωrに対応する周波数成分を濾波して取り出すことができる。

0055

また、前記実施形態においては、測定手段としてスタイラス131を有するセンサ13を用いた場合のゲインの補正について述べたが、測定手段が非接触式プローブの場合にも前記実施形態にかかるゲイン補正方法を適用できる。
例えば、非接触式プローブとして、光が照射された被測定物からの反射光受光して測定を行う光学式プローブを用いた場合には、被測定物における反射率等の光学的性質相違に応じて光学式プローブの受光量が変化し、光学式プローブから出力される測定信号に変化が生じる。そのため、被測定物を光学的性質の異なるものに交換する場合、光学式プローブのゲインが見かけ上変化し、フィードバック制御の閉ループのゲインが最適ゲインからずれてしまうことがある。本発明によれば、被測定物の交換に伴う光学プローブの受光量の変化などから、光学プローブのゲインの見かけ上の変化を算出し、さらに、閉ループ全体のゲインを最適ゲインに保持できるような制御回路のゲインを算出して設定できる。したがって、被測定物の如何によらず、測定の安定性、定常特性、速応性等を高度に維持できる。

0056

また、前記実施形態では、仮測定時のセンサ検出信号をフィルタ31で濾波していたが、本発明では、フィルタは必ずしも必要ではなく、センサ検出信号に対して直接周波数分析を行うことによっても最適ゲインを判定できる。具体的には、センサ検出信号をフーリエ変換して周波数表示し、この中から振動周波数に対応する周波数成分のみを抽出して、これを所定の基準値と比較すればよい。この振動周波数成分が基準値よりも小さいときは、閉ループにハンチングが生じていないと判定され、このときの仮設定ゲインを制御回路に設定すれば、測定を安定に行うことができる。

0057

また、前記実施形態では、測定手段として常時振動されるスタイラス131を有する、いわゆる、加振式プローブを採用していたが、本発明では、接触式および非接触式のいずれかを問わず、各種のプローブを採用できる。例えば、CCDを用いた光学センサ干渉計静電容量センサ電磁誘導センサ、超音波などを用いた音響センサ歪みゲージを有するヒンジ型のプローブなどを採用できる。

0058

また、前記実施形態では、予備測定工程および演算工程において、本体1をZ軸方向に駆動し、その変位信号を利用してセンサ13のゲインGS´を算出していたが、本発明では、本体1をZ軸方向に駆動する代わりにアクチュエータ11を伸縮させてセンサ13をZ軸方向に駆動し、そのときのアクチュエータ11の伸縮量と、センサ13からのセンサ信号とを利用してGS´を算出してもよい。

0059

また、前記実施形態では、制御回路ゲイン調整部3によるゲインの設定と、制御回路ゲイン補正部4によるゲインの補正とを組み合わせていたが、本発明では、必ずしも組み合わせる必要はなく、それぞれを単独で利用しても良い。特に、制御回路ゲイン補正部4を単独で利用する場合には、予め何らかの方法で測定制御系(閉ループ)の最適ゲインを算出しておき、測定手段および被測定物の少なくともいずれかを交換して測定手段のゲインが変化した場合には、制御回路ゲイン補正部4を利用して測定制御系全体のゲインが前記の最適ゲインに保持されるように制御回路23のゲインを補正すればよい。

0060

さらに、前記実施形態においては、制御パラメータQとして、制御回路23のゲインGのみを可変とする例を示したが、これに限らず、制御回路23に位相補償回路を設け、その位相補償回路の位相特性PHを可変として閉ループLの位相交差周波数ω0を変更可能とする構成であってもよい。例えば、位相補償回路として位相進み補償回路を設ければ測定制御系の周波数特性をより改善できる。また、位相補償回路として位相遅れ補償回路を設けることによって、例えば、位相交差周波数ω0近辺の有害位相変動を低減させて、測定制御系の安定性を向上させることができる。

0061

本発明は、各種の測定装置、例えば、三次元測定機原子間力顕微鏡合焦点変位測定装置に利用することができる。

図面の簡単な説明

0062

本発明における制御回路の周波数伝達関数についてのボード線図。
本発明の実施形態にかかる測定装置を示す図。
前記実施形態にかかる測定装置においてフィードバック制御を行う閉ループを示す図。
前記実施形態にかかる測定装置を用いた仮測定の際に、制御回路ゲイン調整部に取り込まれるセンサ検出信号の出力値と、仮測定時間との関係を表すグラフ。
前記実施形態において、変位信号とセンサ信号とを利用して、センサにおけるゲインの見かけ上の変化を算出する方法を示す図。

符号の説明

0063

1…本体
1A…駆動装置
3…制御回路ゲイン調整部
4…制御回路ゲイン補正部
11…アクチュエータ
13…センサ
14…変位センサ
21…センサ検出回路
22…目標値
23…制御回路
31…フィルタ
131…スタイラス
L…閉ループ
W…被測定物

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