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技術 クロストリディウム属細菌の神経毒の作用を延長させる組成物および方法

出願人 アラーガン、インコーポレイテッド
発明者 ジェイ・オリバー・ドリーケイ・ロジャー・アオキアントン・デ・パイバ
出願日 2005年11月8日 (16年0ヶ月経過) 出願番号 2005-323650
公開日 2006年3月9日 (15年8ヶ月経過) 公開番号 2006-063085
状態 拒絶査定
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 初期率 はためき 回復不能 眼瞼下垂症 生長率 治療処置後 外眼角 出芽率
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課題

損傷した神経組織からの神経生長刺激する医薬組成物を提供する。

解決手段

組成物は、IGF I、IGF II、毛様体神経組織栄養因子NT−3、NT−4、脳誘導性神経組織栄養因子、白血病阻害因子テネイシン−C、ニンジュリン、神経細胞接着分子および神経アグリンからなる群から選択される物質の神経組織栄養的に活性ドメインを含むポリペプチドを含む。

概要

背景

神経毒、例えばクロストリディウムボツリヌス(Clostridium botulinum)およびクロストリディウムテタヌス(Clostridium tetanus)から得られた神経毒は非常に強力かつ特異的な神経細胞毒物である。これらのグラム陽性細菌は、互いに関連しているが区別される2種類のトキシン分泌し、それぞれはジスルフィド結合した2個のアミノ酸鎖:約50KDaの軽鎖(L)および約100KDaの重鎖(H)を含み、これらの疾患症状の全面的な原因である。

テタヌスおよびボツリヌストキシンはヒトに対して最も致命的な既知物質に含まれ、そのヒトにおける致死量は0.1ng〜1ng/体重kgである。Tonello et al., Adv. Exp. Med. & Biol. 389:251-260 (1996)。両トキシンは、影響されるニューロンにおける神経伝達物質の放出を阻害することによって機能する。テタヌス神経毒(TeNT)は主に中枢神経系において作用し、一方ボツリヌス神経毒(BoNT)は、影響を受けるニューロンの軸索からシナプスへのアセチルコリン放出を阻害することによって神経筋結合部で作用し、局在化弛緩性麻痺を引き起こす。影響を受けるニューロンに対する毒処理の作用は長期間持続し、よって回復不能と考えられてきた。

テタヌス神経毒(TeNT)は免疫学的にはっきり区別される1個の型(タイプ)として存在することが知られており;ボツリヌス神経毒(BoNT)は、BoNT/A〜BoNT/Gと称される7個の異なる免疫原型として存在することが知られている。これらのすべての型はC.ボツリヌスの単離体から生産されるが、他の二種、C. baratii および C. butyricum もまた、それぞれ/Fおよび/Eと類似するトキシンを生産する。例えば、引用によりその開示内容が本明細書中包含される、Coffield et al., The Site and Mechanism of Action of Botulinum Neurotoxin in Therapy with Botulinum Toxin 3-13 (Jankovic J. & Hallett M. eds. 1994) を参照のこと。

型にかかわらず、毒化の分子機構は同様であると思われる。この過程の最初の段階では、トキシンが、その重鎖と細胞表面レセプターとの特異的相互作用により標的ニューロンシナプス前膜(presynaptic membrane)に結合する;このレセプターはボツリヌストキシンの各型およびTeNTによって異なると思われる。重鎖のカルボキシ末端細胞表面へのトキシンの標的化に重要であると思われる。

第二の段階では、トキシンは毒化される細胞の原形質膜を通過する。トキシンはまず、レセプター媒介性のエンドサイトーシスによって細胞に包み込まれ、このトキシンを含むエンドソームが形成される。次いでトキシンはエンドソームから細胞の細胞質漏出する。この最後の過程は重鎖のアミノ末端によって媒介されると考えられ、これにより約5.5またはそれ以下のpHに応じてトキシンのコンフォメーション変化が引き起こされる。エンドソームは、エンドソーム内のpHを減少させるプロトンポンプを有していることが既知である。コンフォメーションシフトはトキシン内の疎水性残基を暴露させ、これによりトキシンがエンドソーム膜にはまり込むことが可能になる。次いでこのトキシンはエンドソーム膜を介してサイトソルへ移動する。

ボツリヌストキシン活性の機構の最後の段階には、重鎖と軽鎖を連結するジスルフィド結合の還元が起こると思われる。ボツリヌスおよびテタヌストキシンの完全毒性活性ホロトキシン(holotoxin)の軽鎖に含有される;この軽鎖は亜鉛(Zn++)エンドペプチダーゼであり、これは神経伝達物質含有小胞が原形質膜の細胞質表面を認識結合し、原形質膜と融合するのに必要不可欠なタンパク質を選択的に開裂させる。TxNT、BoNT/B、BoNT/D、BoNT/FおよびBoNT/Gは、シナプトソーム膜タンパク質であるシナプトブレビン2(小胞関連性の膜タンパク質(VAMP)と称されることもある)の分解を引き起こす。シナプス小胞のサイトソル表面に存在するほとんどのVAMPがいずれか1つのこれら開裂イベントの結果として除去される。各トキシンはそれぞれ別個の結合を特異的に開裂させる。

BoNT/Aおよび/Eは選択的に、原形質膜関連タンパク質SNAP−25を開裂させる;このタンパク質は原形質膜のサイトソル表面に結合して存在する。BoNT/Cは、その大部分がサイトソルに暴露されている複合タンパク質であるシンタキシンを開裂させる。シンタキシンはシナプス前末端活性領域でカルシウムチャンネル相互作用する。引用によりその開示内容が本明細書の部分として包含される Tonello et al., Tetanus and Botulism Neurotoxins in Intracellular Protein Catabolism 251-260 (Suzuki K & Bond J. eds. 1996) を参照のこと。またBoNT/C1はSNAP−25を、BoNT/Aによって開裂される部位のとなりのペプチド結合で開裂させる。

TeNTおよびBoNTはともに神経筋接合部において取り込まれる。BoNTは末梢ニューロン内に留まり、これらの細胞から神経伝達物質であるアセチルコリンが放出するのを遮断する。そのレセプターを介して、TeNTは、軸索に沿って細胞体にまで逆行して移動する小胞に入り運動性ニューロン脊髄阻害性ニューロンの間のシナプス内間隙へ放出される。この時点でTeNTは阻害性ニューロンのレセプターと結合し、再び内部移行し、軽鎖はサイトソルに入り、これらの細胞からの阻害性神経伝達物質、4−アミノ酪酸GABA)およびグリシンの放出を遮断する。前掲

その特異的な局在化作用のため、1981年以降、斜視(眼の調整不良)、眼瞼痙攣(bephlarospasm、不随意まぶた閉鎖)および片側顔面痙攣を含む種々の痙攣性症状の患者処置における治療物質としてBoNTの希釈調製物を用いてきた。例えば、引用により本明細書中に包含される Borrodic et al., Pharmacology and Histology Botulinum Toxin in Therapy with Botulinum Toxin 3-13 (Jankovic J. & Hallett M. eds. 1994) を参照のこと。7個のトキシン型のうち、BoNT/Aは最も強力なBoNTであり、最も詳しく特徴付けされている。また、痙攣性組織にBoNT/Aの希釈調製物を筋肉内注射し、脳損傷脊髄損傷発作(stroke)、多発性硬化症および脳性麻痺による痙攣性を効率的に処置した。麻痺の程度は、標的部位に供給される用量および投与容量の両方に依存する。典型的には、標的運動性ニューロンに対し、その安定性および保存性最大化援助する血球凝集素(hemagglutins)および関連糖タンパク質を含むいくつかの無毒のタンパク質をさらに含有する調製物内において神経毒を投与する。

通常、トキシンの投与から臨床効果の発現までの間には24〜72時間の遅延がある。トキシンに暴露すると除神経萎縮症を引き起こす。例えば、引用により本明細書中に包含される Dutton J., Acute and Chronic Effects of Botulinum Toxin in the Management of Blepharospasm, in Therapy with Botulinum Toxin at 199 を参照のこと。BoNTの治療的適用は格別に有効であるが、観察される副作用は主に、処置それ自体に関連する即時の作用である。隣接する筋肉を弱くする末梢性作用が生じることもある;これらの作用は通常、1〜2週間を超えて持続することはない。隣接する筋肉群に対するこれらの作用の具体的な現れ方は、処置される具体的症状に依存する。例えば、眼瞼痙攣症に対する処置を受ける患者は眼瞼下垂症を経験することがあり、斜頚に対する頚部筋肉の注射後には嚥下問題(swallowing problems)が生じることもある。

他の可能性のある処置結果には、誤算または、トキシンの種々の調製物間における活性の差異による過剰投与、全身性疲労に対する可能性およびアレルギー反応に対する可能性が含まれる。

BoNT/Aおよび他のクロストリディウム属細菌の神経毒型での処置の特徴は、麻痺作用が一時的なものであり、トキシンの注射後2、3月以内に患者において再発する兆候を伴うことである。この特徴は、神経筋接合部(NMJ)でのシナプス性活性過程である、観察される出芽新生に関連すると考えられている。このようなBoNT/A治療処置後の生成は処置された組織の神経再支配(reinervation)に役立つので、このトキシンを繰り返し連続注射する必要があると思われてきた。

クロストリディウム属細菌の神経毒によって引き起こされる麻痺作用期間および出芽の程度は、研究された神経毒サブタイプに依存すると思われるため、各神経毒によって開裂される特定のSNARE標的に関連していると思われる。それゆえ、t−SNAREタンパク質、SNAP−25を互いに1アミノ酸の範囲内で分解するBoNT/AおよびBoNT/C1は長期間持続する麻痺を生じさせ、長い平均の芽の長さが観察される。v−SNAREタンパク質、VAMPを分解するBoNT/Fはより短期間の麻痺とより短い平均の長さの芽を生じさせる。BoNT/AおよびBoNT/C1とは異なる位置でSNAP−25を分解する(これにより異なるサイズのSNAP断片を原形質膜から遊離させる)BoNT/Eでは約5日間という短期間であり、神経の出芽は実質的に観察されない。理論により結びつけられないが、これらの観察は神経の出芽と麻痺の期間が通常は関連するイベントであり、BoNTタンパク質消化分解産物(すなわち遊離断片または膜結合断片)が直接的または間接的に神経の出芽を制御するか、あるいは神経出芽とともに制御され得ることを示す。

したがって、出芽現象治療効果の期間の連結を解き、組織に対するトキシン注射の効果を遅延させ、遮断するか、あるいは減衰させ、結果として延長させる方法を設計することは有益であろう。本明細書中に記載の実験ではBoNT/Aを用いるが、当業者であれば、本明細書中に記載の方法が、出芽経路が観察され得る、他のクロストリディウム属細菌のトキシン、例えばBoNT/B〜BoNT/GおよびTeNTを利用した適用にも適当であることが認識できよう。

さらに、出芽現象の阻害または予防に有効な組成物を本明細書中に提供することは有益であろう。このような組成物および方法は患者が神経毒処置を繰り返し受ける必要を減少させるであろう。

概要

損傷した神経組織からの神経芽の生長刺激する医薬組成物を提供する。該組成物は、IGF I、IGF II、毛様体神経組織栄養因子、NT−3、NT−4、脳誘導性神経組織栄養因子、白血病阻害因子テネイシン−C、ニンジュリン、神経細胞接着分子および神経アグリンからなる群から選択される物質の神経組織栄養的に活性なドメインを含むポリペプチドを含む。なし

目的

本発明は、クロストリディウム属細菌の神経毒での神経組織の治療処置の期間を増加させる方法に関する;したがってこの方法は該処置の有効性を増加させる方法を提供する。このような方法の直接的な利点は、治療的「ライフ」を増大させ、同時に、患者に対して必要とされる神経毒での処置の頻度を減少させることである。処置頻度の減少により、患者が処置後に観察される上記の副作用を経験する可能性が少なくなるであろうが、標的領域におけるトキシンの効果が鎮静するまでの期間が長びく傾向がある。さらに、処置頻度の減少は適用量の誤算および他の処置特有の危険性の可能性を減少させる。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

IGF I、IGF II、毛様体神経組織栄養因子NT−3、NT−4、脳誘導性神経組織栄養因子、白血病阻害因子テネイシン−C、ニンジュリン、神経細胞接着分子および神経アグリンからなる群から選択される物質の神経組織栄養的に活性ドメインを含むポリペプチドを含む、損傷した神経組織からの神経生長刺激する医薬組成物

請求項2

物質がIGF Iを含む、請求項1に記載の組成物

請求項3

物質がIGF IIを含む、請求項1に記載の組成物。

請求項4

物質が毛様体神経組織栄養因子を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項5

物質がNT−3を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項6

物質がNT−4を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項7

物質が脳誘導性神経組織栄養因子を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項8

物質が白血病阻害因子を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項9

物質がテネイシン−Cを含む、請求項1に記載の組成物。

請求項10

物質がニンジュリンを含む、請求項1に記載の組成物。

請求項11

物質が神経細胞接着分子を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項12

物質が神経アグリンを含む、請求項1に記載の組成物。

技術分野

0001

本発明は、ボツリヌストキシンに曝されたニューロン神経出芽(neural sprouting)を阻害する方法および組成物に関する。また、神経細胞に対するボツリヌストキシンでの処置細胞または組織、例えば筋肉細胞または組織の神経支配を妨げるのに有効である期間を延長させる方法および組成物を開示する。このような方法および組成物は、痙攣または筋肉強直痙攣の処置に有効である。さらに、神経生長(neural outgrowth)を刺激する方法および組成物を開示する。

背景技術

0002

神経毒、例えばクロストリディウムボツリヌス(Clostridium botulinum)およびクロストリディウムテタヌス(Clostridium tetanus)から得られた神経毒は非常に強力かつ特異的な神経細胞の毒物である。これらのグラム陽性細菌は、互いに関連しているが区別される2種類のトキシン分泌し、それぞれはジスルフィド結合した2個のアミノ酸鎖:約50KDaの軽鎖(L)および約100KDaの重鎖(H)を含み、これらの疾患症状の全面的な原因である。

0003

テタヌスおよびボツリヌストキシンはヒトに対して最も致命的な既知物質に含まれ、そのヒトにおける致死量は0.1ng〜1ng/体重kgである。Tonello et al., Adv. Exp. Med. & Biol. 389:251-260 (1996)。両トキシンは、影響されるニューロンにおける神経伝達物質の放出を阻害することによって機能する。テタヌス神経毒(TeNT)は主に中枢神経系において作用し、一方ボツリヌス神経毒(BoNT)は、影響を受けるニューロンの軸索からシナプスへのアセチルコリン放出を阻害することによって神経筋結合部で作用し、局在化弛緩性麻痺を引き起こす。影響を受けるニューロンに対する毒処理の作用は長期間持続し、よって回復不能と考えられてきた。

0004

テタヌス神経毒(TeNT)は免疫学的にはっきり区別される1個の型(タイプ)として存在することが知られており;ボツリヌス神経毒(BoNT)は、BoNT/A〜BoNT/Gと称される7個の異なる免疫原型として存在することが知られている。これらのすべての型はC.ボツリヌスの単離体から生産されるが、他の二種、C. baratii および C. butyricum もまた、それぞれ/Fおよび/Eと類似するトキシンを生産する。例えば、引用によりその開示内容が本明細書中包含される、Coffield et al., The Site and Mechanism of Action of Botulinum Neurotoxin in Therapy with Botulinum Toxin 3-13 (Jankovic J. & Hallett M. eds. 1994) を参照のこと。

0005

型にかかわらず、毒化の分子機構は同様であると思われる。この過程の最初の段階では、トキシンが、その重鎖と細胞表面レセプターとの特異的相互作用により標的ニューロンシナプス前膜(presynaptic membrane)に結合する;このレセプターはボツリヌストキシンの各型およびTeNTによって異なると思われる。重鎖のカルボキシ末端は細胞表面へのトキシンの標的化に重要であると思われる。

0006

第二の段階では、トキシンは毒化される細胞の原形質膜を通過する。トキシンはまず、レセプター媒介性のエンドサイトーシスによって細胞に包み込まれ、このトキシンを含むエンドソームが形成される。次いでトキシンはエンドソームから細胞の細胞質漏出する。この最後の過程は重鎖のアミノ末端によって媒介されると考えられ、これにより約5.5またはそれ以下のpHに応じてトキシンのコンフォメーション変化が引き起こされる。エンドソームは、エンドソーム内のpHを減少させるプロトンポンプを有していることが既知である。コンフォメーションシフトはトキシン内の疎水性残基を暴露させ、これによりトキシンがエンドソーム膜にはまり込むことが可能になる。次いでこのトキシンはエンドソーム膜を介してサイトソルへ移動する。

0007

ボツリヌストキシン活性の機構の最後の段階には、重鎖と軽鎖を連結するジスルフィド結合の還元が起こると思われる。ボツリヌスおよびテタヌストキシンの完全毒性活性ホロトキシン(holotoxin)の軽鎖に含有される;この軽鎖は亜鉛(Zn++)エンドペプチダーゼであり、これは神経伝達物質含有小胞が原形質膜の細胞質表面を認識結合し、原形質膜と融合するのに必要不可欠なタンパク質を選択的に開裂させる。TxNT、BoNT/B、BoNT/D、BoNT/FおよびBoNT/Gは、シナプトソーム膜タンパク質であるシナプトブレビン2(小胞関連性の膜タンパク質(VAMP)と称されることもある)の分解を引き起こす。シナプス小胞のサイトソル表面に存在するほとんどのVAMPがいずれか1つのこれら開裂イベントの結果として除去される。各トキシンはそれぞれ別個の結合を特異的に開裂させる。

0008

BoNT/Aおよび/Eは選択的に、原形質膜関連タンパク質SNAP−25を開裂させる;このタンパク質は原形質膜のサイトソル表面に結合して存在する。BoNT/Cは、その大部分がサイトソルに暴露されている複合タンパク質であるシンタキシンを開裂させる。シンタキシンはシナプス前末端活性領域でカルシウムチャンネル相互作用する。引用によりその開示内容が本明細書の部分として包含される Tonello et al., Tetanus and Botulism Neurotoxins in Intracellular Protein Catabolism 251-260 (Suzuki K & Bond J. eds. 1996) を参照のこと。またBoNT/C1はSNAP−25を、BoNT/Aによって開裂される部位のとなりのペプチド結合で開裂させる。

0009

TeNTおよびBoNTはともに神経筋接合部において取り込まれる。BoNTは末梢ニューロン内に留まり、これらの細胞から神経伝達物質であるアセチルコリンが放出するのを遮断する。そのレセプターを介して、TeNTは、軸索に沿って細胞体にまで逆行して移動する小胞に入り運動性ニューロン脊髄阻害性ニューロンの間のシナプス内間隙へ放出される。この時点でTeNTは阻害性ニューロンのレセプターと結合し、再び内部移行し、軽鎖はサイトソルに入り、これらの細胞からの阻害性神経伝達物質、4−アミノ酪酸GABA)およびグリシンの放出を遮断する。前掲

0010

その特異的な局在化作用のため、1981年以降、斜視(眼の調整不良)、眼瞼痙攣(bephlarospasm、不随意まぶた閉鎖)および片側顔面痙攣を含む種々の痙攣性症状の患者の処置における治療物質としてBoNTの希釈調製物を用いてきた。例えば、引用により本明細書中に包含される Borrodic et al., Pharmacology and Histology Botulinum Toxin in Therapy with Botulinum Toxin 3-13 (Jankovic J. & Hallett M. eds. 1994) を参照のこと。7個のトキシン型のうち、BoNT/Aは最も強力なBoNTであり、最も詳しく特徴付けされている。また、痙攣性組織にBoNT/Aの希釈調製物を筋肉内注射し、脳損傷脊髄損傷発作(stroke)、多発性硬化症および脳性麻痺による痙攣性を効率的に処置した。麻痺の程度は、標的部位に供給される用量および投与容量の両方に依存する。典型的には、標的運動性ニューロンに対し、その安定性および保存性最大化援助する血球凝集素(hemagglutins)および関連糖タンパク質を含むいくつかの無毒のタンパク質をさらに含有する調製物内において神経毒を投与する。

0011

通常、トキシンの投与から臨床効果の発現までの間には24〜72時間の遅延がある。トキシンに暴露すると除神経萎縮症を引き起こす。例えば、引用により本明細書中に包含される Dutton J., Acute and Chronic Effects of Botulinum Toxin in the Management of Blepharospasm, in Therapy with Botulinum Toxin at 199 を参照のこと。BoNTの治療的適用は格別に有効であるが、観察される副作用は主に、処置それ自体に関連する即時の作用である。隣接する筋肉を弱くする末梢性作用が生じることもある;これらの作用は通常、1〜2週間を超えて持続することはない。隣接する筋肉群に対するこれらの作用の具体的な現れ方は、処置される具体的症状に依存する。例えば、眼瞼痙攣症に対する処置を受ける患者は眼瞼下垂症を経験することがあり、斜頚に対する頚部筋肉の注射後には嚥下問題(swallowing problems)が生じることもある。

0012

他の可能性のある処置結果には、誤算または、トキシンの種々の調製物間における活性の差異による過剰投与、全身性疲労に対する可能性およびアレルギー反応に対する可能性が含まれる。

0013

BoNT/Aおよび他のクロストリディウム属細菌の神経毒型での処置の特徴は、麻痺作用が一時的なものであり、トキシンの注射後2、3月以内に患者において再発する兆候を伴うことである。この特徴は、神経筋接合部(NMJ)でのシナプス性活性過程である、観察される出芽新生に関連すると考えられている。このようなBoNT/A治療処置後の生成は処置された組織の神経再支配(reinervation)に役立つので、このトキシンを繰り返し連続注射する必要があると思われてきた。

0014

クロストリディウム属細菌の神経毒によって引き起こされる麻痺作用期間および出芽の程度は、研究された神経毒サブタイプに依存すると思われるため、各神経毒によって開裂される特定のSNARE標的に関連していると思われる。それゆえ、t−SNAREタンパク質、SNAP−25を互いに1アミノ酸の範囲内で分解するBoNT/AおよびBoNT/C1は長期間持続する麻痺を生じさせ、長い平均の芽の長さが観察される。v−SNAREタンパク質、VAMPを分解するBoNT/Fはより短期間の麻痺とより短い平均の長さの芽を生じさせる。BoNT/AおよびBoNT/C1とは異なる位置でSNAP−25を分解する(これにより異なるサイズのSNAP断片を原形質膜から遊離させる)BoNT/Eでは約5日間という短期間であり、神経の出芽は実質的に観察されない。理論により結びつけられないが、これらの観察は神経の出芽と麻痺の期間が通常は関連するイベントであり、BoNTタンパク質消化分解産物(すなわち遊離断片または膜結合断片)が直接的または間接的に神経の出芽を制御するか、あるいは神経出芽とともに制御され得ることを示す。

0015

したがって、出芽現象治療効果の期間の連結を解き、組織に対するトキシン注射の効果を遅延させ、遮断するか、あるいは減衰させ、結果として延長させる方法を設計することは有益であろう。本明細書中に記載の実験ではBoNT/Aを用いるが、当業者であれば、本明細書中に記載の方法が、出芽経路が観察され得る、他のクロストリディウム属細菌のトキシン、例えばBoNT/B〜BoNT/GおよびTeNTを利用した適用にも適当であることが認識できよう。

0016

さらに、出芽現象の阻害または予防に有効な組成物を本明細書中に提供することは有益であろう。このような組成物および方法は患者が神経毒処置を繰り返し受ける必要を減少させるであろう。

発明が解決しようとする課題

0017

本発明は、クロストリディウム属細菌の神経毒での神経組織治療処置の期間を増加させる方法に関する;したがってこの方法は該処置の有効性を増加させる方法を提供する。このような方法の直接的な利点は、治療的「ライフ」を増大させ、同時に、患者に対して必要とされる神経毒での処置の頻度を減少させることである。処置頻度の減少により、患者が処置後に観察される上記の副作用を経験する可能性が少なくなるであろうが、標的領域におけるトキシンの効果が鎮静するまでの期間が長びく傾向がある。さらに、処置頻度の減少は適用量の誤算および他の処置特有の危険性の可能性を減少させる。

課題を解決するための手段

0018

したがって、本発明の1つの側面は、治療物質として使用するためのクロストリディウム属細菌の神経毒を含む第一の物質および、神経筋接合部をクロストリディウム属細菌の神経毒で処置した後の神経の末端芽の生成を効果的に弱め、該第一の物質の治療的利益の期間を延長させることができる第二の物質を含む組成物に関する。

0019

本発明の側面の具体的態様では、第一および第二の物質は、単一の処置期間において患者に提供される単一の物質を構成し得る。例えば、この物質は単一の分子またはジスルフィド結合した複数鎖のポリペプチドを含んでいてもよい。さらに、あるいはこれとは別に、この物質は1つまたはそれ以上の吸着または結合ヘテロ基、例えば結合小有機分子または核酸を含んでいてもよい。この物質は、クロストリディウム属細菌の重鎖およびクロストリディウム属細菌トキシンの軽鎖活性部分のレセプター結合活性および移動活性の両方を含むのが好ましい。またこの軽鎖は、補助酵素活性、例えば、神経組織栄養因子または細胞接着分子の発現、活性化および/または分泌を担うニューロン内因子をコードする核酸を特異的に分解するリボヌクレアーゼ活性を含むこともある。好ましい態様では、このような補助の活性はリボザイムによって提供される。リボザイムとは、配列特異的ヌクレアーゼ活性を有する核酸または核酸アナログを意味する;リボザイムの構築物および使用は当分野に詳細に周知であり;例えば、引用によりその開示内容が本明細書中に包含される Cech, T., Science 236:1532-1539 (1987); Cech, T. R., Curr. Opin. Struct. Biol. 2:605-609 (1992); および Usman et al., Nucleic Acids& Mol. Biol. 10:243-264 (1996) を参照のこと。核酸アナログとは、標的一本鎖核酸と配列特異的ハイブリッドを形成することができるポリマー分子を意味する;このようなアナログ修飾ヌクレオチド(またはリボヌクレオチド)、例えば3'−Oメチルヌクレオチドモノチオリン酸修飾ヌクレオチド、メチルホスホナートヌクレオチドまたは、ペプチド様結合によって分離されたヌクレオチド塩基を含み得る。

0020

また、上記の単一の物質内に含まれる核酸または核酸アナログは、神経組織栄養因子または細胞接着分子の発現、活性化および/または分泌を担うニューロン内因子をコードする核酸と選択的に結合可能なアンチセンス物質であってよい。このアンチセンス物質はさらに、細胞内RNAse H活性の作用に対する二重鎖基質を提供し得る。本発明のこれらの側面の特定の態様に関する詳細は、例えば Dolly et al., International Publication No. Wo95/32738,標題Modification of Clostridial Toxins for Use as Transport Proteins および Uherek et al., J. Biol. Chem. 273:8835-8841 (1998) に記載されている。これらの2本の参考文献は引用により本出願の部分として包含される。

0021

この物質のポリペプチド部分と結合した核酸部分は、ニューロン内での被発現能を有し、直接的または間接的に神経組織栄養因子または細胞接着分子の発現、活性化および/または分泌の調節能を有するタンパク質またはポリペプチドをコードするものであり得る。

0022

本発明の好ましい側面では、第二の物質はIGFI、IGF II、神経組織栄養因子、白血病阻害因子神経細胞接着分子および神経アグリンの作用と拮抗するか、あるいはそれらを下行調節(down-regulate)するか、あるいは中和することができる物質からなる群から選択される。本発明のより好ましい側面では、神経組織栄養因子は毛様体神経組織栄養因子、NT−3、NT−4および脳誘導性神経組織栄養因子からなる群から選択され、ならびに/あるいは神経細胞接着分子はテネイシン−C、ニンジュリン(ninjurin)、神経細胞接着分子からなる群から選択される。

0023

発明者らは、驚くべきことに、クロストリディウム属細菌の神経毒での神経末端を毒処理した後の神経機能回復には、2つの別個の明らかに調和するイベントが関与することを発見した。第一に、毒処理された終板(endplate)はシナプス的に不活性になる。その後間もなく、この終板は新生の薄い軸索神経突起を合成する。これらの突起、すなわち「芽(sprouts)」は、クロストリディウム属細菌の神経毒での処置約14日後にはシナプス的能力を有する。芽は成長を続け、神経毒での処置約42日後に最大の長さおよび複雑さのレベルに達する。この期間中、終板はシナプス的に不活性なままである。

0024

第二に、約42日後、芽は退化を開始し、長さが短くなり、複雑さが減少する。同時に、元の終板はシナプス的に活性化を開始し、シナプス小胞の稼動を受ける。このような稼動は増加して、処置約91日後に毒処理されていない終板のレベルにまで達し、ほぼ同時に出芽現象は完全に退行し、芽は全く観察できなくなる。これらの発見については、引用により本明細書中に包含される DePaiva et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. 96:3200-3205 (March 1999) に報告されている。

0025

これらの観察は、クロストリディウム属細菌トキシンで処置すると、元の終板は恒久的に不活化し、そしてシナプス活性の回復はすべて、神経学的に機能を有する終板の欠如を補う芽の延長のおかげである、という広く仮定されていた当分野での常識とは全く反対である。しかし、示されるように、毒処理された終板は一定期間かかって神経学的機能を回復し、軸索の芽は、一定期間後に神経末端が本質的に処置前の状態であると思われるように退化するという点において、本発明者らは古いパラダイムが間違いであることを示した。したがって発明者らは、軸索の芽が恒久的な特徴ではなく、毒処理された終板のリハビリテーションにおいて一時的な役割を担っているに過ぎないことを発見した。

0026

理論によって制限されることを望まないが、これらの結果は、神経出芽現象の遮断が機能的終板の回復を遅延または遮断する点において、先に概説した2つのイベントが一時的に調和していることを示していると発明者らは信じている。このような一時的な調和(temporal coordination)は、神経組織栄養作用を有し、神経芽を形成している、損傷した神経終板(または不活性筋繊維)からの1つまたはそれ以上の因子の分泌のせいであり得る;次いでこれらの芽は、出芽の継続を促進する(第一の因子と同じであるか、あるいは異なっている)因子を合成する。この因子は、神経突起の出芽時に、クロストリディウム属細菌トキシンでの処置後でさえ、神経毒で損傷した終板の神経再支配(reinervation)に十分な量が生産され得る。したがって、神経出芽を遮断できる物質で細胞を処置すると、処置される終板が神経学的機能の回復を経験する能力を遅延させ、あるいは弱めるであろうし、実際にはこの回復を完全に遮断するかもしれない。

0027

示されるように、神経出芽現象の開始を指示するシグナル化イベントは、サイトカインまたは他の細胞内メッセンジャーによって媒介されると思われる。このような物質の1つであるアグリンは、発生中の神経筋接合部の形成ならびに神経筋再生において、鍵となる分子ではないにしても、重要な役割を担っていると思われる。引用によりその開示内容が本明細書中に包含される Ruegg M.A. and Bixby J. L., Trendsin Neurol. Sci. 21:22-27 (1998) を参照のこと。アグリンは、種々のmRNAスプライシングの結果、多数のイソ型で存在すると思われる。(アグリンが分泌後に結合する)シナプス基底層抽出物から単離された可溶性アグリンは、筋細胞シナプス後部分においてアセチルコリンレセプターの凝集誘導することができる。運動性ニューロンの末端に存在するアグリン(n−アグリン)は、他のアグリン種と異なり、B/z領域と称される領域に挿入を含んでいる;この挿入はn−アグリンにシナプス後組織においてアセチルコリンレセプターを凝集させる能力を与えるのに重要である。神経アグリンは運動神経末端から放出され、シナプス後分化および、神経出芽応答に関与する他の因子、例えば筋肉拡散因子(muscle-diffusable factors)の上行調節を誘導すると発明者らは考えている。

0028

出芽現象を妨害する方法は、治療的に(すなわちBoNTまたはTeNTによって)毒処理あるいは損傷されたニューロンによって制御されている、細胞に対する神経支配の回復を遅延させるであろうことが予想される。このことは、上に示すように、神経機能の回復率がシナプス的に活性な芽の存在に部分的に依存すると思われるためである。さらに、出芽の阻害に用いられるべき物質は毒処理後における終板の神経活性の回復を非常によく遅延させ、あるいは予防することができる。

0029

したがって、このような方法を利用すると、活性な神経筋シナプスの再生が遅延されることにより、出芽の阻害および毒処理された終板の回復の阻害の両方を介して、クロストリディウム属細菌のトキシンでの組織処置における有効期間を延長させることが予想されるであろう。

発明を実施するための最良の形態

0030

本発明は、クロストリディウム属細菌の神経毒での組織処置の治療有効性を増大させるための方法および組成物に関する。この有効性の増大は、クロストリディウム属細菌の神経毒での処置により損傷した神経組織の再生が複雑に生じ、ここでは2つの調和したイベントが起こるという驚くべき発見によって可能になる。

0031

これらのイベントのうち第一のものでは、毒処理された神経筋終板がシナプス的に不活性であり、これはシナプス小胞のエキソサイトーシスが生じず、それゆえ細胞内アセチルコリンの輸送が生じないことを示す。処置後4日目では、この終板は、シナプス小胞を放出し、再生することが示されている神経芽の形成を開始する。これらの芽は長さおよび複雑さに関し、神経毒での処置後約42日目まで成長する;この時点で神経芽は退化および短縮を開始する。処置後91日目では、神経芽はもはや観察できない。

0032

第二のイベントでは、神経芽の退化の開始と同時に、シナプス的に不活性な終板がアセチルコリン放出能の回復を開始し、シナプス小胞の再利用を開始する。この能力は、比較的低いレベルで開始され、上に示した期間にわたって増大する。クロストリディウム属細菌の神経毒での処置後約91日目において、終板は組織学的およびシナプス的に、クロストリディウム属細菌の神経毒での処置前の終板の状態と区別がつかない。

0033

これらの発見は、トキシンで処置された組織が麻痺したままである有効期間を延長させる方法として、出芽現象の主要な段階の1つにおいて、神経出芽を予防するか、あるいは減少させるために治療的に介在し得ることを示す。初期段階では、筋細胞を取り囲む神経終板は、不活性な筋肉を感知するか、あるいは毒処理された神経末端からのシグナルに応じて、筋肉誘導性拡散因子(muscle-derived diffusable factors)の生産により応答する。多数の筋肉誘導性シグナル因子(signaling factors)の発現は、筋肉の不活化によって上行調節されると思われる;このような因子には、インシュリン様成長因子(IGF−1およびIGF−2)が含まれる。神経アグリンのような因子は筋肉細胞にIGF分子を生産させる開始シグナルであると信じられている。報告では、IGF IおよびIGF IIは、BoNT/A処置された後根神経節培養物中の神経突起の生長に作用し、また麻痺したマウス臀筋における初期出芽応答の刺激能を有することが示された。Caroni, P. and Schneider, C. J. Neurosci. 14:3378-3388 (1994) および Caroni, P., et al., J. Cell Biol. 125:893-902 (1994) を参照のこと。

0034

したがって、神経突起の生長および出芽に正の影響を与える筋肉誘導性拡散因子の作用を遮断することはクロストリディウム属細菌の神経毒誘導性の出芽を減少させるだけでなく、その結果としての毒処理された神経末端での神経伝達の回復を遅延させ得る。このような遮断は、問題の筋肉誘導性拡散因子に対する特異的抗体、または該筋肉誘導性拡散因子に対して一般的であるものを使用することによって行うことができる。また、該拡散因子に結合し、これによりその神経組織栄養性作用を遮断することができる、天然に存在する結合タンパク質、例えばIGF結合タンパク質、IGF−BP 4およびIGF−BP 5もある。

0035

IGP−BP 4は以下のアミノ酸配列(アミノ末端から)を有する:

0036

(配列番号1)。
これは以下のヌクレオチド塩基配列(5’から3’)の範囲内にコードされる:

0037

0038

(配列番号3)。

0039

IGFBP 5は以下のアミノ酸配列(アミノ末端から)を有し:

0040

(配列番号2)
ならびに以下のヌクレオチド塩基配列(5’から3’)の範囲内にコードされる:

0041

0042

(配列番号4)。

0043

治療的目的のために、これらの結合タンパク質を合成的に作成するか、あるいはクローニングして生産でき、また所望のモノクローナル抗体を産生するセルラインは比較的大規模な抗体生産に関して維持することが可能である。クローニングおよび一般的抗体方法論は当分野に一般的である;このような方法論は、引用によりその開示内容が本明細書中の開示内容の部分として包含される Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989) に開示されている。

0044

拮抗的方法を用いるより、本発明の別の側面では、コリン作動性の特別なトランスポーターを使用して、神経出芽の促進に関与する1つまたはそれ以上の因子に対する不活性なレセプターを生産する遺伝子を挿入する。このようなレセプターはそのリガンドに対して高い特異的結合定数を維持するが、レセプターの生物学的活性は排除されているであろう;このレセプタータンパク質をコードするヌクレオチド配列突然変異を導入し、突然変異体結合強度および生物学的活性に関してアッセイすることによって、このようなレセプターを容易に作成し、スクリーニングできる。別法として、上記のように、その活性を遮断するか、あるいは減少させる能力を有する拮抗阻害剤、リボザイム、転写抑制因子(suppresser)または他の物質を細胞内標的化し、ならびにデリバリーすることによって、神経終板または新生芽によって生産される因子の神経組織栄養活性を阻害することができる。このような細胞内標的化は、例えば、引用により前に包含される Dolly et al., International Patent Publication No. WO95/32738 のような参考文献に開示されている。

0045

出芽現象に介入することができる第二のポイントは、軸索の生長および軸の発達段階中である。この段階では、このような生長はすでに開始されているが、軸索の生長を維持するためには補助因子が必要であると思われる。多数の因子が生長率に影響することが知られており、また多くの型のニューロンの生存性に影響し得る。このような因子には、毛様体神経組織栄養因子(CNTF);NT−3、NT−4および脳誘導性神経組織栄養因子(BDNF)を含むニューロトロフィン;および白血病阻害因子(LIF)が含まれる。これらの因子は軸索生長初期率確立において重要であるばかりでなく、直接的または間接的にその自身の生産を刺激すると思われる‐‐したがって芽の初期成長を遮断することは、該因子の継続発現によるさらなる増殖の予防において本質的であり得る。

0046

上に記載の同方法を用いて、上に列記された1つまたはそれ以上の物質がその活性を発現するのを予防することができる。本発明の開示に照らして当業者には予測されるであろうように、これらの因子を破壊するか、あるいはこれらと結合してその活性を減少させるか、あるいはそのレセプターとの結合能を遮断する物質またはその不活性型レセプターは、クロストリディウム属細菌の神経毒と組み合わせて使用された場合、毒処理されたか、あるいは損傷した終板からの神経突起の出芽率を予防するか、あるいは減少させるのに有用であるだろう。

0047

出芽現象が弱められるか、あるいは阻害される第三の段階は細胞外基質に対する軸索の結合に関する。軸索は、細胞外基質の成分と結合することによって適当な神経伝達物質レセプターを含む細胞性プロセスに導かれる。この結合には、種々の細胞付随性または基質関連性接着分子が関与する。テネイシン−Cは、神経突起と結合すると思われるシュワン細胞から誘導される細胞外基質成分である。ニンジュリンは、末梢神経損傷後に上行調節される細胞表面接着分子であり、エキソン誘導(ガイダンス)(exonal guidance)に関与していると思われる。引用により本明細書中に包含される Araki, T., et al., J. Biol. Chem. 272:21373-21380 (1997) を参照のこと。同様に、神経細胞接着分子(N−CAM)は、神経芽の細胞外基質との結合に関与すると思われる接着分子である。上に示す同技術を、クロストリディウム属細菌の神経毒治療の部分として用いて、これらの分子の発現を予防し、あるいはこれらの分子の活性を阻害することができる。

0048

したがって、本発明の1つの側面は、クロストリディウム属細菌のトキシンで処置された組織が麻痺している有効期間を延長させる方法であって、該組織を、IGF−1、IGF−2、毛様体神経組織栄養因子、NT−3、NT−4、脳誘導性神経組織栄養因子、白血病阻害因子、テネイシン−C、ニンジュリン、神経細胞接着分子および神経アグリンからなる群から選択されるポリペプチドの神経再生(neuroregenitive)活性を予防可能な物質を含む組成物と接触させることを含む方法に関する。

0049

1つの好ましい態様では、この物質は、IGF−1および/またはIGF−2との結合能を有し、IGF分子が、神経出芽の開始に関与する細胞表面レセプターに結合するか、あるいはそれを活性化するのを妨げるポリペプチドを含む。最も好ましい態様では、このポリペプチドは、IGFBP−4(配列番号1)またはIGFBP5(配列番号2)からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも一部分を含んでいる。好ましくはこの部分は該配列の少なくとも10個の隣接するアミノ酸を含む;より好ましくはこの部分は該配列の少なくとも20個の隣接するヌクレオチドを含む。より好ましくは、この部分はIGFBP−4またはIGFBP−5の完全アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。

0050

クロストリディウム属細菌のトキシンでの処置の前またはその処置と同時に該組成物で細胞を処置してもよい。好ましくは、このクロストリディウム属細菌のトキシンはボツリヌストキシンである。さらに好ましくは、ボツリヌストキシンはBoNT/Aを含む。別の態様では、クロストリディウム属細菌のトキシンはTeNTである。これらの因子のいずれかに結合し、その神経組織栄養活性を阻害することができるか、あるいはこれらの因子に対するレセプターに結合する物質は、本明細書に照らせば、組織の神経毒処置の有効期間を延長させる物質として機能することが予想されるであろう。

0051

別の態様は、インビボで神経細胞にデリバリーされた場合に神経出芽の促進に関与する1つまたはそれ以上の因子の不活性なレセプターを生産する遺伝子をコードする遺伝子と結合しているコリン作動性の特異的トランスポーターを含む。好ましくはこのレセプターは該因子(群)に対する高い特異的結合定数を維持しており、このレセプターの生物学的活性は減少しているかあるいは存在しない。ジフテリアトキシントランスポーターのような他のトランスポーターもまた、この点に関して有効であり得るが、特に好ましい態様では、このトランスポーターはクロストリディウム属細菌の神経毒の重鎖のいくつかまたは全てを含んでいる。

0052

別の態様では、本発明は、神経組織栄養物質またはそのレセプターをコードする核酸を特異的に破壊することができるリボザイムまたはアンチセンス核酸を含む核酸と共有結合または非共有結合しているコリン作動性の特異的トランスポーターを含む。この結合は共有結合または静電力を含むがこれらに限定されない手段によって構成され得る。

0053

別の態様では、本発明は損傷した神経組織からの神経出芽の生長を刺激する方法に関する。この方法は神経損傷後の神経再支配が生じる率を増加させる有効な方法であり得る。これらの方法は:組織を、IGF−1、IGF−2、毛様体神経組織栄養因子、NT−3、NT−4、脳誘導性神経組織栄養因子、白血病阻害因子、テネイシン‐C、ニンジュリン、神経細胞接着分子および神経アグリンからなる群から選択される物質の神経組織栄養的に活性なドメインを含むポリペプチドを含む組成物と接触させることを含む。この損傷は神経毒での毒処理の結果であるか、あるいは外傷イベントのせいであり、これには脊髄破砕損傷、外傷性脳損傷網膜および/または視神経に対する緑内障誘導性損傷または外科手術による外傷または損傷が含まれるが、これらに限定されない。

0054

以下に実施例を挙げ、本発明の種々の態様を説明するが、これらは本発明の範囲を限定するためのものではなく、この範囲は本明細書を結論付ける請求の範囲によって規定されるのみである。

0055

実施例1
眼瞼痙攣は制御不能まぶたの動きを特徴とする医学的症状である。その早期には、この症状は過剰のまばたきまたはまぶたのはためきを特徴とする。この症状は一般に進行性症状であり、後期では、過剰のまばたきが眼の閉鎖の痙攣に代わり、視覚機能を妨害する。この痙攣はより頻繁かつ深刻になり、前中隔、前瞼板および輪状眼筋(the preseptal, pretarsal, and orbicularis oculi muscle)に及ぶ。この症状はしばしば、この症状が最初に発見されてから比較的すぐに(2〜3年の出来事として)機能的盲目を導く。

0056

中程度の特発性眼瞼痙攣の患者に、滅菌食塩水中の無毒のタンパク質および血球凝集素(ヘマグルチン、hemagglutins)を含むBoNT/Aトキシン調製物を注射して処置する。別法として、ヘマグルチンを含まない同トキシン調製物を用いてもよい。この注射は一般に100μL容量であり;各注射には、1.25〜2.5ユニットのトキシン調製物が含まれる。この注射を上瞼外側および内側および下瞼外側および内側の前瞼板輪状眼筋に施す。さらに、外眼角(lateral canthus)の外側およびまゆ内側に2.5ユニットの注射(各100μL)を行う。注射されるBoNT/Aトキシンの総用量は約6.25から12.5ユニット/眼である。Bo/Aトキシンは、保存剤を含まない滅菌食塩水中に入れ、また主要調製物が濃縮され過ぎている場合にはこの溶液を用いてBoNT/Aトキシンを希釈する。

0057

注射後、処置された筋肉はこの処置によって十分に麻痺し、眼瞼痙攣の主要な症状が緩和される。同時に、まわりの筋組織においていくらかの軽い弱化が観察される;こららの副作用は軽く、患者は十分に許容できる。この処置の効果は約8週間続き、この有益な効果を維持するためにはこの期間の終了時点で処置を繰り返さなければならない。

0058

実施例2
実施例1で示されるように眼瞼痙攣の患者をBoNT/Aトキシンで前処置するが、これには以下の相違点がある。BoNT/Aトキシン調製物の注射前に、配列番号1のアミノ酸配列を有するIGFBP−4の10倍過剰量を患者に与える。この結合タンパク質調製物を、保存剤を含まない滅菌食塩水に溶解する。各注射は、前処理後のトキシン注射と同じ領域であり;各注射の容量は100μLである。IGFBT4の注射10分後にBoNT/Aトキシン調製物を注射した。

0059

BoNT/Aトキシンに対する患者の治療応答は実施例1において観察されたものと同様であった。BoNT/Aトキシン処置によって提供される利益の有効期間は12週間またはそれ以上にまで延長され、この間はさらなる注射を施す必要がない。

0060

実施例3
実施例1で示されるように眼瞼痙攣の患者をBoNT/Aトキシンで前処置するが、これには以下の相違点がある。BoNT/Aトキシンを修飾して、神経アグリンmRNAを酵素的に破壊するように特異的に標的化されたリボザイムを含む核酸を結合させた。補助的な注射は行わなかった。

0061

BoNT/Aトキシンに対する患者の治療応答は実施例1において観察されたものと同様であった。BoNT/Aトキシン処置によって提供される利益の有効期間は12週間またはそれ以上にまで延長され、この間はさらなる注射を施す必要がない。

0062

実施例4
実施例1で示されるように眼瞼痙攣の患者をBoNT/Aトキシンで前処置するが、これには以下の相違点がある。BoNT/Aトキシンを修飾して、その標的の神経組織栄養物質との結合能を有したままである不活性な神経組織栄養性レセプターをコードする核酸を結合させた。補助的な注射は行わなかった。

0063

BoNT/Aトキシンに対する患者の治療応答は実施例1において観察されたものと同様であった。BoNT/Aトキシン処置によって提供される利益の有効期間はBoNT/A単独の場合に観察される期間を超えて延長され、この間はさらなる注射を施す必要がない。

0064

上記実施例においてはBoNT/Aに言及しているが、各トキシンに特有の活性の差異に応じて必要であり得る適当な調節を行い、任意の他の種のボツリヌストキシン(例えばBoNT/B〜G)を代わりに用いることができることが理解されよう。さらに、重鎖は運動性ニューロンのレセプターとの結合を保持し、ならびにBoNT重鎖の血管外輸送活性を維持したまま、軽鎖セグメントを任意のクロストリディウム属細菌の神経毒(または他の神経毒)から誘導することができる。

0065

これらの実施例は本発明の態様を余すことなく述べることを意図するものではなく、本発明はこれらによって限定されるものと考えるべきではない。さらなる態様は、本明細書を結論付ける請求の範囲に開示される。

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