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技術 可変共振器

出願人 松下電器産業株式会社
発明者 菅野浩崎山一幸寒川潮藤島丈泰
出願日 2004年8月18日 (14年11ヶ月経過) 出願番号 2004-238096
公開日 2006年3月2日 (13年4ヶ月経過) 公開番号 2006-060352
状態 未査定
技術分野 導波管型周波数選択装置および共振器
主要キーワード 追加構造体 稼動機構 終端箇所 短絡接地 開放リング 可変周波数帯域 螺旋回転方向 導体軸
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

型可共振器を提供すること。

解決手段

回路基板101の表面に設けた第二の螺旋導体配線共振器107と積層方向の容量を介して結合するように、第一の螺旋導体配線共振器105を構成し、第一の螺旋導体配線共振器105を積層方向に変位させることにより、共振周波数可変性を広い周波数帯域で得る。本発明の可変共振器回路は、共振周波数における電磁波の波長と比較してはるかに小さなサイズで形成可能であり、わずかな量の機械的変位によって広い周波数帯域の可変共振特性を得る。

概要

背景

近年、無線通信機器の小型化、高機能化が進み、携帯電話爆発的な普及を可能にしてきた。今後も、無線通信機器、もしくは無線通信機器内において使用される各デバイスには、機能性、低コスト性を損なうことなく更なる小型化量産性の確保が引き続き要求されるものと思われる。

これらの無線機器に搭載される高周波回路内では共振回路素子が用いられることがある。共振回路共振型アンテナフィルタ発振器、増幅器などの能動回路における整合回路の一部、合分波素子の構成要素、など、高周波回路における主要な部分を構成している。例として、螺旋状に導体を配置した螺旋導体共振器や、リング共振器から一部の配線を除去して得られる開放リング共振器などが含まれる。

使用される共振回路素子の一つとして上述した螺旋導体共振器は、その両端が開放端に設定されると、2分の1波長共振器として機能する。その一端が短絡端に設定されると、4分の1波長共振器として機能する。配線が折りたたまれ平面的に配置されるため、占有面積が削減でき、小型共振器として機能させることができる。

また、開放リング共振器も同様に4分の1波長共振器、あるいは2分の1波長共振器として機能させることが可能である。

これらの共振回路素子の共振周波数反射振幅特性、反射位相特性、通過振幅特性通過位相特性の少なくともいずれかが可変とできるような適応機能を持たせることができれば、異なる無線周波数を用いる複数の通信ステムに一台の通信装置で対応することが可能となる。

例えば、非特許文献1においては、2分の1波長共振器であるパッチ構造の共振周波数を可変とすることによりパッチアンテナ回路動作周波数を能動的に制御可能なアンテナが提案されている。具体的には、パッチ直下に配置した誘電体ブロックの位置をアクチュエータで移動することにより、アンテナ回路の共振周波数の可変性を得ている。誘電体ブロックは、10mm×4mm、高さ0.5mm、誘電率44のセラミックであり、アクチュエータによって合計4mmの変位を行うことによって、13.14GHzから9.95GHzへと24%の共振周波数低減効果があったとしている。
2002年アジア太平洋マイクロ波国際会議ダイジェスト,TH2D−1 “Tunable Microstrip Patch Antenna Using PartiallyLoaded Dielectric”

概要

型可変共振器を提供すること。回路基板101の表面に設けた第二の螺旋導体配線共振器107と積層方向の容量を介して結合するように、第一の螺旋導体配線共振器105を構成し、第一の螺旋導体配線共振器105を積層方向に変位させることにより、共振周波数の可変性を広い周波数帯域で得る。本発明の可変共振器の回路は、共振周波数における電磁波の波長と比較してはるかに小さなサイズで形成可能であり、わずかな量の機械的変位によって広い周波数帯域の可変共振特性を得る。

目的

また、従来の可変共振器においては、共振する電磁波の波長と比較しうる長さの構造体を用意して、電磁波を共振させる必要があり、小型化への要求に応えることが困難であった。非特許文献1の例においてはパッチ構造の共振器長は9mmにも達する。この共振器の特性を可変とするためには、パッチ回路を構成する回路基板部中を実に4mmも移動させることにより、上記可変帯域を得ていたことになる。このように、構造が小型化されていないことにより、大型の機械稼動機構が必要となることも問題であった。たとえば、一般的にアクチュエータを用いて機械的稼動を行う場合、稼動範囲、もしくは稼動させる構造サイズが大型であるほど稼働時間が必要になり、高速応答を得ることが困難となる。高速応答の点からも小型な構造での可変共振器実現が望まれていた。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

第一の共振器の少なくとも一部と第二の共振器の少なくとも一部が容量結合しながら積層された構造によって該第一、および該第二の共振器とは異なる周波数共振現象発現し、該第一の共振器と該第二の共振器間の実効的な相対配置関係に変化を生じさせ、共振周波数位相特性放射特性の少なくともいずれかを変化させることが可能である可変共振器

請求項2

該第一、および第二の共振器が、螺旋導体共振器、もしくは、リング共振器から一部の配線を除去して得られる開放ループ共振器、のいずれか、であることを特徴とする請求項1に記載の可変共振器。

請求項3

該実効的な相対配置関係を、該第一の共振器と該第二の共振器間の積層間隔、により変化させることを特徴とする請求項1、2に記載の可変共振器。

請求項4

該実効的な相対配置関係を、該第一の共振器の配置位置、を、配置している面内で変位させることにより変化させることを特徴とする請求項1、2に記載の可変共振器。

請求項5

該実効的な相対配置関係を、該第一の共振器を、所定の座標軸回転軸として回転させることにより、変化させることを特徴とする請求項1、2に記載の可変共振器。

請求項6

該実効的な相対配置関係を、該第一の共振器と該第二の共振器により挟まれる空間、もしくはその近傍に配置した追加構造体の移動、によって変化させることを特徴とする請求項1、2に記載の可変共振器。

請求項7

該追加構造体が誘電体であることを特徴とする請求項6に記載の可変共振器。

請求項8

該追加構造体が導体であることを特徴とする請求項6に記載の可変共振器。

請求項9

該追加構造体が所定の箇所で接地短絡された導体であることを特徴とする請求項8に記載の可変共振器。

請求項10

該追加構造体が導体であり、且つ該追加構造体が別個設けられた接地導体と、高周波スイッチを介して接続され、該高周波スイッチへの制御電圧印加により、該追加構造体の電位可変であることを特徴とする請求項6に記載の可変共振器。

技術分野

0001

本発明は、マイクロ波帯、およびミリ波帯などの高周波信号伝送濾波、もしくは放射する高周波回路に関するものである。

背景技術

0002

近年、無線通信機器の小型化、高機能化が進み、携帯電話爆発的な普及を可能にしてきた。今後も、無線通信機器、もしくは無線通信機器内において使用される各デバイスには、機能性、低コスト性を損なうことなく更なる小型化量産性の確保が引き続き要求されるものと思われる。

0003

これらの無線機器に搭載される高周波回路内では共振回路素子が用いられることがある。共振回路共振型アンテナフィルタ発振器、増幅器などの能動回路における整合回路の一部、合分波素子の構成要素、など、高周波回路における主要な部分を構成している。例として、螺旋状に導体を配置した螺旋導体共振器や、リング共振器から一部の配線を除去して得られる開放リング共振器などが含まれる。

0004

使用される共振回路素子の一つとして上述した螺旋導体共振器は、その両端が開放端に設定されると、2分の1波長共振器として機能する。その一端が短絡端に設定されると、4分の1波長共振器として機能する。配線が折りたたまれ平面的に配置されるため、占有面積が削減でき、小型共振器として機能させることができる。

0005

また、開放リング共振器も同様に4分の1波長共振器、あるいは2分の1波長共振器として機能させることが可能である。

0006

これらの共振回路素子の共振周波数反射振幅特性、反射位相特性、通過振幅特性通過位相特性の少なくともいずれかが可変とできるような適応機能を持たせることができれば、異なる無線周波数を用いる複数の通信ステムに一台の通信装置で対応することが可能となる。

0007

例えば、非特許文献1においては、2分の1波長共振器であるパッチ構造の共振周波数を可変とすることによりパッチアンテナ回路動作周波数を能動的に制御可能なアンテナが提案されている。具体的には、パッチ直下に配置した誘電体ブロックの位置をアクチュエータで移動することにより、アンテナ回路の共振周波数の可変性を得ている。誘電体ブロックは、10mm×4mm、高さ0.5mm、誘電率44のセラミックであり、アクチュエータによって合計4mmの変位を行うことによって、13.14GHzから9.95GHzへと24%の共振周波数低減効果があったとしている。
2002年アジア太平洋マイクロ波国際会議ダイジェスト,TH2D−1 “Tunable Microstrip Patch Antenna Using PartiallyLoaded Dielectric”

発明が解決しようとする課題

0008

非特許文献1に代表される従来の可変共振器においては、可変できる周波数帯域限界があった。非特許文献1において示されている可変共振器においては、可変周波数帯域は13.14GHzから9.95GHzへの24%に限られており、この値は広帯域通信装置内のデバイスとして使用されるには十分な値ではなかった。

0009

また、従来の可変共振器においては、共振する電磁波の波長と比較しうる長さの構造体を用意して、電磁波を共振させる必要があり、小型化への要求に応えることが困難であった。非特許文献1の例においてはパッチ構造の共振器長は9mmにも達する。この共振器の特性を可変とするためには、パッチ回路を構成する回路基板部中を実に4mmも移動させることにより、上記可変帯域を得ていたことになる。このように、構造が小型化されていないことにより、大型の機械稼動機構が必要となることも問題であった。たとえば、一般的にアクチュエータを用いて機械的稼動を行う場合、稼動範囲、もしくは稼動させる構造サイズが大型であるほど稼働時間が必要になり、高速応答を得ることが困難となる。高速応答の点からも小型な構造での可変共振器実現が望まれていた。

0010

本発明は、前記従来の課題を解決するもので、従来の可変共振器よりも共振周波数の可変範囲が広く、且つ共振させる電磁波の波長に対してはるかに小型な可変共振器の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0011

前記従来の課題を解決するために、本発明の可変共振器は、二つの平面的な共振器が積層され容量結合により結合してなる積層共振器構造であり、両共振器間の実効的な相対配置関係を可変とすることにより、両共振器間の容量結合量を可変とし、積層共振器構造の共振周波数、通過振幅特性、通過位相特性、反射振幅特性、反射位相特性、放射特性、の少なくともいずれか、を広い可変範囲で変動せしめるものである。

0012

前記共振器は、螺旋導体共振器、リング共振器の一部を除去した開放リング共振器のいずれかを含む。また、前記共振器は、螺旋導体形状のスロット共振器、もしくはリング形状のスロット共振器、もしくはリング共振器の一部を除去した開放リング形状をしたスロット共振器のいずれかであってもよい。

0013

これらの共振器において、共振器の配線パターンに沿って回転する方向に高周波電流が流れるが、第一の共振器に流れる高周波電流が容量を介して第二の共振器に乗り移り、第二の共振器中を同一進行方向に高周波電流が流れ、さらに第二の共振器中を流れる高周波電流がまた容量を介して第一の共振器に流れることにより、共振器のサイズよりはるかに長い共振器長を稼ぐことができる。よって、上記3種の共振器のいずれかを本発明の第一、および第二の共振器に採用すれば、共振させる電磁波の波長よりはるかに小型な共振器を得ることが可能である。

0014

また、前記共振器は両端が開放であっても、一端もしくは端部近傍において短絡接地されていてもよい。一端が短絡されることにより、本発明の第一、もしくは第二の共振器は4分の1波長共振器として機能するが、第一の共振器と第二の共振器間に容量結合が生まれることにより、共振させる電磁波の波長と比較してはるかに小型な共振器を同様に実現できる。

0015

また、前記共振器間の容量結合とは、前記共振器を構成する導体間、もしくはスロット間、もしくは導体とスロット間のいずれかに発生する容量と定義される。

0016

前記実効的な相対配置関係の変動は、第一の共振器の配置位置を積層方向に変動させることによって与えられる。積層間隔を低減させることにより、共振器間の容量が増加し、より低い周波数の電磁波でも第一の共振器と第二の共振器間において高周波電流を誘起させることが可能となるため、共振周波数を低減させることが可能である。逆に積層間隔を増大させることにより、共振周波数をあげることが可能である。第一、および第二の共振器間の容量を限りなく減じた場合、すなわち、両者の積層間隔を限りなく増大させた場合においても、本発明の可変共振器の最低次の共振周波数は、第一、もしくは第二の共振器のいずれかの最低次の共振周波数のうち、低いものに相当する。すなわち、本発明の可変共振器の共振現象が最も高い共振周波数において起こる場合においても、従来の共振器よりも高い周波数とはならず、本発明の可変共振器は従来の共振器と比べ回路占有面積が増大することはない。

0017

また、前記実効的な相対配置関係の変動は、第一の共振器の配置位置を第一の共振器が形成された面内で変位させることにより与えられる。

0018

また、前記実効的な相対配置関係の変動は、所定の軸を回転軸として第一の共振器を回転させることにより与えられる。

0019

また、前記実効的な相対配置関係の変動は、第一の共振器の近傍に配置した追加構造体の位置を変位することによって得られる。本発明の可変共振器の小型であるという特性を生じせしめている共振器間の結合量を、追加構造体を配置することによって変化させることが可能となる。すなわち、第一の共振器と第二の共振器を結合せしめていた電磁界分布を、追加構造体へと分布するように変化を生じさせることによって、共振器間の結合量を大きく変化させることが可能となる。追加構造体は誘電体、もしくは導体であってよい。追加構造体が導体で構成される場合、導体は接地されている場合でも、接地されていない場合でもそれぞれ有効な効果を生じさせることができる。また、追加構造体が導体である場合、導体の電位を制御することによっても、同様の効果を得ることが可能である。この場合、追加構造体は機械的に変位する必要は必ずしもない。より詳しくは、別途設定した接地導体と、追加構造体を高周波スイッチを介して接続し、高周波スイッチへの制御電圧印加の有無により、共振周波数を可変とすることが可能となる。

発明の効果

0020

本発明の可変共振器によれば、従来の可変共振器よりも極めて広範囲に共振周波数を変動可能な可変共振器を省占有面積で提供することが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0021

以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

0022

(実施の形態1)
図1(a)は、本発明の実施の形態1における可変共振器の構造図である。

0023

図1において、回路基板101上に空間を介して上面から第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107がそれぞれ対向して積層されている。図1(a)は、本発明の実施の形態1における可変共振器の断面図であり、図1(b)(c)は、それぞれ上面から見た場合の第一の螺旋導体配線共振器105、および第二の螺旋導体配線共振器107の配線パターン図である。本発明における第一の螺旋導体配線共振器105は、図中に示したように積層方向に変位させる手段を有し、第二の螺旋導体配線共振器107に対する配置を可変できる構造になっている。

0024

本発明の可変共振器の共振現象においては、第一の螺旋導体配線共振器105の配線パターンに沿って流れる高周波電流は、第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107を構成する各配線箇所間に生じる空間的な容量を介して、第二の螺旋導体配線共振器107に同一方向に進行する高周波電流を生じさせることができる。同様に、第二の螺旋導体配線共振器107の配線パターンにそって流れる高周波電流は、第一の螺旋導体配線共振器105に、同一方向に進行する高周波電流を誘起させることができる。このため、本発明の可変共振器においては、第一、および第二の螺旋導体配線共振器の実効的な配線長よりもはるかに長い波長の電磁波に対して共振現象を生じさせることができる。すなわち、通常の共振器よりもはるかに低い共振周波数を得ることができる。また、共振周波数の制御は、第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107間に発生する容量の制御により行うことが可能である。すなわち、第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107間の配置間隔Gを低減すれば、容量を増加させることが可能であり、結果的に共振周波数を低下させることができる。逆に、配置間隔Gを増大させれば容量が減少するため、結果的に共振周波数をあげることができる。

0025

また、図2に示したように、第二の螺旋導体配線共振器107の最外郭配線終端箇所を、回路基板101を貫通する貫通導体配線109を介して回路基板101裏面の接地導体層111へ接地短絡した形態においても、ここまでの実施の形態においては2分の1波長共振器として機能していた第二の螺旋導体配線共振器107が4分の1波長共振器として機能するものの、共振する電磁波の波長よりもはるかに小型な共振器の共振周波数可変効果を発現させることが同様に可能である。なお、第二の螺旋導体配線共振器107を電気的に接地短絡する位置は、最外郭配線の終端箇所でも、最内郭配線の終端箇所であってもよい。なお、接地導体層111は、回路基板101の内部導体層表面層のいずれかに形成されていてもよい。また、接地導体層111を第二の螺旋導体配線共振器107と同一面に形成し、第二の螺旋導体配線共振器107の最外郭配線の終端箇所と接続すれば、本発明の構成から貫通導体配線109を省略することが可能となる。なお、一端を接地短絡する共振器は、第一の螺旋導体配線共振器105であってもよい。

0026

積層間隔Gを制御する方法について、以下に説明する。

0027

図3に斜視図で示したのは、本発明の実施の形態の可変共振器内の、回路基板101上の構造である。回路基板101表面より形成された支持体113により誘電体層115を空間内に支持する。支持体113はたとえば窒化珪素、誘電体層115はたとえばメンブレンのような弾性のある材料で形成される。

0028

たとえば、誘電体層115には外部回路(図示せず)から電圧印加可能導体パターン(図示せず)が形成されている。同様に、回路基板101上にも導体パターン(図示せず)が形成されている。両導体パターン間に外部回路より電圧が印加されることにより、両導体パターン間に静電容量に起因する引力を発生させることにより、誘電体層115と回路基板101間の距離、すなわち第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器間の距離を可変とすることが可能である。この結果、本発明の可変共振器の共振周波数、通過もしくは反射特性、放射特性の少なくともいずれかを可変とすることが可能である。

0029

なお、誘電体層115に設ける制御電圧印加可能な導体パターンが、第一の螺旋導体配線共振器105によって直接実現されてもよい。また、回路基板101上に設ける電圧印加可能な導体パターンを、第二の螺旋導体配線共振器107によって直接実現することも可能である。

0030

また、図3において二箇所で誘電体層115を支持した支持体113の配置は、一箇所、もしくは別の回数の支持で本発明の可変共振器を実現しても同様の効果が得られる。支持体を一箇所にした場合、第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107の相対位置の変位量は高さ方向の成分以外にも角度方向の成分も持たせることができる。

0031

また、誘電体層115を省略し、第一の螺旋導体配線共振器105に接続される導体パターンと支持体113を直接接続することも可能である。また、支持体113自体も導体で構成してもかまわない。

0032

また、上記構成における構造の可変性は静電容量の変化に基づいていたが、支持体113を圧電体で構成することによっても構造可変性を実現することが可能である。

0033

与える制御電圧を連続可変とすれば、共振器の可変度アナログ的に連続した値を得ることができる。また、例えば、第二の螺旋導体配線共振器107上面を被覆する誘電体層を配置することも可能である。誘電体層115もしくは第一の螺旋導体配線共振器105が最も下側へ変位し、第二の螺旋導体配線共振器107へ近接した場合の積層間隔の最低値を与えることができる。しきい値以上の電圧を印加すれば、第一の螺旋導体配線共振器が第二の螺旋導体配線共振器間の間隔が最低値になるように設定することにより、電圧を印加するかしないかで共振周波数をデジタル的に2種類の値をとる可変共振器とすることができる。また、追加誘電体層の配置により、両螺旋導体配線共振器が機械的に接触しないよう絶縁することが可能となる。

0034

なお、第一および第二の螺旋導体配線共振器は一部が切除され開放終端されたリング共振器であってよい。螺旋導体配線を用いる場合と比較して、回路占有面積の低減効率が低下するものの、共振器としてのQ値の向上や、スプリアス特性の改善という効果を得ることが出来る。詳述すると、リング共振器を本可変共振器の構成要素に採用すると、螺旋導体配線を採用した場合と比較して、共振周波数があがってしまい、小型化の点では不利となる。しかし、二次の共振周波数と基本共振周波数との比を高く設定することが可能となり、フィルタや発振器などの高周波回路への応用に有利である。

0035

なお、第一の螺旋導体配線共振器105、および第二の螺旋導体配線共振器107に関しては、各共振器構造ストリップ型の構造から接地導体から一部の導体を除去して得られるスロット型の構造へ置換した形態においても、共振する電磁波の波長よりもはるかに小型な共振器の共振周波数可変効果を発現することが同様に可能である。

0036

なお、本発明の可変共振器において、積層方向の容量を介して結合する共振器数は2である必要はなく、3以上であっても構わない。螺旋導体配線共振器を採用する場合は、最近接される二つの螺旋導体配線共振器の各螺旋形状パターンに関して、各螺旋形状の中心点から臨んで最外郭の終端箇所が互いに逆側に設定されるよう配置することが好ましい。この配置により、より小型な可変共振器を得ることが可能となる。この条件は、一部が開放されたリング共振器を本発明の可変共振器の構成要素として採用する場合も同様に有効である。また、螺旋導体配線共振器を採用する場合は、最近接される二つの螺旋導体配線共振器の各螺旋形状パターンが、それぞれ異なる回転方向に設定されることが好ましい。この配置によって、より小型な可変共振器を得ることが可能となる。

0037

(実施の形態2)
図4(a)は、本発明の実施の形態2における可変共振器の構造図である。

0038

図4において、回路基板101内部に第二の螺旋導体配線共振器107が、また回路基板表面に第一の螺旋導体配線共振器105がそれぞれ対向して積層されている。図4(a)は、本発明の実施の形態2における可変共振器の断面図であり、図4(b)(c)は、それぞれ上面から見た場合の第一の螺旋導体配線共振器105、および第二の螺旋導体配線共振器107の配線パターン図である。本発明における第一の螺旋導体配線共振器105は、図4(b)中に変位方向を示したように、積層方向に対して垂直な方向、いわゆる面内での変位が可能であり、結果的に第二の螺旋導体配線共振器107に対する相対的な配置を可変とする手段を有している。

0039

本発明の可変共振器の共振現象においては、第一の螺旋導体配線共振器105の配線パターンに沿って流れる高周波電流は、第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107を構成する各配線箇所間に生じる空間的な容量を介して、第二の螺旋導体配線共振器107に同一方向に進行する高周波電流を生じさせることができる。同様に、第二の螺旋導体配線共振器107の配線パターンにそって流れる高周波電流は、第一の螺旋導体配線共振器105に、同一方向に進行する高周波電流を誘起させることができる。このため、本発明の可変共振器においては、第一、および第二の螺旋導体配線共振器の実効的な配線長よりもはるかに長い波長の電磁波に対して共振現象を生じさせることができる。また、共振周波数の制御は、第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107間に発生する容量の制御により行うことが可能である。すなわち、第一の螺旋導体配線共振器105の配置位置を面内方向で変位させることにより、第二の螺旋導体配線共振器107との結合容量を低下させることが可能であり、結果的に共振周波数を上げることができる。

0040

第一の螺旋導体配線共振器の面内一軸方向での変位は、面内一軸方向の変位運動を生じさせることが可能な小型アクチュエータと第一の螺旋導体配線共振器との接続によって実現できる。例えば、外部制御電圧の印加によって一軸方向に一部を変位させることが可能であるアクチュエータの変位部分と、第一の螺旋導体配線共振器を同一誘電体層上に形成するか、あるいは上記変位部分と、第一の螺旋導体配線共振器の一部を誘電体により形成された支持体によって接続する、などの方法を採用することが可能である。結果として、第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器との間の容量を変化させ、本発明の可変共振器の共振周波数、通過もしくは反射特性、放射特性の少なくともいずれかを可変とすることが可能である。

0041

また、図5(b)に変位方向の一例を示したように、第一の螺旋導体配線共振器105の、回路基板101の積層方向を回転軸とした回転運動によっても、両共振器間の容量を変化させることができるため、共振器構造の共振周波数を可変にできる。回転軸の位置は、螺旋形成領域の中心であってもよいし、図5(b)に示したように、螺旋形成領域の外部であってもよい。螺旋形状の中心を回転軸とした場合、第一の螺旋導体配線共振器を回転させて得られる可変共振器の形成領域が常に等しい大きさに維持されるため、回路占有面積が少ないという利点がある。また、螺旋形成領域の外部の点を含む軸を回転軸とした場合、チューニングレンジの広い可変共振器を得ることが可能である。

0042

第一の螺旋導体配線共振器の面内での回転変位は、外部制御電圧の印加によって面内回転運動を起こすことが可能であるアクチュエータの変位部分と、第一の螺旋導体配線共振器の一部、もしくは第一の螺旋導体配線共振器が形成され、且つ回路基板101とは機械的に接続されていない支持体117との接続によって、実現することができる。支持体117は誘電体で構成することが可能である。外部制御電圧の印加によって、第一の螺旋導体配線共振器を任意の回転軸を中心に回転運動させ、第二の螺旋導体配線共振器との間に発生している容量を変化させることにより、本発明の可変共振器の共振周波数、通過もしくは反射特性、放射特性の少なくともいずれかを可変とすることが可能である。さらに具体的には、複数の制御電極周辺に配置し、アクチュエータを回転させたい方向に近い制御電極に制御電圧を印加することにより、上記アクチュエータに回転方向の変位運動を生じさせることが可能である。アクチュエータは連続的な角度で回転させることも可能であるし、複数の制御電極に与える制御電圧の値を制御することによって、回転変位角を所定の2値に選択的に設定することも可能である。

0043

(実施の形態3)
図6(a)は、本発明の実施の形態3における可変共振器の構造図である。

0044

図6において、回路基板101上に空間を介して上面から第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107がそれぞれ対向して積層されている。図6(a)は、本発明の実施の形態3における可変共振器の断面図であり、図6(b)(c)は、それぞれ上面から見た場合の第一の螺旋導体配線共振器105、および第二の螺旋導体配線共振器107の配線パターン図である。本発明における第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107とは積層方向に交差する部位を備えており、両者の結合容量を介して、きわめて小型な共振器として機能させることが可能である。

0045

図6(a)に示すように、本発明の可変共振器に於いては、第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器の間の空間へ、誘電体、もしくは導体からなる変位可能な追加構造体119を配置しており、該追加構造体119の変位により、第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107の間の容量結合量を制御し、結果的に共振特性を可変とするものである。本発明の可変共振器における共振現象は第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107間の強い電磁気的な結合によって生じているため、その電磁界分布を少しでも変化させることが共振現象に大きな影響を与えることになる。特に、第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107のそれぞれの最外郭の配線同士は強く結合しているため、この箇所に追加構造体を挿入するかどうかだけで大きな共振周波数の変動を得ることができる。すなわち、本発明の可変共振器において、該追加構造体119は極めて小型な構造であってかまわない。たとえば本発明の可変共振器を構成する第一および第二の螺旋導体配線共振器の線幅程度の長さを一辺とする正方形、もしくは上記長さを直径とする円形の構造であってもよい。よって、本発明の可変共振器においては、従来の可変共振器と比較して、機械的な変動量がわずかでも大きな可変特性を得ることが可能となるものである。

0046

該追加構造体119は、例えば積層方向、すなわち高さ方向に位置が変位してよい。同様に、該追加構造体119は、例えば積層方向に垂直な方向、すなわち面内で一軸方向、もしくは回転運動をしてよい。

0047

該追加構造体は接地されていない導体であってよく、この場合、該追加構造体が第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器間に挿入されることにより、該第一の螺旋導体配線共振器と該第二の螺旋導体配線共振器間の容量が増大し、共振周波数を低下させることが可能である。

0048

また、該追加構造体は接地された導体であってよく、この場合、該追加構造体が第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器間に挿入されることにより、第一の螺旋導体配線共振器から第二の螺旋導体配線共振器へ生じていた電界が、接地導体へと向かうため両螺旋導体配線共振器間の容量は減少し、共振周波数を上げることが可能である。

0049

該追加構造体は誘電体であってよく、この場合、該追加構造体が第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器間に挿入されることにより、該第一の螺旋導体配線共振器と該第二の螺旋導体配線共振器間の容量が増大し、共振周波数を低下させることが可能である。

0050

また、該追加構造体が配置される箇所は、第一の螺旋導体配線共振器105と第二の螺旋導体配線共振器107間の空間ではなく、第一の螺旋導体配線共振器105の上面の空間、もしくはその近傍であってもかまわない。また、第一の螺旋導体配線共振器105と同一面内に形成されてもかまわない。

0051

また、該追加構造体を導体とし、別領域に設けた接地導体との間に高周波スイッチを介して接続し、外部電圧印加の有無により、該追加構造体の電位を可変とすることによっても、共振周波数を可変とすることができる。高周波スイッチはダイオードに置換されてもよい。追加構造体が接地された場合、この場合、該追加構造体は機械的に変位する必要は必ずしもない。

0052

なお、本発明において、第一の螺旋導体配線共振器105、第二の螺旋導体配線共振器107は、それぞれ、リング共振器の一部を除去した開放リング共振器、に置換しても同様の効果が得られる。第一の螺旋導体配線共振器105、第二の螺旋導体配線共振器107の最外郭の形状も、矩形に限定されず、円形、六角形などの多角形などの形状が選択可能である。

0053

なお、本発明の可変共振器は、所定の距離を介した給電線路との近接、あるいは、第一、もしくは第二の螺旋導体配線共振器に直接給電線路を接続することによっても、外部回路と結合可能である。外部回路との接続により、フィルタ回路、アンテナ回路、移相器などの高周波回路、あるいはその一部、として機能させることが可能である。

0054

(実施例)
本発明の可変共振器の実施例1について図7を用いて説明する。図7(a)は、本実施例の可変共振器を側面から見た構造図、図7(b)は、第一の螺旋導体配線共振器を上面から見た透視図、図7(c)は、第2の螺旋導体配線共振器を上面から見た透視図である。

0055

本実施例の可変共振器は、基板101と、基板上に形成された第二の螺旋導体配線107と、基板101および第二の螺旋導体配線107上に設けられた窒化珪素層からなる第二の誘電体層121と、同じ窒化珪素からなる支持体113と、支持体の上に形成され、メンブレンからなる第一の誘電体層115と、メンブレンの上に形成された第一の螺旋導体配線105とを有する。さらに、本実施例の可変共振器は、アクチュエーターとして、下部電極201と、上部電極203とを有している。

0056

本実施例の可変共振器は、下部電極201と上部電極203間の電位差を変更することにより、メンブレン115を上下に変位させ、第一、第二の螺旋導体配線105、107間の距離を変化させることにより、共振器特性を変化させることが可能である。

0057

次に、実施例1の可変共振器の各構成要素およびその製造方法について、図7を用いて、詳細に説明する。

0058

なお、以下に示す実施例1から4において共通して、第一および第二の螺旋導体配線の最小配線幅最小配線間隔がそれぞれ25ミクロン銅配線とし、厚みはそれぞれ、2ミクロン、0.3ミクロンとした。第一、および第二の螺旋導体配線共振器は、一辺200ミクロンの正方形の領域にそれぞれ巻き数1.75回の螺旋パターン構成とした。第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器の螺旋回転方向はそれぞれ逆回転方向とし、両螺旋パターンの最外郭の開放終端箇所は、それぞれ螺旋形成領域の中心から逆側に位置するよう設定した。

0059

図7(a)の断面図に示したように、厚さ500ミクロンの回路基板101(ガリウム砒素基板を使用)上に、第二の螺旋導体配線107および下部電極201を形成した。また、ガリウム砒素基板101、第二の螺旋導体配線201、下部電極201上に厚さ2ミクロンの誘電体層121(窒化珪素を使用)を積層し、さらに厚さ0.2ミクロンの誘電体層115(メンブレンを使用)を積層した。メンブレン上に第一の螺旋導体配線共振器105および上部電極203を形成した。ガリウム砒素基板上のすべての配線パターンは厚さ0.3ミクロン、最小配線幅、最小配線間隔がそれぞれ25ミクロンの銅配線とした。メンブレン上のすべての配線パターンは厚さ2ミクロン、最小配線幅、最小配線間隔がそれぞれ25ミクロンの銅配線とした。窒化珪素をエッチングし、メンブレンの最下面と第二の螺旋導体配線107上の窒化珪素の最表面との距離を1ミクロンとした。第一の螺旋導体配線共振器をはさんだ両側の長さ200ミクロン、幅50ミクロンの二箇所の領域では、窒化珪素のエッチング除去を行わないことにより、メンブレンと窒化珪素層の接続を維持する壁形状の支持体113を窒化珪素により形成した。図7(b)、(c)には、第一の螺旋導体配線共振器105と支持体113との面内位置関係、第二の螺旋導体配線共振器107と支持体113との面内位置関係をそれぞれ示した。

0060

両螺旋導体共振器とは別個に、メンブレン表面とガリウム砒素表面に容量電極部を形成し、また外部回路から制御電圧を印加するバイアス給電回路を下部電極201および上部電極203に接続した。

0061

作製した実施例1の可変共振器の共振特性を測定するために、可変共振器から1000ミクロン離して、ガリウム砒素表面形成した信号導体配線に高周波信号を入力し、通過高周波特性から共振周波数を測定した。

0062

制御電圧を与えていない初期状態に於いて、窒化珪素表面からメンブレン裏面間の空間の厚さは1ミクロンであり、実施例1の可変共振器は29GHzで共振現象を発現した。29GHzの電磁波の自由空間での波長は1.03cmであり、実施例1の可変共振器の外形は波長の1.9%の長さを一辺とする正方形に相当する。また、制御電圧を4V印加したとき、メンブレンは下方向に0.5ミクロン変位し、共振周波数は26.5GHzに低下した。制御電圧を18V印加すると、メンブレンは下方向に1ミクロン変位し共振周波数は15.8GHzまで低下させることができた。15.8GHzの電磁波の自由空間での波長は1.9cmであり、実施例1の可変共振器の外形は波長の1.1%の長さを一辺とする正方形に相当する。また、制御電圧を25V印加してもメンブレンの変位量は1ミクロンにとどまるので、共振周波数は15.8GHzのまま維持することが可能であった。メンブレンの変位量を横軸とし、共振周波数を縦軸とした、可変共振器特性を図8に示す。わずか1ミクロンの構造変位を与えることにより、46%の広い可変共振特性を得た。

0063

実施例2として、第一の螺旋導体共振器を螺旋形成面内での一軸変位を生じさせる可変共振器を作製した。実施例2の構造について、図9を用いて説明する。図9(a)は、実施例2の断面図である。厚さ500ミクロンの回路基板101(シリコン基板を使用)の表面に厚さ2ミクロン、幅25ミクロンの銅配線で1.75回転の第二の螺旋導体配線共振器107を形成した。さらに、上記シリコン基板表面に一様に厚さ5ミクロンの酸化ケイ素ディップコートで形成し、誘電体層121とし、その上面に第一の螺旋導体配線共振器105を形成した。第一の螺旋導体配線共振器も厚さ2ミクロン、幅25ミクロンの銅配線であり、巻き数1.75回転の螺旋形状は、第二の螺旋導体配線共振器と完全に交差しており、且つ螺旋の回転方向は逆回転方向である。二つの螺旋導体配線共振器の最外郭の開放終端箇所は、螺旋回転の中心から臨んで互いに反対の方向に位置するよう配置した。酸化ケイ素は厚さが4ミクロンになるまでエッチングにより表面を選択的に除去し、第一の螺旋導体配線共振器と酸化ケイ素表面を機械的に未接続な状態とした。第一の螺旋導体配線共振器は、幅50ミクロン高さ2ミクロン、長さ100ミクロンのシリコンによって形成された支持体117を通じて、10V以下の外部制御電圧の印加の有無により一軸方向へ最大5ミクロンの変位を生じさせることが可能な小型アクチュエータ123の変位部へ接続した。小型アクチュエータを配置した箇所では、酸化ケイ素の表面をエッチングしないことにより、小型アクチュエータは回路基板表面に保持され、且つ、支持体および支持体に接続された第一の螺旋導体配線共振器は、空間に浮いた状態を実現することができる。変位方向は、基板面に平行で、螺旋導体配線共振器を配置した正方形状の領域の辺にも平行とした。上記接続により、アクチュエータへの制御電圧印加を行えば、第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器の相対的な配置が変化し、共振周波数を電圧無印加時の18.2GHzから24.5GHzまで変化させることが可能であった。わずか5ミクロンの変位によって、35%もの共振周波数増大を伴う可変共振器特性を得られた。図9(b)には、第一の螺旋導体配線共振器105と支持体117との面内での位置関係と、変位方向を示した。

0064

また、本発明の実施例3として、第一の螺旋導体共振器を螺旋形成面内で回転変位を生じさせる可変共振器を作製した。実施例3の構造について、図10を用いて説明する。図10(a)は、実施例3の断面図である。実施例2と同様の第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器の配置構造において、正方形状の螺旋形成領域から100ミクロン離れた点を回転軸125とする面内回転運動を生じさせる小型アクチュエータと第一の螺旋導体配線共振器を、シリコンによって形成した幅10ミクロン長さ100ミクロンの支持体を通じて接続した。小型アクチュエータは、シリコン基板を垂直に貫通する空孔にはめ込まれた導体軸を有しており、該導体軸を回転軸125とした回転運動を行うことが可能な構造になっている。回転運動の回転半径は、支持体の長さによって決定される。該小型アクチュエータは、10Vの外部制御電圧の印加により、最大変位角30度の面内回転運動を生じさせることが可能であり、電圧未印加時に18.2GHzであった共振周波数を最大電圧印加時に32.5GHzまで上げることが可能であった。わずか0.2mm角物体の30度の回転運動によって、79%もの共振周波数増大を伴う可変共振器特性を得ることが可能だった。

0065

また、本発明の実施例4として、第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器間の空間での誘電体の面内配置変位を生じさせる可変共振器を作製した。実施例4について、図11を用いて説明する。厚さ500ミクロンの回路基板101(ガリウム砒素を使用)上に、第二の螺旋導体配線107を形成した。また、ガリウム砒素基板表面に厚さ10ミクロンの誘電体層121(窒化珪素を使用)を積層し、さらに厚さ0.2ミクロンの誘電体層115(メンブレンを使用)を積層した。メンブレン上に第一の螺旋導体配線共振器105を形成した。ガリウム砒素基板上のすべての配線パターンは厚さ0.3ミクロン、最小配線幅、最小配線間隔がそれぞれ25ミクロンの銅配線とした。メンブレン上のすべての配線パターンは厚さ2ミクロン、最小配線幅、最小配線間隔がそれぞれ25ミクロンの銅配線とした。第一、および第二の螺旋導体配線共振器は、一辺200ミクロンの正方形の領域にそれぞれ巻き数1.75回の螺旋パターン構成とした。第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器の螺旋回転方向はそれぞれ逆回転方向とし、両螺旋パターンの最外郭の開放終端箇所は、螺旋形成領域の中心から臨んで互いに逆側に位置するよう設定した。窒化珪素の厚さが1ミクロンになるまで表面からエッチングし、メンブレンの最下面と窒化珪素の最表面間の距離を9ミクロンとした。第一の螺旋導体配線共振器から50ミクロン離れた長さ200ミクロン、幅50ミクロンの二領域では、選択的に窒化珪素のエッチング除去を行わないことにより、メンブレンと窒化珪素層の接続を維持する壁形状の支持体113を窒化珪素により形成した。

0066

追加構造体119として厚さ5ミクロン、一辺25ミクロンの正方形状のアルミナを用いた。アルミナの誘電率は9.8であった。面内一軸方向の変位運動を支持する小型アクチュエータの変位部の先端にアルミナを接続し、印加電圧により、基板面に平行な一軸方向に最大25ミクロンの変位を制御可能な構造とした。アルミナの初期位置は、図11(c)(d)に上面からの透視図として、第一および第二の螺旋導体配線共振器との位置関係を示すように、第一および第二の螺旋導体配線共振器の螺旋形成領域の正方領域の外である。なお、図11(a)、(b)は、それぞれ図11(c)、(d)に記した線分A1−A2、線分B1−B2における実施例4の断面構造図に相当している。追加構造体が変位することにより螺旋形成領域との交差が開始し、変位量が増えるほど交差量が増加する方向に変位方向を設定した。最大25ミクロンの変位が生じた状況で、アルミナは第一および第二の螺旋導体配線共振器の最外郭の配線領域の一辺の中央において、最外郭配線の幅全てにおいて交差し、交差箇所での第一の螺旋導体配線共振器と第二の螺旋導体配線共振器間の容量を増強する構造となる。

0067

実施例4の可変共振器は、制御電圧を印加しない場合、追加構造体119は、図11(b)、(c)または(d)に示す位置にあって、27.4GHzで共振現象を発現したが、制御電圧を12V印加し最大の変位量を与えることにより、22.4GHzで共振現象を発現し、良好な可変共振器特性を得た。すなわち、わずか25ミクロン角の微小構造を25ミクロン変位させるだけで、22%の共振周波数低下を伴う可変共振器特性を実現できた。

0068

本発明にかかる可変共振器は、波長よりはるかに小型な占有面積の回路によって発現する共振現象の周波数を可変とすることができるため、小型回路自己最適能力を必要とする、フィルタ、アンテナ、移相器、スイッチ、発振器等の通信分野の用途に広く応用でき、電力伝送IDタグなどの無線技術を使用する各分野において使用されうる。また、従来の大型の稼動機構を要する可変共振器においては適用不可能であった、高速応答が実現できるため、アンテナ指向性の制御といった比較的高速性を要求されない自己最適化機能だけでなく、パケットごとの周波数切り替えなどの高速性が要求される用途での自己最適化機能をも有するため、広い範囲で利用されうる。

図面の簡単な説明

0069

(a)本発明の実施の形態1における可変共振器の断面図(b)本発明の実施の形態1における第一の螺旋導体配線共振器の配線パターン図(c)本発明の実施の形態1における第二の螺旋導体配線共振器の配線パターン図
(a)本発明の実施の形態1における可変共振器の断面図(b)本発明の実施の形態1における第一の螺旋導体配線共振器の配線パターン図(c)本発明の実施の形態1における第二の螺旋導体配線共振器の配線パターン図
本発明の実施の形態1における可変共振器の回路基板101上の構造図
(a)本発明の実施の形態2における可変共振器の断面図(b)本発明の実施の形態2における第一の螺旋導体配線共振器の配線パターン図(c)本発明の実施の形態2における第二の螺旋導体配線共振器の配線パターン図
(a)本発明の実施の形態2における可変共振器の断面図(b)本発明の実施の形態2における第一の螺旋導体配線共振器を示す図(c)本発明の実施の形態2における第二の螺旋導体配線共振器を示す図
(a)本発明の実施の形態3における可変共振器の断面図(b)本発明の実施の形態3における、第一の螺旋導体配線共振器を示す図(c)本発明の実施の形態3における、第二の螺旋導体配線共振器を示す図
(a)本発明の実施例1における可変共振器を側面から見た構造図(b)本発明の実施例1における第一の螺旋導体配線共振器と支持体との配置関係を示す上面透視図(c)本発明の実施例1における第二の螺旋導体配線共振器と支持体との配置関係を示す上面透視図
本発明の実施例1の可変共振器特性を示す図
(a)本発明の実施例2における可変共振器の断面図(b)本発明の実施例2における、第一の螺旋導体配線共振器と支持体、小型アクチュエータとの配置関係を示す上面透視図
(a)本発明の実施例3における可変共振器の断面図(b)本発明の実施例3における、第一の螺旋導体配線共振器と支持体、小型アクチュエータ、回転変位の回転軸との配置関係を示す上面透視図
(a)本発明の実施例4における可変共振器の線分A1−A2における断面図(b)本発明の実施例4における可変共振器の線分B1−B2における断面図(c)本発明の実施例4における、第一の螺旋導体配線共振器と支持体、追加構造体と変位方向の関係を示す上面透視図(d)本発明の実施例4における、第二の螺旋導体配線共振器と支持体、追加構造体と変位方向の関係を示す上面透視図

符号の説明

0070

101回路基板
105 第一の螺旋導体配線共振器
107 第二の螺旋導体配線共振器
109貫通導体配線
111接地導体層
113,117支持体
115,121誘電体層
119追加構造体
123小型アクチュエータ
125 回転軸

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