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技術 ステンレス鋼製接点材料

出願人 日新製鋼株式会社
発明者 多々納政義松尾正一長尾雅央鈴木聡中村定幸
出願日 2004年8月12日 (16年4ヶ月経過) 出願番号 2004-235075
公開日 2006年2月23日 (14年10ヶ月経過) 公開番号 2006-054110
状態 特許登録済
技術分野 電気メッキ方法,物品 雄雌型接触部材 導電材料
主要キーワード 表面接触抵抗 Cuリッチ相 打抜き荷重 耐劣化性 銅電線 Cu添加量 比電気抵抗 劣化試験後
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2006年2月23日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

課題

湿潤雰囲気で長期間使用した後でも低接触抵抗を示すステンレス鋼製接点材料を提供する。

解決手段

Cu:1.0質量%以上,Cr:9質量%以上を含み、Cuリッチ相2が0.2体積%以上の割合でマトリックスに分散したステンレス鋼1を基材とし、膜厚:0.05〜0.7μmのNiめっき層3が基材表面に形成された接点材料である。Cuリッチ相に代え、Cu/(Si+Mn)の質量比が0.5以上のCu濃化層極表層に形成しても、低接触抵抗を維持する接点材料となる。

概要

背景

電気電子機器等に組み込まれ、銅電線を接続するハーネス等の配線端子には、導電性の良好な銅系材料が従来から使用されている。銅系材料のなかでも、内部抵抗が小さくばね性に優れた冷間圧延材が多用されている。軟質伸びが低い冷間圧延材は、打抜き加工で小型で精密な部品を製造する際、加工面に加わる打抜き荷重が小さく、バリも発生しにくいことからパンチ,ダイの破損や摩耗が少なく、打抜き加工に適した材料である。

しかし、銅系材料は、耐食性に劣る。銅系材料から作製された電気配線端子露出状態で使用すると、表面酸化が進行して表面接触電気抵抗が増加し、電気部品電子部品の特性が変わることがある。表面酸化による表面接触電気抵抗の増加は、Sn,Ni等のめっきにより抑制できる。しかし、めっき工程を必要とするため製品コストが高くなり、使用環境によっては必要な耐食性を付与できない場合もある。

そこで、電気部品や電子部品等に組み込まれる電気接点材料の中で、弱電流が流れる配線端子では接続部品の内部抵抗に起因する発熱を考慮する必要がないことから、耐食性,ばね性に優れたステンレス鋼を配線端子の基材に使用することが検討されている。本出願人も、Cuを主体とする第二相析出させ、或いはCu濃化層ステンレス鋼表面に形成させることにより、接点材料に要求される低接触抵抗を呈するステンレス鋼を紹介した(特許文献1)。
特開2001-89865号公報

概要

湿潤雰囲気で長期間使用した後でも低接触抵抗を示すステンレス鋼製接点材料を提供する。 Cu:1.0質量%以上,Cr:9質量%以上を含み、Cuリッチ相2が0.2体積%以上の割合でマトリックスに分散したステンレス鋼1を基材とし、膜厚:0.05〜0.7μmのNiめっき層3が基材表面に形成された接点材料である。Cuリッチ相に代え、Cu/(Si+Mn)の質量比が0.5以上のCu濃化層を極表層に形成しても、低接触抵抗を維持する接点材料となる。

目的

Cuを主体とする第二相を析出させたステンレス鋼やCu濃化層を鋼板表面に生成させたステンレス鋼は、通常のステンレス鋼に比較して遥かに低い接触抵抗を示すが、使用環境によっては使用期間が長くなると接触抵抗が上昇する場合がある。そこで、Cuを主体とする第二相,Cu濃化層が接触抵抗の低下に及ぼす影響を更に調査・検討した。その結果、Cuを主体とする第二相,Cu濃化層に加え、極薄いNiめっき層を鋼板表面に形成すると、湿潤環境腐食性雰囲気で長期間使用した後でも接触抵抗が低位に維持されることを見出した。
本発明は、Cuを主体とする第二相,Cu濃化層と極薄いNiめっき層との共存により低接触抵抗の耐劣化性が改善される知見をベースにし、極薄いNiめっき層を設けることにより、先に紹介したステンレス鋼の特性を更に改良した接点材料を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

Cu:1.0質量%以上,Cr:9質量%以上を含み、Cuを主体とする第二相:0.2体積%以上の割合でマトリックスに分散したステンレス鋼基材とし、膜厚:0.05〜0.7μmのNiめっき層が基材表面に形成されていることを特徴とするステンレス鋼製接点材料

請求項2

Cu:1.0質量%以上,Cr:9質量%以上,Ni:6質量%以上を含むステンレス鋼を基材とし、基材の最表層がCu/(Si+Mn)の質量比が0.5以上のCu濃化層になっており、膜厚:0.05〜0.7μmのNiめっき層が基材表面に形成されていることを特徴とするステンレス鋼製接点材料。

技術分野

0001

本発明は、電気電子機器に組み込まれる配線端子リードフレームコネクタ等として好適なステンレス鋼製接点材料に関する。

背景技術

0002

電気・電子機器等に組み込まれ、銅電線を接続するハーネス等の配線端子には、導電性の良好な銅系材料が従来から使用されている。銅系材料のなかでも、内部抵抗が小さくばね性に優れた冷間圧延材が多用されている。軟質伸びが低い冷間圧延材は、打抜き加工で小型で精密な部品を製造する際、加工面に加わる打抜き荷重が小さく、バリも発生しにくいことからパンチ,ダイの破損や摩耗が少なく、打抜き加工に適した材料である。

0003

しかし、銅系材料は、耐食性に劣る。銅系材料から作製された電気配線端子露出状態で使用すると、表面酸化が進行して表面接触電気抵抗が増加し、電気部品電子部品の特性が変わることがある。表面酸化による表面接触電気抵抗の増加は、Sn,Ni等のめっきにより抑制できる。しかし、めっき工程を必要とするため製品コストが高くなり、使用環境によっては必要な耐食性を付与できない場合もある。

0004

そこで、電気部品や電子部品等に組み込まれる電気接点材料の中で、弱電流が流れる配線端子では接続部品の内部抵抗に起因する発熱を考慮する必要がないことから、耐食性,ばね性に優れたステンレス鋼を配線端子の基材に使用することが検討されている。本出願人も、Cuを主体とする第二相析出させ、或いはCu濃化層ステンレス鋼表面に形成させることにより、接点材料に要求される低接触抵抗を呈するステンレス鋼を紹介した(特許文献1)。
特開2001-89865号公報

発明が解決しようとする課題

0005

Cuを主体とする第二相を析出させたステンレス鋼やCu濃化層を鋼板表面に生成させたステンレス鋼は、通常のステンレス鋼に比較して遥かに低い接触抵抗を示すが、使用環境によっては使用期間が長くなると接触抵抗が上昇する場合がある。そこで、Cuを主体とする第二相,Cu濃化層が接触抵抗の低下に及ぼす影響を更に調査・検討した。その結果、Cuを主体とする第二相,Cu濃化層に加え、極薄Niめっき層を鋼板表面に形成すると、湿潤環境腐食性雰囲気で長期間使用した後でも接触抵抗が低位に維持されることを見出した。
本発明は、Cuを主体とする第二相,Cu濃化層と極薄いNiめっき層との共存により低接触抵抗の耐劣化性が改善される知見をベースにし、極薄いNiめっき層を設けることにより、先に紹介したステンレス鋼の特性を更に改良した接点材料を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明のステンレス鋼製接点材料は、Cu:1.0質量%以上,Cr:9質量%以上を含むステンレス鋼又はCu:1.0質量%以上,Cr:9質量%以上,Ni:6質量%以上を含むフェライト系又はオーステナイト系ステンレス鋼を基材に使用している。
基材には、Cuを主体とする第二相が0.2体積%以上の割合でマトリックスに分散しており、析出個所不動態皮膜の生成・成長が抑えられるので基材表面にも第二相が露出する。Cu濃化層は、露点下げ雰囲気下での光輝焼鈍大気焼鈍酸洗組合せにより基材表面に形成されるが、拡散係数成分元素ごとに異なることを考慮した成分設計や処理条件によりCu/(Si+Mn)の質量比を0.5以上に調整できる。Cuを主体とする第二相の析出及びCu濃化層の生成を並存させることも可能である。

0007

Cuを主体とする第二相の析出及び/又はCu濃化層の生成に加え、Niめっき層を基材表面に形成している。膜厚:0.05〜0.7μmと極薄くすることにより、Niめっき層が鋼板表面を完全に覆う連続膜でなく、多数個所で基材が露出する部分が生じ、Cuを主体とする第二相やCu濃化層がNiめっき層と共にステンレス鋼表面に共存する状態が得られる。

発明の効果及び実施の形態

0008

Cuを主体とする第二相(以下、「Cuリッチ相」という)を析出させ、或いはCu濃化層を形成させたステンレス鋼は、従来のステンレス鋼に比較して格段に低い接触抵抗を示すが、極薄いNiめっき層をステンレス鋼表面に設けることによって、接触抵抗の上昇が抑えられ、湿潤環境や腐食性雰囲気であっても接触抵抗が長期にわたって低位に維持される。極薄いNiめっき層により低接触抵抗の耐劣化性が改善される理由は、次のように推察され、後述の実施例でも支持される。

0009

膜厚が0.05〜0.7μmと極薄いNiめっき層は、鋼板全面を完全に被覆することなく、下地鋼の露出部とNiめっき層とが混在した表面を呈する。すなわち、ステンレス鋼1の表面に、マトリックスに析出しているCuリッチ相2,Niめっき層3が共存する(図1)。標準電極電位(25℃)がCuで+0.34V,Niで−0.23Vであることから、Niは、Cuに対して卑な金属となり、湿潤環境下金属イオンとして溶出しやすい。Niの溶出は、Niめっき層3の表面酸化を防止すると共に、Cuリッチ相2を活性状態に維持する。その結果、酸化膜の成長に起因する接触抵抗の上昇が抑えられ、接触抵抗の低減に有効なCuリッチ相2の作用が持続する。

0010

このようなNiめっき層3の作用・効果は、ステンレス鋼1の全面を覆う程度に厚いNiめっき層3では発現しないことからも、ステンレス鋼1表面に共存するCuリッチ相2,Niめっき層3に由来するものと理解できる。Cuリッチ相2に代えて、Cu濃化層をステンレス鋼1の極表層に形成した場合でも、同様なCu濃化層とNiめっき層3の相互作用によって接触抵抗の上昇が抑えられる。

0011

基材として使用するステンレス鋼は、0.2体積%以上でCuリッチ相が析出し、或いはCu/(Si+Mn)の質量比:0.5以上のCu濃化層が生成している限り、フェライト系,オーステナイト系の何れでも良い。
フェライト系としては、たとえばC+N:0.1質量%以下,Si:1.0質量%以下,Mn:1.0質量%以下,Cr:9.0〜25.0質量%,Cu:1.0〜3.0質量%を含むステンレス鋼がある。オーステナイト系では、C+N:0.2質量%以下,Si:1.0質量%以下,Mn:2.0質量%以下,Cr:9.0〜25.0質量%,Ni:5.0〜15.0質量%,Cu:1.0〜4.0質量%を含むステンレス鋼がある。フェライト系,オーステナイト系共に、1.0質量%以下のTi及び/又はNbを含むことができる。

0012

C,Nは、クロム炭化物等の形成によりCuリッチ相の析出を促進させる。しかし、過剰添加は製造性,耐食性に悪影響を及ぼすので、C+Nの上限を0.1質量%とした。
Siは、耐食性改善に有効な成分であるが、過剰添加は製造性を劣化させるので上限を1.0質量%とした。
Mnは、製造性を改善すると共に鋼中のSをMnSとして固定する作用を呈するが、過剰添加は耐食性に悪影響を及ぼすので、フェライト系では1.0質量%,オーステナイト系では2.0質量%をMn含有量の上限とした。

0013

Crは、ステンレス鋼の耐食性を確保する上で必須の合金成分であり、9.0質量%以上のCr含有量で効果を奏する。しかし、25.0質量%を超えるCrの過剰添加は、製造性を低下させる。
オーステナイト系ステンレス鋼では、オーステナイト相の安定化にNiが必須成分として添加されるが、Niは耐食性の改善にも有効である。5.0質量%以上でNiの添加効果がみられるが、過剰添加は鋼材コストの上昇を招くので15.0質量%をNi含有量の上限とした。

0014

Cuは、表面の接触抵抗を低下させるCuリッチ相の析出又はCu濃化層の生成に必要な成分であり、1.0質量%以上でCuの添加効果がみられる。しかし、過剰添加は製造性,耐食性の低下を招くので、フェライト系では3.0質量%,オーステナイト系では4.0質量%をCu添加量の上限とした。
必要に応じてTi,Nbを添加することもできる。Ti,Nbは、何れも鋼中のC,Nを炭窒化物として固定し、マトリックスに固溶しているC,Nを低減し製造性,耐食性を改善する。しかし、Ti,Nbの過剰添加は、製造性を却って阻害する原因ともなるので上限を1.0質量%とした。

0015

Cuリッチ相:0.2体積%以上
Cuリッチ相は、フェライト系ステンレス鋼板のマトリックスに均一分散し、同じ分布割合で鋼板表面にも分散している。Cuリッチ相と表面接触電気抵抗との関係を調査した結果、0.2体積%以上の割合でCuリッチ相が析出していると、従来のNiめっき材と同程度の表面接触電気抵抗が得られることが判った。
ステンレス鋼板製造ラインにおける最終焼鈍までの工程でたとえば800℃前後で1時間以上の時効処理を施すことにより、Cuリッチ相が析出する。Cuリッチ相の析出量は、温度,時間等の熱処理条件の他に、Cuリッチ相が析出しやすい状態にステンレス鋼板を調整する圧延条件によっても制御できる。Cuリッチ相の析出に加え不動態皮膜又は基材最表層にCuが濃化していると、1Ω以下の一層低い表面接触電気抵抗が示される。

0016

Cu濃化層:Cu/(Si+Mn)≧0.5
基材の最表層又は不動態皮膜のCu濃度が上昇するほど、表面接触電気抵抗が低下する。従来のNiめっき材と同等の表面接触電気抵抗は、Si,Mnに対するCuの質量比Cu/(Si+Mn)が0.5以上となるCu濃化層の形成によって達成できる。
Cu濃化層の形成には、最終焼鈍として露点−30℃以下の雰囲気中でステンレス鋼板を光輝焼鈍する方法が採用される。焼鈍雰囲気の露点が低くなると酸化反応が抑制され、比電気抵抗の高い金属酸化物の増量が抑えられ、結果として金属Cu又はCuの酸化物が不動態皮膜又は最表層に濃化する。他方、露点が−30℃を超える焼鈍雰囲気では、Si,Mn等の酸化進行に応じて母材内部から表層へのSi,Mn等の拡散が促進され、比電気抵抗の高い金属酸化物を多量に含む不動態皮膜又は最表層が形成される。

0017

光輝焼鈍に代え、大気焼鈍,酸洗の組合せによっても必要なCu濃化層が形成される。ステンレス鋼板を大気焼鈍すると、Cr,Fe,Mn,Si,Cu等の酸化物を含むスケールが鋼板表面に形成されるが、酸洗によってスケールが除去された後で不動態皮膜が形成される。フッ酸−硝酸硫酸−硝酸等の混酸を用いた酸洗では、ステンレス鋼板からCu,Cuリッチ相が優先的に溶出しないので、基材の最表層や酸洗後に生成した不動態皮膜が高Cu濃度に維持される。酸洗に使用する混酸は、酸の種類や濃度に特段制約が加わるものではないが,一般的に濃度10体積%程度の硫酸,フッ酸と硝酸との混酸が好ましい。

0018

Cuリッチ相が析出し及び/又はCu濃化層が生成したステンレス鋼板を電気めっきすることにより、膜厚:0.05〜0.7μmのNiめっき層をステンレス鋼表面に形成する。Cuリッチ相,Cu濃化層との共存による作用・効果は、膜厚0.05μm以上のNiめっき層でみられるが、0.7μmを超える厚膜ではステンレス鋼表面に対するNiめっき層の被覆率が高くなり、Cuリッチ相,Cu濃化層の作用が損なわれ、従来のNiめっき材と同程度まで特性が劣化する。
膜厚:0.05〜0.7μmのNiめっき層は、極短時間の電気フラッシュめっきで形成できる。たとえば、陰極電流効率:15〜25%の塩化ニッケル塩酸からなる全塩化物浴を用い、浴温:25〜40℃,電流密度:0.2〜1.5kA/m2の条件下で通電時間を変化させることにより、必要厚みのNiめっき層が形成される。

0019

表1の組成をもつオーステナイト系ステンレス鋼A1,A2及びフェライト系ステンレス鋼F1,F2を基材に使用した。最終焼鈍に先立って各ステンレス鋼板に800℃×24時間の析出処理を施し、Cuリッチ相を析出させた。なお、Cuリッチ相の析出量は、最終焼鈍後のステンレス鋼板から採取された試験片電解研磨し、透過型電子顕微鏡金属組織を観察してマトリックスに析出しているCuリッチ相の割合から求めた。

0020

0021

各ステンレス鋼板を全塩化物浴に浸漬し、表2の条件下でNiフラッシュめっきした。比較のため、Cuリッチ相の析出がないSUS304,SUS430ステンレス鋼を同じ条件下でNiフラッシュめっきした。ステンレス鋼表面に形成されるNiめっき層の膜厚は、めっき時間によって0.02〜0.7μmの範囲で調整した。

0022

0023

Niめっき直後のステンレス鋼板に純金製の対極及び測定端子を接触させ、測定端子に100gの荷重負荷した状態で表面接触抵抗(接触抵抗の初期値)を測定した。また、Niめっきしたステンレス鋼を60℃,93%RHの雰囲気に60日間放置した後、同じ条件下で表面接触抵抗(劣化試験後の接触抵抗)を測定した。
劣化試験後の接触抵抗は、表3の調査結果にみられるように、Cuリッチ相が析出しているステンレス鋼に膜厚:0.05〜0.7μmのNiめっき層を形成したものでは、初期値とほぼ同じ値であり、接触抵抗の上昇が抑えられていることが判る。

0024

これに対し、Niめっき層が薄すぎる試験No.7,8では、劣化試験後の接触抵抗が大幅に上昇していた。Cuリッチ相の析出がないSUS304,SUS430ステンレス鋼を基材とした試験No.1〜6では、Niめっき層の膜厚が0.05〜0.7μmの範囲にあっても、劣化試験後の接触抵抗が大幅に上昇していた。
この対比から、Cuリッチ相が0.2体積%以上析出したステンレス鋼を基材とし、膜厚:0.05〜0.7μmのNiめっき層を形成することにより、湿潤雰囲気に曝されても接触抵抗の上昇が抑えられることが確認できる。

0025

Cuリッチ相の析出に代え、Cu/(Si+Mn)の質量比:0.5以上のCu濃化層を形成した場合でも、同様に膜厚:0.05〜0.7μmのNiめっき層を形成することにより接触抵抗の上昇が抑えられた。実際、Cu/(Si+Mn)の質量比:0.7で表層にCuが濃化したステンレス鋼に膜厚:0.7μmのNiめっき層を形成した試料GDS分析したところ、Cu濃化層とNiめっき層の共存状態が確認され(図2)、長期にわたって接触抵抗の上昇抑制に有効な表面状態であった。

0026

0027

劣化試験経過日数ごとに接触抵抗を測定し、接触抵抗の変化を調査した。膜厚:0.05μmのNiめっき層を設けた鋼種F1のステンレス鋼は、劣化試験60日の後に0.011Ω程度まで接触抵抗が上昇したが、同じ鋼種F1であってもNiめっき層のない場合には接触抵抗の初期値が0.05Ω程度と高く、60日の劣化試験後には0.11Ω程度まで接触抵抗が上昇した(図3)。膜厚:0.3μmのNiめっき層を形成してもCuリッチ相の析出がないSUS430ステンレス鋼では、劣化試験の経過日数に応じて接触抵抗が上昇し、60日の劣化試験後には0.2Ω程度まで上昇した(図4)。

0028

更に、Niめっき直後及び劣化試験60日後の各ステンレス鋼に接触させる測定端子の荷重を変更し、荷重に応じた接触抵抗を測定した。図5測定結果からも、Cuリッチ相が析出したステンレス鋼を基材とすることにより、劣化試験後にも接触抵抗が低位に安定維持されていることが判る。他方、Cuリッチ相の析出がないステンレス鋼を基材とする場合、劣化試験後の接触抵抗が大幅に上昇しており、しかも荷重によるバラツキが大きくなっていることから接触抵抗の不安定化が窺われる。

0029

以上に説明したように、本発明の接点材料は、Cuリッチ相が析出したステンレス鋼やCu濃化層が極表層にあるステンレス鋼を基材とし、膜厚:0.05〜0.7μmのNiめっき層を形成しているので、湿潤雰囲気においても長期にわたり低接触抵抗を維持する。しかも、耐食性,強度に優れたステンレス鋼を基材としているので、信頼性の高い電気・電子機器用接点材料として使用される。

図面の簡単な説明

0030

Cuリッチ相,極薄のNiめっき層が共存することにより低接触抵抗が維持されることを説明する模式図
ステンレス鋼表面にCu濃化層,Niめっき層が共存していることを示すグラフ
Cuリッチ相が析出したフェライト系ステンレス鋼の接触抵抗の変化をNiめっき層の有無で比較したグラフ
Niめっきしたフェライト系ステンレス鋼の接触抵抗の変化をCuリッチ相の有無で比較したグラフ
接触抵抗の測定結果を鋼種,Niめっき層の膜厚ごとに対比した図表

符号の説明

0031

1:ステンレス鋼2:Cuリッチ相(Cuを主体とする第二相) 3:Niめっき層

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