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技術 免震支承体及び該免震支承体の製造方法

出願人 バンドー化学株式会社
発明者 荒木伸介古田智基西元健
出願日 2004年7月15日 (15年11ヶ月経過) 出願番号 2004-208421
公開日 2006年2月2日 (14年5ヶ月経過) 公開番号 2006-029433
状態 未査定
技術分野 橋または陸橋 建築構造一般 防振装置
主要キーワード 二次曲線形状 完全塑性体 鋼板層 超弾性体 同一荷重 要素分割数 微少振動 弾塑性体
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

減衰効果に優れ、しかも鉛を使用することのない免震支承体及びその製造方法を提供する。

解決手段

円柱状のゴムからなる支承材1の上方及び下方に、上側ベース2及び上側フランジ5、並びに下側ベース3及び下側フランジ6を配する。上側フランジ5の中心部下面には、上側嵌挿鋼材9を固定して支承材1内に下方に向けて上側嵌挿鋼材9を嵌挿する。下側フランジ6の中心部上面には、下側嵌挿鋼材10を固定して支承材1内に上方に向けて下側嵌挿鋼材10を嵌挿する。

概要

背景

従来より、免震支承体として、ゴムと金属との積層体の中央部分に鉛プラグを設けたものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。図23は従来の免震支承体の一部破断斜視図である。同図の免震支承体53は、円板状のゴム及び金属を積層した積層体50と、この積層体50の上方及び下方に配された上側フランジ51及び下側フランジ52とを備えている。支承体53の中央部には、塑性変形により履歴減衰作用を発揮する鉛プラグ54が設けられている。この免震支承体では、積層体50は地震により発生するエネルギー上部構造体に出来る限り伝えないように作用し、鉛プラグ54は地震により発生する大きな振動による剪断力を吸収するように作用するので、優れた減衰性能が発揮され得る。
特公平6−45974号公報(請求項1、第1図、第3図)
特開平8−326812号公報(段落番号〔0011〕、図3)

概要

減衰効果に優れ、しかも鉛を使用することのない免震支承体及びその製造方法を提供する。円柱状のゴムからなる支承材1の上方及び下方に、上側ベース2及び上側フランジ5、並びに下側ベース3及び下側フランジ6を配する。上側フランジ5の中心部下面には、上側嵌挿鋼材9を固定して支承材1内に下方に向けて上側嵌挿鋼材9を嵌挿する。下側フランジ6の中心部上面には、下側嵌挿鋼材10を固定して支承材1内に上方に向けて下側嵌挿鋼材10を嵌挿する。

目的

そこで、本発明の目的は、減衰効果に優れ、しかも鉛を使用することのない免震支承体及びその製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

支承材を有する支承部と該支承部を挟持する上側フランジ及び下側フランジとを有する支承体と、前記上側フランジに固定され前記上側フランジから前記支承材内下方に向けて延設された一又は複数の上側嵌挿鋼材と、前記下側フランジに固定され前記下側フランジから前記支承材内上方に向けて延設された一又は複数の下側嵌挿鋼材とを備えた免震支承体。

請求項2

前記上側フランジの中央部に設けられた一の前記上側嵌挿鋼材と、前記下側フランジの中央部に設けられた一の前記下側嵌挿鋼材とを備え、前記上側嵌挿鋼材の先端部と前記下側嵌挿鋼材の先端部とが、前記支承材に於ける前記上側嵌挿鋼材及び前記下側嵌挿鋼材の延設方向中央部で対峙していることを特徴とする請求項1記載の免震支承体。

請求項3

前記支承材がゴムからなり、前記支承材に於ける前記上側嵌挿鋼材及び前記下側嵌挿鋼材の前記延設方向中央部のゴム硬度が、前記中央部近傍以外の部分に於ける前記支承材のゴム硬度より大きいことを特徴とする請求項2記載の免震支承体。

請求項4

前記上側フランジに設けられた複数の前記上側嵌挿鋼材と、前記下側フランジに設けられた複数の前記下側嵌挿鋼材とを備え、前記複数の上側嵌挿鋼材は前記下側フランジ側まで延設され、前記複数の下側嵌挿鋼材は前記上側フランジ側まで延設されていることを特徴とする請求項1記載の免震支承体。

請求項5

前記上側フランジに設けられた複数の前記上側嵌挿鋼材と、前記下側フランジに設けられた複数の前記下側嵌挿鋼材とを備え、前記複数の上側嵌挿鋼材は前記下側フランジに設けられた開口部に挿入され、前記複数の下側嵌挿鋼材は前記上側フランジに設けられた開口部に挿入されていることを特徴とする請求項1記載の免震支承体。

請求項6

上側嵌挿鋼材と下側嵌挿鋼材の外形線が、それぞれ先細り状であることを特徴とする請求項5記載の免震支承体。

請求項7

上側フランジおよび下側フランジに設けられる開口部の直径が、それぞれ下側嵌挿鋼材および上側嵌挿鋼材の直径の2倍以上の大きさであることを特徴とする請求項5または6記載の免震支承体。

請求項8

上側フランジおよび下側フランジに設けられる開口部の内面には面取りが施されていることを特徴とする請求項5、6または7記載の免震支承体。

請求項9

前記上側嵌挿鋼材及び前記下側嵌挿鋼材の先端部には、それぞれ曲面加工が施されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の免震支承体。

請求項10

前記上側嵌挿鋼材の前記上側フランジへの固定部分近傍に於ける前記支承部に上側空隙が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の免震支承体。

請求項11

前記下側嵌挿鋼材の前記下側フランジへの固定部分近傍に於ける前記支承部に下側空隙が設けられていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の免震支承体。

請求項12

前記支承材がゴムの積層体を有していることを特徴とする請求項1、2、4乃至11の何れかに記載の免震支承体。

請求項13

前記上側嵌挿鋼材と前記支承部との間に、減衰材層を更に設けたことを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の免震支承体。

請求項14

前記下側嵌挿鋼材と前記支承部との間に、減衰材層を更に設けたことを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の免震支承体。

請求項15

前記減衰材層は、アクリル系ゴムジエン系ゴムシリコン系ゴム及びウレタン系ゴムからなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項13又は14の何れかに記載の免震支承体。

請求項16

請求項1乃至12の何れかに記載の免震支承体の製造方法であって、前記上側嵌挿鋼材の長手方向に垂直な断面積より小さい断面積を有する上側嵌挿穴を前記支承材に設けて前記上側嵌挿穴に前記上側嵌挿鋼材を嵌挿するとともに、前記下側嵌挿鋼材の長手方向に垂直な断面積より小さい断面積を有する下側嵌挿穴を前記支承材に設けて前記下側嵌挿穴に前記下側嵌挿鋼材を嵌挿する免震支承体の製造方法。

技術分野

0001

この発明は、免震支承体及び該免震支承体の製造方法に関し、更に詳しくは、鉛などの有害な金属を使用する必要のない免震支承体及び該免震支承体の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

従来より、免震支承体として、ゴムと金属との積層体の中央部分に鉛プラグを設けたものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。図23は従来の免震支承体の一部破断斜視図である。同図の免震支承体53は、円板状のゴム及び金属を積層した積層体50と、この積層体50の上方及び下方に配された上側フランジ51及び下側フランジ52とを備えている。支承体53の中央部には、塑性変形により履歴減衰作用を発揮する鉛プラグ54が設けられている。この免震支承体では、積層体50は地震により発生するエネルギー上部構造体に出来る限り伝えないように作用し、鉛プラグ54は地震により発生する大きな振動による剪断力を吸収するように作用するので、優れた減衰性能が発揮され得る。
特公平6−45974号公報(請求項1、第1図、第3図)
特開平8−326812号公報(段落番号〔0011〕、図3

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、上述の鉛プラグ54は減衰効果に優れてはいるものの、環境問題の観点からすれば、その毒性が問題となる。そのため、代替材料の検討が行われてはいるが、減衰効果の面からすれば、鉛にそのまま代替し得る性能を発揮し得る代替材料は未だに見いだされてはいない。

0004

そこで、本発明の目的は、減衰効果に優れ、しかも鉛を使用することのない免震支承体及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

本発明の免震支承体は、支承材を有する支承部と該支承部を挟持する上側フランジ及び下側フランジとを有する支承体と、前記上側フランジに固定され前記上側フランジから前記支承材内下方に向けて延設された一又は複数の上側嵌挿鋼材と、前記下側フランジに固定され前記下側フランジから前記支承材内上方に向けて延設された一又は複数の下側嵌挿鋼材とを備えたことを特徴とする。

発明の効果

0006

本発明によれば、次ぎのような効果を達成することができる。

0007

請求項1記載の発明によれば、支承材内の下方及び上方に向けてそれぞれ嵌挿された上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材を設けたことにより、支承材による振動吸収と、上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材の曲げ降伏による履歴減衰と、支承材と上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材との摩擦による減衰とにより振動が緩和されるので、高い減衰効果が得られる。しかも鉛を使用していないので、環境問題も生じない。

0008

請求項2記載の発明によれば、上側嵌挿鋼材の先端部と下側嵌挿鋼材の先端部とが同嵌挿鋼材の延設方向中央部で対峙するという簡単な構造であるにも関わらず、高い減衰効果が得られる。

0009

請求項3記載の発明によれば、上側および下側嵌挿鋼材の延設方向中央部の支承材のゴム硬度中央部近傍以外の部分における支承材のゴム硬度より大きいので、免震支承体が変形して支承材と上側嵌挿鋼材又は下側嵌挿鋼材との間に間隙が生じるのを防止することができる。

0010

請求項4記載の発明によれば、複数の上側および下側嵌挿鋼材をそれぞれ下側のフランジ側または上側のフランジ側まで延設することにより、1箇所に応力が集中するのを防止することができ、高い減衰効果が得られる。

0011

請求項5記載の発明によれば、複数の上側および下側嵌挿鋼材がそれぞれ下側のフランジに設けられた開口部と上側のフランジに設けられた開口部に挿入されることにより、大きな剪断変形時にも嵌挿鋼材の長さが不足して支承材が異常変形し、嵌挿鋼材が破損するという不都合を回避することができる。

0012

請求項6記載の発明によれば、上側および下側嵌挿鋼材の外形線がそれぞれ同嵌挿鋼材の先端部を原点とする二次曲線近似しているので、剪断変形時に上側および下側嵌挿鋼材の全体に対してほぼ均一に応力が負荷され、局部的に過大な応力が負荷されるということがなくなる。その結果、上側および下側嵌挿鋼材はほぼ一様に降伏して十分にエネルギーを消費するので、高い減衰効果が得られる。

0013

請求項7記載の発明によれば、上側および下側フランジに設けられる開口部の直径がそれぞれ同開口部に挿入される下側および上側嵌挿鋼材の直径に比べて十分に大きいので、剪断変形時に嵌挿鋼材が開口部の角部に衝突しにくくなり、嵌挿鋼材の破損を回避することができる。

0014

請求項8記載の発明によれば、上側および下側フランジに設けられる開口部の内面には面取りが施されているので、剪断変形時に嵌挿鋼材が破損しにくくなる。

0015

請求項9記載の発明によれば、上側および下側嵌挿鋼材の先端部には曲面加工が施されているので、上側および下側嵌挿鋼材の上側および下側嵌挿穴への嵌挿が容易になる。

0016

請求項10および11記載の発明によれば、上側および下側嵌挿鋼材の上側および下側フランジへの固定部近傍における支承部に上側および下側空隙が設けられているので、上側および下側嵌挿鋼材の嵌挿穴への嵌挿によって支承材を構成する材料が盛り上がることを防止し、支承材と上側フランジまたは下側フランジとが剥がれてしまうのを防止することが可能となる。また、これらの空隙の存在により、上側および下側嵌挿鋼材の上側および下側嵌挿孔への嵌挿が容易となる。さらに、これらの空隙の存在により、上側および下側嵌挿鋼材の曲げ降伏が円滑に行われ、高い減衰効果が得られる。

0017

請求項12記載の発明によれば、支承材による振動吸収が良好に行われる。

0018

請求項13、14、15記載の発明によれば、さらに減衰材層を有しているので、極めて高い減衰効果が得られる。

0019

請求項16記載の発明によれば、上側嵌挿穴および下側嵌挿穴の直径をそれぞれ上側嵌挿鋼材および下側嵌挿鋼材の直径より小さくすることにより、支承材と上側嵌挿鋼材および下側嵌挿鋼材との摩擦が大きくなり、優れた減衰効果が発揮される。

発明を実施するための最良の形態

0020

さらに、本発明の免震支承体は、前記上側フランジの中央部に設けられた一の前記上側嵌挿鋼材と、前記下側フランジの中央部に設けられた一の前記下側嵌挿鋼材とを備え、前記上側嵌挿鋼材の先端部と前記下側嵌挿鋼材の先端部とが、前記支承材に於ける前記上側嵌挿鋼材及び前記下側嵌挿鋼材の延設方向中央部で対峙している構成とすることが好ましい。

0021

この構成により簡単な構造であるにも関わらず、高い減衰効果が得られる。

0022

また、上記において、前記支承材がゴムからなり、前記支承材に於ける前記上側嵌挿鋼材及び前記下側嵌挿鋼材の前記延設方向中央部のゴム硬度が、前記中央部近傍以外の部分に於ける前記支承材のゴム硬度より大きいことが好ましい。この構成により、免震支承体が変形して支承材と上側嵌挿鋼材又は下側嵌挿鋼材との間に間隙が生ずるのを防止することができる。例えば、中央部のゴムせん弾性係数として、10N/mm2 以上を採用し、 中央部近傍以外の部分に於けるゴムせん断弾性係数としては、0.25〜0.61N/mm2 を採用することが好ましい。

0023

更に、前記上側フランジに設けられた複数の前記上側嵌挿鋼材と、前記下側フランジに設けられた複数の前記下側嵌挿鋼材とを備え、前記複数の上側嵌挿鋼材は前記下側フランジ側まで延設され、前記複数の下側嵌挿鋼材は前記上側フランジ側まで延設されている構成を採用することが好ましい。

0024

このように複数の上側嵌挿鋼材と複数の下側嵌挿鋼材とを設けて、それぞれ支承材をほぼ貫通して下側フランジ近傍及び上側フランジ近傍まで延設することにより、1箇所に応力が集中することを防止することができ、高い減衰効果が得られる。

0025

また、前記上側フランジに設けられた複数の前記上側嵌挿鋼材と、前記下側フランジに設けられた複数の前記下側嵌挿鋼材とを備え、前記複数の上側嵌挿鋼材は前記下側フランジに設けられた開口部に挿入され、前記複数の下側嵌挿鋼材は前記上側フランジに設けられた開口部に挿入されていることが好ましい。

0026

このように、上側および下側嵌挿鋼材の長さを極力増すことにより、大きな剪断変形時にも嵌挿鋼材の長さが不足して支承材が異常変形し、嵌挿鋼材が破損するという不都合を回避することができる。

0027

また、上側嵌挿鋼材と下側嵌挿鋼材の外形線が、それぞれ先細り状であることが好ましい。

0028

このように、上側および下側嵌挿鋼材の外形線をそれぞれ先細り状とすることにより、剪断変形時に上側および下側嵌挿鋼材の全体に対してほぼ均一に応力が負荷され、局部的に過大な応力が負荷されるということがなくなる。その結果、上側および下側嵌挿鋼材はほぼ一様に降伏して十分にエネルギーを消費するので、高い減衰効果が得られる。先細り状の具体的な例としては、上側および下側嵌挿鋼材の先端部を原点とする二次曲線で近似した形状を採用することができる。この二次曲線の形状は地震のエネルギーにより異なることが好ましい。例えば、二次曲線の式は、図18に示すようにx軸とy軸をとった場合、y=f(x)=a1x2+b1x+c1とすることができる。
異なる二次曲線からなる外形線を有する嵌挿鋼材を備えることにより、様々な地震エネルギーに柔軟に対応しうる免震支承体を提供することが可能となる。また、嵌挿鋼材の特性としては、エネルギー消費がスムーズに行われる弾塑性体であるのが好ましく、弾性体完全塑性体は好ましくない。

0029

また、上側フランジおよび下側フランジに設けられる開口部の直径は、それぞれ下側嵌挿鋼材および上側嵌挿鋼材の直径の2倍以上の大きさであることが好ましい。

0030

このように、フランジに設けられる開口部の直径を同開口部に挿入される嵌挿鋼材の直径に比べて十分に大きくすることにより、剪断変形時に嵌挿鋼材が開口部の角部に衝突しにくくなり、嵌挿鋼材の破損を回避することができる。

0031

また、上側フランジおよび下側フランジに設けられる開口部の内面には面取りが施されていることが好ましい。

0032

このように、フランジに設けられる開口部の内面に面取りを施すことにより、剪断変形時に嵌挿鋼材が破損しにくくなる。

0033

また、前記上側嵌挿鋼材及び前記下側嵌挿鋼材の先端部には、それぞれ曲面加工が施されていることが好ましい。この曲面加工により、上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材の嵌挿穴への嵌挿が容易となる。

0034

また、前記上側嵌挿鋼材の前記上側フランジへの固定部分近傍に於ける前記支承部に上側空隙が設けられていることが好ましい。同様に、前記下側嵌挿鋼材の前記下側フランジへの固定部分近傍に於ける前記支承部に下側空隙が設けられていることが好ましい。後記するように、上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材は同嵌挿鋼材の断面積より小さい断面積を有する嵌挿穴に嵌挿することにより製造することができるが、このような上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材の嵌挿穴への嵌挿により、支承材を構成するゴム等の材料が盛り上がってしまう場合がある。上記の上側間隙及び下側空隙の存在により、このような支承材の盛り上がりを防止し、支承材と上側フランジ又は下側フランジとが剥がれてしまうことを防止することが可能になる。また、これらの空隙の存在により、上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材の上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴への嵌挿が容易となる。また、これらの空隙の存在により、上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材の曲げ降伏が円滑に行われ、高い減衰効果が発揮される。

0035

また、前述の支承材は、ゴムの積層体を有していることが好ましい。また、上側嵌挿鋼材と支承部との間及び/又は下側嵌挿鋼材と支承部との間に、減衰材層を更に設ける構成とすることが好ましい。この減衰材層には、アクリル系ゴムジエン系ゴムシリコン系ゴムウレタン系ゴム等を使用することができる。

0036

本発明の免震支承体は、前記上側嵌挿鋼材の長手方向に垂直な断面積より小さい断面積を有する上側嵌挿穴を前記支承材に設けて前記上側嵌挿穴に前記上側嵌挿鋼材を嵌挿するとともに、前記下側嵌挿鋼材の長手方向に垂直な断面積より小さい断面積を有する下側嵌挿穴を前記支承材に設けて前記下側嵌挿穴に前記下側嵌挿鋼材を嵌挿することにより製造することが好ましい。

0037

このように、上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴の直径を上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材の直径より小さくすることにより、支承材と上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材との摩擦が大きくなり、優れた減衰効果が発揮される。例えば、上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴の直径をdとし、上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材の直径をDとした場合、D/d≧1.05であることが好ましい。しかし、Dが大きすぎると、嵌挿鋼材の嵌挿穴への嵌挿が極めて困難となるので、D/d≦1.20であることが好ましい。

0038

以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。図1に本発明の実施例1に係る免震支承体の断面構成を示す。本実施例1の免震支承体は、円板状のゴムを積層した積層体からなる支承材1と、支承材1の上方及び下方に配された円板状の上側ベース2及び円板状の下側ベース3とを有している。本実施例1では、支承材1と上側ベース2と下側ベース3とによって支承部4が構成されている。この支承部4の上部には円板状の上側フランジ5がボルト7によって固定され、支承部4の下部には円板状の下側フランジ6がボルト8によって固定されている。本実施例1では、支承部4と、上側フランジ5と、下側フランジ6とによって支承体が構成されている。

0039

本実施例1では、上側フランジ5の中心部下面に円柱形状の上側嵌挿鋼材9が固定され、この上側嵌挿鋼材9は支承材1内に下方に向けて嵌挿されている。同様に、下側フランジ6の中心部上面には円柱形状の下側嵌挿鋼材10が固定され、この下側嵌挿鋼材10は支承材1内に上方に向けて嵌挿されている。上側嵌挿鋼材9の先端部9a及び下側嵌挿鋼材10の先端部10aは、それぞれ球面形状を成している。そして、本実施例1では、上側嵌挿鋼材9の上側フランジ5への固定部分近傍に於ける上側ベース2に上側空隙11が設けられ、同様に、下側嵌挿鋼材10の下側フランジ6への固定部分近傍に於ける下側ベース3に下側空隙12が設けられている。上側空隙11及び下側空隙12は、図1に示すように、断面が矩形の円柱形状を成している。

0040

このような構成を有する本実施例1の免震支承体は、支承材1内の下方及び上方に向けてそれぞれ嵌挿された上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10を設けたことにより、支承材1による振動吸収と、上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の曲げ降伏による履歴減衰と、支承材1と上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10との摩擦による減衰とにより振動が緩和されるので、高い減衰効果が得られる。しかも鉛を使用していないので、環境問題も生じない。

0041

以上の構成を有する本実施例1の免震支承体は、以下のようにして製造される。まず、円柱状の支承材1に、後に上側嵌挿鋼材9を嵌挿するための上側嵌挿穴が設けられ、同様に支承材1に、後に下側嵌挿鋼材10を嵌挿するための下側嵌挿穴が設けられる。上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴の断面積は、円柱形状の上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の長手方向に垂直な断面積より小さくなるように設定されている。次に、上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴を設けた支承材1の上下に上側ベース2及び下側ベース3が取り付けられる。その際、上側嵌挿穴と上側空隙11とが一致し、下側嵌挿穴と下側空隙12とが一致するように上側ベース2及び下側ベース3が配置される。

0042

次に、上側フランジ5に固定された上側嵌挿鋼材9の先端部9aが、支承材1に設けた上側嵌挿穴に挿入されるともに、ボルト7が上側ベース2内に進入する。その際、上側嵌挿穴の直径(d1) は上側嵌挿鋼材9の直径(D1)より小さいので(d1=0.95×D1)、上側嵌挿鋼材9は支承材1によって緊密に保持されることとなる。同様に、下側フランジ6に固定された下側嵌挿鋼材10の先端部10aが、支承材1に設けた下側嵌挿穴に挿入されるともに、ボルト8が下側ベース3内に進入する。その際、下側嵌挿穴の直径(d2)も下側嵌挿鋼材10の直径(D2)より小さいので(d2=0.95×D2)、下側嵌挿鋼材10は支承材1によって緊密に保持されることとなる。

0043

以上の免震支承体の製造方法によれば、支承材1に設けた上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴の直径を上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の直径より小さくすることにより、支承材1と上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10との摩擦が大きくなり、優れた減衰効果が発揮されることとなる。また、上側空隙11及び下側空隙12を設けたことにより、上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の嵌挿穴への嵌挿により支承材1を構成するゴム等の材料が盛り上がり、支承材1と上側ベース2又は下側ベース3とが剥がれてしまうことを防止することが可能となる。加えて、上側嵌挿鋼材9の先端部9a及び下側嵌挿鋼材10の先端部10aにはそれぞれ曲面加工が施されているので、上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴への嵌挿が容易となる。

0044

図2は、本発明の実施例2に係る免震支承体の断面構成を示している。本実施例2の免震支承体は、前述の図1の実施例1に於いて上側ベース2及び下側ベース3を省略するとともに、上側空隙11及び下側空隙12をそれぞれ支承材1の上面及び下面に設けたものであり、図1に対応する構成要素には同じ符号が付されている。

0045

図2の構成を有する本実施例2の免震支承体は、以下のようにして製造される。まず、円柱状の支承材1の上側空隙11内に、後に上側嵌挿鋼材9が嵌挿される上側嵌挿穴が設けられ、同様に支承材1の下側空隙12内に、後に下側嵌挿鋼材10が嵌挿される下側嵌挿穴が設けられる。上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴の直径は、円柱形状の上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の直径より小さく設定されている。次に、上側フランジ5に固定された上側嵌挿鋼材9の先端部9aが、支承材1の上側空隙11内に設けた上側嵌挿穴に挿入される。その際、上側嵌挿穴の直径(d1)は上側嵌挿鋼材9の直径(D1)より小さいので(d1=0.95×D1)、 上側嵌挿鋼材9は支承材1によって緊密に保持されることとなる。同様に、下側フランジ6に固定された下側嵌挿鋼材10の先端部10aが、支承材1の下側空隙12内に設けた下側嵌挿穴に挿入される。その際、下側嵌挿穴の直径(d2)も下側嵌挿鋼材10の直径(D2)より小さいので(d2=0.95×D2)、下側嵌挿鋼材10は支承材1によって緊密に保持されることとなる。

0046

以上の免震支承体の製造方法によれば、上側空隙11内の上側嵌挿穴及び下側空隙12内の下側嵌挿穴の直径は上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の直径より小さいので、支承材1と上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10との摩擦が大きくなり、優れた減衰効果が発揮されることとなる。また、上側嵌挿鋼材9の上側フランジ5への固定部分近傍に於ける支承材1に上側空隙11が設けられるとともに、下側嵌挿鋼材10の下側フランジ6への固定部分近傍に於ける支承材1に下側空隙12が設けられているので、上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴への嵌挿が容易となる。また、上側空隙11及び下側空隙12を設けたことにより、上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の嵌挿穴への嵌挿により支承材1を構成するゴム等の材料が盛り上がり、支承材1と上側フランジ5又は下側フランジ6とが剥がれてしまうことを防止することが可能となる。加えて、上側嵌挿鋼材9の先端部9a及び下側嵌挿鋼材10の先端部10aにはそれぞれ曲面加工が施されているので、このことによっても上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴への嵌挿が容易となる。

0047

図3は、本発明の実施例3に係る免震支承体の断面構成を示している。本実施例3の免震支承体は、前述の図1の実施例1に於いて、上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の延設方向中央部13の支承材1のゴム硬度(ゴムせん断弾性係数が15N/mm2)を、その中央部13以外の部分に於ける支承材1のゴム硬度(ゴムせん断弾性係数が0.40N/mm2)より大きくなるように設定されている。このようなゴム硬度の設定により、支承材1が変形した場合に、これを構成するゴムと上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10との間に空隙が生じ、その空隙部分の変形が更に進行するのを防止することができる。このゴム硬度が大きい中央部とは、図3に示すように、支承材1の厚みを2Thとし、直径を2rとした場合、上側嵌挿鋼材9と下側嵌挿鋼材10が対峙する部分の中点から上下方向に0.2〜0.4Th、半径方向に0.6〜0.9rの範囲であるのが好ましい。

0048

このような支承材1のゴム硬度を部分的に高めた構成は、前述の図2の上側ベース2及び下側ベース3を設けない構成に於いても採用することができる。

0049

図4は、本発明の実施例4に係る免震支承体の断面構成を示している。本実施例4の免震支承体は、前述の図1の実施例1の免震支承体に於いて、支承材1と上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10との間、並びに上側空隙11及び下側空隙12の部分にポリウレタンからなる減衰材層14を備えた構成を有している。地震による振動が小さい場合、上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の変形は弾性領域のみにあるため、微少建物揺れを防止することができない。減衰材層14はこのような場合に、微少振動を防止する効果を発揮する。

0050

このような減衰材層14を有する免震支承体は、以下のようにして製造することができる。まず、上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10がそれぞれ嵌入される上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴の直径を上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の直径より大きくして設け、次に、上側フランジ5に固定された上側嵌挿鋼材9及び下側フランジ6に固定された下側嵌挿鋼材10をそれぞれ上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴に挿入して固定する。更に、図4に示すように、上側フランジ5に設けた注入口15から硬化前のポリウレタンを注入するとともに空気抜き孔16から空気を抜く。ポリウレタンが硬化することにより減衰材層14が形成される。また、図4の減衰材層14を有する免震支承体は、上側嵌挿鋼材9及び下側嵌挿鋼材10の直径より大きい直径の上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴を設けた後、下側フランジ6に固定された下側嵌挿鋼材10のみを下側嵌挿穴に挿入して固定し、硬化前のポリウレタンを上側嵌挿穴から注ぎ込み、更に上側フランジ5に固定された上側嵌挿鋼材9を上側嵌挿穴に挿入して固定することによっても製造することができる。この場合には、注入口15及び空気抜き孔16は不要である。

0051

なお、減衰材層14を設けた免震支承体の構成は、前述の図2の上側ベース2及び下側ベース3を設けない免震支承体に於いても採用することができる。

0052

図5は、本発明の実施例5に係る免震支承体の平面構成を示し、図6図5に於けるVI−VI線矢視断面図である。本実施例5の免震支承体は、図5に示すように、支承材1の全体に亘って配置された3つの上側嵌挿鋼材17と3つの下側嵌挿鋼材18とを有し、図5に示すように、上側嵌挿鋼材17と下側嵌挿鋼材18とは相互に対峙していない点で、図1の実施例1とは異なっている。また、各上側嵌挿鋼材17は下側フランジ6側まで延設され、同様に、各下側嵌挿鋼材18は上側フランジ5側まで延設されている。そして、各上側嵌挿鋼材17の付け根の近傍に於ける上側ベース2には、上側空隙11がそれぞれ形成されている。同様に、各下側嵌挿鋼材18の付け根の近傍に於ける下側ベース3には、下側空隙12がそれぞれ形成されている。なお、図5及び図6では、簡単のためにボルト7及びボルト8は省略してある。

0053

本実施例5では、複数の上側嵌挿鋼材17及び下側嵌挿鋼材18が支承材1の全体に亘って配置され、しかもこれらの上側嵌挿鋼材17及び下側嵌挿鋼材18は支承材1の厚さ方向の全体に亘って延設されているので、支承材1の全体で免震効果を発揮することができる。

0054

前述の図2の上側ベース2及び下側ベース3を設けない構成は、上述の複数の上側嵌挿鋼材17と複数の下側嵌挿鋼材18とを設けた構成に於いても採用することができる。

0055

図7は、本発明の実施例6に係る免震支承体の断面構成を示している。本実施例6の免震支承体は、図5及び図6の実施例5の免震支承体に於ける支承材1と各上側嵌挿鋼材17及び各下側嵌挿鋼材18との間、並びに上側空隙11及び下側空隙12の部分にポリウレタンからなる減衰材層14が設けられている。減衰材層14は、地震による振動が小さいために上側嵌挿鋼材17及び下側嵌挿鋼材18の変形が弾性領域のみに生じる場合に、微少な建物の揺れを防止する効果を発揮する。なお、図7では、簡単のためにボルト7及びボルト8は省略してある。

0056

なお、前述の図2の上側ベース2及び下側ベース3を設けない構成は、上述の複数の上側嵌挿鋼材17及び複数の下側嵌挿鋼材18並びに減衰材層14を設けた構成に於いても採用することができる。

0057

図8は、本発明の実施例7に係る免震支承体の断面構成を示している。本実施例7の免震支承体は、上側嵌挿鋼材19は下側ベース3を貫通して下側フランジ6に設けられた開口部20に挿入され、下側嵌挿鋼材21は上側ベース2を貫通して上側フランジ5に設けられた開口部22に挿入されている。上側嵌挿鋼材19と下側嵌挿鋼材21の外形線は、それぞれ同嵌挿鋼材の先端部を原点とする二次曲線で近似できる。図8における開口部20および22の形状は円柱状であるが、これ以外の形状を採用しうることは言うまでもない。なお、図8では、簡単のためにボルト7及びボルト8は省略してある。

0058

上記したように、嵌挿鋼材の外形線としては、地震のエネルギーに対応して様々に異なる二次曲線形状を採用することができる。

0059

次ぎに、図8に示すような形状の上側嵌挿鋼材19と下側嵌挿鋼材21を備えた免震支承体と、図6に示すような形状の上側嵌挿鋼材17と下側嵌挿鋼材18を備えた免震支承体の作用効果相違について説明する。

0060

(1)変形態様
図9は、図6に示すような形状の上側嵌挿鋼材17と下側嵌挿鋼材18を備えた免震支承体に200%の剪断変形を負荷した場合の変形の様子を有限要素法で求めて模式的に示す図であり、図10は、図8に示すような形状の上側嵌挿鋼材19と下側嵌挿鋼材21を備えた免震支承体に200%の剪断変形を負荷した場合の変形の様子を有限要素法で求めて模式的に示す図である。

0061

図6に示すように、上側嵌挿鋼材17と下側嵌挿鋼材18の長さが十分に長くないと、図9に示すように、大変形を受けた場合に、支承材1が異常変形しやすく、上側嵌挿鋼材17と下側嵌挿鋼材18が破損しやすくなる。

0062

そこで、図8に示すように、上側嵌挿鋼材19は下側ベース3を貫通して下側フランジ6に設けられた開口部20に挿入し、下側嵌挿鋼材21は上側ベース2を貫通して上側フランジ5に設けられた開口部22に挿入するように、上下両嵌挿鋼材の長さを十分に長くすると、図10に示すように、支承材1が異常変形するという危険性が回避され、上側嵌挿鋼材19と下側嵌挿鋼材21が破損しにくくなる。

0063

なお、有限要素法による解析は、次ぎに説明するような方法で行った。すなわち、図11に示すような断面を有する円柱形状のモデルを使用した。図11において、23は連結鋼板、24はゴム層、25は内部鋼板層である。ゴム層24の厚さt1 は1.9mm、内部鋼板層25の厚さt2 は2.3mmであり、ゴム層24と内部鋼板層25が交互に積層され、全部でゴム層24は29層、内部鋼板層25は28層である。また、連結鋼板23の直径Dは300mm、厚さtは35mmである。そして、上側嵌挿鋼材17(または19)と下側嵌挿鋼材18(または21)は、図5に示す配置と同様に、3つの上側嵌挿鋼材と3つの下側嵌挿鋼材から構成され、同心円上において均等配置し、また、ゴムは超弾性体モデル化し、内部鋼板および連結鋼板は弾塑性体でモデル化した。

0064

以上のようなモデルを用いて、図12(a)に示すように、最上面の各接点26は代表接点27と剛に接続され、最下面の各接点28は完全固定とした。そして、図12(b)に示すように、矢視29で示す鉛直方向に100kgf/cm2の圧力を付加した状態で、図12(c)に示すように、矢視30で示す水平方向に200%の剪断変形を負荷することによって、図9および図10に示すような変形態様を得た。なお、今回の有限要素法による解析においては、要素分割について、以下のようにした。積層ゴム部は、上面から見て約250分割し、側面から見て、連結鋼板を10分割し、各ゴム層を2分割し、各内部鋼板層を2分割した。また、上側嵌挿鋼材と下側嵌挿鋼材は要素の大きさが同じ位になるように自動分割した。そして、合計で60000要素から構成されるように、全体を分割した。言うまでもないが、要素分割数は必要に応じて任意の数値を採用することができる。

0065

(2)大変形時に嵌挿鋼材の受ける応力分布
図13は、上記のような有限要素解析手法によって、図6に示すような形状の上側嵌挿鋼材17と下側嵌挿鋼材18を備えた免震支承体に200%の剪断変形を負荷した場合に、上下両嵌挿鋼材が受ける応力の大きさの分布を有限要素法で求めて白黒明暗度の差により表示した模式図であり、図14は、上記のような有限要素解析手法によって、図8に示すような形状の上側嵌挿鋼材19と下側嵌挿鋼材21を備えた免震支承体に200%の剪断変形を負荷した場合に、上下両嵌挿鋼材が受ける応力の大きさの分布を有限要素法で求めて白黒の明暗度の差により表示した模式図である。色の濃さが濃いほど(より黒くなるほど)、応力が大きいことを表示している。

0066

図13に示すように、図6に示すような形状の上側嵌挿鋼材17と下側嵌挿鋼材18では、基端側に大きな剪断応力を受ける領域31があり、この領域31の剪断応力の大きさ=2.0×10〜2.4×10kgf/mm2であるのに対して、先端側の剪断応力の小さい領域32の剪断応力の大きさ=2.0×10-1〜8.1kgf/mm2であって、最大剪断応力/最小剪断応力の比率は120である。

0067

一方、図14に示すように、図8に示すような形状の上側嵌挿鋼材19と下側嵌挿鋼材21では、基端側に特に大きな剪断応力を受ける領域はなく、嵌挿鋼材の全体にわたる剪断応力の大きさ=1.8×10〜2.0kgf/mm2であって、最大剪断応力/最小剪断応力の比率は9であり、図13に示すものに比べて応力分布の不均一さは大幅に改善されている。

0068

(3)荷重と変形量
図15は、図6に示すような形状の上側嵌挿鋼材17と下側嵌挿鋼材18を試作し、その試作嵌挿鋼材を備えた免震支承体に、一方の方向とその反対方向に剪断変形を施した場合における水平荷重水平変位の関係を実測した結果を示す図、図16は、図8に示すような形状の上側嵌挿鋼材19と下側嵌挿鋼材21を試作し、その試作嵌挿鋼材を備えた免震支承体に、一方の方向とその反対方向に剪断変形を施した場合における水平荷重と水平変位の関係を実測した結果を示す図である。図15図16において、記号A(実線)は変形量350%、記号B(一点鎖線)は変形量250%、記号C(破線)は変形量150%、記号D(二点鎖線)は変形量50%を示す。図15図16を比較すると明らかなように、同一荷重における変位量は、図16の方が小さい。すなわち、図8に示す形状の嵌挿鋼材を備えた免震支承体の方が、図6に示す形状の嵌挿鋼材を備えた免震支承体より変形しにくいことが分かる。

0069

図17は、上記のような有限要素解析手法によって得た剪断荷重剪断変形量の関係を示す図であり、Pは図8に示すような形状の嵌挿鋼材を備えた免震支承体に剪断荷重を負荷した場合の剪断変形量を有限要素法で求めることによって得た両者の関係を示す線、Qは図6に示すような形状の嵌挿鋼材を備えた免震支承体に剪断荷重を負荷した場合の剪断変形量を有限要素法で求めることによって得た両者の関係を示す線である。この図17においても、同一荷重における変形量は、Pの方がQより小さい。すなわち、図8に示す形状の嵌挿鋼材を備えた免震支承体の方が、図6に示す形状の嵌挿鋼材を備えた免震支承体より変形しにくいことが分かる。

0070

実施例7によれば、図8に示すように、上側嵌挿鋼材19は下側ベース3を貫通して下側フランジ6に設けられた開口部20に挿入され(図19(a)参照)、下側嵌挿鋼材21は上側ベース2を貫通して上側フランジ5に設けられた開口部22に挿入されている。しかし、変形量が大きい場合、図19(b)に示すように、上側嵌挿鋼材19が下側フランジ6に設けられた開口部20の角部に当接して破損することがある。そこで、図19(c)に示すように、下側フランジ6に設ける開口部20の直径Lを、上側嵌挿鋼材19の直径の2倍以上の大きさとすれば、変形量が大きい場合にも、上側嵌挿鋼材19が下側フランジ6に設けられた開口部20の角部に当接しにくくなるので好ましい。

0071

さらに、図19(d)または19(e)に示すように、開口部20の角部に面取り33または34を施しても、上側嵌挿鋼材19の破損を回避できるので好ましい。

0072

図20(a)に示すような外形(先細り状)の嵌挿鋼材35を減衰材料として用いて、図20(b)に示すような断面構成の免震支承体36に適用し、上記した図15または図16に示す場合と同じようにして、剪断変形を施した場合における水平荷重と水平変位の関係を実測したので、説明する。免震支承体36は、円板状のゴムを積層した積層体からなる支承材37と、支承材37の上方及び下方に配された円板状の上側ベース38と下側ベース39とを有している。本実施例では、支承材37と上側ベース38と下側ベース39とによって支承部40が構成されている。この支承部40の上部には円板状の上側フランジ41が固定され、支承部40の下部には円板状の下側フランジ42が固定されている。上側フランジ41に取り付けられて図20(a)に示す外形を有する上側嵌挿鋼材43が下方に向けて嵌挿されている。また、下側フランジ42に取り付けられて図20(a)に示す外形を有する下側嵌挿鋼材44が上方に向けて嵌挿されている。上側嵌挿鋼材43または下側嵌挿鋼材44と支承材37との間の部分45には、減衰材充填するか、または空隙として水平荷重と水平変位の関係を実測した。なお、上側嵌挿鋼材43または下側嵌挿鋼材44は、図5に示す配置と同様に、3つの上側嵌挿鋼材43と3つの下側嵌挿鋼材44から構成され、同心円上において、均等配置されている。図21は、上記部分45にポリウレタンからなる減衰材を充填した場合において、一方の方向とその反対方向に剪断変形を施した場合における水平荷重と水平変位の関係を実測した結果を示す図、図22は、上記部分45を空隙とした場合において、一方の方向とその反対方向に剪断変形を施した場合における水平荷重と水平変位の関係を実測した結果を示す図である。図21および図22において、実線が本発明の嵌挿鋼材の場合を示し、点線は、比較例として、本発明の嵌挿鋼材に替えて円柱状の鉛プラグを使用した場合を示す。図21及び図22から明らかなように、同一荷重における変位量は、減衰材として図20(a)に示す外形を有する嵌挿鋼材を用いた本発明のものの方が小さいことは明らかである。

0073

なお、上記何れの実施例に於いても上側嵌挿鋼材9、17及び下側嵌挿鋼材10、18を円柱形状としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば四角柱三角柱等の多角柱等、任意の柱状形状とすることができる。その場合には、上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴は上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材の断面形状の相似形とし、上側嵌挿鋼材及び下側嵌挿鋼材の長手方向に垂直な断面積より小さい断面積を有していることが好ましい。

0074

また、本実施形態では上側空隙11及び下側空隙12の形状は、長手方向の断面が矩形となる円柱としたが、例えば断面が三角形円錐状とすることもできる。その場合には、上側嵌挿鋼材9、17、19及び下側嵌挿鋼材10、18、21の上側嵌挿穴及び下側嵌挿穴への嵌挿が更に容易となる。

0075

本発明は、鉛を使用せずに優れた減衰効果を発揮する免震支承体として好適に用いることができる。

図面の簡単な説明

0076

本発明の一実施例に係る免震支承体の断面構成を示す図である。
上側ベース及び下側ベースを設けない構成に係る本発明の他の実施例に係る免震支承体の断面構成を示す図である。
支承材の中央部分のゴム硬度を高めた本発明の他の実施例に係る免震支承体の断面構成を示す図である。
減衰材層を設けた本発明の更に他の実施例に係る免震支承体の断面構成を示す図である。
複数の上側嵌挿鋼材及び複数の下側嵌挿鋼材を設けた本発明の更なる他の実施例に係る免震支承体の平面構成を示す図である。
図5に於けるVI−VI線矢視断面図である。
複数の上側嵌挿鋼材及び複数の下側嵌挿鋼材並びに減衰材層を設けた本発明の更に他の実施例に係る免震支承体の断面構成を示す図である。
複数の上側嵌挿鋼材および複数の下側嵌挿鋼材を設けた本発明の更に他の実施例に係る免震支承体の断面構成を示す図である。
図6に示すような形状の上側および下側嵌挿鋼材を備えた免震支承体が200%の剪断変形を受けたときの変形態様を示す模式図である。
図8に示すような形状の上側および下側嵌挿鋼材を備えた免震支承体が200%の剪断変形を受けたときの変形態様を示す模式図である。
有限要素法の解析モデルを示す図である。
有限要素法による解析ステップを示す図である。
図6に示すような形状の上側および下側嵌挿鋼材を備えた免震支承体に200%のせん断変形を負荷した場合に、上下両嵌挿鋼材が受ける応力の大きさの分布を白黒の明暗度の差により表示した模式図である。
図8に示すような形状の上側および下側嵌挿鋼材を備えた免震支承体に200%のせん断変形を負荷した場合に、上下両嵌挿鋼材が受ける応力の大きさの分布を白黒の明暗度の差により表示した模式図である。
図6に示すような形状の上側および下側嵌挿鋼材を備えた免震支承体に、一方の方向とその反対方向に剪断変形を施した場合における水平荷重と水平変位の関係を実測した結果を示す図である。
図8に示すような形状の上側および下側嵌挿鋼材を備えた免震支承体に、一方の方向とその反対方向に剪断変形を施した場合における水平荷重と水平変位の関係を実測した結果を示す図である。
図6または図8に示すような形状の嵌挿鋼材を備えた免震支承体に剪断荷重を負荷した場合における剪断荷重と剪断変形量の関係を示す図である。
外形線が、その先端部を原点とする二次曲線で近似できる本発明の嵌挿鋼材の平面図である。
上側または下側嵌挿鋼材を挿入する、下側または上側フランジに設ける開口部の様々な形状を示す図である。
図20(a)は本発明の嵌挿鋼材の他の実施例の外形図図20(b)はその嵌挿鋼材を備えた免震支承体の断面構成を示す図である。
図20(a)に示す外形の上側および下側嵌挿鋼材を備えた免震支承体に、一方の方向とその反対方向に剪断変形を施した場合における水平荷重と水平変位の関係を実測した結果を示す図である。
図20(a)に示す外形の上側および下側嵌挿鋼材を備えた免震支承体に、一方の方向とその反対方向に剪断変形を施した場合における水平荷重と水平変位の関係を実測した結果を示す図である。
従来の免震支承体の一部破断斜視図である。

符号の説明

0077

1 支承材
2 上側ベース
3 下側ベース
4 支承体
5 上側フランジ
6 下側フランジ
7ボルト
8 ボルト
9 上側嵌挿鋼材
9a 先端部
10 下側嵌挿鋼材
10a 先端部
11 上側空隙
12 下側空隙
13 延設方向中央部
14減衰材層
15樹脂注入口
16空気抜き孔
17 上側嵌挿鋼材
18 下側嵌挿鋼材
17a 先端部
18a 先端部
19 上側嵌挿鋼材
20 開口部
21 下側嵌挿鋼材
22 開口部
23連結鋼板
24ゴム層
25内部鋼板層
26 最上面の接点
27 代表接点
28最下面の接点
33面取り
34 面取り
35 嵌挿鋼材
36免震支承体
37 支承材
38 上側ベース
39 下側ベース
40 支承部
41 上側フランジ
42 下側フランジ
43 上側嵌挿鋼材
44 下側嵌挿鋼材

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