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技術 自己免疫疾患の治療におけるスタチン類および他の自己免疫調節剤の利用

出願人 ザボードオブトラスティーズオブザリーランドスタンフォードジュニアユニバーシティベイヒルセラピューティックス,インコーポレイテッドザリージェンツオブザユニバーシティオブカリフォルニア
発明者 ギャレン,ヒデキステインマン,ローレンスユセフ,ソウザンザンビル,スコットエス.スタブ,オラフ
出願日 2003年3月31日 (16年10ヶ月経過) 出願番号 2003-579807
公開日 2005年9月15日 (14年5ヶ月経過) 公開番号 2005-527553
状態 不明
技術分野
  • -
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図面 (18)

課題・解決手段

本発明は、自己免疫疾患を患っている患者に、スタチンの有効量および第2の免疫調節剤を共投与することにより自己免疫疾患を治療する方法を提供する。本明細書に提供された方法により治療できる自己免疫疾患としては、例えば、多発性硬化症インスリン依存性糖尿病(IDDM)、慢性関節リウマチ、または自己免疫ブドウ膜炎が挙げられる。自己免疫疾患は、例えば、脱髄自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症)のように、多段階的であり得る。

概要

背景

発明の背景
免疫系の複雑さは、免疫系機能障害の理解にとって困難な障害となっていた。近年、分子生物学の技術により、免疫の基礎となっている機構および構成要素に対する洞察が提供されている。免疫の話の筋は、大部分がリンパ球の話である。リンパ球は、リンパ球同士の相互作用抗原提示細胞との相互作用、ならびに外来抗原および外来細胞との相互作用に関して極めて複雑で微妙なシステムを有している。自己免疫疾患の例としては、多発性硬化症慢性関節リウマチインスリン依存性糖尿病自己免疫ブドウ膜炎、および原発性胆汁性肝硬変が挙げられる。

多発性硬化症(MS)は、最もよく見られる中枢神経系(CNS脱髄性疾患であり、北米で35万人(0.1%)、世界中で110万人の患者が存在している。一般に、MSは抗原(Ag)提示細胞(APC)上に発現するMHCクラスII分子に関連する特定のミエリン蛋白質を認識する前炎症性CD4(Th1)細胞によって部分的に媒介される自己免疫疾患であると考えられている。他の自己免疫疾患と同様、MS感受性は遺伝的にMHCHLAD領域(HLA−D2(DRβ*1501、DQB*0602)に関連している。

MSは多段階的である。神経学的損傷の発作初期段階で生じ、組織学的にCD4T細胞、B細胞ならびにMHCクラスII陽性マクロファージ小グリア細胞の双方、CNS内在抗原提示細胞(APC)を優位に含有する炎症病巣を特徴とする。急性発作が何回かあった後、持続的な神経学的損傷を伴う慢性的な「二次的進行」段階が続くことが多い。この「不可逆的」段階は、神経損失および萎縮を特徴とする。

米国では、2種のIFN−β薬剤、アボネクス(avonex)(IFN−β 1a)およびベタセロン(betaseron)(IFN−β 1b)ならびにコパキソン(copaxon)(酢酸グラチラマー(glatiramer acetate))が初期炎症の「再発−軽減」段階の治療承認されている。IFN−β類は、Ag非特異的様式で幾つかの作用を発揮し、一方、コパキソンは、CNS自己抗原に対して特異的なT細胞に優先的影響を及ぼすようである。DNA修復阻害する癌の化学療法剤であるノバントロンは、二次的進行性MSの治療に承認されている。それらの副作用と潜在毒性に加え、これらの薬剤は部分的にしか効果を示さないので、新たな免疫調節MS療法の開発に対する必要性が強調されている。

アテローム発生の予防におけるコレステロール低下作用が承認され、「スタチン類」として知られている3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、炎症性疾患の治療に有益であり得るとの証拠示唆されている。1995年に、心臓移植患者のプラバスタチン治療が、そのコレステロール低下作用とは別に、血流力学的に重篤拒絶発症の減少に関与し、生存率を上昇させたことが報告された。メバロネート代謝物、HMG−CoAレダクターゼ生成物は、シグナルトランスダクションおよび細胞分化に関与する特定の蛋白質の翻訳修飾(イソプレニル化)に関与していることが知られていた。しかし、ロバスタチンが、他のCNSAPCである小グリア細胞および星状細胞による一酸化窒素シンターゼ(iNOS)および前炎症性サイトカイン類(TNFα、IL−1βおよびIL−6)の産生を阻害することが示されると、スタチン類の免疫調節作用の可能性に対する評価は一層高まった。スタチン類がiNOS分泌を阻害した所見により、それらが神経保護作用もまた有し得ることが示唆された。

スタチン類は、クラスII発現に関する主な調節物質であるMHCクラスIIトランス活性物質CIITA)のIFN−γ−誘導プロモーター(p)pIVにおける転写を阻害することにより、ノンプロフェッショナルAPC上のIFN−γ−誘導クラスII発現を妨げたが、pIIIを用いるp1またはB細胞を利用する樹状突起細胞における構成的発現は変化させなかった。したがって、スタチン類は、ノンプロフェッショナル内在CNSAPCによってAg提示を抑制し得る。

スタチン類は、基底膜の分解および脳血管バリアなどの内皮バリアを越えた移動に関与する酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)のリンパ球分泌を阻害する。HMG−CoAレダクターゼ阻害と独立に、スタチン類は、リンパ球機能に関連した抗原−1(LFA−1)であるβ2インテグリンに結合し、そのリガンドICAM−1との相互作用およびT細胞の活性化を妨げる。これらの所見により、スタチン類は、MSの病原性カスケード複数段階において有益な作用を有し得ることが示唆される。非経口投与される現在のMS治療とは対照的に、スタチン類は経口投与され、かつ忍容性が高い。スタチン類は、現在承認されているMS治療とは異なる活性を有していると思われるため、単独療法の候補として考えられている他に、併用療法においても有用であると思われる。

自己免疫疾患の他の例としては、慢性関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、自己免疫ブドウ膜炎、および原発性胆汁性肝硬変が挙げられる。

慢性関節リウマチ(RA)は、世界人口の0.8%が冒されている慢性の自己免疫炎症性滑膜炎である。これは、びらん性の関節破壊を生じる慢性炎症性滑膜炎を特徴とする。RAは、T細胞、B細胞およびマクロファージによって媒介される。

ヒトI型すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)は、膵臓ランゲルハンス島β細胞の自己免疫破壊を特徴とする。β細胞の欠損により血中グルコース濃度の調節が不能となる。ヒトでは糖尿病発症前に長い前症状期間が先行する。この時期の間に、膵臓β細胞の機能が徐々に失われていく。疾病の発現は、本発明による自己蛋白質、自己ポリペプチドまたは自己ペプチドの各例である、インスリングルタミン酸デカルボキシラーゼおよびチロシンホスファターゼIA2(IA2)の存在に関係がある。

自己免疫ブドウ膜炎は、米国では40万人が冒され、毎年新たに4万3千人の罹患件数を有すると予測されている自己免疫眼疾患である。自己免疫ブドウ膜炎は現在、ステロイド剤メトトレキサートシクロスポリンなどの免疫抑制剤経静脈免疫グロブリンおよびTNFα−アンタゴニストによって治療されている。

原発性胆汁性肝硬変(PBC)は、主に40〜60女性が冒される器官特異的自己免疫疾患である。この集団有病率は1000人につき約1人であると報告されている。PBCは、肝臓内胆管裏打ちしている肝臓内胆道表皮細胞(IBEC)の進行性破壊を特徴とする。これは閉塞および胆汁分泌妨害に至り、その結果、肝硬変を生じる。表皮裏層/分泌系損傷を特徴とするシェーグレン症候群、CRES症候群、自己免疫甲状腺疾患および慢性関節リウマチなどの他の自己免疫疾患との関連が報告されている。

概要

本発明は、自己免疫疾患を患っている患者に、スタチンの有効量および第2の免疫調節剤を共投与することにより自己免疫疾患を治療する方法を提供する。本明細書に提供された方法により治療できる自己免疫疾患としては、例えば、多発性硬化症、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、慢性関節リウマチ、または自己免疫ブドウ膜炎が挙げられる。自己免疫疾患は、例えば、脱髄自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症)のように、多段階的であり得る。

目的

本発明は、自己免疫疾患を患っている患者に、スタチンの有効量および第2の免疫調節剤を共投与することにより自己免疫疾患を治療する方法を提供する

効果

実績

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請求項1

自己免疫疾患治療する方法であって、スタチンの有効量および抗原特異的免疫調節剤の有効量を、自己免疫疾患を患っている患者に共投与することを含んでなる方法。

請求項2

前記抗原特異的免疫調節剤が、自己免疫疾患と関連した自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる自己ベクターである、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記自己ポリペプチドが自己蛋白質または自己ペプチドである、請求項2に記載の方法。

請求項4

前記抗原特異的免疫調節剤がポリペプチドである、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記ポリペプチドが蛋白質またはペプチドである、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記ポリペプチドがポリペプチド誘導体である、請求項4に記載の方法。

請求項7

前記ポリペプチドが、前記疾患に関連した自己ポリペプチドを含んでなる、請求項4に記載の方法。

請求項8

前記ポリペプチドが、前記疾患に関連した自己ポリペプチドの自己抗原エピトープに相当するアミノ酸を含んでなる、請求項4に記載の方法。

請求項9

前記自己抗原エピトープに相当するアミノ酸が、ランダムコポリマーを形成するためにランダム化されている、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記ランダムコポリマーがペプチドである、請求項9に記載の方法。

請求項11

前記自己抗原エピトープに相当するアミノ酸が規則配列されることにより、それによって前記ポリペプチドが規則配列アミノ酸モチーフを含んでなる、請求項8に記載の方法。

請求項12

前記自己免疫疾患が、脱髄自己免疫疾患であり、前記指令アミノ酸モチーフは、nが2から6の[1E2Y3Y4K]nである、請求項11に記載の方法。

請求項13

前記自己免疫疾患が、多発性硬化症インスリン依存性糖尿病(IDDM)、慢性関節リウマチ、および自己免疫ブドウ膜炎よりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。

請求項14

前記自己免疫疾患が多発性硬化症である、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記スタチンが、ロスバスタチンメバスタチンロバスタチンプラバスタチンシンバスタチンフルバスタチンアトルバスタチン、およびセリバスタチンよりなる群から選択される、請求項14に記載の方法。

請求項16

前記スタチンがアトルバスタチンである、請求項15に記載の方法。

請求項17

前記ポリヌクレオチドによりコードされた前記ポリペプチが、ミエリン塩基性蛋白質(MBP)、プロテオリピド蛋白質(PLP)、ミエリン会合糖蛋白質(MAG)、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(CNPアーゼ)、ミエリン会合乏突起膠細胞塩基性蛋白質(MBOP)、ミエリン乏突起膠細胞蛋白質(MOG)、またはアルファ−Bクリスタリンよりなる群から選択される、請求項2に記載の方法。

請求項18

前記自己免疫疾患がインスリン依存性糖尿病(IDDM)である、請求項2に記載の方法。

請求項19

前記ポリヌクレオチドによりコードされた前記自己ポリペプチが、インスリンインスリンB鎖プレプロインスリンプロインスリングルタミン酸デカルボキシラーゼの65kDA体、グルタミン酸デカルボキシラーゼの67kDa体、チロシンホスファターゼIA2またはIA−2b、カルボキシペプチダーゼH、熱ショック蛋白質グリマ38、島細胞抗原の69kDa体、p52、および島細胞グルコース輸送物体(GLUT2)よりなる群から選択される、請求項18に記載の方法。

請求項20

前記自己ベクターが、1つの自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる、請求項19に記載の方法。

請求項21

前記自己ポリペプチドがプレプロインスリンである、請求項20に記載の方法。

請求項22

前記自己ポリペプチドがインスリンB鎖9〜23である、請求項20に記載の方法。

請求項23

前記自己免疫疾患が慢性関節リウマチである、請求項2に記載の方法。

請求項24

前記ポリヌクレオチドによりコードされた前記ポリペプチが、II型コラーゲン;hnRNPA2/RA33;Sa;フィラグリンケラチン;gp39などの軟骨蛋白質;I型III型IV型V型IX型、XI型コラーゲン;HSP−65/60;RNAポリメラーゼ;hnRNP−B1;hnRNP−D;およびアルドラーゼAよりなる群から選択される、請求項23に記載の方法。

請求項25

前記自己免疫疾患が自己免疫ブドウ膜炎である、請求項2に記載の方法。

請求項26

前記ポリヌクレオチドによりコードされた前記ポリペプチが、S−抗原、光受容体間レチノイド結合蛋白質(IRBP)、ロドプシンまたはリカバリンよりなる群から選択される、請求項25に記載の方法。

請求項27

自己免疫疾患を治療する方法であって、スタチンの有効量および非抗原特異的免疫調節剤の有効量を、自己免疫疾患を患っている患者に共投与することを含んでなる方法。

請求項28

前記非抗原特異的免疫調節剤が免疫調節配列である、請求項27に記載の方法。

請求項29

前記免疫調節配列が、(a)5’−プリンピリミジン−[X]−[Y]−ピリミジン−ピリミジン−3’および(b)5’−プリン−プリン−[X]−[Y]−ピリミジン−ピリミジン−3’、よりなる群から選択され、式中、XおよびYは、シトシングアニンであり得ないこと以外は、任意の天然由来、または合成ヌクレオチドである、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記非抗原特異的免疫調節剤が、オステオポンチンである、請求項27に記載の方法。

請求項31

前記非抗原特異的免疫調節剤が、オステオポンチンをコードするポリヌクレオチドを含んでなる自己ベクターである、請求項27に記載の方法。

請求項32

前記自己免疫疾患が、多発性硬化症、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、慢性関節リウマチ、および自己免疫ブドウ膜炎よりなる群から選択される、請求項27に記載の方法。

請求項33

前記自己免疫疾患が多発性硬化症である、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記スタチンが、ロスバスタチン、メバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、およびセリバスタチンよりなる群から選択される、請求項27に記載の方法。

請求項35

前記スタチンがアトルバスタチンである、請求項34に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願に対する相互参照
本出願は、2002年3月29日出願の米国特許出願第60/368,803号明細書により優先権を得ており、その全体を本出願において参照として本願明細書に援用する。
連邦政府支援の研究または開発下でなされた発明の権利に関する声明
本研究の少なくとも一部は、国立予防衛生研究所、補助金番号ROINS 18235からの補助により支援された。政府は、本研究における一定の権利を有し得る。

背景技術

0002

発明の背景
免疫系の複雑さは、免疫系機能障害の理解にとって困難な障害となっていた。近年、分子生物学の技術により、免疫の基礎となっている機構および構成要素に対する洞察が提供されている。免疫の話の筋は、大部分がリンパ球の話である。リンパ球は、リンパ球同士の相互作用抗原提示細胞との相互作用、ならびに外来抗原および外来細胞との相互作用に関して極めて複雑で微妙なシステムを有している。自己免疫疾患の例としては、多発性硬化症慢性関節リウマチインスリン依存性糖尿病自己免疫ブドウ膜炎、および原発性胆汁性肝硬変が挙げられる。

0003

多発性硬化症(MS)は、最もよく見られる中枢神経系(CNS脱髄性疾患であり、北米で35万人(0.1%)、世界中で110万人の患者が存在している。一般に、MSは抗原(Ag)提示細胞(APC)上に発現するMHCクラスII分子に関連する特定のミエリン蛋白質を認識する前炎症性CD4(Th1)細胞によって部分的に媒介される自己免疫疾患であると考えられている。他の自己免疫疾患と同様、MS感受性は遺伝的にMHCHLAD領域(HLA−D2(DRβ*1501、DQB*0602)に関連している。

0004

MSは多段階的である。神経学的損傷の発作初期段階で生じ、組織学的にCD4T細胞、B細胞ならびにMHCクラスII陽性マクロファージ小グリア細胞の双方、CNS内在抗原提示細胞(APC)を優位に含有する炎症病巣を特徴とする。急性発作が何回かあった後、持続的な神経学的損傷を伴う慢性的な「二次的進行」段階が続くことが多い。この「不可逆的」段階は、神経損失および萎縮を特徴とする。

0005

米国では、2種のIFN−β薬剤、アボネクス(avonex)(IFN−β 1a)およびベタセロン(betaseron)(IFN−β 1b)ならびにコパキソン(copaxon)(酢酸グラチラマー(glatiramer acetate))が初期炎症の「再発−軽減」段階の治療承認されている。IFN−β類は、Ag非特異的様式で幾つかの作用を発揮し、一方、コパキソンは、CNS自己抗原に対して特異的なT細胞に優先的影響を及ぼすようである。DNA修復阻害する癌の化学療法剤であるノバントロンは、二次的進行性MSの治療に承認されている。それらの副作用と潜在毒性に加え、これらの薬剤は部分的にしか効果を示さないので、新たな免疫調節MS療法の開発に対する必要性が強調されている。

0006

アテローム発生の予防におけるコレステロール低下作用が承認され、「スタチン類」として知られている3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、炎症性疾患の治療に有益であり得るとの証拠示唆されている。1995年に、心臓移植患者のプラバスタチン治療が、そのコレステロール低下作用とは別に、血流力学的に重篤拒絶発症の減少に関与し、生存率を上昇させたことが報告された。メバロネート代謝物、HMG−CoAレダクターゼ生成物は、シグナルトランスダクションおよび細胞分化に関与する特定の蛋白質の翻訳修飾(イソプレニル化)に関与していることが知られていた。しかし、ロバスタチンが、他のCNSAPCである小グリア細胞および星状細胞による一酸化窒素シンターゼ(iNOS)および前炎症性サイトカイン類(TNFα、IL−1βおよびIL−6)の産生を阻害することが示されると、スタチン類の免疫調節作用の可能性に対する評価は一層高まった。スタチン類がiNOS分泌を阻害した所見により、それらが神経保護作用もまた有し得ることが示唆された。

0007

スタチン類は、クラスII発現に関する主な調節物質であるMHCクラスIIトランス活性物質CIITA)のIFN−γ−誘導プロモーター(p)pIVにおける転写を阻害することにより、ノンプロフェッショナルAPC上のIFN−γ−誘導クラスII発現を妨げたが、pIIIを用いるp1またはB細胞を利用する樹状突起細胞における構成的発現は変化させなかった。したがって、スタチン類は、ノンプロフェッショナル内在CNSAPCによってAg提示を抑制し得る。

0008

スタチン類は、基底膜の分解および脳血管バリアなどの内皮バリアを越えた移動に関与する酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)のリンパ球分泌を阻害する。HMG−CoAレダクターゼ阻害と独立に、スタチン類は、リンパ球機能に関連した抗原−1(LFA−1)であるβ2インテグリンに結合し、そのリガンドICAM−1との相互作用およびT細胞の活性化を妨げる。これらの所見により、スタチン類は、MSの病原性カスケード複数段階において有益な作用を有し得ることが示唆される。非経口投与される現在のMS治療とは対照的に、スタチン類は経口投与され、かつ忍容性が高い。スタチン類は、現在承認されているMS治療とは異なる活性を有していると思われるため、単独療法の候補として考えられている他に、併用療法においても有用であると思われる。

0009

自己免疫疾患の他の例としては、慢性関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、自己免疫ブドウ膜炎、および原発性胆汁性肝硬変が挙げられる。

0010

慢性関節リウマチ(RA)は、世界人口の0.8%が冒されている慢性の自己免疫炎症性滑膜炎である。これは、びらん性の関節破壊を生じる慢性炎症性滑膜炎を特徴とする。RAは、T細胞、B細胞およびマクロファージによって媒介される。

0011

ヒトI型すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)は、膵臓ランゲルハンス島β細胞の自己免疫破壊を特徴とする。β細胞の欠損により血中グルコース濃度の調節が不能となる。ヒトでは糖尿病発症前に長い前症状期間が先行する。この時期の間に、膵臓β細胞の機能が徐々に失われていく。疾病の発現は、本発明による自己蛋白質、自己ポリペプチドまたは自己ペプチドの各例である、インスリングルタミン酸デカルボキシラーゼおよびチロシンホスファターゼIA2(IA2)の存在に関係がある。

0012

自己免疫ブドウ膜炎は、米国では40万人が冒され、毎年新たに4万3千人の罹患件数を有すると予測されている自己免疫眼疾患である。自己免疫ブドウ膜炎は現在、ステロイド剤メトトレキサートシクロスポリンなどの免疫抑制剤経静脈免疫グロブリンおよびTNFα−アンタゴニストによって治療されている。

0013

原発性胆汁性肝硬変(PBC)は、主に40〜60女性が冒される器官特異的自己免疫疾患である。この集団有病率は1000人につき約1人であると報告されている。PBCは、肝臓内胆管裏打ちしている肝臓内胆道表皮細胞(IBEC)の進行性破壊を特徴とする。これは閉塞および胆汁分泌妨害に至り、その結果、肝硬変を生じる。表皮裏層/分泌系損傷を特徴とするシェーグレン症候群、CRES症候群、自己免疫甲状腺疾患および慢性関節リウマチなどの他の自己免疫疾患との関連が報告されている。

課題を解決するための手段

0014

発明の概要
本発明は、自己免疫疾患を患っている患者に、スタチンの有効量および第2の免疫調節剤を共投与することにより自己免疫疾患を治療する方法を提供する。本明細書に提供された方法により治療できる自己免疫疾患としては、例えば、多発性硬化症、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、慢性関節リウマチ、または自己免疫ブドウ膜炎が挙げられる。自己免疫疾患は、例えば、脱髄自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症)のように、多段階的であり得る。

0015

特定の実施形態において、スタチンは、自己免疫疾患の最初の発症後に投与される。例えば、疾病の寛解期の間に、または活発エピソードの間に投与され得る。スタチンは、ロスバスタチンメバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチンフルバスタチンアトルバスタチン、またはセリバスタチンであり得る。

0016

本発明の特定の実施形態において、第2の免疫調節剤は抗原特異的である。一実施形態において、自己免疫疾患に関連した自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドなどの自己ベクターである。ポリヌクレオチドによってコードされる自己ポリペプチドは、例えば、蛋白質またはペプチドであり得る。特定の実施形態において、ポリペプチドを含んでなる自己ベクターは、1つの自己ポリペプチドをコードする。

0017

他の実施形態において、抗原特異的免疫調節剤はポリペプチドである。前記ポリペプチドは、例えば、蛋白質またはペプチドであり得る。また、前記ポリペプチドは、前記疾患に関連する自己ポリペプチドを含み得るか、または前記疾患に関連する自己ポリペプチドの自己抗原エピトープに相当するアミノ酸を含み得る。前記ポリペプチドが、自己抗原エピトープに相当するアミノ酸を含む実施形態において、前記アミノ酸はランダム化してランダムコポリマーを形成できるか、または、前記ポリペプチドが指令されたアミノ酸モチーフを含むように指令され得る。自己免疫疾患が脱髄自己免疫疾患である一実施形態において、指令されたアミノ酸モチーフは、[1E2Y3Y4K]nであり、式中nは2から6である。

0018

脱髄自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症)が治療される一実施形態において、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、例えば、ミエリン塩基性蛋白質(MBP)、プロテオリピド蛋白質(PLP)、ミエリン会合糖蛋白質(MAG)、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(CNPアーゼ)、ミエリン会合乏突起膠細胞塩基性蛋白質(MBOP)、ミエリン乏突起膠細胞蛋白質(MOG)、またはアルファ−βクリスタリンであり得る。前記脱髄疾患は、例えば、多発性硬化症であり得る。

0019

インスリン依存性糖尿病が治療される実施形態において、ポリヌクレオチドによってコードされる自己ポリペプチドは、例えば、インスリン、インスリンβ鎖プレプロインスリンプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(65kDa体または67kDa体)、チロシンホスファターゼIA2またはIA−2b、カルボキシペプチダーゼH、熱ショック蛋白質グリマ38、島細胞抗原の69kDa体、p52、または島細胞グルコース輸送物質(GLUT2)であり得る。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドを含んでなる自己ベクターは、例えば、プレプロインスリンまたはインスリンβ鎖9〜23などの1つの自己ポリペプチドをコードする。

0020

他の実施形態において、自己免疫疾患は慢性関節リウマチである。慢性関節リウマチを治療する場合、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、例えば、II型コラーゲン;hnRNP A2/RA33;Sa;フィラグリンケラチン;gp39などの軟骨蛋白質;I型、III型IV型V型IX型、XI型コラーゲン;HSP−65/60;RNAポリメラーゼ;hnRNP−B1;hnRNP−D;またはアルドラーゼAであり得る。

0021

自己免疫ブドウ膜炎を治療する実施形態において、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、例えば、S−抗原、光受容体間レチノイド結合蛋白質(IRBP)、ロドプシンまたはリカバリンであり得る。

0022

他の実施形態において、第2の免疫調節剤は非抗原特異的である。一実施形態において、非抗原特異的な免疫調節剤は、オスポンチンまたはオステポンチンをコードするポリヌクレオチドを含んでなる自己ベクターである。他の実施形態において、非抗原特異的な免疫調節剤は、免疫調節配列である。免疫調節配列は、例えば、5’−プリンピリミジン−[X]−[Y]−ピリミジン−ピリミジン−3’または5’−プリン−プリン−[X]−[Y]−ピリミジン−ピリミジン−3’であり得、ここでXおよびYは、シトシングアニンであり得ないこと以外は、任意の天然由来、または合成ヌクレオチドである。

0023

発明の詳細な説明
本発明の方法は、自己免疫脱髄疾患(例えば、多発性硬化症)などの多段階自己免疫疾患を含む自己免疫疾患を、例えばスタチン類などのメバロネート経路阻害剤を用いて治療する併用療法を提供する。他の療法としては、自己抗原をコードする核酸類ペプチド類の投与および他の免疫抑制療法が挙げられる。他の薬剤とスタチンなどのメバロネート経路阻害剤との併用は、個々の薬剤の必要用量がより低く、異なった薬剤の効果が相補的であるという利点を有し得る。

0024

自己免疫疾患を治療する併用療法としては、前記疾患の患者に有効用量のメバロネート経路阻害剤および有効用量の第2の免疫調節剤を共投与することが挙げられる。好ましい実施形態において、メバロネート経路阻害剤はスタチンである。スタチン類は、主にIL−4およびIL−10サイトカインの産生を通して、免疫応答を調節的なTh2応答へと切り替え、最初の発作後に治療を開始すると、脱髄疾患の再発において首尾よく麻痺状態逆転できることが示されている。

0025

特定の実施形態において、第2の免疫調節剤は抗原特異的である。好ましい抗原特異的免疫調節剤としては、前記疾患に関連する自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる自己ベクターが挙げられる。他の好ましい実施形態において、治療される自己免疫疾患は脱髄自己免疫疾患であり、抗原特異的免疫調節剤は、反復モチーフ(配列番号1)[1E2Y3Y4K]n(ここでnは2から6)を含む指令ペプチドである。

0026

本発明の他の実施形態において、第2の免疫調節剤は抗原非特異的である。好ましい一実施形態において、抗原非特異的免疫調節剤免疫調節オリゴヌクレオチドである。

0027

有効剤(メバロネート経路阻害剤または免疫調節剤)は、疾患発症時または疾患発症後に前もって投与してもよい。当該方法は、予防的または治療的目的のために用いられるが、特に興味深いものは、疾患の発症後、例えば、寛解時、疾患発生の再発時などにおける、メバロネート経路阻害剤と抗原特異的免疫調節剤との共投与である。最初の発作後に治療が開始される場合、メバロネート経路阻害剤と抗原特異的治療薬との併用により、脱髄疾患の再発の結果生じる麻痺が首尾よく逆転できることが示されている。

0028

本発明をより詳細に説明する前に、本明細書をより詳細に説明する前に、本明細書でこれ以降用いられる一定の用語の定義を明らかにすることが本発明のさらなる理解を助けることになると思われる。
定義:
他に定義しない限り、本明細書に用いられた専門用語および科学用語は、本発明が属する業界の通常の技術者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本発明の実践または試験において、本明細書に記載されたものと同様の任意の方法および材料が使用できるが、単に例示的な方法および材料が記載されている。本発明の目的のために、以下の用語が下記に定義されている。

0029

本明細書に用いられる「1つの」および「その」の語は、他に本文で明示しない限り、限定的ではなく複数の指示物を含む。したがって、例えば「1つの複合体」は、複数のこのような複合体を含み、「その製剤」と言った場合、当業者に公知の1つ以上の製剤およびその等価物を含む。

0030

本明細書で用いられる用語、「治療」は、疾患の予防および先に存在している病態の治療の双方を言うために用いられる。

0031

用語「自己免疫疾患」は、身体の健常な細胞および/または組織において、誤った方向に向けられることになる適応免疫を、少なくとも部分的に特徴とする病因を有する任意の疾患を言う。自己免疫疾患は、自己分子(例えば、自己ポリペプチド)を異常に標的にして、身体内の器官、組織または細胞型(例えば、膵臓、脳、甲状腺または胃腸管)の損傷および/または機能不全を生じるTリンパ球および/またはBリンパ球を特徴とする。自己免疫は、特定の組織、ならびに複数の組織を冒す疾患を含む。さらに、本明細書に用いられる「自己免疫疾患」は疾患の急性形態、慢性形態および/または再発−寛解形態を含み得る。自己免疫疾患の例としては、慢性関節リウマチ、移植片対宿主病(GvHD)、炎症性腸疾患(IBD)、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、全身性硬化症乾癬、自己免疫甲状腺炎、および血小板減少性紫斑病が挙げられる。

0032

被験者」または「患者」は、例えばヒト、非ヒト霊長類ウマウシイヌネコマウスラットモルモットまたはウサギなどの任意の動物を意味する。

0033

本明細書に用いられる用語の「分子」、「化合物」および「薬剤」は、同義語であり、概括的に使用されて例えば、水素結合イオン結合ファンデルワールス引力などの非共有相互作用、または疎水的相互作用によって、蛋白質と構造的に相互作用する潜在能力のある分子を意味する。例えば、薬剤としては、最も典型的には蛋白質との構造的相互作用に必要な官能基、特に水素結合に関与する基が挙げられる。薬剤としては、例えば、小型分子薬剤;変異類似体相同体修飾ペプチドまたはペプチド擬似物またはペプトイドなどのペプチド様物質を含むペプチド;または蛋白質、蛋白質の断片を挙げることができる。薬剤は、インビトロ法の結果、生産された非天然であり得、または、例えば細胞内で内在的に発現した、またはcDNAライブラリーからの蛋白質、または蛋白質の断片であり得る。

0034

用語「ポリペプチド」は、アミノ酸のポリマーおよびその等価物を言い、特定の長さの産物を指してはいない。したがって、ペプチド、オリゴペプチドおよび蛋白質が、ポリペプチドの定義内に含まれる。「断片」は、典型的にはポリペプチドの少なくとも10個の連続したアミノ酸、より典型的には少なくとも20個、さらにより典型的には少なくとも50個の連続したアミノ酸を有するポリペプチドの一部を言う。誘導体は、他の配列と較べて、保存的または非保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドである。誘導体は、さらに例えば、グリコシル化アセチル化リン酸化などを含む。さらに「ポリペプチド」の定義内には、例えば、アミノ酸の1つ以上の類似物(例えば、非天然の、または「非古典的」アミノ酸など)を含有するポリペプチド、置換結合、ならびに天然および非天然双方の当業界に公知の他の修飾を有するポリペプチドが含まれる。したがって、「ポリペプチド」はポリペプチドの製薬上許容できる塩を含み得る。

0035

本明細書に用いられる用語の「製薬上許容できる塩」とは、塩酸塩硫酸塩、およびリン酸塩などの無機酸付加塩または、酢酸塩マレイン酸塩フマル酸塩酒石酸塩およびクエン酸塩などの有機酸付加塩を意味する。製薬上許容できる金属塩の例は、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩マグネシウム塩およびカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩アルミニム塩、および亜鉛塩である。製薬上許容できるアンモニウム塩の例は、アンモニウム塩およびテトラメチルアンモニウム塩である。製薬上許容できるアミン付加塩の例は、モルホリンおよびピペラジンとの塩である。製薬上許容できるアミノ酸付加塩の例は、リシングリシンおよびフェニルアラニンとの塩である。

0036

本明細書に用いられる「自己ポリペプチド」とは、動物のゲノム内でコードされ、動物に発現し、動物の一生のある時期、翻訳後に修飾でき、自身の抗原(すなわち自己抗原)として自己免疫疾患に関連する任意のポリペプチド、その断片または誘導体を言う。自己ポリペプチドの翻訳後修飾の例は、グリコシル化、脂質基の付加、ホスファターゼ類による脱リン酸化ジメチルアルギニン残基の付加、ペプチジルアルギニンデイミナーゼPAD)によるフィラグリンおよびフィブリンシトルリン化;アルファBクリスタリンリン酸化;MBPのシトルリン化;ならびにカスパーゼ(caspase)類およびグランザイム類によるSLE自己抗原プロテオリシスである。「抗原」とは、リンパ球または抗体などの免疫応答成分によって特異的に認識され得る任意の分子を言う。自己ポリペプチドは、免疫機能調節の目的で免疫系細胞により特異的、排他的に発現する分子である免疫蛋白質を含まない。ある一定の免疫蛋白質は、自己ポリペプチドの定義に含まれるが、しれらは、クラスIMHC膜糖蛋白質、クラスII MHC糖蛋白質およびオステオポンチンである。

0037

「自己ベクター」とは、自己ポリペプチドをコードするDNAまたはRNAのいずれかのポリヌクレオチドを含むベクターを意味する。本明細書に用いられるポリヌクレオチドは、DNAなどのデオキシリボ核酸またはRNAなどのリボ核酸およびそれらの誘導体の連続体である。自己ポリペプチドをコードする配列は、適切なプラスミド発現自己カセット内へ挿入される。自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが一旦発現自己カセット内へ挿入されると、そのベクターは「自己ベクター」と呼ばれる。1つ以上の自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが投与される場合、単一の自己ベクターが複数の別個の自己ポリペプチドをコードできる。一実施形態において、幾つかの自己ポリペプチドをコードするDNAが、単一DNA分子から複数の蛋白質を発現させる内部リボソーム侵入配列、または他の方法を利用して、単一自己プラスミド内に連続的にコードされる。自己ポリペプチドをコードするDNA発現自己ベクターは、キアゲン(Quiagen)社から商品として入手できるものなどの、プラスミドDNAの単離に一般的に利用できる方法を用いて調製され、単離される。前記DNAは、治療剤としてヒトに送達するため、細菌のエンドトキシンの無い状態で精製される。あるいは、自己ポリペプチドの各々が別々のDNA発現ベクター上にコードされる。本発明に包含される自己ベクターは、さらにWO第053019号明細書に定義されている。

0038

「プラスミド」および「ベクター」は、下方ケースpとそれに続く文字および/または数字によって示される。出発プラスミドは、無限定基準に基づいて商品として入手できるか、公共的に入手できるか、または公表された操作にしたがって入手できるプラスミドから構築できる。さらに、前記プラスミドと等価のプラスミドから当業界に公知であり、通常の当業者にとって明らかであろう。「ベクター」または「プラスミド」は、宿主細胞内に存在した場合、適切な制御または調節要素を含むことにより複製能力がある遺伝要素を言う。本発明の目的のためのベクター、またはプラスミドの例としては、限定はしないが、プラスミド、ファージトランスポゾンコスミドウィルスなどが挙げられる。

0039

トランスフェクション」とは、DNAを機能的に、または別の態様で発現させるように、DNAを宿主細胞内へ導入することを意味し、前記DNAはまた、染色体外要素としてまたは染色体組み込みによっても複製できる。他に示されない限り、宿主細胞の形質転換のため、本明細書に用いられる方法は、グラハム(Graham)とファンデル・イービー(van der Eb)(1973)ウィルス学(Virology)52巻、p.456−457のリン酸カルシウム共沈法である。トランスフェクションのための代替法は、電気穿孔法DEAEデキストラン法、リポフェクションおよび生物分解クリーグラー(Kriegler)(1990)遺伝子伝達および発現(Gene Transfer and Expression):実験室マニュアル(A Laboratory Manual)、ストックトンプレス(Stockton Press))である。

0040

薬剤に関して本明細書に用いられる「抗原特異的」とは、その薬剤が同一のクラスであるが、異なった抗原特異性を有している抗原認識分子(例えば、T細胞受容体、B細胞上の表面IgM)の中で識別できるような様式で、抗原認識分子と特異的に相互作用できることを意味する。抗原認識分子は典型的にはBリンパ球またはTリンパ球の中にクローン的分布しているため、活性な抗原特異的薬剤は、その薬剤と相互作用する特定の抗原認識分子を発現する特異的なリンパ球サブセットに対して免疫調節作用を発揮できる。薬剤と抗原認識分子との相互作用は、例えば、他の分子相互作用文脈においては、ペプチドとしてのT細胞受容体に対するペプチド抗原の結合:MHC複合体などであり得る。

0041

本明細書に用いられる「免疫応答の調節」とは、インビトロまたはインビボにおける既存の、または潜在的な免疫応答の何らかの変更を言う。自己免疫疾患に関連するこのような変更は、自己分子に対する免疫応答の変更である。調節としては、免疫応答に関与している、または関与する可能性を有している何らかの免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、樹状細胞好中球マスト細胞好塩基球など)の存在または機能における何らかの変更を挙げることができる。調節としては、例えば、免疫応答の一部として免疫細胞における遺伝子、蛋白質および/または他の分子の発現および/または機能の変更;免疫細胞の排除、欠失または隔離;他の例えば、自己反応性リンパ球、抗原提示細胞(APC)類または炎症細胞などの細胞の機能能力を調節できる免疫細胞の誘導または生成;免疫細胞における非反応状態(例えば、アネルギー)の誘導;または免疫細胞の活性、または機能の増大、減少または変化が挙げられる。免疫細胞により発現した蛋白質パターンの変更としては、例えば、サイトカイン類(例えば、IL−2、IFN−γ、TNF−α、IL−4)、ケモカイン類成長因子転写因子(例えば、NF−κB)、キナーゼ類(例えば、Lck、Lyn)、ホスファターゼ類(例えば、PTP−1C、PTP−1D)、共刺激分子(例えば、B7.1/B7.2、CTLA−4、CD40、ICAM、IFA−1)または他の細胞表面受容体などの一定クラスの分子の産生および/または分泌の変更を挙げることができる。

0042

本明細書に用いられる「免疫調節配列(IMS)類」とは、デオキシヌクレオチド類、リボヌクレオチド類、あるいは自己免疫疾患または炎症性疾患を調節するそれらの類縁体からなる薬剤を言う。IMS類は、ベクターに取り込まれているオリゴヌクレオチド類またはヌクレオチド類の配列であり得る。本明細書に提供された方法に従って使用のIMS類は、参照としてその全体が援用されている米国特許出願第10/302098号明細書にさらに記載されている。

0043

本明細書に用いられる「免疫調節剤」は、宿主の免疫応答を調節できる分子を言う。免疫調節剤は、例えば、核酸(例えば、DNA)またはポリペプチド(例えば、蛋白質、糖蛋白質、ペプチドなど)であり得る。さらに、免疫調節剤は、抗原特異的(例えば、自己抗原エピトープなどのポリペプチドまたは自己抗原エピトープと免疫学的交差反応するポリペプチド)または非抗原特異的(例えば、サイトカイン類、インターロイキン類、インターフェロン類または免疫調節配列)であり得る。免疫調節ポリペプチドは、ポリペプチドの組み換え体または合成体を含み得る。免疫調節ポリペプチドは、例えば、治療が求められて疾患に関連した自己抗原を含んでなるポリペプチド、あるいは自己抗原と免疫学的に交差反応するポリペプチドを含み得る。さらに免疫調節ポリペプチドは、例えば、インターロイキン類、インターフェロン類またはコロニー刺激因子などの例えば、サイトカイン類(または、それらの機能的断片)を含み得る。また、免疫調節ポリペプチドは、例えば、ケモカイン類または共刺激分子または、それらの機能的断片を含み得る。天然の蛋白質が膜結合分子(例えば、サイトカイン受容体(例えば、TNF−αR、IL−2Rなどの受容体類)または、例えばCD40、CTLA−4またはB7分子などの共刺激分子)である場合、本明細書に記載された方法に用いられる免疫調節ポリペプチドは、例えば、Ig融合蛋白質などの溶解形態の蛋白質であり得る。受容体類の溶解性Ig合組換え形態を作製する方法は当業界に公知である(例えば、米国特許第5,750,375号明細書を参照)。

0044

用語の「有効剤」とは、免疫応答を調節できる任意の薬剤を意味する。

0045

本明細書に用いられる用語の「有効量」と「有効用量」とは同義語である。薬剤(スタチン、自己ベクター、または指令ペプチド)投与に関連する「有効用量」とは、患者における標的自己免疫応答の1つ以上の症状の発生を阻害、または改善するために、患者における自己免疫応答の調節に十分な分子の量を言う。したがって、試剤の有効用量とは、好適な期間投与した場合、自己免疫疾患重症度の低下を証明する用量である。自己免疫疾患重症度の低下を証明する投与に好適な期間は通常、少なくとも約1週間、および約2週間、または2週間以上の約4週間までであり得る。開始用量をこのような期間投与でき、続いて維持用量が投与できるが、それは用量を減少させて投与される場合があることは当業界に解されるであろう。

0046

さらに、スタチン、自己ベクター、または規則整列ペプチドの有効量は、本発明の方法に従って「有効な方法」において投与される。用語の「有効な用法」とは、自己免疫疾患の治療または予防の達成に適切な薬剤量および投与回数組合せを言う。

0047

また、併用療法(例えば、スタチンプラス自己ベクターまたはスタチンプラス規則的整列ペプチド)に関連する特定薬剤の有効量とは、好適な期間、第2の有効剤と共投与した場合、第2の有効剤単独で見られた場合に較べて、自己免疫疾患の重症度を低下させることを証明する特定薬剤量を意味する。幾つかの実施形態において、薬剤の併用によって治療的相乗的効果が生じる。本明細書で用いられる「相乗的とは」、相加的以上のものを意味する。本発明の他の実施形態において、第2の有効剤の有効量を投与することにより、第1の薬剤単独で見られた場合に較べて、自己免疫疾患の重症度低下の証明に要する第1の薬剤量を減少させることができる。第2の有効剤の存在下での薬剤の「有効量」減少は、本明細書において「スペアリング」と称される。すなわち、第2の薬剤投与によって、第1の薬剤の投与がスペアされる。

0048

自己免疫疾患
本発明は、自己免疫疾患の治療または予防の方法を提供する。疾患の進行は、例えば後述の方法などの公知の方法を用いて、臨床的または診断的症状のモニタリングにより測定できる。

0049

本明細書に提供された方法に従って、治療し得る自己免疫疾患の幾つかの例を以下に記載する。

0050

本発明の方法は、多発性硬化症、EAE視神経炎急性横断脊髄炎、および急性播種性脳炎などの脱髄炎症性疾患の治療にとって特に興味深い。

0051

多発性硬化症多。発性硬化症疾患経過は変化が大きく予測できず、多くの患者で弛張性である。MSの病理的特徴は、多中心、多段階的なCNSの炎症および脱髄である。特に疾患初期では、数ヶ月または数年の寛解によってエピソードを分けることができる。再発−寛解(PR)型患者の約70%は、急性増悪と完全または部分的寛解を特徴とする。残りの患者は、慢性的進行性MSを呈し、これらはさらに細かく以下のものに分けられる:(a)原発性進行性(PP)、(b)RPとRPとを合わせた特徴のパターンで臨床的重症度は中間の再発進行性(RP)およびPRを有する多くの患者が経時的に進行する二次的進行性(SP)。

0052

MSの臨床的症状としては、感覚喪失感覚異常)、運動痙縮性に次いで筋肉痙攣)および自律神経性膀胱、腸、性的機能障害脊髄症状;小脳症状(例えば、ディアルスナ(dysarthna)のシャルコー三徴、失調振せん);疲労およびめまい神経心理学的試験における情報処理傷害側方注視における複視などの眼症状三叉神経痛;および視神経炎が挙げられる。

0053

MSにおける自己抗原はおそらく、幾つかのミエリン蛋白質(例えば、プロテオリピド蛋白質(PLP);ミエリン乏突起神経膠芽細胞糖蛋白質(MOG);ミエリン塩基性蛋白質(MBP);ミエリン会合糖蛋白質(MAG)、ミエリン会合乏突起神経膠芽細胞塩基性蛋白質(MBOP);シトルリン−修飾MBP(6つのアルギニン脱イミン化してシトルリンとなったMBPのC8イソ体)、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(CNPアーゼ)、アルファ−Bクリスタリンなど)のうちの1つであると思われる。必須膜蛋白質PLPはミエリンの主な自己抗原である。小膠細胞およびマクロファージは、抗原提示細胞として共同して働く結果、サイトカイン類、補体および炎症過程の他の調節物質を活性化し、特定の乏突起神経膠芽細胞およびそれらの膜ミエリンを標的化する。IFN−γを分泌する能力を有するミエリン自己反応性T細胞の量的増加が、MSおよびEAEの病因に関連していることから、MS患者末梢血液中の自己免疫誘導物質ヘルパーTリンパ球がMSを有する患者における脱髄過程を開始および/または調節し得ることが示唆される。

0054

慢性関節リウマチ。慢性関節リウマチ(RA)は、世界人口の0.8%を冒している慢性自己免疫炎症性滑膜炎である。これは、侵食的な関節破壊を生じる慢性の炎症性滑膜炎を特徴とする。RAは、T細胞、B細胞およびマクロファージによって媒介される。

0055

RAにおいてT細胞が重要な役割を演じている証拠としては、以下のことが挙げられる:(1)滑膜に湿潤するCD4+T細胞の優勢、(2)シクロスポリンなどの薬剤によるT細胞機能の抑制に伴う臨床的改善、および(3)ある一定のHLA−DR対立遺伝子とRAとの関連。RAに関連したHLA−DR対立遺伝子は、ペプチド結合とT細胞への提示に関与しているβ鎖の第3の高度可変領域における67位〜74位のアミノ酸の同配列を含有する。RAは、滑膜性連結に存在する自己蛋白質、または修飾自己蛋白質を認識する自己反応性T細胞によって媒介される。自己抗原とも称される本発明の自己ポリペプチドが本発明において標的化されており、以下のエピトープを含んでなる:II型コラーゲン;hnRNP;A2/RA33;Sa;フィラグリン;ケラチン;シトルリン;gp39などの軟骨蛋白質;I、II、III、IV、V、IX、XI型コラーゲン;HSP−65/60;IgM(リウマチ因子);RNAポリメラーゼ;hnRNP−B1;hnRNP−D;カルジオペン;アルドラーゼA;シトルリン修飾フィラグリンおよびフィブリン。修飾アルギニン残基(脱イミン化してシトルリンを形成)を含有するフィラグリンペプチドを認識する自己抗体が、高い割合でのRA患者血清中に確認されている。一部の患者において、自己反応性T細胞およびB細胞の応答は、双方とも同じ免疫優勢II型コラーゲン(CII)ペプチド257〜270に対して向けられている。

0056

インスリン依存性糖尿病。ヒトI型すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)は、膵臓のランゲルハンス島におけるβ細胞の自己免疫破壊を特徴とする。β細胞の欠損により血中グルコース濃度調節不能が生じる。血中グルコース濃度がある一定のレベル、通常は約250mg/dl以上に上昇すると、明白な糖尿病が生じる。ヒトでは、長期の前症状期が、糖尿病発生に先行する。この期間に、膵臓のベータ細胞機能が徐々に失われる。糖尿病の発現は、各々が本発明による自己蛋白質、自己ポリペプチドまたは自己ペプチドの例であるインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼおよびチロシンホスファターゼIA2(IA2)に対する自己抗体の存在に関連している。

0057

前症状段階の間に判断し得るマーカーは、膵臓におけるインスリン炎の存在、小島細胞抗体の濃度と頻度、小島細胞表面抗体、膵臓ベータ細胞上のクラスIIMHC分子の異常発現、血中グルコース濃度およびインスリンの血漿濃度である。膵臓におけるTリンパ球、小島細胞抗体、および血中グルコースの数の増加は、インスリン濃度の低下と同様に、この疾患を示している。

0058

肥満糖尿病(NOD)マウスは、ヒトIDDMと臨床的、免疫学的および組織病理学的特徴の多くを共有する動物モデルである。NODマウスは、自発的に小島の炎症およびβ細胞の破壊を発現し、これにより高血糖症および明白な糖尿病が導かれる。CD4+およびCD8+T細胞の各々の役割は不明だが、双方とも糖尿病の発現に必要である。NODマウスに対する寛容化条件下で蛋白質として、インスリンまたはGADを投与することによって疾患が防止され、また、他の自己抗原に対する応答が、ダウンレギュレートされることが示されている。

0059

血清中、種々の特異性を有する自己抗体の組合わせの存在は、ヒトI型糖尿病にとって感受性が高く特異的である。例えば、GADおよび/またはIA−2に対する自己抗体の存在は、対照血清からのI型糖尿病の同定に、約98%感受性であり、99%特異的である。I型糖尿病患者非糖尿病第一親等親族において、GAD、インスリンおよびIA−2の3つの自己抗原のうちの2つに特異的な自己抗体の存在によって、5年以内のI型DM発現に関して、>90%の陽性予測値が与えられる。

0060

ヒトインスリン依存性糖尿病において標的とされる自己抗原としては、自己ポリペプチドのチロシンホスファターゼIA−2;IA−2β;グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)の65kDa体および67kDa体双方;カルボキシペプチダーゼH;インスリン;プロインスリン;熱ショック蛋白質(HSP);グリマ(glima)38;小島細胞抗原69kDa(ICA69);p52;2つのガングリオシド抗原(GT3およびGM2−1);および小島細胞グルコーストランスポーター(GLUT2)が挙げられる。

0061

ヒトIDDMは現在、組み換えインスリン注射またはポンプに基づく送達を扱うために血中グルコース濃度をモニターすることにより治療されている。十分な血中グルコースのコントロールを達成するために食事療法運動療法が役立つ。

0062

自己免疫ブドウ膜炎。自己免疫ブドウ膜炎は、米国で推定40万人の人々が冒されており、1年に4万3千件の新たな発生件数を有する目の自己免疫疾患である。自己免疫ブドウ膜炎は現在、ステロイド、メトトレキサートやシクロスポリンなどの免疫抑制剤、免疫グロブリン静脈内投与およびTNFα−アンタゴニストにより治療されている。

0063

実験的自己免疫ブドウ膜炎(EAU)は、目の神経網膜ブドウ膜および関連組織を標的とするT細胞媒介の自己免疫疾患である。EAUは、ヒト自己免疫ブドウ膜炎と、多くの臨床的および免疫学的特徴とを共有しており、完全フロイントアジュバント(CFA)中に乳濁化したブドウ膜炎原性ペプチド末梢投与により誘導される。

0064

ヒト自己免疫ブドウ膜炎において、自己免疫応答によって標的化される自己蛋白質としては、S−抗原、光受容体間レチノイド結合蛋白質(IRBP)、ロドプシンおよびレコリンを挙げることができる。

0065

原発性胆汁性肝硬変。原発性胆汁性肝硬変(PBC)は、主に40〜60才の女性を冒す器官特異的自己免疫疾患である。この群内で報告された有病率は約1000人につき1人である。PBCは、肝内の小さな胆管を裏打ちしている肝内胆管上皮細胞(IBEC)の進行的破壊を特徴とする。これが胆汁分泌の閉塞および妨害を導き、結果的に肝硬変を生じさせる。上皮内層/分泌系損傷を特徴とする他の自己免疫疾患との関連としてはシェーグレン症候群、CREST症候群、自己免疫甲状腺疾患およびリウマチ様関節炎などが報告されている。その動因抗原に関して、50年に亘りミトコンドリアが注目されてきたが、その結果、抗ミトコンドリア抗体(AMA)の発見が導かれた(ガーシュウィン(Gershwin)ら、免疫学レビュー(Immunol Rev)174巻:p.210〜225、2000年);(マッケイ(Mackey)ら、免疫学レビュー(Immunol Rev)174巻:p.226〜237、2000年)。臨床的症状が現れるだいぶ前から90〜95%の患者の血清中に存在しているAMAは、まもなくPBCの研究室診断の基礎となった。ミトコンドリア中の自己抗原反応性は、M1およびM2と称された。M2反応性は、48〜74kDaの成分群に対して方向づけられている。M2は、2−オキソ酸デヒドロゲナーゼ複合体(2−OADC)酵素の複数の自己抗原サブユニットであり、本発明の自己ポリペプチドの他の例である。PBCの病因病理発生におけるピルビン酸塩デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)抗原の役割を確認する研究によって、PDCがこの疾患誘導に中心的役割を演じているというコンセプトが支持されている(ガーシュウィン(Gershwin)ら、免疫学レビュー(Immunol Rev)174巻:p.210−225、2000年);(マッケイ(Mackey)ら、免疫学レビュー(Immunol Rev)174巻:p.226−237、2000年)。PBCの95%の例において最も多く生じる反応性は、PDC−E2に属するE2 74kDaサブユニットである。それに関連しているが、異なった複合体としては、2−オキソグルタール酸塩デヒドロゲナーゼ複合体(OGDC)および分枝鎖(BC)2−OADCがある。NAD+からNADHへの還元を伴って2−オキソ酸基質をアシル補酵素A(CoA)へと形質転換する触媒機能に3種の構成的酵素(E1、2、3)が寄与する。哺乳動物のPDCは、蛋白質XまたはE−3結合蛋白質(E3BP)と称される追加成分を含有する。PBC患者において、主な抗原応答は、PDC−E2およびE3BPに対して方向づけられている。E2ポリペプチドは、2個の縦列反復リポイルドメインを含有し、一方、E3BPは1個のリポイルドメインを有する。リポイルドメインはPBCの多数の自己抗原標的に見られ、本明細書では「PBCリポイルドメイン」と称される。PBCは、グルココルチコイド類およびメトトレキサートやシクロスポリンAなどの免疫抑制剤によって治療される。

0066

実験的自己免疫胆管炎(EAC)には、メスSJL/Jマウスにおいて、哺乳動物PDCによる腹腔内(i.p.)感作を用い、非化膿破壊性胆管炎(NSDC)およびAMAの産生を誘導する(ジョーンズ(Jones)ジャーナルオブクリニカル・パソロジー(J Clinical Pathol)53巻:p.813−21、2000年)。

0067

他の自己免疫疾患および関連自己ポリペプチド類。重症性筋無力症に対する自己抗原としては、アセチルコリン受容体内のエピソードを挙げることができる。尋常性天疱瘡において標的化された自己抗原としては、デスモグレイン(desmoglein)−3を挙げることができる。シェーグレン症候群抗原としては、SSA(Ro);SSB(La);およびフォドリンを挙げることができる。重症性筋無力症に対する主な自己抗原としては、デスモグレイン−3を挙げることができる。筋炎に対する群としては、tRNAシンターゼ類(例えば、トレオニルヒスチジルアラニルイソロイシルおよびグリシル);Ku;Scl;SSA;U1 Snリボ核蛋白質;Mi−1;Mi−1;Jo−1;Ku;およびSRPを挙げることができる。強皮症に対する群としては、Scl−70;動原体;U1リボ核蛋白質;およびフィブリラリンを挙げることができる。悪性貧血に対する群としては、内在性因子;およびH/Kアデノシン三リン酸分解酵素を挙げることができる。全身性紅斑性狼瘡(SLE)に対するエピトープ抗原としては、DNA;リン脂質;核抗原;Ro;La;U1リボ核蛋白質;Ro60(SS−A);Ro52(SS−A);La(SS−B);カルレティキュリン;Grp78;Scl−70;ヒストン;Sm蛋白質;およびクロマチンなどを挙げることができる。グレーブス病エピトープに対しては、Na+/Iシンポーター;チロトロピン受容体;Tg;およびTPOを挙げることができる。

0068

メバロネート経路阻害剤
自己免疫疾患を治療するための本発明による方法は、メバロネート合成またはエフェクター経路の阻害剤である試剤の使用を含んでなる。メバロネート代謝物はRasなどのG蛋白質修飾に関与する。メバロネート経路阻害剤は、Ras蛋白質のイソプレニル化およびRaf/MAPキナーゼカスケードを阻害するために使用されてきた(キクチら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、269巻:p.20054−20059(1994))。HMG−CoAレダクターゼおよびメバロネートピロホスフェートデカルボキシラーゼは、メバロネート経路阻害に関する2つの有用な標的である。

0069

スタチン類。好ましい実施形態において、メバロネート経路阻害剤はスタチンである。スタチン類は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の公知のクラスである。これらの試剤は以下に詳述されている:例えば、メバスタチンとその関連化合物は米国特許第3,983,140号明細書に開示されており、ロバスタチン(メビノリン)とその関連化合物は米国特許第4,231,938号明細書に開示されており、プラバスタチンとその関連化合物は米国特許第4,346,227号明細書に開示されており、シンバスタチンとその関連化合物は米国特許第4,448,784号明細書および米国特許第4,450,171号明細書に開示されており;フルバスタチンとその関連化合物は米国特許第5,354,772号明細書に開示されており;アトルバスタチンとその関連化合物は米国特許第4,681,893号明細書、米国特許第5,273,995号明細書および米国特許第5,969,156号明細書に開示されており;およびセリバスタチンとその関連化合物は米国特許第5,006,530号明細書および米国特許第5,177,080号明細書に開示されている。その他の化合物は、米国特許第5,208,258号明細書、米国特許第5,130,306号明細書、米国特許第5,116,870号明細書、米国特許第5,049,696号明細書、RE第36,481号明細書およびRE第36,520号明細書に開示されている。最近、「スーパースタチン」のロバスタチンが商品化された。ある一定のスタチン類は、その親油性によって皮下送達に特に好適となっている。

0070

本明細書に提供したデータは、スタチン類が特異的STAT(シグナルトランスデューサーおよび転写活性化因子)蛋白質の活性化を特異的に変化させることによりTh2制御T細胞の発現を促進することを示している。STAT類は、チロシンキナーゼ類のヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーによるリン酸化により活性化される転写因子のファミリーである。STAT6は、Th2の分化に必須であり、一方、STAT4は、Th1の分化に重要な役割を有している。スタチン類は、リン酸化によりSTAT6の活性化を特異的に促進する。また、スタチン類は、治療下の脳において、種々のCIITAプロモーターの調節を阻害し、非専門的CNSAPC上の阻害されたCIITA指向クラスIIのアップレギュレーションに影響を与え、そのことによって、Th1細胞に対するAg提示を妨げる。

0071

スタチン類の製剤化と投与は周知であり、一般に通例的利用法に従う。自己免疫疾患の治療に必要とされる用量は、コレステロールの管理に用いられるレベルとは異なっており、幾つかの例においては、通例的用量(ここで、通例的用量とは、コレステロール管理に承認された用量を言うことを意図している)の約5倍ほどの増加;通例的用量の約10倍ほどの増加;および20倍、またはそれ以上の増加の高用量となる。

0072

スタチン類は、治療的投与のために種々の剤形に組み込まれ得る。より具体的には、本発明の化合物は、適切な製剤上許容できる担体、または希釈剤と組合わせて製剤組成物中に製剤化でき、錠剤カプセル剤散剤顆粒剤軟膏液剤、座剤、注射剤吸入剤ゲル剤ミクロスフェアおよびエアロゾルなどの固体半固体液体または気体状形態における製剤に剤形化できる。このように、前記化合物の投与は、経口、経直腸非経口、腹腔内、皮内、経皮イントラキアル(intracheal)などの種々の方法において達成できる。有効剤は、投与後全身性であり得るか、または領域投与、壁内投与の利用または有効量を移植部位に保持するように働く移植の利用によって局在化できる。

0073

抗原特異的免疫調節剤
本発明の特定の実施形態において、抗原特異的免疫調節剤が、メバロネート経路阻害剤(例えば、スタチン)と共に共投与される。抗原特異的免疫調節剤は、例えば、前記疾患に関連する自己抗原性自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドなどの核酸(例えば、DNAまたはRNA)であり得る。さらに、抗原特異的免疫調節剤は、例えばポリペプチドであり得る。例えば、抗原特異剤は、前記疾患に関連する自己抗原エピトープなどのポリペプチドであり得る。このようなポリペプチドは、例えば、蛋白質自己抗原またはその断片(例えば、ペプチド断片)を含むポリペプチド、自己抗原エピトープを有するポリペプチド断片であり得る。また、例えば、ポリペプチド剤としては、自己抗原エピトープを構成するアミノ酸と同一ではないが、そのエピトープと免疫学的に交差反応するアミノ酸を挙げることができる。さらに、前記ポリペプチドとしては、例えば、自己抗原エピトープのアミノ酸に相当するもの、および例えば、ランダムに配置されたもの(例えば、酢酸グラチラマーなどのランダムポリマー)または指令モチーフとして配列されたものを挙げることができる。抗原特異的免疫調節ポリペプチドは、長さが少なくとも約6個のアミノ酸であり、典型的には約6個から約100個のアミノ酸であり、より典型的には約8個から約50個のアミノ酸であり、最も典型的には、約8個から約25個のアミノ酸である。他の実施形態において、抗原特異的免疫調節ポリペプチドは、誘導ポリペプチドであり得る。ある誘導体は、他の配列に比して、保存的または非保存的なアミノ酸置換を有するポリペプチドである。さらに誘導体として、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などが挙げられる。このような誘導体の例としては、例えば、U6669033、U6322949に記載されている変化したペプチドリガンド類が挙げられる。

0074

自己ポリペプチド類をコードするポリヌクレオチド類。本発明の特定の実施形態において、抗原特異的免疫調節剤は、前記疾患に関連した自己抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる自己ベクターである。自己ベクターとは、宿主細胞に移入された際にコードされた自己ポリペプチドを表現するようにデザインされた「自己カセット」を表す。

0075

本発明のベクター類の構築には、当業界でよく理解されている標準的な連結法および制限法が採用される(オースベル(Ausubel)ら著、(1987)分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、ワイリー・インターサイエンス(Wiley−−Interscience)またはマニアチス(Maniatis)ら著、(1992)分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A laboratory Manual)、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbour Laboratory)、ニューヨークを参照)。単離プラスミド、DNA配列、または合成オリゴヌクレオチドが所望の形態に開裂され、適合され、再連結される。合成DNAを取り込む全てのDNA構築物の配列は、DNA配列分析によって確認された(サンガー(Sanger)ら(1977)、プロシーディング・オブ・ナシナルアカデミー・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)74巻、p.5463−5467)。

0076

発現自己カセットには、宿主細胞において機能的なプロモーターを使用する。一般に、特定の宿主細胞と共に、宿主細胞に適合する種に由来するプロモーターおよび制御配列を含有するベクター類が用いられる。原核宿主と共に使用するのに好適なプロモーターとして、例示的にベータラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼトリプトファン(trp)プロモーター系およびtacプロモーター系などのハイブリッドプロモーター類が挙げられる。しかし、他の機能的な細菌プロモーターは好適である。原核動物の他に、酵母培養液などの真核微生物もまた使用できる。酵母または一般的なパン用酵母は最もよく用いられる真核微生物であるが、多数の他の株が一般的に利用できる。哺乳動物の宿主細胞において、ベクター類からの転写を制御するプロモーター類は、種々の供給源、例えば、ポリオーマサルウィルス40SV40)、アデノウィルスレトロウィルス類、B型肝炎ウィルスおよび、好ましくは、サイトメガロウィルス、または非相同哺乳動物プロモーター類、例えば、β−アクチンプロモーターから入手し得る。SV40ウィルスの早期および後期プロモーター類は、複製のSV40ウィルス源も含有するSV40制限断片として便宜よく入手される。ヒトサイトメガロウィルスの極早期プロモーターは、Hind III制限断片として便宜よく入手される。もちろん、宿主細胞または関連する種由来のプロモーター類も本明細書において有用である。

0077

本明細書に用いられるベクター類は、選択的マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含み得る。選択遺伝子は、ベクターによって形質転換した宿主細胞の生存または増殖に必要な蛋白質をコードする。哺乳動物細胞にとって好適な選択的マーカーの例としては、ジヒドロフォレートレダクターゼ遺伝子(DHFR)、オルニチンデカルボキシラーゼ遺伝子、多剤耐性遺伝子(mdr)、アデノシンデアミナーゼ遺伝子、およびグルタミンシンターゼ遺伝子が挙げられる。このような選択的マーカーが哺乳動物の宿主細胞内へ首尾よく転移されると、形質転換した哺乳動物の宿主細胞は、選択圧下に置かれれば生存できる。選択機構には、2つの異なるカテゴリーが広く用いられている。第1のカテゴリーは、細胞の代謝および補足培地から独立して増殖する能力を欠く突然変異細胞系の使用に基づいている。第2のカテゴリーは、任意の細胞タイプに用いられ、突然変異細胞系の使用を必要としない選択機構である優性選択を言う。これらの機構は一般に、宿主細胞の増殖を阻止する薬剤を用いる。新たな遺伝子を有するそれらの細胞は、薬剤耐性を伝える蛋白質を表現し、選択をくぐって生き残ると考えられる。このような優性選択の例では、薬剤のネオマイシンサザンおよびバーグ(Southern and Berg)(1982)ジャーナル・オブ・モレキュラーアプライド・ジェネティックス(J.Molec.Appl.Genet.)1巻、p.327)、ミコフェノール酸(ムリガンおよびバーグ(Mulligan and Berg)(1980)サイエンス(Science)209巻、p.1422)、またはヒグロマイシンサジェン(Sugden)ら、(1985)モレキュラー・セル・バイオロジー(Mol.Cell.Bio.)5巻、p.410−413)が用いられる。上記の3つの例では、各々適切な薬剤、ネオマイシン(G418またはゲンチシン)、xgpt(ミコフェノール酸)またはヒグロマイシンに対する耐性を伝えるために、真核生物の制御下で細菌遺伝子が採用される。

0078

本発明の自己ベクターは、医薬品として使用するためにポリヌクレオチド塩として製剤化し得る。ポリヌクレオチド塩は、非毒性無機または有機塩基によって調製できる。無機塩基塩としては、ナトリウムカリウム亜鉛カルシウムアルミニウムマグネシウムなどが挙げられる。有機非毒性塩基としては、第一級第二級および第三級アミン類の塩が挙げられる。このような自己RNAポリヌクレオチド塩は、送達前再構成のために滅菌水または塩溶液などの凍結乾燥形態に製剤化できる。あるいは、自己RNAポリヌクレオチド塩は、送達用に水ベースまたは油ベース媒体を含む溶液、懸濁液、または乳濁液に製剤化できる。好ましい一実施形態において、前記DNAは、カルシウムの生理的濃度(0.9mM)を有するリン酸緩衝食塩水中で凍結乾燥され、次に投与前、滅菌水で再構成される。あるいは、前記DNAは、1mMから2Mの間のより多量のCa++を含有する溶液中で製剤化される。また、前記DNAは、特定のイオン種非存在下で製剤化することもできる。

0079

通常の当業者に公知のように、本明細書に定義されている患者にポリヌクレオチドを送達するために多種多様の方法が存在する。自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、カチオン性リポソームなどのカチオン性ポリマーによって製剤化できる。他のリポソームもまた、自己ポリヌクレオチドを製剤化し、送達するための効果的手段となっている。あるいは、自己DNAを薬理学的送達のために、ウィルスベクターウィルス粒子または細菌内へ取り込むことができる。ウィルスベクターは、感染能力を有し得るか、弱毒化できるか(疾病を誘導する能力を低下させる突然変異により)、または複製欠失であり得る。病原性自己蛋白質の沈着蓄積または活動を防止するために自己DNAを利用する方法は、コードされた自己蛋白質に対する体液性応答を高めるウィルスベクターまたは他の送達システムの使用によって増強し得る。他の実施形態において、前記DNAは、金粒子ポリサッカライドベース支持体、あるいは注入吸入または粒子衝撃弾道送達)により送達される他の粒子またはビーズなどの個体支持体に共役化できる。

0080

ムクレイン酸製剤の送達法は当業界に知られている。例えば、米国特許第5,399,346号明細書、米国特許第5,580,859号明細書、米国特許第5,589,466号明細書を参照されたい。哺乳動物細胞内への転移のために多数のウィルスベースのシステムが開発されている。例えば、レトロウィルスシステムが記載されている(米国特許第5,219,740号明細書;ミラー(Miller)ら、バイオテクニックス(Biotechniques)7巻:p.980−990、1989年;ミラー,エイ・ディー(Miller,A.D.)ヒューマンジーンセラピー(Human Gene Therapy)1巻:p.5〜14、1990年;スカーパ(Scarpa)ら、ウィルス学(Virology)180巻:p.849−852、1991年;バーンズ(Burns)ら、プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・サイエンスイズ(Proc.Natl.Acad.Sci.)米国90巻、p.8033−8037、1993年;およびボリスローリーおよびテミン(Boris−Lawrie and Temin)、遺伝学発展現代評価(Cur.Opin.Genet.Develop.)第3巻:p.102〜109、1993年)。多くのアデノウィルスもまた記載されている。例えば、以下を参照されたい(ハジャマド(Haj−Ahmad)ら、遺伝子ジャーナル(J.Virol.)57巻:p.267−274、1986年;ベット(Bett)ら、ウィルス学雑誌(J.Virol.)67巻:p.5911−5921、1993年;ミッテレーダー(Mittereder)ら、ヒューマン・ジーン・セラピー(Human Gene Therapy)5巻:p.717−729、1994年;セス(Seth)ら、ウィルス学雑誌(J.Virol.)68巻:p.933−940、1994年;バール(Barr)ら、ジーン・セラピー(Gene Therapy)1巻:p.51−58、1994年;バークナー,ケイ・エル(Berkner,K.L.)、バイオテクニックス(BioTechniques)6:p.616−629,1988年;およびリッチ(Rich)ら、ヒューマン・ジーン・セラピー(Human Gene Therapy)4巻:p.461−476、1993年)。アデノ関連ウィルス(AAV)ベクターシステムもまた、核酸送達のために開発されている。AAVベクターは、当業界に周知の方法を用いて容易に構成できる。例えば、米国特許第5,173,414号明細書および米国特許第5,139,941号明細書;国際公開WO第92/01070号明細書およびWO第93/03769号明細書;レブコスキー(Lebkowski)ら、モレキュラー・セル・バイオロジー(Molec.Cell.Bio.)8巻、p.3988−3996、1988年;ビンセント(Vincent)ら、ワクチン(Vaccines)90(コールドスプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbour Laboratory Press))1990年;カーター,ビー・ジェイ(Carter,B.J.)、バイオテクノロジーの現代評価(Current Opinion in Biotechnology)3巻:p.533−539、1992年;ムジツカ(Muzyczka)、微生物学および免疫学の最近のトピック(Current Topics in Microbiol. And Immunol.)158巻:p.97−129、1992年;コーチン,アールエム(Kotin,R.M.)ヒューマン・ジーン・セラピー(Human Gene Therapy)5巻:p.793−801、1994年;シェリング(Shelling)ら、ジーン・セラピー(Gene Therapy)1巻:p.165−169、1994年;およびゾー(Zhou)ら、実験医薬雑誌(J.Exp.Med.)179巻:p.1867−1875、1994年)を参照されたい。

0081

本発明のポリヌクレオチドは、ウィルスベクターなしでも送達できる。例えば、患者に送達する前に、前記分子をリポソーム内パッケージ化できる。脂質のカプセル化は一般に、核酸と安定して結合または捕捉して保持することのできるリポソームを用いて達成される。核酸送達のための担体としてのリポソーム使用の概観に関しては、ハグ(Hug)ら、ビオキム・ビオフィズ・アクタ(Biochim.Biophys.Acta.)1097巻:p.1−17、1991年;ストラウビンガー(Straubinger)ら、酵素化学の方法(Methodsof Enzymology)、101巻、p.512−527、1983年)を参照されたい。

0082

自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる自己ベクターの「治療的有効量」は、本発明の教示に従って投与され、例えば、前記疾患の症状および/または原因を改善または除去することによって、前記疾患を治療または予防するために十分なものである。例えば、治療的有効量は広範囲に亘り、臨床試験によって決定され、また特定の患者に対しては、疾患の重症度、患者の体重、年齢および他の要因など、通常の当業臨床医に知られた要因に基づいて決定される。自己ベクターの治療的有効量は、約0.001マイクログラムから約1グラムの範囲にある。自己ベクターの好ましい治療的有効量は、約10マイクログラムから約5ミリグラムの範囲にある。自己ベクターの最も好ましい治療的有効量は、約0.025mgから約5mgの範囲にある。ポリヌクレオチド療法は、6〜12ヵ月間、月1回実施され、その後、維持用量として3〜12ヵ月ごとに実施される。代替治療法を開発でき、疾患の重症度、患者の年齢、投与されている自己ポリペプチドおよび通常の治療を行っている医師によって考慮される他の要因などに依って、1日1回から週1回、隔週、年1回、単回投与までの範囲であり得る。

0083

一実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、筋肉内注射により送達される。他の実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、鼻腔内、経口、皮下、皮内、静脈内、経粘膜、皮膚の押圧、または真皮へ、または真皮を経て送達される金粒子への付着して送達される(例えば、WO第97/46253号を参照)。あるいは、核酸は、リポソームまたは荷電脂質と共に、またはこれらなしの局所適用によって皮膚細胞内へ送達できる(例えば、米国特許第6,087,341号明細書を参照)。さらに他の代替法は、吸入剤として核酸を送達することである。前記ポリヌクレオチドは、カルシウムの生理学的濃度(0.9mM)を有するリン酸緩衝食塩水において製剤化される。あるいは、前記ポリヌクレオチドは、1mMから2Mの間の多量のCa++を含有する溶液において製剤化される。前記ポリヌクレオチドは、亜鉛、アルミニウムおよびその他のものなど、他のカチオンと共に製剤化され得る。あるいは、またはそれに追加して、前記ポリヌクレオチドは、カチオン性ポリマー、カチオン性リポソーム形成化合物のいずれかと共に、または非カチオン性リポソームにおいて製剤化し得る。DNA送達のためのカチオン性リポソームの例としては、1,2−ビスオレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンミオニオ)プロパンDOAP)および他のそのような分子を用いて作製したリポソーム類が挙げられる。

0084

ポリヌクレオチド送達前に、その後のポリヌクレオチド療法の送達を増強し得るブピビカン(bupivicane)、カルジオトキシン(cardiotoxin)または他の試剤による処置によって送達部位予備調整できる。このような予備調整法は一般に、治療用ポリヌクレオチド送達の12〜96時間前、より多くの場合、治療用DNA送達の24〜48時間前に送達される。あるいは、DNA療法前に予備調整処置は行われない。

0085

自己ポリペプチドをコードする自己ベクターに加えて、免疫応答を増大させるためCpGオリゴヌクレオチドからなる免疫応答調節用補剤を共投与できる。CpGオリゴヌクレオチドは、DNAワクチン接種抗体応答を増大させることが示されている(クリーグ(Krieg)ら、ネーチャー(Nature)374巻:p.546−9、1995年)。CpGオリゴヌクレオチドは、インビボでの分解に抵抗性であるホスホロチオエート骨格などの骨格の精製オリゴヌクレオチドからなる。前記オリゴヌクレオチド内に含有する特異的配列は、プリン−プリン−C−G−ピリミジン−ピリミジン、またはプリン−ピリミジン−C−G−ピリミジン−ピリミジンである。これら構成体は全て、免疫応答がコード化自己ポリペプチドに対して生じるような様式で投与される。免疫応答、典型的には抗体応答は、自己ポリペプチドに関連した非生理的作用または過程に影響を与える。

0086

本発明の使用に選択されるヌクレオチド配列は、例えば、標準的な方法を用いて所望の遺伝子またはヌクレオチド配列を含有する細胞から核酸を単離することによって公知の供給源から誘導できる。同様に、前記ヌクレオチド配列は、当業界で周知のポリヌクレオチド合成の標準的様式を用いて合成的に生成できる。例えば、(エッジ(Edge)ら、ネーチャー(Nature)292巻:p.756 1981年);(ナムベア(Nambair)ら、サイエンス(Science)223巻:p.1299 1984年);(ジェイ(Jay)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.259巻:p.6311 1984年)を参照されたい。一般に、合成オリゴヌクレオチドは、エッジら(上記)および(ダックワース(Duckworth)ら、核酸研究(Nucleic AcidsRes.)9巻:p.1691 1981年)によって記載されたようなホスホトリエステル法、または(ビューケージ(Beaucage)ら、テトラヘドロン・レターズ22巻:p.1859 1981年)、および(マットイッチ)ら、アメリカ化学会誌103巻:p.3185 1981年)によって記載されたホスホルアミダイト法のいずれかによって調製できる。また、合成オリゴヌクレオチドは、商品として入手できる自動オリゴヌクレオチド合成機を用いて調製することもできる。このようにヌクレオチド配列は、特定のアミノ酸配列のための適切なコドンによってデザインできる。一般に、意図される宿主において発現させるために好ましいコドンが選択される。完全配列は、標準的方法によって調製されたオーバーラップオリゴヌクレオチドから構築され、完全なコード配列へと構築される。例えば、エッジら(上記)、ナムベアら(上記)およびジェイら(上記)を参照されたい。

0087

本明細書に使用する核酸配列を得るための他の方法は、組み換え手段によるものである。例えば、所望のヌクレオチド配列は、標準的な制限酵素と操作を用いて核酸を担持するプラスミドから切除できる。部位特異的なDNA開裂が、好適な制限酵素と操作を用いた処理によって実施される。部位特異的なDNA開裂は、一般に当業界で理解されている条件下で、好適な単数制限酵素(または複数酵素)による処理によって実施され、その詳細は商品入手できる制限酵素の製造元によって明記されている。所望の場合、開裂断片のサイズ分離を、標準的技法を用いて、ポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲル電気泳動によって実施できる。

0088

特定の核酸分子を単離するさらに他の簡便な方法は、ポリメラーゼ連鎖反応PCR)によるものである(ムリス(Mullis)ら、酵素学の方法(MethodsEnzymol.)155巻:p.335−350 1987年)。

0089

指令ペプチド。本発明の特定の実施形態において、抗原特異的免疫調節剤は、指令アミノ酸モチーフを有するペプチドであり、ここでのアミノ酸は、抗原エピトープにおけるアミノ酸に相当する。

0090

脱髄自己免疫疾患の治療のための好ましい一実施形態において、指令ペプチドは、指令アミノ酸モチーフ{配列番号:1}[1E2Y3Y4K]nを含んでなり、式中nは2から6である。指令モチーフは、示されているように残基1で開始でき、または異なった位置、例えば{配列番号:6}YYKEYYKEYYKE;{配列番号:7}KEYYKEYYKEYYなどで開始できる。指令ペプチド配列全長は通常、少なくとも約8個のアミノ酸長で、約24個のアミノ酸長以下であり、通常少なくとも約10個で約20個以下である。関心対象特定ペプチドは、配列{配列番号:4}EYYKEYYKEYYKを含む。前記ペプチドは、指令反復のみからなってもよく、また、他のアミノ酸残基の付加によって、どちらの末端においても伸長し得る。

0091

指令ペプチドの構造において修飾および変更がなされたとしても、脱髄自己免疫疾患を抑制する所望の特性を有する分子が得られる。所望の特性は、少なくとも部分的にインビトロアッセイにおいて決定でき、ここでMHC抗原HLA−DR、特にHLA−DR2(DRB1*1501)に対する結合は、関連する生物活性を示している。

0092

例えば、一定のアミノ酸が、機能の目立った損失なしで蛋白質構造の中の他のアミノ酸と置換し得る。指令ペプチドの配列において種々の変化(蛋白質の安定性または効率などに関して)が、特に末端アミノ酸の付加に関して目立った生物学的利用性または活性の損失なしでなされ得ることは当業技術者により解されるであろう。変化しても結合特性および免疫学的活性が維持される限り、結果として生じる蛋白質は、本発明の目的にとって生物学的に機能的等価物と考えられる。

0093

前記ペプチドは、非野生型フランキング領域への結合、融合蛋白質として、結合基による結合、またはシステインジスルフィド)またはペプチド結合を介した直接的共有結合などの種々の方法において提供し得る。前記ペプチドは、N末端またはC末端における単一アミノ酸またはアミノ酸の鎖に結合し得る。融合ペプチドは、便利な結合部位、例えば、システインまたはリジンの提供、安定性の増大、特定の受容体への結合、部位指向的作用の提供、精製を容易にすること、物理的特性(例えば、溶解性、電荷など)の変更、コンフォメーションの安定化などのために伸長し得る。前記ペプチドはこれらの付加配列に関連してN末端、C末端または内部のものであり得る。

0094

前記ペプチドは、マレイミド安息香酸メチルdfhio酢酸メルカプト安息香酸、S−ピリジルジチオプロピオネートなどの種々の二官能性試剤により結合し得る。オリゴペプチドは、部位指向作用を提供するため蛋白質に結合できる。オリゴペプチドは部位指向作用のため、特に細胞内開裂可能結合により、抗体に結合できる。共役方法については、例えば、参照のため、本明細書に援用されている米国特許第3,817,837号明細書;米国特許第3,853,914号明細書;米国特許第3,850,752号明細書;米国特許第3,905,654号明細書;米国特許第4,156,081号明細書;米国特許第4,069,105号明細書;および米国特許第4,043,989号明細書を参照されたい。また、オリゴヌクレオチドは、ベシクル、例えばリポソームの内腔に取り込むことができ、次にそれを特定の細胞または組織へ方向づけるために、リガンドまたは受容体に結合させ得る。

0095

療法には、前記ペプチドを局所的または非経口的に、例えば、皮下的、腹腔内、血管内などの特定部位への注射により、または電気輸送によるなど経皮的に投与し得る。好ましい一実施形態において、前記ペプチドの送達に皮下注射が用いられる。また前記オリゴペプチドは、より長時間に亘って徐々に放出させる目的で、有効ペプチドの貯蔵を供するため、徐放製剤または浸透ポンプにおいて投与し得る。このような送達によって、必要とされる薬剤用量を減少させることができ、また、治療効果を達成するために必要な治療回数を減らすことができる。

0096

本発明のオリゴペプチドは、合成法組み換え法などの従来の方法に従って調製できる。例えば、固相ペプチド合成は、アミノ酸の連続的付加を伴い、線状のペプチド鎖を創製する(メリーフィールド(1963)アメリカ化学会誌、85巻:p.2149−2154を参照)。組み換えDNA法によるペプチド生産もまた実施できる。先ず、所望のペプチドをコードする核酸配列を合成、または創製する。このコード配列を、発現のために好適な制御要素、例えば、当業界に知られているプロモーター類、ターミネーター類、ATG開始コドンなどと操作可能に連結する。この発現構築体を好適な宿主細胞に導入し、産生された組み換え蛋白質を単離する。あるいは、例えば、発現構築体を筋肉内または治療のための長期生存造血細胞内へ挿入することにより、長期療法で治療される宿主内へ前記コード配列を導入する。発現ベクターは、プラスミド、レトロウィルス、アデノウィルスなどのウィルスベクターであり得、形質導入、DNAワクチン接種などにより導入し得る。

0097

前記ペプチドの製薬上許容できる塩もまた、本明細書に開示されたペプチドの範囲に入る。

0098

投与には種々の方法が採用できる。前記製剤は、経口で、吸入により、または、血管内、腫瘍内、皮下、腹腔内、筋肉内などの注射により投与し得る。治療製剤の用量は、疾患の性質、投与回数、投与様式、宿主からの薬剤クリアランスなどに依って大きく変化する。開始用量はより高く、その後により低い維持用量が続くと考えられる。前記用量は、週1回、2週に1回などと飛び飛びであってもよく、または低用量へと分割されて1日1回、1週間に2回などで投与でき、有効用量レベルを維持する。多くの場合、経口投与では静脈内投与の場合よりも、より高用量が必要となる。

0099

本発明のペプチドは、治療的投与のために、種々の製剤へと組み込むことができる。より具体的には、前記複合体は、適切な製薬上許容できる担体または希釈剤と組合わせることによって製薬組成物内へ製剤化でき、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏、液剤、座剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、ミクロスフェアおよびエアロゾルなどの固体、半固体、液体または気体における製剤に製剤化できる。このように、前記ペプチドの投与は、経口、経頬側、経直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、イントラキアル(intracheal)などの種々の方法において達成できる。前記ペプチドは投与後、全身性であり得るか、または、移植部位に有効用量を保持するために働く移植片の使用によって局所化し得る。

0100

医薬品投与形態において、前記ペプチドは製薬上許容できる塩の形態において投与できるか、または単独で使用できるか、または適切な会合において使用でき、また他の医薬品として有効な化合物と併用できる。以下の方法および賦形剤は単なる例示であり、決して限定するものではない。

0101

経口製剤として、前記ペプチドは、錠剤、散剤、顆粒剤またはカプセル剤を作製するために、適切な添加剤と組合わせて、例えば、ラクトース、マンニトールトウモロコシ澱粉ジャガイモ澱粉などの通例的な添加剤;結晶セルロースセルロース誘導体アラビアゴム、トウモロコシ澱粉またはゼラチンなどの結合剤;トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;および所望の場合は、希釈剤、緩衝剤、湿潤化剤、保存剤および風味剤と組合わせて使用できる。

0102

前記ペプチドは、それらを植物油または類似の油類、合成脂肪族酸グリセリド高級脂肪酸エステルまたはプロピレングリコールなどの水性溶媒または非水性溶媒中、所望の場合は、溶解剤等張化剤懸濁化剤乳化剤安定化剤および保存剤と共に溶解、懸濁または乳化させることによって注射製剤へと製剤化できる。

0103

前記ペプチドは、吸入によって投与するためにエアロゾル製剤において利用できる。本発明の化合物は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容できる加圧推進剤へと製剤化できる。

0104

さらに、前記ペプチドは、乳化基剤または水溶性基剤などの種々の基剤と混合することにより座剤へと作製できる。本発明のペプチドは、座剤によって経直腸投与できる。前記座薬は、体温溶融するが、室温では固化するカカオバターカルボワックス類およびポリエチレングリコール類などの媒体を含み得る。

0105

シロップ剤エリキシル剤および懸濁剤などの経口または経直腸投与のための単位投与形態が供されるが、ここでの各投与単位、例えば、ティースプーン、テーブルスプーン1杯、錠剤または座剤は、本発明の1種以上の化合物を含有する組成物の予め決定された量を含有する。同様に、注射または静脈内投与のための単位投与形態は、滅菌水、通常の食塩水または他の製薬上許容できる担体中の溶液としての組成物中に本発明の化合物を含んでなり得る。

0106

徐放製剤のための移植片は当業界で周知のことである。移植片は、生分解性または非分解性のポリマーと共にミクロスフェア;スラブ(slab)などとして製剤化される。例えば、乳酸および/またはグリコール酸形態のポリマーおよび宿主に十分忍容される侵食性ポリマーである。ペプチドを含有する移植片は、作用部位の近傍に置かれ、その結果、有効剤の局所濃度は身体の他の部分に比して高くなる。

0107

本明細書に用いられる用語の「単位投与形態」とは、ヒトおよび動物患者にとって単位用量として好適な物理的個別の単位を言い、各単位は、製薬上許容できる希釈剤、担体または媒体と共同して所望の効果を生み出すのに十分な量として算出された本発明のペプチドの予め決定された量を含有する。本発明の新規な単位投与形態の明細は、採用される特定の複合体や達成しようとするその効果および宿主内における各複合体に関連する薬力学に依存する。

0108

媒体、補剤、担体または希釈剤などの製薬上許容できる賦形剤は容易に一般入手できる。さらに、pH調整剤や緩衝剤、張性調整剤、安定化剤、湿潤化剤などの製薬上許容できる補助物質が容易に一般入手できる。

0109

患者や治療対象となっている病態および投与経路に依って、前記ペプチドは、一般に1日当たり0.01mgから500mg V/kg体重、例えば、標準的な人では約20mg/日の用量で投与される。一般に、種々の動物に対する治療効果の有効性は広範囲で変化し、ヒトではラットよりも、典型的には20倍、30倍さらに40倍低用量(単位体重当たり)であるため、その範囲は広範囲に亘る。同様に、投与様式は、投与量に大きな影響を与え得る。例えば、ラットにおける経口投与量は、その注射用量の10倍であり得る。典型的な投与は1日1回の注射である。

0110

特定化合物の機能、症状の重症度および副作用に対する患者の感受性によって投与濃度が変化し得ることを当業者は容易に理解されるであろう。特定のペプチドの幾つかは他のものよりも強力である。所与の複合体についての好ましい投与量は、種々の手段によって当業者により容易に決定できる。好ましい手段の1つは、所与の化合物の生理学的効力測定である。

0111

非抗原特異的免疫調節剤
本発明の特定の実施形態において、非抗原特異的免疫調節剤が、メバロネート経路阻害剤(例えば、スタチン)と共に共投与される。非抗原特異的免疫調節剤は、例えば、免疫調節オリゴヌクレオチドまたは免疫調節ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドベクターなどの、例えば、核酸(例えば、DNAまたはRNA)であり得る。また、非抗原特異剤は、例えば、免疫抑制的な性質を有する小型有機分子であり得る。他の実施形態において、非抗原特異的免疫調節剤は、例えば、ポリペプチドであり得る。免疫調節ポリペプチドとしては、例えば、サイトカイン、ケモカイン、インターロイキン、インターフェロン(例えば、IFN−β)または共刺激性分子(例えば、CTLA−4)を挙げることができる。免疫調節ポリペプチドの天然形態が膜結合蛋白質として存在する場合、ポリペプチドは、溶解性形態(例えば、ポリペプチドの細胞外ドメインを有するIg−融合体)へと修飾できる。典型的に非抗原特異的免疫調節剤は、メバロネート経路阻害剤ではない。例えば、メバロネート経路阻害剤がスタチンの場合、非抗原特異剤は非スタチン分子である。

0112

本発明の好ましい一実施形態において、非抗原特異的免疫調節剤は、オステオポンチンまたはオステオポンチンをコードするポリヌクレオチドを含んでなる自己ベクターである。オステオポンチンは、自己免疫疾患において病原性役割を演じることが最近確認された多面発現性分子である。自己蛋白質、オステオポンチン、またはオステオポンチンをコードするDNAによる治療によって、疾患の永続化におけるオステオポンチンの有害な影響を阻害する抗オステオポンチン免疫グロブリン応答が宿主内に誘導される。

0113

免疫調節剤。好ましい実施形態において、非抗原特異的免疫調節蛋白質は免疫調節配列を含んでなるオリゴヌクレオチドである。

0114

一実施態様において、本発明の免疫調節配列は、以下の主要構造から構成される合成オリゴヌクレオチドであり:
5’−プリン−ピリミジン−[X]−[Y]−ピリミジン−ピリミジン−3’
または
5’−プリン−プリン−[X]−[Y]−ピリミジン−ピリミジン−3’;
式中、XおよびYは、シトシン−グアニンであり得ないこと以外は、XおよびYは任意の天然または合成ヌクレオチドである。

0115

IMS類の中心六量体は、ヌクレオチドまたはヌクレオチドの任意の組成または数によって5’および/または3’にフランクできる。IMS類は、長さが6塩基対から100塩基対の間の範囲にあることが好ましく、長さが16〜50塩基対の範囲にあることが最も好ましい。また、IMS類は、100塩基対から100,000塩基対の範囲にあるDNAのより大きな断片部分としても送達できる。IMS類は、DNAプラスミド、ウィルスベクターおよびゲノムDNAの中に取り込まれ得るか、または既に存在し得る。IMS類はまた、最も好ましくは6塩基対(非フランキング配列)から10,000塩基対、またはよりサイズが大きい範囲にあり得る。六量体の中心にフランクする存在配列は、任意の公知の免疫阻害配列(IIS)に存在するフランキング配列に実質的にマッチするように構築され得る。例えば、フランキング配列TGACTGTG−Pu−Pu−X−Y−Pyr−Pyr−AGAGATGA、式中、TGACTGTG(配列番号:76)およびAGAGATGA(配列番号:77)はフランキング配列である。他の好ましいフランキング配列は、2回以上繰り返される個々のピリミジンとして、または2つ以上の長さの異なったピリミジンの混合物として、ピリミジン(C、TおよびU)の連続体を取り込む。種々のフランキング配列が、阻害調節配列の試験に用いられてきた。阻害オリゴヌクレオチドに対するフランキング配列のさらなる例は、以下の文献に含まれている:米国特許第6,225,292号明細書および米国特許第6,339,068号明細書ゾイナー(Zeuner)ら、関節炎リウマチ(Arthritis and Rheumatism)、46巻:p.2219−24、2002年。

0116

本発明の特定のIMS類としては、以下の六量体配列を含有するオリゴヌクレオチド類が挙げられる:
1. 以下のGGジヌクレオチド中心を含有する5’−プリン−ピリミジン−[X]−[Y]−ピリミジン−ピリミジン−3’IMS類:GTGGTT(配列番号:12)、ATGGTT(配列番号:13)、GCGGTT(配列番号:14)、ACGGTT(配列番号:15)、GTGGCT(配列番号:16)、ATGGCT(配列番号:17)、GCGGCT(配列番号:18)、ACGGCT(配列番号:19)、GTGGTC(配列番号:20)、ATGGTC(配列番号:21)、GCGGTC(配列番号:22)、ACGGTC(配列番号:23)など。

0117

2. 以下のGCジヌクレオチド中心を含有する5’−プリン−ピリミジン−[X]−[Y]−ピリミジン−ピリミジン−3’IMS類:GTGCTT(配列番号:24)、ATGCTT(配列番号:25)、GCGCTT(配列番号:26)、ACGCTT(配列番号:27)、GTGCCT(配列番号:28)、ATGCCT(配列番号:29)、GCGCCT(配列番号:30)、ACGCCT(配列番号:31)、GTGCTC(配列番号:32)、ATGCTC(配列番号:33)、GCGCTC(配列番号:34)、ACGCTC(配列番号:35)など。

0118

3.アデニンをグアニンおよびイノシンに置換したものおよび/またはシトシンまたはチミンウリジンにしたもので、それらの置換体は、上記の指針に基づいて記載されたとおり作製できる。

0119

先に開示した免疫阻害配列、すなわちIISは、中心ヌクレオチド、CpGを含有する免疫刺激配列(ISS)を阻害することが示された。米国特許第6,225,292号明細書。ISS不在下のIISは、単独でまたはDNAポリヌクレオチド療法と組合わせて、自己免疫疾患を予防および治療することが、本発明によって初めて示された。このIISは、中心六量体AAGGTT(配列番号:36)を含有した。その配列は、本明細書において免疫調節配列、すなわちIMSと称される。本発明のIMS内に含まれる同様のモチーフを有する他の関連IISは、以下のものである:
1. 以下のGGジヌクレオチド中心を含有する5’−プリン−プリン−[X]−[Y]−ピリミジン−ピリミジン−3’IMS類:GGGGTT(配列番号:37)、AGGGTT(配列番号:38)、GAGGTT(配列番号:39)、AAGGTT(配列番号:40)、GGGGCT(配列番号:41)、AGGGCT(配列番号:42)、GAGGCT(配列番号:43)、AAGGCT(配列番号:44)、GGGGTC(配列番号:45)、AGGGTC(配列番号:46)、GAGGTC(配列番号:47)、AAGGTC(配列番号:48)など。

0120

2. 以下のGCジヌクレオチド中心を含有する5’−プリン−プリン−[X]−[Y]−ピリミジン−ピリミジン−3’IMS類:GGGCTT(配列番号:48)、AGGCTT(配列番号:49)、GAGCTT(配列番号:50)、AAGCTT(配列番号:51)、GGGCCT(配列番号:52)、AGGCCT(配列番号:53)、GAGCCT(配列番号:54)、AAGCCT(配列番号:55)、GGGCTC(配列番号:56)、AGGCTC(配列番号:57)、GAGCTC(配列番号:58)、AAGCTC(配列番号:59)など。

0121

3.アデニンをグアニンおよびイノシンに置換したものおよび/またはシトシンまたはチミンをウリジンにしたものは、上記の指針に基づいて記載されたとおり作製できる。

0122

オリゴヌクレオチドは、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ウィルスDNA、およびcDNAなどの既存の核酸源から入手できるが、オリゴヌクレオチド合成によって生産された合成オリゴヌクレオチドであることが好ましい。IMSは、一本鎖または二本鎖DNA、RNAおよび/またはオリゴヌクレオシド類の一部であり得る。

0123

IMSは、優先的に非メチル化GpGオリゴヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドである。代わりの実施形態では、1つ以上のアデニン残基またはシトシン残基メチル化されているIMSが含まれる。真核細胞においては、一般にシトシン残基およびアデニン残基はメチル化できる。

0124

IMSは、安定化および/または非安定化オリゴヌクレオチドであり得る。安定化オリゴヌクレオチドとは、エキソヌクレアーゼエンドヌクレアーゼおよび他の分解経路によるインビボ分解に対して比較的抵抗性のあるオリゴヌクレオチドを意味する。好ましい安定化オリゴヌクレオチドは、修飾ホスフェート骨格を有し、最も好ましいオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスフェート酸素硫黄に置換されているホホロチオエート修飾ホスフェート骨格を有する。メチルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロアデートおよびホスホロジチオネートヌクレオチド結合などの骨格ホスフェート基修飾により、IMSに抗菌性を供することができる。IMSは、優先的にホスホロチオエート安定化オリゴヌクレオチドを用いた安定化オリゴヌクレオチドであることが好ましい。

0125

他に安定化オリゴヌクレオチドとしては、荷電した酸素がアルキル化されているアルキルホスホトリエステルおよびアルキルホスホジエステル;荷電したホスホネート酸素がアリール基またはアルキル基で置換されている非イオン性DNA類似物であるアリールホスホネートおよびアルキルホスホネート;または/および一方または両方の末端にヘキサエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールまたは他のジオールを含有しているオリゴヌクレオチドが挙げられる。IMSのヌクレオシド塩基に糖部分を付加するために他の立体位置を用いることができる。

0126

調節ジヌクレオチドにフランクするIMSのヌクレオチド塩基は、公知の天然の塩基または合成の非天然塩基であり得る。自己脂質、自己ポリペプチド、自己糖蛋白質、自己糖脂質、自己糖質および翻訳後修飾自己ポリペプチドまたは翻訳後修飾自己糖蛋白質などの他の化合物に対する他の分子を付加または結合させる手段としての付加箇所、または追加の免疫調節療法のための付加箇所として使用するために、オリゴヌクレオシドは、従来の方法を用いてIMS−ONの内部領域および/または末端へと取り込み得る。IMS−ONの免疫活性に加えて、所望の特性を有するIMS−ONを構築するために、通常の当業者に公知の任意の方法で、IMS−ONの塩基(単数または複数)、糖部分、ホスフェート基および末端部もまた修飾し得る。例えば、糖部分が、任意の立体配置におけるIMS−ONのヌクレオチド塩基に付加し得る。

0127

これらのホスフェート基修飾体をオリゴヌクレオチドにする方法は当業界に公知であり、詳しい説明を要しない。このような有用な方法を調べるために、標的オリゴヌクレオチド産物の中間体であるホスフェートトリエステルを調製し、水性ヨウ素または無水アミンなどの他の試剤により、天然のホスフェートトリエステルへと酸化する。生じたオリゴヌクレオチドホスホルアミデートを硫黄で処理してホスホロチオエートを得ることができる。メチルホスホネートからメチルホスホアミダイトを得るために、同一の一般法硫黄処理テップを除いて)を適用することができる。ホスフェート基修飾法に関する詳細に関しては、通常の当業者は、米国特許第4,425,732号明細書;米国特許第4,458,066号明細書;米国特許第5,218,103号明細書;および米国特許第5,453,496号明細書;ならびにテトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett)、21巻:p.4149 25(1995)、7巻:p.5575(1986)、25巻:p.1437(1984)およびアメリカ化学会誌、93巻:p.6657(1987)、を調べることを希望すると考えられ、それらの開示は、IMSの組成と調製に関する当業界の知識レベルを例示する目的で本明細書に援用している。

0128

特に有用なホスフェート基修飾は、IMS−ONオリゴヌクレオチドのホスホロチオエート形態またはホスホロジチオエート形態への変換である。ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートは、それらの非修飾オリゴヌクレオチド対照物よりもインビボ分解に対してより抵抗性であるため、本発明のIMS−ONを宿主にとってより利用可能なものにする。

0129

IMS−ONは、当業界に周知の方法と核酸合成装置を用いて合成できる。これに関する文献としては、例えば、オースベル(Ausubel)ら著、分子生物学における最新のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第2章および4章(ワイリー・インターサイエンス(Wiley Interscience)、1989年);マニアチス(Maniatis)ら著、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A laboratory Manual)(コールドスプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbour Lab.)、ニューヨーク、1982年);米国特許第4,458,066号明細書および米国特許第4,650,675号明細書、を参照されたい。これらの文献は、合成オリゴヌクレオチドの生産に関する当業界の知識レベルを示す目的で本明細書に参照のため援用している。

0130

あるいは、IMS−ONは、天然CpGモチーフおよびフランキングヌクレオチドの代わりに競合ジヌクレオチドを置換するために、単離微生物ISS−ODNの突然変異によって得ることができる。核酸ハイブリダイゼーションに依るスクリーニング操作によって、適切なプローブまたは抗体が利用できるという条件で、任意の生物から任意のポリヌクレオチド配列を単離することが可能となる。問題の蛋白質をコードする配列の一部に相当するオリゴヌクレオチドプローブは、化学的に合成できる。これには、アミノ酸配列の短いオリゴペプチド伸長を知らなくてはならないという要件がある。前記蛋白質をコードするDNA配列もまた、遺伝子コードから推測できるが、そのコードの縮重を考慮する必要がある。

0131

例えば、cDNA由来の種々のmRNA卵母細胞に注入し、cDNA遺伝子産物の発現が生じる十分な時間をおいて、例えば、関心対象のポリヌクレオチドによってコードされるペプチドに特異的な抗体を使用することにより、または繰り返しモチーフおよび関心対象のポリヌクレオチドによってコードされるペプチドに特徴的な組織発現パターンに関するプローブを使用することにより、所望のcDNA発現産物の存在を試験することによって、ISS含有ポリヌクレオチドを含有すると考えられるcDNAライブラリーをスクリーンできる。あるいは、関心対象のペプチドに特異的な抗体を使用することにより、少なくとも1つのエピトープを有する前記ペプチドの発現に関して、cDNAライブラリーを間接的にスクリーンすることができる。このような抗体は、ポリクローンまたはモノクローン由来のいずれかであり得、関心対象のcDNAの存在を示す発現産物を検出するために用いられる。

0132

一旦、ISS含有ポリヌクレオチドが得られたならば、それを、例えば従来の方法を用いた酵素消化によって、所望の長さに短くできる。次に、ISS−ODNオリゴヌクレオチド産物におけるCpGモチーフの「阻害」ジヌクレオチドと置換するために突然変異させ、本発明の方法を用いて、CpGモチーフを同定する。公知の配列を有するDNAにおける特定の部位に置換突然変異を起こす方法は周知であり、例えば、PCRによるM13プライマー突然変異誘発がある。IMSは、非コード性であるため、置換突然変異の作製においてオープンリーディングフレームの保持に関しての懸念はない。しかし、インビボ使用のためには、ポリヌクレオチド出発物質、ISS−ODNオリゴヌクレオチド中間体またはIMS突然変異産物は、実質的に純粋(すなわち、通常の当業者に知られ、選択された利用できる方法を用いて可能なように天然の汚染物質およびLPSが無い)にする必要がある。

0133

本発明のIMSは単独で使用できるか、または組み替えベクター(プラスミド、コスミド、ウィルスまたはレトロウィルス)内へ、シスまたはトランスに取り込むことができ、次にこれが、組み換え発現ベクターによって送達できる何らかの自己ポリペプチドをコードできる。便宜上、IMSは発現ベクターに取り込ませずに投与されることが好ましい。しかし、発現ベクター内への取り込みが望まれる場合は、通常の当業者に公知の従来の方法を用いて、そのような取り込みが達成し得る。通常の当業者が概観するに当たっては、上記のオースベル(Ausubel)ら著、分子生物学における最新のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)を調べることになろう。

0134

簡潔に述べると、組み換え発現ベクターの構築には、標準的な結合法が採用される。構築されたベクター内の正しい配列を確認する分析には、宿主細胞を形質転換するために結合混合物を使用でき、連続的な形質転換体が適切な抗生物質耐性によって選択される。形質転換体からのベクターが調製され、制限により分析され、および/または、例えばメッシング(Messing)ら、(核酸研究(Nucleic AcidsRes.)、9巻:p.309,1981年)の方法、マキサム(Maxam)ら、(酵素化学における方法(Methods in Enzymology)、65巻:p.499、1980年)、または当業者に公知の好適な方法によって配列決定される。開裂フラグメントのサイズ分離は、例えば、マニアチス(Maniatis)ら、(分子クローニング(Molecular Cloning)、p.133−134、1982年)により記載された従来のゲル電気泳動を用いて実施する。

0135

宿主細胞は、本発明の発現ベクターによって形質転換でき、プロモーターの誘導、形質転換体の選択または遺伝子の増殖に適切なように修飾された通例の栄養培地において培養できる。温度、pHなどの培養条件は、発現用に選択した宿主細胞に以前用いた条件であり、通常の当業者にとって明白であろう。

0136

組み換え発現ベクターが、本発明のIMS−ONのための担体として利用される場合は、プラスミドおよびコスミドが病原性のないことから特に好ましい。しかし、プラスミドおよびコスミドは、ウィルスよりも速やかにインビボ分解を受けるため、炎症性疾患または自己免疫疾患の予防または治療に十分なIMS−ON投与量を送達し得ないと考えられる。

0137

ベクターの構築、細胞のトランスフェクションおよび感染に用いられる多くの方法が当業界で広く実施されており、多くの実践者は特異的条件および操作を示す標準的な供給源物質に精通している。

0138

自己免疫疾患治療用薬剤の共投与
上記のように、本発明の薬剤(メバロネート阻害剤および第2の免疫調節剤)は、自己免疫疾患治療のために患者に共投与される。共投与とは、各薬剤が患者内に同時に存在し、かつ有効であるように、各々の有効用量で、薬剤(複数)を患者に投与することを意味する。したがって、共投与とは、同一の患者に対する投与ではあるが、必ずしも同一の部位への、または同一の経路による投与とは限らない投与を言う。ある実施形態において、薬剤(複数)は同時に投与される。他の実施形態において、第2の薬剤が投与される前に第1の薬剤が患者体内に存在し、有効であり、第2の薬剤投与後に、双方の薬剤が共に存在し有効であるように薬剤(複数)が調整的に投与される。前記薬剤は、一般に別々の製剤として調整的に共投与される。さらに、前記薬剤は、同一の投与経路により、または異なった投与経路によって投与され得る。異なった投与経路としては、例えば、同一の治療法における薬剤の全身経路と局所経路を挙げることができる。例えば、併用療法として、スタチンと自己ポリペプチドとをコードする自己ベクターとの共投与が挙げられる場合、スタチンを経口送達し、自己ベクターを筋肉内投与することができる。

0139

本明細書に記載された本発明の各実施形態において、治療または予防が求められている自己免疫疾患の管理に関連した従来の方法論矛盾しない様式で、薬剤が送達される。本明細書の開示に従って、薬剤の有効な用法が、そのような治療を必要としている患者に対して、ある一定期間、自己免疫疾患の治療に十分な条件下で投与される。

0140

本発明による併用療法の患者は、自己免疫疾患を発現する危険性の高い患者、ならびに現在、自己免疫疾患を示している患者を含む。典型的には患者は、治療が求められている自己免疫疾患を有していると診断される。さらに、治療に応答した自己免疫疾患の症状における何らかの変化に関して、治療経過の間、患者をモニターできる。

0141

本発明の方法による治療のための対象患者を確認するために、受け入れスクリーニング法を用いて、特定の自己免疫疾患に関連する危険因子を判定するか、または患者に確認された既存の疾患状態を判定する。このような方法は、例えば、ある個人が、自己免疫疾患と診断されたことのある親族を有しているかどうかを確認することを含むことができる。スクリーニング法はまた、例えば、遺伝的要素を有することが知られている、ある特定の自己免疫疾患または炎症性疾患に関する家族の状況を確認するための通例的な調査を含むことができる。この目的のために、慣例的にヌクレオチドプローブを用いて、関心対象のある特定の自己免疫疾患に関連した遺伝子マーカーを担持する個人を確認することができる。さらに、特定の自己免疫疾患に関するマーカーを確認するために有用な種々多様な免疫学的方法が当業界に知られている。例えば、自己免疫疾患の特定の生理学的マーカーに関連した自己抗体を検出するためにモノクローンの抗体プローブを用いる種々のELISA免疫アッセイ法が利用でき、当業界によく知られている。このようなスクリーニングは、既知の患者の症状、年齢因子、関連危険因子などによって示された場合に実施できる。これらの方法により、臨床医は自己免疫疾患の治療のために、本明細書に記載された方法を必要としている患者を慣例的に選択できる。これらの方法に従って、併用療法を独立した予防プログラムまたは治療プログラムとして、または他の治療に対する追跡的、補助的または対等の治療法として実施できる。

0142

治療によって患者の望ましくない臨床的症状が安定化または軽減される、進行中の疾患の治療は特に興味深い。このような治療は、冒された組織の機能の完全な損失前に実施されることが望ましい。患者の療法は、疾患の症状期の間、投与されることが望ましく、幾つかの場合は、疾患症状が再発している(すなわち、多段階の)疾患の症状期の後に投与されることが望ましい。前症状期または前臨床期は、疾患部位、例えば中枢神経などにT細胞の関与が存在するが、明白な疾患を示す臨床的症状を生じさせるほど機能の損失は、まだ重篤ではない時期と定義される。T細胞の関与は、疾患部位におけるT細胞数の上昇、自己抗原に特異的なT細胞の存在、疾患部位におけるパフォームス(performs)およびグランザイムの遊離、免疫抑制療法に対する応答などによって確証できる。

0143

当業者は、投与量レベルが特定化合物の機能、症状の重症度および副作用に対する患者の感受性によって変化し得ることを容易に理解するであろう。特定化合物の幾つかは、他の化合物よりも強力である。所与の化合物に対する好ましい投与量は種々の手段により当業者によって容易に判定できる。好ましい手段によって、所与の化合物の生理的な効能を測定する。

0144

ある療法の有効性を判定するには、T細胞応答の判定に関するアッセイが利用できる。例えば、未処置宿主の負の対照に比してサンプル中に見られた反応性T細胞の数に基づくか、または1人以上の患者から得られたデータ曲線標準化して、前記アッセイにより反応性レベルを判定できる。自己抗原反応性T細胞の定性的および定量的存在の検出に加えて、炎症性応答を増大または抑制させることが知られているサイトカイン類の発現に関して、T細胞を分類できる。また、反応性T細胞のエピトープ特異性を分類することも望ましい。

0145

T細胞は、患者の末梢血リンパ節、または好ましくは、炎症部位から単離し得る。反応性アッセイは、基本的なT細胞について実施してもよいし、または前記細胞を融合させてハイブリドーマを作製してもよい。このような反応性T細胞は、それらの原位置のモニタリング、T細胞受容体の利用などにより、疾患の進行についてのさらなる分析にも使用できる。T細胞応答性をモニターするアッセイは当業界に知られており、増殖アッセイおよびサイトカイン遊離アッセイが挙げられる。

0146

増殖アッセイでは、特定抗原に応答するT細胞の増殖レベルが測定され、当業界で広く用いられている。典型的なアッセイにおいて、患者のリンパ節、血液または脾臓細胞が得られる約104個から107個の細胞、通常は約105個から106個の細胞の懸濁液を調製し、洗浄してから対照抗原および試験抗原の存在下で培養する。試験抗原は、炎症性T細胞応答を誘導すると考えられる任意の自己由来抗原のペプチドであり得る。前記細胞は通常、数日間培養する。抗原誘導増殖を、培養によるDNAの合成、例えば、培養最後の18時間の3H−チミジンの取り込みをモニターすることによって評価する。

0147

反応性T細胞のサイトカインプロフィルを判定するために酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)が用いられ、また、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、γ−IFNなどのサイトカイン類の発現をモニターするために用いることができる。捕捉抗体は、関心対象のサイトカインに特異的な任意の抗体でよく、ここで上記のT細胞増殖アッセイ上澄み液が、抗原の供給源として便宜よく用いられる。遮断および洗浄後、標識化された検出用抗体を加え、存在する蛋白質濃度を、結合している標識の関数として測定する。

0148

本発明の方法によって溶解し得る哺乳動物種としては、イヌおよびネコ;ウマ;ウシ;ヒツジ;などおよび霊長類、特にヒトが挙げられる。動物モデル、特に小型哺乳類、例えばマウス、ウサギなどを実験研究に使用し得る。他の利用法としては、T細胞媒介炎症の不在下での特定の効果を調べることが望ましい研究が挙げられる。

0149

本発明は、記載した特定の方法論、プロトコル、製剤、薬剤に限定されず、したがってもちろん変化し得る。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態の説明のみが目的であって、本発明の範囲を限定する意図はなく、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定される。

0150

本明細書に挙げられた刊行物は全て、例えば、当該の記載された発明に関連して使用できると思われない刊行物において記載されている方法および方法論を説明および開示する目的を含む全目的のために、それらの全体を参照として本明細書に援用している。上記および本文をとおして検討された刊行物は、本出願の出願日前にそれらを開示するためにのみ提供されている。先行発明のために、発明者がそのような開示を前日付けにする資格が与えられないことを認めるものとして、本明細書の事柄を解釈すべきではない。

0151

以下の実施例は、通常の当業者に当該発明の作成法および利用法についての完全な開示および説明を提供するために記載されており、当該発明と考えられるものの範囲を限定する意図はない。用いられた数値(例えば、量、温度、濃度など)に関しては正確さを保証するよう努力したが、いくらかの実験的誤差および偏差は許容されよう。他に表示しない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、圧力は大気圧またはその近傍である。

0152

実施例1:多発性硬化症に関する動物モデルの治療目的のアトルバスタチン
多発性硬化症(MS)のモデルとして役立つTh1媒介中枢神経系(CNS)脱髄疾患である実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)における前炎症応答を、アトルバスタチン(リピトール(Lipitor(登録商標)))が阻害し得るかどうかを調べた。C57BL/6マウスにおいて、MOG p35〜55誘導慢性EAEの発症時に開始したアトルバスタチンの毎日の経口投与によって、麻痺が好転した。また、アトルバスタチンは、PLPp139〜151によって誘発された再発寛解EAEにおいて、急性発作後に投与された場合、SJL/Jマウスにおける再発を改善した。急性EAEは、MBPAc1〜11で処理したTgマウスにおいても予防された。アトルバスタチン処理マウスから取られた脳および脊髄の組織学的評価により、脈管周囲の病巣数、ならびにそれらの病巣における浸潤程度の双方に著しい減少が示された。個々のプロモーター(p)I、pIIIおよびpIV転写体の発現を含むCNSMHCクラスII転写活性化因子(CIITA)発現が、アトルバスタチン処理マウスにおいて減少した。アトルバスタチン処理は、CNS−自己抗原特異的な増殖性T細胞応答の減少、IFN−γおよびIL−2の分泌低下およびこれらT細胞によるIL−4およびIL−10の分泌上昇を伴った。このように、アトルバスタチン処理により、Th2傾向が促進された。これらの結果により、アトルバスタチンが脱髄疾患の治療に有効な免疫調節剤であることが示される。

0153

方法:
実験操作
動物。メスSJL/J、B10.PLおよびC57BL/6マウス(8〜12週齢)を、ジャソン・ラボラトリー(Jackson Laboratory)(メイン州バーハーバー所在)から購入した。MBPAc1〜11形質転換(tg)TCRマウスをB10.PLマウスを戻し交雑して、EAEに対する感受性を得た。全ての動物プロトコルは、スタフォード(Stanford)の比較医学部によって承認され、国立衛生研究所の指針に従った。

0154

ペプチド。ペプチドは標準的な9−フルオレニルメトキシカルボニル化学により、ペプチド合成機(モデル9050;ミリゲン(MilliGen、マサチューセッツ州バーリントン所在)で合成した。ペプチドは、HPLCによって精製した。構造はアミノ酸分析および質量分析によって確認した。これらの実験に使用されたペプチド類は、マウスMBPAc1〜11 1(Ac−ASQKRPSQRHG)(配列番号:60)、MOG35〜55(MEVGWYRSPFRVVHLYRNGK)(配列番号:61)、PLP139〜151(HCLGKWLGHPDKF)(配列番号:62);および増殖アッセイとサイトカインアッセイにおいて負の対照として用いられたウィルスペプチドのHSVP16(DMTPADALDDRDLEM)(配列番号:63)であった。

0155

薬物処理。アトルバスタチン(リピトール(Lipitor(登録商標)))錠は商品として入手し、PBSに溶解させた。18mmの給餌針を用いて、マウスに1日1回、0.5MLアトルバスタチン(1mg/kgまたは10mg/kg)、またはPBSのみを経口投与した。アトルバスタチン処理期間は、結果の節に示してある。

0156

EAE誘導。再発寛解EAEを100μgのPLP139〜151ペプチドによって、SJL/Jマウスに誘導し、慢性進行性EAEは、100μgのMOG35〜55ペプチド、または100μgのMBPAc1〜11ペプチドにより、それぞれ、C57BL/6マウス、またはMBP Ac1〜11TCRTgマウスに誘導した。ペプチドは全て、2mg/ml濃度でPBS中に溶解させ、4mg/mlの熱殺処理の結核菌H37Ra(ディフコ・ラボラトリーズ(Difco Laboratories)、ミシガン州デトロイト所在)により補足された不完全フロイントアジュバントからなるCFAの等容量で乳化した。マウスに、0.1miのペプチド乳濁液により皮下注射した。ペプチド免疫の当日、および48時間後、C57BL/6マウスとMBP Ac1〜11TCR Tgマウスのみに、0.1mlのPBS中1μg/mlの百日咳菌毒素静脈内注射した。マウスは、臨床的に以下のように評価した:0、麻痺なし;1、尾部脱力または麻痺;2、後肢脱力または麻痺;3、後肢麻痺および前肢脱力;4、後肢および前肢麻痺;5、動物の瀕死状態または死亡

0157

Ag特異的エクスビボT細胞増殖アッセイ。種々の株全てにおいて、EAE誘導の2日前に、毎日アトルバスタチンの1mg/kgまたは10mg/kg、またはPBSによる治療を開始した。EAE誘導の10日後(すなわち、アトルバスタチン治療の12日後)、対照、1mg/kgまたは10mg/kgアトルバスタチン処理のSJL/J、C57BL/6マウスおよびMBPAc1〜11形質転換マウスから排液リンパ節および脾臓を取り出した。リンパ節細胞(LNC)または脾臓細胞を、特定の脳遺伝子ペプチド(それぞれ、PLP139〜151、MOG35〜55またはMBP Ac1〜11)に対する特異的増殖応答に関してインビトロ培養した。LNC類は、5×106細胞/mlの濃度、0.2ml/ウェルの容量で、96ウェルマイクロ滴定プレートにおいて調製した。培養培地は、1%自己由来新鮮通常マウス血清を補足した富栄養化PMI(L−グルタミン[2mM]、ピルビン酸ナトリウム[1mM]、非必須アミノ酸[0.1mM]、ペニシリン[100U/ml]、ストレプトマイシン[0.1mg/ml]、2−ME[5×10−5M]で補足したRPMI)と追加の種々の濃度のペプチドで構成した。培養液は、5%CO2を含有した湿潤大気において37℃で培養した。SJL/JマウスまたはC57BL/6マウスから得た培養液は72時間温置し、一方、MBPAc−1−11Tgマウスから得た培養液は48時間温置し、次に1μCi/ウェルの[3H]チミジンで18時間パルスした。次いで前記細胞を採取して、βカウンターカウントした。

0158

サイトカインプロフィルの決定。EAEドナーからのリンパ節細胞および脾臓細胞を脳遺伝子ペプチドを用いて、または用いずに、または陽性対照としてCoAを用いて、24ウェルプレートにおいてインビトロ(2.5×106細胞/ml)で刺激した。サイトカイン濃度を測定するために、種々の時点で細胞培養上澄み液を採取した:IL−2に関して48時間目、IFN−γおよびTNFαに関して72時間目、IL−4およびIL−10に関しては120時間目。サイトカイン溶液は、製造元のプロトコル(ファーミンゲン(PharMingen)、米国カリフォルニアサンディエゴ)に従い、対応するサイトカイン用の特定のELISAキットを用いて測定した。

0159

総RNA単離。マウスを殺処理し、20mlの冷滅菌PBSによって灌流した。脳を直ちに単離し、総RNAを製造元のプロトコルにより推奨されたトリゾール試薬インビトロゲン(Invitrogen))を用いて単離した。次に総RNA量を260nmで測定した。

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