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技術 絨毛膜絨毛、羊水、および胎盤からの胎児性幹細胞を単離、増殖、および分化させる方法、ならびにその治療的使用方法

出願人 チルドレンズメディカルセンターコーポレーション
発明者 アタラアンソニーデコッピパオロ
出願日 2002年11月15日 (18年9ヶ月経過) 出願番号 2003-544219
公開日 2005年4月14日 (16年4ヶ月経過) 公開番号 2005-509422
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理 動物,微生物物質含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 支持帯 機能的挙動 塩基性塩溶液 カルシウム沈着物 光学器械 毛管構造 速度制御システム 杆状体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年4月14日)のものです。
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図面 (12)

課題・解決手段

本発明は、絨毛膜絨毛羊水、および胎盤由来する多能性胎児性幹細胞、ならびにこれらの細胞を単離、増殖、および分化させるための方法、ならびに、遺伝子トランスフェクションおよび他の手段によって、治療的な適用のために胎児性幹細胞を操作するような、それらの治療的使用に関する。

概要

背景

発明の背景
幹細胞は、再生および分化の双方を行う能力をもつ唯一細胞集団である。この運命の選択は、内因性シグナルおよび外部の微小環境によって高度に制御される。それらは、正常な細胞老化または損傷によって失われた細胞の補充にそれらが寄与する骨髄骨格筋、皮膚、および脂肪組織のような、多くの成体哺乳動物組織において同定することが可能である。成体組織における幹細胞は元来考えられていたよりも多くの細胞タイプ成長できる可能性があるにも関わらず、それらの細胞の再生またはターンオーバーは限られている。

幹細胞は、胚発生期間および出生後に、骨髄、骨格筋、および皮膚において存在することが報告されている。胚性ES)細胞は、胞胚期における内部細胞塊(ICM)に由来し、宿主胚盤胞に置かれた場合に分化全能性細胞として関与するという特性を有する。それらは、3つの胚葉(EG)の各々に限定された遺伝子の発現活性化できるのみならず、インビボにおける発生経路に対する影響が確立されている、多くの異なる可溶性成長因子のための受容体を発現することも可能である。

一方、成体性幹細胞は、自発的に分化しないが、適切な成長条件を適用することによって、分化するように誘導することが可能である。成体性幹細胞は、培養において維持するのがES細胞より容易であると考えられる。成体性幹細胞は、不死でなく、それらのほとんどは培養において一定数継代を経た後にその多分化能を失うという欠点を有する。この短い寿命は、大量の細胞が必要とされる臨床的な適用のためには問題となり得る。

成体性幹細胞とは対照的に、胚盤胞期初期哺乳動物胚に由来するES細胞には、自分自身無限に増殖して置き換えるのみならず、任意の細胞タイプを形成する能力を有する細胞を生み出す能力がある。ES細胞は、自発的に様々なタイプの組織に分化する傾向があるが、特定の成長誘導条件によって特定の細胞タイプへ独占的に分化が行われるのではない。そのような細胞の単離、長期の培養、および分化について説明する2つの報告によって、これに関する興味が著しく喚起されており、それらは参照として本明細書に組み入れられる(Shamblott, Michael J.ら,「Derivation of Pluripotent Stem Cells from Cultured Human Primordial Germ Cells」, Proc.Natl.Acad. Sci. USA, 第95巻, 13726〜31, 1998年11月;Thomson, James A.ら,「Embryonic Stem Cell Lines Derived from Human Blastocysts」, Science, 第282巻, 1145〜47, 1998年11月6日)。ES細胞の研究には科学的な関心が非常に高いにも関わらず、採取のための破壊およびES細胞に対する実験については、未解決倫理的な課題がなおも生じている。

胎児組織は、その多能性増殖能のために、そして免疫原性がないために、自家移植片移植および同種移植片移植、ならびに組織再生工学的研究のために過去に使用されてきた。胎児性細胞は、成体性細胞よりも高い増殖能を維持しており、培養においてその多能性をより長く保持できる。しかし、胎児性細胞の移植片では、克服することが非常に難しい問題による困難が生じる。胎児組織は、現在、妊娠期間中に胎児自体の生検から得ることが可能であり、または分娩時において臍帯血から得ることが可能であるが、どちらの手法も一定の弊害を伴う。胎児組織は、中絶胚から得ることも可能であるが、この供給源は限られている。中絶胎児または生きた胎児からの細胞の使用に関わる倫理的な課題以外にも、解決すべき部分の残る他の問題点がある。例えば、研究から、一般に、パーキンソン病を有する1人の患者治療するために十分な材料を提供するには、約6個体の胎児が必要であることが示された。

幹細胞、特に多能性幹細胞は、治療的な適用のための優れた供給源であると考えられるため、豊富で操作が容易な、そして倫理的な考慮が避けられるような幹細胞の供給源について、非常に大きな必要性がある。

概要

本発明は、絨毛膜絨毛羊水、および胎盤に由来する多能性胎児性幹細胞、ならびにこれらの細胞を単離、増殖、および分化させるための方法、ならびに、遺伝子トランスフェクションおよび他の手段によって、治療的な適用のために胎児性幹細胞を操作するような、それらの治療的使用に関する。

目的

例えば、研究から、一般に、パーキンソン病を有する1人の患者を治療するために十分な材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
2件

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請求項1

絨毛膜絨毛羊水、または胎盤サンプルからc-kit陽性細胞を選択する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を製造するための方法。

請求項2

c-kitに対する抗体を用いて選択が行われる、請求項1記載の方法。

請求項3

抗体がモノクローナル抗体である、請求項2記載の方法。

請求項4

モノクローナル抗体が、ヒトc-kitの抗原性エピトープに対するマウスモノクローナルIgGである、請求項2記載の方法。

請求項5

抗体が蛍光色素に連結されたものである、請求項2記載の方法。

請求項6

抗体が磁気粒子に結合される、請求項2記載の方法。

請求項7

選択がフローサイトメトリーによるものである、請求項1記載の方法。

請求項8

選択が蛍光細胞分析分離または高勾配磁気分離によるものである、請求項1記載の方法。

請求項9

SSAEおよび/またはSSAE4胚性幹細胞によって発現されるマーカーを発現する細胞について付加的に選択することにより、多能性胎児性幹細胞についてさらに増加させる段階をさらに含む、請求項1記載の方法。

請求項10

SSAE1マーカーを発現する細胞を集団から除去することによって、多能性胎児性幹細胞集団をさらに増加させる段階をさらに含む、請求項1または請求項9記載の方法。

請求項11

絨毛膜絨毛、羊水、または胎盤のサンプルが、選択段階以前に凍結保存される、請求項1記載の方法。

請求項12

c-kit陽性細胞を凍結保存する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。

請求項13

以下の段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を増殖させる方法:(a)絨毛膜絨毛、羊水、または胎盤のサンプルから、少なくとも1つのc-kit陽性細胞を選択する段階;(b)少なくとも1つの選択された該細胞を培養培地に導入する段階;および(c)培養培地において、少なくとも1つの選択された該細胞を増殖させる段階。

請求項14

絨毛膜絨毛、羊水、または胎盤のサンプルを提供する段階と、1つまたはそれ以上の分化誘導物質にサンプルを曝露することによって、該サンプル内のc-kit陽性細胞の分化誘導する段階とを含む、c-kit陽性多能性胎児性幹細胞を分化する方法。

請求項15

分化誘導物質によって、骨形成表現型造血表現型、脂質生成表現型、筋表現型、肝表現型、神経表現型、および内皮表現型からなる群より選択される表現型を有する細胞がもたらされる、請求項14記載の方法。

請求項16

以下の段階を含む、c-kit陽性多能性胎児性幹細胞を分化する方法:(a)絨毛膜絨毛、羊水、または胎盤のサンプルを提供する段階;(b)該サンプルから細胞を得る段階;および(c)1つまたはそれ以上の分化誘導物質に該細胞を曝露することによって、該サンプル内の、段階(b)からのc-kit陽性細胞の分化を誘導する段階。

請求項17

分化誘導物質への曝露以前に細胞が培養される、請求項16記載の方法。

請求項18

分化誘導物質によって、骨形成表現型、造血表現型、脂質生成表現型、筋表現型、肝表現型、神経表現型、および内皮表現型からなる群より選択される表現型を有する細胞がもたらされる、請求項16記載の方法。

請求項19

以下の段階を含む、多能性胎児性幹細胞を保存するための方法:(a)ヒトの被験者から絨毛膜絨毛、羊水、または胎盤のサンプルを得る段階;(b)サンプルから、実質的に増加させたc-kit陽性多能性胎児性幹細胞集団を単離する段階;および(c)単離された、実質的に増加させたc-kit陽性多能性胎児性幹細胞集団を凍結保存する段階。

請求項20

請求項1〜11のいずれか一項記載の方法に従って調製された多能性胎児性幹細胞。

請求項21

c-kit陽性である、単離された多能性胎児性幹細胞。

請求項22

実質的に増加させた多能性c-kit陽性ヒト胎児性幹細胞集団を、その必要のある個体に投与する段階を含む、ヒトにおける疾患を治療する方法。

請求項23

増加させた多能性c-kit陽性ヒト胎児性幹細胞集団を、その必要のあるヒトに移植する方法。

請求項24

増加させた多能性c-kit陽性ヒト胎児性幹細胞集団を含む、骨髄移植に適した組成物

請求項25

骨形成細胞系統造血細胞系統脂肪細胞系統、筋細胞系統、肝細胞系統、神経細胞系統、および内皮細胞系統から選択される系統に分化させた多能性c-kit陽性ヒト胎児性幹細胞を含む実質的に増加させた細胞集団を、その必要のあるヒトに投与する段階を含む、ヒトにおける疾患を治療する方法。

請求項26

疾患がパーキンソン病である、請求項22または請求項25記載の方法。

請求項27

疾患がパーキンソン病であり、細胞系統が神経細胞系統である、請求項25記載の方法。

請求項28

骨形成表現型、造血表現型、脂質生成表現型、筋表現型、肝表現型、神経表現型、および内皮表現型から選択される系統に分化させた多能性c-kit陽性ヒト胎児性幹細胞を含む実質的に増加させた細胞集団を、その必要のあるヒトに移植する方法。

請求項27

骨形成表現型、造血表現型、脂質生成表現型、筋表現型、肝表現型、神経表現型、および内皮表現型から選択される系統に分化させた多能性c-kit陽性ヒト胎児性幹細胞を含む実質的に増加させた細胞集団を含む、骨髄移植に適した組成物。

請求項28

ヒトの胎盤の絨毛膜絨毛から組織検体を単離する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法。

請求項30

ヒトの胎盤から、その細胞を含有する組織検体を単離する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法。

請求項31

絨毛膜絨毛からのc-kit陽性細胞を選択する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法。

請求項32

羊水からのc-kit陽性細胞を選択する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法。

請求項33

胎盤からのc-kit陽性細胞を選択する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法。

請求項34

以下の段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法:(a)絨毛膜絨毛からの組織検体を凍結保存する段階;(b)後日、凍結保存された検体融解する段階;および(c)c-kit陽性細胞を選択する段階。

請求項35

以下の段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法:(a)羊水の検体を凍結保存する段階;(b)後日、凍結保存された検体を融解する段階;および(c)c-kit陽性細胞を選択する段階。

請求項36

以下の段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法:(a)胎盤からの組織検体を凍結保存する段階;(b)後日、凍結保存された検体を融解する段階;および(c)c-kit陽性細胞を選択する段階。

請求項37

以下の段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を製造する方法:(a)絨毛膜絨毛からのc-kit陽性細胞を単離する段階;および(b)培養培地において該細胞を増殖させる段階。

請求項38

以下の段階を含む、分化した組織を製造する方法:(a)絨毛膜絨毛からの組織検体を提供する段階;(b)c-kit陽性細胞を増殖させる条件下において組織を培養する段階;および(c)誘導して、c-kit陽性細胞を分化させる段階。

請求項39

以下の段階を含む、分化した組織を製造する方法:(a)羊水からの組織検体を提供する段階;(b)c-kit陽性細胞を増殖させる条件下において組織を培養する段階;および(c)誘導して、c-kit陽性細胞を分化させる段階。

請求項40

以下の段階を含む、分化した組織を製造する方法:(a)胎盤からの組織検体を提供する段階;(b)c-kit陽性細胞を増殖させる条件下において組織を培養する段階;および(c)誘導して、c-kit陽性細胞を分化させる段階。

請求項41

絨毛膜絨毛からのc-kit陽性細胞を増加させるためにネガティブ選択が使用される、請求項30記載の方法。

請求項42

羊水からのc-kit陽性細胞を増加させるためにネガティブ選択が使用される、請求項31記載の方法。

請求項43

胎盤からのc-kit陽性細胞を増加させるためにネガティブ選択が使用される、請求項31記載の方法。

請求項44

サンプルが次に凍結保存される、請求項28記載の方法。

請求項45

組織工学

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、絨毛膜絨毛羊水、および胎盤からの胎児性幹細胞の単離、増殖、および分化、ならびにその治療的使用に関する。

背景技術

0002

発明の背景
幹細胞は、再生および分化の双方を行う能力をもつ唯一細胞集団である。この運命の選択は、内因性シグナルおよび外部の微小環境によって高度に制御される。それらは、正常な細胞老化または損傷によって失われた細胞の補充にそれらが寄与する骨髄骨格筋、皮膚、および脂肪組織のような、多くの成体哺乳動物組織において同定することが可能である。成体組織における幹細胞は元来考えられていたよりも多くの細胞タイプ成長できる可能性があるにも関わらず、それらの細胞の再生またはターンオーバーは限られている。

0003

幹細胞は、胚発生期間および出生後に、骨髄、骨格筋、および皮膚において存在することが報告されている。胚性ES)細胞は、胞胚期における内部細胞塊(ICM)に由来し、宿主胚盤胞に置かれた場合に分化全能性細胞として関与するという特性を有する。それらは、3つの胚葉(EG)の各々に限定された遺伝子の発現活性化できるのみならず、インビボにおける発生経路に対する影響が確立されている、多くの異なる可溶性成長因子のための受容体を発現することも可能である。

0004

一方、成体性幹細胞は、自発的に分化しないが、適切な成長条件を適用することによって、分化するように誘導することが可能である。成体性幹細胞は、培養において維持するのがES細胞より容易であると考えられる。成体性幹細胞は、不死でなく、それらのほとんどは培養において一定数継代を経た後にその多分化能を失うという欠点を有する。この短い寿命は、大量の細胞が必要とされる臨床的な適用のためには問題となり得る。

0005

成体性幹細胞とは対照的に、胚盤胞期初期哺乳動物胚に由来するES細胞には、自分自身無限に増殖して置き換えるのみならず、任意の細胞タイプを形成する能力を有する細胞を生み出す能力がある。ES細胞は、自発的に様々なタイプの組織に分化する傾向があるが、特定の成長誘導条件によって特定の細胞タイプへ独占的に分化が行われるのではない。そのような細胞の単離、長期の培養、および分化について説明する2つの報告によって、これに関する興味が著しく喚起されており、それらは参照として本明細書に組み入れられる(Shamblott, Michael J.ら,「Derivation of Pluripotent Stem Cells from Cultured Human Primordial Germ Cells」, Proc.Natl.Acad. Sci. USA, 第95巻, 13726〜31, 1998年11月;Thomson, James A.ら,「Embryonic Stem Cell Lines Derived from Human Blastocysts」, Science, 第282巻, 1145〜47, 1998年11月6日)。ES細胞の研究には科学的な関心が非常に高いにも関わらず、採取のための破壊およびES細胞に対する実験については、未解決倫理的な課題がなおも生じている。

0006

胎児組織は、その多能性増殖能のために、そして免疫原性がないために、自家移植片移植および同種移植片移植、ならびに組織再生工学的研究のために過去に使用されてきた。胎児性細胞は、成体性細胞よりも高い増殖能を維持しており、培養においてその多能性をより長く保持できる。しかし、胎児性細胞の移植片では、克服することが非常に難しい問題による困難が生じる。胎児組織は、現在、妊娠期間中に胎児自体の生検から得ることが可能であり、または分娩時において臍帯血から得ることが可能であるが、どちらの手法も一定の弊害を伴う。胎児組織は、中絶胚から得ることも可能であるが、この供給源は限られている。中絶胎児または生きた胎児からの細胞の使用に関わる倫理的な課題以外にも、解決すべき部分の残る他の問題点がある。例えば、研究から、一般に、パーキンソン病を有する1人の患者を治療するために十分な材料を提供するには、約6個体の胎児が必要であることが示された。

0007

幹細胞、特に多能性幹細胞は、治療的な適用のための優れた供給源であると考えられるため、豊富で操作が容易な、そして倫理的な考慮が避けられるような幹細胞の供給源について、非常に大きな必要性がある。

0008

発明の概要
本発明者らは、絨毛膜絨毛、羊水、および胎盤が、治療的な適用のための多能性胎児性幹細胞の優れた供給源を提供することを発見した。これらの胎児性幹細胞は、成体性幹細胞よりも優れた増殖能を有し、現在あるようなヒトの胚性幹細胞の使用に関連する論争が避けられる。絨毛膜絨毛、羊水、および胎盤のサンプルから単離されたc-kitpos細胞は、特定の細胞系列に分化し、それらを成長させるためにはフィーダー細胞層が必要でない。そして最も重要なことに、これらの細胞の単離には、ヒトの胚を犠牲にする必要がないため、現在あるようなヒトの胚性幹細胞の使用に関連する論争が避けられる。

0009

したがって、本発明は、絨毛膜絨毛、羊水、および胎盤に由来する多能性胎児性幹細胞、ならびにこれらの細胞を単離、増殖、および分化させるための方法、ならびに、限定はしないが、酵素補充療法および遺伝子治療、例えば熱傷および創傷手当を含めた組織の再生および置換を含む治療的な適用のための、遺伝子トランスフェクションおよび他の方法による胎児性幹細胞の操作のような、それらの治療的な使用を意図するものである。

0010

ある局面において、本発明は、ヒトの被験者から絨毛膜絨毛および/または羊水および/または胎盤のサンプルを得る段階、ならびにc-kit陽性細胞をサンプルから単離する段階を含む、多能性ヒト胎児性幹細胞を得るための方法を提供する。本発明は、単離前または単離後に、培養培地においてc-kit陽性細胞を培養する段階または増殖させる段階をさらに提供する。絨毛膜絨毛、羊水、または胎盤のサンプルは、c-kit陽性細胞を単離または分化させる以前に凍結保存することが可能である。または、c-kit陽性細胞は、サンプルから単離され、その後凍結保存される。細胞は、分化前または分化後に凍結保存することが可能である。

0011

なおもその他の局面において、本発明は、絨毛膜絨毛および/または羊水および/または胎盤に由来する、単離された多能性ヒト胎児性幹細胞を、限定はしないが、骨形成系統、脂質生成系統筋系統、神経系統造血系統、および内皮系統を含む、異なる系統の細胞に分化させるための方法を提供する。分化は、例えば細胞の形態および遺伝子発現における変化によって、明らかにすることが可能である。

0012

さらなる局面において、本発明は、絨毛膜絨毛サンプル、羊水サンプル、または胎盤サンプル内に含まれるc-kit陽性胎児性幹細胞を、限定はしないが、骨形成系統、脂質生成系統、筋系統、神経系統、造血系統、肝系統、および内皮系統を含む、異なる系統の細胞へ分化させるための方法を提供する。本方法は、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、1つまたはそれ以上の分化誘導物質にサンプルを曝露する段階を含む。細胞は、分化前にサンプルから単離することが可能である。

0013

なおもその他の局面において、本発明は、絨毛膜絨毛、羊水、および胎盤に由来する多能性ヒト胎児性幹細胞の生存度、増殖能、および寿命を評価するための方法を提供する。

0014

その他の局面において、本発明は、その必要のあるヒトに、骨形成細胞系統、造血細胞系統脂肪細胞系統、筋細胞系統、肝細胞系統、神経細胞系統、および内皮細胞系統から選択される系統に分化させた多能性c-kit陽性ヒト胎児性幹細胞を含む、実質的に増加させた(enriched)細胞集団を投与する段階を含む、ヒトにおける疾患を治療する方法を提供する。例えば、本発明の単離多能性c-kit陽性幹細胞を用いて、直接的に、またはそのような細胞をドパミンを産生することができるニューロン細胞系統に分化させた後に、パーキンソン病を治療することが可能である。

0015

本発明は、それを必要とするヒトに、骨形成表現型造血表現型、脂質生成表現型、筋表現型、肝表現型、神経表現型、および内皮表現型から選択される系統に分化させた多能性c-kit陽性ヒト胎児性幹細胞を含む、実質的に増加させた細胞集団を移植する方法をさらに提供する。

0016

その他の局面において、本発明は、骨形成表現型、造血表現型、脂質生成表現型、筋表現型、肝表現型、神経表現型、および内皮表現型から選択される系統に分化させた多能性c-kit陽性ヒト胎児性幹細胞を含む、実質的に増加させた細胞集団を含有する、骨髄移植に適した組成物を提供する。

0017

さらに、本発明は、ヒトの胎盤の絨毛膜絨毛から組織検体を単離する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法を提供する。

0018

本発明は、ヒトの胎盤、絨毛膜絨毛、または羊水からその細胞を含む組織検体を単離する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法をも提供する。

0019

なおもその他の局面において、本発明は、胎盤からのc-kit陽性細胞を選択する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法を提供する。

0020

本発明は、絨毛膜絨毛、羊水、または胎盤からの組織検体を凍結保存する段階、および、後日、凍結保存検体融解する段階、および、c-kit陽性細胞を選択する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法をさらに提供する。

0021

その他の局面において、本発明は、絨毛膜絨毛、胎盤、または羊水からのc-kit陽性細胞を単離する段階、および培養培地において細胞を増殖させる段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を生産する方法を提供する。

0022

その他の局面において、本発明は、絨毛膜絨毛、羊水、または胎盤からの組織検体を提供する段階、c-kit陽性細胞を増殖させるような条件下において組織を培養する段階;および、誘導して、c-kit陽性細胞を分化させる段階を含む、分化した組織を生産する方法を提供する。

0023

本発明は、ヒトの胎盤の絨毛膜絨毛、胎盤、または羊水から組織検体を単離する段階を含み、ネガティブ選択を用いて、絨毛膜絨毛からのc-kit陽性細胞を増加させる段階をさらに含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法をも提供する。

0024

なおもその他の局面において、本発明は、細胞が後に凍結保存されるような、ヒトの胎盤、絨毛膜絨毛、または羊水からその細胞を含む組織検体を単離する段階を含む、多能性胎児性幹細胞について増加させた細胞集団を得る方法を提供する。

0025

最後に、本発明は、限定はしないが、(a)自己/異種酵素補充療法;(b)遺伝子治療における自己/異種トランスジーン担体;(c)自己/異種組織再生/置換療法;(d)外科的移植による再建治療;(e)これらの細胞の産物を用いた組織の再建治療;および(f)組織再生医工学を含む、絨毛膜絨毛および/または羊水および/または胎盤のサンプルに由来する胎児性幹細胞についての治療的な適用を提供する。

0026

発明の詳細な説明
本発明は、その多能性分化能において胚性幹細胞に匹敵し、したがって治療的に使用することが可能な幹細胞の生きた供給源となる幹細胞集団を得るために、絨毛膜絨毛、羊水、および胎盤の細胞を使用できるという発見に基づく。

0027

絨毛膜絨毛のサンプル採取および羊水穿刺はそれぞれ、ヒトの胚(10〜12週)からの組織の採取のため、およびヒトの胎児(12週〜出産予定日)からの液体収集のために、十分に確立されている技術である。絨毛膜絨毛のサンプル採取は、妊娠している哺乳動物、好ましくはヒトに対して行われ、1980年代から使用されている。この手法は、絨毛膜有毛部−絨毛を含む絨毛膜の部分−のサンプルを採取する段階を含む。絨毛膜は、成長している胎児を囲む外側のである。絨毛膜絨毛は、絨毛膜から現れ、将来的には胎盤を形成する微視的な指様の突出である。絨毛膜絨毛を構成する細胞は胎児起源のものである。

0028

ヒトにおいては、絨毛膜絨毛のサンプル採取は、妊娠10〜12週の間に最もよく行われる。本手法は、患者または医師の選択に依存して、および子宮頸を通して(経子宮頸的に)か、または腹壁を通して(経腹壁的に)かのいずれかにて行われる。胎盤の位置によって、医師がどの方法を使用するかが決められる場合もある。経子宮頸的な手法のためには、女性診察台の上に、支持帯に足を入れて仰向けに横になる。消毒剤によって女性の膣部分を十分に消毒し、膣に滅菌膣鏡を挿入して開き、子宮頸を消毒剤によって消毒する。超音波装置(内部の器官視覚化するために超音波を使用する装置)をガイドとして用い、医師は、子宮頸にカテーテルと呼ばれる薄いプラスチックチューブを入れ、子宮にまで挿入する。カテーテルの子宮頸通過によって、痙攣が引き起こされる可能性がある。医師は、超音波によって作製される画像を注意深く観察し、カテーテルを絨毛膜絨毛にまで進ませる。カテーテルの他方の末端に付着された注射器からの吸引を行うことによって、絨毛膜絨毛の少量のサンプルが得られる。サンプルが採取される度に、痙攣または刺すような痛みが感じられる可能性がある。その後カテーテルは容易に取り出される。

0029

経腹壁的な方法のためには、女性は診察台上に仰向けに横になる。超音波によって、医師は胎盤の位置を確認できる。女性の腹部の特定の部分を消毒剤によって十分に消毒し、その部分を麻痺させるために局所麻酔薬を注射する。超音波によるガイドを用い、女性の腹壁を通し子宮壁を通して絨毛膜絨毛にまで、長い針を挿入する。サンプルは、注射器から吸引を行うことによって得られる。絨毛膜絨毛サンプルは、即時に栄養培地に置かれる。

0030

羊水は、羊水穿刺を使用して得られる。羊水穿刺という語は文字通り、妊娠期間中に成長する胎児が浮遊する液体の薄壁の嚢である「羊膜穿刺」を意味する。サンプル採取手順においては、産科医は、非常に細い針を女性の腹壁を通して子宮および羊膜にまで挿入し、およそ1オンスの羊水を回収する。

0031

医師は、針の位置決めを手引きするために超音波画像を使用し、サンプルを収集し、それによって胎児の損傷のリスクおよび針の挿入を繰り返し行う必要性を最小限にする。一旦サンプルが収集されれば、女性は短い観察期間の後に帰宅することができる。女性は、最初の24時間は休養し、2日間は重いものを持つことを避けるよう指示される可能性がある。結果として、液体に含まれる胎児性細胞が単離され、下記にて説明されるように増殖される。

0032

これらの技術は、本発明に従って絨毛膜絨毛および羊水のサンプルを得るために使用することができる。妊娠個体の絨毛膜絨毛または羊水からの培養細胞は、遺伝病出生前診断のために広く使用されてきた。これらの細胞の形態学異質性はよく知られている。3つ全ての胚葉からの多くの細胞タイプが、異なる分化レベルにおいて、胎盤および羊水に認められる(6)。妊娠期間中および分娩時に大量の絨毛膜絨毛および羊水が入手可能であり、これらの供給源から細胞を容易に得ることができる。分娩後に得ることが可能な胎盤についても同じことが言える。

0033

胎盤のサンプルは、パンチ生検メスを使用して、または、例えばブレンダーを用いて胎盤もしくはその部分を均質化して得ることが可能である。ホモジネートはその後、細胞の供給源として使用することが可能である。

0034

幹細胞の分化は、細胞-細胞の接触および細胞-細胞外マトリックス相互作用を必要とする。特定の理論に縛られることを意図するものではないが、成長期間中に胎児から絨毛膜絨毛および羊水に遊離した細胞は分化のシグナルを全く受けない可能性があるため、そしてそれらの「多分化能性」状態を維持できる可能性があるため、絨毛膜絨毛、羊水、および胎盤は、未分化細胞の優れた供給源となると考えられる。本発明者らは、好ましい細胞はc-kit陽性であることを発見した。したがって、これらの細胞を単離するためにc-kitマーカーを使用することができる。本明細書において使用されるように、「多能性」または「多分化能性」細胞という用語は、完全な分化多様性を有する細胞、即ち、適切な誘導条件において少なくとも骨形成表現型、造血表現型、脂質生成表現型、筋表現型、肝表現型、および内皮表現型への分化能を有する細胞を指し、好ましくは、多能性細胞は、哺乳動物の身体の約260の異なる細胞タイプの任意のものへの分化能を有する。

0035

c-kit遺伝子は、造血、メラニン産生、および生殖能力に必須の、マスト細胞増殖因子とも呼ばれる幹細胞成長因子(SCF)のためのチロシンキナーゼ増殖因子受容体をコードする。より大きな45kDa形態はプロセシングを受け、31kDaの可溶性因子が生じる一方、より小さな32kDa形態からは23kDaの因子が生じる。オルタナティブスプライシングを受けた2つの形態の発現は、幾分組織特異的である;SCFの31kDa形態は線維芽細胞および胸腺組織において発現される一方、23kDaの因子は脾臓精巣、胎盤、および小脳において認められる。c-Kit受容体、Steel factor受容体、幹細胞成長因子受容体、および白血球抗原標準専門用語においてはCD117としても知られるc-kit受容体タンパク質は、造血幹細胞、マスト細胞、生殖細胞メラノサイト、ある種の基底上皮細胞胸部管腔上皮、および胃腸管のCajalの間質細胞において構成的に発現される。c-kit受容体は、生殖細胞の確立、維持、および機能において根本的な役割を担う。胚生殖腺において、c-kit受容体およびそのリガンドSCFは、始原生殖細胞生存および増殖のために必要とされる。出生後の動物個体においては、c-kit/SCFは、性腺刺激ホルモンに反応した、成熟配偶子の生産のために、即ち、精巣の唯一の増殖生殖細胞、精原細胞の生存および/または増殖のために、ならびに卵母細胞の成長および成熟のために必要とされる。実験によって、c-kitがインビトロにおける始原造血細胞の増殖のための潜在的な増殖因子であることが示された。マウスにおいては、その遺伝子座における突然変異によるSCFまたはc-kitのいずれかの欠損によって大球性貧血が起こり、胎内での、または出生後最初の数日以内での死亡が導かれる。

0036

c-kitまたはその部分と反応する抗体は、c-kit陽性細胞を単離するために使用することができる。好ましい態様においては、抗体は、c-kitまたはその部分と特異的に結合する。抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであることが可能であり、抗体という用語は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、ならびにその機能的断片包含することが意図される。ポリクローナルおよびモノクローナルという用語は、ある抗体調製物均質性の程度を指し、特定の生産法に限定されることは意図されない。

0037

したがって、本発明による有用な抗体の例は、c-kitを認識する抗体を含む。そのような抗体は、本明細書においては「c-kit抗体」と呼ばれる。商品として入手可能な有用なc-kit抗体の例は、限定はしないが、Santa Cruz Biotechnology, Inc.から購入できる、表1における抗体を含む。

0038

好ましい抗体は、c-kitのN末端近くにマッピングされる23〜322番目アミノ酸に相当するエピトープを認識する、マウスのモノクローナルIgGであり、ウエスタンブロット法および免疫組織化学法のいずれによっても、いずれのヒト起源のc-Kitも認識する、c-Kit(E-1)である。

0039

商品として入手可能な抗体の付加的な例は、限定はしないが、ヒトCD117に対して特異的な、YB5.B8モノクローナル抗体(eBioscience, San Diego, CA);CD117cDNAを用いてトランスフェクションされたヒト白血病細胞UT7に対して生産される抗体(Chemicon International, Temecula, CA);CD117のC末端に対して生産されるポリクローナル抗体(Assay Designs Inc.,Ann Arbor, Michigan,カタログ番号:90572);クローン28 c-kitモノクローナル抗体(カタログ番号:612318, BD Transduction Laboratories, Franklin Lakes, NJより);CD117のカルボキシ末端に相当する合成KLH連結ペプチドを用いて生み出された、ウサギのポリクローナル抗ヒトc-kitチロシンキナーゼ受容体抗体であるc-kitチロシンキナーゼ受容体抗体ab1462;およびZymed Laboratories Inc.(South San Francisco, CA)からのモノクローナル13CD抗c-kit抗体を含む。

0040

さらに、c-kitまたはその断片を認識する抗体は、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,454,533号において議論されるように得るまたは調製することが可能である。c-kit抗原は、c-kit抗原に対する特異性を有する様々なc-kitモノクローナル抗体等の抗体と接触させることが可能である。c-kit抗体は、還元SDS-PAGEゲルから、ウエスタンブロットを行った場合にc-kitタンパク質またはその断片に結合することによって特徴付けられる。例えば、c-kitのCD117抗原は、商業的に利用可能な標準に基づき、約145kDaの範囲の分子量を有する。

0041

本明細書において使用されるように、「特異的な結合」または「特異的に結合する」という用語は、絨毛膜絨毛、羊水、または胎盤のサンプルにおいて存在する細胞によって発現されるc-kitまたはその断片と抗体の間の相互作用を指す。相互作用は、結合分子、即ちc-kit抗体によって認識されるc-kitの特定の構造、即ちc-kitの抗原決定基またはエピトープの存在に依存する。例えば、抗体がc-kitのエピトープ「A」について特異的である場合、標識「A」および抗体を含む反応における、エピトープA(またはフリー非標識A)を含むタンパク質の存在によって、抗体に結合される標識Aの量が減少する。

0042

さらに、c-kit抗原またはその断片に対する抗体は、ヒトc-kitまたはその断片を発現する細胞を用いて、組織移植片に対して異種の免疫応答性哺乳動物宿主(マウス、げっ歯目ウサギ目ヒツジブタウシ等を含む)を免疫化することによって得ることが可能である。特定の宿主は、主に利便性により選択される。免疫化に適した前駆細胞集団は、例えば、組織または細胞培養からc-kit陽性細胞を単離することによって得ることが可能である。免疫化は、細胞を皮下、筋肉内、腹腔内、脈管内等によって注射することが可能であるような、従来的な技術に従って行われる。通常、約1〜3週間の期間に渡って、普通は約8回の注射を超えないような、1回またはそれ以上の注射に分けられ得る、約106〜108個の細胞が使用される。注射は、例えば完全フロイントアジュバントまたは不完全フロイントアジュバント、specol、ミョウバン等のようなアジュバントを用いることが可能である、または、用いないことが可能である。

0043

免疫化プログラムの完了後、従来法に従って抗血清を採取し、c-kit抗原またはその断片を含む、前駆細胞表面膜タンパク質に対して特異的な多角抗血清を提供することが可能である。リンパ球は、例えば脾臓、排出リンパ管等のような、適切なリンパ組織から採取され、適切な融合パートナー、通常は骨髄腫系と融合され、特異的なモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマが作製される。ハイブリドーマのクローンの、関心対象抗原特異性についてのスクリーニングは、従来法に従って行われる。

0044

c-kitまたはその断片に対する抗体は、通常の多量体構造の代わりに単鎖として生産することが可能である。単鎖抗体は、参照として本明細書に組み入れられる、Jostら, 269 J.Biol.Chem. 26267〜73(1994)および他において説明されている。重鎖可変領域および軽鎖の可変領域をコードするDNA配列を、グリシンまたはセリンを含む低分子中性アミノ酸のうち少なくとも約4アミノ酸をコードするスペーサーライゲーションする。この融合体によってコードされるタンパク質により、もとの抗体の特異性および親和性を保持する機能的な可変領域の集合が可能になる。

0045

c-kitまたはその断片に対する抗体は、キメラ免疫グロブリン遺伝子構築するためにIgcDNAを使用することによって生産することが可能である(参照として本明細書に組み入れられる、Liuら, 84 Proc.Natl.Acad.Sci. 3439(1987)および139 J.Immunol. 3521(1987))。mRNAは、抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞から単離され、cDNAを生産するために使用される。関心対象のcDNAは、特定のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって増幅することが可能である(米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号)。または、ライブラリを作製してスクリーニングし、関心対象の配列を単離する。抗体の可変領域をコードするDNA配列をその後、ヒトの定常領域配列に融合する。ヒトの定常領域遺伝子の配列は、Kabatら, 「Sequences of Proteins of Immunological Interest」N.I.H.publication No.91-3242(1991)において見出すことができる。ヒトのC領域遺伝子は、既知のクローンから容易に入手可能である。その後、従来法によってヒト化キメラ抗体を発現させる。

0046

c-kitまたはその断片に対する抗体は、Fv、F(ab’)2、およびFabのような抗体断片として生産することもできる。抗体断片は、例えばプロテアーゼまたは化学的切断により、完全なタンパク質を切断することによって調製することが可能である。または、分断された遺伝子を設計する。例えば、F(ab’)2断片のある部分をコードするキメラ遺伝子は、H鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列、およびそれに続く、分断された分子を得るための翻訳停止コドンを含む。

0047

c-kit陽性細胞の選択は、蛍光色素に連結されたc-kit抗体を用いて蛍光細胞分析分離を使用するもののようなフローサイトメトリーを含む、当技術分野において既知の任意の適切な方法によることが可能である。選択は、磁気粒子に結合されたc-kit抗体を用いた高勾配磁気分離によることも可能である。固体相への付着およびそこからの解離を含む任意の他の適切な方法も、本発明の範囲内であることが意図される。

0048

業者は、c-kit抗体を用いた免疫選択によって細胞集団を誘導することが可能である。細胞集団は、少なくとも30%のc-kit陽性(c-kit+またはc-kitpos)多能性胎児性幹細胞、好ましくは少なくとも50〜70%のc-kit+胎児性幹細胞、およびより好ましくは90%より多くのc-kit+胎児性幹細胞を含むべきである。最も好ましいのは、少なくとも95%のc-kit+胎児性幹細胞を含む、実質的に純粋なc-kit+胎児性幹細胞集団である。

0049

細胞集団におけるc-kit陽性細胞の数は、当業者に既知の、任意のよく知られた方法において決定することができる。例えば、図1Aにおいて示されるように、FACS解析を使用することができる。または、細胞を分離するために、磁気細胞分取技術(MACS)を使用することができる(例えば、Miltenyi Biotech, Inc., Auburn, CAを参照のこと)。MACSにおいては、c-kit陽性細胞を、絨毛膜絨毛細胞、羊水、および胎盤の細胞の混合物から非常に高い純度にまで分離することが可能である。c-kit陽性細胞は、c-kit抗原に直接結合するかまたはc-kitを認識する抗体に結合するように設計することが可能な、超常磁性MACSマイクロビーズを用いて特異的に標識される。磁気標識後、細胞を、強い永久磁石の中に置かれた分離カラムを通過させる。カラムマトリックスは、高勾配の磁場を作る役割を果たす。磁気的に標識された細胞は、カラム中に保持される一方、非標識細胞は通過する。カラムを磁場から取り除いた後、磁気的に保持された細胞を溶出する。標識画分および非標識画分の双方を、完全に回収することが可能である。

0050

増加させたc-kit陽性多能性胎児性幹細胞集団を含む、本明細書において説明されるインビトロの細胞培養は、一般に、培養がc-kitおよびSSAE3およびSSAE4について陽性に染色され、少なくとも2つ、好ましくは3つ、最も好ましくは、少なくとも以下の細胞系統の全てに分化することが可能な子孫細胞を生み出すという点で特徴付けられる:その例が下記の実施例において説明される分化誘導条件の存在下において、骨形成細胞系統、脂肪細胞系統、神経細胞系統、筋細胞系統、造血細胞系統、肝細胞系統、および内皮細胞系統。望ましい細胞系統を分化させるための分化誘導物質およびその組み合わせのさらなる例は、「Stem Cells: Scientific Progress and Future Research Directions」(Appendix D. Department of Health and Human Services. 2001年6月, http://www.nih.gov/news/stemcell/scireport.htm)において見出すことができる。

0051

免疫染色
絨毛膜絨毛サンプル、羊水サンプル、または胎盤から単離された細胞を含む生物学的サンプルを、c-kit抗体によって結合されるc-kitを発現する細胞の存在についてアッセイする任意の好都合免疫アッセイ法によって、c-kit+胎児性幹細胞の存在についてアッセイする。アッセイは、細胞溶解物、完全な細胞、凍結切片等に対して行うことができる。

0052

細胞分取
c-kitなどの胎児性幹細胞に対する細胞表面抗原の使用により、胎児性幹細胞集団の正の免疫選択のための方法、および、例えばフローサイトメトリーを用いた、前駆細胞集団の表現型解析のための方法が提供される。c-kit抗原の発現について選択された細胞は、限定はしないがSSAE3およびSSAE4ヒト胚性幹細胞段階特異的マーカーを含む、他の幹細胞マーカーおよび前駆細胞マーカーについての選択によって、さらに精製することが可能である。

0053

または、実質的に純粋な多能性胎児性幹細胞を調製するために、c-kit抗体結合に基づき、他の細胞から幹細胞のサブセットを分離することができ、当技術分野において既知の他の表面マーカーと結合させることによって、c-kit陽性胎児性幹細胞をさらに分離することが可能である。

0054

分離のための手法は、抗体によって被覆された磁気ビーズを用いた磁気分離親和性クロマトグラフィー、および、例えばプレートのような固体マトリックスに付着させた抗体を用いた「パニング法」、または他の従来技術を含み得る。正確な分離を提供する技術は、マルチカラーチャネル、低角度および鈍角光散乱検出チャネルインピーダンスチャネル等のような様々な程度の解析機能を有し得る、蛍光細胞分析分離装置(FACS)を含む。死細胞は、死細胞に関連する色素ヨウ化プロピジウム(PI)、LDS)を用いた選択によって除去することが可能である。選択された細胞の生存度に対して過度に有害でない任意の技術を使用することが可能である。

0055

好都合に、特定の細胞タイプの容易な分離を可能にするために、抗体は標識と連結される。例えば、磁気ビーズ;高い親和性でアビジンまたはストレプトアビジンと結合するビオチン;蛍光細胞分析分離装置(FACS)と共に使用することが可能な蛍光色素;ハプテン;および同様のもの。マルチカラー解析は、FACSを用いて、または免疫磁気分離およびフローサイトメトリーを組み合わせて使用することが可能である。マルチカラー解析は、例えばc-kit+のような、複数の表面抗原、ならびにSSAE3およびSSAE4細胞マーカーを認識する抗体に基づく細胞の分離のために重要である。マルチカラー解析における使用が見出される蛍光色素は、フィコビリタンパク質、例えば、フィコエリトリンおよびアロフィコシアニンフルオレセインおよびテキサスレッドを含む。陰性という呼称は、染色レベルアイソタイプ合致する陰性対照の明るさであるか、またはそれ未満であることを示す。不鮮明という呼称は、染色レベルが陰性染色のレベルに近い可能性があるが、同時に、アイソタイプの合致する対照よりは明るいことを示す。

0056

ある態様においては、c-kit抗体は、超常磁性マイクロ粒子(マイクロ粒子)のような磁気試薬に直接的または間接的に結合される。磁気粒子への直接結合は、当技術分野において知られるような、様々な化学結合基を使用することによって達成される。抗体は、側鎖のアミノ基またはスルフヒドリル基および異種官能基架橋試薬によって、マイクロ粒子に結合させることができる。存在物への結合のためには、多数の異種官能基化合物が利用できる。好ましい結合基は、抗体上に反応性スルフヒドリル基および磁気粒子上に反応性アミノ基がある場合に、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPDP)または4-(N-マレイン酸イミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(SMCC)を用いるものである。

0057

または、c-kit抗体を、磁気粒子に間接的に結合させる。抗体は、ハプテンに直接結合され、ハプテン特異的な二次抗体粒子に結合される。適切なハプテンは、ジゴキシンジゴキシゲニンFITCジニトロフェニルニトロフェニル、アビジン、ビオチン等を含む。ハプテンをタンパク質に結合するための方法は当技術分野において知られており、そのような結合のためのキットが商品として入手可能である。

0058

本方法を実施するために、c-kit抗体(Ab)を細胞サンプルに加える。特定の細胞サブセットを結合させるために必要なc-kit Abの量は、テスト分離およびテスト解析を行うことによって経験的に決定される。細胞およびc-kit抗体を、複合体が形成されるのに十分な時間、通常少なくとも約5分間、より通常には少なくとも約10分間、そして通常1時間を超えない時間、より通常は約30分間を超えない時間、インキュベートする。

0059

細胞は付加的に、胎児性幹細胞上に存在するまたは存在しないことが知られている細胞表面マーカーに対して特異的な抗体または結合分子と共にインキュベートすることが可能である。例えば、SSAE1マーカーを発現する細胞についてネガティブ選択を行うことが可能である。

0060

標識細胞は、特異的な抗体の調製物に従って分離される。蛍光色素標識抗体は、FACS分離のために有用であり、磁気粒子は、免疫磁気選択、特に高勾配磁気分離(HGMS)等のために有用である。典型的な磁気分離装置は、国際公開公報第90/07380号、PCT/US96/00953、および欧州特許第438,520号において説明されている。

0061

精製細胞集団は、任意の適切な培地に回収することが可能である。しばしば胎児ウシ血清FCS)、ウシ血清アルブミンBSA)、ヒト血清アルブミンHSA)等が添加される、ダルベッコの改良MEM培地(DMEM)、ハンク塩基性塩溶液(HBSS)、ダルベッコのリン酸緩衝溶液(dPBS)、RPMI、Iscove’s改良ダルベッコ培地(IMDM)、5mMEDTA含有リン酸緩衝溶液(PBS)等を含む、様々な培地が商業的に入手可能であり、使用することができる。好ましい培養培地は、DMEM、F-12、M199、RPMIを含む。

0062

このようにして、多能性胎児性幹細胞について高度に増加させた集団が得られる。望ましい細胞は、細胞の組成の30%またはそれ以上、好ましくは細胞集団の50%またはそれ以上、より好ましくは細胞集団の90%またはそれ以上、および最も好ましくは細胞集団の95%またはそれ以上(実質的に純粋)となる。

0063

実質的に精製された、または増加させた、本発明のc-kit陽性多能性胎児性幹細胞の使用は、様々な方法において有用である。c-kit陽性細胞は、疾患または損傷によってその細胞が失われた宿主を再構成するために使用することができる。細胞と関連する遺伝病は、遺伝的欠陥修正するために、または疾患に対して予防治療するために、自己幹細胞または同種異系幹細胞を遺伝的に改変することによって治療することが可能である。

0064

または、正常な同種異系胎児性幹細胞を移植することが可能である。ホルモン、酵素、成長因子、または同様のもののような特定の分泌産物の欠損と疾患が関連するような、細胞と関連するもの以外の疾患を治療することも可能である。CNS疾患は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病およびパーキンソン病)、急性の脳の損傷(例えば発作、頭部損傷、脳性麻痺)、および多数のCNS機能障害(例えば、うつ病てんかん、および精神分裂病)のような多くの病気を包含する。近年、神経変性疾患は、これらの疾患にかかるリスクが最も高い高齢者人口の増大により、重要な関心事となっている。アルツハイマー病、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病筋萎縮性側索硬化症、およびパーキンソン病を含むこれらの疾患は、これらの細胞または脳領域がその意図される機能を行うことができなくなる、CNSの特定の位置における神経細胞の変性と関連付けられてきた。特定の異なる成長因子により、1つまたはそれ以上の選択された系統に成熟、増殖、および分化させることによって、前駆細胞を分化方向が決定付けられた細胞の供給源として使用することが可能である。本発明に従った多能性胎児性幹細胞は、骨髄系細胞およびリンパ球系細胞、ならびに初期造血細胞を含む、様々な血液細胞タイプを生産するために使用することも可能である(参照として本明細書に組み入れられる、Bjornsonら, 283 Science 534(1999)を参照のこと)。

0065

本発明の多能性胎児性幹細胞を異なる表現型に分化させるために、様々な細胞分化誘導物質を使用することができる。幹細胞の分化状態を決定するために、細胞の表現型の特徴は、細胞形態を検出する光学顕微鏡(例えば図2〜6を参照のこと)、細胞系統特異的な転写を検出するRT-PCR、および特定の細胞系統において特異的に発現される細胞表面マーカーを検出する免疫細胞学的解析のような従来法を用いて観察する。例えば、骨形成分化の間に発現される遺伝子は、骨形成系統に分化する幹細胞のマーカーとしての役割を果たす(Long, Blood Cells Mol Dis 2001,5月〜6月;27(3):677〜90)。

0066

c-kit陽性胎児性幹細胞を、細胞の分化および成熟に関連する因子の単離および評価において使用することもできる。このように、細胞は、ならし培地のような培地の活性を決定するアッセイ、成長因子活性、系統への方向付けとの関与について液体を評価するアッセイ、および同様のものにおいて使用することができる。

0067

単離されたc-kit陽性胎児性幹細胞は、凍結保存することが可能である、即ち、融解して再利用することが可能なように、液体窒素温度において凍結し、長期間保存することが可能である。細胞は通常、5%のDMSOおよび95%の胎児ウシ血清中において保存される。一旦融解されれば、幹細胞の増殖および分化と関連する成長因子または間質細胞を使用することによって細胞を増殖させることが可能である。

0068

本発明は、一旦融解されればc-kit陽性細胞を得ることができるような、絨毛膜絨毛および羊水のサンプル、ならびに胎盤サンプルの凍結保存をも意図する。

0069

例証するために、実施例において説明されるように、c-kitpos細胞を異なる系統に誘導した。特定の分化についての誘導能は、初めは形態学的な変化から明らかであり、免疫細胞学的解析および遺伝子発現解析によって確認した。一般に、当業者によく知られた方法に従って、c-kit陽性胎児性幹細胞を異なる細胞系統に分化させることができる(Stem Cells: Scientific Progress and Future Research Directions. Appendix D. Department of Health and Human Services. 2001年6月. http://www.nih.gov/news/stemcell/scireport.ht)。

0070

脂質生成特異的な化学染色によって、特定の条件において細胞を培養した場合に、c-kitpos絨毛膜絨毛細胞の95%より多くにおいて脂質の蓄積を誘導できることが示された。脂肪細胞の誘導は、異なる時点におけるpparγ2およびLPLの発現によって確認された。

0071

骨の分化と一致して、絨毛膜および羊水の胎児性幹細胞は、アルカリホスファターゼを産生し、カルシウム沈着させることが可能であることを示し、双方の値は、同じ条件下において成体性幹細胞によって達成されたものより高かった。さらに、骨形成培地におけるc-kitpos細胞は、哺乳動物の骨の発達と関係する特定の遺伝子を発現した。核結合因子A1(Cbfa1)は、骨芽細胞特異的な転写因子である。Cbfa1は、骨芽細胞において発現される、骨の細胞外マトリックスの構造タンパク質をコードする遺伝子の機能を制御する。非骨芽細胞におけるCbfa1の強制的な発現は、骨芽細胞特異的な遺伝子の発現を導く。Cbfa1欠損マウス、およびヒトにおける同遺伝子欠失または突然変異は、鎖骨頭蓋骨形成不全を引き起こす。

0072

出生後生活期間においては、骨格筋の成長および修復は、単核筋前駆細胞(「筋衛星細胞」)の常在性集団によって仲介される;しかし、それらの自己再生能は限られており、年齢と共に減少する。以前の研究によって、筋細胞は骨髄および周辺組織に由来する間葉系幹細胞から誘導されることが可能であることが示された。ここで、c-kitpos絨毛膜絨毛細胞および羊水からの細胞を筋分化に向けて誘導することができることが示された。c-kitpos細胞は、筋分化マーカーデスミンおよび筋節トロポミオシン)について陽性である多核細胞を形成した。さらにRT-PCR解析により、胚の筋発生について認められるものを反映する遺伝子発現の特徴的なパターンが示された。マウス胚における以前の研究によって、9日目〜11日目の間にMyf6が一過的に発現されることが示された。本発明者らの研究においては、Myf6は、8日目に発現され、16日目には抑制された。胚マウスの成長においては、Myf5は初期に発現され、非常に遅い時点まで発現され続ける。本発明者らの研究においては、実験を通して、誘導細胞におけるMyf5の低レベルの発現が検出された。同様に、ES細胞について示されたように、筋誘導条件下にて増殖させたc-kitpos細胞において、MyoDの発現が8日目に検出可能であった。本発明者らの発見は、絨毛膜絨毛、羊水、および胎盤に由来する細胞を筋分化に向けて誘導することができることを例証するものである。

0073

内皮細胞は通常、単離して培養において維持することが困難である。P1H12、FVIII、およびKDRは、内皮分化の特異的マーカーである。規定培地において培養された羊水からのc-kitpos細胞は、特異的マーカーを発現する、完全に分化した内皮細胞を形成することが可能であった。

0074

本発明に従って、ヒトの絨毛膜絨毛、羊水、および胎盤から胎児性幹細胞が得られる。どの細胞供給源が使用されるかに依存して、妊娠期間中および/または分娩時に、被験者から、大量の絨毛膜絨毛、羊水、および胎盤の細胞を得ることができる。これらの供給源から得られた胎児性幹細胞は、胎児ウシ血清(FBS)、ヒト全血清(WHS)を添加した、または、成長因子、サイトカイン、ホルモン、ビタミン抗生物質、もしくはその任意の組み合わせを添加した、DMEM、F-12、M199、RPMIおよびその組み合わせのような、様々な培地において培養することが可能である。DMEM培地が好ましい。

0075

胎児性幹細胞は、細胞の分化を抑制する物質の存在下において増殖させることも可能である。そのような物質は、当技術分野においてよく知られている(Dushnik-Levinson, M.ら,「Embryogenesis in vitro: Study of Differentiation of Embryonic Stem Cells」, Biol.Neonate, 第67巻, 77〜83, 1995)。細胞の分化を抑制する物質の例は、白血病抑制因子(LIF)および幹細胞成長因子を含む。一方、分化を誘導するためには、ヒドロコルチゾン、Ca2+、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、TGF-P、レチノイン酸インスリンプロラクチン酪酸ナトリウムTPA、DIVISO、NMFDMFコラーゲンラミニンヘパラン硫酸アンドロゲンエストロゲン、およびその組み合わせのような物質を使用することが可能である(Culture of Epithelial Cells (R.Ian Freshney編, Wiley-Liss, 1992))。

0076

細胞は、当技術分野における標準技術を用いて生存度、増殖能、および寿命について評価することが可能である。例えば、生存度を評価するためには、トリパンブルー排除アッセイ、フルオレセインジアセタート取り込みアッセイ、ヨウ化プロピジウム取り込みアッセイ、または当技術分野において既知の他の技術を使用することが可能である。増殖を評価するためには、チミジン取り込みアッセイ、MTT細胞増殖アッセイ、または当技術分野において既知の他の技術を使用することが可能である。寿命は、長期の培養における最大集団倍加数、または当技術分野において既知の他の技術によって決定することが可能である。

0077

さらに、胎児性幹細胞の分化を誘導することによって、細胞抗原における変化によって明らかにされるように、異なる系統の細胞を誘導することが可能である。成長因子(例えばEGF、aFGF、bFGF、PIDGF、TGF-P)、ホルモン(限定はしないが、インスリン、トリヨードサイロニン、ヒドロコルチゾン、およびデキサメタゾンを含む)、サイトカイン(例えばIL-1αまたはP、IFN-γ、TFN)、マトリックス成分(例えばコラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸、Matrigel)、レチノイン酸、トランスフェリン、TPA、およびDMSOのような様々な分化誘導物質が、そのような分化を達成するために使用される。そのような分化誘導物質は、当業者に知られている(Culture of Epithelial Cells,(R.Ian Freshney編, Wiley-Liss 1992))。下記の実施例は、胎児性幹細胞の骨形成系統、脂質生成系統、筋系統、および内皮系統への分化を説明するものである。分化した細胞の同定は、当技術分野において既知の技術に従い、組織特異的抗体を用いて細胞を染色することによって達成することが可能である。

0078

その使用が倫理的な課題を提起してきたヒト胚性幹(ES)細胞とは対照的に、本発明のヒト胎児性幹細胞は、分娩後に通常は捨てられる、容易に入手可能な供給源(絨毛膜絨毛または羊水または胎盤)に由来する。したがって、培養ヒト胎児性幹細胞は、再生および/または再建手術における使用のために、ならびに遺伝子治療における使用のために理想的である。ヒト胎児性幹細胞の幾つかの特定の適用については、下記にて説明される。

0079

胎児性幹細胞は、限定はしないが、テイサックス病、ニーマンピック病ファブリー病ゴーシェ病ハンター症候群ハーラー症候群のようなリソソーム蓄積症、ならびに他のガングリオシドーシスムコ多糖症、および糖原病を含む特定の条件における、自己/異種酵素補充療法において使用されることが可能である。

0080

さらに、本発明の胎児性幹細胞は、循環器系呼吸器系、胃腸器系、生殖器系、および神経系を冒す先天性代謝異常を治すために、または癌および他の病理学的状態を治療するために、遺伝子治療における自己/異種トランスジーン担体として使用することが可能である。

0081

本発明の胎児性幹細胞は、限定はしないが、角膜上皮欠損の治療、軟骨再建、顔面剥皮術、皮膚、粘膜鼓膜、腸内膜、および神経学的構造の外傷性傷害についての、熱傷および創傷の手当を含む、自己/異種組織の再生/置換療法において使用することが可能である。例えば、心筋パフォーマンスを増強し、末期心疾患を治療するために使用できる細胞心筋形成術(CCM)として知られた手法である、損傷を受けた心筋層への外因性胎児性幹細胞の移植によって、心筋パフォーマンスの増大を達成することが可能である。本発明に従った胎児性幹細胞は、Caoら(Stem cell repair of central nervous system injury, J.Neuroscience Res. 68:501〜510, 2002)による概説において説明されるように、多くのCNS疾患を修復するための道具として使用することも可能である。

0082

本発明の胎児性幹細胞は、そのために分化細胞が生産された組織の再生のために、細胞シート、非凝集細胞、および担体に埋め込まれた細胞を外科的に移植することによる、損傷を受けた組織の再建治療において使用することもできる。細胞は、組織工学構築物において使用されることも可能である。そのような構築物は、細胞の成長のために適した足場(scaffold)を形成させた生体適合性ポリマーを含む。足場は、熱バルブ、管(管状)、平板状構築物の形状、または任意の他の適切な形状にすることが可能である。そのような構築物は、当技術分野においてよく知られている(例えば、国際公開公報第02/035992号、米国特許第6,479,064号、同第6,461,628号を参照のこと)。

0083

羊水、絨毛膜絨毛、胎盤組織、および胎児性幹細胞は、分化前または分化後に、培地または緩衝液および凍結保護剤を含む凍結保護溶液中において凍結保存することが可能である。培地の例は、ダルベッコの改良MEM培地(DMEM)、199培地(M199)、F-12培地、およびRPMI培地である。緩衝液の例は、リン酸緩衝溶液(PBS)である。凍結保護剤の例は、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびグリセロールである。凍結保護溶液の例は、DMEM/グリセロール(1:1)、DMEM/7.5%DMSO、M199/7.5%DMSO、およびPBS/3.5M DMSOである。選択的に、サンプルを、凍結保存以前にペニシリンまたはストレプトマイシンのような抗生物質によって処理することが可能である。凍結保存は、迅速な急速凍結法を用いて、またはより従来的な速度制御凍結法によって達成することが可能である。羊膜組織の迅速な凍結は、凍結保護溶液を含む凍結管中にサンプルを入れ、その後、凍結管を液体窒素中に迅速に浸すことによって達成することが可能である。一般的な遅い凍結は、凍結保護溶液を含む凍結管中にサンプルを入れ、その後、-70℃のフリーザー中に凍結管を置くことによって達成することが可能である。または、標準の極低温速度制御システムを用いて、サンプルを速度制御凍結に供することが可能である。

0084

本発明の胎児性幹細胞の産物は、インビボまたはエクスビボのいずれかにおいて再建治療に使用することが可能である。本発明の胎児性幹細胞を用いて産生することが可能な物質の例は、成長因子、サイトカイン、および他の生物学的反応修飾剤を含む。

0085

本明細書において、および明細書を通して引用される参考文献は、その全体が参照として組み入れられる。

0086

本発明は、本発明の単なる典型例であることが意図される以下の実施例によってさらに明らかにされる。

0087

実施例
本実施例において、ヒトの胚および胎児の絨毛膜絨毛および羊水からの幹細胞の単離の実行可能性を調べた。治験審査委員会によって認可されたプロトコール下において、年齢23〜42に渡る、300例を超えるヒトの妊娠女性から、出生前診断テストのために採取され、廃棄された絨毛膜絨毛細胞およびヒト羊水細胞の培養が得られた。

0088

培養を確立するために、妊娠14〜21週における経腹壁的な羊水穿刺によってヒトの羊水を得、妊娠10〜12週において経腹壁的アプローチによりヒトの胚の絨毛膜絨毛組織検体を得た。

0089

羊水のサンプルを遠心機にかけ、細胞上清を培養培地中に再懸濁した。およそ104個の細胞を22×22mmのカバースリップ上に播種した。培養を、37℃、5%のCO2中にて約3〜4週間、コンフルエンス集密状態)になるまで増殖させた。培養5日後、およびその後3日毎に新しい培地を使用した。

0090

絨毛膜絨毛細胞は、光学顕微鏡下において単一の絨毛から単離された。細胞は、インビトロにおいて増殖させ、培養において約4週間維持された。培養培地は、改良αMEM(18%Chang培地B、15%の胚性幹細胞保証胎児ウシ血清、抗生物質、およびL-グルタミンを含む2%Chang C)から構成された(J.H.Priest, Prenatal Chromosomal Diagnosis and Cell Culture in The ACT Cytogenetics Laboratory Manual, Margaret J. Barch (Raven Press, New York, 第2版, 1991)第5章, 149)。

0091

1mMEDTAを含む0.25%トリプシン溶液を用いて、細胞を37℃にて5分間継代培養した。細胞を24ウェルプレートに3,000細胞/cm2で播種した。4、8、16、24、および32日後に、細胞数4つ組(quadruplicate)値において決定した。最初の時点(4日)については、24ウェルプレートから培地を取り除いた。PBS/EDTAによって細胞を1回すすぎ、0.2mlのトリプシン/EDTAと共に37℃にて10分間インキュベートした。9.8mlの等張液に移動させる前に、細胞クラスターを避けるためにトリプシン/EDTA溶液を用いて細胞を数回再懸濁した。製造業者使用説明書(Coulter Counter)によって推奨されるように細胞を計数した。4、8、16、24、および32日後にMTTアッセイを行った。1mlの培地に100μlのMTT試薬(Sigma-Aldrich)を3時間加えた。細胞を溶解し、0.1M HClを含むイソプロパナールを用いて色素を抽出した。Bioradリーダーにおいて、655nmに対する570nmにおける吸光度を測定した。結果を細胞数として表した。双方の細胞供給源からの増殖曲線を得、培養における細胞の形態を記録した。

0092

絨毛膜絨毛および羊水からの細胞を、表現型解析に供した。羊水の免疫細胞学的解析から、細胞のほとんどが上皮起源のものであり、サイトケラチンについて陽性に染色されることが確認された。間質細胞のほとんどが、α-アクチンについて染色され、デスミンまたはミオシンの発現についてはほんの少数の細胞のみが陽性であった(von Koskull, H.ら, Prenat.Diagn.,1(4), 259(1981);Medina-Gomez,P.およびT.H.Johnston, Hum.Genet., 60(4), 310(1982))。

0093

FACSを用いて、CD34(Pharmingen International, San Diego, CA)、CD90(Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, CA)、CD105(Pharmingen International)、CD133(Miltenyi Biotec, Bergisch Gladbach, Germany)、およびc-kit(Santa Cruz Biotechnology, Inc.)について細胞を解析した。全ての抗体について、絨毛膜絨毛細胞または羊水からの細胞のいずれかの0.5×106個を、一次抗体溶液(2%FBSを含むPBS)500μlにおいて、上、1:100の濃度にて30分間インキュベートした。一次抗体とインキュベートした後、2%FBSを含むPBS 2mlを用いて細胞を2回洗浄し、1,100RPMにて7分間遠心機にかけ、2%FBSを含むPBS 0.5ml中に再懸濁した、または、FITC標識二次抗体溶液(1:100, Southern Biotechnology Associates Inc., Birmingham, AL)100μl中において、暗所、氷上にて30分間インキュベートした。2%FBSを含むPBS 2mlを用いて細胞を2回洗浄し、遠心機にかけ、細胞の解析のために2%FBSを含むPBS中に再懸濁した。IgG-PE(Pharmingen International)およびIgG1κ非結合型、Pharmingen International)を対照として使用した。自動細胞解析分離装置(FACScalibur: Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いてFACS解析を行った。免疫細胞学的解析を以下のように行った:チェンバースライド(Nalge Nunc Int., Naperville,IL)上で増殖させた細胞を4%ホルムアルデヒドにおいて、および氷冷メタノールにおいて固定した。細胞層をPBSによって洗浄した。細胞表面糖脂質特異的および糖タンパク質特異的なmAbを、1:15〜1:50の希釈度において使用した。MC480(SSEA-1)、MC631(SSEA-3)、およびMC813-70(SSEA-4)抗体は、Developmental Studies Hybridoma Bank(University of Iowa, IowaCity)によって供給された。ビオチン化した抗マウス二次抗体、ストレプトアビジン結合ホースラディッシュペルオキシダーゼ、および3-アミノ-9-エチルカルバゾールchromagen(BioGenex)を用いて抗体を検出した。細胞遺伝学的解析のために調製した細胞を、コルセミド0.1mg/mlを含む成長培地において3〜4時間インキュベートし、トリプシン処理し、0.075M KCl中にて再懸濁し、37℃にて20分間インキュベートし、その後、3:1のメタノイル酢酸中において固定した。

0094

細胞のFACS解析から、18〜21%の細胞がCD90およびCD105を発現する一方、はるかに低いパーセンテージ(0.8〜3%)の細胞がc-kit、CD34、およびAC133を発現することが示された。絨毛膜絨毛細胞についても同様の発現パターンが得られた。

0095

c-kitを発現する細胞(c-kitpos)は、絨毛膜絨毛から首尾よく免疫単離され、Chang培地における培養において維持された。c-kitpos細胞は、ヒト胚段階特異的マーカーSSAE3およびSSAE4を発現し、マウス胚段階特異的マーカーSSAE1は発現しなかった(図1B〜図1D)(Thomson, J.A.ら, Science, 282(5391), 1145(1998))。c-kitpos細胞は、非処理の培養皿においてほぼ1週間培養された場合、球状の形態を維持し、それらの増殖活性は低かった。最初の1週間後、細胞は、プレートに付着し始め、その形態を変化させ、より細長くなり、より迅速に増殖した。興味深いことに、そして重要なことに、維持または増殖のいずれのためにも、フィーダー細胞層は必要とされなかった。

0096

本研究においては、初期から後期にかけての継代培養から得られたc-kitpos細胞は、特定の成長因子の下で、骨形成細胞系統、脂肪細胞系統、筋細胞系統、神経細胞系統、および内皮細胞系統を含む、異なる細胞系統に誘導可能であった。特定の分化についての誘導能は、初めは形態学的な変化から明らかであり、遺伝子発現パターンによって、および細胞特異的機能解析によって、免疫細胞化学的にも確認された。

0097

骨髄からの幹細胞を購入し(Clonetics)、陽性対照として使用した。CD34、CD90、CD105、およびAC133免疫単離細胞、および残りの非免疫分離細胞は、多分化能を全く示さなかった。羊水は尿および腹膜液の双方を含むため、廃棄されたヒト新生児の尿および腹膜液から単離された細胞を対照として使用した。ヒトの尿および腹膜液の対照液はc-kitpos細胞を全く生じず、c-kitneg細胞は多分化能を全く示さなかった。

0098

羊水は一般に、非常にわずかな母性細胞を含むことが知られている。絨毛膜絨毛または羊水のサンプル中に母性c-kitpos細胞が存在するかどうかを決定するために、男性胎児からの細胞を用いて研究を行った。核型決定された全てのc-kitpos細胞はXY核型を示し、研究サンプルにおいてはc-kitpos母性細胞が存在しないことが示唆された。女性の胚および胎児からのc-kitpos細胞が対照として使用され、それらは、その多分化能において差異を全く示さなかった。

0099

絨毛膜絨毛および羊水に由来するc-kitpos細胞は、ヘーフリック限度を大きく上回る、細胞集団倍加数250を超える高い自己再生能を示した。細胞はここで、18ヶ月以上に渡って連続的に継代培養され、それらの未分化状態が維持された。本発明者らは、後期継代培養のc-kitpos細胞が、集団倍加数が250となった後にそれらの多分化能および正常な核型を維持していることをも示した(図1E)。

0100

テロメラーゼ活性は通常、テロメア長が保存されている、ヒトの生殖細胞(Thomson, J.A.ら, Science, 282(5391), 1145(1998))、ほとんどの不死化細胞系、およびヒトの腫瘍サンプルの80〜90%において検出可能である。本発明者らは、テロメラーゼ反復配列増幅(Telomerase Repeat Amplificaion Protocol: TRAP)アッセイを用いて、単離および培養されたc-kitpos細胞におけるテロメラーゼ活性を評価した(図1F)。1箇所改変し、製造業者のプロトコールにおいて説明されるように、TRAP解析(TRAPezeキット、Intergenco Pharmaceuticals)を行った。CHAP’s溶解物を、テロメラーゼによる伸長段階の後、36サイクルPCR増幅に供した。TRAPアッセイによって、羊水からのc-kitpos細胞(レーン1)において、対照(レーン3および4)と比較して、低いテロメラーゼ活性が検出された。しかし、分化後、c-kitpos細胞はテロメラーゼ活性を全く示さなかった(レーン2)。測定されたテロメラーゼ活性が単離細胞にとって機能的に関連性があるものであることを確認するために、制限酵素末端断片(TRF)解析によって、初期および後期の継代培養におけるc-kitpos細胞のテロメア長を決定した。DNeasy Tissueキット(Qiagen Corp)によって全細胞DNAを単離し、製造業者のプロトコールにおいて説明されるように、2μgをTRF長のサザンブロット解析(TeloTAGGG Telomere Length Assay, Roche Molecular)に使用した。手短に言えば、高頻度で切断を行う制限酵素の混合物を用いて精製ゲノムDNAを切断した。その結果生じた断片をアガロースゲル電気泳動にかけ、サザンブロッティングによってナイロン膜転移させた。テロメア反復配列に対して特異的なジゴキシゲニン(DIG)標識プローブへのハイブリダイゼーション続き化学発光検出、およびオートラジオグラフィーフィルムへの膜の曝露を行った。TRF定性解析によって、初期(平均TRF長およそ20kb)および後期(平均TRF長およそ20 kb)の双方の継代培養において、c-kitpos細胞が同様のテロメア長を有することが示された(図1G)。

0101

しかし、絨毛膜絨毛および羊水に由来するc-kitpos細胞は、およそ同じテロメア長を維持する一方で、集団倍加数250を超えてクローンとして増殖し、付加的にテロメラーゼ活性を獲得した。

0102

この現象は、細胞集団がテロメアを伸ばすための別の機構ALT)を有し得ることを示唆する(16、17)。1つの可能性のある答えは、クローン間での変動から引き出すことができる。試験された幾つかのクローンは、未知の機構によるテロメア伸長作用によって過剰に引き伸ばされている可能性があった。したがって、制御因子が、テロメア長には影響を与えずにテロメラーゼの活性化および不活性化に影響を与え得る(Brayan, T.M.ら(1998), Telomere length dynamics in telomerase-positive immortal human cell population)。この特別な現象の説明は明らかではなく、培養におけるこれらの細胞の長寿についての機構は未知である。

0103

羊水および絨毛膜絨毛から単離されたc-kitpos細胞の様々な細胞系統への分化能を明らかにするため、本発明者らは、レトロウイルス遺伝子マーキング法を使用した。puc-CMMP-IC-eGFPレトロウイルスを用いてc-kitpos細胞に形質導入し、増殖を行った。感染させたc-kitpos細胞を、FACS-Excaliburによってソーティングし、単一のeGFP+細胞を96ウェルプレートにウェル毎にプレーティングして増殖させた。クローンのサブ集団を得るために、CELLQuestソフトウェアを用いたPower Macintoshコンピューターに連結したFACScan機器(Becton Dickinson, San Jose, CA)によって、誘導されたクローンをさらに1回ソーティングした。Dnaesy Tissueキット(Qiagen)を用いて、もとのクローンおよび誘導されたサブクローンに由来するDNAを抽出し、分光光度計(Spectronic 601)によって濃度を測定した。制限酵素の異なる混合物(mix1.SapI、MfeI、HpaI、DraIII;mix2.BamHI、NheI、HindIII、XhoI、PacI;mix3.BglII、AseI)を用いて、各クローンおよびサブクローンについてゲノムDNAの3つのサンプルを3時間切断した。電気泳動によって断片を分離し、毛管作用によってナイロン膜に転移させた。プラスミド(pEGFP-N1…)をAgeIおよびNotIによって切断して、それからeGFP-cDNAプローブを構築した。電気泳動によって断片を分離し、切断されたDNAをGel Extractionキット(Qiagen)を用いて抽出し、高度に感受性化学発光基質、アルカリホスファターゼ代謝CDP-Star(DIG High Prime DNA Labeling and Detection Starter Kit II, Roche)による検出のためにジゴキシゲニンを用いて標識した。ブロットされたDNA断片をDig標識eGFP cDNAプローブにハイブリダイズし、X線フィルムに膜を曝露する検出によって、レトロウイルスの挿入を決定した。

0104

全ての実験は、妊娠期間(10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20および21週)に従って、12個のクローン細胞集団から得られたc-kitpos細胞を用いて行った。さらに、単一の胎児(妊娠11、14、16、18および20週)から得られた5つの単一のc-kitposクローン細胞集団を用いて、同様に全ての実験を行った。異なるクローンに由来する細胞は、同様の形態および増殖挙動を示した。全てのクローンからの細胞に、骨形成分化、脂質生成分化、筋分化、神経分化、および内皮分化を行わせた。17個のクローン細胞集団の別々の系統への分化能には、統計的差異は認められなかった。

0105

骨形成誘導
骨形成分化の誘導のために、羊水および絨毛膜絨毛から単離されたc-kitpos細胞を骨形成規定培地において培養した。骨形成分化の誘導のために、細胞は3,000細胞/cm2の密度で播種され、10%の胎児ウシ血清(FBS, Gibco/Brl)、1%の抗生物質(Gibco/Brl)、および骨形成補足物[100nMデキサメタゾン(Sigma-Aldrich)、10mM β-グリセリンリン酸(Sigma-Aldrich)、および0.05mMアスコルビン酸-2-リン酸(Wako Chemicals, Irving, TX)]を含むDMEM低グルコース培地(Gibco/Brl)において培養された(Jaiswal, N.ら, J.Cell Biochem., 64(2), 295(1997))。

0106

対照培地は、本質的に改良αMEMであった。培地は、約3日毎に交換した。細胞の光学顕微鏡解析によって、骨形成培地においては4日以内に、c-kitpos細胞がその紡錘形状の表現型を失い(図2A)、細胞質への指様の陥凹を有する骨芽細胞様の外観を発達させる(図2B)ことが示された。16日目に、細胞は凝集し、典型的な層状骨様構造を示した。骨の分化と一致して、骨形成誘導条件下において培養されたc-kitpos細胞は、アルカリホスファターゼ(AP)を産生し、カルシウム沈着物を示した。興味深いことに、AP産生量およびカルシウム沈着量の双方は、同じ条件下にて培養された成体性骨形成幹細胞によって達成されたものより高かった。AP産生と同等である、p-ニトロフェノールについての定量アッセイを用いて、AP活性を測定した。4つ組の培養においてアルカリホスファターゼ酵素細胞活性を測定した。PBSを用いてすすいだ後、40mgのp-ニトロフェニルリン酸(Sigma-Aldrich #104/40)を加えたpH10.3の2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール緩衝液(Sigma-Aldrich #221/26)と共に、細胞を37℃にて3〜35分間インキュベートした。マイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Spectra Max Plus)にて、405nmにおいて、形成されたp-ニトロフェノール産物の吸光度を測定した後、AP活性を計算した。標準として、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール緩衝液において、p-ニトロフェノール濃度0〜100nMolに希釈したp-ニトロフェノール標準溶液(Sigma-Aldrich #104-1)を使用した。酵素活性は、nMol p-ニトロフェノール/分/106細胞として表した。

0107

組織化学的解析
製造業者の使用説明書(Sigma-Aldrichキット#85)に従って、細胞におけるアルカリホスファターゼ活性組織学的に決定した。手短に言えば、クエン酸-アセトン溶液中において細胞を固定した。アルカリ-色素混合物ナフトールAS-MXリン酸アルカリ溶液を加えたファストブルーRR溶液)を、35mm培養皿において細胞に加えた。細胞培養は、直接光から保護した。検査する前に、脱イオン水によって細胞培養をすすぎ、空気乾燥させた。16日目および24日目において、骨形成誘導培地において増殖させたc-kitpos細胞におけるAP産生は、対照培地において増殖させたc-kitpos細胞および骨形成誘導培地において増殖させたc-kitneg細胞と比較して、250倍増加していた(図2C)。

0108

骨形成分化の主要な特徴は、細胞のカルシウム沈殿能である。細胞関連石灰化は、フォン・コッサ染色を用いて、および培養における細胞のカルシウム含量を測定することによって、解析することが可能である。骨形成培地において増殖させた細胞のフォン・コッサ染色によって、16日目までに硝酸銀の沈殿の増加が示され、高レベルのカルシウムが示された。細胞培養における石灰化の存在は、フォン・コッサ染色によって決定された。細胞培養プレートを10%のホルムアルデヒドによって1時間固定し、2%の硝酸銀溶液と共に暗所にて10分間インキュベートし、脱イオン水によって十分に洗浄し、その後、UV光に15分間曝露した。カルシウム含量は24日目および32日目において指数関数的に増加し続けた。対照的に、対照培地における細胞は硝酸銀沈殿を全く示さなかった(図2G)。

0109

細胞によるカルシウム沈着は、カルシウム-クレゾールフタレイン複合体を測定する定量的化学アッセイによっても測定された。骨形成誘導を受けている細胞は、16日後にカルシウムの沈殿における有意な増加を示した(4mg/dlまで)。カルシウムの沈殿は、32日目に70mg/dlまで増加した。対照的に、対照培地において増殖させた細胞は、32日目までにカルシウム沈殿の増加を全く示さなかった(1.6mg/dl)(図2Hおよび図2I)。

0110

骨形成培地におけるc-kitpos細胞は、哺乳動物の骨の発達と関係する特異的な遺伝子(AP、核結合因子A1(cbfa1)、およびオステオカルシン)を発現した(図2C)。製造業者のプロトコールに従って、RNAzol試薬(Tel-Test Inc., Friendswood, TX)を用いて、培養細胞および細胞ペレットからRNAを単離した。ランダムヘキサマー(Life Technologies)と共にSuperscript II逆転写酵素を用いて、RNA(2μg)をcDNA合成のために処理した。PTC-100サイクラー(MJ-Research Inc., Watertown, MA)にて、最終容量30μlの、200nM dNTP、各プライマー10pM、0.3U Taq-DNA-ポリメラーゼ、反応緩衝液、およびMgCl2(Life Technologies)において、各PCR反応のためにcDNAを使用した。サイクル条件は、94℃で2分間、63℃におけるアニーリング40秒間、および72℃における伸長1分間からなった。サイクル数は22〜37サイクルの間であり、RT-PCR反応の指数増殖期において選択された。プライマー配列および断片サイズを表1に列挙する。全てのプライマーをLife Technologiesから得た。ヒトの核結合因子A1(cbfa1)についてのプライマー(センス

およびアンチセンス

、63℃にて28サイクル)では、474bpの断片が増幅され、ヒトのオステオカルシン(センス

およびアンチセンス

)では、144bpの断片が増幅された。ヒトのペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ2(pparγ2)プライマー(センス

およびアンチセンス

、64℃にて29サイクル)では、460bp. 533bpの断片を生じた。ヒトリプロテインリパーゼ(lpl)プライマー(センス

およびアンチセンス

、64℃にて29サイクル)では、366bpの断片が増幅された。ヒトの筋制御因子4(MRF4)(センス

およびアンチセンス

、62℃にて37サイクル)は、421bpのバンドとして検出され、ヒトのmyoD(センス

およびアンチセンス

)では、449bpのセグメントが増幅された。ヒトのデスミンプライマー(センス

およびアンチセンス

、62℃にて27サイクル)では、440bpの断片が増幅され、ヒトのβ2-ミクログロブリン(β2-MG)のためのプライマー(センス

およびアンチセンス

、62〜64℃にて23〜26サイクル)では、315bpの断片が増幅された。ヒトのCD106(VCAM)のためのプライマー(センス

およびアンチセンス

)では、774bpのセグメントが増幅され、ヒトのCD31(PECAM)(センス

およびアンチセンス

)では、628bpの断片が生じた。

0111

骨形成培地において増殖させたc-kitpos細胞は、各時点においてAP遺伝子の活性化を示した。対照培地で増殖させたc-kitpos細胞においては、8、16、24、および32日目において、AP遺伝子の転写は検出されなかった。骨芽細胞における骨の細胞外マトリックスの構造タンパク質の遺伝子発現を制御する、骨芽細胞および肥大性軟骨細胞において特異的に発現される転写因子cbfa1(24、25)の発現は、骨形成誘導培地において増殖させた細胞においては8日目に最高であり、16、24、および32日目にわずかに減少した。対照におけるcbfa1の発現は、各時点において有意により低かった。オステオカルシンは、8日目の、骨形成条件におけるc-kitpos細胞においてのみ発現された。対照培地におけるc-kitpos細胞、および骨形成培地におけるc-kitneg細胞においては、いかなる時点においてもオステオカルシンの発現は検出されなかった。

0112

c-kitpos細胞はまた、ヒドロキシアパタイト-コラーゲン足場(Collagraft, Neucoll, Zimmer, Warsaw, Indiana)上に10×106細胞/cm2の密度で播種された。細胞は、バイオリアクターにおいて16日間、骨形成系統に誘導された。杆状体無胸腺マウスの皮下に移植し、4週間または8週間後に採集して解析した。骨様の組織が明らかであり、Masson’s trichromeによって青色に染色される細胞外マトリックスに囲まれていた。トルイジンブルー染色によって、骨形成表現型が確認された。移植された組織内の石灰化小部分は、フォン・コッサによって陽性に染色され、骨形成が示された。対照として、未播種の構築物は非常に少ない浸潤細胞のみを示し、骨様の構造は認められなかった(図2)。

0113

脂質生成誘導
脂質生成分化を促進するために、本発明者らは、脂質生成規定培地においてc-kitpos細胞を培養した。脂質生成分化の誘導のために、細胞を3,000細胞/cm2の密度で播種し、10%のFBS、1%の抗生物質、および脂質生成補足物[1μMデキサメタゾン、1mM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(Sigma-Aldrich)、10μg/mlインスリン(Sigma-Aldrich)、および60μMインドメタシン(Sigma-Aldrich)]を含むDMEM低グルコース培地において培養した。

0114

対照培地は改良αMEMから構成された。培地の交換は3日毎に行った。脂質生成補足物と共に培養されたc-kitpos細胞は、8日以内に、細長いものから球形にその形態を変化させた。これは、細胞内トリグリセリド脂肪滴の蓄積と一致していた[図3A]。細胞培養における脂肪成分の存在は、オイルレッドO染色を用いて決定された。2ウェルチェンバースライドを、脱イオン水中で洗浄し、空気乾燥した。オイルレッドO染色溶液と共に細胞を15分間インキュベートし、50%エタノールによって3回すすぎ、蒸留水ですすぎ、Gillsヘマトキシリンによって30秒間〜1分間対比染色し、脱イオン水中で3〜4回すすいだ。培養16日後、95%を超える細胞の細胞質が、脂質に富んだ液胞に満ちており、オイルレッドOによって染色された(図3B)。

0115

チェンバースライドは、水ベースマウンティングメディアを用いてマウントした。対照培地において培養されたc-kitpos細胞、および脂質生成培地において培養されたc-kitneg細胞は、脂質生成分化と一致する表現型の変化を全く示さず、オイルレッドOによって染色されなかった(図3C)。

0116

脂質生成分化は、RT-PCR解析によって確認された。本発明者らは、脂質生成を制御する転写因子である、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ2(pparγ2)(28、29)、およびリポプロテインリパーゼの発現を解析した。これらの遺伝子の発現は、脂質生成条件下におけるc-kitpos細胞においてはアップレギュレートされていた。対照条件下において培養されたc-kitpos細胞、および脂質生成条件下において培養されたc-kitneg細胞は、どの時点においてもいずれの遺伝子をも発現しなかった[図3D]。

0117

c-kitpos細胞を、ポリグリコール酸PGAポリマー足場上に10×106細胞/cm2の密度で播種した。細胞は、バイオリアクターにおいて16日間、脂質生成系統に誘導された。足場を無胸腺マウスの皮下に移植し、4週および8週後に採集して解析した。回収した足場は、著しい脂肪組織の形成を示した。脂肪組織の存在は、オイルレッドO染色を用いて確認された [図3]。

0118

筋誘導
出生後生活期間においては、骨格筋の成長および修復は、単核筋前駆細胞(筋衛星細胞)の常在性集団によって仲介される;しかし、それらの自己再生能は限られており、年齢と共に減少する。以前の研究によって、筋細胞が骨髄および周辺組織に由来する間葉系幹細胞から誘導され得ることが示された(30)。本研究においては、c-kitpos細胞は筋分化に向けて誘導された。本発明者らは、c-kitpos細胞を、規定培地において、Matrigelによって予め被覆した35mmプレートに播種した。筋芽細胞増殖規定培地は、10%ウマ血清GIBCO,BRL)、0.5%のヒナ胚抽出物(GIBCO, BRL)、および1%のペニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO, BRL)を含むDMEM低グルコース培地から構成された(Reddel, R.R.ら, (1997) Immortalized cells with no detectable telomerase activity, Biochemistry 62, 1254〜1262)。細胞を播種する前に、Matrigel(Collaborative Biomedical Products, Universal Biologicals Ltd.)を、DMEM中において1mg/mlにまで希釈し、プレーティングし、37℃にて1時間インキュベートした(Rosenblatt, J.D.ら, In Vitro Cell Dev.Biol.Anim., 31(10), 773(1995))。5-アザシチジンを含む規定培地を12時間後に加え、24時間後に5-アザシチジンを含まない規定培地と置き換えた。対照として、改良αMEMを含む35mmプレートにおいて未分化細胞を増殖させた。培地の交換は3日毎に行った。

0119

5-アザシチジンを用いた24時間の誘導によって、24〜48時間後に多核細胞の形成が誘導された[図4A]。多核細胞は、筋分化マーカーであるデスミンおよび筋節トロポミオシンを発現した[図4Dおよび図4F]。対照培地において増殖させたc-kitpos細胞、および筋誘導条件において増殖させたc-kitneg細胞では、細胞融合または多核細胞が導かれなかった。

0120

本発明者らは、RT-PCRを用いて、筋分化を受けている細胞におけるMyoD、Myf6(MRF4)、およびデスミンの発現を解析した。胚の筋発生について認められるものを反映する、遺伝子発現の特徴的なパターンが示された[図4G](32、33)。マウス胚における以前の研究では、9日目〜11日目の間にMyf6が一過的に発現されることが示された(34、35)。本発明者らの研究においては、Myf6は8日目に発現され、16日目には抑制された。ES細胞について示されたように、筋誘導条件下において増殖させたc-kitpos細胞においては、MyoDの発現は8日目に検出可能であり、16日目には抑制された。筋誘導培地において培養されたc-kitpos細胞において、デスミンの発現は8日目に誘導され、16日目まで増加した。対照的に、対照細胞においては、8日目および16日目にMyf6、MyoD、またはデスミンの活性化はなかった。

0121

c-kitpos細胞は、蛍光マーカーPKH26緑色蛍光細胞リンカー、Sigma-Aldrich)によって標識し、筋系統に誘導した。筋細胞を17%のMatrigel(BD Biosciences)を含むラット尾部コラーゲン中に再懸濁し、無胸腺マウスの後肢筋肉組織に注射し、4週間後に回収した。注射された筋細胞は、デスミンを発現する筋組織の形成を示し(A)、その蛍光を維持した(B)[図4]。

0122

内皮誘導
内皮分化を誘導するために、本発明者らは、PBS-ゼラチンで予め被覆した皿に細胞をプレーティングした。内皮規定培地における培養において1ヶ月間細胞を維持した。内皮分化を誘導するため、PBS-ゼラチンで予め被覆した35mmの皿に細胞を3,000細胞/cm2の密度でプレーティングした。10%のFBS(GIBCO/BRL, Grand Island, NY)、1%の抗生物質(GIBCO/BRL, Grand Island, NY)、および1%のL-グルタミン(GIBCO/BRL, Grand Island, NY)を補足した内皮基本培地-2(EBM-2 Clonetics Bio Wittaker Inc., Walkersville, MD)における培養において1ヶ月間細胞を維持した。塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を1日おきに加えた。培養1週間後、c-kitpos細胞はその形態を変化させ、2週目までに細胞はほとんど管状となった[図5A]。肝分化についてのヒト特異的な内皮細胞マーカー、c-kitpos細胞表面マーカー(P1H12)、第VIII因子(FVIII)、およびKDRは、分化した内皮細胞に特異的なものである。分化した細胞は、FVIII、KDR、およびP1H12について陽性に染色された[図5B〜D]。Chang培地において同じ期間培養されたc-kitpos細胞は管状構造を形成できず、内皮特異的マーカーについて染色されなかった。内皮細胞は通常、単離して培養において維持することが困難である。本発明者らの研究においては、内皮細胞は、一旦分化すれば培養において増殖することが可能であり、インビトロにおいて毛管様構造を形成した[図5E]。表現型の変化を確認するため、本発明者らはRT-PCRを行った。血小板内皮細胞接着分子1(PECAM-1またはCD31)および血管細胞接着分子(VCAM)は、内皮誘導培地において誘導されたc-kitpos細胞においては著しく増加したが、対照培地において培養されたc-kitpos細胞においては増幅されなかった[図5F]。

0123

肝誘導
肝分化のために、Matrigelで被覆した皿に播種された、羊水および絨毛膜絨毛からのc-kitpos細胞を、肝誘導条件において9日間培養した。100μl/cm2表面を使用し、製造業者の薄層ゲル法改良型を用い、Matrigel(Collaborative Biomedical Products, Universal Biologicals Ltd.) において、c-kitpos細胞を播種した。24ウェルプレートに25,000細胞/cm2の密度で播種された細胞を、Chang培地におけるこの培養において3日間確立させ、セミコンフルエントな(半集密的)密度に到達させた。3段階で分化を誘導した。基本培地は、300μMのモノチオグリセロール(Sigma-Aldrich)、100U/mlのペニシリン、および100U/mlのストレプトマイシン(Gibco/Brl)を15%の胎児ウシ血清FBS(Gibco/Brl)と共に含む低グルコースダルベッコ培地(Gibco/Brl)から構成された。細胞を、最初は100ng/mlの酸性線維芽細胞増殖因子の存在下において、3日間増殖させた。この段階に続き、20ng/mlの肝細胞増殖因子に3日間曝露し、20ng/mlの肝細胞増殖因子、10ng/mlのオンコスタチンM、10〜7Mのデキサメタゾン(Sigma-Aldrich)1に曝露することによって完了した。細胞を、末期の分化に使用されたものと同じ培地において維持した。対照細胞集団は、分化細胞と同じように播種したが、対照培地における維持のみを単に行った。分化過程の後、培養において30日間細胞を維持した。

0124

肝分化を評価するために、分化細胞および対照細胞において、アルブミンの発現を評価し、標準の尿素窒素アッセイを用いて尿素産生を測定した。Matrigel中に懸濁された細胞を、光学器械支援を用いて10分間トリプシン処理し、スライド上に1,000細胞/スライドの密度でサイトスピンした。細胞は、DAPI核対比染色を用いた標準の免疫細胞学的プロトコールを使用し、ヤギ抗ヒトアルブミンを用いて、アルブミンについて検出した。尿素産生は、比色定量尿素窒素アッセイ(Sigma-Aldrich)を用いて測定した。分化細胞集団または対照細胞集団を、20mM NH4Clの超生理学的レベルの塩化アンモニウム中に置き、これらの細胞タイプの各々の尿素産生の最大速度を調べた。培地をその後、曝露30分後に収集し、ウレアーゼを用い、および用いずに、製造業者の使用説明書によって試験し、真の尿素レベルを得た。分化過程の7日後、細胞は、細長い線維芽細胞から、より上皮様敷石状の外観への形態学的変化を示す傾向があった。細胞は、分化後12日目に陽性染色を示した。対照細胞集団についての尿素産生の最大速度が2.36×10-4μg尿素/時間/細胞であったこととは対照的に、肝分化誘導細胞についての尿素産生の最大速度は4.7×10-4μg尿素/時間/細胞であった。

0125

神経誘導
神経誘導のために、本発明者らは、羊水および絨毛膜絨毛のc-kitpos細胞を神経形成規定培地において培養した(40、41)。神経誘導のために、100mmプレートに羊水からの細胞を3,000細胞/cm2の濃度で播種し、DMEM低グルコース培地(GIBCO/BRL, Grand Island, NY)、1%の抗生物質(GIBCO/BRL, Grand Island, NY)、2%のDMSO、および200μMのブチル化ヒドロキシアニソール(BHA, Sigma-Aldrich, St.Louis, MO)において培養した。培養に、ニューロン成長因子(NGF)(8μl/ml)を2日毎に加えた。2日後、培地を対照培地に変え、同じ量のNGFを連続的に補足した。4日目および8日目に、免疫細胞学的解析のために細胞を固定した。

0126

2日後、培地を対照培地に変え、同じ量のNGFを連続的に補足した。4日目および8日目に、免疫細胞学的解析のために細胞を固定した。対照培地は、改良αMEMから構成された。培地の交換は3日毎に行った。

0127

神経形成条件において培養されたc-kitpos細胞は、最初の24時間以内にその形態を変化させた。2つの異なる細胞集団、形態学的に大きく平坦な細胞、および小さな双極細胞が明らかであった。双極細胞の細胞質は核に向かって収縮し、収縮多極型構造を形成していた。その後数時間に渡って、細胞は一次分枝および二次分枝および円錐様の末端伸長を表した[図6A]。誘導されたc-kitpos細胞は、神経特異的なタンパク質の発現に特徴的な配列を示した。初期の段階において、神経上皮幹細胞において特異的に発現される中間径フィラメントタンパク質ネスチン(BD Bioscience)が高度に発現された[図6B]。βIIIチューブリン[図6C] およびグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)(Santa Cruz)[図6D]、即ちニューロンおよびグリアの分化マーカーの発現(42)は、各々、長時間に渡って増加し、約6日目にプラトーに達するようであった。Chang培地において培養されたc-kitpos細胞、および神経形成培地において同じ期間培養されたc-kitneg細胞は、神経特異的マーカーについて染色されなかった。さらに本発明者らは、ニューロン細胞の機能的挙動について解析した。神経形成条件下において培養されたc-kitpos細胞では、収集された培地における神経伝達物質グルタミン酸の存在が示された。グルタミン酸は通常、培養において完全に分化したニューロンによって分泌される(43)。非誘導細胞、熱不活性化細胞、および対照尿路上皮細胞は、グルタミン酸を全く分泌しなかった[図6E]。

0128

造血分化
造血分化のために、本発明者らは、液体培地(STEMCELLTECHNOLOGIESによるStemSpan、www.stemcell.comを参照のこと)を使用した。細胞培養培地に以下の成長因子を加えた:製造業者の使用説明書(STEM CELL TECHNOLOGIES)に従い、幹細胞成長因子、GM-CSF、IL6、IL3、G-CSF。造血分化は、細胞の形態を解析することによって評価された。

0129

マウスの絨毛膜絨毛および羊水は、光学顕微鏡下にて、6〜9週齢に渡る、妊娠12日目の雌のC57BL/6マウスから採取された(Animal Care and Use Committee, Children’s Hospital, Bostonに認可されたプロトコール)。サンプルを以前に説明されたように処理した。手短に言えば、光学顕微鏡下にて胎盤を切開し、絨毛膜絨毛を取り出した。絨毛膜絨毛および羊水に由来する細胞を、LIF(10ng/ml)(Sigma-Aldrich)を加えて、ヒトの細胞について使用されたものと同じ条件において培養した。c-kitpos細胞を、puc-CMMP-IC-eGFPレトロウイルスによって形質導入し、増殖させた。FACS-Excaliburによって、感染させたc-kitpos細胞をソーティングし、単一のeGFP+細胞を96ウェルプレートのウェル毎にプレーティングし、増殖させた。

0130

これらの細胞の、異なる組織へ方向付けられる能力を評価するために、C57BL/6-TgN(lacZpl)60Vijの4日齢の胚盤胞に10〜12個のc-kitpos感染細胞マイクロインジェクションした。胚盤胞を養母に移し、妊娠16日目までマウスを成長させた。

0131

胎児を採取してOCT包埋し、10μmの完全体切片を調製した。組織の切片をβ-ガラクトシダーゼ酵素活性について染色し、緑色タンパク質についての遺伝子を有するc-kitpos細胞を同定するために、蛍光顕微鏡下にて観察した。

0132

本発明者らはまた、複数の器官を採取し、説明されたようにOCTに包埋し、5μmの切片を調製した。切片をβ-ガラクトシダーゼ酵素活性について染色し、観察した。

0133

凍結切片を10μmに切断し、2%のホルムアルデヒド、0.2%のグルタルアルデヒド、0.02%のNP-40、および0.01%のデオキシコール酸ナトリウムのpH7.8PBS溶液によって室温にて30分間固定し、その後PBSによって3回洗浄した。LacZ染色溶液(2mM MgCl2、0.02%NP-40、0.01%デオキシコール酸ナトリウム、5mM K-フェリシアニド、5mM K-フェロシアニド、および0.1%X-galのpH7.8 PBS溶液)中において、37℃の暗所にて8〜16時間サンプルをインキュベートした。Magna Fireデジタル画像化カメラシステム(Olympus)と共にIX-70顕微鏡を用いて画像を得、Adobe Photoshop 5.0を用いて処理した。

0134

考察
幹細胞は、胚発生中および出生後に、骨髄、骨格筋、および皮膚において存在することが報告された(幹細胞の最近の総説議論については、J.Pathol, 第197巻, 第4号, 2002年を参照のこと)。胚性幹(ES)細胞は、胞胚期の内部細胞塊(ICM)に由来する。ES細胞は、様々なタイプの組織に自発的に分化する傾向がある。しかし、特にヒトの胚からこれらの細胞を単離することは、胚の破壊につながるこの手法の倫理的な課題について白熱した論争をもたらした。

0135

成体性幹細胞は、自発的に分化しないが、適切な増殖条件を適用することによって分化するよう誘導することが可能である。成体性幹細胞は、培養において維持するのがES細胞より容易であると考えられる。しかし、成体性幹細胞には、不死化でなく、培養において一定の数の継代を経た後、そのほとんどが多能性を失うという欠点がある。この短い寿命は、大量の細胞が必要とされる臨床的な適用においては著しい障害となる。

0136

胎児組織はその多能性および増殖能のため、過去に、移植および組織再生医工学的研究のために使用されてきた。胎児性細胞は、成体性細胞より高い増殖能を有し、培養においてその多能性をより長く保存することが可能である。しかし、胎児性細胞移植片利用可能性に関しては幾つかの問題がある。中絶胎児または生きた胎児からの細胞の使用に関する倫理的な課題以外にも、なおも解決すべき部分の残る他の問題がある。例えば、以前の研究から、パーキンソン病を有する1人の患者を治療するために十分な材料を提供するには、6個体までの胎児が必要とされることが示された(45)。

0137

本発明は、出生前診断のために数十年間使用されてきた絨毛膜絨毛および羊水の細胞が、胚性供給源および胎児性供給源の双方に由来するヒトの胎児性幹細胞の生きた供給源であり、治療的に使用することができるという発見に基づく。絨毛膜絨毛組織検体および羊水の双方が多様な細胞を含むことはよく知られている。絨毛膜絨毛および羊水から収集された細胞の大部分は既に分化しており、したがって、限られた増殖能を有する(46)。本発明者らは、ここで、その多分化能および増殖能の両方が維持された細胞を同定および単離した。

0138

過去における多くの努力は、未分化細胞上の細胞表面マーカーに結合する抗体を同定することを目指していた。c-kit、CD105、CD34、およびCD90は、潜在的な幹細胞マーカーとして同定された。本発明者らは、絨毛膜絨毛および羊水から単離された、胚性細胞および胎児性細胞の1%未満がc-kitposであること、ならびに単離されたc-kitpos細胞のみが多能性表現型を有することを見出した。c-kit遺伝子は、造血、メラニン産生、および生殖能力には必須の、マスト細胞増殖因子とも呼ばれる幹細胞成長因子(SCF)のための、チロシンキナーゼ増殖因子受容体をコードする(46)。Kitタンパク質(CD117)は、造血幹細胞、マスト細胞、生殖細胞、メラノサイト、ある種の基底上皮細胞、胸部の管腔上皮、および胃腸管のCajalの間質細胞において構成的に発現される(47)。c-kit遺伝子は、生殖細胞の確立、維持、および機能において根本的な役割を担う(48)。胚生殖腺においては、c-kit受容体およびそのリガンドSCFは、始原生殖細胞の生存および増殖に必要とされる。さらに、近年の研究により、妊娠中に胎盤組織においてc-kitが発現されることが示された。c-kitおよびSCFは、胎児-母体境界における発現および局在化によって明らかであるように、胚の発生において重要な役割を担うと考えられる(49)。出生後の動物個体において、c-kit/SCFは、性腺刺激ホルモンに反応した成熟配偶子の生産のために、即ち、精巣の唯一の増殖生殖細胞、精原細胞の生存および/または増殖のために、ならびに、卵母細胞の成長および成熟のために必要とされる。インビトロの実験によって、c-kitが始原造血細胞のための潜在的なマイトジェンであることが示された。マウスにおいては、SCFまたはc-kitのいずれかの欠損によって大球性貧血が起こり、胎内での、または出生後最初の数日以内での死亡が導かれる。

0139

成体性幹細胞は、限られた増殖能を有し、ヘーフリック限度に達した場合に老化する。その上、成体性幹細胞は、少数回の継代を経た後に、複数の系統へのその分化能を保存することができない。成体性幹細胞とは対照的に、胚性幹(ES)細胞は、無限の増殖能を有し、培養においてその分化能を維持することができる。本発明者らは、ヒトの胚および胎児の絨毛膜絨毛および羊水に由来するc-kitpos細胞が多能性であり、骨形成表現型、脂質生成表現型、筋表現型、神経表現型、肝表現型、および内皮表現型に分化できることを見出した。異なるタイプの組織を形成する可能性は、インビボにおいて確認された。細胞はテロメラーゼ陽性、高度にクローン原性であり、クローン化胎児性幹細胞系は、ヘーフリック限度を上回る、250回を超える細胞分裂を経ることが可能であった。幹細胞系は、集団倍加数が250となった後でさえも、培養においてそのテロメア長および分化能を維持していた。加えて、c-kitpos細胞は、増殖のためにフィーダー細胞層を必要としなかった。c-kit陽性ヒト胎児性幹細胞は、ヒト胚性幹細胞と関連することが知られるマーカー(SSAE3およびSSAE4)も発現していた。

0140

結論として、本発明者らは、ヒトの胚および胎児の絨毛膜絨毛および羊水からの幹細胞の単離、増殖、および分化について説明する。これらの細胞は、研究および治療的な適用の双方のために優れた供給源を提供する。胚性幹細胞および胎児性幹細胞は、成体性幹細胞よりも優れた増殖能を有し、このため、多数の細胞が必要とされる治療的な適用のために非常に優れた供給源となる。

0141

さらに、妊娠期間中に幹細胞を単離できることは、胎内における先天異常を有する胎児の治療のために好都合であり得る。ES細胞と比較した場合、絨毛膜絨毛および羊水から単離されたc-kitpos胎児性幹細胞は、多くの類似点を有する:それらは、3つ全ての胚葉に分化することが可能である、それらは、共通のマーカーを発現し、テロメラーゼ活性を示す。しかし、絨毛膜絨毛および羊水から単離されたc-kitpos細胞には、ES細胞を上回るかなりの利点がある。絨毛膜絨毛および羊水から単離されたc-kitpos細胞は、特定の細胞系統に容易に分化し、増殖するためにフィーダー細胞層を必要とせず、最も重要なことには、これらの細胞の単離のためにはヒトの胚を犠牲にする必要がないため、現在あるようなヒトの胚性幹細胞の使用に関連した論争が避けられる。

0142

本明細書において、および明細書を通して引用される参考文献は、その全体が参照として組み入れられる。

0143

参考文献

図面の簡単な説明

0144

図1A〜図1Gは、絨毛膜絨毛および羊水からの細胞の特徴付けの実験の結果を示す。0.8〜3%の間の、羊水および絨毛膜絨毛からの細胞がc-kitposであった[1A]。c-kitpos細胞は、マウスの段階特異的胚性抗原1によって染色されなかった[1B]が、ヒトの段階特異的胚性抗原3および4については陽性染色された[1Cおよび1D]。後期継代培養のc-kitpos細胞(PD200)の解析によって、正常な核型が示された[1E]。テロメラーゼ活性は、テロメラーゼ反復配列増幅(Telomerase Repeat Amplification Protocol:TRAP)アッセイを用いて評価された[1F]。絨毛膜絨毛および羊水のc-kitpos細胞はテロメラーゼ陽性であった(レーン1)。特定の系統への分化の際、テロメラーゼ活性は検出不可能なレベルにまで低下した(レーン2)。レーン3は、陽性対照を示す。レーン4は、テロメラーゼ活性を全く示さない陰性対照細胞溶解物を示す。テロメア長は、制限酵素末端断片(TRF)測定によって評価された[1G]。c-kitpos細胞は、およそ10.2kbpの高分子量マーカー(レーン2)と比較して、早期および後期(250 PD)の双方の継代培養において同様のテロメア長を有していた(各々レーン3および4)。レーン1は、低分子量マーカーを示す。
図2A〜図2Lは、絨毛膜絨毛および羊水から単離されたc-kitpos細胞の骨形成誘導を示す。誘導の4日後に、骨形成誘導培地によって処理された絨毛膜絨毛および羊水からのc-kitpos細胞の形状は、骨芽細胞様の外観に変化した[2A]一方、対照培地における細胞は、それらの紡錘形状の表現型を失わなかった[2B]。アルカリホスファターゼ活性は、骨形成誘導培地および対照培地を用いて32日間インキュベートされたc-kitpos細胞において定量化された[2C]。数字は、nMol p-ニトロフェノール/分/106細胞としてアルカリホスファターゼの産生を示し、16日目に産生のピークを示す(太線);一方、対照培地において増殖させたc-kitpos細胞(陰付き線)、または骨形成条件において増殖させたc-kitneg細胞(点線)は、アルカリホスファターゼの産生を全く示さなかった。骨形成誘導培地および対照培地によって処理したc-kitpos細胞は、4、8、16、24、および32日後に、アルカリホスファターゼについて染色された[2D]。骨形成誘導細胞においては強いアルカリホスファターゼ染色が認められ、それは16日目に始まり、その後は高く維持された。対照培地において増殖させたc-kitpos細胞は、アルカリホスファターゼ染色を全く示さなかった。コンフルエント(集密的)となった場合、細胞は、骨において認められるものと同様の典型的な層状構造を形成した[2F]。対照培地におけるc-kitpos細胞は、層状構造を全く形成しなかった[2E]。細胞の石灰化は、カルシウムについての化学アッセイを用いて定量化された[2G]。数字は、カルシウム沈着をmg/dlで示す。骨形成誘導されたc-kitpos細胞は、16日目に始まるカルシウム沈着の有意な増加を示した(太線)。対照培地において増殖させたc-kitpos細胞(陰付き線)または骨形成条件において増殖させたc-kitpos細胞(点線)においてはカルシウム沈着は検出されなかった。対照培地または骨形成誘導培地によって処理したさらなる細胞を、培養において32日後に(40×)フォン・コッサ染色を用いて解析した。骨形成誘導細胞は、16日目に始まる有意な石灰化を示した[2H]。対照培地において増殖させた細胞においては、いかなる時点でも石灰化は起こらなかった[2I]。対照培地(レーン1、2、3、および4)および骨形成誘導培地(レーン5、6、7、および8)において増殖させた羊水からのc-kitpos細胞からRNAを単離した。8、16、24、および32日目に、アルカリホスファターゼ、cbfa1、オステオカルシン、およびβ2-ミクログロブリンのためのプライマーを用いてRT-PCRを行った[2G]。RT-PCRは、8日目にcbfa1およびオステオカルシンのアップレギュレーションを示し、それによって骨形成誘導細胞におけるアルカリホスファターゼのアップレギュレーションが確認された[2J]。c-kitpos細胞をヒドロキシアパタイト-コラーゲン足場上に播種し、骨形成系統に誘導し、無胸腺マウスの皮下に移植し、4週間および8週間後に採集した。骨様の組織が明らかであり、細胞外マトリックスに囲まれていた。トルイジンブルー染色によって、骨形成表現型が確認された。移植された組織内の大きな石灰化部分はフォン・コッサによって陽性に染色され、骨形成が示された[2K]。播種されなかった足場を移植し、対照として使用した[2L]。
図3A〜3Fは、絨毛膜絨毛および羊水から単離されたc-kitpos細胞の脂質生成誘導を示す。脂肪細胞クラスターは8日目に現れ[3A]、細胞のパーセンテージは、16日目に脂質生成誘導された細胞がオイルレッドOによって均一に染色されるまで[3B]、時間と共に増加した。対照培地において培養されたc-kitpos細胞は、16日目には脂質沈積物を全く示さなかった[3C]。対照培地(レーン1および2)および脂質生成誘導培地(レーン3および4)において増殖させたc-kitpos細胞からRNAを単離した[3D]。示すように、8日目および16日目に、PPARγ2、リポプロテインリパーゼ、およびβ2-ミクログロブリンのためのプライマーを用いてRT-PCRを行った。脂質生成誘導培地において増殖させた細胞におけるPPARγ2およびリポプロテインリパーゼのアップレギュレーションは、8日目および16日目(レーン3および4)に認められた。c-kitpos細胞をポリグリコール酸ポリマー足場上に播種した。細胞を脂質生成系統に誘導した。足場は、無胸腺マウスの皮下に移植し、4週間または8週間後に採集して解析した。回収した足場は、脂肪組織の形成を著しく示した[3E]。脂肪組織の存在は、オイルレッドO染色を用いて確認された(倍率200×)[3F]。
図4A〜図4Iは、絨毛膜絨毛および羊水から単離されたc-kitpos細胞の筋誘導を示す。筋誘導条件下において、c-kitpos細胞は、4日目に多核細胞へと融合し[4A]、8日後に筋管様構造を形成した[4B]。多核細胞は、筋誘導の16日後、筋節トロポミオシン[4C]およびデスミン[4D]の発現について緑色に染色された。DAPIを用いて細胞の核を青色に染色した。非処理細胞は、筋節トロポミオシン[4E]またはデスミン[4F]について染色されなかった。対照培地(レーン1および2)および筋誘導培地(レーン3および4)において増殖させたc-kitpos細胞からRNAを単離した[4G]。8日目および16日目に、MyoD、MRF4(herculin、Myf6)、およびデスミンのためのプライマーを用いて、RT-PCRを行った。筋誘導細胞は、16日目にデスミン発現の強いアップレギュレーションを示した(レーン4)。MyoDおよびMRF4は、筋誘導処理によって8日目に誘導された(レーン1)。対照細胞においては、MyoD、MRF4、およびデスミンの特異的なPCR増幅DNA断片は8日目および16日目に検出できなかった(レーン1および2)。蛍光マーカーPKH26によってc-kitpos細胞を標識し、筋系統に誘導した。筋細胞を無胸腺マウスの後肢の筋肉組織に注射し、4週間後に回収した。注射された筋細胞は、デスミンを発現する筋組織(m)の形成を示し[4H]、その蛍光を維持していた[4I]。天然の筋(n)は、蛍光を全く発現しなかった。
図5A〜図5Fは、絨毛膜絨毛および羊水から単離されたc-kitpos細胞の内皮誘導を示す。c-kitpos細胞は、EBM-2およびbFGFと共に、PBS-ゼラチン被覆皿において単層として培養され、インビトロにおいて典型的な内皮の外観を示した[5A]。完全に分化した内皮細胞は、内皮特異的マーカーFVIII[5B]、KDR[5C]、およびP1H12[5D]について染色された。Matrigelにおいて一旦培養されれば、細胞は長期間毛管構造を形成することが可能であった[5E]。表現型の変化を確認するために、本発明者らはRT-PCRを行った[5F]。CD31およびVCAMは、内皮誘導培地において誘導されたc-kitpos細胞における著しい増加を示した(レーン2)。対照培地において培養されたc-kitpos細胞(レーン1)は、遺伝子増幅を全く示さなかった。
図6A〜図6Eは、絨毛膜絨毛および羊水から単離されたc-kitpos細胞の神経誘導を示す。神経誘導条件下において培養されたc-kitpos細胞は、最初の24時間内にその形態を変化させた。細胞の細胞質は核に向かって収縮し、一次分枝および二次分枝、ならびに円錐様の末端伸長を有する収縮多極型構造を形成した[6A]。分化した細胞は、特定の神経形成マーカーβIIIチューブリン[6B]、ネスチン[6C]、およびグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)[6D]について染色された。神経形成条件下にて培養されたc-kitpos細胞のみが、収集された培地におけるグルタミン酸の分泌を示した。さらに、グルタミン酸の分泌を誘導することが可能であった(KCl;50mMKCl緩衝液において20分)[6E]。

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