図面 (/)

技術 アロフェン系物質含有レーヨンおよびその製造方法

出願人 ダイワボウホールディングス株式会社ダイワボウレーヨン株式会社国立大学法人信州大学
発明者 藤松仁有持正博林誠
出願日 2004年6月8日 (16年5ヶ月経過) 出願番号 2004-169996
公開日 2005年12月22日 (14年10ヶ月経過) 公開番号 2005-350785
状態 特許登録済
技術分野 合成繊維
主要キーワード プラスチックシート材料 灰分測定 吸水膨潤性 廃棄水 環境ホルモン類 EP水 次亜塩素酸ソーダ水溶液 圧縮ローラ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年12月22日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

環境ホルモン類物質であるフタル酸ジエチル(DEP)を分解し得るレーヨンを提供する。

解決手段

アロフェンおよび/または石炭灰ノニオン系界面活性剤ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む水分散液湿式粉砕機を用いて処理して、微細なアロフェンおよび/または石炭灰が分散しているアロフェン系物質分散液を調製し、この分散液をビスコースに混合してアロフェン系物質添加ビスコースを得た後、このビスコースを湿式紡糸する方法によって、DEP分解能を有するアロフェンおよび/または石炭灰が繊維中に分散しているアロフェン系物質含有レーヨンを得る。

概要

背景

近年、環境ホルモンと呼ばれる物質およびこれに類似する物質が生物生殖に悪影響を及ぼすことが広く知られている。そのため、環境ホルモンが生態系に放出されることを防止するべく、例えば、産業廃棄物処理施設で生じる廃水に含まれる環境ホルモンをレーザ照射または高圧処理等によって分解することが実施されている。また、産業廃棄物処理施設の作業者が環境ホルモンを摂取しないよう、適切な対策をとる必要があることも広く認識されている。

環境ホルモン類似物質の一つとして、フタル酸ジエチル(本明細書でDEPと略す場合がある)が知られている。これは塩化ビニルを加工する際に使用される物質である。最近の研究は、DEPを吸着分解する物質としてアロフェンが有用であることを示している。アロフェンは、二酸化珪素アルミナおよび三酸化二鉄を主成分とする粘土物質である。アロフェンは、脱臭抗菌作用を有するものとして既に知られており、例えば、特許文献1(特開2001−47493号公報)には、プラスチックシート材料の表面にアロフェン系粘土鉱物コーティング層を有する吸着凝集処理材が開示されている。また、特許文献2(特許第3215318号公報)には、光触媒と特定の吸着剤を含有する繊維において、アロフェンを付加的な吸着剤として使用しうることが開示されている。
特開2001−47493号公報
特許第3215318号公報

概要

環境ホルモン類似物質であるフタル酸ジエチル(DEP)を分解し得るレーヨンを提供する。アロフェンおよび/または石炭灰ノニオン系界面活性剤ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む水分散液湿式粉砕機を用いて処理して、微細なアロフェンおよび/または石炭灰が分散しているアロフェン系物質分散液を調製し、この分散液をビスコースに混合してアロフェン系物質添加ビスコースを得た後、このビスコースを湿式紡糸する方法によって、DEP分解能を有するアロフェンおよび/または石炭灰が繊維中に分散しているアロフェン系物質含有レーヨンを得る。なし

目的

本発明者らは、アロフェンがDEPを分解する能力に着目し、これを高濃度で含有する繊維を製造すれば、DEPを含む廃水を処理するのに適したフィルター、および産業廃棄物処理施設の作業者用の作業衣を得ることができると考えた。したがって、本発明は、アロフェンのDEP分解能を利用した繊維を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

アロフェンおよび/または石炭灰セルロース100質量部に対して1〜20質量部含む、アロフェン系物質含有レーヨン

請求項2

レーヨン中に含まれるアロフェンおよび/または石炭灰粒子のうち90%以上が3μm以下の粒子径を有する、請求項1に記載のアロフェン系物質レーヨン。

請求項3

レーヨン中に含まれるアロフェンおよび/または石炭灰粒子のうち、90%以上が2μm以下の粒子径を有する、請求項1に記載のアロフェン系物質含有レーヨン。

請求項4

アロフェンおよび/または石炭灰、ならびにノニオン系界面活性剤が水に分散したアロフェン系物質分散液を調製すること、アロフェン系物質分散液をビスコース添加混合すること、ならびにアロフェン系物質分散液を添加したビスコースを紡糸することを含む、アロフェン系物質含有レーヨンの製造方法。

請求項5

アロフェン系物質分散液を調製する際に、カルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに分散させることを含む、請求項4に記載の製造方法。

請求項6

アロフェン系物質分散液を湿式粉砕機で処理することを含む、請求項4または請求項5に記載の製造方法。

請求項7

アロフェン系物質分散液を、当該分散液に含まれるアロフェン粒子のうち90%以上の粒子径が2μm以下となるように湿式粉砕機で処理する、請求項6に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、アロフェンおよび石炭灰の一方または両方が繊維中に分散したレーヨン、およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、環境ホルモンと呼ばれる物質およびこれに類似する物質が生物生殖に悪影響を及ぼすことが広く知られている。そのため、環境ホルモンが生態系に放出されることを防止するべく、例えば、産業廃棄物処理施設で生じる廃水に含まれる環境ホルモンをレーザ照射または高圧処理等によって分解することが実施されている。また、産業廃棄物処理施設の作業者が環境ホルモンを摂取しないよう、適切な対策をとる必要があることも広く認識されている。

0003

環境ホルモン類似物質の一つとして、フタル酸ジエチル(本明細書でDEPと略す場合がある)が知られている。これは塩化ビニルを加工する際に使用される物質である。最近の研究は、DEPを吸着分解する物質としてアロフェンが有用であることを示している。アロフェンは、二酸化珪素アルミナおよび三酸化二鉄を主成分とする粘土物質である。アロフェンは、脱臭抗菌作用を有するものとして既に知られており、例えば、特許文献1(特開2001−47493号公報)には、プラスチックシート材料の表面にアロフェン系粘土鉱物コーティング層を有する吸着凝集処理材が開示されている。また、特許文献2(特許第3215318号公報)には、光触媒と特定の吸着剤を含有する繊維において、アロフェンを付加的な吸着剤として使用しうることが開示されている。
特開2001−47493号公報
特許第3215318号公報

発明が解決しようとする課題

0004

本発明者らは、アロフェンがDEPを分解する能力に着目し、これを高濃度で含有する繊維を製造すれば、DEPを含む廃水を処理するのに適したフィルター、および産業廃棄物処理施設の作業者用の作業衣を得ることができると考えた。したがって、本発明は、アロフェンのDEP分解能を利用した繊維を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0005

本発明者らは、繊維表面に存在するアロフェンだけでなく、繊維内部に存在するアロフェンをも有効に利用しうる構成の繊維を得るべく、検討した。その結果、レーヨン中にアロフェンを分散させれば、レーヨンの吸水膨潤性を利用して、繊維内部に浸入した水分に含まれるDEPを分解することができ、アロフェンを含有した合成繊維(多くは吸水性を有していない)と比較してより多くの廃棄水を処理することができ、ひいてはより多くのアロフェンを分解することができると考えた。

0006

さらに、本発明者らは、アロフェンと石炭灰の構造が類似することに着目し、アロフェンとともに又はこれに代えて石炭灰を使用して、DEP分解能を有する繊維を製造することができれば、火力発電所等で生じる石炭灰を有効に利用することができると考えた。火力発電所等で石炭燃焼することにより生じる石炭灰は、一部において道路材、建材およびセメント原料として再利用されているものの、その多くは埋め立てにより廃棄されている。したがって、これを再利用することは、産業界において強く望まれている。そこで、石炭灰がDEP分解能を有するか否かについても検討したところ、石炭灰がアロフェンと同様にDEP分解能を有することを確認した。

0007

即ち、本発明は、アロフェンおよび/または石炭灰をセルロース100質量部に対して1〜20質量部含むアロフェン系物質含有レーヨンを提供する。このレーヨンにおいては、アロフェンおよび/または石炭灰が繊維全体にわたって分散しており、繊維表面だけでなく、繊維内に浸入したDEPをも分解できる。レーヨンは特に吸水性が大きく、内部に水を取り込んで膨潤する性質を有するため、本発明の繊維は廃水中のDEPを分解するのに特に適している。また、本発明者らは、レーヨンがそれ自体、DEPを分解する能力をある程度有することを見いだした。したがって、本発明は、レーヨンならびにアロフェンおよび/または石炭灰が有するDEP分解能力相乗的に発揮された、DEP分解性繊維として提供され得る。

0008

本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは、アロフェンのみ、または石炭灰のみを含んでよく、あるいは両方を含んでよい。その意味において「および/または」という用語を使用している。アロフェンは一般に天然の粘土鉱物であるが、人工的に製造されたアロフェンを使用してよい。石炭灰は、一般に火力発電所等にて石炭を燃焼させることにより排出され、フライアッシュおよびクリンカアッシュ等と称されるものである。また、本明細書においては、石炭灰がアロフェンと類似する構造を有することから、アロフェンと石炭灰とを総称して(即ち、「アロフェンおよび/または石炭灰」という用語に代えて)、「アロフェン系物質」という用語を使用している。

0009

本発明のアロフェン系物質含有レーヨンにおいては、レーヨンに含まれるアロフェンおよび/または石炭灰粒子のうち90%以上が3μm以下の粒子径を有することが好ましい。粒子径が特定値以下である小さいアロフェンおよび/または石炭灰粒子を少なくとも9割含むアロフェンを使用することによって、セルロース100質量部に対して最大で20質量部のアロフェンを繊維中により良好に分散させることが可能となる。

0010

本発明はまた、上記アロフェン系物質含有レーヨンを製造する方法として、
および/または石炭灰、ならびにノニオン系界面活性剤が水に分散したアロフェン系物質分散液を調製すること、
アロフェン系物質分散液をビスコース添加混合すること、ならびに
アロフェン系物質分散液を添加したビスコースを紡糸すること
を含む、アロフェン系物質含有レーヨンの製造方法を提供する。

0011

アロフェンは粘土鉱物であって水中で凝集しやすいため、これを繊維中に分散させることは一般に困難である。石炭灰もまた同様に、繊維中に分散させることは一般に困難である。また、アロフェンおよび石炭灰中の二酸化珪素はアルカリに可溶であるため、これをレーヨン中に分散させることは難しいと予想された。本発明においては、アロフェンおよび/または石炭灰を分散させる手法として、アロフェンおよび/または石炭灰を分散させたアロフェン系物質水分散液をビスコースに混合する手法を採用し、かつ特定の界面活性剤を用いてアロフェン系物質分散液を調製することにより、アロフェン系物質がビスコースに均一に分散することを可能にした。より具体的には、本発明の製造方法は、分散剤としてノニオン系界面活性剤を用いてアロフェン系物質を分散させる点に特徴がある。さらに、本発明の製造方法においては、アロフェン系物質とノニオン系分散剤とともに、粘度調整剤および沈降防止剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(本明細書において、CMCと略すことがある)を使用し、これらを水に分散させてアロフェン系物質分散液を調製することが好ましい。ノニオン系界面活性剤を使用すると、カチオン系界面活性剤を使用する場合と比較して、アロフェン系物質をより大きい含有量でビスコース中に分散させることができ、有利であることがわかった。また、CMCを添加することにより、より安定的にアロフェン系物質を分散させ得ることがわかった。CMCは、アロフェン系物質分散液がビスコースに添加されたときに、アロフェン系物質をビスコースから保護する役割をし、アロフェン系物質がアルカリと接触することを防止し、二酸化珪素の溶出を抑制しているものと推測される。また、CMCは、紡糸時に酸と反応してカルボキシメチルセルロースとなり、これは繊維成分であるセルロースの骨格と同じ構造であるから、その一部が繊維中に残るとしても異物にならないものと推定され、また、実際に繊維性能がCMCの存在により大きく影響を受けることはない。これらの理由により、CMCはアロフェン系物質の分散助剤として好適に使用される。尤も、ここで述べた理由は推定にすぎず、この推定によって本発明の範囲が影響を受けるものではないことに留意されたい。

0012

本発明において、前記アロフェン系物質分散液は湿式粉砕機で処理することが好ましい。それにより、アロフェンおよび/または石炭灰の粒子粉砕されて、より微細化された形態にて分散液中に存在することとなる。微細なアロフェンおよび/または石炭灰の粒子はビスコースにおいて良好に分散する。アロフェンおよび/または石炭灰の粒子は好ましくは、少なくとも90%の粒子が2μm以下の粒子径を有するように粉砕される。

発明の効果

0013

本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは、繊維中にアロフェンおよび/または石炭灰が分散された構成を有し、かつレーヨンの吸水性およびDEP分解能と相俟って、有意にDEPを分解する性質を呈する。したがって、本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは、例えば、DEP濃度の高い環境にて用いられる、フィルターおよび被服等を構成するのに適している。

0014

また、本発明の製造方法は、特定の方法で調製したアロフェン系物質分散液をビスコースに添加することのみを要し、ビスコースの紡糸において特別な操作を要しない。したがって、本発明の製造方法によれば、通常のレーヨン製造装置を用いて、通常の手法でアロフェンおよび/または石炭灰を含有するレーヨンを得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0015

本発明のアロフェン系物質含有レーヨンに含まれるアロフェン系物質、即ち、アロフェンおよび/または石炭灰は、その90%以上が3μm以下の粒子径を有することが好ましい。アロフェン系物質の粒子径は、アロフェン系物質の分散液を使用して製造する場合にはこの分散液、またはこれを添加したビスコースもしくは紡糸後セルロース繊維光学顕微鏡倍率160倍)で観察したときの一視野内に含まれる1000個程度のアロフェン系物質の粒子(明らかに凝集しているものを除く)の直径を目視により計測する方法で測定される。アロフェン系物質の粒子が異形である場合には、粒子の輪郭の任意の2点を結ぶ線分のうち最も長い線分を当該粒子の粒子径とする。本発明においては、このようにして測定した粒子径が90%以上(9割以上)の粒子について3μm以下であることが好ましい。このように微細なアロフェンは、天然のアロフェンまたは火力発電所等から排出された石炭灰を適当な微粉砕機ジェットミル)を用いて粉砕することにより得られる。

0016

本発明のレーヨンにおいて、アロフェン系物質の粒子の90%以上が2μm以下の粒子径を有することが好ましく、具体的にはアロフェン系物質の粒子の90%以上が1〜2μmの粒子径を有する。このように小さい粒子径のアロフェン系物質は、例えば、上記90%以上が3μm以下の粒子径を有するアロフェン系物質を分散させた水溶液を、湿式粉砕機でさらに処理することにより得られる。

0017

アロフェン系物質の含有量は、繊維のセルロース100質量部に対して1〜20質量部であり、好ましくは5〜15質量部である。アロフェン系物質の含有量が少ないと、繊維のDEP分解能が不十分となる。アロフェン系物質の含有量が多いほど、繊維のDEP分解能は高くなる。しかし、アロフェン系物質を大量にレーヨン中に分散させることは困難である。よって、実用的な繊維生産性を達成するにはアロフェン系物質の含有量の上限はセルロース100質量部に対して20質量部程度とすることが好ましい。また、石炭灰をレーヨンに含有させる場合には、石炭灰とアロフェンと組み合わせて使用する(両者を混合して使用する)ことが、DEP分解能の観点からは好ましい。

0018

本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは、後述するように通常のビスコース紡糸法により製造することができる。したがって、その繊度は、用途等に応じて任意に選択することができ、例えば1〜17dtexの範囲から選択される。また、ステープルおよびフィラメントのいずれの形態で提供されてよい。

0019

本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは、普通レーヨン、強力レーヨンおよびポリノジックのいずれであってもよい。また、本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは、紡績して紡績糸とするために用いられ、あるいは不織布または紙を製造するために用いられる。紡績糸は、さらに織物および編物を製造するために用いられる。これらの不織布、紙、織物および編物等の繊維製品は、DEPの濃度が高い環境で使用する製品、例えば産業廃棄物処理に従事する作業者の作業衣およびマスク、ならびに廃水を処理するフィルターとして提供されることが特に好ましい。また、本発明のレーヨンを含む繊維製品は、通常のレーヨンを含む繊維製品と同じ用途において広汎に使用できる。例えば、本発明のレーヨンを含む繊維製品は、カーテンおよびカーペット等のインテリア製品の部材として提供でき、その場合には外部から侵入する又は建材から放出される環境ホルモンを分解して室内環境を良好に維持することができる。あるいは、本発明のレーヨンを含む不織布は、使い捨てワイパーおよび簡易フィルターとして使用でき、その場合には不織布中に保持した物質に含まれる環境ホルモンを分解することが可能となる。

0020

あるいは、本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは、DEPを含む廃水中にそのまま投入することにより、一種のDEP分解材として機能させることができる。レーヨンは生分解性を有するため、廃水中に投入して放置しておくことによって、自然に分解させることができ、回収する必要がないから、本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは取り扱い性に優れた廃水処理材として使用できる。このような廃水処理材として使用するレーヨンは、好ましくは1.7〜10dtexの繊度を有する。

0021

次に本発明のアロフェン系物質含有レーヨンを製造する方法を説明する。本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは、アロフェン系物質分散液をビスコースに添加し、このビスコースを紡糸する方法により製造される。アロフェン系物質分散液は、アロフェン系物質である、アロフェンおよび石炭灰から選ばれる少なくとも1種の物質を、ノニオン系界面活性剤および好ましくはCMCとともに水に分散させて調製する。アロフェン系物質分散液は、アロフェン系物質を5〜20質量%、ノニオン系界面活性剤を0.1〜2質量%の割合で含むことが好ましく、さらにCMCを0.1〜1質量%の割合で含むことがより好ましい。

0022

アロフェン系物質は、天然のアロフェンまたは火力発電所からの石炭灰をその90%以上の粒子径が3μm以下となるように粉砕してから水中に分散させることが好ましい。ビスコース中での分散性を良好にするためである。ノニオン系界面活性剤として、例えば、本油脂(株)製のM−138(商品名)およびアクゾノベル(株)製のBEROL VISCO32(商品名)を使用できる。

0023

アロフェン系物質分散液は好ましくは湿式粉砕機で処理される。それにより、アロフェン系物質をより微細な粒子にして(具体的には、粒子径1〜2μm程度の粒子の占める割合が90%以上となるように)分散させることができる。湿式粉砕機は、市販されているものを任意に使用でき、例えば、ダイノーミル(DYNO−MILL(商品名):(株)シンマルエンタープライゼス製)を好ましく使用できる。湿式粉砕機による処理は好ましくは複数回(例えば2〜5回)繰り返してよく、その場合、アロフェン系物質の粒子径をより小さくすることができる。湿式粉砕機による処理後の分散液は、液中の粗大粒子(≧10μm)を除去するために、必要に応じて濾過してよい。

0024

このようにして調製したアロフェン系物質分散液をビスコースに添加して、アロフェン系物質を含有するビスコースを得る。アロフェン系物質分散液の添加量は、最終的に得られる繊維に所定の濃度のアロフェン系物質が分散されるように、ビスコース中のセルロース濃度およびアロフェン系物質分散液中のアロフェン系物質の濃度を考慮して、選択される。

0025

アロフェン系物質分散液を添加したビスコースは、アロフェン系物質が均一に分散するように混合する。このビスコースは、通常の紡糸浴を用いて、通常の方法で紡糸することにより繊維化され、この繊維を通常の方法で精練することにより、本発明のアロフェン系物質含有レーヨンを得ることができる。精練工程において、漂白(即ち、晒)は実施しても実施しなくてもよい。漂白を実施すると、DEPの分解能は若干低減する傾向にある。

0026

本発明のアロフェン系物質含有レーヨンによるDEPの分解は、下記のように進行すると考えられる。即ち、下記の式は、フタル酸ジエチル(DEP)が、加水分解によりフタル酸エチルアニオン(EP)アニオンとなり、このEPアニオンが脱炭酸により分解されて、安息香酸エチル(EB)を生成する分解過程、およびEPアニオンがさらに加水分解されて、フタル酸(PA)ジアニオンを生成し、PAアニオンが脱炭酸によりさらに分解されて安息香酸(BA)アニオンを生成する分解過程を示している。式中に示していないが、EBエチルおよびEBアニオンは、さらに分解して、ベンゼンを生成すると考えられる。

0027

0028

以下、本発明の内容について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。

0029

(実施例1)
天然のアロフェンをホソカワミクロン株式会社製のジェットミルで粉砕してアロフェン粉体を得た。このアロフェン粉体においては、90%以上の粒子が約3μmの粒子径を有していた。このアロフェン粉体、ノニオン系界面活性剤(アクゾノーベル(株)製のBEROL VISCO32(商品名))およびCMCを、イオン交換水中に、全体に占める割合がそれぞれ10質量%、0.5質量%、および0.2質量%となるように混合し、アロフェン分散液を得た。次いで、この分散液を、湿式粉砕機(ダイノーミル、(株)シンマルエンタープライゼス製)で処理した。処理は、流量を10リットル/時間として、4回繰り返した。さらに、分散液をバグフィルターにより濾過して、粗大粒子を除去した。

0030

セルロース含有量8.5質量%、水酸化ナトリウム5.7質量%、二硫化炭素32質量%(セルロース質量に対して)の組成で、落球粘度56秒、塩化アンモニウム価17ccのビスコースを準備した。このビスコースに上記アロフェン分散液を、アロフェンの量がセルロース100質量部に対して10質量部となるような量で添加し、混合してアロフェンを分散させた。

0031

得られた混合ビスコースを、二浴緊張紡糸法により、紡糸速度50m/分、延伸率50%で紡糸して、繊度約5.6dtexの繊維を得た。第1浴(紡糸浴)の組成は、硫酸115g/l、硫酸亜鉛15g/l、硫酸ナトリウム350g/lであり、温度は50℃とした。紡糸ノズルは、孔径0.09mmのホールを4000個有するものであった。紡糸中、単糸切れ等の不都合は生じず、混合ビスコースの紡糸性は良好であった。

0032

このようにして得たビスコースレーヨンを、精練工程に付した。精練工程は、通常の方法で、熱水処理水流化処理、漂白、酸洗い、および油剤付与(即ち、オイリング)の順で実施して行った。漂白は、次亜塩素酸ソーダ水溶液(0.03質量%)を用いて実施した。油剤付与後、圧縮ローラで余分な油剤を繊維から落とした後、乾燥処理(60℃、7時間)を施して、アロフェン系物質含有レーヨンを得た。

0033

(実施例2)
精練工程において、漂白を実施せずに、熱水処理および脱硫のみを実施したことを除いては、実施例1と同様にして、未漂白(未晒)のアロフェン系物質含有レーヨンを得た。

0034

(実施例3)
実施例1と同様にしてアロフェン分散液を得た後、これを、アロフェンの量がセルロース100質量部に対して2.6質量部となるような量で添加し、混合してアロフェンをビスコース中に分散させた。次いで、このビスコースを、繊度約1.7dtexの繊維が得られるように、孔径0.07mmのホールを4000個有するノズルを用いて、延伸率を50%としたことを除いては、上記実施例1で採用した条件と同じ紡糸条件で紡糸し、精練工程に付して、アロフェン系物質含有レーヨンを得た。

0035

(比較例1)
アロフェン分散液を添加しないことを除いては、実施例2と同様にして、レーヨンを得た。

0036

(比較例2)
アロフェン粉体、およびポリエチレンイミンを主成分とするカチオン系界面活性剤を、イオン交換水中に、全体に占める割合がそれぞれ10質量%および0.4質量%となるように混合した。次いで、この混合液を、湿式粉砕機(ダイノーミル、(株)シンマルエンタープライゼス製)で処理してアロフェン分散液を調製した。湿式粉砕機による処理は、実施例1で採用した条件と同じ条件で実施し、処理後バグフィルターにより濾過して、粗大粒子を除去した。このアロフェン分散液を、実施例1と同様にしてビスコースに添加し、このビスコースを紡糸したところ、紡糸後まもなく単糸切れが発生し、紡糸することができなかった。この比較例2は、カチオン系界面活性剤がアロフェンを分散させるのに適していないことを示す。

0037

(繊維性能)
実施例1〜3および比較例1で得たレーヨンの引張強度伸度および灰分を測定した。引張強度および伸度はJIS L 1015に準じて測定し、乾燥および湿潤状態で測定した。灰分測定もまた、JIS L 1015に準じて測定した。結果を表1に示す。

0038

0039

(DEPの分解能の評価)
実施例1および2、ならびに比較例1の繊維のDEP吸着分解能を、次のように評価した。評価しようとする繊維0.5gを、0.05mMのDEP水溶液8mlに浸し、35℃の恒温槽中にて保持し、24時間経過させた。24時間経過後、溶液の一部をシリンジにより採取して、そのUVスペクトル波長200〜300nm)を測定した。その後、さらに24時間経過させて、溶液の一部を採取してUVスペクトルを測定することを3回繰り返して実施した。

0040

これとは別に、DEPの0.05mM水溶液、ならびにDEPの分解生成物である、フタル酸(PA)ジアニオン、フタル酸エチル(EP)アニオン、安息香酸(BA)アニオンおよび安息香酸エチル(EB)のそれぞれについて、各化合物またはイオンを0.05mMの濃度で含む水溶液のUVスペクトルをそれぞれ測定した。これらの化合物は、上述のように、DEPが分解したときに生成されると予想される化合物である。

0041

これらのUVスペクトルの測定結果から、各繊維を浸した溶液について、DEPおよび分解生成物(PAジアニオン、BAアニオンおよびEB)が溶液中に占める割合の経時変化を求めた。具体的には、各繊維を浸した状態にて一定時間経過させた後のDEP溶液のスペクトルと、上述のように予め測定しておいた分解生成物単独のスペクトルを合成し、フィッティングさせて、溶液中の各成分の割合を推定した。結果を表2に示す。

0042

0043

表2に示すように、比較例1のレーヨン(アロフェンを含まないレーヨン)をDEP水溶液に浸した場合でも、DEPの減少およびPAジアニオンの生成が認められ、レーヨンそれ自体がDEP分解能を有することが確認された。本発明のアロフェン系物質含有レーヨンをDEP水溶液に浸した場合には、EB、PAジアニオンおよびBAアニオンの生成が確認された。EB(安息香酸エチル)の生成は、EP(フタル酸エチル)アニオンがさらに分解されたことを示し、安息香酸(BA)アニオンの生成は、フタル酸(PA)ジアニオンがさらに分解されたことを示し、したがって、本発明のアロフェン系物質含有レーヨンが、高いDEP分解能を発揮していることを示す。また、本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは、漂白された場合(実施例1)でも、未漂白の場合(実施例2)でも、DEP分解能を有することが確認された。特に、実施例1の繊維を浸した溶液中の24時間経過後のDEPの割合が実施例2の繊維を浸した溶液のそれよりも小さく、未漂白の繊維は漂白した繊維よりも分解反応を速く進行させ得ることを示している。

0044

実施例3の繊維を同様に、0.05mMのDEP水溶液8mlに浸して、同様に24時間ごとに溶液のUVスペクトルを測定した。その結果、時間の経過にともなって、0.05mMのDEP水溶液のUVスペクトルとは異なる形状のスペクトルが得られ、DEPの割合が減少していることが確認された。

0045

本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは、DEP分解能を有するので、そのまま廃水処理材として使用でき、また、本発明のアロフェン系物質含有レーヨンは通常のレーヨンと同様、各種繊維製品を製造するために使用できるので、DEP分解能を有するフィルターまたは被服を製造するのに適している。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い法人

関連性が強い法人一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ